JP2003129340A - ポリエステル繊維及びその製造方法 - Google Patents
ポリエステル繊維及びその製造方法Info
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Abstract
連通した微細孔を有し、優れた吸水性、吸湿性を呈する
うえ、さらに紡糸口金を通して長時間連続的に紡糸して
も口金付着物の発生量が非常に少なく、成形性に優れて
いるポリエステル繊維及びその製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 特定のチタン化合物及びリン化合物を含
むポリエステル製造用触媒を用い、該ポリエステルの紡
糸工程が完了する以前の任意の段階で、特定の有機スル
ホン酸金属塩を添加配合し、得られたポリエステル組成
物を繊維化し、次いでアルカリ性化合物の水溶液によっ
て、得られた該繊維中の有機スルホン酸金属塩の一部を
除去することによって、該繊維の横断面に微細孔を形成
させる。
Description
製造方法に関し、さらに詳しくは、良好な色調(カラー
b値)を有し、優れた吸水性、吸湿性を呈し、さらに紡
糸口金を通して長時間連続的に紡糸しても口金付着物の
発生量が非常に少なく、成形性に優れているポリエステ
ル繊維及びその製造方法に関する。
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレ
ンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレー
トは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているた
め、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されて
いる。
常テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル
化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのようなテレフ
タル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールと
をエステル交換反応させるか又はテレフタル酸とエチレ
ンオキサイドとを反応さて、テレフタル酸のエチレング
リコールエステル及び/又はその低重合体を生成させ、
次いでこの反応生成物を重合触媒の存在下で減圧加熱し
て所定の重合度になるまで重縮合反応させることによっ
て製造されている。また、ポリエチレンナフタレート、
ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレン
テレフタレートも上記と同様の方法によって製造されて
いる。
種類によって、反応速度及び得られるポリエステルの品
質が大きく左右されることはよく知られている。ポリエ
チレンテレフタレートの重縮合触媒としては、アンチモ
ン化合物が、優れた重縮合触媒性能を有し、かつ、色調
の良好なポリエステルが得られるなどの理由から最も広
く使用されている。
触媒として使用した場合、ポリエステルを長時間にわた
って連続的に溶融紡糸すると、口金孔周辺に異物(以
下、単に口金異物と称することがある。)が付着堆積
し、溶融ポリマー流れの曲がり現象(ベンディング)が
発生し、これが原因となって紡糸、延伸工程において毛
羽及び/又は断糸などを発生するという成形性の問題が
ある。
て、チタンテトラブトキシドのようなチタン化合物を用
いることも提案されているが、このようなチタン化合物
を使用した場合、上記のような、口金異物堆積に起因す
る成形性の問題は解決できるが、得られたポリエステル
自身が黄色く着色されており、また、溶融熱安定性も不
良であるという新たな問題が発生する。
化合物をポリエステルに添加して黄味を抑えることが一
般的に行われている。確かにコバルト化合物を添加する
ことによってポリエステルの色調(カラーb値)は改善
することができるが、コバルト化合物を添加することに
よってポリエステルの溶融熱安定性が低下し、ポリマー
の分解も起こりやすくなるという問題がある。
8−2229号公報には水酸化チタンを、また特公昭4
7−26597号公報にはα−チタン酸を、それぞれポ
リエステル製造用触媒として使用することが開示されて
いる。しかしながら、前者の方法では水酸化チタンの粉
末化が容易でなく、一方、後者の方法ではα−チタン酸
が変質し易いため、その保存、取り扱いが容易でなく、
したがっていずれも工業的に採用するには適当ではな
く、さらに、良好な色調(カラーb値)のポリマーを得
ることも困難である。
チタン化合物とトリメリット酸とを反応させて得られた
生成物を、また特開昭58−38722号公報にはチタ
ン化合物と亜リン酸エステルとを反応させて得られた生
成物を、それぞれポリエステル製造用触媒として使用す
ることが開示されている。確かに、この方法によれば、
ポリエステルの溶融熱安定性はある程度向上しているも
のの、得られるポリマーの色調が十分なものではなく、
したがってポリマー色調のさらなる改善が望まれてい
る。
おいては、チタン化合物とリン化合物との錯体をポリエ
ステル製造用触媒とすることが提案されており、この方
法によれば溶融熱安定性もある程度は向上するものの、
得られるポリマーの色調は十分なものではない。
の触媒自身がポリエステルポリマー中に異物として残留
することが多く、この問題についても解決されることが
望まれていた。
ため、繊維とした場合、得られる繊維自体は吸水性、吸
湿性に劣る欠点がある。
る方法として、製糸以前の段階で、ポリエステルに、ポ
リアルキレンエーテル又はポリアルキレンエーテルと有
機スルホン酸金属塩とを配合することが提案されてい
る。
リエステル繊維は、親水性が充分でなく、しかもその親
水性は洗濯等によって低下する。そのうえ得られる繊維
の物性、特に耐光性、耐熱性が低下するという欠点もあ
る。
カリ性水溶液中にて加熱して繊維表面に繊維軸方向のシ
ワ状の微細孔を形成し、吸湿性、吸水性を改良する方法
も提案されている。しかし、この方法によっても、得ら
れる繊維の吸湿性、吸水性は充分でなく、さらに他の物
性、特に強度などが著しく低下するという欠点を有して
いた。
0−43858号公報では、ポリエステルの製糸以前の
段階で、ポリアルキレンエーテルを使用することなく、
特定の有機スルホン酸金属塩を配合し、紡糸後に該有機
スルホン酸金属塩の一部を除去することによってその断
面に均一に微細孔を有する新規なポリエステル繊維を得
ることができることが報告されている。
は解消される。しかしながら、このようなポリエチレン
テレフタレートを用いた繊維は、その化学的な改質によ
って繊維自身が柔らかくなっており、前記口金異物によ
る影響を受けやすい。
ン化合物を使用しないことで解決されるが、アンチモン
化合物を使用しない方法では、糸の色調(カラーb値)
が悪化してしまうため実際には使用に供することができ
ない。したがって触媒としてアンチモン化合物を使用す
ることなく、かつ色相に優れた吸湿性、吸水性に優れ、
さらに紡糸口金を通して長時間連続的に紡糸しても口金
付着物の発生量が非常に少なく、成形性に優れているポ
リエステル繊維が求められていた。
な色調(b値)を有し、かつ均一に且つ連通した微細孔
を有し、優れた吸水性、吸湿性を呈するうえ、さらに紡
糸口金を通して長時間連続的に紡糸しても口金付着物の
発生量が非常に少なく、成形性に優れているポリエステ
ル繊維及びその製造方法を提供することにある。
術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至
った。
フタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルか
らなる繊維を製造するに際し、該ポリエステルに可溶な
チタン化合物が全ジカルボン酸成分を基準として、チタ
ン金属元素として2〜15ミリモル%含有されており、
かつ下記一般式(1)及び(2)を満足するポリエステ
ルポリマーに、該ポリエステルの紡糸工程が完了する以
前の任意の段階で、下記一般式(I)で表される有機ス
ルホン酸金属塩を、該ポリエステルの重量を基準とし
て、0.01〜40%となるように添加配合し、得られ
たポリエステル組成物を繊維化し、次いでアルカリ性化
合物の水溶液によって、得られた該繊維中の有機スルホ
ン酸金属塩の少なくとも一部を除去することによって、
該繊維の横断面に均一に散在し、繊維軸方向に配列し、
且つその少なくとも一部が連通している微細孔を該繊維
に形成させることを特徴とする、ポリエステル繊維の製
造方法によって達成される。
エステル繊維の製造方法によって得られた繊維によって
達成される。
に説明する。
溶なチタン化合物を全ジカルボン酸成分に対し、チタン
金属元素として2〜15ミリモル%含有し、下記一般式
(1)及び(2)を満足する必要がある。
しては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホスホネート
化合物及びそれらの誘導体等があげられ、これらは単独
で使用してもよく、また二種以上併用してもよい。これ
らのリン化合物中、特に下記一般式(II)で表される
ホスホネート化合物が好ましい。
ホン酸のジメチル−、ジエチル−、ジプロピル−及びジ
ブチルエステルが挙げられ、具体的にはカルボメトキシ
メタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、
カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボプトキシメ
タンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル
酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カル
ボプロトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボブトキ
シ−ホスホノ−フェニル酢酸等が挙げられる。
は、通常安定剤として使用されリン化合物に比較し、チ
タン化合物との反応が比較的緩やかに進行する為、チタ
ン化合物の触媒活性が、重縮合反応中における持続時間
も長く、結果としてポリエステルへの添加量が少なくで
き、また、本特許のように触媒に対し多量安定剤を添加
する場合でも、ポリエステルの熱安定性を損ないにくい
特性を有している為である。
ル交換反応またはエステル化反応が実質的に終了した後
であればいつでもよく、例えば、重縮合反応を開始する
以前の大気圧下でも、重縮合反応を開始した後の減圧下
でも、重縮合反応の末期でもまた、重縮合反応の終了
後、すなわちポリマーを得た後に添加してもよい。
は、触媒起因の異物低減の点で、ポリマー中に可溶なチ
タン化合物を使用することが必要である。チタン化合物
としては、特に限定されず、ポリエステルの重縮合触媒
として一般的なチタン化合物、例えば、酢酸チタンやテ
トラ−n−ブトキシチタンなどが挙げられるが、特に望
ましいのは、下記一般式(III)で表される化合物、
又は一般式(III)で表される化合物と下記一般式
(IV)で表される芳香族多価カルボン酸若しくはその
無水物とを反応させた生成物である。
としては、R3、R3’、R3’’、R3’’’がそれ
ぞれ同一若しくは異なって、アルキル基及び/又はフェ
ニル基であれば特に限定されないが、テトライソプロポ
キシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラ−n−ブ
トキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラフェノキ
シチタン、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアル
キルジチタネートなどが好ましく用いられる。
(IV)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水
物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット
酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物が好ましく用い
られる。
又はその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族
多価カルボン酸又はその無水物の一部を溶解し、これに
チタン化合物を滴下して、0〜200℃の温度で少なく
とも30分間反応させれば良い。
溶なチタン化合物を全ジカルボン酸成分に対し、チタン
金属元素として2〜15ミリモル%含有する必要があ
る。該チタン金属元素が2ミリモル%未満ではポリエス
テルの生産性が低下し、目標とする分子量のポリエステ
ルが得られない。
を越える場合は熱安定性が逆に低下し、繊維製造時の分
子量低下が大きくなり品質の優れたポリエステル繊維が
得られない。チタン金属元素量は2.5〜12ミリモル
%の範囲が好ましく、3〜10ミリモル%の範囲がさら
に好ましい。なお、ここで言う“ポリマー中に可溶なチ
タン化合物”とは、二酸化チタン粒子に含まれるチタン
は含まないことを示し、“チタン金属元素量”とは、エ
ステル交換反応による第1段階反応を行う場合は、エス
テル交換反応触媒として使用されたチタン化合物と重縮
合反応触媒として使用されたチタン化合物との合計量を
示す。
合物を触媒とし、かつリン化合物を安定剤として製造さ
れ、そして下記式(1)、(2)のいずれも満足する必
要がある。
く黄味を帯び好ましくない。また、(P/Ti)が15
を越えるとポリエステルの重合反応性が大幅に低下し、
目的のポリエステルを得ることができない。本発明で用
いるポリエステルにおいて、(P/Ti)の適正範囲は
通常の金属触媒よりも狭いことが特徴的であるが、適正
範囲にある場合、本発明のように従来にない効果を得る
ことができる。一方、(Ti+P)が10に満たない場
合は、製糸プロセスにおける生産性が大きく低下し、満
足な性能が得られなくなる。また、(Ti+P)が10
0を越える場合は、触媒に起因する異物が少量ではある
が発生し好ましくない。
(1)式中の(P/Ti)は3〜12の範囲、(2)式
中の(Ti+P)は15〜85の範囲であり、さらに好
ましくは、(1)式中の(P/Ti)は4〜10の範
囲、(2)式中の(Ti+P)は20〜70の範囲であ
る。
繰り返し単位とするポリエステルの原料としてテレフタ
ル酸に代表される芳香族ジカルボン酸を用いる製造方法
とジメチルテレフタレートに代表される芳香族ジカルボ
ン酸のエステル形成性誘導体を原料として用いる二つの
方法が知られている。
方法により特に制限はないが、好ましくはエチレンテレ
フタレート単位の出発原料のうち80mol%以上をジ
メチルテレフタレートが占める、エステル交換反応を経
由する製造方法である。ジメチルテレフタレートを原料
物質に使用する製造方法は、テレフタル酸を原料とする
製造方法に比較し、重縮合反応中に安定剤として添加し
たリン化合物の飛散が少ないという利点がある。
は、本発明方法の効果が実質的に損なわれない範囲内に
おいて、具体的には酸成分合計モル量を基準として10
モル%以下、好ましくは5モル%以下の範囲で、それと
共重合可能な他の二官能性カルボン酸エステルが追加成
分として含まれていてもよい。
は、酸成分として、例えば、アジピン酸、セバシン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族及び
脂環式の二官能性ジカルボン酸、並びにヒドロキシカル
ボン酸、例えば、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p
−オキシ安息香酸などの一種以上とグリコール成分とし
て、例えば、構成炭素数が2個以上のアルキレングリコ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペン
チルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS
のような脂肪族、脂環式、芳香族のジオール化合物及び
ポリオキシアルキレングリコール、の一種以上とのエス
テル又はその無水物から選ぶことができる。上記追加成
分は一種を単独で用いてもよく、あるいは二種以上を併
用してもよい。ただし共重合は上記の範囲内であること
が必要である。
とする製造方法では、チタン化合物の添加量を低減でき
る、チタン化合物の一部及び/又は全量をエステル交換
反応開始前に添加し、エステル交換反応触媒と重縮合反
応触媒の二つ触媒を兼用させる製造方法が好ましく、更
にエステル交換反応が、0.05〜0.20MPaの加
圧下にて実施する方法がより好ましい。
pa以下では、チタン化合物の触媒作用による反応の促
進が充分では無く、一方0.20MPa以上では、副生
成物として発生するジエチレングリコールのポリマー中
の含有量が著しく増加し、ポリマーの熱安定性等の特性
が劣ってしまう。
の有機スルホン酸金属塩を配合し、繊維化した後、該ス
ルホン酸金属塩の少なくとも一部を溶出させる必要があ
る。
の有機スルホン酸金属塩を配合し、繊維化した後、該ス
ルホン酸金属塩の少なくとも一部を溶出させる必要があ
るが、ここで使用する有機スルホン酸金属塩は下記一般
式(I)で表される。
ル基を用いる場合は、直鎖状であっても、また側鎖を有
してもよい。なおポリエステルとの相溶性の観点から、
Rがアルキル基、アルキルアリール基である有機スルホ
ン酸金属塩が好ましい。
g、Ca等のアルカリ土類金属等が挙げられ、なかでも
Na、Kが好ましい。なお、有機スルホン酸金属塩の使
用に際しては、単一の化合物である必要はなく、各種の
アルキル基を有する有機スルホン酸金属塩の混合物であ
ってもよい。
具体的には、ステアリルスルホン酸ソーダ、オクチルス
ルホン酸ソーダ、ドデシルスルホン酸ソーダ、ステアリ
ルベンゼンスルホン酸ソーダ、オクチルベンゼンスルホ
ン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ又は構
成炭素数の平均が14個であるアルキルスルホン酸ソー
ダの混合物等が好ましいものとして挙げられる。
の配合量は、繊維重量を基準として、0.01〜40%
の範囲にある必要がある。該配合量が0.01重量%よ
り少ないと、後述するように有機スルホン酸金属金属塩
を溶出除去後に得られるポリエステル繊維の吸水性、吸
湿性が充分でなく、40重量%より多いと混合操作、紡
糸等が困難となるので好ましくない。
程完了以前の任意の段階でポリエステルに添加配合され
る。例えば、ポリエステル製造の原料に予め添加して
も、第1段反応時又はこれに続く第2段の重縮合反応時
に添加することも可能であり、また重縮合反応後に得ら
れるポリマーと有機スルホン酸金属塩とを、例えば溶融
押出機を用いて溶融混合する方法、溶融成形機の出口以
前の段階でポリマーに添加し混合する方法等を採用する
ことも可能である。有機スルホン酸金属塩を配合したポ
リエステルを紡糸するに当たっては、特別な条件を採用
する必要はなく、任意の条件を採用することが可能であ
る。
有機スルホン酸金属塩を除去するには、種々の方法が採
用されるが、特にポリエステル繊維をアルカリ性化合物
の水溶液に浸漬処理するのが好ましく、こうすることに
よって容易に有機スルホン酸金属塩を溶出除去すること
ができる。アルカリ性化合物としては水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイド
ロオキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が用い
られる。なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが
好ましい.このようなアルカリ性化合物の水溶液の濃度
は、アルカリ性化合物の種類、処理方法等によって異な
るが、通常0.01〜40重量%の範囲で行われ、特に
0.1〜30%の範囲が好ましい。処理温度は常温〜1
00℃程度の範囲が好ましく、処理時間は通常1分間〜
4時間の範囲で行われる。
る繊維、又はこの繊維からなる布帛を前述したアルカリ
性化合物の水溶液に浸漬処理すればよく、有機スルホン
酸金属塩を溶出させる割合は、配合した有機スルホン酸
金属塩の量及び要求される吸水性能によって異なるが、
好ましくは配合量を基準として少なくとも10%を溶出
させることが好ましい。
は微細孔が存在する。該微細孔は、繊維横断面全体に均
一に散在している。繊維の表面近辺に微細孔が集中し、
断面全体に均一に散在していない場合にはポリエステル
繊維の吸水性、親水性が不充分であり、さらに他の物性
も低下する。また該微細孔は、微細孔同士が連通してい
ることにより、繊維全体として、表面と内部とが微細孔
を介して通じている、いわば“多孔質海綿状態”を形成
している。このような繊維形態となっていることで、初
めて充分な吸水性、親水性を発揮する繊維となるもので
あることは明らかである。
らず、糸条としての形状を維持し、微細孔は繊維軸方向
に配列されている。これに対し従来のいわゆる微細孔を
有する繊維は、繊維表面近辺にのみに微細孔を有してお
り、繊維横断面の全体にわたって均一に存在するもので
はない。しかも、従来の繊維はその表面がフィブリル化
し、強度が著しく低下したものである。
繊維には、断面全体に均一に微細孔が存在するが、該微
細孔はその直径が0.001〜5μmの範囲にあること
が好ましい。該直径が上記の範囲にある場合には吸水性
の効果と繊維強度とをさらに高い水準で兼備することが
可能となる。特に該微細孔の大きさはその直径が0.0
1〜1μmの範囲であることが好ましい。ここで、“微
細孔の直径”とは、該微細孔の長径と短径との平均径の
ことであり、電子顕微鏡写真により容易に求められる。
きに、微細孔の総断面積が占める割合は、0.01〜5
0%を占めることが好ましい。上記の範囲にある場合に
は、吸水性の効果と繊維強度とをさらに高い水準で兼備
することができる。該面積割合は、特に0.1〜30%
の範囲であることが好ましい。
断面形態は、本発明の目的とする効果を奏する限り任意
に選択することができ、丸形、異形など、適宜選択すれ
ばよく、また断面の大きさ(繊度)にも制限はない。
ポリエステル繊維には必要に応じて触媒、着色防止剤、
耐熱剤、蛍光剤、難燃剤、染料、顔料、不活性微粒子等
が含まれていてもよい。
微調整するために、反応系にポリエステルの製造段階に
おいて、アゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、
アントラキノン系、フタロシアニン系等の有機青色顔料
及び無機青色顔料の一種以上からなる整色剤を添加する
ことができる。なお、本発明の製造方法においては、当
然のことながらポリエステルの溶融熱安定性を低下させ
るコバルト等を含む無機青色顔料を整色剤としては用い
る必要はなく、したがって得られるポリエステルには実
質的にコバルトを含まないことが好ましい。
は、通常、ハンター型色差計より得られるL値が80.
0以上、b値が−2.0〜5.0の範囲にあるものであ
る。ポリエステルのL値が80.0未満であると、白色
度が低くなるため実用に供し得る高白色度成形物を得る
ことができないことがある。また、b値が−2.0未満
であると、このポリエステルの黄味は少ないが、青味が
増し、一方、b値が5.0を越えると、得られるポリエ
ステルの黄味が強くなるため、実用上有用な成形物の製
造に供することができないことがある。本発明方法によ
り得られるポリエステルのL値は好ましくは82以上、
特に好ましくは83以上であり、b値の好ましい範囲は
−1.0〜4.5であり、特に好ましくは0.0〜4.
0である。
用コバルト化合物に由来するコバルト原子を含まないも
のである。コバルト原子を含むポリエステルには、溶融
熱安定性が低く、分解が起こりやすくなるという欠点が
ある。なお、ここで“実質的に含まない”とは、整色剤
若しくは重縮合触媒としてコバルト化合物を使用せず、
したがって、得られるポリエステルが、上記コバルト化
合物に由来するコバルト原子を含まないことを意味す
る。したがって、本発明のポリエステルは、整色剤及び
触媒以外の目的をもって添加されたコバルト化合物に由
来するコバルト原子を含むことがあってもよい。
適宜選択すればよいが、0.55〜1.0の範囲にある
ことが好ましい。該固有粘度がこの範囲内にあると、溶
融成形が容易でかつ成形物の強度も高いものとなる。該
固有粘度のさらに好ましい範囲は、0.60〜0.90
であり、特に好ましくは0.62〜0.80である。
明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定され
るものではない。なお、固有粘度、色相、チタン含有
量、吸水率及び紡糸口金に発生する付着物の層について
は、下記記載の方法により測定された。 (1)固有粘度:ポリエステルポリマーの固有粘度は、
オルソクロロフェノール溶液について、35℃において
測定した粘度の値から求めた。 (2)色調(L値及びb値):ポリマー試料を290
℃、真空下で10分間溶融し、これをアルミニウム板上
で厚さ3.0±1.0mmのプレートに成形後ただちに
氷水中で急冷し、該プレートを160℃、1時間乾燥結
晶化処理後、色差計調整用の白色標準プレート上に置
き、プレート表面のハンターL値及びb値を、ミノルタ
社製ハンター型色差計CR−200を用いて測定した。
L値は明度を示し、その数値が大きいほど明度が高いこ
とを示し、b値はその値が大きいほど黄着色の度合いが
大きいことを示す。 (3)触媒のチタン含有量:触媒化合物中のチタン濃度
は、リガク社製蛍光X線測定装置3270を用いて測定
した。 (4)吸水率測定法:試料をアニオン性洗剤(花王石鹸
(株)製「ザブ」)の0.3%水溶液を用いて家庭用電
気洗濯機にて40℃、30分間洗濯した後、試料を乾燥
させた。
せた後、家庭用電気洗濯機の脱水機で5分間脱水する。
水に浸漬させる前の試料重量と脱水処理後の試料重量と
から、下記式を用いて得た。
リエステルをチップとなし、これを290℃で溶融し、
孔径0.15mmφ、孔数12個の紡糸口金から吐出
し、600m/分で2日間紡糸し、口金の吐出口外縁に
発生する付着物の層の高さを測定した。この付着物層の
高さが大きいほど吐出されたポリエステルメルトのフィ
ラメント状流にベンディングが発生しやすく、このポリ
エステルの成形性は低くなる。すなわち、紡糸口金に発
生する付着物層の高さは、当該ポリエステルの成形性の
指標である。
のエチレングリコール溶液(0.2%)にテトラブトキ
シチタンを無水トリメリット酸に対して1/2モル添加
し、空気中常圧下で80℃に保持して60分間反応せし
め、その後、常温に冷却し、10倍量のアセトンによっ
て生成触媒を再結晶化させ、析出物をろ紙によって濾過
し、100℃で2時間乾燥させて、目的の化合物を得
た。
重量部、エチレングリコール124重量部及びテトラ−
n−ブチルチタネート0.017重量部を加圧反応が可
能なステンレス製容器に投入し、0.07MPaの加圧
下、220℃においてエステル交換反応を行った後、こ
の反応混合物にトリエチルホスホノアセテート0.08
部を加えて第1段階の反応を終了した。次いで前記反応
混合物を精留塔付き重縮合用フラスコへ入れ、この反応
混合物に、整色剤としてテラゾールブルー0.0002
重量部を加えた。
0分間反応させ、次いで4kPaの減圧下で15分間反
応させた後、一旦大気圧下に戻し、炭素数8〜20で平
均炭素数が14であるアルキルスルホン酸ソーダの混合
物を10部添加した後、系内を徐々に減圧し、撹拌下8
0分間反応させた。最終内温は280℃、最終内圧は4
2Paであり、得られたポリマーの固有粘度は0.64
3であった。
し、乾燥した。次にこの乾操したチップを用い、常法に
したがって333dtex/36filの原糸を作り、
4.0倍に延伸して83.25dtex/36filの
マルチフィラメントを得た。
常法により精練、乾燥後0.5%のカセイソーダ水溶液
で沸騰温度にて180分間処理し、メリヤス編地を得
た。結果を表1に示す。
合物を参考例の方法にて合成したトリメリット酸チタン
0.031部に変更したこと以外は同様の操作を行って
重縮合反応を行いポリエステル及び繊維を得た。結果を
表1に示す。
において、チタン化合物及びリン化合物を表1に示す化
合物及び値に変更したこと以外は、同様の操作を行っ
た。結果を表1に示す。
重量部とエチレングリコール124重量部の混合物に、
テトラ−n−ブチルチタネート0.017重量部を加圧
反応が可能なステンレス製容器に仕込み、0.07MP
aの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエ
ステル交換反応させた後、トリエチルホスホノアセテー
ト0.08部を添加し、エステル交換反応を終了させ
た。
0.101重量部を添加し、混合物を重合容器に移し、
290℃まで昇温し、26Pa以下の高真空にて重縮合
反応を行って、固有粘度0.641、ジエチレングリコ
ール量が1.5重量%であるポリエステルを得た。得ら
れたポリエステルは実施例1と同様に繊維化した。結果
を表1に示す。
方法によれば、良好な色調(b値)を有し、かつ均一に
且つ連通した微細孔を有し、優れた吸水性、吸湿性を呈
するポリエステル繊維及びその製造方法を提供すること
ができ、さらに本発明方法により得られたポリエステル
は、紡糸口金を通して長時間連続的に紡糸しても口金付
着物の発生量が非常に少なく、成形性に優れているとい
う優れた性能を有するものである。
Claims (9)
- 【請求項1】 エチレンテレフタレートを主たる繰り返
し単位とするポリエステルからなる繊維を製造するに際
し、該ポリエステルに可溶なチタン化合物が全ジカルボ
ン酸成分を基準として、チタン金属元素として2〜15
ミリモル%含有されており、かつ下記一般式(1)及び
(2)を満足するポリエステルポリマーに、該ポリエス
テルの紡糸工程が完了する以前の任意の段階で、下記一
般式(I)で表される有機スルホン酸金属塩を、該ポリ
エステルの重量を基準として、0.01〜40%となる
ように添加配合し、得られたポリエステル組成物を繊維
化し、次いでアルカリ性化合物の水溶液によって、得ら
れた該繊維中の有機スルホン酸金属塩の少なくとも一部
を除去することによって、該繊維の横断面に均一に散在
し、繊維軸方向に配列し、且つその少なくとも一部が連
通している微細孔を該繊維に形成させることを特徴とす
る、ポリエステル繊維の製造方法。 【数1】 【化1】 - 【請求項2】 リン化合物として、下記一般式(II)
で表されるホスホネート化合物を添加する、請求項1記
載の製造方法。 【化2】 - 【請求項3】 ポリエステルに可溶なチタン化合物が、
下記一般式(III)で表される化合物、又は下記一般
式(III)で表される化合物と下記一般式(IV)で
表される芳香族多価カルボン酸若しくはその無水物とを
反応させた生成物である、請求項1記載の製造方法。 【化3】 【化4】 - 【請求項4】 ポリエステルに可溶なチタン化合物を、
全添加量の一部及び/又はその全量をエステル交換反応
開始前に添加し、エステル交換反応触媒と重縮合反応触
媒とに兼用する、請求項3記載の製造方法。 - 【請求項5】 エチレンテレフタレート単位の出発原料
物質のうち、ジメチルテレフタレートが80mol%以
上を占める、請求項1記載の製造方法。 - 【請求項6】 エステル交換反応を、0.05〜0.2
0MPaの加圧下にて実施する、請求項1記載の製造方
法。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか記載の方法によ
って得られた、表面に微細孔を有するポリエステル繊
維。 - 【請求項8】 微細孔の直径が0.001〜5μmであ
る、請求項7記載の繊維。 - 【請求項9】 任意の繊維横断面積を基準として、微細
孔の総断面積が0.01〜50%を占める、請求項7記
載の繊維。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001321895A JP2003129340A (ja) | 2001-10-19 | 2001-10-19 | ポリエステル繊維及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001321895A JP2003129340A (ja) | 2001-10-19 | 2001-10-19 | ポリエステル繊維及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003129340A true JP2003129340A (ja) | 2003-05-08 |
Family
ID=19139034
Family Applications (1)
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JP2001321895A Pending JP2003129340A (ja) | 2001-10-19 | 2001-10-19 | ポリエステル繊維及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003129340A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009144294A (ja) * | 2007-12-17 | 2009-07-02 | Teijin Fibers Ltd | 常圧カチオン可染性ポリエステル繊維の製造方法 |
JP2009144293A (ja) * | 2007-12-17 | 2009-07-02 | Teijin Fibers Ltd | カチオン可染性ポリエステル繊維の製造方法 |
JP2015532366A (ja) * | 2012-10-09 | 2015-11-09 | 東レ株式会社 | 吸湿性ポリエステル繊維及びその製造方法 |
-
2001
- 2001-10-19 JP JP2001321895A patent/JP2003129340A/ja active Pending
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