JP4805807B2 - 熱プレス成型用離型ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は熱プレス成形時に使用されることを特徴とする離型ポリエステルフィルムに関するものであり、特にフレキシブルプリント配線板(以下、FPCと略記する)の製造に用いられる工程用フィルムとして好適な熱プレス成型用離型ポリエステルフィルムを提供するものである。
近年、電子機器の急速な進歩に伴い、IC(Integrated Circuits)の集積度が増大するにつれ、より高精度、高密度、高信頼性化への要求に対応する目的でプリント配線板が多用されてきている。
このプリント配線板としては、片面プリント配線板、両面プリント配線板、多層プリント配線板、およびフレキシブルプリント配線板があるが、中でも、3層以上の導体の中間に絶縁層をおいて一体化し、任意の導体層相互および実装する電子部品のリードと任意の導体層との接続ができる点で多層FPCの応用分野は広がっている。
FPCの製造工程においては、絶縁基材上、例えば、ポリイミド樹脂フィルム表面に所定の回路を有するフレキシブル回路板上を、絶縁および回路保護を目的として耐熱樹脂フィルムであるカバーレイを接着剤で貼り付ける、あるいはコネクタ部分等に補強板を貼り付ける等の熱プレス成型が離型フィルムを用いて行われている。当該熱プレス成型工程においては、FPCとの離型性を持ち、FPCの凹凸に十分追従することによる導体部汚染防止能を有し、カバーレイ端面からの接着剤フローの抑制力を有し、後工程での回路へのメッキ付き性能等を有することが望まれる。そのため、離型性、耐熱性、低汚染性、クッション性、剛性、均一な成型性等の特性を有するフィルムが求められている。
このような状況において、離型性、および耐熱性がすぐれていることから、ポリ4−メチルペンテン−1のフィルムが、前記熱プレス成型工程の離型フィルムとして使用することが提案されている(特許文献1、2および3)。
このポリ4−メチルペンテン−1は、融点が235℃と高いため、180℃程度で行われる前記の工程においても、すぐれた離型性、および耐熱性を示し、前記欠点の少ない離型フィルムとして評価されている。ところが、近年、特に配線速度の増大や信頼性向上のために高品質のFPCが要求される傾向があり、その製造時の加熱加圧の条件が厳しいものとなり、ポリ4−メチルペンテン−1のフィルムだけでは、フィルムの剛性が不十分な場合がある。
一方、特許文献4から特許文献9には、このような用途に用いられる離型フィルムとして、フッ素系フィルムや、離型層を設けたフィルムが開示されている。
近年、環境問題や安全性に対する社会的要請の高まりから、これらの離型フィルムに対しては、熱プレス成型に耐える耐熱性、プリント配線板や熱プレス板に対する離型性という機能に加えて、廃棄処理の容易性が求められるようになってきた。さらに、熱プレス成型時の製品歩留まり向上のため、回路部を汚染しないことも重要となってきている。
しかしながら、従来から離型フィルムとして用いられているフッ素系フィルムは、耐熱性、離型性、非汚染性には優れているが、高価である上、使用後の廃棄焼却処理において燃焼しにくく、かつ、有毒ガスを発生するという問題点がある。また、離型層を設けたフィルムは、表面の離型層に含まれる成分の移行によってプリント配線板、とりわけ回路部、回路表面の汚染を引き起こし、品質を損なうおそれがある。
特開昭57−70653号公報 特公昭58−15952号公報 特開2005−307059号公報 特開平5−283862号公報 特開平1−229045号公報 特開平11−105209号公報 特開平11−227108号公報 特開2006−175637号公報 特開2006−175672号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、熱プレス成型時、特にFPC製造時の回路部、回路表面の汚染性を低下させ、十分な離型性を付与した熱プレス成型用離型ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、特定の種類の化合物の組み合わせからなる塗布層を設けることにより、上記課題が解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムに、フッ素含有樹脂とポリアルキレングリコール鎖を含有するブロックイソシアネート架橋剤とを必須成分として含む塗布液を塗布して得られることを特徴とする熱プレス成型用離型ポリエステルフィルムに存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においてポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸のようなジカルボン酸またはそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのようなグリコールとを溶融重縮合させて製造されるポリエステルである。これらの酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルは、通常行われている方法を任意に使用して製造することができる。例えば、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとの間でエステル交換反応をさせるか、あるいは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接エステル化させるかして、実質的に芳香族ジカルボン酸のビスグリコールエステル、またはその低重合体を形成させ、次いでこれを減圧下、加熱して重縮合させる方法が採用される。その目的に応じ、脂肪族ジカルボン酸を共重合しても構わない。
本発明のポリエステルとしては、代表的には、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられるが、その他に上記の酸成分やグリコール成分を共重合したポリエステルであってもよく、必要に応じて他の成分や添加剤を含有していてもよい。
本発明におけるポリエステルフィルムには、フィルムの走行性を確保したり、キズが入ったりすることを防ぐ等の目的で粒子を含有させることができる。このような粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化アルミニウム、酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、さらに、ポリエステル製造工程時の析出粒子等を用いることができる。
用いる粒子の粒径や含有量はフィルムの用途や目的に応じて選択されるが、平均粒径に関しては、通常は0.01〜5.0μmの範囲である。平均粒径が5.0μmを超えるとフィルムの表面粗度が粗くなりすぎたり、粒子がフィルム表面から脱落しやすくなったりする。平均粒径が0.01μm未満では、表面粗度が小さすぎて、十分な易滑性が得られない場合がある。粒子含有量については、ポリエステルに対し、通常0.0003〜3.0重量%、好ましくは0.0005〜2.5重量%の範囲である。粒子含有量が0.0003重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、3.0重量%を超えて添加する場合には破断が頻発してフィルムの生産性が低下する場合がある。また、適宜、各種安定剤、潤滑剤、帯電防止剤等を加えることもできる。
本発明のフィルムの製膜方法としては、通常知られている製膜法を採用でき、特に制限はない。例えば、まず溶融押出によって得られたシートを、ロール延伸法により、70〜145℃で2〜6倍に延伸して、一軸延伸ポリエステルフィルムを得、次いで、テンター内で先の延伸方向とは直角方向に80〜160℃で2〜6倍に延伸し、さらに、150〜250℃で1〜600秒間熱処理を行うことでフィルムが得られる。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムは、単層または多層構造である。多層構造の場合は、表層と内層、あるいは両表層を目的に応じ異なるポリエステルとすることができる。
本発明のポリエステルフィルムは塗布層を有するが、塗布層はフィルムの片面のみに設けていても、両面に設けていても、本発明の概念に当然含まれるものである。
本発明に用いられるフッ素含有樹脂は、代表的なものとしてフッ素含有ビニル重合性単量体の単独重合体または共重合体、フッ素含有ビニル重合性単量体とフッ素原子を含まないビニル重合性単量体との共重合体、またはこれらの混合物や、ポリフルオロアルキル基(以下、Rf基と記す。)を含有する化合物が挙げられる。
Rf基は、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基を意味し、Rf基の炭素数は、1〜20、特に4〜16、が好ましい。また、Rf基の構造は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、直鎖状であるのが好ましい。Rf基中のフッ素原子の割合は、[(Rf基中のフッ素原子数)/(Rf基に対応する同一炭素数のアルキル基中に含まれる水素原子数)]×100(%)で表した場合に60%以上、さらには80%以上、特には実質的に100%、であることが好ましい。Rf基は、塩素原子を含んでいてもよく、また、炭素−炭素結合の間にエーテル性の酸素原子またはチオエーテル性の硫黄原子が挿入されていてもよい。
Rf基を含有する化合物としては、Rf基を有するリン酸エステルまたはその塩、Rf基とメルカプト基とを有するポリフルオロアルキルメルカプタン、Rf基とエポキシ基とを有するポリフルオロアルキルエポキシ化合物、Rf基とウレタン結合を有するポリフルオロアルキルウレタン化合物、Rf基を有するアクリル化合物等が挙げられる。特に、Rf基とウレタン結合を有するポリフルオロアルキルウレタン化合物、Rf基を有するアクリル化合物で併用する架橋剤と反応しうるものは、特に転写性が低く、かつ、離型性に優れ、好ましい。フッ素含有樹脂の含有量は塗膜の全重量に対して通常1〜90重量%、好ましくは5〜80重量%、さらに好ましくは10〜70重量%である。1重量%未満では離型性が不十分となる場合があり、90重量%を超えると非汚染性に不利になる場合がある。
また、本発明における塗布液には、ポリアルキレングリコール鎖を含有するブロックイソシアネート架橋剤も必須成分として含む。ポリアルキレングリコール鎖を含有するブロックイソシアネート架橋剤は、2個以上の活性水素原子を有する化合物と過剰量の多官能イソシアネートとの重付加法により2個以上の遊離イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを作成し、遊離のイソシアネート基を当量以上のブロック剤にてブロックしたものであって、このウレタン化合物中、ポリアルキレングリコール鎖が含有される。
2個以上の活性水素を有する化合物としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等、アルキレンオキシド等、重合組成物およびランダムまたはブロック共重合物あるいは、グリセリンなどの多価アルコールへの付加重合物、εーカプロラクトンの開環重合物などのポリエーテル型、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、無水マレイン酸等の多価カルボン酸または、それらの酸無水物とエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4ーブタンジオール、グリセリン等の多価アルコールとの縮合物のポリエステル型および、ポリエステル型にポリエチレングリコール等アルキレングリコールを共重合したポリエーテルエステル型がある。
多官能イソシアネートとしては、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネートおよびその変性体が好ましく、脂肪族多官能イソシアネート、脂環族多官能イソシアネート、芳香族多官能イソシアネートが挙げられる。変性体としては、ヌレート変性体、トリメチロール変性体、またはビュレット変性体が好ましい。多官能イソシアネートは、イソシアネート基の一部がブロック化されていてもよい。
多官能イソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、フェニレンジイソシアネート(PDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素添加MDI等、およびこれらのイソシアヌレート変性体、トリメチロール変性体、またはトリスビュレットまたは3官能アミン誘導体等が挙げられる。
活性水素原子を有する連鎖延長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンのジアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレングリコール等のチオジグリコール類、および水も挙げられる。
上記イソシアネート基のブロック剤としては、重亜硫酸塩類およびスルホン基を含有したフェノール類、アルコール類、ラクタム類、オキシム類および活性メチレン化合物類等が挙げられる。
ポリアルキレングリコール鎖を含有するブロックイソシアネート架橋剤の含有量は塗膜の全重量に対して好ましくは5〜90重量%、さらに好ましくは10〜80重量%である。5重量%未満では非汚染性において不利となり、多すぎると必要な離型性が得られない場合が生じることがある。
本発明で使用する塗布液中には、必要に応じて水溶性または水分散性のバインダー樹脂を併用することができる。かかるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂等が挙げられる。これらは、それぞれの骨格構造が共重合等により実質的に複合構造を有していてもよい。複合構造を持つバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂グラフトポリエステル、アクリル樹脂グラフトポリウレタン、ビニル樹脂グラフトポリエステル、ビニル樹脂グラフトポリウレタン等が挙げられる。これらの樹脂を含有することで、得られる塗布層の強度や基材フィルムへの密着性を向上することができる。

さらに必要に応じて、その他の架橋反応性化合物を含んでいてもよい。他の樹脂や化合物に含まれる官能基との架橋反応や、自己架橋によって、塗布層の凝集性、表面硬度、耐擦傷性、耐溶剤性、耐水性を改良することができる。使用することのできる架橋反応性化合物としては、メラミン系、ベンゾグアナミン系、尿素系などのアミノ樹脂や、カルボジイミド系、オキサゾリン系、エポキシ系、グリオキサール系などが好適に用いられる。他のポリマー骨格に反応性基を持たせた、ポリマー型架橋反応性化合物も含まれる。
本発明で使用する塗布液は、界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機粒子、無機粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
本発明における塗布液は、取扱い上、作業環境上、また塗布液組成物の安定性の面から、水溶液または水分散液であることが望ましいが、水を主たる媒体としており、本発明の要旨を越えない範囲であれば、有機溶剤を含有していてもよい。
本発明による塗布層は塗布により設けられ、特に本発明では塗布をフィルム製膜中に行うインラインコーティングにより設けられる。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから二軸延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸シート、その後に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルムの何れかにコーティングする。これらの中では、一軸延伸フィルムにコーティングした後にテンターにおいて乾燥および横方向への延伸を行い、さらに基材フィルムと共に熱処理をする方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と塗布層塗設を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、コーティング後に延伸を行うために薄膜コーティングが容易であり、コーティング後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温であるために塗布層の造膜性が向上し、また塗布層とポリエステルフィルムが強固に密着する。特に、塗布層に架橋反応性化合物を含有する場合には、インラインコーティングの高温の熱処理により、反応残基が残りにくくなるというメリットがある。塗布層中に反応残基があることは、フィルムをロール状に巻いたときのブロッキングや、後の工程で塗布層の上に別の層を設けた際に、上塗り層の成分と反応を起こすことがあり好ましくない。
ポリエステルフィルムに塗布液を塗布する方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような塗布技術を用いることができる。具体的には、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、カレンダコーター、押出コーター、バーコーター等のような技術が挙げられる。
塗布層の塗工量は、最終的な被膜としてみた際に、通常0.003〜1.5g/m、好ましくは0.005〜0.5g/m、さらに好ましくは0.01〜0.3g/mである。塗工量が0.003g/m未満の場合は十分な離型性が得られない恐れがあり、1.5g/mを超える塗布層は、外観の悪化や、コストアップを招き好ましくない。なお、塗布層の反対面には他の塗布層や処理が設けられていても構わない。
本発明のフィルムは、熱プレス成形時に使用されることを特徴とする離型ポリエステルフィルムに関するものであり、離型性、非汚染性に優れることから、特にフレキシブルプリント配線板の製造用途に好適に利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における評価方法などは下記のとおりである。
(1)水滴接触角(°)
イオン交換水を2μL滴下し、1分後のフィルム表面における水滴接触角をθ/2法により、接触角測定器(協和界面科学株式会社製CA−A型)を使用して測定した。
(2)離型性の評価方法
多段階プレス機を用い、離型ポリエステルフィルム、FPC、離型ポリエステルフィルムの順に重ね、170℃、20kg/cmで45分加熱加圧後、FPCとの離型性が容易である場合を○、離型性が悪くフィルムが破れる等、加工適正に問題がある場合を×とした。
(3)回路基板の汚染性評価
(2)の方法で得られた加熱加圧後のFPCの回路汚染、電極汚染の有無を目視により観察し、汚染が見られない場合を○、汚染が見られる場合を×とした。
実施例、比較例中で使用したポリエステル原料は次のとおりである。
(ポリエステル1):実質的に粒子を含有しない、極限粘度0.66のポリエチレンテレフタレートのチップ
(ポリエステル2):平均粒径2.5μmの非晶質シリカを0.2重量部含有する、極限粘度0.66のポリエチレンテレフタレートのチップ
また、塗布組成物としては以下を用いた。
(A−1):パーフルオロアルキル基を有するウレタン化合物(旭硝子製 アサヒガードAG)
(A−2):長鎖アルキル基グラフト化合物(中京油脂製 レゼム)
(A−3):パーフルオロアルキル基を有するアクリル化合物(大日本インキ化学工業製 ディックガード)
(A−4):パーフルオロアルキル基を有するアクリル化合物(旭硝子製 アサヒガード AGE)
(A−5):フッ素含有ビニル重合性単量体とフッ素原子を含まないビニル重合性単量体との共重合体(旭硝子製 ルミフロン)
(B−1):ポリアルキレングリコール鎖を有するブロックイソシアネート架橋剤(第一工業製薬製 エラストロン)
(C−1):カルボジイミド化合物(日清紡製 カルボジライト)
(C−2):アルキロールメラミン/尿素共重合の架橋性樹脂(大日本インキ化学工業製 ベッカミン)
(ポリエステルフィルムの製造例)
ポリエステル1とポリエステル2を重量比で92/8でブレンドし、十分に乾燥した後、280〜300℃に加熱溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電密着法を用いて表面温度40〜50℃の鏡面冷却ドラムに密着させながら冷却固化させて、未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作成した。このフィルムを85℃の加熱ロール群を通過させながら長手方向に3.7倍延伸し、一軸配向フィルムとした。この一軸配向フィルムをテンター延伸機に導き、100℃で幅方向に4.0倍延伸し、さらに230℃で熱処理を施し、フィルム厚みが38μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
実施例1:
上記ポリエステルフィルムの製造例に示すとおりの工程の中で、長手方向への延伸後の一軸配向フィルムの片面に、下記に示すとおりの塗布組成物を塗布した。次いでこのフィルムをテンター延伸機に導き、その熱を利用して塗布組成物の乾燥を行い、以降はポリエステルフィルムの製造例と同様にし、フィルム厚みが38μmの基材フィルムの上に0.04g/mの量の塗布層を積層した、積層二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
・塗布液組成:(A−1)を40部、(B−1)を60部とした。ただし「部」とあるのは、樹脂固形分での重量比を表す(以下、同様)。
実施例2〜6および比較例1〜3:
実施例1の工程において、塗布液の組成を下記に変更した以外は同様にして、フィルム厚みが38μmの基材フィルムの上に0.04g/mの量の塗布層を積層した、積層二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
・実施例2塗布液組成:(A−1)を40部、(B−1)を30部、(C−1)を30部とした。
・実施例3塗布液組成:(A−4)を40部、(B−1)を60部とした。
・実施例4塗布液組成:(A−1)を20部、(B−1)を40部、(C−1)を40部とした。
・実施例5塗布液組成:(A−1)を60部、(B−1)を40部とした。
・実施例6塗布液組成:(A−1)を20部、(A−5)を40部、(B−1)を20部、(C−1)を20部とした。
・比較例1塗布液組成:(A−2)を40部、(B−1)を60部とした。
・比較例2塗布液組成:(A−2)を40部、(B−1)を30部、(C−1)を30部とした。
・比較例3塗布液組成:(A−3)を80部、(C−2)を20部とした。
以上にて得られたフィルムの評価特性は下記表1および2に示すとおりである。
Figure 0004805807
Figure 0004805807
本発明のフィルムは、例えば、熱プレス成型用離型フィルムとして好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. ポリエステルフィルムに、フッ素含有樹脂とポリアルキレングリコール鎖を含有するブロックイソシアネート架橋剤とを必須成分として含む塗布液を塗布して得られることを特徴とする熱プレス成型用離型ポリエステルフィルム。
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