JP2022146448A - ポリエステルフィルムロール - Google Patents

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Abstract

【課題】高い平滑性を有するとともに、シワが発生しにくく、フィルムロールの巻取り性良好であり、長尺化対応が可能なポリエステルフィルムロールを提供すること。【解決手段】ポリエステルフィルム及び硬化樹脂層をこの順に有するフィルムを巻き取ってなるポリエステルフィルムロールであって、前記硬化樹脂層が(A)架橋剤、(B)バインダー樹脂及び(C1)粒子を含有する硬化樹脂層組成物の硬化物であり、前記(C1)粒子の平均粒径が、前記硬化樹脂層の3倍以下であり、前記フィルムが、以下の(1)~(3)を同時に満足するポリエステルフィルムロール。(1)前記硬化樹脂層表面の平均表面粗さ(Sa)が1nm~10nmであること。(2)前記硬化樹脂層表面の表面高さ分布尖り(Sku)が50以上であること。(3)前記ポリエステルフィルムの前記硬化樹脂層と接する面と反対側の表面の平均表面粗さ(Sa)が1nm~10nmであること。【選択図】なし

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサーの製造工程において使用される工程用離型フィルムの支持体に好適なポリエステルフィルムロールに関する。
近年、自動車の電装化やスマートフォンの高機能化等に伴い、積層セラミックコンデンサー(Multi-Layered-Ceramic-Capacitor;MLCC)の小型化・高容量化が進んでいる。
積層セラミックコンデンサーは、次のようにして製造される。
まず、離型フィルム上に、セラミック成分及びバインダー樹脂を含むセラミックスラリーを塗工し、乾燥することでセラミックグリーンシート(誘電体シート)を作製し、これに電極をスクリーン印刷法等により印刷して内部電極とし、乾燥した後に印刷済のセラミックグリーンシートを離型フィルムから剥離し、このようなグリーンシートを多数積層させる。積層させたグリーンシートをプレスして一体化させた後、個々のチップに切断する。
その後、焼成炉で内部電極及び誘電体層を焼結させ、積層セラミックコンデンサーが製造される。
MLCCの小型及び高容量化に際して、セラミックグリーンシートの薄膜化が進んでいる。セラミックグリーンシートの薄膜化が0.5μm(乾燥後の厚み)以下と更に進行するとキャリアフィルムとしての離型フィルムの表面に微小な突起があれば、これに起因して、セラミックグリーンシートにピンホール等が発生する。このため当該離型フィルムには、更に高度な表面平滑性が求められている。
従来、この種の離型フィルムの支持体として、特許文献1には、第1の面と第2の面とを有する基材と、前記基材の前記第1の面側に設けられた平滑化層と、前記平滑化層の前記基材と反対の面側に設けられた剥離剤層とを有し、前記平滑化層は、質量平均分子量が950以下の熱硬化性化合物を含む平滑化層形成用組成物を加熱して硬化させることにより形成されており、前記剥離剤層の外表面の算術平均粗さRaが8nm以下であり、かつ、前記剥離剤層の外表面の最大突起高さRpが50nm以下であることを特徴とするグリーンシート製造用剥離フィルムが開示されている。
また、特許文献2には、表面の平滑性に優れ、特にフィルム表面の微細な欠点が少ない離型用ポリエステルフィルムとして、深さ0.5μm以上の窪み欠点数が5個/m以下であり、少なくとも片面の表面の中心線平均粗さSRaが15~35nm、十点平均粗さSRzが1000nm以下である離型用ポリエステルフィルムが開示されている。
グリーンシートの薄膜化が大きく進む中、薄膜化されたグリーンシートを多層に積層させる際の積層精度が、更に高く要求されている。このため離型フィルムの平面性についても重要度が高まってきており、熱しわの制御等が図られている。
この種のフィルムとして、特許文献3には、ポリエステルフィルムを巻き取ってなるポリエステルフィルムロールであって、前記ポリエステルフィルムに存在するスラック欠点が、100mあたり5個未満である、ポリエステルフィルムロールが開示されている。
特開2014-177093号公報 特開2013-7054号公報 特開2002-273719号公報
セラミックグリーンシートの薄肉化に伴い、誘電体層はより高い平滑性が求められる。
また、ポリエステルフィルムの高平滑化に伴い、製造工程中において、生産性向上のため、生産速度をUPする、あるいはフィルム巻長さを長尺化するに伴い、フィルムロールの巻取り性を良好にするのが難しく、シワが発生しやすいなどの課題があった。
そこで、本発明の目的は、高い平滑性を有するとともに、シワが発生しにくく、フィルムロールの巻取り性良好であり、長尺化対応が可能なポリエステルフィルムロールを提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムロールを用いれば、上記課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の[1]~[10]を提供するものである。
[1]ポリエステルフィルム及び硬化樹脂層をこの順に有するフィルムを巻き取ってなるポリエステルフィルムロールであって、前記硬化樹脂層が(A)架橋剤、(B)バインダー樹脂及び(C1)粒子を含有する硬化樹脂層組成物の硬化物であり、前記(C1)粒子が、平均粒径が100nm以上の粒子であり、前記(C1)粒子の平均粒径が、前記硬化樹脂層の厚みの3倍以下であり、前記フィルムが、以下の(1)~(3)を同時に満足するポリエステルフィルムロール。
(1)前記硬化樹脂層表面の平均表面粗さ(Sa)が1nm~10nmであること。
(2)前記硬化樹脂層表面の表面高さ分布尖り(Sku)が50以上であること。
(3)前記ポリエステルフィルムの前記硬化樹脂層と接する面と反対側の表面の平均表面粗さ(Sa)が1nm~10nmであること。
[2]前記(B)バインダー樹脂がポリエステル樹脂である、[1]に記載のポリエステルフィルムロール。
[3]前記硬化樹脂層の厚みが50nm以上500nm以下である、[1]又は[2]に記載のポリエステルフィルムロール。
[4]前記硬化樹脂層が、更に平均粒径が100nm未満の粒子である(C2)微小粒子を含有する、[1]~[3]のいずれかに記載のポリエステルフィルムロール。
[5]前記ポリエステルフィルムを構成するポリエステルの極限粘度(IV)が、0.50dL/g以上である、[1]~[4]のいずれかに記載のポリエステルフィルムロール。
[6]前記ポリエステルフィルムは、チタン化合物を含む、[1]~[5]のいずれかに記載のポリエステルフィルムロール。
[7]前記ポリエステルフィルムの前記硬化樹脂層と接する面と反対側の表面が、実質的に粒子を含有しない、[1]~[6]のいずれかに記載のポリエステルフィルムロール。
[8]前記ポリエステルフィルムの前記硬化樹脂層と接する面と反対側の表面に離型層を有する、[1]~[7]のいずれかに記載のポリエステルフィルムロール。
[9]積層セラミックコンデンサーの製造工程においてセラミックグリーンシートの支持体として用いられる、[1]~[8]のいずれかに記載のポリエステルフィルムロール。
[10]自動車用セラミックコンデンサーの製造工程においてセラミックグリーンシートの支持体として用いられる、[1]~[9]のいずれかに記載のポリエステルフィルムロール。
本発明によれば、高い平滑性を有するとともに、シワが発生しにくく、フィルムロールの巻取り性良好であり、長尺化対応が可能なポリエステルフィルムロールを提供することができる。
また、本発明のポリエステルフィルムロールは、極めて優れた表面平滑性を有することから、当該フィルムを、例えば積層セラミックコンデンサーの製造工程において、セラミックグリーンシートの支持体として用いれば、当該フィルム表面の微細な凹凸によってセラミックグリーンシートに欠陥が生じる虞が少ないという利点がある。
また、本発明のポリエステルフィルムロールは、極めて優れた表面平滑性を有し、且つ、硬化樹脂層表面が特徴的な凹凸形状を有するため、シワ発生防止性良好であり、当該フィルムを、例えば積層セラミックコンデンサーの製造工程において、セラミックグリーンシートの支持体として用いれば、セラミックスラリーを均一に塗布できることで均一な誘電体層を形成することができ、かつ、フィルムロールの巻取り性良好であるため、シワが発生しにくく、ポリエステルフィルムロールの長尺化に伴い、切替頻度低減に伴う、生産性向上に貢献できる。
とりわけ、自動車向け積層セラミックコンデンサーに用いるセミックグリーンシート用支持体として好適に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、数値の記載に関する「A~B」という用語は、「A以上B以下」(A<Bの場合)又は「A以下B以上」(A>Bの場合)を意味する。また、本発明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
<ポリエステルフィルムロール>
本発明のポリエステルフィルムロールは、ポリエステルフィルム及び硬化樹脂層をこの順に有するフィルムを巻き取ってなるポリエステルフィルムロールであって、前記硬化樹脂層が(A)架橋剤、(B)バインダー樹脂及び(C1)粒子を含有する硬化樹脂層組成物の硬化物であり、前記(C1)粒子の平均粒径が、前記硬化樹脂層の3倍以下であり、前記フィルムが、以下の(1)~(3)を同時に満足することを特徴としている。
(1)硬化樹脂層表面の平均表面粗さ(Sa)が1nm~10nmであること。
(2)硬化樹脂層表面の表面高さ分布尖り(Sku)が50以上であること。
(3)前記ポリエステルフィルムの前記硬化樹脂層と接する面と反対側表面の平均表面粗さ(Sa)が1nm~10nmであること。
本発明のポリエステルフィルムロール(以下「本ロール」とも称する)は、硬化樹脂層及びポリエステルフィルムこの順に有するフィルム(以下「本フィルム」とも称する)を巻き取ってなるポリエステルフィルムロールである。
本ロールは、紙管、金属管、プラスチック管等のコアに巻き取られたポリエステルフィルムロールであり、幅0.2m以上であることが好ましく、0.3m以上であることがより好ましく、1.0m以上であることが特に好ましく、1.5m以上であることが最も好ましい。ポリエステルフィルムロールの幅の上限は、特に限定されないが、好ましくは2.3m以下であり、より好ましくは2.0m以下である。
また、本ロールに巻き取られる本フィルムの長さは、特に限定されないが、好ましくは1000m以上、より好ましくは6000m以上、更に好ましくは12000m以上である。
更に、本フィルムの厚さは、好ましくは19μm以上38μm以下、より好ましくは25μm以上32μm以下である。
[表面特性]
(1)硬化樹脂層表面の平均表面粗さ(Sa)
本フィルムは、硬化樹脂層表面の平均表面粗さ(Sa)が1~10nmである。
本フィルムの硬化樹脂層の平均表面粗さ(Sa)が10nmより大きくなると、本フィルム上にセラミックグリーンシートを備えたフィルムロール状にした時に、硬化樹脂層表面の微細な凹凸転写により、セラミックグリーンシートの品質低下につながる。また、硬化樹脂層表面の平均表面粗さ(Sa)が1nm以下であると、フィルム表面が極端に平坦化しすぎて、フィルムの滑り性が低下し、傷がつきやすくなる。
硬化樹脂層表面の平均表面粗さ(Sa)は、セラミックグリーンシートの薄肉化対応の観点から、好ましくは1~8nm、より好ましくは1~6nm、更に好ましくは1~3nmである。
また、本フィルムは、硬化樹脂層表面の微細な凹凸が、他の面に転写することを抑制させる観点から、最大山高さ(Sp)は、好ましくは300nm以下、より好ましくは280nm以下、更に好ましくは200nm以下、より更に好ましくは150nm以下である。最大山高さ(Sp)の下限については特に制限はされないが、フィルム巻取り性の観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは70nm以上、更に好ましくは90nm以上である。
平均表面粗さ(Sa)とは、面粗さパラメーター(ISO 25178)の一つであり、二次元のRaを三次元に拡張したもので、表面形状曲面と平均面で囲まれた部分の体積を測定面積で割ったものであり、以下の式(1)から求められる。
表面をXY面,高さ方向をZ軸とした時、A:定義された領域(画像全体とする)、Z(x,y):画像点(x,y)の高さ0の面からの高さとすると、以下のように表される。
Figure 2022146448000001
また、最大山高さ(Sp)とは、面粗さパラメーター(ISO 25178)の一つであり、表面の平均面からの高さの最大値を表し、以下の式(2)ように表される。
Figure 2022146448000002
(2)硬化樹脂層表面の表面高さ分布尖り(Sku)
硬化樹脂層表面の表面高さ分布尖り(Sku)が50以上であることが必要である。
硬化樹脂層表面の表面高さ分布尖り(Sku)が50以上であることで、フィルムロール状に巻きとった際、本フィルムの硬化樹脂層を有する面とは反対側のフィルム表面が高平滑であっても、フィルム同士の間に介在する空気が逃げやすくでき、フィルムのシワなどの発生を抑制でき、フィルムロールの巻取り性が良好となる。
硬化樹脂層表面の表面高さ分布尖り(Sku)は、フィルム同士の間の空気を逃げやすくし、フィルムの皺を抑制する観点から、下限としては、好ましくは100以上、より好ましくは105以上、更に好ましくは110以上であり、そして、上限としては、好ましくは250以下、より好ましくは230以下、更に好ましくは200以下である。
表面高さ分布尖り(Sku)とは、表面形状曲面の鋭さの尺度で、表面高さ分布の広がりを特徴づけるもので、以下の式(3)で定義される。
Figure 2022146448000003
上記式中、Sqとは、二次元のRq(RMS)を三次元に拡張したものであり、これは統計学で標準偏差σを表している。表面形状曲面と平均面との距離を二乗した曲面と、平均面によりはさまれる部分の体積を測定面積で割った後に平方根を求めた二乗平均平方根偏差であり、以下の式(4)から求めることができる。
Figure 2022146448000004
なお、Skuが3の時が正規分布であることを表し,この数値が小さくなるにしたがって、表面高さ分布がなだらかな形状をしており,数値が大きくなるに従って突起がシャープであることを表す。
(3)ポリエステルフィルムの硬化樹脂層と接する面と反対側表面の平均表面粗さ(Sa)
ポリエステルフィルムの硬化樹脂層と接する面と反対側表面の平均表面粗さ(Sa)が1~10nmであることが必要であり、好ましくは1~10nm、より好ましくは1~5nm、更に好ましくは1~3nmである。
ポリエステルフィルムの硬化樹脂層と接する面と反対側表面のポリエステル層表面の平均表面粗さ(Sa)が上記範囲内にあることにより、高平滑な表面を利用して、セラミックスラリーを塗布した際には、塗布性が良好となり、ピンホールの発生等がなく、均一なセラミックグリーンシートを形成できる。
[ポリエステルフィルム]
(ポリエステル)
本発明のポリエステルフィルムロールにおけるポリエステルとは、ポリエステルフィルム等の原料となるポリエステルのことをいい、主鎖に連続してエステル結合を有する高分子化合物をいい、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよく、具体的には、ジカルボン酸成分とジオール成分とを重縮合反応させることによって得られるポリエステルを挙げることができる。
なお、本発明においては、ジカルボン酸成分を100モル%としたとき、芳香族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸を50%よりも多く含有するポリエステルを使用することが好ましい。
前記ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸及び4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸や、例えばアジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸及びこれらのエステル誘導体等の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。
前記ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート及びスピログリコール等を挙げることができる。
上記ポリエステルがホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。
前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などを挙げることができ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール及び1,4-シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等を例示することができる。
一方、上記ポリエステルが共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。第三成分とは、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分の主成分となる化合物と、ジオール成分の主成分となる化合物以外の成分であり、ポリエチレンテレフタレートではテレフタル酸及びエチレングリコール以外の成分である。
共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、フタル酸テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸及びオキシカルボン酸等の一種又は二種以上を挙げることができる。
共重合ポリエステルのグリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール及びネオペンチルグリコール等の一種又は二種以上を挙げることができる。
また、上記ポリエステルとしては、80モル%以上、好ましくは90モル%以上が、エチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレートや、エチレン-2,6-ナフタレート単位であるポリエチレン-2,6-ナフタレート等が好ましい。
(ポリエステル重縮合触媒)
上記ポリエステルを重縮合する際の重縮合触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物等が挙げられる。これらの中では、アンチモン化合物及びチタン化合物の少なくともいずれかが好ましく、とりわけ、チタン化合物を用いて得られるポリエステルを使用することが好ましい。
したがって、ポリエステルフィルムは、アンチモン化合物及びチタン化合物の少なくともいずれかを含むことが好ましく、ポリエステルフィルムは、チタン化合物を含むことがより好ましい。
前記チタン化合物を使用することで、フィルム中に当該チタン化合物に由来する金属含有凝集体、いわゆる粗大異物の個数を低減化することができ、高い表面平滑性、とりわけ、少なくとも片面の最大山高さ(Sp)が小さい本フィルムを得ることができる。
ポリエステルフィルムの最外層(「表面層」ともいう)を構成するポリエステルは、その重縮合触媒としてチタン化合物を使用することが好ましい。
当該最外層中に当該チタン化合物に由来するチタン元素含有量が3ppm以上40ppm以下であることが好ましく、4ppm以上35ppm以下であることがより好ましい。
上記範囲内であれば、ポリエステルの製造効率を低下させることなく、触媒起因の異物を低減化することができる。
また、生産性の観点から、中間層(後述するベース層B)を構成するポリエステルは、その重縮合触媒としてチタン化合物を使用しないことが好ましい。
また、同様の観点から、ポリエステルフィルムの最外層中のアンチモン化合物の含有量は100ppm以下であることが好ましい。
例えば、後述する表面層A(ポリエステルフィルムの硬化樹脂層と接する面と反対側の層)は、アンチモン化合物及びチタン化合物の少なくともいずれかを含み、表面層Aにおけるアンチモン化合物の含有量が100ppm以下であることが好ましい。この際、表面層Aはアンチモン化合物を含有しなくてもよい。
(ポリエステルの極限粘度(IV))
ポリエステルフィルムを構成するポリエステルの極限粘度(IV)は、好ましくは0.50dL/g以上、より好ましくは0.55dL/g以上、更に好ましくは0.60dL/g以上である。
ポリエステルフィルムを構成する樹脂として、極限粘度(IV)が0.50dl/g以上のポリエステルを使用すると混練中のせん断応力が増大することによって粒子が高分散する等の利点がある。
なお、「ポリエステルフィルムを構成するポリエステルの極限粘度(IV)」とは、極限粘度(IV)が異なる2種以上のポリエステルを使用する場合には、これら混合樹脂の極限粘度(IV)を意味するものとする。
上記の観点から、とりわけ、ポリエステルフィルムが積層構造の場合、表面層、具体的にはポリエステルフィルムの最外層(例えば、硬化樹脂層が積層される表面層)を構成するポリエステルの極限粘度(IV)は、好ましくは0.50dL/g以上、より好ましくは0.55dL/g以上、更に好ましくは0.60dL/g以上である。また、該ポリエステルの極限粘度(IV)の上限としては、好ましくは1.00dL/g以下である。
(ポリエステルフィルムの構成)
ポリエステルフィルムは、単層及び2以上の層を有する積層構造(積層フィルム)のいずれも採用することができる。
(ポリエステルフィルムの粒子)
ポリエステルフィルムは、本フィルムの取り扱い性を向上させる観点から、表面層に粒子を含有してもよい。また、ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの硬化樹脂層と接する面と反対側の表面は、粒子を実質的に含有しないことが好ましい。ポリエステルフィルムの硬化樹脂層と接する面と反対側の表面が、粒子を実質的に含有しないことにより、当該表面層側に形成した離型層上に、超薄層セラミック層を積層してグリーンシートを成型する際にピンホールなどの発生が起こりにくく好ましい。
前記粒子としては、後述の硬化樹脂層における粒子が好ましく例示される。
(ポリエステルフィルムフィルムの積層構造)
ポリエステルフィルムが2以上の層を有する積層構造を備える場合、ベース層Bと表面層A及び表面層Cとから構成されるA/B/C、及びベース層Bと表面層Aとから構成されるA/B/Aの3層構造が好ましく、特にA/B/Cの3層構造であることが好ましい。
ポリエステルフィルムの前記硬化樹脂層と接する面と反対側の層(表面層A)には、セラミック層の薄肉化対応やピンホール抑制の観点から、実質的に粒子を含有しないことが好ましい。
「実質的に含有しない」とは、意図して含有しないという意味であり、具体的には、粒子の含有量(粒子濃度)が200ppm以下、より好ましくは150ppm以下、その中でも特に100ppm以下のことを指す。
また、表面層Aはポリエステルフィルムの前記硬化樹脂層と接する側の層(表面層C)よりも平均表面粗さ(Sa)及び最大山高さ(Sp)のいずれもが小さいことが好ましい。
上記A/B/Cの積層構造において、表面層Cは、平均表面粗さ(Sa)が5nm以上又は最大山高さ(Sp)が220nm以下であることが好ましい。また、表面層Cの平均表面粗さ(Sa)の上限としては、好ましくは20nm以下である。
係る積層構成を採用することにより、表面層Cには取扱い性を向上させるために必要な粗面を具備することができ、表面層Aには肉薄なセラミック層を付与させるために必要な平滑性を具備することができる。
以上の観点から、表面層Aの平均表面粗さ(Sa)は、好ましくは15nm以下であり、また、最大山高さ(Sp)は、好ましくは200nm以下である。
上記A/B/C及び上記A/B/Aの3層構造において、表面層Cは、ハンドリング性を確保するために粒子を含有してもよい。
また、上記A/B/C及びA/B/Aの3層構造において、表面層Cは、粒度分布が狭い略均一な平均粒径を有する(いわゆる単分散性を有する)粒子を含有することが好ましい。
上記粒度分布が狭い略均一な平均粒径を有する粒子としては、該粒子の粒度分布において、累積個数が10%となる粒子径をD10、累積個数が50%となる粒子径をD50、累積個数が90%となる粒子径をD90としたときに、(D90-D10)/D50が0.4以下となる粒子が好ましく、0.2以下となる粒子が特に好ましい。
係る関係式(D90-D10)/D50は、D50を基準とした粒子径のバラツキを示すものであり、(D90-D10)/D50が0.4以下の粒子は、D90とD10との差が小さいシャープな粒度分布を有するものであり、本フィルムに、優れたハンドリング性を維持しながら、極めて高い平滑性を付与することができる。
前記粒子の粒度分布は、レーザー回折式測定装置によって測定される。
前記粒子の平均粒径は、平均表面粗さ(Sa)の増大及び最大山高さ(Sp)の抑制、即ち、ハンドリング性の向上及びピンホール抑制の観点から、例えば0.05~0.8μmであり、0.1~0.5μmであることが好ましく、0.1~0.3μmであることがより好ましい。
また、表面層Cは、平均粒径0.1~0.5μmの粒子を含有することが好ましい。
なお、粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって、10個以上の粒子の直径を測定し、その平均値として求めることができる。その際、非球状粒子の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定することができる。
また、ポリエステルフィルムは、前記粒子を例えば900ppm以上の質量割合で含み、2000~10000ppmの質量割合で含むことが好ましく、中でも2500ppm以上9500ppm以下がより好ましく、その中でも3000ppm以上9000ppm以下の質量割合で含むことが更に好ましい。なお、ここでいう質量割合とは、各表面層における粒子の割合である。
また、前記表面層Cは、前記粒子を5000ppm未満の質量割合で含むことがとりわけ好ましく、前記粒子を2000ppm以上4000ppm以下の質量割合で含むことが最も好ましい。
前記ベース層Bは、最も厚みの厚い主層として機能させることが好ましく、コストダウンするために、粒子を実質的に含まないか、或いは、少なくとも表面層Cよりも低濃度で粒子を含むことが好ましい。
なお、「実質的に含有しない」とは、意図して含有しないという意味であり、具体的には、粒子の含有量(粒子濃度)が200ppm以下、より好ましくは150ppm以下のことを指す。
上述のとおり、表面層Aは上記表面層Cとは異なる層であるが、具体的には、粒子の種類、平均粒径及び配合量が異なる形態の他、層厚みが異なる形態を例示することができる。
また、次の(X)及び(Y)に示した表面層A及び/又は表面層Cを備える構成が特に好ましい。
係る構成を採用することで、本フィルムが、優れたハンドリング性と表面平滑性を具備することができる。
(ポリエステルフィルムの製造方法)
以下、ポリエステルフィルムの製造方法の一例を示す。
先ずは、公知の方法により、原料例えばポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上に加熱し、溶融ポリマーをダイから押し出し、回転冷却ドラム上でポリマーのガラス転移点以下の温度となるように冷却固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得るようにすればよい。
次に、当該未配向シートを、一方向にロール又はテンター方式の延伸機により延伸する。この際、延伸温度は、通常25~120℃、好ましくは35~100℃であり、延伸倍率は通常2.5~7倍、好ましくは2.8~6倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸する。この際、延伸温度は通常50~140℃であり、延伸倍率は通常3.0~7倍、好ましくは4.5倍以上であり、より好ましくは4.5~5.0倍である。
そして、引き続き180~220℃の温度で緊張下又は30%以内の弛緩下で熱固定処理を行い、二軸配向フィルムとしての本共重合ポリエステルフィルムを得ることができる。この熱固定処理は、温度の異なる2段以上の工程で行ってもよい。
また、熱固定処理の後に冷却ゾーンにて冷却を行ってもよい。冷却温度は、フィルムを構成するポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)より高い温度であることが好ましく、より具体的には、100~160℃の範囲であることが好ましい。この冷却は、温度の異なる2段以上の工程で行ってもよい。
なお、前記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。
[硬化樹脂層]
<硬化樹脂層組成物>
本フィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に硬化樹脂層を備え、硬化樹脂層が後述する(A)架橋剤、(B)バインダー樹脂(C)粒子をする硬化樹脂層組成物から形成される。本フィルムは、硬化樹脂層を有することにより、フィルムをロール状に巻き取った際にシワ等が発生しにくく、長尺化できる。
((A):架橋剤)
本発明のポリエステルフィルムロールにおける硬化樹脂層組成物には、硬化樹脂層の耐久性向上を目的として、エポキシ化合物及びカルボジイミド化合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤を含有することが好ましい。
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物とは、分子内にエポキシ基を有する化合物であり、例えばエピクロロヒドリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン及びビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物や、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物並びにグリシジルアミン化合物等がある。
ポリエポキシ化合物としては、例えばソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル及びトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。ジエポキシ化合物としては、例えばネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル及びポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。モノエポキシ化合物としては、例えばアリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル及びフェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。密着性向上の観点から、ポリエーテル系のエポキシ化合物が好ましい。また、エポキシ基の量としては、2官能より、3官能以上の多官能であるポリエポキシ化合物が好ましい。
(カルボジイミド化合物)
カルボジイミド化合物とは、カルボジイミド構造を有する化合物のことであり、分子内にカルボジイミド構造を1つ以上有する化合物であるが、より良好な密着性等のために、分子内に2つ以上のカルボジイミド構造を有するポリカルボジイミド化合物がより好ましい。
カルボジイミド化合物は従来公知の技術で合成することができ、一般的には、ジイソシアネート化合物の縮合反応が用いられる。ジイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではなく、芳香族系、脂肪族系いずれも使用することができ、具体的には、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート及びジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネートなどが挙げられる。
カルボジイミド化合物に含有されるカルボジイミド基の含有量は、カルボジイミド当量(カルボジイミド基1molを与えるためのカルボジイミド化合物の重さ[g])で、通常100~1000、好ましくは250~800、より好ましくは300~700の範囲である。上記範囲で使用することで、塗膜の耐久性が向上する。
更に本発明の主旨を損なわない範囲において、ポリカルボジイミド化合物の水溶性や水分散性を向上するために、界面活性剤を添加することや、ポリアルキレンオキシド、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩及びヒドロキシアルキルスルホン酸塩などの親水性モノマーを添加して用いてもよい。
(その他架橋剤)
本発明の主旨を損なわない範囲において、例えば、硬化樹脂層中、不揮発成分に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下の割合で他の架橋剤を併用してもよい。
(オキサゾリン化合物)
オキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を有する化合物であり、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン及び2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2-イソプロペニル-2-オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限はなく、例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基及びシクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド及びN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα-オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の含ハロゲンα,β-不飽和モノマー類;スチレン、α-メチルスチレン等のα,β-不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上のモノマーを使用することができる。密着性向上の観点から、オキサゾリン化合物のオキサゾリン基量は、好ましくは0.5~10mmol/g、より好ましくは1~9mmol/g、更に好ましくは3~8mmol/g、特に好ましくは4~6mmol/gの範囲である。
(メラミン化合物)
メラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことであり、例えばアルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、及びこれらの混合物を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール及びイソブタノール等が好適に用いられる。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。更に、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
(イソシアネート化合物)
イソシアネート化合物とは、イソシアネート、あるいはブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体構造を有する化合物のことである。イソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート及びナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族イソシアネート;メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)及びイソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環式イソシアネート等が例示される。また、これらイソシアネートのビュレット化物、イソシアヌレート化物、ウレトジオン化物及びカルボジイミド変性体等の重合体や誘導体も挙げられる。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。上記イソシアネートの中でも、紫外線による黄変を避けるために、芳香族イソシアネートよりも脂肪族イソシアネート又は脂環式イソシアネートがより好ましい。
ブロックイソシアネートの状態で使用する場合、そのブロック剤としては、例えば重亜硫酸塩類;フェノール、クレゾール及びエチルフェノールなどのフェノール系化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ベンジルアルコール、メタノール及びエタノールなどのアルコール系化合物;イソブタノイル酢酸メチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル及びアセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物;ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン系化合物;ε‐カプロラクタム、δ‐バレロラクタムなどのラクタム系化合物;ジフェニルアニリン、アニリン及びエチレンイミンなどのアミン系化合物;アセトアニリド、酢酸アミドの酸アミド化合物;ホルムアルデヒドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム及びシクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物が挙げられ、これらは単独でも2種以上の併用であってもよい。
また、イソシアネート化合物は単体で用いてもよいし、各種ポリマーとの混合物や結合物として用いてもよい。イソシアネート化合物の分散性や架橋性を向上させるという意味において、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂との混合物や結合物を使用することが好ましい。
((B):バインダー樹脂)
(ポリエステル樹脂)
本発明のポリエステルフィルムロールにおける硬化樹脂層組成物には、硬化樹脂層の耐久性向上を目的として、バインダー樹脂を含有する必要がある。
バインダー樹脂としては、硬化樹脂層の耐久性向上の観点から、ポリエステル樹脂が好ましい。
バインダー樹脂におけるポリエステル樹脂とは、主な構成成分として例えば、下記のような酸成分及びジオール成分からなるものが挙げられる。
酸成分としては、次の多価カルボン酸が挙げられ、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、5-ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸等のジカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸等のトリカルボン酸;、ピロメリット酸等のテトラカルボン酸;無水トリメリット酸、無水フタル酸等の酸無水物;p-ヒドロキシ安息香酸;、トリメリット酸モノカリウム塩;及びこれらのエステル形成性誘導体などを用いることができる。
ジオール成分として、下記の多価ヒドロキシ化合物が挙げられ、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、p-キシリレングリコール、ビスフェノールA-エチレングリコール付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール等を用いることができる。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。
また、ポリエステル樹脂は、水分散体としてもよく、その場合、ポリエステル樹脂には適宜親水性官能基などを導入してもよい。
本発明において、(B)バインダー樹脂におけるポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、0℃以上であることが好ましい。更に好ましくは40℃以上、その中でも特に80℃以上である。(B)バインダー樹脂におけるポリエステル樹脂のTgが前記範囲にあることで、硬化樹脂層が離型層を反対面に設ける際、溶剤雰囲気下に晒された場合でも、耐溶剤性に優れるほか、常温で使用する場合に硬化樹脂層がポリエステルフィルムから脱落しにくくなる利点を有する。
また、本発明において、(B)バインダー樹脂のポリエステル樹脂は、は、密着性向上の観点から、酸成分として炭素数が10以下のジカルボン酸成分を含有することが好ましく、炭素数が8以下のジカルボン酸成分を含有することが更に好ましい。炭素数が10以下のジカルボン酸成分は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ジカルボン酸成分としては、上記に挙げたカルボン酸を好適に用いることができ、テレフタル酸、イソフタル酸、5-ソジウムスルホイソフタル酸を用いることがより好ましい。
更に本発明において、(B)バインダー樹脂のポリエステル樹脂は、密着性向上の観点から、ジオール成分として、エチレングリコール並びに1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を含有するポリエステル樹脂であることが好ましい。
ポリエステル樹脂が上記ジオール成分を含有する場合、エチレングリコールの含有量と、エチレングリコール以外のジオール成分の含有量との質量比([エチレングリコールの含有量]/[エチレングリコール以外のジオール成分の含有量])は、40/60~90/10が好ましく、40/60~80/20がより好ましく、45/55~75/25が更に好ましい。
また、本発明において、(B)バインダー樹脂が酸成分として、多環式化合物を含有するポリエステル樹脂であることが好ましい。(B)バインダー樹脂のポリエステル樹脂が酸成分として、多環式化合物を有することにより、ポリエステル樹脂のガラス転移温度を高くしやすくでき、上述のガラス転移温度の範囲内に調整することができるため、硬化樹脂層の物性を好適にすることができる。
多環式化合物としては、多環式芳香族化合物が好ましく、炭素数が12以上の多環式芳香族化合物がより好ましく、ナフタレン環を有する多環式芳香族化合物が更に好ましい。また、多環式芳香族化合物としては、上記に挙げたカルボン酸を好適に用いることができ、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸及び2,7-ナフタレンジカルボン酸を用いることが好ましく、2,6-ナフタレンジカルボン酸を用いることがより好ましい。多環式化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、前述の炭素数が10以下のジカルボン酸成分と多環式化合物とを併用してもよい。
((メタ)アクリル樹脂)
(メタ)アクリル樹脂は、アクリル系、メタアクリル系のモノマーを含む重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体、更にはアクリル系、メタアクリル系のモノマー以外の重合性モノマーとの共重合体のいずれでもよい。(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルを構成単位とする重合体であり、スチレン又はスチレン誘導体と(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体であってもよい。
また、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。すなわち、(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル変性ポリエステル樹脂や、(メタ)アクリル変性ポリウレタン樹脂であってもよい。
更には、ポリエステル溶液、又はポリエステル分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、又は分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれ、これらも本明細書では、(メタ)アクリル変性ポリエステル樹脂や、(メタ)アクリル変性ポリウレタン樹脂とする。なお、(メタ)アクリル樹脂において使用される上記したポリエステル、ポリウレタンは、後述するバインダー樹脂に使用されるポリエステル、ポリウレタンとして例示されたものから適宜選択して使用できる。
また、(メタ)アクリル樹脂は、基材フィルムとの密着性をより向上させるために、ヒドロキシ基、アミノ基を含有してもよい。
上記重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、特に代表的な化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、及びそれらの塩;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキシフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド又は(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有化合物;スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体;プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビニリデンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類が挙げられる。
(他のバインダー樹脂)
本発明の主旨を損なわない範囲において、例えば、硬化樹脂層中、不揮発成分に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下の割合で他のバインダー樹脂を併用してもよい。他のバインダー樹脂としては、例えばウレタン樹脂が挙げられる。
((C1):粒子)
本発明のポリエステルフィルムロールにおける硬化樹脂層組成物には、(C1)粒子として、平均粒径が100nm以上である粒子を含有する必要がある。
硬化樹脂組成物に平均粒径が100nm以上である粒子を含有することにより、硬化樹脂層の平均表面粗さ(Sa)、表面高さ分布尖り(Sku)を、上述の範囲にすることができ、ポリエステルフィルムロールの巻き取り性を良好とすることができ、また、本フィルムを用いてセラミックグリーンシート等を製造した際に、セラミックグリーンシートの品質低下を抑制することができる。
(C1)粒子の平均粒径は、ポリエステルフィルムの巻き取り性を向上させる観点から、好ましくは150nm以上、より好ましくは200nm以上である。一方、上限に関しては、硬化樹脂層から粒子が脱落することを防ぐ観点から、好ましくは800nm以下、より好ましくは600nm以下、更に好ましくは500nm以下である。
また、粒子の平均粒径は、硬化樹脂層の厚さの3倍以下であることを要する。粒子の平均粒径が硬化樹脂層の厚さの3倍以下であることにより、硬化樹脂層の平均表面粗さ(Sa)、表面高さ分布尖り(Sku)を、上述の範囲にすることができ、ポリエステルフィルムロールの巻き取り性を良好とすることができる。更に、硬化樹脂層から、粒子が脱落することを防ぐことができる。その結果、本フィルムを用いてセラミックグリーンシート等を製造した際に、セラミックグリーンシートの品質低下を抑制することができる。
粒子の平均粒径は、上記観点から、硬化樹脂層の厚さに対して、好ましくは2.8倍以下であり、より好ましくは2.5倍以下であり、更に好ましくは2.3倍以下であり、より際に好ましくは2倍以下である。
前記粒子としては、例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム及び酸化チタン等の無機粒子の他、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン-アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル粒子等の架橋高分子、シュウ酸カルシウム及びイオン交換樹脂等の有機粒子を挙げることができる。これらの中では、シリカが好ましい。また、粒子に関しては、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。更に二種以上を併用する場合には、互いに平均粒径が異なる二種以上であってもよい。
((C2):微小粒子)
本発明のポリエステルフィルムロールにおける硬化樹脂層組成物は、上記(C1)粒子とは別に、平均粒径が100nm未満である(C2)微小粒子を含有することが好ましい。
硬化樹脂層組成物に平均粒径が100nm未満である(C2)微小粒子を含有することにより、フィルム平端部を微小に凹凸にすることで傷つき防止を付与できる。
(C2)微小粒子としては、上記(C1)粒子で例示した無機粒子及び有機粒子を好適に用いることができ、その中でも、シリカを用いることがこのましい。
(C2)微小粒子の平均粒径は、好ましくは80nm以下、より好ましくは70nm以下、更に好ましくは60nm以下である。また、(C2)微小粒子の平均粒径の下限としては、好ましくは15nm以上、より好ましくは20nm以上であり、更に好ましくは25nm以上、より更に好ましくは30nm以上である。
(その他成分)
硬化樹脂層の形成には、本発明の主旨を損なわない範囲において、ブロッキング性や滑り性改良等を目的として粒子を併用することも可能である。
硬化樹脂層組成物中の全不揮発成分に占める割合として、(A)架橋剤は、好ましくは5~70質量%、より好ましくは15~60質量%である。(A)架橋剤の比率が前記上限値以下であると、硬化樹脂層の強度や透明性が良好である。一方、(A)架橋剤の比率が前記下限値以上であると、塗膜の耐久性が良好とすることができる。
硬化樹脂層組成物中の全不揮発成分に占める割合として、(B)バインダー樹脂は、好ましくは30~95質量%、より好ましくは40~90質量%である(B)バインダー樹脂の比率が前記上限値以下であると、他の成分の比率が高くなるため、十分な密着性が得られ、また塗工外観が不十分になることがない。一方、(B)バインダー樹脂の比率が前記下限値以上であると密着性良好であり、かつ十分な造膜性が確保でき、均一な塗膜が得られる。
硬化樹脂層組成物中の全不揮発成分に占める割合として、(C1)粒子の含有量は、ハンドリング性付与の観点から、質量割合で好ましくは900ppm以上であり、より好ましくは2000ppm以上10000ppm以下、更に好ましくは2500ppm以上9500ppm以下、より更に好ましくは3000ppm以上9000ppm以下である。
更に、硬化樹脂層が(C2)微小粒子を含有する場合は、硬化樹脂層組成物中の全不揮発成分に占める割合として、(C2)微小粒子の含有量は、フィルム表面への傷つき防止の観点から、質量割合で好ましくは25000ppm以上40000ppm以下、より好ましくは28000ppm以上38000ppm以下、更に好ましくは30000ppm以上36000ppm以下である。
硬化樹脂層組成物中における(A)架橋剤及び(B)バインダー樹脂の合計含有量は、硬化樹脂層組成物100質量%に対して、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%未満である。
硬化樹脂層の(A)架橋剤及び(B)バインダー樹脂の配合比率(A)/(B)(質量比)は、好ましくは5/95~50/50、より好ましくは10/90~30/70である。配合比率(A)/(B)が上記範囲内であることで、強度や透明性が良好な硬化樹脂層を得ることができる。
<硬化樹脂層>
本発明に係る硬化樹脂層は、上述の硬化樹脂層組成物により形成された、硬化物樹脂組成物の硬化物である。
硬化樹脂層の厚みは、好ましくは50nm以上500nm以下、より好ましくは100nm以上400nm以下、更に好ましくは150nm以上300nm以下である。硬化樹脂層の厚みが上記の範囲内であれば、硬化樹脂層自体の耐久性を良好にできる。
硬化樹脂層中における硬化樹脂層組成物の含有量は、硬化樹脂層100質量%に対して、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上であり、そして、100質量%以下である。なお、硬化樹脂層中には、硬化樹脂層組成物の各種化合物の未反応物、反応後の化合物、あるいはそれらの混合物が存在しているものと推測できる。
<ポリエステルフィルムロールの製造方法(硬化樹脂層の形成方法)>
次にポリエステルフィルムロールを構成する硬化樹脂層の形成方法について説明する。
硬化樹脂層の形成方法は特に限定されず、例えば、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
また、硬化樹脂層の形成方法としては、インラインコーティング及びオフラインコーティングがある。乾燥及び硬化条件に関しては、特に限定されるわけではなく、例えばオフラインコーティングにより硬化樹脂層を設ける場合、通常、80~200℃で3~40秒間、好ましくは100~180℃で3~40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
一方、インラインコーティングにより硬化樹脂層を設ける場合、通常、70~280℃で3~200秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
本発明では、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより形成されるのが好ましい。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押し出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻き上げ前のフィルムの何れかにコーティングする。以下に限定するものではないが、例えば逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と硬化樹脂層形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、また。コーティング後に延伸を行うために、硬化樹脂層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングフィルムに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。また、延伸前にフィルム上に硬化樹脂層を設けることにより、硬化樹脂層をポリエステルフィルムと共に延伸することができ、それにより硬化樹脂層をポリエステルフィルムに強固に密着させることができる。更に、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦及び横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。それゆえ、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、硬化樹脂層の造膜性が向上し、硬化樹脂層とポリエステルフィルムをより強固に密着させることができる。
インラインコーティングによって硬化樹脂層を設ける場合は、上述の一連の化合物を水溶液又は水分散体として、固形分濃度(全不揮発成分)が0.1~50質量%程度を目安に調整した硬化樹脂層組成物をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明のポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
[離型層]
本発明のポリエステルフィルムロールは、本フィルムの硬化樹脂層とは反対側の表面(表面層A)上に離型層を有する形態で使用することが可能である。
当該離型層は、本フィルムにおいて、平均表面粗さ(Sa)が1nm以上10nm以下の、硬化樹脂層と接する面と反対側表面(ポリエステルフィルムの表面層A側)に積層されることが好ましい。
したがって、例えばA/B/C構成の場合には、A層表面側に離型層が積層され、離型層/A/B/C/硬化樹脂層の構成となる。
本フィルムの高平滑面側に離型層を積層することで、離型層上に超薄層セラミック層を積層してグリーンシートを成型する際にピンホールなどの発生が起こりにくく好ましい。
前記離型層は、離型剤を含む離型剤組成物から形成されるが、良好な離型性能を得る観点から、とりわけ、該離型剤組成物中にシリコーン樹脂を含有することが好ましい。具体的には、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプや、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ、或いはフルオロシリコーン樹脂等を含有することが好ましい。
前記硬化型シリコーン樹脂としては、付加型、縮合型等の熱硬化型や紫外線硬化型等の電子線硬化型等、既存の何れの硬化反応タイプでも用いることができ、また複数種類の硬化型シリコーン樹脂を併用して使用してもよい。
また、離型層を形成する際の硬化型シリコーン樹脂の塗工形態にも特に制限は無く、有機溶剤に溶解している形態、水系エマルジョンの形態、無溶剤の形態の何れであってもよい。
前記離型層を形成する離型剤組成物には、その他にも、必要に応じてバインダー、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、無機系有機系粒子、有機系潤滑剤、帯電防止剤、導電剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料及び顔料等が含有されてもよい。
離型層の形成は、本フィルムに離型剤組成物をコーティングすることにより設けられ、フィルム製膜工程内で行うインラインコーティング、或いは、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングのいずれを採用してもよい。
本フィルム上に離型層を設ける方法としては、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を挙げることができる。
離型層を形成する際の硬化条件に関しては、特に限定されるわけではなく、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、80℃以上で10秒以上、好ましくは100~200℃で3~40秒間、より好ましくは120~180℃で3~40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
なお、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、公知の装置、エネルギー源を用いることができる。
離型層の塗工量(乾燥後)は塗工性の面から、通常、0.005~5g/m、好ましくは0.005~1g/m、更に好ましくは0.005~0.1g/mの範囲である。塗工量(乾燥後)が0.005g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。
一方、5g/mを超えて厚塗りにする場合には離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
なお、塗布量は、塗布した時間あたりの液質量(乾燥前)、塗工液不揮発分濃度、塗布幅、延伸倍率、ライン速度等から計算で求める。
(用途)
本フィルムは、各種の離型用途に好適に用いることができる。
例えばドライフィルムレジスト(DFR)用、多層回路基板用、積層セラミックコンデンサーのセラミックグリーンシート製造用等の各種離型・工程用途として使用できる。本フィルムは、離型用途、工程用途では、例えば支持体として使用され、例えば支持体上にセラミックスラリーなどの様々な材料が塗布、積層などされるとよい。
とりわけ、本フィルムは、前述したように、平滑性に優れている一方、それでいてフィルムロール巻取り性が良好であるため、積層セラミックコンデンサーの製造工程において、セラミックグリーンシートの支持体として好適に用いることができる。
今後、電装化が進む自動車向け積層セラミックコンデンサーにおいては、とりわけ、当該コンデンサーの小型化・高容量化に伴い、使用するセラミックグリーンシートの薄膜化が進み、更なる生産性向上の観点から、ポリエステルフィルムロールの長尺化に伴い、フィルムロールの巻取り性良好であるため、切替頻度低減に伴う、生産性向上に貢献できる。とりわけ、本フィルムは、自動車向け積層セラミックコンデンサーに用いるセミックグリーンシート用支持体として好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<ポリエステルの製造>
(1)ポリエステルAの製造
ジメチルテレフタレート100質量部及びエチレングリコール65質量部を、攪拌装置、昇温装置及び留出液分離塔を備えたエステル交換反応槽に仕込み、150℃に加熱してジメチルテレフタレートを溶融させた。
次いで、得られるポリエステルに対する酢酸マグネシウムの添加量が0.09質量%となるように、酢酸マグネシウム四水塩のエチレングリコール溶液を添加した。
その後、常圧下で3時間かけて225℃まで昇温させ、更に225℃で1時間15分攪拌保持すると共にメタノールを留去しながらエステル交換反応を行ない、実質的にエステル交換反応を終了してポリエステル低重合体(オリゴマー)を得た。
次いで前記オリゴマーを留出管を備えた攪拌機付き重縮合反応槽へ移送した。
得られるポリエステル樹脂分に対する酢酸マグネシウムの添加量が0.09質量%となるように、酢酸マグネシウム四水塩のエチレングリコール溶液を、移送後のオリゴマーに添加した。
その後、得られるポリエステルに対するリン酸の添加量が0.017質量%となるように、熱安定剤としてリン酸のエチレングリコール溶液を添加した。
次いで、得られるポリエステルに対してチタン原子として4.5質量ppmとなるように、重縮合触媒としてテトラブチルチタネートのエチレングリコール溶液を、前記オリゴマーに添加した。
その後、101.3kPaから0.4kPaまで85分間で減圧し0.4kPaに保持するとともに、225℃から280℃まで2時間かけて昇温させ280℃で1.5時間保持して溶融重縮合反応を行い、極限粘度(IV)が0.63dL/gのポリエステルAを得た。
(2)ポリエステルBの製造
上記ポリエステルAで、平均1次粒径0.3μmのシリカ粒子を1.7質量%添加すること以外はポリエステルAと同様にして、極限粘度(IV)が0.63dL/gのポリエステルBを得た。
(3)ポリエステルCの製造
上記ポリエステルAで、平均1次粒径0.05μmのアルミナ粒子を0.75質量%添加すること以外はポリエステルAと同様にして、極限粘度(IV)が0.63dL/gのポリエステルCを得た。
[実施例1]
ポリエステルAを原料とし、ベント付き押出機に供給し、280℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を15℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して単層の無延伸フィルムを得た。
次いで、ロール周速差を利用して前記無延伸フィルム温度86℃で縦方向に、(MD方向)に3.5倍延伸した後、この縦延伸フィルムをテンターに導き、下記硬化樹脂組成物を延伸及び乾燥後の厚みが180nmになるように塗布した後、横方向(TD方向)に105℃で4.5倍延伸し、テンター内の熱処理(固定)ゾーン1、2、3、冷却ゾーン4において、それぞれ170℃、240℃、240℃、140℃で熱処理を行った後、フィルムを3インチのプラスチック芯にロール状に巻き上げ、厚さ31μmの、実施例1のポリエステルフィルムロールを得た。
(硬化樹脂層組成物1)
下記の(A)、(B)、(C1)及び(C2)を、質量比で(A)/(B)/(C1)/(C2)=10.0/85.6/0.9/3.5で混合し、硬化樹脂層組成物1を得た。
(A)架橋剤:ヘキサメトキシメチロールメラミン
(B)バインダー樹脂:下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5-ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4-ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(mol比)
(C1)粒子1:平均粒径300nmのシリカ粒子
(C2)粒子2(微小粒子):平均粒径45nmのシリカ粒子
[実施例2]
下記の硬化樹脂層組成物2を用い、厚さ225nmの硬化樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様にして製造し、厚さ31μmの、実施例2のポリエステルフィルムロールを得た。
(硬化樹脂層組成物2)
下記の(A)、(B)、(C1)及び(C2)を、質量比で(A)/(B)/(C1)/(C2)=10.0/86.4/0.7/2.9で混合し、硬化樹脂層組成物2を得た。
(A)架橋剤:ヘキサメトキシメチロールメラミン
(B)バインダー樹脂:下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5-ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4-ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(mol比)
(C1)粒子1:平均粒径450nmのシリカ粒子
(C2)粒子2(微小粒子):平均粒径45nmのシリカ粒子
[比較例1]
下記の硬化樹脂層組成物3を用い、厚さ110nmの硬化樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様に製造し、厚さ31μmの、比較例1のポリエステルフィルムロールを得た。
(硬化樹脂層組成物3)
下記の(A)、(B)、(C1)及び(C2)を、質量比で(A)/(B)/(C1)/(C2)=10.0/82.5/1.5/6.0で混合し、硬化樹脂層組成物3を得た。
(A)架橋剤:ヘキサメトキシメチロールメラミン
(B)バインダー樹脂:下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5-ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4-ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(mol比)
(C1)粒子1:平均粒径450nmのシリカ粒子
(C2)粒子2(微小粒子):平均粒径45nmのシリカ粒子
[比較例2]
ポリエステルAを87%、ポリエステルCを13%の質量割合でブレンドした原料を表面層Aの原料とし、ポリエステルAが100%の原料を中間層(ベース層B)の原料とし、ポリエステルAを80%、ポリエステルBを20%の質量割合でブレンドした原料を表面層Cの原料としベント付き押出機に供給し、280℃で溶融押出した後、A層、C層を最外層(表層)、B層を中間層とする3種三層(A/B/C)の層構成で、押出条件で厚み構成比がA/B/C=2/27/2となるよう共押出し静電印加密着法を用いて表面温度を15℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して無延伸フィルムを得た。
次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度86℃で縦方向(MD方向)に3.5倍延伸した後、この縦延伸フィルムをテンターに導き、横方向(TD方向)に105℃で4.5倍延伸し、テンター内の熱処理(固定)ゾーン1、2、3、冷却ゾーン4において、それぞれ170℃、240℃、240℃、140℃で熱処理を行った後、フィルムを3インチのプラスチック芯にロール状に巻き上げ、厚さ31μmの比較例2のポリエステルフィルムロールを得た。
得られた各フィルムロールの特性を下記表1に示す。
<測定及び評価方法>
実施例及び比較例で用いた測定法及び評価方法を次のとおりである。測定及び評価結果は、表1にまとめた。
(1)極限粘度(IV)
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mLを加えて溶解させ、粘度(IV)測定装置(離合社製「VMS-022UPC・F10」)を用いて、30℃で測定した。
(2)粒子の平均粒径及び粒度分布
走査型電子顕微鏡(HITACHI製、「S3400N」)を用いて、実施例及び比較例のポリエステルフィルムロールの粉体を観察した。
得られた画像データから粒子1個の大きさを測定し、10点の平均値を平均1次粒径とした。
また、粒子にフェノール/テトラクロロエタン=2/3の混合溶剤を添加した固形分0.03g/mLの分散液を調製し、当該分散液について、マイクロトラックベル社製「MT3300EXII」を用いてレーザー回折散乱法により、累積個数が10%となる粒子径D10、累積個数が50%となる粒子径D50及び累積個数が90%となる粒子径D90を測定し、(D90-D10)/D50を算出した。
(3)平均表面粗さ(Sa)、最大山高さ(Sp)及び表面高さ分布尖り(Sku)
表面粗さ測定器(アメテック株式会社、「NewView」(登録商標))を用いて実施例及び比較例のポリエステルフィルムロールの各表面を測定し、得られた表面のプロファイル曲線より、平均表面粗さSa値、最大山高さSp値、表面高さ分布尖りSku値を求めた。
(4)空気もれ指数
デジベック平滑度試験機(東洋精機株式会社製、「DB-2」)を使用し、JIS P8119に準拠して、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で測定した。加圧装置の圧力は100kPa、真空容器は容積38mlの容器を使用し、1mLの空気が流れる時間、すなわち容器内の圧力が50.7kPaから48.0kPaに変化するまでの時間(秒)を計測し、得られた秒数の10倍を空気漏れ指数とした。試験フィルムのサンプルサイズは70mm四方として、試験フィルムの表裏が重なるように20枚を積層し、試験用積層フィルムとした。
試験用積層フィルムの中央に直径5mmの穴を開けて、前述の通り、空気漏れ指数を測定した。この空気漏れ指数の値が大きいほど、フィルム同士の隙間から空気が漏れるのに時間を要するので、フィルム同士がより密に接していることを示しており、ロール状フィルムにした時にシワ発生のリスクが大きいこと示す。
(5)粒子の脱落試験
実施例及び比較例のポリエステルフィルムロールの表面(硬化樹脂層又はA層の表面)に対し、ベンコット(旭化成繊維株式会社製、「M-3II」)をラビングテスター(大平理化工業株式会社製)に取り付け、アーム荷重680gで5往復させ、脱落試験を行った。脱落試験前及び脱落試験後のポリエステルフィルムロール表面について、XRFによりSi元素量の定量評価を行い、得られたSi元素量から下記計算式より粒子の残存量(%)を求め、下記判定基準により評価した。
(粒子の残存量の計算式)
(粒子の残存量(%))={(脱落試験前のSi元素量)-(脱落試験後のSi元素量)}/(脱落試験前のSi元素量)×100
(判定基準)
A:粒子の残存量が90%以上。
B:粒子の残存量が90%未満。
Figure 2022146448000005
実施例1及び実施例2のポリエステルフィルムロールは、高い平滑性を有するとともに、空気漏れ指数が良好であるため、フィルム巻取り性が良好であり、なおかつ粒子の脱落も発生しにくいことが分かった。
比較例1は高い平滑性と良好な空気漏れ指数を示すが、粒子が脱落しやすい傾向が確認された。また、実施例1の結果により、硬化樹脂層表面が従来にはなかった、特徴ある凹凸形状(低Saかつ高Sku)を形成することがわかった。
一方、比較例2はフィルム表面の凹凸形状が異なり、高Saかつ低Skuの傾向を示した。
空気漏れ指数の数値より、比較例2はより多く時間を要していることから、フィルム間の空気を逃がしにくく、ロール状フィルムにした時にシワ発生のリスクが大きいことが推察される。
更に、表面層Aがアンチモン化合物及び/又はチタン化合物を含み、該アンチモン化合物の含有量が100ppm以下であることが好ましいこと、表面層Aを構成するポリエステルの極限粘度(IV)が0.50dL/g以上であることが好ましいことが分かった。
本発明のポリエステルフィルムロールは、高い平滑性を有するとともに、空気もれ指数が良好であり、シワ発生が極力なく、ロール巻き取り性が改善されていることから、ポリエステルフィルムロールの生産性向上に伴い、フィルムの更なる長尺化が可能である。
例えば、積層セラミックコンデンサーの製造工程において、セラミックグリーンシートの支持体として用いれば、均一な薄膜の誘電体層を形成することができ、かつ、長尺化によるポリエステルフィルムロールの切替頻度の低減に伴う、生産性向上に貢献できる。とりわけ、自動車向け積層セラミックコンデンサーに用いるセミックグリーンシート用支持体として好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. ポリエステルフィルム及び硬化樹脂層をこの順に有するフィルムを巻き取ってなるポリエステルフィルムロールであって、
    前記硬化樹脂層が(A)架橋剤、(B)バインダー樹脂及び(C1)粒子を含有する硬化樹脂層組成物の硬化物であり、
    前記(C1)粒子が、平均粒径が100nm以上の粒子であり、
    前記(C1)粒子の平均粒径が、前記硬化樹脂層の厚みの3倍以下であり、
    前記フィルムが、以下の(1)~(3)を同時に満足するポリエステルフィルムロール。
    (1)前記硬化樹脂層表面の平均表面粗さ(Sa)が1nm~10nmであること。
    (2)前記硬化樹脂層表面の表面高さ分布尖り(Sku)が50以上であること。
    (3)前記ポリエステルフィルムの前記硬化樹脂層と接する面と反対側の表面の平均表面粗さ(Sa)が1nm~10nmであること。
  2. 前記(B)バインダー樹脂がポリエステル樹脂である、請求項1に記載のポリエステルフィルムロール。
  3. 前記硬化樹脂層の厚みが50nm以上500nm以下である、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルムロール。
  4. 前記硬化樹脂層が、更に平均粒径が100nm未満の粒子である(C2)微小粒子を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムロール。
  5. 前記ポリエステルフィルムを構成するポリエステルの極限粘度(IV)が、0.50dL/g以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムロール。
  6. 前記ポリエステルフィルムは、チタン化合物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムロール。
  7. 前記ポリエステルフィルムの前記硬化樹脂層と接する面と反対側の表面が、実質的に粒子を含有しない、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムロール。
  8. 前記ポリエステルフィルムの前記硬化樹脂層と接する面と反対側の表面に離型層を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムロール。
  9. 積層セラミックコンデンサーの製造工程においてセラミックグリーンシートの支持体として用いられる、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムロール。
  10. 自動車用セラミックコンデンサーの製造工程においてセラミックグリーンシートの支持体として用いられる、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムロール。
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