JP2012223926A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 各種の溶剤に対する塗布層の耐久性が高度に優れ、溶剤による処理後においても優れた接着性を示すことのできる積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 塗布延伸法により得られる塗布層を有するポリエステルフィルムであり、当該塗布層がポリウレタンとカルボジイミド系架橋剤とを含有する塗布液から形成され、前記ポリウレタンが、主鎖構造の異なる2種類のカーボネートポリオールが共重合されたポリカーボネートポリオールを構成成分として有することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】 塗布延伸法により得られる塗布層を有するポリエステルフィルムであり、当該塗布層がポリウレタンとカルボジイミド系架橋剤とを含有する塗布液から形成され、前記ポリウレタンが、主鎖構造の異なる2種類のカーボネートポリオールが共重合されたポリカーボネートポリオールを構成成分として有することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明は、各種上塗り剤に対する密着性に優れた塗布層を有するポリエスエステルフィルムに関するものである。
二軸延伸ポリエステルフィルムは、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性、ガスバリヤー性、耐薬品性などに優れ、包装材料、製版材料、表示材料、転写材料、窓貼り材料などを始め、メンブレンスイッチやフラットディスプレイ等に用いられる反射防止フィルム、拡散シート、プリズムシート等の光学フィルム、透明タッチパネルなど幅広く使用されている。しかし、かかる用途においてはポリエステルフィルム上に他の材料を塗布積層する場合に、使用される材料によって接着性が悪いという欠点がある。
これらの対応としては、使用される材料や、必要とされる接着性に応じてポリエステルフィルムに塗布積層する樹脂を選定し、樹脂の組み合わせや樹脂の比率などの最適化を図っている。例えば、接着性を改良する方法として、ポリエステルフィルムの表面にポリウレタン樹脂からなる塗布層を積層する方法、アクリル樹脂からなる塗布層を積層する方法、ポリオレフィン、ポリエステルからなる塗布層を積層する方法などがある。
被着面の材料に対して積層する材料を使い分けることにより適切な積層体を形成することは可能であるが、特定の材料を含む積層体で幅広い材料に対する接着性を発現することが現在の課題として挙げられている。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その解決課題は、各種上塗り剤に対して良好な接着性を示すポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記問題点に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成を採用することによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、塗布延伸法により得られる塗布層を有するポリエステルフィルムであり、当該塗布層がポリウレタンとカルボジイミド系架橋剤とを含有する塗布液から形成され、前記ポリウレタンが、主鎖構造の異なる2種類のカーボネートポリオールが共重合されたポリカーボネートポリオールを構成成分として有することを特徴とする積層ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、各種上塗り剤に対して良好な接着性を示すポリエステルフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
本発明の塗布フィルムの基材フィルムは、ポリエステルからなるものである。かかるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸のようなジカルボン酸またはそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのようなグリコールとを溶融重縮合させて製造されるポリエステルである。これらの酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルは、通常行われている方法を任意に使用して製造することができる。
例えば、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとの間でエステル交換反応をさせるか、あるいは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接エステル化させるかして、実質的に芳香族ジカルボン酸のビスグリコールエステル、またはその低重合体を形成させ、次いでこれを減圧下、加熱して重縮合させる方法が採用される。その目的に応じ、脂肪族ジカルボン酸を共重合しても構わない。
例えば、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとの間でエステル交換反応をさせるか、あるいは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接エステル化させるかして、実質的に芳香族ジカルボン酸のビスグリコールエステル、またはその低重合体を形成させ、次いでこれを減圧下、加熱して重縮合させる方法が採用される。その目的に応じ、脂肪族ジカルボン酸を共重合しても構わない。
本発明のポリエステルとしては、代表的には、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられるが、その他に上記の酸成分やグリコール成分を共重合したポリエステルであってもよく、必要に応じて他の成分や添加剤を含有していてもよい。
本発明におけるポリエステルフィルムには、フィルムの走行性を確保したり、キズが入ることを防いだりする等の目的で粒子を含有させることができる。このような粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化アルミニウム、酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、さらに、ポリエステル製造工程時の析出粒子等を用いることができる。
用いる粒子の粒径や含有量はフィルムの用途や目的に応じて選択されるが、平均粒径(d50)に関しては、0.01μm〜3μm、好ましくは0.02μm〜2.5μm、さらに好ましくは0.03μm〜2μmの範囲である。平均粒径が3.0μmを超えるとフィルムの表面粗度が粗くなりすぎたり、粒子がフィルム表面から脱落しやすくなったりする。平均粒径が0.01μm未満では、表面粗度が小さすぎて、十分な易滑性が得られない場合がある。粒子含有量については、ポリエステルに対し、通常0.0003〜1.0重量%、好ましくは0.0005〜0.5重量%の範囲である。粒子含有量が0.0003重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、1.0重量%を超えて添加する場合には、フィルムの透明性が不十分な場合がある。なおフィルムの透明性、平滑性などを特に確保したい場合には、実質的に粒子を含有しない構成とすることも出来る。また、適宜、各種安定剤、潤滑剤、帯電防止剤等をフィルム中に加えることもできる。
本発明のフィルムの製膜方法としては、通常知られている製膜法を採用でき、特に制限はない。例えば、まず溶融押出によって得られたシートを、ロール延伸法により、70〜145℃で2〜6倍に延伸して、一軸延伸ポリエステルフィルムを得、次いで、テンター内で先の延伸方向とは直角方向に80〜160℃で2〜6倍に延伸し、さらに、150〜250℃で1〜600秒間熱処理を行うことでフィルムが得られる。さらにこの際、熱処理のゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムは、単層または多層構造である。多層構造の場合は、表層と内層、あるいは両表層や各層を目的に応じ異なるポリエステルとすることができる。
本発明のポリエステルフィルムは少なくとも片面に塗布層を有するが、フィルムの反対面に同様のあるいは他の塗布層や機能層を設けていても、本発明の概念に当然含まれるものである。
本発明の塗布層は、塗布組成物をポリエステルフィルム上に塗布して得られる。塗布に関しては種々の方法が適用できるが、フィルムの製膜中に塗布層を設ける、いわゆるインラインコーティング、特に塗布後に延伸を行う塗布延伸法を採用する。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから二軸延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸シート、その後に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルムのいずれかにコーティングする。特に塗布延伸法としては、一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と塗布層塗設を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、コーティング後に延伸を行うために、薄膜で均一なコーティングとなるために接着性能が安定する。また、二軸延伸される前のポリエステルフィルム上を、まず易接着樹脂層で被覆し、その後フィルムと塗布層を同時に延伸することで、基材フィルムと塗布層が強固に密着することになる。また、ポリエステルフィルムの二軸延伸は、テンターによりフィルム端部を把持しつつ横方向に延伸することで、フィルムが長手/横手方向に拘束されており、熱固定において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかける事ができる。それゆえ、コーティング後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、塗布層の造膜性が向上し、また塗布層とポリエステルフィルムが強固に密着する。例えば易接着性ポリエステルフィルムとして、塗布層の均一性、造膜性の向上および塗布層とフィルムの密着は好ましい特性を生む場合が多い。
この場合、用いる塗布液は、取扱い上、作業環境上、安全上の理由から水溶液または水分散液であることが望ましいが、水を主たる媒体としており、本発明の要旨を越えない範囲であれば、有機溶剤を含有していてもよい。
本発明のフィルムの塗布層は、ポリウレタンとカルボジイミド化合物とを含有するが、かかる塗布層は例えば、ポリウレタン樹脂とカルボジイミド系架橋剤を含有する塗布液をフィルムに塗布、乾燥、硬化することで得ることができる。
架橋剤の併用は塗布層の硬度を増したり、耐水性などを向上させたりするために用いられることがあるが、硬い塗布層は通常は接着性が劣る傾向にある。しかし、本発明においては特定の構造を有するポリウレタンとカルボジイミド系架橋剤を併用することで極めて優れた接着性を得ることができる。
本発明の塗布層に含有するポリウレタンとは、主鎖構造の異なる2種類のカーボネートジオールが共重合された構造を有する共重合ポリカーボネートポリオールを構成成分として有するものである。
ポリカーボネートポリオールは、例えば、ジフェニルカーボネートとジオールからの反応や、ジアルキルカーボネートとジオールからの反応、アルキレンカーボネートとジオールからの反応で得られる。
例えば、上記反応に用いられるジオール成分としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9‐ノナンジオール、1,10‐デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオールなどが挙げられる。 本発明における共重合ポリカーボネートポリオールは、例えばこれらのジオール成分にカーボネートを付加させ、末端にカーボネートを持つ、モノマーユニットを形成し、それらのモノマーユニットを2種類以上共重合させる、あるいは、2種以上のジオール成分にカーボネートを付加させつつ共重合する等の方法で得ることができる。これらの共重合ポリカーボネートポリオールをポリウレタンのポリオール成分として用いる。
共重合ポリカーボネートポリウレタンを構成する共重合ポリカーボネートポリオールは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)で、100〜3000が好ましい。より好ましくは200〜2500、さらに好ましくは400〜2000である。この範囲より大きいと、耐ブロッキング性が悪化し、この範囲より小さいと、密着性に劣る場合がある。
またこれらの共重合体の構造としては、ランダム共重合、グラフト共重合、ブロック共重合など特に限定されるものではない。
本発明におけるポリウレタンとしては、上記の共重合ポリカーボネートポリオールを含有していれば、その他のポリオール(例えばポリエーテルジオールやポリエステルジオールなど)が含まれていても構わない。
本発明における共重合ポリカーボネートを構成成分としてもつポリウレタンは、溶剤を媒体とするものであってもよいが、好ましくは水を媒体とするものである。ポリウレタンを水に分散、または溶解させるには、乳化剤を用いる強制乳化型、ポリウレタン樹脂中に親水性基を導入する自己乳化型あるいは水溶型等がある。特に、ポリウレタン樹脂の骨格中に親水性基を導入した自己乳化タイプが、液の貯蔵安定性や得られる塗布層の耐水性、透明性に優れており好ましい。
また、導入する親水性基としては、カルボキシル基、スルホン基、リン酸、ホスホン酸、4級アンモニウム、ポリエチレングリコール等、種々のものが挙げられる。
ポリウレタン中の親水性基の量は、0.05〜8重量%が好ましい。少ない親水性基量では、ポリウレタンの水溶性あるいは水分散性が悪くなる傾向があり、多い親水性基量では、塗布後の塗布層の耐水性が劣ったり、吸湿してフィルムが相互に固着しやすくなったりすることがあるからである。
本発明でおけるカルボジイミド系架橋剤とは、分子内にカルボジイミド基を有する化合物およびその反応物である。分子内にカルボジイミド基を有する化合物としては、特に、分子内に2個以上のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物が好適であり、例えば、特開平10−316930号公報や特開平11−140164号公報に示されるように、有機ポリイソシアネート、特に好ましくは有機ジイソシアネートを主たる合成原料として製造される。
これらのジイソシアネートとしては、例えば、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1−メチルフェニレン−2,4−ジイソシアネート、1−メトキシフェニレン−2,4−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、シクロブチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロペンチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシレン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシレン−2,6−ジイソシアネート、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン、シクロヘキサン−1,3−ビス(メチルイソシアネート)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレン−1,12−ジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリカルボジイミドの製造にあたっては、これらの有機ジイソシアネートの1種もしくは2種以上の混合物を用いることができる。また、ジイソシアネート以外の有機ポリイソシアネートを用いることもできる。さらに、分子中の共重合成分として、これら以外のモノマーを含んでいても構わない。
塗布液の不揮発成分中に含まれるカルボジイミド系架橋剤の量は、通常5〜60重量%、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは、20〜50重量%である。この範囲を外れる場合、得られる塗布層の外観や接着性に劣ることがある。
易接着性に優れる塗布層を設けるための塗布液中には、必要に応じて上記述べた成分以外を含むことができる。例えば、界面活性剤、その他のバインダー、架橋剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等である。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
本発明では、フィルムに易滑性を与えたり、ブロッキングを軽減させたりするために、塗布層に粒子を含有してもよい。粒子の含有量があまりに多すぎると、塗布層の透明性が低下したり、塗布層の連続性が損なわれたりして、塗膜強度が低下する、あるいは易接着性が低下することがあるため、15重量%以下、さらには10重量%以下が好適である。また、粒子含有量の下限については特に限定はない。
粒子としては例えば、シリカやアルミナ、酸化金属等の無機粒子、あるいは架橋高分子粒子等の有機粒子等を用いることができる。特に、塗布層への分散性や得られる塗膜の透明性の観点からは、シリカ粒子が好適である。
粒子の粒径は、小さすぎるとブロッキング軽減の効果が得られにくく、大きすぎると塗膜からの脱落などが起きやすい傾向がある。平均粒径としては、塗布層の厚さの1/2〜10倍程度が好ましい。さらに、粒径が大きすぎると、塗布層の透明性が劣ることがあるので、平均粒径として、300nm以下、さらには150nm以下であることが好ましい。ここで述べる粒子の平均粒径は、粒子の分散液をマイクロトラックUPA(日機装社製)にて、個数平均の50%平均径を測定することで得られる。
ポリエステルフィルムに塗布液を塗布する方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような塗布技術を用いることができる。具体的には、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、カレンダコーター、押出コーター、バーコーター等のような技術が挙げられる。
なお、塗布剤のフィルムへの塗布性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理等を施してもよい。
ポリエステルフィルム上に設けられる塗布層の塗工量は、最終的な被膜として設けた際に、通常は0.002〜1.0g/m2、好ましくは0.005〜0.5g/m2、さらに好ましくは0.01〜0.2g/m2である。塗工量が0.002g/m2未満の場合は十分な接着性能が得られない恐れがあり、1.0g/m2を超える塗布層は、外観・透明性の悪化や、フィルムのブロッキング、コストアップを招きやすい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における評価方法は下記のとおりである。
(1)ポリエステルの極限粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)ポリエステルフィルム中に添加する粒子の平均粒径(d50)
島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3型を用いてストークスの抵抗則に基づく沈降法によって粒子の大きさを測定した。
島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3型を用いてストークスの抵抗則に基づく沈降法によって粒子の大きさを測定した。
(3)接着性
下記に示す特性の違う、3種類の上塗り剤をポリエステルフィルムの塗布層上に塗工し積層フィルムを作成した。積層フィルムを作成後、各種上塗り剤に対する接着性評価を行った。
・接着性A
ポリエステルフィルムの塗布層上に、アクリルHCの調整液を塗工し、接着性の評価を行った。アクリルHCの調整について、カラヤッドDPHA(日本化薬社製)/カラヤッドR−128H(日本化薬社製)/Irgacure651(チバスペシャルティケミカルズ社製)=80/20/5の重量比率で配合し、トルエンで30%溶液に調整する。この塗布液をテスター産業製の自動コーター(PI1210)を用いて、乾燥被膜が5μmの厚みになるように塗工した。80℃で1分間の加熱条件で塗膜を乾燥後、120W/cmのメタルハライドランプを使用し硬化させ、積層フィルムを作成した。硬化させる際にかけた活性エネルギー線の積算光量は220mJ/cm2であった。
下記に示す特性の違う、3種類の上塗り剤をポリエステルフィルムの塗布層上に塗工し積層フィルムを作成した。積層フィルムを作成後、各種上塗り剤に対する接着性評価を行った。
・接着性A
ポリエステルフィルムの塗布層上に、アクリルHCの調整液を塗工し、接着性の評価を行った。アクリルHCの調整について、カラヤッドDPHA(日本化薬社製)/カラヤッドR−128H(日本化薬社製)/Irgacure651(チバスペシャルティケミカルズ社製)=80/20/5の重量比率で配合し、トルエンで30%溶液に調整する。この塗布液をテスター産業製の自動コーター(PI1210)を用いて、乾燥被膜が5μmの厚みになるように塗工した。80℃で1分間の加熱条件で塗膜を乾燥後、120W/cmのメタルハライドランプを使用し硬化させ、積層フィルムを作成した。硬化させる際にかけた活性エネルギー線の積算光量は220mJ/cm2であった。
・接着性B
ポリエステルフィルムの塗布層上に、東洋インキ製造社製の紫外線硬化型インキ・FDカルトンX墨Mおよび、FDカルトンX藍MをIHI機械システム社製のオフセット印刷試験機であるRIテスターにて塗工し、厚さ1μmの塗布厚みを設け、160W/cmのメタルハライドランプを使用しインキを硬化させ、積層フィルムを作成した。硬化させる際にかけた活性エネルギー線の積算光量は90mJ/cm2であった。
ポリエステルフィルムの塗布層上に、東洋インキ製造社製の紫外線硬化型インキ・FDカルトンX墨Mおよび、FDカルトンX藍MをIHI機械システム社製のオフセット印刷試験機であるRIテスターにて塗工し、厚さ1μmの塗布厚みを設け、160W/cmのメタルハライドランプを使用しインキを硬化させ、積層フィルムを作成した。硬化させる際にかけた活性エネルギー線の積算光量は90mJ/cm2であった。
・接着性C
平坦なSUS板上に、活性エネルギー線硬化樹脂であるダイヤビームUR−6530(三菱レイヨン社製)を滴下し、その上から、ポリエステルフィルムの評価面が活性エネルギー線硬化樹脂が触れる向きに重ね、荷重4kg、幅50mmのローラーで硬化後の厚さが15μmになるように均して、160W/cmの高圧水銀灯を使用し、インキを硬化させ、積層フィルムを作成した。硬化させる際にかけた活性エネルギー線の積算光量は160mJ/cm2であった。
平坦なSUS板上に、活性エネルギー線硬化樹脂であるダイヤビームUR−6530(三菱レイヨン社製)を滴下し、その上から、ポリエステルフィルムの評価面が活性エネルギー線硬化樹脂が触れる向きに重ね、荷重4kg、幅50mmのローラーで硬化後の厚さが15μmになるように均して、160W/cmの高圧水銀灯を使用し、インキを硬化させ、積層フィルムを作成した。硬化させる際にかけた活性エネルギー線の積算光量は160mJ/cm2であった。
上記の接着性A〜Cとも、得られた積層フィルムの上塗り層に、1インチ幅に碁盤目が100個になるようクロスカットを入れ、セロテープ(登録商標)による急速剥離試験を実施し、剥離面積によりその密着性を評価した。判定基準は以下のとおりである。
◎:碁盤目剥離個数=0
○;1≦碁盤目剥離個数≦10
△:11≦碁盤目剥離個数≦20
×:21≦碁盤目剥離個数
××:全面が剥離
◎:碁盤目剥離個数=0
○;1≦碁盤目剥離個数≦10
△:11≦碁盤目剥離個数≦20
×:21≦碁盤目剥離個数
××:全面が剥離
実施例、比較例中で使用したポリエステル原料は次のとおりである。
(ポリエステル1):実質的に粒子を含有しない、極限粘度0.66のポリエチレンテレフタレート
(ポリエステル2):平均粒径(d50)が1.6μmの非晶質シリカを0.3重量%含有する、極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレート
(ポリエステル1):実質的に粒子を含有しない、極限粘度0.66のポリエチレンテレフタレート
(ポリエステル2):平均粒径(d50)が1.6μmの非晶質シリカを0.3重量%含有する、極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレート
また、塗布組成物としては以下を用いた。ただし文中「部」とあるのは、有効成分での重量比を表す。
(U1):共重合ポリカーボネートポリオールを構成成分としてもつポリウレタンであるF2967D(第一工業製薬社製)
(U2):下記式(1)と(3)の構造を、70モル%/30モル%の比率で共重合してなる、数平均分子量が約1000のポリカーボネートジオールを202部と、水添ジフェニルメタンジイソシアネートを78.6部と、ジメチロールプロピオン酸を6.7部とからなるプレポリマーを、トリエチルアミンで中和し、ジプロピレントリアミン6.5部で鎖延長して得られるウレタン樹脂の水分散体
(U3):下記式(2)と(3)の構造を、50モル%/50モル%の比率で共重合してなる、数平均分子量が約800のポリカーボネートジオールを160部と、水添ジフェニルメタンジイソシアネートを78.6部と、ジメチロールプロピオン酸を6.7部とからなるプレポリマーを、トリエチルアミンで中和し、イソホロンジアミン8.4部で鎖延長して得られるウレタン樹脂の水分散体。
(U1):共重合ポリカーボネートポリオールを構成成分としてもつポリウレタンであるF2967D(第一工業製薬社製)
(U2):下記式(1)と(3)の構造を、70モル%/30モル%の比率で共重合してなる、数平均分子量が約1000のポリカーボネートジオールを202部と、水添ジフェニルメタンジイソシアネートを78.6部と、ジメチロールプロピオン酸を6.7部とからなるプレポリマーを、トリエチルアミンで中和し、ジプロピレントリアミン6.5部で鎖延長して得られるウレタン樹脂の水分散体
(U3):下記式(2)と(3)の構造を、50モル%/50モル%の比率で共重合してなる、数平均分子量が約800のポリカーボネートジオールを160部と、水添ジフェニルメタンジイソシアネートを78.6部と、ジメチロールプロピオン酸を6.7部とからなるプレポリマーを、トリエチルアミンで中和し、イソホロンジアミン8.4部で鎖延長して得られるウレタン樹脂の水分散体。
(C1):カルボジイミド基含有架橋剤:カルボジライトV02(日清紡社製)
(C2):カルボジイミド基含有架橋剤:カルボジライトE02(日清紡社製)
(C3): メラミン基含有架橋剤:ベッカミンMAS(大日本インキ化学工業社製)
(C4):イソシアネート基含有架橋剤:エラストロンMF25K(第一工業製薬社製)
(C2):カルボジイミド基含有架橋剤:カルボジライトE02(日清紡社製)
(C3): メラミン基含有架橋剤:ベッカミンMAS(大日本インキ化学工業社製)
(C4):イソシアネート基含有架橋剤:エラストロンMF25K(第一工業製薬社製)
比較例1:
ポリエステル1とポリエステル2とを重量比で
92/8でブレンドしたものをA層、ポリエステル1のみのものをB層の原料として、二台のベント式二軸押出機にそれぞれを供給し、285℃に加熱溶融し、A層を二分配して再外層(表層)、B層を中間層とする二種三層(A/B/A)の層構成で共押出し、静電密着法を用いて表面温度40〜50℃の鏡面冷却ドラムに密着させながら冷却固化させて、厚み構成比がA/B/A=3/94/3となる未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作成した。このフィルムを85℃の加熱ロール群を通過させながら長手方向に3.7倍延伸し、一軸配向フィルムとした。次いでこのフィルムをテンター延伸機に導き、100℃で幅方向に4.0倍延伸し、さらに230℃で熱処理を施した後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、フィルム厚みが100μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。このフィルムの特性を下記表1に示す。
ポリエステル1とポリエステル2とを重量比で
92/8でブレンドしたものをA層、ポリエステル1のみのものをB層の原料として、二台のベント式二軸押出機にそれぞれを供給し、285℃に加熱溶融し、A層を二分配して再外層(表層)、B層を中間層とする二種三層(A/B/A)の層構成で共押出し、静電密着法を用いて表面温度40〜50℃の鏡面冷却ドラムに密着させながら冷却固化させて、厚み構成比がA/B/A=3/94/3となる未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作成した。このフィルムを85℃の加熱ロール群を通過させながら長手方向に3.7倍延伸し、一軸配向フィルムとした。次いでこのフィルムをテンター延伸機に導き、100℃で幅方向に4.0倍延伸し、さらに230℃で熱処理を施した後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、フィルム厚みが100μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。このフィルムの特性を下記表1に示す。
比較例2:
得られた1軸配向フィルムの片面に表1に示すとおりの塗布組成物を塗布した。次いで、このフィルムをテンター延伸機に導き、その熱を利用して塗布組成物の乾燥を行いつつ、以降は比較例1と同様の工程においてフィルム厚みが100μmの二軸配向フィルム上に表1に示す塗布層が設けられた積層ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。
得られた1軸配向フィルムの片面に表1に示すとおりの塗布組成物を塗布した。次いで、このフィルムをテンター延伸機に導き、その熱を利用して塗布組成物の乾燥を行いつつ、以降は比較例1と同様の工程においてフィルム厚みが100μmの二軸配向フィルム上に表1に示す塗布層が設けられた積層ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を表1に示す。
比較例3,4:
比較例2と同様の工程において、フィルム厚みが100μmの基材フィルム上に表1に示す塗布層を設けた積層ポリエステルフィルムを得た。メラミン系架橋剤およびイソシアネート系架橋剤の併用では十分な接着性を得ることができなかった。
比較例2と同様の工程において、フィルム厚みが100μmの基材フィルム上に表1に示す塗布層を設けた積層ポリエステルフィルムを得た。メラミン系架橋剤およびイソシアネート系架橋剤の併用では十分な接着性を得ることができなかった。
実施例1〜7:
比較例2と同様の工程において、フィルム厚みが100μmの基材フィルム上に表1に示す塗布層を設けた積層ポリエステルフィルムを得た。カルボジイミド系の架橋剤と併用することで十分な接着性を得ることができた。
比較例2と同様の工程において、フィルム厚みが100μmの基材フィルム上に表1に示す塗布層を設けた積層ポリエステルフィルムを得た。カルボジイミド系の架橋剤と併用することで十分な接着性を得ることができた。
本発明のフィルムは、各種上塗り剤と優れた密着性を示し、密着性を必要とする用途における二軸延伸ポリエステルフィルムとして好適に利用することができる。
Claims (1)
- 塗布延伸法により得られる塗布層を有するポリエステルフィルムであり、当該塗布層がポリウレタンとカルボジイミド系架橋剤とを含有する塗布液から形成され、前記ポリウレタンが、主鎖構造の異なる2種類のカーボネートポリオールが共重合されたポリカーボネートポリオールを構成成分として有することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
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2011
- 2011-04-18 JP JP2011091625A patent/JP2012223926A/ja active Pending
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