JP4311008B2 - セラミックシート製造用離型フィルムロール、セラミックシート製造用離型フィルム積層体ロール、及びセラミックシートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は加熱張力下における寸法変化率の小さい離型フィルムに関し、詳しくはセラミックシート製造用の離型フィルムロール、離型フィルム積層体ロール、及びセラミックシートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、離型フィルムは、積層セラミックコンデンサ用セラミックシート等を製造する際のキャリアフィルムとして用いられる。セラミックシートは、例えば離型層が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなるキャリアフィルムの上に、蒸着等により内部電極となる金属膜を形成させた後、セラミック粉体とバインダー剤等を溶媒に分散させたスラリーをリバースロール法により塗布し、溶媒を加熱乾燥除去後、さらにキャリアフィルムを剥離除去することにより製造される。上記のようにして製造された金属膜セラミック一体化シートを、所望の寸法で積層し、熱プレス後、矩形状に切断することによりチップ状の積層体とされる。積層セラミックコンデンサは、このチップ状の積層体を焼成し、焼成体の所定の表面に外部電極を形成することにより得ることができる。
【0003】
近年、積層セラミックコンデンサ等のコンデンサの分野において、回路部品の高密度化に伴い、薄層セラミックコンデンサの小型化及び高性能化が望まれており、積層セラミックコンデンサの小型化及び高性能化を図るためには、セラミック層の厚みを薄くし、内部電極をさらに多層化する必要が生じてきた。
【0004】
しかしながら、このようにセラミック層の厚みを薄くしたり、積層枚数を増やしたりすると、内部電極の位置ずれ、セラミックシート剥離不良、ピンホール発生による不良を生じ、生産性が低下するという問題があった。
【0005】
セラミックシート等の製造におけるキャリアフィルムの熱変形の問題に対して、例えば、120℃における1.47MPa応力下での寸法変化率の絶対値が長手方向および幅方向共に0.3%以下の離型フィルムが提案されている(特許文献1参照。)。ところが、セラミックシートは、通常100℃付近の温度下、1.47MPa以上の張力下、例えば長手方向に4.7MPaの張力下で製造されるため、1.47MPaという低い応力下でのフィルム長手方向と幅方向のそれぞれの熱収縮率が低いフィルムを用いるだけでは、積層時に内部電極の位置ずれを生じる場合があった。
【0006】
さらに、セラミックシート層の厚みの薄層化が進むにつれて、離型フィルムの平滑化が要求されている。フィルムの平滑化に伴い、従来は問題とならなかった離型フィルム表面のキズや異物などの微細な表面欠点に起因するセラミックシートのピンホール欠点の問題が顕在化してきた。これは、離型フィルム表面のキズは、離型フィルムの離型層表面に対して主として凹状になるため、当該箇所にセラミックシート層を塗布した場合、セラミックシート層の厚みが薄くなり、ピンホールの原因になりやすいためである。また、離型フィルムの離型層表面に付着する異物や、離型層及び基材フィルムの内部に存在する異物は、離型層表面に対し凸状となるため、当該箇所にセラミックシート層を塗布した場合、セラミックシート層も凸状に形成されるためである。このため、セラミックシート層が設けられる離型層表面全体の凹凸を平滑化するだけでなく、離型層表面の微細な欠点もさらに低減することが必要となってきた。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−343663号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、セラミックシートコンデンサのキャリアフィルムとして用いた場合に、内部電極の位置ずれを抑制することができ、また、セラミックシート製造時のセラミックシート層の剥離性、離型層面の平滑性に優れ、かつキズや異物などの微細な表面欠点の少ないセラミックシート製造用離型フィルムを巻きとってなるセラミックシート製造用離型フィルムロール、セラミックシート製造用積層体ロール、及び生産性の良好なセラミックシートの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、より高い張力下において、セラミックシート製造用離型フィルムの長手方向と幅方向の寸法変化率の差を特定の範囲内に収めることにより、セラミックシートを積層セラミックコンデンサとして用いた場合に内部電極の位置ずれを抑制することができ、さらに離型層表面全体を平滑化し、かつ微細な表面欠点も低減することでセラミックシートのピンホール欠点を低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の第1の発明は、少なくとも一方の表面に離型層を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセラミックシート製造用離型フィルムを巻きとってなるセラミックシート製造用離型フィルムロールであって、該セラミックシート製造用離型フィルムの長手方向に4.7MPaの張力を加え、100℃で5分間熱処理した時の長手方向及び幅方向の寸法変化率が下記式(1)及び(2)を満足し、かつ、該セラミックシート製造用離型フィルムの離型層表面は表面粗さが15nm以下であり、高低差0.5μm以上の表面欠点が5個/m 2 以下であることを特徴とするセラミックシート製造用離型フィルムロール。
|ΔL TD −ΔL MD | ≦0.8 式(1)
−0.6≦ ΔL MD ≦0.6 式(2)
但し、ΔL MD はフィルム長手方向の寸法変化率(%)、ΔL TD はフィルム幅方向の寸法変化率(%)である。
【0011】
また、本発明の第2の発明は、上記セラミックシート製造用離型フィルムの離型層表面に、セラミックシート層が積層されてなるセラミックシート製造用離型フィルム積層体を巻きとってなるセラミックシート製造用離型フィルム積層体ロールであって、該離型層が硬化性シリコーン樹脂からなり、該セラミックシート層表面のダイナミック硬度Aと該セラミックシート製造用離型フィルムの離型層表面のダイナミック硬度Bとの差の絶対値が下記式(3)を満足することを特徴とするセラミックシート製造用離型フィルム 積層体ロールである。
|A−B| <20gf/μm2 式(3)
【0012】
さらに、本発明の第3の発明は、該二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが無機系滑剤微粒子を含有することを特徴とする請求項1記載のセラミックシート製造用離型フィルムロールである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のセラミックシート製造用離型フィルムロールに用いられるセラミックシート製造用離型シートは、少なくとも一方の表面に離型層を有するポリエステルフィルムであることが好ましい。上記ポリエステルフィルムを構成するポリエステル系樹脂の種類は特に限定されず、離型フィルムの基材に一般的に使用されるポリエステル系樹脂使用することができる。これらのポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、若しくはこれらの共重合体であるポリエステル系樹脂等が挙げられる。
【0014】
本発明においては、特にポリエチレンテレフタレートを原料として二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが、力学的性質、耐熱性、透明性、価格等の点から好適である。
【0015】
本発明において、上記ポリエステルフィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる場合、構成成分として他のジカルボン酸成分及び/又はグリコール成分を含有するポリエチレンテレフタレートの共重合体を用いてもよい。そのようなジカルボン酸成分としてはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、トリメリト酸、ピロメリト酸等の多官能カルボン酸等が用いられる。また、グリコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪酸グリコール、p−キシレングリコール等の芳香族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、平均分子量が150〜20000のポリエチレングリコール等が用いられる。この場合、上記ポリエチレンテレフタレート共重合体を構成する成分のうち、他の共重合成分の質量比率は20質量%未満であることが好ましく、20質量%以上ではフィルム強度、透明性、耐熱性が劣る傾向がある。
【0016】
また、上記ポリエステルフィルムに使用されるポリエステル系樹脂は、本発明においては、フィルム原料となる樹脂ペレットを0.4g/dlの濃度でパラクロロフェノール/テトラクロロエタン=6/4混合溶媒に溶解させ、30℃において測定したときの固有粘度が、0.45〜0.70dl/gの範囲であることが好ましい。固有粘度が0.45dl/g未満であると、ポリエステルフィルムの製膜時に破断が多発する傾向がある。一方、固有粘度が0.70dl/gより大きいと、濾圧上昇が大きくなりフィルム製造時の高精度濾過が困難となる傾向がある。
【0017】
上記ポリエステルフィルムには、滑剤微粒子を添加することにより、ポリエステルフィルムの作業性(滑り性)を良好なものとすることが好ましい。滑剤微粒子としては任意のものを選べるが、例えば無機系滑剤微粒子としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。また、有機系滑剤微粒子としては、例えばシリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等が挙げられる。
【0018】
本発明において、上記ポリエステルフィルムに上記滑材微粒子を配合する方法としては特に限定されず、例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、原料となるポリエステル系樹脂のエステル化の段階、若しくはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の段階において、エチレングリコール等に分散させた滑材微粒子のスラリーを添加し、重縮合反応を進めることが好ましい。また、ベント付き混練押出機を用いてエチレングリコール又は水などに分散させた滑材微粒子のスラリーとポリエステル系樹脂原料とをブレンドする方法、または混練押出機を用いて乾燥させた滑剤微粒子とポリエステル系樹脂原料とをブレンドする方法などによっても行うことができる。
【0019】
なかでも、ポリエステル系樹脂原料のモノマー液の一部に上記滑剤微粒子を均質分散させて得られたスラリーを濾過したものを、エステル化反応前、エステル化反応中、又はエステル化反応後のモノマー液の残部に添加する方法を用いることがより好ましい。この方法によると、モノマー液が低粘度のため、滑材微粒子の均質分散やスラリーの高精度な濾過が容易に行えると共に、原料の残部に添加する際に、粒子の分散性が良好になりやすくなる。特に、エステル化反応前の低温状態のポリエステル系樹脂のモノマー液の残部に添加することが好ましい。また、予め滑材微粒子を含有するポリエステル樹脂ペレットを得た後、そのペレットと滑材微粒子を含有しないポリエステル樹脂ペレットとを混練押出し等する方法(マスターバッチ法)を用いてもよい。
【0020】
また、本発明においては、上記ポリエステル系樹脂のペレットは、滑剤微粒子の含有の有無に関わらず、十分に真空乾燥させて用いることが好ましい。
【0021】
本発明のセラミックシート製造用離型フィルムの基材として用いられるポリエステルフィルムの製造方法としては、特に限定されず、一般に使用される方法を用いることができる。例えば、本発明においては、構成材料であるポリエステル系樹脂原料と、必要に応じて易滑性付与を目的とした滑剤微粒子とを押出し機に供給し、溶融フィルム状に溶融押出しし、冷却固化させることにより未延伸フィルムを得て、得られた未延伸シートを長手方向(縦方向)または幅方向(横方向)に一軸延伸後、フィルム端部をクリップ等で把持して、さらに幅方向あるいは長手方向に逐次二軸延伸する方法により、二軸延伸フィルムを得ることが好ましい。また、得られた二軸延伸フィルムには、結晶配向を完了させるために熱固定処理を施すことが好ましい。次いで、得られた二軸延伸フィルムをロール状に巻きとり、所望するサイズにスリットすることが好ましい。
【0022】
上記ポリエステルフィルムの製膜方法については特に限定されないが、所望の寸法変化率を得る方法の一つとして、フィルムの製造条件を調整することが好ましい。
【0023】
上記ポリエステルフィルムの延伸条件としては特に限定されないが、延伸温度は構成材料であるポリエステル系樹脂の二次転移点(Tg)以上昇温結晶化温度(Tc)未満とすることが好ましい。また、長手方向の延伸倍率としては、2.5〜4.0倍であることが好ましく、3.0〜3.6倍であることがより好ましい。長手方向の延伸倍率が2.5倍未満であるとフィルムの平面性が低下しやすくなり、4.0倍を超えると長手方向の配向が強くなり、熱固定処理工程での加熱により、フィルム両端部において幅方向と長手方向の寸法変化率の差が大きくなりやすい。さらに、幅方向の延伸倍率としては、3.0〜5.0倍であることが好ましく、3.6〜5.0倍であることがより好ましい。幅方向の延伸倍率が3.0倍未満であるとフィルムの平面性が低下しやすく、5.0倍を超えるとフィルムの延伸時に破断が生じやすくなる。
【0024】
また、熱固定処理の条件としては特に限定されないが、熱固定処理温度としては、170〜240℃であることが好ましい。熱固定処理温度が170℃未満であると、後述の離系層の塗布、乾燥処理において、フィルムに皺などが発生しやすくなり、平面性が低下しやすくなる。熱固定処理温度が240℃を超えると、フィルムが不透明になりやすい。
【0025】
さらに、所望の寸法変化率を得るために、上記熱固定処理中において、必要に応じて、把持具のガイドレールを先狭めにして弛緩処理を施してもよく、幅方向又は長手方向に1〜12%の弛緩処理を施すことが好ましく、幅方向の弛緩率は1〜5%であることがより好ましい。これにより、特に幅方向の寸法変化率を小さくすることができる。幅方向の弛緩率が1%未満では効果が少なく、5%を超えるとフィルムの平面性が悪化しやすくなる。
【0026】
また、上記溶融押出しの際、溶融状態にあるポリエステル系樹脂中に含まれる異物を除去するために高精度濾過を行うことが好ましい。
【0027】
本発明に用いられる上記ポリエステルフィルムは、単層であっても、それぞれ同種あるいは異種のポリエステル系樹脂からなる2層以上の多層構成であっても構わない。離型層を塗布する面をI層、その反対面をII層、これら以外の面をIII層とすると、フィルム厚み方向の層構成は、I/II、あるいは、I/III/II等の構成が挙げられる。これらの積層フィルムは公知の方法を用いて製造される。
【0028】
例えば、粒子を含有していないフィルムを上記I層として、この表面に滑材微粒子を含有するポリエステル溶液を塗布し、乾燥させて上記II層を形成させる方法や、上記I層を形成する滑材微粒子を含有していないポリエステル系樹脂原料と、上記II層を形成する滑材微粒子を含有するポリエステル系樹脂原料とを別々の押出し機において可塑化したものを、一組の共通ダイに導き積層してキャストする共押出し法などが用いられる。
【0029】
本発明に用いられる上記ポリエステルフィルムの好ましいフィルム幅は、特に制限はないが、好ましくは200mm以上6000mm以下である。
【0030】
本発明に用いられる上記ポリエステルフィルムは、本発明の特性を阻害しない範囲で、滑材微粒子以外の他の粒子を含んでいてもよい。
【0031】
また、所望の寸法変化率を得るための手段の一つとして、本発明に用いられる上記ポリエステルフィルムに150℃で30分間熱処理を施した後の長手方向の熱収縮率は、0.3%以上1.5%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8%以上1.3%以下である。また、フィルム幅方向の熱収縮率は、0.5%以下であることが好ましい。これらの範囲外であると、後述の離型層形成用塗布液をフィルムに塗布・乾燥した後に、フィルム幅方向と長手方向の寸法変化率の差の絶対値が0.8%より大きくなりやすくなる。
【0032】
本発明に用いられるセラミックシート製造用離型フィルムは、少なくとも一方の表面に離型層を有する必要があり、上記のポリエステルフィルムのような素材の表面に離型層を積層させることによって得ることができる。
【0033】
本発明に用いられるセラミックシート製造用フィルムの離型層の構成成分は特に限定されず、セラミックシート製造用離型フィルムの離型層として公知の材料を使用することができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂、硬化性シリコーン樹脂、アルキッド樹脂等の樹脂が挙げられるが、後述のセラミックシート製造時における剥離性能が優れていることから、硬化性シリコーン樹脂が好適である。
【0034】
上記離型層に用いる樹脂を硬化性シリコーン樹脂とした場合、その種類は溶剤付加型、溶剤縮合型、溶剤紫外線硬化型、無溶剤付加型、無溶剤縮合型、無溶剤紫外線硬化型、無溶剤電子線硬化型等が挙げられるが、いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。
【0035】
上記離型層に用いる樹脂として使用できる硬化性シリコーン樹脂の市販されているものの具体例としては、例えば、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、KNS−305、KNS−3000、X−62−1256、ダウ・コーニング・アジア(株)製DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、東芝シリコーン(株)製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
本発明において、上記離型層の乾燥硬化後の塗布量は、0.02g/m2以上0.20g/m2以下であることが好ましい。離型層の塗布量が0.02g/m2未満になると、剥離性能が低下しやすい。一方、離型層の塗布量が0.20g/m2を超えると、離型層の硬化時間が長くなり、生産性が悪くなりやすい。
【0037】
本発明において、上記離型層の形成方法としては特に限定されず、上記離型層を構成する樹脂を上記ポリエステルフィルムに塗布・乾燥後、硬化させ、層形成する方法を用いることができる。上記離型層を構成する樹脂の上記ポリエステルフィルムなどの素材の表面への塗工方法は、例えば、上記樹脂を必要に応じて有機溶剤、例えばトルエン、メチルエチルケトン等で希釈して離型層形成用塗布液とし、塗布する方法が挙げられる。塗布する方法としては、バーコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、エアドクターコート法、ドクターブレードコート法等、従来より公知の塗布方法を用いることができる。
【0038】
本発明において、上記離型層は上記ポリエステルフィルムなどの素材の片面にのみ設けてもよいし、両面に設けてもよい。また、片面にのみ離型層を設けた場合には、その反対面に、必要に応じて帯電防止層等を設けてもよい。
【0039】
また、本発明において、上記離型層の塗布後の乾燥方法は特に限定されないが、空気浮上搬送式の離型層乾燥処理法を用いることが好ましい。この方法によれば、ポリエステルフィルムなどの素材の製造時のフィルム両端部近辺においても、離型層形成後のフィルムの幅方向と長手方向の寸法変化率を本発明の範囲に収めることができる。
【0040】
なお、空気浮上搬送式の離型層乾燥処理方法とは、空気流を下方及び上方から交互にフィルムに吹き付け、フィルムを緩やかな正弦曲線状に浮上させながら水平方向に移動させ、その間に加熱し、離型層を乾燥する方式である。離型層を乾燥させる場合、ロール等がフィルムに接触しない利点がある。この方法以外にも、ロール搬送式があるが、乾燥中にフィルムがロールに接触し、フィルム表面に傷が発生する場合がある。
【0041】
本発明において、空気浮上搬送式の離型層乾燥処理方法を用いる場合、乾燥時に空気流をフィルムの下方及び上方から交互にフィルムに吹き付ける際の吹き付け口の間隔は、フィルム長手方向において、下方及び上方ともに50cm以下であることが好ましく、より好ましくは40cm以下である。この範囲外であると、乾燥時のフィルム幅方向及び長手方向に温度分布が生じやすく、寸法変化率の差が大きくなりやすい。また、搬送中のフィルムが弛みやすくなり、フィルム上の傷等の発生の原因となりやすい。
【0042】
また、上記空気流の風速は、10m/秒以上30m/秒以下であることが好ましい。風速が10m/秒未満では乾燥が不十分になりやすく、30m/秒を超えると平面性が悪化しやすい。
【0043】
本発明におけるセラミックシート製造用離型フィルムは、離型層表面における高低差0.5μm以上の表面欠点が5個/m2以下であることが必要であり、好ましくは3個/m2以下である。高低差0.5μm以上の表面欠点を5個/m2以下とするためには、前記の離型層の乾燥処理時に用いる空気として、濾過した空気を使用することが重要である。特に、粗いフィルターで濾過した空気を、孔径の細かいフィルターで高精度濾過する等の方法を採用することが好ましい。濾過していない空気を使用した場合には、キズの発生の原因となりやすい。また、離型層形成用塗布液の塗布は、離型層形成剤への異物混入を防止するために、クラス5,000以下の環境下で行うことが好ましい。なお、クラス5,000とは、0.5μm以上の径の塵等の物質が、1ft3中に5,000個以下の雰囲気のことであり、米国連邦規格Fed−Std−209Eに基づいて測定したものである。また、本発明においては、上記乾燥処理時に使用する空気としては、乾燥空気を用いることが好ましい。
【0044】
なお、本発明において、表面欠点とは、光学的に50μm以上の大きさと認識されるフィルム上の欠点をいう。
【0045】
本発明における上記離型層の乾燥処理時の張力としては、600kPa以上4,000kPa以下であることが好ましく、1,000kPa以上3,000kPa以下であることがより好ましい。この範囲外であると、フィルム幅方向と長手方向の寸法変化率の差が大きくなりやすい。
【0046】
また、本発明における上記離型層の乾燥処理時のセラミックシート製造用離型フィルムの乾燥長さは、1m以上50m以下であることが好ましい。乾燥長さが1m未満では、乾燥時間が短く、離型層が十分硬化しにくい。また、乾燥長さが50mを超えるとフィルムが蛇行し易くなり、平面性が低下しやすい。
【0047】
本発明における上記離型層の乾燥処理時のセラミックシート製造用離型フィルムの搬送速度は、1m/秒以上であることが好ましい。この範囲外であると、生産性が低下しやすくなる。
【0048】
本発明における上記離型層の乾燥時間は、10秒以上60秒以下であることが好ましく、より好ましくは12秒以上20秒以下である。乾燥時間が10秒未満であると、離型層が十分硬化しにくくなる。また、乾燥時間が60秒を超えるとフィルム幅方向と長手方向の寸法変化率の差が大きくなりやすい。
【0049】
本発明における上記離型層の乾燥温度は、80℃以上200℃以下であることが好ましく、90℃以上170℃以下であることがより好ましい。乾燥温度が80℃未満では100℃で5分間フィルムに熱処理を施した場合のフィルムの寸法変化率を小さくすることが難しい。また、乾燥温度が200℃を超えると平面性が悪化し易く、フィルムが白くなることがある。
【0050】
本発明における上記離型層の乾燥後の冷却方法は特に限定されないが、30℃以上であり、かつ上記セラミックシート製造用離型フィルムの乾燥温度未満である冷却ロールを用いて一旦冷却し、必要に応じて更に室温まで冷却することが好ましい。冷却ロールを用いることによって、フィルム幅方向および長手方向に渡って、均一に冷却することができる。冷却ロールの温度がこの範囲外であると、平面性が悪くなりやすく、フィルム幅方向と長手方向の寸法変化率の差が大きくなりやすい。
【0051】
本発明において、上記冷却ロールによって冷却される際のフィルムの冷却速度は、30℃/秒以下であることが好ましく、より好ましくは25℃/秒以下である。冷却速度が30℃/秒を超えると平面性が悪くなりやすく、フィルム幅方向と長手方向の寸法変化率の差が大きくなりやすい。
【0052】
なお、上記冷却速度は、空気浮上搬送式の乾燥装置を出る時のフィルム温度をT1、冷却ロールを通過する時のフィルム温度をT2、乾燥装置を出てから冷却ロールを通過するのに要する時間をt秒とした場合に、(T1−T2)/tで表される。なお、フィルム温度は、非接触式の赤外線式温度計を用いて測定することが好ましい。
【0053】
本発明のセラミックシート製造用離型フィルムロールに用いられるセラミックシート製造用離型フィルムは、長手方向に4.7MPaの張力を加え、100℃で5分間熱処理した時の長手方向及び幅方向の寸法変化率が下記式(1)及び(2)を満足することが必要である。
|ΔLTD−ΔLMD| ≦0.8 式(1)
−0.6≦ ΔLMD ≦0.6 式(2)
但し、ΔLMDはフィルム長手方向の寸法変化率(%)、ΔLTDはフィルム幅方向の寸法変化率(%)である。これにより、本発明のセラミックシート製造用離型フィルムは、セラミックシート製造の際のキャリアフィルムとして用いた際に、セラミック粉体とバインダー剤等を溶媒に分散させたセラミックスラリーをキャリアフィルム上に塗布し、長手方向に4.7MPaの張力、温度100℃前後の一般的な熱処理によりセラミックスラリー中の溶媒の除去乾燥を行った場合であっても、長手方向に4.7MPaの張力を加え、100℃で5分間熱処理をした時におけるフィルムの寸法安定性が高いため、良好な品質のセラミックシートを得ることができるキャリアフィルムとして好適に使用することができる。
【0054】
本発明に用いられるセラミックシート製造用離型フィルムは、フィルム長手方向に4.7MPaの張力を加え、100℃で5分間熱処理した時に、上記式(1)を満たす必要があるが、|ΔLTD−ΔLMD|の値が0.4%以下であることが好ましく、より好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは0%である。|ΔLTD−ΔLMD|の値が0.8%より大きくなると、内部電極がフィルムの長手方向と幅方向に移動する距離が異なるため、内部電極の位置ずれが生じやすくなり、セラミックシートの生産性が低下する。
【0055】
本発明のセラミックシート製造用離型フィルムは、上記式(2)において、ΔLMDが−0.6%以上0.6%以下であることが必要であるが、−0.3%以上0.3%以下であることが好ましく、−0.15%以上0.15%以下であることがより好ましい。なお、寸法変化率が負の値(マイナス)の場合は伸びを意味する。本発明において、ΔLMDがこの範囲外になると、後述のセラミックスラリーをセラミックシート製造用離型フィルム上に塗布し、溶媒の加熱乾燥除去を行う工程において、セラミックシート製造用離型フィルムが変形しやすくなり、均一な厚みで平滑な表面のセラミックシートを得ることができない。
【0056】
また、本発明のセラミックシート製造用離型フィルムは、フィルム長手方向に4.7MPaの張力を加え、100℃で5分間熱処理した時の幅方向の寸法変化率ΔLTDが−0.6%以上0.6%以下であることが好ましく、より好ましくは−0.3%以上0.3%以下である。なお、寸法変化率が負の値(マイナス)の場合は伸びを意味する。本発明において、ΔLTDがこの範囲外になると、後述のセラミックスラリーをセラミックシート製造用離型フィルム上に塗布し、溶媒の加熱乾燥除去を行う工程において、セラミックシート製造用離型フィルムが変形しやすくなり、均一な厚みで平滑な表面のセラミックシートを得にくくなる。
【0057】
ここで、ΔLTDとΔLMDの値が各々小さければ、セラミック積層体の内部電極のずれが小さくなるわけではなく、離型フィルム自体の熱収縮による寸法変化に比べてフィルム長手方向にかかる張力による寸法変化が小さい場合、フィルム長手方向に収縮し、ΔLTDは正の値を示すことになる。
【0058】
一方、フィルム幅方向には張力が負荷されていないため、通常、寸法変化率は正の値を示す(幅方向に収縮する)。この場合、フィルムの長手方向と幅方向の寸法変化率が等しければ、すなわち、|ΔLTD−ΔLMD|の値が小さければ、積層セラミックコンデンサの内部電極は、フィルムの長手方向と幅方向に同じ距離を移動(等比変形)するだけであるため、セラミック積層体の内部電極のずれは生じにくくなる。
【0059】
逆に、|ΔLTD−ΔLMD|の値が大きい場合、内部電極が長手方向と幅方向に移動する距離が異なる(歪む)ので、内部電極のずれが生じやすくなる。従って、ΔLTDとΔLMDの値を各々小さくするだけでなく、|ΔLTD−ΔLMD|の値も小さくする必要がある。
【0060】
なお、|ΔLTD−ΔLMD|の値が大きくなりやすい部分は、セラミックシート製造用離型フィルムの基材の幅方向における両端近傍である。この部分において|ΔLTD−ΔLMD|の値を小さくするために、本発明では、上述の製造条件を調整する方法があるが、特に上記離型層の乾燥工程において、空気浮上搬送式を用いることが好ましい。
【0061】
また、本発明に用いられるセラミックシート製造用離型フィルムは、フィルム長手方向に4.7MPaの張力を加え、100℃で5分間熱処理した時に、上記式(1)、(2)を満たし、かつ、離型層表面の三次元表面平均粗さが15nm以下であり、高低差0.5μm以上の表面欠点が5個/m2以下であることが必要である。離型層表面の三次元表面平均粗さが15nmを超えると、後述のセラミックシートにピンホールが発生しやすくなる。
【0062】
本発明において、上記のように離型層の表面の三次元表面平均粗さを15nm以下とするために、上述の滑材微粒子等の粒子の含有量は、基材となるフィルム原料に対し、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%であることがより好ましい。
【0063】
本発明に用いられるセラミックシート製造用離型フィルムの厚みは、12μm以上100μm以下であることが好ましい。厚みが100μmを超えると離型フィルムとして使用した後の廃棄量が増加しやすくなる。厚みが12μm未満では強度、特に腰が不足し、セラミックシート成型性が低下しやすい。
【0064】
本発明において所望の寸法変化率を得るための手段の一つとして、本発明に用いられるセラミックシート製造用離型フィルムについては、150℃、30分間の熱処理を加えた際の長手方向の熱収縮率は、0.1%以上1.3%以下であることが好ましく、より好ましくは、0.5%以上1.0%以下である。また、本発明に用いられるセラミックシート製造用離型フィルムの幅方向の熱収縮率は、0.2%以下であることが好ましい。これらの範囲外であると、フィルム幅方向と長手方向の寸法変化率の差の絶対値が0.8%より大きくなる場合がある。
【0065】
本発明のセラミックシート製造用離型フィルムロールは、上記の特性を持つセラミックシート製造用離型フィルムを巻きとってなるものである。
【0066】
本発明のセラミックシート製造用離型フィルム積層体ロールは、上記の特性を有するセラミック製造用離型フィルムの離型層表面に、セラミックシート層が積層されてなるセラミックシート製造用離型フィルム積層体を巻きとってなるものであり、セラミックシート層表面のダイナミック硬度Aとセラミックシート製造用離型フィルムの離型層表面のダイナミック硬度Bとの差の絶対値が、下記式(3)を満足することが好ましい。
|A−B| ≦20(gf/μm2) 式(3)
【0067】
本発明においては、上記式(3)において、|A−B|の値が10以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。上記式(3)の範囲外になると、後述のセラミックシート層をセラミックシート製造用離型フィルムから剥離してセラミックシートを製造する際の剥離時において剥離性が低下しやすく、特に積層セラミックコンデンサ用の薄層セラミックシートを連続生産する際に、剥離時にセラミックシートの破れや剥離不良が多発し、歩留まりが低下し、生産性が低下しやすくなる等の問題が発生することがある。従って、本発明において、上記式(3)の範囲内にすることで、セラミックシート層をセラミックシート製造用離型フィルムから剥離してセラミックシートを製造する際の剥離力が小さいために剥離が容易になり、セラミックシートの破損を低減することができるようになる。
【0068】
本発明のセラミックシートの製造方法は、上記セラミックシート製造用離型フィルムの離型層表面にセラミックスラリーを塗布後、80℃以上120℃以下の温度で5秒以上5分以下の熱処理を施すことによりセラミックシート層が形成されてなるセラミックシート製造用離型フィルム積層体を、ロール状に巻きとってなるセラミックシート製造用離型フィルム積層体ロールから、セラミックシート層を剥離してセラミックシートを得るものである。
【0069】
上記セラミックスラリーをセラミックシート製造用離型フィルムの離型層表面に塗布する方法としては、特に限定されず、従来より公知の塗布方法を用いることができる。例えば、セラミック粉体とバインダー剤等を溶媒に分散させたスラリーを、リバースロール法により塗布し、溶媒を加熱乾燥により除去する方法を用いることができる。上記バインダー剤としては特に限定されず、ポリビニルブチラール等を用いることができる。また、上記溶媒としては特に限定されず、例えばエタノール、トルエン等を用いることができる。
【0070】
また、本発明のセラミックシートの製造方法により得られるセラミックシートに、蒸着等により内部電極となる金属膜を形成させて金属膜セラミックシート積層体を製造し、所望の寸法に積層し、熱プレス後、この積層体を焼成し、焼成体の所定の表面に外部電極を形成することにより、積層セラミックコンデンサとして使用することができる。本発明のセラミックシートは、上記セラミックシート製造用離型フィルムを用いることにより得られるため、セラミックシート製造用離型フィルムから剥離されたセラミックシートに、蒸着等により内部電極となる金属膜を多層にわたって積層させた場合、内部電極の位置ずれを抑制することができるようになる。
【0071】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本発明における種々の物性値および特性は、以下の如く測定されたものであり、かつ定義される。
【0072】
【実施例】
1.試験方法
(1)粒子の平均粒径
実施例1〜2、比較例1〜6で得られたエチレングリコールスラリー中における粒度分布を、光透過型遠心沈降式粒度分布測定機(島津製作所社製、SA−CP3型)を用いて測定した。この粒度分布における積算50%の値を読み取り、粒子の平均粒径(単位:μm)とした。
【0073】
(2)離型フィルムの寸法変化率及び寸法変化率の差の絶対値
実施例1〜2、比較例1〜6で得られた離型フィルムについて、フィルム長手方向に10cm、フィルム幅方向に10cmの正方形の試験片を切り出し、フィルム長手方向に5cm(LMD0)、幅方向(長手方向と鉛直をなす方向)に5cm(LTD0)の標線を記入した。この試験片の長手方向に4.7MPaの荷重を加えた状態で、100℃の雰囲気温度のオーブン中に5分間保持した。オーブンから取り出した後、荷重を取り外し、室温まで冷却後、長手方向の標線の寸法(LMD)と幅方向の標線の寸法(LTD)を測定し、下記式(4)、(5)により、フィルム長手方向の寸法変化率(ΔLMD)及びフィルム幅方向の寸法変化率(ΔLTD)を求めた。なお、測定は3回行い、平均値を小数第3位の桁で四捨五入し、小数第2位の桁に丸め使用した。また、寸法変化率の差の絶対値は、|ΔLTD−ΔLMD|で表した。
ΔLMD=(LMD0−LMD)×100/LMD0(%) 式(4)
ΔLTD=(LTD0−LTD)×100/LTD0(%) 式(5)
【0074】
(3)表面粗さ(三次元平均表面粗さSRa)
実施例1〜2、比較例1〜6で得られた離型フィルムの離型層表面について、触針式三次元表面粗さ計(株式会社小坂研究所社製、SE−3AK)を用いて、針の半径2μm、荷重30mg、針のスピード0.1mm/秒の条件下で、フィルムの長手方向にカットオフ値0.25mmで、測定長1mmにわたって測定し、2μm間隔で500点に分割し、各点の高さを三次元粗さ解析装置(株式会社小坂研究所社製、TDA−21)に取り込ませた。これと同様の操作をフィルムの幅方向について2μm間隔で連続的に150回、即ちフィルムの幅方向0.3mmにわたって行い、解析装置にデータを取り込ませた。次に、解析装置を用いて、三次元平均表面粗さSRa(単位:nm)を求めた。
【0075】
(4)ダイナミック硬度の測定
実施例1〜2、比較例1〜6で得られた離型フィルムの離型層面について、ダイナミック超微小硬度計(島津製作所製、DUH−201−202)を用いて、荷重2gfの三角錐状の圧子を離型層面に押し付け、2秒保持した後のダイナミック硬度Bを下記式(6)より求めた。なお、離型フィルムの離型層面におけるダイナミック硬度の測定は、セラミックシート層を設ける前の離型フィルムに対して行ってもよいし、セラミックシート層を設けた後にセラミックシート層を剥離した離型フィルムに対して行ってもよい。また、実施例1〜2、比較例1〜6で得られたセラミックシート製造用フィルム積層体のセラミックシート層面についても、同様にしてダイナミック硬度Aを求めた。測定はそれぞれについて10回ずつ行い、それぞれの平均値を用いて、|A−B|を算出し、セラミックシート層表面と離型層表面のダイナミック硬度の差(単位:gf/μm2)とした。
負荷時のダイナミック硬さ =α×P/D2 式(6)
但し、Pは荷重(gf)、Dは圧子の試料への侵入量(μm)、αは圧子形状による定数(115°三角すい、37.838)である。
【0076】
(5)ポリエステルフィルムの熱収縮率
実施例1〜2、比較例1〜6で得られた二軸延伸ポリエステルフィルムについて、フィルム長手方向に幅10mm、長さ250mmの試験片を切り出し、フィルム長手方向に200mm間隔で印をつけ、この間隔aを正確に測定した。続いて、150℃の雰囲気中のオーブンに無荷重で30分間保持した。オーブンから取り出し、室温まで冷却後、印の間隔bを正確に測定し、下記式(7)により、長手方向における熱処理後の熱処理前の長さに対する長さ変化率(単位:%)を長手方向の熱収縮率(HSMD)として求めた。次に、フィルム幅方向に幅10mm、長さ250mmのサンプルを切り出し、フィルム幅方向に200mm間隔で印をつけ、この間隔cを正確に測定した。続いて、150℃の雰囲気中のオーブンに無荷重で30分間保持した。オーブンから取り出し、室温まで冷却後、印の間隔dを正確に測定し、下記式(8)により、幅方向における熱処理後の根知処理前の長さに対する長さ変化率(単位:%)を幅方向の熱収縮率(HSTD)として求めた。なお、測定は3回行い、平均値を小数第3位の桁で四捨五入し、小数第2位の桁に丸め使用した。
HSMD=100×(a−b)/a 式(7)
HSTD=100×(c−d)/c 式(8)
【0077】
(6)離型フィルムの熱収縮率
実施例1〜2、比較例1〜6で得られた離型フィルムについて、上記(5)と同様にして、長手方向及び幅方向における熱処理後の熱処理前の長さ変化率(単位:%)を長手方向および幅方向の熱収縮率(それぞれHSMD’、HSTD’)として求めた。
【0078】
(7)表面欠点の測定方法
実施例1〜2、比較例1〜6で得られた離型フィルムについて、フィルム長手方向に幅100mm、長さ100mmの試験片を切り出し、これを2枚の偏光板の間に鋏込んでクロスニコル状態とし、消光位が保たれる状態にセットした。この状態でニコン万能投影機V−12(測定条件:投影レンズ50倍、透過照明光束切替えノブ50倍、透過光検査)を用いて、光が透過し、光り輝くように見える部分(キズ、異物)の長径が50μm以上あるものを検出した。このように検出された部分を、試験片から適当な大きさに切り取り、3次元形状測定装置(菱化システム社製、マイクロマップTYPE550;測定条件:波長550nm、WAVEモード、対物レンズ10倍)を用い、フィルム面に対して垂直方向から観察し、測定した。このとき、フィルム面に対して垂直方向から観察したときに50μm以内に近接する凹凸は、同一のキズ、異物としてこれらを覆う長方形を想定し、この長方形の長さ及び幅をキズ、異物の長さ及び幅とした。このキズ、異物に関して、断面映像(SURFACE PROFILE DISPLAY)を用いて、高低差(最も高いところと低いところの差)が0.5μm以上のものについて欠点数を定量した。なお、測定は20枚の試験片について行い、1m2当たりの欠点数に換算した。
【0079】
(8)積み重ね時の位置ずれ
実際のセラミックスラリーの塗布、内部電極の印刷形成をせずに、離型フィルムを用いたモデル試験を実施した。セラミックシート成形時における加熱張力下で、本発明の離型フィルムの特性を維持すれば、実際の積み重ねにおける位置ずれに際し、この試験と同様の結果が期待できる。すなわち、実施例1〜2、比較例1〜6で得られた離型フィルムについて、フィルム長手方向に10cm、幅方向に10cmの試験片を切り出し、試験片中央部に長手方向に5cm間隔、幅方向に5cm間隔で位置合わせ用の印を付け、フィルム長手方向に4.7MPaの荷重を加えた状態で、100℃の雰囲気温度のオーブン中に5分間保持(模擬加熱乾燥)後、荷重を取り外し、室温まで冷却した。試験片を離型フィルムの幅方向にわたって10枚切り出し、上記の処理を施した試験片を10枚を積み重ね、位置合わせ用の印の最大ずれを拡大して測定し、以下の基準に基づいて評価した。
○:位置合わせ用の印の最大ずれが400μm未満
×:位置合わせ用の印の最大ずれが400μm以上
【0080】
(9)セラミックシートの剥離性
実施例1〜2、比較例1〜6で得られたセラミックシート製造用積層体について、5cm幅にカットし、セラミックシート層面にポリエステル粘着テープ(日東電工社製、ニット−31B)を貼り、ピール法(剥離速度500mm/分、T型剥離)によりセラミックシート層を離型フィルムから剥離して、剥離後のセラミックシート全面を目視観察した際のセラミックシートについて、下記基準により評価した。
○:セラミックシートの破損が5回の試験で全くなかった場合
△:5回の試験で1回でもセラミックシートの一部に破損があった場合
×:5回の試験で1回でもセラミックシートが完全に破れ破損があった場合
【0081】
(10)セラミックシートのピンホール評価
実施例1〜2、比較例1〜6で得られたセラミックシート製造用積層体フィルムについて、10cm2の範囲にセラミックシート層の反対面から光をあて、ピンホールの発生状況を観察し、下記基準により評価した。
○:ピンホールなし。
△:ピンホールはほとんどなし。
×:ピンホール多数あり。
【0082】
上記試験(1)〜(10)の結果を、表2〜4に示す。
【0083】
実施例1
<エチレングリコールスラリーの製造>
炭酸カルシウム粒子をエチレングリコール中に仕込み、ホモジェッターで5時間以上混合し、平均粒子径が0.6μmの炭酸カルシウム粒子のエチレングリコールスラリーを得た。なお、スラリー濃度は140g/Lであった。
【0084】
<二軸延伸ポリエステルフィルム及び二軸延伸ポリエステルフィルムロールの製造>
次に、エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸86.4質量部及びエチレングリコール64.4質量部からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三酸化アンチモン0.03質量部及び酢酸マグネシウム4水和物0.088質量部、トリエチルアミン0.16質量部を添加した。次いで、加圧昇温を行い、ゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。その後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、リン酸トリメチル0.040質量部を添加した。さらに、260℃に昇温し、リン酸トリメチルを添加した15分後に、上記炭酸カルシウム粒子のエチレングリコールスラリーを、生成ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)に対し、0.1質量%となるように添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃の減圧下で重縮合反応を行った。重縮合反応終了後、95%カット径が28μmのナスロンフィルター(日本精線(株)製)で濾過処理を行い、固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレートを得た。
【0085】
上記のポリエチレンテレフタレートを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出して、表面温度30℃に保った金属ロール上で急冷固化し、未延伸ポリエステルフィルムを得た。この溶融押し出し工程では、溶融樹脂の異物除去用濾材として濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いた。次に、この未延伸フィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して一軸配向ポリエステルフィルムを得た。引き続いて、フィルムの端部をクリップで把持して135℃に加熱された熱風ゾーンに導き、その後幅方向に4.0倍に延伸した。その後215℃で熱処理し、この間に幅方向に2.7%の弛緩処理を行い、二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。これをフィルム巻き取り工程に搬送し、厚さ31μmの二軸延伸ポリエステルフィルムロールを得た。
【0086】
<離型フィルム及び離型フィルムロールの製造>
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムロールを巻き出し、巻き出された二軸延伸ポリエステルフィルムの幅方向において中央部に、付加型シリコーン系化合物(東芝シリコーン社製、TPR−6721)のトルエン溶液(固形分濃度3質量%)に、Pt触媒(東芝シリコーン社製、CM670)を上記付加型シリコーン型化合物の固形分100質量部に対し1質量部となるように加えた離型層形成用塗液を、塗布量(wet)6g/m2となるように塗布し、下方及び上方の空気流吹き出し口の間隔がそれぞれ38cmの空気浮上搬送式乾燥装置を用いて、搬送張力2000kPa、乾燥温度160℃で16秒間乾燥させることにより離型層を形成し、離型層の乾燥硬化後の重量が0.02g/m2の離型フィルムを得た。なお、前記空気は乾燥空気であり、95%カット径が1μmのヘパフィルターで濾過した後、さらに99.9%カット径が0.3μmのヘパフィルターで高精度濾過したものを使用した。さらに、離型層形成用塗布液の基材フィルムへの塗布は、クラス1,000の環境下で行った。乾燥後、50℃の冷却ロールを用いて上記離型フィルムを20℃/秒の速度で冷却した後、ロール状に巻き取り、離型フィルムロールを得た。
【0087】
<セラミックスラリーの製造>
溶媒(トルエン/エタノール=50/50:質量比)中にセラミック原料(平均一次粒子径が0.6μmであるBaTiO3、富士チタン社製)100質量部を混合し、分散メディアである粒径1.5mmのジルコニアビーズ(充填量:スラリーに対し200質量%)とともにボールミルで24時間分散した。次いで、バインダー(ポリビニルブチラール、積水化学工業社製)10質量部をセラミック粉体とバインダーの総量に対し2質量%混合し、ボールミルで24時間分散し、さらにフィルター(孔径3μm)で濾過処理を行い、ペースト状のセラミックスラリーを得た。
【0088】
<セラミックシート製造用フィルム積層体及びセラミックシート製造用フィルム積層体ロールの製造>
上記離型フィルムロールを巻き出し、離型フィルムの離型層面に前記セラミックスラリーを乾燥後の厚みが10μmになるようにドクターブレードを用いて塗布し、100℃で5分間乾燥してセラミックシート層(セラミック粒子/バインダーの質量比:100/10)を設け、セラミックシート製造用フィルム積層体を得た。さらに、得られたセラミックシート製造用フィルム積層体をロール状に巻き取り、セラミックシート製造用フィルム積層体ロールを得た。
【0089】
実施例2
実施例1において、二軸延伸ポリエステルフィルムロールから巻き出された二軸延伸ポリエステルフィルムの幅方向において端部のフィルムを用い、表1に示す条件にて離型層を乾燥処理した以外は、実施例1と同様にして離型フィルム、離型フィルムロール、セラミックシート製造用フィルム積層体並びにセラミックシート製造用フィルム積層体ロールを得た。
【0090】
比較例1
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで90℃に加熱し、その後周速差のあるロール群でフィルム長手方向に3.4倍延伸して一軸配向ポリエステルフィルムを得た。引き続いてフィルムの端部をクリップで把持して135℃に加熱された熱風ゾーンに導き、その後幅方向に4.0倍に延伸した。その後220℃で熱処理し、この間に3.0%幅弛緩した後、フィルム温度が50℃になったところで、フィルム幅方向の端部でフィルムをカットしてクリップから切り離し、フィルム巻き取り工程に搬送し、厚さ31μmの二軸延伸ポリエステルフィルムロールを得た。
【0091】
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムロールから二軸延伸ポリエステルフィルムを巻き出し、フィルム幅方向において中央部のフィルムを用い、下方及び上方の空気流吹き出し口の間隔がそれぞれ76cmの空気浮上搬送式乾燥装置を用いて、表1に示す条件にて離型層を乾燥、冷却した以外は、実施例1と同様にして離型フィルム、離型フィルムロール、セラミックシート製造用フィルム積層体並びにセラミックシート製造用フィルム積層体ロールを得た。
【0092】
比較例2
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで90℃に加熱し、その後周速差のあるロール群でフィルム長手方向に3.4倍延伸して一軸配向ポリエステルフィルムを得た。引き続いてフィルムの端部をクリップで把持して135℃に加熱された熱風ゾーンに導き、その後幅方向に4.0倍に延伸した。その後220℃で熱処理し、この間に3.0%幅弛緩した後、フィルム温度が140℃になったところで、フィルム幅方向の端部でフィルムをカットしクリップから切り離し、フィルム速度に対し1%遅い速度でフィルムを巻き取り工程に搬送し、厚さ31μmの二軸延伸ポリエステルフィルムロールを得た。
【0093】
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムロールから二軸延伸ポリエステルフィルムを巻き出し、フィルムの幅方向において中央部のフィルムを用い、下方及び上方の空気流吹き出し口の間隔がそれぞれ76cmの空気浮上搬送式乾燥装置を用いて、表1に示す条件にて離型層を乾燥、冷却した以外は、実施例1と同様にして離型フィルム、離型フィルムロール、セラミックシート製造用フィルム積層体並びにセラミックシート製造用フィルム積層体ロールを得た。
【0094】
比較例3
比較例2と同様にして得られた二軸延伸ポリエステルフィルムロールから、二軸延伸ポリエステルフィルムを巻き出し、フィルムの幅方向において中央部のフィルムを用い、下方及び上方の空気流吹き出し口の間隔がそれぞれ76cmの空気浮上搬送式乾燥装置を用いて、表1に示す条件にて離型層を乾燥、冷却した以外は、実施例1と同様にして離型フィルム、離型フィルムロール、セラミックシート製造用フィルム積層体並びにセラミックシート製造用フィルム積層体ロールを得た。
【0095】
比較例4
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群でフィルム長手方向に3.4倍延伸して一軸配向ポリエステルフィルムを得た。引き続いてフィルムの端部をクリップで把持して135℃に加熱された熱風ゾーンに導き、その後幅方向に4.1倍に延伸した。その後234℃で熱処理し、この間に幅方向に4.2%の弛緩処理を施した後、フィルム巻き取り工程に搬送し、厚さ31μmの二軸延伸ポリエステルフィルムロールを得た。
【0096】
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムロールから二軸延伸ポリエステルフィルムを巻き出し、フィルムの幅方向において中央部のフィルムを用い、下方及び上方の空気流吹き出し口の間隔がそれぞれ76cmの空気浮上搬送式乾燥装置を用いて、表1に示す条件にて離型層を乾燥、冷却した以外は、実施例1と同様にして離型フィルム、離型フィルムロール、セラミックシート製造用フィルム積層体並びにセラミックシート製造用フィルム積層体ロールを得た。
【0097】
比較例5
実施例1において、炭酸カルシウム粒子に代えて、平均粒径2.5μmのシリカ粒子をポリエステルに対し0.03質量%になるように添加し、さらに95%カット径が1μmのヘパフィルターで濾過した乾燥空気を用い、離型層形成用塗布液の基材フィルムへの塗布をクラス10,000の環境下で行ったこと以外は、実施例1と同様にして離型フィルム、離型フィルムロール、セラミックシート製造用フィルム積層体並びにセラミックシート製造用フィルム積層体ロールを得た。
【0098】
比較例6
実施例1において、炭酸カルシウムに代えて、平均粒径2.5μmのシリカ粒子をポリエステル対し0.03質量%になるように添加し、さらに95%カット径が1μmのヘパフィルターで濾過した乾燥空気を用い、離型層形成用塗布液の基材フィルムへの塗布をクラス10,000の環境下で行ったこと以外は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムロールを得た。
【0099】
この二軸延伸ポリエステルフィルムロールから二軸延伸ポリエステルフィルムを巻き出し、フィルムの幅方向において中央部のフィルムを用い、離型層の乾燥硬化後の重量が0.5g/m2になるように塗布した以外は、実施例1と同様にして離型フィルム、離型フィルムロール、セラミックシート製造用フィルム積層体並びにセラミックシート製造用フィルム積層体ロールを得た。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【0104】
表2〜4に示す結果から明らかなように、本発明のセラミックシート製造用離型フィルムロールに巻き取られてなるセラミックシート製造用離型フィルムは、加熱張力下における寸法安定性、セラミックシート剥離性、離型層面の平滑性に優れ、かつキズや異物などによる表面欠点が少ないため、特に積層セラミックコンデンサ用セラミックシート製造用離型フィルムとして優れたものである。
【0105】
【発明の効果】
本発明によれば、加熱張力下における寸法安定性を有するセラミックシート製造用離型フィルムに用いた場合、セラミックシートの積み重ね時における内部電極の位置ずれを抑制することができ、また、セラミックシートの剥離性、離型層面の平滑性に優れ、かつ表面欠点の少ない離型フィルムロールを提供することができ、その工業的価値は高い。
Claims (7)
- 少なくとも一方の表面に離型層を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセラミックシート製造用離型フィルムを巻きとってなるセラミックシート製造用離型フィルムロールであって、該セラミックシート製造用離型フィルムの長手方向に4.7MPaの張力を加え、100℃で5分間熱処理した時の長手方向及び幅方向の寸法変化率が下記式(1)及び(2)を満足し、かつ、該セラミックシート製造用離型フィルムの離型層表面は表面粗さが15nm以下であり、高低差0.5μm以上の表面欠点が5個/m2以下であることを特徴とするセラミックシート製造用離型フィルムロール。
|ΔLTD−ΔLMD| ≦0.8 式(1)
−0.6≦ ΔLMD ≦0.6 式(2)
但し、ΔLMDはフィルム長手方向の寸法変化率(%)、ΔLTDはフィルム幅方向の寸法変化率(%)である。 - 請求項1記載のセラミックシート製造用離型フィルムの離型層表面に、セラミックシート層が積層されてなるセラミックシート製造用離型フィルム積層体を巻きとってなるセラミックシート製造用離型フィルム積層体ロールであって、該離型層が硬化性シリコーン樹脂からなり、該セラミックシート層表面のダイナミック硬度Aと該セラミックシート製造用離型フィルムの離型層表面のダイナミック硬度Bとの差の絶対値が下記式(3)を満足することを特徴とするセラミックシート製造用離型フィルム積層体ロール。
|A−B| <20gf/μm2 式(3) - 該二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが無機系滑剤微粒子を含有することを特徴とする請求項1記載のセラミックシート製造用離型フィルムロール。
- 150℃、30分間の熱処理を加えた際の長手方向の熱収縮率が0.1%以上1.3%以下、幅方向の熱収縮率が0.2%以下である請求項1記載のセラミックシート製造用離型フィルムロール。
- 該二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの製膜において、長手方向の延伸倍率が2.5〜4.0倍、幅方向の延伸倍率が3.6〜5.0倍することを特徴とする請求項1記載のセラミックシート製造用離型フィルムロール。
- 少なくとも一方の表面に離型層を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセラミックシート製造用離型フィルムを巻きとってなるセラミックシート製造用離型フィルムロールの製造方法であって、
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを製膜する工程と、
該二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに離型層を構成する樹脂を塗布する工程と、
該離型層を塗布後に乾燥する工程と、
該離型層の乾燥後に冷却する工程とを有する、
少なくとも一方の表面に離型層を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセラミックシート製造用離型フィルムを巻きとってなるセラミックシート製造用離型フィルムロールの製造方法において、
該離型層の乾燥処理方法が、濾過した空気流を下方及び上方から交互にフィルムに吹き付け、フィルムを浮上させながら水平方向に移動させ、その間に加熱し、離型層を乾燥する方式であって、
乾燥時に空気流をフィルムの下方及び上方から交互にフィルムに吹き付ける際の吹き付け口の間隔は、フィルム長手方向において、下方及び上方ともに50cm以下であって、
上記離型層の乾燥処理時の張力が600kPa以上4,000kPa以下であって、
該離型層の乾燥後の冷却を30℃以上の冷却ロールによってフィルムの冷却速度が30℃/秒以下であることを特徴とする請求項1記載のセラミックシート製造用離型フィルムロールの製造方法。 - 請求項1記載のセラミックシート製造用離型フィルムの離型層表面にセラミックスラリーを塗布後、80℃以上120℃以下の温度で5秒以上5分以下の熱処理を施すことによりセラミックシート層が形成されてなるセラミックシート製造用離型フィルム積層体をロール状に巻きとってなるセラミックシート製造用離型フィルム積層体ロールから、該セラミックシート層を剥離して得られることを特徴とするセラミックシートの製造方法。
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