JP2010168441A - 層間絶縁材料形成用支持体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 配線の微細化および高密度化に対応するためのビルドアップ法で製造する多層プリント配線板に用いられる、フィルム状の層間絶縁材料を形成するための支持体として好適なポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 層間絶縁層を形成する熱硬化性樹脂を塗布するための支持体として使用されるポリエステルフィルムであって、120℃×5分におけるフィルムの幅方向の熱収縮率が0〜1.0%の範囲であり、フィルムの厚さが20〜100μmの範囲であることを特徴とする層間絶縁用支持体ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、回路形成された導体層と絶縁層とを交互に積み上げたビルドアップ方式の多層プリント配線板に用いられるフィルム状の絶縁層を形成するための支持体として用いられるポリエステルフィルムに関するものである。
近年、電子機器の高機能化、高密度化に対応した実装回路を提供する多層プリント配線板の分野では、絶縁層を複数積み上げるビルドアッププリント配線板が注目を浴びている。
ビルドアッププリント配線板でのビルドアップ方式は、一層ずつ絶縁層を形成し、導体パターンを作り、層間接続して導体層の多層化を実現する新しいプロセスである。
革新的なビルドアップ方式の中核技術は、層間接続用のビア(微小径の穴)形成を用いて、多層配線板を立体的に接続する穴の微細化が進歩し、同一面積での層間接続穴の数を、大幅に増やすことができるようになった。
これにより、ファインライン化や導体・絶縁層厚みの薄膜化技術も進み、さらに、ビアを層ごとに異なる位置に開けることができるため、層間接続穴を合理的に配置でき、パターン設計上大きな利点をもたらした。
多層プリント配線板に用いられる絶縁層は、ガラスクロスに、エポキシ系ポリイミド系等の樹脂を含浸させたもの、あるいはセラミック系等の材料が用いられ、配線層の信号の伝藩速度やプリント配線板の特性インピーダンス等の電気特性を左右する重要なパラメーターであるため、そのような材料を選定することが必要であり、具体的には、できるだけ誘電率の低い材料が選定されており、各種提案もなされている。また、絶縁層の形成は、フィルム支持体の上に塗布する方法が、均一な厚さのものが得られるため、小型化や高性能化の要求に対して好ましく、塗布できる材料が用いられている。
絶縁層の形態は、小型化や高性能化に対応するための層間絶縁材として、フィルム状の支持体に絶縁層となる熱硬化性樹脂を塗布し、支持体のフィルムと硬化させた絶縁層とをロール状にする方法が提案されている。しかしながら、フィルム状の絶縁層を形成するための支持体であるフィルムに関しては、絶縁層の表面性や、絶縁層の形成時における生産性などに大きな影響を与えるにも関わらず、具体的な提案はなされていない状況である。
特に、絶縁層を硬化する際に生じる熱収縮差による絶縁層のクラックは、絶縁層を形成する際に問題になるにもかかわらず、支持体に使用するフィルムに関しての提案がなされていない状況である。
特開2005−154727号公報 特開2005−39247号公報 特開2008−251971号公報
本発明は、上記のようなこと情に鑑みなされたもので、その解決課題は、配線の微細化および高密度化に対応するためのビルドアップ法で製造する多層プリント配線板に用いられる、フィルム状の層間絶縁材料を形成するための支持体として、好適なポリエステルフィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、層間絶縁層を形成する熱硬化性樹脂を塗布するための支持体として使用されるポリエステルフィルムであって、120℃×5分におけるフィルムの幅方向の熱収縮率が0〜1.0%の範囲であり、フィルムの厚さが20〜100μmの範囲であることを特徴とする層間絶縁用支持体ポリエステルフィルムに存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフィルムは、二軸配向ポリエステルフィルムよりなり、溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層または3層以上の積層フィルムとすることができる。
表裏で異なる表面性を有するポリエステルフィルムとすることが好ましく、少なくとも2層以上の層を有することが好ましく、それぞれの表面となる層に用いるポリステルへ、目的とする表面粗度を得るため、それぞれに異なる粒子を配合した原料を用いることができる。
本発明でいうポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト(PEN)等が例示される。
また、本発明で用いるポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体である。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、および、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)の一種または、二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノーネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
本発明のフィルムは、ポリエステルのフィルム上で形成された層間絶縁層の表面性と、絶縁層を形成した積層フィルムのロール巻き取る取り性とを両立させるため、特定の表面粗さとすることが好ましい。そのためには、通常、平均粒子径が0.1〜10μm、好ましくは0.2〜10μmの粒子を含有させる。平均粒子径が0.1μm未満では、フィルムの表面粗度が低くなり、フィルムの滑り性が悪く、層間絶縁層を形成した後にロール状態で製品を得ることができないことがある。また、平均粒子径が10μmを超える場合は、層間絶縁層の表面粗度が大きくなり、回路の高密度化に弊害が生じることがある。
上記粒子のフィルム中の含有量は、通常0.1〜10.0重量%、好ましくは、1.0〜5.0重量%とする。粒子の含有量が0.1重量%未満では、フィルムの滑り性が悪くなることがある。また、含有量が10.0重量%を超えると、フィルムの表面粗度が大きくなり過ぎて平面性が損なわれることがある。
かかる粒子の例として、酸化珪素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、カオリン、タルク、カーボンブラック、窒化ケイ素、窒化ホウ素、および特公昭59−5216号公報に記載されているような架橋高分子微粉体を挙げることができ、本発明の要旨を損なわれない限り、これらに限定されるものではない。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明の最大の特徴は、フィルムの120℃×5分の幅方向の熱収縮率が特定範囲であることにあり、具体的には、0〜1.0%、好ましくは0〜0.5%、さらに好ましくは0〜0.1%の範囲である。幅方向の収縮率が1.0%を超えた場合は、層間絶縁層と支持体フィルムの熱収縮率の差により、層間絶縁層にクラックが生じ好ましくない。
フィルムの片面の中心線平均粗さRaは、10〜50nmの範囲が好ましく、さらに好ましくは20nm〜30nmの範囲である。中心線平均粗さRaが10nm未満では、フィルムの滑り性やフィルム間でのエアーの抜けが悪く、層間絶縁層を形成した後にロール状態で製品を得ることができないことがある。また、中心線平均粗さRaが50nmを超える場合は、ロール状に巻かれた時に、層間絶縁層のポリエステルフィルムの表面粗度が層間絶縁層の表面に転写し、層間絶縁層の欠点となることがある。
本発明のポリエステルフィルムは、接着シートとしてコア基材に層間絶縁層が接着された後は、剥離されその役割を終えるが、ポリエステルフィルムが剥がされた後のコア基材に接着された層間絶縁層の表面性に影響を与える。
熱硬化性樹脂を塗布し、層間絶縁層を形成するポリエステルフィルムの表面は、中心線平均粗さRaが30nm以下、さらには20nm以下が好ましく、十点平均粗さRzが200nm以下、さらには100nm以下が好ましい。中心性平均粗さRaが30nmを超えたり、十点平均粗さRzが200nmを超えたりする場合は、層間絶縁層の表面粗度が大きくなり、回路の高密度化に弊害が生じることがある。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、20〜100μm、好ましくは25〜50μmの範囲である。フィルム厚みが20μm未満では、絶縁材を塗布した際にシワが入り好ましくない。フィルム厚みが100μmを超える場合は、使用ポリエステル量が増加するため、コスト的に好ましくない。
本発明で層間絶縁層に用いる硬化性樹脂は、支持体上で層を形成することができ、十分な絶縁性を有するものであれば、特に限定なく使用でき、例えば、エポキシ樹脂系、アクリル系、ポリイミド樹脂系、ポリイミドアミド樹脂系、ポリシアネート樹脂系、ポリエステル樹脂系、熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂系などが挙げられる。また、これらを2種以上組み合わせて使用したり、多層構造としたりすることも可能である。
層間絶縁層を支持体に形成する方法は、上記した熱硬化性樹脂などを溶媒に溶解した該樹脂組成物ワニスを塗布した後、加熱することにより溶剤を乾燥させると同時に樹脂を硬化させる公知の方法で作成することができる。
本発明は、層間絶縁層となる硬化樹脂層をポリエステルフィルムからなる支持体上に積層フィルムとして設け、当該積層フィルムをロール状とする。ロール状とする際は、そのままの状態でも、硬化樹脂の表面を保護するための保護フィルムを貼り合わせた状態でも、ロール状態で保管できれば、どちらでも構わない。ただし、保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができるので、保護フィルムのない状態でロールとした場合も、最終的には保護フィルムを貼りあわせる工程を追加した方が好ましい。
保護フィルムは、層間絶縁層の表面を保護する機能を有していれば特にこだわらず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどのプラスチックフィルムが用いられる。
ポリエステルフィルムで形成する層間絶縁層の厚さは、導体層の厚さ以上とする。回路基板の導体層の厚さは、通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの厚みが好ましい。
本発明で得られた層間絶縁層を有するフィルムは、導電層をパターン加工して回路を形成する時に接着フィルムとして、層間絶縁層の保護フィルムが剥がされ、コア基板に積層される。コア基材/層間絶縁層/ポリエステルフィルム支持体の構成、またはコア基材の両面を層間絶縁層で挟む、ポリエステルフィルム支持体/層間絶縁/コア基材/層間絶縁層/ポリエステルフィルム支持体の構成で加熱処理などを行い、コア基材と層間絶縁層を接着させ、ポリエステルフィルムからなる支持体が剥がされる。
層間絶縁層をコア基材に接着する方法としては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。またラミネートを行う前に接着フィルムおよび回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。
ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)とし、空気圧が20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。真空ラミネートは市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。
本発明における回路基板とは、主として、ガラスエポキシ、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板の片面または両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。また導体層と絶縁層が交互に層形成され、片面または両面がパターン加工された導体層(回路)となっている多層プリント配線板も本発明にいう回路基板に含まれる。なお導体回路層表面は黒化処理等により予め粗化処理が施されていた方が絶縁層の回路基板への密着性の観点から好ましい。
このように接着フィルムを回路基板にラミネートした後、支持フィルムを剥離する場合は剥離し、熱硬化することにより回路基板に絶縁層を形成することができる。加熱硬化の条件は150℃〜220℃で20分〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分である。絶縁層を形成した後、硬化前に支持フィルムを剥離しなかった場合は、ここで剥離する。
次に回路基板上に形成された絶縁層に穴開けを行いビアホール、スルーホールを形成する。穴あけは例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけがもっとも一般的な方法である。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明におけるポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
本発明において、塗布層を設ける方法はリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、塗布延伸法(インラインコーティング)により塗布層を設ける場合、通常、170〜280℃で3〜40秒間、好ましくは200〜280℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、塗布延伸法(インラインコーティング)あるいはオフラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。また、ポリエステルフィルムには予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明において、ポリエステルに粒子を配合する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
本発明のポリエステルフィルムによれば、層間絶縁用支持体フィルムとして好適なフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)加熱収縮率測定(TD)
田葉井製作所製の熱風循環炉を用いて、幅方向(TD)に各5本無張力状態で120℃の雰囲気中で5分熱処理し、その前後のサンプルの長さを測定し、フィルム横方向(TD)を下記式により計算し、各5本の計算値を平均した。
加熱収縮率(%)=(1−1)/1×100
(上記式中、1は熱処理前のサンプル長さ(mm)、1は熱処理後のサンプル長さ(mm)を表す)
なお、1が1よりも小さくなる場合(膨張の場合)は−(マイナス)で表した。
(2)フィルム厚さ
マイクロメーターにより求めた。
(3)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(4)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(5)表面粗さ(Ra)
中心線平均粗さRa(μm)をもって表面粗さとする。(株)小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線 y=f(x)で表わしたとき、次の式で与えられた値を〔μm〕で表わす。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表わした。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Ra(1/L)∫ |f(x)|dx
(6)十点平均粗さ(Rz)
(株)小坂研究所製 表面粗さ測定機(SE−3F)によって得られた断面曲線から、基準長さ(2.5mm)だけ抜き取った部分の断面曲線における最高から5番目までの山頂の標高の平均値と、最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差で表わした。十点平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の十点平均粗さの平均値で表した。なお、この時使用した触針の半径は2.0μmであり、荷重30mg、カットオフ値は0.08mmとした。
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
(ポリエステルの製造)
製造例1(ポリエチレンテレフタレートA)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.03部を添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgにし、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.61のポリエチレンテレフタレートA1を得た。
製造例2(ポリエチレンテレフタレートB)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.03部、平均粒径3.4μmのシリカ粒子を0.01部添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgとし、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.61のポリエチレンテレフタレートBを得た。
製造例3(ポリエチレンテレフタレートC)
製造例1において平均粒径3.4μmのシリカ粒子を0.01部添加する代わりに平均粒径0.70μmの合成炭酸カルシウム粒子を0.1部添加する以外は製造例1と同様にしてポリエチレンテレフタレートCを得た。
製造例4(ポリエチレンテレフタレートD)
製造例1において平均粒径3.4μmのシリカ粒子を0.01部添加する代わりに平均粒径0.27μmの合成炭酸カルシウム粒子を0.01部添加する以外は製造例1と同様にしてポリエチレンテレフタレートDを得た。
製造例5(ポリエチレンテレフタレートE)
製造例1において平均粒径3.4μmのシリカ粒子を0.01部添加する代わりに平均粒径1.50μmの合成炭酸カルシウム粒子を0.01部添加する以外は製造例1と同様にしてポリエチレンテレフタレートEを得た。
(ポリエステルフィルムの製造)
上記ポリエステルA〜Eを下記表1および2に示す配合比でX層、Y層の混合原料とし、2台の二軸押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、全厚みに対して、X層/Y層=50%/50%の厚み比となるように、2種2層の構成で20℃に冷却したキャスティングドラム上に共押出し、冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、100℃にて縦方向に2.8倍延伸した後、テンター内で予熱工程を経て120℃で3.9倍の横延伸を施した後、235℃で10秒間の熱処理を行い、その後118℃で幅方向に2〜4.5%の弛緩を加え、ポリエステルフィルムを得た。条件を下記表1および2に記載のように変更して、同様にポリエステルフィルムを得た。
Figure 2010168441
Figure 2010168441
《エポキシ樹脂組成物》
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)20部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)製YDB−500)20部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、軟化点78℃、大日本インキ化学(株)製エピクロンN−673)20部、末端エポキシ化ポリブタジエンゴム(ナガセ化成工業(株)製デナレックスR−45EPT)15部とをMEKに攪拌しながら加熱溶解させ、そこへ臭素化フェノキシ樹脂ワニス(不揮発分40重量%、臭素含有量25重量%、溶剤組成、キシレン:メトキシプロパノール:メチルエチルケトン=5:2:8、東都化成(株)製YPB−40−PXM40)50部、エポキシ硬化剤として2、4−ジアミノ−6−(2−メチル−1−イミダゾリエチル)−1、3、5−トリアジン・イソシアヌル酸付加物4部、さらに微粉砕シリカ2部、三酸化アンチモン4部、炭酸カルシウム5部を添加し樹脂組成ワニスを作製した。
《ポリエステルフィルムへの樹脂組成ワニス塗布:層間絶縁層の形成》
上記の方法で作製した樹脂組成ワニスを、実施例1〜10、比較例1〜3で得られたポリエステルフィルムのY層表面上に、乾燥後の樹脂厚さが70μmとなる用にダイコーターで塗布し、80〜120℃(平均100℃)で乾燥し、ポリエステルフィルムを支持体とした層間絶縁層を作製した。
《クラックの状況》
樹脂組成ワニスを支持体ポリエステルフィルム上に塗布し、層間絶縁層を有するフィルムの製造において、フィルムの製品ロールの外観を顕微鏡観察で評価し、結果を表3に示す。
(クラック良好) ○>△>× (クラック不良)
上記判定基準中、△以上のものが実用上問題なく使用できるレベルである。
《ロール外観》
樹脂組成ワニスをポリエステルフィルム上に塗布し、層間絶縁層を有するフィルムの製造において、フィルムの製品ロールの外観を目視観察し評価し、その結果を表3に示す。特に、ロール両端面のズレを観察した。
(ロール外観良好) ◎>○>△>× (ロール外観不良)
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
《表面特性》
得られた層間絶縁層のポリエステルフィルムに相当する表面を観察し、電気特性に影響を与える突起の有無や、突起の均一性の表面特性を下記のとおり評価し、その結果を表3に示す。
◎:突起の均一性を有し、電気特性に悪影響を与える大きな突起は見られない
○:突起の均一性が僅かに劣り、大きな突起も若干見られる
△:実用上問題なく使用できるレベルの均一性と突起の大きさが見られる
×:突起の均一性に劣り、電気特性に悪影響を与える突起が見られる
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
《コストの優位性》
得られる特性と、歩留まり等の製造に関わるコスト評価を下記のとおり評価し、その結果を表3に示す。
○:コスト的に優位性が見られる
△:コスト的に若干劣る
×:コスト的に劣る
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
Figure 2010168441
比較例2は、樹脂組成ワニスを塗布した後の乾燥時に、ポリエステルフィルムにシワが入り、製品を得られなかった。
本発明のフィルムは、層間絶縁層を形成する熱硬化性樹脂を塗布するための支持体として好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 層間絶縁層を形成する熱硬化性樹脂を塗布するための支持体として使用されるポリエステルフィルムであって、120℃×5分におけるフィルムの幅方向の熱収縮率が0〜1.0%の範囲であり、フィルムの厚さが20〜100μmの範囲であることを特徴とする層間絶縁用支持体ポリエステルフィルム。
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