JP7188535B2 - セラミックグリーンシート製造用離型フィルム - Google Patents

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本発明は、セラミックグリーンシート製造用離型フィルムに関するものであり、詳しくは超薄層のセラミックグリーンシート製造時にピンホールや厚みムラなどの工程不良の発生を抑制し得るセラミックグリーンシート製造用離型フィルムに関するものである。
従来ポリエステルフィルムを基材とし、その上に離型層を積層した離型フィルムは、積層セラミックコンデンサ、セラミック基板等のセラミックグリーンシート成型用に使用されている。近年、積層セラミックコンデンサの小型化・大容量化に伴い、セラミックグリーンシートの厚みも薄膜化する傾向にある。セラミックグリーンシートは、チタン酸バリウムなどのセラミック成分とポリビニルアセタール樹脂などのバインダー樹脂を含有したスラリーを、離型フィルム上に塗工し乾燥することで成型される。成型したセラミックグリーンシート上に電極を印刷し離型フィルムから剥離した後、セラミックグリーンシートを積層、プレスし、焼成、外部電極を塗布することで積層セラミックコンデンサが製造される。これまで、ポリエステルフィルムの離型層表面にセラミックグリーンシートを成型する場合、離型層表面の微小な突起が、成型したセラミックグリーンシートに影響を与え、ハジキやピンホール等の欠点を生じやすくなるといった問題点があった。そのため、平坦性に優れた離型層表面を実現するための手法が開発されてきた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら近年、さらなるセラミックグリーンシートの薄膜化が進み、1.0μm以下、より詳しくは0.2μm~1.0μmの厚みのセラミックグリーンシートが要求されるようになってきた。そのため、より平滑な離型層表面を持つ離型フィルムが望まれている。加えて、薄膜化に伴いセラミックグリーンシートの強度が低下するため、セラミックグリーンシートを離型フィルムから剥離するときの剥離力を低くかつ均一に行うことも望まれている。すなわち、離型フィルムからセラミックグリーンシートを剥離するときにセラミックグリーンシートにかかる力を極力少なくし、セラミックグリーンシートにダメージを与えないようにすることがより重要になってきている。
近年になって、離型層として、活性エネルギー線照射下で反応するラジカル硬化性物質とシリコーン系成分を含む組成物の硬化物を用いることで、離型層の表面が平滑になることが見出された。また、離型層の弾性率を高めることで、セラミックグリーンシートを剥離する際に、離型層が変形しづらくなり、セラミックグリーンシートに追随しづらくなるために、剥離性にも優れることが見出された(例えば、特許文献2、3参照)。
しかしながら、特許文献2、3に記載された方法によると、ラジカル重合反応ゆえに酸素阻害の影響を受けてしまい、硬化不良が生じてしまうおそれがあった。特に離型層表面に偏析しているシリコーン成分が酸素阻害の影響を受けやすく、ラジカル重合性官能基を有するシリコーン成分を用いる場合には、離型層表面の硬化性が悪化するおそれがあった。その結果、セラミックシート加工や電極印刷時に用いる有機溶剤によって離型層が浸食され、重剥離化や剥離均一性の低下を引き起こし、剥離時にセラミックグリーンシートに欠陥を与えてしまうおそれがあった。
一般的に、不活性ガス雰囲気下でラジカル重合を行うことで、酸素阻害による硬化不良を防ぐことができるが、この場合、特殊な設備の導入が必要であり、また加工速度に制限がかかってしまうため、生産性が悪くコスト面で問題があった。大気中下において製造する際には、酸素阻害による硬化不良を防ぐために、十分な離型層の膜厚を確保する必要があるが、ラジカル硬化性物質は硬化収縮が大きいために、離型層の膜厚が厚いと離型フィルムにカールが発生しやすくなる問題があった。その結果、セラミックグリーンシート成型後の電極印刷の精度が低下するおそれがあり、カールの少ない離型フィルムが求められていた。一方で、カールを抑制するために離型層の膜厚を薄くすると、酸素阻害による硬化不良を起こしやすくなり、離型層の耐溶剤性が悪化して、重剥離化を引き起こすおそれがあった。
すなわち、大気中下で活性エネルギー線照射によって反応する光ラジカル硬化性物質を用いて、離型層を膜厚を薄く、具体的には0.5μm以下、さらには0.3μm以下で硬化させた場合には、酸素阻害の影響でラジカル硬化反応が効率的に進行しないために、硬化不良を引き起こし、剥離時にセラミックグリーンシートにダメージを与えるおそれがあった。
特開2000-117899号公報 国際公開第2013/145864号 国際公開第2013/145865号
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、離型フィルムの離型層表面の高い平滑性を維持しつつ、耐溶剤性に優れ、硬化収縮が小さく、剥離力が低く均一である離型層を提供することで、厚みが1μm以下の超薄層品でも欠陥が少ないセラミックグリーンシートを成型できるセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを提供しようとするものである。
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を設けた離型フィルムであって、前記離型層表面の領域表面平均粗さ(Sa)が7nm以下であり、前記離型層が(メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択される1種類以上のラジカル硬化性官能基を有するラジカル硬化性物質(a)、チオール基含有化合物(b)、離型剤(c)、ラジカル開始剤(d)を含有する組成物が硬化されてなるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
2. チオール基含有化合物(b)が、(メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択されるラジカル硬化性官能基を有していない上記第1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
3. チオール基含有化合物(b)が、1分子内に2つ以上のチオール基を持つ化合物である上記第1または第2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
4. 離型層表面のジヨードメタン接触角θと前記離型フィルムをトルエン浸漬した後の離型層表面のジヨードメタン接触角θの差(θ1-θ)が絶対値として3.0°以下である上記第1~第3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
5. 離型剤(c)が、シリコーン成分を含有する化合物である上記第1~第4のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
6. 離型剤(c)が、分子内にフッ素原子を含む化合物である上記第1~第4のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
7. チオール基含有化合物(b)の含有量が、離型層を形成する組成物の質量総和に対して1~30質量%である上記第1~第6のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
8. ポリエステルフィルムが、無機粒子を実質的に含有していない表面層A及び無機粒子を含有する反対側の表面層Bを有し、表面層A上に離型層が設けられており、前記表面層Bが含有する無機粒子がシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子であり、無機粒子の合計が表面層B中に5000~15000ppm含有されている上記第1~第7のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
9. 離型層の膜厚が0.01μm以上、0.5μm以下の範囲である上記第1~第8のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
10. (メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択される1種類以上のラジカル硬化性官能基を有するラジカル硬化性物質(a)、チオール基含有化合物(b)、離型剤(c)、ラジカル開始剤(d)を含有する組成物を大気中で硬化させて離型層を形成する上記第1~第9のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムの製造方法。
11. 0.2μm~1.0μmの厚みを有するセラミックグリーンシートの製造方法であって、上記第1~第9のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いるセラミックグリーンシートの製造方法
12. 上記第11に記載のセラミックグリーンシートの製造方法を採用するセラミックコンデンサの製造方法。
本発明のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムは、ラジカル硬化性物質特有の問題である酸素阻害を抑制し、離型層表面の硬化性を高めることができるため、耐溶剤性と剥離性に優れた離型フィルムを提供することができる。また、硬化収縮を小さくすることができるため、カールの発生が抑制され、セラミックグリーンシートの厚みムラの発生や電極印刷精度が低下するおそれのないセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを提供することができる。
本発明者らは、2軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に直接又は他の層を介して離型層を設け、離型層表面の領域表面平均粗さ(Sa)を7nm以下とし、離型層の構成をラジカル硬化性物質(a)、チオール基含有化合物(b)、離型剤(c)、ラジカル開始剤(d)を含有する組成物を硬化させたものとすることで、大気中下でも離型層の膜厚を薄くすることができ、カールの発生がない離型フィルムを提供できることを見出した。以下、本発明について詳細に説明する。
(ポリエステルフィルム)
本発明の基材として用いるポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、特に限定されず、離型フィルム用基材として通常一般に使用されているポリエステルをフィルム成型したものを使用することが出来るが、好ましくは、芳香族二塩基酸成分とジオール成分からなる結晶性の線状飽和ポリエステルであるのが良く、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート又はこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体がさらに好適であり、とりわけポリエチレンテレフタレートから形成されたポリエステルフィルムが特に好適である。ポリエチレンテレフタレートは、エチレンテレフタレートの繰り返し単位が好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であり、他のジカルボン酸成分、ジオール成分が少量共重合されていてもよいが、コストの点から、テレフタル酸とエチレングリコールのみから製造されたものが好ましい。また、本発明のフィルムの効果を阻害しない範囲内で、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶化剤などを添加してもよい。ポリエステルフィルムは双方向の弾性率の高さ等の理由から二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましい。
上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの固有粘度は0.50~0.70dl/gが好ましく、0.52~0.62dl/gがより好ましい。固有粘度が0.50dl/g以上の場合、延伸工程で破断が多く発生することがなく好ましい。逆に、0.70dl/g以下の場合、所定の製品幅に裁断するときの裁断性が良く、寸法不良が発生しないので好ましい。また、原料は十分に真空乾燥することが好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムの製造方法は特に限定されず、従来一般に用いられている方法を用いることが出来る。例えば、前記ポリエステルを押出機にて溶融して、フィルム状に押出し、回転冷却ドラムにて冷却することにより未延伸フィルムを得て、該未延伸フィルムを二軸延伸することにより得ることが出来る。二軸延伸フィルムは、縦方向あるいは横方向の一軸延伸フィルムを横方向または縦方向に逐次二軸延伸する方法、或いは未延伸フィルムを縦方向と横方向に同時二軸延伸する方法で得ることが出来る。
本発明において、ポリエステルフィルム延伸時の延伸温度はポリエステルの二次転移点(Tg)以上とすることが好ましい。縦、横おのおのの方向に1~8倍、特に2~6倍の延伸をすることが好ましい。
上記ポリエステルフィルムは、厚みが12~50μmであることが好ましく、さらに好ましくは15~38μmであり、より好ましくは、19~33μmである。フィルムの厚みが12μm以上であれば、フィルム生産時や加工工程、成型の時に、熱により変形するおそれがなく好ましい。一方、フィルムの厚みが50μm以下であれば、使用後に廃棄するフィルムの量が極度に多くならず、環境負荷を小さくする上で好ましい。
上記ポリエステルフィルム基材は、単層であっても2層以上の多層であったも構わないが、少なくとも片面には実質的に無機粒子を含まない表面層Aを有する積層フィルムであることが好ましい。2層以上の多層構成からなる積層ポリエステルフィルムの場合は、実質的に無機粒子を含有しない表面層Aの反対面には、無機粒子などを含有することができる表面層Bを有することが好ましい。積層構成としては、離型層を塗布する側の層をA層、その反対面の層をB層、これら以外の芯層をC層とすると、厚み方向の層構成は離型層/A/B、あるいは離型層/A/C/B等の積層構造が挙げられる。当然ながらC層は複数の層構成であっても構わない。また、表面層Bには無機粒子を含まないこともできる。その場合、フィルムをロール状に巻き取るための滑り性付与するため、表面層B上には少なくとも無機粒子とバインダーを含んだコート層を設けることが好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルム基材において、離型層を塗布する面を形成する表面層Aは、実質的に無機粒子を含有しないことが好ましい。このとき、表面層Aの領域表面平均粗さ(Sa)は、7nm以下が好ましい。Saが7nm以下であると、積層する超薄層セラミックグリーンシートの成型時にピンホールなどの発生が起こりにくく好ましい。表面層Aの領域表面平均粗さ(Sa)は小さいほど好ましいと言えるが、0.1nm以上であって構わない。ここで、表面層A上に後述のアンカーコート層などを設ける場合は、コート層に実質的に無機粒子を含まないことが好ましく、コート層積層後の領域表面平均粗さ(Sa)が前記範囲に入ることが好ましい。本発明において、「無機粒子を実質的に含有しない」とは、無機粒子が、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、最も好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。これは積極的に無機粒子をフィルム中に添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分や、原料樹脂あるいはフィルムの製造工程におけるラインや装置に付着した汚れが剥離して、フィルム中に混入する場合があるためである。
本発明におけるポリエステルフィルム基材において、離型層を塗布する面の反対面を形成する表面層Bは、フィルムの滑り性や空気の抜けやすさの観点から、無機粒子を含有することが好ましく、特にシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子を用いることが好ましい。含有される無機粒子含有量は、表面層B中に無機粒子の合計で5000~15000ppm含有することが好ましい。このとき、表面層Bのフィルムの領域表面平均粗さ(Sa)は、1~40nmの範囲であることが好ましい。より好ましくは、5~35nmの範囲である。シリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子の合計が5000ppm以上、Saが1nm以上の場合には、フィルムをロール状に巻き上げるときに、空気を均一に逃がすことができ、巻き姿が良好で平面性良好により、超薄層セラミックグリーンシートの製造に好適なものとなる。また、シリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子の合計が15000ppm以下、Saが40nm以下の場合には、滑剤の凝集が生じにくく、粗大突起ができないため、超薄層のセラミックグリーンシート製造時に品質が安定し好ましい。
上記B層に含有する粒子としては、シリカ及び/又は炭酸カルシウム以外に不活性な無機粒子及び/又は耐熱性有機粒子なども用いることができるが、透明性やコストの観点からシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子を用いることがより好ましい。また、他に使用できる無機粒子としては、アルミナ-シリカ複合酸化物粒子、ヒドロキシアパタイト粒子などが挙げられる。また、耐熱性有機粒子としては、架橋ポリアクリル系粒子、架橋ポリスチレン粒子、ベンゾグアナミン系粒子などが挙げられる。またシリカ粒子を用いる場合、多孔質のコロイダルシリカが好ましく、炭酸カルシウム粒子を用いる場合は、ポリアクリル酸系の高分子化合物で表面処理を施した軽質炭酸カルシウムが、滑剤の脱落防止の観点から好ましい。
上記表面層Bに添加する無機粒子の平均粒子径は、0.1μm以上2.0μm以下が好ましく、0.5μm以上1.0μm以下が特に好ましい。無機粒子の平均粒子径が0.1μm以上であれば、離型フィルムの滑り性が良好であり好ましい。また、平均粒子径が2.0μm以下であれば、離型層表面の粗大粒子によるセラミックグリーンシートにピンホールが発生するおそれがなく好ましい。
上記表面層Bには素材の異なる粒子を2種類以上含有させてもよい。また、同種の粒子で平均粒径の異なるものを含有させてもよい。
表面層Bに粒子を含まない場合は、表面層B上に粒子を含んだコート層で易滑性を持たせることが好ましい。本コート層は、特に限定されないが、ポリエステルフィルムの製膜中に塗工するインラインコートで設けることが好ましい。表面層Bに粒子を含まず、表面層B上に粒子を含むコート層を有する場合、コート層の表面は、上述の表面層Bの領域表面平均粗さ(Sa)と同様の理由により、領域表面平均粗さ(Sa)が1~40nmの範囲であることが好ましい。より好ましくは、5~35nmの範囲である。
上記離型層を設ける側の層である表面層Aには、ピンホール低減の観点から、滑剤などの無機粒子の混入を防ぐため、再生原料などを使用しないことが好ましい。
上記離型層を設ける側の層である表面層Aの厚み比率は、基材フィルムの全層厚みの20%以上50%以下であることが好ましい。20%以上であれば、表面層Bなどに含まれる粒子の影響をフィルム内部から受けづらく、領域表面平均粗さSaが上記の範囲を満足することが容易であり好ましい。基材フィルムの全層の厚みの50%以下であると、表面層Bにおける再生原料の使用比率を増やすことができ、環境負荷が小さく好ましい。
また、経済性の観点から上記表面層A以外の層(表面層Bもしくは前述の中間層C)には、50~90質量%のフィルム屑やペットボトルの再生原料を使用することができる。この場合でも、B層に含まれる滑剤の種類や量、粒径ならびに領域表面平均粗さ(Sa)は、上記の範囲を満足することが好ましい。
また、後に塗布する離型層などの密着性を向上させたり、帯電を防止するなどのために表面層A及び/または表面層Bの表面に製膜工程内の延伸前または一軸延伸後のフィルムにコート層を設けてもよく、コロナ処理などを施すこともできる。
(離型層)
本発明における離型層は、(メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択されるラジカル硬化性官能基を有するラジカル硬化性物質(a)、チオール基含有化合物(b)、離型剤(c)、ラジカル開始剤(d)を含有する組成物を硬化させてなることが好ましい。本発明の機能を損なわない範囲で、前記樹脂や添加剤以外にも添加することができる。ここで、本発明においてラジカル硬化性物質(a)やチオール基含有化合物(b)は、塗布層中で硬化された後の状態では、化合物の構造が変化していると考えられるが、変化した構造そのものを正確に表現し記載することは極めて困難であるため、前記のように「離型層が(メタ)アクリロイルおよびアルケニル基から選択されるラジカル硬化性官能基を有するラジカル硬化性物質(a)、チオール基含有化合物(b)、離型剤(c)、ラジカル開始剤(d)を含有する組成物が硬化されてなる」と表現している。
(ラジカル硬化性物質(a))
ラジカル硬化性物質(a)は、(メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択されるラジカル硬化性官能基を有していることが好ましく、1種類でも2種類以上のラジカル硬化性官能基を有する物質を用いても構わない。ラジカル硬化は、反応速度が非常に早いため、ラジカル開始剤の開裂と同時に瞬時に重合反応が進行し、架橋密度の高い塗膜を形成することできる。離型層の架橋密度を高めることで離型層を高弾性率化でき、セラミックグリーンシート剥離時に離型層が変形しづらくなり、低い剥離力で均一にセラミックグリーンシートを剥離できるため好ましい。なお、本発明におけるアルケニル基とは、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ヘキセニル基などの炭素数が2~10のものをさす。
ラジカル硬化性官能基数としては、3つ以上であることが架橋密度を高めるという観点から好ましく、6つ以上であることがより好ましく、9つ以上であることがさらに好ましい。官能基数に特に上限はないが、20以下であることが好ましい。20以下とすることで、分子間の架橋反応よりも分子内反応が進行しやすくなり、効率的に離型層の弾性率向上の効果が得られて好ましい。
ラジカル硬化性物質としては、アクリレート、メタクリレート、ウレタンアクリレート、アクリルアミド、アリル化合物、メタリル化合物、マレイミド化合物などが挙げられるが、反応性の観点からアクリレート、メタクリレート、ウレタンアクリレート、アリル化合物、メタリル化合物が好ましく、アクリレート、メタクリレート、ウレタンアクリレートが最も好ましい。アクリレートやメタクリレートは硬化収縮が比較的大きいが、本発明おいては、膜厚を薄くすることができるためにカール等の外観不良が発生するおそれがなく、好適に用いることができる。カールという観点では、ウレタンアクリレートが硬化収縮が小さく最も好適である。
用いるラジカル硬化性物質は、モノマーでもオリゴマーでもポリマーでも良いが、有機溶媒への溶解性や、取扱い性の観点からモノマーまたはオリゴマーを用いることが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリレートとしてモノマーを用いる際は、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレートとしてオリゴマーを用いる際は、例えば、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレート系オリゴマー、エポキシアクリレート系オリゴマー、ポリエーテルアクリレート系オリゴマー、ポリブタジエンアクリレート系オリゴマー、シリコーンアクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
本発明で用いるウレタンアクリレートとは、分子鎖中にウレタン結合と、アクリロイル基及びメタクリロイル基より選択される1種以上のラジカル硬化性官能基を有するものをいう。合成方法は特に限定されないが、例えば、多価アルコール及び有機ポリイソシアネートとヒドロキシアクリレートとの反応によって得ることができる。
上記多価アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール、ビス-[ヒドロキシメチル]-シクロヘキサン等;上記多価アルコールと多塩基酸(例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等)との反応によって得られるポリエステルポリオール;上記多価アルコールとε-カプロラクトンとの反応によって得られるポリカプロラクトンポリオール;ポリカーボネートポリオール(例えば、1,6-ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートジオール等);及び、ポリエーテルポリオールを挙げられる。上記ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA等を挙げられる。
上記有機ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジシクロペンタニルイソシアネート等のイソシアネート化合物、これらイソシアネート化合物の付加体、或いはこれらイソシアネートの多量体等が挙げられる。
上記ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチロールシクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートであることが硬度の面から好ましい。
本発明に使用するウレタンアクリレートは市販されているものを用いることもできる。市販品の例としては、日本合成化学工業社製:UV1700B(10官能)、UV7620EA(9官能)、UV7610B(9官能)、UV7600B(6官能)、UV7650B(5官能)、日本化薬社製:DPHA40H(10官能)、UX5003(6官能)、荒川化学工業社製:ビームセット577(6官能)、大成ファインケミカル社製:8UX-015A(15官能)及び、新中村化学工業社製:U15HA(15官能)等を挙げることができる。
本発明の離型層に用いるアルケニル基を有する化合物は、特に限定されず一般的なものを好適に用いることができる。市販されているものの例としては、日本化成社製:TAIC(登録商標)トリアリルイソシアヌレート(3官能)、四国化成社製:LDAIC(2官能)、TA-G(4官能)、DD-1(4官能)などが挙げられる。
(チオール基含有化合物(b))
本発明における離型層は、チオール基含有化合物を含むことが好ましい。チオール基含有化合物はラジカル重合反応の硬化促進剤として働くため、酸素阻害の影響を受けづらく、大気中下においても優れた反応性を示す。そのため、離型層表面の硬化性を高め、耐溶剤性を向上させることができるため好ましい。また、酸素阻害が抑制されるため、離型層を薄膜にしても、耐溶剤性の悪化や、剥離不良を起こすことがないため好ましい。さらに、チオール基含有化合物は、ラジカル硬化性官能基と付加重合反応が進行するため、ラジカル硬化性物質の架橋構造に組み込まれ、チオール基含有化合物由来の柔軟構造が硬化物に導入される。このため、離型層の膜厚が厚くても、ラジカル硬化性物質特有の問題である硬化収縮が抑えられ、セラミックグリーンシート成型時に、セラミックグリーンシートの厚みムラの発生や、電極印刷精度の低下を引き起こすおそれがなく好ましい。
ラジカル硬化性物質を含む塗膜を大気中下で硬化させる際には、酸素阻害によって表面に水酸基やカルボキシル基といった極性基が形成されるため、セラミックスラリーの濡れ性が向上する。不活性ガス雰囲気下でラジカル硬化性物質を含む塗膜を硬化させた場合には、酸素阻害抑制効果が大きく、表面の硬化性を高めることができるが、一方で、セラミックスラリーの濡れ性が悪くなり、成型したセラミックグリーンシートにハジキやピンホールが発生しやすくなるという問題があった。チオール基含有化合物は、表面硬度の向上と酸素阻害による濡れ性向上の相反する2つの効果を共に発現させることができるため好ましい。
さらにチオール基含有化合物を含む硬化物からなる離型層とすることで、S原子が離型層に導入されるため、成型したセラミックグリーンシートとの親和性が向上する。このため、搬送中にセラミックグリーンシートが浮きづらくなり、不良の発生を抑制することができるため好ましい。
チオール基含有化合物は、特に限定されず一般的なものが用いられるが、(メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択されるラジカル硬化性官能基を含んでいないことが好ましい。前記ラジカル硬化性官能基を有していないチオール基含有化合物を用いることで、硬化促進剤として働くチオール基よりも同分子内にあるラジカル硬化性官能基同士が優先的に反応してしまい、酸素阻害抑制の効果を得られなくなるおそれがなく好ましい。なお、本発明におけるチオール基含有化合物とは、水素化された硫黄原子を末端に持つ有機化合物のことを指し、チオアルコールと呼ばれる化合物と同義である。また、チオール基とはメルカプト基、スルフヒドリル基と呼ばれることもある。
チオール基含有化合物の官能基数としては、2つ以上であることが好ましく、3つ以上であることがより好ましく、4つ以上であることが最も好ましい。官能基数が2つ以上であることで、ラジカル硬化性物質と架橋構造を取りやすくなり、酸素阻害抑制の効果が得やすくなるため好ましい。
チオール基含有化合物としては、例えば、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
チオール基含有化合物は、市販のものをそれぞれ好適に用いることができる。例としては、昭和電工社製:カレンズMT(登録商標)BD1(2官能)、NR1(3官能)、PE1(4官能)、SC有機化学社製:TMMP(3官能)、TEMPIC(3官能)、PEMP(4官能)、EGMP-4(4官能)DPMP(6官能)等を挙げることができる。
チオール基含有化合物としては、ポリマーでもオリゴマーでもモノマーであってもそれぞれ好適に用いることができるが、モノマーであることが最も好ましい。分子量としては、10000以下であることが好ましく、1000以下であることが最も好ましい。分子量を10000以下とすることで一定質量あたりのチオール基の数が、ラジカル硬化の促進効果を得るために十分な数となるため好ましい。
前記離型層に含まれるチオール基含有化合物の含有量は、離型層全体の固形分に対して、1~30質量%以下であることが好ましく、2~25質量%以下であることがより好ましく、5~20質量%以下であることが最も好ましい。チオール基含有化合物の含有量を1質量%以上とすることで、ラジカル硬化反応を促進し、酸素阻害を受けづらくする効果が十分に得られるため好ましい。含有量を30質量%以下とすることで、チオール基含有化合物によって硬化物が柔軟になりすぎず、ラジカル硬化性物質間の架橋による弾性率向上の効果が得られるため好ましい。
(離型剤(c))
本発明における離型層に用いる離型剤(離型性を付与するための添加剤)としては、シリコーン系添加剤や、フッ素系、長鎖アルキル系、オレフィン系などの非シリコーン系添加剤などをそれぞれ好適に用いることができる。
シリコーン系添加剤とは、シロキサン結合に有機基がついたポリオルガノシロキサンを有する材料のことであり、本発明の効果を得られる範囲であれば特に限定されず、一般的なものを使用することができる。ポリオルガノシロキサンの中でもジアルキルシロキサンを好適に使用することができ、中でもジメチルシロキサンを用いることがより好ましく、ジメチルシロキサンの一部に官能基を有するものがさらに好ましい。官能基を有することでラジカル硬化性物質と水素結合などの分子間相互作用が発現しやすくなりセラミックグリーンシートへの移行が生じづらくなるため好ましい。
ポリジメチルシロキサンに導入する官能基としては特に限定されず、反応性官能基でも非反応性官能基でも構わない。また、官能基はポリジメチルシロキサンの片末端に導入されていてもよいし、両末端でも側鎖でも構わない。また、導入される位置は1つでもよいし、複数でも構わない。
ポリジメチルシロキサンに導入する反応性官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、チオール基などを使用することができる。中でも、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、チオール基といったラジカル硬化性官能基を有していることが好ましい。ラジカル硬化性官能基を有するポリジメチルシロキサンを用いることで、ラジカル硬化性物質(a)やチオール基含有化合物(b)と架橋構造を取ることができ、セラミックグリーンシートへの移行が生じづらくなるため好ましい。耐溶剤性という観点では、反応性官能基の数が多いほど架橋構造を取りやすくなるため好ましい。なお、ここで示すラジカル硬化性官能基とは、(メタ)アクリロイル基やアルケニル基といった、ラジカル硬化反応において架橋点となりうる官能基を指す。
ポリジメチルシロキサンに導入する非反応性官能基としては、ポリエーテル基、アルキル基、フルオロアルキル基、長鎖アルキル基、エステル基、アミド基、フェニル基などを使用することができる。
シリコーン成分としては、ポリジメチルシロキサンを側鎖に有するアクリル樹脂やポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などのポリジメチルシロキサン変性樹脂を使用することが特に好ましい。ポリジメチルシロキサン変性樹脂は他の一般的な離型剤に比べラジカル硬化性物質との相溶性がよく均一な離型層を形成することができるため、剥離性が向上し好ましい。また、ラジカル硬化性物質と分子間相互作用が発現しやすく、耐溶剤性が向上するため好ましい。さらには、剥離時にセラミックグリーンシートへの離型剤の移行が生じづらくなるため好ましい。ポリジメチルシロキサン変性樹脂の中でも、ラジカル硬化性官能基を持つポリジメチルシロキサン変性樹脂を用いることが好ましい。ラジカル硬化性官能基を有するポリジメチルシロキサン変性樹脂は、ラジカル硬化性物質(a)やチオール基含有化合物(b)と架橋構造を取ることができるため、耐溶剤性がより向上するため好ましい。
ポリジメチルシロキサン骨格を側鎖に有するアクリル樹脂の市販品の例としては、サイマック(登録商標)US350、サイマック(登録商標)US352、(東亜合成社製)、8BS-9000(大成ファインケミカル社製)、GL-01、GL-03R(共栄社化学社製)などが挙げられる。ポリジメチルシロキサン骨格とラジカル硬化性官能基を側鎖に有するアクリル樹脂の市販品の例としては、8SS-723、(大成ファインケミカル社製)、GL-02、GL-04R(共栄社化学社製)などが挙げられる。
フッ素系添加剤としては、特に限定されず既存のものを使用できる。例えば、パーフルオロ基を有するものやパーフルオルエーテル基を有するものが好適に使用できる。シリコーン系添加剤同様の理由で、官能基を有している方が好ましく、ラジカル硬化性官能基を有していることがさらに好ましい。市販品としては、8FX-038EX(大成ファインケミカル社製)、オプツール(登録商標)(ダイキン工業社製)、メガファック(登録商標)RS-72-K、RS-75、RS-78(以上、DIC社製)、エフエスコート(登録商標)UT-UCH23(AGCセイミケミカル社製)、EBECRYL(登録商標)8110(ダイセル・オルネクス社製)、エフクリア(登録商標)(関東電化工業社製)などが挙げられる。
長鎖アルキル系添加剤としては、長鎖アルキル変性された樹脂を使用することができ、ポリビニルアルコールやアクリル樹脂などの側鎖に炭素数が8~20程度のアルキル基を有するものが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステルを主な繰り返し単位とする重合体であり、エステル交換された部分に炭素数8~20の長鎖アルキル基を含む共重合体も好適に使用することができる。また、長鎖アルキルにアクリレート基がついたオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートなども好適に使用することができる。
長鎖アルキル系添加剤の市販されているものの例としては、ピーロイル(登録商標)1010、1050、1070(以上、ライオン・スペシャリティケミカルズ社製)、テスファイン(登録商標)305、314(以上、日立化成社製)などが挙げられる。
オレフィン系添加剤としては、特に限定されず一般的なものを使用できる。例えば、ポリブタジエンやシクロオレフィン系樹脂などが好適に使用できる。市販品としては、NISSO-PB(登録商標) Bシリーズ、Gシリーズ、JPシリーズ(以下、日本曹達社製)、ARTON(登録商標)(JSR社製)などが挙げられる。
また、上記離型剤を2種類以上混合して用いてもよい。このとき、特に理論で制限されるわけではないが、異なる官能基を持つ2種類を用いた方が、剥離性の面で優れ、反応性官能基を含有している方がより好適である。
本発明における離型層には、離型剤(c)が離型層全体の固形分に対して0.05質量%以上、20質量%以下含まれることが好ましい。より好ましくは、0.1質量%以上、10質量%以下、さらに好ましくは、0.1質量%以上、5質量%以下である。0.1質量%よりも多くすることで離型性が付与され、セラミックグリーンシートの剥離性が悪化するおそれがなく好ましい。20質量%よりも少なくすることで、セラミックスラリーを塗工したときに、ハジキが発生しづらくなり、セラミックグリーンシートに厚みムラが生じるおそれがなくなるため。
(ラジカル開始剤(d))
本発明における離型層にはラジカル硬化反応を進行させるために、ラジカル開始剤を用いることが好ましい。ラジカル開始剤としては、熱ラジカル開始剤および光ラジカル開始剤のどちらも好適に用いることができるが、光ラジカル開始剤を用いるほうが、加工時の熱量を抑えることができるため好ましい。用いる開始剤は、1種類でも2種類以上でもよく、光ラジカル開始剤と熱ラジカル開始剤を同時に用いてもよい。
ラジカル開始剤としては、特に限定されず一般的なものが使用できる。具体的な例としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4-ジエチルチオキサンソン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β-クロールアンスラキノン、(2,4,6-トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2-ベンゾチアゾール-N,N-ジエチルジチオカルバメート等が挙げられる。
ラジカル開始剤としては、特に表面硬化性に優れるとされる、α-ヒドロキシアルキルフェノンやα-アミノアルキルフェノンが、酸素阻害を抑制するために好適に用いることができる。α-ヒドロキシアルキルフェノンの例としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン等が挙げられる。α-アミノアルキルフェノンの例としては、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリル)フェニル]-1-ブタノン等が挙げられる。
光ラジカル開始剤を用いる際には、増感剤を添加することで、活性エネルギー線の吸収を促進し、より硬化性を向上させることができる。増感剤としては特に限定されず一般的なものが使われるが、アントラセン誘導体、ナフタレン誘導体が好適である。増感剤は1種類でも2種類以上を用いてもよい。
ラジカル開始剤の添加量は、離型層中の全固形分に対して、0.1質量%以上、20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上、10質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上、8質量%以下であることが最も好適である。0.1質量%以上とすることで、発生するラジカルの量が不十分となり硬化不足となるおそれがなく好ましい。20質量部以下とすることで、離型層中に含まれるラジカル開始剤の残渣の量が少なくなり、剥離性の低下や成型するセラミックグリーンシートへの移行を抑えることができるために好ましい。
増感剤の添加量は、光ラジカル開始剤に対して質量として0.1~5倍であることが好ましい。より好ましくは、0.1~2倍であることが好ましい。0.1倍よりも大きいと、十分な増感効果が得られるために好ましい。5倍よりも小さいと、光ラジカル開始剤の活性エネルギー線の吸収を阻害し、発生するラジカルの量が不足するおそれがなく好ましい。
本発明における離型層には、粒径が1μm以下の粒子などを含有することができるが、ピンホール発生の観点から粒子など突起を形成するものは含有しないほうが好ましい。
本発明における離型層には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、密着向上剤や、帯電防止剤などの添加剤などを添加してもよい。また、基材との密着性を向上させるために、離型塗布層を設ける前にポリエステルフィルム表面に、アンカーコート、コロナ処理、プラズマ処理、大気圧プラズマ処理等の前処理をすることも好ましい。
本発明において、離型層の厚みは、その使用目的に応じて設定すれば良く、特に限定されないが、好ましくは、硬化後の離型塗布層が0.01~0.5μmとなる範囲がよく、より好ましくは、0.05~0.4μmであり、0.1~0.4μmであればより好ましい。特に、無機粒子を実質的に含有していない表面層Aを有するポリエステルフィルムの前記表面層A上に離型層を設ける場合には、離型層の厚みはさらに薄い方が塗材コストが下がり、経済的であり、カールの発生も抑制することができるために好ましい。具体的には0.4μm以下であれば好ましく、0.3μm以下であることがより好適である。離型層の厚みが0.01μmより厚いと十分な剥離性能が得られるため好ましい。また、0.5μmよりも薄いと、硬化収縮による離型フィルムのカールが生じづらいため、セラミックグリーンシートの厚みムラの発生や、電極印刷精度の低下を引き起こすおそれがなく好ましい。
本発明の離型フィルムの離型層表面は、その上で塗布・成型するセラミックグリーンシートに欠陥を発生させないために、平坦であることが望ましく、領域表面平均粗さ(Sa)が7nm以下であることが好ましい。また、前記Saを満足し、かつ離型層表面の最大突起高さ(P)が100nm以下であることが更に好ましい。領域表面平均粗さ(Sa)が5nm以下かつ最大突起高さ80nm以下であれば特に好ましい。領域表面粗さが7nm以下であれば、セラミックグリーンシート形成時に、ピンホールなどの欠点の発生がなく、歩留まりが良好で好ましい。領域表面平均粗さ(Sa)は小さいほど好ましいと言えるが、0.1nm以上であっても構わず、0.3nm以上であっても構わない。最大突起高さ(P)も小さいほど好ましいと言えるが、1nm以上でも構わず、3nm以上であっても構わない。
本発明の離型フィルムは、セラミックグリーンシートを剥離するときの剥離力が0.5mN/mm以上、4.0mN/mm以下であることが好ましい。より好ましくは、0.8mN/mm以上、3.0mN/mm以下である。剥離力が0.5mN/mm以上であると、剥離力が軽すぎて搬送時にセラミックグリーンシートが浮いてしまうおそれがなく好ましい。剥離力が4.0mN/mm以下であると剥離時にセラミックグリーンシートがダメージを受け、欠陥を生じるおそれがないため好ましい。
本発明の離型フィルムは、耐溶剤性が高いほどセラミックシート加工や電極印刷時の有機溶剤、例えばトルエンなどによる離型層の浸食が抑えられるため好ましい。耐溶剤性は、離型フィルムを有機溶媒に浸漬させた前後の離型層の表面状態の差を評価することで確かめることができる。有機溶剤としては、セラミックグリーンシート加工や電極印刷を想定し、一般的なセラミックスラリーや導電性ペーストに用いられるトルエンを用いることが好ましい。離型層の表面状態を評価する方法の一例としては、接触角による評価が挙げられ、トルエン浸漬前後の離型層表面の接触角変化が小さいほど好ましい。
接触角を測定する際に用いる液摘の種類は特に制限されないが、水、ブロモナフタレン、エチレングリコールなどをそれぞれ好適に用いることができるが、離型層の表面状態の差をより顕著に見ることのできるジヨードメタンを用いることが最も好ましい。
接触角の測定に用いる液摘としてジヨードメタンを用いた際には、離型層表面のジヨードメタン接触角θと離型フィルムをトルエンに室温、5分間浸漬した後の離型層表面の接触角θの差(θ-θ)の値が小さいほど、離型層表面の耐溶剤性が良く好ましい。具体的には、絶対値として3.0°以下であることが好ましく、2.0°以下であることが更に好ましく、1.0°以下であることが最も好ましい。3.0°以下であると、セラミックグリーンシート加工や電極印刷時の有機溶剤による離型層の浸食が抑えられ、剥離力の増大や剥離の均一性が損なわれるおそれがないため好ましい。離型層表面のジヨードメタン接触角θと離型フィルムをトルエンに室温、5分間浸漬した後の離型層表面の接触角θの差(θ-θ)は0°が最も好ましいが、絶対値として0.05°以上であっても構わず、0.1°以上であっても構わない。
本発明の離型フィルムは、カールが少ないほど好ましい。カールが少ないと、セラミックグリーンシート塗布成型時の均一性が悪化し、セラミックグリーンシートの膜厚が不均一になるおそれがなく好ましい。また、電極印刷工程で印刷精度が低下するおそれがなく好ましい。さらに、ロール搬送時に、離型フィルムの張力にフィルム中央部と端部で差が生じづらくなり、搬送中の蛇行や巻ズレなどの外観品位が悪化するおそれがなく好ましい。
(離型層の形成方法)
本発明において、離型層の形成方法は、特に限定されず離型性の樹脂等を含む組成物を溶解もしくは分散させた塗液を、基材のポリエステルフィルムの一方の面に塗布等により展開し、溶媒等を乾燥により除去、加熱乾燥した後、活性エネルギー線の照射や熱によって硬化させる方法が用いられる。
光ラジカル開始剤を用いて硬化させる際には、溶媒乾燥の乾燥温度は、50℃以上、100℃以下であることが好ましく、60℃以上、95℃以下であることがより好ましい。その加熱時間は、30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。100℃以下の場合、フィルムへの熱的な負荷が抑えられ、フィルムの熱収縮等に起因する外観不良が起きづらく、セラミックグリーンシートの厚みムラを引き起こすおそれが小さく好ましい。95℃以下であるとフィルムへの熱的な負荷が更に低下し、フィルムの平面性を損なうことなく加工することができ、セラミックグリーンシートの厚みムラを引き起こすおそれが更に低下するので特に好ましい。50℃よりも高いと塗布する際に用いた希釈溶媒の乾燥が不十分となり、工程汚染等が生じるおそれがなくなるため好ましい。
光ラジカル開始剤を用いてラジカル硬化性物質を反応させるために用いる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線などが使用することができるが、紫外線が使用しやすく好ましい。照射する紫外線量としては積算光量で30~300mJ/cmが好ましく、より好ましくは、30~200mJ/cmである。30mJ/cm以上とすることで樹脂の硬化が十分に進行するため好ましい。300mJ/cm以下とすることで加工時の速度を向上させることができるため経済的に離型フィルムを作成することができるため好ましい。
前記活性エネルギー線を照射するときの雰囲気は、窒素やアルゴンといった不活性ガス雰囲気下でも構わないが、一般的な空気中であることが好ましい。本発明においては、チオール基含有化合物を用いることで、空気中で照射しても離型層表面の硬化性に優れ、セラミックスラリーの濡れ性にも優れる離型層とすることができる。また、不活性ガス雰囲気下で行うよりも加工コスト面で優位であり、経済的観点からも好ましい。
本発明において、離型層を塗布するときの塗液の表面張力は、特に限定されないが30mN/m以下であることが好ましい。表面張力を前記のようにすることで、塗工後の塗れ性が向上し、乾燥後の塗膜表面の凹凸を低減することができる。
本発明において、離型塗布層を塗布するときの塗液には、特に限定されないが、沸点が90℃以上の溶剤を添加することが好ましい。沸点が90℃以上の溶剤を添加することで、乾燥時の突沸を防ぎ、塗膜をレベリングさせることができ、乾燥後の塗膜表面の平滑性を向上させることができる。その添加量としては、塗液全体に対し、10~80質量%程度添加することが好ましい。
上記塗液の塗布法としては、公知の任意の塗布法が適用出来、例えばグラビアコート法やリバースコート法などのロールコート法、ワイヤーバーなどのバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、等の従来から知られている方法が利用できる。
(セラミックグリーンシートとセラミックコンデンサ)
一般に、積層セラミックコンデンサは、直方体状のセラミック素体を有する。セラミック素体の内部には、第1の内部電極と第2の内部電極とが厚み方向に沿って交互に設けられている。第1の内部電極は、セラミック素体の第1の端面に露出している。第1の端面の上には第1の外部電極が設けられている。第1の内部電極は、第1の端面において第1の外部電極と電気的に接続されている。第2の内部電極は、セラミック素体の第2の端面に露出している。第2の端面の上には第2の外部電極が設けられている。第2の内部電極は、第2の端面において第2の外部電極と電気的に接続されている。
本発明のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムは、このような積層セラミックコンデンサを製造するために用いられる。例えば、以下のようにして製造される。まず、本発明の離型フィルムをキャリアフィルムとして用い、セラミック素体を構成するためのセラミックスラリーを塗布、乾燥させる。セラミックグリーンシートの厚みは、0.2~1.0μmの極薄品が求められてきている。塗布、乾燥したセラミックグリーンシートの上に、第1又は第2の内部電極を構成するための導電層を印刷する。セラミックグリーンシート、第1の内部電極を構成するための導電層が印刷されたセラミックグリーンシート及び第2の内部電極を構成するための導電層が印刷されたセラミックグリーンシートを適宜積層し、プレスすることにより、マザー積層体を得る。マザー積層体を複数に分断し、生のセラミック素体を作製する。生のセラミック素体を焼成することによりセラミック素体を得る。その後、第1及び第2の外部電極を形成することにより積層セラミックコンデンサを完成させることができる。
以下に、実施例を用いて本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。本発明で用いた特性値は下記の方法を用いて評価した。
(ポリエステル樹脂の固有粘度(dl/g))
JIS K 7367-5に準拠し、溶媒としてフェノール(60質量%)と1,1,2,2-テトラクロロエタン(40質量%)の混合溶媒を用い、30℃で測定した。
(基材フィルム厚み)
ミリトロン(電子マイクロインジケーター)を用い、測定すべきフィルムの任意の4箇所より5cm角サンプル4枚を切り取り、一枚あたり各5点(計20点)測定して平均値を厚みとした。
(離型層厚み)
切り出した離型フィルムを樹脂包埋し、ウルトラミクロトームを用いて超薄切片化した。その後、日本電子製JEM2100透過電子顕微鏡を用いて、直接倍率20,000倍で観察を行い、観察したTEM画像から離型層の膜厚を測定した。
(領域表面粗さSa、最大突起高さP)
非接触表面形状計測システム(菱化システム社製、VertScan R550H-M100)を用いて、下記の条件で測定した値である。領域表面平均粗さ(Sa)は、5回測定の平均値を採用し、最大突起高さ(P)は7回測定し最大値と最小値を除いた5回の最大値を使用した。
(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:10倍
・0.5×Tubeレンズ
・測定面積 936μm×702μm
(解析条件)
・面補正: 4次補正
・補間処理: 完全補間
(セラミックグリーンシートのピンホール評価)
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、ビーズミルを用いて直径0.5mmのジルコニアビーズで30分間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 76.3質量部
エタノール 76.3質量部
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT-1) 35.0質量部
ポリビニルブチラール
(積水化学社製 エスレック(登録商標)BM-S) 3.5質量部
DOP(フタル酸ジオクチル) 1.8質量部
次いで得られた離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のスラリーが0.8μmの厚みになるように塗布し90℃で2分乾燥後、離型フィルムを剥離し、セラミックグリーンシートを得た。 得られたセラミックグリーンシートのフィルム幅方向の中央領域において25cmの範囲でセラミックスラリーの塗布面の反対面から光を当て、光が透過して見えるピンホールの発生状況を観察し、下記基準で目視判定した。測定は5回実施し、その平均値を採用した。
◎:ピンホールの発生なし
○:ピンホールの発生がほぼなし(目安:ピンホールが測定面積当たり2個以下)
△:ピンホールの発生があり(目安:ピンホールが測定面積当たり3個以上、5個以下)
×:ピンホールの発生が多数あり
(セラミックスラリーの塗工性評価)
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、ビーズミルを用いて直径0.5mmのジルコニアビーズで30分間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 76.3質量部
エタノール 76.3質量部
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT-1) 35.0質量部
ポリビニルブチラール(積水化学社製 エスレックBM-S) 3.5質量部
DOP(フタル酸ジオクチル) 1.8質量部
次いで得られた離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のスラリーが0.8μmになるように塗工し90℃で2分乾燥後、以下の基準で塗工性を評価した。
○:ハジキなどがなく全面に塗工できている。
△:塗工端部でややハジキがあるが、ほぼ全面に塗工できている。
×:塗工端部以外でもハジキが発生しており、全面に塗工できていない。
(セラミックグリーンシートの剥離性評価)
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、ビーズミルを用いて直径0.5mmのジルコニアビーズで60分間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 38.3質量部
エタノール 38.3質量部
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT-1) 64.8質量部
ポリビニルブチラール 6.5質量部
(積水化学工業社製 エスレック(登録商標)BM-S)
DOP(フタル酸ジオクチル) 3.3質量部
次いで離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のセラミックグリーンシートが10μmの厚みになるように塗布し90℃で2分乾燥しセラミックグリーンシートを離型フィルム上に成型した。得られたセラミックグリーンシート付き離型フィルムを30mm幅、80mm長さにカットし、剥離力測定用サンプルとした。除電機(キーエンス社製、SJ-F020)を用いて除電した後に、剥離試験機(協和界面科学社製、VPA-3)を用いて、剥離角度90度、剥離温度25℃、剥離速度10m/minで剥離した。剥離する向きとしては、剥離試験機付属のSUS板上に両面接着テープ(日東電工社製、No.535A)を貼りつけ、その上にセラミックグリーンシート側を両面テープと接着する形で離型フィルムを固定し、離型フィルム側を引っ張る形で剥離した。得られた測定値のうち、剥離距離20mm~70mmの剥離力の平均値を算出し、その値を剥離力とした。測定は計5回実施し、その剥離力の平均値の値を採用し、評価を行った。得られた剥離力の数値から下記の基準で判定した。
◎:剥離力が2.0mN/mm以下の非常に軽い力で剥離できた。
○:剥離力が2.0mN/mmよりも大きく、3.0mN/mm以下の比較的軽い力で剥離できた。
△:剥離力が3.0mN/mmよりも大きく、4.0mN/mm以下の軽い力で剥離できた。
×:剥離力が4.0mN/mmよりも大きい力を必要であった。
(離型フィルムのカール評価)
離型フィルムサンプルを10cm×10cmサイズにカットし、離型フィルムに張力がかからないようにして熱風オーブンで90℃で1分間熱処理を行った。その後、オーブンから取り出し室温まで冷却したのち、離型面が上になるようにガラス板の上に離型フィルムサンプルを置いて、ガラス板から浮いている部分の高さを測定した。このときガラス板から一番大きく浮いている部分の高さを測定値とした。以下の基準でカール性の評価を行った。
◎:カールが1mm以下であり、ほとんどカールしていない
○:カールが1mmよりも大きく、2mm以下であり、少しカールが見られた。
△:カールが2mmよりも大きく、4mm以下であり、カールが見られた。
×:カールが4mmよりも大きくカールしていた。
(接触角)
25℃、50%RHの条件下で接触角計(協和界面科学社製、全自動接触角計 DM-701)を用いて、静置した離型フィルムの離型面上にジヨードメタン(液滴量0.9μL)の液滴を作成しその接触角を測定した。接触角は離型フィルム上に滴下後30秒後の接触角を採用し、5回測定した値の平均値を採用した。
(トルエン浸漬後の接触角)
測定に用いる離型フィルムを5cm×5cmの大きさに切り取り、液温25℃のトルエン30mLが入ったガラス製のトレーの中に、離型面を下にして5分間浸漬させた。浸漬した離型フィルムを取り出し離型面を上にして15分間風乾した後、25℃で1晩真空乾燥させた。こうして得たトルエン浸漬後の離型フィルムを前記接触角の測定方法と同様の方法にて測定した。
(接触角変化の評価)
前記方法にて測定したトルエン浸漬前の初期の離型層表面のジヨードメタン接触角をθ、トルエン浸漬後の離型層表面のジヨードメタン接触角をθとした時の、θ1-θの絶対値の値をトルエン浸漬前後の接触角変化の値とした。以下の基準で接触角変化の評価を行った。
◎:|θ1―θ2| < 1.0°
○:1.0°≦ |θ1―θ2| < 2.0°
△:2.0°≦ |θ1―θ2| ≦ 3.0°
×:|θ1―θ2| > 3.0°
(ポリエチレンテレフタレートペレット(PET(I))の調製)
エステル化反応装置として、攪拌装置、分縮器、原料仕込口及び生成物取出口を有する3段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を用いた。TPA(テレフタル酸)を2トン/時とし、EG(エチレングリコール)をTPA1モルに対して2モルとし、三酸化アンチモンを生成PETに対してSb原子が160ppmとなる量とし、これらのスラリーをエステル化反応装置の第1エステル化反応缶に連続供給し、常圧にて平均滞留時間4時間、255℃で反応させた。次いで、第1エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第2エステル化反応缶に供給し、第2エステル化反応缶内に第1エステル化反応缶から留去されるEGを生成PETに対して8質量%供給し、さらに、生成PETに対してMg原子が65ppmとなる量の酢酸マグネシウム四水塩を含むEG溶液と、生成PETに対してP原子が40ppmとなる量のTMPA(リン酸トリメチル)を含むEG溶液を添加し、常圧にて平均滞留時間1時間、260℃で反応させた。次いで、第2エステル化反応缶の反応生成物を連続的に系外に取り出して第3エステル化反応缶に供給し、高圧分散機(日本精機社製)を用いて39MPa(400kg/cm)の圧力で平均処理回数5パスの分散処理をした平均粒径が0.9μmの多孔質コロイダルシリカ0.2質量%と、ポリアクリル酸のアンモニウム塩を炭酸カルシウムあたり1質量%付着させた平均粒径が0.6μmの合成炭酸カルシウム0.4質量%とを、それぞれ10%のEGスラリーとして添加しながら、常圧にて平均滞留時間0.5時間、260℃で反応させた。第3エステル化反応缶内で生成したエステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行い、95%カット径が20μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターで濾過を行ってから、限外濾過を行って水中に押出し、冷却後にチップ状にカットして、固有粘度0.60dl/gのPETチップを得た(以後、PET(I)と略す)。PETチップ中の滑剤含有量は0.6質量%であった。
(ポリエチレンテレフタレートペレット(PET(II))の調製)
一方、上記PETチップの製造において、炭酸カルシウム、シリカ等の無機粒子を全く含有しない固有粘度0.62dl/gのPETチップを得た(以後、PET(II)と略す。)。
(積層フィルムX1の製造)
これらのPETチップを乾燥後、285℃で溶融し、別個の溶融押出し機押出機により290℃で溶融し、95%カット径が15μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターと、95%カット径が15μmのステンレススチール粒子を焼結したフィルターの2段の濾過を行って、フィードブロック内で合流して、PET(I)を表面層B(反離型面側層)、PET(II)を表面層A(離型面側層)となるように積層し、シート状に45m/分のスピードで押出(キャスティング)し、静電密着法により30℃のキャスティングドラム上に静電密着・冷却させ、固有粘度が0.59dl/gの未延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。層比率は各押出機の吐出量計算でPET(I)/PET(II)=60%/40%となるように調整した。次いで、この未延伸シートを赤外線ヒーターで加熱した後、ロール温度80℃でロール間のスピード差により縦方向に3.5倍延伸した。その後、テンターに導き、140℃で横方向に4.2倍の延伸を行なった。次いで、熱固定ゾーンにおいて、210℃で熱処理した。その後、横方向に170℃で2.3%の緩和処理をして、厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX1を得た。得られたフィルムX1の表面層AのSaは2nm、表面層BのSaは29nmであった。
(積層フィルムX2の製造)
積層フィルムX1と同様の層構成、延伸条件は変更せずに、キャスティング時の速度を変更することで厚みを調整し、22μmの厚みの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX2を得た。得られたフィルムX2の表面層AのSaは3nm、表面層BのSaは29nmであった。
(積層フィルムX3の製造方法)
積層フィルムX3としては、厚み25μmのE5101(東洋紡エステル(登録商標)フィルム、東洋紡社製)を使用した。E5101は、フィルム中に無機粒子を含有した構成になっている。積層フィルムX3の表面層AのSaは24nm、表面層BのSaは24nmであった。
(実施例1)
積層フィルムX1の表面層A上に下記に示した組成の塗布液1をワイヤーバーを用いて乾燥後の離型層膜厚が0.4μmになるように塗工し、90℃で15秒乾燥した後、積算光量が70mJ/cmの紫外線(ヘレウス社製、LC6B、Hバルブ)を大気中で照射することで超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。得られた離型フィルムにセラミックスラリーを塗工し、離型層表面粗さ、剥離性、ピンホール、塗工性、カール、耐溶剤性を評価したところ、良好な評価結果が得られた。
メチルエチルケトン 22.40質量部
イソプロピルアルコール 67.20質量部
ラジカル硬化性物質(a):10官能ウレタンアクリレート 8.50質量部
(製品名:紫光(登録商標)UV-1700B、日本合成化学社製、固形分100質量%)
チオール基含有化合物(b):4官能チオール基含有化合物 1.00質量部
(製品名:カレンズMT(登録商標)PE1、昭和電工社製、固形分100質量%)
離型剤(c):アクリロイル基含有アクリルシリコーン 0.50質量部
(製品名:GL-04R、共栄社化学社製、固形分20質量%)
ラジカル開始剤(d):2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン 0.40質量部
(製品名:Omnirad127、IGM Resins社製、固形分100質量%)
(実施例2)
ラジカル硬化性物質(a)を9官能ウレタンアクリレート(紫光(登録商標)UV-7620EA、日本合成化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例3)
ラジカル硬化性物質(a)を6官能ウレタンアクリレート(紫光(登録商標)UV-7600B、日本合成化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例4)
ラジカル硬化性物質(a)を5官能ウレタンアクリレート(紫光(登録商標)UV-7650B、日本合成化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例5)
ラジカル硬化性物質(a)を3官能ウレタンアクリレート(紫光(登録商標)UV-7550B、日本合成化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例6)
ラジカル硬化性物質(a)を6官能アクリレート(A-DPH、新中村化学工業社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例7)
ラジカル硬化性物質(a)を4官能アクリレート(A-TMMT、新中村化学工業社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例8)
ラジカル硬化性物質(a)をデンドリマー型多官能アクリレート(SIRIUS-501、大阪有機化学工業社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例9)
ラジカル硬化性物質(a)を3官能アリル化合物(タイク(登録商標)トリイソシアヌレート、日本化成社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例10、11)
チオール基含有化合物(b)の含有量を表1に記載の量に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例12)
チオール基含有化合物(b)を3官能チオール(カレンズMT(登録商標)NR1、昭和電工社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例13)
チオール基含有化合物(b)を2官能チオール(カレンズMT(登録商標)BD1、昭和電工社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例14)
以下に示す組成の塗布液に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 22.50質量部
イソプロピルアルコール 67.50質量部
ラジカル硬化性物質(a):6官能アクリレート 8.50質量部
(製品名:A-DPH、新中村化学工業社製、固形分100質量%)
チオール基含有化合物(b):4官能チオール基含有化合物 1.00質量部
(製品名:カレンズMT(登録商標)PE1、昭和電工社製、固形分100質量%)
離型剤(c):
アクリロイル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.10質量部
(製品名:BYK UV-3500、ビッグケミー・ジャパン社製、固形分100質量%)
ラジカル開始剤(d):2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン 0.40質量部
(製品名:Omnirad127、IGM Resins社製、固形分100質量%)
(実施例15)
離型剤(c)をフッ素系離型剤(製品名:メガファック(登録商標)RS-75、DIC社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例16)
離型剤(c)をステアリルアクリレート(大阪有機化学工業社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例17)
離型剤(c)をアクリロイル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(製品名:BYK-UV3500、ビッグケミー・ジャパン社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例18)
離型層の膜厚が1.0μmになるように塗工した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例19)
離型層の膜厚が0.2μmになるように塗工した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例20)
離型層の膜厚が0.05μmになるように塗工した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例21)
基材フィルムをX2に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(実施例22)
基材フィルムをX3に変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(比較例1)
下記に示した組成である塗布液に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 22.40質量部
イソプロピルアルコール 67.20質量部
ラジカル硬化性物質(a):10官能ウレタンアクリレート 9.50質量部
(製品名:紫光(登録商標)UV-1700B、日本合成化学社製、固形分100%)
離型剤(c):アクリロイル基含有アクリルシリコーン 0.50質量部
(製品名:GL-04R、共栄社化学社製、固形分20質量%)
ラジカル開始剤(d):2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン 0.40質量部
(製品名:Omnirad127、IGM Resins社製、固形分100質量%)
(比較例2)
下記に示した組成である塗布液に変更した以外は実施例1と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 22.50質量部
イソプロピルアルコール 67.50質量部
ラジカル硬化性物質(a)10官能ウレタンアクリレート 8.60質量部
(製品名:紫光(登録商標)UV1700B、日本合成化学社製、固形分100%)
チオール基含有化合物(b):4官能チオール基含有化合物 1.00質量部
(製品名:カレンズMT(登録商標)PE1、昭和電工社製、固形分100質量%)
ラジカル開始剤(d):2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン 0.40質量部
(製品名:Omnirad127、IGM Resins社製、固形分100質量%)
(比較例3)
離型層の膜厚を1.0μmになるように塗工した以外は、比較例1と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(比較例4)
離型層の膜厚を0.05μmになるように塗工した以外は、比較例1と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(比較例5)
以下に示す組成の塗布液に変更した以外は、実施例1と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 22.50質量部
イソプロピルアルコール 67.50質量部
ラジカル硬化性物質(a)6官能アクリレート 9.50質量部
(製品名:A-DPH、新中村化学工業社製、固形分100質量%)
離型剤(c):
アクリロイル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.10質量部
(製品名:BYK UV-3500、ビッグケミー・ジャパン社製、固形分100質量%)
ラジカル開始剤(d):2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン 0.40質量部
(製品名:Omnirad127、IGM Resins社製、固形分100質量%)
(比較例6)
離型層の膜厚が1.0μmになるように塗工した以外は、比較例5と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(比較例7)
以下の組成の塗布液を用いる以外は、実施例1と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 22.40質量部
イソプロピルアルコール 67.20質量部
ラジカル硬化性物質(a):トリアリルイソシアヌレート 9.50質量部
(製品名:タイク(登録商標)、日本化成社製、固形分100%)
離型剤(c):アクリロイル基含有アクリルシリコーン 0.50質量部
(製品名:GL-04R、共栄社化学社製、固形分20質量%)
ラジカル開始剤(d):2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン 0.40質量部
(製品名:Omnirad127、IGM Resins社製、固形分100質量%)
(比較例8)
窒素雰囲気下で紫外線を照射し硬化させた以外は、比較例1と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
Figure 0007188535000001
Figure 0007188535000002
本発明のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムは、離型層表面が高平滑であり、かつ離型層の架橋密度が高く耐溶剤性に優れている。そのため、セラミックグリーンシート加工や電極印刷時に離型層が浸食されず、厚みが1μm以下の超薄層のセラミックグリーンシートを剥離する時でも剥離力が低く均一であるために、ピンホールなどの欠点が少ないセラミックグリーンシートを成型することが可能である。また、離型フィルムのカールが少ないため、セラミックグリーンシートの厚みムラや電極印刷精度の低下を引き起こすおそれがなく用いることができる。

Claims (12)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を設けた離型フィルムであって
    記離型層が(メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択される1種類以上のラジカル硬化性官能基を有するラジカル硬化性物質(a)、チオール基含有化合物(b)、離型剤(c)、ラジカル開始剤(d)を含有する組成物が硬化されてなる、
    セラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  2. チオール基含有化合物(b)が、(メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択されるラジカル硬化性官能基を有していない請求項1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  3. チオール基含有化合物(b)が、1分子内に2つ以上のチオール基を持つ化合物である請求項1または2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  4. 離型層表面のジヨードメタン接触角θと前記離型フィルムをトルエン浸漬した後の離型層表面のジヨードメタン接触角θの差(θ1-θ)が絶対値として3.0°以下である請求項1~3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  5. 前記離型剤(c)が、ポリジメチルシロキサン骨格を側鎖に有するアクリル樹脂を含む、
    請求項1~4のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  6. 離型剤(c)が、分子内にフッ素原子を含む化合物である請求項1~4のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  7. チオール基含有化合物(b)の含有量が、離型層を形成する組成物の質量総和に対して1~30質量%である請求項1~6のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  8. ポリエステルフィルムが、無機粒子を実質的に含有していない表面層A及び無機粒子を含有する反対側の表面層Bを有し、表面層A上に離型層が設けられており、前記表面層Bが含有する無機粒子がシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子であり、無機粒子の合計が表面層B中に5000~15000ppm含有されている請求項1~7のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  9. 離型層の膜厚が0.01μm以上、0.5μm以下の範囲である請求項1~8のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  10. (メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択される1種類以上のラジカル硬化性官能基を有するラジカル硬化性物質(a)、チオール基含有化合物(b)、離型剤(c)、ラジカル開始剤(d)を含有する組成物を大気中で硬化させて離型層を形成する請求項1~9のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムの製造方法。
  11. 0.2μm~1.0μmの厚みを有するセラミックグリーンシートの製造方法であって、請求項1~9のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いるセラミックグリーンシートの製造方法
  12. 請求項11に記載のセラミックグリーンシートの製造方法を採用するセラミックコンデンサの製造方法。
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