JP2016221737A - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】軟らかい酸変性ポリオレフィンを離型層であっても、巻き取り保管時に裏面からの凹凸転写によって離型層の粗さが増大することを抑制できる、種々の製品の製造工程に用いられる離型フィルムを提供すること。【解決手段】実質的に粒子を含有しないポリエステルフィルムの片面に酸変性オレフィン樹脂および架橋剤が含有されてなる離型層を設け、他方の最外層に易滑層を設けた離型フィルムであって、離型層表面の算術平均粗さ(Ra1)が10nm以下、最大山高さ(Rp1)が100nm以下であり、かつ易滑層が粒子を含有し、易滑層表面の算術平均粗さ(Ra2)が10nm未満であることを特徴とする離型フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、種々の製品の製造工程に用いられる離型フィルムに関する。更に詳しくは、高い平面性が求められる半導体部品等の製品の製造工程に好適に用いられる離型フィルムに関する。
従来、酸変性ポリオレフィン樹脂で離型層を形成し、離型層表面粗さ(SRa)を1〜5nm、裏面層の粗さ(SRa)を10nm以上とすることによりノンシリコーン系であり、被着体を汚染しないフィルムが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、かかる従来技術は裏面の粗さが離型層に転写し、製品となる被着体に高い平滑性が求められる場合にはその要求に応えることができないという問題点があった。
特開2012−144021号公報
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、軟らかい酸変性ポリオレフィンかななる離型層であっても、巻き取り保管時に裏面からの凹凸転写によって離型層の粗さが増大することを抑制できる、種々の製品の製造工程に好適に用いられる離型フィルムを提供することにある。
本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明の完成に至った。すなわち本発明は、
(1)実質的に粒子を含有しないポリエステルフィルムの片面に酸変性オレフィン樹脂および架橋剤が含有されてなる離型層を設け、他方の最外層に易滑層を設けた離型フィルムであって、離型層表面の算術平均粗さ(Ra1)が10nm以下、最大山高さ(Rp1)が100nm以下であり、かつ易滑層が粒子を含有し、易滑層表面の算術平均粗さ(Ra2)が10nm未満であることを特徴とする離型フィルム。
(2)離型層を形成する酸変性ポリオレフィン樹脂が架橋剤で架橋されており、架橋前の酸変性ポリオレフィン樹脂のカルボン酸基量A(当量)と架橋前の架橋剤の反応基量B(当量)が以下の式(I)を満たすことを特徴とする上記(1)に記載の離型フィルム。
1.2≦B/A≦5.0 (I)
(3) 該離型フィルムの離型層の厚さが15nm以上150nm以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の離型フィルム。
本発明により、種々の製品の製造工程に用いられる離型フィルムにおいて、軟らかい酸変性ポリオレフィンを離型層として用いても、巻き取り保管時に裏面からの凹凸転写による離型層の粗さを抑制することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の離型フィルムは、基材ポリエステルフィルムの一方の面に、酸変性ポリオレフィン樹脂と架橋剤を含有する離型層を有している。
本発明における酸変性ポリオレフィン樹脂は、オレフィン単位と不飽和カルボン酸単位とを共重合成分として含有する共重合体である。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成する酸変性成分としては、不飽和カルボン酸成分が挙げられる。不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でも、樹脂の分散安定性の面から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。これらの酸変性成分は酸変性ポリオレフィン樹脂中に2種類以上含まれていてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、オレフィン成分を主成分として含有していることが必要である。オレフィン成分としては、特に限定されないが、エチレン、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが好ましい。これらの混合物であってもよい。この中で、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、エチレン、プロピレンがさらに好ましく、エチレンが最も好ましい。
本発明に用いられる酸変性ポリオレフィン樹脂には、その他のモノマーが、少量、共重合されていても良い。例えば、ジエン類、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成する各成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されない。共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
本発明に用いることができる酸変性ポリオレフィン樹脂としては、三井・デュポン ポリケミカル社製の酸変性ポリオレフィン樹脂であるニュクレル(登録商標)シリーズ、日本ポリエチレン社製の酸変性ポリエチレン樹脂であるレクスパールシリーズなどが挙げられる
また、本発明に用いることができる側鎖に酸素原子を含むエチレン性不飽和成分を含む酸変性ポリオレフィン樹脂としては、アルケマ社製の無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂であるボンダイン(登録商標)シリーズが挙げられる。具体的な商品名として、ボンダイン(登録商標)シリーズの「LX−4110」、「HX−8210」、「HX−8290」、「TX−8030」などがある。
架橋剤種類としては、自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物等を用いることができる。このうちイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物等が好ましく、その中でもイソシアネートがより好ましく、ブロックイソシアネートが最も好ましい。
架橋剤の添加量は酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価A(当量)と架橋剤の反応基量B(当量)から以下の式(I)で求められる架橋剤/酸比率により決定することが望ましい。
1.2≦B/A≦5.0 (I)
架橋剤/酸比率の下限は好ましくは1.2であり、より好ましくは1.5である。架橋剤/酸比率が1.2以上であると、十分に架橋され塗膜変形のおそれがなく好ましい。架橋剤/酸比率の上限は好ましくは5.0であり、より好ましくは4.0である。架橋剤/酸比率が5.0以下であると、適度な剥離強度の範囲に離型性が保たれて好ましい。
例えばイソシアネートを例に挙げると、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価およびイソシアネートの架橋剤当量、およびそれぞれの樹脂の固形分量から以下の式により容易に計算することが可能である。

S=561/J×K/42×M/N
S:架橋剤/酸比率
J:酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価(mgKOH/g)
K:架橋剤の反応基含有率(%)
M:架橋剤の固形分量(g)
N:酸変性ポリオレフィン樹脂の固形分量(g)
本発明において、離型層は酸変性ポリオレフィン樹脂と架橋剤を含む塗工液を基材上に塗布・乾燥することにより積層することが好ましい。該塗工液は、塗工性より有機溶媒により希釈することが好ましい。
有機溶媒としては、(1)メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブチルアルコール、トリデシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−メチルシクロヘキシルアルコール等のアルコール類、(2)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等のグリコール類、(3)エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチレンエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、エチレングリコールモノブチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテート等のグリコールエーテル類、(4)酢酸エチル、酢酸イソプロピレン、酢酸N−ブチル等のエステル類、(5)アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソホロン、ジアセトンアルコール等のケトン類、(6)ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物類を例示することができ、これら単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
より好ましくは、酸変性ポリオレフィン樹脂の溶解性に優れる芳香族化合物類の溶媒を、塗工液に使用する全有機溶媒に対し、20質量%以上80質量%以下含有させる。その他の有機溶媒は、レベリング性、乾燥性を考慮して選定することが好ましい。また、有機溶媒の沸点は、60℃以上180℃以下が好ましい。沸点が60℃以上であると、塗工中の塗工液の固形分濃度が変化しづらく、塗工厚みが安定化し易いので好ましい。逆に、沸点が180℃以下であると、塗膜中に残存する有機溶媒量を少なくすることが容易であり、経時安定性の観点から好ましい。
塗工液中に異物や1μm以上の未溶解物が存在するおそれがあれば、塗布後の外観の観点から、塗布する前に、フィルター等で除去することが好ましい。フィルターとして、各種のものが好適に使用できるが、1μmの大きさのものを99%以上除去するものを用いることが好ましい。1μm以上の異物や未溶解物を除去した塗工液を塗布し乾燥した場合には、離型層表面の凹み等が発生を抑制できて好ましい。
塗工液中に含まれる離型剤の固形分濃度は、0.1質量%以上10質量%以下が好ましい。固形分濃度が0.1質量%以上の場合には、塗布後の乾燥の時間を短くでき、生産性の点で好ましく、塗膜中に残存する溶媒量が少なく、経時安定性からも好ましい。一方、固形分濃度が10質量%以下の場合には、塗工液の粘度が高くなり過ぎることがなく、レベリング性を満足でき十分な平面性が得られ好ましい。塗工液の粘度は、10cps以上300cps以下が塗工外観の面で好ましく、この範囲になるように固形分濃度、有機溶媒等を調整することが好ましい。
本発明で、離型層を塗布法により透明基材上に積層する方法としては、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式、バーコート方式、リップコート方式など通常用いられている方法が適用できる。これらのなかで、均一に塗布することのできるグラビアコート方式、特にリバースグラビア方式が好ましい。また、グラビアの直径は、80mm以下であることが好ましい。80nm以下であれば、流れ方向のうねスジ発生を抑制でき好ましい。
離型層厚みの下限は好ましくは15nmであり、より好ましくは30nmである。15nm以上であると離型性が十分となり、好ましい。
離型層厚みの上限は好ましくは150nmであり、より好ましくは120nmである。150nm以下であると離型層が変形するおそれがなく、転写による表面粗さの増加のおそれがないほか、塗工面に適度な滑り性が保たれ、巻き品位等の観点からも好ましい。
本発明の離型フィルムの基材を構成するポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート又はこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体がさらに好適であり、とりわけポリエチレンテレフタレートから形成されたフィルムが特に好適である。ポリエチレンテレフタレートは、エチレンテレフタレートのモノマー単位が好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であり、他のジカルボン酸成分、ジオール成分が少量共重合されていてもよいが、コストの点から、テレフタル酸とエチレングリコールのみから製造されたものが好ましい。また、本発明のフィルムの効果を阻害しない範囲内で、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶化剤などを添加してもよい。
上記ポリエステルフィルムの固有粘度は0.4〜0.8dl/gが好ましく、0.5〜0.7dl/gがより好ましい。固有粘度が0.4dl/g以上の場合、延伸工程で破断するおそれがなく好ましい。一方、0.8dl/g以下の場合、押出時の負荷が大きくなり過ぎることがなく好ましい。また、原料は十分に真空乾燥することが好ましい。
上記ポリエステルフィルムは、厚みが20〜50μmであることが好ましく、さらに好ましくは25〜38μmである。フィルムの厚みが20μm以上の場合、フィルム生産時や加工工程、成型の時に、熱により変形するおそれがなく好ましい。一方、フィルムの厚みが50μm以下であると、使用後に廃棄するフィルムの量を比較的少なく収めることができ。環境負荷の軽減の観点から好ましい。また、これらのポリエステルフィルムは二軸延伸することで耐薬品性、耐熱性、機械的強度などを向上させることができる。
本発明の離型フィルムの基材を構成するポリエステルフィルムは1層により構成された単層ポリエステルフィルムあるいは2層以上の多層構成からなる積層ポリエステルフィルムのいずれかを用いることができる。積層ポリエステルフィルムの場合、離型層を積層する側の層をA層、その反対面を形成する最外層をB層、これら以外の中間層をC層とすると、厚み方向の層構成は離型層/A/B、あるいは離型層/A/C/B等の積層構造が挙げられる。
本発明の離型フィルムの基材を構成するポリエステルフィルムは、実質的に粒子を含まないことが好ましい。これは、粒子を含むポリエステルフィルムではフィルムに存在する粒子由来の突起を離型層を塗布することによって平滑にする必要があるため、より多くの塗剤が必要となるためである。
この「粒子を実質的に含有しない」とは、例えば無機粒子の場合、蛍光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下であることを意味し、好ましくは10ppm以下、最も好ましくは検出限界以下となる含有量である。これは積極的に粒子をフィルム中に添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分や、原料樹脂あるいはフィルムの製造工程におけるラインや装置に付着した汚れが剥離して、フィルム中に混入する場合があるためである。
本発明の離型フィルムの離型層を設ける基材ポリエステルフィルム無滑層面(基材ポリエステルフィルムの易滑層面の反対表面で、その上に離型層を積層する面)の算術平均粗さRaの下限は好ましくは0.1nmであり、より好ましくは0.2nmである。無滑層面の算術平均粗さRaの上限は好ましくは5nmであり、より好ましくは4nmであり、さらに好ましくは3nmである。無滑層面の算術平均粗さRaが5nm以下であると、離型層の表面粗さを小さくでき好ましい。
(易滑層)
本発明の離型フィルムは離型層の反対面の最外層に易滑層を有する。
本発明における易滑層の算術表面粗さ(Ra2)は10nm未満であることが好ましく、更に好ましくは6nm以下であり、特に好ましくは3nm以下である。易滑層の算術表面粗さ(Ra2)が10nm未満であると、離型層表面に凹凸が転写されるおそれがなく、離型層表面の算術表面粗さを小さく保つことができるので好ましい。但し、あまりにも易滑層の算術表面粗さ(Ra2)が小さいと、滑り性が不十分となる場合があるので、易滑層の算術表面粗さ(Ra2)0.5nm以上であってよく、1nm以上であっても構わない。
本発明における易滑層に含まれる粒子径の下限は好ましくは5nmであり、より好ましくは10nmであり、さらに好ましくは15nmである。5nm以上であると、すべり性を満足し、巻ずれなどを起こすおそれがなく好ましい。易滑層中の粒子径の上限は好ましくは100nmであり、より好ましくは90nmであり、さらに好ましくは80nmである。粒子径が100nm以下であると、易滑層の表面粗さを小さくでき、離型層に大きな表面粗さが転写されるおそれがなく好ましい。
滑材粒子としては特に限定されないが、例えば二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、カオリナイト、二酸化チタン、シリカアルミナ等の無機粒子や、シリコーンやポリメタクリル酸メチル、エチルビニルベンゼン等の有機粒子を、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明における易滑コート層は粒子の脱落を防ぐ目的でバインダー樹脂を添加することが好ましい。このとき、バインダー樹脂としてはポリエステルフィルムと密着性が良好なポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等、公知の樹脂を使用することが可能である。また、バインダー樹脂と併せて架橋剤を使用し、より強固な塗膜とすることで粒子の脱落を防ぐことがより好ましい。このとき、架橋剤としてはイソシアネート樹脂やメラミン樹脂など、公知のものを使用できる。
本発明において易滑層を設けるための手段としてはコーティング法、共押出法のいずれも適用可能であるが、コーティングによる方式が特に好ましく、ポリエステルフィルムを製膜する際に同時に塗工するインラインコート法による設け方が最も好ましい。
易滑コート層は有機粒子または無機粒子とバインダー等を含む塗工液を基材上に塗布・乾燥することにより積層することが好ましい。該塗工液は、塗工性より溶媒により希釈することが好ましい。
本発明における易滑コート層の厚さは、易滑性を発現する範囲であれば特に限定されないが、5nm以上200nm以下であることが好ましい。5nm以上の場合、粒子が脱落しにくく、また粒子を均等に塗工し易いので、十分な易滑性が得られて好ましい。また、200nmを以下の場合には、易滑性を発現するために特に大量の粒子を必要とせず、コスト的に好ましい。
本発明における易滑コート層には、各種の添加剤を易滑性およびその他の物性を損なわない程度に添加することが可能である。例えば、帯電防止剤、界面活性剤、分散剤等が挙げられる。
(離型フィルム)
本発明における離型フィルムとは、半導体パッケージ等の種々の製品の製造工程に用いられる離型フィルムに関するものである。
本用途において離型フィルムは離型層上に樹脂を塗布、乾燥を行う際の支持体として好適に使用される。
本用途において離型フィルムには十分な離型性だけでなく、表面の平滑性が特に求められる。特に半導体パッケージ等の高機能化に伴い、フィルム離型層上のわずかな凹凸が原因で最終製品において電極のショート等の重大な欠陥が発生するおそれがある。
上記の理由から、離型フィルムは離型層表面の突起を小さく制御することが好ましい。
具体的には、離型層の算術表面粗さRa1の下限は好ましくは0.1nmであり、より好ましくは0.2nmであり、さらに好ましくは0.3nmである。離型層の表面粗さRa は小さいことが好ましいが、0.1nmが現実的な最小値である。
離型層面粗さRaの上限は好ましくは10nmであり、より好ましくは7nmであり、さらに好ましくは5nmである。10nm以下であると、半導体パッケージ等の製品に不良品を発生するおそれがなく好ましい。
離型層表面の最大山高さ(Rp1)は100nm以下であることが好ましい。より好ましくは50nm以下であり、更に好ましくは25nm以下である。離型層表面の最大山高さ(Rp1)が100nm以下であると、樹脂シート形成時に、ピンホールなどの欠点を発生がなく、歩留まりが良好で好ましい。最大山高さ(Rp)は小さいほど好ましいと言えるが、2nm以上でも構わず、5nm以上であっても構わない。
本発明において、離型層の厚さは15nm以上であることが好ましい。より好ましくは20nm以上である。離型層の厚さが15nm以上であると、剥離性能の低下がなく好ましい。一方、離型層の厚さは150nm以下であることが好ましい。より好ましくは120nm以下である。離型層の厚さが150nm以下であると、硬化時間が長くなり過ぎず、離型フィルムの平面性が保たれ、製造される樹脂シートの厚みムラを抑制できて好ましい。
従来、離型層の粗さの制御方法としては表面が平滑な基材フィルムを使用する、離型層を十分に厚くすることで基材フィルムの突起を抑制する、離型層を基材フィルムに近い組成にするなどの方策がある。しかし、これまで記載したとおり上記の既存技術にはそれぞれ欠点があり、本発明は従来技術では得られない平滑性と離型性を両立したものである。
具体的には、本発明の離型フィルムでは、離型層の反対面の易滑層の粗さを制御することで易滑層の表面粗さが離型層に転写することによる離型層の表面粗さの悪化を防ぐことが可能となった。
本発明の離型フィルムにおいて、その離型層の剥離力は下記のテープ剥離力によって評価できる。テープ剥離力は離型層中の架橋剤量が増えると増加する傾向にある。また、離型層の厚さが増加すると増加する傾向にある。従って、前記の離型層中の架橋剤量や離型層の厚さによって調節が可能である。テープ剥離力については特に限定されるものではないが、1000mN/50mm以上であると、離型フィルムを使用する際に剥離力が低すぎると工程上で意図しないところで離型フィルムがはがれるおそれがなく好ましい。また、テープ剥離力は15000mN/50mm以下であると、剥離する際に余分なエネルギーを必要とせず、被着体の破れ等を起こすおそれがなく好ましい。
本発明の離型フィルムにおいて、表面自由エネルギーは離型層中の架橋剤量が増えると増加する傾向にある。また、離型層の厚さが増加すると低下する傾向にある。従って、前記の離型層中の架橋剤量や離型層の厚さによって調節が可能である。表面自由エネルギーの範囲については特に限定はされるものではないが、25mJ/m以上であると、離型フィルムに液体もしくは固体の被着体を接着させる際にハジキや接着不良等を発生するおそれがなく好ましい。
本発明の離型フィルムにおいて、下記の方法で測定したヘーズ変化(ΔHz)によって、離型層の白化の程度を評価できる。これは、離型フィルムをロール状に巻き上げたとき、易滑面の離型面に対する傷つきやすさの指標となるものである。すなわち易滑面のRa2が大きいフィルムでは柔らかい離型層を傷つけ、離型層に易滑面の凹凸の形状が転写することから、転写後のヘーズ変化が大きくなる。また、易滑面のRa2が小さいフィルムでは該離型フィルムに易滑層の形状が転写しても凹凸が小さいことから、転写後のヘーズ変化は小さくなる。また、離型層の硬さは使用する架橋剤の量が増えると硬化する傾向にあるため、架橋剤量が増える、すなわち架橋剤/酸比率が増加してもヘーズ変化は小さくなる。ヘーズ変化(ΔHz)は、4以下であることが望ましい。
以下に実施例を用いて更に詳細に本発明の説明をするが、本発明で用いた特性値は下記の方法を用いて評価した。
(フィルム表面の算術表面粗さ(Ra)及び最大山高さ(Rp))
フィルムの測定面を50mm×50mmの大きさに切り出し、非接触表面形状計測システム(VertScan R550H−M100)を用いて、下記の条件で測定した値で算術平均粗さRa(μm)および最大山高さRp(μm)を求めた。
(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:500倍
・0.5×Tubeレンズ
・測定面積 187×139μm
(テープ剥離力)
50mm幅のアクリル系粘着テープNo.31B(日東電工(株)製)の粘着剤層面を離型材の剥離剤層表面にハンドローラーを用いて貼り合わせて積層体を作製した。この積層体を23℃で24時間保存した後、引っ張り試験機にて離型フィルムを下方向、粘着テープを上方向になるようなT型剥離法にて0.3m/minの速さで引っ張り、23℃雰囲気で測定した剥離力を記録した。
(表面自由エネルギー)
接触角計(協和界面科学社製の「FACE接触角計CA−X」)を用いて、20℃、65%RHの条件下で、離型フィルムの離型面に水1.8μLおよびヨウ化メチレン0.9μLの液滴を滴下し、それぞれ1分後および30秒後の接触角θwとθyを測定し、これらの測定値から、Journal of Applied Polymer Science,vol.13,p1741−1747(1969)に記載された方法に従って、γsh(水素結合力成分項)とγsd(水素分散力成分項)を算出し、各成分の和を表面自由エネルギーγsとして算出した。
(離型層の白化)
JIS K7105「プラスチックの光学的特性試験方法」ヘーズ(曇価)に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業社製「NDH−300A型濁度計」)を用いて離型フィルムのヘーズ値Hz0を測定した。
5cm×5cmの大きさにカットした離型フィルムを5枚用意した。5枚の離型フィルムを離型面と易滑面が接触するように重ね、上下を5cm×5cm、厚さ1cmの金属板ではさみ、油圧ジョッキにて30kgfの荷重がかかるように10分間処理した。
処理後の離型フィルム5枚のうち中心部の3枚のヘーズ値の平均値Hz1を同様に求め、以下の式によりΔHz値を計算により求めた。

ΔHz=|Hz1−Hz0|
(粒子の平均粒径)
後述する実施例で作製した易滑層を有するポリエステルフィルムの試料を可視光硬化型樹脂(日本電子データム社製、D−800)に包埋し、室温で可視光にさらして硬化させた。得られた包埋ブロックから、ダイアモンドナイフを装着したウルトラミクロトームを用いて70〜100nm程度の厚みの超薄切片を作製し、四酸化ルテニウム蒸気中で30分間染色した。この染色された超薄切片を、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、TEM2010)を用いて、易滑層の断面を観察し、写真を撮影した。写真の拡大倍率は、10,000〜100,000倍の範囲で適宜設定する。なお、本実施例では、拡大倍率を80,000倍(加速電圧200kv)とした。粒子50個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とする方法で行った。不定形の粒子の粒子径は円相当径として計算することができる。円相当径は、観察された粒子の面積をπで除し、平方根を算出し2倍した値である。
(酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価)
酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価については以下のJISK3504に基づいた試験により求めた。酸変性ポリオレフィン樹脂5.0gにトルエン/イソプロピルアルコール=1/1溶液100ml、塩化ナトリウム飽和水溶液20mlを加え、加熱しながら完全に溶解させた。次に指示薬として1.0%フェノールフタレイン溶液を数滴加え、N/10-水酸化カリウム溶液で滴定し、指示薬の薄いピンク色が30秒続いた時を中和の終点とした。
上記結果より、酸価を以下の式で算出した。

J=56.11×P×Q×f1/S1

J:酸価(mgKOH/g)、P:水酸化カリウム使用量(ml)、Q:水酸化カリウム液の規定度、f1:水酸化カリウム液の力価、S1:酸変性ポリオレフィン樹脂の採取量(g)
(架橋剤の反応基含有率)
架橋剤の反応基含有率は滴定評価により求めることができる。ここではイソシアネート化合物の反応基含有率の算出方法について記載する。
(イソシアネート化合物の反応基含有率)
イソシアネート化合物の反応基含有率(NCO%)については以下のJISK7301に基づいた試験により求めた。イソシアネート樹脂1.0gに乾燥トルエン25mlを加えて溶解した。次にホールピペットでジーN−ブチルアミン溶液を加え、振り混ぜて均一にしてから約15分間静置後、2−フ゜ロハ゜ノール100mlとブロモクレゾールグリーン指示薬5〜10滴加え、振り混ぜながら0.5mol/l塩酸標準溶液で滴定し、指示薬の黄色が15秒間持続した点を終点とした。別に、同様の方法で空試験を行い、0.5mol/l塩酸標準溶液の滴定量を求めた
上記結果より、イソシアネート化合物の反応基含有率を以下の式で算出した。

K=42.02×0.5×(U-T)×f2×100/(S×1000)
K:イソシアネート基含有率(%)、
T:試料の滴定に要した0.5mol/l塩酸標準溶液の量(ml)
U: 空試験に要した0.5mol/l塩酸標準溶液の量(ml)
f2: 0.5mol/l塩酸標準溶液のファクター
V:試料の採取量(g)
(実施例1)
<透明基材の作製>
固有粘度が0.62dl/gで、粒子を含有させていないPET樹脂を、二軸スクリュー押出機に投入し、Tダイから290℃で溶融押出し、冷却回転金属ロール上で静電印加しながら密着固化させ、未延伸フィルムを得た。次いで、この未延伸フィルムを、ロール延伸機で90℃ に加熱して3.5倍に縦延伸(長手方向延伸)を行い、その後このフィルムに、以下に示す組成の易滑層用塗布液Aを、乾燥後の塗布量が0.5g/m2となるように塗布し、風速:10m/秒、温度:120℃の熱風中を20秒で通過させて、易滑層を形成させた。さらに、テンターで140℃に加熱して、幅方向に3.7倍延伸した後、235℃で幅方向に5%緩和させながら熱処理して、透明基材(二軸延伸PETフィルム)を得た。得られた透明基材は、厚みが50μmであった。
<易滑層用塗布液Aの作製>
以下に示す組成で各成分を混合し、易滑層用塗布液Aを得た。

イオン交換水:50.0質量%
イソプロパノール:27.4質量%
アクリル−メラミン樹脂:10.0質量%
(日本カーバイド工業社製 A-08 固形分濃度46%)
共重合ポリエステル樹脂:10.0質量%
(東洋紡社製MD-1250 固形分濃度30%)
コロイダルシリカ:2.5質量%
(日産化学社製スノーテックス(登録商標)XL、平均粒径40nm、固形分濃度40%)
シリコーン系界面活性剤:0.1質量%
(ダウコーニング社製ペインタッド32)
(酸変性ポリオレフィン樹脂溶解液の作製)
80℃に加熱したトルエン98gに酸化ワックス(日本製蝋社製 NPS-9125 酸化32)2gを投入し、30分間攪拌し、溶解させた。溶解した酸変性ポリオレフィン樹脂溶解液を25℃まで冷却したのち、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で濾過し、酸変性ポリオレフィン樹脂溶解液を得た。
(離型層の積層)
透明基材の易滑層が設けられた面の反対側の面に乾燥後の塗布量が0.05g/m2になるように、下記の離型層形成用塗布液Bを直径60cmの斜線グラビアを用いてリバース方式で塗工した。次いで、塗工後のフィルムを、130℃ で5m/秒の熱風で10秒間、170℃で20m/秒の熱風で10秒間、さらに、130℃で20m/ 秒の熱風で10秒間通過させて乾燥し、離型層を積層した。
<離型層形成用塗布液Bの作製>
以下に示す組成で各成分を混合し、公称濾過精度:5μmのフィルムを用いて未溶解物を除去して、離型層形成用塗布液Bを得た。

トルエン:56.05質量%
イソプロパノール:14.01質量%
酸変性ポリオレフィン樹脂溶解液:29.4質量%
ヘキサメチレンジイソシアネート系ブロックイソシアネート化合物:0.54質量%
(旭化成ケミカルズ社製デュラネート(登録商標)MF-K60B 固形分濃度60% NCO%=6.5%)
得られた離型フィルムの物性を表1 に示す。得られた離型フィルムは平面性に優れるだけでなく、易滑面の凹凸が小さいために易滑層の凹凸が離型層に転写することがなく、巻取り後の離型層の平滑性も良好であった。
(実施例2)
実施例1において離型層の乾燥後の塗布量が0.10g/m2になるようにした以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの物性を表1に示す。得られた離型フィルムは平面性に優れるだけでなく、易滑面の凹凸が小さいために易滑層の凹凸が離型層に転写することがなく、巻取り後の離型層の平滑性も良好であった。
(実施例3)
実施例1において離型層の乾燥後の塗布量が0.02g/m2になるようにした以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの物性を表1に示す。得られた離型フィルムは平面性に優れるだけでなく、易滑面の凹凸が小さいために易滑層の凹凸が離型層に転写することがなく、巻取り後の離型層の平滑性も良好であった。
(実施例4)
実施例1において離型層形成用塗布液Cを用いる以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの物性を表1に示す。得られた離型フィルムは平面性に優れるだけでなく、易滑面の凹凸が小さいために易滑層の凹凸が離型層に転写することがなく、巻取り後の離型層の平滑性も良好であった。
<離型層形成用塗布液Cの作製>
以下に示す組成で各成分を混合し、公称濾過精度:5μmのフィルムを用いて未溶解物を除去して、離型層形成用塗布液Cを得た。

トルエン:55.90質量%
イソプロパノール:13.98質量%
酸変性ポリオレフィン樹脂溶解液:29.4質量%
ヘキサメチレンジイソシアネート系ブロックイソシアネート化合物:0.72質量%
(旭化成ケミカルズ社製デュラネート(登録商標)MF-K60B 固形分濃度60% NCO%=6.5%)
(実施例5)
実施例1において離型層形成用塗布液Dを用いる以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの物性を表1 に示す。得られた離型フィルムは平面性に優れるだけでなく、易滑面の凹凸が小さいために易滑層の凹凸が離型層に転写することがなく、巻取り後の離型層の平滑性も良好であった。
<離型層形成用塗布液Dの作製>
以下に示す組成で各成分を混合し、公称濾過精度: 5 μ m のフィルムを用いて未溶解物を除去して、離型層形成用塗布液Dを得た。

トルエン:55.62質量%
イソプロパノール:13.90質量%
酸変性ポリオレフィン樹脂溶解液:29.40質量%
ヘキサメチレンジイソシアネート系ブロックイソシアネート化合物:1.08質量%
(旭化成ケミカルズ社製デュラネート(登録商標)MF-K60B 固形分濃度60% NCO%=6.5%)
(実施例6)
実施例1において離型層の乾燥後の塗布量が0.01g/m2になるようにした以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの物性を表1に示す。得られた離型フィルムは平面性に優れるだけでなく、易滑面の凹凸が小さいために易滑層の凹凸が離型層に転写することがなく、巻取り後の離型層の平滑性も良好であった。なお、得られたフィルムの剥離力は低くなったが、実用上の問題は見られなかった。
(実施例7)
実施例1において離型層の乾燥後の塗布量が0.20g/m2になるようにした以外は実施例1 と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの物性を表1に示す。得られた離型フィルムは平面性に優れるものの、易接着面の凹凸が一部離型層に転写し、離型層の白化が見られたものの、実用上の問題は見られなかった。
(実施例8)
実施例1において離型層形成用塗布液Eを用いる以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの物性を表1 に示す。得られた離型フィルムは平面性に優れるものの、易接着面の凹凸が一部離型層に転写し、離型層の若干の白化が見られたものの、実用上の問題は見られなかった。
<離型層形成用塗布液Eの作製>
以下に示す組成で各成分を混合し、公称濾過精度:5μmのフィルムを用いて未溶解物を除去して、離型層形成用塗布液Eを得た。

トルエン:56.14質量%
イソプロパノール:14.03質量%
酸変性ポリオレフィン樹脂溶解液:29.4質量%
ヘキサメチレンジイソシアネート系ブロックイソシアネート化合物:0.43質量%
(旭化成ケミカルズ社製デュラネート(登録商標)MF-K60B 固形分濃度60% NCO%=6.5%)
(実施例9)
実施例1において離型層形成用塗布液Fを用いる以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの物性を表1 に示す。得られた離型フィルムは平面性に優れるだけでなく、易滑面の凹凸が小さいために易滑層の凹凸が離型層に転写することがなく、巻取り後の離型層の平滑性も良好であった。なお、得られたフィルムの剥離力は高くなったが、実用上の問題は見られなかった。
<離型層形成用塗布液Fの作製>
以下に示す組成で各成分を混合し、公称濾過精度:5μmのフィルムを用いて未溶解物を除去して、離型層形成用塗布液Fを得た。

トルエン:55.08質量%
イソプロパノール:13.77質量%
酸変性ポリオレフィン樹脂溶解液:29.4質量%
ヘキサメチレンジイソシアネート系ブロックイソシアネート化合物:1.75質量%
(旭化成ケミカルズ社製デュラネート(登録商標)MF-K60B 固形分濃度60% NCO%=6.5%)
(実施例10)
実施例1において易滑層用塗布液Gを用いる以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの物性を表1 に示す。得られた離型フィルムは平面性に優れるだけでなく、易滑面の凹凸が小さいために易滑層の凹凸が離型層に転写することがなく、巻取り後の離型層の平滑性も良好であった。

<易滑層用塗布液Gの作製>
以下に示す組成で各成分を混合し、易滑層用塗布液Gを得た。

イオン交換水:50.0質量%
イソプロパノール:27.4質量%
アクリルーメラミン樹脂:10.0質量%
(日本カーバイド工業社製 A-08 固形分濃度46%)
共重合ポリエステル樹脂:10.0質量%
(東洋紡社製MD-1250 固形分濃度30%)
コロイダルシリカ:2.5質量%
(日産化学社製MP-1040、平均粒径100nm、 固形分濃度40%)
シリコーン系界面活性剤:0.1質量%
(ダウコーニング社製ペインタッド32)
(比較例1)
実施例1において、ポリエステルフィルムE5100−38μm(東洋紡績製)を用いる以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの物性を表1に示す。得られた離型フィルムは平面性が悪く、高い平面性が必要となる用途には使用できなかった。
(比較例2)
実施例1において易滑層用塗布液Hを用いる以外は実施例1 と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの物性を表1 に示す。得られた離型フィルムは設計上は平面性に優れるものの、フィルムロールとして巻き取った際に易滑層の凹凸が離型層に転写し、使用時に大幅に平面性が悪化した。
<易滑層用塗布液Hの作製>
以下に示す組成で各成分を混合し、易滑層用塗布液Iを得た。
イオン交換水:50.0質量%
イソプロパノール:28.4質量%
アクリルーメラミン樹脂:10.0質量%
(日本カーバイド工業社製 A-08 固形分濃度46%)
共重合ポリエステル樹脂:10.0質量%
(東洋紡社製MD-1250 固形分濃度30%)
コロイダルシリカ:1.5質量%
(日産化学社製MP-4540、平均粒径450nm、固形分濃度40%)
シリコーン系界面活性剤:0.1質量%
(ダウコーニング社製ペインタッド32)
(比較例3)
実施例1において易滑層用塗布液Iを用いる以外は実施例1 と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの物性を表1に示す。得られた離型フィルムは設計上は平面性に優れるものの、フィルムロールとして巻き取った際に易滑層の凹凸が離型層に転写し、使用時に大幅に平面性が悪化した。
<易滑層用塗布液Iの作製>
以下に示す組成で各成分を混合し、易滑層用塗布液Iを得た。

イオン交換水:50.0質量%
イソプロパノール:27.4質量%
アクリルーメラミン樹脂:10.0質量%
(日本カーバイド工業社製 A-08 固形分濃度46%)
共重合ポリエステル樹脂:10.0質量%
(東洋紡社製MD-1250 固形分濃度30%)
コロイダルシリカ:1.0質量%
(日本触媒社製シーホスターKE-E150、平均粒径1500nm、 固形分濃度20%)
シリコーン系界面活性剤:0.1質量%
(ダウコーニング社製ペインタッド32)
本発明によれば、軟らかい酸変性ポリオレフィンを離型層であっても、巻き取り保管時に裏面からの凹凸転写によって離型層の粗さが増大することを抑制でき、半導体部品等の種々の製品の製造工程に好適に用いられる離型フィルムを提供することが可能となった。

Claims (3)

  1. 実質的に粒子を含有しないポリエステルフィルムの片面に酸変性オレフィン樹脂および架橋剤が含有されてなる離型層を設け、他方の最外層に易滑層を設けた離型フィルムであって、離型層表面の算術平均粗さ(Ra1)が10nm以下、最大山高さ(Rp1)が100nm以下であり、かつ易滑層が粒子を含有し、易滑層表面の算術平均粗さ(Ra2)が10nm未満であることを特徴とする離型フィルム。
  2. 離型層を形成する酸変性ポリオレフィン樹脂が架橋剤で架橋されており、架橋前の酸変性ポリオレフィン樹脂のカルボン酸基量A(当量)と架橋前の架橋剤の反応基量B(当量)が以下の式(I)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム。
    1.2≦B/A≦5.0 (I)
  3. 該離型フィルムの離型層の厚さが15nm以上150nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の離型フィルム。
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