JP2024009760A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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【課題】ドライフィルムレジストを用いた回路作成における露光阻害を抑えることができ、かつ、平滑性とハンドリング性を有した二軸配向ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。【解決手段】表面(A)を有する層が体積平均粒子径150nmより大きい粒子を含有せず、当該表面(A)において、平均面からの突起高さが30nm以上80nm以下である突起密度が100個/mm2以上700個/mm2以下である二軸配向ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、表面に微細な突起を有する二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。
ドライフィルムレジスト(以下DFRと呼ぶ場合がある)は、プリント配線基板、半導体パッケージ、フレキシブル基板などの回路を形成するために用いられている。DFRは、感光層(フォトレジスト層)を、支持体としてのポリエステルフィルム上に積層させた後、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムなどからなる保護フィルム(カバーフィルム)で挟んだ構造をしている。このDFRを用いて導体回路を作成するには、一般的に次のような工程で行われる。
1)DFRから保護フィルムを剥離し、露出したレジスト層の表面と、基板上の銅箔などの導電性基材層の表面とが密着するように、基板・導電性基材層とラミネートする工程。
2)次に、導体回路パターンを焼き付けたフォトマスクを、ポリエステルフィルムからなる支持体上に置き、その上から、感光性樹脂を主体としたレジスト層に紫外線を照射して、露光させる工程。
3)その後、フォトマスクおよびポリエステルフィルムを剥離した後、溶剤によってレジスト層中の未反応分を溶解、除去する工程。
4)次いで、酸などでエッチングを行い、導電性基材層中の露出した部分を溶解、除去する工程。
4)の工程の後には、レジスト層中の光反応部分と、この光反応部分に対応する導電性基材層部分がそのまま残り、その後、残ったレジスト層を除去する工程を経て、基板上の導体回路が形成されることになる。このため、支持体であるポリエステルフィルムには、紫外線を効率的に透過できることが要求される。これにより、導体回路パターンが、正確にレジスト層上に反映される。特に、近年では、IT機器など小型化、軽量化などに伴い、プリント配線板の微細化、高密度化が進んでおり、配線の幅や配線の間隔が2~5μm程度といった微細パターンを形成し、高解像化を達成できるドライフィルムレジスト支持体用ポリエステルフィルムが要求されており、平滑性が重要になってきている。また、支持体としてのポリエステルフィルムは、支持体上にレジスト層を形成してレジストフィルムを製造する際のハンドリング性を良好にするために、適度なすべり性を有することが重要である。
上記の要求に応えるためには、フィルム表面の平滑性には影響を与えないが、易滑性を付与できる程度の突起を形成させることが有効であることが知られている。例えばフィルム表面に突起を形成させるために、コロイド状シリカに代表される実質的に球形のシリカ粒子を含有せしめたフィルムが知られている(特許文献1)。また、表面突起形成のための粒子を含有する薄膜層を基層に積層したポリエステルフィルムも知られている(特許文献2)。
特開昭59-171623号公報 特開平8-30958号公報
しかしながら、粒子をフィルムに多量に含有させると、粒子の凝集による粗大突起の形成や、粒子の脱落による工程汚染、または粒子起因の異物が発生してしまう問題や、添加粒子の光散乱の透過と反射でフォトマスク外のレジスト部分が光反応し、レジストの解像度を低下させてしまうという問題があった。本発明は上記事情に鑑み、平滑性とハンドリング性を有し、かつ、レジストへの露光阻害を低減した二軸配向ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
本発明は、以下の特徴を有する。
[I]表面(A)を有する層が体積平均粒子径150nmより大きい粒子を含有せず、当該表面(A)において、走査型白色干渉顕微鏡(VertScan)測定での平均面からの突起高さが30nm以上80nm以下である突起密度が100個/mm以上700個/mm以下である二軸配向ポリエステルフィルム
[II]前記表面(A)について走査型白色干渉顕微鏡(VertScan)測定での測定面積113μm×113μmにおいて、平均面から高さ3nmにおける前記突起の断面積が150μm以上600μm以下である[I]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[III]表面(A)を有する層の固有粘度が0.50以上0.63未満である、[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[IV]前記表面(A)とは反対側の表面(B)を有する層が実質的に粒子を含有せず、当該表面(B)において、平均面からの突起高さが10nm以上30nm未満である突起密度が500個/mm以上1500個/mm以下である、[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[V]ドライフィルムレジスト基材用フィルムとして用いられる[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
本発明によれば、露光阻害の影響を低減し、欠陥の少ないレジスト形成が達成され、かつ高平滑性と高ハンドリング性、レジストとの密着性、耐巻きじわ性を良好に維持したドライフィルムレジスト支持体に好適な二軸配向ポリエステルフィルムを提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明でいうポリエステルフィルムとは、ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムを示す。ここで主成分とは、フィルムの全成分100重量%において、50重量%を超えて含有している成分を示す。
本発明のポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸とジオール、およびそれらのエステル形成性誘導体を主たる構成成分とする単量体または低重合体からの重合により得られるポリエステルである。
ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸を用いることが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などであり、とくにはテレフタル酸が好ましい。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、イソフタル酸など他の芳香族ジカルボン酸、あるいは脂肪酸を一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコールなどを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとして、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体等を挙げることができ、とくに、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明に使用するポリエステルは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する方法や、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法などが採用できる。この際、必要に応じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などを用いることもできる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、二軸配向していることが必要である。二軸配向していることにより、フィルムの機械強度が向上し易滑性を向上させることができる。ここで言う二軸配向とは、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。二軸配向ポリエステルフィルムは、一般に未延伸状態のポリエステル樹脂シートをシート長手方向および幅方向に延伸し、その後熱処理を施し結晶配向を完了させることにより、得ることができる。詳しくは後述する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの片側の表面を表面(A)、表面(A)とは反対側の表面を表面(B)とすると、表面(A)を有する層と、表面(B)を有する層は同一の層でもよく、表面(A)を有する層と表面(B)を有する層の2層構成、または、表面(A)を有する層と表面(B)を有する層の間に中間層として実質的に粒子を含有しない層を設けた3層構成でもよい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは表面(A)を有する層が体積平均粒子径150nmより大きい粒子を含有しないことが必要である。より好ましくは100nm以下である。体積平均粒子径を150nm以下とすることで、ポリエステルフィルムにレジスト層を積層した後、紫外線を照射して露光するにあたって、ポリエステルフィルムによる紫外光線の散乱を抑えられ、現像後のレジストのパターニングに歪みや抜けがなく、レジストパターン壁面の状態をガタツキがなく平滑にすることができる。
なお、表面(A)を有する層には電子情報機器の回路配線を製造する工程における加工性を阻害しない範囲で体積平均粒子径150nm以下の粒子を含有させ、易滑性、巻き取り性を向上させてもよい。粒子含有量は表面(A)を有する層の重量に対して好ましくは0.1重量%以上~1重量%以下、より好ましくは0重量%~0.5重量%以下である。含有する粒子に関しては、無機粒子、有機粒子どちらを用いても良く、2種類以上の粒子を含有してもよい。無機粒子としては例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、アルミナ、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカなどが挙げられる。有機粒子としては例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などを構成成分とする有機粒子、コアシェル型有機粒子などが例示できる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは表面(A)の走査型白色干渉顕微鏡(VertScan)測定での平均面からの突起高さが30nm以上80nm以下である突起密度が100個/mm以上700個/mm以下であることが必要である。好ましくは300個/mm以上500個/mm以下である。突起高さ、突起密度は、後述の方法に従って、走査型白色干渉顕微鏡(VertScan)測定において測定される値である。DFRの基材フィルムは、搬送ロールやフィルム反対面など様々な面と接する。表面(A)の突起密度を上記の値とすることで、ハンドリング性(易滑性)が向上し、フィルムの帯電やキズの発生を抑制することができる。突起密度が100個/mm未満だとハンドリング性が低下し、フィルムの帯電やキズなどのフィルム欠点が問題になる場合があり、700個/mmより大きいと、フィルムの滑りが大きく搬送が安定せず、巻きずれやDFR加工工程での積層が乱れる場合がある。
また、走査型白色干渉顕微鏡(VertScan)測定での測定面積113μm×113μmにおいて、表面(A)の平均面から高さ3nmにおける前記突起の断面積が150μm以上600μm以下であることが好ましい。好ましくは300μm以上450μm以下である。突起の断面積を上記の値とすることでフィルムをロールにした際の空気抜け性が良く、押跡欠点やシワの発生を抑えることができる。150μm未満だとフィルム同士の密着性が上がり、シワが発生し、600μmを超えると空気抜け性が大きく、押跡欠点などが発生する場合がある。表面(A)の突起を上記の範囲とするための方法は特に限定されないが、後述する縦延伸でのフィルム温度、延伸ロールの表面粗さを調整する方法がある。
また、突起を効率的に形成させるため表面(A)を有する層のポリエステルの固有粘度(IV)は0.50以上0.63以下であることが好ましい。より好ましくは0.53以上0.59未満である。IVが0.50未満だと口金でのフィルム吐出状態が安定せず、厚みムラが悪化する傾向にあり、一方、IVが0.63より大きいと、突起を効率的に形成することができない場合がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは表面(B)を有する層が本発明の特性を損なわない範囲で、有機粒子または無機粒子、あるいはその両方を含有しても構わないが、露光性、レジストへのフィルム凹凸転写の観点で、実質的に粒子を含有しないことが好ましい。実質的に粒子を含有しないとは、表面(B)を有する層に対する粒子の含有量が500ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下、最も好ましくは10ppm以下である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは表面(B)において、走査型白色干渉顕微鏡(VertScan)測定での平均面からの突起高さが10nm以上30nm未満である突起密度が500個/mm以上1500個/mm以下であることが好ましい。好ましくは700個/mm以上1000個/mm以下である。表面の突起密度を上記の値とすることで、高密度で配列した微細突起によりフィルムに易滑性を持たせるとともに、レジストとポリエステルフィルムの密着性を向上させ、また、レジスト剥離性を向上させることができる。突起密度が500個/mm未満だと易滑性の低下およびレジスト剥離性が悪化する場合があり、1500個/mmより大きいとポリエステルフィルムとレジストとの密着性が悪化する場合があり、好ましくない。
フィルム表面の突起を上記の範囲とするための方法は特に限定されないが、未延伸シートに大気圧グロー放電によるプラズマ表面処理をした後、二軸延伸を行う方法が挙げられる。インラインでの製膜適応性や微細な突起の形成個数の観点からは、大気圧グロー放電によるプラズマ処理を行い二軸延伸することがより好ましい。ここでいう大気圧とは700Torr~780Torrの範囲である。大気圧グロー放電処理は、相対する電極とアースロール間に処理対象のフィルムを導き、装置中にプラズマ励起性気体を導入し、電極間に高周波電圧を印加することにより、該気体をプラズマ励起させ電極間においてグロー放電を行うものである。これによりフィルム表面が微細に加工(アッシング)され突起が形成する。
プラズマ励起性気体とは前記のような条件においてプラズマ励起されうる気体をいう。プラズマ励起性気体としては、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガス、窒素、二酸化炭素、酸素、またはテトラフルオロメタンのようなフロン類およびそれらの混合物などが挙げられる。また、プラズマ励起性気体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の混合比で組み合わせてもよい。プラズマによって励起された場合に活性が高くなる観点から、アルゴン、酸素、二酸化炭素のうちの少なくとも1種に加え、酸素を含むことが好ましい。
プラズマ処理における高周波電圧の周波数は1kHz~100kHzの範囲が好ましい。また、以下方法で求められる放電処理強度(E値)は、10~2000W・min/mの範囲で処理することが突起形成の観点から好ましく、より好ましくは50~1000W・min/mである。放電処理強度(E値)が10W・min/m以上であることにより、突起を十分に形成でき、放電処理強度(E値)が2000W・min/m以下であることにより、ポリエステルフィルムに過度なダメージを与え、製膜性が悪化することを抑制できる。
<放電処理強度(E値)の求め方>
E=Vp×Ip/(S×Wt)
E:E値(W・min/m
Vp:印加電圧(V)
Ip:印加電流(A)
S:処理速度(m/min)
Wt:処理幅(m)。
表面処理を施す際のフィルムの表面温度は150℃以下にすることが好ましい。更に好ましくは100℃以下である。表面温度が150℃よりも大きいとフィルムの結晶化が進行し、表面に粗大突起が形成したり、フィルム中の分子鎖の運動性が高くなり表面処理によってフィルムにダメージを与えたりする場合がある。表面処理を施す際のフィルムの表面温度は、フィルム中の分子鎖の運動性が低くなりなりすぎず処理効果を高める観点から、25℃以上であることが好ましい。表面処理を施す際のフィルムの表面温度は、処理面と反対側の面を冷却ロール等で冷却することで調整することができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムヘイズは1.0%以下であることが好ましい。より好ましくは0.5%以下である。フィルムヘイズが1.0%より大きいと、ポリエステルフィルムにレジスト層を積層した後、紫外線を照射して露光するにあたってのレジスト層の支持体であるポリエステルフィルムによる紫外光線の散乱が大きくなるため、現像後のレジストのパターニングに歪みや、抜け、レジスタパターン壁面の状態が悪化する場合や、ポリエステルフィルムの透過率が阻害される場合がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの厚みが10μm以上100μm以下であることが好ましい。特に好ましくは12μm以上40μm以下である。フィルムの厚みを10μm以上とすることで、加工工程での取り扱いが容易となる程度の強度を有することができ、100μm以下とすることで、ヘイズ値が良好となる。
次に本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。但し、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムはこれに限定されない。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、必要に応じて乾燥した原料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)を使用することができる。2層以上の積層ポリエステルフィルムを溶融キャスト法により製造する場合、積層ポリエステルフィルムを構成する層毎に押出機を用い、各層の原料を溶融せしめ、これらを押出装置と口金の間に設けられた合流装置にて溶融状態で積層したのち口金に導き、口金からキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(共押出法)が好適に用いられる。該積層シートを、冷却されたキャストドラム上に密着冷却固化し、未延伸シートを作製する。
次いで、得られた未延伸シートに大気圧グロー放電によるプラズマ処理を施す。この表面処理は未延伸シートを得た直後でも、微延伸を施した後でも、縦および/又は横方向に延伸した後でも良いが、本発明では未延伸シートに表面処理することが好ましい。
その後、二軸延伸し、二軸配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法又は同時二軸延伸法を用いることができる。最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法が、延伸破れなく本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得るのに有効である。
未延伸シートを二軸延伸する場合の延伸条件に関しては特に制限されるものでは無いが、長手方向の延伸としては、未延伸シートを加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちシートの進行方向)に延伸し、20~50℃の温度のロール群で冷却することが好ましい。また、長手方向の延伸倍率の好ましい範囲は3倍~5倍である。より好ましい範囲としては3倍~4倍である。長手方向の延伸倍率が3倍以上であることにより、配向結晶化が進みフィルム強度を向上できる。一方で、延伸倍率が5倍以下であることにより、延伸に伴うポリエステル樹脂の配向結晶化が過剰に進行し脆くなったり、製膜時の破れが発生したりすることを抑制できる。長手方向の延伸はロールの周速差によって行われ、延伸ロールについては表面粗さがRmax1.0μm以下であり、延伸時のフィルム温度は表面(A)を有する層のポリエステル樹脂のガラス転移温度より15~50℃高温であることが表面(A)の突起形成の観点で好ましい。
続いて、長手方向に直角な方向(幅方向)の延伸に関しては、フィルムの両端(エッジ部)をクリップで把持しながらテンターに導き、70~160℃の温度に加熱された雰囲気中にて、長手方向に直角な方向(幅方向)へ3倍~5倍延伸する。この時、幅方向に延伸したフィルムを一段目80℃以上100℃以下、二段目20℃以上55℃以下のフィルム温度に段階的に冷却する冷却処理を行ってもよい。ポリエステルフィルムの冷却方法は、熱処理を行うテンターによる空冷方法、熱処理領域の上下にアルミ板などの遮蔽板で熱風を遮断する空冷方法、ロールによる冷却方法等が挙げられる。冷却処理を施すことは、続く熱処理工程において過度に結晶が肥大化することを防ぎ、均一な突起形成を促すことができ好ましい。
その後、延伸されたフィルムを熱処理し内部の配向構造の安定化を行うことが好ましく、テンター内の最高温度を200℃以上250℃以下とし、熱処理時間0.5秒以上20秒未満で熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度が200℃以上であることにより、前記、大気圧グロー放電処理により形成された突起を十分に成長でき、好ましい範囲の突起を形成することができる。一方250℃以下で熱処理を施すことにより、フィルム強度が低下し破れが多発することを抑制でき、生産性を向上できる。同様の観点からより好ましい範囲としては220℃以上245℃以下である。また、テンター内の局所的な温度変化が生じると突起形成にばらつきが生じやすくなるが、熱処理時間を長くとすることで突起の十分な成長を促し、局所的な温度変化の影響を緩和できるため、熱処理時間は0.5秒以上が好ましく、より好ましくは2秒以上である。熱処理時間を20秒以下とすることで、フィルム強度が低下し破れが多発することを抑制でき、生産性を向上できるため好ましく、より好ましくは12秒以下である。更に熱処理した後に寸法安定性を付与することを目的として、0%以上6%以下の範囲でリラックス処理を行ってもよい。
延伸倍率は、長手方向と幅方向それぞれ3~5倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9~22倍であることが好ましく、9~20倍であることがより好ましい。面積倍率が9倍以上であることにより、得られる二軸延伸シートの耐久性を向上でき、面積倍率が22倍以下であることにより延伸時における破れの発生を低減できる。
得られた二軸延伸後のフィルムは、搬送工程にて冷却させた後、エッジ部を切断後巻取る。また、必要に応じてスリット工程により適切な幅・長さにスリットして巻き取り、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムロールが得られる。
こうして得られる本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、平滑性、ハンドリング性を有し、さらに露光阻害の影響を低減できるため、ドライフィルムレジストといった電子情報機器を製造する工程に好適に用いることができる。
以下、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について、実施例に基づきより具体的に説明する。なお、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法はこれらの実施例によって限定されるものではない。各実施例の記述に先立ち、実施例で採用した諸特性の測定方法を記載する。
<諸特性の測定方法>
(1) 突起密度、突起の断面積
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムより6cm×6cmのサンプリングを行い、それぞれのサンプルについて、走査型白色干渉顕微鏡( 装置:日立ハイテクサイエンス社製“VertScan”(登録商標)VS1540)を用い、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおける前記表面を、50倍対物レンズを使用し、測定モードをWAVEモードに設定し、測定面積113μm×113μmで30視野測定を行った。サンプルセットは、測定Y軸がサンプルフィルムの長手方向(長手方向とは、フィルムの製造工程においてフィルムが走行する方向)となるようにサンプルをステージにセットして測定した。また測定するサンプルフィルムは、ゴムパッキンの入った2枚の金属フレームに挟み込むことで、フレーム内のフィルムが張った状態(サンプルのたるみやカールを除した状態)にしてサンプル表面の測定を行う。
得られた顕微鏡像について、該顕微鏡に内蔵された表面解析ソフトウェアVS-Viewer Version 10.0.3.0にて、下記条件にて粒子解析を行い、3nmの高さ閾値(高さ閾値設定値:0.003μm)にて検出した「粒子解析」画面に表示される粒子の個数(個)を測定面積(113μm×113μm)で割ることで突起密度(個/mm)とした。粒子の個数(個)については、表面(A)は平均面からの突起高さが30nm以上80nm以下、表面(B)は平均面からの突起高さが10nm以上30nm未満の個数を使用した。突起の断面積(μm)については表面(A)について平均面からの突起高さが30nm以上80nm以下である突起について平均面から3nmの高さにおける突起の断面積(μm)とした。それぞれ測定面積113μm×113μmで30視野測定し、算出された値を30で割って平均値を用いた。
30視野すべてにおいて同様の操作を行い、それらの平均値を表面(A)については突起密度A(個/mm)、突起の断面積A(μm)、表面(B)については突起密度B(個/mm)とした。
(粒子解析条件)
・補間処理 : 完全補間
・フィルタ処理: メジアン(3×3ピクセル)
・面補正 : 4次
(粒子解析条件)
・解析種類 : 突解析
・画像補正 : なし
・処理
高さ閾値 : 0.003μm
粒子整形 : なし
基準高さ : ゼロ面(平均面)
・判定対象
高さ/深さ : -10000μm ≦ h ≦ 10000μm
最長径 : -10000μm ≦ d ≦ 10000μm
体積 : V ≧ 0.0000μm
アスペクト比: r ≧ 0.0000
・ヒストグラム: 分割数 50。
(基準高さ:ゼロ面(平均面))
前記、基準高さ設定における「ゼロ面(平均面)」としては、前述の方法により顕微鏡像観察を行い、前述の画像処理を施した得られる測定画像(113μm×113μm)において、以下の式より自動的に求まる「高さの平均値(Ave)」の平面を用いる。
Figure 2024009760000001
・lx:前述の画像処理を行った各測定画像におけるX方向の範囲長さ
・ly:前述の画像処理を行った各測定画像におけるY方向の範囲長さ
・h(x,y):前述の画像処理を行った測定画像内の各画像点(x,y)における高さ
(2)粒子の体積平均粒子径
フィルムからポリマーをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させた。処理条件は、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択した。処理後の試料を走査型電子顕微鏡(SEM;株式会社日立製作所製 S-4000型)で観察し、粒子画像をイメージアナライザ(株式会社ニレコ製 LUZEX_AP)に取り込み、等価円相当径を測定し、粒子の体積平均粒子径を求めた。SEMの倍率は粒子径により、5000~20000倍から適宜選択した。任意に観察箇所を変えて、少なくとも粒子数400個の粒子の等価円相当径を測定し、体積平均粒子径を求めた。なお、粒子の体積平均粒子径を測定する際に、SEMおよびTEMで観察した際に5000倍で10視野確認しても、粒子が認められなかった場合には、粒子を実質的に含有しないと判断した。
(3)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、下記式(A)で計算した値を用いた。
式(A) ηsp/C=[η]+K[η]2×C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)-1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする。)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示す。
(4)フィルムのヘイズ
JIS K7105-1981に準じ、フィルム幅方向の中央部から、長手4.0cm×幅3.5cmの寸法に切り出したものをサンプルとし、ヘイズを、ヘイズメータ(スガ試験機製HGM-2DP(C光源用))を用いて測定する。
(5)ガラス転移温度Tg
JIS-K-7122(1987年)に従って、示差走査熱量測定(DSC)により測定した。測定装置にはセイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC-RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いた。具体的な手順は以下の通りである。先ず、サンプル約5mgをアルミニウム製受皿上で25℃から300℃まで5℃/minで昇温(第一の昇温)した後、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下となるよう装置外へ取り出して急冷した。引き続いて、再度室温から5℃/minの昇温速度で300℃まで昇温(第二の昇温)を行った。得られた示差走査熱量測定チャート(第二の昇温カーブ)を用いて、中間点ガラス転移温度Tgを求めた。
(6)フィルム表面温度
フィルム表面温度はフィルム幅方向中央部の温度をキーエンス社製放射温度計(IT 2-100)にて、フィルム面に垂直な方向より、フィルム面から50cmの距離から測定した。
(7)ロール表面粗さ
JIS B 0601に準拠し、Kosaka Lab製表面粗さ計(サーフコーダSE - 400)を用いて送り速さ0.1mm/s、測定長5.0mm、カットオフ値0.8mmでRmaxを測定した。
(8)フィルム厚み
フィルム厚みは、ダイヤルゲージを用い、JIS K7130(1992年)A-2法に準じて、フィルムを10枚重ねた状態で任意の5ヶ所について厚さを測定した。その平均値を10で除した値をサンプルのフィルム厚みとした。
(9)フォトレジスト評価
(i)レジスト配線パターン作成
以下a.からc.の方法により分割縮小露光法を用いたレジスト評価を行う。
a.片面鏡面研磨した6インチSiウエハー上に、東京応化(株)製のネガレジスト“PMERN-HC600”を塗布し、大型スピナーで回転させることによって厚み7μmのレジスト層を作製する。次いで、窒素循環の通風オーブンを用いて70℃の温度条件で約20分間の前熱処理を行う。
b.本発明のポリエステルフィルムの表面(B)をレジスト部材と接触するように重ね、ゴム製のローラーを用いて、レジスト層上にポリエステルフィルムをラミネートし、ラミネート状態を後述の(ii)に記載の通り確認し、その上に、クロム金属でパターニングされたレチクルを配置し、そのレクチル上から投影レンズを具備したi線(波長365nmにピークをもつ紫外線)ステッパーを用いた分割縮小露光を行う。
c.レジスト層からポリエステルフィルムを剥離した後、現像液N-A5が入った容器にレジスト層を入れ約1分間の現像を行う。その後、現像液から取り出し、水で約1分間の洗浄を行う。現像後に作成されたレジスト配線パターンのL/S(μm)(Line and Space)=5/5μmの30本の状態を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて約800~3000倍率で観察する。
(ii)レジスト欠点抑制評価
前項(i)にて観察した30本のレジストパターンに関して、配線が1.5μm以上のサイズで失われた(配線欠点)本数を確認し、フィルムのレジスト欠点抑制を下記の通り評価する。〇または△を合格とした。
〇:欠けのある本数が3本以下。
△:欠けのある本数が4本以上10本未満。
×:欠けのある本数が10本以上。
(iii)レジスト部材密着性評価
前記(i)に記載の方法にて作成したラミネートサンプル30枚用意し、各サンプルの5ヶ所を光学顕微鏡にて50倍観察を行い、貼り合わせ時に生じる気泡数をカウントし、レジスト部材との密着性を以下の通り評価した。◎、〇、△を合格とした。
◎:気泡の確認できるサンプルが2枚以下。
〇:気泡の確認できるサンプルが3枚以上5枚未満。
△:気泡の確認できるサンプルが5枚以上8枚未満。
×:気泡の確認できるサンプルが8枚以上。
(iv)レジスト層剥離性
前記c.におけるレジスト層からポリエステルフィルムを引っ張り試験器で剥離した際のレジスト層の表面状態を観察する。剥離する際のポリエステルフィルムとレジストの積層体の大きさは15mm長さ50mmとする。◎、〇、△を合格とした。
◎:キズの個数が2個以下。
〇:キズの個数が3個以上5個未満。
△:キズの個数が5個以上10個未満。
×:キズの個数が10個以上。
(10)レジストフィルムのハンドリング性
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを支持体として、表面(B)側にネガ型感光性樹脂からなるレジスト層をコーティングにより形成し、レジストフィルムを作製した。レジストフィルム製造時のハンドリング性としてすべり性の評価は、以下の基準に従った。〇または△を合格とした。
○:適正なすべり性を有し、ハンドリング性が良好。
△:すべり性が悪く、ハンドリング性に劣る。
×:適正なすべり性がないため、ハンドリング困難(生産適用不可)。
(11)シワ欠点
連続製膜したポリエステルフィルムを、長さ4000mのロールとして搬送速度100m/minで巻き取る。巻き取られたロールにシワが発生しているか蛍光灯下で目視検査した。続いてフィルムを1m繰り出しフィンガーテンションをかけ、発生していたシワが消えるか蛍光灯下で目視検査し、フィンガーテンションで消えないシワを強レベルのシワ、消えるシワを弱レベルのシワとした。強レベルのシワが発生しているロールを不合格とし、10ロール検査した結果を、下記基準で判定した。◎、〇、△を合格とした。
◎:10ロールのうち不合格ロールが無く、かつ合格ロールのうち弱レベルのシワが発生したロールが2ロール以下。
〇:10ロールのうち不合格ロールが無く、かつ合格ロールのうち弱レベルのシワが発生したロールが3ロール以上4ロール以下。
△:10ロールのうち不合格ロールが2ロール以下かつ合格ロールのうち弱レベルのシワが発生したロールが5ロール以上10ロール以下。
×:10ロールのうち不合格ロールが3ロール以上。
(12)ロール押跡欠点
前記(11)項にて採取した10本のロールに関して、周期的に現れ、かつ欠点部に異物が存在しない押跡欠点の発生有無を確認し、欠点が発生したロールの本数から下記の通り評価した。◎、〇、△を合格とした。
◎:10本のロールの内、押跡欠点が発生したロールが1本以下。
〇:10本のロールの内、押跡欠点が発生したロールが2本。
△:10本のロールの内、押跡欠点が発生したロールが3本以上4本以下。
×:10本のロールの内、押跡欠点が発生したロールが5本以上。
(13)厚みムラ
アンリツ株式会社製フィルムシックネステスター「KG601A」および電子マイクロメータ「K306C」を用い、フィルムの縦方向に30mm幅、10m長にサンプリングしたフィルムの厚みを連続的に測定した。フィルムの搬送速度は3m/分とした。10m長での厚み最大値Tmax(μm)、最小値Tmin(μm)から、R(Tmax-Tmin)を求め、Rと10m長の平均厚みTave(μm)から、下記式(B)により厚みムラ(%)を求めた。得られた厚みムラの値を用いて下記の基準で評価し、◎、〇、△を合格とした。
式(B) 厚みムラ(%)=(R/Tave)x100
◎:厚みムラが1.0%未満。
〇:厚みムラが1.0%以上2.0%未満。
△:厚みムラが2.0%以上3.0%未満。
×:厚みムラが3.0%以上。
[特性の評価方法]
(原料)
(ポリエステルAの作成)
テレフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として常法により重合を行い、実質的に粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートペレットを得た。得られたポリエチレンテレフタレートペレットの固有粘度は0.55dl/g、ガラス転移温度は78℃であった。
(ポリエステルBの作成)
上記と同様にポリエステルを製造するにあたり、ポリエチレンテレフタレートに対する添加量が0.5重量%となるようにエチレングリコールに分散させたコロイダルシリカ(体積平均粒子径60nm)を添加し、シリカ含有ポリエチレンテレフタレートペレットを得た。得られたポリエチレンテレフタレートペレットの固有粘度は0.54dl/g、ガラス転移温度は78℃であった。
(ポリエステルCの作成)
コロイダルシリカの体積平均粒子径を200nm、添加量を2.0重量%とした以外は、ポリエステルBの作成と同様にして、ポリエステルCを作成した。固有粘度は0.54dl/g、ガラス転移温度は78℃であった。
(ポリエステルD、E、F,Gの作成)
固有粘度を0.49dl/g(ポリエステルD)、0.51dl/g(ポリエステルE)、0.61dl/g(ポリエステルF)、0.64dl/g(ポリエステルG)とした以外は、ポリエステルBの作成と同様して、ポリエステルD、E、F、Gを作成した。ガラス転移温度はすべて78℃であった。
(ポリエステルHの作成)
記と同様にポリエステルを製造するにあたり、ポリエチレンテレフタレートに対する添加量が1.5重量%となるようにエチレングリコールに分散させたアルミナ粒子(体積平均粒子径100nm)を添加し、アルミナ含有ポリエチレンテレフタレートペレットを得た。得られたポリエチレンテレフタレートペレットの固有粘度は0.54dl/g、ガラス転移温度は78℃であった。
(実施例1)
各層について表1に示したポリエステルを、120~140℃で1時間以上減圧乾燥した後、それぞれ別の押出機に供給した。275℃で溶融押出し、フィルターで濾過した後、3層用合流ブロックで(表面Aを有する層)/(中間層)/(表面Bを有する層)となるように合流積層し、285℃に保ったスリットダイを介し表面温度25℃に保たれたキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸シートを得た。このとき、キャストドラムの表面温度は25℃とした。
この未延伸シートを相対する電極とアースロール間に導き、装置中に窒素ガスを導入し、処理強度(E値)が500W・min/mとなる条件で大気圧グロー放電処理を表面(B)に施した。
この大気圧グロー放電処理後の未延伸シートを70~130℃の加熱ロールで予熱後、表1に示すフィルム温度、延伸ロールの表面粗さで長手方向3.3倍に延伸し、続けて、20~50℃で一軸延伸後のフィルムを冷却させた。さらに、引き続いてステンタにて110~115℃の熱風下で幅方向に4.3倍延伸後、定張下、230℃で5秒間熱処理し、その後、幅方向に3.2%の弛緩処理を施し、厚さ16μmの二軸配向ポリエステルフィルムの中間製品を得た。この中間製品をスリッターにて1000mm幅にスリットし、厚さ16μmの二軸配向ポリエステルフィルムのロールを得た。得られたフィルムロールの評価結果を表1に示す。
(実施例2~15、比較例1~3)
各層のポリエステル樹脂、層構成、フィルム厚み、大気圧グロー放電処理の処理強度(E値)、未延伸シート延伸時の延伸ロール表面粗さ、フィルム温度を表1、2、3の通りとしたこと以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムのロールを得た。評価結果を表1、2、3に示す。なお、実施例3については単層構造である。
Figure 2024009760000002
Figure 2024009760000003
Figure 2024009760000004
本発明のポリエステルフィルムは、露光阻害の影響を低減した欠陥の少ないレジスト形成が可能であり、かつ高平滑性と高ハンドリング性を有しているため、ドライフィルムレジスト支持体に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 表面(A)を有する層が体積平均粒子径150nmより大きい粒子を含有せず、当該表面(A)において、走査型白色干渉顕微鏡(VertScan)測定での平均面からの突起高さが30nm以上80nm以下である突起密度が100個/mm以上700個/mm以下である二軸配向ポリエステルフィルム
  2. 前記表面(A)について走査型白色干渉顕微鏡(VertScan)測定での測定面積113μm×113μmにおいて、平均面から高さ3nmにおける前記突起の断面積が150μm以上600μm以下である請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 表面(A)を有する層の固有粘度が0.50以上0.63未満である、請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 前記表面(A)とは反対側の表面(B)を有する層が実質的に粒子を含有せず、当該表面(B)において、平均面からの突起高さが10nm以上30nm未満である突起密度が500個/mm以上1500個/mm以下である、請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. ドライフィルムレジスト基材用フィルムとして用いられる請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
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