JP5385831B2 - 層間絶縁材料支持ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、層間絶縁材料の支持フィルムに関し、特に回路基板に用いられる層間絶縁材料の支持フィルムに関するものであり、例えば、プリント配線板、多層配線板、半導体装置や液晶表示装置等の回路基板構成部材である層間絶縁層の形成に用いられる層間絶縁材料の支持フィルムとして好適な層間絶縁材料用支持ポリエステルフィルムを提供するものである。ここで層間絶縁材料用支持ポリエステルフィルムとは、あらかじめ、層間絶縁材料溶液をフィルム状に塗布・乾燥するのに用いられる支持フィルムであり、得られたフィルム状の層間絶縁材料を真空プレスあるいは真空ロールラミネータを用いて、回路基板上に貼り合わせた後に剥がされるものである。
プリント配線基板は、ICなどの電子部品を搭載、接続するために銅回路が形成されている基板であり、テレビなどの家電に用いられている民生用プリント配線基板と、コンピューターや計測機器などの産業用に用いられている産業用プリント配線板などが挙げられる。特に明確な区別がなされているわけではないが、プリント配線板の基材は、主に紙を基材とするフェノール樹脂積層板から製造されているものなどが民生用に使用され、エポキシ樹脂を用いたガラス布基材積層板などが産業用プリント配線板用の基材として使用されている。
プリント配線基板に設置されるICなど端子数が増加するに従い、限られた面積で必要な配線を収容するための手段として多層化が図られ、多層プリント配線板も量産されている。
多層プリント配線板のなかでも、リジッド基板上に配線パターンを形成し、その上に絶縁層を形成し、さらにその上に配線パターンを形成し、さらに絶縁層を形成するという工程を繰り返すことで、プリント配線板を形成するビルドアップ法は、携帯電話などの小型化が必要な製品や、コンピューターなどの高速動作が必要な用途に適した方法として用いられており、近年、更なる電子機器の小型化、高性能化が進み、ビルドアップ層もさらに複層化され、配線の微細化および高密度化も一層進んでいる。
多層プリント配線板に用いられる絶縁層は、ガラスクロスに、エポキシ系、ポリイミド系等の樹脂を含浸させたもの、あるいはセラミック系等の材料が用いられ、配線層の信号の伝播速度やプリント配線板の特性インピーダンス等の電気特性を左右する重要なパラメーターであるため、そのような電気特性を満足するような材料を選定することが必要であり、具体的には、できるだけ誘電率の低い材料が選定されており、各種提案もなされている。また、絶縁層の形成は、フィルム支持体の上に塗布する方法が、均一な厚さのものが得られるため、小型化や高性能化の要求に対して好ましく、塗布できる材料が用いられている。
絶縁層の形態は、小型化や高性能化に対応するための層間絶縁材料として、フィルム状の支持体に絶縁層となる熱硬化性樹脂などを塗布し、支持体のフィルムと硬化させた絶縁層とをロール状とする方法が提案されている。フィルム状態の絶縁層に関しては、樹脂とフィラーの最適な選択などにより、レーザー加工に適合し、粗化処理後の樹脂表面がめっき密着性を向上するように設計したビルドアップ用絶縁層を有するフィルムが提案され、近年の要求に対応するなど、絶縁層に関しては、種々の提案がなされている。
しかしながら、フィルム状の絶縁層を形成するための支持体である、フィルムに関しては、絶縁層の表面性や、絶縁層の形成時における生産性などに大きな影響を与えるにも関わらず、具体的な提案はなされていない状況である。
特に、配線の微細化および高密度化を達成するためには層間絶縁層表面の低粗度化が必要となるが、一方、支持フィルムの低粗度化が高度に進むと支持フィルムの加工時、および使用時に帯電・放電に伴う欠陥による生産性悪化が問題となる。そのため支持体に使用するフィルムの特性が生産性に大きく関連しているが、支持フィルムに関しての提案がなされていない状況である。
配線の微細化は数百ミクロンから数ミクロンと非常に狭い配線幅とスペースが求められているが、層間絶縁層表面の粗度が大きいと下記1〜4の問題発生の危険性が高くなる。
1.凹部にめっき液が入りにくいため、反応種の供給が低下し無電解胴めっきが付きまわらず、いわゆる無めっきを生じる場合がある。
2.電気銅めっき工程では凹部でボイドを形成し処理液が残留するため腐食を生じる場合がある。
3.回路形成のエッチングでは回路下の凹部よりエッチングが進み、パターンが細り断線や、逆に銅めっきがエッチングされずに残り回路の短絡が発生する場合がある。
4.凹部に潜り込んだめっき残渣(スミア)を取り除くために長時間のフラッシュエッチが必要となり、フラッシュエッチを長時間行うと、その影響で微細配線が損傷または断線する場合がある。
支持体となるフィルム表面はロール状に巻き上げるために添加粒子による突起が形成し、この突起が層間絶縁層表面に転写して凹みとなる。そのため層間絶縁層表面の低粗度化には、支持フィルムの低粗度化が必要となる。
しかしながら、支持フィルムの低粗度化を極度に進めると、支持フィルムの成形工程から層間絶縁材料の塗布までの加工工程で支持フィルムに静電気が帯電しやすくなり、溶剤を使う工程では静電気の放電による災害を発生させる場合がある。また、帯電した支持フィルムにごみやほこりなどが引きつけられ、付着した異物により層間絶縁層、および配線回路の欠陥が発生する。
特開2005−154727号公報 特開2005−39247号公報 特開2008−251971号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その解決課題は、配線の微細化および高密度化に対応するための、層間絶縁層表面の低粗度化と欠陥防止として、好適な層間絶縁材料用支持ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、共押出法により得られる、少なくとも3層からなる二軸配向積層ポリエステルフィルムの片面に塗布層を有し、下記式(1)〜(4)を同時に満足することを特徴とする層間絶縁材料支持ポリエステルフィルムに存する。
SRaA≦15 …(1)
15≦dT …(2)
cB≦100 …(3)
R≦1.0×1013 …(4)
(上記式中、SRaAは塗布層を有する面の反対側の表面の中心線平均粗さ(nm)、dTはフィルムの厚さ(μm)、cBは中間層に含有する平均粒径0.4μm以上の粒子量(ppm)、Rは塗布層表面の表面固有抵抗率(Ω/□)を表す)
本発明によれば、配線の微細化および高密度化に対応するための、層間絶縁層表面の低粗度化と欠陥防止として、好適な層間絶縁材料用支持ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のフィルム状の層間絶縁材料を形成するための支持体は、二軸配向ポリエステルフィルムよりなり、当該ポリエステルフィルムは、溶融押出機を3台以上用いて、いわゆる共押出法により3層または4層以上の積層フィルムとすることができる。
本発明のポリエステルフィルムの各ポリエステル層は隣接している必要があり、それぞれの表面となる最外層には、同じ粒子もしくは異なる粒子を配合した原料を用いることができる。
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
本発明において、ポリエステルフィルムに配合する粒子として、特定の粒径と形態を有する酸化アルミニウム粒子を用いることが好ましい。すなわち、本発明においては、微細な一次粒子を適度に凝集させた凝集体粒子を用いることが好ましい。高強度フィルムを得るに際しては、製膜時に強く配向させる必要があるが、この場合、しばしば粒子のフィルム表面からの脱落や摩耗粉の生成が顕著となる。しかしながら、凝集粒子の場合は製膜時の延伸応力が適度に分散されるためか、粒子の脱落が起こり難く、また、比較的なだらかな突起をフィルム表面に与えるため、単一の粒子の場合とは異なる、好ましい摩擦摩耗特性を与える。
凝集体の大きさは通常50〜400nmであり、好ましくは70〜300nmである。この値が50nm未満であるとフィルムが加工機のロールと接触したとき、フィルムの耐摩耗性がやや劣るようになる。また、この値が400nmを越えると、フィルムを裁断する時に裁断刃が欠けやすくなり、スリット性が劣る傾向がある。
本発明においては、かかる凝集体を構成する一次粒子の平均粒径は通常5〜40nmである。この値が5nm未満であると、凝集体がしばしば極めて強固な結合を有し、延伸応力によってもほとんど結合が崩れず、本発明特有の効果を得られないことがある。また、この値が40nmを超える場合には、凝集体粒子が分離、脱落して傷の発生要因となることがある。
本発明で用いる酸化アルミニウムは、例えばベーマイト、バイアライトあるいはギブサイトを空気中または真空中で880〜1150℃程度に加熱、焼成することにより得ることができる。製造時の条件、例えば出発物質の種類や結晶性、粒度、純度あるいは加熱時の雰囲気や温度、速度を選択することにより、本発明で必要とする一次粒径5〜40nmのものを得ることができるが、これらはしばしば1μmを越える凝集体を形成する。本発明で用いる適度な粒径の凝集体は、例えばかかる粗大な凝集体を粉砕することにより簡便に得ることができる。
粉砕処理には、例えば、ロッドミル、ボールミル、振動ロッドミル、振動ボールミル、パンミル、ローラーミル、インパクトミル、攪拌摩砕ミル、流体エネルギーミル等を使用することができる。また、必要に応じ、超音波分散処理を施してもよいが、その程度が強力であると、一次粒子あるいはそれに近い状態まで分散されるので注意を要する。なお、本発明においては分級や濾過等の処理を併用してもよい。
本発明においてポリエステルフィルムの一方の表面は、ポリエステルのフィルム上で形成された層間絶縁層の表面性とフィルム上の傷欠陥発生防止を両立させるため、特定の表面粗さを必要とする。そのためには、平均粒子径が0.1〜0.6μm、好ましくは0.2〜0.5μmの粒子を当該表面側のポリエステル層中に含有させることが好ましい。平均粒子径が0.1μm未満では、フィルムの表面粗度が低くなり、フィルムの滑り性が悪く、フィルム表面に傷が発生しやすくなるばかりか、支持フィルムを製膜した後にロール状態で製品を得ることができないおそれがある。また、平均粒子径が0.6μmを超える場合は、層間絶縁層表面の凹みが大きくなり、配線の微細化、および回路の高密度化に弊害が生じることがある。
上記粒子のポリエステル層中の含有量は、通常100〜2000ppm、好ましくは200〜1500ppm、さらに好ましくは500〜1000ppmとする。粒子の含有量が100ppm未満では、フィルムの滑り性が悪くなることがある。また、含有量が2000ppmを超えると、フィルムの表面粗度が大きくなり過ぎて平面性が損なわれる傾向がある。
かかる粒子の例として、酸化珪素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、カオリン、タルク、カーボンブラック、窒化ケイ素、窒化ホウ素、および特公昭59−5216号公報に記載されているような架橋高分子微粉体を挙げることができ、本発明の要旨を損なわれない限り、これらに限定されるものではない。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明においてポリエステルフィルムの中間層中の平均粒径0.4μm以上の粒子量は100ppm以下、好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは0ppmである。100ppmを越えるとポリエステルフィルムのA面にうねりが発生し、配線の微細化、および回路の高密度化に弊害が生じたりして好ましくない。
本発明の特徴の一つは、支持体となるポリエステルフィルムを特定の表面粗度とすることであり、後述する塗布層を設けた面の反対側のフィルム表面の中心線平均粗さSRaAが15nm以下、好ましくは0.5nm〜10nmの範囲である。中心線平均粗さSRaAが0.5nm未満では、フィルムの滑り性やフィルム間でのエアーヌケが悪くなる傾向があり、フィルム表面に傷が発生しやすくなる。中心線平均粗さSRaAが15nmを超える場合は、配線の微細化、および回路の高密度化に弊害が生じるので好ましくない。
本発明のポリエステルフィルム自体は、接着シートとしてコア基材に層間絶縁層が接着された後は、剥離されその役割を終えるが、ポリエステルフィルムが剥がされた後のコア基材に接着された層間絶縁層の表面に影響を与える。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、15μm以上であり、好ましくは20〜50μmの範囲である。フィルム厚みが15μm未満では、絶縁材を塗布した際にシワが入り好ましくない。フィルム厚みが、50μmを越えた場合は、使用するポリエステル量が増加することになる。
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、片面に塗布層を有し、当該塗布層中にカチオンポリマーを含むことが好ましく、当該塗布層の表面固有抵抗値が1×1013Ω以下であることが必要である。
本発明においては、塗布層中に用いる帯電防止剤としては高分子帯電防止剤が好ましい。低分子の帯電防止剤では、フィルムを巻き取った時に重なり合う面に帯電防止剤が転着しやすい欠点があるため、好ましくない。また高分子帯電防止剤のなかでは、ノニオンポリマーより、カチオンポリマーが概して帯電防止性能が高く好ましい。アニオンポリマーよりカチオンポリマーは、取り扱い性により好ましい。
本発明で用いる塗布層中のカチオンポリマーは、4級化された窒素を含むユニットを繰り返し単位として含有するポリマーであることが好ましく、特に下記(1)または(2)式で示される主鎖にピロリジニウム環を有するユニットを主たる繰り返し単位として含有するカチオンポリマーであることが、優れた帯電防止性能が得られる点で好ましい。
Figure 0005385831
Figure 0005385831
上記(1)式あるいは(2)式の構造において、RおよびRは、通常、炭素数が1〜4のアルキル基もしくは水素であり、これらは同一基でもよいし異なっていてもよい。また、RおよびRのアルキル基は、ヒドロキシル基、アミド基、アミノ基、エーテル基で置換されていてもよい。さらに、RとRとが化学的に結合して、環構造を有するものであってもよい。また(1)式あるいは(2)式のXは、ハロゲンイオン、硝酸イオン、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、モノメチル硫酸イオン、モノエチル硫酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオンである。
上述の、主鎖にピロリジニウム環を有するユニットを主たる繰り返し単位として含有するカチオンポリマーの中でも、特に(1)式の構造で、Xが塩素イオンである場合には、帯電防止性能が優れると同時に、帯電防止性能の湿度依存性が小さく、低湿度下でも帯電防止性能の低下が少なくなる点で好ましい。また、塗布層にハロゲンイオンを使用できない用途においては、塩素イオンの代わりにメタンスルホン酸あるいはモノメチル硫酸イオンを使用することで、塩素イオンの場合に近い帯電防止性能を得ることができる。
(1)式のユニットを繰り返し単位とするポリマーは、次の(3)式で示されるジアリルアンモニウム塩を単量体として、水を主とする媒体中で、ラジカル重合で閉環させながら重合することで得られる。また、(2)式のユニットを繰り返し単位とするポリマーは、(3)式の単量体を、二酸化硫黄を媒体とする系で環化重合させることにより得られる。
Figure 0005385831
また、(1)式または(2)式に示すユニットを繰り返し単位とするポリマーは、単一のユニットから構成されるホモポリマーである場合が、より良好な帯電防止性能を得ることができる。
塗布層中に含むカチオンポリマーは、上記(1)または(2)式で示される主鎖にピロリジニウム環を繰り返し単位として含有するカチオンポリマーの他に、例えば(4)式または(5)式で示されるユニットを繰り返し単位とするカチオンポリマーであってもよい。
Figure 0005385831
Figure 0005385831
上記(4)式あるいは(5)式の構造において、RおよびRは、それぞれ独立して水素またはメチル基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、通常、炭素数が2〜6のアルキル基である。またR、R、R、R10、R11、R12は、メチル基あるいはヒドロキシエチル基もしくは水素であり、これらは同一基でもよいし異なっていてもよい。さらに(4)式あるいは(5)式のXは、ハロゲンイオン、硝酸イオン、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、モノメチル硫酸イオン、モノエチル硫酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオンである。
(4)式あるいは(5)式で示されるユニットを繰り返し単位とするカチオンポリマーは、例えば、それぞれのユニットが対応するアクリル酸モノマーまたはメタクリル酸モノマーを、水を主とする媒体中でラジカル重合することで得ることができるが、これに限定されるわけではない。
本発明で用いる塗布層中のカチオンポリマーの平均分子量(数平均分子量)は、通常1000〜500000、さらには5000〜100000の範囲であることが好ましい。平均分子量が1000未満であると、フィルムを巻き取った時に重なり合う面にカチオンポリマーが転着したり、ブロッキングしたりするなどの原因となり、逆に平均分子量が500000を超えると、これを含む塗布液の粘度が高くなり、フィルム面に均一に塗布することが困難となる。
本発明で用いる塗布層中に基材となるポリエステルフィルムとの密着性を向上させるため、バインダーポリマーを塗布層中に添加することが好ましい。このバインダーポリマーとしては、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリウレタンを挙げることができる。これらのポリマーは、そのモノマーの一成分としてノニオン、カチオン、または両性系の親水性成分を共重合することで親水性を付与し、水溶化あるいは水分散化させることができる。またこれ以外に、ノニオン、カチオン、または両性系の界面活性剤を用いて、いわゆる強制乳化させることで水分散させたり、ノニオン、カチオン、または両性系の界面活性剤を用いて乳化重合させて水分散体としたりすることもできる。さらにこれらのポリマーは、共重合体でも使用することができ、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよく、異種ポリマーとの結合体でもよい。例えば、ポリウレタンまたはポリエステルの水溶液または水分散体存在下でアクリル系モノマーを乳化重合させて得られるウレタン−グラフト−ポリアクリレート、またはポリエステル−グラフト−ポリアクリレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記で説明した高分子帯電防止剤を含む塗布層の表面固有抵抗値は1×1013Ω以下であることが必要であり、好ましくは1×1011Ω以下、さらに好ましくは1×1010Ω以下であり、下限は特に限定されないが、通常1×10Ωである。表面固有抵抗値が1×1013Ωを超える場合には、通常の除電を行ってもフィルム表面に発生した静電気を有効に除去することができず、例えばフィルムをロール状に巻き上げる際に、フィルムに残存する静電気の分布パターン(帯電模様あるいはスタティックマークと呼ばれる)が発生したり、ロール状からフィルム巻き出す際に放電が発生したりしやすくなる。さらには帯電により微細なゴミなどがフィルム表面に付着しやすくなり、回路欠陥となるため、好ましくない。
上記で説明した高分子帯電防止剤を含む塗布層は、主として水を媒体とした塗布液としてポリエステルフィルム上に塗布されるが、塗布液の安定性の向上、あるいは塗布性や塗布膜特性の改善を目的に、水以外に、通常10重量%以下の量で有機溶剤を加えることが可能である。この有機溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、エチルセルソルブ、t−ブチルセルソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラハイドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルエタノールアミン、トリメタノールアミン等のアミン類、N−メチルピロリドン等のアミド類等を例示することができる。これらは単独、あるいは複数を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、上記の水性塗布液をポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布するが、このフィルムは結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムであり、塗布後、さらに少なくとも一方向に延伸され、その後熱固定されることが好ましい。具体的には、未延伸フィルムに水性塗布液を塗布した後に、縦方向・横方向に同時あるいは逐次に延伸し、次いで熱固定される場合、縦方向あるいは横方向に一軸延伸したフィルム塗布した後、先の延伸と直行する方向に延伸し、次いで熱固定される場合、縦および横方向に二軸延伸したフィルムに塗布後、さらに縦あるいは横あるいは両方向に再度延伸し、次いで熱固定される場合を例示することができる。このようないわゆるインラインコート法を用いることで、塗布層は通常200℃以上の高温で熱固定されるため、塗布層とポリエステルフィルムとの密着性が向上する。
基材となるポリエステルフィルムへの塗布液の塗布方法としては、公知の任意の方法が適用できる。具体的には、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、バーコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法およびカーテンコート法、ダイコート法などを単独または組み合わせて適用することができる。
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの高分子帯電防止剤を含む塗布層の厚みは、最終的な乾燥厚みとして通常0.01〜0.5μm、さらには0.02〜0.3μmの範囲とするのが好ましい。塗布層の厚みが0.01μm未満では帯電防止性能や接着性が不十分となり、0.5μmを超える場合にはブロッキングが発生しやすくなる。また、高分子帯電防止剤を含む塗布層は、フィルムの片面のみに塗設してもよいし、両面に塗設してもよい。さらにフィルムの片面にのみに塗設する場合には、上記で説明した塗布層とは異なる別の塗布層を同時に塗設することも可能である。
本発明で用いる層間絶縁層に用いる硬化性樹脂は、支持体上で層を形成することができ、十分な絶縁性を有するものであれば、特に限定なく使用でき、例えば、エポキシ樹脂系、アクリル系、ポリイミド樹脂系、ポリイミドアミド樹脂系、ポリシアネート樹脂系、ポリエステル樹脂系、熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂系などが挙げられる。また、これらを2種以上組み合わせて使用したり、多層構造としたりすることも可能である。
層間絶縁層を支持体に形成する方法は、上記した熱硬化性樹脂などを溶媒に溶解した該樹脂組成物ワニスを塗布した後、加熱することにより溶剤を乾燥させると同時に樹脂を硬化させる公知の方法で作成することができる。
本発明は、層間絶縁層となる硬化樹脂層をポリエステルフィルムからなる支持体上に積層フィルムとして設け、該積層フィルムをロール状とする。ロール状とする際は、そのままの状態でも、硬化樹脂の表面を保護するための保護フィルムを貼り合わせた状態でも、ロール状態で保管できれば、どちらでも構わない。但し、保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができるので、保護フィルムのない状態でロールとした場合も、最終的には保護フィルムを貼りあわせる工程を追加した方が好ましい。
保護フィルムは、層間絶縁層の表面を保護する機能を有していれば特にこだわらず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどのプラスチックフィルムが用いられる。
ポリエステルフィルムで形成する層間絶縁層の厚さは、導体層の厚さ以上とする。回路基板の導体層の厚さはが、通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの厚みが好ましい。
本発明で得られた層間絶縁層を有するフィルムは、導電層をパターン加工して回路を形成する時に接着フィルムとして、層間絶縁層の保護フィルムが剥がされ、コア基板に積層される。コア基材/層間絶縁層/ポリエステルフィルム支持体の構成、またはコア基材の両面を層間絶縁層で挟む、ポリエステルフィルム支持体/層間絶縁/コア基材/層間絶縁層/ポリエステルフィルム支持体の構成で加熱処理などを行い、コア基材と層間絶縁層を接着させ、ポリエステルフィルムからなる支持体が剥がされる。
層間絶縁層をコア基材に接着する方法としては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。またラミネートを行う前に接着フィルムおよび回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。
ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm2(9.8×104〜107.9×104N/m2)とし、空気圧が20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。真空ラミネートは市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。
本発明における回路基板とは、主として、ガラスエポキシ、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板の片面または両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。また導体層と絶縁層が交互に層形成され、片面または両面がパターン加工された導体層(回路)となっている多層プリント配線板も本発明にいう回路基板に含まれる。なお導体回路層表面は黒化処理等によりあらかじめ粗化処理が施されていた方が絶縁層の回路基板への密着性の観点から好ましい。
このように接着フィルムを回路基板にラミネートした後、支持フィルムを剥離する場合は剥離し、熱硬化することにより回路基板に絶縁層を形成することができる。加熱硬化の条件は150℃〜220℃で20分〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分である。
絶縁層を形成した後、硬化前に支持フィルムを剥離しなかった場合は、ここで剥離する。次に回路基板上に形成された絶縁層に穴開けを行いビアホール、スルーホールを形成する。穴あけは例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけがもっとも一般的な方法である。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明におけるポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
本発明において、塗布層を設ける方法はリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、塗布延伸法(インラインコーティング)により塗布層を設ける場合、通常、170〜280℃で3〜40秒間、好ましくは200〜280℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのがよい。
また、塗布延伸法(インラインコーティング)あるいはオフラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
また、ポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)表面粗さ(SRa)
中心線平均粗さRa(μm)をもって表面粗さとする。(株)小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線 y=f(x)で表わしたとき、次の式で与えられた値を〔μm〕で表わす。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表わした。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Ra=1/L∫ |f(x)|dx
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
〈ポリエステルの製造〉
製造例1(ポリエステルA)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.03部を添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを得た。
製造例2(ポリエステルB)
ベーマイトを加熱、焼成することによって得られた、一次粒径30nmのθ型酸化アルミニウムの凝集体をエチレングリコールに分散させ、サンドグラインダーで徐々に分散させることにより平均粒径150nmの凝集体を得た。次いで、ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール65部および酢酸マグネシウム0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去しつつエステル交換反応を行った。反応開始後約4時間を要して230℃まで昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次に、平均粒径70nmの酸化アルミニウム凝集体3.0重量%を添加し、さらにエチレングリコールスラリーエチルホスフェート0.4部、三酸化アンチモン0.03部を加えた後、常法に従って重合を行い、固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートを得た。
製造例3(ポリエステルC)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチレングリコールスラリーエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.03部、平均粒径0.4μmの架橋高分子粒子を0.2部添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.61のポリエチレンテレフタレートを得た。
製造例4(ポリエステルD)
製造例3において平均粒径0.4μmの架橋高分子粒子を0.2部添加する代わりに平均粒径0.6μmの合成炭酸カルシウム粒子を0.5部添加する以外は製造例3と同様にしてポリエチレンテレフタレートを得た。
製造例5(ポリエステルE)
製造例3において平均粒径0.4μmの架橋高分子粒子を0.2部添加する代わりに平均粒径3.2μmの凝集シリカ粒子を0.5部添加する以外は製造例3と同様にしてポリエチレンテレフタレートを得た。
製造例6(ポリエステルF)
製造例3において平均粒径0.4μmの架橋高分子粒子を0.2部添加する代わりに平均粒径0.40μmの単分散球状シリカ粒子を0.5部添加する以外は製造例3と同様にしてポリエチレンテレフタレートを得た。
製造例7(ポリエステルG)
製造例3において平均粒径0.4μmの架橋高分子粒子を0.2部添加する代わりに平均粒径0.60μmの単分散球状シリカ粒子を0.2部添加する以外は製造例3と同様にしてポリエチレンテレフタレートを得た。
塗布層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
・高分子帯電防止剤:(a1)
ジアリルジメチルアンモニウムクロライドを用いた4級アンモニウム塩含有カチオンポリマー ((1式)のピロリジニウム環含有カチオンポリマー) 平均分子量約30000
・高分子帯電防止剤:(a2)
ジアリルモノメチルアンモニウムメタンスルホン酸塩を用いた4級アンモニウム塩含有カチオンポリマー ((1式)のピロリジニウム環含有カチオンポリマー) 平均分子量約30000
・高分子帯電防止剤:(a3)
ポリ(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレート)モノメチル硫酸塩のホモポリマー ((5式)のカチオンポリマー)
・バインダーポリマー:(b)
水性アクリル樹脂(日本カーバイド工業社製 酸価6mgKOH/gのニカゾール)
・架橋剤:(c)
アルキロールメラミン/尿素共重合の架橋性樹脂(大日本インキ化学工業製ベッカミン)
・微粒子:(d)
エチレングリコールグラフト処理二酸化ケイ素微粒子
(平均粒径0.15μm、グラフト率 1.7mmol/g)
・添加剤:(e)
ジグリセンリン骨格へのポリエチレンオキサイド付加物(平均分子量450)
(塗布液H)
上記化合物を固形分換算の重量組成比でa1/b/c/d/e=27/45/20/3/5(重量%)の割合で含有する水性塗布液とした。
(塗布液J)
上記化合物を固形分換算の重量組成比でa2/b/c/d/e=27/45/20/3/5(重量%)の割合で含有する水性塗布液とした。
(塗布液K)
上記化合物を固形分換算の重量組成比でa3/b/c/d=32/45/20/3/3(重量%)の割合で含有する水性塗布液とした。
(塗布液L)
上記化合物を固形分換算の重量組成比でa3/b/c/d=5/72/20/3(重量%)の割合で含有する水性塗布液とした。
(ポリエステルフィルムの製造)
上記ポリエステルA〜Gを表1に示す配合比でA層、B層、C層の混合原料とし、3台の二軸押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、3種3層(A層/B層/C層)の構成で20℃に冷却したキャスティングドラム上に共押出し、冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、100℃にて縦方向に3.1倍延伸した。
実施例1〜6、比較例2〜4は、縦延伸後にフィルムのC層側表面にコロナ放電処理を施して、表1に示す塗布液を塗布した。この後、テンター内で予熱工程を経て120℃で4.3倍の横延伸を施した後、225℃で熱処理を行い、その後180℃で幅方向に10%の弛緩を加え、C層側表面に0.08μmの塗布層を有する表1に示す厚さのポリエステルフィルムを得た。上記の方法で得られたポリエステルフィルムの表面特性を表1に示す。
比較例1は表1に示す配合比でA層、B層、C層の混合原料とし、3台の二軸押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、3種3層(A層/B層/C層)の構成で20℃に冷却したキャスティングドラム上に共押出し、冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、100℃にて縦方向に3.1倍延伸し、テンター内で予熱工程を経て120℃で4.3倍の横延伸を施した後、225℃で熱処理を行い、その後180℃で幅方向に10%の弛緩を加え、表1に示す厚さのポリエステルフィルムを得た。
Figure 0005385831
また、下記表2にポリエステルフィルムをロール状に巻き上げた外観を示した。
《ロール外観》
ポリエステルフィルムの製造において、該フィルムの製品ロール表面に凸状の突起、およびシワの発生状況を目視観察し評価し、その結果を表2に示した。
(ロール外観良好) ◎>○>△>× (ロール外観不良)
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
比較例3はポリエステルフィルムのロール状に凸状の突起が発生する製品ロールの割合が高く、突起部分で樹脂組成ワニスの塗布欠陥が生じ、製品を得られなかった。なお、塗布欠陥のない部分で層間絶縁層の表面観察を行った結果を表2に示した。
比較例4はポリエステルフィルムのロール状に巻き上げた際、シワが発生する製品ロールの割合が高く、シワ部分で樹脂組成ワニスが均一に塗布できなかった。なお、シワ以外の部分で層間絶縁層の表面観察を行った結果を表2に示した。
《防塵性》
製品ロールとして巻き上げたフィルムを巻きほぐして、目視検査で1m2当たりに見えるフィルム表面の付着物をカウントし、下記ランクで評価した結果を表2に示した。
○:付着物がなかった。
△:付着物が10個/m以下
×:付着物が10個/mを超える
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
《帯電》
製品ロールの表面に帯電跡の観察、および製品ロールから巻きほぐしたフィルムの状態を観察し、下記ランクで評価した結果を表2に示した。
○:毛羽立ち、フィルムの張り付きがない
△:ロールから引き出したフィルム表面で微かに毛羽立ちを感じる
×:ロール表面に帯電跡ある。もしくは巻きほぐしたフィルムを放すとロール表面張り付く
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
《エポキシ樹脂組成物》
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828EL」)20部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)製YDB−500)20部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、軟化点78℃、大日本インキ化学(株)製エピクロンN−673)20部、末端エポキシ化ポリブタジエンゴム(ナガセ化成工業(株)製デナレックスR−45EPT)15部とをMEKに攪拌しながら加熱溶解させ、そこへ臭素化フェノキシ樹脂ワニス(不揮発分40重量%、臭素含有量25重量%、溶剤組成、キシレン:メトキシプロパノール:メチルエチルケトン=5:2:8、東都化成(株)製YPB−40−PXM40)50部、エポキシ硬化剤として2、4−ジアミノ−6−(2−メチル−1−イミダゾリエチル)−1、3、5−トリアジン・イソシアヌル酸付加物4部、さらに微粉砕シリカ2部、三酸化アンチモン4部、炭酸カルシウム5部を添加し樹脂組成ワニスを作製した。
《ポリエステルフィルムへの樹脂組成ワニス塗布:層間絶縁層の形成》
上記の方法で作製した樹脂組成ワニスを、実施例1〜6、比較例1〜4で得られたポリエステルフィルムのB層表面上に、乾燥後の樹脂厚さが70μmとなる用にダイコーターで塗布し、80〜120℃(平均100℃)で乾燥し、ポリエステルフィルムを支持体とした層間絶縁層を作製した。
《層間絶縁層の表面性》
得られた層間絶縁層のポリエステルフィルムに相当する表面をSEMで観察し、配線に影響を与える凹みの有無を下記の通り評価し、その結果を表2に示す。
◎:配線に悪影響を与える大きな凹みは見られない
○:凹みが僅かに劣り、大きな凹みも若干見られる
△:実用上問題なく使用できるレベルの凹みの大きさが見られる
×:大きな凹みが有り、回路配線に悪影響を与える凹みが見られる
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
《コストの優位性》
得られる特性と、歩留まり等の製造に関わるコスト評価を下記の通り評価し、その結果を表2に示す。
○:コスト的に優位性が見られる
△:コスト的に若干劣る
×:コスト的に劣る
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
Figure 0005385831
本発明のポリエステルフィルムは、ビルドアップビルドアップ法で製造する多層プリント配線板に用いられる、フィルム状の層間絶縁材料を形成するための支持体として、好適に使用することができる。

Claims (1)

  1. 共押出法により得られる、少なくとも3層からなる二軸配向積層ポリエステルフィルムの片面に塗布層を有し、下記式(1)〜(4)を同時に満足することを特徴とする層間絶縁材料支持ポリエステルフィルム。
    SRaA≦15 …(1)
    15≦dT …(2)
    cB≦100 …(3)
    R≦1.0×1013 …(4)
    (上記式中、SRaAは塗布層を有する面の反対側の表面の中心線平均粗さ(nm)、dTはフィルムの厚さ(μm)、cBは中間層に含有する平均粒径0.4μm以上の粒子量(ppm)、Rは塗布層表面の表面固有抵抗率(Ω/□)を表す)
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