JP6973054B2 - セラミックグリーンシート製造用離型フィルム - Google Patents
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Description
1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を設けた離型フィルムであって、前記離型層表面の領域表面平均粗さ(Sa)が7nm以下であり、前記離型層が(メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択される1種類以上のラジカル硬化性官能基を有するラジカル硬化性物質(a)、チオール基含有化合物(b)、離型剤(c)、ラジカル開始剤(d)を含有する組成物が硬化されてなるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
2. チオール基含有化合物(b)が、(メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択されるラジカル硬化性官能基を有していない上記第1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
3. チオール基含有化合物(b)が、1分子内に2つ以上のチオール基を持つ化合物である上記第1または第2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
4. 離型層表面のジヨードメタン接触角θ1と前記離型フィルムをトルエン浸漬した後の離型層表面のジヨードメタン接触角θ2の差(θ1−θ2)が絶対値として3.0°以下である上記第1〜第3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
5. 離型剤(c)が、シリコーン成分を含有する化合物である上記第1〜第4のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
6. 離型剤(c)が、分子内にフッ素原子を含む化合物である上記第1〜第4のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
7. チオール基含有化合物(b)の含有量が、離型層を形成する組成物の質量総和に対して1〜30質量%である上記第1〜第6のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
8. ポリエステルフィルムが、無機粒子を実質的に含有していない表面層A及び無機粒子を含有する反対側の表面層Bを有し、表面層A上に離型層が設けられており、前記表面層Bが含有する無機粒子がシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子であり、無機粒子の合計が表面層B中に5000〜15000ppm含有されている上記第1〜第7のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
9. 離型層の膜厚が0.01μm以上、0.5μm以下の範囲である上記第1〜第8のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
10. (メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択される1種類以上のラジカル硬化性官能基を有するラジカル硬化性物質(a)、チオール基含有化合物(b)、離型剤(c)、ラジカル開始剤(d)を含有する組成物を大気中で硬化させて離型層を形成する上記第1〜第9のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムの製造方法。
11. 0.2μm〜1.0μmの厚みを有するセラミックグリーンシートの製造方法であって、上記第1〜第9のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いるセラミックグリーンシートの製造方法
12. 上記第11に記載のセラミックグリーンシートの製造方法を採用するセラミックコンデンサの製造方法。
本発明の基材として用いるポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、特に限定されず、離型フィルム用基材として通常一般に使用されているポリエステルをフィルム成型したものを使用することが出来るが、好ましくは、芳香族二塩基酸成分とジオール成分からなる結晶性の線状飽和ポリエステルであるのが良く、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン?2,6?ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート又はこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体がさらに好適であり、とりわけポリエチレンテレフタレートから形成されたポリエステルフィルムが特に好適である。ポリエチレンテレフタレートは、エチレンテレフタレートの繰り返し単位が好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であり、他のジカルボン酸成分、ジオール成分が少量共重合されていてもよいが、コストの点から、テレフタル酸とエチレングリコールのみから製造されたものが好ましい。また、本発明のフィルムの効果を阻害しない範囲内で、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶化剤などを添加してもよい。ポリエステルフィルムは双方向の弾性率の高さ等の理由から二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましい。
本発明における離型層は、(メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択されるラジカル硬化性官能基を有するラジカル硬化性物質(a)、チオール基含有化合物(b)、離型剤(c)、ラジカル開始剤(d)を含有する組成物を硬化させてなることが好ましい。本発明の機能を損なわない範囲で、前記樹脂や添加剤以外にも添加することができる。ここで、本発明においてラジカル硬化性物質(a)やチオール基含有化合物(b)は、塗布層中で硬化された後の状態では、化合物の構造が変化していると考えられるが、変化した構造そのものを正確に表現し記載することは極めて困難であるため、前記のように「離型層が(メタ)アクリロイルおよびアルケニル基から選択されるラジカル硬化性官能基を有するラジカル硬化性物質(a)、チオール基含有化合物(b)、離型剤(c)、ラジカル開始剤(d)を含有する組成物が硬化されてなる」と表現している。
ラジカル硬化性物質(a)は、(メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択されるラジカル硬化性官能基を有していることが好ましく、1種類でも2種類以上のラジカル硬化性官能基を有する物質を用いても構わない。ラジカル硬化は、反応速度が非常に早いため、ラジカル開始剤の開裂と同時に瞬時に重合反応が進行し、架橋密度の高い塗膜を形成することできる。離型層の架橋密度を高めることで離型層を高弾性率化でき、セラミックグリーンシート剥離時に離型層が変形しづらくなり、低い剥離力で均一にセラミックグリーンシートを剥離できるため好ましい。なお、本発明におけるアルケニル基とは、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ヘキセニル基などの炭素数が2〜10のものをさす。
反応性の観点からアクリレート、メタクリレート、ウレタンアクリレート、アリル化合物、メタリル化合物が好ましく、アクリレート、メタクリレート、ウレタンアクリレートが最も好ましい。アクリレートやメタクリレートは硬化収縮が比較的大きいが、本発明おいては、膜厚を薄くすることができるためにカール等の外観不良が発生するおそれがなく、好適に用いることができる。カールという観点では、ウレタンアクリレートが硬化収縮が小さく最も好適である。
本発明における離型層は、チオール基含有化合物を含むことが好ましい。チオール基含有化合物はラジカル重合反応の硬化促進剤として働くため、酸素阻害の影響を受けづらく、大気中下においても優れた反応性を示す。そのため、離型層表面の硬化性を高め、耐溶剤性を向上させることができるため好ましい。また、酸素阻害が抑制されるため、離型層を薄膜にしても、耐溶剤性の悪化や、剥離不良を起こすことがないため好ましい。さらに、チオール基含有化合物は、ラジカル硬化性官能基と付加重合反応が進行するため、ラジカル硬化性物質の架橋構造に組み込まれ、チオール基含有化合物由来の柔軟構造が硬化物に導入される。このため、離型層の膜厚が厚くても、ラジカル硬化性物質特有の問題である硬化収縮が抑えられ、セラミックグリーンシート成型時に、セラミックグリーンシートの厚みムラの発生や、電極印刷精度の低下を引き起こすおそれがなく好ましい。
本発明における離型層に用いる離型剤(離型性を付与するための添加剤)としては、シリコーン系添加剤や、フッ素系、長鎖アルキル系、オレフィン系などの非シリコーン系添加剤などをそれぞれ好適に用いることができる。
本発明における離型層にはラジカル硬化反応を進行させるために、ラジカル開始剤を用いることが好ましい。ラジカル開始剤としては、熱ラジカル開始剤および光ラジカル開始剤のどちらも好適に用いることができるが、光ラジカル開始剤を用いるほうが、加工時の熱量を抑えることができるため好ましい。用いる開始剤は、1種類でも2種類以上でもよく、光ラジカル開始剤と熱ラジカル開始剤を同時に用いてもよい。
一般に、積層セラミックコンデンサは、直方体状のセラミック素体を有する。セラミック素体の内部には、第1の内部電極と第2の内部電極とが厚み方向に沿って交互に設けられている。第1の内部電極は、セラミック素体の第1の端面に露出している。第1の端面の上には第1の外部電極が設けられている。第1の内部電極は、第1の端面において第1の外部電極と電気的に接続されている。第2の内部電極は、セラミック素体の第2の端面に露出している。第2の端面の上には第2の外部電極が設けられている。第2の内部電極は、第2の端面において第2の外部電極と電気的に接続されている。
JIS K 7367−5に準拠し、溶媒としてフェノール(60質量%)と1,1,2,2-テトラクロロエタン(40質量%)の混合溶媒を用い、30℃で測定した。
ミリトロン(電子マイクロインジケーター)を用い、測定すべきフィルムの任意の4箇所より5cm角サンプル4枚を切り取り、一枚あたり各5点(計20点)測定して平均値を厚みとした。
切り出した離型フィルムを樹脂包埋し、ウルトラミクロトームを用いて超薄切片化した。その後、日本電子製JEM2100透過電子顕微鏡を用いて、直接倍率20,000倍で観察を行い、観察したTEM画像から離型層の膜厚を測定した。
非接触表面形状計測システム(菱化システム社製、VertScan R550H−M100)を用いて、下記の条件で測定した値である。領域表面平均粗さ(Sa)は、5回測定の平均値を採用し、最大突起高さ(P)は7回測定し最大値と最小値を除いた5回の最大値を使用した。
(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:10倍
・0.5×Tubeレンズ
・測定面積 936μm×702μm
(解析条件)
・面補正: 4次補正
・補間処理: 完全補間
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、ビーズミルを用いて直径0.5mmのジルコニアビーズで30分間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 76.3質量部
エタノール 76.3質量部
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT−1) 35.0質量部
ポリビニルブチラール
(積水化学社製 エスレック(登録商標)BM−S) 3.5質量部
DOP(フタル酸ジオクチル) 1.8質量部
次いで得られた離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のスラリーが0.8μmの厚みになるように塗布し90℃で2分乾燥後、離型フィルムを剥離し、セラミックグリーンシートを得た。 得られたセラミックグリーンシートのフィルム幅方向の中央領域において25cm2の範囲でセラミックスラリーの塗布面の反対面から光を当て、光が透過して見えるピンホールの発生状況を観察し、下記基準で目視判定した。測定は5回実施し、その平均値を採用した。
◎:ピンホールの発生なし
○:ピンホールの発生がほぼなし(目安:ピンホールが測定面積当たり2個以下)
△:ピンホールの発生があり(目安:ピンホールが測定面積当たり3個以上、5個以下)
×:ピンホールの発生が多数あり
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、ビーズミルを用いて直径0.5mmのジルコニアビーズで30分間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 76.3質量部
エタノール 76.3質量部
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT−1) 35.0質量部
ポリビニルブチラール(積水化学社製 エスレックBM−S) 3.5質量部
DOP(フタル酸ジオクチル) 1.8質量部
次いで得られた離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のスラリーが0.8μmになるように塗工し90℃で2分乾燥後、以下の基準で塗工性を評価した。
○:ハジキなどがなく全面に塗工できている。
△:塗工端部でややハジキがあるが、ほぼ全面に塗工できている。
×:塗工端部以外でもハジキが発生しており、全面に塗工できていない。
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、ビーズミルを用いて直径0.5mmのジルコニアビーズで60分間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 38.3質量部
エタノール 38.3質量部
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT−1) 64.8質量部
ポリビニルブチラール 6.5質量部
(積水化学工業社製 エスレック(登録商標)BM−S)
DOP(フタル酸ジオクチル) 3.3質量部
次いで離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のセラミックグリーンシートが10μmの厚みになるように塗布し90℃で2分乾燥しセラミックグリーンシートを離型フィルム上に成型した。得られたセラミックグリーンシート付き離型フィルムを30mm幅、80mm長さにカットし、剥離力測定用サンプルとした。除電機(キーエンス社製、SJ−F020)を用いて除電した後に、剥離試験機(協和界面科学社製、VPA−3)を用いて、剥離角度90度、剥離温度25℃、剥離速度10m/minで剥離した。剥離する向きとしては、剥離試験機付属のSUS板上に両面接着テープ(日東電工社製、No.535A)を貼りつけ、その上にセラミックグリーンシート側を両面テープと接着する形で離型フィルムを固定し、離型フィルム側を引っ張る形で剥離した。得られた測定値のうち、剥離距離20mm〜70mmの剥離力の平均値を算出し、その値を剥離力とした。測定は計5回実施し、その剥離力の平均値の値を採用し、評価を行った。得られた剥離力の数値から下記の基準で判定した。
◎:剥離力が2.0mN/mm以下の非常に軽い力で剥離できた。
○:剥離力が2.0mN/mmよりも大きく、3.0mN/mm以下の比較的軽い力で剥離できた。
△:剥離力が3.0mN/mmよりも大きく、4.0mN/mm以下の軽い力で剥離できた。
×:剥離力が4.0mN/mmよりも大きい力を必要であった。
離型フィルムサンプルを10cm×10cmサイズにカットし、離型フィルムに張力がかからないようにして熱風オーブンで90℃で1分間熱処理を行った。その後、オーブンから取り出し室温まで冷却したのち、離型面が上になるようにガラス板の上に離型フィルムサンプルを置いて、ガラス板から浮いている部分の高さを測定した。このときガラス板から一番大きく浮いている部分の高さを測定値とした。以下の基準でカール性の評価を行った。
◎:カールが1mm以下であり、ほとんどカールしていない
○:カールが1mmよりも大きく、2mm以下であり、少しカールが見られた。
△:カールが2mmよりも大きく、4mm以下であり、カールが見られた。
×:カールが4mmよりも大きくカールしていた。
25℃、50%RHの条件下で接触角計(協和界面科学社製、全自動接触角計 DM−701)を用いて、静置した離型フィルムの離型面上にジヨードメタン(液滴量0.9μL)の液滴を作成しその接触角を測定した。接触角は離型フィルム上に滴下後30秒後の接触角を採用し、5回測定した値の平均値を採用した。
測定に用いる離型フィルムを5cm×5cmの大きさに切り取り、液温25℃のトルエン30mLが入ったガラス製のトレーの中に、離型面を下にして5分間浸漬させた。浸漬した離型フィルムを取り出し離型面を上にして15分間風乾した後、25℃で1晩真空乾燥させた。こうして得たトルエン浸漬後の離型フィルムを前記接触角の測定方法と同様の方法にて測定した。
前記方法にて測定したトルエン浸漬前の初期の離型層表面のジヨードメタン接触角をθ1、トルエン浸漬後の離型層表面のジヨードメタン接触角をθ2とした時の、θ1−θ2の絶対値の値をトルエン浸漬前後の接触角変化の値とした。以下の基準で接触角変化の評価を行った。
◎:|θ1―θ2| < 1.0°
○:1.0°≦ |θ1―θ2| < 2.0°
△:2.0°≦ |θ1―θ2| ≦ 3.0°
×:|θ1―θ2| > 3.0°
エステル化反応装置として、攪拌装置、分縮器、原料仕込口及び生成物取出口を有する3段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を用いた。TPA(テレフタル酸)を2トン/時とし、EG(エチレングリコール)をTPA1モルに対して2モルとし、三酸化アンチモンを生成PETに対してSb原子が160ppmとなる量とし、これらのスラリーをエステル化反応装置の第1エステル化反応缶に連続供給し、常圧にて平均滞留時間4時間、255℃で反応させた。次いで、第1エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第2エステル化反応缶に供給し、第2エステル化反応缶内に第1エステル化反応缶から留去されるEGを生成PETに対して8質量%供給し、さらに、生成PETに対してMg原子が65ppmとなる量の酢酸マグネシウム四水塩を含むEG溶液と、生成PETに対してP原子が40ppmとなる量のTMPA(リン酸トリメチル)を含むEG溶液を添加し、常圧にて平均滞留時間1時間、260℃で反応させた。次いで、第2エステル化反応缶の反応生成物を連続的に系外に取り出して第3エステル化反応缶に供給し、高圧分散機(日本精機社製)を用いて39MPa(400kg/cm2)の圧力で平均処理回数5パスの分散処理をした平均粒径が0.9μmの多孔質コロイダルシリカ0.2質量%と、ポリアクリル酸のアンモニウム塩を炭酸カルシウムあたり1質量%付着させた平均粒径が0.6μmの合成炭酸カルシウム0.4質量%とを、それぞれ10%のEGスラリーとして添加しながら、常圧にて平均滞留時間0.5時間、260℃で反応させた。第3エステル化反応缶内で生成したエステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行い、95%カット径が20μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターで濾過を行ってから、限外濾過を行って水中に押出し、冷却後にチップ状にカットして、固有粘度0.60dl/gのPETチップを得た(以後、PET(I)と略す)。PETチップ中の滑剤含有量は0.6質量%であった。
一方、上記PETチップの製造において、炭酸カルシウム、シリカ等の無機粒子を全く含有しない固有粘度0.62dl/gのPETチップを得た(以後、PET(II)と略す。)。
これらのPETチップを乾燥後、285℃で溶融し、別個の溶融押出し機押出機により290℃で溶融し、95%カット径が15μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターと、95%カット径が15μmのステンレススチール粒子を焼結したフィルターの2段の濾過を行って、フィードブロック内で合流して、PET(I)を表面層B(反離型面側層)、PET(II)を表面層A(離型面側層)となるように積層し、シート状に45m/分のスピードで押出(キャスティング)し、静電密着法により30℃のキャスティングドラム上に静電密着・冷却させ、固有粘度が0.59dl/gの未延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。層比率は各押出機の吐出量計算でPET(I)/PET(II)=60%/40%となるように調整した。次いで、この未延伸シートを赤外線ヒーターで加熱した後、ロール温度80℃でロール間のスピード差により縦方向に3.5倍延伸した。その後、テンターに導き、140℃で横方向に4.2倍の延伸を行なった。次いで、熱固定ゾーンにおいて、210℃で熱処理した。その後、横方向に170℃で2.3%の緩和処理をして、厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX1を得た。得られたフィルムX1の表面層AのSaは2nm、表面層BのSaは29nmであった。
積層フィルムX1と同様の層構成、延伸条件は変更せずに、キャスティング時の速度を変更することで厚みを調整し、22μmの厚みの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX2を得た。得られたフィルムX2の表面層AのSaは3nm、表面層BのSaは29nmであった。
積層フィルムX3としては、厚み25μmのE5101(東洋紡エステル(登録商標)フィルム、東洋紡社製)を使用した。E5101は、フィルム中に無機粒子を含有した構成になっている。積層フィルムX3の表面層AのSaは24nm、表面層BのSaは24nmであった。
積層フィルムX1の表面層A上に下記に示した組成の塗布液1をワイヤーバーを用いて乾燥後の離型層膜厚が0.4μmになるように塗工し、90℃で15秒乾燥した後、積算光量が70mJ/cm2の紫外線(ヘレウス社製、LC6B、Hバルブ)を大気中で照射することで超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。得られた離型フィルムにセラミックスラリーを塗工し、離型層表面粗さ、剥離性、ピンホール、塗工性、カール、耐溶剤性を評価したところ、良好な評価結果が得られた。
メチルエチルケトン 22.40質量部
イソプロピルアルコール 67.20質量部
ラジカル硬化性物質(a):10官能ウレタンアクリレート 8.50質量部
(製品名:紫光(登録商標)UV−1700B、日本合成化学社製、固形分100質量%)
チオール基含有化合物(b):4官能チオール基含有化合物 1.00質量部
(製品名:カレンズMT(登録商標)PE1、昭和電工社製、固形分100質量%)
離型剤(c):アクリロイル基含有アクリルシリコーン 0.50質量部
(製品名:GL−04R、共栄社化学社製、固形分20質量%)
ラジカル開始剤(d):2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン 0.40質量部
(製品名:Omnirad127、IGM Resins社製、固形分100質量%)
ラジカル硬化性物質(a)を9官能ウレタンアクリレート(紫光(登録商標)UV−7620EA、日本合成化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
ラジカル硬化性物質(a)を6官能ウレタンアクリレート(紫光(登録商標)UV−7600B、日本合成化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
ラジカル硬化性物質(a)を5官能ウレタンアクリレート(紫光(登録商標)UV−7650B、日本合成化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
ラジカル硬化性物質(a)を3官能ウレタンアクリレート(紫光(登録商標)UV−7550B、日本合成化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
ラジカル硬化性物質(a)を6官能アクリレート(A−DPH、新中村化学工業社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
ラジカル硬化性物質(a)を4官能アクリレート(A−TMMT、新中村化学工業社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
ラジカル硬化性物質(a)をデンドリマー型多官能アクリレート(SIRIUS−501、大阪有機化学工業社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
ラジカル硬化性物質(a)を3官能アリル化合物(タイク(登録商標)トリイソシアヌレート、日本化成社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
チオール基含有化合物(b)の含有量を表1に記載の量に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
チオール基含有化合物(b)を3官能チオール(カレンズMT(登録商標)NR1、昭和電工社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
チオール基含有化合物(b)を2官能チオール(カレンズMT(登録商標)BD1、昭和電工社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
以下に示す組成の塗布液に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 22.50質量部
イソプロピルアルコール 67.50質量部
ラジカル硬化性物質(a):6官能アクリレート 8.50質量部
(製品名:A−DPH、新中村化学工業社製、固形分100質量%)
チオール基含有化合物(b):4官能チオール基含有化合物 1.00質量部
(製品名:カレンズMT(登録商標)PE1、昭和電工社製、固形分100質量%)
離型剤(c):
アクリロイル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.10質量部
(製品名:BYK UV−3500、ビッグケミー・ジャパン社製、固形分100質量%)
ラジカル開始剤(d):2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン 0.40質量部
(製品名:Omnirad127、IGM Resins社製、固形分100質量%)
離型剤(c)をフッ素系離型剤(製品名:メガファック(登録商標)RS−75、DIC社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
離型剤(c)をステアリルアクリレート(大阪有機化学工業社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
離型剤(c)をアクリロイル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(製品名:BYK−UV3500、ビッグケミー・ジャパン社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
離型層の膜厚が1.0μmになるように塗工した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
離型層の膜厚が0.2μmになるように塗工した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
離型層の膜厚が0.05μmになるように塗工した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
基材フィルムをX2に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
基材フィルムをX3に変更した以外は実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
下記に示した組成である塗布液に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 22.40質量部
イソプロピルアルコール 67.20質量部
ラジカル硬化性物質(a):10官能ウレタンアクリレート 9.50質量部
(製品名:紫光(登録商標)UV−1700B、日本合成化学社製、固形分100%)
離型剤(c):アクリロイル基含有アクリルシリコーン 0.50質量部
(製品名:GL−04R、共栄社化学社製、固形分20質量%)
ラジカル開始剤(d):2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン 0.40質量部
(製品名:Omnirad127、IGM Resins社製、固形分100質量%)
下記に示した組成である塗布液に変更した以外は実施例1と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 22.50質量部
イソプロピルアルコール 67.50質量部
ラジカル硬化性物質(a)10官能ウレタンアクリレート 8.60質量部
(製品名:紫光(登録商標)UV1700B、日本合成化学社製、固形分100%)
チオール基含有化合物(b):4官能チオール基含有化合物 1.00質量部
(製品名:カレンズMT(登録商標)PE1、昭和電工社製、固形分100質量%)
ラジカル開始剤(d):2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン 0.40質量部
(製品名:Omnirad127、IGM Resins社製、固形分100質量%)
離型層の膜厚を1.0μmになるように塗工した以外は、比較例1と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
離型層の膜厚を0.05μmになるように塗工した以外は、比較例1と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
以下に示す組成の塗布液に変更した以外は、実施例1と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 22.50質量部
イソプロピルアルコール 67.50質量部
ラジカル硬化性物質(a)6官能アクリレート 9.50質量部
(製品名:A−DPH、新中村化学工業社製、固形分100質量%)
離型剤(c):
アクリロイル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.10質量部
(製品名:BYK UV−3500、ビッグケミー・ジャパン社製、固形分100質量%)
ラジカル開始剤(d):2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン 0.40質量部
(製品名:Omnirad127、IGM Resins社製、固形分100質量%)
離型層の膜厚が1.0μmになるように塗工した以外は、比較例5と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
以下の組成の塗布液を用いる以外は、実施例1と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
メチルエチルケトン 22.40質量部
イソプロピルアルコール 67.20質量部
ラジカル硬化性物質(a):トリアリルイソシアヌレート 9.50質量部
(製品名:タイク(登録商標)、日本化成社製、固形分100%)
離型剤(c):アクリロイル基含有アクリルシリコーン 0.50質量部
(製品名:GL−04R、共栄社化学社製、固形分20質量%)
ラジカル開始剤(d):2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン 0.40質量部
(製品名:Omnirad127、IGM Resins社製、固形分100質量%)
窒素雰囲気下で紫外線を照射し硬化させた以外は、比較例1と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
Claims (12)
- ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を設けた離型フィルムであって、前記離型層表面の領域表面平均粗さ(Sa)が7nm以下であり、前記離型層が(メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択される1種類以上のラジカル硬化性官能基を有するラジカル硬化性物質(a)、チオール基含有化合物(b)、離型剤(c)、ラジカル開始剤(d)を含有する組成物が硬化されてなるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- チオール基含有化合物(b)が、(メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択されるラジカル硬化性官能基を有していない請求項1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- チオール基含有化合物(b)が、1分子内に2つ以上のチオール基を持つ化合物である請求項1または2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 離型層表面のジヨードメタン接触角θ1と前記離型フィルムをトルエン浸漬した後の離型層表面のジヨードメタン接触角θ2の差(θ1−θ2)が絶対値として3.0°以下である請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 離型剤(c)が、シリコーン成分を含有する化合物である請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 離型剤(c)が、分子内にフッ素原子を含む化合物である請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- チオール基含有化合物(b)の含有量が、離型層を形成する組成物の質量総和に対して1〜30質量%である請求項1〜6のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- ポリエステルフィルムが、無機粒子を実質的に含有していない表面層A及び無機粒子を含有する反対側の表面層Bを有し、表面層A上に離型層が設けられており、前記表面層Bが含有する無機粒子がシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子であり、無機粒子の合計が表面層B中に5000〜15000ppm含有されている請求項1〜7のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 離型層の膜厚が0.01μm以上、0.5μm以下の範囲である請求項1〜8のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- (メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択される1種類以上のラジカル硬化性官能基を有するラジカル硬化性物質(a)、チオール基含有化合物(b)、離型剤(c)、ラジカル開始剤(d)を含有する組成物を大気中で硬化させて離型層を形成する請求項1〜9のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムの製造方法。
- 0.2μm〜1.0μmの厚みを有するセラミックグリーンシートの製造方法であって、請求項1〜9のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いるセラミックグリーンシートの製造方法
- 請求項11に記載のセラミックグリーンシートの製造方法を採用するセラミックコンデンサの製造方法。
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