JP2017186510A - ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
Description
[I]ポリエステルフィルムであって、前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面(A面)の突起高さが10nm以上の突起に占める突起高さが60nm以上の割合(M60/M10)が0.1以上3.0以下であり、かつ前記ポリエステルフィルムの両面の突起高さが60nm以上の突起密度(M60)が300個/mm2以下であるポリエステルフィルム。
[突起高さが10nm以上の突起に占める突起高さが60nm以上の割合(M60/M10)の求め方]
M60;突起高さが60nm以上の突起密度(個/mm2)
M10;突起高さが10nm以上の突起密度(個/mm2)
(M60/M10)=M60/M10×100
[II]以下の要件を満たす[I]に記載のポリエステルフィルム。
(1)前記ポリエステルフィルムの一方の面(A面)の突起高さが10nm以上の突起に占める突起高さが60nm以上の割合(M60/M10)が0.1以上3.0以下であること。
(2)前記ポリエステルフィルムのA面とは反対側の面(B面)の突起高さが10nm以上の突起に占める突起高さが60nm以上の割合(M60/M10)が0以上0.5以下であること。
(3)A面とB面の静摩擦係数が0.35以下であること。
[III]前記ポリエステルフィルムの両面とも、突起高さが10nm以上の突起密度(M10)が1000個/mm2以上8000個/mm2未満である[I]または[II]に記載のポリエステルフィルム。
[IV]ポリエステルフィルムに含有する粒子の量が、ポリエステルフィルムに対して0.1重量%以下である、[I]から[III]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[V]フィルムヘイズが1.0%以下である[I]から[IV]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[VI]ポリエステルフィルムのCOOH末端基量が15等量/t以上40等量/t以下である、[I]から[V]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[VII]前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面の表面比抵抗が1.0×1013Ω/cm2以下である[I]から[VI]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[VIII]前記ポリエステルフィルムのフィルム表面の算術平均粗さ(Ra)が、両面とも4nm以下である[I]から[VII]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[IX]フィルムの厚みが15μm以上250μm以下である[I]から[VIII]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[X]A面を形成する層が粒子を含有しており、当該粒子の体積基準粒度分布測定を行い横軸を粒径、縦軸を粒子の存在比率としてプロットしたときに得られる粒子の存在比率のチャートの極大のうち最も粒径の大きいピークトップの粒径をd(μm)とし、A面を形成する層の厚みをt(μm)としたとき、t/dが1以上10以下である[II]から[IX]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[XI]ドライフィルムレジスト(DFR)基材用フィルムとして用いられる[I]から[X]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[XII]積層セラミックスコンデンサー(MLCC)製造工程の離型用フィルムとして用いられる[I]から[X]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[XIII]偏光板の欠点検出工程の離型用フィルムとして用いられる[I]から[X]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
本発明でいうポリエステルは、ジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を有してなるものである。なお、本明細書内において、構成成分とはポリエステルを加水分解することで得ることが可能な最小単位のことを示す。かかるポリエステルを構成するジカルボン酸構成成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。
M60;突起高さが60nm以上の突起密度(個/mm2)
M10;突起高さが10nm以上の突起密度(個/mm2)
(M60/M10)=M60/M10×100
一般的に、ポリエステルフィルムの表面には、微細な凹凸が存在する。この凹凸は様々な手段で付与することができ、フィルム表面の凹凸によってフィルムの搬送性、フィルム表面での光散乱性を制御することが可能となる。
(i)Tg(℃)≦T1n(℃)≦Tg+40(℃)
Tg:ポリエステルフィルムのガラス転移温度(℃)
フィルムの長手方向の延伸方法には、ロール感の速度差を用いる方法が好適に用いられる。この際、フィルムが滑らないようにニップロールでフィルムを固定するが、上述の(ハ)の方法によって表面凹凸を制御する場合は、該ニップロールの圧力を0.5MPa以上とすることが好ましい。
(ii)Tmf−35(℃)≦Th0(℃)≦Tmf(℃)
Tmf:フィルムの融点(℃)
(ii)を満たす条件によって二軸延伸フィルムを得ることにより、フィルムに適度な配向を付与せしめ、機械特性の良好なフィルムとすることができる。
A.フィルムの融点(Tmf)(℃)
試料を、JIS K 7121(1999)に基づいた方法により、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置“ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション“SSC/5200”を用いて、下記の要領にて、測定を実施する。
サンプルパンに試料を5mgずつ秤量し、試料を25℃から320℃まで20℃/分の昇温速度で加熱する(1stRUN)。1stRUNの示差走査熱量測定チャート(縦軸を熱エネルギー、横軸を温度とする)を得る。当該1stRunの示差走査熱量測定チャートの、吸熱ピークである結晶融解ピークにおけるピークトップの温度を求め、これを融点(℃)とする。2以上の結晶融解ピークが観測される場合は、最もピーク面積の大きいピークトップの温度を融点とする。
JIS K 7121(1999)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いて、下記の要領にて、測定を実施する。
フィルム厚みは、ダイヤルゲージを用い、JIS K7130(1992年)A−2法に準じて、フィルムを10枚重ねた状態で任意の5ヶ所について厚さを測定した。その平均値を10で除してフィルム厚みとした。
フィルムが積層フィルムである場合、下記の方法にて、各層の厚みを求めた。フィルム断面を、フィルム幅方向に平行な方向にミクロトームで切り出す。該断面を走査型電子顕微鏡で5000倍の倍率で観察し、積層各層の厚み比率を求める。求めた積層比率と上記したフィルム厚みから、各層の厚みを算出する。
COOH末端基量については、Mauliceの方法に準じて、以下の方法にて測定した。(文献:M.J.Maulice,F. Huizinga, Anal.Chim.Acta,22 363(1960))
測定試料(ポリエステル樹脂(原料)または積層体のP1層のみを分離したもの)2gをo−クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)50mLに温度80℃にて溶解し、0.05NのKOH/メタノール溶液によって滴定し、末端カルボキシル基濃度を測定し、当量/ポリエステル1t(eq./t)の値で示した。なお、滴定時の指示薬はフェノールレッドを用いて、黄緑色から淡紅色に変化したところを滴定の終点とした。なお、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、溶液を濾過して不溶物の重量測定を行い、不溶物の重量を測定試料重量から差し引いた値を測定試料重量とする補正を実施した。
製膜中にフィルムが1時間に破れる回数を数え、5回未満であるものをA、5回以上であるものをBとして評価する。Aが最も製膜性がよく、Bが最も劣る。
フィルム、または各層から削りだした試料を1g秤量し、該試料を1N−KOHメタノール溶液200mlに投入して加熱還流し、ポリマーを溶解する。溶解が終了した該溶液に200mlの水を加え、ついで該液体を遠心分離器にかけて粒子を沈降させ、上澄み液を取り除く。粒子にはさらに水を加えて洗浄、遠心分離を2回繰り返し、得られた粒子を乾燥させ、その質量を量ることで粒子の含有量(wt%)を算出する。
F.の方法で得られた粒子の体積基準粒度分布測定を行い横軸を粒径、縦軸を粒子の存在比率としてプロットしたときに得られる粒子の存在比率のチャートの極大値を粒子の粒径とする。複数の極大値が観察される場合は、それぞれの極大値を粒子の粒径とする。体積基準粒度分布測定には、マイクロトラック・ベル株式会社製マイクロトラックEX150を用いる。
小坂研究所製のsurf−corder ET−4000Aを用いて下記条件にて3次元表面粗さを測定し、その後、内蔵されている解析ソフトにて粒子解析(複数レベル)を実施する。測定条件は下記のとおりであり、スライスレベルを10nmの等間隔に設定し、各スライスレベルの平均直径と密度を場所を変えて5回測定し平均値をもって値とする。サンプルセットは、視野測定のX方向が二軸配向ポリエステルフィルムの幅方向になるように試料台にセットする。M10は、測定によって得られた値の10の位を四捨五入した値を示す。
M10:10nmのスライスレベルにおける突起密度(個/mm2)
装置:小坂研究所製“surf−corder ET−4000A”
解析ソフト:i−Face model TDA31
触針先端半径:0.5μm
測定視野 :X方向:380μm ピッチ:1μm
Y方向:280μm ピッチ:5μm
針圧 :50μN
測定速度 :0.1mm/s
カットオフ値:低域−0.8mm、高域-なし
レベリング :全域
フィルター :ガウシアンフィルタ(2D)
倍率 :10万倍
粒子解析(複数レベル)条件
出力内容設定:山粒子
ヒステリシス幅:5nm
スライスレベル等間隔:10nm
I.算術平均粗さRa(nm)
上記H.に記載の装置を用いて、上記に記載の測定条件で表面の3次元粗さを場所を変えて10回測定しその平均値をそれぞれ中心線表面粗さRaとする。
JIS−K 7136(2000年)に準拠し、日本電色工業株式会社製NDH−5000を用い、フィルムからランダムに5カ所選んで測定に供し、平均値を求めてヘイズとする。
25℃、相対湿度65%において試料を24時間放置後、その雰囲気下でアドバンテスト製デジタル超高抵抗/微小電流計R8340Aを用い、印可電圧100Vで測定する。フィルムからランダムに5カ所選んで測定に供し、平均値を求めて表面比抵抗とする。
以下a.からc.の方法により評価を行う。
a.片面鏡面研磨した6インチSiウエハー上に、東京応化(株)製のネガレジスト“PMERN−HC600”を塗布し、大型スピナーで回転させることによって厚み7μmのレジスト層を作製する。次いで、窒素循環の通風オーブンを用いて70℃の温度条件で約20分間の前熱処理を行う。
b.ポリエステルフィルムをレジスト層と接触するように重ね、ゴム製のローラーを用いて、レジスト層上にポリエステルフィルムをラミネートし、その上に、クロム金属でパターニングされたレチクルを配置し、そのレクチル上からI線(波長365nmにピークをもつ紫外線)ステッパーを用いて露光を行う。
c.レジスト層からポリエステルフィルムを剥離した後、現像液N−A5が入った容器にレジスト層を入れ約1分間の現像を行う。その後、現像液から取り出し、水で約1
分間の洗浄を行う。現像後に作成されたレジストパターンのL/S(μm)(Line and Space)=10/10μmの30本の状態を走査型電子顕微鏡SEMを用いて約800〜3000倍率で観察し、パターンに欠けのある本数で以下のように評価する。
A;欠けのある本数が4から8本
B;欠けのある本数が9から13本
C;欠けのある本数が13から15本
D;欠けのある本数が16本以上
Sがレジスト性が最も良好で、Dが最も劣る。
以下d.からf.の方法により評価を行う。
d.ポリエステルフィルムに、架橋プライマー層(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名BY24−846)を固形分1重量%に調整した塗布液を塗布/乾燥し、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、100℃で20秒乾燥硬化する。その後1時間以内に付加反応型シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名LTC750A)100重量部、白金触媒(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名SRX212)2重量部を固形分5重量%に調整した塗布液を、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコートで塗布し、120℃で30秒乾燥硬化した後に巻き取り、離型フィルムを得る。
e.チタン酸バリウム(富士チタン工業(株)製商品名HPBT−1)100重量部、ポリビニルブチラール(積水化学(株)製商品名BL−1)10重量部、フタル酸ジブチル5重量部とトルエン−エタノール(重量比30:30)60重量部に、数平均粒径2mmのガラスビーズを加え、ジェットミルにて20時間混合・分散させた後、濾過してペースト状のセラミックスラリーを調整する。得られたセラミックスラリーを、d.で得られた離型フィルムの上に乾燥後の厚みが2μmとなるように、ダイコーターにて塗布し乾燥させ、巻き取り、グリーンシートを得る。
f.上記で巻き取られたグリーンシートを、繰り出し、離型フィルムから剥がさない状態にて目視で観察し、ピンホールの有無や、シート表面および端部の塗布状態を確認する。なお観察する面積は幅300mm、長さ500mmである。離型フィルムの上に成型されたグリーンシートについて、背面から1000ルクスのバックライトユニットで照らしながら、塗布抜けによるピンホールあるいは、離型フィルム背面の表面転写による凹み状態を観察し、以下のように評価する。Aが製造性最も良好であり、Cが最も劣る。
A:ピンホールも凹みも無い。
B:ピンホールは無く、凹みが3個以内認められる
C:ピンホールが有るか、または凹みが4個以上、もしくはその両方が認められる。
ポリエステルフィルムを10m2(例えば、1m幅で10m長)の範囲、スポットライトを光源とし、反射光及び透過光を用いて、光の散乱に基づく輝点に注目しフィルムの表面を肉眼で検査し、欠点箇所にペンでマークを付ける。さらに、偏光光源を用いて、クロスニコルによる偏向乱れ輝点を検出する方法も併用する。マークした欠点箇所について、実体顕微鏡で窪みの最大径を測定し、最大径3mm以上の窪みについて、ミロー型二光束干渉検鏡装置付実体顕微鏡(Nikon製SMZ−10)を用いて窪み深さを測定し、深さ0.5μm以上で、最大径3mm以上の窪みを窪み欠点として個数を測定する。窪みの深さは得られるλ/2ピッチで得られる干渉縞の乱れを測微接眼レンズで読みとり、(iii)式により求める。深さはフィルム表面から厚み方向への最大深さであり、窪み欠点の周りに盛り上がりを生じている場合は、盛り上がりの頂部から窪みの底部までの最大深さを求める。
(iii)深さ=λ/2×(h/g)
λ:546nm
g:接眼レンズによるλ/2の読みとり値
h:干渉縞の乱れ量
A:窪み欠点数が5個/m2以下
B:窪み欠点数が6個/m2以上10個m2以下
C:窪み欠点数が11個/m2以上
なお、上記の測定において、測定するフィルムの長手方向や幅方向が分からない場合は、フィルムにおいて最大の屈折率を有する方向を長手方向、長手方向に直行する方向を幅方向とみなす。また、フィルムにおける最大の屈折率の方向は、フィルムの全ての方向の屈折率を屈折率計で測定して求めてもよく、位相差測定装置(複屈折測定装置)などにより遅相軸方向を決定することで求めてもよい。
A層、B層を構成する樹脂としてPET−A、MB−A、MB−Cを用い、粒子含有量が表の通りとなるように原料をブレンドし、160℃で2時間真空乾燥した後押出機1に投入した。また、内層(C層)を構成する樹脂としてPET−A100重量部を160℃で2時間真空乾燥した後、押出機2に投入した。押出機内でそれぞれの原料を280℃で溶融させ、合流装置で押出機1に投入した樹脂がフィルムのA層、B層となるように合流させ、表面温度25℃のキャスティングドラム上に押し出し、3層構造をもつ積層シートを作製した。続いて該シートを加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度で長手方向(MD方向)に3.5倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の110℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に4.0倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで230℃の温度で10秒間の熱固定を施した。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、巻き取って、厚さ16μmのフィルムを得た。フィルムの各特性を表に示す。また、A層にレジスト層を積層してレジスト性評価を行った。粗大突起の割合(M60/M10)が小さく、DFRの基材として用いた場合に、レジスト性良好で充分に使用できるものであった。また、セラミックグリーンシート製造性は良好であり、かつ、窪み欠点数とも少なく、MLCC製造工程の離型用フィルム、偏光板の欠点検出工程の離型用フィルムとして充分に使用できるものであった。
樹脂の組成、製膜条件を表の通りに変えた以外は、実施例1と同様に製膜を行った。フィルムの特性を表に示す。粗大突起の割合(M60/M10)が小さく、DFRの基材として用いた場合に、レジスト性良好で充分に使用できるものであった。また、MLCC製造工程の離型用フィルム、偏光板の欠点検出工程の離型用フィルムとして充分に使用できるものであった。
A層を構成する樹脂としてPET−A、MB−A、MB−Cを用い、粒子含有量が表の通りとなるように原料をブレンドし、160℃で2時間真空乾燥した後押出機1に投入した。また、PET−A100重量部を160℃で2時間真空乾燥した後、押出機2に投入した。押出機内でそれぞれの原料を280℃で溶融させ、2層構造となる積層シートを作製した。続いて該シートを加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度で長手方向(MD方向)に3.5倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の110℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に4.0倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで230℃の温度で10秒間の熱固定を施した。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、巻き取って、厚さ16μmのフィルムを得た。フィルムの各特性を表に示す。B層にレジスト層を積層してレジスト評価を実施したところ、良好なレジスト性で充分に使用できるものであった。また、B層のグリーンシート製造性は良好であり、かつA層、B層ともに窪み欠点数が少なく、MLCC製造工程の離型用フィルム、偏光板の欠点検出工程の離型用フィルムとして充分に使用できるものであった。
A層を構成する樹脂としてPET−A、MB−A、MB−Cを用い、粒子含有量が表の通りとなるように原料をブレンドし、160℃で2時間真空乾燥した後押出機1に投入した。また、B層を構成する樹脂としてPET−A、MB−Eを用い、粒子含有量が表の通りとなるように原料をブレンドし、160℃で2時間真空乾燥した後押出機2に投入した。また、内層(C層)を構成する樹脂としてPET−A100重量部を160℃で2時間真空乾燥した後、押出機3に投入した。合流装置で押出機1に投入した樹脂がフィルムのA層、押出機2に投入した原料がB層、押出機3に投入した原料がC層となるように合流させ、表面温度25℃のキャスティングドラム上に押し出し、3層構造をもつ積層シートを作製し、実施例1と同様の方法で厚み16μmのフィルムを得た。フィルムの各特性を表に示す。
A層、B層を構成する樹脂としてPET−A、MB−Cを用い、表に記載の通りの組成となるように押出機に投入し、キャスト温度を50℃とした以外は実施例1と同様にして厚み16μmのフィルムを製膜した。フィルムの結晶化により微細な突起が形成でき、DFRの基板として使用に耐えるものであった。
A層、B層を構成する樹脂としてPET−A、MB−Cを用い、表に記載の通りの組成となるように押出機に投入し、ニップ圧を0.5MPaとした以外は実施例1と同様にして厚み16μmのフィルムを製膜した。延伸時に圧力をかけることにより大きな突起がつぶされて微細な突起が形成でき、DFRの基板として使用に耐えるものであった。
A層を構成する樹脂としてPET−A、MB−A、MB−Bを用いた以外は実施例10と同様にして厚さ16μmのフィルムを得た。フィルムの各特性を表に示す。実施例10と同様にB層側にレジスト層を積層し、レジスト評価を実施したところ、レジスト性良好であった。
また、グリーンシート製造性、窪み欠点数を評価したところ、MLCC製造工程用の離型フィルム、偏光板の欠点検出工程の離型用フィルムとして充分に使用できるものであった。
A層を構成する樹脂としてPET−A、MB−I、MB−Jを用いた以外は実施例10と同様にして厚さ16μmのフィルムを得た。フィルムの各特性を表に示す。実施例10と同様にB層側にレジスト層を積層し、レジスト評価を実施したところ、屈折率1.50のアクリル粒子を使用したため、レジスト性が非常に良好であった。
A層に用いる樹脂を、実施例21ではPET−A、MB−F、MB−H、実施例22、23ではPET−A、MB−B、MB−Eとした以外は、実施例10と同様に厚さ16μmのフィルムを製膜し、実施例10と同様にしてDFR基材としての評価を実施した。いずれも、良好なレジスト性を示すことがわかった。
フィルム厚みを表の通りに変えた以外は、実施例10と同様にフィルムを得た。実施例10と同様にDFR基材としての評価を実施した。実施例26ではフィルムの厚みがやや厚く、レジスト性にやや劣るが充分使用できるものであった。
A層に用いるPET樹脂をPET−Bに変え、表に記載の粒子含有量となるようにMB−A、MB−C、MB−Cを用いて実施例10を参考にフィルムを製膜し、得られたフィルムを、実施例10と同様にしてDFR基材としての評価を実施した。表面比抵抗が小さく、非常に良好なレジスト性を示すことがわかった。
また、グリーンシート製造性、窪み欠点数を評価したところ、MLCC製造工程用の離型フィルム、偏光板の欠点検出工程の離型用フィルムとして充分に使用できるものであった。
A層に用いるPET樹脂をPET−Cに変え、表に記載の粒子含有量となるようにMB−A、MB−C、MB−Cを用いて実施例10を参考にフィルムを製膜し、実施例10と同様にして、得られたフィルムのDFR基材としての評価を実施した。実施例27、29に比べてさらに表面比抵抗が小さく、非常に良好なレジスト性を示すことがわかった。
また、グリーンシート製造性、窪み欠点数を評価したところ、MLCC製造工程用の離型フィルム、偏光板の欠点検出工程の離型用フィルムとして充分に使用できるものであった。
C層に用いる樹脂にMB−Aを添加した以外は、実施例10と同様にフィルムを製膜した。粒子の量が増えたため、DFR基材として用いる場合にはややレジスト性に劣るが、使用に耐えるものであった。
また、グリーンシート製造性、窪み欠点数を評価したところ、MLCC製造工程用の離型フィルム、偏光板の欠点検出工程の離型用フィルムとしての使用に耐えるものであった。
A層、B層に用いる樹脂として、比較例1、2、5ではPET−A、MB−A、MB−C、比較例3ではPET−AとMB−A、比較例9、10ではPET−A、MB−A、MB−D、比較例11、12ではPET−A、MB−C、比較例13、14ではPET−A、MB−B、MB−Lを用いて、表に記載の粒子含有量、延伸条件となるように、実施例1と同様に厚み16μmのフィルムを得、DFR基材としてレジスト性を評価した。
A層のt/dを表に記載の通りに変えた以外は、実施例10と同様にしてフィルムを製膜し、DFR基材としての評価を実施した。t/dが大きく、M60/M10が大きくなるためレジスト性が悪く、DFR基材としての使用に耐えない。また、MLCC製造工程用の離型フィルム、偏光板の欠点検出工程の離型用フィルムとしても使用に耐えない。
比較例6では、A層を構成する樹脂としてPET−A、MB−G、MB−K、B層を構成する樹脂としてはPET−A、MB−Fを用いて、比較例7ではA層を構成する樹脂としてPET−A、MB−H,MB−K、B層を構成する樹脂としてPET−A、MB−Fを用いて、表の記載の通りの構成となるように実施例10と同様にしてフィルムを製膜した。A層のt/dが大きく、M60/M10が大きくなるためレジスト性が悪く、DFR基材としての使用に耐えない。また、MLCC製造工程用の離型フィルム、偏光板の欠点検出工程の離型用フィルムとしても使用に耐えない。
A層を構成する樹脂としてPET−A、MB−G、MB−K、B層を構成する樹脂としてはPET−A、MB−Fを用いて、表に記載の通りの構成となるように、実施例9同様に2層構成の厚み5μmのフィルムを製膜した。M60/M10が大きくなるためレジスト性が悪く、DFR基材としての使用に耐えない。また、厚みが薄いため、製膜性にも劣る。また、MLCC製造工程用の離型フィルム、偏光板の欠点検出工程の離型用フィルムとしても使用に耐えない。
Claims (13)
- ポリエステルフィルムであって、前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面(A面)の突起高さが10nm以上の突起に占める突起高さが60nm以上の割合(M60/M10)が0.1以上3.0以下であり、かつ前記ポリエステルフィルムの両面の突起高さが60nm以上の突起密度(M60)が300個/mm2以下であるポリエステルフィルム。
[突起高さが10nm以上の突起に占める突起高さが60nm以上の割合(M60/M10)の求め方]
M60;突起高さが60nm以上の突起密度(個/mm2)
M10;突起高さが10nm以上の突起密度(個/mm2)
(M60/M10)=M60/M10×100 - 以下の要件を満たす請求項1に記載のポリエステルフィルム。
(1)前記ポリエステルフィルムの一方の面(A面)の突起高さが10nm以上の突起に占める突起高さが60nm以上の割合(M60/M10)が0.1以上3.0以下であること。
(2)前記ポリエステルフィルムのA面とは反対側の面(B面)の突起高さが10nm以上の突起に占める突起高さが60nm以上の割合(M60/M10)が0以上0.5以下であること。
(3)A面とB面の静摩擦係数が0.35以下であること。 - 前記ポリエステルフィルムの両面とも、突起高さが10nm以上の突起密度(M10)が1000個/mm2以上8000個/mm2未満である請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
- ポリエステルフィルムに含有する粒子の量が、ポリエステルフィルムに対して0.1重量%以下である、請求項1から3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
- フィルムヘイズが1.0%以下である請求項1から4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
- ポリエステルフィルムのCOOH末端基量が15等量/t以上40等量/t以下である、請求項1から5のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
- 前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面の表面比抵抗が1.0×1013Ω/cm2以下である請求項1から6のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
- 前記ポリエステルフィルムのフィルム表面の算術平均粗さ(Ra)が、両面とも4nm以下である請求項1から7のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
- フィルムの厚みが15μm以上250μm以下である請求項1から8のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
- A面を形成する層が粒子を含有しており、当該粒子の体積基準粒度分布測定を行い横軸を粒径、縦軸を粒子の存在比率としてプロットしたときに得られる粒子の存在比率のチャートの極大のうち最も粒径の大きいピークトップの粒径をd(μm)とし、A面を形成する層の厚みをt(μm)としたとき、t/dが1以上10以下である請求項2から9のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
- ドライフィルムレジスト(DFR)基材用フィルムとして用いられる請求項1から10のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
- 積層セラミックスコンデンサー(MLCC)製造工程の離型用フィルムとして用いられる請求項1から10のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
- 偏光板の欠点検出工程の離型用フィルムとして用いられる請求項1から10のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
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