JP2003129336A - 制電性繊維用ポリエステル - Google Patents

制電性繊維用ポリエステル

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JP2003129336A JP2001321894A JP2001321894A JP2003129336A JP 2003129336 A JP2003129336 A JP 2003129336A JP 2001321894 A JP2001321894 A JP 2001321894A JP 2001321894 A JP2001321894 A JP 2001321894A JP 2003129336 A JP2003129336 A JP 2003129336A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な色調(b値)を有し、かつ優れた制電
性を呈するうえ、さらに紡糸口金を通して長時間連続的
に紡糸しても口金付着物の発生量が非常に少なく、成形
性に優れているポリエステル繊維及びその製造方法を提
供すること。 【解決手段】 特定のチタン化合物及びリン化合物を含
むポリエステル製造用触媒を用い、該ポリエステルの紡
糸工程が完了する以前の任意の段階で、特定のポリオキ
シアルキレン系ポリエーテル、有機スルホン酸金属塩を
添加配合させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は制電性繊維用ポリエ
ステルに関し、さらに詳しくは、特定のチタン化合物及
びリン化合物を含むポリエステル製造用触媒を用いた、
良好な色調(b値)を有し、かつ優れた制電性を呈した
うえ、さらに紡糸口金を通して長時間連続的に紡糸して
も口金付着物の発生量が非常に少なく、成形性に優れて
いるポリエステルを提供することができる。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、特にポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレ
ンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレー
トは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているた
め、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されて
いる。
【0003】例えばポリエチレンテレフタレートは、通
常テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル
化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのようなテレフ
タル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールと
をエステル交換反応させるか又はテレフタル酸とエチレ
ンオキサイドとを反応さて、テレフタル酸のエチレング
リコールエステル及び/又はその低重合体を生成させ、
次いでこの反応生成物を重合触媒の存在下で減圧加熱し
て所定の重合度になるまで重合反応させることによって
製造されている。また、ポリエチレンナフタレート、ポ
リトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテ
レフタレートも上記と同様の方法によって製造されてい
る。
【0004】これらの重合反応段階で使用する触媒の種
類によって、反応速度および得られるポリエステルの品
質が大きく左右されることはよく知られている。ポリエ
チレンテレフタレートの重合触媒としては、アンチモン
化合物が、優れた重合触媒性能を有し、かつ色調の良好
なポリエステルが得られるなどの理由から最も広く使用
されている。
【0005】しかしながら、アンチモン化合物を重合触
媒として使用した場合、ポリエステルを長時間にわたっ
て連続的に溶融紡糸すると、口金孔周辺に異物(以下、
単に口金異物と称することがある。)が付着堆積し、溶
融ポリエステル流れの曲がり現象(ベンディング)が発
生し、これが原因となって紡糸・延伸工程において毛羽
及び/又は断糸などを発生するという成形性の問題があ
る。
【0006】該アンチモン化合物以外の重合触媒とし
て、チタンテトラブトキシドのようなチタン化合物を用
いることも提案されているが、このようなチタン化合物
を使用した場合、上記のような、口金異物堆積に起因す
る成形性の問題は解決できるが、得られたポリエステル
自身が黄色く着色されており、また溶融熱安定性も不良
であるという新たな問題が発生する。
【0007】上記着色問題を解決するために、コバルト
化合物をポリエステルに添加して黄味を抑えることが一
般的に行われている。確かにコバルト化合物を添加する
ことによってポリエステルの色調(b値)は改善するこ
とができるが、コバルト化合物を添加することによって
ポリエステルの溶融熱安定性が低下し、ポリエステルの
分解も起こりやすくなるという問題がある。
【0008】また、他のチタン化合物として、特公昭4
8−2229号公報には水酸化チタンを、また特公昭4
7−26597号公報にはα−チタン酸を、それぞれポ
リエステル製造用触媒として使用することが開示されて
いる。しかしながら、前者の方法では水酸化チタンの粉
末化が容易でなく、一方後者の方法ではα−チタン酸が
変質し易いため、その保存・取り扱いが容易でなく、し
たがっていずれも工業的に採用するには適当ではなく、
さらに良好な色調(b値)のポリエステルを得ることも
困難である。
【0009】また、特公昭59−46258号公報には
チタン化合物とトリメリット酸とを反応させて得られた
生成物を、また特開昭58−38722号公報にはチタ
ン化合物と亜リン酸エステルとを反応させて得られた生
成物を、それぞれポリエステル製造用触媒として使用す
ることが開示されている。確かに、この方法によれば、
ポリエステルの溶融熱安定性はある程度向上しているも
のの、得られるポリエステルの色調が十分なものではな
く、したがってポリエステル色調のさらなる改善が望ま
れている。
【0010】さらに、特開平7−138354号公報に
おいては、チタン化合物とリン化合物との錯体をポリエ
ステル製造用触媒とすることが提案されており、この方
法によれば溶融熱安定性もある程度は向上するが、得ら
れるポリエステルの色調は十分なものではない。
【0011】なお、これらのチタン/リン系触媒は、そ
の触媒自身がポリエステルポリエステル中に異物として
残留することが多く、その結果紡糸・延伸工程で断糸が
発生しやすいという問題があり、この問題についても解
決されることが望まれていた。
【0012】また、一般にポリエステルを繊維とした場
合、得られる繊維自体は静電気を帯びやすく制電性に劣
る欠点がある。従来ポリエステル繊維に制電性を付与す
る方法として、製糸以前の段階でポリエステルに、ポリ
アルキレンエーテル又はポリアルキレンエーテルと有機
スルホン酸金属塩とを配合する方法(特公昭44−31
828号公報、特公昭60−11944号公報、特開平
3−139556号公報等)が提案されている。
【0013】しかし、これらの方法によって得られるポ
リエステルのチップを、ルーダーで再溶融して溶融紡糸
する場合には、チップがルーダー上で滑って噛み込み不
良が発生し安定して溶融紡糸することが難しいという問
題があった。
【0014】このため、溶融紡糸の安定性を改良し、か
つ制電性に優れたポリエステルを得る方法として、ポリ
エステル中の制電剤の分散状態を特定範囲内に規定する
方法(特許第3130624号公報)が提案されてい
る。確かに、この方法によれば溶融紡糸の安定性不良の
問題点は解消される。しかしながら、このようなポリエ
チレンテレフタレートを用いた繊維は、その化学的な改
質ゆえに繊維自身が柔らかく、溶融紡糸を行う際に前述
のアンチモン化合物を触媒に用いた時のように、口金異
物の発生により生産性が低下する傾向があるという問題
が存在する。
【0015】口金異物の問題は、上述のようにアンチモ
ン化合物を使用しないで他の触媒系を用いることで解決
される。しかしながらアンチモン化合物を使用しない方
法では、糸の色調が低下してしまうため実際には使用に
供することができない。したがって口金異物が発生しに
くく、かつ色調に優れ、かつ吸湿性、吸水性にも優れ、
成形性に優れた制電性繊維用ポリエステルが求められて
いた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特定
のチタン化合物及びリン化合物を含むポリエステル製造
用触媒を用いた、良好な色調(b値)を有し、かつ優れ
た制電性を呈したうえ、さらに紡糸口金を通して長時間
連続的に紡糸しても口金付着物の発生量が非常に少な
く、成形性に優れているポリエステル繊維を提供するこ
とにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記従来技
術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至
った。
【0018】すなわち、本発明は、 1.エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とす
るポリエステルからなり、 A)ポリエステル重合時の触媒として、下記式(1)
【0019】
【化5】
【0020】(式中、R11,R12,R13およびR14は同
一または異なる炭素数2〜10個のアルキル基を表し、
mは1〜3の整数を表す。)で表されるチタン化合物と
下記式(2)
【0021】
【化6】
【0022】(式中、R2は炭素数2〜18のアルキル
基、または炭素数6〜20のアリール基であり、nは1
または2、pは0または1である。)で表されるリン化
合物をチタン元素のモル数に対するリン元素のモル数
(P/Ti)が1〜4となる範囲の組成でエチレングリ
コール中で加熱反応せしめたチタン/リン反応物を用
い、且つ該ポリエステルに含まれるチタン元素量が全ジ
カルボン酸残基成分に対し2〜40ミリモル%の範囲に
あり、 B)該ポリエステルの紡糸工程が完了する以前の任意の
段階で、制電剤として、下記式(3)
【0023】
【化7】
【0024】(上記式中、Zは1〜6個の活性水素を有
する有機化合物残基を、R3 は炭素原子数6以上のア
ルキレン基又は置換アルキレン基を、R4 は水素原子、
炭素原子数1〜40の1価の炭化水素基、炭素原子数2
〜40の1価のヒドロキシ炭化水素基又は炭素原子数2
〜40の1価のアシル基を、kは1〜6の整数、sはs
≧70/kを満足する整数、tは1以上の整数を示
す。)で表されるポリオキシアルキレン系ポリエーテル
を、該ポリエステルの重量を基準として、0.2〜30
重量%、および下記式(4) (R5SO3rM (4) (R5は炭素数3〜30のアルキルアリール基、または
アルキル基で置換されても良い炭素数6〜30のアリー
ル基を、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示
す。rはMがアルカリ金属の時は1、Mがアルカリ土類
金属の時は2を表す。)で表される有機スルホン酸金属
塩を、該ポリエステルの重量を基準として、0.05〜
10重量%となるように添加し、 C)下記式(5) X=N×W (5) (上記式においてN,Wは、それぞれポリエステル20
mgを2枚のプレパラートに挟み、10g荷重下285
℃で溶融して直径1cmの薄膜状となした時に観察され
る直径2.5μm以上の粒子の数(個/cm2)、およ
びポリエステル組成物中の制電剤の量(ポリエステル1
00重量部に対する重量部)を表す。)で表される該制
電剤の分散性Xが0.1〜1であり、 D)並びに固有粘度が0.65以上である制電性繊維用
ポリエステル によって達成される。
【0025】
【発明の実施の形態】以下本発明についてさらに詳細に
説明する。本発明の制電性繊維用ポリエステルは下記式
(1)
【0026】
【化8】
【0027】(式中、R11,R12,R13およびR14は同
一または異なる炭素数2〜10個のアルキル基を表し、
mは1〜3の整数を表す。)で表されるチタン化合物と
下記式(2)
【0028】
【化9】
【0029】(式中、R2は炭素数2〜18のアルキル
基、または炭素数6〜20のアリール基であり、nは1
または2、pは0または1である。)で表されるリン化
合物をチタン元素のモル数に対するリン元素のモル数
(P/Ti)が1〜4となる範囲の組成で反応せしめた
チタン/リン反応物を用いて重合されている必要があ
る。
【0030】ここでチタン元素のモル数に対するリン元
素のモル数(P/Ti)が1より小さい場合、得られる
ポリエステルの色調が不良になり、かつその耐熱性が低
下することがあり好ましくなく、一方4より大きい場
合、ポリエステル重合反応に対する触媒活性が不十分に
なり好ましくない。チタン元素のモル数に対するリン元
素のモル数(P/Ti)は1.2〜3.5の範囲が好ま
しく、1.5〜3.0の範囲が更に好ましい。
【0031】また、チタン化合物成分(1)とリン化合
物成分(2)を反応させるチタン/リン化合物の触媒調
製は、エチレングリコール中で加熱反応されている必要
があるが、反応方法としては例えばリン化合物(2)か
らなる成分とエチレングリコールとを混合して、リン化
合物成分の一部又は全部をエチレングリコール中に溶解
し、この混合液にチタン化合物成分(1)を滴下し、反
応系を0℃〜200℃の温度に30分間以上、好ましく
は60〜150℃の温度に40〜90分間、加熱するこ
とによって行われる。この反応において、反応圧力につ
いては格別の制限はなく、通常常圧下で行われる。
【0032】ここで上記式(1)で表されるチタン化合
物としては例えば、チタンテトラブトキシド、チタンテ
トライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チ
タンテトラエトキシドなどのチタンテトラアルコキシド
や、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジ
チタネート等を挙げることができる。
【0033】また上記式(2)で表されるリン化合物と
しては上記式中のp=0の場合が好ましく挙げられる。
例えばモノアリールホスホン酸等が挙げられ、具体的に
はフェニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホス
ホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン
酸、ブチルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホ
スホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン
酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホ
スホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カ
ルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフ
ェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホス
ホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、
2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジ
カルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシ
フェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェ
ニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニル
ホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホス
ホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン
酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸等
が挙げられる。
【0034】またp=1の場合もより好ましく挙げられ
る。例えば、モノアルキルホスフェート等が挙げられ、
具体的にはモノメチルホスフェート、モノエチルホスフ
ェート、モノトリメチルホスフェート、モノ−n−ブチ
ルホスフェート、モノヘプチルホスフェート、モノヘキ
シルホスフェート、モノヘプチルホスフェート、モノノ
ニルホスフェート、モノデシルホスフェート、モノドデ
シルホスフェート、モノフェニルホスフェート、モノベ
ンジルホスフェート、モノ(4−ドデシル)フェニルホ
スフェート、モノ(4−メチルフェニル)ホスフェー
ト、モノ(4−エチルフェニル)ホスフェート、モノ
(4−プロピルフェニル)ホスフェート、モノ(4−ド
デシルフェニル)ホスフェート、モノトリルホスフェー
ト、モノキシリルホスフェート、モノビフェニルホスフ
ェート、モノナフチルホスフェート、モノアントリルホ
スフェート等が挙げられる。上記式(1)で表されるチ
タン化合物は予め下記式(5)
【0035】
【化10】
【0036】(上記式中、qは2〜4の整数を表わ
す。)の多価カルボン酸及び/又はその酸無水物と反応
させて使用する方法も好ましく用いられる。その場合、
チタン化合物と多価カルボン酸及び/又はその酸無水物
の反応モル比は(2:1)〜(2:5)の範囲が好まし
い。特に好ましい範囲は(1:1)〜(1:2)であ
る。
【0037】本発明の制電性繊維用ポリエステルに含ま
れるチタン元素量は全ジカルボン酸残基成分に対し2〜
40ミリモル%の範囲にあるようにすることが必要であ
る。チタン元素量が2ミリモル%未満の場合は重合反応
が遅くなり、40ミリモル%を超える場合は得られるポ
リエステルの色調が、不良になり、かつその耐熱性が低
下することがあり好ましくない。チタン元素量は5〜3
5ミリモル%の範囲が好ましく、10〜30ミリモル%
の範囲が更に好ましい。
【0038】一般的にエチレンテレフタレートを主たる
繰り返し単位とするポリエステルの製造方法としては、
テレフタル酸に代表される芳香族ジカルボン酸を用いる
製造方法とジメチルテレフタレートに代表される芳香族
ジカルボン酸のエステル形成性誘導体を原料として用い
る二つの方法が知られている。本発明におけるポリエス
テルは、その製造方法により特に制限はないが、好まし
くは原料物質としてジメチルテレフタレートが全ジカル
ボン酸成分の80mol%以上である、エステル交換反
応を経由する製造方法である。なお本発明においてエチ
レンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするとは全
繰り返し単位に対して90モル%以上がエチレンテレフ
タレートであることを表す。
【0039】なお、上記のジメチルテレフタレートに
は、本発明方法の効果が実質的に損なわれない範囲内に
おいて、具体的には全ジカルボン酸成分合計モル量を基
準として10モル%以下、好ましくは5モル%以下の範
囲で、それと共重合可能な他の二官能性カルボン酸エス
テル等が追加成分として含まれていてもよい。
【0040】好ましく用いられる共重合可能な追加成分
は、脂肪族および脂環式の二官能性ジカルボン酸類およ
びこれらのエステル形成性誘導体、ヒドロキシカルボン
酸およびこれらのエステル形成性誘導体、並びに脂肪
族、脂環式、芳香族のジオール化合物およびポリオキシ
アルキレングリコール等が挙げられる。例えば、アジピ
ン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸などが脂肪族及び脂環式の二官能性ジカルボン酸およ
びこれらのエステル形成性誘導体の具体例としてあげら
れる。またβ−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキ
シ安息香酸などがヒドロキシカルボン酸およびこれらの
エステル形成性誘導体の具体例としてあげられる。更に
構成炭素数が2個以上のアルキレングリコール、1,4
−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコー
ル、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ポリエチレ
ングリコール等が脂肪族、脂環式、芳香族のジオール化
合物およびポリオキシアルキレングリコールの具体例と
してあげられる。上記追加成分は一種を単独で用いても
よく、或は二種以上を併用してもよい。ただし共重合比
は上記の範囲内であることが必要である。本発明におい
て制電剤として用いる下記式(3)
【0041】
【化11】
【0042】(上記式中、Zは1〜6個の活性水素を有
する有機化合物残基を、R3 は炭素原子数6以上のアル
キレン基又は置換アルキレン基を、R4 は水素原子、炭
素原子数1〜40の1価の炭化水素基、炭素原子数2〜
40の1価のヒドロキシ炭化水素基または炭素原子数2
〜40の1価のアシル基を、kは1〜6の整数、sはs
≧70/kを満足する整数、tは1以上の整数を示
す。)で表されるポリオキシアルキレン系ポリエーテル
の具体例としては、分子量が4000以上のポリオキシ
エチレングリコール、分子量が2000以上のポリオキ
シプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレング
リコール、分子量が2000以上のエチレンオキシド、
プロピレンオキシド共重合体、分子量が4000以上の
トリメチロ−ルプロパンエチレンオキシド付加物、分子
量が3000以上のノニルフェニルエチレンオキシド付
加物、並びにこれらの末端水酸基に炭素数が6以上の置
換エチレンオキシドが付加した化合物が挙げられる。
【0043】該ポリオキシアルキレン系ポリエーテルの
ポリエステルへの添加量は、繊維重量を基準として、
0.2〜30重量%の範囲に設定する必要がある。該配
合量が0.2重量%より少ないと、溶融紡糸して得られ
た繊維の制電性を十分に得られない。一方、30重量%
より多いと最小制電性の向上効果は認められず、機械的
性質が損なわれることとなり好ましくない。
【0044】本発明の製造方法においては、制電性を向
上させるためには、さらに特定の有機スルホン酸金属塩
を配合させる必要がある。ここで使用する有機スルホン
酸金属塩は下記一般式(4) (R5SO3rM (4) (R5は炭素数3〜30のアルキル基(クレームに同
じ)を、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示
す。rはMがアルカリ金属の時は1、Mがアルカリ土類
金属の時は2を表す。)で表わされる。上記式(4)に
おいてR5としてアルキル基を用いる場合は、直鎖状で
あっても、また側鎖を有してもよい。なおポリエステル
との相溶性の観点から、Rがアルキル基、アルキルアリ
ール基以外の有機スルホン酸金属塩は好ましくない。
【0045】MはNa、K、Li等のアルカリ金属、M
g、Ca等のアルカリ土類金属等が挙げられ、なかでも
Na、Kが好ましい。なお、有機スルホン酸金属塩の使
用に際しでは、単一の化合物である必要はなく、各種の
アルキル基を有する有機スルホン酸金属塩の混合物であ
ってもよい。
【0046】このような有機スルホン酸金属塩としては
具体的には、ステアリルスルホン酸ナトリウム、オクチ
ルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウ
ム、ステアリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクチ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウムまたは炭素数の平均が14個である
アルキルスルホン酸ナトリウムの混合物等が好ましいも
のとして挙げられる。
【0047】該有機スルホン酸金属塩のポリエステルへ
の添加量は、繊維重量を基準として、0.05〜10重
量%の範囲にある必要がある。該配合量が0.05重量
%より少ないと、溶融紡糸して得られたポリエステル繊
維の制電性が充分でなく、10重量%より多いと混合操
作、紡糸等が困難となるので好ましくない。
【0048】このようなポリオキシアルキレン系ポリエ
ーテル、および有機スルホン酸金属塩の制電剤は紡糸工
程完了以前の任意の段階でポリエステルに添加配合され
る。例えば、ポリエステル製造の原料に予め添加して
も、ポリエステル重合の第1段重合反応時またはこれに
続く第2段の重合反応時に添加することも可能であり、
また重縮合反応後に得られるポリエステルと制電剤と
を、例えば溶融押出機を用いて溶融混合する方法、溶融
成形機の出口以前の段階でポリエステルに添加し混合す
る方法等を採用することも可能である。またポリオキシ
アルキレン系ポリエーテルと有機スルホン酸金属塩を別
の工程で添加しても構わない。また本発明で下記式
(5) X=N×W (5) (上記式においてN,Wは、それぞれポリエステル20
mgを2枚のプレパラートに挟み、10g荷重下285
℃で溶融して直径1cmの薄膜状となした時に観察され
る直径2.5μm以上の粒子の数(個/cm2)、およ
びポリエステル組成物中の制電剤の量(ポリエステル1
00重量部に対する重量部)を表す。)で表される該制
電剤の分散性Xが0.1〜1である。好ましくは0.2
以上0.5以下である。
【0049】上記式で定義される分散性Xが0.1未満
である場合には、制電剤が極度に微分散化されており、
かかる組成物から得られる繊維の制電性能は不十分とな
り好ましくない。一方、分散性が1.0を超える場合に
は、制電剤の分散が不十分となり、制電剤がチップ表面
や繊維表面に滲み出しやすくなる。このため、チップを
エクストルーダーで溶融紡糸する際には、チップの噛み
込み不良を引き起こし、また繊維に対しては制電性能の
低下を引き起こす。
【0050】制電剤を配合したポリエステルを紡糸する
に当たっては、特別な条件を採用する必要はなく、任意
の溶融紡糸条件を採用することが可能である。なお、本
発明の製造方法において、繊維の断面形態は、本発明の
目的とする効果を奏する限り任意に選択することがで
き、丸形、異形など、適宜選択すればよく、また断面の
大きさ(繊度)にも制限はない。
【0051】また、本発明の製造方法において得られる
ポリエステル繊維には必要に応じて触媒、着色防止剤、
耐熱剤、蛍光剤、難燃剤、染料、顔料、不活性微粒子等
が含まれていてもよい。
【0052】さらに、得られるポリエステルの色調を微
調整するために、反応系にポリエステルの製造段階にお
いて、アゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、ア
ントラキノン系、フタロシアニン系等の有機青色顔料及
び無機青色顔料の一種以上からなる整色剤を添加するこ
とができる。なお、本発明の製造方法においては、当然
のことながらポリエステルの溶融熱安定性を低下させる
コバルト等を含む無機青色顔料を整色剤としては用いる
必要はなく、したがって得られるポリエステルには実質
的にコバルトを含まないことが好ましい。
【0053】本発明方法によって得られるポリエステル
は、通常、ハンター型色差計より得られるL値が80.
0以上、b値が−2.0〜5.0の範囲にあるものであ
る。ポリエステルのL値が80.0未満であると、白色
度が低くなるため実用に供し得る高白色度成形物を得る
ことができないことがある。また、b値が−2.0未満
であると、このポリエステルの青味が増し、一方、b値
が5.0を越えると、得られるポリエステルの黄味が強
くなるため、実用上有用な成形物の製造に供することが
できないことがある。本発明方法により得られるポリエ
ステルのL値は好ましくは82以上、特に好ましくは8
3以上であり、b値の好ましい範囲は−1.0〜4.5
であり、特に好ましくは0.0〜4.0である。
【0054】なお、本発明方法により得られるポリエス
テルのL値及びb値は、下記の方法により測定される。
すなわち、ポリエステルの試料を290℃、真空下で1
0分間溶融し、これをアルミニウム板上において、厚さ
3.0±1.0mmのプレートに成形し、このプレート
をただちに氷水中で急冷し、このプレートを160℃、
1時間乾燥し、次に結晶化処理を施し、その後、プレー
トを色差計調整用の白色標準プレート上に置き、供試プ
レート表面の色調を、ミノルタ社製ハンター型色差計C
R−200を用いて測定した。
【0055】本発明のポリエステルは、実質的に、整色
用コバルト化合物に由来するコバルト原子を含まないも
のである。コバルト原子を含むポリエステルには、溶融
熱安定性が低く、分解が起こりやすくなるという欠点が
ある。なお、ここで“実質的に含まない”とは、整色剤
若しくは重縮合触媒としてコバルト化合物を使用せず、
したがって、得られるポリエステルが、上記コバルト化
合物に由来するコバルト原子を含まないことを意味す
る。したがって、本発明のポリエステルは、整色剤及び
触媒以外の目的をもって添加されたコバルト化合物に由
来するコバルト原子を含むことがあってもよい。
【0056】本発明におけるポリエステルの固有粘度は
適宜選択すればよいが、0.55〜1.0の範囲にある
ことが好ましい。該固有粘度がこの範囲内にあると、溶
融成形が容易でかつ成形物の強度も高いものとなる。該
固有粘度のさらに好ましい範囲は、0.60〜0.90
であり、特に好ましくは0.62〜0.80である。
【0057】
【実施例】本発明をさらに下記実施例により具体的に説
明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定され
るものではない。ただし上述の通り、固有粘度、色相、
チタン含有量、分散性、紡糸口金に発生する付着物の層
及び制電耐久性については、下記記載の方法により測定
された。
【0058】1)固有粘度:ポリエステルの固有粘度
は、オルソクロロフェノール溶液について、35℃にお
いて測定した粘度の値から求めた。
【0059】2)色調(L値及びb値):ポリエステル
試料を290℃、真空下で10分間溶融し、これをアル
ミニウム板上で厚さ3.0±1.0mmのプレートに成
形後ただちに氷水中で急冷し、該プレートを160℃、
1時間乾燥結晶化処理後、色差計調整用の白色標準プレ
ート上に置き、プレート表面のハンターL値及びb値
を、ミノルタ社製ハンター型色差計CR−200を用い
て測定した。L値は明度を示し、その数値が大きいほど
明度が高いことを示し、b値はその値が大きいほど黄着
色の度合いが大きいことを示す。
【0060】3)触媒のチタン含有量:触媒化合物中の
チタン濃度は、リガク社製蛍光X線測定装置3270を
用いて測定した。
【0061】4)紡糸口金に発生する付着物の層:ポリ
エステルをチップとなし、これを290℃で溶融し、孔
径0.15mmφ、孔数12個の紡糸口金から吐出し、
600m/分で2日間紡糸し、口金の吐出口外縁に発生
する付着物の層の高さを測定した。この付着物層の高さ
が大きいほど吐出されたポリエステルメルトのフィラメ
ント状流にベンディングが発生しやすく、このポリエス
テルの成形性は低くなる。すなわち、紡糸口金に発生す
る付着物層の高さは、当該ポリエステルの成形性の指標
である。
【0062】5)制電耐久性:得られたポリエステル繊
維を用いて作製した編物を、アニオン性洗剤(花王石鹸
(株)製「ザブ」)の0.3%水溶液を用いて家庭用電
気洗濯機にて40℃、30分間洗濯した後、編物を乾燥
させた。
【0063】乾燥後の試料を水中に30分間以上浸漬さ
せた後、家庭用電気洗濯機の脱水機で5分間脱水した。
上記洗濯前後のサンプルを25℃、相対湿度65%で一
昼夜放置した後の比抵抗値を測定した。
【0064】6)制電剤の分散性X 得られたポリエステル20mgを2枚のプレパラートに
挟み、10g荷重下285℃で溶融して直径1cmの薄
膜状となした時に観察される直径2.5μm以上の粒子
の数(個/cm2)、およびポリエステル組成物中の制
電剤の量(ポリエステル100重量部に対する重量部)
を表す。
【0065】[実施例1] 1)触媒(A)の調製:エチレングリコール2.5重量
部に無水トリメリット酸0.8重量部を溶解し、この溶
液にチタンテトラブトキシド0.7重量部(無水トリメ
リット酸のモル量を基準として0.5mol%)を滴下
し、この反応系を空気中、常圧下、80℃に60分間保
持してチタンテトラブトキシドと無水トリメリット酸と
を反応させ、反応生成物を熟成させた。その後反応系を
常温に冷却し、これにアセトン15重量部を加え、析出
物をNo.5ろ紙で濾過し、採取し、これを100℃の
温度で2時間乾燥した。得られた反応生成物(チタン化
合物(2))のチタン含有量は11.2重量%であっ
た。
【0066】次に、エチレングリコール131重量部中
にフェニルホスホン酸3.6重量部を120℃に10分
間加熱して溶解した。このエチレングリコール溶液13
4.5重量部に、さらにエチレングリコール40重量部
を加えた後、これに上記チタン化合物(2)5.0重量
部を溶解させた。得られた反応系を120℃で60分間
撹拌し、チタン化合物(2)とフェニルホスホン酸とを
反応させ、反応生成物を含む触媒(A)の白色スラリー
を得た。この触媒(A)スラリーのチタン含量は0.3
重量%であった。
【0067】2)ポリエステルの製造:テレフタル酸1
66重量部とエチレングリコール75重量部とを240
℃においてエステル化反応させ、次いで得られた反応生
成物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、重縮合触媒
として上記触媒(A)スラリー0.95重量部(テレフ
タル酸のモル量を基準として、チタン原子のモル量換算
で20×10-3モル%)及び整色剤としてテラゾールブ
ルー0.0002重量部を加えた。
【0068】温度285℃、常圧で30分間加熱し、温
度280℃、大気圧下で30分間反応させ、次いで4.
0kPa(30mmHg)の減圧下で15分間反応させ
た後、一旦大気圧下に戻し、下記化学式(6)
【0069】
【化12】
【0070】(但し、jは18〜28の整数で平均2
1、Pは平均値として100、mは平均値として5であ
る。)で表されるポリオキシエチレン系ポリエーテルを
8部、炭素数8〜20で平均炭素数が14であるアルキ
ルスルホン酸ナトリウムの混合物を10部添加した後、
系内を徐々に減圧し、撹拌下80分間反応させた。最終
内温は280℃、最終内圧は42.7Pa(0.32m
mHg)であり、得られたポリエステルの固有粘度は
0.650であった。
【0071】反応終了後ポリエステルを常法に従いチッ
プ化し、乾燥した。なおポリエステル中のポリオキシエ
チレン系ポリエーテルとアルキルスルホン酸ナトリウム
の添加量はそれぞれ2.5重量%、3重量%であり、分
散性Xは0.83であった。次にこの乾操したチップを
用い、常法にしたがって333dtex/36filの
原糸を作り、4.0倍に延伸して83.25dtex/
36filのマルチフィラメントを得た。このフィラメ
ントからメリヤス編地を得た。結果を表1、表2に示
す。
【0072】[実施例2] 1)ポリエステルの製造:テレフタル酸ジメチル194
重量部、エチレングリコール124重量部及び酢酸カル
シウム0.12重量部を精留塔付き反応槽に投入し、2
20℃においてエステル交換反応を行い、生成した理論
量のメタノールを留出除去した後、この反応混合物にリ
ン酸0.09重量部を加えて第1段階の反応を終了し
た。次いで前記反応混合物を精留塔付き重縮合用フラス
コへ入れ、この反応混合物に、重縮合触媒として、実施
例1と同じ方法により得られた触媒(A)スラリー3.
2重量部(テレフタル酸ジメチルのモル量を基準とし
て、チタン化合物(2)の含有量はチタン原子モル量換
算で20×10-3モル%)、及び整色剤としてテラゾー
ルブルー0.0002重量部を加えた。
【0073】この反応系を温度280℃、大気圧下で3
0分間反応させ、次いで4.0kPa(30mmHg)
の減圧下で15分間反応させた後、一旦大気圧下に戻
し、上記式(6)で表されるポリオキシエチレン系ポリ
エーテルを8部、炭素数8〜20で平均炭素数が14で
あるアルキルスルホン酸ソーダの混合物を10部添加し
た後、系内を徐々に減圧し、撹拌下80分間反応させ
た。最終内温は280℃、最終内圧は42.7Pa
(0.32mmHg)であり、得られたポリエステルの
固有粘度は0.651であった。なお、反応終了後ポリ
エステルを常法に従いチップ化し、乾燥した。なおポリ
エステル中のポリオキシエチレン系ポリエーテルとアル
キルスルホン酸ナトリウムの添加量はそれぞれ2.5重
量%、3重量%であり、分散性Xは0.74であった。
次にこの乾操したチップを用い、常法にしたがって33
3dtex/36filの原糸を作り、4.0倍に延伸
して83.25dtex/36filのマルチフィラメ
ントを得た。結果を表1、表2に示す。
【0074】[実施例3] 1)ポリエステルの製造:実施例2において、ポリオキ
シアルキレングリコール系ポリエーテルを分子量400
0のポリオキシエチレングリコール8部、有機スルホン
酸金属塩を炭素数8〜20で平均炭素数が12であるア
ルキルスルホン酸ソーダ9部に変更する以外は同様にし
て重縮合反応を行いポリエステル及び繊維を得た。結果
を表1、表2に示す。なおポリエステル中のポリオキシ
エチレン系ポリエーテルとアルキルスルホン酸ナトリウ
ムの添加量はそれぞれ2.5重量%、3重量%であっ
た。
【0075】[実施例4〜6] 1)ポリエステルの製造:実施例1において、リン化合
物を表1示す化合物及び値に変更する以外は同様にして
重縮合反応を行いポリエステル及び繊維を得た。結果を
表1、表2に示す。なおこれらの実施例においてポリエ
ステル中のポリオキシエチレン系ポリエーテルとアルキ
ルスルホン酸ナトリウムの添加量はそれぞれ2.5重量
%、3重量%であった。
【0076】[比較例1]実施例2のポリエステルの製
造法と同様にしてポリエステルを製造した。ただし、重
縮合触媒として、チタンテトラブトキシドのみを用い、
この触媒の添加量を、テレフタル酸ジメチルのモル量を
基準として、チタン原子モル量換算で20×10-3%と
なるように、触媒スラリーの濃度及び添加量を調整し
た。結果を表1、表2に示す。
【0077】[比較例2] 1)触媒(B)の調製:無水トリメリット酸0.80重
量部をエタノールに溶解し、この溶液にチタンテトラブ
トキシド0.64重量部を滴下し、得られた反応系を空
気中、常圧の下、80℃の温度に60分間保持して、チ
タンテトラブトキシドとトリメリット酸無水物とを反応
させ、熟成した。反応熟成後、反応系を常温に冷却し、
これにアセトン15重量部を加え、生成した沈殿を濾取
した。このようにして得られた触媒(B)のチタン含量
は11.3重量%であった。
【0078】2)ポリエステルの製造:実施例2のポリ
エステルの製造法と同様にしてポリエステルを製造し
た。ただし、重縮合触媒として、上記触媒(B)を用
い、この触媒(B)の添加量が、テレフタル酸ジメチル
のモル量を基準としてチタン原子モル量換算で20×1
-3モル%となるようスラリーの触媒濃度及び添加量を
調整した。結果を表1、表2に示す。
【0079】[比較例3]実施例2のポリエステルの製
造法と同様にして、ポリエステルを製造した。ただし、
重縮合触媒として、三酸化アンチモンを用い、この触媒
の添加量を、テレフタル酸ジメチルのモル量を基準とし
て、アンチモン原子モル量換算で25×10-3%となる
ようスラリーの濃度及び添加量を調整した。結果を表
1、表2に示す。
【0080】[比較例4〜6]比較例1〜3において、ポ
リオキシアルキレングリコール系ポリエーテルを分子量
4000のポリオキシエチレングリコール8部、有機ス
ルホン酸金属塩を炭素数8〜20で平均炭素数が12で
あるアルキルスルホン酸ソーダ9部に変更する以外は同
様にして重縮合反応を行いポリエステル及び繊維を得
た。結果を表1、表2に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【発明の効果】本発明の制電性繊維用ポリエステルによ
れば、良好な色調(b値)を有し、かつ優れた制電性を
呈するポリエステルを提供することができ、さらに本発
明方法により得られたポリエステルは、紡糸口金を通し
て長時間連続的に紡糸しても口金付着物の発生量が非常
に少なく、成形性に優れているという優れた性能を有す
るものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D01F 6/92 D01F 6/92 301L 301P 308 308C //(C08L 67/02 C08L 71:02 71:02) Fターム(参考) 4J002 CF061 CF111 CF151 CH052 EV256 FD102 GK01 4J029 AA03 AB01 AC01 AC02 AD01 AE02 BA03 CB06A HA01 HB01 HB02 JB131 JC373 JC561 JC571 JC581 JC591 JC751 JE183 JF321 KA02 KB04 KB05 KB24 KC02 KE02 KE03 4L035 BB31 EE01 EE13 GG02 GG03 JJ23 JJ25 JJ29

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンテレフタレートを主たる繰り返
    し単位とするポリエステルからなり、 A)ポリエステル重合時の触媒として、下記式(1) 【化1】 (上記式中、R11,R12,R13およびR14は同一または
    異なる炭素数2〜10個のアルキル基を表し、mは1〜
    3の整数を表す。)で表されるチタン化合物と下記式
    (2) 【化2】 (上記式中、R2は炭素数2〜18のアルキル基、また
    は炭素数6〜20のアリール基であり、nは1または
    2、pは0または1である。)で表されるリン化合物を
    チタン元素のモル数に対するリン元素のモル数(P/T
    i)が1〜4となる範囲の組成でエチレングリコール中
    で加熱反応せしめたチタン/リン反応物を用い、且つ該
    ポリエステルに含まれるチタン元素量が全ジカルボン酸
    残基成分に対し2〜40ミリモル%の範囲にあり、 B)該ポリエステルの紡糸工程完了以前の任意の段階
    で、制電剤として、下記式(3) 【化3】 (上記式中、Zは1〜6個の活性水素を有する有機化合
    物残基を、R3 は炭素原子数6以上のアルキレン基又
    は置換アルキレン基を、R4 は水素原子、炭素原子数
    1〜40の1価の炭化水素基、炭素原子数2〜40の1
    価のヒドロキシ炭化水素基または炭素原子数2〜40の
    1価のアシル基を、kは1〜6の整数、sはs≧70/
    kを満足する整数、tは1以上の整数を表す。)で表さ
    れるポリオキシアルキレン系ポリエーテルを、該ポリエ
    ステルの重量を基準として、0.2〜30重量%、およ
    び下記式(4) (R5SO3rM (4) (上記式中、R5は炭素数3〜30のアルキル基、また
    はアルキル基で置換されても良い炭素数6〜30のアリ
    ール基を、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を
    示す。rはMがアルカリ金属の時は1、Mがアルカリ土
    類金属の時は2を表す。)で表される有機スルホン酸金
    属塩を、該ポリエステルの重量を基準として、0.05
    〜10%重量となるように添加されており、C)下記式
    (5) X=N×W (5) (上記式においてN,Wは、それぞれポリエステル20
    mgを2枚のプレパラートに挟み、10g荷重下285
    ℃で溶融して直径1cmの薄膜状となした時に観察され
    る直径2.5μm以上の粒子の数(個/cm2)、およ
    びポリエステル組成物中の制電剤の量(ポリエステル1
    00重量部に対する重量部)を表す。)で表される該制
    電剤の分散性Xが0.1〜1であり、D)並びに固有粘
    度が0.55以上である制電性繊維用ポリエステル。
  2. 【請求項2】 上記式(2)のリン化合物においてp=
    0である請求項1記載の制電性繊維用ポリエステル。
  3. 【請求項3】 上記式(2)のリン化合物がモノアリー
    ルホスホン酸である請求項2記載の制電性繊維用ポリエ
    ステル。
  4. 【請求項4】 上記式(2)のリン化合物においてp=
    1である請求項1記載の制電性繊維用ポリエステル。
  5. 【請求項5】 上記式(2)のリン化合物がモノアルキ
    ルホスフェートである請求項4記載の制電性繊維用ポリ
    エステル。
  6. 【請求項6】 上記式(1)のチタン化合物が、チタン
    テトラアルコキシド類、オクタアルキルトリチタネート
    類、及びヘキサアルキルジチタネート類から選ばれるポ
    リエステル製造用触媒を用いた請求項1〜5のいずれか
    1つに記載の制電性繊維用ポリエステル。
  7. 【請求項7】 上記式(1)のチタン化合物を予め下記
    式(5) 【化4】 (上記式中、qは2〜4の整数を表わす。)の多価カル
    ボン酸及び/又はその酸無水物と反応モル比(2:1)
    〜(2:5)の範囲の組成で反応せしめた後、上記式
    (2)のリン化合物と反応させることを特徴とする請求
    項1〜6のいずれか記載の制電性繊維用ポリエステル。
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