JP6957856B2 - ドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムに関する。
近年、ポリエステルフィルムに種々の機能を持たせた機能性フィルムの開発が進められている。
例えば、色調および隠蔽性に優れ、低コストの白色ポリエステルフィルムであって、例えば磁気カード用または飲料缶被覆用として好適なフィルムとして、アナターゼ型の二酸化チタンとルチル型の二酸化チタンを含有する白色ポリエステルフィルムであって、アナターゼ型の二酸化チタンとルチル型の二酸化チタンの重量比が1:9〜9:1であり、白色度が80以上の白色ポリエステルフィルムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば、配向ポリエステルフィルムが本来持っている外観、機械的性質、化学的性質を損なうことなく、難燃性、薄膜性、耐熱性、そして印字性を達成したフィルムを得るために、白色ポリエステルフィルムを、特定構造の化学式で表される平均分子量1170以上のリン含有化合物、および白色顔料を含有するポリエステルフィルムであり、ポリエステルフィルム中のリン含有量が0.60〜2.00重量%であり、フィルム厚みT[μm]と、マクベス濃度計により測定される光学濃度ODとの比(T/OD)が30〜200であり、フィルムの融点が245℃以上であり、フィルム製造工程内で設けられた、ウレタン成分を含有する塗布層を有する構造とすることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
更に、例えば、巻取り性に優れ、回路欠陥の発生をより確実に防止することができるとともに、解像度をより向上させることができるドライフィルムレジスト用積層ポリエステルフィルムを得るために、当該フィルムを、長径が10μm以上の金属含有凝集体の個数が5個/10cm以下であり、少なくとも一方の最表層に平均粒径が0.01〜3.0μmの粒子を含有し、表面の中心線平均粗さRaが0.002〜0.030μmであるとともに最大高さRtが0.05〜1.0μmとなる構造とすることが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平9−165501号公報 特開2014−84383号公報 特開2005−77646号公報
特許文献3に示されるように、近年、印刷配線回路板の製造等において、ドライフィルムレジスト(以下、DFRと称する)が広く用いられている。DFRは、通常、支持フィルム/フォトレジスト層/保護フィルムで構成される。支持フィルムとしては、機械的性質、光学的性質、耐薬品性、耐熱性、寸法安定性、平面性等に優れたポリエステルフィルムが主に使用されている。フォトレジスト層は感光性樹脂からなる層であり、また、保護フィルムとしてはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムやポリエステルフィルムが用いられている。
DFRの使用方法を簡単に説明すると、まず保護フィルムを剥し、露出したフォトレジスト層を基盤に貼り付けた導電性基材の上に密着させる。導電性基材は一般的には銅板である。次に、支持フィルム側に、回路が印刷されたガラス板またはフィルム(フォトマスクと称する)を密着させ、当該フォトマスク側から光を照射する。この照射光には一般的に紫外線が用いられる。ガラス板に印刷された回路の画像で透明な部分を光が通り、フォトレジスト層の感光性樹脂はかかる露光が行われた部分のみ反応する。次いでガラス板と支持体層を取り除き、フォトレジスト層の未露光部分を適当な溶剤等を用いて除去する。さらに、酸等を用いてエッチングを行えば、フォトレジスト層が除去されて露出した導電性基材部分が除去される。しかる後、露光、反応したフォトレジスト層を適当な方法で除去すれば、基盤上に導電性基材層が回路として形成される。
近年は、電子機器の小型化により形成する回路が極めて複雑になり、線が細く、その間隔も狭くなってきており、画像形成の再現性、解像度が高度であることが必要になった。このため、支持体として用いられるポリエステルフィルムに対しても、高度な品質が要求されるようになった。支持体として用いられるポリエステルフィルムは、表面が平坦で透明性が高く、フィルムのヘーズ値が低いことが必要である。フォトレジストフィルムにおいて、フォトレジスト層を露光する場合、前述のとおり光は支持体層を通ることになる。したがって、支持体の透明性が低いとフォトレジスト層が十分に露光されず、また、フィルムのヘーズ値が高く、フィルム表面粗さが粗いとフィルム表面および内部の光の散乱により解像度が悪化する等の問題が生ずることがあった。
表面が平坦で透明性が高く、フィルムのヘーズ値が低いポリエステルフィルムは、フィルムの製造工程、巻き取り工程等での取り扱い性が悪く、かつ帯電も生じ易かった。ポリエステルフィルム表面にフォトレジスト層を形成させてDFRを製造する際に、このような帯電を生じたフィルムロールを使用すると静電気の作用によってごみやほこりなどの微少な異物を引きつけるため、クリーンルーム内においても異物の付着が発生し、特にロールからの巻きだしの際には、剥離による激しい帯電が生じ、異物の付着が一層大きくなった。また、帯電箇所のレジスト密着性が強くなり、露光後の支持フィルム剥離に支障をきたす等の問題が生じることがあった。
こうしたフィルムの帯電性及び取扱い性を良好にするため、または、DFR自身の取り扱い性、巻き特性を良好とするため、通常、ポリエステルフィルム中に粒子を含有させ、表面に微細な突起を形成させる方法が用いられている。しかしながら、粒子添加による突起形成を行うと、突起による紫外線の散乱やレジスト表面に凹みを生じ、極細線の回路形成に解像性の低下や欠陥を及ぼしたり、フィルムの透明性を低下させたりすることになり易かった。
このように、透明性、帯電防止性、滑り性、平坦性を同時に満足する高解像度用DFR用フィルムを得る方法は未だ見いだされていない。
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、フィルム表面に帯電した静電気の放電を防止したり、基材ポリエステルフィルムの表面にごみやほこりなどが引きつけられ付着することを防止して、異物付着によるパターン不整を防止し、品質の安定化を図り、かつ平坦なフィルムをロール状に巻きとる際の作業性、易滑性等の加工適正に優れ、さらには回収ポリエステル樹脂を使用しても透明性を阻害しない微粒子を含有させたフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記の目的を達成すべく種々検討を重ねた結果、特定の粒子を使用し、かつ特定の構成からなるフィルムにすることで、上記課題が容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
<1> 平均粒径が0.03〜0.15μmの粒子を含み、かつ、平均粒径0.10μm以上の粒子の含有量が430ppm以下であり、回収樹脂の含有量が40.0重量%以下の基材ポリエステルフィルムと、
前記基材ポリエステルフィルムの片面に、平均粒径が0.05μm超0.15μm未満の粒子を含む塗布層と、
を有するドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムである。
<2> 前記塗布層が、更に、帯電防止剤、及びワックスを含む<1>に記載のドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムである。
<3> 前記基材ポリエステルフィルムが2層以上の積層フィルムであり、前記積層フィルムの表層の片方又は両方が、前記平均粒径が0.03〜0.15μmの粒子を含む<1>または<2>に記載のドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムである。
<4> 前記基材ポリエステルフィルムの前記塗布層が備えられている表面と反対の表面に、前記平均粒径が0.03〜0.15μmの粒子を含む表層を有する<3>に記載のドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムである。
<5> 前記基材ポリエステルフィルム中の前記回収樹脂の含有量が3.0重量%以上である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムである。
<6> 前記回収樹脂が、回収ポリエステル樹脂を含む<1>〜<5>のいずれか1つに記載のドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムである。
本発明によれば、透明性、帯電防止性、滑り性、平坦性を同時に満足する高解像度用DFRに好適なドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムを提供することができる。
<ドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルム>
本発明のドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムは、平均粒径が0.03〜0.15μmの粒子を含み、かつ、平均粒径0.10μm以上の粒子の含有量が430ppm以下であり、回収樹脂の含有量が40.0重量%以下の基材ポリエステルフィルムと、前記基材ポリエステルフィルムの片面に、平均粒径が0.05μm超0.15μm未満の粒子を含む塗布層とを有する。
基材ポリエステルフィルムを上記構成とすることで、高解像性が必要なドライフィルムレジストの支持体として、透明性が高く、表面粗さが極めて平坦な基材ポリエステルフィルムとすることができる。また、当該基材ポリエステルフィルム表面に帯電防止易滑性を有する塗布層を設けることにより、フィルム表面に帯電した静電気の放電を防止し、基材ポリエステルフィルムの表面にごみやほこりなどが引きつけられ付着するのを防止しすることができる。更には、異物付着によるパターン不整を防止し、品質の安定化を図り、かつ平坦なフィルムをロール状に巻きとる際の作業性、易滑性等の加工適正に優れることから、本発明のドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムの工業的価値は非常に大きい。
以下、本発明のドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルム(以下、「本発明のDFR用フィルム」と称することがある)の詳細について説明する。
〔基材ポリエステルフィルム〕
本発明のDFR用フィルムは、平均粒径が0.03〜0.15μmの粒子を含み、かつ、平均粒径0.10μm以上の粒子の含有量が430ppm以下であり、回収樹脂の含有量が40.0重量%以下の基材ポリエステルフィルム(以下、単に「基材フィルム」と称することがある)を有する。
本発明における基材ポリエステルフィルムに用いる樹脂としては、特に限定されるものではなく、芳香族ジカルボン酸またはそのエステルとグリコールとを主たる出発原料として得られるポリエステルを主とするものであり、繰り返し構造単位の60%以上がエチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレート単位を有するポリエステルを指す。そして、上記の範囲を逸脱しない条件であれば、他の第三成分を含有していてもよい。
例えば、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂と相溶性のある樹脂の混合が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸成分の例としては、テレフタル酸およびテレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸以外に、例えばイソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸等)等を用いることができる。特に、テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルを用いることが好ましい。
グリコール成分の例としては、エチレングリコール以外に、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の一種または二種以上を用いることができる。特に、エチレングリコールを用いることが好ましい。
本発明で用いる基材ポリエステルフィルムは、公知の方法で製造することができる。例えば、二軸延伸ポリエステルフィルムは、ポリエステルレジンを乾燥後、押出し機にて溶融し、ダイ(例えばT−ダイ等)から回転冷却ドラム上に押出し、急冷して未延伸フィルムを製造し、次いで当該未延伸フィルムを縦方向および横方向に延伸し、必要に応じて熱固定することによって製造することができる。基材ポリエステルフィルムの厚さは10〜25μmの範囲であり、10〜18μmの範囲が好ましい。
本発明における基材ポリエステルフィルムは、全ての層が口金から共溶融押出される共押出法により押し出され、その目的を満たす限り、単層でも2層でも3層以上の多層であってもよい。
本発明のDFR用フィルムは、基材ポリエステルフィルムの片方の面のみ帯電防止易滑性の塗布層を有するが、フォトレジスト層形成面とは反対の面に塗布層を有することが好ましい。
既述のように、DFRは、通常、支持フィルム(本発明のDFR用フィルム)/フォトレジスト層/保護フィルムの積層構造を有する。DFRがロール状に巻き取られる際には、DFRの下面(本発明のDFR用フィルム)が上面(保護フィルム)と接することになる。よって、このロール状のDFRが巻き戻される際に発生する剥離帯電を防止するには、保護フィルムと接する面に帯電防止易滑性を有するDFR用フィルム表面、すなわち、塗布層表面がある方が、帯電防止易滑性の効果は顕著である。また、レジスト面に塗布層がないことで、レジストと支持フィルム間の密着性が変わりにくく、レジストから支持フィルムを取り除く際に剥がれ不良が発生しにくくなる。
本発明では、基材ポリエステルフィルムに、平均粒径が0.03〜0.15μmの粒子を含むため、本発明のDFR用フィルム表面に適度な粗さを付与することができる。基材ポリエステルフィルムが当該粒子を含まないと、塗布層を付与する前工程までにフィルム表面に多数の擦り傷が入ってしまう。支持体フィルムに傷があると、レジストにUV光を露光・硬化させる時にその傷部で光散乱がおこり高解像度のパターンが得られない。
基材ポリエステルフィルムが含有する粒子は、平均粒径が0.03〜0.15μmである粒子であれば、特に制限されず、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、微細シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、イオン交換樹脂、架橋高分子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、およびポリエステル重合時に生成させる析出粒子を挙げることができる。
かかる粒子の中でも、特に高度な透明性と傷防止性を得る観点から、アルミナ粒子または微細シリカ粒子が好ましく用いられる。これらの粒子は、ポリエステルとの親和性や、屈折率の点で好ましい特性を有するため、DFR用フィルムのヘーズ値を高めずに擦り傷の防止と滑り性を向上することができる。基材フィルムが含有する粒子は一種類でもよいし、二種類以上でもよいし、同種の粒子で粒径の異なるものを同時に用いてもよい。
かかる粒子の平均粒径は、0.03〜0.15μmであり、かつ、平均粒径0.10μm以上の粒子の含有量が430ppm以下である。
基材フィルムが含有する粒子の平均粒径は、遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製SA−CP3型)によって測定することができる。
基材フィルムが含有する粒子の平均粒径は、好ましくは0.12μm以下、さらに好ましくは0.10μm以下、最も好ましくは0.08μm以下である。平均粒径が0.15μmを超えると、基材ポリエステルフィルムが粒子を少量含有してもDFR用フィルムのヘーズ値が向上してしまい、DFR用フィルムの透過性が低下する。また、平均粒径0.10μm以上の粒子の基材フィルム中の含有量が430ppmを超える場合も、DFR用フィルムのヘーズ値が向上してしまい、DFR用フィルムの透過性が低下する。平均粒径0.10μm以上の粒子の基材フィルム中の含有量は、330ppm以下であることが好ましく、230ppm以下であることがより好ましく、200ppm以下であることが更に好ましい。
〔回収樹脂〕
基材ポリエステルフィルムは、回収樹脂の含有量が、40.0重量%以下である。
DFR用途のフィルムはヘーズ値が低く、高透明なフィルムが必要なことから、従来は、回収ポリエステルを一切使用できず、製造コストが非常に高くなった。経済性を優先し回収ポリエステル樹脂を使用すると、回収ポリエステル中に含有される粒子によりフィルムのヘーズ値が高くなり易かった。
これに対し、本発明のDFR用フィルムは透明性に優れることから、基材ポリエステルフィルム中に回収樹脂を40.0重量%まで含むことができ、DFR用フィルムの製造コストを大幅に下げることができる。
ここで、回収樹脂とは、樹脂フィルム製造時に、製品から切り離されて生じる小片である。通常、樹脂フィルムが、ロールで搬送されながら延伸成形されるときに、フィルムの長さ方向と直行する方向(いわゆる幅方向ないし横方向と称される方向)の端部(耳部と称されることがある)は切断され、製品から分離される。かかるフィルム端部を回収した樹脂を回収樹脂という。
樹脂の種類は、特に制限されず、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることができる。中でも、本発明の効果を損ねにくいことから、回収樹脂は、回収ポリエステル樹脂を含むことが好ましく、回収樹脂が回収ポリエステル樹脂であることがより好ましい。
回収ポリエステル樹脂とは、より具体的には、未使用の樹脂(バージンレジン)だけで得られたポリエステルフィルムの製膜時に、フィルム幅方向の端部(耳部)を切断し、分離されたフィルム片を粉砕化したフレーク化物、スリット耳を粉砕化したフレーク化物、又は、フレーク化物を押出機で溶融押出したペレット化物を指す。
本発明のDFR用フィルムは、基材フィルムが含有する粒子の平均粒径が0.03〜0.15μmと、微細でありヘーズ値への寄与が小さいことから、本発明のDFR用フィルムの製造時に分離されたフィルム片も、回収ポリエステル樹脂として使用することができる。
DFR用フィルムの製造コストを下げる観点から、本発明における基材ポリエステルフィルム中の回収樹脂の含有量は3.0重量%以上であることが好ましい。基材ポリエステルフィルム中の回収ポリエステル樹脂の含有量が3.0重量%以上であることで、経済的な寄与が大きく、40.0重量%以下であることで、DFR用フィルムの透過性が損なわれにくく、DFR用フィルムのヘーズ値の向上を抑制し、耐引裂き性も損なわれにくい。
基材ポリエステルフィルム中の回収ポリエステル樹脂の含有量は、DFR用フィルムの製造コストを下げる観点から、5.0重量%以上であることがより好ましく、7.0重量%以上であることが更に好ましく、15.0重量%以上であることがより更に好ましく、18.0重量%以上であることがより更に好ましい。また、基材ポリエステルフィルム中の回収ポリエステル樹脂の含有量は、35.0重量%以下であることが好ましく、30.0重量%以下であることがより好ましい。
〔基材フィルムの層構成〕
基材フィルムは、単層であってもよいし、粒子を含むポリエステル樹脂層(粒子含有樹脂層と称する)と粒子を含まないポリエステル樹脂層(粒子非含有樹脂層と称する)との積層体であってもよいし、粒子濃度の異なる複数の粒子含有樹脂層の積層体であってもよい。
基材フィルムの滑り性を高くし、かつ高い透過性も向上する観点から、基材フィルムは積層体であることが好ましい。
基材フィルムを3層以上の積層体とする場合は、表面層の片方又は両方を粒子濃度の高い粒子含有樹脂層(A層と称する)とし、中間層は、A層よりも粒子濃度が低いか粒子を含まない層(B層と称する)ことが好ましい。また、基材フィルムを2層の積層体とする場合は、A層とB層との積層体とすることが好ましい。このようにA層が表面層となることで、基材フィルムの少なくとも一方の表面は滑り性が良くなり、更に、粒子濃度が低いか粒子を含まない層(B層)の存在により、基材フィルムの透過性が向上し、ヘーズ値を下げることができる。
基材ポリエステルフィルムが上記積層構造を有するとき、各層の厚さは特に制限されず、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。また、各層の合計厚さが、基材ポリエステルフィルムの好ましい厚さの範囲内であることが好ましい。
基材フィルムに優れた滑り性を与えつつ、透過性をより向上する観点からは、B層の層厚をA層の層厚(A層が基材フィルムの両面にある場合は、両A層の全層厚)よりも大きいことが好ましい。具体的には、A層が0.5〜5μmであることが好ましく、0.7〜4μmであることがより好ましく、1〜3μmであることが更に好ましい。また、B層が10〜17μmであることが好ましく、12〜16μmであることがより好ましく、13〜15μmであることが更に好ましい。
また、B層の層厚は、A層の層厚(A層が2層あるときは全2層の層厚)の1.5倍〜8倍であることが好ましく、2倍〜7倍であることがより好ましい。
基材フィルムの好ましい積層構造として、A層/B層の2種2層構造とA層/B層/A層の2種3層構造を例に説明したが、基材フィルムは、中間層の1部にA層を含んでいてもよいし、B層が表面層となってもよい。例えば、A層/B層/A層/B層/A層のような2種5層構造としてもよいし、B層/A層/B層のような2種3層構造としてもよい。更に、A層とB層とは交互に積層しなくてもよく、例えば、A層/B層/B層/A層としたり、A層/B層/B層/A層/B層/A層としてもよい。
基材ポリエステルフィルムは、また、2層以上の積層フィルムであり、積層フィルムの表層の片方又は両方が、平均粒径が0.03〜0.15μmの粒子を含むことが好ましい。
積層フィルムの表層の片方が、平均粒径が0.03〜0.15μmの粒子を含む積層構造として、例えば、A層/B層の2種2層構造が挙げられる。また、積層フィルムの表層の両方が、平均粒径が0.03〜0.15μmの粒子を含む積層構造として、例えば、A層/B層/A層の2種3層構造が挙げられる。
なお、本発明において、塗布層は、基材フィルムの片面にのみ有し、塗布層は、基材フィルムのフォトレジスト層形成側とは反対側に備えられることが好ましいことから、基材ポリエステルフィルムの塗布層が備えられている表面と反対の表面に、平均粒径が0.03〜0.15μmの粒子を含む表層を有することが好ましい。
本発明の効果は、粒子を含むポリエステル樹脂層が基材フィルムの表層となることで、発現し易くなることから、粒子含有樹脂層(A)が表層となるA層/B層、A層/B層/A層、A層/B層/B層/A層等の積層構成であることが好ましい。中でも、A層/B層の2種2層構成、及び、A層/B層/A層の2種3層構成が好ましい。
本発明のDFR用フィルムのフォトレジスト層形成側の表面の表面粗さRaは、0.002〜0.009μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.002〜0.005μmであり、さらに好ましくは0.002〜0.003μmの範囲である。表面粗さRaが0.009μm以下であることで、ポリエステルフィルムの透明性を損ねず、かつDFR用フィルム表面の凹凸での光散乱が大きくなりにくいため、紫外線(UV)の露光量の低下を抑制して、解像度が低下しにくい。
既述のように、本発明において、塗布層は、基材フィルムの片面にのみ有し、塗布層は、基材フィルムのフォトレジスト層形成側とは反対側に備えられることが好ましいことから、「DFR用フィルムのフォトレジスト層形成側の表面」は、基材フィルム表面であることが好ましい。後述するRtについても同様である。
また、フォトレジスト層形成側の表面の最大表面粗さRtは、0.010〜0.150μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.010〜0.100μmであり、さらに好ましくは0.010〜0.070μmであり、最も好ましくは0.010〜0.050μmの範囲である。最大表面粗さが0.150μm以下であることで、フォトレジスト層形成側のDFR用フィルム表面に生ずる凹みが大きくなりにくく、酸エッチング処理によりレジストを除去する際に、凹み部分がラインエッジに存在すると、エッチング処理度に影響を及ぼしてラインの一部欠落を起こす問題が生ずる。
一方、表面粗さRaが0.002μm以上、また、最大表面粗さRtが0.010μm以上であることで、工程適正、特に製膜工程でDFR用フィルム表面に傷が発生しにくい。更に、当該傷によって、当該表面に備えられたフォトレジスト層表面に欠陥が生じにくく、また、光散乱が生じにくくなるため、フォトレジスト層の厚みが薄い高解像度のDFRにおいても、解像性に影響を及ぼしにくい。
本発明のDFR用フィルムのヘーズ値は、0.8%以下が好ましく、0.6%以下がより好ましく、0.4%以下がさらに好ましい。DFR用フィルムのヘーズ値が0.8%以下であることで、本発明のDFR用フィルムを高解像のDFRに用いた場合でも、紫外線の露光量が不足しにくい。そのため、所望の回路の欠陥を招きにくく、解像度の低下を抑制することができる。
本発明において、「帯電防止性」とは、表面の固有抵抗が1.0×1013Ω/□以下であることを指し、好ましくは1.0×10〜1.0×1011Ω/□の範囲が良い。DFR用フィルムの表面固有抵抗の値が1.0×1013Ω/□以下であることで、DFRがロール状に巻き取られる場合にも、剥離帯電を制御し易くなる。本発明のDFR用フィルムの基材フィルムは、特定の平均粒径の範囲で粒子を含有するため、表面粗さが小さく、平坦なフィルムでありながら、上記表面固有抵抗の範囲を実現することができる。よって、高解像性を要する薄層のDFRに、本発明のDFR用フィルムを用いても、帯電しにくく、剥離帯電による火花放電を抑制することができる。また、基材ポリエステルフィルムの製膜工程及びフォトレジスト層の形成工程で、帯電によるゴミ、埃の付着を防ぐことができ、フォトレジスト層の形成欠陥、UV露光後の異物欠陥を予防することができる。特に高解像性を要求されるDFRでは、小さな、僅かな異物でも回路の欠陥となる恐れがあるため、それを抑制することができる本発明のDFR用フィルムは、高解像度用のDFRの製造に適している。
〔塗布層〕
本発明のDFR用フィルムは、基材ポリエステルフィルムの片面に、平均粒径が0.05μm超0.15μm未満の粒子を含む塗布層を有する。塗布層は、更に、帯電防止剤、ワックス、バインダー、架橋剤等の添加剤を更に含んでいてもよい。
塗布層が、平均粒径が0.05μm以下の粒子のみを含むと、DFR用フィルムの滑り性及び巻き性が低下し、平均粒径が0.15μm以上の粒子のみ含むと、塗布層から粒子が脱落し易くなり、また、塗布層が削れ易くなる。
なお、塗布層が含有する粒子の平均粒径は、TEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製H7650、加速電圧100kV)を使用して塗布層を観察し、粒子10個の粒径の平均値から算出することができる。
塗布層は、平均粒径が0.05μm超0.15μm未満の粒子を含んでいれば、更に、平均粒径が0.05μm以下となる粒子を含んでいてもよいし、平均粒径が0.15μm以上となる粒子を含んでいてもよい。
塗布層は、粒子の含有量を抑えてDFR用フィルムの透明性を維持し、滑りをより効果的に改善し、かつ抱え込み空気をより逃がし易くする観点から、平均粒径が0.05μm超0.15μm未満の範囲で粒径の異なる2種以上の粒子を含むか、平均粒径が0.05μm超0.15μm未満の粒子と他の平均粒径の粒子を含むことが好ましい。中でも、上記観点から、平均粒径が0.05μm超0.15μm未満の粒子と、平均粒径が0.05μm以下となる粒子とを含むことが好ましい。
塗布層に含まれる粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子を挙げることができるが、これらの中でも、特に高度な透明性を得るために、架橋高分子粒子またはシリカ粒子が好ましく用いられる。
なお、本発明においては、ポリエステルフィルムへの密着性等の向上のために、塗布層に、バインダーとしてポリエステル類、ポリウレタン類、アクリル樹脂類、ポリビニル樹脂類、ポリオレフィン類などの熱可塑性樹脂および/または熱硬化性アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などを含有させてもよい。
塗布層が含み得る帯電防止剤としては、帯電防止樹脂や導電性樹脂等任意の帯電防止能を持つ高分子等から適宜選択することができる。この帯電防止剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜3級アミノ基等のカチオン性官能基を有するカチオン性帯電防止剤、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性官能基を有するアニオン系帯電防止剤、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性帯電防止剤、ポリオール系、ポリグリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性官能基を有する帯電防止剤等の各種高分子型帯電防止剤が挙げられ、また、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有し、電離放射線により重合可能なモノマーやオリゴノマー、例えば、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートモノマー、それらの第4級化合物等の重合性帯電防止剤、さらにポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性ポリマー等も使用できる。これらの中でも、第4級アンモニウム塩型カチオン性官能基を有する高分子型帯電防止剤が好ましく、不飽和炭化水素基と飽和炭化水素基を含む第4級アンモニウムハロゲン化物単量体由来の高分子化合物がより好ましく、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドがより好ましい。
塗布層は、DFR用フィルムに易滑性を付与するため、帯電防止剤と同時にワックスを含有することが好ましい。
塗布層が含み得るワックスとしては、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックスなどの天然ワックスや、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックスなどの合成ワックスなどが挙げられる。なかでもポリオレフィン系化合物が好ましい。具体的には、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の不飽和炭化水素の重合体、または共重合体からなるポリオレフィン系化合物等の化合物を基本骨格として有する化合物を溶解または分散して用いられ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体等を例示することができる。より具体的には末端に活性水素基を有する酸価10〜50のポリオレフィン、さらには酸化ポリエチレンまたは酸化ポリプロピレンを用いることが好ましい。
塗布層の塗膜強度を向上し、DFR用フィルムに耐摩耗性を付与するため、塗布層は、更に、架橋剤を含有することが好ましい。
塗布層が含み得る架橋剤としては、メラミン化合物、メラミン樹脂等の公知の架橋剤を用いることができる。中でも、ヘキサメトキシメチロールメラミンを含有することが好ましい。
塗布層が含有する粒子と、塗布層が更に含み得る帯電防止剤、ワックス、バインダー、及び架橋剤の重量比は、その選択される化合物よって最適値が異なるため特に規定するものではないが、下記の層特性を満足する量比であることが好ましい。
塗布層中の粒子の含有量は1重量%以上、好ましくは2〜10重量%であることが好ましい。塗布層中の粒子の含有量が1重量%以上であることで、DFR用フィルムの易滑化及び巻き改良効果が得られ易く、10重量%以下であることで、粒子が凝集しにくくなり、DFR用フィルムの光線透過を阻害しにくく、回路欠陥を生じにくい。
塗布層中の帯電防止剤の含有量は、通常5重量%以上、好ましくは10〜90重量%の範囲であり、帯電防止剤がイオン性官能基を有する化合物の重合体である場合は、15〜90重量%、さらには20〜90重量%の範囲とすることが好ましい。帯電防止剤の含有量が上記範囲であることで、十分な表面固有抵抗を達成することができ、DFR用フィルムが静電接着しにくくなる。
また、塗布層中のワックスの含有量は1重量%以上、好ましくは2〜10重量%の範囲であり、ワックスの含有量が上記範囲であることで、十分な易滑効果を達成し易く、ポリエステルフィルム基材との密着性を阻害しにくい。
塗布層の形成方法は特に制限されないが、例えば、粒子と、塗布層が更に含み得る帯電防止剤、ワックス、バインダー、架橋剤等を、溶媒に分散ないし溶解して塗布層用溶液を調製し、基材ポリエステルフィルムの片面に付与することで形成することができる。
かかる塗布層用溶液を、基材ポリエステルフィルムの片面に付与し、DFR用フィルムの静摩擦係数および動摩擦係数を0.7以下にすることが好ましく、0.5以下にすることがより好ましく、0.4以下にすることがさらに好ましい。
静摩擦係数および動摩擦係数を上記範囲内にすることにより、ポリエステルフィルムをロール状に巻き取る際のシワや端面のズレを防止でき、DFRをロールに巻き取る際の巻き取り性も良好となる。
塗布層用溶液は、水性塗液(水を媒体とする水溶性樹脂または水分散性樹脂)として、基材ポリエステルフィルムの片面に塗布して形成することが好ましいが、少量の有機溶剤を含有した水性塗液を塗布して形成することも可能である。
この有機溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、エチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルエタノールアミン等のアミン類等を例示することができる。これらは単独、もしくは複数を組み合わせて用いることができる。水性塗液に、必要に応じてこれらの有機溶剤を適宜選択し、含有させることで、塗液の安定性、塗布性あるいは塗膜特性を助けることができる。
本発明において、塗布層用溶液の固形分濃度は特に制約はないが、通常30重量%以下であり、好ましくは0.2〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜15重量%、特に好ましくは1〜10重量%の範囲である。塗布層用溶液の固形分濃度を上記範囲に調整することで、塗布層用溶液がはじきにくく、塗布面状を均一にし易くなる。また、塗布層用溶液の高粘度化を抑制し、塗布外観の悪化を防止することができる。
基材ポリエステルフィルムへの塗布層用溶液の塗布方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外のコーティング装置を使用することができる。本発明における塗布層は、フィルム製膜中にコーティングを行うインラインコーティング、フィルムを製膜した後にコーティングを行うオフラインコーティングまたはこれら以外の方式により設けることができるが、インラインコーティングにより設けられることが好ましい。
インラインコーティングは、基材ポリエステルフィルム製造の工程内で塗布を行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから二軸延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階で塗布を行う方法である。通常は、溶融・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸シート、その後に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルムの何れかに塗布する。これらの中では、一軸延伸フィルムに塗布した後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と塗布層乾燥を同時に行うことができるため、製造コスト上のメリットがあり、塗布後に延伸を行うために薄膜塗布が容易であり、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温であるために塗布層と基材ポリエステルフィルムが強固に密着する。
塗布層の厚みは0.02μm以上0.1μm未満の範囲が好ましい。塗布厚みが0.02μm以上であることで、塗布膜の均一性が悪化しにくく、帯電防止性にバラツキが生じにくい。塗布層の厚みが0.1μm未満であることで、フィルムの生産性を損ねにくく、基材ポリエステルフィルムと塗布層との界面で剥離が生ずることを防止することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例、比較例において用いた塗布層の成分は、以下のとおりである。
[塗布層成分]
・帯電防止剤(A1)
ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(平均分子量:約30000)
・ワックス(B1)
攪拌機、温度計、温度コントローラーを備えた内容量1.5Lの乳化設備に融点105℃、酸化16mgKOH/g、密度0.93g/mL、平均分子量5000の酸化ポリエチレンワックス300g、イオン交換水650gとデカグリセリンモノオレエート界面活性剤を50g、48%水酸化カリウム水溶液10gを加え、窒素で置換後、密封し、150℃で一時間高速攪拌した後、130℃に冷却し、高圧ホモジナイザーを400気圧下で通過させ、40℃に冷却したワックスエマルジョン。
・粒子(C1):平均粒径0.05μmのシリカ粒子
・粒子(C2):平均粒径0.08μmのシリカ粒子
・粒子(C3):平均粒径0.18μmのシリカ粒子
なお、粒子(C1)〜粒子(C3)の平均粒径は、TEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製H7650、加速電圧100kV)を用いて求めた。
水分散体(D1)
下記の組成で重合した、ガラス転移点が40℃のアクリル樹脂水分散体
エチルアクリレート/n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/N−メチロールアクリルアミド/アクリル酸=65/21/10/2/2(重量%)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)
・架橋剤(E1):ヘキサメトキシメチロールメラミン
次に以下の例において使用したポリエステル原料について説明する。
<ポリエステル樹脂I>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.65dl/gとする滑剤粒子を含有しないポリエステルチップを製造した。
<ポリエステル樹脂II>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.65dl/gであり、平均粒径0.05μmのアルミナ粒子を含有するポリエステルチップを製造した。ポリエステル樹脂IIのポリエステルチップ中のアルミナ粒子の含有量は1.5重量%である。
<ポリエステル樹脂III>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.65dl/gであり、平均粒径0.12μmの微細シリカ粒子を含有するポリエステルチップを製造した。ポリエステル樹脂IIIのポリエステルチップ中の微細シリカ粒子の含有量は0.3重量%である。
<ポリエステル樹脂IV>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.65dl/gであり、平均粒径0.35μmのイオン交換樹脂粒子を含有するポリエステルチップを製造した。ポリエステル樹脂IVのポリエステルチップ中のイオン交換樹脂粒子の含有量は0.5重量%である。
<ポリエステル樹脂V>
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、多価アルコール成分としてエチレングリコールを使用し、定法の溶融重合法にて極限粘度が0.65dl/gであり、平均粒径2.7μmのシリカ粒子を含有するポリエステルチップを製造した。ポリエステル樹脂Vのポリエステルチップ中のシリカ粒子の含有量は0.3重量%である。
<回収ポリエステル樹脂>
〔回収ポリエステル樹脂a〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂II=85:15の重量比率で配合し、押出機にて溶融させて、A層形成用の積層ダイに供給した。また、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて、B層形成用の積層ダイに供給した。A層/B層/A層(層厚1/14/1)の構成からなる2種3層のポリエステル樹脂積層体をフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで、未延伸フィルムを75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した。その後、延伸フィルムの片面に、A1:B1:C1:C2:D1:E1=30:5:3:2:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した。次いで、塗布層付きの延伸フィルムのフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.0倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、平均厚さが16μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により、ポリエステルフィルムは分厚くなり、クリップの噛み代として使用されたポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断し、分離した。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断し、分離した。切断分離された耳部フィルム及びスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。
得られた粉砕化物を乾燥後単軸押出機に供給し、280℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル樹脂aとして貯蔵した。
〔回収ポリエステル樹脂b〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂II=70:30の重量比率で配合し、押出機にて溶融させて、A層形成用の積層ダイに供給した。また、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて、B層形成用の積層ダイに供給した。A層/B層/A層(層厚1.5/13/1.5)の構成からなる2種3層のポリエステル樹脂積層体をフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで、未延伸フィルムを75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した。その後、延伸フィルムの片面に、A1:B1:C1:C2:D1:E1=30:5:3:2:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した。次いで、塗布層付きの延伸フィルムのフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.0倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、平均厚さが16μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により、ポリエステルフィルムは分厚くなり、クリップの噛み代として使用されたポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断し、分離した。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断し、分離した。切断分離された耳部フィルム及びスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。
得られた粉砕化物を乾燥後単軸押出機に供給し、280℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル樹脂bとして貯蔵した。
〔回収ポリエステル樹脂c〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂II=50:50の重量比率で配合し、押出機にて溶融させて、A層形成用の積層ダイに供給した。また、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて、B層形成用の積層ダイに供給した。A層/B層/A層(層厚1/14/1)の構成からなる2種3層のポリエステル樹脂積層体をフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで、未延伸フィルムを75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した。その後、延伸フィルムの片面に、A1:B1:C1:C2:D1:E1=30:5:3:2:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した。次いで、塗布層付きの延伸フィルムのフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.0倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、平均厚さが16μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により、ポリエステルフィルムは分厚くなり、クリップの噛み代として使用されたポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断し、分離した。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断し、分離した。切断分離された耳部フィルム及びスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。
得られた粉砕化物を乾燥後単軸押出機に供給し、280℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル樹脂cとして貯蔵した。
〔回収ポリエステル樹脂d〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂III=67:33の重量比率で配合し、押出機にて溶融させて、A層形成用の積層ダイに供給した。また、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて、B層形成用の積層ダイに供給した。A層/B層(層厚1/15)の構成からなる2種2層のポリエステル樹脂積層体をフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで、未延伸フィルムを75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した。その後、延伸フィルムの片面に、A1:B1:C1:C2:D1:E1=30:5:3:2:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した。次いで、塗布層付きの延伸フィルムのフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.0倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、平均厚さが16μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により、ポリエステルフィルムは分厚くなり、クリップの噛み代として使用されたポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断し、分離した。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断し、分離した。切断分離された耳部フィルム及びスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。
得られた粉砕化物を乾燥後単軸押出機に供給し、280℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル樹脂dとして貯蔵した。
〔回収ポリエステル樹脂e〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂III=34:66の重量比率で配合し、押出機にて溶融させて、A層形成用の積層ダイに供給した。また、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて、B層形成用の積層ダイに供給した。A層/B層/A層(層厚0.7/14.6/0.7)の構成からなる2種3層のポリエステル樹脂積層体をフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで、未延伸フィルムを75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した。その後、延伸フィルムの片面に、A1:B1:C1:C2:D1:E1=30:5:3:2:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した。次いで、塗布層付きの延伸フィルムのフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.0倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、平均厚さが16μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により、ポリエステルフィルムは分厚くなり、クリップの噛み代として使用されたポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断し、分離した。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断し、分離した。切断分離された耳部フィルム及びスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。
得られた粉砕化物を乾燥後単軸押出機に供給し、280℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル樹脂eとして貯蔵した。
〔回収ポリエステル樹脂f〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIとポリエステル樹脂IIIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂II:ポリエステル樹脂III=52:15:33の重量比率で配合し、押出機にて溶融させて、A層形成用の積層ダイに供給した。また、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて、B層形成用の積層ダイに供給した。A層/B層/A層(層厚1/14/1)の構成からなる2種3層のポリエステル樹脂積層体をフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで、未延伸フィルムを75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した。その後、延伸フィルムの片面に、A1:B1:C1:C2:D1:E1=30:5:3:2:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した。次いで、塗布層付きの延伸フィルムのフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.0倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、平均厚さが16μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により、ポリエステルフィルムは分厚くなり、クリップの噛み代として使用されたポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断し、分離した。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断し、分離した。切断分離された耳部フィルム及びスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。
得られた粉砕化物を乾燥後単軸押出機に供給し、280℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル樹脂fとして貯蔵した。
〔回収ポリエステル樹脂g〕
ポリエステル樹脂IIIを押出機にて溶融させて、A層形成用の積層ダイに供給した。また、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて、B層形成用の積層ダイに供給した。A層/B層/A層(層厚1/14/1)の構成からなる2種3層のポリエステル樹脂積層体をフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで、未延伸フィルムを75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した。その後、延伸フィルムの片面に、A1:B1:C1:C2:D1:E1=30:5:3:2:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した。次いで、塗布層付きの延伸フィルムのフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.0倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、平均厚さが16μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により、ポリエステルフィルムは分厚くなり、クリップの噛み代として使用されたポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断し、分離した。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断し、分離した。切断分離された耳部フィルム及びスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。
得られた粉砕化物を乾燥後単軸押出機に供給し、280℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル樹脂gとして貯蔵した。
〔回収ポリエステル樹脂h〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IVを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂IV=94:6の重量比率で配合し、押出機にて溶融させて、A層形成用の積層ダイに供給した。また、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて、B層形成用の積層ダイに供給した。A層/B層/A層(層厚1/14/1)の構成からなる2種3層のポリエステル樹脂積層体をフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで、未延伸フィルムを75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した。その後、延伸フィルムの片面に、A1:B1:C1:C2:D1:E1=30:5:3:2:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した。次いで、塗布層付きの延伸フィルムのフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.0倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、平均厚さが16μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により、ポリエステルフィルムは分厚くなり、クリップの噛み代として使用されたポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断し、分離した。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断し、分離した。切断分離された耳部フィルム及びスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。
得られた粉砕化物を乾燥後単軸押出機に供給し、280℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル樹脂hとして貯蔵した。
〔回収ポリエステル樹脂i〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂II=70:30の重量比率で配合し、押出機にて溶融させて、A層形成用の積層ダイに供給した。また、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて、B層形成用の積層ダイに供給した。A層/B層/A層(層厚1.5/13/1.5)の構成からなる2種3層のポリエステル樹脂積層体をフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで、未延伸フィルムを75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した。その後、延伸フィルムの片面に、A1:B1:C1:C2:D1:E1=30:5:3:2:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した。次いで、塗布層付きの延伸フィルムのフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.0倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、平均厚さが16μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により、ポリエステルフィルムは分厚くなり、クリップの噛み代として使用されたポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断し、分離した。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断し、分離した。切断分離された耳部フィルム及びスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。
得られた粉砕化物を乾燥後単軸押出機に供給し、280℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル樹脂iとして貯蔵した。
〔回収ポリエステル樹脂j〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂Vを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂V=94:6の重量比率で配合し、押出機にて溶融させて、A層形成用の積層ダイに供給した。また、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて、B層形成用の積層ダイに供給した。A層/B層/A層(層厚0.7/14.6/0.7)の構成からなる2種3層のポリエステル樹脂積層体をフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで、未延伸フィルムを75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した。その後、延伸フィルムの片面に、A1:B1:C1:C2:D1:E1=30:5:3:2:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した。次いで、塗布層付きの延伸フィルムのフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.0倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、平均厚さが16μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により、ポリエステルフィルムは分厚くなり、クリップの噛み代として使用されたポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断し、分離した。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断し、分離した。切断分離された耳部フィルム及びスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。
得られた粉砕化物を乾燥後単軸押出機に供給し、280℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル樹脂jとして貯蔵した。
〔回収ポリエステル樹脂k〕
ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて、A層形成用の積層ダイに供給した。また、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて、B層形成用の積層ダイに供給した。A層/B層/A層(層厚1/14/1)の構成からなる1種3層のポリエステル樹脂積層体をフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで、未延伸フィルムを75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した。その後、延伸フィルムの片面に、A1:B1:C1:C2:D1:E1=30:5:3:2:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した。次いで、塗布層付きの延伸フィルムのフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.0倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、平均厚さが16μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により、ポリエステルフィルムは分厚くなり、クリップの噛み代として使用されたポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断し、分離した。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断し、分離した。切断分離された耳部フィルム及びスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。
得られた粉砕化物を乾燥後単軸押出機に供給し、280℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル樹脂kとして貯蔵した。
〔回収ポリエステル樹脂l〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂II=85:15の重量比率で配合し、押出機にて溶融させて、A層形成用の積層ダイに供給した。また、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて、B層形成用の積層ダイに供給した。A層/B層/A層(層厚1/14/1)の構成からなる2種3層のポリエステル樹脂積層体をフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで、未延伸フィルムを75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した。その後、延伸フィルムの片面に、A1:B1:C1:D1:E1=30:5:5:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した。次いで、塗布層付きの延伸フィルムのフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.0倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、平均厚さが16μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により、ポリエステルフィルムは分厚くなり、クリップの噛み代として使用されたポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断し、分離した。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断し、分離した。切断分離された耳部フィルム及びスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。
得られた粉砕化物を乾燥後単軸押出機に供給し、280℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル樹脂lとして貯蔵した。
〔回収ポリエステル樹脂m〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂II=85:15の重量比率で配合し、押出機にて溶融させて、A層形成用の積層ダイに供給した。また、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて、B層形成用の積層ダイに供給した。A層/B層/A層(層厚1/14/1)の構成からなる2種3層のポリエステル樹脂積層体をフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで、未延伸フィルムを75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した。その後、延伸フィルムの片面に、A1:B1:C3:D1:E1=30:5:5:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した。次いで、塗布層付きの延伸フィルムのフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.0倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、平均厚さが16μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により、ポリエステルフィルムは分厚くなり、クリップの噛み代として使用されたポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断し、分離した。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断し、分離した。切断分離された耳部フィルム及びスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。
得られた粉砕化物を乾燥後単軸押出機に供給し、280℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル樹脂mとして貯蔵した。
〔回収ポリエステル樹脂n〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂II=85:15の重量比率で配合し、押出機にて溶融させて、A層形成用の積層ダイに供給した。また、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて、B層形成用の積層ダイに供給した。A層/B層/A層(層厚1/14/1)の構成からなる2種3層のポリエステル樹脂積層体をフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで、未延伸フィルムを75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した。その後、延伸フィルムには塗布層用溶液をコーティングせず塗布層の付いていない延伸フィルムのフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.0倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、平均厚さが16μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により、ポリエステルフィルムは分厚くなり、クリップの噛み代として使用されたポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断し、分離した。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断し、分離した。切断分離された耳部フィルム及びスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。
得られた粉砕化物を乾燥後単軸押出機に供給し、280℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル樹脂nとして貯蔵した。
〔回収ポリエステル樹脂o〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂II=85:15の重量比率で配合し、押出機にて溶融させて、A層形成用の積層ダイに供給した。また、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させて、B層形成用の積層ダイに供給した。A層/B層/A層(層厚1/14/1)の構成からなる2種3層のポリエステル樹脂積層体をフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで、未延伸フィルムを75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した。その後、延伸フィルムの両面に、A1:B1:C1:C2:D1:E1=30:5:3:2:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した。次いで、塗布層付きの延伸フィルムのフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.0倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、平均厚さが16μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により、ポリエステルフィルムは分厚くなり、クリップの噛み代として使用されたポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断し、分離した。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断し、分離した。切断分離された耳部フィルム及びスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。
得られた粉砕化物を乾燥後単軸押出機に供給し、280℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル樹脂oとして貯蔵した。
<DFR用フィルムの製造>
〔実施例1〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂II=85:15の重量比率で配合し押出機にて溶融させてA層形成用の積層ダイに供給した。また、ポリエステル樹脂Iと回収ポリエステル樹脂aを、ポリエステル樹脂I:回収ポリエステル樹脂a=80:20の重量比率で配合し押出機にて溶融させてB層形成用の積層ダイに供給した。A層/B層/A層の構成からなる2種3層のポリエステル樹脂積層体をフィルム状に押出して、35℃の冷却ドラム上にキャストして急冷固化した未延伸フィルムを作製した。次いで、未延伸フィルムを75℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒータと加熱ロールを併用して85℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した。その後、延伸フィルム(基材ポリエステルフィルム)の片面に、A1:B1:C1:C2:D1:E1=30:5:3:2:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した。次いで、塗布層付きの延伸フィルムのフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、95℃の温度で加熱しつつ横方向に4.0倍延伸し、235℃で10秒間の熱処理を行い、平均厚さが16μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。A層の厚さは1.0μmであった。本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により、ポリエステルフィルムは分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断し、分離した。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(DFR用フィルム)を得た。
〔実施例2〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂II=70:30の重量比率で配合し押出機にて溶融させてA層形成用の積層ダイに供給し、ポリエステル樹脂Iと回収ポリエステル樹脂bを、ポリエステル樹脂I:回収ポリエステル樹脂b=60:40の重量比率で配合し押出機にて溶融させてB層形成用の積層ダイに供給し、A層の厚さを1.5μm、B層の厚さを13μmとした以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(DFR用フィルム)を得た。
〔実施例3〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂II=50:50の重量比率で配合し押出機にて溶融させてA層形成用の積層ダイに供給し、ポリエステル樹脂Iと回収ポリエステル樹脂cを、ポリエステル樹脂I:回収ポリエステル樹脂c=90:10の重量比率で配合し押出機にて溶融させてB層形成用の積層ダイに供給した以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(DFR用フィルム)を得た。
〔実施例4〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂III=67:33の重量比率で配合し押出機にて溶融させてA層形成用の積層ダイに供給し、回収ポリエステル樹脂aを回収ポリエステル樹脂dに変更して、A層/B層の構成からなる2種2層とし、B層の厚さを15μmとし、更に、B層側に塗布層を形成した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(DFR用フィルム)を得た。
〔実施例5〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂III=34:66の重量比率で配合し押出機にて溶融させてA層形成用の積層ダイに供給し、A層の厚さを0.7μm、B層の厚さを14.6μmとし、更に、回収ポリエステル樹脂aを回収ポリエステル樹脂eに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(DFR用フィルム)を得た。
〔実施例6〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIとポリエステル樹脂IIIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂II:ポリエステル樹脂III=52:15:33の重量比率で配合し押出機にて溶融させてA層形成用の積層ダイに供給し、更に、回収ポリエステル樹脂aを回収ポリエステル樹脂fに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(DFR用フィルム)を得た。
〔比較例1〕
ポリエステル樹脂IIIを押出機にて溶融させてA層形成用の積層ダイに供給し、更に、回収ポリエステル樹脂aを回収ポリエステル樹脂gに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(DFR用フィルム)を得た。
〔比較例2〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IVを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂IV=94:6の重量比率で配合し押出機にて溶融させてA層形成用の積層ダイに供給し、ポリエステル樹脂Iと回収ポリエステル樹脂hを、ポリエステル樹脂I:回収ポリエステル樹脂h=90:10の重量比率で配合し押出機にて溶融させてB層形成用の積層ダイに供給し、A層の厚さを0.7μm、B層の厚さを14.6μmとした以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(DFR用フィルム)を得た。
〔比較例3〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IVを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂IV=94:6の重量比率で配合し押出機にて溶融させてA層形成用の積層ダイに供給し、ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させてB層形成用の積層ダイに供給し、A層の厚さを0.7μm、B層の厚さを14.6μmとした以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(DFR用フィルム)を得た。
なお、比較例3のDFR用フィルムは、回収ポリエステル樹脂を含有していないことから製造コストが非常に高く、経済的ではなかった。
〔比較例4〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂IIを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂II=70:30の重量比率で配合し押出機にて溶融させてA層形成用の積層ダイに供給し、ポリエステル樹脂Iと回収ポリエステル樹脂iを、ポリエステル樹脂I:回収ポリエステル樹脂i=45:55の重量比率で配合し押出機にて溶融させてB層形成用の積層ダイに供給し、A層の厚さを1.5μm、B層の厚さを13μmとした以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(DFR用フィルム)を得た。
〔比較例5〕
ポリエステル樹脂Iとポリエステル樹脂Vを、ポリエステル樹脂I:ポリエステル樹脂V=94:6の重量比率で配合し押出機にて溶融させてA層形成用の積層ダイに供給し、A層の厚さを0.7μm、B層の厚さを14.6μmとし、更に、回収ポリエステル樹脂aを回収ポリエステル樹脂jに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(DFR用フィルム)を得た。
〔比較例6〕
ポリエステル樹脂Iを押出機にて溶融させてA層形成用の積層ダイに供給し、更に、回収ポリエステル樹脂aを回収ポリエステル樹脂kに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(DFR用フィルム)を得た。
〔比較例7〕
回収ポリエステル樹脂aを回収ポリエステル樹脂lに変更し、基材ポリエステルフィルムの片面にA1:B1:C1:D1:E1=30:5:5:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(DFR用フィルム)を得た。
〔比較例8〕
回収ポリエステル樹脂aを回収ポリエステル樹脂mに変更し、基材ポリエステルフィルムの片面にA1:B1:C3:D1:E1=30:5:5:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(DFR用フィルム)を得た。
〔比較例9〕
回収ポリエステル樹脂aを回収ポリエステル樹脂nに変更し、塗布層を、基材ポリエステルフィルムの両面ともに未塗工にした以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(DFR用フィルム)を得た。
〔比較例10〕
回収ポリエステル樹脂aを回収ポリエステル樹脂oに変更し、基材ポリエステルフィルムの両面に、A1:B1:C1:C2:D1:E1=30:5:3:2:40:20で配合した塗布層用溶液をインラインコーティングし、塗布層を形成した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(DFR用フィルム)を得た。
比較例5のDFRは、レジストとフィルム間の密着性が増してしまい、フィルムを剥がす工程でレジストも一部剥がれ回路欠損となった。
<DFR用フィルム及びDFRの評価>
以上のようにして得られた実施例1〜6及び比較例1〜10のドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルム(DFR用フィルム)と、当該DFR用フィルムを用いて作製したドライフィルムレジスト(DFR)について、以下に示す方法で評価した。
DFR用フィルムの特性(表中の「PETフィルム特性」欄)及びDFRの特性(表中の「DFR特性」欄)を表1〜5に示す。また、DFR用フィルムの構成(表中の「PETフィルム構成」欄)も表1〜5に示す。なお、「原料配合」欄の「%」は重量基準である。
(1)DFR用フィルムの厚さ(μm)
DFR用フィルムの厚さは、マイクロメーターで測定した。
(2)DFR用フィルムの各層(A層とB層)の厚さ、及び塗布層厚さ
DFR用フィルムの各層(A層とB層)の厚さ、及び塗布層厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)によるフィルム断面の観察にて測定した。具体的には、まず、フィルムサンプルの小片を、エポキシ樹脂に硬化剤、加速剤を配合した樹脂に包埋し、ウルトラミクロトームにて厚み200nmの切片を作成し、観察用サンプルとした。得られたサンプルを日立(株)製の透過型電子顕微鏡(H−9000)にて観察した。観察した断面のうち、DFR用フィルム表面とほぼ平行に、明暗によって、DFR用フィルム中のA層とB層との界面、及びDFR用フィルム表面と塗布層との界面が観察された。それらの界面とフィルム表面までの距離を、透過型電子顕微鏡写真50枚の写真について測定し、測定値の大きい方から10点、小さい方から10点削除して30点を平均して測定値とした。その平均値から、表層厚さ、および塗布層厚さを求めた。なお、「表層」とは、DFR用フィルムの基材ポリエステルフィルムの層構成がA層/B層/A層である場合、及びA層/B層である場合共に、A層を指す。
但し、透過型電子顕微鏡は、加速電圧は300kV、倍率は表層厚みに応じ、1〜10万倍の範囲で設定した。
(3)DFR用フィルム表面の平均表面粗さ(Ra)
DFR用フィルム表面(A層の表面;実施例4においてはB層の表面)の平均表面粗さ(Ra)は、(株)小坂研究所社製表面粗さ測定器(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、測定によって得られたフィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として、粗さ曲線y=f(x)で表した時、次の式で与えられた値を〔μm〕で表した。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
(4)DFR用フィルム表面の最大高さ(Rt)
Ra測定時に得られた断面曲線の抜き取り部分を、その平均線に平行な2直線で抜き取り部分を挟んだとき、この2直線の間隔を断面曲線の縦倍率の方向に測定して、その値をマイクロメートル(μm)単位で表したものを抜き取り部分の最大高さRtとした。最大高さは、試料フィルム表面(A層の表面;実施例4においてはB層の表面)から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の最大高さの平均値で表した。
(5)DFR用フィルムのヘーズ
JIS K 7105:1981に準じ、日本電色工業社製の積分球式濁度計NDH−20DによりDFR用フィルムのヘーズを測定した。
(6)静摩擦係数および動摩擦係数
ASTM−D1894(1999年)に準じて、DFR用フィルムの上面と下面とを合わせての静摩擦係数および動摩擦係数を測定した。
(7)DFR用フィルムの巻き特性
実施例1〜6及び比較例1〜10のDFR用フィルムを用いて、1000mm幅×6000m長さのロール状にし、巻き取り機を用いて、当該ロールを100m/minのスピードで巻き上げた。巻き上がり後のロール外観を目視により検査し、以下の基準で評価した。
○:DFR用フィルムにシワが無く、ロール端面がきれいに揃っていた。
×:ロールの巻き上げ途中に、DFR用フィルムが蛇行したり、DFR用フィルムにシワが入ったりした。
(8)塗布層付与(インラインコート)前の基材フィルム表面の傷
塗布層付与前の基材フィルムを切り出して、基材フィルム表面を目視により検査し、以下の基準で評価した。
○:検査範囲には傷が見られない。
×:検査範囲に傷が多数認められる。
(9)DFR用フィルムの帯電防止性
23℃、50%RHの測定雰囲気でDFR用フィルムを十分調湿した後、印可電圧100Vで1分印加した後のDFR用フィルムについて、日本ヒューレット・パッカード社製の高抵抗測定器:HP4339Bおよび測定電極:HP16008Bを使用し、基材フィルムの塗布層の表面固有抵抗値を測定した。この表面固有抵抗値から、帯電防止性として以下の基準で評価した。
○:表面固有抵抗値が1×1011Ω/□未満
×:表面固有抵抗値が1×1013Ω/□以上
(10)DFR用フィルムの塗布層の削れ性
塗布層表面に幅10mm×長さ50mmのアルミ板を当てて、アルミ板上に50gの重りを載せ、アルミ板の幅方向と平行にアルミ板を100mm間10往復させた。アルミ板を走行させた塗布層表面の両端部を顕微鏡で観察し、以下の基準で判定した。
○:塗布層の削れはほとんど見られなかった。
×:塗布層が削れ、多数の白粉が見られた。
(11)ドライフィルムレジスト(DFR)特性
実施例1〜6及び比較例1〜10のDFR用フィルムを用いて、ドライフィルムレジストを常法にしたがって作製した。すなわち、フォトレジスト層を塗布層と反対側の面に設け、その上に保護層としてポリオレフィンフィルムを積層した。得られたドライフィルムレジストを用いて、プリント回路の作製を行った。すなわち、ガラス繊維含有エポキシ樹脂板上に設けられた銅板に、保護層を剥離したドライフィルムレジストのフォトレジスト層面を密着させた。次に、ドライフィルムレジストの上に、回路が印刷されたガラス板を密着させ、当該ガラス板側から紫外線の露光を行った。しかる後、ドライフィルムレジストを剥離し、洗浄、エッチング等、一連の現像操作を行って回路を作製した。かくして得られた回路を目視あるいは顕微鏡を使って観察し、その品質によりドライフィルムレジストの以下の実用評価を行った。
(回路欠損)
○:回路に欠損は見られない
△:まれに回路の欠損が見られる
×:回路の欠損が多数あり、実用上支障がある
(解像性)
○:極めて高度な解像度を有し、鮮明な回路が得られる
△:鮮明度がやや劣り、線が多少太くなる等の現象が見られるが、実用上問題ない
×:鮮明度が劣るため、高密度の回路には使用できない
Figure 0006957856
Figure 0006957856
Figure 0006957856
Figure 0006957856
Figure 0006957856
以上のように本発明は、透明性が高く、表面粗さが極めて平坦なフィルムに帯電防止性、易滑性を有する塗布層を設けることにより、フィルム表面に帯電した静電気の放電による災害の防止や基材ポリエステルフィルムの表面にごみやほこりなどが引きつけられ付着するのを防止して、異物付着によるパターン不整を防止し、品質の安定化を図り、かつ平坦なフィルムをロール状に巻きとる際の作業性、易滑性等の加工適正に優れ、さらに回収ポリエステル樹脂を用いても透明性や平坦性といった重要特性に悪影響を及ぼさずにコスト低減が可能なドライフィルムレジスト用フィルムである。
よって、高解像性が必要なドライフィルムレジストの支持体として、好適に使用することができ、プリント配線板、リードフレームやBGA、CSP等のパッケージを製造するのに好適であり、特に配線パターンが密な、ファインパターンが要求される基板の製造に好適である。

Claims (7)

  1. 平均粒径が0.03〜0.15μmの粒子を含み、かつ、平均粒径0.10μm以上の粒子の含有量が430ppm以下であり、回収樹脂の含有量が3.0重量%以上40.0重量%以下の基材ポリエステルフィルムの片面に、平均粒径が0.05μm超0.15μm未満の粒子を含む塗布層を形成するドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムの製造方法。
  2. 前記塗布層が、更に、帯電防止剤、及びワックスを含む請求項1に記載のドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムの製造方法。
  3. 前記基材ポリエステルフィルムが2層以上の積層フィルムであり、前記積層フィルムの表層の片方又は両方が、前記平均粒径が0.03〜0.15μmの粒子を含む請求項1または2に記載のドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムの製造方法。
  4. 前記基材ポリエステルフィルムの前記塗布層が備えられている表面と反対の表面に、前記平均粒径が0.03〜0.15μmの粒子を含む表層を有する請求項3に記載のドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムの製造方法。
  5. 前記基材ポリエステルフィルムが3層の積層体であり、
    前記積層フィルムの中間層に前記回収樹脂が含まれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムの製造方法。
  6. 前記回収樹脂が、回収ポリエステル樹脂を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載のドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムの製造方法。
  7. 前記ドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムのヘーズ値が0.8%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムの製造方法
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