JP7167463B2 - ドライフィルムレジスト用保護フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、プリント基板を製造する際に用いるドライフィルムレジストを保護するための保護フィルムに関する。
プリント配線回路板の製造等において、ドライフィルムレジスト(以下、DFRと略記する場合がある)が広く用いられている。DFRは通常、支持フィルム/フォトレジスト層/保護フィルムの構成からなる。
支持フィルムとしては、機械的性質、光学的性質、耐薬品性、耐熱性、寸法安定性、平面性等に優れたポリエステルフィルムが主に使用されている。フォトレジスト層は感光性樹脂からなる層であり、また、保護フィルムとしてはポリエチレンフィルムが用いられている。
DFRの使用方法を簡単に説明すると、まず保護フィルムを剥がし、露出したフォトレジスト層を基盤に貼り付けた導電性基材の上に密着させる。導電性基材は一般的には銅板である。次に、支持フィルム側に、回路が印刷されたガラス板またはフィルム(フォトマスクと称する)を密着させ、当該フォトマスク側から光を照射する。この照射光には一般的に紫外線が用いられる。ガラス板に印刷された回路の画像で透明な部分を光が通り、フォトレジスト層の感光性樹脂はかかる露光が行われた部分のみ反応する。次いで、ガラス板と支持体層を取り除き、フォトレジスト層の未露光部分を適当な溶剤等を用いて除去する。さらに、酸等を用いてエッチングを行えば、フォトレジスト層が除去されて露出した導電性基材部分が除去される。しかる後、露光、反応したフォトレジスト層を適当な方法で除去すれば、基盤上に導電性基材層が回路として形成される。
近年、電子機器の更なる小型化に伴い、プリント配線回路板の高密度化が要求されており、絶縁基材表面に形成される導体パターンの更なる繊細化が急務となっている。従来から保護フィルムとして使用されているポリエチレンフィルムは外観不良(フィッシュアイ)が問題となっており、プリント配線板の更なる高密度化を困難にしている要因の一つとなっている。
ドライフィルムレジストは、支持フィルム上に塗布したフォトレジスト層を乾燥後、保護フィルムをフォトレジスト層にラミネートして製造される。保護フィルムのラミネート時には該フォトレジスト層は柔軟であるため、保護フィルム表面に外観不良(フィッシュアイ)による凹凸があると、これがフォトレジスト層に転写されてフォトレジスト層表面が凹凸となり、極繊細(ファインピッチ)な回路を形成する時に回路欠損を引き起こすおそれがある。したがって、保護フィルムとしてポリエチレンを用いてプリント配線板の更なる高密度化の要求に応えることは難しい状況下にある。
特許文献1には、ポリエチレンフィルムの代替としてポリエステルフィルムを使用したドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムが記載されている。ポリエステルフィルムは、ポリエチレンフィルムと比較するとフィッシュアイが非常に少なくなる。しかしながら、ポリエステルフィルムにハンドリング性を付与するために1.5~3.0μm程度の比較的大きい粒径の滑剤粒子を含有させているため、ポリエステルフィルム表面に高さのある突起が形成され、その突起がフォトレジスト層に転写されて凹みとなって回路欠損につながることがあり、プリント配線板の高密度化の要求に応えきれていない。
特許文献2には、離型剤をコートして離型性を付与したポリエステルフィルムが記載されているが、離型性を補助するため、ポリエステルフィルムに長鎖脂肪族ジカルボン酸等の共重合成分および/またはポリオレフィンを配合して柔軟性を付与している。上記公報に記載のフィルムは、コート層による離型性が十分ではないために、ベースフィルムに柔軟性を与える必要があった。
特開2009-229484号公報 特開平6-297565号公報
フォトレジスト層と接する表面が高平坦で、かつ離型性を有する高解像度用ドライフィルムレジスト用保護フィルムを得る方法は未だ見いだされていない。
そこで本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、フォトレジスト層に凹みを与えない平坦な表面を有し、フォトレジスト層から容易に剥離できる離型性を有したドライフィルムレジスト用保護フィルムを提供することにある。
本発明は、ポリエステルを主成分樹脂とし、平均粒径が0.03μm~0.90μmの粒子を100ppm~6000ppm含有する粒子含有層(A層)と、ポリエステルを主成分樹脂とし、粒子を実質的に含有しない主層(B層)とを備えた2層以上の積層ポリエステルフィルムを有し、当該積層ポリエステルフィルムの前記粒子含有層(A層)の表面に、離型剤を含有する離型層を積層してなる構成を備えたドライフィルムレジスト用保護フィルムを提案する。
本発明が提案するドライフィルムレジスト用保護フィルムは、その表面すなわち離型層の表面をきわめて平坦にすることができるから、保護フィルムの表面性状を、高解像性が必要なフォトレジスト層の表面に凹凸転写することなく、ドライフィルムレジストに積層して保護することができる。また、離型層を備えていることにより、フォトレジスト層表面に剥離跡がつかないように、フォトレジスト層から保護フィルムを剥離することができる。よって、本発明が提案するドライフィルムレジスト用保護フィルムは工業的価値が非常に大きいものである。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
[本DFR用保護フィルム]
本発明の実施形態の一例であるドライフィルムレジスト用保護フィルム(「本DFR用保護フィルム」と称する)は、ポリエステルを主成分樹脂とし、平均粒径が0.03μm~0.90μmの粒子を100ppm~6000ppm含有する粒子含有層(A層)と、ポリエステルを主成分樹脂とし、粒子を実質的に含有しない主層(B層)とを備えた2層以上の積層ポリエステルフィルム(「本積層ポリエステルフィルム」と称する)を有し、当該積層ポリエステルフィルムの前記粒子含有層(A層)の表面に、離型剤を含有する離型層を積層してなる構成を備えたドライフィルムレジスト用保護フィルムである。
本DFR用保護フィルムは、上記主層(B層)の片面側に粒子含有層(A層)を積層し、当該粒子含有層(A層)の表面に離型層を積層してなる構成であってもよいし、また、上記主層(B層)の両面側に粒子含有層(A層)を積層し、一方の粒子含有層(A層)の表面にのみ離型層を積層してもよいし、また、主層(B層)の両面側に粒子含有層(A層)を積層し、両方の粒子含有層(A層)の表面に離型層を積層してもよい。
<本積層ポリエステルフィルム>
本DFR用保護フィルムの基材フィルムとしての本積層ポリエステルフィルムは、各層の主成分樹脂がポリエステルである主層と粒子含有層とを備えていれば、2層、3層、4層又はそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
この際、「主成分樹脂」とは、各層を構成する樹脂のうち最も含有量の高い樹脂を示す。
積層ポリエステルフィルムの各層の主成分樹脂をなすポリエステルは、特に限定されるものではなく、芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとグリコールとを主たる出発原料として得られるポリエステルであればよい。中でも、繰り返し構造単位の60%以上がエチレンテレフタレート単位又はエチレン-2,6-ナフタレート単位を有するポリエステルであるのが好ましい。
また、当該ポリエステルは、エチレンテレフタレート単位及びエチレン-2,6-ナフタレート単位以外の第三成分を共重合成分又は混合成分として含有していてもよい。例えば、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂と相溶性のある樹脂を混合してもよい。
上記芳香族ジカルボン酸成分の例としては、例えばテレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、2,6-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸等を挙げることができる。特に、テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルが好ましい。
上記グリコール成分の例としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の一種または二種以上を挙げることができる。特に、エチレングリコールが好ましい。
上記ポリエステルが共重合ポリエステルである場合、そのジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、セバシン酸などの1種または2種以上を挙げることができ、そのグリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールなどの1種または2種以上を挙げることができる。
積層ポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよい。中でも積層ポリエステルフィルムは延伸フィルムであることが好ましく、二軸延伸フィルムであることがより好ましい。積層ポリエステルフィルムが二軸延伸フィルムである場合、逐次二次延伸フィルムであっても、同時二軸延伸フィルムであってもよい。
積層ポリエステルフィルムの厚さは9μm~64μmであるのが好ましく、中でも12μm以上或いは38μm以下、その中でも16μm以上或いは31μm以下であるのがさらに好ましい。
(粒子含有層(A層))
粒子含有層(A層)は、ポリエステルを主成分樹脂とし、粒子を含有する層であるのが好ましい。
粒子含有層(A層)の主成分樹脂をなすポリエステルは、主層(B層)の主成分樹脂をなすポリエステルと同じポリエステルであっても、異なるポリエステルであってもよい。
本積層ポリエステルフィルムにおいて、その片表層または両表層としての粒子含有層(A層)は、平均粒径0.03~0.90μmの粒子を含むため、本積層ポリエステルフィルムのフィルム表面に適度な粗さを付与することができる。
本積層ポリエステルフィルムの片表層または両表層が当該粒子を含まないとハンドリング性が悪く、ポリエステルフィルムの製膜工程でフィルム表面に多数の擦り傷が入ってしまう。特に保護フィルムのフォトレジスト層と接する表面に傷があると、レジストに傷が転写し、紫外線を露光・硬化させる時にその傷転写部で光散乱がおこり、高解像度のパターンが得られなくなる可能性がある。
粒子含有層(A層)が含有する粒子は、平均粒径が0.03~0.90μmである粒子であれば、特に制限されず、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、イオン交換樹脂、架橋高分子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、およびポリエステル重合時に生成させる析出粒子を挙げることができる。
粒子含有層(A層)が含有する粒子は、一種類でもよいし、二種類以上でもよいし、同種の粒子で粒径や粒子形状の異なるものを同時に用いてもよい。
上記粒子の形状は、球状、塊状、棒状、扁平状、その他の形状のいずれでもよい。
積層ポリエステルフィルムの片表層または両表層としての粒子含有層(A層)が含有する粒子の平均粒径は、0.03μm~0.90μmの範囲内であるのが好ましく、中でも0.05μm以上或いは0.70μm以下の範囲内、その中でも0.10μm以上或いは0.60μm以下の範囲内であるのが特に好ましい。
当該粒子の平均粒径が0.90μm以下であれば、フィルムの表面粗さが高くなく、フォトレジスト層に凹凸転写するのを抑えることができ、ファインピッチの回路形成時に回路欠損を生じるのを防止することができる。一方、当該粒子の平均粒径が0.03μm以上であれば、ハンドリング性が良く、ポリエステルフィルムの製膜工程でフィルム表面に擦り傷が入ることを抑えることができ、ファインピッチの回路形成時に回路欠損を生じるのを防止することができる。従って、粒子の平均粒径が上記した更に好適な範囲であれば、これらの効果をより一層高いレベルで発現することができる。
なお、各層における粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって、10個以上の粒子の直径を測定し、その平均値として求めることができる。その際、非球状粒子の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定することができる。
粒子含有層(A層)において、平均粒径が0.03~0.90μmの粒子の含有量が6000ppm以下であれば、フィルムの表面粗さが高くなく、回路欠損が生じるのを抑えることができる。他方、平均粒径が0.03~0.90μmの粒子の含有量が100ppm以上であれば、ハンドリング性が良く、ポリエステルフィルムの製膜工程でフィルム表面に擦り傷が入るのを抑えることができる。特に保護フィルムのフォトレジスト層と接する表面に傷が入らないと、レジストに傷が転写することなく、紫外線を露光・硬化させる時にその傷転写部で光散乱が起こることがなく、ファインピッチの回路パターンを得ることができる。
かかる観点から、各粒子含有層(A層)中における平均粒径が0.03~0.90μmの粒子の含有量は100ppm~6000ppmの範囲内であるのが好ましく、中でも200ppm以上或いは5000ppm以下、その中でも250ppm以上或いは4000ppm以下、その中でも300ppm以上或いは3000ppm以下、その中でも500ppm以上或いは2000ppm以下の範囲内であることがさらに好ましい。
なお、本発明において、「ポリエステルを主成分樹脂とし、平均粒径が0.03μm~0.90μmの粒子を100ppm~6000ppm含有する粒子含有層(A層)」は、「ポリエステルを主成分樹脂とし、かつ粒子を含有する層であり、当該層中に含有する粒子の平均粒径が0.03μm~0.90μmであり、当該層中の粒子含有量が100ppm~6000ppmである粒子含有層(A層)」と読み替えることができ、より好ましい平均粒径及び含有割合の値についても同様である。
(主層(B層))
主層(B層)は、上記ポリエステルを主成分樹脂とし、粒子を実質的に含有しない層であるのが好ましい。
この際、「実質的に含有しない」とは、具体的には、粒子の含有量が100ppm未満、より好ましくは80ppm以下、更に好ましくは50ppm以下のことを指す。フィルムの巻き取り性を確保するためには粒子含有層に粒子を添加すれば十分である。
主層(B層)の厚さは、経済性の観点から、総フィルム厚さの60~98%であるのが好ましく、中でも65%以上或いは96%以下、その中でも80%以上或いは88%以下であるのがさらに好ましい。
(本積層ポリエステルフィルムの製法)
本積層ポリエステルフィルムは、公知の方法で製造することができる。
例えば、ポリエステルレジンなどの原料を押出し機にて溶融し、ダイ(例えばT-ダイ等)の全ての層を口金から回転冷却ドラム上に共溶融押出し、急冷して未延伸積層フィルムを製造し、次いで当該未延伸積層フィルムを縦方向および横方向に延伸し、必要に応じて熱固定することによって製造することができる。
<離型層>
本DFR用保護フィルムは、本積層ポリエステルフィルムの粒子含有層(A層)の表面、特にフォトレジスト層と接する面に、離型剤を含有する離型層を積層する構成であるのが好ましい。
既述のように、DFRは、通常、支持フィルム/フォトレジスト層/保護フィルム(本発明のフィルム)の積層構造を有する。離型層を有さないポリエステルフィルムはフォトレジスト層との密着性が高く、保護フィルム剥離時にフォトレジスト層に剥離跡を付けてしまうことがある。保護フィルム剥離時にフォトレジスト層への剥離跡を防止するには、フォトレジスト層と接する保護フィルムの表面に離型性を備えることが効果的である。
よって、当該離型層は、例えば、フォトレジスト用の保護フィルムとして使用する際、フォトレジスト層から本DFR用保護フィルムを剥がすために好適な離型性を付与するために設けられるものである。
(離型剤)
離型層が含有する離型剤は、フィルムの離型性を向上させるために用いるもので、特に制限はなく、従来公知の離型剤を使用することが可能である。例えば長鎖アルキル化合物、ワックス、フッ素化合物、シリコーン化合物等を挙げることができる。これらの中でも、汚染性が少なく、離型性に優れるという点から、長鎖アルキル化合物やワックスが好ましい。これらの離型剤は単独で用いてもよいし、複数種使用してもよい。
長鎖アルキル化合物とは、炭素数が通常6以上、好ましくは8以上、さらに好ましくは12以上の直鎖または分岐のアルキル基を有する化合物のことである。一方、炭素数の上限は特に限定しないが、60以下が好ましく、50以下がより好ましい。
該アルキル基としては、例えばヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、オクタデシル基、ベヘニル基等を挙げることができる。
前記アルキル基を有する化合物とは、例えば各種の長鎖アルキル基含有高分子化合物、長鎖アルキル基含有アミン化合物、長鎖アルキル基含有エーテル化合物、長鎖アルキル基含有四級アンモニウム塩等を挙げることができる。中でも、耐熱性、汚染性を考慮すると高分子化合物が好ましい。また、効果的に離型性を得られるという観点から、長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物であるのがより好ましい。
長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物は、反応性基を有する高分子と、当該反応性基と反応可能なアルキル基を有する化合物とを反応させて得ることができる。
上記反応性基としては、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物等を挙げることができる。
これらの反応性基を有する化合物としては、例えばポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンアミン、反応性基含有ポリエステル樹脂、反応性基含有ポリ(メタ)アクリル樹脂等を挙げることができる。これらの中でも離型性や取り扱い易さを考慮すると、ポリビニルアルコールであるのが特に好ましい。
上記の反応性基と反応可能なアルキル基を有する化合物とは、例えばヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、デシルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ベヘニルイソシアネート等の長鎖アルキル基含有イソシアネート、ヘキシルクロライド、オクチルクロライド、デシルクロライド、ラウリルクロライド、オクタデシルクロライド、ベヘニルクロライド等の長鎖アルキル基含有酸クロライド、長鎖アルキル基含有アミン、長鎖アルキル基含有アルコール等を挙げることができる。これらの中でも、離型性や取り扱い易さを考慮すると、長鎖アルキル基含有イソシアネートが好ましく、オクタデシルイソシアネートが特に好ましい。
上記の長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物は、長鎖アルキル(メタ)アクリレートの重合物や長鎖アルキル(メタ)アクリレートと他のビニル基含有モノマーとの共重合によって得ることもできる。長鎖アルキル(メタ)アクリレートとは、例えば、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
ワックスとは、天然ワックス、合成ワックス、それらの配合したワックスの中から選ばれたワックスである。
上記天然ワックスとは、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックスである。植物系ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油を挙げることができる。動物系ワックスとしては、みつろう、ラノリン、鯨ロウを挙げることができる。鉱物系ワックスとしてはモンタンワックス、オゾケライト、セレシンを挙げることができる。石油ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムを挙げることができる。
上記合成ワックスとしては、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、脂肪酸、酸アミド、アミン類、イミド類、エステルワックス、ケトン類を挙げることができる。
合成炭化水素として、具体的には、フィッシャー・トロプシュワックス(別名サゾワールワックス)、ポリエチレンワックスが有名であるが、このほかに低分子量の高分子(具体的には粘度数平均分子量500から20000の高分子)である以下のポリマーも含まれる。すなわち、ポリプロピレン、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックまたはグラフト結合体がある。
変性ワックスとして、具体的には、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体を挙げることができる。ここでの誘導体とは、精製、酸化、エステル化、ケン化のいずれかの処理、またはそれらの組み合わせによって得られる化合物である。
水素化ワックスとして、具体的には、硬化ひまし油、および硬化ひまし油誘導体を挙げることができる。これらのワックスの中でも性能が安定する、入手が容易であるという観点から合成炭化水素系が好ましい。
また、他の材料との反応性や相溶性などの観点から、ワックス分を酸化して、カルボキシル基や水酸基などを付加した、酸化ポリエチレンワックスや酸化ポリプロピレンワックスがより好ましい。
ポリマータイプのワックスを用いる場合、その数平均分子量は2000~20000であることが好ましく、3000~15000であることがより好ましい。これらの範囲内であれば、造膜性や離型性を維持することができる。
また、その軟化点は70~170℃であることが好ましく、中でも90℃以上或いは150℃以下であることがより好ましい。これらの範囲内であれば、造膜性や離型性を維持することができる。
フッ素化合物としては、インラインコーティングによる塗布外観の点で、有機系フッ素化合物を好適に用いることができる。例えばパーフルオロアルキル基含有化合物、フッ素原子を含有するオレフィン化合物の重合体、フルオロベンゼン等の芳香族フッ素化合物等を挙げることができる。耐熱性、汚染性を考慮すると、高分子化合物であることが好ましい。
シリコーン化合物とは、分子内にシリコーン構造を有する化合物のことであり、例えばシリコーンエマルション、アクリルグラフトシリコーン、シリコーングラフトアクリル、アミノ変性シリコーン、パーフルオロアルキル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等を挙げることができる。
フォトレジスト層へシリコーン成分が移行することで、絶縁基板に対する密着性を低下させる場合があるという観点から、離型層は、非シリコーン化合物の離型剤で形成されることが望ましい。
このように非シリコーン化合物の離型剤で形成する場合、離型層中のシリコーン化合物の含有量は10質量%以下であるのが好ましく、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下であり、最も好ましくは意図して含有しないことである。
シリコーン化合物を積極的に使用しなくても、外来異物由来の不純物などや、フィルム製造工程のラインや装置に付着した汚れが混入する可能性が考えられる。
(帯電防止剤)
上記離型層は、さらに帯電防止剤を含有するのが好ましい。
フォトレジスト層にラミネートされた保護フィルムを剥離する際に、剥離帯電によって生じる静電気により、フォトレジスト層にごみやほこりなどの異物が引きつけられ、付着し、回路のパターン不整が生じてしまうことがあるため、保護フィルム剥離時の帯電防止性能を付与するのが好ましい。
上記離型層が、帯電防止剤を含有することにより、フォトレジスト層と接する表面が高平坦で、かつ離型性及び帯電防止性を有する高解像度用ドライフィルムレジスト用保護フィルムとすることができる。
離型層に使用する帯電防止剤は、例えばアンモニウム基含有化合物、ポリエーテル化合物、スルホン酸化合物、ベタイン化合物等のイオン導電性の高分子化合物や、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリイソチアナフテン、ポリチオフェンなどのπ電子共役系の高分子化合物を挙げることができる。なお、ポリエーテル化合物は、帯電防止剤であるとともに、前記した離型剤としての合成ワックスにも相当する。
これらの中でもイオン導電性の高分子化合物が好ましく、アンモニウム基含有化合物が特に好ましい。π共役系導電性高分子、例えばポリチオフェンやポリアニリン含有の塗布液から形成される離型層は、一般に強く着色する。DFR用保護フィルムは高透明性(低ヘーズ)であることが好ましいため、π共役系導電性高分子は好適でない場合がある。
また、π共役系導電性高分子塗料は、イオン導電性塗料に比べ一般に高価になるため、製造コストの観点からもイオン導電性の帯電防止剤が好適に用いられる。
上記アンモニウム基含有化合物としては、アンモニウム基を有する高分子化合物であることが好ましい。例えば、アンモニウム基と不飽和性二重結合を有する単量体を成分として含む重合体を用いることができる。
かかる重合体の具体的な例としては、例えば下記式(1)で示される構成要素を繰返し単位として有する重合体を挙げることができる。この単独重合体やその他の複数の成分を共重合した共重合体でも構わない。
Figure 0007167463000001
上記式(1)中、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、フェニル基等であり、これらのアルキル基、フェニル基が以下に示す基で置換されていてもよい。
置換可能な基は、例えばヒドロキシル基、アミド基、エステル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、チオアルコキシ基、チオフェノキシ基、シクロアルキル基、トリアルキルアンモニウムアルキル基、シアノ基、ハロゲン等である。また、RおよびRは化学的に結合していてもよく、例えば、-(CH-(m=2~5の整数)、-CH(CH)CH(CH)-、-CH=CH-CH=CH-、-CH=CH-CH=N-、-CH=CH-N=C-、-CHOCH-、-(CHO(CH-などを挙げることができる。
上記式(1)で示される構成要素を繰返し単位として有する重合体の場合、他の材料との相溶性を高め、得られる塗膜の透明性を向上させるという観点や、離型性がさらに向上するという観点から、他の繰り返し単位と共重合していることが好ましい。他の繰り返し単位は、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキル、n-メチロールアクリルアミド等のアクリルアミドを挙げることができる。
上記式(1)中のXは、本発明の要旨を損なわない範囲で適宜選択することができる。例えばハロゲンイオン、スルホナート、ホスファート、ニトラート、アルキルスルホナート、カルボキシラート等を挙げることができる。
また、式(1)で示される構成要素と、ポリエチレングリコール含有(メタ)アクリレートとが共重合されているポリマーは、構造が柔軟となり、インラインコーティングの際には、均一性に優れた離型層が得られるから、好ましい。
離型層が含有する帯電防止剤の数平均分子量は、1000~500000であるのが好ましく、中でも2000以上或いは350000以下、その中でも5000以上或いは200000以下であるのがさらに好ましい。
帯電防止剤の数平均分子量が1000以上であれば、塗膜の強度を維持することができ、耐熱安定性も維持することができ、十分な帯電防止性を有することができる。また、当該分子量が500000以下であれば、塗布液の粘度が高くなるのを防ぐことができ、取扱い性や塗布性を良好に維持することができ、保護フィルムとして適したものとなる。
(架橋剤)
離型層形成時に架橋剤を配合することによって、離型層の強度や基材との密着性を向上させることができるため、架橋剤を配合することが好ましい。配合された架橋剤は、離型層形成時に光や熱等のエネルギーによって架橋反応を生じる。その結果、離型層中に架橋構造すなわち架橋剤の反応生成物として含有される。
架橋剤としては、例えばメラミン化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物等を挙げることができる。これら架橋剤の中でも、塗膜強度が良好で、離型層の離型性に優れるという観点から、メラミン化合物が好ましい。また、これらの架橋剤は2種以上を併用してもよい。
上記メラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことであり、例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
上記オキサゾリン化合物としては、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。
他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えば、アルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα-オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の含ハロゲンα,β-不飽和モノマー類;スチレン、α-メチルスチレン、等のα,β-不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
上記エポキシ化合物としては、例えばエピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。
上記ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等を挙げることができる。
なお、架橋剤は、乾燥過程や製膜過程において、反応させて離型層の性能を向上させる設計で用いるのが好ましい。できあがった離型層中には、これら架橋剤の未反応物、反応後の化合物、あるいはそれらの混合物が存在しているものと推測できる。
(各種ポリマー)
上記離型層の形成には、外観や透明性の向上、離型性のコントロールのために、さらにポリマーを用いることが可能である。ここでいう「ポリマー」とは、上記離型剤、上記帯電防止剤以外のポリマーを意味する。
ポリマーの具体例としては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等を挙げることができる。これらの中でも離型性のコントロールがしやすいという点において、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂がより好ましい。
上記ポリエステル樹脂とは、主な構成成分として例えば、下記のような多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物からなるものを挙げることができる。すなわち、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸および、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、5-ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができる。
一方、多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオ-ル、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、p-キシリレングリコール、ビスフェノールA-エチレングリコール付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジメチロ-ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロ-ルエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロ-ルプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。
上記ウレタン樹脂とは、ウレタン結合を分子内に有する高分子化合物のことである。通常ウレタン樹脂はポリオールとイソシアネートの反応により作成される。ポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。
上記ポリカーボネートポリオール類は、多価アルコール類とカーボネート化合物とから、脱アルコール反応によって得られる。多価アルコール類としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン等を挙げることができる。カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられ、これらの反応から得られるポリカーボネート系ポリオール類としては、例えば、ポリ(1,6-ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレン)カーボネート等を挙げることができる。
上記ポリエステルポリオール類としては、多価カルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)またはそれらの酸無水物と多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等)の反応から得られるものを挙げることができる。
上記ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等を挙げることができる。
ウレタン樹脂を得るために使用されるポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。
ウレタン樹脂を合成する際には、鎖延長剤を使用してもよい。
この鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する活性基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、一般的には、水酸基またはアミノ基を2個有する鎖延長剤を主に用いることができる。
水酸基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族グリコール;キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール;ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート等のエステルグリコールといったグリコール類を挙げることができる。また、アミノ基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン等の脂肪族ジアミン;1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソプロピリデンシクロヘキシル-4,4’-ジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン等を挙げることができる。
ウレタン樹脂は、溶剤を媒体とするものであってもよい。好ましくは水を媒体とするものである。
ウレタン樹脂を水に分散または溶解させる方法としては、乳化剤を用いる強制乳化法、ウレタン樹脂中に親水性基を導入する自己乳化法、水溶法などがある。特に、ウレタン樹脂の構造中にイオン基を導入しアイオノマー化した自己乳化タイプが、液の貯蔵安定性や得られる離型層の耐水性、透明性に優れており好ましい。
導入するイオン基としては、カルボキシル基、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、第4級アンモニウム塩等、種々のものを挙げることができ、中でもカルボキシル基が好ましい。
ウレタン樹脂にカルボキシル基を導入する方法としては、重合反応の各段階の中で種々の方法が取り得る。例えば、プレポリマー合成時に、カルボキシル基を持つ樹脂を共重合成分として用いる方法や、ポリオールやポリイソシアネート、鎖延長剤などの一成分としてカルボキシル基を持つ成分を用いる方法がある。特に、カルボキシル基含有ジオールを用いて、この成分の仕込み量によって所望の量のカルボキシル基を導入する方法が好ましい。例えば、ウレタン樹脂の重合に用いるジオールに対して、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ビス-(2-ヒドロキシエチル)プロピオン酸、ビス-(2-ヒドロキシエチル)ブタン酸等を共重合させることができる。またこのカルボキシル基はアンモニア、アミン、アルカリ金属類、無機アルカリ類等で中和した塩の形にするのが好ましい。特に好ましいものは、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンである。かかるポリウレタン樹脂は、塗布後の乾燥工程において中和剤が外れたカルボキシル基を、他の架橋剤による架橋反応点として用いることが出来る。これにより、塗布前の液の状態での安定性に優れる上、得られる離型層の耐久性、耐溶剤性、耐水性、耐ブロッキング性等をさらに改善することが可能となる。
アクリル樹脂とは、アクリル系、メタアクリル系のモノマーを含む重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体、さらにはアクリル系、メタアクリル系のモノマー以外の重合性モノマーとの共重合体、いずれでも差し支えない。また、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。あるいは、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、または分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。また、基材との密着性をより向上させるために、ヒドロキシル基、アミノ基を含有することも可能である。
上記重合性モノマーの代表的な化合物としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、およびそれらの塩;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドまたは(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有化合物;スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビリデンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類を挙げることができる。
(配合)
本DFR用保護フィルムを構成する離型層における離型剤の含有量は、全不揮発成分に対する割合として、3質量%以上であるのが好ましく、中でも5質量%以上或いは95質量%以下、その中でも10質量%以上或いは90質量%以下であるのがさらに好ましい。離型剤の含有量が3質量%以上であれば、十分な離型性能を得ることができる。
中でも、離型層の離型剤として長鎖アルキル基含有化合物を用いる場合、全不揮発成分に対する割合として、長鎖アルキル基含有化合物の含有量は、3質量%以上であるのが好ましく、中でも5質量%以上或いは95質量%以下、その中でも10質量%以上或いは90質量%以下であるのがさらに好ましい。離型剤の含有量が3質量%以上であれば、十分な離型性能を得ることができる。
他方、離型層の離型剤としてワックスを用いる場合は、離型層の全不揮発成分に対する割合として、ワックスの含有量は5~95質量%の範囲が好ましく、中でも20質量%以上或いは93質量%以下、その中でも25質量%以上或いは90質量%以下であるのがさらに好ましい。
離型剤としてワックスの含有量が3質量%以上であれば、十分な離型性能を得ることができる。
本DFR用保護フィルムを構成する離型層に架橋剤を含有する場合、離型層の全不揮発成分に対する割合として、架橋剤の含有量は、10~95質量%であるのが好ましく、中でも20質量%以上或いは90質量%以下、その中でも30質量%以上或いは85質量%以下であるのがさらに好ましい。
本DFR用保護フィルムを構成する離型層に各種ポリマーを含有する場合、各種ポリマーの含有量は、全不揮発成分に対する割合として、3質量%以上であるのが好ましく、中でも5質量%以上或いは90質量%以下、その中でも10質量%以上或いは50質量%以下であるのがさらに好ましい。各種ポリマーの含有量が3質量%以上であれば、十分な外観や透明性を得ることができる。
本DFR用保護フィルムを構成する離型層に帯電防止剤を含有する場合、帯電防止剤の含有量は、全不揮発成分に対する割合として、3質量%以上であるのが好ましく、中でも5質量%以上或いは90質量%以下、その中でも10質量%以上或いは50質量%以下であるのがさらに好ましい。帯電防止剤の含有量が3質量%以上であれば、本DFR用保護フィルムの剥離時に十分な帯電防止性能を付与することができる。
(その他の成分)
本発明の主旨を損なわない範囲において、離型層を形成する際、ブロッキング性や滑り性改良等を目的として粒子を併用することも可能である。
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、離型層を形成する際、必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等を併用することも可能である。
離型層の成分の分析は、例えば、TOF-SIMS、X線光電子分光(XPS)、蛍光X線等の分析によって行うことができる。
離型層を設ける場合は、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固形分濃度が0.1~50質量%程度を目安に調整した塗布液を、ポリエステルフィルム上に塗布する要領にて保護フィルムを製造するのが好ましい。また、本発明の主旨を損なわない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
(離型層の膜厚)
離型層の膜厚は、0.001μm~0.5μmであるのが好ましく、中でも0.005μm以上或いは0.3μm以下、その中でも0.01μm以上或いは0.2μm以下の範囲内であるのがさらに好ましい。
離型層の膜厚が0.5μm以下であれば、塗膜外観や塗膜の硬化状態を維持することができ、該膜厚が0.001μm以上であれば、十分な離型性を得ることができる。
また、離型層の膜厚が0.001~0.5μmであれば、積層ポリエステルフィルムの表面粗さに影響を及ぼすことがない。すなわち、ドライフィルムレジスト用保護フィルムの表面粗さと、積層ポリエステルフィルムの表面粗さとは同じであるとみなすことができる。
離型層の膜厚u(μm)と、粒子含有層(A層)に含まれる粒子の平均粒径d(μm)との比率(u/d)は0.001~10であるのが好ましく、中でも0.005以上或いは1以下が好ましく、その中でも0.01以上或いは0.1以下がさらに好ましい。
当該比率(u/d)が10以下であれば、離型層を設けても粒子による表面突起が保持されることから、フィルムの巻き取り性の観点から好ましい。
離型層の膜厚u(μm)と、離型層表面の最大表面粗さRt(μm)との比率(u/Rt)は、ハンドリング性の観点から、0.01~1の範囲内であるのが好ましく、中でも0.05以上或いは0.8以下、その中でも0.1以上或いは0.6以下の範囲内であるのがさらに好ましい。
(離型層の形成)
次に、本DFR用保護フィルムを構成する離型層の形成について説明する。
離型層に関しては、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する「インラインコーティング」により設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する「オフラインコーティング」を採用してもよい。より好ましくはインラインコーティングにより形成されるものである。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻上前のフィルムの何れかにコーティングする。
例えば逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と離型層形成を同時に行うことができるため、製造コスト上のメリットがある。また、コーティング後に延伸を行うために、離型層の膜厚を延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、コーティングの薄膜化をより容易に行うことができる。また、延伸前に基材フィルム上に離型層を設けることにより、離型層を基材フィルムと共に延伸することができる。それにより離型層は基材フィルムに強固に密着させることができる。さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦および横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。それゆえ、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、離型層の造膜性が向上し、離型層と基材フィルムをより強固に密着させることができ、離型成分のフォトレジスト層への移行を防ぐことができる。さらには、強固な離型層とすることができ、離型層の性能や耐久性を向上させることができる。そのため、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を形成する方法としては、離型成分を含む塗布液をポリエステルフィルムに塗布後、少なくとも一方向に延伸する製造方法が好ましい。
離型層を形成する方法としては、例えばグラビアコート、リバースロールコート、ダイコート、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、カーテンコート、ナイフコート、トランスファロールコート、スクイズコート、含浸コート、キスコート、スプレーコート、カレンダコート、押出コート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
本DFR用保護フィルムにおいて、ポリエステルフィルム上に離型層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては、例えば、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、80~200℃で3~40秒間、好ましくは100~180℃で3~40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
一方、インラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常70~270℃で3~200秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本DFR用保護フィルムを構成する積層ポリエステルフィルムの表面には、あらかじめコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
<表面粗さ>
離型層表面すなわちフォトレジスト層と接する本DFR用保護フィルムの表面の平均表面粗さRaは、0.001~0.020μmの範囲が好ましく、中でも0.002μm以上或いは0.018μm以下、その中でも0.003μm以上或いは0.014μm以下であるのがさらに好ましい。
また、当該離型層表面の最大表面粗さRtは、0.010~0.400μmの範囲内であるのが好ましく、中でも0.020μm以上或いは0.350μm以下、その中でも0.030μm以上或いは0.300μm以下、その中でも0.040μm以上或いは0.200μm以下の範囲内であるのがさらに好ましい。
平均表面粗さRaが0.020μm以下であるか、最大表面粗さRtが0.400μm以下であれば、フォトレジスト層に凹凸転写するのを防ぐことができ、ファインピッチの回路形成時に回路欠損を引き起こす問題を解消することができる。一方、平均表面粗さRaが0.001μm以上であるか、最大表面粗さRtが0.010μm以上であれば、工程適正、特に製膜工程でDFR用保護フィルム表面にキズが発生し難くすることができる。更に、当該傷によるフォトレジスト層への傷転写が生じにくく、ファインピッチの回路パターンに影響を及ぼしにくいため、好ましい。
<剥離力>
本DFR用保護フィルムにおける離型層の離型性は、例えばアクリル系粘着テープに対する剥離力として表した場合、1500mN/cm以下であるのが好ましく、より好ましくは1200mN/cm以下、さらに好ましくは1000mN/cm以下、最も好ましくは900mN/cm以下である。また剥離力の下限は、好ましくは10mN/cm以上であり、より好ましくは20mN/cm以上である。より詳細には、後述の実施例における測定方法に基づくものとする。
前記剥離力が1500mN/cm以下であれば、保護フィルムをフォトレジスト層表面からスムーズに剥離することができ、フォトレジスト層表面に剥離跡がつき難く、ファインピッチの回路パターンを得ることができる。剥離跡が残ると、フォトレジスト層表面に凹凸が生じるため、紫外線を露光・硬化させる時にその凹凸部で光散乱がおこる。これにより、高解像度のパターンが得られなくなる可能性があるため好ましくない。
但し、当該離型性の好ましい範囲は、対するフォトレジスト層の材料の種類により異なるものである。
<表面抵抗値>
離型層の表面抵抗値は、好ましくは5×1012Ω/□以下、より好ましくは5×1011Ω/□以下、さらに好ましくは1×1011Ω/□以下、特に好ましくは5×1010Ω/□以下である。当該表面抵抗値が5×1012Ω/□以下であれば、帯電防止性能を得ることができ、ゴミなどの異物付着を防ぐことができる。
<本DFR用保護フィルムの使用方法>
本DFR用保護フィルムは、ドライフィルムレジストの保護フィルムとして好適に使用することができる。すなわち、本DFR用保護フィルムは、支持フィルム上に積層されたフォトレジスト層上に、その離型層を密着させるようにラミネートするなどして積層することにより、ドライフィルムレジストを構成することができる。
本DFR用保護フィルムは、その表面すなわち離型層の表面がきわめて平坦であるから、フォトレジスト層上に当該離型層を密着させるようにラミネートする際、保護フィルムの外観不良(フィッシュアイ)などをフォトレジスト層の表面に凹凸転写することがないため、極繊細(ファインピッチ)な回路を形成するためのドライフィルムレジストとして好適に用いることができる。また、本DFR用保護フィルムは離型層を備えていることにより、フォトレジスト層表面に剥離跡がつかないように、フォトレジスト層から保護フィルムを剥離することができる。よって、本発明が提案するドライフィルムレジスト用保護フィルムは工業的価値が非常に大きいものである。
<語句の説明>
本明細書において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例で用いた測定法および評価方法を次のとおりである。
(1)ポリエステルの極限粘度
ポリエステルチップ1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)ワックスの軟化点
軟化点はJIS-K2207に従って測定した。
(3)フィルムの厚さ(μm)
マイクロメーターで保護フィルムの厚さを測定した。
(4)フィルム積層厚さ
透過型電子顕微鏡(TEM)によるフィルム断面の観察にて行った。すなわち、フィルムサンプルの小片を、エポキシ樹脂に硬化剤、加速剤を配合した樹脂に包埋処理し、ウルトラミクロトームにて厚さ200nmの切片を作成し、観察用サンプルとした。得られたサンプルをTEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、H-9000)にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に、明暗によってその界面が観察される。その界面とフィルム表面までの距離を透過型電子顕微鏡写真1枚について平均し、表層厚さおよび積層厚さを求めた。但し、加速電圧は300kV、倍率は表層厚さに応じ、1~10万倍の範囲で設定した。少なくとも50枚の写真について行い、測定値の厚い方から10点、薄い方から10点削除して30点を平均して測定値とした。
(5)離型層の膜厚
離型層の表面をRuOで染色し、エポキシ樹脂中に包埋した。その後、超薄切片法により作成した切片をRuOで染色し、離型層の断面を透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 H-9000)を用いて測定した。
(6)平均表面粗さ(Ra)
表面粗さ測定器(株式会社小坂研究所製、SE-3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表した時、次の式で与えられた値を〔μm〕で表す。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Ra=(1/L)∫ |f(x)|dx
(7)最大表面粗さ(Rt)
Ra測定時に得られた断面曲線の抜き取り部分を、その平均線に平行な2直線で抜き取り部分を挟んだとき、この2直線の間隔を断面曲線の縦倍率の方向に測定して、その値をマイクロメートル(μm)単位で表したものを抜き取り部分の最大表面粗さRtとした。最大高さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の最大高さの平均値で表した。
(8)離型層の剥離力
離型層を設けたポリエステルフィルムの離型層表面に粘着テープ(日東電工株式会社製「No.31B」、基材厚さ25μm)を2kgゴムローラーにて1往復圧着し、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。
剥離力は、株式会社島津製作所製「Ezgraph」を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
(9)平均粒径
走査型電子顕微鏡(SEM)によって、10個以上の粒子の直径を測定し、その平均値として求めた。その際、非球状粒子の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定した。
(10)帯電防止剤の数平均分子量
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)装置を用いて、数平均分子量を測定した。溶離液として0.1M硝酸ナトリウム水溶液を用い、帯電防止剤を濃度0.1%相当に溶解したものを試料とし、標準物質としてポリエチレンオキシドを用いた換算値として測定した。
(11)表面抵抗率
離型層を設けたポリエステルフィルムを23℃,50%RHの測定雰囲気で30分間調湿後、塗布表面の表面抵抗率を日本ヒューレット・パッカード株式会社製の高抵抗測定器:HP4339Bおよび測定電極:HP16008Bを使用し、印加電圧10Vの条件で測定した。
(A)回路欠損特性の評価
ドライフィルムレジスト用保護フィルムとしての回路欠損特性を、以下の基準で評価した。
◎:「0.003≦Ra(μm)≦0.014」かつ「0.040≦Rt(μm)≦0.200」 (フォトレジスト層に凹凸が転写されず、ファインピッチの回路においても欠損が無い)
○:「0.003≦Ra(μm)≦0.014」かつ「0.010≦Rt(μm)<0.040 又は0.200<Rt(μm)≦0.400」(フォトレジスト層に僅かに凹凸が転写される場合があるが、ファインピッチの回路においても欠損への影響は無い)
○:「0.001≦Ra(μm)<0.003又は0.014<Ra(μm)≦0.020」かつ「0.040≦Rt(μm)≦0.200」(フォトレジスト層に僅かに凹凸が転写される場合があるが、ファインピッチの回路においても欠損への影響は無い)
△:「0.001≦Ra(μm)<0.003又は0.014<Ra(μm)≦0.020」かつ「0.010≦Rt(μm)<0.040又は0.200<Rt(μm)≦0.400」(フォトレジスト層に凹凸が転写される可能性があり、回路のピッチ幅によっては欠損が生じる場合がある)
×:「Ra(μm)<0.001」、「Ra(μm)>0.020」「Rt(μm)<0.010」及び「Rt(μm)>0.400」のうちの何れかを満たす。(フォトレジスト層に凹凸が転写されるため、回路欠損が生じる可能性が高い)
(B)剥離跡の転写特性の評価
ドライフィルムレジスト用保護フィルムとして使用した際の、フォトレジスト層への剥離跡の転写特性を、以下の基準で評価した。
○:「10≦離型層の剥離力(mN/cm)≦900」(フォトレジスト層表面に保護フィルムの剥離跡が残らず、ファインピッチの回路においても全く問題無い)
△:「900<離型層の剥離力(mN/cm)≦1500」(フォトレジスト層表面に僅かに保護フィルムの剥離跡が残る場合があり、回路のピッチ幅によっては支障が生じる場合がある)
×:「1500<離型層の剥離力(mN/cm)」(フォトレジスト層表面に保護フィルムの剥離跡が残るため、レジスト性能に影響する場合がある)
×:「離型層の剥離力(mN/cm)<10」(粘着力が弱く、フォトレジスト層表面に保護フィルムが十分に貼りつかない)
(C)剥離帯電性(アッシュテストによる実用特性代用評価)
23℃、50%RHの測定条件下、JIS L0803(染色堅牢度試験用添付白布)に規定の綿布上で200mm×30mmの保護フィルムサンプルを両手で持ち、フィルム塗布面を往復20回摩擦し、保護フィルムを帯電させた。次に、煙草の灰をフィルム塗布面に近づけて、その灰の粒子が保護フィルム表面に付着し始める距離(mm)を測定し、下記判定基準により判定を行った。
(判定基準)
〇:距離が0mm以上10mm未満。(ファインピッチの回路においても、異物付着等の問題が生じない)
△:距離が10mm以上20mm未満。(回路のピッチ幅によっては、異物の付着等の支障が生じる場合がある)
×:距離が20mmを超える。(異物の付着等の支障が生じる)
(D)総合評価
ドライフィルムレジスト用保護フィルムとしての適性を、以下の基準で判断した。
(a)「回路欠損特性」及び「剥離跡の転写特性」による判断
○:何れの特性も◎又は○。(ファインピッチの回路において好適に使用することが出来る)
△:少なくとも何れかの特性が△であるが、×は無い。(ピッチの比較的広い回路であれば支障は無いが、ファインピッチの回路においては支障が生じる場合がある)
×:少なくとも何れかの特性が×。(ピッチの比較的広い回路においても支障が生じる場合がある)
(b)「回路欠損特性」、「剥離跡の転写特性」及び「剥離帯電性」による判断
○:全ての特性が◎又は○。(ファインピッチの回路において好適に使用することが出来る)
△:少なくとも何れかの特性が△であるが、×は無い。(ピッチの比較的広い回路であれば支障は無いが、ファインピッチの回路においては支障が生じる場合がある)
×:少なくとも何れかの特性が×。(ピッチの比較的広い回路においても支障が生じる場合がある)
[離型層形成組成物:塗布液1~28]
次の原料を用いて、以下の実施例、比較例で使用した、離型層形成組成物としての塗布液1~28を調製した。
<離型剤(IA):長鎖アルキル基含有化合物>
4つ口フラスコにキシレン200質量部、オクタデシルイソシアネート600質量部を加え、攪拌下に加熱した。キシレンが還流し始めた時点から、平均重合度500、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール100質量部を少量ずつ10分間隔で約2時間にわたって加えた。ポリビニルアルコールを加え終わってから、さらに2時間還流を行い、反応を終了した。反応混合物を約80℃まで冷却してから、メタノール中に加えたところ、反応生成物が白色沈殿として析出したので、この沈殿を濾別し、キシレン140質量部を加え、加熱して完全に溶解させた後、再びメタノールを加えて沈殿させるという操作を数回繰り返した後、沈殿をメタノールで洗浄し、乾燥粉砕して得た。
<離型剤(IB):ワックス>
攪拌機、温度計、温度コントローラーを備えた内容量1.5Lの乳化設備に軟化点140℃、酸価16mgKOH/g、密度0.93g/mL、数平均分子量5000の酸化ポリエチレンワックス300g、イオン交換水650gとデカグリセリンモノオレエート界面活性剤を50g、48%水酸化カリウム水溶液10gを加え窒素で置換後、密封し150℃で1時間高速攪拌した後130℃に冷却し、高圧ホモジナイザーを400気圧下で通過させ40℃に冷却したワックスエマルション。
<架橋剤(II):メラミン化合物>
ヘキサメトキシメチロールメラミン
<ポリマー(III):ポリエステル樹脂>
下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5-ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4-ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4/70/20/10(mol%)
<ポリマー(IIIA):アクリル樹脂>
エチルアクリレート/n-ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/N-メチロールアクリルアミド/アクリル酸=65/21/10/2/2(質量%)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)。
<ポリマー(IIIB):ポリビニルアルコール(PVA)>
ケン化度88モル%、重合度500のポリビニルアルコール
<帯電防止剤(IV)>
下記式(2)の構成単位と、下記式(3)の構成単位とを95:5の質量比率で共重合してなる数平均分子量30000の高分子化合物
Figure 0007167463000002
Figure 0007167463000003
Figure 0007167463000004
Figure 0007167463000005
[ポリエステル原料]
次に、以下の実施例・比較例で使用したポリエステル原料について説明する。
<ポリエステル樹脂I>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、粒子を含有しない、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.65dl/gであるポリエステルチップ。
<ポリエステル樹脂II>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、球状で平均粒径0.35μmのイオン交換樹脂を0.5質量部含有し、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.65dl/gであるポリエステルチップ。
<ポリエステル樹脂III>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、球状で平均粒径0.05μmのアルミナ粒子を1.5質量部含有し、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.65dl/gであるポリエステルチップ。
<ポリエステル樹脂IV>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、球状で平均粒径0.5μmの微細合成シリカ粒子を1.5質量部含有し、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.65dl/gであるポリエステルチップ。
<ポリエステル樹脂V>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、球状で平均粒径2.7μmのシリカ粒子を0.6質量部含有し、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.65dl/gであるポリエステルチップ。
<ポリエステル樹脂VI>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、球状で平均粒径0.7μmの炭酸カルシウムを1.5質量部含有し、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.65dl/gであるポリエステルチップ。
<ポリエステル樹脂VII>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、球状で平均粒径1.0μmの炭酸カルシウムを1.0質量部含有し、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.65dl/gであるポリエステルチップ。
<実施例1>
粒子含有層として、ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIを95:5の質量比率で配合して押出機にて溶融させて積層ダイのA層に供給し、主層として、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて積層ダイのB層に供給した。A層/B層/A層の構成からなる2種3層の積層ポリエステル樹脂をフィルム状に共押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。
次いで、当該未延伸フィルムを、75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムの片面に、上記表1に示した塗布液1をインラインコーティングし、次いでフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.3倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、厚さ25μm(A層/B層/A層=2μm/21μm/2μm)の積層ポリエステルフィルムのA層表面(片面)に、膜厚(乾燥後)0.03μmの離型層を有する保護フィルムを得た。
得られた保護フィルムの特性を表3に示す。
<実施例2>
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIを70:30の質量比率で配合してA層に供給し、積層ポリエステルフィルムの厚さを50μm(A層/B層/A層=4μm/42μm/4μm)とした以外は、実施例1と同様にして保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの特性を表3に示す。
<実施例3>
粒子含有層として、ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIIを70:30の質量比率で配合して押出機にて溶融させて積層ダイのA層に供給し、主層として、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて積層ダイのB層に供給し、粒子含有層として、ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂Vを80:20の質量比率で配合して押出機にて溶融させて積層ダイのA’層に供給した。A層/B層/A’層の構成からなる3種3層からなる積層ポリエステルフィルムの厚さを16μm(A層/B層/A’層=1μm/12μm/3μm)とした以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムのA層表面に離型層を有する保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの特性を表3に示す。
<実施例4>
粒子含有層として、ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IVを82:18の質量比率で配合して押出機にて溶融させて積層ダイのA層に供給し、主層として、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて積層ダイのB層に供給した。A層/B層の構成からなる2種2層の積層ポリエステルフィルムの厚さを12μm(A層/B層=2μm/10μm)とした以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムのA層表面に離型層を有する保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの特性を表3に示す。
<実施例5>
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂VIを82:18の質量比率で配合して押出機にて溶融させて積層ダイのA層に供給した以外は、実施例4と同様にして、積層ポリエステルフィルムのA層表面に離型層を有する保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの特性を表3に示す。
<実施例6>
上記表1に示した塗布液2をインラインコーティングし、離型層の膜厚(乾燥後)を0.02μmとした以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムのA層表面(片面)に離型層を有する保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの特性を表4に示す。
<実施例7~9>
離型層の膜厚(乾燥後)を表4に示す通りとした以外は、実施例6と同様にして、積層ポリエステルフィルムのA層表面に離型層を有する保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの特性を表4に示す。
<実施例10~13、15~18、比較例4、5>
塗布液1の代わりに上記表1に示した塗布液を、表4、表5、表7に示す通りに使用してインラインコーティングした以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムのA層表面(片面)に離型層を有する保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの特性を表4、表5、表7に示す。
<実施例14>
離型層の膜厚(乾燥後)を0.06μmとした以外は、実施例13と同様にして、積層ポリエステルフィルムのA層表面(片面)に離型層を有する保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの特性を表5に示す。
<比較例1~3>
A層に供給する原料を表7に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、積層ポリエステルフィルムのA層表面(片面)に離型層を有する保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの特性を表7に示す。
Figure 0007167463000006
Figure 0007167463000007
Figure 0007167463000008
Figure 0007167463000009
Figure 0007167463000010
<実施例21>
粒子含有層として、ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIを95:5の質量比率で配合して押出機にて溶融させて積層ダイのA層に供給し、主層として、ポリエステル樹脂Iのみを押出機にて溶融させて積層ダイのB層に供給した。A層/B層/A層の構成からなる2種3層の積層ポリエステル樹脂をフィルム状に共押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。
次いで、当該未延伸フィルムを、75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの片面に、上記表2に示す塗布液13を塗布し、次いでフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.0倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、フィルム平均厚さ25μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。A層の厚さは2.0μmであり、A層上(片面)に塗布した離型層の膜厚は0.03μmであった。
本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅の保護フィルム、すなわち積層ポリエステルフィルムのA層表面に離型層を有する保護フィルムを得た。当該保護フィルムの特性を表8に示す。
<実施例22>
粒子含有層として、ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIを70:30の質量比率で配合して押出機にて溶融させて積層ダイのA層に供給し、フィルム平均厚さを50μm、A層の厚さを4.0μmとした以外は、実施例21と同様にして、積層ポリエステルフィルムのA層表面に離型層を有する保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの特性を表8に示す。
<実施例23>
粒子含有層として、ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIIを70:30の質量比率で配合して押出機にて溶融させて積層ダイのA層に、主層として、ポリエステル樹脂Iを100の質量比率で配合して押出機にて溶融させて積層ダイのB層に供給し、ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂Vを80:20の質量比率で配合して押出機にて溶融させて積層ダイのA’層に供給した。A層/B層/A’層の構成からなる3種3層の積層ポリエステルフィルムとし、フィルム平均厚さ16.0μm、A層の厚さを1.0μm、A’層の厚さを3.0μmとした以外は、実施例21と同様にして、積層ポリエステルフィルムのA層表面に離型層を有する保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの特性を表8に示す。
<実施例24>
粒子含有層として、ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IVを82:18の質量比率で配合して押出機にて溶融させて積層ダイのA層に供給し、主層として、ポリエステル樹脂Iを100の質量比率で配合して押出機にて溶融させて積層ダイのB層に供給した。A層/B層の構成からなる2種2層の積層ポリエステル樹脂構成とし、平均厚さ12.0μm、A層の厚さを2.0μmとした以外は、実施例21と同様にして、積層ポリエステルフィルムのA層表面に離型層を有する保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの特性を表8に示す。
<実施例25>
粒子含有層として、ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂VIを82:18の質量比率で配合して押出機にて溶融させて積層ダイのA層に供給した以外は、実施例24と同様にして、積層ポリエステルフィルムのA層表面に離型層を有する保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの特性を表8に示す。
<実施例26、27、29~35、37、比較例9>
塗布液13の代わりに上記表2に示す塗布液を、表9~12に示す通りに塗布した以外は、実施例21と同様にして、積層ポリエステルフィルムのA層表面(片面)に離型層を有する保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの特性を表9~12に示す。
<実施例28>
塗布液13の代わりに上記表2に示す塗布液16を塗布し、A層上に塗布した離型層の膜厚を0.05μmとした以外は、実施例21と同様にして、積層ポリエステルフィルムのA層表面に離型層を有する保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの特性を表9に示す。
<実施例36、38、39>
塗布液13の代わりに、上記表2に示す塗布液を表11に示す通りに塗布し、A層上に塗布した離型層の膜厚を0.06μmとした以外は、実施例21と同様にして、積層ポリエステルフィルムのA層表面(片面)に離型層を有する保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの特性を表11に示す。
<比較例6~8>
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂Vを85:15の質量比率で配合して押出機にて溶融させて積層ダイのA層に供給する原料を表12に示す通りに変更した以外は、実施例21と同様にして、積層ポリエステルフィルムのA層表面(片面)に離型層を有する保護フィルムを得た。得られた保護フィルムの特性を表12に示す。
Figure 0007167463000011
Figure 0007167463000012
Figure 0007167463000013
Figure 0007167463000014
Figure 0007167463000015
本発明は、高解像性が必要なドライフィルムレジストの保護フィルムとして、好適に使用することができる。


Claims (5)

  1. ポリエステルを主成分樹脂とし、平均粒径が0.03μm~0.70μmである、イオン交換樹脂からなる粒子を500ppm~2000ppm含有する粒子含有層(A層)と、ポリエステルを主成分樹脂とし、粒子を実質的に含有しない主層(B層)とを備えた2層以上の積層ポリエステルフィルムを有し、
    当該積層ポリエステルフィルムの前記粒子含有層(A層)の表面に、離型剤を含有する離型層積層され、さらに当該離型層上にフォトレジスト層及び支持フィルムが積層されてなるドライフィルムレジスト。
  2. 前記離型剤が、長鎖アルキル化合物又はワックス又はこれらの組み合わせである請求項1に記載のドライフィルムレジスト
  3. 前記離型層は、さらに帯電防止剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のドライフィルムレジスト
  4. 離型層表面の平均表面粗さRaが、0.001~0.020μmである、請求項1~3の何れか一項に記載のドライフィルムレジスト。
  5. 離型層表面の最大表面粗さRtは、0.010~0.400μmである、請求項1~4の何れか一項に記載のドライフィルムレジスト。
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