JP3802790B2 - 高収縮性ポリエステル繊維 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステル繊維及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、色調に優れ、紡糸口金を通して長時間連続的に紡糸しても口金付着物の発生量が非常に少なく、成形性に優れているという優れた性能を有する、高い収縮性、収縮後の柔軟性及び風合いを具備したポリエステル繊維及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレートは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているため、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されている。しかしながらポリエステルは収縮性又は収縮後の柔軟性を要する衣料用繊維として良好とはいえない。また柔軟な風合いといった感性的な要求に耐える素材としての提供が困難である欠点を有している。従来、このような欠点を補うため、イソフタル酸化合物を共重合して改質ポリエステルを製造する方法が公知である(特開平2−139409号公報、特開平3−90616号公報、特開2001−181929号公報等参照)。
【0003】
このような高収縮性ポリエステルは、通常テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのようなテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか又はテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応さて、テレフタル酸のエチレングリコールエステル及び/又はその低重合体を生成させ、次いでこの反応生成物を重合触媒の存在下で減圧加熱して所定の重合度になるまで重縮合反応させて製造されている。
【0004】
これらの重縮合反応段階で使用する触媒の種類によって、反応速度および得られるポリエステルの品質が大きく左右されることはよく知られているが、高収縮性ポリエステルは、既知のポリエステルと同様の重縮合触媒を使用して重縮合反応を行うことができ、例えばアンチモン化合物が、優れた重縮合触媒性能を有し、かつ、色調の良好なポリエステルが得られるなどの理由から最も広く使用されている。
【0005】
しかしながら、アンチモン化合物を重縮合触媒として使用した場合、ポリエステルを長時間にわたって連続的に溶融紡糸すると、還元されたアンチモン金属が異物となって紡糸濾過部の圧力(パック圧)上昇が発生する、口金孔周辺に異物(以下、単に口金異物と称することがある。)が付着堆積し、溶融ポリマー流れの曲がり現象(ベンディング)が発生し、これが原因となって紡糸、延伸工程において毛羽及び/又は断糸などを発生する、といった成形性の問題があり、生産性を著しく低下させる原因となっていた。
【0006】
該アンチモン化合物以外の重縮合触媒として、チタンテトラブトキシドのようなチタン化合物を用いることも提案されているが、このようなチタン化合物を使用した場合、上記のような、口金異物堆積に起因する成形性の問題は解決できるが、得られたポリエステル自身が黄色く着色されており、また、溶融熱安定性も不良であるという新たな問題が発生する。
【0007】
上記着色問題を解決するために、コバルト化合物をポリエステルに添加して黄味を抑えることが一般的に行われている。確かにコバルト化合物を添加することによってポリエステルの色調(b値)は改善することができるが、コバルト化合物を添加することによってポリエステルの溶融熱安定性が低下し、ポリマーの分解も起こりやすくなるという問題がある。
【0008】
また、他のチタン化合物として、特公昭48−2229号公報には水酸化チタンを、また特公昭47−26597号公報にはα−チタン酸を、それぞれポリエステル製造用触媒として使用することが開示されている。しかしながら、前者の方法では水酸化チタンの粉末化が容易でなく、一方、後者の方法ではα−チタン酸が変質し易いため、その保存、取り扱いが容易でなく、したがっていずれも工業的に採用するには適当ではなく、さらに、良好な色調(b値)のポリマーを得ることも困難である。
【0009】
また、特公昭59−46258号公報にはチタン化合物とトリメリット酸とを反応させて得られた生成物を、また特開昭58−38722号公報にはチタン化合物と亜リン酸エステルとを反応させて得られた生成物を、それぞれポリエステル製造用触媒として使用することが開示されている。確かに、この方法によれば、ポリエステルの溶融熱安定性はある程度向上しているものの、得られるポリマーの色調が十分なものではなく、したがってポリマー色調のさらなる改善が望まれている。
【0010】
口金異物を抑制するには、前記のように触媒としてアンチモンを使用しないことが有効な手段であるが、アンチモンを使用しない方法では、糸のカラーが低下してしまうため、従来は使用に供することができなかった。
【0011】
したがって触媒としてアンチモンを使用せず、かつ色相に優れた高収縮性ポリエステル繊維が求められていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、色調に優れ、長時間連続的に紡糸しても、パック圧上昇及び口金付着物の発生量が非常に少なく、成形性に優れ、高い生産性を具備した色相の改善された高収縮性ポリエステル繊維を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記従来技術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち本発明の目的は、
ポリエステルを構成する単位のうち少なくとも80モル%をエチレンテレフタレート単位が占め、0.5〜20モル%をエチレンイソフタレート単位が占めるポリエステル中に、該ポリエステルに可溶なチタン化合物と該ポリエステルに可溶なリン化合物が含有されており、該ポリエステルに可溶なリン化合物として下記一般式(I)で表されるホスホネート化合物を含有し、該ポリエステルに可溶なチタン化合物を、全ジカルボン酸成分を基準として、チタン金属元素として2〜1ミリモル%含有し、触媒としてアンチモンを含有せず下記式(1)及び(2)を満足するポリエステルを溶融紡糸して得られるポリエステル繊維によって達成することができる。
【0015】
【化7】
Figure 0003802790
【数3】
Figure 0003802790
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳しく説明する。
【0017】
本発明におけるポリエステルは、ポリエステル繰り返し単位のうち少なくとも80モル%以上がエチレンテレフタレートであり、0.5モルから20モル%がイソフタレートであるポリエステルである。エチレンテレフタレート単位が80モル%未満であると、得られる繊維の強伸度等の基本物性が十分に保持できないため好ましくない。一方、エチレンイソフタレートが0.5モル%未満であると収縮性能が発現しないため好ましくない。エチレンイソフタレートが20%を越えると繊維の強伸度等の基本物性が保持できず、また熱安定性にも劣り、製糸工程において分解性異物によりパック圧上昇が著しくなるので好ましくない。
【0018】
本発明におけるポリエステルは、ポリエステルを構成するエチレンテレフタレート及びエチレンイソフタレート成分以外に第3成分が共重合されていてもよく、第3成分は、ジカルボン酸成分又はグリコール成分のいずれでもよい。第3成分として好ましく用いられるジカルボン酸成分としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸等のような芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等のような脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のような脂環式ジカルボン酸等が例示でき、これらは単独又は二種以上を使用することができる。
【0019】
本発明において、用いられるポリエステルに可溶なリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホスホネート化合物及びそれらの誘導体等があげられ、これらは単独で使用してもよく、また二種以上併用してもよい。これらのリン化合物中、特に下記一般式(I)で表されるホスホネート化合物を含有することが必要である
【0020】
【化8】
Figure 0003802790
【0021】
上述のホスホネート化合物としては、ホスホン酸のジメチル−、ジエチル−、ジプロピル−及びジブチルエステルが挙げられ、具体的にはカルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボプトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボプロトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸等が挙げられる。
【0022】
上記のホスホネート化合物の好ましい理由は、通常安定剤として使用されリン化合物に比較し、チタン化合物との反応が比較的緩やかに進行する為、チタン化合物の触媒活性が、重縮合反応中で持続時間が長く、結果としてポリエステルへの添加量が少なくでき、また、本特許のように触媒に対し多量安定剤を添加する場合でも、ポリエステルの熱安定性を損ないにくい特性を有している為である。
【0023】
これら、ポリエステルに可溶なリン化合物の添加時期は、エステル交換反応又はエステル化反応が実質的に終了した後であればいつでもよく、例えば、重縮合反応を開始する以前の大気圧下でも、重縮合反応を開始した後の減圧下でも、重縮合反応の末期でもまた、重縮合反応の終了後、すなわちポリエステルを得た後に添加してもよい。
【0024】
本発明において、用いられるチタン化合物は、触媒起因の異物低減の点で、ポリエステルに可溶なチタン化合物を使用することが必要である。ポリエステルに可溶なチタン化合物としては、特に限定されず、ポリエステルの重縮合触媒として一般的なチタン化合物、例えば、酢酸チタンやテトラ−n−ブトキシチタンなどが挙げられるが、特に望ましいのは、下記一般式(II)で表される化合物、又は一般式(II)で表される化合物と下記一般式(III)で表される芳香族多価カルボン若しくはその無水物とを反応させた生成物である。
【0025】
【化9】
Figure 0003802790
【0026】
【化10】
Figure 0003802790
【0027】
一般式(II)で表されるポリエステルに可溶なチタン化合物としては、 ’、 ’’、 ’’’がそれぞれ同一若しくは異なって、アルキル基及び/又はフェニル基であれば特に限定されないが、テトライソプロポキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラフェノキシチタン、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネートなどが好ましく用いられる。
【0028】
また、該化合物として反応させる一般式(III)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物が好ましく用いられる。
【0029】
上記ポリエステルに可溶なチタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸又はその無水物の一部を溶解し、これにポリエステルに可溶なチタン化合物を滴下して、0〜200℃の温度で少なくとも30分間反応させれば良い。
【0030】
本発明のポリエステルにはポリエステルに可溶なチタン化合物を全ジカルボン酸成分に対し、チタン金属元素として2〜1ミリモル%含有する必要がある。該チタン金属元素が2ミリモル%未満ではポリエステルの生産性が低下し、目標とする分子量のポリエステルが得られない。
【0031】
また、該チタン金属元素が1ミリモル%を越える場合は熱安定性が逆に低下し、繊維製造時の分子量低下が大きくなり品質の優れたポリエステル繊維が得られない。チタン金属元素量は2.5〜12ミリモル%の範囲が好ましく、3〜10ミリモル%の範囲が更に好ましい。なお、ここで言う”ポリエステルに可溶なチタン化合物”とは、二酸化チタン粒子に含まれるチタンは含まないことを示し、”チタン金属元素量”とは、エステル交換反応による第1段階反応を行う場合は、エステル交換反応触媒として使用されたポリエステルに可溶なチタン化合物と重縮合反応触媒として使用されたポリエステルに可溶なチタン化合物との合計量を示す。
【0032】
本発明におけるポリエステルは、ポリエステルに可溶なチタン化合物を触媒とし、かつポリエステルに可溶なリン化合物を安定剤として製造され、そして下記式(1)、(2)のいずれも満足する必要がある。
【0033】
【数4】
Figure 0003802790
【0034】
(P/Ti)が2未満の場合、色相が著しく黄味を帯び好ましくない。また、(P/Ti)が15を越えるとポリエステルの重合反応性が大幅に低下し、目的のポリエステルを得ることができない。本発明で用いるポリエステルにおいて、(P/Ti)の適正範囲は通常の金属触媒よりも狭いことが特徴的であるが、適正範囲にある場合、本発明のように従来にない効果を得ることができる。一方、(Ti+P)が10に満たない場合は、製糸プロセスにおける生産性が大きく低下し、満足な性能が得られなくなる。また、(Ti+P)が100を越える場合は、触媒に起因する異物が少量ではあるが発生し好ましくない。
【0035】
式(1)、(2)の範囲は好ましくは(1)式中の(P/Ti)は3〜12の範囲、(2)式中の(Ti+P)は15〜85の範囲であり、さらに好ましくは、(1)式中の(P/Ti)は4〜10の範囲、(2)式中の(Ti+P)は20〜70の範囲である。
【0036】
一般的にエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルの原料としてテレフタル酸に代表される芳香族ジカルボン酸を用いる製造方法とジメチルテレフタレートに代表される芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体を原料として用いる二つの方法が知られている。
【0037】
本発明におけるポリエステルは、その製造方法により特に制限はないが、好ましくはエチレンテレフタレート単位の出発原料のうち、ジメチルテレフタレートが80mol%以上を占める、エステル交換反応を経由する製造方法である。ジメチルテレフタレートを原料物質に使用する製造方法は、テレフタル酸を原料とする製造方法に比較し、重縮合反応中に安定剤として添加したリン化合物の飛散が少ないという利点がある。
【0038】
また、ジメチルテレフタレートを原料物質とする製造方法では、ポリエステルに可溶なチタン化合物の一部及び/又は全量をエステル交換反応開始前に添加し、エステル交換反応触媒と重縮合反応触媒の二つ触媒を兼用させる、ポリエステルに可溶なチタン化合物の添加量を低減できる製造方法が好ましく、更にエステル交換反応が、0.05〜0.20MPaの加圧下にて実施する方法がより好ましい。
【0039】
エステル交換反応時の圧力が、0.05Ma以下では、ポリエステルに可溶なチタン化合物の触媒作用による反応の促進が充分は無く、一方0.20MPa以上では、副生成物として発生するジエチレングリコールのポリエステル中の含有量が著しく増加し、ポリエステルの熱安定性等の特性が劣ってしまう。
【0040】
本発明におけるポリエステルの固有粘度(ο−クロロフェノール、35℃)は、0.40〜0.80の範囲にあることが好ましく、特に0.45〜0.75の範囲が好ましい。固有粘度が0.40未満であると、繊維の強度が不足するため好ましくない。他方、固有粘度が0.80を越えると、原料ポリマーの固有粘度を過剰に引き上げる必要があり不経済である。
【0041】
本発明におけるポリエステルは、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤等を含んでいてもよく、特に艶消剤として酸化チタンなどは好ましく添加される。
【0042】
本発明のポリエステル繊維を製造する時の製造方法としては特に限定はなく、従来公知の溶融紡糸方法が用いられるが、例えばポリエステルを270℃〜300℃の範囲で溶融紡糸して製造することが好ましく、溶融紡糸の速度は400〜5000m/分で紡糸することが好ましい。紡糸速度がこの範囲にあると、得られる繊維の強度も十分なものであると共に、安定して巻き取りを行うこともできる。また延伸はポリエステル繊維を巻き取ってから、あるいは一旦巻き取ることなく連続的に延伸処理することによって、延伸糸を得ることができる。さらに本発明のポリエステル繊維は風合を高める為に、アルカリ減量処理も好ましく実施される。
【0043】
本発明のポリエステル繊維を製造する際において、紡糸時に使用する口金の形状について制限は無く、円形、異形、中実、中空等のいずれも採用することができる。
【0044】
本発明におけるポリエステル繊維は、従来使用される染料で染色することができ、鮮明かつ色調にすぐれたポリエステル繊維を得ることができる。
【0045】
【実施例】
本発明をさらに下記実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定されるものではない。なお固有粘度、色相、チタン含有量及び紡糸口金に発生する付着物の層については、下記記載の方法により測定した。
(1)固有粘度:
ポリエステルポリマーの固有粘度は、オルソクロロフェノール溶液について、35℃において測定した粘度の値から求めた。
(2)色調(L値及びb値):
ポリマー試料を290℃、真空下で10分間溶融し、これをアルミニウム板上で厚さ3.0±1.0mmのプレートに成形後ただちに氷水中で急冷し、該プレートを160℃、1時間乾燥結晶化処理後、色差計調整用の白色標準プレート上に置き、プレート表面のハンターL値及びb値を、ミノルタ社製ハンター型色差計CR−200を用いて測定した。L値は明度を示し、その数値が大きいほど明度が高いことを示し、b値はその値が大きいほど黄着色の度合いが大きいことを示す。
(3)触媒のチタン含有量:
触媒化合物中のチタン濃度は、リガク社製蛍光X線測定装置3270を用いて測定した。
(4)紡糸圧上昇評価:
紡糸口金直上に2400メッシュの径25mmの金網を装着した紡糸機に290℃でポリエステルチップを30g/分で7日間放流し、1日当たりの濾過昇圧として求めた。
(5)紡糸口金に発生する付着物の層:
ポリエステルをチップとなし、これを290℃で溶融し、孔径0.15mmφ、孔数12個の紡糸口金から吐出し、600m/分で2日間紡糸し、口金の吐出口外縁に発生する付着物の層の高さを測定した。この付着物層の高さが大きいほど吐出されたポリエステルメルトのフィラメント状流にベンディングが発生しやすく、このポリエステルの成形性は低くなる。すなわち、紡糸口金に発生する付着物層の高さは、当該ポリエステルの成形性の指標である。
【0046】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル90部、イソフタル酸ジチメチル10部及びエチレングリコール60部の混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート0.009部を加圧反応が可能なステンレス製容器に仕込み、0.07MPaの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、トリエチルホスホノアセテート0.04部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
【0047】
その後反応生成物を重合容器に移し、290℃まで昇温し、65Pa以下の高真空にて重縮合反応を行って、固有粘度0.64、ジエチレングリコール量が3.5%であるポリエステルを得た。
【0048】
得られたポリエステルを常法に従いチップ化した。160℃で6hr乾燥乾操後、290℃にて紡糸し、60℃の加熱ローラーと160℃のプレートヒーターとを有する延伸処理機に供し、延伸倍率4.3倍で延伸処理し、94.35dtex/24フィラメントの延伸糸を得た。結果を表1に示す。
【0049】
[実施例2]
実施例1において、ポリエステルに可溶なチタン化合物を、下記参考例の方法にて合成したトリメリット酸チタン0.016部に変更したこと以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0050】
[参考例
トリメリット酸チタンの合成方法:
無水トリメリット酸のエチレングリコール溶液(0.2%)にテトラブトキシチタンを無水トリメリット酸に対して1/2モル添加し、空気中常圧下で80℃に保持して60分間反応せしめ、その後、常温に冷却し、10倍量のアセトンによって生成触媒を再結晶化させ、析出物をろ紙によって濾過し、100℃で2時間乾燥させて、目的の化合物を得た。
【0051】
[実施例3〜6、参考例2、並びに比較例1〜6]
ポリエステルに可溶なチタン化合物及びポリエステルに可溶なリン化合物を表1示す化合物及び値に変更すること以外は、実施例1と同様にして重縮合反応を行いポリエステル及びポリエステル繊維を得た。結果を表1に示す。
【0052】
[比較例7]
テレフタル酸ジメチル90部、イソフタル酸10部及びエチレングリコール60部の混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート0.009部を加圧反応が可能なステンレス製容器に仕込み、0.07MPaの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、トリエチルホスホノアセテート0.04部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
【0053】
その後、反応生成物に三酸化二アンチモン0.053部添加し、混合物を重合容器に移し、290℃まで昇温し、65Pa以下の高真空にて重縮合反応を行って、固有粘度0.64、ジエチレングリコール量が3.5%であるポリエステルを得た。
【0054】
得られたポリエステルは実施例1と同様に繊維化し評価した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
Figure 0003802790
【0056】
表1から明らかなように、ポリマー可溶性チタン化合物をチタン金属として2〜15モル%の範囲で含有し、(P/Ti)や(Ti+P)が適正範囲にある本発明のポリエステル繊維は良好な性能が得られたが、ポリマー可溶性チタン化合物の添加量がチタン金属元素として本発明の範囲を外れる場合(比較例1〜7)は、色相が不良であった。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、チタン化合物を触媒として使用しつつ従来技術の欠点であった色相の悪化を解消し、ポリエステルが持つ、優れた特性を保持しながら、色相が優れた高収縮性ポリエステル繊維を提供することができる。

Claims (6)

  1. ポリエステルを構成する単位のうち少なくとも80モル%をエチレンテレフタレート単位が占め、0.5〜20モル%をエチレンイソフタレート単位が占めるポリエステル中に、該ポリエステルに可溶なチタン化合物と該ポリエステルに可溶なリン化合物が含有されており、該ポリエステルに可溶なリン化合物として下記一般式(I)で表されるホスホネート化合物を含有し、該ポリエステルに可溶なチタン化合物を、全ジカルボン酸成分を基準として、チタン金属元素として2〜1ミリモル%含有し、触媒としてアンチモンを含有せず下記式(1)及び(2)を満足するポリエステルを溶融紡糸して得られるポリエステル繊維。
    Figure 0003802790
    Figure 0003802790
  2. 該ポリエステルに可溶なチタン化合物が、下記一般式(II)で表される化合物、又は下記一般式(II)で表される化合物と下記一般式(III)で表される芳香族多価カルボン酸若しくはその無水物とを反応させた生成物である、請求項1記載のポリエステル繊維。
    Figure 0003802790
    Figure 0003802790
  3. エチレンテレフタレート単位の出発原料物質のうち、ジメチルテレフタレートが80mol%以上を占める、請求項1記載のポリエステル繊維。
  4. 芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体とアルキレングリコールとを触媒の存在下にエステル交換反応、次いで重縮合反応させて得られるエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、エチレンイソフタレートを含むポリエステルを繊維とするポリエステル繊維の製造方法であって、
    該触媒として、該ポリエステルに可溶なチタン化合物を、全添加量の一部及び/又はその全量をエステル交換反応開始前に反応系内に添加し、エステル交換反応触媒と重縮合反応触媒とに兼用して、ポリエステルを構成する全ジカルボン酸成分を基準として、チタン金属元素換算で2〜1ミリモル%含有し、該ポリエステルに可溶なリン化合物をエステル交換反応が実質的に終了した後で添加し、該ポリエステルに可溶なリン化合物として下記一般式(I)で表されるホスホネート化合物を含有し、触媒としてアンチモンを含有せずかつ下記数式(1)及び(2)を同時に満足するポリエステルを得、これを溶融紡糸することを特徴とする、ポリエステル繊維の製造方法。
    Figure 0003802790
    Figure 0003802790
  5. ポリエステルに可溶なチタン化合物が、下記一般式(II)で表される化合物、又は下記一般式(II)で表される化合物と下記一般式(III)で表される芳香族多価カルボン酸若しくはその無水物とを反応させた生成物である、請求項4記載の製造方法。
    Figure 0003802790
    Figure 0003802790
  6. エステル交換反応を、0.05〜0.20MPaの加圧下にて実施する、請求項4記載のポリエステル繊維の製造方法。
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