JP4496807B2 - 多積層フィルム - Google Patents

多積層フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP4496807B2
JP4496807B2 JP2004072127A JP2004072127A JP4496807B2 JP 4496807 B2 JP4496807 B2 JP 4496807B2 JP 2004072127 A JP2004072127 A JP 2004072127A JP 2004072127 A JP2004072127 A JP 2004072127A JP 4496807 B2 JP4496807 B2 JP 4496807B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
resin
layer
crystalline resin
layers
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004072127A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005254711A (ja
Inventor
雅博 川口
茂樹 久川
秀樹 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2004072127A priority Critical patent/JP4496807B2/ja
Publication of JP2005254711A publication Critical patent/JP2005254711A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4496807B2 publication Critical patent/JP4496807B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、耐引裂性を有する粗面フィルムに関し、更に詳しくは少なくとも片面にフィラーによって形成されたマット面をもち、結晶性樹脂と非晶性樹脂を交互に多層積層されたフィルムに関するものである。
従来から、非特許文献1に記載されている様に、プリント配線基盤用の銅箔には電解銅箔、圧延銅箔などの18μm、35μm、70μmといった厚みの銅箔が使用されてきた。近年、高機能電子部品の高密度実装により回路配線の高精細化が進んできている。配線の幅として10μm以下の要求もあり、銅箔厚みに対しても0.1〜5μmと薄膜化が要求されている。
携帯用通信機器部品に広く使われるプリント配線板についても、近年の小型化に伴い基盤への回路パターン形成の際に使用される銅箔では薄膜化の要求があるが、それに伴いコシがなくなりシワが入りやすいなど、取扱性の点で問題があった。そこで、解決策として離型性を有するキャリアーに直接に銅などの金属箔を張り合わせて導体とし、プリプレグに転写する方法が検討されてきた。
キャリアとしては、プラスチックフィルムが有効で、特に熱可塑性樹脂シートがコスト面、取扱面で優れており、今後益々増えていく傾向にある。一方、キャリアに貼られている銅など金属泊を基盤に転写する際、プレス機の金属板などを150〜200℃に加熱した状態で約1〜2時間プレスするが、転写終了後プレス機をフィルムから剥がす際に、プレス機の金属板とフィルムが粘着したり、フィルムが結晶化して脆くなり、キャリアフィルムが切れる問題が散発し、プリント回路加工工程における収率ダウンを引き起こすためキャリアフィルム切れの改良が課題であった。フィルム切れが発生する原因として、プレス機の金属板に接触するフィルム表面粗さが十分に粗くないと、プレス機と剥離する際に金属板との粘着が発生することが挙げられ、表面粗さをマット面にすることが必須となっている。
しかしながら、近年の回路パターンの高精細化に伴い、耐熱性の高い基盤を使用する方向にあるが、これに伴いプレス機の温度を210℃程度まで上げた場合、従来の片面マット面とするのみでは引裂抵抗が低く、剥離時にフィルム切れとなるケースが増えてきている。一方、従来の多層積層フィルムを使用した場合、片面が平滑面あるいは十分な表面粗さを発現していないことにより、プレス機とフィルムとの粘着が発生し、強い引裂強度を生かせずにフィルム切れとなりやすいことが分かっている。
また、特許文献1にあるように、片面が粗面化処理されている熱可塑性樹脂シートが市場から求められている。
伊藤謹司,「プリント配線板製造入門」,日刊工業新聞社,1995年5月発行 特開平2002−332462号公報(第1頁第1行目〜第1頁39行目)
本発明の目的は、上記に述べたような、プリント配線板の製造など加熱転写後の剥離の際にフィルム切れが発生しやすい用途において、耐引裂性を有する多層積層フィルムと組み合わせることで、剥離時に切れを起こしにくいフィルムを提供するものである。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、金属での加熱転写後の剥離の際にフィルム切れを起こしにくくするために、キャリアとなるフィルムと、プレス機の金属板が接触する側の表面の粗面化と、フィルムの構成を耐引裂性を有する多層構造とすることにより、金属板を剥離する際のフィルム切れによる収率ロスを少なくする方法を見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明の多積層フィルムは、プリント配線板の製造など加熱転写後の剥離の際のような、剥離工程でのフィルム切れが発生しやすい用途において、フィルムキャリアの片面を粗面化することにより金属板との粘着を減少させ、なおかつ、異なる2種以上の高分子ポリマーの少なくとも1種を結晶性樹脂、他の1種を非晶性樹脂とし、、それらを厚み方向に交互に少なくとも5層以上積層してなる多積層フィルムとすることにより、耐引裂性を向上させ、フィルム切れの発生を防止するものである。
本発明によれば、プリント配線板の製造など加熱転写後の剥離の際のような、剥離工程でのフィルム切れが発生しやすい工程において、加熱転写後もフィルム切れを起こしにくく、剥離特性の優れた粗面フィルムを提供するものである。
以下、本発明の最良の実施形態を説明する。
本発明は、異なる2種以上の樹脂の少なくとも1種が結晶性樹脂a、他の1種が非晶性樹脂bにより構成された、結晶性樹脂aからなる層と非晶性樹脂bからなる層を厚み方向に交互に少なくとも5層以上積層してなる多積層フィルムであって、該多積層フィルムの少なくとも片面が結晶性樹脂層からなり、かつ、該結晶性樹脂層の表面の三次元平均表面粗さ(SRa)が250nm以上であり、さらに前記結晶性樹脂層の表面の反対面の三次元平均表面粗さ(SRa)が50nm以下であることを特徴とする多積層フィルムである。
なお、本発明で規定するフィルムとは高分子フィルムを意味し、高分子フィルムとは、樹脂を延伸し、成形した薄様形状の物を指す。該高分子フィルムの樹脂は特に限定されるものではなく、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのエステル系樹脂などがいずれでもよいが、ポリエステル樹脂が、耐環境安定性や強靭性があり好ましい。ポリエステル樹脂は、酸性分とアルコール成分からなる周知のポリエステルであり、一軸、あるいは二軸延伸フィルムを形成しうるものであればどのようなものでも良い。酸性分として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸などの芳香族カルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、などの樹脂族ジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸などを用いることができる。また、アルコール成分として、エジレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどを用いることができる。また、製膜性を損ねないものであれば、他のモノマやプレポリマを共重合しても良く、また各種ポリマーをブレンドしても良い。
一方、本発明の層数としては5層以上であることが必要だが、好ましくは10層以上であり、より好ましくは20層以上である。層数が5層より少ない場合、十分な耐引裂性が得られず好ましくない。特に、本発明者らの各種の知見によれば、層数の上限は、特に限定されるものではなく、例えば、数100層程度でも良いものであるが、生産面の点などから20〜100層程度とするのが良い。このようなことから、本発明者らの知見によれば、好ましい層数の範囲は20〜200層、より好ましくは25〜100層である。
本発明の積層フィルムは、少なくとも結晶性樹脂aからなる層と非晶性樹脂bからなる層とを厚み方向に規則的に積層した構造を有していることが必要である。ここで、結晶性樹脂aからなる層とは、結晶性樹脂aを主成分とする層、すなわち、本発明の目的を達成できる限りにおいて、結晶性樹脂Aからなる層中に少量の他の樹脂成分や添加剤を混合、分散させたものであっても良い。また同様に、非晶性樹脂bからなる層とは、非晶性樹脂bを主成分とする層であれば良く、本発明の目的を達成できる限りにおいて、非晶性樹脂bからなる層中に少量の他の樹脂成分や添加剤を混合、分散させたものであっても良い。
ここで、結晶性樹脂とは、結晶化する性質をもつ高分子化合物の総称で、X線回折により明瞭な結晶構造をもつポリエステル、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリスチレン、ポリプロピレンなどがある。一方、非晶性樹脂とは、結晶化が不可能か、あるいは結晶化しても結晶化度が極めて低い高分子化合物をいい、例えばポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニルなど、大きい側鎖をもつ重合体や、架橋ポリマー、枝分かれポリマー、共重合体などがある。ここでは、結晶化しても結晶化度が20%に満たない樹脂を非晶性樹脂、20%以上となる樹脂を結晶性樹脂と呼ぶことにする。
結晶性樹脂a、非晶性樹脂b、その他樹脂cの3種からなる場合には、樹脂a,b,cからなる層をそれぞれA層、B層、C層とすると、C(AB)nCや、C(AB)n A、B(AB)n Cなどの規則的順列で積層されることが好ましい。2種類の樹脂からなる場合、それらが交互に積層された構造を有することが好ましい。ここで、その他樹脂Cとは、フィルムの表層に積層される場合は、製造上の観点から結晶性樹脂であることが望ましいが、結晶性樹脂Aと同様、少量の他の樹脂成分や添加剤を混合、分散させたものであってもよい。
すなわち、本発明において、少なくとも結晶性樹脂aからなる層(A層)と非晶性樹脂bからなる層(B層)とが、厚み方向に規則的に積層した構造とは、積層フィルム中の結晶性樹脂aからなる層(A層)と非晶性樹脂bからなる層(B層)との厚み方向における配置の序列がランダムな状態ではないことを言い、結晶性樹脂Aからなる層と非晶性樹脂bからなる層(B層)以外の他の樹脂cからなる層(C層)ついてはその配置の序列については特に限定されるものではない。上記樹脂に、必要に応じて添加剤、例えば安定剤、粘度調整剤、酸化防止剤、帯電防止剤などを添加することができる。
本発明の多積層フィルムでは、結晶性樹脂aからなる層(A層)の厚みが1〜30μmであることが好ましく、また、非晶性樹脂bからなる層(B層)の厚みが0.1〜5μmであることが好ましい。より好ましくは、結晶性樹脂aからなる層(A層)の厚みが3μm以上25μm以下であり、非晶性樹脂bからなる層(B層)の厚みが0.3〜3μmである。このような構成をとることにより、高い耐引裂性を得られるばかりか、白化の原因であるオリゴマーの析出をより抑制できるようになるものである。
また、本発明の多積層フィルムにおいて、その結晶性樹脂層の粗面の三次元表面粗さSRaは、高温に加熱されたプレス機からの剥離性を確保するためには250nm以上である必要があり、好ましくは250〜600nm、さらに好ましくは300〜500nmが良い。一方、前記の結晶性樹脂層と反対面のSRaは、プリント配線基盤用の銅箔による回路パターンを滑らかに形成するためには、50nm以下であることが必要であるが、1〜30nmであることが好ましい。
次に、本発明の多積層フィルムの好ましい製造方法を以下に説明する。
結晶性樹脂aおよび結晶性樹脂bをペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは真空下で行い、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂をろ過される。さらに、樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。
多積層フィルムを得るための方法としては、2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された樹脂を、口金内部で積層するマルチマニホールドダイや口金以前に積層するフィールドブロックやスタティックミキサー等を用いて多層に積層する方法等を使用することができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。
ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ、急冷固化させるのが好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、必要に応じて二軸延伸しても構わない。二軸延伸とは、縦方向および横方向に延伸することをいう。延伸は、逐次二軸延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに縦および/または横方向に再延伸を行ってもよい。
ここで、縦方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、ポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与することも好ましい。
また、横方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては、樹脂の種類により異なるが、通常2〜10倍が好ましく用いられる。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。
このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
さらに、剥離面と反対面(B面)の印刷性、加工性、接着性などの点から、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、化学薬品処理、物理的粗面処理、表面塗布処理などいずれを施しても良いが、この中でもコロナ放電処理は簡便かつ安価であり望ましい。コロナ放電処理を実施する場合は、放電電極をフィルム表面にブレード状または針状の電極並べてフィルム表面に向けて設置し、コロナ放電を利用し+6〜8kVの電圧を印加し1〜20mmの間に近づけることで得られる。
また、当該樹脂シートには、各種コーティングを施してもよく、その塗布化合物、方法、厚みは、本発明を損なわない範囲であれば、特に限定されない。
本発明の樹脂樹脂シート中には、粗面を得るためにフィラーを用いる。フィラーは、平均粒子径0.01〜10μmの公知の内部粒子、無機粒子および有機粒子などの外部粒子の中から任意に選定される粒子を含有させることができる。
さらに粗面(A面)に平均粒径が2〜4μm程度のフィラーを結晶性樹脂100重量部に対して15重量部以上添加し、厚みを5μm以上に構成することにより、離型性の高い粗面(マット面)が得られるため好ましい。
また、粗面と反対面(B面)については、A面同様に平均粒径2〜4μ程度のフィラーを結晶性樹脂の100重量部に対して2〜20重量部添加してもよいが、平均粒径1〜2μm程度のフィラーをB層を構成する熱可塑性樹脂100重量部に対して0.02重量以下にしすることで平滑面とすれば、転写箔として使用する場合、回路パターンの形成の際のパターン仕上がりが良くなるので好ましい。さらにこれらの添加量は10重量%以下の範囲であることが好ましい。10wt%を越えると粗大突起の原因となる他、フィルター交換周期を高めることとなり生産効率の点から望ましくない。
以下、実施例をあげて本発明を具体的、詳細に説明する。
なお、例中の物性は下記の方法で測定した。
(1)三次元平均表面粗さ(SRa)
JIS−B−0601に従い、株式会社小坂研究所製「非接触三次元微細形状測定器(ET30−HK)」及び「三次元粗さ分析装置(MODEL SPA−11)」を用い、前者に付属する触針から得られた信号を、後者で演算処理して三次元表面粗さを求めた。なお、20℃、65RH%雰囲気にて測定した。カットオフは0.25mmである。
(2)積層厚み
サンプルを三角形に切り出し、包理カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋する。そして包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT-S)で縦方向に平行な断面を50nm厚みの薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電子100kvにて観察、投影し写真から各層の厚みを測定した。
(3)プレス機剥離性
プレス機で加熱後、転写箔を剥離する際に、銅転写箔の破れや穴あきが全く発生しないものを◎、必ず破れたものを×、破れたり破れなかったりしたものを△とした。
(4)回路パターン
プレス機で剥離後、目視で観察し、回路に全く欠点がなく仕上がりが良いものを◎、回路パターンに多少の表面の荒れがあるものの、そのままでも使用上差し支えないものを○、
エッチングなど若干の表面処理が必要だが使用可能なものを△とした。
(5)結晶化度の測定法
各層の厚み方向の結晶性の評価は、レーザーラマン分光法で、カルボニル伸縮振動に由来するピークである1730cm-1付近のラマンバンドの半値幅より求めた。半値幅は各層表層から厚み方向に3点測定した値の平均値とした。
〈測定装置〉Jobin Yvon社製Ramanor T−64000
マイクロプローブ:100倍対物レンズ
光源:Ar+レーザー(レーザー照射部は直径1μm)
回折格子:1800gr/mm
励起波長:514.5nm
検出器:CCD(Jobin Yvon社製)
〈測定条件〉レーザーパワー:30mW
〈測定試料〉サンプルはエポキシ包埋後、ミクロトームで断面を出した。
(実施例1)
結晶性樹脂aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET) 98wt%と、エチレングリコールに対し1,4−シクロヘキサンジメタノールが30mol%共重合された固有粘度0.75の共重合ポリエチレンテレフタレート(30mol%CHDM共重合PET)2wt%を用いた。また非晶性樹脂bとしてエチレングリコールに対し1,4−シクロヘキサンジメタノールが30mol%共重合された固有粘度0.75の共重合ポリエチレンテレフタレートを用いた。また、結晶性樹脂Aのペレットに、平均粒径が3μmのシリカ粒子フィラーが固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを結晶性樹脂のなかに2%入ったペレットを、結晶性樹脂100重量部に対して20重量部となる様に添加した(樹脂cと呼ぶ)。これら樹脂a、b、cは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
樹脂a、b、cは、それぞれギヤポンプおよびフィルタを介した後、1段目のフィードブロックにて結晶性樹脂aと非晶性樹脂bを合流させて積層樹脂を形成後、2段目のフィードブロックにて、この積層樹脂と樹脂cを合流させて、片面の表層(以降、表層をC層と呼ぶ)とし、結晶性樹脂aが15層、非晶性樹脂bも15層からなる厚み方向に交互に積層された構造(以降、交互になる層をそれぞれA層、B層と呼ぶ)に、樹脂cが片面に積層された合計16層とすることにより、表層部分がフィラーを含んだ結晶性樹脂の粗面、他方の面がフィラーのない結晶性樹脂の平滑面となった。積層厚み比は、最表層を除きA/B=10になるよう吐出量にて調整した。最表層については、二軸延伸後換算で、粗面が5μm、平滑面が5μmとなるようなフィードブロックを使用した。
このようにして得られた計31層からなる積層体をTダイに供給しシート状に成形した後、静電印加しながら表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に2.8倍延伸後、この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で220℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは50μmであり、片面(粗面)の三次元表面粗さが300nm、もう片面(平滑面)が30nmであった。
次いで、この二軸配向ポリエチレンフィルムの平滑面に次工程で粘着剥離層を塗り、銅蒸着を行い、銅メッキを実施し銅面へマット処理を施した。いずれの工程でも問題なく加工され、この銅箔付きキャリアフィルムを用いて、基盤に対して210℃で50kg/cm2の圧力で60分間、加熱圧着し回路パターンを形成した。パターン形成後のプレス機との剥離は問題なく実施でき、剥離時の破れはなかった。また、回路パターンも良好なものを得ることができた。
(実施例2)
実施例1と同様にA、C層に樹脂c、B層に樹脂bを押出し、積層厚み比A/B=10、積層数がA層が15層、B層がB15層で、吐出量調整をする以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μ、表面粗さは両面とも三次元平均表面粗さで300nmのフィルムを得た。次いで、このフィルムの片方の粗面に粘着剥離層を塗り、銅蒸着を行い、銅メッキを実施し銅面へマット処理を施した。この銅箔付きキャリアフィルムを用いて、基板に対して実施例1と同様に回路パターンを形成した。この際、パターン形成後のプレス機との剥離は問題なく実施でき、銅の回路パターンに若干の凹み欠点がみられたものの、剥離は特に問題なかった。
(比較例1)
実施例1で述べた結晶性樹脂aと非晶性樹脂bを押出し、積層厚み比A/B=10、積層数がA層が15層、B層が15層とし、実施例1と同様に厚み50μm、両面の三次元平均表面粗さ30nmのフィルムを得た。次いで、このフィルムの片方の粗面に粘着剥離層を塗り、銅蒸着を行い、銅メッキを実施し銅面へマット処理を施した。この銅箔付きキャリアフィルムを用いて、基板に対して実施例1と同様に回路パターンを形成した。この際、パターン形成後にプレス機との剥離をする際、粘着が発生しフィルム破れとなった。
(比較例2)
実施例1で述べた樹脂c(結晶性樹脂+シリカフィラー入りマスターペレット)を用い、実施例1と同様に押出し後、単層のままTダイに供給しシート状に成形、その後は実施例1と同様にして、厚み50μm、両面の三次元平均表面粗さが300nmのフィルムを得た。
次いで、このフィルム片方の粗面に粘着剥離層を塗り、銅蒸着を行い、銅メッキを実施し銅面へマット処理を施した。この銅箔付きキャリアフィルムを用いて、基板に対して実施例1と同様に回路パターンを形成した。この際、パターン形成後にプレス機との剥離をする際、熱劣化した部分から引裂が始まりフィルム切れとなった。
(比較例3)
実施例1で述べた樹脂cの中に入っている、平均粒径が3μmのシリカ粒子フィラーが固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを結晶性樹脂のなかに2%入ったペレットを、結晶性樹脂100重量部に対して10重量部となる様に添加した以外は、実施例1と同様に、樹脂a、樹脂bを用いて31層で厚み50μm、粗面の三次元表面粗さが200nmのフィルムを作り、実施例1と同様に、プレス機を用いて加熱圧着、剥離したところ、フィルム切れが発生した。
(比較表4)
結晶性樹脂aの層数が1層、非晶性樹脂bが2層、結晶性樹脂aにシリカのフィラーを
実施例1と同様に添加した樹脂cを、最外層からCBABと成るように積層し、その他は
実施例1と同様に製膜し、厚み50μm、粗面の三次元表面粗さ300nmの4層積層フィルムを得た。このフィルムを用いて実施例1と同様にプレス機を用いて加熱成型したところ、剥離時に熱劣化したフィルムの一部から引裂が伝播し、フィルム切れとなった。
以上、実施例1〜2と比較例1〜4で述べた結果を下記表1、2に示す。
Figure 0004496807
Figure 0004496807
本発明によれば、金属転写用途に限らず、耐引裂性を要求する全ての離型フィルムに適用でき、工業的価値は高い。
多積層フィルムの概略図である。
符号の説明
1 粗面
2 平滑面あるいは粗面
3 非晶性樹脂層
4 結晶性樹脂層(粗面)
5 結晶性樹脂層(平滑面あるいは粗面)

Claims (1)

  1. 異なる2種以上の樹脂の少なくとも1種が結晶性樹脂a、他の1種が非晶性樹脂bにより構成された、結晶性樹脂aからなる層と非晶性樹脂bからなる層を厚み方向に交互に少なくとも5層以上積層してなる多積層フィルムであって、
    該多積層フィルムの少なくとも片面が結晶性樹脂層からなり、かつ、該結晶性樹脂層の表面の三次元平均表面粗さ(SRa)が250nm以上であり、
    さらに前記結晶性樹脂層の表面の反対面の三次元平均表面粗さ(SRa)が50nm以下であることを特徴とする多積層フィルム。
JP2004072127A 2004-03-15 2004-03-15 多積層フィルム Expired - Fee Related JP4496807B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004072127A JP4496807B2 (ja) 2004-03-15 2004-03-15 多積層フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004072127A JP4496807B2 (ja) 2004-03-15 2004-03-15 多積層フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005254711A JP2005254711A (ja) 2005-09-22
JP4496807B2 true JP4496807B2 (ja) 2010-07-07

Family

ID=35080901

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004072127A Expired - Fee Related JP4496807B2 (ja) 2004-03-15 2004-03-15 多積層フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4496807B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5096242B2 (ja) * 2008-06-27 2012-12-12 帝人デュポンフィルム株式会社 成形加工用多層積層二軸配向ポリエステルフィルム
US20130251970A1 (en) * 2010-10-07 2013-09-26 Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha Surface conductive multilayered sheet
US9646863B2 (en) 2011-01-17 2017-05-09 Denka Company Limited Multilayer styrenic resin sheet
JP5886016B2 (ja) * 2011-12-05 2016-03-16 恵和株式会社 光拡散シートの製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11302408A (ja) * 1998-04-24 1999-11-02 Toray Ind Inc 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2002146056A (ja) * 2000-11-15 2002-05-22 Toray Ind Inc 二軸配向ポリエチレンナフタレートフィルム
JP2002252458A (ja) * 2001-02-26 2002-09-06 Mitsubishi Polyester Film Copp 多層プリント配線板製造用ポリエステルフィルム

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11302408A (ja) * 1998-04-24 1999-11-02 Toray Ind Inc 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2002146056A (ja) * 2000-11-15 2002-05-22 Toray Ind Inc 二軸配向ポリエチレンナフタレートフィルム
JP2002252458A (ja) * 2001-02-26 2002-09-06 Mitsubishi Polyester Film Copp 多層プリント配線板製造用ポリエステルフィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005254711A (ja) 2005-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6171937B2 (ja) 離型用二軸配向ポリエステルフィルム
JP6380104B2 (ja) 離型用二軸配向積層ポリエステルフィルム
JP4661073B2 (ja) 積層フィルム
JP2009233919A (ja) 帯電防止性離型用積層ポリエステルフィルム
JP2006312263A (ja) 積層マット調ポリエステルフィルム
TWI726098B (zh) 金屬/樹脂積層體之製造方法及電氣電子機器
JP2009215350A (ja) 離型用ポリエステルフィルム
JP5614112B2 (ja) 二軸配向積層ポリエステルフィルム
JP2016097522A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2017217901A (ja) 離型用二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP5409378B2 (ja) 離型性ポリエステルフィルム
JP4496807B2 (ja) 多積層フィルム
JP2021003808A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP2010168441A (ja) 層間絶縁材料形成用支持体
JP5322893B2 (ja) 層間絶縁材料用支持ポリエステルフィルム
JP2005119107A (ja) 金属層転写用熱可塑性樹脂シート
JP2008239844A (ja) 離型用ポリエステルフィルム
JP3643441B2 (ja) 複合化離型フィルム
JP2011096847A (ja) 層間絶縁用支持体ポリエステルフィルム
JP2011111575A (ja) 層間絶縁材料形成用支持体
JP2005111798A (ja) 剥離性フィルム
KR20120039867A (ko) 다층 세라믹 콘덴서 이형용 적층 폴리에스테르 필름 및 그 제조방법
JP2008239843A (ja) 離型用ポリエステルフィルム
JP2022052717A (ja) 二軸配向積層ポリエステルフィルム、離型フィルム、および二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法
JP6665519B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070315

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091020

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091208

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100323

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100405

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130423

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees