JP4229863B2 - ポリエステル組成物の製造方法、ポリエステル組成物及びポリエステル繊維 - Google Patents
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すなわち本発明は、芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体とアルキレングリコールとを主たる原料として、芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の全量を基準として30〜120ミリモル%のアルカリ土類金属化合物を用いて反応させた後、リン酸、ホスホン酸系化合物及びこれらのエステル形成性誘導体からなる群より少なくとも1種選ばれるリン化合物を下記数式(1)を満足するように添加して、次いで芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の全量を基準として2〜50ミリモル%のチタン化合物を添加して、該芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体と該アルキレングリコールとのジエステルを重縮合反応せしめて得られるポリエステルに、さらに整色剤としてアントラキノン系染料であって、青色系整色剤と紫色系整色剤を重量比90:10〜40:60の範囲で又は青色系整色剤と赤色系若しくは橙色系整色剤を重量比98:2〜80:20範囲で併用し、濃度20mg/L、光路長1cmでのクロロホルム溶液において、380〜780nm領域の吸収スペクトルでの最大吸収波長が540〜600nmの範囲にあり、且つ最大吸収波長での吸光度に対する各波長での吸光度の割合が下記式(2)〜(5)のすべてを満たす整色剤をポリエステルの全重量に対して0.1〜10ppmとなるように、ポリエステルを製造する任意の過程で添加するポリエステル組成物の製造方法によって達成される。
本発明のポリエステル組成物の製造方法は、前記の通りエステル交換反応を終了させた後、重縮合触媒として芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の全量を基準として2〜50ミリモル%のチタン化合物を添加する。チタン化合物の添加により系内の芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールとの反応生成物を重縮合反応せしめる。ここでいうチタン化合物とは酸化チタンのような無機のチタン化合物は含まれず、通常触媒として用いられている有機のチタン化合物のことを指す。また芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールとの反応生成物は完全にそのジエステルとなっていることが好ましい。
ポリエステル組成物チップを100℃、60分間でオルトクロロフェノールに溶解した希薄溶液を、35℃でウベローデ粘度計を用いて測定した値から求めた。
ヒドラジンヒドラート(抱水ヒドラジン)を用いてポリエステル組成物チップを分解し、この分解生成物中のジエチレングリコールの含有量をガスクロマトグラフィ−(ヒューレットパッカード社製「HP6850」)を用いて測定した。
・チップの場合:
ポリマーチップを285℃、真空下で10分間溶融し、これをアルミニウム板上で厚さ3.0±1.0mmのプレートに成形後ただちに氷水中で急冷し、該プレートを140℃、2時間乾燥結晶化処理を行った。その後、色差計調整用の白色標準プレート上に置き、プレート表面のハンターL*、a*及びb*を、ミノルタ社製ハンター型色差計(CR−200型)を用いて測定した。L*は明度を示し、その数値が大きいほど明度が高いことを示し、a*はその値が大きいほど赤着色の度合いが大きいことを示し、b*はその値が大きいほど黄着色の度合いが大きいことを示す。また他の詳細な操作はJIS Z−8729に準じて行った。
・繊維の場合:
繊維を常法により筒編とした後、編地を4枚重ね合わせミノルタ株式会社製ハンター型色差計(CR−200型)を用いて測定した。
ポリマー中のアンチモン元素量、ゲルマニウム元素量及びコバルト元素量は粒状のポリマーサンプルをアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平坦面を有する試験成形体を作成し、蛍光X線装置(理学電機工業株式会社製3270E型)を用いて求めた。
リガク社製TAS−200熱天秤を用いてJIS K7120に従い、窒素雰囲気下中昇温速度10℃/分で測定した。
ポリエステル組成物をチップとなし、これを290℃で溶融し、孔径0.15mmφ、孔数12個の紡糸口金から吐出し、600m/分で2日間紡糸し、口金の吐出口外縁に発生する付着物の層の高さを測定した。この付着物層の高さが大きいほど吐出されたポリエステル組成物の溶融物のフィラメント状流にベンディングが発生しやすく、このポリエステルの成形性は低くなる。すなわち、紡糸口金に発生する付着物層の高さは、当該ポリエステルの成形性の指標である。
無水トリメリット酸のエチレングリコール溶液(0.2重量%)にテトラブトキシチタンを無水トリメリット酸に対して1/2モル添加し、空気中常圧下で80℃に保持して60分間反応せしめた。その後常温に冷却し、10倍量のアセトンによって生成触媒を再結晶化させた。析出物をろ紙によって濾過し、100℃で2時間乾燥せしめ、目的の化合物を得た。これをチタン触媒Aとする。
表1に示す整色剤を室温で濃度20mg/Lのクロロホルム溶液とし、光路長1cmの石英セルに充填し、対照セルにはクロロホルムのみを充填して、日立分光光度計U−3010を用いて、380〜780nmの可視光領域での可視光吸収スペクトルを測定した。整色剤2種を混合する場合は合計で濃度20mg/Lとなるようにした。最大吸収波長とその波長における吸光度に対する、400、500、600、700nmの各波長での吸光度の割合を測定した。更に粉末状の整色剤の熱重量減少開始温度を測定した。結果を表1に示す。尚実施例、比較例でこれら整色剤をポリエステル製造工程で添加する場合は、原料として用いるグリコール溶液に対し、濃度0.1重量%となるように100℃の温度で溶解または分散させて調製した。
・ポリエステル組成物チップの製造
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール70重量部との混合物に、酢酸カルシウム一水和物0.063重量部を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から240℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。その後、56重量%のリン酸水溶液0.045重量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。その後反応生成物に表1に示す整色剤Aの0.1重量%エチレングリコール溶液0.4部、テトラブトキシチタン0.0175重量部及び酸化チタンの20重量%エチレングリコールスラリー1.5重量部を添加して、撹拌装置、窒素導入口、減圧口及び蒸留装置を備えた反応容器に移し、290℃まで昇温し、30Pa以下の高真空で重縮合反応を行って、固有粘度0.65、ジエチレングリコール含有量が0.7重量%であるポリエステル組成物を得た。さらに常法に従いチップ化した。結果を表2に示す。
チップを160℃、4時間乾燥後、紡糸温度285℃、巻き取り速度400m/分で333dtex/36filの原糸を作り、4.0倍に延伸して83.25dtex/36filの延伸糸を得た。得られた延伸糸は更に常法により筒編みとした。結果を表3に示す。
実施例1において、チタン触媒としてテトラブトキシチタンの代わりに、参考例1で調製したチタン触媒Aを0.0315重量部添加したこと以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2、3に示す。
エステル交換反応触媒として用いるアルカリ土類金属化合物、リン化合物、チタン触媒及び整色剤を表2に示す種類、量に変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2、3に示す。
原料をテレフタル酸ジメチルから2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルに変更して、固有粘度0.62、ジエチレングリコール含有量が0.6重量%であるポリエステル組成物を得たこと以外は実施例2と同様に操作を行った。結果を表2、3に示す。
整色剤Aを添加しなかったこと以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2、3に示す。
整色剤を表2に示す種類、量に変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2、3に示す。
重合触媒としてチタン化合物の代わりに三酸化二アンチモン0.0375重量部を添加したこと以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2、3に示す。
Claims (7)
- 芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体とアルキレングリコールとを主たる原料として、芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の全量を基準として30〜120ミリモル%のアルカリ土類金属化合物を用いて反応させた後、リン酸、ホスホン酸系化合物及びこれらのエステルからなる群より少なくとも1種選ばれるリン化合物を下記数式(1)を満足するように添加して、次いで芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の全量を基準として2〜50ミリモル%のチタン化合物を添加して、該芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体と該アルキレングリコールとの反応生成物を重縮合反応せしめて得られるポリエステルに、さらに整色剤としてアントラキノン系染料であって、青色系整色剤と紫色系整色剤を重量比90:10〜40:60の範囲で又は青色系整色剤と赤色系若しくは橙色系整色剤を重量比98:2〜80:20範囲で併用し、濃度20mg/L、光路長1cmでのクロロホルム溶液において、380〜780nm領域の吸収スペクトルでの最大吸収波長が540〜600nmの範囲にあり、且つ最大吸収波長での吸光度に対する各波長での吸光度の割合が下記式(2)〜(5)のすべてを満たす整色剤をポリエステルの全重量に対して0.1〜10ppmとなるように、ポリエステルを製造する任意の過程で添加するポリエステル組成物の製造方法。
- 窒素雰囲気下中昇温速度10℃/分の条件で熱天秤にて測定した整色剤の重量減少開始温度が250℃以上である請求項1記載のポリエステル組成物の製造方法。
- ポリエステル組成物中に含まれるアンチモン元素、コバルト元素及びゲルマニウム元素の含有量の合計が10ppm以下である請求項1〜2のいずれか1項記載の製造方法によって製造されたポリエステル組成物。
- ポリエステル組成物の、140℃、2時間熱処理後のL*a*b*表色系におけるカラーa*値が−9〜0、カラーb*値が−2〜10の範囲にある請求項3記載のポリエステル組成物。
- ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート及び/またはポリエチレンナフタレートである請求項3または4記載のポリエステル組成物。
- ポリエステル組成物の固有粘度が0.40〜1.00である請求項3〜5のいずれか1項記載のポリエステル組成物。
- 請求項3〜6のいずれか1項に記載のポリエステル組成物を溶融紡糸することによって得られるポリエステル繊維。
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