JP2003119619A - ポリエステル繊維及びその製造方法 - Google Patents

ポリエステル繊維及びその製造方法

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JP2003119619A
JP2003119619A JP2001316498A JP2001316498A JP2003119619A JP 2003119619 A JP2003119619 A JP 2003119619A JP 2001316498 A JP2001316498 A JP 2001316498A JP 2001316498 A JP2001316498 A JP 2001316498A JP 2003119619 A JP2003119619 A JP 2003119619A
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compound
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JP2001316498A
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Masahiko Maesaki
雅彦 前崎
Tomoyoshi Yamamoto
智義 山本
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色調に優れ、紡糸口金を通して長時間連続的
に紡糸しても口金付着物の発生量が非常に少なく、成形
性に優れているという優れた性能を有する、鮮明性の改
善されたポリエステル繊維及びその製造方法を提供する
こと。 【解決手段】 特定のチタン化合物及びリン化合物を含
むポリエステル製造用触媒を用い、該ポリエステルの合
成が終了するまでの任意の段階で、含金属リン化合物と
アルカリ土類金属化合物とを、含金属リン化合物とアル
カリ土類金属とを予め反応させることなく、該ポリエス
テル合成系内へ添加した後、合成を完了させて得られた
ポリエステルポリマー、溶融紡糸して繊維化した後、ア
ルカリ化合物水溶液によって該繊維の2〜40重量%を
溶出させて、繊維表面に微細孔を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステル繊維及
びその製造方法に関し、さらに詳しくは、特定のチタン
化合物及びリン化合物を含むポリエステル製造用触媒を
用いて、色調に優れ、紡糸口金を通して長時間連続的に
紡糸しても口金付着物の発生量が非常に少なく、成形性
に優れているという優れた性能を有する、鮮明性の改善
されたポリエステル繊維及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、特にポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレ
ンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレー
トは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているた
め、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されて
いる。
【0003】例えばポリエチレンテレフタレートは、通
常テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル
化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのようなテレフ
タル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールと
をエステル交換反応させるか又はテレフタル酸とエチレ
ンオキサイドとを反応さて、テレフタル酸のエチレング
リコールエステル及び/又はその低重合体を生成させ、
次いでこの反応生成物を重合触媒の存在下で減圧加熱し
て所定の重合度になるまで重縮合反応させることによっ
て製造されている。
【0004】これらの重縮合反応段階で使用する触媒の
種類によって、反応速度および得られるポリエステルの
品質が大きく左右されることはよく知られている。ポリ
エチレンテレフタレートの重縮合触媒としては、アンチ
モン化合物が、優れた重縮合触媒性能を有し、かつ、色
調の良好なポリエステルが得られるなどの理由から最も
広く使用されている。
【0005】しかしながら、アンチモン化合物を重縮合
触媒として使用した場合、ポリエステルを長時間にわた
って連続的に溶融紡糸すると、口金孔周辺に異物(以
下、単に口金異物と称することがある。)が付着堆積
し、溶融ポリマー流れの曲がり現象(ベンディング)が
発生し、これが原因となって紡糸、延伸工程において毛
羽及び/又は断糸などを発生するという成形性の問題が
ある。
【0006】該アンチモン化合物以外の重縮合触媒とし
て、チタンテトラブトキシドのようなチタン化合物を用
いることも提案されているが、このようなチタン化合物
を使用した場合、上記のような、口金異物堆積に起因す
る成形性の問題は解決できるが、得られたポリエステル
自身が黄色く着色されており、また、溶融熱安定性も不
良であるという新たな問題が発生する。
【0007】上記着色問題を解決するために、コバルト
化合物をポリエステルに添加して黄味を抑えることが一
般的に行われている。確かにコバルト化合物を添加する
ことによってポリエステルの色調(b値)は改善するこ
とができるが、コバルト化合物を添加することによって
ポリエステルの溶融熱安定性が低下し、ポリマーの分解
も起こりやすくなるという問題がある。
【0008】また、他のチタン化合物として、特公昭4
8−2229号公報には水酸化チタンを、また特公昭4
7−26597号公報にはα−チタン酸を、それぞれポ
リエステル製造用触媒として使用することが開示されて
いる。しかしながら、前者の方法では水酸化チタンの粉
末化が容易でなく、一方、後者の方法ではα−チタン酸
が変質し易いため、その保存、取り扱いが容易でなく、
したがっていずれも工業的に採用するには適当ではな
く、さらに、良好な色調(b値)のポリマーを得ること
も困難である。
【0009】また、特公昭59−46258号公報には
チタン化合物とトリメリット酸とを反応させて得られた
生成物を、また特開昭58−38722号公報にはチタ
ン化合物と亜リン酸エステルとを反応させて得られた生
成物を、それぞれポリエステル製造用触媒として使用す
ることが開示されている。確かに、この方法によれば、
ポリエステルの溶融熱安定性はある程度向上しているも
のの、得られるポリマーの色調が十分なものではなく、
したがってポリマー色調のさらなる改善が望まれてい
る。
【0010】さらに、特開平7−138354号公報に
おいては、チタン化合物とリン化合物との錯体をポリエ
ステル製造用触媒とすることが提案されており、この方
法によれば溶融熱安定性もある程度は向上するものの、
得られるポリマーの色調は十分なものではない。
【0011】なお、これらのチタン−リン系触媒は、そ
の触媒自身がポリエステルポリマー中に異物として残留
することが多く、この問題についても解決されることが
望まれていた。
【0012】また、ポリエステルは、その機械的、物理
的、化学的性能が優れているため、合成繊維として広く
使用されている。しかしながらポリエステル繊維は、羊
毛や絹のような天然繊維、レーヨンやアセテートのよう
な半合成繊維、アクリル系繊維と比較して、染色した際
に色に深みがないため、発色性、鮮明性に劣るという欠
点がある。
【0013】従来、該ポリエステル繊維の染色鮮明性を
改良するために、染料の改善やポリエステルの化学的な
改質等が試みられており、各種の提案がなされている。
例えば、特公昭62−44064号公報では、特定量の
5価のリン化合物と、該リン化合物に対して特定量比に
あるカルシウム化合物とをポリエチレンテレフタレート
に添加することによって、着色したときの色の深みと鮮
明性に優れ、かつ摩擦による変色が十分に小さく、耐フ
ィブリル性にも優れたポリエステルが得られることが報
告されている。
【0014】確かに、この方法によれば上述した問題点
は解消される。しかしながら、このようなポリエチレン
テレフタレートを用いた繊維は、その化学的な改質ゆえ
に繊維自身が柔らかいため、前記の口金異物による影響
を受けやすい。
【0015】口金異物を抑制するには、前記のように触
媒としてアンチモンを使用しないことが有効な手段であ
るが、アンチモンを使用しない方法では、糸のカラーが
低下してしまうため、従来は使用に供することができな
かった。
【0016】したがって触媒としてアンチモンを使用せ
ず、かつ着色したときの色調、色の深みと鮮明性に優
れ、かつ摩擦による変色が十分に小さく、耐フィブリル
性にも優れたポリエステル繊維が求められていた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術が有していた問題を解決し、色調に優れ、紡糸
口金を通して長時間連続的に紡糸しても口金付着物の発
生量が非常に少なく、成形性に優れているという優れた
性能を有する、鮮明性の改善されたポリエステル繊維及
びその製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記従来技
術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至
った。
【0019】すなわち本発明の目的は、エチレンテレフ
タレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルから
なる繊維を製造するに際し、該ポリエステルに可溶なチ
タン化合物が、ポリエステルを構成する全ジカルボン酸
成分を基準として、チタン金属元素として2〜15ミリ
モル%含有されており、かつ下記一般式(1)及び
(2)を満足するポリエステルポリマーに、該ポリエス
テルの溶融紡糸が終了するまでの任意の段階で、該ポリ
エステルを構成する全酸成分を基準として0.5〜1.
8モル%の下記一般式(I)で表される含金属リン化合
物と、該ポリエステルを構成する全酸成分を基準として
0.25〜3.6モル%のアルカリ土類金属化合物と
を、含金属リン化合物とアルカリ土類金属とを予め反応
させることなく、該ポリエステル合成系内へ添加した
後、合成を完了させて得られたポリエステルポリマー
を、溶融紡糸して得られた繊維を、アルカリ化合物の水
溶液によって該繊維の2〜40重量%を溶出させて、繊
維表面に微細孔を形成させることを特徴とする、ポリエ
ステル繊維の製造方法によって達成することができる。
【0020】
【数2】
【0021】
【化5】
【0022】さらに本発明の他の目的は、本発明のポリ
エステル繊維の製造方法によって得られた繊維によって
達成される。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。
【0024】本発明のポリエステルは、ポリマー中に可
溶なチタン化合物を全ジカルボン酸成分に対し、チタン
金属元素として2〜15ミリモル%含有し、下記一般式
(1)及び(2)を満足する必要がある。
【0025】
【数3】
【0026】本発明において、用いられるリン化合物と
しては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホスホネート
化合物及びそれらの誘導体等があげられ、これらは単独
で使用してもよく、また二種以上併用してもよい。これ
らのリン化合物中、特に下記一般式(II)で表される
ホスホネート化合物が好ましい。
【0027】
【化6】
【0028】上述のホスホネート化合物としては、ホス
ホン酸のジメチル−、ジエチル−、ジプロピル−及びジ
ブチルエステルが挙げられ、具体的にはカルボメトキシ
メタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、
カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボプトキシメ
タンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル
酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カル
ボプロトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボブトキ
シ−ホスホノ−フェニル酢酸等が挙げられる。
【0029】上記のホスホネート化合物の好ましい理由
は、通常安定剤として使用されリン化合物に比較し、チ
タン化合物との反応が比較的緩やかに進行する為、チタ
ン化合物の触媒活性が、重縮合反応中における持続時間
も長く、結果としてポリエステルへの添加量が少なくで
き、また、本特許のように触媒に対し多量安定剤を添加
する場合でも、ポリエステルの熱安定性を損ないにくい
特性を有している為である。
【0030】これら、リン化合物の添加時期は、エステ
ル交換反応またはエステル化反応が実質的に終了した後
であればいつでもよく、例えば、重縮合反応を開始する
以前の大気圧下でも、重縮合反応を開始した後の減圧下
でも、重縮合反応の末期でもまた、重縮合反応の終了
後、すなわちポリマーを得た後に添加してもよい。
【0031】本発明において、用いられるチタン化合物
は、触媒起因の異物低減の点で、ポリマー中に可溶なチ
タン化合物を使用することが必要である。チタン化合物
としては、特に限定されず、ポリエステルの重縮合触媒
として一般的なチタン化合物、例えば、酢酸チタンやテ
トラ−n−ブトキシチタンなどが挙げられるが、特に望
ましいのは、下記一般式(III)で表される化合物、
又は一般式(III)で表される化合物と下記一般式
(IV)で表される芳香族多価カルボン酸若しくはその
無水物とを反応させた生成物である。
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】一般式(III)で表されるチタン化合物
としては、R3、R3’、R3’’、R3’’’がそれ
ぞれ同一若しくは異なって、アルキル基及び/又はフェ
ニル基であれば特に限定されないが、テトライソプロポ
キシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラ−n−ブ
トキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラフェノキ
シチタン、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアル
キルジチタネートなどが好ましく用いられる。
【0035】また、該化合物として反応させる一般式
(IV)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水
物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット
酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物が好ましく用い
られる。
【0036】上記チタン化合物と芳香族多価カルボン酸
又はその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族
多価カルボン酸又はその無水物の一部を溶解し、これに
チタン化合物を滴下して、0〜200℃の温度で少なく
とも30分間反応させれば良い。
【0037】本発明のポリエステルにはポリマー中に可
溶なチタン化合物を全ジカルボン酸成分に対し、チタン
金属元素として2〜15ミリモル%含有する必要があ
る。該チタン金属元素が2ミリモル%未満ではポリエス
テルの生産性が低下し、目標とする分子量のポリエステ
ルが得られない。
【0038】また、該チタン金属元素が15ミリモル%
を越える場合は熱安定性が逆に低下し、繊維製造時の分
子量低下が大きくなり品質の優れたポリエステル繊維が
得られない。チタン金属元素量は2.5〜12ミリモル
%の範囲が好ましく、3〜10ミリモル%の範囲がさら
に好ましい。なお、ここで言う”ポリマー中に可溶なチ
タン化合物”とは、二酸化チタン粒子に含まれるチタン
は含まないことを示し、”チタン金属元素量”とは、エ
ステル交換反応による第1段階反応を行う場合は、エス
テル交換反応触媒として使用されたチタン化合物と重縮
合反応触媒として使用されたチタン化合物との合計量を
示す。
【0039】本発明におけるポリエステルは、チタン化
合物を触媒とし、かつリン化合物を安定剤として製造さ
れ、そして下記式(1)、(2)のいずれも満足する必
要がある。
【0040】
【数4】
【0041】(P/Ti)が2未満の場合、色相が著し
く黄味を帯び好ましくない。また、(P/Ti)が15
を越えるとポリエステルの重合反応性が大幅に低下し、
目的のポリエステルを得ることができない。本発明で用
いるポリエステルにおいて、(P/Ti)の適正範囲は
通常の金属触媒よりも狭いことが特徴的であるが、適正
範囲にある場合、本発明のように従来にない効果を得る
ことができる。一方、(Ti+P)が10に満たない場
合は、製糸プロセスにおける生産性が大きく低下し、満
足な性能が得られなくなる。また、(Ti+P)が10
0を越える場合は、触媒に起因する異物が少量ではある
が発生し好ましくない。
【0042】式(1)、(2)の範囲は好ましくは
(1)式中の(P/Ti)は3〜12の範囲、(2)式
中の(Ti+P)は15〜85の範囲であり、さらに好
ましくは、(1)式中の(P/Ti)は4〜10の範
囲、(2)式中の(Ti+P)は20〜70の範囲であ
る。
【0043】一般的にエチレンテレフタレートを主たる
繰り返し単位とするポリエステルの原料としてテレフタ
ル酸に代表される芳香族ジカルボン酸を用いる製造方法
とジメチルテレフタレートに代表される芳香族ジカルボ
ン酸のエステル形成性誘導体を原料として用いる二つの
方法が知られている。
【0044】本発明におけるポリエステルは、その製造
方法により特に制限はないが、好ましくはエチレンテレ
フタレート単位の出発原料のうち80mol%以上をジ
メチルテレフタレートが占める、エステル交換反応を経
由する製造方法である。ジメチルテレフタレートを原料
物質に使用する製造方法は、テレフタル酸を原料とする
製造方法に比較し、重縮合反応中に安定剤として添加し
たリン化合物の飛散が少ないという利点がある。
【0045】なお、上記のジメチルテレフタレートに
は、本発明方法の効果が実質的に損なわれない範囲内に
おいて、具体的には酸成分合計モル量を基準として10
モル%以下、好ましくは5モル%以下の範囲で、それと
共重合可能な他の二官能性カルボン酸エステルが追加成
分として含まれていてもよい。
【0046】好ましく用いられる共重合可能な追加成分
は、酸成分として、例えば、アジピン酸、セバシン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族及び
脂環式の二官能性ジカルボン酸、並びにヒドロキシカル
ボン酸、例えば、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p
−オキシ安息香酸などの一種以上とグリコール成分とし
て、例えば、構成炭素数が2個以上のアルキレングリコ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペン
チルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS
のような脂肪族、脂環式、芳香族のジオール化合物及び
ポリオキシアルキレングリコール、の一種以上とのエス
テル又はその無水物から選ぶことができる。上記追加成
分は一種を単独で用いてもよく、あるいは二種以上を併
用してもよい。ただし共重合は上記の範囲内であること
が必要である。
【0047】また、ジメチルテレフタレートを原料物質
とする製造方法では、チタン化合物の添加量を低減でき
る、チタン化合物の一部および/または全量をエステル
交換反応開始前に添加し、エステル交換反応触媒と重縮
合反応触媒の二つ触媒を兼用させる製造方法が好まし
く、更にエステル交換反応が、0.05〜0.20MP
aの加圧下にて実施する方法がより好ましい。
【0048】エステル交換反応時の圧力が、0.05M
pa以下では、チタン化合物の触媒作用による反応の促
進が充分部は無く、一方0.20MPa以上では、副生
成物として発生するジエチレングリコールのポリマー中
の含有量が著しく増加し、ポリマーの熱安定性等の特性
が劣ってしまう。
【0049】本発明方法において、反応系に、必要に応
じてトリメチルホスフェートなどの安定剤をポリエステ
ル製造における任意の段階で加えてもよく、さらに酸化
防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、
整色剤、消泡剤その他の添加剤などを配合してもよい。
【0050】さらに、得られるポリエステルのカラーを
微調整するために、反応系にポリエステルの製造段階に
おいて、アゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、
アントラキノン系、フタロシアニン系等の有機青色顔料
及び無機青色顔料の一種以上からなる整色剤を添加する
ことができる。なお、本発明の製造方法においては、当
然のことながらポリエステルの溶融熱安定性を低下させ
るコバルト等を含む無機青色顔料を整色剤としては用い
る必要はなく、したがって得られるポリエステルには実
質的にコバルトを含まないことが好ましい。
【0051】本発明方法によって得られるポリエステル
は、通常、ハンター型色差計より得られるL値が80.
0以上、b値が−2.0〜5.0の範囲にあるものであ
る。ポリエステルのL値が80.0未満であると、白色
度が低くなるため実用に供し得る高白色度成形物を得る
ことができないことがある。また、b値が−2.0未満
であると、このポリエステルの黄味は少ないが、青味が
増し、一方、b値が5.0を越えると、得られるポリエ
ステルの黄味が強くなるため、実用上有用な成形物の製
造に供することができないことがある。本発明方法によ
り得られるポリエステルのL値は好ましくは82以上、
特に好ましくは83以上であり、b値の好ましい範囲は
−1.0〜4.5であり、特に好ましくは0.0〜4.
0である。
【0052】本発明のポリエステルは、実質的に、整色
用コバルト化合物に由来するコバルト原子を含まないも
のである。コバルト原子を含むポリエステルには、溶融
熱安定性が低く、分解が起こりやすくなるという欠点が
ある。なお、ここで“実質的に含まない”とは、整色剤
若しくは重縮合触媒としてコバルト化合物を使用せず、
したがって得られるポリエステルが、上記コバルト化合
物に由来するコバルト原子を含まないことを意味する。
したがって、本発明のポリエステルは、整色剤及び触媒
以外の目的をもって添加されたコバルト化合物に由来す
るコバルト原子を含むことがあってもよい。
【0053】本発明におけるポリエステルの固有粘度は
適宜選択すればよいが、0.55〜1.0の範囲にある
ことが好ましい。該固有粘度がこの範囲内にあると、溶
融成形が容易でかつ成形物の強度も高いものとなる。該
固有粘度のさらに好ましい範囲は、0.60〜0.90
であり、特に好ましくは0.62〜0.80である。
【0054】本発明の製造方法においては、さらに、下
記一般式(I)で示す含金属リン化合物を添加する必要
がある。
【0055】
【化9】
【0056】ここで、式中、R4及びR4’は一価の有機
基であるが、具体的には、アルキル基、アリール基、ア
ラルキル基又は−[(CH2lO]k5(ただし、R5
は水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル
基、lは2〜10の整数、kは1〜5の整数)であるこ
とが好ましく、また、Mは、Li、Na、K、Mg、C
a、Sr、Baとすることが好ましく、特にCa、S
r、Baを用いることが好ましい。
【0057】上記一般式(I)の含金属リン化合物に代
えてR4及び/又はR4’が金属(特にアルカリ金属、ア
ルカリ土類金属)で置換されたリン化合物を使用した場
合には、得られるポリエステル繊維に生成する微細孔が
大きくなりすぎ、目的とする鮮明化効果が得られず、ま
た耐フィブリル性にも劣るようになる。
【0058】なお、該化合物を製造するためには、対応
する正リン酸エステル(モノ、ジ又はトリ)と所定量の
対応する金属化合物とを溶媒の存在下加熱反応させれば
容易に得ることができる。さらに、本発明の製造方法に
おいては、上記含金属リン化合物とともにアルカリ土類
金属化合物をも併用する必要があり、該アルカリ土類金
属化合物としては、上記含金属リン化合物と反応してポ
リエステルに不溶の塩を形成するものである限り、いず
れを用いてもよい。
【0059】該アルカリ土類金属化合物としては、アル
カリ土類金属の酢酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩、フタ
ル酸塩、ステアリン酸塩のような有機カルボン酸塩、硫
酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、重炭酸塩のような無機塩類、
塩化物のようなハロゲン化物、エチレンジアミン四酢酸
錯塩のようなキレート化合物、水酸化物、酸化物、メト
キシド、エトキシド、フェノキシド、グリコキシドなど
のアルコキシド類、等を挙げることができるが、なかで
もトリメチレングリコールに可溶性である有機カルボン
酸塩、ハロゲン化物、キレート化合物、アルコキシドを
用いることが好ましく、特に有機カルボン酸塩が好まし
い。上記のアルカリ土類金属塩は1種を単独で使用して
も、2種以上を併用してもどちらでも良い。
【0060】上記含金属リン化合物とアルカリ土類金属
化合物とを併用する場合には、得られたポリエステル繊
維をアルカリ減量した際に、優れた色の深みとその摩擦
耐久性を与えるために、含金属リン化合物の使用量及び
該リン化合物の使用量に対するアルカリ土類金属化合物
の使用量比を、本発明の製造方法の通りにする必要があ
る。
【0061】すなわち、本発明で使用する含リン化合物
の添加量は余りに少ないと、アルカリ減量処理後の繊維
は色の深みが不充分になる。この量を多くするにしたが
って、色の深みは増加するものの、余りに多くなると、
もはや色の深みは著しい向上を示さず、かえって耐摩擦
耐久性が悪化し、さらに、十分な重合度と軟化点とを有
するポリエステルポリマーを得ること自体が困難とな
り、紡糸時に断糸が多発するというトラブルが発生す
る。このため、含金属リン化合物の添加量はポリエステ
ルを構成する酸成分を基準として0.5〜1.8モル%
の範囲とすることが必要であり、好ましくは0.6〜
1.5モル%である。
【0062】またアルカリ土類金属化合物の添加量が、
ポリエステルを構成する全酸成分を基準として0.25
モル%より少ない場合には、得られるポリエステル繊維
の色の深みが不十分であり、そのうえ重縮合速度が低下
して高重合度のポリエステルを得ることが困難となり、
また、生成ポリエステルの軟化点が大幅に低下するよう
になる。ポリエステルを構成する全酸成分を基準として
3.6モル%を越えると、ポリマー内部に粗大粒子が生
成し、色の深みが改善されるどころか、かえって視感濃
度が低下する。このため、アルカリ土類金属化合物の添
加量は、ポリエステルを構成する全酸成分を基準として
0.25〜3.6モル%の範囲とする必要があり、好ま
しくは0.35〜2.2モル%、特に0.4〜1.8モ
ル%とすることが好ましい。
【0063】ここで、該アルカリ土類金属を添加する際
には、上記含金属リン化合物とは予め反応させることな
くポリエステル合成系に添加する必要がある。合成系内
で、ポリエステルに不溶な塩が形成されることによっ
て、不活性粒子をポリエステル中に均一な超微粒子状態
で分散させることができるようになる。
【0064】上記の含金属リン化合物及びアルカリ土類
金属化合物の添加は、それぞれポリエステルの合成が完
了するまでの任意の段階において、任意の順序で行うこ
とができる。しかし、含金属リン化合物のみを第一段階
の反応終了前の段階で添加したのでは、第一段階の反応
の完結が阻害されることがあり、またアルカリ土類金属
化合物のみを第一段階の反応終了前に添加すると、該第
一段階の反応をエステル化反応とする場合には、この反
応中に粗大粒子が発生しやすく、エステル交換反応とす
る場合には、該エステル交換反応速度が異常に大きくな
って、突沸現象を引き起こすことがあるので、これらの
添加時期を選択する場合には、添加しようとする化合物
の全重量を基準として20重量%程度以下に留めておく
ことが好ましい。
【0065】また、含金属リン化合物及びアルカリ土類
金属化合物の添加時期が、第二段階の反応が余りに進行
した段階では、粒子の凝集、粗大化が生じ易く最終的に
得られるポリエステル繊維の色の深みが不充分となる傾
向があるので、第二段階の反応における反応混合物の固
有粘度が0.3に到達する以前に添加することが好まし
い。
【0066】上記の含金属リン化合物及びアルカリ土類
金属化合物はそれぞれ一時に添加しても、2回以上に分
割しても、又は連続的に添加しても良い。
【0067】本発明においては、第一段階の反応に任意
の触媒を使用することができるが、上記アルカリ土類金
属化合物の中には、第一段階の反応、特にエステル交換
反応に対して触媒能を有するものが含まれており、該化
合物を使用する場合は別に触媒を使用することを要さ
ず、このアルカリ土類金属化合物を第一段階の反応開始
前又は反応中に添加して、触媒として兼用することもで
きるが、前述したように突沸現象を引き起こすこともあ
るので、その使用量は添加しようとするアルカリ土類金
属化合物の全重量を基準として20重量%以下に留める
ことが好ましい。
【0068】以上説明したように、特定量の上記の含金
属リン化合物とアルカリ土類金属化合物とを予め反応さ
せることなくポリエステル反応系に添加した後ポリエス
テルの合成を完了することによって、高重合度、高軟化
点及び良好な製糸化工程通過性を有し、かつ最終的に色
の深みとその摩擦耐久性にともに優れた繊維を与えるこ
とのできるポリエステルを得ることができる。
【0069】このようにして得られたポリエステルを溶
融紡糸して繊維とするには、格別な方法を採用する必要
はなく、通常のポリエステル繊維の溶融紡糸方法を任意
に採用することができ、紡出する繊維は中空部を有しな
い中実繊維であっても、中空部を有する中空繊維であっ
ても良い。また、紡出する繊維の横断面形状や中空部の
形状は、円型であっても異型であっても良い。
【0070】さらに紡糸するに際して、上記の含金属リ
ン化合物とアルカリ土類金属化合物とを添加したポリエ
ステルと添加しないポリエステルとを使用して、芯鞘
型、サイド・バイ・サイド、多層積層型の複合繊維とし
てもよい。
【0071】かくして得られるポリエステル繊維から、
その一部を除去するには必要に応じて延伸熱処理又は仮
撚加工などを施した後、又は布帛となした後、アルカリ
化合物の水溶液を用いてアルカリ減量処理することによ
り容易に行うことができる。ここで、使用するアルカリ
化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、炭酸ナ
トリウム、炭酸カリウムなどを挙げることができ、なか
でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが特に好まし
い。
【0072】また、該アルカリ化合物の水溶液の濃度
は、採用するアルカリ化合物の種類、処理条件等によっ
て異なるが、通常0.01〜40重量%の範囲とするこ
とが好ましく、特に0.1〜30重量%の範囲とするこ
とが好ましい。
【0073】さらに、該アルカリ減量処理温度は室温〜
100℃程度と設定すればよく、処理時間は1分間〜4
時間の範囲で通常行われる。また、このアルカリ化合物
の水溶液の処理によって溶出除去する量は、繊維重量を
基準として2〜40重量%の範囲にすべきである。
【0074】上述なような条件でアルカリ減量処理を施
すことによって、繊維軸方向に平行に配列し、かつ度数
分布の最大値が繊維軸の直角方向の幅が0.1〜0.3
μmの範囲であって、繊維軸方向の長さが0.1〜5μ
mの範囲になる大きさを有する微細孔を繊維表面及びそ
の近傍に多数形成させることができ、染色した際に優れ
た色の深みを呈するようになる。
【0075】
【実施例】以下、本発明をさらに下記実施例により具体
的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限
定されるものではない。なお、固有粘度、色相、チタン
含有量、異物数、溶融熱安定性及び紡糸口金に発生する
付着物の層については、下記記載の方法により求めた。
【0076】(1)固有粘度:ポリエステルポリマーの
固有粘度は、オルソクロロフェノール溶液について、3
5℃において測定した粘度の値から求めた。
【0077】(2)色調(L値及びb値):ポリマー試
料を290℃、真空下で10分間溶融し、これをアルミ
ニウム板上で厚さ3.0±1.0mmのプレートに成形
後ただちに氷水中で急冷し、該プレートを160℃、1
時間乾燥結晶化処理後、色差計調整用の白色標準プレー
ト上に置き、プレート表面のハンターL値及びb値を、
ミノルタ社製ハンター型色差計CR−200を用いて測
定した。L値は明度を示し、その数値が大きいほど明度
が高いことを示し、b値はその値が大きいほど黄着色の
度合いが大きいことを示す。
【0078】(3)触媒のチタン含有量:触媒化合物中
のチタン濃度は、リガク社製蛍光X線測定装置3270
を用いて測定した。
【0079】(4)紡糸口金に発生する付着物の層:ポ
リエステルをチップとなし、これを290℃で溶融し、
孔径0.15mmφ、孔数12個の紡糸口金から吐出
し、600m/分で2日間紡糸し、口金の吐出口外縁に
発生する付着物の層の高さを測定した。この付着物層の
高さが大きいほど吐出されたポリエステルメルトのフィ
ラメント状流にベンディングが発生しやすく、このポリ
エステルの成形性は低くなる。すなわち、紡糸口金に発
生する付着物層の高さは、当該ポリエステルの成形性の
指標である。
【0080】(5)色の深み:色の深みを示す尺度とし
ては、深色度(K/S)を用いた。この値はサンプル布
の分光反射率(R)を島津RC−330型分光光度計に
て測定し、次に示すクベルカ−ムンク(Kubelka
Munk)の式から求めた。この値が大きいほど深色効
果が大きいことを示す。
【0081】
【数5】
【0082】(6)耐摩擦変色性:摩擦堅牢度試験用の
学振型平面摩擦機を使用して、摩擦布としてポリエチレ
ンテレフタレート100%からなるジョーゼットを用
い、試験布を500gの荷重下で所定回数平面摩擦し
て、変色の発生の程度を変褪色用グレースケールで判定
した。耐摩耗性が極めて低い場合を一級とし、極めて高
い場合を5級とした。実用上4級以上が必要である。
【0083】(7)弾性率、弾性回復率、強度:アルカ
リ減量前の糸を用い、引張試験機(「オートグラフAG
−100E」(株)島津製作所製)を使用して測定し
た。弾性率は、25℃、試長25cm、引張速度20c
m/分から得られる荷伸曲線の初期傾きより求めた。強
度は同様の方法で、糸が破断するときの1dtexあた
りの強力として求めた。また、弾性回復率は、上記方法
で伸長率20%まで伸長した後、一分間放置し、このあ
と再び同じ速度でもとの長さまで戻したときの糸長より
求めた。
【0084】[実施例1]テレフタル酸ジメチル194
重量部、エチレングリコール124重量部及びテトラ−
n−ブチルチタネート0.017重量部を加圧反応が可
能なステンレス製容器に投入し、0.07MPaの加圧
下、220℃においてエステル交換反応を行った。得ら
れた反応生成物に対して、0.97部のリン酸トリメチ
ル(全酸成分を基準として0.693モル%)と0.6
0部の酢酸カルシウム一水塩(リン酸トリメチルを基準
として1/2倍モル)とを16.49部のエチレングリ
コール中で120℃の温度において全環流下60分間反
応させて得られたリン酸エステルカルシウム塩の透明溶
液18.06部に室温下1.10部の酢酸カルシウム一
水塩(リン酸トリメチルに対して1.0倍モル)を溶解
せしめて得たリン酸ジエステルカルシウム塩と酢酸カル
シウム一水塩との混合透明溶液19.16部、トリエチ
ルホスホノアセテート0.08部を添加して、さらに整
色剤としてテラゾールブルー0.0002重量部を加え
た。
【0085】この反応系を温度285℃、常圧で30分
加熱しさらに前記温度において4.0kPa(30mm
Hg)の減圧下で15分加熱して反応を進行させた後、
反応系内を徐々に減圧にし、前記温度において撹拌下1
10分間加熱して反応を完了させた。フラスコ内の最終
温度は285℃、最終内圧は49.3Pa(0.37m
mHg)であった。得られたポリエチレンテレフタレー
トの固有粘度は0.640であった。本チップの物性を
表1にまとめた。
【0086】このチップを常法により乾燥し、孔径0.
3mmの円形紡糸孔を36個穿設した紡糸口金を使用し
て270℃で溶融紡糸し、次いで常法に従って延伸倍率
3.5倍で延伸して75デニール、36フィラメントの
原糸を得た。
【0087】この原糸にS撚2500T/mおよびZ撚
2500T/mの強撚を施し、続いて該強撚糸を80℃
で30分間蒸熱処理して撚り止めを行った。
【0088】該撚り止め強撚糸を経密度47本/cm、
緯密度32本/cmでS、Z撚りを2本交互に配して梨
地ジョーゼット織物を製織した。
【0089】得られた生機をロータリーワッシャーにて
沸騰温度で20分間リフラックス処理し、シボ立てを行
い、常法によりプリセット後、3.5%の水酸化ナトリ
ウム水溶液で沸騰温度にて処理し、減量率が10%、2
0%および30%の布帛を得た。
【0090】これらのアルカリ処理後の布帛をDian
ix Black HG−FS(三菱化学工業(株)製
品)15%owf、130℃で60分間染色後、水酸化
ナトリウム1g/L及びハイドロサルファイト1g/L
を含む水溶液にて70℃で20分間還元洗浄して黒染布
を得た。これら黒色布の色の深み及び摩耗200回後の
耐摩擦変色性を第1表に示した。
【0091】[実施例2]実施例1において、チタン化
合物を下記参考例の方法にて合成したトリメリット酸チ
タン0.031部に変更したこと以外は同様の操作を行
って、ポリエステル及び繊維を得た。結果を表1に示
す。
【0092】[参考例]トリメリット酸チタンの合成方
法:無水トリメリット酸のエチレングリコール溶液
(0.2%)にテトラブトキシチタンを無水トリメリッ
ト酸に対して1/2モル添加し、空気中常圧下で80℃
に保持して60分間反応せしめ、その後、常温に冷却
し、10倍量のアセトンによって生成触媒を再結晶化さ
せ、析出物をろ紙によって濾過し、100℃で2時間乾
燥させて、目的の化合物を得た。
【0093】[比較例1〜2]チタン化合物及びリン化
合物を表1示す化合物及び値に変更する以外は、実施例
1と同様にして重縮合反応を行いポリエステル及び繊維
を得た。結果を表1に示す。
【0094】[比較例3]テレフタル酸ジメチル194
重量部とエチレングリコール124重量部の混合物に、
テトラ−n−ブチルチタネート0.017重量部を加圧
反応が可能なステンレス製容器に仕込み、0.07MP
aの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエ
ステル交換反応させた後、トリエチルホスホノアセテー
ト0.08部を添加し、エステル交換反応を終了させ
た。
【0095】その後、反応生成物に三酸化二アンチモン
0.101重量部を添加し、混合物を重合容器に移し、
290℃まで昇温し、0.2mmHg以下の高真空にて
重縮合反応を行って、固有粘度0.640、ジエチレン
グリコール量が1.5重量%であるポリエステルを得
た。得られたポリエステルは実施例1と同様に繊維化し
た。結果を表1に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
【発明の効果】本発明の触媒及びそれを用いるポリエス
テル繊維の製造方法によれば、色調に優れ、紡糸口金を
通して長時間連続的に紡糸しても口金付着物の発生量が
非常に少なく、成形性に優れているという優れた性能を
有する、鮮明性の改善されたポリエステル繊維及びその
製造方法を提供することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA03 AB04 AC01 AE02 BA03 CB06A HA01 HB01 HB03A JA063 JA093 JA123 JA203 JA253 JA283 JB133 JB173 JB203 JC573 JF143 JF321 KB02 KB04 KB05 KB25 KD06 KE02 KE06 4L031 AA18 AB32 BA11 CA01 DA10 4L035 BB31 CC20 DD07 EE20 GG02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンテレフタレートを主たる繰り返
    し単位とするポリエステルからなる繊維を製造するに際
    し、該ポリエステルに可溶なチタン化合物が、ポリエス
    テルを構成する全ジカルボン酸成分を基準として、チタ
    ン金属元素として2〜15ミリモル%含有されており、
    かつ下記一般式(1)及び(2)を満足するポリエステ
    ルポリマーに、該ポリエステルの溶融紡糸が終了するま
    での任意の段階で、該ポリエステルを構成する全酸成分
    を基準として0.5〜1.8モル%の下記一般式(I)
    で表される含金属リン化合物と、該ポリエステルを構成
    する全酸成分を基準として0.25〜3.6モル%のア
    ルカリ土類金属化合物とを、含金属リン化合物とアルカ
    リ土類金属とを予め反応させることなく、該ポリエステ
    ル合成系内へ添加した後、合成を完了させて得られたポ
    リエステルポリマーを、溶融紡糸して得られた繊維を、
    アルカリ化合物の水溶液によって該繊維の2〜40重量
    %を溶出させて、繊維表面に微細孔を形成させることを
    特徴とする、ポリエステル繊維の製造方法。 【数1】 【化1】
  2. 【請求項2】 リン化合物として、下記一般式(II)
    で表されるホスホネート化合物を添加する、請求項1記
    載の製造方法。 【化2】
  3. 【請求項3】 ポリエステルに可溶なチタン化合物が、
    下記一般式(III)で表される化合物、又は下記一般
    式(III)で表される化合物と下記一般式(IV)で
    表される芳香族多価カルボン酸若しくはその無水物とを
    反応させた生成物である、請求項1記載の製造方法。 【化3】 【化4】
  4. 【請求項4】 ポリエステルに可溶なチタン化合物を、
    全添加量の一部及び/又はその全量をエステル交換反応
    開始前に反応系内に添加し、エステル交換反応触媒と重
    縮合反応触媒とに兼用する、請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 エチレンテレフタレート単位の出発原料
    物質のうち、ジメチルテレフタレートが80mol%以
    上を占める、請求項1記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 エステル交換反応を、0.05〜0.2
    0MPaの加圧下にて実施する、請求項1記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか記載の方法によ
    って得られたポリエステル繊維。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011063894A (ja) * 2009-09-15 2011-03-31 Teijin Fibers Ltd 鮮明性ポリエステル繊維
JP2011063893A (ja) * 2009-09-15 2011-03-31 Teijin Fibers Ltd 鮮明性ポリエステル繊維
CN112323198A (zh) * 2020-09-16 2021-02-05 广东前进牛仔布有限公司 一种抗菌抗病毒纱线及面料及其制造方法

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