JP2002293909A - ポリエステル製造用触媒及びそれを用いるポリエステル製造方法 - Google Patents
ポリエステル製造用触媒及びそれを用いるポリエステル製造方法Info
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Abstract
融熱安定性に優れたポリエステルを製造するための触
媒、及びそれを用いるポリエステル製造方法を提供する
こと。 【解決手段】 チタン化合物及び/又はチタン化合物と
多価カルボン酸又はその無水物との反応により得られる
チタン化合物を含むチタン化合物成分と、リン化合物成
分との反応生成物を触媒として、芳香族ジカルボン酸の
アルキレングリコールエステル及び/又はその低重合体
からなる重合出発原料を重縮合反応させてポリエステル
を得る。
Description
触媒及びそれを用いるポリエステル製造方法に関する。
さらに詳しくは、本発明は、特定のチタン化合物及びリ
ン化合物を含むポリエステル製造用触媒、及びそれを用
いて、良好な色調(b値)を有し、したがって、色調を
整えるためのコバルト化合物を添加することを要しない
ポリエステルの製造方法に関する。
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレ
ンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレー
トは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているた
め、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されて
いる。
常テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル
化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのようなテレフ
タル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールと
をエステル交換反応させるか又はテレフタル酸とエチレ
ンオキサイドとを反応さて、テレフタル酸のエチレング
リコールエステル及び/又はその低重合体を生成させ、
次いでこの反応生成物を重合触媒の存在下で減圧加熱し
て所定の重合度になるまで重縮合反応させることによっ
て製造されている。また、ポリエチレンナフタレート、
ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレン
テレフタレートも上記と同様の方法によって製造されて
いる。
種類によって、反応速度および得られるポリエステルの
品質が大きく左右されることはよく知られている。ポリ
エチレンテレフタレートの重縮合触媒としては、アンチ
モン化合物が、優れた重縮合触媒性能を有し、かつ、色
調の良好なポリエステルが得られるなどの理由から最も
広く使用されている。
触媒として使用した場合、ポリエステルを長時間にわた
って連続的に溶融紡糸すると、口金孔周辺に異物(以
下、単に口金異物と称することがある。)が付着堆積
し、溶融ポリマー流れの曲がり現象(ベンディング)が
発生し、これが原因となって紡糸、延伸工程において毛
羽及び/又は断糸などを発生するという成形性の問題が
ある。
て、チタンテトラブトキシドのようなチタン化合物を用
いることも提案されているが、このようなチタン化合物
を使用した場合、上記のような、口金異物堆積に起因す
る成形性の問題は解決できるが、得られたポリエステル
自身が黄色く着色されており、また、溶融熱安定性も不
良であるという新たな問題が発生する。
化合物をポリエステルに添加して黄味を抑えることが一
般的に行われている。確かにコバルト化合物を添加する
ことによってポリエステルの色調(b値)は改善するこ
とができるが、コバルト化合物を添加することによって
ポリエステルの溶融熱安定性が低下し、ポリマーの分解
も起こりやすくなるという問題がある。
8−2229号公報には水酸化チタンを、また特公昭4
7−26597号公報にはα−チタン酸を、それぞれポ
リエステル製造用触媒として使用することが開示されて
いる。しかしながら、前者の方法では水酸化チタンの粉
末化が容易でなく、一方、後者の方法ではα−チタン酸
が変質し易いため、その保存、取り扱いが容易でなく、
したがっていずれも工業的に採用するには適当ではな
く、さらに、良好な色調(b値)のポリマーを得ること
も困難である。
チタン化合物とコハク酸とを反応させて得られた生成物
を、また特開昭58−38722号公報にはチタン化合
物と亜リン酸エステルとを反応させて得られた生成物
を、それぞれポリエステル製造用触媒として使用するこ
とが開示されている。確かに、この方法によれば、ポリ
エステルの溶融熱安定性はある程度向上しているもの
の、得られるポリマーの色調が十分なものではなく、し
たがってポリマー色調のさらなる改善が望まれている。
おいては、チタン化合物とリン化合物との錯体をポリエ
ステル製造用触媒とすることが提案されており、この方
法によれば溶融熱安定性もある程度は向上するものの、
得られるポリマーの色調は十分なものではない。
の触媒自身がポリエステルポリマー中に異物として残留
することが多く、この問題についても解決されることが
望まれていた。
な色調(b値)を有し、異物が少なく溶融熱安定性に優
れたポリエステルを製造するための触媒、及びそれを用
いるポリエステル製造方法を提供することにある。
術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至
った。
ル製造用触媒及びそれを用いるポリエステル製造方法に
より達成される。本発明のポリエステル製造用触媒は、
(A)下記一般式(I)により表されるチタン化合物
(1):
(1)と下記一般式(II)で表される多価カルボン
酸:
タン化合物(2)、から選ばれた少なくとも一種からな
るチタン化合物成分と、(B)下記一般式(III)に
より表されるリン化合物(3):
物からなるものである。
二官能性芳香族カルボン酸のアルキレングリコールエス
テル及びその低重合体から選ばれた少なくとも一種から
なる重合出発原料を、触媒の存在下に重縮合する工程を
含み、前記触媒が、(A)下記一般式(I)により表さ
れるチタン化合物(1):
(1)と下記一般式(II)で表される多価カルボン
酸:
タン化合物(2)、から選ばれた少なくとも一種からな
るチタン化合物成分と、(B)下記一般式(III)に
より表されるリン化合物(3):
とを反応させて得られた反応生成物からなるものである
こと、並びに、前記触媒のチタン原子換算量が、前記重
合出発原料中に含まれる前記二官能性芳香族カルボン酸
成分の合計量に対して、10〜40ミリモル%であるこ
と、を特徴とするものである。
説明する。本発明のポリエステル製造用触媒は、下記に
詳しく説明するチタン化合物成分(A)と、リン化合物
成分(B)との反応生成物を含むものである。
分(A)は、下記一般式(I)により表されるチタン化
合物(1):(A)下記一般式(I)により表されるチ
タン化合物(1):
(1)と下記一般式(II)で表される多価カルボン
酸:
タン化合物(2)、から選ばれた少なくとも一種からな
るものである。
成分(B)は、下記一般式(III)で表されるリン化
合物(3):
れる、前記チタン化合物成分(A)と、前記リン化合物
成分(B)との反応生成物において、前記チタン化合物
成分(A)のチタン原子換算モル量(mTi)の、前記
リン化合物成分(B)のリン原子換算モル量(mP)に
対する反応モル比mTi/mPが、1:1〜1:4の範
囲内にあることが好ましく、1:1.5〜1:2.5の
範囲内にあることがより好ましい。
換算モル量とは、前記チタン化合物成分(A)に含まれ
る各チタン化合物のモル量と、当該チタン化合物の1分
子に含まれるチタン原子の個数との積の合計値であり、
前記リン化合物成分(B)のリン原子換算モル量とは、
前記リン化合物成分(B)に含まれる各リン化合物のモ
ル量と、当該リン化合物の1分子に含まれるリン原子の
個数との積の合計値である。ただし、式(III)のリ
ン化合物は1分子当たり1個のリン原子を含むものであ
るから、リン化合物のリン原子換算モル量は当該リン化
合物のモル量に等しい。
くなると、すなわち、チタン化合物成分(A)の量が過
多になると得られる触媒を用いて得られるポリエステル
の色調(b値)が、不良になり、かつその耐熱性が低下
することがある。また、前記反応モル比が、1:4未満
になると、すなわちチタン化合物成分(A)の量が過少
になると、得られる触媒のポリエステル生成反応に対す
る触媒活性が不十分になることがある。
式(I)のチタン化合物(1)としては、チタンテトラ
ブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテ
トラプロポキシド、チタンテトラエトキシドなどのチタ
ンテトラアルコキシドや、オクタアルキルトリチタネー
ト、ヘキサアルキルジチタネートなどのアルキルチタネ
ートを挙げることができるが、なかでも本発明において
使用されるリン化合物成分との反応性の良好なチタンテ
トラアルコキシドを用いることが好ましく、特にチタン
テトラブトキシドを用いることがより好ましい。
ン化合物(2)は一般式(I)のチタン化合物(1)
と、一般式(II)の多価カルボン酸又はその無水物と
の反応により得られる。一般式(II)の多価カルボン
酸及びその無水物としては、シュウ酸、マロン酸、コハ
ク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル
酸、シクロヘキサンジカルボン酸又はそれらの無水物を
好ましく用いることができ、特にチタン化合物(1)と
の反応性がよいコハク酸無水物を用いることが好まし
い。
価カルボン酸又はその無水物との反応は、前記多価カル
ボン酸又はその無水物を溶媒に混合してその一部又は全
部を溶媒中に溶解し、この混合液にチタン化合物(1)
を滴下し、0℃〜200℃の温度で30分以上、好まし
くは30〜150℃の温度に40〜90分間加熱するこ
とによって行われる。この際の反応圧力には特に制限は
なく、常圧で充分である。なお、前記溶媒としては、式
(II)の化合物又はその無水物の一部又は全部を溶解
し得るものから適宜に選択することができるが、好まし
くは、エタノール、エチレングリコール、トリメチレン
グリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン、キ
シレン等から選ばれる。
(II)の化合物又はその無水物とのモル比は適宜に選
択することができるが、チタン化合物(1)の割合が多
すぎると、得られるポリエステルの色調が悪化したり、
軟化点が低下したりする傾向があり、逆にチタン化合物
(1)の量が少なすぎると重縮合反応が進みにくくなる
傾向があるため、チタン化合物(1)と式(II)の化
合物又はその無水物との反応モル比は、(2/1)〜
(2/5)とすることが好ましい。この反応によって得
られる反応生成物は、そのまま前述のリン化合物(3)
との反応に供してもよく、或はこれをアセトン、メチル
アルコール及び/又は酢酸エチルなどによって再結晶し
て精製した後、これをリン化合物(3)と反応させてよ
い。
(III)のリン化合物(3)において、R3により表
されるC6〜C20アリール基、又はC1〜C20アル
キル基は、未置換であってもよく、或は1個以上の置換
基により置換されていてもよく、この置換基としては、
例えば、カルボキシル基、アルキル基、ヒドロキシル基
及びアミノ基などを包含する。
例えば、フェニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチ
ルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホス
ホン酸、ブチルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリ
ルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホ
ン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニル
ホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−
カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシ
フェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホ
スホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、
2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジ
カルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシ
フェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェ
ニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニル
ホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホス
ホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン
酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、
フェニルホスフィン酸、メチルホスフィン酸、エチルホ
スフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホス
フィン酸、ブチルホスフィン酸、トリルホスフィン酸、
キシリルホスフィン酸、ビフェニリルホスフィン酸、ジ
フェニルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、ジエチ
ルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイソプロ
ピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジトリルホ
スフィン酸、ジキシリルホスフィン酸、ジビフェニリル
ホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アントリルホス
フィン酸、2−カルボキシフェニルホスフィン酸、3−
カルボキシフェニルホスフィン酸、4−カルボキシフェ
ニルホスフィン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホス
フィン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスフィン
酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,
6−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,4−ジカ
ルボキシフェニルホスフィン酸、3,5−ジカルボキシ
フェニルホスフィン酸、2,3,4−トリカルボキシフ
ェニルホスフィン酸、2,3,5−トリカルボキシフェ
ニルホスフィン酸、2,3,6−トリカルボキフェニル
ホスフィン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホ
スフィン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホス
フィン酸、ビス(2−カルボキシフェニル)ホスフィン
酸、ビス(3−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビ
ス(4−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス
(2,3−ジカルボキシルフェニル)ホスフィン酸、ビ
ス(2,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビ
ス(2,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビ
ス(2,6−ジカルボキシルフェニル)ホスフィン酸、
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、
ビス(3,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、
ビス(2,3,4−トリカルボキシフェニル)ホスフィ
ン酸、ビス(2,3,5−トリカルボキシフェニル)ホ
スフィン酸、ビス(2,3,6−トリカルボキシフェニ
ル)ホスフィン酸、ビス(2,4,5−トリカルボキシ
フェニル)ホスフィン酸、及びビス(2,4,6−トリ
カルボキシフェニル)ホスフィン酸などから選ばれる。
(B)との触媒調製は、例えば、式(III)の少なく
とも一種のリン化合物(3)からなる成分(B)と溶媒
とを混合して、リン化合物成分(B)の一部又は全部を
溶媒中に溶解し、この混合液にチタン化合物成分(A)
を滴下し、反応系を0℃〜200℃の温度に30分間以
上、好ましくは60〜150℃の温度に40〜90分
間、加熱することによって行われる。この反応におい
て、反応圧力については格別の制限はなく、加圧下
(0.1〜0.5MPa)、常圧下、又は減圧下(0.
001〜0.1MPa)のいずれであってもよく、通常
常圧下が行われる。
II)のリン化合物成分(B)用溶媒は、前記リン化合
物成分(B)の少なくとも一部を溶解し得る限り格別の
制限はないが、例えば、エタノール、エチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、ベンゼン、及びキシレン等から選ばれた少なくとも
一種からなる溶媒が好ましく用いられる。特に、最終的
に得ようとするポリエステルを構成しているグリコール
成分と同一の化合物を溶媒として用いることが好まし
い。
タン化合物成分(A)とリン化合物成分(B)との配合
割合は、得られる触媒に含まれる、チタン化合物成分
(A)と、リン化合物成分との反応生成物において、チ
タン化合物成分(A)のチタン原子換算モル量(mT
i)の、リン化合物成分(B)のリン原子換算モル量
(mP)に対する反応モル比mTi/mPが1:1〜
1:4の範囲になるように設定される。好ましい反応モ
ル比mTi/mPは1:1〜1:3である。
分(B)との反応生成物は、それを反応系から、遠心沈
降処理又は濾過などの手段により分離した後、又は分離
することなくそれをそのままポリエステル製造用触媒と
して用いてもよく、或は、この分離された反応生成物
を、再結晶剤、例えばアセトン、メチルアルコール及び
/又は水などにより再結晶し精製した後、この精製物を
触媒として用いてもよい。
二官能性芳香族カルボン酸のアルキレングリコールエス
テル、及びその低重合体(オリゴマー)から選ばれた少
なくとも一種からなる重合出発原料が、前記触媒の存在
下に重縮合される。このとき、触媒のチタン原子換算量
は、前記重合出発原料中に含まれる二官能性芳香族カル
ボン酸成分の合計量に対して、10〜40ミリモル%に
設定される。この触媒量は、10〜25ミリモル%であ
ることが好ましい。触媒量が、10ミリモル%未満であ
ると、重合出発原料の重縮合反応に対する触媒の促進効
果が不十分になり、ポリエステル製造効率が不十分にな
り、かつ所望の重合度を有するポリエステルを得ること
ができない。また、触媒量が40ミリモル%を越える
と、得られるポリエステルの色調(b値)が、不十分に
なり黄味を帯びるようになり、その実用性が低下する。
る、重合出発原料として用いられる二官能性芳香族カル
ボン酸のアルキレングリコールエステルにおいて、前記
二官能性芳香族カルボン酸はテレフタル酸、イソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン
酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルメタ
ンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジ
フェノキシエタンジカルボン酸、及びβ−ヒドロキシエ
トキシ安息香酸から選ばれることが好ましく、特にテレ
フタル酸及びナフタレンジカルボン酸が好ましく用いら
れる。前記アルキレングリコールは、エチレングリコー
ル、トリメチレングリコート、テトラメチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、及びヘキサメチレングリ
コールから選ばれることが好ましい。
レングリコールエステル及び/又はその低重合体は、い
かなる方法によって製造されたものであってもよいが、
通常、二官能性芳香族カルボン酸又はそのエステル形成
性誘導体とアルキレングリコール又はそのエステル形成
性誘導体とを加熱反応させることによって製造される。
であるテレフタル酸のエチレングリコールエステル及び
/又はその低重合体について説明すると、テレフタル酸
とエチレングリコールとを直接エステル化反応させる
か、テレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレング
リコールとをエステル交換反応させるか、又はテレフタ
ル酸にエチレンオキサイドを付加反応させる方法が一般
に採用される。
原料であるテレフタル酸のトリメチレングリコールエス
テル及び/又はその低重合体について説明すると、テレ
フタル酸とトリメチレングリコールとを直接エステル化
反応させるか、テレフタル酸の低級アルキルエステルと
トリメチレングリコールとをエステル交換反応させる
か、又はテレフタル酸にトリメチレンオキサイドを付加
反応させる方法が一般に採用される。
アルキレングリコールエステル及び/又はその低重合体
には、本発明方法の効果が実質的に損なわれない範囲内
において、具体的には酸成分合計モル量を基準として1
0モル%以下、好ましくは5モル%以下の範囲で、それ
と共重合可能な他の二官能性カルボン酸エステルが追加
成分として含まれていてもよい。
は、酸成分として、例えば、アジピン酸、セバシン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族及び
脂環式の二官能性ジカルボン酸、並びにヒドロキシカル
ボン酸、例えば、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p
−オキシ安息香酸などの一種以上とグリコール成分とし
て、例えば、構成炭素数が2個以上のアルキレングリコ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペン
チルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS
のような脂肪族、脂環式、芳香族のジオール化合物及び
ポリオキシアルキレングリコール、の一種以上とのエス
テル又はその無水物から選ぶことができる。上記追加成
分は一種を単独で用いてもよく、或は二種以上を併用し
てもよい。ただし共重合は上記の範囲内であることが必
要である。
触媒を重合出発原料に添加する時期は、二官能性芳香族
カルボン酸アルキレングリコールエステル及び/又はそ
の低重合体の重縮合反応が開始される以前の任意の段階
であればよく、さらに、その添加方法は従来公知の任意
の方法をいずれも採用することができ、例えば、二官能
性芳香族カルボン酸エステルの調製後に、この反応系内
に触媒の溶液又はスラリーを添加して重縮合反応を開始
してもよいし、或は、当該二官能性芳香族カルボン酸エ
ステルの調製前に、触媒溶液又はスラリーを出発原料と
同時に、又はその仕込み後に反応系に添加してもよい。
条件には格別の制限はないが、重縮合反応は一般に23
0〜320℃の温度において、常圧下、又は減圧下
(0.1Pa〜0.1MPa)において、或はこれらの
条件を組み合わせて、15〜300分間重縮合すること
が好ましい。
じてトリメチルホスフェートなどの安定剤をポリエステ
ル製造における任意の段階で加えてもよく、さらに酸化
防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、
整色剤、消泡剤その他の添加剤などを配合してもよい。
微調整するために、反応系にポリエステルの製造段階に
おいて、アゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、
アントラキノン系、フタロシアニン系等の有機青色顔料
及び無機青色顔料の一種以上からなる整色剤を添加する
ことができる。なお、本発明の製造方法においては、当
然のことながらポリエステルの溶融熱安定性を低下させ
るコバルト等を含む無機青色顔料を整色剤としては用い
る必要はなく、したがって得られるポリエステルには実
質的にコバルトを含まないことが好ましい。
は、通常、ハンター型色差計より得られるL値が80.
0以上、b値が−2.0〜5.0の範囲にあるものであ
る。ポリエステルのL値が80.0未満であると、白色
度が低くなるため実用に供し得る高白色度成形物を得る
ことができないことがある。また、b値が−2.0未満
であると、このポリエステルの黄味は少ないが、青味が
増し、一方、b値が5.0を越えると、得られるポリエ
ステルの黄味が強くなるため、実用上有用な成形物の製
造に供することができないことがある。本発明方法によ
り得られるポリエステルのL値は好ましくは82以上、
特に好ましくは83以上であり、b値の好ましい範囲は
−1.0〜4.5であり、特に好ましくは0.0〜4.
0である。
用コバルト化合物に由来するコバルト原子を含まないも
のである。コバルト原子を含むポリエステルには、溶融
熱安定性が低く、分解が起こりやすくなるという欠点が
ある。なお、ここで“実質的に含まない”とは、整色剤
若しくは重縮合触媒としてコバルト化合物を使用せず、
したがって、得られるポリエステルが、上記コバルト化
合物に由来するコバルト原子を含まないことを意味す
る。したがって、本発明のポリエステルは、整色剤及び
触媒以外の目的をもって添加されたコバルト化合物に由
来するコバルト原子を含むことがあってもよい。
均粒子径3μm以上の異物粒子の含有量が500個/g
以下であることが好ましい。この含有量が500個/g
以下である場合には、溶融成形時におけるフィルター詰
まりや溶融紡糸時のパック圧上昇を格段に抑制すること
ができる。異物の含有量は、さらに好ましくは450個
/g以下、特に好ましくは、400個/g以下である。
℃、窒素雰囲気下における15分間の加熱溶融後の主鎖
切断数が4.0eq/トン以下であることが好ましい。
該主鎖切断数が4.0eq/トン以下であると、溶融成
形時の劣化が格段に抑制されるため、成形物の力学特性
や色調なども向上する。該主鎖切断数はさらに好ましく
は3.8eq/トン以下であり、特に3.5eq/トン
以下であることが好ましい。
適宜選択すればよいが、0.55〜1.0の範囲にある
ことが好ましい。該固有粘度がこの範囲内にあると、溶
融成形が容易でかつ成形物の強度も高いものとなる。該
固有粘度のさらに好ましい範囲は、0.60〜0.90
であり、特に好ましくは0.62〜0.80である。
フェノールに溶解し、35℃の温度において測定され
る。
明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定され
るものではない。ただし上述の通り、固有粘度、色相、
チタン含有量、異物数、溶融熱安定性及び紡糸口金に発
生する付着物の層については、下記記載の方法により測
定された。
固有粘度は、オルソクロロフェノール溶液について、3
5℃において測定した粘度の値から求めた。
料を290℃、真空下で10分間溶融し、これをアルミ
ニウム板上で厚さ3.0±1.0mmのプレートに成形
後ただちに氷水中で急冷し、該プレートを160℃、1
時間乾燥結晶化処理後、色差計調整用の白色標準プレー
ト上に置き、プレート表面のハンターL値及びb値を、
ミノルタ社製ハンター型色差計CR−200を用いて測
定した。L値は明度を示し、その数値が大きいほど明度
が高いことを示し、b値はその値が大きいほど黄着色の
度合いが大きいことを示す。
のチタン濃度は、リガク社製蛍光X線測定装置3270
を用いて測定した。
トを、(外径10mm、内径8mm)×長さ250mm
のガラス試験管に入れ、これを窒素雰囲気中で290℃
のバス中に15分間浸漬して溶融した。この試験前後の
ポリエステルの固有粘度差より、ポリエステルポリマー
1トンあたりのポリエステル主鎖の切断数(当量)を、
下記式から算出した。
リエステルをチップとなし、これを290℃で溶融し、
孔径0.15mmφ、孔数12個の紡糸口金から吐出
し、600m/分で2日間紡糸し、口金の吐出口外縁に
発生する付着物の層の高さを測定した。この付着物層の
高さが大きいほど吐出されたポリエステルメルトのフィ
ラメント状流にベンディングが発生しやすく、このポリ
エステルの成形性は低くなる。すなわち、紡糸口金に発
生する付着物層の高さは、当該ポリエステルの成形性の
指標である。
100mgをヘキサフルオロイソプロパノール20ml
に溶解し、その溶液を目開き3μm、直径2.5cmの
ポリテトラフルオロエチレン製メンブレンフィルター
(ADVANTEC社製「T300A」)を用い、25
℃、2.6kPaにおいて減圧濾過し、フィルター上に
捕捉された異物粒子の数を光学顕微鏡(100倍)によ
りカウントし、ポリマー1gあたりの含有量を算出し
た。
無水コハク酸0.4重量部を溶解し、この溶液にチタン
テトラブトキシド0.7重量部(後記ポリエステルの製
造に用いられる無水コハク酸のモル量を基準として0.
5mol%)を滴下し、この反応系を空気中、常圧下、
80℃に60分間保持してチタンテトラブトキシドと無
水コハク酸とを反応させ、反応生成物を熟成させた。そ
の後反応系を常温に冷却し、これにアセトン15重量部
を加え、析出物をNo.5ろ紙で濾過し、採取し、これ
を100℃の温度で2時間乾燥した。得られた反応生成
物(チタン化合物(2))のチタン含有量は11.2重
量%であった。
にフェニルホスホン酸3.6重量部を120℃に10分
間加熱して溶解した。このエチレングリコール溶液13
4.5重量部に、さらにエチレングリコール40重量部
を加えた後、これに上記チタン化合物(2)5.0重量
部を溶解させた。得られた反応系を120℃で60分間
撹拌し、チタン化合物(2)とフェニルホスホン酸とを
反応させ、反応生成物を含む触媒(A)の白色スラリー
を得た。この触媒(A)スラリーのチタン含量は0.3
重量%であった。ポリエステルの製造: テレフタル酸166重量部とエチ
レングリコール75重量部とを240℃においてエステ
ル化反応させ、次いで得られた反応生成物を精留塔付き
重縮合用フラスコへ入れ、重縮合触媒として上記触媒
(A)スラリー0.95重量部(テレフタル酸の量を基
準として、チタン原子量換算で20ミリモル%)及び整
色剤としてテラゾールブルー0.0002重量部を加
え、得られた反応系を温度285℃、常圧で30分間加
熱し、さらに上記温度において4.0kPa(30mm
Hg)の減圧下で15分間加熱して反応を進行させた
後、反応系内を徐々に減圧にし、上記温度において撹拌
しながら110分間加熱して反応を完了させた。このと
きの最終内温は285℃、最終内圧は49.3Pa
(0.37mmHg)であり、得られたポリエチレンテ
レフタレートの固有粘度は0.640であった。この結
果を表1に示す。
2〜5及び比較例1〜4の各々において、実施例1と同
様にして、触媒(A)を用いてポリエステルを製造し
た。ただし、触媒(A)において、リン/チタンのモル
比及びポリエステル製造における触媒添加量を表1記載
のように変更した。結果を表1に示す。
部、エチレングリコール124重量部及び酢酸カルシウ
ム0.12重量部を精留塔付き反応槽に投入し、220
℃においてエステル交換反応を行い、生成した理論量の
メタノールを留出除去した後、この反応混合物にリン酸
0.09重量部を加えて第1段階の反応を終了した。次
いで前記反応混合物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入
れ、この反応混合物に、重縮合触媒として、実施例1と
同じ方法により得られた触媒(A)スラリー3.2重量
部(テレフタル酸ジメチルの量を基準として、チタン化
合物(2)の含有量はチタン原子量換算で20ミリモル
%)、及び整色剤としてテラゾールブルー0.0002
重量部を加えた。
加熱しさらに前記温度において4.0kPa(30mm
Hg)の減圧下で15分加熱して反応を進行させた後、
反応系内を徐々に減圧にし、前記温度において撹拌下1
10分間加熱して反応を完了させた。フラスコ内の最終
温度は285℃、最終内圧は49.3Pa(0.37m
mHg)であった。得られたポリエチレンテレフタレー
トの固有粘度は0.640であった。このポリマーのテ
スト結果を表1に示す。
造法と同様にしてポリエステルを製造した。ただし、重
縮合触媒として、チタンテトラブトキシドのみを用い、
この触媒の添加量を、テレフタル酸ジメチルの量を基準
として、チタン原子量換算で20ミリモル%となるよう
に、触媒スラリーの濃度及び添加量を調整した。結果を
表1に示す。
ノールに溶解し、この溶液にチタンテトラブトキシド
0.64重量部を滴下し、得られた反応系を空気中、常
圧の下、80℃の温度に60分間保持して、チタンテト
ラブトキシドとコハク酸無水物とを反応させ、熟成し
た。反応熟成後、反応系を常温に冷却し、これにアセト
ン15重量部を加え、生成した沈殿を濾取した。このよ
うにして得られた触媒(B)のチタン含量は11.4重
量%であった。ポリエステルの製造: 実施例6のポリエステルの製造法
と同様にしてポリエステルを製造した。ただし、重縮合
触媒として、上記触媒(B)を用い、この触媒(B)の
添加量が、テレフタル酸ジメチルの量を基準としてチタ
ン原子量換算で20ミリモル%となるようスラリーの触
媒濃度及び添加量を調整した。結果を表1に示す。
記載の触媒(A)の調製法と同様にして触媒(C)を調
製した。ただし、フェニルホスホン酸3.6重量部の代
わりに亜リン酸フェニル3.6重量部を用いた。触媒
(C)の白色スラリーを得た。このスラリーのチタン含
量は0.3重量%であった。ポリエステルの製造: 実施例6のポリエステルの製造法
と同様にしてポリエステルを製造した。ただし、重縮合
触媒として、上記の操作により得られた触媒(C)スラ
リー3.2重量部(テレフタル酸ジメチルの量を基準と
して、チタン原子量換算で20ミリモル%)を用いた。
結果を表1に示す。
造法と同様にして、ポリエステルを製造した。ただし、
重縮合触媒として、三酸化二アンチモンを用い、この触
媒の添加量を、テレフタル酸ジメチルの量を基準とし
て、アンチモン原子量換算で27ミリモル%となるよう
スラリーの濃度及び添加量を調整した。結果を表1に示
す。
に無水コハク酸0.4重量部を溶解し、この溶液中にチ
タンテトラブトキシド0.7重量部(無水コハク酸のモ
ル量を基準として0.5mol%)を滴下し、この反応
系を空気中、常圧下、80℃に60分間保持して、チタ
ンテトラブトキシドと無水コハク酸とを反応熟成させ
た。その後この反応系を常温に冷却し、それにアセトン
15重量部を加え、生成した析出物をNo.5ろ紙で濾
取し、100℃で2時間乾燥した。得られたチタン化合
物(2)のチタン含有量は11.0重量%であった。
に3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸5.6重量
部を混合し、これを120℃で10分間加熱して溶解し
た。このエチレングリコール溶液134.5重量部に、
さらにエチレングリコール40重量部を加え、これに上
記チタン化合物(2)5.0重量部を溶解させ、この反
応系を撹拌しながら120℃で60分間加熱して、微黄
色透明の触媒(D)溶液を得た。この触媒(D)溶液の
チタン含量は0.3重量%であった。ポリエステルの製造: テレフタル酸166重量部とエチ
レングリコール75重量部とを240℃において、エス
テル化反応させ、次いで得られた生成物を精留塔付き重
縮合用フラスコへ入れ、重縮合触媒として上記触媒
(D)溶液0.95重量部(テレフタル酸の量を基準と
して、チタン原子量換算で20ミリモル%)、及び整色
剤としてテラゾールブルー0.0002重量部を加え、
得られた反応系を温度285℃、常圧、において30分
間、加熱し、さらに前記温度において、4.0kPa
(30mmHg)の減圧下で15分加熱して反応を進行
させた。次に上記反応温度において、反応系内を徐々に
減圧にし、撹拌下110分間加熱して反応させた。フラ
スコ中の最終温度は285℃であり最終内圧は49.3
Pa(0.37mmHg)であった。得られたポリエチ
レンテレフタレートの固有粘度は0.640であった。
結果を表2に示す。
例8〜11及び比較例9〜12の各々において、実施例
7のポリエステルの製造法と同様にしてポリエステルを
製造した。ただし、触媒(D)におけるリン/チタンの
モル比及び、触媒(D)の添加量を表2記載のように変
更した。結果を表2に示す。
部、エチレングリコール124重量部及び酢酸カルシウ
ム0.12重量部を精留塔付き反応槽に投入し、220
℃の温度においてエステル交換反応を行い、理論量のメ
タノールを留出させた。この反応混合物にリン酸0.0
9重量部を加えて、第1段階の反応を終了した。次に、
得られた混合物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、
これに重縮合触媒として、触媒(D)溶液3.2重量部
(テレフタル酸ジメチルのモル量を基準として、チタン
原子モル量換算で20×10−3%)、及び整色剤とし
てテラゾールブルー0.0002重量部を加え、得られ
た反応系を、温度285℃、常圧で30分間加熱し、前
記温度においてさらに4.0kPa(30mmHg)の
減圧下で15分間加熱して反応を進行させた後、さらに
反応系内を徐々に減圧にし、撹拌下、前記温度において
110分間反応させた。反応系の最終温度は285℃で
あり、最終内圧は49.3Pa(0.37mmHg)で
あった。得られたポリエチレンテレフタレートの固有粘
度は0.640であった。テスト結果を表2に示す。
に無水コハク酸0.4重量部を溶解し、この溶液にチタ
ンテトラブトキシド0.7重量部(無水コハク酸のモル
量を基準として0.5mol%)を滴下し、この混合物
を空気中、常圧下、80℃の温度に60分間、保持し
て、無水コハク酸とチタンテトラブトキシドとを反応熟
成させた。この反応混合物を常温に冷却した後、それに
アセトン15重量部を加え、形成された析出物をNo.
5ろ紙で濾取し、それを100℃で2時間乾燥した。得
られたチタン化合物(2)のチタン含有量は11.6重
量%であった。
にジフェニルホスフィン酸5.2重量部を混合し、この
混合物を120℃で10分間加熱して溶解した。このエ
チレングリコール溶液141.2重量部に、さらにエチ
レングリコール40重量部を加え、この混合物に上記チ
タン化合物(2)5.0重量部を溶解させて反応系を調
製し、この反応系を、120℃で60分間撹拌して、チ
タン化合物(2)と、ジフェニルホスフィン酸とを反応
させて微黄色透明の触媒(E)溶液を得た。この触媒
(E)溶液のチタン含量は0.3重量%であった。ポリエステルの製造: テレフタル酸166重量部とエチ
レングリコール75重量部とを240℃においてエステ
ル化反応させ、次いで得られたエステル化生成物を精留
塔付き重縮合用フラスコへ入れ、これに重縮合触媒とし
て上記触媒(E)溶液0.95重量部(テレフタル酸の
量を基準として、チタン原子量換算で20ミリモル%)
及び整色剤としてテラゾールブルー0.0002重量部
を加えて反応系を調製し、この反応系を、温度285
℃、常圧で30分加熱し、さらに前記温度において、
4.0kPa(30mmHg)の減圧下で15分間加熱
して反応を進行させ、次に反応系内を徐々に減圧にし、
前記反応温度において撹拌下、110分間反応させた。
反応系の最終温度は285℃であり、最終内圧は49.
3Pa(0.37mmHg)であった。得られたポリエ
スチレンテレフタレートの固有粘度は0.640であっ
た。結果を表3に示す。
実施例14〜17及び比較例13〜16の各々におい
て、実施例13のポリエステルの製造法と同様にしてポ
リエステルを調製した。ただし、触媒におけるリン/チ
タンのモル比、及び触媒添加量を表3記載のように変更
した。結果を表3に示す。
部、エチレングリコール124重量部及び酢酸カルシウ
ム0.12重量部を精留塔付き反応槽に投入し、220
℃においてエステル交換反応を行い、生成する理論量の
メタノールを留出除去し、得られたエステル交換反応混
合物にリン酸0.09重量部を加え、第1段階の反応を
終了した。次いで前記混合物を精留塔付き重縮合用フラ
スコへ入れ、これに重縮合触媒として、触媒(E)溶液
3.2重量部(テレフタル酸ジメチルのモル量を基準と
して、チタン原子モル量換算で20×10−3%)、及
び整色剤としてテラゾールブルーを0.0002重量部
加えた。得られた反応系を温度285℃、常圧で30分
加熱し、さらに前記温度において、4.0kPa(30
mmHg)の減圧下で15分間加熱して反応を進行させ
た。次に反応系内を徐々に減圧にし、上記温度において
撹拌下110分間加熱して反応させた。反応系の最終温
度は285℃であり、最終内圧は49.3Pa(0.3
7mmHg)であった。得られたポリエチレンテレフタ
レートの固有粘度は0.640であった。テスト結果を
表3に示す。
部中に無水コハク酸0.4重量部を溶解し、この溶液中
に、チタンテトラブトキシド0.7重量部(無水コハク
酸のモル量を基準として0.5mol%)を滴下し、こ
の反応混合物を、空気中、常圧下、80℃に60分間保
持して、無水コハク酸とチタンテトラブトキシドとを反
応熟成させた。その後この反応混合物を常温に冷却し、
それにアセトン15重量部を加え、生成した析出物をN
o.5ろ紙で濾取し、100℃で2時間乾燥した。得ら
れたチタン化合物(2)のチタン含有量は11.7重量
%であった。
部中にフェニルホスホン酸3.6重量部を混合し、この
混合物を120℃で10分間加熱して溶解した。このト
リメチレングリコール溶液134.5重量部に、さらに
トリメチレングリコール40重量部を加え、これに上記
チタン化合物(2)5.0重量部を溶解し、この反応系
を120℃で60分間、加熱しながら撹拌して、フェニ
ルホスホン酸とチタン化合物(2)とを反応させ、この
反応生成物、すなわち触媒(F)を含む白色スラリーを
得た。この触媒(F)スラリーのチタン含量は0.3重
量%であった。ポリエステルの製造: テレフタル酸166重量部とトリ
メチレングリコール92重量部とを240℃においてエ
ステル化反応させ、得られたエステル化反応生成物を精
留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、これに、重縮合触媒
として上記触媒(F)スラリー0.95重量部(テレフ
タル酸のモル量を基準として、チタン原子のモル量換算
で20×10−3%)及び整色剤としてテラゾールブル
ー0.0002重量部を加えて反応系を調製した。この
反応系を、温度250℃、常圧で30分間加熱し、さら
に前記温度において、4.0kPaの減圧下で、15分
間加熱して反応を進行させた。次に、反応系内を、前記
温度において徐々に減圧にし、撹拌下で110分加熱し
て反応させた。反応系の最終温度は250℃であり、最
終内圧は49.3Paであった。得られたポリトリメチ
レンテレフタレートの固有粘度は0.680であった。
結果を表4に示す。
実施例20〜23及び比較例17〜20の各々におい
て、実施例19のポリエステルの製造と同様にしてポリ
エステルを製造した。ただし、触媒(F)におけるリン
/チタンのモル比、及び触媒添加量を表4記載のように
変更した。結果を表4に示す。
部、トリメチレングリコール152重量部及び酢酸カル
シウム0.12重量部を精留塔付き反応槽に投入し、2
20℃においてエステル交換反応を行い、生成する理論
量のメタノールを留出させた後、反応混合物にリン酸
0.09重量部を加えて第1段階の反応を終了した。次
に得られた反応混合物を精留塔付き重縮合用フラスコへ
入れ、これに重縮合触媒として、触媒(F)スラリー
3.2重量部(テレフタル酸ジメチルのモル量を基準と
して、チタン原子モル量換算で20×10−3%)及び
整色剤としてテラゾールブルー0.0002重量部を加
えて、反応系を調製した。この反応系を温度250℃、
常圧で30分間加熱し、さらに前記温度において4.0
kPaに減圧下、15分間加熱して反応を進行させた。
次に反応系内を徐々に減圧にし、前記温度において撹拌
下、110分間加熱して反応させた。反応系の最終内温
は250℃であり、最終内圧は49.3Paであった。
得られたポリトリメチレンテレフタレートの固有粘度は
0.678であった。ポリマーの色調及び溶融熱安定性
を表4に示す。
の製造法と同様にしてポリエステルを製造した。ただ
し、重縮合触媒として、チタンテトラブトキシドのみを
用い、この触媒の添加量をテレフタル酸ジメチルの量を
基準としてチタン原子量換算で20ミリモル%となるよ
う触媒溶液の濃度及び添加量を調整した。結果を表4に
示す。
量部中に無水コハク酸0.4重量部を溶解し、この溶液
中にチタンテトラブトキシド0.7重量部(無水コハク
酸のモル量を基準として0.5mol%)を滴下し、得
られた反応系を、空気中、常圧下、80℃に60分間保
持して、無水コハク酸とチタンテトラブトキシドとを反
応熟成させた。この反応系を常温に冷却し、これにアセ
トン15重量部を加え、生成した析出物をNo.5ろ紙
で濾取し、100℃で2時間乾燥した。得られたチタン
化合物(2)中のチタン含有量は11.6重量%であっ
た。
量部中にフェニルホスホン酸3.6重量部を混合し、こ
の混合物を120℃で10分間加熱して溶解した。この
テトラメチレングリコール溶液134.5重量部に、さ
らにテトラメチレングリコール40重量部を加えた後、
それに上記チタン化合物(2)5.0重量部を溶解し、
この溶液を120℃で60分間撹拌しながら加熱し、生
成した触媒(G)を含む、白色スラリーを得た。この触
媒(G)スラリーのチタン含量は0.3重量%であっ
た。ポリエステルの製造: テレフタル酸166重量部とテト
ラメチレングリコール109重量部とを240℃におい
てエステル化反応させ、次いで得られたエステル化反応
生成物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、これに重
縮合触媒として上記触媒(G)スラリー0.95重量部
(テレフタル酸の量を基準として、チタン原子量換算で
20ミリモル%)及び整色剤としてテラゾールブルー
0.0002重量部を加え、得られた反応系を温度25
0℃、常圧で30分間加熱しさらに前記温度において
4.0kPaの減圧下で15分加熱して反応を進行させ
た。次に反応系内を徐々に減圧にし、前記温度におい
て、撹拌下110分間加熱して反応させた。反応系の最
終温度は250℃であり、最終内圧は49.3Paであ
った。得られたポリブチレンテレフタレートの固有粘度
は0.700であった。結果を表4に示す。
と同様にしてポリエステルを製造した。ただし、重縮合
触媒として、前記比較例6の触媒(B)を用い、この触
媒の添加量がテレフタル酸の量を基準としてチタン原子
量換算で20ミリモル%となるように、触媒溶液の濃度
及び添加量を調整した。結果を表4に示す。
製した。ただし、フェニルホスホン酸3.6重量部の代
わりに亜リン酸フェニル3.6重量部を用い、白色の触
媒(H)含有スラリーを得た。この触媒(H)スラリー
のチタン含量は0.3重量%であった。ポリエステルの製造: 実施例19のポリエステルの製造
法と同様にしてポリエステルを製造した。ただし、重縮
合触媒として、上記触媒(H)スラリー3.2重量部
(テレフタル酸の量を基準として、チタン原子量換算で
20ミリモル3%)を用いた。結果を表4に示す。
の製造法と同様にしてポリエステルを製造した。ただ
し、重縮合触媒として、三酸化アンチモンを用い、この
触媒の添加量をテレフタル酸の量を基準としてアンチモ
ン原子量換算で、25ミリモル%とした。結果を表4に
示す。
テル製造方法によれば、色調に優れ、異物の含有量が少
なく、かつ溶融熱安定性に優れたポリエステルを製造す
ることができ、さらに本発明方法により得られたポリエ
ステルは、紡糸口金を通して長時間連続的に紡糸しても
口金付着物の発生量が非常に少なく、成形性に優れてい
るという優れた性能を有するものである。
Claims (16)
- 【請求項1】 (A)下記一般式(I)により表される
チタン化合物(1) 【化1】 及び、前記一般式(I)のチタン化合物(1)と下記一
般式(II)で表される多価カルボン酸: 【化2】 又はその無水物とを反応させて得られたチタン化合物
(2)、 から選ばれた少なくとも一種からなるチタン化合物成分
と、 (B)下記一般式(III)で表されるリン化合物
(3): 【化3】 の少なくとも一種からなるリン化合物成分と、の反応生
成物からなる、ポリエステル製造用触媒。 - 【請求項2】 前記チタン化合物成分と、前記リン化合
物との反応生成物において、前記チタン化合物成分のチ
タン原子換算モル量(mTi)の、前記リン化合物成分
のリン原子換算モル量(mP)に対する反応モル比mT
i/mPが、1:1〜1:4の範囲内にある、請求項1
記載のポリエステル製造用触媒。 - 【請求項3】 前記式(I)のチタン化合物(1)が、
チタンテトラアルコキシド類、オクタアルキルトリチタ
ネート類、及びヘキサアルキルジチタネート類から選ば
れる、請求項1記載のポリエステル製造用触媒。 - 【請求項4】 前記式(II)の多価カルボン酸又はそ
の無水物が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサ
ンジカルボン酸又はそれらの無水物から選ばれる、請求
項1記載のポリエステル製造用触媒。 - 【請求項5】 前記チタン化合物(2)が、前記式
(I)のチタン化合物(1)と、式(II)の多価カル
ボン酸又はその無水物との、反応モル比2:1〜2:5
における反応生成物である、請求項1記載のポリエステ
ル製造用触媒。 - 【請求項6】 前記式(III)のリン化合物(3)
が、フェニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホ
スホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン
酸、ブチルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホ
スホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン
酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホ
スホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カ
ルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフ
ェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホス
ホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、
2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジ
カルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシ
フェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェ
ニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニル
ホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホス
ホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン
酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、
フェニルホスフィン酸、メチルホスフィン酸、エチルホ
スフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホス
フィン酸、ブチルホスフィン酸、トリルホスフィン酸、
キシリルホスフィン酸、ビフェニリルホスフィン酸、ジ
フェニルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、ジエチ
ルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイソプロ
ピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジトリルホ
スフィン酸、ジキシリルホスフィン酸、ジビフェニリル
ホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アントリルホス
フィン酸、2−カルボキシフェニルホスフィン酸、3−
カルボキシフェニルホスフィン酸、4−カルボキシフェ
ニルホスフィン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホス
フィン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスフィン
酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,
6−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,4−ジカ
ルボキシフェニルホスフィン酸、3,5−ジカルボキシ
フェニルホスフィン酸、2,3,4−トリカルボキシフ
ェニルホスフィン酸、2,3,5−トリカルボキシフェ
ニルホスフィン酸、2,3,6−トリカルボキフェニル
ホスフィン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホ
スフィン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホス
フィン酸、ビス(2−カルボキシフェニル)ホスフィン
酸、ビス(3−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビ
ス(4−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス
(2,3−ジカルボキルシフェニル)ホスフィン酸、ビ
ス(2,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビ
ス(2,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビ
ス(2,6−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビ
ス(3,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビ
ス(3,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビ
ス(2,3,4−トリカルボキシフェニル)ホスフィン
酸、ビス(2,3,5−トリカルボキシフェニル)ホス
フィン酸、ビス(2,3,6−トリカルボキシフェニ
ル)ホスフィン酸、ビス(2,4,5−トリカルボキシ
フェニル)ホスフィン酸、及びビス(2,4,6−トリ
カルボキシフェニル)ホスフィン酸から選ばれる、請求
項1記載のポリエステル製造用触媒。 - 【請求項7】 前記チタン化合物成分と前記リン化合物
成分との反応生成物が、0〜200℃の反応温度で生成
したものである、請求項1記載のポリエステル製造用触
媒。 - 【請求項8】 二官能性芳香族カルボン酸のアルキレン
グリコールエステル及びその低重合体から選ばれた少な
くとも一種からなる重合出発原料を、触媒の存在下に重
縮合する工程を含み、前記触媒が、(A)下記一般式
(I)により表されるチタン化合物(1): 【化4】 及び、前記式(I)のチタン化合物(1)と下記一般式
(II)で表される多価カルボン酸: 【化5】 又はその無水物とを反応させて得られたチタン化合物
(2)、 から選ばれた少なくとも一種からなるチタン化合物成分
と、 (B)下記一般式(III)により表されるリン化合物
(3): 【化6】 の少なくとも一種からなるリン化合物成分とを反応させ
て得られた反応生成物からなるものであること、並び
に、 前記触媒のチタン原子換算量が、前記重合出発原料中に
含まれる前記二官能性芳香族カルボン酸成分の合計量に
対して、10〜40ミリモル%であること、を特徴とす
るポリエステルの製造方法。 - 【請求項9】 前記チタン化合物成分と前記リン化合物
との反応において、前記チタン化合物のチタン原子換算
モル量(mTi)の、前記リン化合物成分のリン原子換
算モル量(mP)に対する反応モル比mTi/mPが、
1:1〜1:4の範囲内にある、請求項8記載のポリエ
ステルの製造方法。 - 【請求項10】 前記二官能性芳香族カルボン酸がテレ
フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジ
フェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン
酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルエーテ
ルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、及
びβ−ヒドロキシエトキシ安息香酸から選ばれる、請求
項8に記載のポリエステルの製造方法。 - 【請求項11】 前記アルキレングリコールが、エチレ
ングリコール、トリメチレングリコート、テトラメチレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、及びヘキサメ
チレングリコールから選ばれる、請求項8記載のポリエ
ステル製造方法。 - 【請求項12】 前記重縮合反応が、230〜320℃
の温度において行われる、請求項8記載のポリエステル
製造方法。 - 【請求項13】 請求項8〜12のいずれか1項に記載
の方法により製造されたポリエステル。 - 【請求項14】 前記ポリエステルが、整色効果を有す
るコバルト化合物を含まず、かつ下記要件: (a)該ポリエステル290℃、真空下で10分間溶融
し、これをアルミニウム板上で厚さ3.0±1.0mm
のプレートに成形後ただちに氷水中で急冷し、該プレー
トを160℃、1時間乾燥結晶化処理後、色差計調整用
の白色標準プレート上に置き、プレート表面の色調を、
ミノルタ社製ハンター型色差計CR−200を用いて測
定した時前記プレートのL値が80.0以上、b値が−
2.0〜5.0の範囲にあること。を満たす、請求項1
3記載のポリエステル。 - 【請求項15】 前記ポリエステルが、下記要件: (b)平均粒子径3μm以上の固体異物の含有量が50
0個/g以下であること。を満たす、請求項13記載の
ポリエステル。 - 【請求項16】 前記ポリエステルが、下記要件: (c)窒素雰囲気下、290℃、15分間の加熱溶融に
よるポリマー主鎖の切断数が4.0当量/トン以下であ
ること、を満たす、請求項13記載のポリエステル。
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