明 細 書
積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルム 技術分野
[0001] 本発明は、積層ポリエステルフィルム及びそれを用いた鏡面反射フィルムに関する
。より詳しくは、金属薄膜層よりなる光反射層を形成させた鏡面反射フィルムの基材、 特に、液晶ディスプレイ(以下、 LCDと略す)の面光源反射板の部材として好適に用 V、ることができる積層ポリエステルフィルム及びそれを用いた鏡面反射フィルムに関 する。
背景技術
[0002] 近年、液晶画面を使用した用途の拡大はめざましぐ従来のノートパソコンの他に、 据え置き型のパソコン、液晶テレビ、携帯電話のディスプレイ、各種ゲーム機などで 広く採用されてきている。このような用途拡大に応じて画面の高輝度化、高精細化が 望まれており、照明光源でも高出力化や光源ランプ数の増加などの改良が図られて きている。また、該光源に使用される反射板に関しても、その反射特性に対する要求 も高度化してきている。特に、巿場において高輝度化の要求がますます強くなつてき ている。
[0003] 高輝度化の要求を満足させるためには、反射板として銀やアルミニウム等の金属薄 膜層の鏡面反射を利用したものを用いることが好ましい。しかしながら、該方法は鏡 面反射光が強く輝度を高めることは可能である力 光の入射角に対し他の角度への 反射光が殆ど見られない。そのため、 LCD用反射板として使用すると、一定方向から 見た時だけ明るぐ他の角度から見た場合に暗くて見えにくいという現象が生じる。こ の現象は一般に指向性が強い又は視野角が狭いと呼ばれている。そのため、従来 は、指向性の強い鏡面反射光を低下させ、指向性の弱い拡散反射光を増大させる 方法が用いられてきた。
[0004] 例えば、以下の方法が開示されている。
( 1)二酸化チタン等の白色の無機粒子を含む榭脂フィルム基材の反射使用面の反 対側に金属薄膜よりなる光反射層を積層し、該無機粒子による光線の散乱作用によ
り拡散反射光を増加させる方法 (例えば、特許文献 1〜7を参照)
(2)銀系金属薄膜よりなる光反射層の表面に、白色顔料を含むフィルムあるいは白 色顔料を含む榭脂層を積層したフィルムを重ね合わせて、該白色顔料による光線の 散乱作用により拡散反射光を増加させる方法 (例えば、特許文献 8〜9を参照)
(3)表面がマット加工された透明フィルムのマット加工された反対面の平坦表面に銀 薄膜層よりなる光反射層を形成し、マット加工表面による光線の散乱作用により拡散 反射光を増加させる方法 (例えば、特許文献 10を参照)
(4)紫外線吸収剤、必要に応じて白色顔料を併用して、特定の曇価を有する艷消し フィルムに、銀薄膜層よりなる光反射層を形成し、フィルム中の紫外線吸収剤や白色 顔料による光線の散乱作用により拡散反射光を増力 tlさせる方法 (例えば、特許文献 1 1を参照)
[0005] (5)基材フィルムの表面に粒子を含む榭脂層を積層し、基材フィルム表面に凹凸層 を形成し、該凹凸層表面に銀あるいはアルミニウム系金属薄膜よりなる光反射層を設 けて、光反射層の凹凸により拡散反射光を増加させる方法 (例えば、特許文献 12〜 14を参照)
(6)基材フィルム表面にアンカー層を積層し、その上に金属蒸着層よりなる光反射層 を形成させ、特定条件で熱処理することにより拡散反射光を増加させる方法 (例えば 、特許文献 15を参照)
(7)内部に微細な多数の空孔を含有する熱可塑性高分子榭脂配向フィルム力 なる 透過光散乱性制御フィルムに、金属膜を積層し、フィルム側から光を入射すること〖こ より、入射方向によって散乱性を制御する方法 (例えば、特許文献 16の特許請求の 範囲、段落 0005、 0060を参照)
[0006] 特許文献 1 :特開平 5— 301319号公報
特許文献 2:特開平 10— 730号公報
特許文献 3 :特開平 10— 731号公報
特許文献 4:特開平 10— 732号公報
特許文献 5:特開平 10— 67067号公報
特許文献 6:特開平 5— 301318号公報
特許文献 7:特開平 10— 193494号公報
特許文献 8:特開平 6— 15775号公報
特許文献 9:特開平 6—47870号公報
特許文献 10 :特開平 8— 76112号公報
特許文献 11 :特開平 7— 108643号公報
特許文献 12:特開 2001— 296410号公報
特許文献 13:特開 2001— 350004号公報
特許文献 14:特開 2002— 79605号公報
特許文献 15 :特開 2000— 187207号公報
特許文献 16:特開平 10— 332911号公報
[0007] 上記方法は、指向性が強いというという問題を解決するためには有効な方法である 力 鏡面反射光である正反射率が低下するために輝度が低下する。そのため、高輝 度化の要求を十分満たすことができな 、と 、う問題がある。
[0008] 近年、 LCD用光源に組み込まれるレンズフィルムや光拡散フィルムの性能向上が 進み、鏡面反射の強い反射板を用いても、上記の視野角が狭くなるという問題が改 善され、高輝度化の要求と連動し、鏡面反射光、すなわち正反射光の強い金属薄膜 よりなる光反射を利用した高輝度用の反射板の需要が高まってきている。しかしなが ら、前記のような汎用のフィルム表面に金属薄膜層を形成したのでは、反射光強度 やその均一性等において巿場の要求を十分に満たすことができておらず、この要求 特性が改善された基材フィルムの開発が強く要望されている。
[0009] 一方、一般に、鏡面反射フィルムの金属薄膜層は、金属原子を蒸着ゃスッパッタリ ング等のドライコーティング法により形成されるが、該方法で工業生産をした場合は、 金属薄膜層にピンホール等の光学欠点の発生を避けることが困難となる。また、同一 製品内での金属薄膜層の厚み変動にともない、得られた製品の取り位置により光線 反射率に差が生ずることがある。また、一枚の反射フィルム内においても該光線反射 率に差が生ずることがある。そのため、該特性の変動を抑制する方法が強く要望され ていた。
[0010] また、近年、光線反射率のさらなる向上が求められており、該要求を満足させるとと
もに、前記の問題を改善するために、金属薄膜層の厚みを厚くする方法等が用いら れている。し力しながら、金属薄膜層の厚みを厚くすることは、製造コストが増大する ことになる。一方、光線反射率を高める他の方法として、光線反射率の高い銀系の金 属薄膜層を用いる方法があるが、銀系の金属薄膜層は高価である。
[0011] そのため、金属薄膜層の厚みを薄くしても、高い光線反射率を維持することができ る技術の確立が巿場で強く要望されている。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0012] 本発明の目的は、高度で均一な光線反射率が得られる、金属薄膜層を反射面とす る鏡面反射フィルム、特に、 LCD用の面光源反射フィルムの基材として好適な積層 ポリエステルフィルム及びそれを用いた鏡面反射フィルムを提供することにある。 課題を解決するための手段
[0013] 前記の課題を解決することができる、本発明の積層ポリエステルフィルム及びそれ を用いた鏡面反射フィルムは、以下の構成力もなる。
すなわち、本発明の第 1の発明は、表面層 (A)Z白色遮光層(B)の層構成を含む 積層ポリエステルフィルムであって、前記の白色遮光層(B)はその内部に空洞又は 無機粒子の少なくとも一方を含有してなるポリエステル組成物を含み、表面層(A)は その表面が三次元十点平均粗さ(SRz)が 0. 23 μ m以下であるポリエステル力 な る平滑層であり、積層ポリエステルフィルムの光線透過率が 20%以下であることを特 徴とする積層ポリエステルフィルムである。
[0014] また、第 2の発明は、表面層 (A)Z白色遮光層(B)の層構成を含む積層ポリエステ ルフィルムであって、前記の白色遮光層(B)はその内部に空洞又は無機粒子の少な くとも一方を含有してなるポリエステル組成物を含み、表面層(A)は粒子を含有しな いか、または粒子の含有量が 50ppm以下であるポリエステル力もなる平滑層であり、 積層ポリエステルフィルムの光線透過率が 20%以下であることを特徴とする積層ポリ エステルフィルムである。
[0015] 第 3の発明は、前記の白色遮光層(B)の内部に、ポリエステルと該ポリエステルに 非相溶性の熱可塑性榭脂を含むポリエステル組成物を少なくとも一方向に延伸する
ことにより発現させた空洞を含有することを特徴とする第 1または第 2の発明に記載の 積層ポリエステルフィルムである。
[0016] 第 4の発明は、前記積層ポリエステルフィルムの見かけ密度が 0. 60-1. 35g/c m3であることを特徴とする第 1または第 2の発明に記載の積層ポリエステルフィルムで ある。
[0017] 第 5の発明は、前記の白色遮光層(B)の表面の三次元十点平均粗さ(SRz)が 0. 2 3 mを越え 3. 0 m以下であることを特徴とする第 1または第 2の発明に記載の積 層ポリエステルフィルムである。
[0018] 第 6の発明は、前記の積層ポリエステルフィルムの総厚みが 75〜300 μ mであり、 表面層(A)の厚み 5〜30 mであることを特徴とする第 1または第 2の発明に記載の 積層ポリエステルフィルムである。
[0019] 第 7の発明は、前記の積層ポリエステルフィルムが、表面層(A)Z白色遮光層(B) Z表面層(C)の少なくとも 3層の層構成からなり、前記の表面層(C)は榭脂と粒子を 含む易滑層であり、かつ表面層(C)の SRz力 前記の表面層(A)の SRzよりも大きく 2. 0 m以下であることを特徴とする第 1または 2の発明に記載の積層ポリエステル フイノレム。
[0020] 第 8の発明は、前記の積層ポリエステルフィルムが、表面層(A) Z白色遮光層(B) Zポリエステル層 (Α' ) Ζ表面層(C)の層構成からなり、前記の表面層(C)は榭脂 と粒子を含む塗布層(C )であり、ポリエステル層 (Α' )は粒子を含有しな ヽか、ま たは粒子の含有量が lOOppm以下であるポリエステル力もなることを特徴とする第 7 の発明に記載の積層ポリエステルフィルムである。
[0021] 第 9の発明は、塗布層(C )力、平均粒径 20nm以上 150nm未満の粒子 a及び平 均粒径 150nm以上 600nm以下の粒子 bを含有することを特徴とする第 8の発明に 記載の積層ポリエステルフィルムである。
[0022] 第 10の発明は、前記の積層ポリエステルフィルムの総厚みが 100〜300 μ mであり 、表面層(A)の厚みが 5〜30 μ mであり、表面層(C)の厚み、またはポリエステル層 (Α' )と塗布層(C )との厚みの合計が 5〜30 μ mであることを特徴とする第 7また は 8の発明に記載の積層ポリエステルフィルムである。
[0023] 第 11の発明は、前記の積層ポリエステルフィルムを、無荷重の状態で、 110°Cで 3 0分間加熱処理した後のカール値が lmm以下であることを特徴とする第 1、 2、 7、 8 の!、ずれかの発明に記載の積層ポリエステルフィルムである。
[0024] 第 12の発明は、前記の積層ポリエステルフィルムを 170°Cで 20分間加熱処理した 時に、積層ポリエステルフィルムの表面層(A)とは反対面に析出する粒子の占有面 積比が 0. 008 m2/ m2以下であることを特徴とする第 1、 2、 7、 8のいずれかの 発明に記載の積層ポリエステルフィルムである。
[0025] 第 13の発明は、積層ポリエステルフィルムの表面層(A)と白色遮光層(B)、表面層
(A)と表面層(C)、または表面層 (A)と塗布層(C )とを重ね合わせた際の静摩擦 係数が 0. 60以下であることを特徴とする第 1、 2、 7、 8のいずれかの発明に記載の 積層ポリエステルフィルムである。
[0026] 第 14の発明は、第 1、 2、 7、 8のいずれかの発明に記載の積層ポリエステルフィル ムを、該フィルムの表面層(A)に金属薄膜層を積層した鏡面反射フィルムの基材とし て用い、光が照射される金属薄膜層を反射面として使用することを特徴とする鏡面反 射フィルム用積層ポリエステルフィルムである。
[0027] 第 15の発明は、光が照射される金属薄膜層を反射面とする鏡面反射フィルムであ つて、第 1、 2、 7、 8のいずれかの発明に記載の積層ポリエステルフィルムの表面層( A)に金属薄膜層を積層してなることを特徴とする鏡面反射フィルムである。
発明の効果
[0028] 本発明の積層ポリエステルフィルムは、平滑性に優れる表面層(A)に金属薄膜層 よりなる光反射層を形成することにより、光線反射率を高くすることができるため、高 輝度の鏡面反射フィルムを得ることができる。
[0029] また、本発明の積層ポリエステルフィルムは、白色遮光層(B)の光の反射機能が利 用できるので、表面層 (A)に金属薄膜層を設けた際に、金属薄膜層の厚み変動があ つても鏡面反射光の不均一性を抑制できる。また、金属薄膜層の厚み薄くしても高い 反射光が得られるので、経済的にも有利である。さらに、金属薄膜層にピンホールが あっても、ピンホールを透過した光が白色遮光層(B)により反射されるため、該ピンホ ール部分での反射光の低下を防ぐこともできる。
[0030] また、本発明においては、上記白色遮光層(B)の内部に空洞を含有させた構成と することにより、空洞による遮光性付与のほかに、積層ポリエステルフィルムを軽量ィ匕 することちでさる。
[0031] また、本発明の積層ポリエステルフィルムは、平滑な表面層(A)の反対面の白色遮 光層(B)の表面の平均表面粗さを、平滑な表面層(A)よりも大きくしているので、フィ ルム製造時や加工時のハンドリング性 (滑り性、巻き性、耐擦り傷性)に優れている。 そのため、フィルムの製造工程や金属薄膜層を形成する加工工程において、フィル ムの取り扱い性が良好で、かつ、これらの工程において、表面層(A)の表面の耐擦り 傷性が向上し、かつ平坦性を維持できるので、表面層 (A)に金属薄膜層を形成した 場合の光線反射率の低下を少なくすることができる。
[0032] また、本発明の積層ポリエステルフィルムの好ま 、実施形態にぉ 、ては、加熱に よるカールの発生が抑制されており、取り扱 、性にも優れて 、る。
[0033] また、本発明の積層ポリエステルフィルムの他の好ま U、実施形態にぉ 、ては、積 層ポリエステルフィルムを加熱処理した時のポリエステルに含まれる環状三量体等の 低重合オリゴマーやモノマー力 なる低分子量物の析出を抑制しているため、該積 層フィルムに金属薄膜層を積層する加工やその前後に実施されるアンダーコートや オーバーコートの加工時、またこれらの加工の前後における保管時における表面層( A)の表面や、フィルム卷取り時の金属薄膜層の表面への他面力 の析出粒子の転 写による汚染が軽減されるため、該表面汚染により引き起こされる金属薄膜層の欠点 の発生や光線反射率の低下が低減される。
図面の簡単な説明
[0034] [図 1]本発明の 2層カゝらなる積層ポリエステルフィルムの層構成を示す説明図である。
[図 2]本発明の 3層カゝらなる積層ポリエステルフィルムの層構成を示す説明図である。
[図 3]本発明の 4層カゝらなる積層ポリエステルフィルムの層構成を示す説明図である。
[図 4]本発明の鏡面反射フィルムの層構成を示す説明図である。
[図 5]実施例 4及び比較例 11で得られた鏡面反射フィルムにお 、て、金属薄膜層の 表面における光線反射率に対する金属薄膜層の厚みの影響を調べた説明図である
[図 6]実施例 7及び比較例 19で得られた鏡面反射フィルムにお 、て、金属薄膜層の 表面における光線反射率に対する金属薄膜層の厚みの影響を調べた説明図である 符号の説明
[0035] 1:積層ポリエステルフィルム
2 :表面層 (A)
3 :白色遮光層(B)
4 :表面 C
5 :表面層(C)
6 :ポリエステル層(Α' )
7 :塗布層(C )
8 :金属薄膜層
9 :鏡面反射フィルム
10 :光の照射方向
20:実施例 4で得られた鏡面反射フィルム
21:比較例 11で得られた鏡面反射フィルム
30:実施例 7で得られた鏡面反射フィルム
31:比較例 19で得られた鏡面反射フィルム
発明を実施するための最良の形態
[0036] (積層ポリエステルフィルム)
本発明の積層ポリエステルフィルムは、表面層(A) Ζ白色遮光層(Β)の層構成を 含む積層ポリエステルフィルムであって、前記の白色遮光層(Β)はその内部に空洞 又は無機粒子の少なくとも一方を含有してなるポリエステル組成物を含み、表面層( Α)はその表面が三次元十点平均粗さ(SRz)が 0. 23 μ m以下であるポリエステルか らなる平滑層であり、積層ポリエステルフィルムの光線透過率が 20%以下であること を特徴とする。
[0037] また、本発明の積層ポリエステルフィルムの表面層(A)は、組成物の観点力も表現 すると、粒子を含有しないか、または粒子の含有量が 50ppm以下であるポリエステル
カゝらなる平滑層でもある。
[0038] 本発明の積層ポリエステルフィルムの代表的な層構成を図 1に示す。また、他の好 適な実施形態として、表面層 A (平滑層) Z白色遮光層 BZ表面層 C (易滑層)力 な る積層ポリエステルフィルムの層構成を図 2に示す。さらに、表面層 A (平滑層) Z白 色遮光層 BZポリエステル層 A' Z塗布層 (易滑層)からなる積層ポリエステルフ イルムの層構成を図 3に示す。
[0039] 本発明の積層ポリエステルフィルムは、表面層 A (平滑層) Z白色遮光層 Bの 2層か ら構成される場合は、積層ポリエステルフィルムの厚みが 75〜300 μ mであることが 好ましい。また、表面層 A (平滑層) Z白色遮光層 BZ表面層(B)、あるいは表面層 A (平滑層) Z白色遮光層 BZポリエステル層 A' Z塗布層 (易滑層)のように、少 なくとも 3層以上の層構成カゝらなる場合には、積層ポリエステルフィルムの厚みが 100 〜300 μ mであることが好まし!/、。
[0040] 積層ポリエステルフィルムの厚みの下限は、 150 mがより好ましぐ 170 mが特 に好ましい。一方、厚みの上限は、 250 mがより好ましい。積層フィルムの厚みが 7 5 μ m未満(2層構成)または 100 μ m未満 (少なくとも 3層構成)では、フィルムの腰 が弱くなり、例えば、光反射板として LCDのような最終製品に組み込む場合、ハンド リング性が低下しやすくなる。一方、積層フィルムの厚みが 300 /z mを超える場合は、 生産性の点力も経済的に不利になる。なお、現在、一般的に LCDに用いられている 反射板に用いる基材の厚みは 188 mである。
[0041] 本発明の積層ポリエステルフィルムの表面層(A)及び白色遮光層(B)を構成する ポリエステルは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などから選択さ れる少なくとも 1種の芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとエチレングリコール、ジ エチレングリコール、 1, 3 プロパンジオール、 1, 4 ブタンジオール、ネオペンチ ルグリコールなど力 選択される少なくとも 1種のダリコールとを重縮合させて製造さ れるポリエステルである。これらのポリエステルは芳香族ジカルボン酸とダリコールとを 直接反応させる直重法のほか、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコール とをエステル交換反応させた後、重縮合させるエステル交換法力ゝ、あるいは芳香族ジ カルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させるなどの方法によって製造すること
ができる。また、表面層(C)がポリエステルを含む場合、あるいはポリエステル層 (A ' )を構成するポリエステルにつ ヽても同様である。
[0042] 前記のポリエステルの代表例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテ レフタレート、ポリブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン 2, 6 ナフタレート が挙げられる。前記のポリエステルはホモポリマーであってもよぐ第三成分を共重合 したものであってもよい。これらのポリエステルの中でも、エチレンテレフタレート単位 、トリメチレンテレフタレート単位、あるいはエチレン 2, 6 ナフタレート単位が 70モ ル%以上、好ましくは 80モル%以上、さらに好ましくは 90モル%以上であるポリエス テルが好ましい。上記の各層を構成するポリエステルは、同種であっても、異種であ つても構わな 、が、カールの抑制及び経済性の点より同種が好まし 、。
[0043] また、本発明の積層ポリエステルフィルムは、機械的強度や熱寸法安定性の点から 、二軸配向ポリエステルフィルムであることが好まし 、。
[0044] (白色遮光層 B)
従来、金属薄膜層 Z基材フィルムの層構成からなり、光が照射される金属薄膜層を 反射面とする鏡面反射フィルムにおいては、光が金属薄膜層で反射されるため、基 材フィルムとしては透明フィルムが一般に用いられてきた。し力しながら、金属薄膜層 の厚み変動により、金属薄膜層の厚みの薄い部分で光が透過し、鏡面反射フィルム の反射率が低下することを本発明者らは新たに見出した。これが本発明を完成させ るきつかけとなった、重要な技術背景である。
[0045] 本発明において、白色遮光層(B)は表面層 (A)に金属薄膜層を設けた際に、金属 薄膜層に厚みの変動があつたとしても、いずれの場所でも反射率の変動が少なぐか つ高い反射率を維持するために設けられるものである。また、本発明の鏡面反射フィ ルムは、基材フィルムに遮光性を付与することにより、金属薄膜層の厚みを薄くしても 、金属薄膜層を透過し漏洩した光線を反射光として戻すことができる。すなわち、本 願発明の鏡面反射フィルムにおいて、白色遮光層(B)は、金属薄膜層の厚みの変 動があっても、または金属薄膜層の厚みが薄くても、反射率の変動または低下を抑 制する機能を有する層である。
[0046] 白色遮光層(B)は、ポリエステルに空洞又は無機粒子の少なくとも一方を含有して
なる榭脂組成物カゝら構成される層であり、積層ポリエステルフィルムでの光線透過率 を 20%以下とするために不可欠な層である。
[0047] 本発明の積層ポリエステルフィルムは、遮光性の指標の 1つである光線透過率が 2 0%以下であることが重要であり、好ましくは 15%以下、特に好ましくは 10%以下で ある。一方、遮光性の付与による反射率の変動または低下を抑制する効果が飽和す る点と力学的特性や経済性の点とのバランスから、積層ポリエステルフィルムの光線 透過率の下限は 0. 5%が好ましぐ実用上は 3%で十分である。
[0048] 積層ポリエステルフィルムの光線透過率が 20%を超える、すなわち遮光性に劣る 場合は、白色遮光層(B)における金属薄膜層を透過した光の反射効果が低下しや すくなるため、金属薄膜層の厚みが変動した場合、または金属薄膜層の厚みを薄く した場合に、白色遮光層 (B)により反射率を補完する機能が低下する。その場合、 金属薄膜層の厚みを厚くしないと、高い反射光が得られなくなり、経済的にも不利に なる。
[0049] また、光線透過率が 20%を超える場合は、本発明の積層ポリエステルフィルムに金 属薄膜層を形成させた光反射フィルムとして用いる場合、金属薄膜層の成膜時に避 けることが困難な金属薄膜層に生じるピンホール力 透過した光を、白色遮光層(B) で遮断して再びピンホール力 戻すことが困難になる。
[0050] 積層ポリエステルフィルムの光線透過率を 20%以下とするためには、白色遮光層( B)の空洞含有率や無機粒子の含有量を、下記で記載した範囲とすることが好ま 、 。また、光線透過率は厚み依存性がある。すなわち、白色遮光層(B)が同一の榭脂 組成物であっても、白色遮光層(B)の厚みが薄くなると光線透過率が高くなり、遮光 性が低下する、一方、白色遮光層(B)の厚みが厚くなると、光線透過率は低下し遮 光性が向上する。
[0051] 積層ポリエステルフィルムの層厚みは、 75〜300 μ m、好ましくは 100〜300 μ m の範囲で、巿場で使用する際の用途、規格により一般的に決められる。一方、表面 層(A)の厚みは、白色遮光層(B)の内部に存在する空洞や粒子力 表面層(A)の 平滑性に悪影響を与えない範囲で、例えば 5〜30 /ζ πιが設定される。また、表面層( Α)の厚みを厚くしすぎても、表面平滑性の効果は飽和する。もし、表面層(Α)の厚
みを、 30 /z mを超えるような厚みにする必要がある場合には、白色遮光層(B)の厚 みを薄くしても遮光性を維持できるように、白色遮光層(B)を設計することが重要とな る。
[0052] 具体的には、白色遮光層(B)の空洞含有率や無機粒子の含有量を下記の範囲内 で高めにすることが好ましい。これでも不十分な場合には、例えば、空洞発現剤とな るポリエステルに非相溶性の榭脂中にも粒子を含有させる方法、白色遮光層(B)を 積層構造として、無機粒子を多量に含有する厚みの薄い層を積層する方法、カーボ ンブラックや青色顔料などの白色以外の着色顔料を併用する方法、などの厚みが薄 くても高 ヽ隠蔽性を維持できる特別な方法を用いてもょ ヽ。
[0053] また、白色は可視光の吸収がないため、最も光を反射させることができる。すなわち 、白色光は、金属薄膜層を透過した漏洩光線を最も効率よく光線を反射させることが できる。そのため、本発明の積層ポリエステルフィルムは、表面層(A)側より、 JIS Z — 8722に準拠して測定した白色度を 75以上とすることが好ましく、より好ましくは 80 以上とする。白色度が 75未満では、上記の金属薄膜層を透過した光を白色遮光層( B)で反射させる補完効果が低下しやすくなる。
[0054] 積層ポリエステルフィルムの白色度を 75以上とするためには、下記で述べた遮光 性を高める手段のほかに、蛍光増白剤を併用することも有効である。遮光性を高める 手段としては、(1)白色遮光層(B)の空洞含有率を 10〜50体積%とする方法、(2) 白色遮光層(B)に白色の無機粒子を、白色遮光層(B)の榭脂組成物に対し、 1〜2 5質量%含有させる方法、 (3)両者の併用などが挙げられる。
[0055] 遮光性を高めるためには、白色遮光層(B)の内部に微細空洞を多数含有させる方 法、または白色の無機粒子を含有させる方法が有効である。微細空洞を多数含有さ せる方法は、遮光性を付与するとともに、積層ポリエステルフィルムを軽量ィ匕できると いう利点がある。また、微細空洞と白色の無機粒子とを併用することにより、さらに遮 光性を高めることができる。白色遮光層(B)としては、遮光性と軽量性の点から、微細 空洞含有ポリエステル層、または白色の無機粒子と微細空洞を含有するポリエステ ル層の 、ずれかの実施形態がより好ま 、。
[0056] 白色の無機粒子としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム及びこれらの
複合体よりなる白色顔料が好ましい。これらの白色粒子は、白色遮光層(B)の榭脂 組成物に対し、 1〜25質量%含有させることが好ましい。遮光性をさらに高めるため に、無機粒子の含有量を増やしすぎると、フィルム製造時に破断が多発し、工業レべ ルで安定した生産が行えなくなる場合がある。
[0057] 白色遮光層(B)の内部に空洞を含有させる方法としては、(1)発泡剤を含有させ、 押出時や製膜時の熱によって発泡、あるいは化学的分解により発泡させる方法、(2) 押出時又は押出後に炭酸ガスなどの気体又は気化可能な物質を添加し、発泡させ る方法、(3)ポリエステルと該ポリエステルに非相溶性の熱可塑性榭脂を添加し、溶 融押出後、 1軸又は 2軸に延伸する方法、(4)有機もしくは無機の微粒子を添加して 溶融押出後、 1軸又は 2軸に延伸する方法などを挙げることができる。
[0058] 前記の空洞を含有させる方法の中で、前記(3)の方法、すなわちポリエステルと該 ポリエステルに非相溶性の熱可塑性榭脂を添加し、溶融押出後、 1軸又は 2軸に延 伸する方法が好ましい。前記のポリエステルに非相溶の熱可塑性榭脂としては、何ら 制限されるものではないが、ポリプロピレンやポリメチルペンテンに代表されるポリオ レフイン系榭脂、ポリスチレン系榭脂、ポリアクリル系榭脂、ポリカーボネート榭脂、ポ リスルホン系榭脂、セルロース系榭脂、ポリフエ二レンエーテル系榭脂などが例示さ れる。
[0059] これらの、ポリエステルに非相溶の熱可塑性榭脂は単独で用いてもよぐまた複数 の熱可塑性榭脂を組合せて用いてもょ ヽ。これらポリエステルに非相溶性の熱可塑 性榭脂の含有量は、空洞含有ポリエステル層(白色遮光層 B)を形成する榭脂に対し 3〜20質量%が好ましぐさらに好ましくは 5〜15質量%である。そして、ポリエステ ルに非相溶性の熱可塑性榭脂の含有量が空洞含有ポリエステル層を形成する榭脂 に対し 3質量%未満では、フィルム内部に形成される空洞の含有量が少なくなるため 、遮光性 (隠蔽性)が低下する。そのため、表面層 (A)に金属薄膜層を設けた際に、 金属薄膜層の厚み変動による反射率のバラツキを低減する効果が不十分となりやす い。さら〖こ、軽量性の特徴も不十分となる。一方、非相溶性の熱可塑性榭脂の含有 量力 空洞含有ポリエステル層(白色遮光層 B)を形成する榭脂に対し 20質量%を 超える場合には、フィルム製造工程での破断の頻度が増加する傾向がある。本発明
の積層ポリエステルフィルムの白色遮光層(B)における空洞含有率は 10〜50体積 %が好ましぐより好ましくは 20〜40体積%である。
[0060] 前述のごとぐ本発明で用いる白色遮光層(B)では、上記のポリエステルに非相溶 の熱可塑性榭脂を配合し空洞を形成する方法と、白色粒子を配合する方法を併用 する方法が最も好ましい。
[0061] 本発明の積層ポリエステルフィルムは、見かけ密度が 0. 60-1. 35g/cm3である ことが好ましい。見かけ密度の下限は、取り扱い性の点から、 0. 65g/cm3がより好 ましぐ特に好ましくは 0. 70gZcm3である。一方、見かけ密度の上限は、軽量化の 点から、 1. 30gZcm3がより好ましぐ特に好ましくは 1. 20gZcm3である。見かけ密 度が 0. 60g/cm3未満の場合、空洞含有率が高すぎるため、積層ポリエステルフィ ルムの強度が低下し、腰も弱くなり取り扱い性が悪ィ匕するなど、ポリエステルフィルム としての特徴が損なわれる傾向がある。一方、見かけ密度が 1. 35gZcm3を超える 場合、フィルム内部の空洞の含有率が低すぎて、軽量ィ匕の効果が不十分となる。
[0062] また、本発明においては、前記の白色遮光層(B)中の空洞の含有率、ポリエステル に非相溶性の熱可塑性榭脂の種類や含有量、及び無機粒子の種類や含有量は、 上記の積層ポリエステルフィルムの光線透過率や見かけ密度等の巿場要求により、 前記に開示した範囲内で適宜設定すればょ ヽ。
[0063] 本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて、上記の白色遮光層(B)に空洞を含 有させる場合は、ポリエステルに非相溶な熱可塑性榭脂に起因する空洞を含有しな い白色ポリエステルフィルムや、通常の透明ポリエステルフィルムに比べ、巻き癖カー ルの発生が大きい。フィルムの厚みが厚い場合、特にカールが発生しやすいため、 カールを抑制する方法を併用してフィルムを製造することが好ましい。
[0064] なぜなら、フィルムの厚みが厚 、二軸延伸フィルムの製造にお!、ては、延伸前の未 延伸フィルムが非常に厚くなる。そのため、冷却ロールによるフィルムの冷却効率が 冷却面とその反対面で異なり、結晶化度などの構造がフィルムの裏表で異なるものに なってしまう。さらに、内部に微細な空洞を含有する空洞含有ポリエステル系フィルム であるため、その空洞のサイズ、形状、体積分率がフィルムの厚み方向にわたって容 易に変化するため、フィルム表裏の物性や構造を同一とするようなフィルムの製造が
極めて困難になる。
[0065] 本発明にお!/、ては、積層ポリエステルフィルムを無荷重の状態で、 110°Cで 30分 加熱処理した後のカール値を lmm以下とすることが好ましい。カール値は 0. 9mm 以下がより好ましぐ 0. 8mm以下がさらに好ましい。カール値が lmmを超える場合 は、例えば、光反射板等として最終製品に組み込む場合の無緊張下での作業時の ハンドリング性が悪ィ匕するので好ましくな 、。
[0066] カールを抑制する手法としては、(1)空洞の体積分率を小さくし、且つ各々の空洞 サイズを小さく抑制しすることで、内部歪に耐えてカールの発生を抑制する方法、(2 )フィルム厚み方向に空洞に分布を持たせる方法、(3)押し出し時の冷却差によるフ イルム厚み方向の結晶化度の差に始まる各工程で付与されるフィルム表裏の構造差 に起因するカールを制御するために、積極的にフィルム表裏の構造差を発生させ、 必然的な構造差と補完しあってカール値をゼロに近づける方法、などが好適である。
[0067] 具体的には、縦延伸や横延伸などの延伸工程及び熱固定工程で、フィルム表裏の 温度又は熱量を異なる値とすることによって、フィルム表裏の配向度を独立して制御 し、フィルム表裏の構造や物性がバランスする条件を採用することにより、ゼロカール の製膜が実現する。
[0068] また、カールが全幅にわたって低い状態で安定的に生産されるための基本的要件 として、厚み斑の少ない延伸処方により、フィルム厚み方向に変化の少ない空洞を形 成させることち重要である。
[0069] より具体的には、製膜直後の縦方向のカールについては、縦延伸時のフィルム裏 表の構造差を制御し、横方向のカールは横延伸及び熱固定時にフィルム裏表の構 造差を制御することで、逆方向の内部歪を作りこみ、必然的に発生するフィルム表裏 の構造差による内部歪とバランスさせて、カールを抑制する方法が好ましい。
[0070] また、カールを抑制する他の方法として、該積層ポリエステルフィルムを少なくとも 3 層以上の構成にし、表面層(A)の厚みおよび組成を、表面層(C)あるいはポリエステ ル層 (Α' )の厚みおよび組成を同等にする方法も有効である。
[0071] (表面層 Α)
本発明において、表面層(Α)は、本発明の積層ポリエステルフィルムを鏡面反射フ
イルムの基材として使用する場合に、反射面となる金属薄膜層を形成させる層である
。この表面層 (A)は平滑性に優れており、金属薄膜層を形成させた際の反射率を高 める機能を有する層である。
[0072] また、本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて、表面層(A)の厚みは、 5〜30 μ mが好ましい。表面層(A)の厚みの上限は、 25 μ mがさらに好ましぐ特に好まし くは 20 mである。一方、表面層(A)の厚みの下限は、 7 mがさらに好ましぐ特に 好ましくは 10 mである。表面層(A)の厚みが 5 m未満の場合は、白色遮光層(B )に含有されて!、る微細空洞や粒子が、表面層 (A)の表面平滑性に悪影響を与える 場合があるので好ましくない。一方、表面層(A)の厚みが 30 /z mを超える場合には、 遮光性を維持しながら白色遮光層(B)の厚みを薄くせざるをえず、白色遮光層(B) の設計を前記のように薄物高隠蔽の特別な処方に変更せざるを得ない場合があり、 操作が煩雑となる。
[0073] 前記表面層(A)にお 、ては、三次元十点平均粗さ(SRz)を 0. 23 μ m以下とする ことが重要である。 SRzは 0. 21 μ m以下が好ましぐ 0. 19 μ m以下がさらに好ましく 、特に好ましくは 0. 16 m以下である。
[0074] 金属薄膜層は表面の平滑度が高い程、光の反射率が向上する。したがって、該表 面層(A)はできる限り表面平滑性に優れていることが好ましい。三次元十点平均粗さ (SRz)が 0. 23 μ mを超える場合には、金属薄膜層を形成した時の金属薄膜層表面 の光線反射率、特に正反射率が低下する。例えば、このような正反射率の劣る鏡面 反射フィルムを LCD用の面光源反射板として使用した場合、ディスプレイの輝度が 低下する。表面平滑性の指標は、一般的に三次元中心面平均表面粗さ(SRa)が用 いられることが多い。しかしながら、同じ SRaを有する表面であっても、高い突起が少 数存在する場合や低い突起が多数存在する場合など表面形態が全く異なる場合が ある。本発明においては、表面突起の中でも高い突起の方が、光線反射率に及ぼす 影響が大きいことを見出した。本発明では、前記理由から、表面平滑性の指標として 三次元十点平均粗さ(SRz)を用いた。
[0075] 表面層(A)の SRzの下限は、光線反射率の点から、可能な限りゼロに近いことが好 ましい。しかしながら、極限レベルの表面平滑ィ匕は極めて高度な技術を要すること、
またそれを検出するための測定器の測定精度に加え、実用上の光線反射率や工業 レベルでの安定生産性を考慮すると、 SRzの下限は 0. 05 mで十分である。
[0076] 本発明にお 、ては、上記特性を付与する方法は限定されな 、が、表面層 (A)は、 粒子を実質的に含まないことが好ましい実施態様である。「粒子が実質的に含有され ていない」とは、例えば無機粒子の場合、原子吸光分析法や発光分析法など予め他 の分析法での分析結果カゝら作成した検量線を用いて、蛍光 X線分析法で粒子に起 因する元素を定量した際に 50ppm以下、好ましくは lOppm以下、特に好ましくは検 出限界以下となる含有量を意味する。これは、積極的に粒子をフィルム中に含有させ なくても、原料ポリマーやフィルム製造時に微量の付着物、汚れ、外来異物が混入す る場合があるためである。
[0077] さらに、本発明において、表面層(A)の表面に存在する、高さが 1 m以上で最大 径が 20 μ m以上の突起数が 5個 Zm2以下であることが好ましい。 4個 Zm2以下であ ることがより好ましぐ 3個 Zm2以下であることがさらに好ましい。表面層(A)の表面に 存在する高さが 1 μ m以上で最大径が 20 m以上の突起は、表面層(A)に金属薄 膜層を形成させた際に、金属薄膜層に発生するピンホールの原因の 1つとなる。した がって、前記突起数が 5個 Zm2を超えた場合、表面層 (A)に金属薄膜層を形成させ る際に、金属薄膜層にピンホールが発生する頻度が増加し、このピンホールが存在 する箇所で反射光が低下し、全体の反射光が不均一になる場合がある。
[0078] 前記突起数を 5個 Zm2以下とするためには、表面層(A)を形成するポリエステル中 に粒子を積極的に含有させないことが好ましい。さらに、金属薄膜層のピンホールの 原因となる異物を可能な限り低減させることが好ましい。表面層 (A)の内部に混入す る異物は、原料ポリエステル中の触媒 (重縮合反応触媒、エステル交換反応触媒)、 添加剤(アルカリ金属塩'アルカリ土類金属塩のような静電密着改良剤や、リン酸又 はリン酸塩のような熱安定剤など)の凝集物、及びこれらの金属還元物に起因するも の、外部力も混入した汚染物、高融点有機物等に分類される。また、フィルム製造時 に表面層(A)に付着する埃も金属薄膜層のピンホールの一因として挙げられる。
[0079] 本発明にお 、て用いられるポリエステルは、ジカルボン酸とグリコールをエステル化 反応させ、次いで重縮合反応を行う重縮合法、あるいはジカルボン酸塩とダリコール
をエステル交換反応させ、次いで重縮合反応を行うエステル交換法など、従来公知 の方法によって製造される。
[0080] このポリエステルには、重縮合触媒、さらに場合によってはエステル交換反応触媒 、及びリン酸又はリン酸塩などの熱安定剤が必須成分として用いられる。また、これら 以外に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩を適量含有させ、これらの金属塩とリ ン原子のモル比を制御することで、シート状溶融ポリエステルを回転冷却ロール上に 静電印加法により密着固化させ、厚みの均一な未延伸シートを安定して得ることがで きる。
[0081] ポリエステルの代表的な重縮合触媒としては、三酸ィ匕アンチモン、アンチモングリコ ラートなどの Sb系触媒、 Ge系触媒、 Ti系触媒、 A1系触媒などがある。これらのうち、 透明性、熱安定性及び価格の観点から、フィルム用ポリエステルの重縮合触媒として は、一般に、三酸化アンチモン (Sb O )が使用されている。
2 3
[0082] 特に、重縮合触媒として Sb O
2 3を使用した場合、重合時及び Z又は未延伸ポリエス テルフィルムの製造時に、 Sb Oが金属 Sbに還元され、フィルム表面に凝集物として
2 3
析出しやすくなる。これが上記 (A)の異物に該当するため、重縮合時間を著しく遅く しない範囲で、できるだけ Sb Oの含有量を低減させることが好ましい。上記のような
2 3
異形部の数を上記範囲内とするためには、ポリエステル中の Sb 2 o 3の含有量を、金 属 Sb換算で 50〜250ppm、好ましくは 60〜200ppm、さらに好ましくは 70〜150pp mとすることが推奨される。
[0083] また、重縮合完了後、ポリエステルを孔径が 7 m以下 (初期濾過効率 95%)のス テンレススチール焼結体等の濾材よりなるフィルターで濾過処理し、あるいはペレット 化のために押出機力も溶融ポリエステルのストランドを冷却水中に押出す際に、予め 冷却水を濾過処理 (フィルタ一孔径: 1 μ m以下)し、且つ、この工程を密閉した部屋 で行い、へパフィルターで環境中に存在する 1 μ m以上の異物を低減させておくこと が好ましい。
[0084] さらに、後述するポリエステルの未延伸シート製造の際にも、該ポリエステルが溶融 している段階で、該榭脂中に含まれる異物を除去するために精密濾過を行う。精密 濾過に用いられる濾材は特に限定はされな 、が、ステンレススチール焼結体の濾材
力 ポリエステルの重合触媒が還元されて生成する金属 Sbなどや、重合カゝらペレット 化までの段階で混入する Si、 Ti、 Ge、 Cuを主成分とする凝集物及び高融点有機物 の除去性能に優れることから好適である。濾材の濾過可能な粒子サイズは 15 m以 下(初期濾過効率 95%)であることが好ましい。 15 /z mを超えるものでは、除去の必 要がある 20 μ m以上のサイズの粒子の除去が不十分となる場合がある。上記のよう な濾過性能を有する濾材を使用して溶融樹脂の精密濾過を行うことにより生産性が 低下する場合がある力 光学欠陥の少な ヽフィルム積層体を得るには極めて好適で ある。
[0085] フィルム製造時に表面層(A)に付着する埃につ!、ては、へパフィルターを用いで環 境中に存在する 1 m以上の異物を低減させたクリーンな環境下でフィルムを製造 することにより、埃の付着低減することができる。
[0086] (表面層 C)
本発明において、表面層(C)は積層ポリエステルフィルムにハンドリング性 (滑り性 、巻き性、耐擦り傷性など)を付与する機能を有する層である。また、本発明の積層ポ リエステルフィルムが、表面層(A)Z白色遮光層(B)の 2層構造力 なる場合には、 白色遮光層(B)力 表面層(C)を兼ねる。この場合、白色遮光層(B)の表面を表面 Cと記載する場合がある。
[0087] 本発明の積層ポリエステルフィルムが、表面層(A) Z白色遮光層(B) Z表面層(C )を含む 3層以上の層から構成される場合、表面層(C)の厚みは、ハンドリング性付 与という機能からは特に限定はなぐ例えば、 5〜30 /ζ πιとする。しかしながら、表面 層 (Α)と同様、表面層(C)の厚みを厚くした場合も、遮光性を維持しながら白色遮光 層(Β)の厚みを薄くせざるをえず、白色遮光層(Β)の設計を前記のように薄物高隠 蔽の処方に変更せざるを得ない場合があり、操作が煩雑となる。
[0088] 本発明にお 、て、表面 Cまたは表面層(C)の三次元十点平均粗さ(SRz)は、表面 層(A)の SRzよりも大きぐかつ 2. 0 m以下とすることが好ましい。表面層(C)の SR zの下限は、 0. 25 /z m力より好ましく、特に好ましくは 0. である。表面 Cまた は表面層(C)の SRz力 表面層(A)の SRzよりも大きくても、表面 Cまたは表面層(C )の SRzが 0. 23 μ m以下の場合には、積層ポリエステルフィルムを巻き取る際に、表
面層(A)と、表面 Cまたは表面層(C)との間の滑り性が悪ィ匕し、例えば、積層ポリエス テルフィルムの製造工程や金属薄膜層を形成する等の積層ポリエステルフィルムの 加工工程にぉ 、て、該積層ポリエステルフィルムのロールへの巻き取り性が悪ィ匕しや すくなる。また、フィルム製造工程やフィルム加工工程で、平滑な表面層(A)表面に 傷が発生し、表面層 (A)に金属薄膜層を形成した場合の金属薄膜層表面の光反射 特性が低下しやすくなる。
[0089] 一方、表面 Cまたは表面層(C)の SRzの上限は、 1. 8 mがより好ましぐ特に好ま しくは 1. である。表面 Cまたは表面層(C)の SRzが 2. O /z mを越える場合には 、ハンドリング性の改善効果が飽和するとともに、下記の(1)または(2)のような現象 が生じやすくなり、表面層 (A)の上に金属薄膜層を形成した場合、金属薄膜層表面 の反射特性に悪影響がでる場合がある。
(1)表面 Cまたは表面層(C)の高い突起が削れて脱落し、その脱落物が積層ポリ エステルフィルムをロール状に巻き取る際に、表面 Cまたは表面層(C)に接触する表 面層(A)に転写する。
(2)積層ポリエステルフィルムをロール状に卷取る際に、表面 Cまたは表面層(C)の 粗大突起が表面層 (A)に押し跡をつけ、表面層 (A)の表面が荒れる(以下、刻印性 と略す)。
[0090] 本発明の積層ポリエステルフィルム力 表面層(A) Z白色遮光層(B)の 2層から構 成される場合、白色遮光層(B)の表面 Cの SRzを制御する方法として、下記の方法 が好適である。例えば、白色遮光層(B)中に、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸ィ匕 チタン、シリカ、ゼォライトなどの無機粒子を添加する方法、アクリルやスチレン、メラミ ンなどの架橋有機粒子を含有させる方法、これらの粒子を複数組み合わせる方法が 挙げられる。この方法は、表面 Cの SRzを制御が容易で、かつ経済的な方法として好 ましく用いられる。
[0091] また、本発明において、白色遮光層(B)として空洞含有フィルムを用いる場合、空 洞発現剤として添加する熱可塑性榭脂がポリエステル榭脂中に粒子状に分散して表 面凹凸の形成にも寄与することを利用して、空洞発現剤の添加量や溶融粘度などを 適宜調節することによつても SRzを制御することが可能である。
[0092] また、特に大きな SRzを必要とする場合には、製造されたポリエステルフィルムの片 面にマット加工などの物理的表面処理を施すことによつても、表面凹凸を制御するこ とが可能である。なお、白色遮光層(B)の表面 Cにマット加工を行う際には、フィルム の平面性が失われたり、微小異物が付着したりしないような十分な配慮が必要である
[0093] また、表面層(C)の SRzを制御する方法としては、表面層(C)を形成するポリエステ ルに表面突起を形成する粒子を含有させる方法が好ましい。表面層(C)が単層の場 合、表面層(C)を構成するポリエステルに粒子を 0. 05〜5質量%含有させることが 好ましい。
[0094] 本発明にお!/、ては、積層ポリエステルフィルムの表面層(A)と、表面 Cまたは表面 層(C)との静摩擦係数が 0. 60以下であることが好ましぐより好ましくは 0. 55以下で 、特に好ましくは 0. 50以下である。なお、前記の積層ポリエステルフィルム力 表面 層(A) Z白色遮光層(B) Zポリエステル層 (Α' ) Ζ塗布層(C )の層構成力もなる 場合には、前記静摩擦係数は表面層 (Α)と塗布層 (C )との静摩擦係数を意味す る。
[0095] 前記の静摩擦係数が 0. 60を超える場合は、白色遮光層(Β)の表面 Cまたは表面 層(C)の三次元十点平均粗さ(SRz)が 0. 23 μ m以下の場合と同様の問題が発生 しゃすくなる。一方、前記の静摩擦係数が小さすぎると、ハンドリング性の改良効果が 小さくなり、逆にロール状に巻き取る際の巻きずれが発生しやすくなる。したがって、 前記の静摩擦係数の下限は、 0. 30が好ましぐより好ましくは 0. 35、特に好ましくは 0. 40である。
[0096] 前記の静摩擦係数を 0. 60以下とするためには、白色遮光層(B)の表面 Cまたは 表面層(C)の SRzを、 0. 23 μ mを超え 2. 0 μ m以下に制御する方法が有効である
[0097] また、前記の静摩擦係数を 0. 60以下とするためには、粒子により表面粗さを制御 する方法以外に、例えば、表面層(A)あるいは表面層(C)のいずれかの層に、高級 脂肪酸のエステル誘導体、アミド誘導体あるいは金属塩等よりなる潤滑剤を含有させ る方法が挙げられる。また、前記の積層ポリエステルフィルムが、表面層(A)Z白色
遮光層(B)の 2層から構成される場合には、白色遮光層(B)に前記の潤滑剤を含有 させてもょ 、。また、表面層(C)が塗布層(C )力 なる場合には、塗布層(C )に 極性の低 、界面活性剤を含有させて、滑り性を改良する方法を併用することも可能 である。
[0098] 粒子としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、 硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム 、酸化アルミニウム、酸化ケィ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、フッ化リチウム、ソ ジユウムカルシウムアルミシリケート等の無機粒子、蓚酸カルシウムやカルシウム、ノ リ ゥム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等のテレフタル酸塩等の有機塩粒子及びジビ- ルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸又はメタクリル酸のビュル 系モノマーの単独又は共重合体よりなる架橋高分子粒子、ポリテトラフルォロェチレ ン、ベンゾグアナミン榭脂、熱硬化エポキシ榭脂、不飽和ポリエステル、熱硬化性尿 素榭脂、熱硬化性フエノール榭脂などの耐熱性有機粒子等の不活性粒子が挙げら れる。
[0099] 上記粒子をポリエステル中に含有させる方法は、(a)ポリエステル構成成分である ジオール中で粒子をスラリー状に分散処理し、該粒子スラリーをポリエステルの重合 反応系へ添加する方法、 (b)ポリエステルフィルムの溶融押出し工程にぉ ヽてベント 式二軸押出し機で、溶融ポリエステルに分散処理した粒子スラリーを添加する方法、 (c)ポリエステルと粒子を溶融状態で混練する方法 (d)ポリエステルと粒子のマスター レジンを溶融状態で混練する方法などが例示される。
[0100] 重合反応系に添加する方法の場合、粒子のジオールスラリーを、エステルイ匕反応 又はエステル交換反応前から重縮合反応開始前の溶融粘度の低 ヽ反応系に添カロ することが好ましい。また、粒子のジオールスラリーを調製する際には、高圧分散機、 ビーズミル、超音波分散などの物理的な分散処理を行うとことが好ましい。さらに、分 散処理したスラリーを安定化させるために、使用する粒子の種類に応じて適切な化 学的な分散安定ィ匕処理を併用することが好ま U、。
[0101] 分散安定ィ匕処理としては、例えば、無機酸ィ匕物粒子や粒子表面にカルボキシル基 を有する架橋高分子粒子などの場合には、水酸化ナトリウム、水酸ィ匕カリウム、水酸
ィ匕リチウムなどのアルカリィ匕合物をスラリーに添加し、電気的反発により粒子間の再 凝集を抑制することができる。また、炭酸カルシウム粒子、ヒドロキシアパタイト粒子な どの場合にはトリポリ燐酸ナトリウムやトリポリ燐酸カリウムをスラリー中に添加すること が好ましい。
[0102] また、粒子のジオールスラリーをポリエステルの重合反応系へ添加する際、スラリー をジオールの沸点近くまで加熱処理することも、重合反応系へ添加した際のヒートシ ョック (スラリーと重合反応系との温度差)を小さくすることができるため、粒子の分散 性の点で好ましい。
[0103] また、表面層 (A)の反対側の最表層の SRzを制御する他の層構成として、表面層( A) Z白色遮光層(B) Zポリエステル層 (Α' ) Ζ塗布層(C )の層構成力もなる積 層構成とすることもできる。ポリエステル層 (Α' )は、表面層(Α)と同様に、実質上粒 子を含有しな 、ポリエステルを用いるカゝ、粒子含有量を lOOppm未満としたポリエス テルを用いる。さらに、ポリエステル層 (Α' )の上に、粒子を含む榭脂組成物よりなる 塗布層(C )を積層し、塗布層(C )を最外層として、表面層 (Α)の反対面を粗面 化する方法である。また、ポリエステル層 (Α' )の原料として、表面層(Α)と同じ原料 を用いることで、積層ポリエステルフィルムを製造する際の共押出工程を ΑΖΜΖΑ ( )と簡略ィ匕できる利点があり、より好ましい実施態様である。
[0104] 積層ポリエステルフィルム力 表面層(A) Ζ白色遮光層(Β) Ζポリエステル層 (Α' ) Ζ塗布層(C )からなる積層構成の場合、 ΑΖΒΖΑ' の積層部分を二軸延伸フィ ルムから構成し、塗布層(C' )は塗布層により積層し、最終乾燥後の塗布量を 0. 01 〜0. 5gZm2とする方法が好適である。また、塗布層(C )を形成させずに、ポリエ ステル層、 )の上に、ポリエステルと粒子を含む、厚みが 0. 1〜3 μ mのポリエステ ル層を共押出し法で積層する方法を用いることもできる。
[0105] 上記塗布層(C )は、積層ポリエステルフィルムの製造工程にお 、て、未延伸フィ ルム又は一軸延伸フィルムに、榭脂と粒子を含む塗布層(C )用塗布液を塗布、乾 燥し、次いで少なくとも一方向に延伸、熱処理することにより、塗布層(C )を形成さ せる、いわゆるインラインコート法で形成する方法力 フィルム特性 (滑り性、ブロッキ ング性、透明性など)及び経済性の点より好ましい。代表的な、表面層 AZ白色遮光
層 BZポリエステル層 (Α' ) Ζ塗布層(C )力 なる積層ポリエステルフィルムの製 造例を下記に示す。なお、下記製造例では、ポリエステル層 A' の原料として表面層 (A)と同じ原料を使用した。
[0106] 2台の押出し機を用いて、白色遮光層(B)の両面に層(A)が積層された 2種 3層の 層構成よりなる積層ポリエステルフィルムを共押しダイスを用いて回転冷却金属ロー ルにシート状に溶融押出しし、静電印加法により冷却固化せしめて未延伸ポリエステ ルシートを得る。得られた未延伸ポリエステルシートを、例えば、 80〜120°Cに加熱 したロールで長手方向に 2. 5〜5. 0倍延伸して、一軸延伸フィルムを得る。さらに、 フィルムの端部をクリップで把持して、例えば、 70〜140°Cに加熱された熱風ゾーン に導き、乾燥後幅方向に 2. 5〜5. 0倍に延伸する。引き続き 160〜240°Cの熱処理 ゾーンに導き、 1〜60秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させ積層ポリエステル フィルムを得る。このフィルム製造工程中の任意の段階、特に好ましくは、一軸延伸フ イルムの段階で、積層ポリエステルフィルムのどちらか片面に、上記の塗布層(C ) を形成する塗布液をし、塗布層( )を積層する。
[0107] 本発明においては、塗布層(C )は、平均粒径 20nm以上 150nm未満の粒子 a 及び平均粒径 150nm以上 600nm以下の粒子 bを含む榭脂組成物より構成させるこ とが好ましい。
[0108] 力かる粒子の例としては、(1)炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、シリカーァ ルミナ複合酸化物粒子、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フ ッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼォライト、硫ィ匕モリブデン等の無機粒子、(2)架橋 ポリスチレン、架橋ポリメチルメタタリレート、架橋アクリル、などの架橋高分子粒子、 ( 3)シリコン榭脂粒子、ポリイミド粒子、フッ素系榭脂粒子、などの耐熱性高分子粒子、 (4)シユウ酸カルシウム等の有機粒子を挙げることができる。なかでも、シリカ粒子は ポリエステルとの親和性が良好であるため最も好適である。
[0109] 本発明では、平均粒子径の異なる 2種類の粒子 (粒子 a及び粒子 b)を含有させるこ とが好ましい。粒子 aの平均粒径は 20nm以上 150nm未満が好ましぐさらに好まし くは 30〜: LOOnmである。粒子 aの平均粒径が 20nm未満であると、滑り性付与が不 十分となる。一方、粒子 aの平均粒径が 150nm以上になると、耐擦り傷性が悪ィ匕する
傾向がある。
[0110] 本発明では、滑り性、耐擦り傷性及び刻印性とのバランスを向上させるために、粒 子 a以外に、粒子 aよりも平均粒径が大きい粒子 bを併用することが好ましい。粒子 の 平均粒径は 150〜600nmが好ましぐさらに好ましくは 200〜500nmである。粒子 b の平均粒径が 150nm未満であると、滑り性ゃ耐擦り傷性悪ィ匕する傾向がある。一方 、粒子 bの平均粒径が 600nmを超えると、耐摩耗性が悪ィ匕するとともに、刻印性が悪 化する傾向がある。
[0111] さらに、粒子 bと粒子 aとの平均粒径の差を、好ましくは lOOnm以上、特に好ましく は 150nm以上とすることで、滑り性、耐擦り傷性及び刻印性のバランスの点カゝらさら に有効である。
[0112] 本発明において、上記塗布層(C )の三次元十点平均粗さ(SRz)は、前記の単 層構成の場合における表面層(C)と同様の範囲とすることが好ましい。
[0113] 塗布層(C )の三次元十点平均粗さ(SRz)を、前記の単層構成の場合における 表面層(C)と同様の範囲とするためには、被覆層中の平均粒径 20nm以上 150 n m未満の粒子 aと平均粒径 150nm以上 600nm以下の粒子 bとの質量比(aZb)を 3 〜30とし、かつ粒子 Bの含有量を被覆層の榭脂組成物に対し 0. 1〜3質量%とする ことが好ましい。特に、被覆層の榭脂組成物に対し、粒子 bの含有量が 3質量%を超 えると、耐擦り傷性の低下が著しくなる傾向がある。ここで、被覆層の榭脂組成物とは 、榭脂、粒子 a、及び粒子 bの固形分質量の総和を意味する。
[0114] 本発明において、被覆層形成のために使用する塗布液は、溶媒、榭脂、粒子を主 たる構成成分とする。溶媒としては、水系溶媒又は有機溶媒のいずれも使用できるが 、作業環境、環境保護、生産性などの点カゝら水系溶媒が好適である。
[0115] 本発明で塗布層(C )に用いる水溶性または水分散性榭脂は、下記 (i)〜(iii)の V、ずれかからなる榭脂が好ま U、。
(i) 2重結合を有する酸無水物を含有する少なくとも一方のモノマー力 なるラジカ ル重合体を 5質量%以上含有する、芳香族ポリエステルのグラフト共重合体
(ii)酸価が 200eqZt以上のアクリル系榭脂またはその共重合体 (但し、 (iii)は除く
)
(iii) 2重結合を有する酸無水物を含有する少なくとも一種のモノマー力 なるラジカ ル重合体を 5質量%以上含有する、酸価が 200eqZt以上のアクリル系榭脂の共重 合体
[0116] 芳香族ポリエステル系榭脂とは、ポリエステルの酸成分中、芳香族ジカルボン酸成 分が 30モル%以上含有する榭脂を ヽぅ。芳香族ジカルボン酸成分が 30モル%未満 であると、ポリエステルの加水分解性が顕著となり耐水性が悪ィ匕しやすくなる。
[0117] 前記のアクリル系榭脂における酸価とは、榭脂溶液等を lOOPaの減圧下、 80°Cで
2時間乾燥させた後の固形分を、濃度既知のエタノール性水酸ィ匕カリウム溶液で滴 定して求めた値である。
[0118] 前記のアクリル系榭脂の酸価が 200eqZt未満では、水系溶媒への分散性が低下 する場合があるので好ましくな 、。
[0119] 酸価を 200eqZt以上とするためには、分子中に極性基を含有させる必要がある。
しかしながら、スルホン酸ナトリウムのように、加熱しても変化せず安定な極性基は、 かえって被覆層の耐水性を悪ィ匕させるため好ましくない。
[0120] 被覆層の耐水性を悪ィ匕させない極性基としては、加熱後に分解して極性が低下す るカルボン酸のアミン塩が例示される。使用することができるアミンは、塗膜の乾燥条 件で気化することが好ましぐ例えばアンモ-ゥム、ジェチルァミン、トリェチルァミン 等が挙げられる。
[0121] さらに好ましくは、芳香族ポリエステル系榭脂又は酸価が 200eqZt以上のアクリル 系榭脂から選ばれる 1種以上の榭脂又は 2種以上の共重合体が、 2重結合を有する 酸無水物を含有する少なくとも 1種のモノマーからなるラジカル重合体を 5質量%以 上含有することである。 5質量%未満では耐水性の効果が不十分となりやす 、。
[0122] 前記の酸無水物を榭脂中に導入することにより、榭脂分子間で架橋反応を行なうこ とが可能となる。すなわち、榭脂中の酸無水物はコート液中では加水分解等により力 ルボン酸に変化し、乾燥及び製膜中の熱履歴により、分子間で酸無水物又は他の 分子の活性水素基と反応してエステル基等を生成し、塗布層の樹脂の架橋を行 ヽ、 耐水性及び加熱白化防止性等を発現することができる。
[0123] 2重結合を有する酸無水物を含有するモノマーとしては、無水マレイン酸、無水イタ
コン酸、 2, 5 ノルボネンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。ま た、ラジカル重合体は、他の重合性不飽和単量体との共重合体であってもよい。
[0124] 他の重合性不飽和単量体としては、(1)フマル酸、フマル酸モノェチル、フマル酸 ジェチル、フマル酸ジブチルなどのフマル酸のモノエステル又はジエステル、(2)マ レイン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジェチル、マレイン酸ジブチルなどのマ レイン酸のモノエステル又はジエステル、 (3)ィタコン酸、ィタコン酸のモノエステル又 はジエステル、 (4)フエ-ルマレイミド等のマレイミド等、(5)スチレン、 α—メチルスチ レン、 tーブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体、(6)ビュルト ルェン、ジビュルベンゼンなど、 (7)アルキルアタリレート、アルキルメタタリレート(ァ ルキル基としてはメチル基、ェチル基、 n プロピル基、イソプロピル基、 n ブチル 基、イソブチル基、 t ブチル基、 2—ェチルへキシル基、シクロへキシル基、フエ- ル基、ベンジル基、フエ-ルェチル基等)などのアクリル重合性単量体、(8) 2 ヒドロ キシェチルアタリレート、 2—ヒドロキシェチルメタタリレート、 2—ヒドロキシプロピルァ タリレート、 2 ヒドロキシプロピルメタタリレートのヒドロキシ含有アクリル単量体、(9) アクリルアミド、メタクリルアミド、 N—メチルメタクリルアミド、 N メチルアクリルアミド、 N—メチロールアクリルアミド、 N—メチロールメタクリルアミド、 N, N ジメチロールァ クリルアミド、 N—メトキシメチルアクリルアミド、 N—メトキシメチルメタクリルアミド、 N— フエ-ルアクリルアミドのアミド基含有アクリル単量体、(10) N, N ジェチルアミノエ チルアタリレート、 N, N ジェチルアミノエチルメタタリレートのアミノ基含有アクリル 単量体、(11)グリシジルアタリレート、グリシジルメタタリレートのエポキシ基含有アタリ ル単量体、(12)アクリル酸、メタクリル酸、及びそれらの塩 (ナトリウム塩、カリウム塩、 アンモニゥム塩)、などのカルボキシル基又はその塩を含有するアクリル単量体、など が挙げられる。
[0125] また、被覆層の耐水性をさらに向上させるために、塗布液調整時に酸化合物を添 加することが特に好ましい。この酸ィ匕合物の添カ卩により、榭脂中のカルボン酸基の酸 無水化及びエステルイ匕反応を促進させて榭脂の架橋を向上させることができる。
[0126] 酸化合物の添加量は、榭脂に対して 1〜10質量%の範囲が好ましい。また、酸ィ匕 合物として種々の化合物を使用することが可能であるが、製膜時の熱で気化しやすく
、被覆層中に残留量が少なくかつ残留時の悪影響が小さい、低沸点のカルボン酸が 好ましい。低沸点のカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、 ヘプタン酸等を挙げることができる。
[0127] 本発明において、前記の酸無水物を用いた架橋反応を行なう際に、窒素原子又は フエノール類を含まない架橋剤を使用することが、優れた耐水性と回収再使用時の 変色を抑制する点力も好ま U、。
[0128] 窒素原子またはフエノール類を含まない架橋剤としては、例えば、オルソフタル酸 ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジル エステル、 p ォキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシ ジルエステル、へキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジル エステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ェチ レングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、 1
, 4 ブタンジオールジグリシジルエーテル、 1, 6 へキサンジオールジグリシジルェ 一テルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリダリ シジルエステル、 1, 4ージグリシジルォキシベンゼン、グリセロールトリグリシジルエー テル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジ ルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付カ卩物のトリグリシジルエーテル、な どの多官能性エポキシィ匕合物が挙げられる。
[0129] 窒素原子またはフエノール類を含む架橋剤は、熱等により酸化'分解し、窒素原子 及び芳香環を中心とした共役構造を有する化合物を生成する。その結果、着色が著 しくなる。しかしながら、本発明において、これらの架橋剤の使用を完全に否定するも のではなぐ優れた耐水性と回収再使用時の変色を抑制することができる範囲内で あれば、架橋剤 (硬化用榭脂)の種類に応じて適量使用することが可能である。
[0130] 窒素原子を含む架橋剤としては、例えば、(1)尿素、メラミン、ベンゾグアナミンなど とホルムアルデヒドとの付カ卩物、(2)これらの付カ卩物と炭素原子数が 1〜6のアルコー ルカ なるアルキルエーテルィ匕合物などのアミノ榭脂、 (3)窒素原子を含む多官能 性エポキシ化合物、(4)多官能性イソシァネートイ匕合物、(5)ブロックイソシァネート 化合物、(6)多官能性アジリジンィ匕合物、(7)ォキサゾリンィ匕合物、などが挙げられる
[0131] 前記(2)記載のアミノ榭脂としては、例えば、メトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メ チロール N, N—エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチ ロールメラミン、メトキシ化メチロールべンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、 ブトキシ化メチロールべンゾグアナミンなどが挙げられる。この中でも、メトキシ化メチ ロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、およびメチロール化べンゾグアナミンな どが好適である。
[0132] 前記(3)記載の窒素原子を含む多官能性エポキシ化合物としては、例えば、トリグ リシジルイソシァヌレート、ジグリシジルプロピレン尿素、などが挙げられる。
[0133] 前記 (4)記載の多官能性イソシァネートイ匕合物としては、例えば、低分子または高 分子の芳香族、脂肪族のジイソシァネート、 3価以上のポリイソシァネート、などが挙 げられる。
[0134] ポリイソシァネートとしては、テトラメチレンジイソシァネート、へキサメチレンジイソシ ァネート、トルエンジイソシァネート、ジフエ-ルメタンジイソシァネート、水素化ジフエ -ルメタンジイソシァネート、キシリレンジイソシァネート、水素化キシリレンジイソシァ ネート、イソホロンジイソシァネート、及びこれらのイソシァネート化合物の 3量体など が例示される。
[0135] さらに、これらのイソシァネート化合物の過剰量と、エチレングリコール、プロピレン グリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジァミン、モノ エタノールァミン、ジエタノールァミン、トリエタノールァミンなどの低分子活性水素化 合物、又はポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類などの 高分子活性水素化合物とを反応させて得られる末端イソシァネート基含有化合物、 などが挙げられる。
[0136] 前記(5)記載のブロックイソシァネートは、上記イソシァネートイ匕合物とブロック化剤 とを公知の方法より付加反応させて合成することができる。
[0137] イソシァネート化合物のブロック化剤としては、例えば、(a)フエノール、クレゾール、 キシレノール、レゾルシノール、ニトロフエノール、クロ口フエノールなどのフエノール類 、 (b)チォフエノール、メチルチオフエノールなどのチォフエノール類、(c)ァセトキシ
ム、メチルェチケトォキシム、シクロへキサノンォキシムなどのォキシム類、(d)メタノー ル、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、(e)エチレンクロロヒ ドリン、 1, 3 ジクロロー 2 プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、(f) t— ブタノール、 t ペンタノールなどの第 3級アルコール類、(g) ε一力プロラタタム、 δ —バレロラタタム、 ν—ブチ口ラタタム、 —プロピルラタタムなどのラタタム類、(h)芳 香族ァミン類、(i)イミド類、(j)ァセチルアセトン、ァセト酢酸エステル、マロン酸ェチ ルエステルなどの活性メチレンィ匕合物、(k)メルカブタン類、(1)イミン類、(m)、尿素 類、(n)ジァリール化合物類、(o)重亜硫酸ソーダ、などを挙げることができる。
[0138] フエノール類を含む架橋剤としては、例えば、アルキル化フエノール類、タレゾール 類などのホルムアルデヒドとの縮合物のフヱノールホルムアルデヒド榭脂ゃビスフエノ ール Aを含む多官能性エポキシィ匕合物、が挙げられる。
[0139] フエノールホルムアルデヒド榭脂としては、例えば、アルキル化(メチル、ェチル、プ 口ピル、イソプロピル又はブチル)フエノール、 p— ter ァミルフエノール、 4, 4'—se c ブチリデンフエノール、 p— ter—ブチルフエノール、 o クレゾール、 m—クレゾ一 ル、 ρ クレゾール、 p シクロへキシルフェノール、 4, 4,一イソプロピリデンフエノー ル、 p ノ-ルフエノール、 pーォクチルフエノール、 3 ペンタデシルフェノール、フエ ノーノレ、フエ-ル o クレゾール、 p フエ-ルフエノール、キシレノールなどのフエノ ール類とホルムアルデヒドとの縮合物が挙げられる。
[0140] 窒素原子又はフエノール類を含まない架橋剤として、多官能性エポキシ化合物が 挙げられる。し力しながら、多官能性エポキシィ匕合物は窒素原子を含むアミン系の架 橋触媒を用いることが多いため、前記触媒起因の着色が起こるという問題がある。ま た、触媒量を低減させたり、あるいはアミン等を含まない触媒を用いることにより、着 色を押さえることが可能ではある力 架橋が不十分であったり、回収時にゲル状の混 合物が増加するため好ましくな 、。
[0141] 前記記載の多官能性エポキシィ匕合物としては、例えば、ビスフエノール Aのジグリシ ジルエーテル及びそのオリゴマー、水素化ビスフエノール Aのジグリシジルエーテル 及びそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジル エステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、 p—ォキシ安息香酸ジグリシジルエス
テル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、へキサハイドロフタル酸ジグリシ ジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セ ノ シン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレ ングリコールジグリシジルエーテル、 1, 4 ブタンジオールジグリシジルエーテル、 1 , 6—へキサンジオールジグリシジルエーテル及びポリアルキレングリコールジグリシ ジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシァヌレート、 1, 4ージグリシジルォキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグ リシジノレエーテノレ、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトー ルトリグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付カ卩物のトリグリシジル エーテル、などが挙げられる。
[0142] 多官能エポキシィ匕合物の触媒として、トリェチルベンジルアンモ -ゥムクロライド、テ トラメチルアンモ -ゥムクロライド等の 4級アンモ-ゥム塩、ベンジルジメチルァミン、ト リブチルァミン、トリス(ジメチルァミノ)メチルフエノール等の 3級ァミン、 2—メチル—4 ーェチルイミダゾール、 2—メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、ピリジン、メ チルピリジン等の含窒素複素環化合物、また、アミン等を含まない触媒としては、水 酸ィ匕ナトリウム、水酸ィ匕カリウム等の強塩基、硼弗化亜鉛、四塩化錫などの金属化合 物などが挙げられる。
[0143] また、水系塗布液を用いて被覆層を形成させる場合には、基材フィルム表面に塗 布する際に、基材フィルムへの濡れ性を向上させ、塗布液を均一にコートするために 、ァ-オン系界面活性剤ゃノ-オン系界面活性剤を適量、塗布液に添加することが 好ましい。
[0144] また、塗布液中には、性能向上のために、複数の他の榭脂等を塗布液に添加して もよい。さらに、塗布液中には、ハンドリング性、帯電防止性、抗菌性など、他の機能 性をフィルムに付与するために、無機及び Z又は有機粒子、帯電防止剤、紫外線吸 収剤、有機潤滑剤、抗菌剤、光酸ィ匕触媒などの添加剤を含有させることができる。
[0145] 塗布液に用いる溶媒として水系溶媒を用いた場合、水以外にエタノール、イソプロ ピルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール類を、全塗布液に対し 50質 量%未満の範囲で混合しても良い。さらに、 10質量%未満であれば、アルコール類
以外の有機溶剤を溶解可能な範囲で混合してもよい。但し、塗布液中のアルコール 類とその他の有機溶剤との合計量は、 50質量%未満とすることが好まし 、。
[0146] 有機溶剤の添加量が 50質量%未満であれば、塗布乾燥時に乾燥性が向上すると ともに、水のみの場合と比べ被覆層の外観が向上するという効果がある。 50質量% 以上では、溶剤の蒸発速度が速くなるため塗工中に塗布液の濃度変化が起こり、塗 布液の粘度が上昇して塗工性が低下する。その結果、被覆層の外観不良が起こりや すくなる。さらに、環境面、作業者の健康面、火災の危険性などからも好ましくない。
[0147] さらに、塗布液中の異物を除去することは、塗布層(C )の耐擦り傷性や刻印性の 向上のために有効である。
[0148] 塗布液を精密濾過するための濾材は、濾過粒子サイズ (初期濾過効率: 95%)が 2 5 μ m以下であることが好ましい。濾過粒子サイズが 25 μ mを超えると、粗大凝集物 の除去が不十分となりやすい。そのため、濾過で除去できな力つた粗大凝集物は、 塗布乾燥後の一軸延伸又は二軸延伸工程での延伸応力により広がって、 100 m 以上の凝集物として欠点の原因になる。
[0149] 塗布液を精密濾過するための濾材のタイプは、上記性能を有していれば特に限定 はなぐ例えば、フィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられる。塗布液を精密濾 過するための濾材の材質は、上記性能を有しかつ塗布液に悪影響を及ばさな 、限り 特に限定はなぐ例えば、ステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙 げられる。
[0150] この塗布液を塗布するには、公知の任意の方法で行うことができる。例えば、リバ一 スロール.コート法、グラビア 'コート法、キス'コート法、ロールブラッシュ法、スプレー コート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸 .コ ート法及びカーテン 'コート法などが挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み 合わせて行うことができる。
[0151] 上記の塗布層(C )は、二軸延伸ポリエステルフィルム基材に上記塗布液を塗布 しても良いし (オフラインコート法)、未延伸あるいは一軸延伸後のポリエステルフィル ム基材に上記塗布液を塗布した後、乾燥し、さらに一軸延伸あるいは二軸延伸を行 なった後、熱固定を行っても良いが (インラインコート法)、性能及び経済性の点より
後者のインラインコート法が好ましい。該塗布液が塗布されたフィルムは、延伸及び 熱固定のためにテンターに導かれ、そこで加熱されて、熱架橋反応により安定な被 膜を形成することができる。
[0152] 未延伸あるいは一軸延伸後のポリエステルフィルム基材に上記塗布液を塗布した 後、乾燥、延伸する、いわゆるインラインコート法の場合、塗布後の乾燥工程では水 等の溶剤分のみを取り除き、かつ被覆層の架橋反応が進行しない温度及び時間を 選定することが好ましい。
[0153] 乾燥温度は 70〜140°Cで行うことが好ましぐ乾燥時間は塗布液の固形分濃度及 び塗布量に応じて調整するが、温度 (°C)と時間(秒)の積として 3, 000以下とするこ とが好ましい。積が 3, 000を越えると、被覆層が延伸前に架橋反応を起こし、被覆層 に割れ等が生じやすくなる。
[0154] また、被覆層は延伸後、フィルム幅長が変化しない様にフィルムを固定した状態で 、赤外線ヒーターにより被覆層を 250〜260°Cで 0. 5〜1秒間の短時間で加熱処理 することが架橋反応を促進する上で好まし ヽ。
[0155] この際、塗布液中に酸ィ匕合物を榭脂に対して 1〜10質量%添加していると、架橋 反応がさらに促進され被覆層がより強固となる。そのため、フィルムを加熱した際にフ イルム表面に析出してくるオリゴマーを被覆層によりブロックし、被覆層表面へのオリ ゴマー析出を抑制することができる。
[0156] 延伸後のフィルムは通常 2〜 10%程度の弛緩処理を行うが、本発明においては被 覆層の歪みが少な 、状態、すなわちフィルム幅長が変化しな 、ように固定した状態 で、赤外線ヒーターで被覆層を加熱することが好ましい。このような方法を採用するこ とにより、被覆層内の架橋が促進されより強固となる。加熱温度又は時間が前記条件 より大きいと、フィルムの結晶化又は溶解が起こりやすくなる。また、一方条件が加熱 温度又は時間が前記条件より小さいと、被覆層の架橋が不十分となりやすい。
[0157] 最終的に得られる被覆フィルム表面の被覆層の乾燥後塗布量 (フィルム単位面積 当りの固形分質量) ίま、 0. 01〜0. 50g/m2力好ましく、より好ましく ίま 0. 02〜0. 4 OgZm2であり、特に好ましくは 0. 05-0. 30gZm2である。乾燥後の塗布量が 0. 0 lg/m2未満の場合、接着性が不十分となる。塗布量が 0. 50g/m2を超えると、プロ
ッキングしやすくなる傾向がみられ、被覆層中の異物の数も増加しやすくなる。
[0158] なお、未延伸フィルム作成後から塗布工程における空気中のクリーン度 (0. 5 /z m 以上の粒子数/ ft3 )を、クラス 100, 000となるようへパフィルタ一によりコントロール することは、フィルム表面に付着する異物を低減させるのに有効である。
[0159] (ポリエステルのオリゴマーの低減処理)
本発明の積層ポリエステルフィルムは、該積層ポリエステルフィルムを 170°Cで 20 分間加熱処理した時に、平滑な表面層 (A)の反対側の表面 (以下、表面 Cと記載す る場合がある)に析出する粒子の占有面積比が 0. 008 μ mV μ m2以下に制御する ことが好ましい。前記の加熱処理後に表面層(B)の表面に析出する粒子の占有面積 比は 0. 004 m2Z m2以下であることがより好ましぐさらに好ましくは 0. 002 ^ m 2Z m2以下、特に好ましくは 0. 001 μ m2Zw m2以下である。前記の加熱処理後 に、表面 Cに析出する粒子の占有面積比が 0. 008 μ mV μ m2を超える場合には、 フィルム表面に析出した粒子状の環状三量体により、金属薄膜層に欠点が発生する 場合がある。また、該析出物がフィルム卷取り時に金属薄膜層の表面に転写されると 、金属薄膜層の表面における光線反射率が低下する場合がある。
[0160] 積層ポリエステルフィルムに金属薄膜層を積層した鏡面反射フィルムは、金属薄膜 層を形成する前に、積層ポリエステルフィルムと金属薄膜層との密着性向上のための アンカー処理が広く実施されている。したがって、金属薄膜層の形成面、すなわち、 本発明の積層ポリエステルフィルムにおける平滑な表面層(A)の表面に存在する析 出物はこのアンダーコート層の形成により抑制されることより、むしろ金属薄膜層を形 成する表面層(A)の反対側の表面 Cにおける析出物の抑制が重要である。
[0161] フィルム表面に析出する粒子は、主として環状三量体等の低重合オリゴマーやモノ マーからなる低分子量物であり、従来は、ポリエステルフィルム表面を、該析出粒子 を溶解する溶媒で洗浄ある ヽは溶出させ、該溶媒に溶解された環状三量体等を定 量することにより定量されてきた。したがって、前述したごとぐ該方法はフィルム表面 のみでなぐフィルム内部に存在するオリゴマーをも抽出してしまうために実用特性と の対応がよくな力つた。
[0162] そこで、本発明者等は、表面析出物は粒子として存在することに着目し、顕微鏡に
より表面に析出したこれらの析出粒子の占める面積を定量できることを見出した。す なわち、前述した金属薄膜層の形成工程で積層ポリエステルフィルムが受ける熱を 想定した条件で加熱処理された積層ポリエステルフィルムの表面を、干渉顕微鏡を 利用した表面解析法で評価できることを見出した。これにより、前述した金属薄膜層 形成の加工工程で発生するポリエステルフィルム中に含有される環状 3量体等のオリ ゴマーが表面移行することにより弓 Iき起こされる表面汚染を、モデル的に評価するこ とがでさる。
[0163] また、本発明においては、平滑な表面層(A)の表面についても、 170°Cで 20分間 加熱処理した時に析出する粒子の占有面積比が 0. 008 μ mV μ m2以下に制御す ることがより好ましい。その結果、析出粒子による金属薄膜層の欠点発生が抑制され る。
[0164] 本発明にお 、て、前記の析出粒子(主として環状三量体等の低重合オリゴマーや モノマー力 なる低分子量物)を特定の範囲に低減する方法は限定されない。例え ば、積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルに含まれる環状三量体量を低 減する方法が挙げられる。
[0165] ポリエステル中の環状三量体量を低減する場合、ポリエステル中の環状三量体量 ίま、総量で 8000ppm以下力好まし!/ヽ。 6000ppm以下力より好ましく、 4000ppm以 下がさらに好ましい。 8000ppmを超えると表面析出粒子の抑制効果が少なくなる。
[0166] 本発明において、積層ポリエステルフィルムの原料として用いられるポリエステルは 、ジカルボン酸とグリコールをエステルィヒ反応させ、次いで重縮合反応を行う重縮合 法、あるいはジカルボン酸塩とグリコールをエステル交換反応させ、次いで重縮合反 応を行うエステル交換法など、従来公知の方法によって製造される。
[0167] このポリエステルには、重縮合触媒、さらに場合によってはエステル交換反応触媒 、及びリン酸又はリン酸塩などの熱安定剤が必須成分として用いられる。また、これら 以外に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩を適量含有させ、これらの金属塩とリ ン原子のモル比を制御することで、シート状溶融ポリエステルを回転冷却ロール上に 静電印加法により密着固化させ、厚みの均一な未延伸シートを安定して得ることがで きる。
[0168] ポリエステルの代表的な重縮合触媒としては、三酸ィ匕アンチモン、アンチモングリコ ラートなどの Sb系触媒、 Ge系触媒、 T係触媒などがある。これらのうち、透明性、熱 安定性及び価格の観点から、フィルム用ポリエステルの重縮合触媒としては、一般に 、三酸化アンチモン (Sb O )が使用されている。
2 3
[0169] 特に、重縮合触媒として Sb Oを使用した場合、重合時及び
2 3 Z又は未延伸ポリエス テルフィルムの製造時に、 Sb Oが金属 Sbに還元され、フィルム表面に凝集物として
2 3
析出しやすくなる。これが上記 (A)の異物に該当するため、重縮合時間を著しく遅く しない範囲で、できるだけ Sb Oの含有量を低減させることが好ましい。上記のような
2 3
異形部の数を上記範囲内とするためには、ポリエステル中の Sb oの含有量を、金
2 3
属 Sb換算で 50〜250ppm、好ましくは 60〜200ppm、さらに好ましくは 70〜150pp mとすることが推奨される。
[0170] また、重縮合完了後、ポリエステルを孔径が 7 m以下 (初期濾過効率 95%)のス テンレススチール焼結体等の濾材よりなるフィルターで濾過処理し、あるいはペレット 化のために押出機力も溶融ポリエステルのストランドを冷却水中に押出す際に、予め 冷却水を濾過処理 (フィルタ一孔径: 1 μ m以下)し、且つ、この工程を密閉した部屋 で行い、へパフィルターで環境中に存在する 1 μ m以上の異物を低減させておくこと が好ましい。
[0171] さらに、ポリエステルの未延伸シート製造の際にも、該ポリエステルが溶融している 段階で、ポリエステル中に含まれる異物を除去するために精密濾過を行う。精密濾過 に用いられる濾材は特に限定はされな 、が、ステンレススチール焼結体の濾材が、 ポリエステルの重合触媒が還元されて生成する金属 Sbなどや、重合力もペレツトイ匕ま での段階で混入する Si、 Ti、 Ge、 Cuを主成分とする凝集物及び高融点有機物の除 去性能に優れることから好適である。濾材の濾過可能な粒子サイズは 15 m以下( 初期濾過効率 95%)であることが好ましい。濾材の濾過可能な粒子サイズが 15 m を超えるものでは、除去すべき 20 μ m以上のサイズの粒子の除去が不十分となる場 合がある。上記のような濾過性能を有する濾材を使用して溶融樹脂の精密濾過を行 うことにより生産性が低下する場合がある力 光学欠陥の少ない積層ポリエステルフィ ルムを得るには極めて好適である。
[0172] 前記の環状三量体の含有量を低減させたポリエステル (以下、低オリゴマー処理ポ リエステルと称する)の製造方法は限定されないが、固有粘度が 0. 40〜0. 60dl/g の溶融重合ポリエステルプレボリマーを固相重合する方法や所定の固有粘度のポリ エステルを不活性気体雰囲気下または減圧下に固有粘度が実質的に変化しない条 件で加熱処理する方法等が挙げられる。さらに、環状三量体を溶解する溶媒で抽出 する方法等もある。
[0173] フィルム表面に析出する粒子を抑制するために、表面層を形成するポリエステルの 全量を低オリゴマー処理ポリエステルとしてもよ 、し、低オリゴマー処理ポリエステルと 汎用のポリエステルとの混合物を用いてもょ 、。
[0174] また、環状三量体は、ポリエステルフィルムの製造時の溶融押出し工程で生成する ので、ポリエステルを 290°Cの温度で 30分間溶融した時の環状三量体の増加量を 5 OOOppm以下に低下させる手法を採用してもよい。環状三量体の増加量は、好ましく は 3000ppm以下、より好ましくは 2000ppm以下、特に好ましくは lOOOppmである。
[0175] また、 290°Cの温度で 30分間溶融したとき、環状三量体の増加量が 5000ppm以 下に低下させる手法を下記に示す。成形時の溶融状態での環状三量体の再生を出 来るだけ抑制するためには、ポリエステル中に残存する活性な重合触媒量を出来る だけ減少さすことが重要である。このような活性な重合触媒量を減らす代表的な手段 としては、下記の方法が挙げられる。
[0176] 一つの方法としては、ポリエステルを水と接触処理することによって重合触媒の不 活性ィ匕を行う方法が挙げられる。
[0177] ポリエステルの重縮合触媒を失活処理する方法としては、溶融重縮合後や固相重 合後にポリエステルチップを水や水蒸気または水蒸気含有気体と接触処理する方法 が挙げられる。
[0178] 水処理方法としては、水中に浸ける方法やシャワーでチップ上に水をかける方法等 が挙げられる。処理時間としては 5分〜 2日間、好ましくは 10分〜 1日間、さらに好ま しくは 30分〜 10時間で、水の温度としては 20〜180°C、好ましくは 40〜150°C、さ らに好ましくは 50〜 120°Cである。
[0179] 以下に、水処理を工業的に行う方法を例示するが、これに限定するものではない。
また処理方法は連続方式、ノ ツチ方式のいずれであっても差し支えないが、工業的 に行うためには連続方式の方が好ま 、。
[0180] ポリエステルのチップをバッチ方式で水処理する場合は、サイロタイプの処理槽が 挙げられる。すなわちバッチ方式でポリエステルのチップをサイロへ受け入れ水処理 を行う。ポリエステルのチップを連続方式で水処理する場合は、塔型の処理槽に継 続的又は間欠的にポリエステルのチップを上部より受け入れ、水処理させることがで きる。
[0181] またポリエステルのチップと水蒸気または水蒸気含有ガスとを接触させて処理する 場合は、 50〜150°C、好ましくは 50〜 110°Cの温度の水蒸気または水蒸気含有ガ スある、、は水蒸気含有空気を好ましくは粒状ポリエチレンテレフタレ—ト 1kg当り、水 蒸気として 0. 5g以上の量で供給させる力、または存在させて粒状ポリエチレンテレフ タレ—トと水蒸気とを接触させる。
[0182] この、ポリエステルのチップと水蒸気との接触は、通常 10分間〜 2日間、好ましくは 20分間〜 10時間行われる。
[0183] 以下に、粒状ポリエチレンテレフタレートと水蒸気または水蒸気含有ガスとの接触 処理を工業的に行なう方法を例示する力 これに限定されるものではない。また処理 方法は連続方式、バッチ方式の!/、ずれであっても差し支えな!/、。
[0184] ポリエステルのチップをバッチ方式で水蒸気と接触処理をする場合は、サイロタイプ の処理装置が挙げられる。すなわちポリエステルのチップをサイロへ受け入れ、バッ チ方式で、水蒸気または水蒸気含有ガスを供給し接触処理を行なう。
[0185] ポリエステルのチップを連続的に水蒸気と接触処理する場合は塔型の処理装置に 連続で粒状ポリエチレンテレフタレートを上部より受け入れ、並流あるいは向流で水 蒸気を連続供給し水蒸気と接触処理させることができる。
[0186] 上記の如ぐ水又は水蒸気で処理した場合は粒状ポリエチレンテレフタレートを必 要に応じて振動篩機、シモンカ—タ—などの水切り装置で水切りし、コンペャ—によ つて次の乾燥工程へ移送する。
[0187] 水又は水蒸気と接触処理したポリエステルのチップの乾燥は通常用いられるポリエ ステルの乾燥処理を用いることができる。連続的に乾燥する方法としては、上部よりポ
リエステルのチップを供給し、下部より乾燥ガスを通気するホッパー型の通気乾燥機 が通常使用される。
[0188] バッチ方式で乾燥する乾燥機としては大気圧下で乾燥ガスを通気しながら乾燥し てもよい。
[0189] 乾燥ガスとしては大気空気でも差し支えないが、ポリエステルの加水分解や熱酸化 分解による分子量低下を防止する点力 は乾燥窒素、除湿空気が好ましい。
[0190] また、上記方法による効果の小さいアルミニウムやチタン系の重縮合触媒の場合は 、リンィ匕合物を溶融重縮合後または固相重合後のポリエステルの溶融物に添加、重 合触媒を不活性化する方法が挙げられる。
[0191] 溶融重合ポリエステルの場合には、溶融重合反応終了後のポリエステルと、リンィ匕 合物を配合したポリエステルとを溶融状態で混合できるラインミキサー等の機器中で 混合してアルミニウム触媒を不活性ィ匕する方法が挙げられる。
[0192] また固相重合ポリエステルにリンィ匕合物を配合する方法としては、固相重合ポリエス テルにリンィ匕合物をドライブレンドする方法やリン化合物を溶融混練して配合したポリ エステルマスターバッチチップと固相重合ポリエステルチップを混合する方法によつ て所定量のリン化合物をポリエステルに配合後、押出機や成形機中で溶融し、触媒 を不活性ィ匕する方法等が挙げられる。
[0193] 触媒を完全に失活させるのに要するリンィ匕合物の量は、ポリエステル中に残存する 触媒金属含有量に対して、残存量で少なくとも 5倍モルである。
[0194] 使用されるリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体 等が挙げられる。具体例としてはリン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリェチルェ ステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフエ- ルエステル、リン酸モノメチルェ ステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸モノブチルエステル、リン酸ジブチルエステル 、亜リン酸、亜リン酸トリメチルエステル、亜リン酸トリェチルエステル、亜リン酸トリブチ ルエステル、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、ェチルホスホン 酸ジメチルエステル、フエニールホスホン酸ジメチルエステル、フエニールホスホン酸 ジェチルエステル、フエ-—ルホスホン酸ジフェニールエステル等であり、これらは単 独で使用してもよぐまた 2種以上を併用してもよい。
[0195] また、ポリエステルフィルムの製造工程における環状三量体の生成を抑制する方法と して、ポリエステルを溶融させて押出し、シートを製造する際の溶融温度をより低温に し、かつその滞留時間をより短時間にすることが好ましい実施形態として挙げられる。 溶融温度は、溶融した榭脂が通過する流路の温度を制御することで調節することが 可能であり、当該ポリエステルの融点から + 30°Cまでの範囲に制御することが好まし く、 + 15°Cまでの範囲に制御することがより好ましい。またポリエステルは結晶化速度 が遅いために融点 10°Cまでの範囲では製造工程中で実質的に固化することなく 流動するので、環状三量体の生成を低減させるためには、榭脂温度を上記温度範 囲に制御することも好ま U、実施形態である。
[0196] 滞留時間は、溶融樹脂が通過する流路の容積に対して、通過する榭脂の流量を大 きくすることで低減させることが可能であり、滞留時間を 60分以下にすることが好まし ぐ 30分以下にすることがより好ましい。
[0197] (鏡面反射フィルム)
本発明の積層ポリエステルフィルムは、表面層(A)が平滑な表面になるように設計 されており、該表面層 (A)表面に金属薄膜層を設けることにより、光反射率、特に正 反射率の高い鏡面反射層を形成できるので、光反射用部材として好適に用いること ができる。したがって、本発明の積層ポリエステルフィルムは、表面平滑性に優れる 表面層 (A)に金属薄膜層を設けることが好ましい実施態様である。すなわち、本発 明の積層ポリエステルフィルムを反射フィルムの基材として用い、前記積層ポリエステ ルフィルムの表面層 (A)に金属薄膜層を形成し、金属薄膜層を反射面とする鏡面反 射フィルムとすることで、本発明の作用効果を最大限発揮することができる。代表的 な層構成を図 1〜4に示す。
[0198] さらに、本発明の好適な実施形態である積層ポリエステルフィルムには、金属薄膜 層の反対面となる表面層(C)に易滑性の付与と、フィルム卷取り時の表面層(C)から の表面層 (A)への汚れや押し跡などの転写を低減するよう、好適な表面設計がなさ れて 、る。これらの機能は金属薄膜層を設けた鏡面反射フィルムにつ 、ても反映さ れるので、光反射用部材として好適である。
[0199] 本発明の鏡面反射フィルムは、金属薄膜層表面の光線反射率が 70%以上である
ことが好ましぐさらに好ましくは 75%以上である。また、本発明においては、積層ポリ エステルフィルムの層構成に及ぼす反射特性の影響を評価するために、各実施例( 但し、実施例 4、比較例 11、実施例 7、比較例 19を除く)において、積層ポリエステル フィルムの表面層(A)に、アルミニウムカゝらなる金属薄膜層を 40nmの厚みで蒸着さ せた鏡面反射フィルムを作製した。本発明の積層ポリエステルフィルムに、厚みが 40 nmの金属薄膜層を形成させてなる鏡面反射フィルムは、金属薄膜層の表面におけ る光線反射率が 66%以上であることが好ましい。さらに好ましくは 68%以上であり、 特に好ましくは 70%以上である。したがって、本発明の鏡面反射板を、例えば LCD 用の面光源反射板として使用することにより、輝度の高い LCDを得ることができる。
[0200] 前記の金属薄膜層を構成する金属は、前記に記載したアルミニウムに限定されず、 光吸収の少ない金属であればよぐ例えば、銀、金、白金、ステンレスやそれらの合 金も試用できる。前記金属として、銀や銀合金を用いることにより、アルミニウムを用い た場合よりも光線反射率のより優れた鏡面反射フィルムが得られる。巿場要求により、 金属の材料を適宜選択すればよい。また、金属薄膜には反射率を損なわない程度 の非金属元素が微量含有していてもよい。金属薄膜は、単層構成であっても、積層 構成であってもよい。前記金属薄膜層の形成は、真空蒸着法が一般的であるが、ス ノ ッタリング法ゃ CVD法によっても可能である。前記金属薄膜の厚さは、 10〜200n mの範囲が好ましい。
実施例
[0201] 以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、各実施例で得られたフィル ム特性は以下の方法により測定、評価した。
[0202] (1)固有粘度
チップサンプル 0. lgを精秤し、 25mlのフエノール/テトラクロロェタン = 6/4 (質 量比)の混合溶媒に溶解し、ォストワルド粘度計を用いて 30°Cで測定した。なお、測 定は 3回行い、その平均値を求めた。
[0203] ( 2)粒子の平均粒子径
粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製、 S— 510型)で観察し、粒子の大きさに 応じて適宜倍率を変え、最も小さい粒子 1個の大きさが 2〜5mmとなるような倍率で、
写真撮影したものを拡大コピーした。次いで、ランダムに選んだ少なくとも 200個以上 の粒子について、各粒子の外周をトレースした。画像解析装置にてこれらのトレース 像から粒子の円相当径を測定し、それらの平均値を平均粒子径とした。
[0204] (3)平均表面粗さ
触針式三次元表面粗さ計 (株式会社小坂研究所社製、 SE— 3AK)を用いて、針 の半径 2 μ m、荷重 30mg、針のスピード 0. ImmZ秒の条件下で、フィルムの表面 をフィルムの長手方向にカットオフ値 0. 25mmで、測定長 lmmにわたつて測定し、 2 mピッチで 500点に分割し、各点の高さを三次元粗さ解析装置 (株式会社小坂 研究所社製、 TDA- 21)に取り込ませた。これと同様の操作をフィルムの幅方向に ついて 2 m間隔で連続的に 150回、即ちフィルムの幅方向 0. 3mmにわたつて行 い、解析装置にデータを取り込ませた。次に、前記解析装置を用いて、三次元平均 表面粗さ SRa及び三次元十点平均粗さ SRzを求めた。 SRa及び SRzの単位は、い ずれも μ mである。
なお、測定は 3回行い、それらの平均値を採用した。
[0205] (4)表面層(A)の粗大突起数
(4 1)欠点の検出
下記の光学欠陥検出装置を用いて、 100mm X 100mmの積層ポリエステルフィル ム片 10枚について、表面層(A)面を観察して、光学的に 20 m以上の大きさと認識 される欠点を検出した。
[光学欠点の検出方法]
投光器として 20WX 2灯の蛍光灯を XYテーブル下方 400mmに配置し、 XYテー ブル上に設けたスリット幅 10mmのマスク上に測定対象の試験片を配置する。投光 器と受光器を結ぶ線と、試験片の表面の鉛直方向とのなす角度を 12° となるよう光 を入射すると、入射位置の試験片に傷が存在する場合に、その部分が光り輝く。その 部分の光量を XYテーブル上方 500mmに配置した CCDイメージセンサカメラで電 気信号に変換し、その電気信号を増幅し、微分してスレッシュホールド (しきい値)レ ベルとコンパレータで比較して、光学欠点の検出信号を出力する。また、 CCDィメー ジセンサカメラを用いて、粗大突起の画像を入力し、入力された画像のビデオ信号を
所定の手順により解析して、光学欠点の大きさを計測し、大きさ 以上の欠点 の位置を表示する。光学欠点の検出は、試験片の表面層(A)について行う。
(4 2)粗大突起の大きさと高さの測定
前記の光学欠点検出装置を用い、検出した欠点部分力も表面層 (A)の粗大突起 による光学欠点を選び出した。さらに適当な大きさに切り取って、 A1蒸着を行った。 次いで、非接触式三次元粗さ計 (マイクロマップ社製 550)を用いて、フィルム面に対 して垂直方向から観察した時の、表面層(A)の表面に存在する高さが 1 m以上で 最大径が 20 m以上の粗大突起の個数を測定し、単位を「個 Zm2」に換算した。
[0206] (5)フィルムの厚み
ミリトロン厚み計を用い、 1枚当たり 5点を計 3枚の 15点を測定し、その平均値を求 めた。
[0207] (5)積層フィルムの層厚み
ミクロトームを用いてフィルムを切削し、フィルム表面に垂直な断面を得た。この断面 に白金'パラジウム合金をスパッタリングによって被覆したものを観察サンプルとした。 走査型電子顕微鏡(日立製作所製、 S— 510型)を用いてフィルム断面を観察し、フ イルム全厚みが一視野となる適当な倍率で写真撮影した。この像より、スケールを用 Vヽて各層の厚みを測定した。独立に作成した 3点の断面サンプルにつ 、て測定を行 い、この平均値をもって積層フィルムの層厚みとした。
[0208] (6)積層フィルムの光線透過率
JIS— B0601— 1982に準じ、ポイツク積分球式 H. T. Rメータ(日本精密光学製) を用い測定した。この値が小さ!/、ほど遮光性が高 、ことを意味する。
[0209] (7)積層ポリエステルフィルムの見かけ密度
フィルムを 5. Ocm四方の正方形に 4枚切り出して試料とした。この試料を 4枚重ね にして、マイクロメーターを用いて有効数字 4桁で、総厚みを場所を変えて 10点測定 し、重ね厚みの平均値を求めた。この平均値を 4で除して有効数字 3桁に丸め、一枚 あたりの平均厚み (t: /z m)とした。同試料 4枚の質量 (w:g)を有効数字 4桁で自動 上皿天秤を用いて測定し、次式より見かけ密度を求めた。なお、見かけ密度は有効 数字 3桁に丸めた。
見かけ密度(g/cm3) =w/ (5. 0 X 5. 0 X t X 10"4 X 4)
=w X 100/t
[0210] (8)積層ポリエステルフィルムのカール値
積層ポリエステルフィルムを長手方向に 100mm、幅方向に 50mmに枚葉状に切り 出し、無荷重の状態で、 110°Cで 30分間加熱処理した後、フィルムの凸部を下にし て水平なガラス板上に静置し、ガラス板と立ち上がったフィルム 4隅の下端との垂直 距離を最小目盛り 0. 5mm単位で定規を用いて測定し、この 4箇所の測定値の平均 値をカール値とした。サンプルは 3点準備し、繰り返し測定を行い、この平均値をカー ル値とした。
[0211] (9)表面層(A)の傷
(i)傷の検出
250mmX 250mmのフィルム片 16枚について評価した。該評価は製膜開始から 2 4時間後のものについて評価した。
投光器として 20WX 2灯の蛍光灯を XYテーブル下方 400mmに配置し、 XYテー ブル上に設けたスリット幅 10mmのマスク上に測定対象の試験片の表面層(A)が上 面となるよう置く。投光器と受光器を結ぶ線と、試験片表面の鉛直方向とのなす角度 を 12° となるよう光を入射すると、入射位置の試験片に傷が存在する場合に、その 部分が光り輝く。その部分の光量を XYテーブル上方 500mmに配置した CCDィメー ジセンサカメラで電気信号に変換し、その電気信号を増幅し、微分してスレッシュホ 一ルド(しきい値)レベルとコンパレータで比較して、光学欠点の検出信号を出力する 。また、 CCDイメージセンサカメラを用いて、傷の画像を入力し、入力された画像のビ デォ信号を所定の手順により解析して、光学欠点の大きさを計測し、 50 m以上の 欠点の位置を表示する。光学欠点の検出は、試験片の表面層(A)について行う。
[0212] (ii)傷の大きさの測定
上記 (i)において検出される光学欠点部分から、傷による欠点を選出する。上記方 法で傷と判定された部分が含まれるように、上記の試験片を適当な大きさに裁断し、 形状観察用試験片を採取した。次いで、マイクロマップ社製 3次元形状測定装置 TY PE550を用いて、採取した試験片の表面層(A)を垂直方向から観察し、傷の大きさ
を測定する。なお、試験片、すなわちフィルムの表面に対して垂直方向から観察した 時に、 50 m以内に近接する傷の凹凸は同一の傷として考え、それらの傷の最外部 を覆う最小面積の長方形の長さおよび幅を、傷の長さおよび幅とする。そして、これら の傷の深さ(傷の最も高いところと最も低いところの高さの差)及び長さを計測する。こ の結果より、深さ 1 μ m以上で、かつ長さ 3mm以上の傷の個数 (個 Zm2)を求め、以 下の基準で判定した。
© : 30個 1112以下
〇:31〜50個 !112
:51〜100個 !!12
:101個 !112以上
[0213] (10)静摩擦係数
JIS K 7125に準拠して測定した。但し、ロードセルとサンプルの接続にはパネを用 いない直結とし、すべり片の質量は 1. 5kg、試験速度は 200mmZ分として測定した 。一試料につき、 3回測定して、その平均値を静摩擦係数とした。
[0214] (11)光線反射率
分光光度計(日立製作所製、 Spectrophotometer U- 3500)に積分球を取り付け、ァ ルミナ白板(日立計測器サービス社製、 210-0740)の反射率が 100%となるように ベースラインを補正した。装置付属の鏡面測定用治具 (傾斜角 10度)を介して、蒸着 フィルムの金属薄膜面が積分球側になるようサンプルを固定した。波長 400〜700n mの範囲で、 lnm刻みで反射率を測定した。 545〜555nmの測定値 (計 11点)を平 均して光線反射率とした。
なお、積層ポリエステルフィルムに金属薄膜層を設けない場合は、積層ポリエステ ルフィルムの表面層(A)の面が積分球側になるようにサンプルを固定し、前記の手 順にしたがって、前記表面層(A)に光を照射して、積層ポリエステルフィルムの光線 反射率を求めた。
[0215] (12)金属薄膜層の形成工程における積層ポリエステルフィルムの表面汚染のモデ ル評価
(a)加熱処理
測定すべきフィルムの任意の 5箇所より小片を切り取り、端部を蛇の目クリップで把 持して 170°Cの熱風中で 20分間加熱した。この際、フィルムが他のフィルムや器具と 触れないように保持して、キズなどが生じないように取り扱った。加熱後は室温中へ 取り出して、十分に自然冷却した後、次の観察を行った。
[0216] (b)フィルム表面の析出粒子の占有面積比
まず、測定すべきフィルム小片から、除電ブロワ一によつて塵などを注意深く取り除 Vヽた。この表面を非接触型三次元形状測定装置 (Micromap社製; Micromap557 )で測定した。光学系にはミロ一型二光束干渉対物レンズ (50倍)とズームレンズ (Bo dy
Tube, 0. 5倍)を使用し、 5600オングストロームの光源を用いて、 2Z3インチ CCD カメラで受光した。測定は WAVEモードで行い、 245 m四方の視野を 480ピクセル 四方のデジタル画像として処理した。
[0217] 画像の解析には解析ソフトウェア(Micromapl23、バージョン 4. 0)を用いて、 4次 関数モードで傾斜除去 (Detrending)し、表面形状データを得た。当該形状データ 力も解析ソフトウェア(SX— Viewer、バージョン 3. 4. 2)を用いて粒子解析を行った 。ソフトウェアの補正機能により、平面補正と補間を行った後、最長径が 0. 01から 20 00 μ m、高さが 0. 1 μ m力ら 1000 μ mの突起を解析した。突起の解析のパラメータ として、二値化閾値 0. 01と再二値ィ匕閾値 50、ブロックサイズ 4を与え、突起を二値化 して抽出した。得られた解析結果力も突起の占有面積を求め、上記加熱処理の前後 で増加した突起の占有面積と視野の面積 (6. 0 X 104 m2)の比率を占有面積比と した。なお、測定は 5つのフィルム小片において、明確なキズゃ異物などを避けた任 意の 3箇所でそれぞれ行い、合計 15視野での平均値を求めた。
[0218] ( 3層または 4層の積層ポリエステルフィルムの実施例)
実施例 1
[表面層(A)及びポリエステル層(Α' )の原料となるポリエステルの製造] エステル化反応缶を昇温し、 200°Cに到達した時点で、テレフタル酸が 86. 4質量 部及びエチレングリコールが 64. 4質量部力もなるスラリーを仕込んだ。次いで、該ス ラリーを撹拌しながら、触媒として三酸化アンチモンを 0. 017質量部及びトリェチル
アミンを 0. 16質量部添カ卩した。さらに、加熱昇温を行い、ゲージ圧 0. 34MPa、 240 °Cの条件で加圧エステル化反応を行った。
[0219] その後、エステルイ匕反応缶内を常圧に戻し、酢酸マグネシウム 4水和物 0. 071質 量部、次いでリン酸トリメチル 0. 014質量部を添加した。さらに、 15分かけて 260°C に昇温し、リン酸トリメチル 0. 012質量部、次いで酢酸ナトリウム 0. 0036質量部を添 加した。得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送した。次いで、減圧 下で 260°Cから 280°Cへ徐々に昇温し、 285°Cで重縮合反応を行った。重縮合反応 終了後、孔径 5 m (初期濾過効率 95%)のステンレススチール焼結体製フィルター で濾過処理を行った。
[0220] 次に、空気中に存在する径が: L m以上の異物を、へパフィルターで減少させた密 閉室内で、上記重縮合反応生成物であるポリエチレンテレフタレート(PET)をペレツ ト化した。ペレツトイ匕は、予め濾過処理 (孔径: 1 μ m以下)を行った冷却水を流しなが ら、冷却水槽中に溶融 PETを押出機のノズル力 押出し、形成されたストランド状 PE T榭脂をカットする方法で行った。得られた PETのペレットは、固有粘度が 0. 62dl/ g、 Sbき 力 Sl44ppm、 Mgき 力 S58ppm、 P ¾"¾力 S40ppm、カラー 直力 ^5 6. 2、カラー b値が 1. 6であり、不活性粒子及び内部析出粒子は実質的に含有して Vヽな力つた。なお、本実施例 1にお 、ては、表面層(A)及びポリエステル層 (Α' )用 に用いるポリエステノレは同じものを用いた。
[0221] [空洞形成剤含有マスターペレット (I)の調製]
白色遮光層(Β)の原料の 1つとして、メルトフローレート 1. 5のポリスチレン(日本ポ リスチ社製、 G797N) 20質量0 /0、メルトフローレート 3. 0の気相法重合ポリプロピレン (出光石油化学製、 F300SP) 20質量0 /0、及びメルトフローレート 180のポリメチルぺ ンテン(三井化学製: TPX DX— 820) 60質量%をペレット混合した。次いで、この ペレット混合物を 2軸押出機に供給して十分に溶融混練りし、ストランド状に押し出し た。このストランドを冷却、切断して空洞形成剤含有マスターペレット (I)を調整した。
[0222] [酸化チタン含有マスターペレット (II)の調製]
白色遮光層(B)の原料の 1つとして、極限粘度 0. 62dlZgのポリエチレンテレフタ レート 49. 5質量0 /0に、平均粒径 0. 3 m (電顕法)のアナターゼ型ニ酸化チタン(
富士チタン社製、 TA- 300) 50質量%、及び蛍光増白剤 (イーストマンケミカル製、 OB— 1) 0. 5質量%を混合し、該混合物をベント式 2軸押出機に供給して予備混練 りした。次いで、溶融ポリマーを連続的にベント式単軸混練り機に供給した後、十分 に混練りして、酸化チタン含有マスターペレット (II)を調整した。
[0223] [塗布層 (C )形成用塗布液の調製]
(共重合ポリエステルの調製)
撹拌機、温度計、及び部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートク レーブに、ジメチルテレフタレート 345質量部、 1, 4—ブタンジオール 211質量部、 エチレングリコール 270質量部、及びテトラー n—ブチルチタネート 0. 5質量部を仕 込み、 160°Cから 220°Cまで、 4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで、フ マル酸 14質量部及びセバシン酸 160質量部を加え、 200°C力ら 220°Cまで 1時間力 けて昇温し、エステル化反応を行った。次いで 255°Cまで昇温し、反応系を徐々に減 圧した後、 29. 3Paの減圧下で 1時間 30分反応させ、共重合ポリエステルを得た。得 られた共重合ポリエステルは、淡黄色透明であり重量平均分子量は 20. 000であつ た。また、 NMR分析による芳香族成分の割合は 70モル%であった。
[0224] (グラフト変性樹脂の調製)
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に共重合ポリエステル 75質量部、メチルェチルケトン 56質量部及びイソプロピルアルコール 19質量部を入 れ、 65°Cで加熱、撹拌し、榭脂を溶解した。榭脂が完全に溶解した後、無水マレイン 酸 15質量部をポリエステル溶液に添加した。
[0225] 次いで、スチレン 10質量部、及びァゾビスジメチルバレ口-トリル 1. 5質量部を 12 質量部のメチルェチルケトンに溶解した溶液を 0. lmlZ分でポリエステル溶液中に 滴下し、さらに 2時間撹拌を続けた。反応溶液力も分析用のサンプリングを行った後、 メタノール 5質量部を添加した。次いで、水 300質量部とトリェチルァミン 15質量部を 反応溶液に加え、 1時間撹拌した。その後、反応器内温を 100°Cに上げ、メチルェチ ルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリェチルァミンを蒸留により留去し、水分 散性グラフト榭脂を得た。この水分散性グラフト榭脂)は淡黄色透明であった。この榭 脂の酸価は 1400eqZtであった。
[0226] (塗布液の調整)
上記方法で調製した水分散性グラフト榭脂の 25質量%水分散液を 40質量部、水 を 24質量部及びイソプロピルアルコールを 36質量部、それぞれ混合し、さらにァ- オン系界面活性剤の 10質量%水溶液を 0. 6質量部、プロピオン酸を 1質量部、粒子 aとして、イオン交換水中でホモジナイザーにより分散処理したコロイダルシリカ粒子( 日産化学工業社製、スノーテックス OL、平均粒径 40nm)の 20質量%水分散液を 1 . 8質量部、粒子 bとして、イオン交換水中でホモジナイザーにより分散処理した乾式 法シリカ粒子(日本ァエロジル社製、ァエロジル 0X50、平均凝集粒径 200nm、平 均一次粒径 40nm)の 4質量%水分散液を 1. 1質量部添加し、塗布液とした。粒子 a と粒子 bの質量比は 8、粒子 bの含有量は被覆層の榭脂組成物に対して 0. 42質量 %である。
[0227] [積層ポリエステルフィルムの製造]
前記空洞形成剤含有マスターペレット (I) 7質量%、酸化チタン含有マスターペレツ ト(II) 7質量%、及び極限粘度 0. 62dlZgの PET榭脂 86質量%ょりなる混合物を白 色遮光層(B)の原料とした。また、前記表面層(A)及びポリエステル層(Α' )の原料 に用いるポリエステルを、白色遮光層(Β)の両面に積層されるように 2台の押出し機 に供給し、表面層(A) Ζ白色遮光層(Β) Ζポリエステル層 (Α' )の厚み比率が 8Ζ 84/8となるようにフィードブロックで接合した。次いで、 3層ダイスより 20°Cに調節さ れた冷却ドラム上に押し出し、厚み 1. 6mmの 2種 3層の層構成力もなる未延伸フィ ルムを製造した。
[0228] なお、ポリエステル、及びポリエステルとマスターペレットとの混合物は予め真空乾 燥した後に、押出し機に供給した。また、表面層 (A)及びポリエステル層 (Α' )に関 しては、溶融 PETの異物除去用濾材として濾過可能な粒子サイズが 10 m (初期濾 過効率 95%)のステンレススチール製焼結濾材を用いて精密濾過を行った。さらに、 冷却ドラムの反対面には 20°Cに温調した冷風を吹き付け冷却した。
[0229] 得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて 65°Cに均一加熱し、周速が異なる
2対のニップロール(低速ロール: lmZ分、高速ロール: 3. 4mZ分)間で 3. 4倍に 延伸した。このとき、フィルムの補助加熱装置として、 -ップロール中間部に金反射膜
を備えた赤外線加熱ヒータ(定格: 40W/cm)をフィルムの両面に対向して設置(フ イルム表面から lcmの距離)し、片面を 18WZcm、反対面を 12WZcmにて加熱し た。該フィルム製造時に用いる全ロールに関し、ロールの表面粗度を Raで 0. 1 m 以下に管理し、縦延伸工程の予熱入口と冷却ロールにロールクリーナーを設置した 。縦延伸工程のロール径は 150mmであり、サクシヨンロール、静電密着、パート-ッ プの密着装置を採用してフィルムをロールへ密着させた。
[0230] 上記方法で調製した塗布層(C )形成用塗布液を、濾過可能な粒子サイズ 10 μ m (初期濾過効率 95%)のフェルト型ポリプロピレン製濾材で精密濾過し、リバース口 ール法によって、上記の一軸延伸 PETフィルムの片面(冷却ロールと接触した面とは 反対側の表面)に塗布、乾燥した。この際のコート量は、 0. lgZm2であった。塗布 後弓 Iき続 、て、フィルムの端部をクリップで把持して 130°Cに加熱された熱風ゾーン に導いて乾燥した後、幅方向に 4. 0倍に延伸した。次いで、フィルム幅の長さを固定 した状態で赤外線ヒーターによって 250°Cで 0. 6秒間加熱し、片面に塗布層を有す る、厚さ 188 mの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエス テルフィルムの特性値を表 1及び表 2に示す。なお、得られた積層ポリエステルフィル ムの白色度は 84であった。
[0231] [鏡面反射フィルムの製造]
上記方法で得られた積層ポリエステルフィルムの平滑な表面層(A)に、以下の方 法で、アルミニウム力 なる金属薄膜層(厚み: 40nm)を設けた鏡面反射フィルムを 得た。
[0232] すなわち、ベルジャー型真空蒸着装置のタングステンフィラメントにアルミ金属片( 1 Omg)を固定し、これより 10cm離して、前記の積層ポリエステルフィルムを設置した。 ベルジャーを密閉した後、真空ポンプを用いて 0. OlPaまで減圧し、フィラメントに電 流を加えてアルミニウムを蒸発させた。およそ 15秒程度の加熱でアルミニウム金属片 をほぼ全て蒸発させた後、系が冷却されるのを待って常圧まで戻し、蒸着フィルム( 鏡面反射フィルム)を取り出した。得られた鏡面反射フィルムの特性値を表 2に示す。
[0233] 本実施例 1で得られた積層ポリエステルフィルムは、表面層(A)の平滑性に優れ、 かつ白色遮光層(B)の遮光性に優れているので、得られた鏡面反射フィルムは、金
属薄膜層の表面における光線反射率が高い。また、金属薄膜層を透過した光が白 色遮光層(B)で遮光されているので、金属薄膜層にピンホールがあっても観察され な 、。また、ポリエステル層 (Α' )に塗布層(C )が積層されて!、るため、最外層と なる塗布層(C )の表面が適度に粗面化されている。そのため、表面層(Α)が平滑 であるにもかかわらず、滑り性に優れている。さらに、加熱によるカールの発生が抑制 されているため、フィルムの取り扱い性が良好である。また、白色遮光層(Β)に空洞 が含有されているため、積層ポリエステルフィルムは見かけ密度が小さぐ軽量である
[0234] 比較例 1
実施例 1にお 、て、表面層(Α)及びポリエステル層 (Α' )の原料として、白色遮光 層(Β)と同じ原料を用いたこと以外は実施例 1と同様にして、積層ポリエステルフィル ム及び鏡面反射フィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フ イルムの特性値を表 1及び表 2に示す。
本比較例 1で得られた積層ポリエステルフィルムは、金属薄膜層を形成する面であ る表面層(Α)の平滑性が劣っている。そのため、得られた鏡面反射フィルムは、金属 薄膜層の表面における光線反射率が低ぐ光反射用部材として低品質であった。
[0235] 比較例 2
実施例 1にお 、て、層(Β)の原料として、表面層(Α)やポリエステル層 (Α' )と同じ ポリエステルを用いたこと以外は実施例 1と同様にして、積層ポリエステルフィルム及 び鏡面反射フィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィル ムの特性値を表 1及び 2に示す。
[0236] 本比較例 2で得られた積層ポリエステルフィルムは、表面層(Α)の平滑性に優れて いる。し力しながら、前記の積層ポリエステルフィルムは、層(Β)に遮光性がないため
、光線透過率が高い。そのため、得られた鏡面反射フィルムは、金属薄膜層の表面 における光線反射率が低ぐ金属薄膜層にもピンホールが多く観察された。したがつ て、光反射用部材用として低品質であった。
[0237] 本比較例 2で得られた鏡面反射フィルムは、表面層(Α)が表面平滑性に優れて!/、 るにもかかわらず、実施例 1で得られた鏡面反射フィルムに比べ、金属薄膜層の表面
における光線反射率が劣っている。この理由は、金属薄膜層を透過した光を白色遮 光層(B)で遮断し、反射する効果が不十分であったためと推察される。
[0238] 比較例 3
実施例 1において、白色遮光層(B)に用いる原料として、酸化チタン含有マスター ペレット (II)を使用せず、空洞形成剤含有マスターペレット (I)の混合比を 14質量% に変更すること以外は実施例 1と同様にして、積層ポリエステルフィルム及び鏡面反 射フィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムの特性 値を表 1及び 2に示す。
[0239] 本比較例 3で得られた積層ポリエステルフィルムは、白色遮光層(B)の遮光性が低 いため、光線透過率が高い。そのため、得られた鏡面反射フィルムは、金属薄膜層 の表面における光線反射率が劣るだけでなぐ金属薄膜層にもピンホールが多く観 察された。したがって、光反射用部材として低品質であった。
[0240] 比較例 4
比較例 2において、塗布層(C )を形成させな力つたこと以外は比較例 2と同様に して、積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムを得た。得られた積層ポリエス テルフィルム及び鏡面反射フィルムの特性値を表 1及び 2に示す。
[0241] 本比較例 4で得られた積層ポリエステルフィルムは、金属薄膜層を形成する表面層
(A)とは反対側のポリエステル層(A^ )が表面層(A)と同様に平滑である。そのため 、比較例 2に記載の品質低下に加え、滑り性が著しく劣り、さらにフィルムの巻き取り 性等のハンドリング性にも劣っていた。そのため、得られた積層ポリエステルフィルム は、金属薄膜層を形成する面である表面層(A)における傷が多力つた。
[0242] また、層(B)の遮光性が低 、ため、光線透過率が高!、。そのため、得られた鏡面反 射フィルムは、金属薄膜層の表面における光線反射率が劣るだけでなぐ金属薄膜 層にもピンホールが多く観察された。したがって、光反射用部材として低品質であつ た。
[0243] 比較例 5
比較例 2にお 、て、表面層(A)及びポリエステル層 (Α' )に用いるポリエステルの 製造時に、重合触媒の三酸ィ匕アンチモンの添加量を 2倍量とし、かつ重縮合反応終
了後に用いるポリエステルの濾過用フィルターの孔径を 20 /z m (初期濾過効率 95% )に変更すること以外は比較例 2と同様にして、積層ポリエステルフィルム及び鏡面反 射フィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムの特性 値を表 1及び 2に示す。
本比較例 5で得られた積層ポリエステルフィルムは、比較例 2に記載したフィルムの 品質低下だけでなぐ表面層 (A)の表面における粗大突起数も多力つた。したがって 、光反射用部材として低品質であった。
[0244] 実施例 2
実施例 1において、積層ポリエステルフィルムの製造時の押出し機を 3台とし、ポリ エステル層 (Α' )の原料として使用するポリエステルの代わりに、表面層(C)の原料 として、平均粒径 2 μ mの球状シリカ粒子 500ppmを含むポリエチレンテレフタレート 榭脂を用い、かつ塗布層 (C )を形成させず、表面層 A (平滑層) Z白色遮光層 B Z表面層 C (易滑層)の 3種 3層の層構成に変更すること以外は実施例 1と同様にし て、積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムを得た。得られた積層ポリエステ ルフィルム及び鏡面反射フィルムの特性値を表 1及び 2に示す。
本実施例 2で得られた積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムは、実施例 1で得られたものと同様に高品質であり、光反射用部材として実用性が高いものであ つた o
[0245] 比較例 6
実施例 2において、表面層(A)の原料として、表面層(C)と同じポリエステルを用い ること以外は実施例 2と同様にして、 2種 3層の層構成力もなる積層ポリエステルフィ ルム及び鏡面反射フィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射 フィルムの特性値を表 1及び 2に示す。
本比較例 6で得られた積層ポリエステルフィルムは、表面層(A)の表面平滑性が劣 つていた。そのため、得られた鏡面反射フィルムは、金属薄膜層の表面における光線 反射率に劣っていた。したがって、光反射用部材として低品質であった。
[0246] 比較例 7
実施例 2において、 3層全てを表面層(C)と同じポリエステルを用いるように変更す
ること以外は実施例 2と同様にして、積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルム を得た。得られた積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムの特性値を表 1及 び 2に示す。
[0247] 本比較例 7で得られた積層ポリエステルフィルムは、白色遮光層(B)の遮光性が低 ぐ光線透過度が高ぐかつ、表面層(A)の表面平滑性に劣っていた。そのため、得 られた鏡面反射フィルムは、金属薄膜層の表面における光線反射率が劣り、金属薄 膜層のピンホールも多かった。したがって、光反射用部材として低品質であった。
[0248] 比較例 8
比較例 6において、積層フィルムの層厚み比率を、表面層(A)Z白色遮光層(B) Z表面層(C) =8Z90Z2に調整し、かつダイスより押出した未延伸フィルムを冷却 ドラムにより冷却する際に、冷却ドラムの反対面に 20°Cに温調した冷風を吹き付ける ことを取り止めたこと以外は比較例 6と同様にして、積層ポリエステルフィルム及び鏡 面反射フィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムの 特性値を表 1及び 2に示す。
[0249] 本比較例 8で得られた積層ポリエステルフィルムは、比較例 6で得られた積層ポリエ ステルフィルムの品質低下にカ卩えて、カールが大きぐ例えば、光反射板等として最 終製品に組み込む場合の無緊張下での作業時のハンドリング性が悪ィ匕した。したが つて、光反射用部材として低品質であった。
[0250] 比較例 9
実施例 2において、積層ポリエステルフィルムの全体厚みを 100 mに変更し、さら に各層の厚み比率を、表面層(A) Z白色遮光層(B) Z表面層(C) = 1Z98Z1に 変更すること以外は実施例 2と同様にして、積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射 フィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムの特性値 を表 1及び 2に示す。
本比較例 9で得られた積層ポリエステルフィルムは、表面層(A)の表面平滑性に劣 つていた。そのため、得られた鏡面反射フィルムは、金属薄膜層の表面における光線 反射率が劣っていた。したがって、光反射用部材として低品質であった。
[0251] 比較例 10
実施例 1において、層 (A)の表面にも塗布層(C )を形成させ、金属薄膜層を形 成させる側から、塗布層 C' Z層 AZ白色遮光層 BZ層 C (層 A) Z塗布層 の順 に積層させたこと以外は実施例 1と同様にして、積層ポリエステルフィルム及び鏡面 反射フィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムの特 性値を表 1及び 2に示す。
本比較例 10で得られた積層ポリエステルフィルムは、金属薄膜層を形成させる側 の表面の平滑性に劣っていた。そのため、得られた鏡面反射フィルムは、金属薄膜 層の表面における光線反射率がつていた。したがって、光反射用部材として低品質 であった。
[0252] 実施例 3
実施例 1において、白色遮光層(B)の原料として、空洞形成剤含有マスターペレツ ト (I)を使用せず、酸化チタン含有マスターペレット (II)の混合比率を 14質量%に変 更したこと以外は実施例 1と同様にして、積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィ ルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムの特性値を表 1及び 2に示す。
[0253] 本実施例 3で得られた積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムの光反射特 性に関連する特性は実施例 1で得られたものと同様に高品質であった。ただし、本実 施例 3で得られた積層ポリエステルフィルムは、白色遮光層(B)の内部の空洞が少な かった。そのため、得られた積層ポリエステルフィルムは見かけ密度が高ぐ軽量ィ匕 の点では実施例 1で得られた積層ポリエステルフィルムよりも劣っていた。
[0254] 実施例 4
実施例 1で得られた積層ポリエステルフィルムを用いて、表面層(A)にアルミニウム からなる金属薄膜層を真空蒸着法により形成させる際に、その厚みを Onm (蒸着無し )、 41nm、 104nmと変えた下記の 3種類の実験を行った。得られた結果を図 5に示 す。
(実施例 4 1)
実施例 4—1は、実施例 1の積層ポリエステルフィルムを用い、金属薄膜層を設けな かった実験例である。前記の積層ポリエステルフィルムの表面層(A)に光を照射した
際の光線反射率は 69%であった。
[0255] (実施例 4 2)
実施例 4— 2は、実施例 1の積層ポリエステルフィルムの表面層(A)に、真空蒸着 法により、厚みが 41nmのアルミニウムカゝら構成された金属薄膜層を形成させた鏡面 反射フィルムの実験例である。得られた鏡面反射フィルムの金属薄膜層に光を照射 した際の光線反射率は 72%であった。
(実施例 4 3)
実施例 4— 3は、実施例 1の積層ポリエステルフィルムの表面層(A)に、真空蒸着 法により、厚みが 104nmのアルミニウムカゝら構成された金属薄膜層を形成させた鏡 面反射フィルムの実験例である。得られた鏡面反射フィルムの金属薄膜層に光を照 射した際の光線反射率は 85%であった。
[0256] 比較例 11
比較例 2で得られた積層ポリエステルフィルムを用いて、表面層(A)にアルミニウム からなる金属薄膜層を真空蒸着法により形成させる際に、その厚みを Onm (蒸着無し )、 29nm、 70nm、 98nmと変えた下記の 4種類の実験を行った。得られた結果を図 5に示す。
[0257] (比較例 11 1)
比較例 11 1は、比較例 2の積層ポリエステルフィルムを用い、金属薄膜層を設け な力つた実験例である。前記の積層ポリエステルフィルムの表面層(A)に光を照射し た際の光線反射率は 8%であった。
(比較例 11 2)
比較例 11— 2は、比較例 2の積層ポリエステルフィルムの表面層(A)に、真空蒸着 法により、厚みが 29nmのアルミニウムカゝら構成された金属薄膜層を形成させた鏡面 反射フィルムの実験例である。得られた鏡面反射フィルムの金属薄膜層に光を照射 した際の光線反射率は 37%であった。
[0258] (比較例 11 3)
比較例 11— 3は、比較例 2の積層ポリエステルフィルムの表面層(A)に、真空蒸着 法により、厚みが 70nmのアルミニウムカゝら構成された金属薄膜層を形成させた鏡面
反射フィルムの実験例である。得られた鏡面反射フィルムの金属薄膜層に光を照射 した際の光線反射率は 80%であった。
(比較例 11 4)
比較例 11— 4は、比較例 2の積層ポリエステルフィルムの表面層(A)に、真空蒸着 法により、厚みが 98nmのアルミニウムカゝら構成された金属薄膜層を形成させた鏡面 反射フィルムの実験例である。得られた鏡面反射フィルムの金属薄膜層に光を照射 した際の光線反射率は 83%であった。
[0259] 図 5より、実施例 1で得られた鏡面反射フィルムは、比較例 2で得られた鏡面反射フ イルムよりも金属薄膜層の表面における光線反射率が高ぐかつ金属薄膜層の厚み の変動による光線反射率の影響が小さい。このことは、金属薄膜層を透過した光の 漏れを白色遮光層(B)で遮断し、反射する効果が高いことを明確に示している。
[0260] 金属薄膜層の厚みはその成膜方法により異なるが、一般的に 20%程度の厚みの 変動がある。特に、加工装置内部で蒸着金属源力も離れた端部では、金属薄膜層 の厚みが薄くなりやすい。しかしながら、白色遮光層(B)を設けることにより、この金属 薄膜層の厚み変動による光線反射率の変動を抑制することができる。また、上記金 属薄膜層の厚み変動による製品収率の低下を抑制することができる。さらに、金属薄 膜層の厚みを薄くしても、高い光線反射率が確保できるため、経済的にも優れている 。したがって、積層ポリエステルフィルムの平滑層(表面層 A)の上に金属薄膜層を設 けた鏡面反射フィルムにおいて、白色遮光層(B)を設けることにより、反射率の変動 の低減及び経済性の両面において顕著な効果が得られる。
[0261] [表 1]
表面層 (A) 表面層 (C)
粗大
SRz SRa SRz SRa
突起数 傷
( ) (fjt m)
(個/
実施例 1 0.12 0.013 1 ◎ 0.31 0.019 実施例 2 0.11 0.014 1 ◎ 1.28 0.031 実施例 3 0.11 0.011 1 ◎ 0.31 0.019 比較例 1 1.88 0.112 5 ◎ 1.88 0.115 比較例 2 0.07 0.004 0 〇 0.31 0.019 比較例 3 0.11 0.012 1 ◎ 0.31 0.019 比較例 4 0.07 0.004 0 Δ 0.07 0.006 比較例 5 0.1 0.006 10 ◎ 0.31 0.019 比較例 6 1.14 0.038 3 ◎ 1.28 0.039 比較例 7 1.14 0.035 3 ◎ 1.28 0.036 比較例 8 1.15 0.038 3 ◎ 1.35 0.04 比較例 9 1.66 0.071 4 ◎ 1.66 0.082 比較例 1 0 0.31 0.019 1 ◎ 0.31 0.019 2] 積層ポリエステルフィルム 鏡面反射フィルム 光線 見かけ 静摩擦 光線 ピン カール
透過率 密度 係数 ホール数
(,mm) 反射率
(%) (g/cm3) (-) ( ) (個 /0.01m2) 実施例 1 7.6 1.12 0.48 0.2 78 0 実施例 2 7.6 1.12 0.48 0.2 77 0 実施例 3 7.8 1.41 0.49 0.2 75 0 比較例 1 6.5 1.05 0.42 0.2 65 0 比較例 2 91 1.41 0.58 0.2 53 60 比較例 3 25.1 1.12 0.47 0.2 73 10 比較例 4 90.9 1.41 >1.0 0.2 52 60 比較例 5 91 1.41 0.58 0.2 53 80 比較例 6 7.6 1.12 0.45 0.2 70 0 比較例 7 90.1 1.41 0.5 0.2 49 70 比較例 8 7.6 1.12 0.45 9.5 71 0 比較例 9 6.5 1.05 0.44 0.2 67 0 比較例 1 0 7.6 1.12 0.41 0.2 73 0
[0263] (2層タイプの積層ポリエステルフィルムの実施例)
実施例 5
[表面層(A)及び白色遮光層 (B)用ポリエステルの製造]
エステル化反応缶を昇温し、 200°Cに到達した時点で、テレフタル酸が 86. 4質量 部及びエチレングリコールが 64. 4質量部力もなるスラリーを仕込んだ。次いで、撹拌 しながら、触媒として三酸ィ匕アンチモンを 0. 017質量部及びトリェチルァミンを 0. 16 質量部添カ卩した。さらに、加熱昇温を行い、ゲージ圧 0. 34MPa、 240°Cの条件でカロ 圧エステルイ匕反応を行った。
[0264] その後、エステルイ匕反応缶内を常圧に戻し、酢酸マグネシウム 4水和物 0. 071質 量部、次いでリン酸トリメチル 0. 014質量部を添加した。さらに、 15分かけて 260°C に昇温し、リン酸トリメチル 0. 012質量部、次いで酢酸ナトリウム 0. 0036質量部を添 加した。得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、減圧下で 260°C から 280°Cへ徐々に昇温し、 285°Cで重縮合反応を行った。重縮合反応終了後、孔 径 5 m (初期濾過効率 95%)のステンレススチール焼結体製フィルターで濾過処理 を行った。
[0265] 次に、空気中に存在する径が: L m以上の異物を、へパフィルターで減少させた密 閉室内で、上記重縮合反応生成物であるポリエチレンテレフタレート(PET)をペレツ ト化した。ペレツトイ匕は、予め濾過処理 (孔径: 1 μ m以下)を行った冷却水を流しなが ら、冷却水槽中に溶融 PETを押出機のノズル力 押出し、形成されたストランド状 PE T榭脂をカットする方法で行った。得られた PETのペレットは、固有粘度が 0. 62dl/ g、 Sbき 力 Sl44ppm、 Mgき 力 S58ppm、 P ¾"¾力 S40ppm、カラー 直力 ^5 6. 2、カラー b値が 1. 6であり、不活性粒子及び内部析出粒子は実質的に含有して いなかった。
[0266] [低オリゴマー処理ポリエステルの製造]
上記方法で得られたポリエステルを、減圧下 160°Cにて乾燥した。次いで、 400pp mのエチレングリコールを含有する窒素ガスを粗製ポリエステル lkg当たり、毎時 40リ ットルで流通した。さらに、この反応系を 1. 2kgZcm2の微加圧に調整し、 215°Cで 2 0時間加熱処理をしてオリゴマー量を低減する処理を行った。得られたポリエステル
の固有粘度は 0. 612dlZgであり、環状三量体の含有量は 3400ppmであった。な お、オリゴマー量を低減する処理を行う前のポリエステル中の環状三量体の含有量 は 9600ppmであった。
[0267] [空洞形成剤含有マスターペレット (I)の調製]
白色遮光層(B)の原料の 1つとして、メルトフローレート 1. 5のポリスチレン(日本ポ リスチ製、 G797N) 20質量0 /0、メルトフローレート 3. 0の気相法重合ポリプロピレン( 出光石油化学製、 F300SP) 20質量0 /0、及びメルトフローレート 180のポリメチルぺ ンテン(三井化学製、 TPX DX— 820) 60質量0 /0をペレット混合した。次いで、この ペレット混合物を 2軸押出機に供給して十分に溶融混練りし、ストランド状に押し出し た。このストランドを冷却、切断して空洞形成剤含有マスターペレット (I)を調整した。
[0268] [酸化チタン含有マスターペレット (II)の調製]
白色遮光層(B)の原料の 1つとして、極限粘度 0. 62dlZgのポリエチレンテレフタ レート 49. 5質量0 /0に、平均粒径 0. 3 m (電顕法)のアナターゼ型ニ酸化チタン( 富士チタン製、 TA300) 50質量%、及び蛍光増白剤 (イーストマンケミカル製、 OB 1) 0. 5質量%を混合し、該混合物をベント式 2軸押出機に供給して予備混練りし た。次いで、溶融ポリマーを連続的にベント式単軸混練り機に供給した後、十分に混 練りして、酸化チタン含有マスターペレット (II)を調整した。
[0269] [積層ポリエステルフィルムの製造]
前記の空洞形成剤含有マスターペレット (I) 7質量%、酸化チタン含有マスターペレ ット(II) 7質量0 /0、及びオリゴマーの低減処理を行った PET榭脂 86質量0 /0よりなる混 合物を、白色遮光層(B)の原料とした。また、前記の表面層(A)の原料に用いるオリ ゴマーの低減処理を行ったポリエステルを、白色遮光層(B)の表面に積層するように 2台の押出し機に供給し、表面層 (A)Z白色遮光層(B)の厚み比率が 8. 7/91. 3 となるようにフィードブロックで接合した。次いで、 2層ダイスより 20°Cに調節された冷 却ドラム上に押し出し、厚み 1. 6mmの 2層構成の未延伸フィルムを製造した。
[0270] なお、ポリエステル、及びポリエステルとマスターペレットとの混合物は予め真空乾 燥した後に、押出し機に供給した。また、表面層 (A)に関しては、溶融 PETの異物除 去用濾材として濾過可能な粒子サイズが 10 μ m (初期濾過効率 95%)のステンレス
スチール製焼結濾材を用いて精密濾過を行った。さらに、冷却ドラムの反対面には 2 0°Cに温調した冷風を吹き付け冷却した。
[0271] 得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて 65°Cに均一加熱し、周速が異なる
2対のニップロール(低速ロール: lmZ分、高速ロール: 3. 4mZ分)間で 3. 4倍に 延伸した。このとき、フィルムの補助加熱装置として、 -ップロール中間部に金反射膜 を備えた赤外線加熱ヒータ(定格: 40W/cm)をフィルムの両面に対向して設置(フ イルム表面から lcmの距離)し、片面を 18WZcm、反対面を 12WZcmにて加熱し た。該フィルム製造時に用いる全ロールに関し、ロールの表面粗度を Raで 0. 1 m 以下に管理し、縦延伸工程の予熱入口と冷却ロールにロールクリーナーを設置した 。縦延伸工程のロール径は 150mmであり、サクシヨンロール、静電密着、パート-ッ プの密着装置を採用してフィルムをロールへ密着させた。
[0272] 次いで、幅方向に 4. 0倍に延伸した。引き続いてフィルム幅の長さを固定した状態 で赤外線ヒーターによって 250°Cで 0. 6秒間加熱し、厚さ 188 /z mの二軸配向積層 ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性値を表3に示 す。なお、得られた積層ポリエステルフィルムの白色度は 84であった。
[0273] [鏡面反射フィルムの製造]
上記方法で得られた積層ポリエステルフィルムの平滑な表面層(A)に、以下の方 法で、アルミニウム力 なる金属薄膜層(厚み: 40nm)を設けた鏡面反射フィルムを 得た。
[0274] すなわち、ベルジャー型真空蒸着装置のタングステンフィラメントにアルミ金属片( 1 Omg)を固定し、これより 10cm離して、前記の積層ポリエステルフィルムを設置した。 ベルジャーを密閉した後、真空ポンプを用いて 0. OlPaまで減圧し、フィラメントに電 流を加えてアルミニウムを蒸発させた。およそ 15秒程度の加熱でアルミニウム金属片 をほぼ全て蒸発させた後、系が冷却されるのを待って常圧まで戻し、蒸着フィルム( 鏡面反射フィルム)を取り出した。得られた鏡面反射フィルムの特性値を表 4に示す。
[0275] 本実施例 5で得られた積層ポリエステルフィルムは、表面層(A)の平滑性に優れ、 かつ白色遮光層(B)の遮光性に優れているので、得られた鏡面反射フィルムは、金 属薄膜層の表面における光線反射率が高い。また、金属薄膜層を透過した光が白
色遮光層(B)で遮光されているので、金属薄膜層にピンホールがあっても観察され ない。また、積層ポリエステルフィルムの平滑な表面層(A)の反対面である白色遮光 層(B)の表面が適度に粗面化されている。そのため、表面層(A)が平滑であるにも かかわらず、滑り性に優れている。また、白色遮光層(B)に空洞が含有されているた め、積層ポリエステルフィルムは見かけ密度が小さぐ軽量である。
[0276] さらに、本実施例 5で得られた積層ポリエステルフィルムは、金属薄膜層の形成ェ 程における表面汚染のモデル評価法である、加熱処理された積層ポリエステルフィ ルム表面の析出粒子評価において、表面層(A)および白色遮光層のいずれの表面 とも、粒子の析出が認められず、高品質であった。
[0277] 比較例 12
実施例 5において、表面層(A)の原料として、白色遮光層(B)と同じ原料を用いる こと以外は実施例 5と同様にして、積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムを 得た。得られた積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムの特性値を表 3及び 4に示す。
本比較例 12で得られた積層ポリエステルフィルムは、金属薄膜層を形成する面で ある表面層(A)の平滑性が劣っている。そのため、得られた鏡面反射フィルムは、金 属薄膜層の表面における光線反射率が低ぐ光反射用部材として低品質であった。
[0278] 比較例 13
実施例 5において、層(B)の原料として表面層(A)と同じポリエステルを用い、かつ ポリエステルのオリゴマーの低減処理を行わな力つたこと以外は実施例 5と同様にし て、積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムを得た。得られた積層ポリエステ ルフィルム及び鏡面反射フィルムの特性値を表 3及び 4に示す。
本比較例 13で得られた積層ポリエステルフィルムは、表面層(A)の平滑性に優れ ていた。しかしながら、白色遮光層(B)に遮光性がないため、光線透過率が高い。そ のため、得られた鏡面反射フィルムは、金属薄膜層の表面における光線反射率が低 ぐ金属薄膜層にもピンホールが多数観察された。したがって、光反射用部材用とし て低品質であった。
[0279] 本比較例 13で得られた鏡面反射フィルムは、表面層(A)が表面平滑性に優れて
いるにもかかわらず、実施例 5で得られた鏡面反射フィルムに比べ、金属薄膜層の表 面における光線反射率が劣っている。この理由は、金属薄膜層を透過した光を白色 遮光層(B)で遮断し、反射する効果が不十分であったためと推察される。
[0280] 比較例 14
実施例 5において、白色遮光層(B)の原料として、酸化チタン含有マスターペレット (II)を使用せず、空洞形成剤含有マスターペレット (I)の混合比を 14質量%に変更 すること以外は実施例 5と同様にして、積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィル ムを得た。得られた積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムの特性値を表 3 及び 4に示す。
本比較例 14で得られた積層ポリエステルフィルムは、白色遮光層(B)の遮光性が 低いため、光線透過率が高い。そのため、得られた鏡面反射フィルムは、金属薄膜 層の表面における光線反射率が劣るだけでなぐ金属薄膜層にもピンホールが多く 観察された。したがって、光反射用部材として低品質であった。
[0281] 比較例 15
比較例 14において、積層ポリエステルフィルムの層構成を、表面層(A)Z白色遮 光層(B) Z表面層 (A)の 3層構造となるように、共押出し方法を変更すること以外は 比較例 14と同様にして、積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムを得た。得 られた積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムの特性値を表 3及び 4に示す 本比較例 15で得られた積層ポリエステルフィルムは、比較例 14の積層ポリエステ ルにおける品質の低下だけでなぐ表面層(A)の反対面も表面層(A)と同様に平滑 であるため、滑り性が著しく悪ぐフィルムの巻き取り性等のハンドリング性が劣ってい た。そのために、金属薄膜層を形成する面である表面層 (A)における傷が多力つた。 したがって、光反射用部材として低品質であった。
[0282] 比較例 16
比較例 14において、表面層(A)の原料として用いるポリエステルの製造時に、重 合触媒の三酸ィ匕アンチモンの添加量を 2倍量とし、かつ重縮合反応終了後に用いる ポリエステルの濾過用フィルターの孔径を 20 m (初期濾過効率 95%)に変更する
こと以外は比較例 14と同様にして、積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルム を得た。得られた積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムの特性値を表 3及 び 4に示す。
本比較例 16で得られた積層ポリエステルフィルムは、比較例 14の積層ポリエステ ルにおける品質の低下だけでなぐ表面層(A)の表面における粗大突起数も多かつ た。したがって、光反射用部材として低品質であった。
[0283] 比較例 17
比較例 14において、表面層(A)及び白色遮光層(B)の原料として、オリゴマーの 低減処理を行って 、な 、ポリエステルを用いること以外は実施例 5と同様にして、積 層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィ ルム及び鏡面反射フィルムの特性値を表 3及び 4に示す。
本比較例 17で得られた積層ポリエステルフィルムは、比較例 14の積層ポリエステ ルにおける品質の低下だけでなぐ金属薄膜層の形成工程における表面汚染のモ デル評価法である、加熱処理された積層ポリエステルフィルム表面の析出粒子評価 において、表面層(A)および白色遮光層(B)のいずれの表面にも、数多くの粒子が 析出し、低品質であった。
[0284] 比較例 18
実施例 5において、積層ポリエステルフィルムの厚みを 100 mに変更し、さらに各 層の厚み比率を、表面層(A) Z白色遮光層(B) = 1Z99に変更すること以外は、実 施例 5と同様にして積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムを得た。得られた 積層ポリエステルフィルム及び鏡面反射フィルムの特性値を表 3及び 4に示す。 本比較例 18で得られた積層ポリエステルフィルムは、表面層(A)の表面平滑性に 劣っていた。そのため、得られた鏡面反射フィルムは、金属薄膜層の表面における光 線反射率が劣っており、光反射用部材として低品質であった。
[0285] 実施例 6
白色遮光層(B)の原料として、アナターゼ型ニ酸ィ匕チタン 20質量 (富士チタン工業 製、 TA300)及び蛍光増白剤 (イーストマン製、 OB— 1、 ) 0. 05質量%を含有する、 極限粘度が 0. 62dlZgの PETを用いる以外は実施例 5と同様にして、積層ポリエス
テルフィルム及び鏡面反射フィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルム及び 鏡面反射フィルムの特性値を表 3及び 4に示す。
本実施例 6で得られた積層ポリエステルフィルムは、実施例 5で得られた積層ポリエ ステルフィルムと同様に高品質であった。ただし、本実施例 6で得られた積層ポリエス テルフィルムは、白色遮光層(B)の内部に空洞が含有されていないため、見かけ密 度が高ぐ軽量ィ匕の点では実施例 5で得られた積層ポリエステルフィルムよりも劣って いた。
[0286] 実施例 7
実施例 5で得られた積層ポリエステルフィルムを用いて、表面層(A)にアルミニウム からなる金属薄膜層を真空蒸着法により形成させる際に、その厚みを Onm (蒸着無し )、 38nm、 55nm、 94nmと変えた下記の 4種類の実験を行った。得られた結果を図 6に示す。
[0287] (実施例 7— 1)
実施例 7—1は、実施例 5の積層ポリエステルフィルムを用い、金属薄膜層を設けな かった実験例である。前記の積層ポリエステルフィルムの表面層(A)に光を照射した 際の光線反射率は 69%であった。
[0288] (実施例 7— 2)
実施例 7— 2は、実施例 5の積層ポリエステルフィルムの表面層(A)に、真空蒸着 法により、厚みが 38nmのアルミニウムカゝら構成された金属薄膜層を形成させた鏡面 反射フィルムの実験例である。得られた鏡面反射フィルムの金属薄膜層に光を照射 した際の光線反射率は 74%であった。
[0289] (実施例 7— 3)
実施例 7— 3は、実施例 5の積層ポリエステルフィルムの表面層(A)に、真空蒸着 法により、厚みが 55nmのアルミニウムカゝら構成された金属薄膜層を形成させた鏡面 反射フィルムの実験例である。得られた鏡面反射フィルムの金属薄膜層に光を照射 した際の光線反射率は 78%であった。
[0290] (実施例 7— 4)
実施例 7— 4は、実施例 5の積層ポリエステルフィルムの表面層(A)に、真空蒸着
法により、厚みが 94nmのアルミニウムカゝら構成された金属薄膜層を形成させた鏡面 反射フィルムの実験例である。得られた鏡面反射フィルムの金属薄膜層に光を照射 した際の光線反射率は 82%であった。
[0291] 比較例 19
比較例 13で得られた積層ポリエステルフィルムを用いて、表面層(A)にアルミ-ゥ ムからなる金属薄膜層を真空蒸着法により形成させる際に、その厚みを Onm (蒸着 無し)、 33nm、 62nm、 87nmと変えた下記の 4種類の実験を行った。得られた結果 を図 6に示す。
[0292] (比較例 19 1)
比較例 19— 1は、比較例 13の積層ポリエステルフィルムを用い、金属薄膜層を設 けな力つた実験例である。前記の積層ポリエステルフィルムの表面層(A)に光を照射 した際の光線反射率は 10%であった。
[0293] (比較例 19 2)
比較例 19— 2は、比較例 13の積層ポリエステルフィルムの表面層(A)に、真空蒸 着法により、厚みが 33nmのアルミニウムカゝら構成された金属薄膜層を形成させた鏡 面反射フィルムである。得られた鏡面反射フィルムの金属薄膜層に光を照射した際 の光線反射率は 46%であった。
[0294] (比較例 19 3)
比較例 19— 3は、比較例 13の積層ポリエステルフィルムの表面層(A)に、真空蒸 着法により、厚みが 62nmのアルミニウムカゝら構成された金属薄膜層を形成させた鏡 面反射フィルムである。得られた鏡面反射フィルムの金属薄膜層に光を照射した際 の光線反射率は 69%であった。
[0295] (比較例 19 4)
比較例 19— 4は、比較例 13の積層ポリエステルフィルムの表面層(A)に、真空蒸 着法により、厚みが 87nmのアルミニウムカゝら構成された金属薄膜層を形成させた鏡 面反射フィルムである。前記の鏡面反射フィルムの金属薄膜層に光を照射した際の 光線反射率は 80%であった。
[0296] 図 6より、実施例 5で得られた鏡面反射フィルムは、比較例 13で得られた鏡面反射
フィルムよりも金属薄膜層の表面における光線反射率が高ぐかつ金属薄膜層の厚 みの変動による光線反射率の影響が小さい。このことは、金属薄膜層を透過した光 の漏れを白色遮光層(B)で遮断し、反射する補完効果が高いことを明確に示してい る。
[0297] 金属薄膜層の厚みはその成膜方法により異なるが、一般的に 20%程度の厚みの 変動がある。特に、加工装置内部で蒸着金属源力も離れた端部では、金属薄膜層 の厚みが薄くなりやすい。しかしながら、白色遮光層(B)を設けることにより、この金属 薄膜層の厚み変動による光線反射率の変動を抑制することができる。また、上記金 属薄膜層の厚み変動による製品収率の低下を抑制することができる。さらに、金属薄 膜層の厚みを薄くしても、高い光線反射率が確保できるため、経済的にも優れている 。したがって、積層ポリエステルフィルムの平滑層(表面層 A)の上に金属薄膜層を設 けた鏡面反射フィルムにおいて、白色遮光層(B)を設けることにより、反射率の変動 の低減及び経済性の両面において顕著な効果が得られる。
[0298] [表 3]
[0299] [表 4]
積層ポリエステルフィルム 鏡面反射フィルム
線 見かけ 静摩擦 ピン
透過率 密度 係数 ホール数
(%) (g/cm3) (-) (個 /0.01m2)
実施例 5 7.4 1.11 0.46 76 0
実施例 6 3 1.41 0.48 79 0
比較例 1 2 7.4 1.05 0.42 60 0
比較例 1 3 90.8 1.41 >1.0 51 60
比較例 1 4 25.2 1.1 0.47 73 10
比較例 1 5 25.5 1.12 >1.0 73 12
比較例 1 6 25.2 1.11 0.47 72 10
比較例 1 7 25.1 1.09 0.48 74 11
比較例 1 8 6.8 1.05 0.43 63 0
^
産業上の利用可能性 ¾^ " 本発明の積層ポリエステルフィルムは、反射面となる金属薄膜層を鏡面反射層とし て、本発明の積層フィルムの平滑面 (表面層 A)に形成し、白色遮光層(B)に金属薄 膜層を透過した光を遮断し、反射する機能を付与している。その結果、高度で均一な 光線反射率を有する鏡面反射フィルムを得ることができる。そのため、輝度の高い鏡 面反射フィルム、特に、 LCD用の面光源反射板の用途に利用することができ、産業 界への寄与は大きい。