JP2019188612A - ドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルム - Google Patents

ドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】DFRの形成に用いるポリエステルフィルム、中でも支持フィルムとして好適に用いることができるポリエステルフィルムに関し、高い平坦性および透明性を実現でき、フィルムの滑りが良く、さらには凝集物(異物)の発生を低減することができる、新たなドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】基材ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に粒子含有表面層を備えたドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムであって、前記基材ポリエステルフィルムは、平均粒径が0.03〜0.200μmである粒子を10〜2900ppmの質量割合で含み、粒径が0.300μm以上の粒子を実質的に含まないポリエステル層(「A層」と称する)からなる単層又は該A層を表面に備えた複層のフィルムであり、前記粒子含有表面層は、平均粒径0.005〜0.150μmの粒子を含み、前記基材ポリエステルフィルムのアンチモン元素含有量が150ppm以下であることを特徴とするドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムを提案する。【選択図】 なし

Description

本発明は、ドライフィルムレジスト(以下「DFR」と略記する場合がある)の形成に用いるポリエステルフィルム、中でもドライフィルムレジストを構成する支持フィルムとして好適に用いることができるポリエステルフィルムに関する。
ドライフィルムレジスト(DFR)は、電子回路基板の配線パターン形成用レジストとして広く用いられている。
ドライフィルムレジスト(DFR)は、支持フィルム(「キャリアフィルム」とも称される)/感光性樹脂材料から成るフォトレジスト層/保護フィルム(「カバーフィルム」とも称される)が積層してなる3層構成のものが一般的である。
このようなDFRを用いて電子回路基板を製造する方法としては、例えば、先ずDFRから保護フィルムを剥離してフォトレジスト層を露出させ、表面に例えば銅層が積層されているエポキシ樹脂基板の銅層表面に前記フォトレジスト層を重ねてDFRを貼付けた後、回路が印刷されたガラス板に支持フィルムを重ねてDFRを密着させ、ガラス板側から光を照射する。この光は、ガラス板において印刷された回路の画像で透明な部分及び支持フィルム層内を透過した後、フォトレジスト層に照射され、フォトレジスト層において光が照射された箇所は、光によって硬化する。次に、ガラス板及び支持フィルムを取除いた後、フォトレジスト層の未硬化部分を除去し、酸等を用いてエッチングを行う。このとき、フォトレジスト層の未硬化部分の除去によりそれに対応する箇所の銅層が露出され、エッチングにより露出された銅層がエポキシ樹脂基板から除去されてエポキシ樹脂基板上に回路が形成される。そして、硬化したフォトレジスト層を除去することにより、電子回路基板を製造することができる。
DFRの形成に用いる前記支持フィルムとしては、機械的性質、光学的性質、耐薬品性、耐熱性、寸法安定性、平面性等に優れているために、主にポリエステルフィルムが用いられている。
この種のポリエステルフィルムに関しては、例えば特許文献1において、少なくとも片側の最表層に平均粒子径が0.01〜3.0μmの粒子を含有する二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、当該最表層の中心線平均粗さRaが0.005μm以上及び最大高さRtが1.5μm未満であり、ヘーズ値が1.5%以下に設定されたものが開示されている。
特許文献2には、巻取り性に優れ、回路欠陥の発生をより確実に防止することができるとともに、解像度をより向上させることができるドライフィルムレジスト用積層ポリエステルフィルムとして、少なくとも2層のポリエステル層から成り、長径が10μm以上の金属含有凝集体の個数が5個/10cm2以下であり、その少なくとも一方の最表層は平均粒子径が0.01〜3.0μmの粒子を含有し、表面の中心線平均粗さRaが0.002〜0.030μmであるとともに最大高さRtが0.05〜1.0μmであるドライフィルムレジスト用積層ポリエステルフィルムが開示されている。
特開平7−333853号公報 特開2005−77646号公報
近年、電子機器の小型化により形成する回路が極めて複雑になり、線が細く、その間隔も狭くなってきており、DFRに対して画像形成の再現性及び解像度の高度化が要求されている。DFRにおいては、支持フィルムを通して光をフォトレジスト層に照射して露光させるため、支持フィルムの透明性が低いとフォトレジスト層が十分に露光されないし、また、フィルムのヘーズ値が高かったり、表面が粗かったりすると、フィルム表面および内部の光の散乱により解像度が悪化する等の問題が生ずることがある。よって、DFRを構成する支持フィルムに対しては、表面がより平坦で透明性がより一層高く、フィルムのヘーズ値もより低いことが求められている。
しかしながら、フィルムの平坦性が高くなるとフィルムの滑りが悪くなり、取扱い性が悪くなるばかりか、ロール状に巻き取ることが困難になることもあった。
こうしたフィルムの取扱い性や巻き特性を良好とするため、ポリエステルフィルム中に粒子を含有させ、表面に微細な突起を形成することが考えられる。しかし、粒子添加による突起形成を行うと、突起による紫外線の散乱やレジスト表面に凹みを生じ、極細線の回路形成に解像性の低下や欠陥を及ぼしたり、フィルムの透明性を低下させたりすることになり易かった。
また、ポリエステルフィルムの場合、凝集物(異物)が発生することがあり、これによってフィルム表面の平坦性が低下したり、DFRの支持フィルムとして用いた際にレジストの硬化阻害を引き起こしたりすることがあった。
そこで本発明は、DFRの形成に用いるポリエステルフィルム、中でも支持フィルムとして好適に用いることができるポリエステルフィルムに関し、高い平坦性および透明性を実現することができ、それでいて、フィルムの滑りが良く、さらにはフィルムの平坦性を低下させたり、レジストの硬化阻害を引き起こしたりする凝集物(異物)の発生を低減することができる、新たなドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムを提供せんとするものである。
本発明は、基材ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に粒子含有表面層を備えたドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムであって、
前記基材ポリエステルフィルムは、平均粒径が0.03〜0.200μmである粒子を10〜2900ppmの質量割合で含み、粒径が0.300μm以上の粒子を実質的に含まないポリエステル層(「A層」と称する)からなる単層又は該A層を表面に備えた複層のフィルムであり、
前記粒子含有表面層は、平均粒径0.005〜0.150μmの粒子を含み、
前記基材ポリエステルフィルムのアンチモン元素含有量が150ppm以下であることを特徴とするドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムを提案する。
本発明はまた、基材ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に粒子含有表面層を備えたドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムであって、
前記基材ポリエステルフィルムは、平均粒径が0.03〜0.200μmである粒子を10〜2900ppmの質量割合で含み、粒径が0.300μm以上の粒子を実質的に含まないポリエステル層(「A層」と称する)からなる単層又は該A層を表面に備えた複層のフィルムであり、
前記粒子含有表面層は、平均粒径0.05〜0.150μmの粒子を含み、
前記基材ポリエステルフィルムにおいて、長径が10μm以上の凝集体の個数が5個/10cm2以下であり、かつ長径が2μm以上10μm未満の凝集体の個数が100個/mm2以下であることを特徴とするドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムを提案する。
本発明が提案するドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムは、前記基材ポリエステルフィルムのアンチモン元素含有量を150ppm以下とするか、若しくは、長径が10μm以上の凝集体の個数を5個/10cm2以下とし、かつ長径が2μm以上10μm未満の凝集体の個数を100個/mm2以下に調整することにより、凝集物(異物)の発生によって、フィルムの平坦性を低下させたり、レジストの硬化阻害を引き起こしたりすることを有効に抑制することができる。
さらに本発明が提案するドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムは、平均粒径が0.03〜0.200μmの粒子を10〜2900ppm含むポリエステル層(A層)を備えると共に、平均粒径が0.05〜0.150μmの粒子を含む粒子含有表面層を備えているため、高い平坦性および透明性を実現することができるばかりか、フィルムの滑り性を高めることができるため、ロール状に巻き取ることができるばかりか、傷付きを軽減することができ、ドライフィルムレジストを構成する支持フィルムとして用いた際にレジストの硬化阻害の問題をも解消することができる。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
[本ポリエステルフィルム]
本発明の実施形態の一例であるドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルム(「本ポリエステルフィルム」と称する)は、基材ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に粒子含有表面層を備えたポリエステルフィルムである。
<本基材ポリエステルフィルム>
本ポリエステルフィルムを構成する基材ポリエステルフィルム(「本基材ポリエステルフィルム」と称する)は、ポリエステルを主成分樹脂として含有し、且つ、平均粒径が0.03〜0.200μmである粒子を10〜2900ppmの質量割合で含み、粒径が0.300μm以上の粒子を実質的に含まないポリエステル層(A層)からなる単層又は該A層を表面に備えた複層、具体的には2層、3層、4層又はそれ以上の多層構成のフィルムであるのが好ましい。
本基材ポリエステルフィルムが、A層を表面に備えた複層のフィルムである場合、A層以外の層は、各層の主成分樹脂がポリエステルであるのが好ましく、中でも、A層の主成分樹脂であるポリエステルと同じポリエステルであるのが特に好ましい。ポリエステルについては後述する。
この際、「主成分樹脂」とは、各層を構成する樹脂のうち最も含有量の高い樹脂を示す。
本基材ポリエステルフィルムが、A層を表面に備えた複層のフィルムである場合、具体的には、主層としてのポリエステル層(「B層」とも称する)を備えたA層/B層、A層/B層/A層などを挙げることができる。さらに異なるポリエステル層(「C層」とも称する)を備えたA層/B層/C層、A層/B層/C層/A層なども挙げることができる。但し、これらに限定されるものではない。
(A層)
A層は、後述するポリエステルを主成分樹脂として含有し、且つ、粒径が0.03〜0.200μmの粒子を10〜2900ppm含み、粒径が0.300μm以上の粒子を実質的に含まないポリエステル層である。
単層の本基材ポリエステルフィルムを構成するA層、または、片表層または両表層としてのA層が当該粒子を含まないと、ハンドリング性が悪いばかりか、ポリエステルフィルムの製膜工程でフィルム表面に多数の擦り傷が入ってしまう可能性がある。前述のように支持フィルムを通して光をレジスト層に照射して露光させるため、DFRの支持フィルムに異物や傷があると、その部分が露光されず、回路欠損が生じるようになってしまう。そのため、本ポリエステルフィルムをDFRの支持フィルムとして使用することを考慮すると、本基材ポリエステルフィルムの表面をなすA層は粒子を含有するのが特に好ましい。
A層が含有する粒子の平均粒径は、0.03μm〜0.200μmの範囲内であるのが好ましい。
当該粒子の平均粒径が0.200μm以下であれば、フィルムの透明性を阻害することない一方、当該粒子の平均粒径が0.03μm以上であれば、フィルム表面を適度に粗くすることができ、ハンドリング性が良くなるばかりか、本基材ポリエステルフィルムの製膜工程においてフィルム表面に擦り傷が入ることを抑えることができる。
かかる観点から、A層が含有する粒子の平均粒径は0.03μm〜0.200μmであるのが好ましく、中でも0.040μm以上或いは0.150μm以下の範囲内、その中でも0.050μm以上或いは0.100μm以下の範囲内であるのが特に好ましい。
なお、各層における粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって、10個以上の粒子の直径を測定し、その平均値として求めることができる。その際、非球状粒子の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定することができる。
さらにA層は、露光する際の光の透過性を維持して、露光後の所謂“削れ”を無くすなどの観点から、粒径が0.300μm以上の粒子を実質的に含まないことが好ましい。
この際、「実質的に含有しない」とは、意図して含有しないという意味であり、具体的には、当該粒子の含有量が200ppm以下、より好ましくは150ppm以下のことを指す。
さらにA層は、上記のような平均粒径0.03μm〜0.200μmの粒子を10〜2900ppmの質量割合(「濃度」とも称する)で含むのが好ましい。
A層において、平均粒径0.03μm〜0.200μmの粒子の含有量(粒子濃度)が2900ppm以下であれば、フィルムの透明性をより一層高めることができる一方、平均粒径0.03μm〜0.200μmの粒子の含有量(粒子濃度)が10ppm以上であれば、フィルム表面を適度に粗くすることができ、ハンドリング性が良くなるばかりか、本基材ポリエステルフィルムの製膜工程においてフィルム表面に擦り傷が入ることを抑えることができる。
かかる観点から、A層は、平均粒径0.03μm〜0.200μmの粒子を10〜2900ppmの質量割合で含むのが好ましく、中でも100ppm以上或いは2700ppm以下、その中でも500ppm以上或いは2500ppm以下、その中でも1000ppm以上或いは2300ppm以下であることがさらに好ましい。
A層が含有する粒子は、平均粒径が0.03〜0.200μmである粒子であれば、その材料を特に限定するものではない。例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、イオン交換樹脂、架橋高分子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、およびポリエステル重合時に生成させる析出粒子を挙げることができる。
A層が含有する粒子は、一種類でもよいし、二種類以上でもよいし、同種の粒子で粒径や粒子形状の異なるものを同時に用いてもよい。
また、上記粒子の形状は、球状、塊状、棒状、扁平状、その他の形状のいずれでもよい。
A層の厚みは、透明性などの観点から、0.1〜20.0μmであるのが好ましく、中でも0.3μm以上或いは10.0μm以下、その中でも0.5μm以上或いは5.0μm以下であるのがさらに好ましい。
また、A層に含まれる粒子の平均粒径(μm)に対するA層の層厚(μm)の比率は、平坦性の観点から0.5〜400であるのが好ましく、中でも5以上或いは100以下が好ましく、その中でも10以上或いは50以下であるのがさらに好ましい。
(B層)
本基材ポリエステルフィルムは、上記A層以外に、主層としてのポリエステル層(B層)を備えるのが好ましく、この際、B層は、コストを抑えると共に透明性を高めるため、粒子を実質的に含まないか、若しくは、少なくともA層よりも低濃度で粒子を含むのが好ましい。
この際、「主層」とは、本基材ポリエステルフィルムがA層以外に他の層を備える場合、その中の最も厚みの大きな層をいう。
また、上記の「実質的に含有しない」とは、意図して含有しないという意味であり、具体的には、粒子の含有量(粒子濃度)が200ppm以下、より好ましくは150ppm以下のことを指す。
B層の主成分樹脂であるポリエステルは、A層の主成分樹脂であるポリエステルと同じポリエステルであるのが好ましい。
B層が粒子を含有する場合、上述のように、コストを抑えると共に透明性を高めるため、B層が含有する粒子の平均粒径は、A層が含有する粒子の平均粒径よりも小さいことが好ましく、0.010μm〜0.200μmであるのがさらに好ましく、中でも0.012μm以上或いは0.100μm以下、その中でも0.015μm以上或いは0.080μm以下であるのが特に好ましい。
また、露光する際の光の透過性を維持して、露光後の回路欠損を無くすなどの観点から、B層も、A層同様に、粒径が0.300μm以上の粒子を実質的に含まないことが好ましい。
さらにB層における粒子濃度は、上述のように、コストを抑えると共に透明性を高めるため、少なくともA層における粒子濃度よりも低いことが好ましく、具体的には0〜2500ppmの質量割合であるのが好ましく、中でも2000ppm以下、その中でも1000ppm以下、その中でも500ppm以下であることがさらに好ましく、最も好ましくは100ppm以下であることがさらに好ましい。
また、B層が含有する粒子の種類、形状などは、A層と同様である。
B層の厚みは、透明性を高めると共にコストを抑えるなどの観点から、B層の厚みに対する各A層の厚みは0.1〜40.0%であるのが好ましく、中でも1.0%以上或いは20.0%以下、その中でも3.0%以上或いは10.0%以下であるのがさらに好ましい。
(C層)
本基材ポリエステルフィルムが、上述のように、A層及びB層以外にC層を備える場合、当該C層は、ポリエステルを主成分樹脂として備え、且つ、少なくともA層よりも低濃度で粒子を含むのが好ましい。或いは、A層と同様に粒子を含み、且つ、A層とは厚みの異なる層であってもよい。
なお、C層における粒子の種類や粒子形状はA層と同様である。
C層の厚みは、透明性を高めると共にコストを抑えるなどの観点から、A層の厚みに対するC層の厚みは1〜300%であるのが好ましく、中でも10%以上或いは200%以下、その中でも20%以上或いは150%以下であるのがさらに好ましい。
(ポリエステル)
本基材ポリエステルフィルムの各層の主成分樹脂をなすポリエステルは、特に限定されるものではなく、芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとグリコールとを主たる出発原料として得られるポリエステルであればよい。中でも、繰り返し構造単位の60%以上がエチレンテレフタレート単位又はエチレン−2,6−ナフタレート単位を有するポリエステルであるのが好ましい。
また、当該ポリエステルは、エチレンテレフタレート単位及びエチレン−2,6−ナフタレート単位以外の第三成分を共重合成分又は混合成分として含有していてもよい。例えば、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂と相溶性のある樹脂を混合してもよい。
上記芳香族ジカルボン酸成分の例としては、例えばテレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸等を挙げることができる。特に、テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルが好ましい。
上記グリコール成分の例としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の一種または二種以上を挙げることができる。特に、エチレングリコールが好ましい。
上記ポリエステルが共重合ポリエステルである場合、そのジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、セバシン酸などの1種または2種以上を挙げることができ、そのグリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールなどの1種または2種以上を挙げることができる。
(本基材ポリエステルフィルム)
本基材ポリエステルフィルムは、固有粘度が0.65dl/g以上であることが好ましい。
本基材ポリエステルフィルムの固有粘度が0.65dl/g以上であれば、後述するように、延伸倍率、中でも幅方向(横方向)の延伸倍率を4.0倍以上に高めても、破断を生じることなく延伸することができるため、特に幅方向におけるフィルムの厚みムラを低減することができ、ロール状に巻き取る際に空気が溜まるのを抑制してシワの発生を低減することができる。
かかる観点から、本基材ポリエステルフィルムの固有粘度は0.65dl/g以上であるのが好ましく、中でも0.65dl/g以上或いは0.90dl/g以下、その中でも0.66dl/g以上或いは0.80dl/g以下であるのがさらに好ましい。
本基材ポリエステルフィルムの固有粘度は、主成分樹脂であるポリエステルの重合条件を適宜変更することによって調整することができる。例えば、重合時間を長くしたり、固相重合を採用したりして、分子量を高めれば固有粘度を高めることができる。
なお、本基材ポリエステルフィルムが積層の場合は、上記固有粘度はフィルム全層の固有粘度を意味するものである。
本基材ポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよい。中でも延伸フィルムであることが好ましく、二軸延伸フィルムであることがより好ましい。積層ポリエステルフィルムが二軸延伸フィルムである場合、逐次二次延伸フィルムであっても、同時二軸延伸フィルムであってもよい。
本基材ポリエステルフィルムの厚みは、ハンドリング性や経済性の観点から、6μm〜63μmであるのが好ましく、中でも9μm以上或いは38μm以下、その中でも12μm以上或いは25μm以下であるのがさらに好ましい。
本基材ポリエステルにおいては、長径が10μm以上の凝集体の個数が5個/10cm2以下であり、かつ長径が2μm以上10μm未満の凝集体の個数が100個/mm2以下であるのが好ましい。
本発明者らの検討によれば、このような凝集体は、ポリエステルを製造するときに添加される触媒が析出、凝集し積層フィルム中に残存することにより形成され、凝集体の長径が大きいほど遮光性を有していることが確認された。例えば、ポリエステルの製造において三酸化アンチモンを用いたときには、残存したアンチモンが析出、凝集することにより、アンチモンを含有する凝集体がポリエステル中に形成される。このため、ポリエステルを用いた積層フィルム中には遮光性を有する凝集体が存在し、二軸延伸されることによりフィルム面内で拡大される。よって、特に大きな凝集体すなわち長径が10μm以上の凝集体の個数を5個/10cm2以下とするのが好ましい。
また、比較的小さな凝集体すなわち長径が2μm以上10μm未満の凝集体は、ポリエステルフィルムを製造するときに添加される粒子が凝集して形成されると考えられる。その個数を100個/mm2以下とすることにより、積層フィルム内を透過する光が、これらの凝集体によって遮光される割合を十分に低くすることができ、解像度の低下を抑制し、製造する電子回路基板に生じる回路欠陥などを低減することができる。
かかる観点から、本基材ポリエステルにおいて、長径が10μm以上の凝集体の個数は、5個/10cm2以下であるのが好ましく、中でも3個/10cm2以下、その中でも1個/10cm2以下であるのがより好ましい。また、長径が2μm以上10μm未満の凝集体の個数は、100個/mm2以下であるのが好ましく、中でも80個/mm2以下、その中でも60個/mm2以下であるのが好ましく、40個/mm2あるのがより好ましい。
ここで、ドライフィルムレジストにより形成される回路の幅は例えば2〜50μmであり、光は積層フィルム内を例えば2〜50μmの幅で透過する。このため、長径が2μm未満の凝集体は、2〜50μmの幅で積層フィルム内を透過する光に対して遮光の程度が低く、この金属含有凝集体に起因する回路欠陥は発生しないことが見出された。よって、積層フィルム中の金属含有凝集体については、長径が2μm以上のものを前記範囲に設定するのが好ましい。
なお、上記凝集体の長径は、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡等を用いて金属含有凝集体の最大直径を測定することにより求められる。
また、本発明において「凝集体」とは、必ずしも何らかの物質が凝集していることを意味するものではない。すなわち、上記の長径に該当する物質として基材ポリエステルフィルム中で確認されるものであれば、凝集の如何に関わらず該当するものとする。
(アンチモン及びチタン含有量)
上記凝集体は、通常、触媒として用いられる金属化合物または還元された金属を含有する。本発明者らの検討によれば、中でもアンチモン及びチタン、その中でもアンチモンは、他の金属に比べて遮光性が高いため、これらの金属元素が特定の含有量以上含んでいると、高精細なドライフィルムレジストの性能に影響を及ぼすことを見出したものである。そのため、アンチモン元素の含有量、さらにはチタン元素の含有量を調整することにより、回路欠陥をより確実に防止することができるために好ましい。
本基材ポリエステルにおけるアンチモン元素含有量は150ppm以下であるのが好ましい。
アンチモン元素の含有量が150ppm以下であれば、本基材ポリエステルにおいて、アンチモン含有凝集体の個数を低減することができ、透過する光がアンチモン含有凝集体によって遮光される割合を低くすることができ、解像度の低下を抑えて電子回路基板に発生する回路欠陥などを低減することができる。
本基材ポリエステルにおけるアンチモン元素含有量は150ppm以下であるのが好ましく、中でも30ppm以上或いは120ppm以下、その中でも50ppm以上或いは100ppm以下であるのがさらに好ましい。
本基材ポリエステルにおけるアンチモン元素含有量は、ポリエステルを製造するときの重縮合触媒としてのアンチモン化合物の量に起因している。このため、アンチモン元素の含有量が30ppm未満では、触媒量が少ないためにポリエステルの製造効率が低下するおそれがある。
ここで、A層及びB層が異なるポリエステルにより形成されているときには、本基材ポリエステルにおけるアンチモン元素含有量は、各ポリエステルの製造時におけるアンチモン化合物の量及び各層の厚みに起因している。
本基材ポリエステルにおけるチタン元素含有量は20ppm以下であるのが好ましい。
チタン元素の含有量が20ppm以下であれば、本基材ポリエステルにおいて、チタン元素含有凝集体の個数を低減することができ、透過する光がチタン含有凝集体によって遮光される割合を低くすることができ、解像度の低下を抑えて電子回路基板に発生する回路欠陥などを低減することができる。
本基材ポリエステルにおけるチタン元素含有量は20ppm以下であるのが好ましく、中でも1ppm以上或いは16ppm以下、その中でも2ppm以上或いは12ppm以下であるのがさらに好ましい。
本基材ポリエステルにおけるチタン元素含有量は、ポリエステルを製造するときの重縮合触媒としてのチタン化合物の量に起因している。このため、チタン元素の含有量が1ppm未満では、触媒量が少ないためにポリエステルの製造効率が低下するおそれがある。
ここで、A層及びB層が異なるポリエステルにより形成されているときには、本基材ポリエステルにおけるチタン元素含有量は、各ポリエステルの製造時におけるチタン化合物の量及び各層の厚みに起因している。
本基材ポリエステルにおけるアンチモン元素含有量及びチタン元素含有量は、蛍光X線分析法等により定量することができる。
<粒子含有表面層>
本ポリエステルフィルムは、基材ポリエステルフィルムの片面にのみ粒子含有表面層を積層してなる構成であってもよいし、基材ポリエステルフィルムの両面に粒子含有表面層をそれぞれ積層してなる構成であってもよい。さらに、基材ポリエステルフィルムと粒子含有表面層との間、或は、粒子含有表面層の表面に他の層を積層することも可能である。
なお、基材ポリエステルフィルムがA層及びB層の2層からなる場合に、粒子含有表面層を基材ポリエステルフィルムの片面のみ形成する場合、A層とは反対側すなわちB層側に粒子含有表面層を形成するのが好ましい。
粒子含有表面層は、平均粒径0.005〜0.150μmの粒子を含むのが好ましい。
粒子含有表面層が含有する粒子の平均粒径が0.005μm以上であれば、フィルムの滑り性及び巻き性を好適に維持することができ、平均粒径が0.150μm以下であれば、粒子含有表面層から粒子が脱落しにくくなり、また、粒子含有表面層が削れにくくなるから好ましい。
かかる観点から、かかる観点から、粒子含有表面層は、平均粒径0.005〜0.150μmの粒子を含むのが好ましく、中でも0.010μm以上或いは0.120μm以下、その中でも0.030μm以上或いは0.100μm以下の粒子を含むのが好ましい。
なお、粒子含有表面層が含有する粒子の平均粒径が上記範囲であれば、粒子含有表面層は、粒径が0.005μm未満の粒子を含んでいてもよいし、粒径が0.150μmより大きい粒子を含んでいてもよい。
A層が含有する粒子の平均粒径に対する粒子含有表面層が含有する粒子の平均粒径の比率は0.02〜10であるのが好ましく、中でも0.1以上或いは5以下、その中でも0.3以上或いは3以下であるのがより好ましく、さらに好ましくは、粒子含有表面層に含有する粒子の平均粒径がA層に含有する粒子の平均粒径よりも大きい方が好ましい。前記比率が規定された範囲を満たすことで、A層の平坦性、および粒子含有表面層の易滑性を同時に満たすことができ、より好適なDFR用フィルムが得られる。
粒子含有表面層における粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって、10個以上の粒子の直径を測定し、その平均値として求めることができる。その際、非球状粒子の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定することができる。
粒子含有表面層における粒子濃度は、1〜10質量%であるのが好ましい。
粒子含有表面層における粒子濃度が1質量%以上であれば、易滑性及び巻き改良効果を付与することができる一方、10質量%以下であれば、粒子が凝集しにくくなり、粒子脱落による粒子含有表面層の削れを低減することができ、DFR用フィルムの光線透過を阻害しにくく、回路欠陥を生じにくくなる。
かかる観点から、粒子含有表面層における粒子濃度は、1〜10質量%であるのが好ましく、中でも2質量%以上或いは7質量%以下、その中でも2質量%以上或いは5質量%以下であることがさらに好ましい。前記比率が規定された範囲を満たすことで、A層の平坦性や傷付き防止性、粒子含有表面層の易滑性を同時に満たすことができ、より好適なDFR用フィルムを得ることができる。
A層における粒子濃度(質量%)に対する粒子含有表面層における粒子濃度(質量%)の比率は1〜10000であるのが好ましく、中でも5以上或いは1000以下、その中でも10以上或いは100以下であるのが好ましい。
粒子含有表面層における粒子の種類及びその形状は、A層が含有する粒子について説明した内容と同様である。中でも、無機粒子、その中でもシリカ粒子が好ましい。
(帯電防止剤)
上記粒子含有表面層は、さらに帯電防止剤を含有するのが好ましい。
フォトレジスト層にラミネートされた支持フィルムを剥離する際、剥離帯電によって生じる静電気により、フォトレジスト層にごみやほこりなどの異物が引きつけられ、付着し、回路のパターン不整が生じてしまうことがあるため、支持フィルム剥離時の帯電防止性能を付与するのが好ましい。
上記粒子含有表面層が、帯電防止剤を含有することにより、本ポリエステルフィルムを、フォトレジスト層と接する表面が高平坦で、かつ離型性及び帯電防止性を有する高解像度用ドライフィルムレジスト用支持フィルムとすることができる。
粒子含有表面層に使用する帯電防止剤は、例えばアンモニウム基含有化合物、ポリエーテル化合物、スルホン酸化合物、ベタイン化合物等のイオン導電性の高分子化合物や、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリイソチアナフテン、ポリチオフェンなどのπ電子共役系の高分子化合物を挙げることができる。なお、ポリエーテル化合物は、帯電防止剤であるとともに、前記した離型剤としての合成ワックスにも相当する。
これらの中でもイオン導電性の高分子化合物が好ましく、アンモニウム基含有化合物が特に好ましい。π共役系導電性高分子、例えばポリチオフェンやポリアニリン含有の塗布液から形成される粒子含有表面層は、一般に強く着色する。DFR用フィルムは高透明性(低ヘーズ)であることが好ましいため、π共役系導電性高分子は好適でない場合がある。
また、π共役系導電性高分子塗料は、イオン導電性塗料に比べ一般に高価になるため、製造コストの観点からもイオン導電性の帯電防止剤が好適に用いられる。
上記アンモニウム基含有化合物としては、アンモニウム基を有する高分子化合物であることが好ましい。例えば、アンモニウム基と不飽和性二重結合を有する単量体を成分として含む重合体を用いることができる。
かかる重合体の具体的な例としては、例えば下記式(1)で示される構成要素を繰返し単位として有する重合体を挙げることができる。この単独重合体やその他の複数の成分を共重合した共重合体でも構わない。
Figure 2019188612
上記式(1)中、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、フェニル基等であり、これらのアルキル基、フェニル基が以下に示す基で置換されていてもよい。
置換可能な基は、例えばヒドロキシル基、アミド基、エステル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、チオアルコキシ基、チオフェノキシ基、シクロアルキル基、トリアルキルアンモニウムアルキル基、シアノ基、ハロゲン等である。また、RおよびRは化学的に結合していてもよく、例えば、−(CH−(m=2〜5の整数)、−CH(CH)CH(CH)−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH=N−、−CH=CH−N=C−、−CHOCH−、−(CHO(CH−などを挙げることができる。
上記式(1)で示される構成要素を繰返し単位として有する重合体の場合、他の材料との相溶性を高め、得られる塗膜の透明性を向上させるという観点や、離型性がさらに向上するという観点から、他の繰り返し単位と共重合していることが好ましい。他の繰り返し単位は、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキル、n−メチロールアクリルアミド等のアクリルアミドを挙げることができる。
上記式(1)中のXは、本発明の要旨を損なわない範囲で適宜選択することができる。例えばハロゲンイオン、スルホナート、ホスファート、ニトラート、アルキルスルホナート、カルボキシラート等を挙げることができる。
また、式(1)で示される構成要素と、ポリエチレングリコール含有(メタ)アクリレートとが共重合されているポリマーは、構造が柔軟となり、インラインコーティングの際には、均一性に優れた粒子含有表面層が得られるから、好ましい。
粒子含有表面層が含有する帯電防止剤の数平均分子量は、1000〜500000であるのが好ましく、中でも2000以上或いは350000以下、その中でも5000以上或いは200000以下であるのがさらに好ましい。
帯電防止剤の数平均分子量が1000以上であれば、塗膜の強度を維持することができ、耐熱安定性も維持することができ、十分な帯電防止性を有することができる。また、当該分子量が500000以下であれば、塗布液の粘度が高くなるのを防ぐことができ、取扱い性や塗布性を良好に維持することができ、DFR用フィルムとして適したものとなる。
(ワックス)
粒子含有表面層は、フィルムの易滑性を高めるため、ワックスを含有することが好ましい。この際、上記帯電防止剤と共に含有してもよいし、上記帯電防止剤は含有せずワックスを含有してもよい。
粒子含有表面層が含み得るワックスとしては、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックスなどの天然ワックスや、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックスなどの合成ワックスなどを挙げることができる。
中でも、ポリオレフィン系化合物が好ましい。具体的には、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の不飽和炭化水素の重合体、または共重合体からなるポリオレフィン系化合物等の化合物を基本骨格として有する化合物を溶解または分散して用いられ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体等を例示することができる。より具体的には末端に活性水素基を有する酸価10〜50のポリオレフィン、さらには酸化ポリエチレンまたは酸化ポリプロピレンを用いることが好ましい。
ポリマータイプのワックスを用いる場合、その数平均分子量は2000〜20000であることが好ましく、3000〜15000であることがより好ましい。これらの範囲内であれば、造膜性や離型性を維持することができる。
また、その軟化点は70〜170℃であることが好ましく、中でも90℃以上或いは150℃以下であることがより好ましい。これらの範囲内であれば、造膜性や離型性を維持することができる。
(架橋剤)
粒子含有表面層の塗膜強度を向上させ、フィルムに耐摩耗性を付与するため、粒子含有表面層は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
架橋剤としては、例えばメラミン化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物等を挙げることができる。これら架橋剤の中でも、塗膜強度が良好で、粒子含有表面層の離型性に優れるという観点から、メラミン化合物が好ましい。また、これらの架橋剤は2種以上を併用してもよい。
上記メラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことであり、例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
上記オキサゾリン化合物としては、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。
他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えば、アルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の含ハロゲンα,β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、等のα,β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
上記エポキシ化合物としては、例えばエピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。
上記ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等を挙げることができる。
なお、架橋剤は、乾燥過程や製膜過程において、反応させて粒子含有表面層の性能を向上させる設計で用いるのが好ましい。できあがった粒子含有表面層中には、これら架橋剤の未反応物、反応後の化合物、あるいはそれらの混合物が存在しているものと推測できる。
(バインダー)
粒子含有表面層は、本基材ポリエステルフィルムへの密着性等の向上のために、バインダーとしてポリエステル類、ポリウレタン類、アクリル樹脂類、ポリビニル樹脂類、ポリオレフィン類などの熱可塑性樹脂および/または熱硬化性アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などを含有させてもよい。
(含有割合)
粒子含有表面層が含有する粒子と、粒子含有表面層が更に含み得る帯電防止剤、ワックス、バインダー、及び架橋剤の質量比は、その選択される化合物よって適宜調整するのが好ましく、目安としては次のようである。
粒子含有表面層中の粒子の含有量(粒子濃度)は1質量%以上であるのが好ましく、中でも2質量%以上或いは10質量%以下であるのがさらに好ましい。
粒子含有表面層中の粒子の含有量(粒子濃度)が1質量%以上であることで、DFR用フィルムの易滑化及び巻き改良効果が得られ易くなり、10質量%以下であることで、粒子が凝集しにくくなり、粒子脱落による粒子含有表面層の削れを低減することができ、DFR用フィルムの光線透過を阻害しにくく、回路欠陥を生じにくくなる。
粒子含有表面層中の帯電防止剤の含有量は、5質量%以上であるのが好ましく、中でも10質量%以上或いは90質量%以下であるのがさらに好ましい。帯電防止剤がイオン性官能基を有する化合物の重合体である場合は、15〜90質量%であるのが好ましく、中でも20質量%以上或いは90質量%以下であるのがさらに好ましい。帯電防止剤の含有量が上記範囲であることで、十分な表面固有抵抗を達成することができ、DFR用フィルムが静電接着しにくくなる。
粒子含有表面層中のワックスの含有量は1質量%以上であるのが好ましく、中でも2質量%以上或いは10質量%以下であるのがさらに好ましい。ワックスの含有量が上記範囲であることで、十分な易滑効果を達成し易く、ポリエステルフィルム基材との密着性を阻害しにくい。
粒子含有表面層を構成する粒子含有表面層形成組成物中の架橋剤の含有量は、1質量%以上であるのが好ましく、中でも2質量%以上或いは50質量%以下であるのがさらに好ましい。架橋剤の含有量が1質量%以上であることで、DFR用フィルムの易滑化及び巻き改良効果が得られやすく、50質量%以下であることで、DFR用フィルムの光線透過を阻害しにくく、回路欠陥を生じにくい。
粒子含有表面層中のバインダーの含有量は、1質量%以上であるのが好ましく、中でも2質量%以上或いは60質量%以下であるのがさらに好ましい。バインダーの含有量が上記範囲であることで、ポリエステルフィルム基材との密着性を十分に得ることができる。
(その他の成分)
粒子含有表面層は、必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等を併用することも可能である。
粒子含有表面層の成分の分析は、例えば、TOF−SIMS、X線光電子分光(XPS)、蛍光X線等の分析によって行うことができる。
(粒子含有表面層の膜厚)
粒子含有表面層の膜厚は、0.001μm〜0.5μmであるのが好ましく、中でも0.005μm以上或いは0.3μm以下、その中でも0.01μm以上或いは0.2μm以下の範囲内であるのがさらに好ましい。
粒子含有表面層の膜厚が0.5μm以下であれば、塗膜外観や塗膜の硬化状態を維持することができ、該膜厚が0.001μm以上であれば、十分な離型性を得ることができる。
また、粒子含有表面層の膜厚が0.001〜0.5μmであれば、積層ポリエステルフィルムの表面粗さに影響を及ぼすことがない。すなわち、ドライフィルムレジスト用フィルムの表面粗さと、積層ポリエステルフィルムの表面粗さとは同じであるとみなすことができる。
粒子含有表面層に含まれる粒子の平均粒径(μm)に対する粒子含有表面層の膜厚(μm)の比率は0.005〜100であるのが好ましい。
当該比率が0.005以上であれば、粒子の脱落を防ぐことができる一方、100以下であれば、粒子による表面突起が保持されることから、滑り性をより高めることができ、巻き取り性などを高めることができる。
かかる観点から、当該比率は0.005〜100であるのが好ましく、中でも0.01以上或いは10以下が好ましく、その中でも0.1以上或いは1以下であるのがさらに好ましい。
また、A層の層厚(μm)に対する粒子含有表面層の膜厚(μm)の比率は0.00005〜5であるのが好ましく、中でも0.001以上或いは1以下が好ましく、その中でも0.01以上或いは0.1以下であるのがさらに好ましい。
<本ポリエステルフィルムの製造方法>
(本基材ポリエステルフィルムの製造方法)
先ずは、本基材ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。
例えば、ポリエステルレジンなどの原料を押出し機にて溶融し、ダイ(例えばT−ダイ等)の全ての層を口金から回転冷却ドラム上に共溶融押出し、急冷して未延伸積層フィルムを製造し、次いで当該未延伸積層フィルムを縦方向および横方向に延伸し、必要に応じて熱固定することによって製造することができる。
この際、横方向、言い換えれば幅方向の延伸倍率を4.0倍以上にすることが好ましく、必要に応じて縦方向の延伸倍率も2.5倍以上にすることがさらに好ましい。本基材ポリエステルフィルムは固有粘度が0.65dl/g以上であるため、このような高倍率の延伸、特に横方法の延伸を破断することなく実施することができ、厚みムラを低減することができ、厚みを均一にすることができるため、ロール状に巻き取る際に空気が溜まるのを防いで、シワの発生を抑制することができる。
A層/B層/A層の3層からなる本基材ポリエステルフィルムの製造方法の一例について説明する。他の積層構成のものも同様である。
先ず、A層を形成するポリエステルと、B層を形成するポリエステルとを別々の押出し機に供給し、各ポリエステルの融点以上の温度に加熱してそれぞれ溶融させる。次いで、各ポリエステルをA/B/Aの順で積層されるようにTダイからシートとして押出す。続いて、このシートを回転冷却ドラム上でガラス転移温度未満にまで急冷し、非晶質の未延伸フィルムを得る。このとき、未延伸フィルムの平面性を向上させるために、静電印加密着法や液体塗布密着法等によって、未延伸フィルムと回転冷却ドラムとの密着性を向上させてもよい。
次に、ロール延伸機を用いて、未延伸フィルムをその長手方向に延伸(縦延伸)することにより一軸延伸フィルムを得る。このとき、延伸温度はポリエステルのガラス転移温度以上、好ましくは70〜150℃、より好ましくは75〜130℃である。また、縦延伸倍率は2.5倍以上、中でも2.8倍以上或いは4.0倍以下、その中でも3.0倍以上或いは3.5倍以下とするのがさらに好ましい。この際、縦延伸を一段階のみで行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
次いで、テンター延伸機を用いて、一軸延伸フィルムをその短手方向に延伸(横延伸)することにより二軸延伸フィルムを得る。このとき、延伸温度は75〜150℃が好ましく、80〜140℃がより好ましい。また、横延伸倍率は4.0倍以上、中でも4.2倍以上或いは6.0倍以下、その中でも4.4倍以上或いは5.5倍以下とするのが好ましく、4.5倍以上或いは5.0倍以下とすることがさらに好ましい。この際、横延伸を一段階のみで行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
続いて、二軸延伸フィルムを例えば150〜250℃の温度で熱処理することにより積層フィルムが製造される。二軸延伸フィルムを熱処理するときには、二軸延伸フィルムを30%以内の弛緩等を行ってもよい。
そして、必要に応じてロール状に巻き取るようにすればよい。
(粒子含有表面層の形成)
粒子含有表面層の形成は、本基材ポリエステルフィルムの製造工程中にフィルム表面を処理する「インラインコーティング」により形成してもよいし、一旦製造した本基材ポリエステルフィルム上に系外で塗布する「オフラインコーティング」を採用して形成してもよい。
インラインコーティングは、本基材ポリエステルフィルムの製造工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻上前のフィルムの何れかにコーティングする。
例えば逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と粒子含有表面層形成を同時に行うことができるため、製造コスト上のメリットがある。また、コーティング後に延伸を行うために、粒子含有表面層の膜厚を延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、コーティングの薄膜化をより容易に行うことができる。また、延伸前に本基材ポリエステルフィルム上に粒子含有表面層を設けることにより、粒子含有表面層を本基材ポリエステルフィルムと共に延伸することができる。それにより粒子含有表面層は本基材ポリエステルフィルムに強固に密着させることができる。さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦および横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。それゆえ、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、粒子含有表面層の造膜性が向上し、粒子含有表面層と基材フィルムをより強固に密着させることができる。さらには、強固な粒子含有表面層とすることができ、粒子含有表面層の性能や耐久性を向上させることができる。そのため、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に粒子含有表面層を形成する方法としては、塗布液をポリエステルフィルムに塗布後、少なくとも一方向に延伸する製造方法が好ましい。
粒子含有表面層の形成方法としては、例えば、粒子と、粒子含有表面層が更に含み得る帯電防止剤、ワックス、バインダー、架橋剤等を、溶媒に分散ないし溶解して粒子含有表面層用溶液を調製し、基材ポリエステルフィルムの片面に付与することで形成することができる。
粒子含有表面層用溶液は、水性塗液(水を媒体とする水溶性樹脂または水分散性樹脂)として、基材ポリエステルフィルムの片面に塗布して形成することが好ましい。但し、少量の有機溶剤を含有した水性塗液を塗布して形成することも可能である。
この有機溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、エチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルエタノールアミン等のアミン類等を例示することができる。これらは単独、もしくは複数を組み合わせて用いることができる。水性塗液に、必要に応じてこれらの有機溶剤を適宜選択し、含有させることで、塗液の安定性、塗布性あるいは塗膜特性を助けることができる。
基材ポリエステルフィルムへの粒子含有表面層用溶液の塗布方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外のコーティング装置を使用することができる。
本ポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルフィルム上に粒子含有表面層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては、例えば、オフラインコーティングにより粒子含有表面層を設ける場合、通常、80〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
一方、インラインコーティングにより粒子含有表面層を設ける場合、通常70〜270℃で3〜200秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本ポリエステルフィルムを構成する積層ポリエステルフィルムの表面には、あらかじめコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
<本ポリエステルフィルム>
次に、本ポリエステルフィルムが備えることができる特徴について説明する。
(表面粗さ)
本ポリエステルフィルムの表面の平均表面粗さRaは0.001〜0.020μmの範囲が好ましく、中でも0.002μm以上0.010μm以下、その中でも0.003μm以上或いは0.005μm以下であるのがさらに好ましい。
本ポリエステルフィルムの表面粗さRaが上記範囲であることで、本ポリエステルフィルムの透明性を損ねず、かつフィルム表面の凹凸での光散乱が大きくなりにくいため、紫外線(UV)の露光量の低下を抑制して、解像度が低下しにくくすることができる。
なお、粒子含有表面層を片面のみに形成する場合、本基材ポリエステルフィルムのフォトレジスト層形成側とは反対側に形成することが好ましいことから、上記平均表面粗さRaは、本基材ポリエステルフィルムの表面、すなわちA層が備えているのが好ましい。次に説明するRtについても同様である。
本ポリエステルフィルムの表面の平均表面粗さRtは、0.010〜0.400μmの範囲内であるのが好ましく、中でも0.015μm以上或いは0.300μm以下、その中でも0.020μm以上或いは0.200μm以下、その中でも0.025μm以上或いは0.100μm以下の範囲内であるのがさらに好ましい。
本ポリエステルフィルムの表面の最大表面粗さRtが0.400μm以下であれば、フォトレジスト層に凹凸転写するのを防ぐことができ、ファインピッチの回路形成時に回路欠損を引き起こす問題を解消することができる。一方、平均表面粗さRaが0.001μm以上であるか、最大表面粗さRtが0.010μm以上であれば、工程適正、特に製膜工程でDFR用フィルム表面にキズが発生し難くすることができる。更に、当該傷によるフォトレジスト層への傷転写や露光散乱が生じにくく、ファインピッチの回路パターンに影響を及ぼしにくいため、好ましい。
(ヘーズ)
本ポリエステルフィルムのヘーズは、高解像のDFRに用いた場合に、紫外線の露光量が不足し難くなり、所望の回路の欠陥を招きにくく、解像度の低下を抑制することができる観点から、1.0%以下であるのが好ましく、中でも0.1%以上或いは0.7%以下、その中でも0.2%以上或いは0.5%以下であるのがさらに好ましい。
(帯電防止性)
本ポリエステルフィルムは、表面固有抵抗が2.0×1013Ω/□以下であることが好ましく、中でも1.0×10Ω/□以上或いは1.0×1012Ω/□以下であるのがさらに好ましい。
本ポリエステルフィルムの表面固有抵抗の値が2.0×1013Ω/□以下であることで、DFRがロール状に巻き取られる場合にも、剥離帯電を制御し易くなる。よって、帯電しにくく、剥離帯電による火花放電を抑制することができる。また、フォトレジスト層の形成工程で、帯電によるゴミ、埃の付着を防ぐことができ、フォトレジスト層の形成欠陥、UV露光後の異物欠陥を予防することができる。特に高解像性を要求されるDFRでは、小さな、僅かな異物でも回路の欠陥となる恐れがあるため、それを抑制することができる。
上記粒子含有表面層を形成することで易滑性を高めることができ、粒子含有表面層に帯電防止剤を含有させることで、さらに帯電防止性を高めることができる。
<本ポリエステルフィルムの使用方法>
本ポリエステルフィルムは、ドライフィルムレジスト(DFR)の支持フィルムとして好適に使用することができる。すなわち、支持フィルムとしての本ポリエステルフィルムの上にフォトレジスト層を積層し、保護フィルムとラミネートするなどして積層することにより、DFRを形成することができる。
この際、粒子含有表面層を本基材ポリエステルフィルムの片面のみ形成する場合、DFRを形成する際、粒子含有表面層がフォトレジスト層形成面とは反対の面に位置するように、言い換えれば、粒子含有表面層とは反対側の本基材ポリエステルフィルムの表面すなわちA層をフォトレジスト層に密着させるようにして、本ポリエステルフィルムをフォトレジスト層にラミネートするのが好ましい。
DFRは、通常、支持フィルム/フォトレジスト層/保護フィルムの積層構造を有する。DFRがロール状に巻き取られる際には、DFRの下面、すなわち支持フィルムが上面側の保護フィルムと接することになる。そのため、保護フィルムと接する面に粒子含有表面層がある方が、易滑性の効果は顕著となる。また、レジスト面に粒子含有表面層がないことで、レジストと支持フィルム間の密着性が変わりにくく、レジストから支持フィルムを取り除く際に剥がれ不良が発生しにくくなる。
ドライフィルムレジストを構成するフォトレジスト層は、感光性樹脂材料により形成され、紫外線等の光と反応して硬化する。
感光性樹脂材料の具体例としては、カルボン酸含有ビニル共重合体等のアルカリ可溶性高分子、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等のエチレン性不飽和付加重合性モノマー、ベンジルジメチルケタール等の光重合開始剤などを挙げることができる。
ドライフィルムレジストを構成する保護フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル等により形成され、フォトレジスト層において積層フィルムの反対側の表面に積層されることにより、ドライフィルムレジストを保護することができる。
<語句の説明など>
一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、画像表示パネル、保護パネル等のように「パネル」と表現する場合、板体、シートおよびフィルムを包含するものである。
本明細書において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<基材ポリエステルの形成材料)
実施例、比較例では、次のポリエステルを用いて基材ポリエステル(A層、B層)を作製した。
<ポリエステル樹脂I>
ジメチルテレフタレート100重量部及びエチレングリコール60重量部を出発原料とし、テトラ−n−ブチルチタネートを、チタン原子としての含有量が10ppm濃度となるように加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、4時間重縮合反応を行い、窒素加圧下ポリマーをストランド状に吐出させ、冷却およびチップ化してポリエステルチップを得、さらにこのポリエステルチップを真空下220℃で固相重合し、ポリエステル樹脂Iを得た。
ポリエステル樹脂Iの固有粘度は0.70dl/gであった。
<ポリエステル樹脂II>
ジメチルテレフタレート100重量部、エチレングリコール60重量部及び酢酸マグネシウム4水塩0.09重量部を反応器にとり、加熱昇温するとともにメタノールを留去してエステル交換反応を行った。ここで、反応開始から4時間を要して230℃まで昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。
次いで、平均粒径0.05μmの球状アルミナ粒子を加えてエチレングリコールスラリーとして添加した。スラリー添加後、さらにリン酸0.03重量部を加えると共に、三酸化アンチモンをアンチモン原子としての含有量が330ppm濃度となるように加えて重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂IIを得た。ポリエステル樹脂IIの固有粘度は0.61dl/gであった。
この時、前記球状アルミナ粒子には粒径が0.300μm以上の粒子は含まれておらず、前記球状アルミナ粒子の含有量はポリエステル樹脂II全体に対して1.5質量%であった。
<ポリエステル樹脂III>
ポリエステル樹脂IIの作製において、平均粒径0.05μmの球状アルミナ粒子を加える代わりに、平均粒径0.12μmの不定形微細シリカ粒子を加える点に変更した以外、上記ポリエステル樹脂IIと同様に、ポリエステル樹脂IIIを得た。ポリエステル樹脂IIIの固有粘度は0.61dl/gであった。
この時、前記不定形微細シリカ粒子には粒径が0.300μm以上の粒子は含まれておらず、前記不定形微細シリカ粒子の含有量はポリエステル樹脂III全体に対して0.3質量%であった。
<ポリエステル樹脂IV>
ポリエステル樹脂IIの作製において、平均粒径0.05μmの球状アルミナ粒子を加える代わりに、平均粒径0.35μmのイオン交換樹脂粒子を加える点に変更した以外、上記ポリエステル樹脂IIと同様に、ポリエステル樹脂IVを得た。ポリエステル樹脂IVの固有粘度は0.61dl/gであった。
この時、前記イオン交換樹脂粒子には粒径が0.300μm以上の粒子は含まれており、前記イオン交換樹脂粒子の含有量はポリエステル樹脂IV全体に対して0.5質量%であった。
<ポリエステル樹脂V>
ポリエステル樹脂IIの作製において、平均粒径0.05μmの球状アルミナ粒子を加えないと共に、三酸化アンチモンをアンチモン原子としての含有量が90ppm濃度に変更した以外、上記ポリエステル樹脂IIと同様に、ポリエステル樹脂Vを得た。ポリエステル樹脂Vの固有粘度は0.63dl/gであった。
<ポリエステル樹脂VI>
ポリエステル樹脂IIの作製において、平均粒径0.05μmの球状アルミナ粒子を加えないと共に、三酸化アンチモンをアンチモン原子としての含有量が240ppm濃度に変更した以外、上記ポリエステル樹脂IIと同様に、ポリエステル樹脂VIを得た。ポリエステル樹脂VIの固有粘度は0.64dl/gであった。
<粒子含有表面層形成組成物>
次の原料を用いて、以下の実施例、比較例では、これらを表に示した質量比率で配合して粒子含有表面層形成組成物としての塗布液を調製した。
・帯電防止剤(A1)
ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(平均分子量:約30000)
・ワックス(B1)
攪拌機、温度計、温度コントローラーを備えた内容量1.5Lの乳化設備に融点105℃、酸化16mgKOH/g、密度0.93g/mL、平均分子量5000の酸化ポリエチレンワックス300g、イオン交換水650gとデカグリセリンモノオレエート界面活性剤を50g、48%水酸化カリウム水溶液10gを加え、窒素で置換後、密封し、150℃で一時間高速攪拌した後、130℃に冷却し、高圧ホモジナイザーを400気圧下で通過させ、40℃に冷却したワックスエマルジョン。
・粒子(C1):平均粒径0.05μmのシリカ粒子
・粒子(C2):平均粒径0.08μmのシリカ粒子
・粒子(C3):平均粒径0.18μmのシリカ粒子
なお、粒子(C1)〜粒子(C3)の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、H7650、加速電圧100kV)を用いて求めた。
・水分散体(D1)
下記の組成で重合した、ガラス転移点が40℃のアクリル樹脂水分散体
エチルアクリレート/n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/N−メチロールアクリルアミド/アクリル酸=65/21/10/2/2(質量%)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)
・架橋剤(E1):ヘキサメトキシメチロールメラミン
<実施例1>
粒子を含有するA層として、ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIを85:15の質量比率で配合して押出機にて溶融させて積層ダイのA層に供給し、主層であるB層として、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて積層ダイのB層に供給した。A層/B層/A層の構成からなる2種3層の積層ポリエステル樹脂をフィルム状に共押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。
次いで、当該未延伸フィルムを、75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの片面に、上記表2に示した配合で調製してなる粒子含有表面層形成組成物としての塗布液をインラインコーティングし、次いでフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.5倍延伸し、225℃で10秒間の熱処理を行い、厚み16.0μm(A層/B層/A層=1.0μm/14.0μm/1.0μm)、幅1580mmからなる、基材ポリエステルフィルムの表面に厚みが0.030μmである粒子含有表面層を備えたポリエステルフィルム(サンプル)を作製した。
<実施例2、3、比較例1、2、3、4>
表2、3に示すように基材ポリエステルフィルムの原料を変更した以外、実施例1と同様にポリエステルフィルム(サンプル)を作製した。
<比較例5>
表3に示すように粒子含有表面層の原料を変更した以外、実施例1と同様にポリエステルフィルム(サンプル)を作製した。
<比較例6>
粒子含有表面層を形成しなかった以外、実施例1と同様にポリエステルフィルム(サンプル)を作製した。
<測定方法・評価方法>
上記実施例及び比較例で用いた材料、基材ポリエステル及びポリエステルフィルム(サンプル)の各物性値の測定法および評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルフィルムの厚み(μm)
ポリエステルフィルム(サンプル)の厚みは、マイクロメーターで測定した。
(2)基材ポリエステルフィルムの各層厚み(A層とB層)の厚み、及び粒子含有表面層厚み
基材ポリエステルフィルムの各層(A層とB層)の厚み、及び粒子含有表面層厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)によるフィルム断面の観察にて測定した。具体的には、先ず、フィルムサンプルの小片を、エポキシ樹脂に硬化剤、加速剤を配合した樹脂に包埋し、ウルトラミクロトームにて厚み200nmの切片を作成し、観察用サンプルとした。得られたサンプルを(株)日立ハイテクノロジーズ製の透過型電子顕微鏡(H−9000)にて観察した。観察した断面のうち、基材ポリエステルフィルムとほぼ平行に、明暗によって、A層とB層との界面、及び基材ポリエステルフィルム表面と粒子含有表面層との界面が観察された。それらの界面とフィルム表面までの距離を、透過型電子顕微鏡写真50枚の写真について測定し、測定値の大きい方から10点、小さい方から10点削除して30点を平均して測定値とした。その平均値から、各層厚み、および粒子含有表面層厚みを求めた。
但し、透過型電子顕微鏡は、加速電圧は300kV、倍率は表層厚みに応じ、1〜10万倍の範囲で設定した。
(3)基材ポリエステル中のアンチモン元素、チタン元素の含有量(Sb量、Ti量)
各実施例・比較例において、蛍光X線分析装置(島津製作所社製型式「XRF−1800」)を用いて、下記表1に示す条件下で、単枚測定でフィルム中の元素量を求めた。積層フィルムの場合はフィルムを溶融してディスク状に成型して測定することにより、アンチモン元素(Sb)、チタン元素(Ti)のフィルム全体に対する含有量を測定した。
Figure 2019188612
(4)基材ポリエステルフィルム中の長径が10μm以上の凝集体の個数
各実施例、比較例において、光学顕微鏡(倍率100倍)を用いて基材ポリエステルフィルムを観察し、50cm2の面積における長径が10μm以上の凝集体をそれぞれマーキングした。走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析装置(SEM−EDX)を用いて凝集体を特定し、その個数を10cm2に換算した。
(5)基材ポリエステル中の長径が2μm以上10μm未満の凝集体の個数
各実施例、比較例において、光学顕微鏡(倍率500倍)を用いて基材ポリエステル内部を観察し、5mm2の面積における長径が2μm以上10μm未満の凝集体の個数を数え、1mm2に換算した。
(6)フィルム表面の平均表面粗さ(Ra)
粒子含有表面層とは反対側のフィルム表面の平均表面粗さ(Ra)を、(株)小坂研究所社製表面粗さ測定器(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、測定によって得られたフィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として、粗さ曲線y=f(x)で表した時、次の式で与えられた値を〔μm〕で表した。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
(7)フィルム表面の最大高さ(Rt)
粒子含有表面層とは反対側のフィルム表面の最大高さ(Rt)を次のように測定した。
Ra測定時に得られた断面曲線の抜き取り部分を、その平均線に平行な2直線で抜き取り部分を挟んだとき、この2直線の間隔を断面曲線の縦倍率の方向に測定して、その値をマイクロメートル(μm)単位で表したものを抜き取り部分の最大高さRtとした。最大高さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の最大高さの平均値で表した。
(8)平均粒径(μm)
各層における粒子の平均粒径は、10個以上の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、粒子の直径を測定し、その平均値として求めた。その際、非球状粒子の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定した。
(9)基材ポリエステルフィルムの粒子濃度
ポリエステルフィルム(サンプル)において、粒子濃度を測定したい層から試料を削り取り、ポリエステルは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択して溶解処理した後、粒子を溶液から遠心分離し、粒子の全体質量に対する比率(ppm)を粒子濃度として測定した。
(10)固有粘度
凍結粉砕した基材ポリエステルフィルム約0.25gを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒約25mLに、濃度が1.00g/dLとなるように120℃で30分溶解させた後、30℃まで冷却し、30℃において全自動溶液粘度計(センテック社製、「DT553」)にて、試料溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式(1)により、固有粘度を算出した。
固有粘度=((1+4Kηsp0.5−1)/(2KC)・・・式(1)
ここで、ηsp=η/η−1であり、ηは試料溶液の落下秒数、ηは溶媒のみの落下秒数、Cは試料溶液濃度(g/dL)、Kはハギンズの定数である。Kは0.33を採用した。
(11)フィルムのヘーズ
JIS K 7105:1981に準じ、日本電色工業社製の積分球式濁度計NDH−20Dにより、ポリエステルフィルム(サンプル)のヘーズを測定した。
(12)静摩擦係数および動摩擦係数
ASTM−D1894(1999年)に準じて、ポリエステルフィルム(サンプル)の上面と下面とを合わせての静摩擦係数および動摩擦係数を測定した。
(13)帯電防止性
23℃、50%RHの測定雰囲気でポリエステルフィルム(サンプル)を十分調湿した後、印加電圧100Vで1分印加した後のポリエステルフィルム(サンプル)について、日本ヒューレット・パッカード社製の高抵抗測定器:HP4339Bおよび測定電極:HP16008Bを使用し、基材フィルムの粒子含有表面層の表面固有抵抗値を測定した。この表面固有抵抗値から、帯電防止性として以下の基準で評価した。
○(good):表面固有抵抗値が1×1012Ω/□以下
△(usual):表面固有抵抗値が1×1012Ω/□より大きく、2×1013Ω/□以下
×(poor):表面固有抵抗値が2×1013Ω/□より大きい
(14)基材フィルム表面の傷
粒子含有表面層を備えていない基材フィルムを別途作製し、当該基材フィルム表面を、目視により検査し、以下の基準で評価した。
○(good):検査範囲には傷が見られなかった。
×(poor):検査範囲に傷が多数認められた。
(15)粒子含有表面層の削れ性
粒子含有表面層表面に幅10mm×長さ50mmのアルミ板を当てて、アルミ板上に50gの重りを載せ、アルミ板の幅方向と平行にアルミ板を100mm間10往復させた。アルミ板を走行させた粒子含有表面層表面の両端部を顕微鏡で観察し、以下の基準で判定した。
○(good):粒子含有表面層の削れはほとんど見られなかった。
×(poor):粒子含有表面層が削れ、多数の白粉が見られた。
(16)巻取り性
ポリエステルフィルム(サンプル)を用いて、1000mm幅×6000m長さのロール状にし、巻き取り機を用いて、当該ロールを100m/minのスピードで巻き上げた。巻き上がり後のロール外観を目視により検査し、以下の基準で評価した。
○(good):ポリエステルフィルム(サンプル)にシワが無く、ロール端面がきれいに揃っていた。
△(usual):ロール端面は揃っていたが、ポリエステルフィルム(サンプル)に小さなシワがあった。
×(poor):ロールの巻き上げ途中に、ポリエステルフィルム(サンプル)が蛇行したり、ポリエステルフィルム(サンプル)に大きなシワが入ったりした。
(17)生産性
横方向に4.5倍以上延伸したポリエステルフィルム(サンプル)を連続生産する際に、発生する破断(フィルム破れ)の回数を以下の基準で判定した。
○(good):1日当たり1回未満
△(usual):1日当たり1回以上3回未満
×(poor):1日当たり3回以上
Figure 2019188612
Figure 2019188612
上記実施例及び比較例の結果、並びに、これまで本発明者が行ってきた試験結果から、基材ポリエステルフィルムのアンチモン元素含有量が150ppm以下とするか、若しくは、長径が10μm以上の凝集体の個数を5個/10cm2以下とし、かつ長径が2μm以上10μm未満の凝集体の個数を100個/mm2以下に調整することにより、凝集物(異物)の発生によって、フィルムの平坦性を低下させたり、レジストの硬化阻害を引き起こしたりすることを有効に抑制することができることが分かった。
また、基材ポリエステルフィルムの表面層をなすA層が含有する粒子の平均粒径を0.03〜0.200μmとし、且つ、その濃度を10〜2900ppmとすると共に、平均粒径が0.005〜0.150μmの粒子を含む粒子含有表面層を形成することにより、フィルムの平坦性および透明性をさらに高めることができ、それでいて、フィルムの滑り性を高めることができるため、ロール状に巻き取ることができるばかりか、傷付きを軽減することができることが分かった。

Claims (4)

  1. 基材ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に粒子含有表面層を備えたドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムであって、
    前記基材ポリエステルフィルムは、平均粒径が0.03〜0.200μmである粒子を10〜2900ppmの質量割合で含み、粒径が0.300μm以上の粒子を実質的に含まないポリエステル層(「A層」と称する)からなる単層又は該A層を表面に備えた複層のフィルムであり、
    前記粒子含有表面層は、平均粒径0.005〜0.150μmの粒子を含み、
    前記基材ポリエステルフィルムのアンチモン元素含有量が150ppm以下であることを特徴とするドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルム。
  2. 基材ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に粒子含有表面層を備えたドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムであって、
    前記基材ポリエステルフィルムは、平均粒径が0.03〜0.200μmである粒子を10〜2900ppmの質量割合で含み、粒径が0.300μm以上の粒子を実質的に含まないポリエステル層(「A層」と称する)からなる単層又は該A層を表面に備えた複層のフィルムであり、
    前記粒子含有表面層は、平均粒径0.005〜0.150μmの粒子を含み、
    前記基材ポリエステルフィルムにおいて、長径が10μm以上の凝集体の個数が5個/10cm2以下であり、かつ長径が2μm以上10μm未満の凝集体の個数が100個/mm以下であることを特徴とするドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルム。
  3. 前記基材ポリエステルフィルムのチタン元素含有量が20ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルム。
  4. 基材ポリエステルフィルムは片面側にのみA層を備え、当該A層とは反対側に前記粒子含有表面層を備えた構成を特徴とする請求項1又は2に記載のドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルム。

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