JP2024047656A - 二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱処理工程における結晶の肥大化に伴ってフィルム表面全面に現れる微小突起を増加させることで、良好なハンドリング性を有し、かつフォトレジスト層からポリエステルフィルムを剥離する工程の中でフィルムの破れが発生することのないドライフィルムレジスト支持体に好適な二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】下記(1)~(4)を満たすことを特徴とする、ドライフィルムレジスト支持体用途に用いる二軸配向積層ポリエステルフィルム。(1)3層以上の積層構造を有するポリエステルフィルムであること。(2)長手方向および幅方向の引裂強度が4.3N/mm 以上8.0N/mm以下であること。(3)一方のフィルム表面(A)の算術平均表面粗さをSRa(A)、10点平均表面粗さをSRz(A)算術平均表面傾斜をΔa(A)、幾何平均表面傾斜をΔq(A)としたとき、SRa(A)が2.5nm以上6.0nm以下、SRz(A)が50nm以上170nm未満、Δa(A)が1.5μm/mm以上5.0μm/mm以下、Δq(A)が2.0μm/mm以上6.4μm/mm以下であること。(4)表面を有さないポリエステル層B(B層)が結晶性の熱可塑性樹脂Aと非晶性の熱可塑性樹脂Bを含むこと。【選択図】なし

Description

本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。
ドライフィルムレジスト(以下DFRと呼ぶ場合がある)は、プリント配線基板、半導体パッケージ、フレキシブル基板などの回路を形成するために用いられている。DFRは、感光層(フォトレジスト層)を、支持体としてのポリエステルフィルム上に積層させた後、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムなどからなる保護フィルム(カバーフィルム)で挟んだ構造をしている。このDFRを用いて導体回路を作製するには、一般的に次のような工程が採用される。
1)DFRから保護フィルムを剥離し、露出したレジスト層の表面と、基板上の銅箔などの導電性基材層の表面とが密着するように、基板・導電性基材層とラミネートする工程。
2)次に、導体回路パターンを焼き付けたフォトマスクを、ポリエステルフィルムからなる支持体上に置き、その上から、感光性樹脂を主体としたレジスト層に紫外線を照射して、露光させる工程。
3)その後、フォトマスクおよびポリエステルフィルムを剥離した後、溶剤によってレジスト層中の未反応分を溶解、除去する工程。
4)次いで、酸などでエッチングを行い、導電性基材層中の露出した部分を溶解、除去する工程。
4)の工程の後には、レジスト層中の光反応部分とこの光反応部分に対応する導電性基材層部分がそのまま残り、その後、残ったレジスト層を除去する工程を経て、基板上の導体回路が形成されることになる。このため、支持体であるポリエステルフィルムには、紫外線を効率的に透過できることが要求される。これにより、導体回路パターンが、正確にレジスト層上に反映される。特に、近年では、IT機器など小型化、軽量化などに伴い、プリント配線板の微細化、高密度化が進んでおり、配線の幅や配線の間隔が5μm程度といった微細パターンを形成し、高解像化を達成できるドライフィルムレジスト支持体用ポリエステルフィルムが要求されている。また、支持体としてのポリエステルフィルムは、支持体上にレジスト層を形成してレジストフィルムを製造する際のハンドリング性を良好にするために、適度なすべり性を有することが重要であるが、適度なすべり性を付与するために易滑材としての粒子を含有させた場合、含有させた粒子が凝集し、露光工程時の紫外線照射の際、粒子による光散乱の透過と反射が共に引き起こされ、レジストの解像度を低下させてしまうという問題が生じていた。
そこで、フィルムの表面を高平滑にして、かつヘイズ値を低くすることや、波長365nmにおける透過率を一定範囲内とすることを特徴とするドライフィルムレジスト支持体用ポリエステルフィルムが提案されている(特許文献1)。また、帯電防止剤の配合によりレジスト用ポリエステルフィルムを製造する際のハンドリング性、ゴミや異物の付着防止や、該フィルムを用いたレジストフィルム自身のハンドリング性、ゴミや異物の付着防止を向上させる技術が開示されている(特許文献2、3、4)。また、含有させる粒子を任意の製造段階で添加することにより分散性を改善し粒子の凝集を防止する技術が開示されている(特許文献5)。さらに、粒子を核とした突起およびくぼみによる凹凸部を所定の範囲とすることで、フィルム表面近傍での反射や散乱によるレジストパターンの抜けを抑制させることができる技術も開示されている(特許文献6、7)。
特開2016-87854号公報 特開2001-117237号公報 特開2006-327158号公報 特開2007-254640号公報 特開2014-98136号公報 特開2020-59242号公報 特開2022-64295号公報
しかしながら、これら前記の提案でも、高解像度化の要求を満足することは難しく、現像後のレジストのパターニングにゆがみや、抜け、レジストパターン壁面の状態が悪いなどの欠点が十分に解消できず、依然として、高解像度化への品質向上が求められている。特に、近年では配線の幅や間隔が5μm程度の微細パターンが要求されていることから、2μm程度の粗大物は、レジストの欠陥につながるとされている。粗大物としては、例えばベースフィルム上に付与された粒子やポリエステル樹脂組成物に含まれる金属触媒の凝集体を核として、延伸過程で形成される気泡(ボイド)が挙げられる。この凝集体含有ボイドが存在すると、露光工程で照射された紫外線が散乱し、パターン通りにレジストが硬化しないことがある。ベースフィルムに含有させる粒子の凝集を防ぎ、上記の粒子含有ボイドを減らすために、粒子の添加量を少なく、また、サイズを小さくした結果、フィルム製造工程や上記DFR製造工程にて収率が低下、特に、すべり性が悪化したことで巻きに関わる問題が目立って発生しているため、生産性(フィルム巻き取り性)向上の要求も達成しなければならない。また、支持体として用いられるポリエステルフィルムは、DFR露光後にフォトレジスト層から剥離されるが、このとき、ポリエステルフィルムの引裂強度が低いと、ポリエステルフィルムが裂けてしまい、導電性基材層の上にポリエステルフィルムが部分的に残存し、不良品が発生するということが広く知られている。前記の引裂強度を上げるために、フィルムの熱処理温度を下げて、フィルム中の結晶化度を低下させれば、剥離の強さに耐えうる柔軟なフィルムとすることができる一方で、フィルム表面に出現する微小な突起の数が少なくなり、表面粗さが低下することで、ハンドリング性が悪化すると推定される。
これらの事情に鑑み、本発明は、熱処理工程における結晶の肥大化に伴ってフィルム表面全面に現れる微小突起を増加させることで、良好なハンドリング性を有し、かつフォトレジスト層からポリエステルフィルムを剥離する工程の中でフィルムの破れが発生することのないドライフィルムレジスト支持体に好適な二軸配向ポリエステルフィルムを提供することその課題とする。
本発明は、以下の特徴を有する。
[I]下記(1)~(4)を満たすことを特徴とする、ドライフィルムレジスト支持体用途に用いる二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(1)3層以上の積層構造を有するポリエステルフィルムであること。
(2)長手方向および幅方向の引裂強度が4.3N/mm 以上8.0N/mm以下であること。
(3)一方のフィルム表面(A)の算術平均表面粗さをSRa(A)、10点平均表面粗さをSRz(A)算術平均表面傾斜をΔa(A)、幾何平均表面傾斜をΔq(A)としたとき、SRa(A)が2.5nm以上6.0nm以下、SRz(A)が50nm以上170nm未満、Δa(A)が1.5μm/mm以上5.0μm/mm以下、Δq(A)が2.0μm/mm以上6.4μm/mm以下であること。
(4)表面を有さないポリエステル層B(B層)が結晶性の熱可塑性樹脂Aと非晶性の熱可塑性樹脂Bを含むこと。
[II]前記熱可塑性樹脂Aが、結晶性ポリエステルであり、前記非晶性の熱可塑性樹脂Bが、非晶性ポリエステルであることを特徴とする、[I]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[III]前記結晶性ポリエステルが、結晶性ポリエチレンテレフタレートであり、前記非晶性ポリエステルが、スピログリコール共重合ポリエチレンテレフタレート、及び/又はシクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする、[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[IV]フィルム全層中の結晶サイズχcが5.3nm以上7.8nm以下である[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[V]フィルム表面(A)を有するポリエステル層A(A層)に粒子が含まれており、当該粒子の最大粒子径をDA(μm)、A層の厚みをTA(μm)としたとき、DAが下記式1を、TAが下記式2を、DA/TAが下記式3を満たす[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
0.01<DA<0.50(式1)
0.15<TA<0.80 (式2)
0.02<DA/TA≦1.40(式3)
[VI]前記A層のフィルム表面(A)において、高さ10nm以上の突起個数をn10、高さ50nm以上の突起個数をn50(個/mm)としたとき、n10が8000以上20000以下であり、n50が100以上2000以下である[I]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[VII]前記フィルム表面(A)において、深さ0.5μm以上かつ長さ100μm以上のキズの個数が10個/m以下である[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[VIII]150℃における長手方向の寸法変化率が1.0%以上2.8%以下、幅方向の寸法変化率が0.1%以上2.6%以下であり、100℃における長手方向の寸法変化率が1.0%以下、幅方向の寸法変化率が0.3%以下である[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[IX]前記フィルム表面(A)が粒径0.01μm以上の不活性粒子を含有する長径1.0μm以上の凝集物を有しており、当該ボイドの個数が30個/10mm未満である[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[X]前記A層が粒子を含有しており、当該層に含有する粒子について、横軸に粒子径、縦軸に粒子の存在個数をプロットしたとき、粒子径が10~150nmの範囲と、粒子径が150~500nmの範囲のそれぞれに1つ以上の極大値を有する[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[XI]フィルム表面(A)とは反対側のフィルム表面(C)を有する層が粒子を含有しており、当該層に含有する粒子について、横軸に粒子径、縦軸に粒子の存在比率をプロットしたとき、粒子径が10~450nmの範囲に1つ以上の極大値を有する[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[XII]フィルムヘイズが1.0%以下である[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[XIII]前記表面(A)と前記表面(C)間の静止摩擦係数μsが0.6以上1.0以下かつ、前記表面(A)と前記表面(C)間の動摩擦係数μdが0.5以上0.7以下である[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[XIV]前記B層において、長手方向0.88cm×幅方向1.16cmの領域をレーザー顕微鏡により10回観察したときに存在する長径15.0μm以上の粗大物の数が50個以下であり、長径10.0μm以上15.0μm未満の粗大物の数が300個以下であり、長径1.0μm以上10.0μm未満の粗大物の数が20000個以下である[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[XV]長手方向のヤング率が4.2GPa以上4.8GPa以下で、幅方向のヤング率が5.3GPa以上6.2GPa以下である[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[XVI]共押出し法により溶融製膜して得る[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
本発明のドライフィルムレジスト支持体に好適な二軸配向ポリエステルフィルムは、フォトレジスト層から剥離する工程の中でフィルムの破れが発生することがなく、かつハンドリング性に優れているという利点を有する。
三次元微細表面形状測定器で測定される幾何平均表面傾斜Δq(A)をあらわす概念図である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの滑り性を高くし、かつ高い透過性も向上する観点から、3層以上の積層構造を有する。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、3層の積層構造を有することが好ましい。3層の積層構造を有する場合、A層/B層/A層の2種3層の積層構造でもよく、A層/B層/C層の3種3層の積層構造でもよい。A層/B層/C層の3種3層の積層構造であると、A層のフィルム表面(A)、C層のフィルム表面(C)をそれぞれ好適な特性を付与することが容易となるため好ましい。フィルム表面(C)側にレジスト層を積層した場合は、フィルム表面(A)側から紫外線露光されるように用いる。また、レジスト層にカバーフィルムを貼合し巻き取った際には、表面(A)側がカバーフィルムと接する面となる。なお、フィルム表面とは、フィルム長手方向、幅方向を含む表面のことをいう。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、フォトレジスト層から剥離する工程の中でフィルムの破れを抑制するためには、長手方向および幅方向の引裂強度が4.3N/mm 以上8.0N/mm以下であることが重要であり、さらに好ましくは長手方向および幅方向の引裂強度が5.0N/mm 以上7.2N/mm以下であることが望ましい。該引裂強度において長手方向と幅方向ともに上記範囲の下限を下回ると、フィルムの面配向が十分ではなく、レジスト層からの剥離工程でフィルムの破れが発生しやすい。また、長手方向と幅方向ともに上記範囲の上限を上回ると、フィルム面配向が大き過ぎるために、フィルム表面で剥離することがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、引裂強度を調節する観点から、結晶性の熱可塑性樹脂Aと、非晶性の熱可塑性樹脂Bを表面を有さないポリエステル層Bに含めることが重要である。非晶性の熱可塑性樹脂を含めると、熱処理工程にて配向緩和が促進されるため、引裂強度の低下を抑制することができる。さらに、B層の主成分が非晶性の熱可塑性樹脂Bであることにより、高温下でもB層の結晶化が生じにくくなるため、積層フィルムの白化などの問題が発生するのを軽減することも可能となる。
ここで、熱可塑性樹脂とは、加熱により軟化して可塑性を持ち、冷却すると固化する特徴を有する樹脂をいう。非晶性の熱可塑性樹脂とは、示差熱量分析(DSC)において、昇温速度5℃/分で昇温させたときの結晶融解熱量が0.1mJ/mg未満である熱可塑性樹脂をいい、結晶性の熱可塑性樹脂とは、非晶性の熱可塑性樹脂に該当しない熱可塑性樹脂をいう。主成分とするとは、層全体を100質量%としたときに、層中に50質量%より多く含まれることをいう。
結晶性ポリエステル樹脂は、延伸・熱処理工程において配向結晶化させることにより、延伸前の非晶状態のときよりも高い面内屈折率とすることができる。一方、非晶性ポリエステル樹脂の場合においては、熱処理工程においてガラス転移点温度をはるかに超える温度で熱処理を行うことにより、延伸工程で生じる若干の配向も緩和でき、非晶状態の低い屈折率を維持できるものである。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのA層における結晶性の熱可塑性樹脂A、及びB層における非晶性の熱可塑性樹脂Bは、一種類であっても複数種類であってもよい。ここで、A層における結晶性の熱可塑性樹脂Aが複数種である場合においては、結晶性の熱可塑性樹脂Aの含有量は、結晶性の熱可塑性樹脂Aに該当する樹脂を合算して算出する。B層における非晶性の熱可塑性樹脂Bについても同様である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおける結晶性の熱可塑性樹脂Aは、結晶性の熱可塑性樹脂であって、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されない。例えば、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリメチルペンテンなど)、脂環族ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン66など)、アラミド樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチルサクシネート、及びポリエチレン-2,6-ナフタレートなど)、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、フッ素樹脂(4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン-6フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン樹脂など)、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂などであって、結晶性のものを用いることができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおける非晶性の熱可塑性樹脂Bは、非晶性の熱可塑性樹脂であって、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されない。例えば、ポリオレフィン樹脂(ポリスチレンなど)、脂環族ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチルサクシネート、及びポリエチレン-2,6-ナフタレートなど)、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂などであって、非晶性のものを用いることができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、フィルムとしたときの強度、耐熱性、及び透明や、製造コスト、製膜安定性の観点から、結晶性の熱可塑性樹脂Aが、結晶性ポリエステルであり、非晶性の熱可塑性樹脂Bが、非晶性ポリエステルであることが好ましい。さらに、層間での剥離軽減の観点から、結晶性ポリエステルが、結晶性ポリエチレンテレフタレートであり、非晶性ポリエステルが、スピログリコール共重合ポリエチレンテレフタレート、及び/又はシクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、反射性能向上、加熱や経時による光学特性変化の抑制、及び層間での剥離軽減の観点から、スピログリコール共重合ポリエチレンテレフタレートは、全ジオール成分を100mol%としたときに、シクロヘキサンジメタノールの共重合量が12mol%以上30mol%以下であるものが好ましい。また、同様の観点から、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートは、全ジオール成分を100mol%としたときに、シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるものが好ましい。
また、均一な厚みで二軸配向ポリエステルフィルムを製膜することを考慮すると、結晶性の熱可塑性樹脂Aと非晶性の熱可塑性樹脂Bは、両者のガラス転移温度の差が20℃以下である組合せが好ましい。ガラス転移温度の差が20℃より大きい場合には、積層フィルムを製膜する際の厚み均一性が不良となり、積層フィルムとしたときの光学特性の安定性が損なわれることがある他、積層フィルムを延伸する際に過延伸が生じることがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムが、フィルム製造工程やDFR製造工程において良好なハンドリング性を有するためには、一方のフィルム表面(A)の算術平均粗さをSRa(A)、10点平均表面粗さをSRz(A)としたとき、SRa(A)が2.5nm以上6.0nm以下、SRz(A)が50nm以上170nm以下であることが必要である。SRa(A)が2.5nm未満もしくはSRz(A)が50nm未満となると、レジスト塗布工程にてハンドリング性が悪化し、塗布が不安定となり、塗布斑が発生することや、塗布後の巻き取り時に、噛み込んだ空気が抜けにくくなることによる、巻きズレを起こすことがある。また、SRa(A)が6.0nmより大きい、もしくはSRz(A)が170nmより大きい場合、表面に形成された凹凸や含有粒子の凝集により、露光工程での光の入射角が不均一になることによる光の反射や散乱の影響により、レジストパターンの抜けが生じることがある。SRa(A)およびSRz(A)を上述の範囲とするには、表面(A)を有する層(A層)を構成するポリエステル樹脂に、後述する特定の有機粒子あるいは無機粒子を特定量含有させることによって達成できる。また、一方のフィルム表面(A)の算術平均表面傾斜をΔa(A)、幾何平均表面傾斜をΔq(A)としたとき、Δa(A)が1.5μm/mm以上5.0μm/mm以下、Δq(A)が2.0μm/mm以上6.4μm/mm以下であることが必要である。Δa(A)が1.5μm/mm未満、またはΔq(A)が2.0μm/mm未満であると、レジスト用ポリエステルフィルムを製造する際のハンドリング性や該フィルム上にレジスト層を形成してレジストフィルムを製造する際のハンドリング性が悪化する場合がある。一方、Δa(A)が5.0μm/mmを超える、またはΔq(A)が6.4μm/mmを超えると、フィルム表面(A)における露光時の紫外光の散乱が強まり、配線の幅や間隔が5μm~50μmの微細な回路形成に好適なレジストパターン壁面が形成されにくい傾向がある。算術平均表面傾斜Δa(A)は、フィルム表面に平行な方向をX軸、フィルム表面に平行な方向でありX軸に直交する方向をY軸、フィルム表面に垂直な方向をZ軸として、後述する測定方法において測定することにより得られる測定曲線において、各測定区間における測定曲線の始点と終点を結ぶ線分の傾き(フィルム表面に平行な方向における一定区間におけるZ軸方向の傾斜角度)の絶対値の平均値を表すものである。また、幾何平均表面傾斜Δq(A)は、フィルム表面に平行な方向をX軸、フィルム表面に平行な方向でありX軸に直交する方向をY軸、フィルム表面に垂直な方向をZ軸として、後述する測定方法において測定することにより得られる測定曲線において、フィルム表面(A)をX軸とY軸方向に等間隔で区切った平面内で最も険しい斜面の大きさ(図1)を表す。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、フィルム全層中の結晶サイズχcを5.3nm以上7.8nm以下にすることが好ましい。フィルム全層中の結晶サイズχcが5.3nm未満の場合、熱処理工程で結晶の肥大化に伴ってフィルム全表面に形成させる直径10~30nmの半球状の微小突起が少なくなることで、表面粗さが低下し、レジスト用ポリエステルフィルムを製造する際のハンドリング性や該フィルム上にレジスト層を形成してレジストフィルムを製造する際のハンドリング性が悪化する場合がある。また、フィルム全層中の結晶サイズχcが5.3nm未満の場合、フィルムに占める非結晶部分の割合が増え、温度膨張係数が下がり、DFR加工工程時における環境影響により寸法安定性が低下する傾向がある。フィルム全層中の結晶子サイズχcが7.8nmより大きい場合、熱結晶の増加によるフィルムの白化促進、または熱処理工程で生成された結晶と非結晶の混合体(剛直非晶晶)の減少により、面配向性が弛むことで、フィルム全層中におけるフィルムが脆くなり、フィルム製造工程において破れが発生しやすくなるため、生産効率が悪化することがある。剛直非晶はがBritish Polymer Journal,vol.17,1(1985).に記載れており、分子配向が進んでいる、あるいはいわゆる結晶を繋ぐタイ分子として存在しているとされているため、剛直非晶が少ないほど面配向性は低下すると考えられる。結晶サイズχcは、長手方向(縦)、幅方向(横)の延伸倍率と熱固定温度で制御することができ、延伸倍率を高くすると、結晶構造を作りやすくするため、結晶サイズが大きくなる。熱固定温度の特に最高到達温度を上げると、結晶サイズが大きくなるが、特に熱処理温度を3段階程度にして段階的に温度を上昇させ、結晶サイズを大きくすることが、ポリエステルフィルムの生産性との両立を達成するために重要である。具体的には熱処理温度を2秒程度ずつ、10℃/2秒以下の速度で温度上昇させることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムが、フィルム製造工程やDFR製造工程にて良好なハンドリング性を有するためには、表面(A)を有するポリエステル層A(A層)に粒子が含まれており、当該粒子の最大粒子径をDA(μm)、A層の厚みをTA(μm)としたとき、DAが下記式1を、TAが下記式2を、DA/TAが下記式3を満たすことが好ましい。
0.01<DA<0.50(式1)
0.15<TA<0.80 (式2)
0.02<DA/TA≦1.40(式3)
上記DAが0.01μm以下では、フィルムの巻き取りに好適なすべり性を達成し難く、生産性が悪化することがある。また、レジスト塗布工程にてハンドリング性が悪化し、塗布が不安定となり、塗布斑が発生することや、塗布後の巻き取り時に、噛み込んだ空気が抜けにくくなることによる、巻きズレを起こすことがある。一方でDAが0.50μmを超える場合は、表面に形成された凹凸や含有粒子の凝集により、露光工程での光の入射角が不均一になり、光が散乱しやすくなるため、レジストパターン壁面に凹凸が生じることがある。上記TAが0.15μm未満の場合は、二軸式ベント式押出機内部の溶融ポリマーの充填率が低下し、背圧が不安定になることで、真空破壊や厚み変動が起きやすくなる。上記TAが0.8μmより大きい場合は、A層中に含まれる粒子量が相対的に増え、ヘイズが高まるため、配線の幅や間隔が5μm~50μmの微細な回路形成に好適なレジストパターン壁面が形成されにくい傾向がある。また、本発明者らは、二軸配向ポリエステルフィルムをドライフィルムレジスト支持体用途として用いる際、得られるレジストに発生するレジストパターン壁面に生じる凹凸の発生を抑制すべく検討した結果、上記DA/TAを0.02以上1.40以下の範囲に制御すると、表層における粒子の凝集が抑制され、露光時の紫外光の散乱が低減されることで、レジストパターン壁面に生じる凹凸が小さくなる。上記DA/TAが0.02未満では、フィルムの巻き取りに好適なすべり性を達成し難く、生産性が悪化する。また、レジスト塗布工程にてハンドリング性が悪化し、塗布が不安定となり、塗布斑が発生することや、塗布後の巻き取り時に、噛み込んだ空気が抜けにくくなることによる、巻きズレを起こすことがある。一方で、DA/TAが1.4を超える場合は、表層において粒子の凝集が発生しやすくなる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのフィルム表面(A)において、高さ10nm以上の突起個数をn10(個/mm)としたとき、n10が8000以上21000以下であり、高さ50nm以上の突起個数をn50(個/mm)としたとき、n50が100以上2000以下であることが望ましい。n10およびn50を上述の範囲とするには、表面(A)を有する層(A層)を構成するポリエステル樹脂に、後述する特定の有機粒子あるいは無機粒子を特定量含有させることによって達成できる。高さ10nm以上の突起個数および高さ50nm以上の突起個数は、後述の方法に従って非接触光学式粗さ測定器にて測定される。本発明における前記表面に存在する高さ10nm以上の突起個数n10(個/mm)は、フィルムをロール状に巻き取る際にフィルム間で発生する摩擦を軽減する効果やDFR加工工程にてロールが巻き出された際に発生する剥離帯電や摩擦軽減する効果を担う突起の個数を反映している。n10(個/mm)が8000以上の場合、フィルムの前記表面と他の面との接触面積が低下するため、フィルムの巻取り性や巻き出し性が向上する。特に、フィルムの巻取り性においては、フィルム両面の静摩擦係数が低いことでロール巻取り時のフィルム蛇行やばたつきに由来する巻きズレが発生した際も追従し解消できるため、ロールに巻いた際のシワの発生を防止することができる。また、突起個数n10(個/mm)が21000以下であることにより、フィルム両面である程度摩擦が生じてロール作製時における巻きズレを抑制できる。50nm以上の突起個数n50(個/mm)もフィルムをロール状に巻き取るときにフィルム同士の摩擦を軽減する役割を担う突起の個数を反映しているが、特に、n50(個/mm)が2000を超える場合は、露光工程での光の入射角が不均一になり、光の反射や散乱の影響でレジストパターン壁面に凹凸が生じることがあり、n50(個/mm)が100未満の場合は、フィルム製造時のハンドリング性が悪化し、表面にキズが発生しやすくなることがある。
本発明のポリエステルフィルムの前記表面において、高さ10nm以上の突起個数n1(個/mm)や高さ50nm以上の突起個数n50(個/mm)を上記の範囲とするための方法としては、例えば、ナノインプリントのようにモールドを用いて表面に形状を転写させる方法、未延伸シートに大気圧グロー放電によるプラズマ表面処理をした後、二軸延伸を行う方法などが挙げられる。インラインでの製膜適応性や微細な突起の形成個数の観点からは、大気圧グロー放電によるプラズマ処理を行い二軸延伸することがより好ましい。ここでいう大気圧とは700Torr~780Torrの範囲である。大気圧グロー放電処理は、相対する電極とアースロール間に処理対象のフィルムを導き、装置中にプラズマ励起性気体を導入し、電極間に高周波電圧を印加することにより、該気体をプラズマ励起させ電極間においてグロー放電を行うものである。これによりフィルム表面が微細に加工(アッシング)され突起が形成する。プラズマ励起性気体とは前記のような条件においてプラズマ励起されうる気体をいう。プラズマ励起性気体としては、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガス、窒素、二酸化炭素、酸素、またはテトラフルオロメタンのようなフロン類およびそれらの混合物などが挙げられる。また、プラズマ励起性気体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の混合比で組み合わせてもよい。プラズマによって励起された場合に活性が高くなる観点から、アルゴン、酸素、二酸化炭素のうちの少なくとも1種に加え、酸素を含むことが好ましい。また、活性の高いプラズマ励起性気体を用いることで、フィルム表面のアッシングが促進し地肌部が平滑化し高い突起が形成する傾向にある一方で、突起一つ一つが粗大化し、高さ10nm以上の突起個数n10(個/mm)や高さ50nm以上の突起個数n50(個/mm)は減少する場合がある。
プラズマ処理における高周波電圧の周波数は、1kHz~100kHzの範囲が好ましい。
また、以下方法で求められる放電処理強度(E値)は、10~2000W・min/mの範囲で処理することが突起形成の観点から好ましい。放電処理強度(E値)が10W・min/m以上であることにより、突起を十分に形成でき、放電処理強度(E値)が2000W・min/m以下であることにより、ポリエステルフィルムに過度なダメージを与えることを抑制できフィルム分解異物の形成を低減することができる。
<放電処理強度(E値)の求め方>
E=Vp×Ip/(S×Wt)
E:E値(W・min/m
Vp:印加電圧(V)
Ip:印加電流(A)
S:処理速度(m/min)
Wt:処理幅(m)
一般的に、大気圧グロー放電処理によってポリエステルフィルム、特にPETやPENのように非晶部と結晶部を持つフィルムの表面をアッシングする場合、柔らかい非晶部からアッシングされていく。結晶部と非晶部を細分化させることで、大気圧グロー放電処理することでより微細な突起を形成することができ、また、結晶部を増やしておくことで柔らかい非晶部が深く削れることで突起高さを高くすることが可能となる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム表面(A)において、深さ0.5μm以上かつ長さ100μm以上のキズの個数が10個/m以下であることが望ましい。深さ0.5μm以上のキズは露光工程で照射された紫外線を散乱させ、レジストパターンの抜けの原因となる。特に、前記フィルム表面(A)に存在する該キズの個数が10個/mより大きい場合、配線の幅や間隔が5μm~50μmの微細な回路形成に好適なレジストパターン壁面が形成されにくい傾向がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、寸法変化率が、下記の範囲内であるとDFR加工工程での熱収縮による歪みやシワの発生を抑制できるため好ましい。寸法変化率は、製膜条件における弛緩・熱処理等の条件を公知の方法により適宜調整することにより達成できる。150℃における寸法変化率は長手方向で1.0%以上2.8%以下、幅方向で0.1%以上2.6%以下が好ましく、長手方向で1.5%以上1.9%以下、幅方向で0.3%以上0.8%以下がさらに好ましい。また、100℃における寸法変化率は長手方向で1.0%以下、幅方向で0.3%以下が好ましく、長手方向で0.8%以下、幅方向で0.2%以下がさらに好ましい。該寸法変化率において上記範囲の下限を下回ると、レジスト層を塗布する際やラミネート加工時にタルミによる平面性不良が発生し、上限を上回ると、レジスト層を塗布する際に収縮によりトタン状に収縮斑が発生し平面性不良となり、いずれの場合もレジスト層の塗布厚みに斑を生じさせることがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前記フィルム表面(A)が、粒径0.01μm以上の不活性粒子を含有する長径1.0μm以上のボイドを有しており、当該ボイドの個数が30個/10mm未満であることが好ましい。前記フィルム表面(A)に存在する該ボイドの個数が30個/10mm以上の場合、露光工程で照射された紫外線が散乱し、レジストパターンの抜けが生じることがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、粒子を含んでいてもよい。粒子としては、有機、無機の粒子を用いることができるが、有機系としては、例えば、ポリイミド系樹脂、オレフィンあるいは変性オレフィン系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂など、無機系としては、例えば、真球状シリカ、酸化珪素、炭酸カルシウム、凝集アルミナ、珪酸アルミニウム、マイカ、クレー、タルク、硫酸バリウムなどが挙げられる。これらの粒子の採用にあたっては、光線透過率およびヘイズ値の上昇を抑制するため、粒子表面を界面活性剤などで表面改質し、ポリエステルとの親和性を改善する方法が添加粒子周辺でのボイド発生を抑制する点で好ましく採用できる。また、粒子形状が球状に近く、ポリエステルとの屈折率に差が少ない方が、フィルム層内を紫外線が通過する際の散乱光を抑制することができる。特に、コロイダルシリカ、有機粒子が好ましく、シリコーン粒子、架橋ポリスチレン粒子が好適である。中でも、乳化重合で調整された、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体からなる架橋ポリスチレン粒子は粒子形状が真球に近く、粒子径分布が均一であることから、均一な突起形成を図ることが可能な点で好ましい。コロイダルシリカやスチレン-ジビニルベンゼン共重合体からなる架橋ポリスチレン粒子は表層(A層、B層)を構成するポリエステル樹脂組成物に含有させることが好ましく、その含有量は表層(A層、B層)を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して0.01重量%以上0.1重量%未満が好ましい。含有量が0.01重量%を下回る場合、レジスト塗布工程にてハンドリング性が悪化し、塗布が不安定となり、塗布斑が発生することがあり、また、塗布後の巻き取り時には、噛み込んだ空気が抜けにくくなることによって巻きズレが起きることがあるため、好ましくない。含有量が0.1重量%以上の場合、架橋ポリスチレン粒子同士が凝集しやすい傾向となり、露光工程での光の入射角が不均一になることによる光の反射や散乱の影響により、レジストパターンの抜けが生じることがあるため、好ましくない。
前記した粒子とともに、凝集アルミナを併用することも望ましい形態のひとつである。ここで、凝集アルミナは、平均一次粒子径が5nm以上30nm未満の粒子が数個から数百個凝集したものを表す。凝集アルミナの平均一次粒子径は、8nm以上15nm未満の平均一次粒子径であることがより好ましい。当該凝集アルミナは、無水塩化アルミニウムを原料として火焔加水分解法、あるいはアルコキシドアルミナの加水分解などによって製造されたものが採用できる。凝集アルミナは、結晶型としてδ型、θ型、γ型などが知られているが、とくにδ型アルミナが好適に使用できる。これらの凝集アルミナについて、ポリエステル重合時に添加することで使用に供せるが、例えば、ポリエステル重合時の原料の一部であるエチレングリコールのスラリーとして、サンドグラインダーなどの粉砕、分散を行い、精密濾過を行うことによって、平均二次粒子径が10nm以上300nm未満の凝集アルミナを得ることができる。このようにして得られた凝集アルミナをフィルム中に添加した場合、二軸延伸によって、面方向に配置されるため、実質的に突起を形成せず、表面粗さへの影響が少なく、また、透過性が良いため、光線透過率およびヘイズ値の劣化を抑制できる。凝集アルミナを含有せしめることにより、フィルム表面の地肌補強効果が大きく得られ、耐摩耗性が向上し、延伸時のロールとの接触時に発生する凹み欠点を抑制するという効果が得られる。凝集アルミナは表層(A層、B層)を構成するポリエステル樹脂組成物に含有させることが好ましく、その含有量はポリエステル樹脂組成物全体に対して0.1重量%以上5.0重量%未満が好ましい。含有量が0.1重量%を下回る場合、レジスト塗布工程にてハンドリング性が悪化し、塗布が不安定となり、塗布斑が発生することや、塗布後の巻き取り時に、噛み込んだ空気が抜けにくくなることによる、巻きズレを起こすことがあるため、好ましくない。含有量が5.0重量%以上の場合、凝集アルミナ同士がさらに凝集しやすい傾向となり、露光工程での光の入射角が不均一になることによる光の反射や散乱の影響により、レジストパターンの抜けが生じることがあるため、好ましくない。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前記A層が粒子を含有しており、当該層に含有する粒子について、横軸に粒子径、縦軸に粒子の存在個数をプロットしたとき、粒子径が10~150nmの範囲と、粒子径が150~500nmの範囲のそれぞれに1つ以上の極大値を有することが望ましい。さらに好ましくは、粒子径が15~150nmの範囲と、粒子径が150~200nmの範囲のそれぞれに1つ以上の極大値を有することが望ましい。前記A層がかかる粒子径を有する粒子を含有しない場合、レジスト用ポリエステルフィルムの巻き取り性やDFR加工工程にてハンドリング性が悪化することがある。また、表面に形成された凹凸や含有粒子の凝集により、露光工程での光の入射角が不均一になることによる光の反射や散乱の影響により、レジストパターンの抜けが生じることがある。
フィルム表面(A)とは反対側のフィルム表面(C)を有する層が粒子を含有しており、当該層に含有する粒子について、横軸に粒子径、縦軸に粒子の存在比率をプロットしたとき、粒子径が10~450nmの範囲に1つ以上の極大値を有することが望ましい。さらに好ましくは、粒子径が15~200nmの範囲に1つ以上の極大値を有することが望ましい。前記B層がかかる粒子径を有する粒子を含有しない場合、レジスト用ポリエステルフィルムの巻き取り性やDFR加工工程にてハンドリング性が悪化することがある。また、また、該フィルムへレジストを塗布した後の塗布ムラやドライレジストフィルム露光後における基材フィルムの剥離不良が生じ易くなる。
さらに、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムでは、フィルムヘイズは1.0%以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.3%以下が好ましい。フィルムヘイズが1.0%を超えると、ポリエステルフィルムにレジスト層を積層した後、紫外線を照射して露光するにあたってのレジスト層の支持体であるポリエステルフィルムによる紫外光線の散乱が大きくなるため、現像後のレジストのパターニングにゆがみや、抜け、レジストパターン壁面の状態が悪化する場合や、ポリエステルフィルムの透過率が阻害される場合がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前記表面(A)と前記表面(C)間の静止摩擦係数μsが0.6以上1.0以下かつ、前記表面(A)と前記表面(C)間の動摩擦係数μdが0.5以上0.7以下であることが好ましい。前記表面(A)と前記表面(C)間の静止摩擦係数μsと動摩擦係数μdをかかる範囲とすることでレジスト形成性能と加工時のハンドリング性を両立できるため好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのB層において、長手方向0.88cm×幅方向1.16cmの領域をレーザー顕微鏡により100回観察したときに存在する長径15.0μm以上の粗大物の数が50個以下であり、長径10.0μm以上15.0μm未満の粗大物の数が300個以下であり、長径1.0μm以上10.0μm未満の粗大物の数が20000個以下であることが好ましい。また、さらに好ましくは、長径15.0μm以上の粗大物の数が10個以下であり、長径10.0μm以上15.0μm未満の粗大物の数が100個以下であり、長径1.0μm以上10.0μm未満の粗大物の数が1000個以下であることが好ましい。前記C層に該粗大物が存在する場合、露光工程で照射された紫外線が散乱し、レジストパターンの抜けが生じることがある。本発明における粗大物とは、ポリエステルフィルム中に相溶せずに存在する固形物や該固形物を中心核とするボイドのことを指し、単体の粒子で構成される場合でも、複数の粒子の凝集体で構成される場合でも粗大物とみなす。また、本発明でいう粗大物の長径とは、後述する測定方法により検出される粗大物が最も長く測定される長さを指す。粗大物の数を上述の範囲とする方法は特に限定されるものではなく、溶融製膜時に用いる異物捕集フィルターのメッシュサイズを制御する方法などが挙げられる。例えば、共押出し法により溶融製膜して得る場合、押出機に2μm以上の異物を95%以上捕集する高精度のものを用いることが有効である。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、二軸配向していることが必要である。本発明における、二軸配向とは、未延伸(未配向フィルムを、常法により、二次元方向に延伸された状態(広角X線回折で二軸配向のパターンを示すもの)を指す。延伸は、逐次二軸延伸、同時二軸延伸を採用することができる。逐次二軸延伸は、長手方向(縦)および幅方向(横)に延伸する工程を、縦-横の1回ずつ実施することもできるし、縦-横-縦-横など、2回ずつ実施することもできる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、長手方向(縦)のヤング率4.2GPa以上4.8GPa以下であることが好ましく、幅方向(横)のヤング率が5.3GPa以上6.2GPa以下であることが好ましい。長手方向(縦)のヤング率が4.2GPa以上、かつ幅方向のヤング率が5.3GPa以上であると、DFR加工工程における環境変化による寸法安定性が良好となる。幅方向のヤング率は1段階目の横延伸や2段階目の横延伸の温度や倍率によって制御することができる。特に横延伸のトータル倍率が影響し、横延伸のトータル倍率(1段階目の横延伸倍率×2段階目の横延伸倍率)が高いほど幅方向(横)のヤング率を高くすることができる。一方で、倍率を高くし過ぎた場合は、寸法変化率も上昇し、工程適性が悪化したり、製膜性が悪化してしまうため、長手方向のヤング率は4.8GPa以下、幅方向のヤング率は6.2G P a 以下が好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの全厚みが10μm以上50μm未満であることが好ましい。特に好ましくは12μm以上40μm未満である。全厚みが10μm未満では、強度不足によって加工工程での取り扱いが難しくなることがあり、50μm以上では、光線透過率およびヘイズ値を本発明範囲内にすることが難しくなる場合があり、また、経済性も悪化する場合がある。
次に本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。共押出し法による溶融製膜におけるポリエステルに不活性粒子を含有せしめる方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散せしめ、例えば長径2μm以上もしくは5μm以上の粗大粒子を95%以上捕集できる高精度濾過を行った後、このエチレングリコールスラリーをポリエステル重合完結前の任意段階で添加する。ここで、粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性が良好であり、粗大突起の発生を抑制でき好ましい。また粒子の水スラリーを直接、所定のポリエステルペレットと混合し、ベント方式の二軸混練押出機に供給しポリエステルに練り込む方法も本発明の効果に有効である。粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に粒子を実質的に含有しないPETで希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効である。この際、粒子を含有しないPETの固有粘度を粒子含有ペレットの固有粘度よりも高く調整しておくことで、上記した粒子含有ボイドの密度を制御することができる。また、粒子含有ペレットの固有粘度が粒子を含有しないPETの固有粘度よりも高い場合や同じ場合は、粒子の分散性が低下し粒子間距離が近くなることにより、粒子含有ボイドの密度が高くなる傾向にある。
このようにして、各層のために準備した、粒子含有マスターペレットと粒子などを実質的に含有しないペレットを所定の割合で混合し、乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、公知の溶融積層用押出機に供給する。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造における押出機は、一軸、二軸の押出機を用いることができる。また、ペレットの乾燥工程を省くために、押出機に真空引きラインを設けた、ベント式押出機を用いることもできる。また、中間層を設ける場合には、最も押出量が多くなるため、ペレットを溶融する機能と、溶融したペレットを一定温度に保つ機能をそれぞれの押出機で分担する、いわゆるタンデム押出機を用いることができる。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおける表面を構成する層の押出しには、二軸式ベント式押出機を用いることが、粒子の分散性を良好に保ち、粒子の凝集を抑制することができるため、好ましい。
押出機で溶融して押出したポリマーは、フィルターにより濾過する。ごく小さな異物もフィルム中に入ると粗大突起欠陥となるため、フィルターには例えば長径2μm以上もしくは5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度のものを用いることが有効である。続いて、スリット状のスリットダイからシート状に押し出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、複数の押出機、複数層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば矩形合流部を有する合流ブロック)を用いて積層し、口金からシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。この場合、背圧の安定化および厚み変動の抑制の観点からポリマー流路にスタティックミキサー、ギヤポンプを設置する方法は有効である。
延伸方法は同時二軸延伸であっても逐次二軸延伸であってもよい。逐次延伸の場合、長手方向の延伸温度は好ましくは95℃以上120℃未満、更に好ましくは100℃以上115℃未満である。延伸温度が95℃未満になるとフィルムが破断しやすく、延伸温度が120℃以上になるとフィルム表面が熱ダメージを受けやすくなるため好ましくない。また、延伸ムラ、およびキズを防止する観点からは延伸する前に予熱ゾーンを設け、段階的に加熱することが有効で有り、長手方向の予熱温度は65℃~130℃が好ましく、更に好ましくは70℃~110℃である。
得られた一軸延伸フィルムは。一旦冷却される。冷却温度は18℃以上40℃以下が好ましく、更に好ましくは21℃以上35℃以下である。冷却を行うことで幅寸法安定性が安定し、本発明の平滑なフィルム表面であったとしても、フィルム搬送ロールでのキズの防止とシワを抑制することができる。
引き続き公知のステンターオーブンにより幅方向に延伸されて二軸延伸フィルムとなる。フィルムはステンターオーブン内のレール上を走行するクリップに把持された状態で、オーブン中で再び樹脂のガラス転移温度以上に加熱され、クリップが走行するレールの広がりに伴い幅方向に延伸される。このとき、幅方向の延伸倍率は好ましくは3.2倍以上5倍未満、更に好ましくは3.9倍以上4.6倍未満である。
ここで、フィルムの表面粗さと表面傾斜を制御するために、段階的にフィルムを加熱することが重要である。一軸延伸フィルムを幅手方向に延伸する前に95℃以上120℃以下で加熱し、十分にガラス転移温度以上に加熱されたフィルムを105℃以上115℃以下で幅手方向に延伸することで、フィルムの延伸が容易となり、フィルム表面を形成する粒子による微少な延伸ムラを抑制することができる。次に、得られた二軸延伸フィルムの熱処理を行うことができる。熱処理は幅方向の延伸に引き続き同じステンターオーブン内で行っても、幅方向の延伸を行ったステンターオーブンとは別のオーブンで行ってもよい。熱処理の温度は、好ましくは220℃以上250℃以下であり、さらに好ましくは233℃以上241℃以下である。熱処理を行うことにより、その後の加工工程や最終製品として使用する時に高温下に晒されたときの寸法安定性が向上するため好ましい。また、熱処理時に幅方向にフィルムを0%より大きく8%以下の条件で弛緩させ、さらに寸法安定性を向上させることも好ましい。
二軸延伸後のフィルムは、オーブンから出るときに冷却することが好ましい。冷却温度は60℃以上120℃以下が好ましく、更に好ましくは70℃以上110℃以下である。冷却をすることで幅寸法が安定し、本発明の平滑なフィルム表面であったとしても、フィルム搬送ロールでのキズの防止とシワを抑制することができる。
続いて、エッジを切断して巻き取った後、中間製品を得る。この搬送工程にて、フィルムの厚みを測定し、該データをフィードバックして用いて、ダイ厚みなどの調整によってフィルム厚みを調整し、また、欠点検出器による異物検知を行う。
エッジの切断時には、切粉の発生を抑制することが、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいて好ましい。エッジの切断には丸刃、シェアー刃、ストレート刃を使用するが、ストレート刃を用いる場合は、刃がフィルムに当たる箇所を常に同じ箇所にさせないことが、刃の摩耗を抑制できるため好ましい形態である。このため、刃を上限までオシレーションする機構を有することが好ましい。また、フィルム切断箇所に吸引装置を設けて、発生した切り粉や、切断後のフィルム端部同士が削れて発生する削れ粉を吸引することが好ましい。
中間製品はスリット工程により適切な幅・長さにスリットして巻き取り、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのロールが得られる。スリット工程におけるフィルムの切断時も、先述のエッジの切断と同様な切断の方式から選定できる。
中間製品を所定の幅にスリットし、外径167mmのプラスチックコア(FWPコア、天龍コンポジット株式会社製)に巻き取り、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得る。こうして得られる本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、良好な透過性、すべり性を有するため、ドライフィルムレジスト支持体用に好適に用いることができる。
特に、電子情報機器の回路配線は微細化が進展しているため、回路配線作製に用いられるドライフィルムレジスト支持体用フィルムにおいては、紫外線露光の際、フィルム表面における光散乱を極力低減することで配線描写性を向上することが求められる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前記フィルム表面(A)が紫外線露光の際の光散乱などの影響を抑えることが可能であるため、前記表面(A)側から紫外線露光されるように用いることが好ましい。
以下実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定して解釈されるものではない。
(測定方法)
(1)積層フィルムおよび各層の厚みの測定
積層フィルムの厚みは、マイクロメーターにてランダムに10点測定し、その平均値とした。また、積層フィルムの断面を超薄切片に切り出し、RuO4染色、OsO4染色、あるいは両者の二重染色による染色超薄切片法により、TEM(透過型電子顕微鏡)で1万~100万倍で観察し、写真撮影を行った。その断面写真から樹脂層(X)、ポリエステルフィルムのA層、B層の厚みをそれぞれ測定した。
(2)固有粘度(IV)
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度より下記式から計算される値を用いた。すなわち
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)-1、Cは溶媒100mあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常は1.2)、Kはハギンス定数(0.343)とする。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
なお、ポリエステルフィルムの最外層のポリエステル層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度(IV)を測定する場合には、ポリエステルフィルムの最外層のポリエステル層を構成するポリエステル樹脂を削り出して測定する。
また、ポリエステルフィルムの最外層を除いたポリエステル層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度を測定する場合は、(1)の方法でポリエステルフィルムの各層の層厚みの比率を求めた後、ポリエステルフィルム全体の固有粘度を上記と同様にして測定し、重量比例配分で最外層を除いたポリエステル層を構成するポリエステル樹脂の固有粘度を求める。
また、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、溶液を濾過して重量測定を行い、濾物の重量を測定試料重量から差し引いた値を測定試料重量とする補正を行う。
(3)突起個数n10(個/mm)、n50(個/mm
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを20mm×40mmに切り出し、非接触光学
式粗さ測定器(装置:Zygo社製NewView7300)を用い、50倍対物レンズ
を使用して測定面積0.01mmの場所をランダムに変えて40視野測定し、1視野当
たりの平均値を求めた。サンプルセットは、測定Y軸がサンプルフィルムの長手方向となるようサンプルをステージにセットして測定した。
(4)フィルム表面傾斜(Δa、Δq値)
三次元微細表面形状測定器(小坂製作所製ET-350K)を用いて表面(A)について測定し、得られた表面のプロファイル曲線より、下記の算出式(式1、式2)を用いて、算術平均表面傾斜Δa値、幾何平均表面傾斜Δq値を求めた。測定条件は下記のとおり。
Figure 2024047656000001
Figure 2024047656000002
X方向測定長さ:0.5mm、X方向送り速度:0.1mm/秒。
Y方向送りピッチ:5μm、Y方向ライン数:40本。
カットオフ:0.25mm。
触針圧:0.02mN。
高さ(Z方向)拡大倍率:5万倍
(5)フィルム表面粗さ(SRa、SRz値)
三次元微細表面形状測定器(小坂製作所製ET-350K)を用いて表面(A)および表面(C)について測定し、得られた表面のプロファイル曲線より、JIS・B0601に準じ、算術平均表面粗さSRa値、十点平均表面粗さSRz値を求めた。測定条件は下記のとおり。
X方向測定長さ:0.5mm、X方向送り速度:0.1mm/秒。
Y方向送りピッチ:5μm、Y方向ライン数:40本。
カットオフ:0.25mm。
触針圧:0.02mN。
高さ(Z方向)拡大倍率:5万倍
(6)粒子含有ボイドの密度
フィルム表面(A)をデジタル顕微鏡(;株式会社キーエンス製 VHX-7000型)にて5000倍程度の倍率で粒子を観察する。ボイド中に粒径が0.01μm以上の粒子を含有していることが確認できるボイドを粒子含有ボイドとし、長径が1.0μm以上のボイド数を計測し、その個数を10mmあたりの存在密度で算出した。なお、本発明でいう粒子含有ボイドの長径とは、前記デジタル顕微鏡により検出される粒子含有ボイドが最も長く測定される長さを指す。
(7)粗大異物個数
二軸配向ポリエステルフィルムを10cm×10cmに切り出し、レーザー顕微鏡(キーエンス製VK-X250)にてC層中で画像を取り込み、取り込んだ画像を2値化処理し、粒子解析モジュール(キーエンス製VKH1XG)を用いて、フィルム表面から一定の深さ範囲内に存在する粗大物の数を計測した。50倍の対物レンズを用いて、長手方向220μm×幅方向290μmの画像をC層中で長手方向0.88cm×幅方向1.16cm分取り込み、上記の計測作業を10回繰り返すことで、長径1.0μm以上の粗大物の数を求めた。なお、本発明でいう粗大物の長径とは、前記測定方法により検出される粗大物が最も長く測定される長さを指す。
(8)フィルムのヘイズ
JIS K7105-1981に準じ、フィルム幅方向の中央部から、長手4.0×幅3.5cmの寸法に切り出したものをサンプルとし、ヘイズを、ヘイズメータ(スガ試験機製HGM-2DP(C光源用))を用いて測定する。
(9)摩擦係数
JIS K7125-1987に準じ、二軸配向ポリエステルフィルムから切り出したサンプルを2枚準備し、各サンプルの表面を除電後、一方のサンプルの表面(A)ともう一方のサンプルの表面(C)を重ね合わせ、フィルム端部を固定し、荷重200g(法線力1.96N)をかけて150mm/分で10mm移動させたときの張力からすべり係数(静止摩擦係数μs、動摩擦係数μd)を算出した。
(10)粒子の粒子径
フィルム表面に含有される粒子の粒子径については次のように測定する。フィルムからポリマーをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。処理後の試料を走査型電子顕微鏡(SEM;株式会社日立製作所製 S-4000型)で観察し、粒子画像をイメージアナライザ(株式会社ニレコ製 LUZEX_AP)に取り込み、等価円相当径を測定し、粒子の体積平均粒子径を求める。SEMの倍率は粒子径により、5000~20000倍から適宜選択する。任意に観察箇所をかえて、少なくとも粒子数5000個の粒子の体積平均粒子径測定し、その平均値を粒子の体積平均粒径とした。また、この結果から0nmを初点として10nm間隔毎の階級で表した粒子径を横軸に、該粒子径を有する粒子の個数を縦軸にプロットし、粒度分布のグラフを作成し、極大値を有する粒子径を求めた。
(11)レジスト解像度の目視検査
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおけるレジストの解像度の目視評価方法は、以下のような手順で行った。
(i)片面鏡面研磨した6インチSiウエハー上に、東京応化(株)製のネガレジスト“PMER N-HC600”を塗布し、大型スピナーで回転させることによって厚み7μmのレジスト層を作製した。次いで、窒素循環の通風オーブンを用いて70℃の温度条件で、約20分間の前熱処理を行った。
(ii)ポリエステルフィルムにおいて露光面とは反対の面をレジスト層と接触するように重ね、ゴム製のローラーを用いて、レジスト層上にポリエステルフィルムをラミネートし、その上に、クロム金属でパターニングされたフォトマスクを配置し、そのフォトマスク上からI線ステッパーを用いて露光を行った。
(iii)レジスト層からポリエステルフィルムを剥離した後、現像液N-A5が入った容器にレジスト層を入れ約1分間の現像を行った。その後、現像液から取り出し、水で約1分間の洗浄を行った。
(iv)現像後に作成されたレジストパターンのL/S(μm)(Line and Space)の状態について走査型電子顕微鏡SEMを用いて1500倍率で観察した。レジストの解像度の評価は、以下の基準に従った。なお、△以上の評価が実用可能レベルとなる。
◎:L/S=5/5μmが明確に確認できる。
○:L/S=5/5μmは明確に確認できないが、L/S=10/10μmは明確に確認できる。
△:L/S=10/10μmは明確に確認できないが、L/S=30/30μmは明確に確認できる。
×:L/S=30/30μmが明確に確認できない。(生産適用不可)。
(12)反射強度
分光光度計((株)島津製作所UV2450)に積分球付属装置((株)島津製作所製
ISR2200)を取り付け、硫酸バリウムを標準板とし、B面から光を入射した状態で
測定を行い、標準板を100%とした365nm及び405nmの波長における相対反射
率を測定した。
<標準板作成方法>
硫酸バリウム白色標準試薬(EASTMAN White Reflectance Standard Cat No.6091)34
gを、直径50.8mm、深さ9.5mmの円柱形くぼみに入れ、ガラス板を用いて圧縮して、圧縮密度約2g/cmの硫酸バリウム白色標準板を作製した。
反射強度の評価は、以下の基準に従った。なお、△以上の評価が実用可能レベルとなる。
〇:365nm反射率が13.9%未満、405nm反射率が13.5%未満。
△:365nm反射率が13.9%以上14.0未満、405nm反射率が13.5%以上14.0%未満。
×:365nm反射率が14.0以上、405nm反射率が14.0%以上。(生産適用不可)。
(13)レジストフィルムのハンドリング性(すべり性評価)
二軸配向ポリエステルフィルムから切り出したサンプルを1枚準備し、サンプルの表面を除電後、サンプルの表面(C)がガラス板表面に接するよう設置する。次に、フィルム端部を固定し、フィルム表面(A)の上に6インチのベアウエハを設置する。ベアウエハの上から、荷重1kg(法線力10N)をかけて、100mm/分で70mm移動させ、ベアウエハと本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおけるフィルム表面(A)との間にかかる張力を測定し、以下の基準に従って、すべり性の評価をした。なお、△以上の評価が実用可能レベルとなる。
◎:0N以上3N未満(適正なすべり性を有し、ハンドリング性が良好。)
〇:3N以上4N未満(すべり性がやや悪く、ハンドリング性がやや劣る。)
△:4N以上6N未満(すべり性が悪く、ハンドリングに劣る)。
×:6N以上(適正なすべり性がないため、ハンドリング困難であり生産適用不可。
(14)熱収縮率
積層フィルム表面に、幅10mm、測定長約100mmとなるように2本のラインを引
き、この2本のライン間の距離を23℃で測定し、これをL0とする。この積層フィルム
サンプルを150℃(風量ゲージ「7」)に設定したエスペック(株)製熱風オーブン「
HIGH-TEMP-OVEN PHH-200」中に30分間、3gの荷重下で放置し
た後、再び2本のライン間の距離を23℃で測定し、これをL1とし、下式により熱収縮
率を求めた。測定は、長手方向および幅方向に5サンプルずつ実施し、平均値で評価を行
った。
熱収縮率(%)=(L0-L1)/L0×100
なお、フィルムを分析する際に、フィルムの長手方向や幅方向が分からない場合は、フィ
ルムにおいて最大の屈折率を有する方向を幅方向、それに直行する方向を長手方向とみな
す。フィルムにおける最大の屈折率の方向は、フィルムの全ての方向の屈折率をアッベ屈
折率計で測定して求めてもよく、例えば、位相差測定装置(複屈折測定装置)などにより
遅相軸方向を決定することで求めてもよい。
(15)結晶サイズ
結晶サイズχcは、PHILIPS社製PW1729X 線回折装置を用いて測定した。X線回折装置の測定条件は、次のとおりである。試料は、厚みが1 0 0 μmになるように重ね合わせて、フィルム面が回折面に並行になるようにセットする。常温、常圧下で、35kV,15mAのCuKα線にて、θが18~32°の範囲で回折ピークを得た。得られた(100)の回折ピークの半値幅h(°)より下記式にて結晶サイズχcを求めた。
(16)引裂強度
フィルムを長さ25cm各に切り出し、測定する方向に対して垂直な方向にフィルムの中央位置に長さ15cm、深さ方向10μmハーフカットを施し、それぞれの向きの破断張力を最大荷重64Nの引裂試験機(東洋精機製)を用いて、JIS K 7128-2(1998)(エレメンドルフ引裂法)に基づいて引裂強さ(N)を測定した。この計測値を、フィルム厚みで除したものを引裂強度N/mmとした(なお、引裂強度を算出する際に用いるフィルム厚みは、ハーフカット処理後に残っているフィルム厚み(フィルム厚み-10μm)ではなく、ハーフカット処理を行う前のフィルム厚みの値とした)。なお、この引裂強度はフィルム幅方向および長手方向のそれぞれ20サンプルの試験結果を平均化したものとした。なお、実質的に引き裂けなかった場合はオーバーレンジとして、64Nとして計算した。
(17)フィルムの破れや裂けの評価
上記の、二軸配向ポリエステルフィルムを用いて成形されたレジストフィルムを繰り出し、二軸配向ポリエステルフィルム上にてレジストフィルムを100枚分切断し打ち抜く。切断には回転式の丸刃カッターを使用する。この際、レジストフィルムを切断するための、回転式丸刃カッターの切り込み深さは、レジストフィルム厚みプラス2μm~3μmに設定する。打ち抜き時の評価として、打ち抜き後のフィルムの破れを観察し、以下のように評価した。なお、△以上の評価が実用可能レベルとなる。
◎:幅方向、長手方向ともに破れ、裂けの発生がない
〇:幅方向、長手方向のいずれかに破れ、裂けの発生があるが、微少であり、フィルム全体の破断の発生がない。
△:幅方向、長手方向のいずれかにやや大きめな破れ、裂けの発生があるが、フィルム全体の破断の発生がない。
×:幅方向、長手方向のいずれかで大きな破れ、裂けが発生するか、フィルム全体の破断が発生した。
(18)キズ個数の評価
スリット後のコアに巻き取ったフィルムロールから所定の幅長さ×長手方向の長さが1mの面積となるように、フィルムを引き出しサンプリングした。暗室にて、フィルムサンプルの一方の面を1000lmのLEDライト(レッドレンザージャパン製i17R)で
入射角をフィルムサンプルに対して水平30°~150°の範囲で変えながらライト照射面側から観察し、目視で確認出来たキズをサンプリングした。サンプリングしたキズをレーザー顕微鏡で観察し、キズの深さ0.5μm以上、かつ、長さ100μm以上であるキズをカウントした。本検査は1つの中間製品から巻き取った所定の幅のサンプル全てで1回ずつ実施し、下記の基準で評価した。なお、4級以上の評価が実用可能レベルとなる。
1級:キズ個数≦0個/m
2級:0個/m<キズ個数≦2個/m
3級:2個/m<キズ個数≦5個/m
4級:5個/m<キズ個数≦10個/m
5級:10個/m<キズ個数。
(原料)
(ポリエステルAの作成)
テレフタル酸86.5重量部とエチレングリコール37.1重量部を255℃で、水を留出しながらエステル化反応を行う。エステル化反応終了後、トリメチルリン酸0.02重量部、酢酸マグネシウム0.06重量部、酢酸リチウム0.01重量部、三酸化アンチモン0.0085重量部を添加し、引き続いて、真空下、290℃まで加熱、昇温して重縮合反応を行い、固有粘度0.63dl/gのポリエステルペレットを得た。(ポリエステルA)。
(ポリエステルBの作成)
上記と同様にポリエステルを製造するにあたり、エステル交換後、体積平均粒子径0.06μm、体積形状係数f=0.51、モース硬度7の球状シリカをそれぞれ添加し、重縮合反応を行い、粒子をポリエステルに対し1.0重量%含有するシリカ含有マスターペレットを得た(ポリエステルB)。なお、用いる球状シリカは、エタノールとエチルシリケートとの混合溶液を攪拌しながら、この混合溶液に、エタノール、純水、および塩基性触媒としてアンモニア水からなる混合溶液を添加し、得られた反応液を攪拌して、エチルシリケートの加水分解反応およびこの加水分解生成物の重縮合反応を行なった後に、反応後の攪拌を行い、単分散シリカ粒子を得た。
(ポリエステルCの作成)
上記と同様にポリエステルを製造するにあたり、エステル交換後、体積平均粒子径0.2μm、体積形状係数f=0.51、モース硬度7の球状シリカをそれぞれ添加し、重縮合反応を行い、粒子をポリエステルに対し2.0重量%含有するシリカ含有マスターペレットを得た(ポリエステルC)。なお、用いる球状シリカは、エタノールとエチルシリケートとの混合溶液を攪拌しながら、この混合溶液に、エタノール、純水、および塩基性触媒としてアンモニア水からなる混合溶液を添加し、得られた反応液を攪拌して、エチルシリケートの加水分解反応およびこの加水分解生成物の重縮合反応を行なった後に、反応後の攪拌を行い、単分散シリカ粒子を得た。
(ポリエステルD、E、Fの作成)
さらに別に、モノマーを吸着させる方法によって得た体積平均粒子径0.15μm、体積形状係数f=0.51のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子の水スラリーを、上記の実質的に粒子を含有しないホモポリエステルペレットに、ベント式二軸混練機を用いて含有させ、体積平均粒子径0.15μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し2.0重量%含有するマスターペレットを得る(ポリエステルD)。また、体積平均粒子径0.3μm、0.45μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子含有マスターペレットは、ポリエステルに対しそれぞれ2.0重量%、1.0重量%含有するマスターペレットを同様にして得た(ポリエステルE、F)。
(ポリエステルGの作成)
さらに、平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウムを準備し、10%のエチレングリコールスラリーとした。このスラリーをジェットアジターで一時間分散処理を行い、5μm以上の捕集効率95%のフィルターで高精度濾過した。ジメチルテレフタレートに1.9モルのエチレングリコールおよび酢酸マグネシウム・4水塩を0.05%、リン酸を0.015%加え加熱エステル交換を行い、前述した炭酸カルシウムを含むスラリーをエステル交換後に添加し、引き続き三酸化アンチモン0.025%を加え、加熱昇温し真空下で重縮合反応を行い、平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウムを1重量%含む、固有粘度0.63dl/gの炭酸カルシウム含有マスターペレットを得た。(ポリエステルG)。
(ポリエステルHの作成)
さらに、凝集アルミナとしてδ型-アルミナを10%のエチレングリコールスラリーとし、サンドグラインダーを用い、粉砕、分散処理を行い、さらに捕集効率95%の3μmフィルターを用いて濾過し、これを前記と同様に調整したエステル交換反応物に添加し、引き続き三酸化アンチモンを加え、重縮合反応を行い、凝集アルミナを1.5重量%含有する、固有粘度0.62dl/gのマスターペレットを得た。(ポリエステルH)。
(ポリエステルIの作成)
GN001[イーストマンケミカル製 1,4-シクロヘキサンジメタノールがグリコー
ル成分に対し30mol%共重合された共重合ポリエステル]と、ポリエステルAを51:49の質量比率で混合したブレンド樹脂。
(実施例1)
各層について表1に示した配合で調合した原料の混合物を、ブレンダー内で攪拌した後、A層、C層の原料は攪拌後の原料を、A層用、C層用のベント付き二軸押出機に供給し、B層の原料は120~140℃で1時間以上減圧乾燥し、B層用の一軸押出機に供給した。続いて、275℃で溶融押出し、A層、B層は5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度なフィルター、C層は2μm以上の異物を95%以上捕集する高精度なフィルターにて濾過した後、矩形の3層用合流ブロックで合流積層し、A層、B層、C層からなる3層積層とした。その後、285℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて表面温度23℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得た。
この未延伸フィルムを68~99℃の加熱ロールで予熱後、表面粗さRaが0.2μmの延伸ロールを用いて113~115℃で長手方向4倍に延伸し、続けて、延伸温度よりも88~90℃下げて、一軸延伸後のフィルムを冷却させた。続いて、ステンタにて103~112℃の熱風下で幅方向に4.3倍延伸後、定張下、240℃で10秒間熱処理し、その後、長手方向に0.1%、幅方向に3.3%の弛緩処理を施した。厚さ16μmの二軸配向ポリエステルフィルムの中間製品を得た。この中間製品をスリッターにてスリットし、厚さ16μmの二軸配向ポリエステルフィルムのロールを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示した。このように本発明の二軸配向ポリエステルフィルムはすべり性、レジスト解像度に優れるものであった。
(実施例2~5)
A層、B層、C層の組成を表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。このように本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは実施例1同様に、すべり性、レジスト解像度に優れるものであった。
(実施例6)
各層について表1に示した配合で調合した原料の混合物を、ブレンダー内で攪拌した後、A層の原料攪拌後の原料を、C層用のベント付き二軸押出機に供給し、B層の原料は120~140℃で1時間以上減圧乾燥し、B層用の一軸押出機に供給した。続いて、275℃で溶融押出し、A層、B層を5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度なフィルターにて濾過した後、矩形の3層用合流ブロックで合流積層し、A層、B層、A層からなる2種3層積層とした。
(比較例1~3)
A層、B層、C層の組成を表1に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
Figure 2024047656000003
Figure 2024047656000004
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、良好な透過性、すべり性を有するため、ドライフィルムレジスト支持体用に好適に用いることができる。
1 斜面X
2 斜面Y
3 最も険しい斜面の大きさ(式2にて算出される)

Claims (16)

  1. 下記(1)~(4)を満たすことを特徴とする、ドライフィルムレジスト支持体用途に用いる二軸配向積層ポリエステルフィルム。
    (1)3層以上の積層構造を有するポリエステルフィルムであること。
    (2)長手方向および幅方向の引裂強度が4.3N/mm 以上8.0N/mm以下であること。
    (3)一方のフィルム表面(A)の算術平均表面粗さをSRa(A)、10点平均表面粗さをSRz(A)算術平均表面傾斜をΔa(A)、幾何平均表面傾斜をΔq(A)としたとき、SRa(A)が2.5nm以上6.0nm以下、SRz(A)が50nm以上170nm未満、Δa(A)が1.5μm/mm以上5.0μm/mm以下、Δq(A)が2.0μm/mm以上6.4μm/mm以下であること。
    (4)表面を有さないポリエステル層B(B層)が結晶性の熱可塑性樹脂Aと非晶性の熱可塑性樹脂Bを含むこと。
  2. 前記熱可塑性樹脂Aが、結晶性ポリエステルであり、前記非晶性の熱可塑性樹脂Bが、非晶性ポリエステルであることを特徴とする、請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 前記結晶性ポリエステルが、結晶性ポリエチレンテレフタレートであり、前記非晶性ポリエステルが、スピログリコール共重合ポリエチレンテレフタレート、及び/又はシクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. フィルム全層中の結晶サイズχcが5.3nm以上7.8nm以下である請求項1または請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. ]フィルム表面(A)を有するポリエステル層A(A層)に粒子が含まれており、当該粒子の最大粒子径をDA(μm)、A層の厚みをTA(μm)としたとき、DAが下記式1を、TAが下記式2を、DA/TAが下記式3を満たす請求項1または請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
    0.01<DA<0.50(式1)
    0.15<TA<0.80 (式2)
    0.02<DA/TA≦1.40(式3)
  6. 前記A層のフィルム表面(A)において、高さ10nm以上の突起個数をn10、高さ50nm以上の突起個数をn50(個/mm)としたとき、n10が8000以上21000以下であり、n50が100以上2000以下である請求項1または請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  7. 前記フィルム表面(A)において、深さ0.5μm以上かつ長さ100μm以上のキズの個数が10個/m以下である請求項1または請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  8. 150℃における長手方向の寸法変化率が1.0%以上2.8%以下、幅方向の寸法変化率が0.1%以上2.6%以下であり、100℃における長手方向の寸法変化率が1.0%以下、幅方向の寸法変化率が0.3%以下である請求項1または請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  9. 前記フィルム表面(A)が粒径0.01μm以上の不活性粒子を含有する長径1.0μm以上のボイドを有しており、当該ボイドの個数が30個/10mm未満である請求項1または請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  10. 前記A層が粒子を含有しており、当該層に含有する粒子について、横軸に粒子径、縦軸に粒子の存在個数をプロットしたとき、粒子径が10~150nmの範囲と、粒子径が150~500nmの範囲のそれぞれに1つ以上の極大値を有する請求項1または請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  11. フィルム表面(A)とは反対側のフィルム表面(C)を有する層が粒子を含有しており、当該層に含有する粒子について、横軸に粒子径、縦軸に粒子の存在比率をプロットしたとき、粒子径が10~450nmの範囲に1つ以上の極大値を有する請求項1または請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  12. フィルムヘイズが1.0%以下である請求項1または請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  13. 前記表面(A)と前記表面(C)間の静止摩擦係数μsが0.6以上1.0以下かつ、前記表面(A)と前記表面(C)間の動摩擦係数μdが0.5以上0.7以下である請求項1または請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  14. 前記B層において、長手方向0.88cm×幅方向1.16cmの領域をレーザー顕微鏡により10回観察したときに存在する長径15.0μm以上の粗大物の数が50個以下であり、長径10.0μm以上15.0μm未満の粗大物の数が300個以下であり、長径1.0μm以上10.0μm未満の粗大物の数が20000個以下である請求項1または請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  15. 長手方向のヤング率が4.2GPa以上4.8GPa以下で、幅方向のヤング率が5.3GPa以上6.2GPa以下である請求項1または請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  16. 共押出し法により溶融製膜して得る請求項1または請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
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