JP2023059127A - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】平滑性、易滑性を有し、さらに巻き取り性も向上させたポリエステルフィルムを安定して提供する。【解決手段】フィルム全幅に対して中央および両端で50mm角サイズの試料を採取し、非接触光学式粗さ測定器により測定された、フィルムの一方の表面における、中央および両端における高さ20nmを超え50nm以下の突起個数A個/mm2について、(1)~(3)を満たすポリエステルフィルム。(1)中央および両端の突起個数Aの平均である平均突起個数Aaveが50個/mm2以上~700個/mm2以下である。(2)中央および両端の突起個数Aのうち最大値Amax、最小値Aminの変動率(Amax-Amin)/Aave×100(%)が、0.1%以上30%以下である。(3)中央および両端の突起個数Aについてそれぞれの測定回数に対する突起個数Aのミクロなバラツキσ/A×100(%)が1%以上175%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、高平滑な表面を有するポリエステルフィルムに関するものである。
ポリエステルフィルムはその加工性の良さから、工業用途、光学製品用途、包装用途、磁気記録テープ用途など様々な工業分野に利用されている。一般に、ポリエステルフィルムは、製膜した後、ロール状に巻き取られる。この時、ポリエステルフィルム表面が平滑すぎるとポリエステルフィルム同士が密着するため、ポリエステルフィルムの巻取り性(巻取りに由来するシワの抑制や欠点の発生抑制)や搬送性が悪化する。そのため、ポリエステルフィルムの巻取り性や搬送性を担保するために、通常、易滑材としての粒子を含有させ易滑化するのが一般的である。
一方、IT機器など小型化、軽量化などに伴い、プリント配線板の高精細化、高密度化が進んでおり、それに伴って、電子情報機器の回路配線作製に用いられるポリエステルフィルムには加工性の向上が求められている。特に、ドライフィルムレジストといった電子情報機器の回路配線を製造する工程において、ポリエステルフィルム表面に他の素材を積層させ、ポリエステルフィルムごとフォトレジストなどの光学的な加工を施す手法が多く採られており、次世代製品では配線幅が2~5μmと非常に精細な加工を行うことが必要となってくる。
また、積層セラミックコンデンサーを製造する工程においても、工程フィルムであるポリエステルフィルムには高い平滑性が求められると共に、工程管理の観点からはコーティングによって設けるセラミック層(グリーンシート)において塗布抜けに由来するピンホール欠点を、ライトなどを用いた光学的手法により検出するためポリエステルフィルムへの光線透過性が求められることがある。
そのため、巻取り性や搬送性を担保するために、易滑材として含有させた粒子自体や、当該粒子の粗大物が、上記電子情報機器や積層セラミックコンデンサーを製造する工程において、平滑性、加工性を悪化させてしまうことがあった。
そこでフィルム表面に易滑性と平滑性、さらに加工性を付与するため、例えば特許文献1には、フィルムに粒子を含有させ、さらに特殊な処理を実施することで易滑性を向上させる技術が開示されている。また、特許文献2には、フィルムに粒子を含有させることなく易滑性を向上させる技術が開示されている。
特開2001-354785号公報 特開2016-175356号公報
しかしながら、近年の電子情報機器の回路配線用途や積層セラミックコンデンサー用途でのポリエステルフィルムへの高平滑化要求と易滑性を両立させるには、より精細な表面の制御が必要であり、その表面状態は、配向状態や結晶構造の軽微な違いの影響をうける。そのため、一定の幅以上のポリエステルフィルムロールを得ようとした場合、表面の制御にムラが発生しやすく、平滑性、易滑性が悪化することがあった。また、ポリエステルフィルムロールに巻き姿欠点があると、ポリエステルフィルムの平面性が悪化したり、搬送時に蛇行・シワが発生し加工性を悪化させるため、ポリエステルフィルムへの高平滑化要求に伴い、ポリエステルフィルムロールに巻き姿欠点に対する要求も高まっており、巻き姿欠点による加工性悪化、歩留まり悪化が課題であった。
本発明は上記事情に鑑み、平滑性、易滑性を有し、さらに巻き取り性も向上させたポリエステルフィルムを安定して提供することを目的とする。
本発明は、以下の特徴を有する。
[I]フィルム全幅に対して中央位置および両端位置で50mm角サイズの試料を採取し、非接触光学式粗さ測定器により測定された、フィルムの一方の表面(A面)における、中央位置および両端位置における高さ20nmを超え50nm以下の突起個数A/mmについて、次の(1)~(3)を満たすことを特徴とするポリエステルフィルム。
(1)中央位置および両端位置における突起個数Aの平均である平均突起個数Aaveが50個/mm以上~700個/mm以下である。
(2)中央位置および両端位置における突起個数Aのうちの最大値Amax、最小値Aminについて変動率(Amax-Amin)/Aave×100(%)が、0.1%以上30%以下である。
(3)中央位置および両端位置における突起個数Aについてそれぞれの測定回数に対する突起個数Aのミクロなバラツキσ/A×100(%)が、1%以上175%以下である。
ここで、前記突起個数Aは、中央位置および両端位置においてそれぞれ50mm角内でランダムに位置を変え、n=80測定を行い、その値をXi(i=1~80)としたときの、Xiの平均値をA、標準偏差をσとし、A=(X1+X2+X3+…+X80)/80、σ={(ΣXi-A)/80}0.5である。
[II]前記A面を形成する層における粒子含有量が0重量%以上~1重量%以下であり、当該粒子の体積平均粒子径が10nm以上~80nm以下であるポリエステルフィルム。
[III]前記A面を形成するA層と、他方の表面を形成するB層の少なくとも2層から構成されるポリエステルフィルム。
[IV]フィルムヘイズが1.0%以下であるポリエステルフィルム。
[V]前記A面の十点平均表面粗さSRz(A)が200nm以下であるポリエステルフィルム。
[VI]フィルム幅が1000mm以上であるポリエステルフィルム。
[VII]前記ポリエステルフィルムを巻き取ったポリエステルフィルムロール。
本発明によれば、ポリエステルフィルムポリエステルフィルム表面の微細な突起数のばらつきを小さくすることで、一定の幅以上のポリエステルフィルムロールにおいて安定した搬送性を得ることができ、シワ、ツブなどの巻き姿欠点による歩留まりが改善できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明でいうポリエステルフィルムとは、ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムを示す。ここで主成分とは、フィルムの全成分100重量%において、50重量%を超えて含有している成分を示す。
本発明のポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸とジオール、およびそれらのエステル形成性誘導体を主たる構成成分とする単量体または低重合体からの重合により得られるポリエステルである。
ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸を用いることが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などであり、とくにはテレフタル酸が好ましい。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、イソフタル酸など他の芳香族ジカルボン酸、あるいは脂肪酸を一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコールなどを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとして、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体等を挙げることができ、とくに、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明に使用するポリエステルは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する方法や、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法などが採用できる。この際、必要に応じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などを用いることもできる。
上記ポリエステルの固有粘度は下限0.5dl/g、上限0.8dl/gが好ましい。さらに好ましくは下限0.55dl/g、上限0.70dl/gである。
本発明のポリエステルフィルムは、二軸配向していることが好ましい。二軸配向していることにより、フィルムの機械強度が向上することでシワが入りにくくなり、巻き取り性を向上させることができる。本発明における、二軸配向とは、未延伸(未配向)シートを、常法により、二次元方向に延伸された状態(広角X線回折で二軸配向のパターンを示すもの)を指す。延伸は、逐次二軸延伸、同時二軸延伸を採ることができる。逐次二軸延伸は、長手方向(縦)および幅方向(横)に延伸する工程を、縦-横の1回ずつ実施することもできるし、縦-横-縦-横など、2回ずつ実施することもできる。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルム全幅が1000mm以上であることが好ましい。上限はとくにも限定されないが、生産性の観点から10000mm以下が好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルム全幅に対して中央位置および両端位置で50mm角サイズの試料を採取し、非接触光学式粗さ測定器により測定されたフィルムの一方の表面(A面)における、中央位置および両端位置における高さ20nmを超え50nm以下の突起個数A個/mmについて、中央位置および両端位置における高さ20nmを超え50nm以下の突起個数Aの平均である平均突起個数Aaveが50個/mm以上~700個/mm以下であることが必要である。ここで、高さ20nmを超え50nm以下の突起とは、測定の中心面からのスライスレベル高さ20nm超え50nm以下の突起である。また、高さ20nmを超え50nm以下の突起個数A個/mmとは、中央位置および両端位置においてそれぞれ50mm角内でランダムに位置を変え、80視野(n=80)非接触光学式粗さ測定器による測定を行い、算出された高さ20nmを超え50nm以下の突起個数をXi(i=1~80)としたとき、Xiの平均値を突起個数A個/mmとし、A=(X1+X2+X3+…+X80)/80である。平均突起個数Aaveを50個/mm以上とすることで、フィルムの搬送性が向上し、またフィルムをロール状に巻き取る時にフィルム同士の摩擦を低減でき、またフィルム間に噛み込んだエアが抜けやすくなり、シワやツブ(エアや異物などを核としたフィルムの局所変形)などの巻き姿欠点が抑制され巻き取り性が向上する。一方、平均突起個数Aaveを700個/mm以下とすることで、電子情報機器の回路配線や積層セラミックコンデンサーを製造する工程における平滑性、加工性を向上できる。同様の観点からフィルム全幅においる平均突起個数Aaveは好ましくは70個/mm以上~500個/mm以下、さらに好ましくは100個/mm以上~400個/mm以下である。
本発明のポリエステルフィルムは、中央位置および両端位置における突起個数Aについてそれぞれの測定回数に対する突起個数Aのミクロなバラツキσ/A×100(%)が、1%以上175%以下であることが必要である。ここで、σとは、中央位置および両端位置においてそれぞれ50mm角内でランダムに位置を変え、n=80測定を行い、その値をXi(i=1~80)としたときの、標準偏差であり、σ={(ΣXi-A)/80}0.5である。フィルムをロール状に巻き取る時にフィルム間に噛み込んだエアが局所的に留まってしまうとツブ欠点が発生しやすくなるが、ミクロなバラツキσ/A×100(%)を175%以下とすることで、均一な表面特性となりツブ欠点による歩留まりが向上する。同様の観点からミクロなバラツキσ/A×100(%)は、好ましくは130%以下、より好ましくは120%以下である。一方、ミクロなバラツキσ/A×100(%)の下限は、突起個数の測定ばらつきの観点から1%以上である。
本発明のポリエステルフィルムは、中央位置および両端位置における突起個数Aのうちの最大値Amax、最小値Aminについて、変動率(Amax-Amin)/Aave×100(%)が、0.1%以上30%以下であることが必要である。
突起個数の変動率(Amax-Amin)/Aave×100(%)が30%を超える場合、幅方向に突起個数がばらつき、易滑性が幅方向で異なるとフィルム搬送時や巻き取り時にシワが発生しやすくなるが、突起個数の変動率(Amax-Amin)/Aave×100(%)を30%以下とすることで、幅方向に均一な易滑性が得られ搬送性が向上でき、シワ欠点による歩留まりが向上できる。同様の観点から突起個数の変動率(Amax-Amin)/Aave×100(%)は、好ましくは24%以下である。
A面における高さ20nmを超え50nm以下の突起個数を上記の範囲とするための方法としては、未延伸シートに大気圧グロー放電によるプラズマ表面処理をした後、二軸延伸を行う方法が挙げられる。インラインでの製膜適応性や微細な突起の形成個数の観点からは、大気圧グロー放電によるプラズマ処理を行い二軸延伸することがより好ましい。ここでいう大気圧とは700Torr~780Torrの範囲である。大気圧グロー放電処理は、相対する電極とアースロール間に処理対象のフィルムを導き、装置中にプラズマ励起性気体を導入し、電極間に高周波電圧を印加することにより、該気体をプラズマ励起させ電極間においてグロー放電を行うものである。これによりフィルム表面が微細に加工(アッシング)され突起が形成する。
プラズマ励起性気体とは前記のような条件においてプラズマ励起されうる気体をいう。プラズマ励起性気体としては、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガス、窒素、二酸化炭素、酸素、またはテトラフルオロメタンのようなフロン類およびそれらの混合物などが挙げられる。また、プラズマ励起性気体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の混合比で組み合わせてもよい。プラズマによって励起された場合に活性が高くなる観点から、アルゴン、酸素、二酸化炭素のうちの少なくとも1種に加え、酸素を含むことが好ましい。
プラズマ処理における高周波電圧の周波数は1kHz~100kHzの範囲が好ましい。また、以下方法で求められる放電処理強度(E値)は、10~2000W・min/mの範囲で処理することが突起形成の観点から好ましく、より好ましくは50~1000W・min/mである。放電処理強度(E値)が10W・min/m以上であることにより、突起を十分に形成でき、放電処理強度(E値)が2000W・min/m以下であることにより、ポリエステルフィルムに過度なダメージを与え、製膜性が悪化することを抑制できる。
<放電処理強度(E値)の求め方>
E=Vp×Ip/(S×Wt)
E:E値(W・min/m
Vp:印加電圧(V)
Ip:印加電流(A)
S:処理速度(m/min)
Wt:処理幅(m)。
一般的に、大気圧グロー放電処理によってポリエステルフィルム、特にPETやPENのように非晶部と結晶部を持つフィルムの表面をアッシングする場合、柔らかい非晶部からアッシングされていく。結晶部と非晶部を細分化させることで、大気圧グロー放電処理することでより微細な突起を形成することができ、また、結晶部を増やしておくことで柔らかい非晶部が深く削れることで突起高さを高くすることが可能となる。
本発明のポリエステルフィルムのA面を形成する層には、粒子を含有しないことが電子情報機器の回路配線や積層セラミックコンデンサーを製造する工程における平滑性、加工性の観点から最も好ましいが、易滑性、巻き取り性を向上させる観点からは粒子を含有してもよい。粒子含有量はA層重量に対して0重量%以上~1重量%以下が加工性の観点から好ましく、より好ましくは0重量%以上~0.5重量%以下、さらに好ましくは0重量%以上~0.2重量%以下である。
前記A面を形成する層に含有する粒子の体積平均粒子径としては50nm以上300nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以上150nm以下である。体積平均粒子径を50nm以上とすることで、易滑性、巻き取り性を向上できる。また、電子情報機器の回路配線や積層セラミックコンデンサーを製造する工程における平滑性、加工性の観点から体積平均粒子径は300nm以下が好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、前記A面を形成するA層と、他方の表面を形成するB層の少なくとも2層から構成されることが好ましい。より好ましくはA層とB層の間に中間層として実質的に粒子を含有しないC層を設け、A層/C層/B層の3層構成である。
本発明のポリエステルフィルムのB層には、電子情報機器の回路配線や積層セラミックコンデンサーを製造する工程における平滑性、加工性を阻害しない範囲で粒子を含有させることが易滑性、巻き取り性を向上させる観点から好ましい。粒子含有量はB層重量に対して好ましくは0.1重量%以上~1重量%以下、より好ましくは0重量%~0.5重量%以下、体積平均粒子径としては好ましくは50nm以上500nm以下である。
A層、B層に含有する粒子に関しては、無機粒子、有機粒子どちらを用いても良く、2種類以上の粒子を含有してもよい。無機粒子としては例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、アルミナ、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカなどが挙げられる。有機粒子としては例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などを構成成分とする有機粒子、コアシェル型有機粒子などが例示できる。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルムヘイズは1.0%以下であることが電子情報機器や積層セラミックコンデンサーを製造する工程における加工性の観点から好ましく、より好ましくは0.5%以下である。
本発明のポリエステルフィルムは、A面の十点平均表面粗さSRz(A)が200nm以下であることが好ましい。SRz(A)を200nm以下とすることにより、とくにドライフィルムレジストといった電子情報機器の回路配線を製造する工程におりて、露光時にフィルム表面での反射の影響を抑える適切な平滑性が得られ、高精細なレジストパターンを形成することが可能であり、加工性の観点から好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルムの厚みが10μm以上100μm以下であることが好ましい。特に好ましくは12μm以上40μm以下である。フィルムの厚みを10μm以上とすることで、加工工程での取り扱いが容易となる程度の強度を有することができ、100μm以下とすることで、ヘイズ値が良好となる。
次に本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。
本発明のポリエステルフィルムは、必要に応じて乾燥した原料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)を使用することができる。
2層以上の積層ポリエステルフィルムを溶融キャスト法により製造する場合、積層ポリエステルフィルムを構成する層毎に押出機を用い、各層の原料を溶融せしめ、これらを押出装置と口金の間に設けられた合流装置にて溶融状態で積層したのち口金に導き、口金からキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(共押出法)が好適に用いられる。
該積層シートを、冷却されたキャストドラム上に密着冷却固化し、未延伸シートを作製する。キャストドラム上で冷却固化する過程においては、その冷却状態に応じて未延伸シートに微細な結晶構造ができるため、キャストドラム上での冷却ムラは結晶構造のばらつきを生み、未延伸シートに大気圧グロー放電によるプラズマ表面処理をした際のアッシング状態がばらつき、最終的には突起形成のばらつきへとつながる。特に、製造しようとするフィルムの幅が広くなるほど、キャストドラムでの冷却ムラが発生しやすく、突起形成のばらつきが大きくなる傾向があり、突起個数を本発明の好適な範囲内するためには、キャストドラムでの冷却ムラを如何に抑制するかが重要であり、キャストドラムから剥離した直後の未延伸シートの温度ムラが、15℃以内であることが好ましく、より好ましくは10℃以内である。また、キャストドラムから剥離した直後の未延伸シートの温度は20℃以上45℃以下が好ましい。温度を20℃以上とすることによりプラズマを照射し、二軸延伸した後のフィルム表面の突起形成を十分に行うことができる。また45℃以下とすることにより、キャストドラムにフィルムが過剰に貼り付くことを抑制でき、生産性高く未延伸シートを得ることが可能となる他、冷却不足によるフィルム白化によりヘイズが上昇することを抑制できる。同様の観点から、より好ましくは20℃以上40℃以下である。キャストドラムから剥離した直後の未延伸シートの温度および温度ムラを上記範囲とするためには、キャストドラムの表面温度は、好ましくは20℃以上40℃以下、より好ましくは23℃以上35℃以下である。
また、キャストドラム上に未延伸シートを密着させる方法としては、静電荷を印加させることでキャストドラム上に密着させる方法を使用することができ、下記式で表される電荷密度Qが1mC/m以上30mC/m以下となるように印加することが好ましい。
電荷密度Q=印加する電流値(mA)/キャストドラムの回転速度(m/sec)×未延伸シート幅(m)
電荷密度Qを1mC/mとすることでキャストドラム上に未延伸シートを密着させることができ、キャストドラムでの冷却効率を高めることができる。また、30mC/m以下とすることで放電による局所破壊を抑制できる。ここで、静電荷を印可する電極が、ポリエステル樹脂の昇華物により汚れると、静電荷が均一に印可されず、キャストドラムから剥離した直後の未延伸シートの温度ムラを上記範囲とすることが困難となる。また、ポリエステル樹脂の昇華物によりキャストドラムが汚れても密着不良となるため、キャストドラムから剥離した直後の未延伸シートの温度ムラを上記範囲とすることが困難となる。そのため、キャストドラムから剥離した直後の未延伸シートの温度ムラをモニタリングし、適宜、電極やキャストドラムを清掃する、移行式の電極を用いている場合は電極を移行させるなどの管理を行うことが好ましい。
次いで、得られた未延伸シートに大気圧グロー放電によるプラズマ処理を施す。この表面処理は未延伸シートを得た直後でも、微延伸を施した後でも、縦および/又は横方向に延伸した後でも良いが、本発明では未延伸シートに表面処理することが好ましい。
その後、未延伸シートを二軸延伸し、二軸配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法又は同時二軸延伸法を用いることができる。最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法が、延伸破れなく本発明のポリエステルフィルムを得るのに有効である。
未延伸シートを二軸延伸する場合の延伸条件に関しては特に制限されるものでは無いが、長手方向の延伸としては、未延伸シートを70℃以上に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちシートの進行方向)に延伸し、20~50℃の温度のロール群で冷却することが好ましい。長手方向の延伸における加熱ロール温度の下限についてはシートの延伸性を損なわない限り特に制限はないが、使用するポリエステル樹脂のガラス転移温度を超えることが好ましい。また、長手方向の延伸倍率の好ましい範囲は3倍~5倍である。より好ましい範囲としては3倍~4倍である。長手方向の延伸倍率が3倍以上であることにより、配向結晶化が進みフィルム強度を向上できる。一方で、延伸倍率が5倍以下であることにより、延伸に伴うポリエステル樹脂の配向結晶化が過剰に進行し脆くなったり、製膜時の破れが発生したりすることを抑制できる。
続いて、長手方向に直角な方向(幅方向)の延伸に関しては、フィルムの両端(エッジ部)をクリップで把持しながらテンターに導き、70~160℃の温度に加熱された雰囲気中にて、長手方向に直角な方向(幅方向)へ3倍~5倍延伸する。この時、幅方向に延伸したフィルムを一段目80℃以上100℃以下、二段目20℃以上55℃以下のフィルム温度に段階的に冷却する冷却処理を行ってもよい。ポリエステルフィルムの冷却方法は、熱処理を行うテンターによる空冷方法、熱処理領域の上下にアルミ板などの遮蔽板で熱風を遮断する空冷方法、ロールによる冷却方法等が挙げられる。冷却処理を施すことは、続く熱処理工程において過度に結晶が肥大化することを防ぎ、均一な突起形成を促すことができ好ましい。
その後、延伸されたフィルムを熱処理し内部の配向構造の安定化を行うことが好ましく、テンター内の最高温度を200℃以上250℃以下とし、熱処理時間0.5秒以上20秒未満で熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度が200℃以上であることにより、前記、大気圧グロー放電処理により形成された突起を十分に成長でき、好ましい範囲の突起を形成することができる。一方250℃以下で熱処理を施すことにより、フィルム強度が低下し破れが多発することを抑制でき、生産性を向上できる。同様の観点からより好ましい範囲としては220℃以上245℃以下である。また、テンター内の局所的な温度変化が生じると突起形成にばらつきが生じやすくなるが、熱処理時間を長くとすることで突起の十分な成長を促し、局所的な温度変化の影響を緩和できるため、熱処理時間は0.5秒以上が好ましく、より好ましくは2秒以上である。熱処理時間を20秒以下とすることで、フィルム強度が低下し破れが多発することを抑制でき、生産性を向上できるため好ましく、より好ましくは12秒以下である。
更に熱処理した後に寸法安定性を付与することを目的として、0%以上6%以下の範囲でリラックス処理を行ってもよい。
延伸倍率は、長手方向と幅方向それぞれ3~5倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9~22倍であることが好ましく、9~20倍であることがより好ましい。面積倍率が9倍以上であることにより、得られる二軸延伸シートの耐久性を向上でき、面積倍率が22倍以下であることにより延伸時における破れの発生を低減できる。
得られた二軸延伸後のフィルムは、搬送工程にて冷却させた後、エッジ部を切断後巻取る。また、必要に応じてスリット工程により適切な幅・長さにスリットして巻き取り、本発明のポリエステルフィルムロールが得られる。本発明のポリエステルフィルムロールは、フィルム全幅が1000mm以上であることが好ましい。上限はとくに限定されないが、フィルムの巻き取り性が悪化する観点から2200mm以下が好ましい。
こうして得られる本発明のポリエステルフィルムは、平滑性、易滑性を有し、さらに巻き取り性を有するため、ドライフィルムレジストといった電子情報機器の回路配線や積層セラミックコンデンサーを製造する工程に好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定して解釈されるものではない。
(測定方法)
(1)フィルム全幅
測定対象のフィルムを台に広げ、幅方向の長さを金尺(JIS1級)で測定し、フィルム全幅とした。このとき、幅方向とは、フィルム製膜方向(長手方向)に直角な方向である。
(2)突起個数
50mm角サイズのサンプル試料を採取し、非接触光学式粗さ測定器(装置:Zygo社製New View 7300)を用い、50倍対物レンズを使用して測定面積139μm×104μm(0.0145mm)で、50mm角内でランダムに位置を変え、80視野(n=80)測定を行った。サンプルセットは、測定Y軸がサンプルフィルムのMD方向となるようにサンプルをステージにセットして測定した。得られた測定データについて、該粗さ計に内蔵された表面解析ソフトMetroProにより、カットオフ値をHigh Filter Wavelenを1.65μm、Low Filter Wavelenを50.00μmに設定し、Reference Band(帯域幅)を100nmに指定したときの50nmのスライスレベルにおけるPeaksを突起高さ50nmを超える突起の個数Peaks(50nm)とし、Reference Band(帯域幅)を40nmに指定したときの20nmのスライスレベルにおけるPeaksを突起高さ20nmを超える突起の個数Peaks(20nm)とした。次の式から高さ20nmを超え50nm以下の突起個数Xi(i=1~80)(個/mm)を求め、80視野の平均値を突起個数A、標準偏差をσとし、ミクロなバラツキσ/A×100を算出した。
Xi(i=1~80)=(Peaks(20nm)-Peaks(50nm))/測定面積0.0145mm
A=(X1+X2+X3+…+X80)/80)
σ={(ΣXi-A)/80}0.5
ミクロなバラツキ σ/A×100
サンプル試料の採取位置は、フィルム全幅に対して中央位置および両端位置とし、中央位置および両端位置における突起個数A、標準偏差σをそれぞれ算出した。中央位置および両端位置における突起個数Aの平均値をAaveとした。また、中央位置および両端位置における突起個数Aの最大値Amax、最小値Aminより、変動率(Amax-Amin)/Aave×100(%)を算出した。
(3)フィルムの全厚み
JIS C2151(1990)に準じ、マイクロメーター(ミツトヨOMM-25)を用いてフィルム幅方向に対して均等に30点測定し、その平均値を測定結果とした。
(4)十点平均表面粗さSRz(A)
三次元微細表面形状測定器(小坂製作所製ET-350K)を用いてA面について測定し、得られた表面のプロファイル曲線より、JIS・B0601に準じ、十点平均表面粗さSRz値を求めた。測定条件は下記のとおり。
X方向測定長さ:0.5mm、X方向送り速度:0.1mm/秒。
Y方向送りピッチ:5μm、Y方向ライン数:40本。
カットオフ:0.25mm。
触針圧:0.02mN。
高さ(Z方向)拡大倍率:5万倍。
(5)フィルムのヘイズ
JIS K7105-1981に準じ、フィルム幅方向の中央部から、長手4.0×幅3.5cmの寸法に切り出したものをサンプルとし、ヘイズを、ヘイズメータ(スガ試験機製HGM-2DP(C光源用))を用いて測定する。
(6)キャストドラムから剥離した直後の未延伸シートの温度および温度ムラ
サーモグラフィーを用いて、キャストドラムからの剥離点におけるフィルムの温度を測定した。通常、幅方向の延伸に際して、フィルムの両端(エッジ部)をクリップで把持しながらテンター内にフィルムを搬送するが、テンター内でのフィルム破断を抑制するため、未延伸シートのフィルムエッジ部は厚く成形され、当該エッジ部については、通常、フィルム巻き取り前に切断される。したがって、未延伸シートの温度および温度ムラの測定に関しては、当該エッジ部を除外して測定した。具体的には、フィルム端部から100mmまでを除外して測定を行った。
(7)粒子の体積平均粒子径
フィルムからポリマーをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させた。処理条件は、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択した。処理後の試料を走査型電子顕微鏡(SEM;株式会社日立製作所製S-4000型)で観察し、粒子画像をイメージアナライザ(株式会社ニレコ製LUZEX_AP)に取り込み、等価円相当径を測定し、粒子の体積平均粒子径を求めた。SEMの倍率は粒子径により、5000~20000倍から適宜選択した。任意に観察箇所をかえて、少なくとも粒子数400個の粒子の等価円相当径を測定し、体積平均粒子径を求めた。なお、粒子の体積平均粒子径を測定する際に、SEMおよびTEMで観察した際に5000倍で10視野確認しても、粒子が認められなかった場合には、粒子を実質的に含有しないと判断した。
(8)シワ欠点
連続製膜したポリエステルフィルムを、長さ4000mのロールとして搬送速度100m/minで巻き取る。巻き取られたロールにシワが発生しているか蛍光灯下で目視検査した。続いてフィルムを1m繰り出しフィンガーテンションをかけ、発生していたシワが消えるか蛍光灯下で目視検査し、フィンガーテンションで消えないシワを強レベルのシワ、消えるシワを弱レベルのシワとした。強レベルのシワが発生しているロールを不合格とし、10ロール検査した結果を、下記基準で判定した。
◎:10ロールのうち不合格ロールが2ロール以下かつ合格ロールのうち弱レベルのシワが発生したロールが3ロール以下
○:10ロールのうち不合格ロールが2ロール以下かつ合格ロールのうち弱レベルのシワが発生したロールが4ロール以上10ロール以下
△:10ロールのうち不合格ロールが3ロール以上4ロール以下
×:10ロールのうち不合格ロールが5ロール以上10ロール以下
(9)ツブ欠点
連続製膜したポリエステルフィルムを、長さ4000mのロールとして巻き取る。巻き取られたロール全周にツブ欠点(微細な突起)があるか蛍光灯下で目視検査した。発生したツブ欠点の山の裾から裾までの大きさを測定し、大きさ2.0mmを超えるものをT1欠点、大きさ0.5mmを超え2.0mm以下のものをT2欠点、大きさ0.5mm以下のものをT3欠点として、下記基準で判定した。
◎:T1欠点が0個、かつT2欠点が3個以下、かつT3欠点が6個以下
○:T1欠点が0個、かつT2欠点が5個以下、かつT3欠点が12個以下
△:T1欠点が2個以下、かつT2欠点が10個以下、かつT3欠点が20個以下
×:T1欠点が2個以上、またはT2欠点が10個以上、またはT3欠点が20個以上
(原料)
(ポリエステルAの作成)
テレフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として常法により重合を行い、実質的に粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートペレットを得た。得られたポリエチレンテレフタレートペレットの固有粘度は0.63dl/gであった。
(ポリエステルBの作成)
上記と同様にポリエステルを製造するにあたり、ポリエチレンテレフタレートに対する添加量が1.0重量%となるようにエチレングリコールに分散させたコロイダルシリカ(体積平均粒子径60nm)を添加し、シリカ含有ポリエチレンテレフタレートペレットを得た。得られたポリエチレンテレフタレートペレットの固有粘度は0.63dl/gであった。
(ポリエステルCの作成)
さらに別に、モノマーを吸着させる方法によって得たジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子(体積平均粒子径300nm)の水スラリーを、ポリエチレンテレフタレートに対する添加量が0.2重量%となるように、上記のポリエステルAにベント式二軸混練機を用いて含有させ、ジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子含有ポリエチレンテレフタレートペレットを得た。得られたポリエチレンテレフタレートペレットの固有粘度は0.63dl/gであった。
(ポリエステルDの作成)
ビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子の体積平均粒子径を450nm、添加量を1.0重量%とした以外は、ポリエステルCの作成と同様にして、ポリエステルDを作成した。得られたポリエチレンテレフタレートペレットの固有粘度は0.63dl/gであった。
(ポリエステルEの作成)
コロイダルシリカの体積平均粒子径を200nm、添加量を2.0重量%とした以外は、ポリエステルCの作成と同様にして、ポリエステルDを作成した。得られたポリエチレンテレフタレートペレットの固有粘度は0.63dl/gであった。
(実施例1)
各層について表1に示した配合で調合した原料の混合物を、120~140℃で1時間以上減圧乾燥した後、それぞれ別の押出機に供給した。275℃で溶融押出し、フィルターで濾過した後、3層用合流ブロックでA層/C層/B層となるように合流積層し、285℃に保ったスリットダイを介しキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸シートを得た。このとき、キャストドラムの表面温度は25℃とし、電荷密度Qを2mC/mとして静電印加することで密着冷却固化し、キャストドラムから剥離した直後の未延伸シートの温度は25℃~30℃であり、温度ムラは5℃であった。
この未延伸シートを相対する電極とアースロール間に導き、装置中に窒素ガスを導入し、処理強度(E値)が290W・min/mとなる条件で大気圧グロー放電処理をA層側の表面に施した。
この大気圧グロー放電処理後の未延伸シートを70~130℃の加熱ロールで予熱後、110~120℃で長手方向3.8倍に延伸し、続けて、20~50℃で一軸延伸後のフィルムを冷却させた。さらに、引き続いてステンタにて110~115℃の熱風下で幅方向に4.5倍延伸後、定張下、230℃で5秒間熱処理し、その後、幅方向に3.2%の弛緩処理を施し、厚さ16μm、フィルム幅1500mmの二軸配向ポリエステルフィルムの中間製品を得た。この中間製品をスリッターにて1000mm幅にスリットし、厚さ16μmの二軸配向ポリエステルフィルムのロールを得た。得られたフィルムロールの評価結果を表1に示す。シワ欠点、ツブ欠点抑制に優れるものであった。
(実施例2)
中間製品の幅を2000mmとし、フィルムロールの幅を表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの評価結果を表1に示す。シワ欠点、ツブ欠点抑制に優れるものであった。
(実施例3)
フィルム厚み、キャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸シート得る際に、静電印加する電荷密度Qを表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの評価結果を表1に示す。シワ欠点、ツブ欠点抑制に優れるものであった。
(実施例4)
大気圧グロー放電処理を施す処理強度(E値)を表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの評価結果を表1に示す。シワ欠点、ツブ欠点抑制に優れるものであった。
(実施例5~6)
キャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸シート得る際のキャストドラム温度、静電印加する電荷密度Qを表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの評価結果を表1に示す。実施例5ではシワ欠点、ツブ欠点に優れるものであった。一方、実施例6では、キャストドラムから剥離した直後の未延伸シートの温度が30℃~45℃であり、温度ムラは15℃と大きくなり、突起個数の変動率(Amax-Amin)/Aave×100(%)およびミクロなバラツキσ/A×100(%)が実施例1より大きくなり、シワ欠点抑制がやや悪化したが実用の範囲内であった。
(実施例7~10)
熱処理温度、熱処理時間を表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの評価結果を表1に示す。実施例7では、突起個数が実施例1より少なったこと、突起個数の変動率(Amax-Amin)/Aave×100(%)およびミクロなバラツキσ/A×100(%)が実施例1より大きくなったことにより、シワ欠点およびツブ欠点抑制がやや悪化したが実用の範囲内であった。一方、実施例8~10では、シワ欠点、ツブ欠点に優れるものであった。
(実施例11~12)
キャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸シート得る際に静電印加する電荷密度Qを表1に記載のように変更したこと、幅方向に延伸したフィルムを表1に記載のフィルム温度で冷却処理したこと以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの評価結果を表1に示す。シワ欠点、ツブ欠点抑制に優れるものであった。
(実施例13~15)
A層の原料を表1に記載のように変更したこと以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの評価結果を表1に示す。シワ欠点、ツブ欠点抑制に優れるものであった。
(比較例1)
大気圧グロー放電処理に代え、コロナ放電処理により処理強度E値220W・min/mでA層表面に処理を施したこと以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの評価結果を表1に示す。突起個数が減り、突起個数の変動率(Amax-Amin)/Aave×100(%)およびミクロなバラツキσ/A×100(%)が大きくなったことにより、シワ欠点、ツブ欠点抑制に劣るフィルムロールであった。コロナ放電処理では大気圧グロー放電処理のような均一な処理がなされず、突起形成がない箇所、突起形成が過度に進んだ箇所が散在したためと考えられる。
(比較例2)
キャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸シート得る際のキャストドラム温度、静電印加する電荷密度Qを表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムロールを得た。キャストドラムから未延伸積層シートを剥離する際、剥離不良が散発した。また、突起個数の変動率(Amax-Amin)/Aave×100(%)およびミクロなバラツキσ/A×100(%)が実施例1より大きくなり、シワ欠点抑制に劣るフィルムロールであった。
(比較例3)
大気圧グロー放電処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの評価結果を表1に示す。大気圧グロー放電処理を行わなかったため、突起個数が大幅に減少し、シワ欠点、ツブ欠点抑制に劣るフィルムロールであった。
(比較例4)
A層の原料を表1に記載のように変更したこと以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの評価結果を表1に示す。SRz(A)が大きく、とくにドライフィルムレジストといった電子情報機器の回路配線を製造する工程における加工性に劣るフィルムロールであった。
Figure 2023059127000001
Figure 2023059127000002
本発明のポリエステルフィルムは、平滑性、易滑性を有し、さらに巻き取り性も向上させたポリエステルフィルムロールを安定して提供でき、ドライフィルムレジストといった電子情報機器の回路配線や積層セラミックコンデンサーの製造に好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. フィルム全幅に対して中央位置および両端位置で50mm角サイズの試料を採取し、非接触光学式粗さ測定器により測定された、フィルムの一方の表面(A面)における、中央位置および両端位置における高さ20nmを超え50nm以下の突起個数A個/mmについて、次の(1)~(3)を満たすことを特徴とするポリエステルフィルム。
    (1)中央位置および両端位置における突起個数Aの平均である平均突起個数Aaveが50個/mm以上~700個/mm以下である。
    (2)中央位置および両端位置における突起個数Aのうちの最大値Amax、最小値Aminについて変動率(Amax-Amin)/Aave×100(%)が、0.1%以上30%以下である。
    (3)中央位置および両端位置における突起個数Aについてそれぞれの測定回数に対する突起個数Aのミクロなバラツキσ/A×100(%)が、1%以上175%以下である。
    ここで、前記突起個数Aは、中央位置および両端位置においてそれぞれ50mm角内でランダムに位置を変え、n=80測定を行い、その値をXi(i=1~80)としたときの、Xiの平均値をA、標準偏差をσとし、A=(X1+X2+X3+…+X80)/80、σ={(ΣXi-A)/80}0.5である。
  2. 前記A面を形成する層における粒子含有量が0重量%以上~1重量%以下であり、当該粒子の体積平均粒子径が10nm以上~80nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 前記A面を形成するA層と、他方の表面を形成するB層の少なくとも2層から構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  4. フィルムヘイズが1.0%以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. 前記A面の十点平均表面粗さSRz(A)が200nm以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  6. フィルム幅が1000mm以上であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載のポリエステルフィルムを巻き取ったポリエステルフィルムロール。
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