JP2022052031A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】巻取り性と光学特性に優れる二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】少なくとも片側の表面(A面)が、基準面から高さ3nmにおける断面積が2μm2以上10μm2以下の突起を50個/mm2以上5000個/mm2以下有する二軸配向ポリエステルフィルム。【選択図】なし
Description
本発明は、高平滑な表面を有し、光学特性に優れながらも、フィルム巻取り性に優れる二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。
熱可塑性樹脂はその加工性の良さから、様々な工業分野に利用されている。また、これら熱可塑性樹脂をフィルム状に加工した製品は工業用途、光学製品用途、包装用途、磁気記録テープ用途など今日の生活において重要な役割を果たしている。近年、電子情報機器において、小型化、高集積化が進み、それに伴って、電子情報機器の配線作製に用いられるフィルムには加工性の向上が求められている。特に、電子情報機器の配線作製には、フィルム表面に他の素材を積層させ、フィルムごとフォトレジストなどの光学的な加工を施す手法が多く採られており、次世代製品では配線幅が2~5μmと非常に精細な加工を行うことが必要となってくる。このため、次世代製品の配線作製に用いられるフィルムには透明性を保持しレジスト用レーザー光の光散乱を低減することでレジスト欠点を防ぐと共に、フィルムの平滑性を高めることで描写配線端部の直線性を向上することが必要となってくる。
一般に、二軸配向ポリエステルフィルムは製膜した後、ロール状に巻き取られる。この時、フィルム表面が平滑すぎるとフィルム同士が密着するため、フィルムの巻取り性や搬送性が悪化する。そのため、フィルムの巻取り性や搬送性を担保するためにフィルムに粒子を添加・含有させることで、フィルム表面を一定程度荒らす(フィルム表面に突起を形成させる)方法が知られている。添加する粒子の量を低減させたり、添加粒子の粒径を小径化したりすることでフィルムの光学特性と平滑性を両立して高めることができる。しかし、その一方でフィルム製造・加工を行う際の巻取り工程にて突起高さの高い突起部が存在しないとフィルムが密着し、シワや擦り傷が生じることで品位が低下することがある。
かかる課題に対して、例えば特許文献1では、フィルム表面に粒子を含有しないコート層を設ける技術が、特許文献2では、多層構造のポリエステルフィルムの表層側に粒子を添加することで、内部異物による光学欠点を抑制する技術が技術公開されている。
しかしながら、特許文献1や2に記載されているような粒子やコーティングを用いてフィルム表面を荒らす場合、添加する粒子やコート層樹脂との屈折率差が生じることで光学特性が低下する場合がある。中でもコート層を設ける場合、コート表面は非常に平滑であるため、巻取り性を獲得するためにはコート層とは反対のフィルム表面を有する層に非常に大きな粒子を添加する必要が生じるため、更に光学特性が落ちることが課題となる。
本発明者らが鋭意検討したところ、上記の課題を解決するためには、フィルムの少なくとも片側表面が特定の高さの突起を特定の頻度で有し、且つ突起の断面積を制御することで突起がつぶれにくくなり、巻きシワの発生を抑制することができ、巻取り性と光学特性を両立できることが判った。本発明は上記事情に鑑み、巻取り性と光学特性に優れる二軸配向ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を取る。
[I]少なくとも片側の表面(A面)が、基準面から高さ3nmにおける断面積が2μm2以上10μm2以下の突起を50個/mm2以上5000個/mm2以下有する二軸配向ポリエステルフィルム。
[II]前記A面のクルトシスSkuが50~300である[I]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[III]前記A面が、基準面から高さ3nmにおける断面積が10μm2より大きい突起が1000個/mm2以下である[I]あるいは[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[IV]前記A面が、高さ10nm以上50nm以下の突起を500個/mm2以上有する[I]~[III]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[V]前記A面が、高さ50nmより大きい突起が30個/mm2以下である[I]~[IV]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[VI]前記A面の算術平均粗さSaが0.40nm以上1.30nm以下である[I]~[V]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[VII]前記A面の反対側のフィルム表面を有する層が粒子を含有しており、当該層に含有する粒子の粒度分布を測定し、横軸に粒子径、縦軸に粒子の存在比率をプロットしたとき、粒子径100~500nm範囲に少なくとも1つ以上の極大値を持つ[I]~[VI]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム
[VIII]ドライフィルムレジスト支持体用フィルムとして用いられる[I]~[VII]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[I]少なくとも片側の表面(A面)が、基準面から高さ3nmにおける断面積が2μm2以上10μm2以下の突起を50個/mm2以上5000個/mm2以下有する二軸配向ポリエステルフィルム。
[II]前記A面のクルトシスSkuが50~300である[I]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[III]前記A面が、基準面から高さ3nmにおける断面積が10μm2より大きい突起が1000個/mm2以下である[I]あるいは[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[IV]前記A面が、高さ10nm以上50nm以下の突起を500個/mm2以上有する[I]~[III]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[V]前記A面が、高さ50nmより大きい突起が30個/mm2以下である[I]~[IV]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[VI]前記A面の算術平均粗さSaが0.40nm以上1.30nm以下である[I]~[V]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[VII]前記A面の反対側のフィルム表面を有する層が粒子を含有しており、当該層に含有する粒子の粒度分布を測定し、横軸に粒子径、縦軸に粒子の存在比率をプロットしたとき、粒子径100~500nm範囲に少なくとも1つ以上の極大値を持つ[I]~[VI]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム
[VIII]ドライフィルムレジスト支持体用フィルムとして用いられる[I]~[VII]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、良好な光学特性と巻取り性を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で言うポリエステルフィルムとは、ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムを示す。ここでいう主成分とはフィルムの全成分100重量%において、50重量%を超えて含有している成分を示す。
本発明で言うポリエステルフィルムとは、ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムを示す。ここでいう主成分とはフィルムの全成分100重量%において、50重量%を超えて含有している成分を示す。
また、本発明で言うポリエステル樹脂はジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を重縮合してなるものである。なお、本明細書内において、構成成分とはポリエステルを加水分解することで得ることが可能な最小単位のことを示す。
かかるポリエステルを構成するジカルボン酸構成成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。
また、かかるポリエステルを構成するジオール構成成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環式ジオール類、上述のジオールが複数個連なったものなどが挙げられる。
本発明において用いられるポリエステル樹脂としては、機械特性、透明性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、およびPETのジカルボン酸成分の一部にイソフタル酸やナフタレンジカルボン酸を共重合したもの、PETのジオール成分の一部にシクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、ジエチレングリコールを共重合したポリエステルが好適に用いられ、その中でも特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、二軸配向していることが必要である。二軸配向していることにより、フィルムの機械強度が向上し易滑性を向上させることができる。ここで言う二軸配向とは、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。二軸配向ポリエステルフィルムは、一般に未延伸状態のポリエステル樹脂シートをシート長手方向および幅方向に延伸し、その後熱処理を施し結晶配向を完了させることにより、得ることができる。詳しくは後述する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも片側の表面が、基準面から高さ3nmにおける断面積が2μm2以上10μm2以下の突起個数をAとした場合、突起個数A(個/mm2)が50個/mm2以上5000個/mm2以下であることが必要である。好ましくは50個/mm2以上2000個/mm2以下であり、更に好ましくは60個/mm2以上500個/mm2以下である(なお、以降、基準面から高さ3nmにおける断面積が2μm2以上10μm2以下の突起個数A(個/mm2)が50個/mm2以上5000個/mm2以下であるフィルム表面をA面という場合がある。)。突起個数A(個/mm2)は、後述の方法に従って、走査型白色干渉顕微鏡(VertScan)測定において測定される値である。
本発明における突起個数A(個/mm2)は、フィルム同士が接触しても潰れにくい突起の個数を反映している。突起がつぶれにくくなることで巻きシワを防止することができ、巻き取り性が向上する。突起個数A(個/mm2)が5000個/mm2より大きい場合、粗大な突起が増加することで、後述するフォトレジストによる微細配線レジスト性が低下する場合がある。突起個数A(個/mm2)が50個/mm2より小さい場合、フィルムが平坦になり、なおかつ潰れにくい突起が少なくなることで他の面との接触面積が増加し巻きシワが発生する場合がある。
本発明のポリエステルフィルムの前記表面において、突起個数A(個/mm2)を上記の範囲とするための方法は例えば、ナノインプリントのようにモールドを用いて表面に形状を転写させる方法、未延伸シートに大気圧グロー放電によるプラズマ表面処理をした後、二軸延伸を行う方法などが挙げられる。インラインでの製膜適応性や微細な突起の形成個数の観点からは、大気圧グロー放電によるプラズマ処理を行い二軸延伸することが好ましく、縦延伸方式は多段延伸であることが好ましい。ここでいう大気圧とは700Torr~780Torrの範囲である。大気圧グロー放電処理は、相対する電極とアースロール間に処理対象のフィルムを導き、装置中にプラズマ励起性気体を導入し、電極間に高周波電圧を印加することにより、該気体をプラズマ励起させ電極間においてグロー放電を行うものである。これによりフィルム表面が微細に加工(アッシング)され突起が形成する。
プラズマ励起性気体とは前記のような条件においてプラズマ励起されうる気体をいう。プラズマ励起性気体としては、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガス、窒素、二酸化炭素、酸素、またはテトラフルオロメタンのようなフロン類およびそれらの混合物などが挙げられる。また、プラズマ励起性気体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の混合比で組み合わせてもよい。
プラズマ処理における高周波電圧の周波数は1kHz~100kHzの範囲が好ましい。また、以下方法で求められる放電処理強度(E値)は、10~1000W・min/m2の範囲で処理することが突起形成の観点から好ましく、より好ましくは100~500W・min/m2である。放電処理強度(E値)が低すぎると、突起が十分に形成されない場合があり、放電処理強度(E値)が高すぎると、ポリエステルフィルムにダメージを与えて異物が形成する場合がある。
<放電処理強度(E値)の求め方>
E=Vp×Ip/(S×Wt)
E:E値(W・min/m2)
Vp:印加電圧(V)
Ip:印加電流(A)
S:処理速度(m/min)
Wt:処理幅(m)
一般的に、大気圧グロー放電処理によってポリエステルフィルム、とくにPETやPENのように非晶部と結晶部を持つフィルムの表面をアッシングする場合、柔らかい非晶部からアッシングされていく。結晶部と非晶部を細分化させることで、大気圧グロー放電処理することでより微細な突起を形成することができ、また、結晶部を増やしておくことで柔らかい非晶部が深く削れることで突起高さを高くすることが可能となる。
<放電処理強度(E値)の求め方>
E=Vp×Ip/(S×Wt)
E:E値(W・min/m2)
Vp:印加電圧(V)
Ip:印加電流(A)
S:処理速度(m/min)
Wt:処理幅(m)
一般的に、大気圧グロー放電処理によってポリエステルフィルム、とくにPETやPENのように非晶部と結晶部を持つフィルムの表面をアッシングする場合、柔らかい非晶部からアッシングされていく。結晶部と非晶部を細分化させることで、大気圧グロー放電処理することでより微細な突起を形成することができ、また、結晶部を増やしておくことで柔らかい非晶部が深く削れることで突起高さを高くすることが可能となる。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前記A面のクルトシスSkuが50~300であることが好ましい。より好ましくは60~150である。クルトシスSkuとは高さ分布の鋭さを表した値であり、値が大きいほど表面に鋭い山や谷が多くなり、値が小さいほど平坦な表面であることを表すパラメータである。クルトシスSkuが上記の範囲を超えると表面に鋭い山や谷が多くなり、劣化した場合に高い突起が異物として混入してレジスト性に悪影響をもたらす可能性がある。一方で、クルトシスが上記の範囲を下回ると、平坦な表面に近づくことでフィルム間の隙間が形成し辛くなり、巻取り性が低下する場合がある。クルトシスSkuを上記の範囲とする方法は、例えば二軸延伸において長手方向の延伸を複数段階に分けて延伸(以後、多段延伸と称することがある)することが挙げられる。詳しくは後述する。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前記A面が基準面から高さ3nmにおける断面積が10μm2より大きい突起が1000個/mm2以下であることが好ましい。より好ましくは500個/mm2以下であり、さらに好ましくは50個/mm2以下である。基準面から高さ3nmにおける断面積が10μm2より大きい突起個数が上記の範囲を超えると、粗大な突起が露光時の欠点となる場合がある。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前記A面が高さ10nm以上50nm以下の突起を500個/mm2以上有することが好ましい。より好ましくは1000個/mm2以上である。10nm以上50nm以下の突起個数(個/mm2)は、巻き取り時の空気抜けを担う突起の個数を反映している。前記A面の高さ10nm以上50nm以下の突起個数(個/mm2)を上記の値とすることで、他のフィルム面との接触する面積が低下し空気が逃げる空間が確保されるため、空気漏れ性が向上して易滑性が向上する。突起個数が上記の範囲から外れると、フィルム同士の空間が十分でなく、易滑性が低下する場合がある。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前記表面が高さ50nmより大きい突起が30個/mm2以下であることが好ましく、より好ましくは10個/mm2以下である。前記表面の高さ50nmより大きい突起個数を上記の値とすることで、前記表面の突起が接触する反対面への転写を抑制することができる。高さ50nmより大きい突起個数が上記の範囲よりも多くなると、反対面への突起形状の転写が起こり、加工工程での欠点となる場合がある。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは前記表面の算術平均粗さSaが0.40nm以上1.30nm以下であることが好ましい。より好ましくは0.40nm以上0.80nm以下である。算術平均粗さSaは表面粗さとして一般に用いられる値であり、前記表面が上記の値となることで平坦な表面となり、レジスト工程において露光時にフィルムとレジスト層界面での光散乱が抑えられる。算術平均粗さSaが1.30nmを超える場合では表面の凹凸が多くなることで、レジスト工程において光が散乱し、露光効率が低下する場合がある。算術平均粗さSaが0.40nm未満ではフィルムが平坦になることで反対面との接触面積が増加することで摩擦が増加し巻き取り性が悪化する場合がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、本発明の効果を得ることができる範囲で粒子を含有してもよい。粒子として、無機粒子、有機粒子、いずれも用いることができる。具体的な種類としては、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ珪酸塩、カオリン、タルク、モンモリロナイト、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、シリコーン、イミド等を構成成分とする有機粒子、コアシェル型有機粒子などが例示できる。また、粒子のサイズとして、平均粒径が0.2μm以下であることが好ましい。
前記A面の反対側のフィルム表面を有する層が粒子を含有しており、当該層に含有する粒子の粒度分布を測定し、横軸に粒子径、縦軸に粒子の存在比率をプロットしたとき、粒子径100~500nmの範囲に少なくとも1つ以上の極大値を持つことが好ましく、2つ以上の極大値を持つことがより好ましい。かかるピークを有する粒子を用いることで、巻取り性を維持しつつ、光学特性の低下を抑制することができる。100~300nmと300~500nmの範囲にそれぞれ一つ以上のピークを有することがより好ましく、粒子径の異なる少なくとも2つ以上のピークを有する粒子を用いることで、表面に高さの異なる一定程度の大きさを有する凹凸を作り出すことができ、フィルム間の隙間がより形成しやすく、巻取り性が更に向上する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、本発明の効果を得ることができる範囲で各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系易滑剤、顔料、染料、有機又は無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などを含有してもよい。
次に、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について、二軸配向ポリエステルフィルムを例に挙げて説明するが、本発明は、かかる例によって得られる物のみに限定して解釈されるものではない。
本発明に用いられるポリエステルを得る方法としては、常法による重合方法が採用できる。例えば、テレフタル酸等のジカルボン酸成分またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール等のジオール成分またはそのエステル形成性誘導体とを公知の方法でエステル交換反応あるいはエステル化反応させた後、溶融重合反応を行うことによって得ることができる。また、必要に応じ、溶融重合反応で得られたポリエステルを、ポリエステルの融点温度以下にて、固相重合反応を行っても良い。
次に、本発明のポリエステルフィルムの製造方法について、二軸配向ポリエステルフィルムを例に挙げて説明するが、本発明は、かかる例によって得られる物のみに限定して解釈されるものではない。
本発明のポリエステルフィルムは、従来公知の製造方法で得ることが出来るが、延伸、熱処理工程を以下の条件で製造することにより、突起個数を容易に上述の範囲とできるため好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、必要に応じて乾燥した原料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)を使用することができる。その他の方法として、原料を溶媒に溶解させ、その溶液を口金からキャストドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して膜状とし、次いでかかる膜層から溶媒を乾燥除去させてシート状に加工する方法(溶液キャスト法)等も使用することができる。
2層以上の積層ポリエステルフィルムを溶融キャスト法により製造する場合、積層ポリエステルフィルムを構成する層毎に押出機を用い、各層の原料を溶融せしめ、これらを押出装置と口金の間に設けられた合流装置にて溶融状態で積層したのち口金に導き、口金からキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法が好適に用いられる。該積層シートは、表面温度10℃以上60℃以下に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸シートを作製する。
次いで、ここで得られた未延伸フィルムにナノインプリントのようにモールドを用いて表面に形状を転写させる方法、紫外光照射やアーク放電によるコロナ処理、グロー放電によるプラズマ処理などの表面処理を施す。これらの表面処理は未延伸フィルムを得た直後でも、微延伸を施した後でも、縦および/又は横方向に延伸した後でも良いが、本発明では未延伸フィルムに表面処理することが好ましい。特に、大気圧下でグロー放電によるプラズマ処理を施すことが好ましい。大気圧プラズマ処理によると、ポリエステルフィルム表面の極表層に存在するポリマー分子鎖を微細に切断することで局所的に微細部分を削り取るエッチングが起こりやすくなる。また、表面処理を施す面はキャストドラムに接していた面(ドラム面)でもキャストドラムに接していない面(非ドラム面)のいずれでも良い。
その後、必要に応じて延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向せしめる。例えば、大気圧プラズマ処理後において局所的に微細エッチングすることでエッチングされない部分が表面上に均一に分散された状態になり、その後の延伸で突起形成しやすくなる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法又は同時二軸延伸法を用いることができる。最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法が、延伸破れなく本発明フィルムを得るのに有効である。
(二軸延伸)
未延伸フィルムを二軸延伸する場合の延伸条件に関してポリエステルを主成分とする場合、長手方向の延伸としては、未延伸シートを70℃以上に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちシートの進行方向)に多段、特に3段階以上で延伸し、20~50℃の温度のロール群で冷却することが好ましい。プラズマ処理を施した後の未延伸フィルムを多段階で徐々に延伸することにより、フィルム表面の突起が徐々に成長して全体に分散することで、基準面から高さ3nmにおける断面積が一定の大きさの突起を形成できるため好ましい。長手方向の延伸における加熱ロール温度の下限についてはシートの延伸性を損なわない限り特に制限はないが、使用するポリエステル樹脂のガラス転移温度を超えることが好ましい。また、長手方向の延伸倍率の好ましい範囲は3.0倍~5.0倍である。より好ましい範囲としては3.0倍~4.5倍である。長手方向の延伸倍率が3.0倍未満であると、配向結晶化が進行せずフィルム強度が著しく低下する。一方で、延伸倍率が5.0倍を超える場合、延伸に伴うポリエステル樹脂の配向結晶化が進行することで脆くなると共に製膜時の破れが発生する場合がある。
未延伸フィルムを二軸延伸する場合の延伸条件に関してポリエステルを主成分とする場合、長手方向の延伸としては、未延伸シートを70℃以上に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちシートの進行方向)に多段、特に3段階以上で延伸し、20~50℃の温度のロール群で冷却することが好ましい。プラズマ処理を施した後の未延伸フィルムを多段階で徐々に延伸することにより、フィルム表面の突起が徐々に成長して全体に分散することで、基準面から高さ3nmにおける断面積が一定の大きさの突起を形成できるため好ましい。長手方向の延伸における加熱ロール温度の下限についてはシートの延伸性を損なわない限り特に制限はないが、使用するポリエステル樹脂のガラス転移温度を超えることが好ましい。また、長手方向の延伸倍率の好ましい範囲は3.0倍~5.0倍である。より好ましい範囲としては3.0倍~4.5倍である。長手方向の延伸倍率が3.0倍未満であると、配向結晶化が進行せずフィルム強度が著しく低下する。一方で、延伸倍率が5.0倍を超える場合、延伸に伴うポリエステル樹脂の配向結晶化が進行することで脆くなると共に製膜時の破れが発生する場合がある。
本発明のポリエステルフィルムではプラズマ処理を施した後に縦延伸を行うため、プラズマ処理によるフィルム帯電に伴うロール粘着破れを防ぐことを目的に、ロール温度を40℃に設定した除電ロールを通した後に上述の延伸操作を行うことが好ましい。
続いて、長手方向に直角な方向(幅方向)の延伸に関しては、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、70~160℃の温度に加熱された雰囲気中にて、長手方向に直角な方向(幅方向)への3.0倍~5.0倍の延伸、およびその後、延伸されたフィルムを熱処理し内部の配向構造の安定化を行うことが好ましい。熱処理時にフィルムの受けた熱履歴温度に関しては、後述する示差走査熱量計(DSC)にて測定される融点温度の直下に現れる微小吸熱ピーク(Tmetaと称することがある。)温度にて確認することができるが、テンター装置設定温度としてはポリエステル(融点255℃)が主成分である場合には、テンター内の最高温度が200℃以上250℃以下であるように設定することが好ましく、ポリエステル樹脂融点-55℃以下ポリエステル樹脂融点-5℃以下に設定することが好ましい。熱処理温度が200℃を下回る場合、前記、大気圧グロー放電処理により形成された突起が十分に成長できず結果として前述の好ましい範囲の突起を形成することが困難になる。一方250℃を超えて熱処理を施す場合、フィルムが融解し破れが多発、生産性が低下する場合がある。より好ましい範囲としては220℃以上245℃以下である。
熱処理時にフィルムの受けた熱履歴温度を表すTmetaの範囲としては、ポリエステル樹脂を主成分とする場合、前述の理由から190℃以上245℃以下であることが好ましい。より好ましい範囲としては210℃以上240℃以下である。
更に熱処理した後に寸法安定性を付与することを目的として、0%以上6%以下の範囲でリラックス処理を行ってもよい。
延伸倍率は、長手方向と幅方向それぞれ3.0~5.0倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9~22倍であることが好ましく、9~20倍であることがより好ましい。面積倍率が9倍未満であると、得られる二軸延伸シートの耐久性が不十分となり、面積倍率が20倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
更に熱処理した後に寸法安定性を付与することを目的として、0%以上6%以下の範囲でリラックス処理を行ってもよい。
延伸倍率は、長手方向と幅方向それぞれ3.0~5.0倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9~22倍であることが好ましく、9~20倍であることがより好ましい。面積倍率が9倍未満であると、得られる二軸延伸シートの耐久性が不十分となり、面積倍率が20倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
かくして得られる本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、平滑性、易滑性を有しながらも、粗大突起や異物の発生を抑制し、加工工程での欠点を抑制できる。その特性を活かして、離型用フィルム(特に、ドライフィルムレジスト支持体用フィルム)、積層セラミックコンデンサーを製造する工程におけるグリーンシート成形の支持体用フィルムや偏光板離型用フィルム、光学部材用フィルム、塗布型デジタル記録方式の磁気記録媒体用ベースフィルムとして好適に用いることができる。
[特性の評価方法]
A.走査型白色干渉顕微鏡(VertScan)による評価
(i)基準面から高さ3nmにおける断面積が2μm2以上10μm2以下の突起個数(個/mm2)
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムより6cm×6cmのサンプリングを行い、それぞれのサンプルについて、走査型白色干渉顕微鏡(装置:日立ハイテクサイエンス社製 VertScan VS1540)を用い、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおける前記表面を、50倍対物レンズを使用して測定面積113μm×113μmで30視野測定を行った。サンプルセットは、測定Y軸がサンプルフィルムの長手方向(長手方向とは、フィルムの製造工程においてフィルムが走行する方向)となるようにサンプルをステージにセットして測定した。得られた顕微鏡像について、該顕微鏡に内蔵された表面解析ソフトウェアVS-Viewer Version 10.0.3.0にて、下記条件にて粒子解析を行い、基準高さからの高さ閾値を3nmに設定した場合の面積が2μm2から10μm2の突起個数(個)を求めて、測定面積(113μm×113μm)で割ることで上述の範囲を満たす突起個数(個/mm2)を求めた。
A.走査型白色干渉顕微鏡(VertScan)による評価
(i)基準面から高さ3nmにおける断面積が2μm2以上10μm2以下の突起個数(個/mm2)
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムより6cm×6cmのサンプリングを行い、それぞれのサンプルについて、走査型白色干渉顕微鏡(装置:日立ハイテクサイエンス社製 VertScan VS1540)を用い、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおける前記表面を、50倍対物レンズを使用して測定面積113μm×113μmで30視野測定を行った。サンプルセットは、測定Y軸がサンプルフィルムの長手方向(長手方向とは、フィルムの製造工程においてフィルムが走行する方向)となるようにサンプルをステージにセットして測定した。得られた顕微鏡像について、該顕微鏡に内蔵された表面解析ソフトウェアVS-Viewer Version 10.0.3.0にて、下記条件にて粒子解析を行い、基準高さからの高さ閾値を3nmに設定した場合の面積が2μm2から10μm2の突起個数(個)を求めて、測定面積(113μm×113μm)で割ることで上述の範囲を満たす突起個数(個/mm2)を求めた。
(粒子解析条件)
下記の順にて粒子解析を行う
・補間処理 :完全補間
・フィルタ処理:メジアン(3×3ピクセル)
・面補正 :4次
(粒子解析条件)
・解析種類 :突解析
・画像補正 :なし
・処理
高さ閾値 : 0.003μm
粒子整形 : なし
基準高さ : ゼロ面
・判定対象
高さ/深さ : -10000μm≦h≦10000μm
最長径 : -10000μm≦d≦10000μm
体積 : V≧0.0000μm3
アスペクト比: r≧0.0000
・ヒストグラム: 分割数 50
30視野すべてにおいて同様の操作を行い、それらの平均値を本発明における基準面から高さ3nmにおける断面積が2μm2以上10μm2以下の突起個数A(個/mm2)とした。
下記の順にて粒子解析を行う
・補間処理 :完全補間
・フィルタ処理:メジアン(3×3ピクセル)
・面補正 :4次
(粒子解析条件)
・解析種類 :突解析
・画像補正 :なし
・処理
高さ閾値 : 0.003μm
粒子整形 : なし
基準高さ : ゼロ面
・判定対象
高さ/深さ : -10000μm≦h≦10000μm
最長径 : -10000μm≦d≦10000μm
体積 : V≧0.0000μm3
アスペクト比: r≧0.0000
・ヒストグラム: 分割数 50
30視野すべてにおいて同様の操作を行い、それらの平均値を本発明における基準面から高さ3nmにおける断面積が2μm2以上10μm2以下の突起個数A(個/mm2)とした。
(ii)クルトシス(Sku)
前項(i)と同様にして、前記表面を30視野測定し、各像に関して下記条件にてISOパラメータ解析を行うことで出力されるクルトシスを表すSku値を求め、30視野の平均値を本発明の前記表面のクルトシスSkuとした。
(ISOパラメータ解析条件)
・S-Filter :自動
・分割数 :300
・計算範囲の上限 :3.000
・計算範囲の下限 :-3.000
・パラメータ :Height Parameters
(iii)基準面から高さ3nmにおける断面積が10μm2より大きい突起個数(個/mm2)
前記(i)と同様にして、前記表面を30視野測定し、粒子解析結果から各像に関して基準高さからの高さ閾値を3nmに設定した場合の面積が10μm2より大きい突起個数(個)を求めて、測定面積(113μm×113μm)で割ることで、上述の範囲を満たす突起個数(個/mm2)を求めた。30視野すべてにおいて同様の操作を行い、それらの平均値を本発明における基準面から高さ3nmにおける断面積10μm2より大きい突起個数(個/mm2)とした。
前項(i)と同様にして、前記表面を30視野測定し、各像に関して下記条件にてISOパラメータ解析を行うことで出力されるクルトシスを表すSku値を求め、30視野の平均値を本発明の前記表面のクルトシスSkuとした。
(ISOパラメータ解析条件)
・S-Filter :自動
・分割数 :300
・計算範囲の上限 :3.000
・計算範囲の下限 :-3.000
・パラメータ :Height Parameters
(iii)基準面から高さ3nmにおける断面積が10μm2より大きい突起個数(個/mm2)
前記(i)と同様にして、前記表面を30視野測定し、粒子解析結果から各像に関して基準高さからの高さ閾値を3nmに設定した場合の面積が10μm2より大きい突起個数(個)を求めて、測定面積(113μm×113μm)で割ることで、上述の範囲を満たす突起個数(個/mm2)を求めた。30視野すべてにおいて同様の操作を行い、それらの平均値を本発明における基準面から高さ3nmにおける断面積10μm2より大きい突起個数(個/mm2)とした。
(iv)高さ10nm以上50nm以下の突起個数(個/mm2)
前記(i)と同様にして、前記表面を30視野測定し、粒子解析結果から各像に関して基準高さからの高さ閾値を10nmに設定した場合の突起個数(個)と高さ閾値を50nmに設定した場合の突起個数(個)との差から、高さ10nm以上50nm以下の突起個数(個)を求めて測定面積(113μm×113μm)で割ることで、上述の範囲を満たす突起個数を求めた(個/mm2)。30視野すべてにおいて同様の操作を行い、それらの平均値を本発明における高さ10nm以上50nm以下の突起個数(個/mm2)とした。
前記(i)と同様にして、前記表面を30視野測定し、粒子解析結果から各像に関して基準高さからの高さ閾値を10nmに設定した場合の突起個数(個)と高さ閾値を50nmに設定した場合の突起個数(個)との差から、高さ10nm以上50nm以下の突起個数(個)を求めて測定面積(113μm×113μm)で割ることで、上述の範囲を満たす突起個数を求めた(個/mm2)。30視野すべてにおいて同様の操作を行い、それらの平均値を本発明における高さ10nm以上50nm以下の突起個数(個/mm2)とした。
(v)高さ50nmより大きい突起個数(個/mm2)
前記(i)と同様にして、前記表面を30視野測定し、粒子解析結果から各像に関して基準高さからの高さ閾値を50nmに設定した場合の突起個数(個)を求めて測定面積(113μm×113μm)で割ることで上述の範囲を満たす突起個数を求めた(個/mm2)。30視野すべてにおいて同様の操作を行い、それらの平均値を本発明における高さ50nmより大きい突起個数(個/mm2)とした。
前記(i)と同様にして、前記表面を30視野測定し、粒子解析結果から各像に関して基準高さからの高さ閾値を50nmに設定した場合の突起個数(個)を求めて測定面積(113μm×113μm)で割ることで上述の範囲を満たす突起個数を求めた(個/mm2)。30視野すべてにおいて同様の操作を行い、それらの平均値を本発明における高さ50nmより大きい突起個数(個/mm2)とした。
(vi)算術平均粗さ(Sa)
前記(i)と同様にして、前記表面を30視野測定し、前記(ii)と同様にISOパラメータ解析結果から各像に関してSa(nm)を求め、30視野の平均値より算術平均粗さ(Sa)を求めた。
前記(i)と同様にして、前記表面を30視野測定し、前記(ii)と同様にISOパラメータ解析結果から各像に関してSa(nm)を求め、30視野の平均値より算術平均粗さ(Sa)を求めた。
B.易滑性
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを23℃65%RHにて調湿した後、製膜ライン方向が長手となるように、幅75mm、長さ100mmの矩形状に2枚切り出してサンプルとし、スベリ係数測定装置(型式ST-200、(株)テクノニーズ製)を使用し、23℃65%RH雰囲気下にて以下の条件で測定する。
測定距離:10mm
測定速度:120mm/min
該装置の測定資料台上に矩形状サンプルを該装置引っ張り方向がサンプルの長手方向となり、また前記表面側が上になるようにセットし固定する。その上にもう1枚の矩形状サンプルを前記表面が上側、引っ張り方向が長手方向になるように置き、前記表面とその反対面とを接触させるとともに、サンプル端部を該装置の加重検出用Uゲージに固定する。その後フィルムを静置し、その上に、サンプル接触面が6.5cm×6.5cmのテフロンシートであり荷重が200gの錘を置きサンプル同士を密着させた後、上側のフィルムを以下の条件で引っ張った際の静摩擦係数を測定する。10回の測定の平均値をもって静摩擦係数(μs)とする。その際のμsによって以下の指標で評価する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを23℃65%RHにて調湿した後、製膜ライン方向が長手となるように、幅75mm、長さ100mmの矩形状に2枚切り出してサンプルとし、スベリ係数測定装置(型式ST-200、(株)テクノニーズ製)を使用し、23℃65%RH雰囲気下にて以下の条件で測定する。
測定距離:10mm
測定速度:120mm/min
該装置の測定資料台上に矩形状サンプルを該装置引っ張り方向がサンプルの長手方向となり、また前記表面側が上になるようにセットし固定する。その上にもう1枚の矩形状サンプルを前記表面が上側、引っ張り方向が長手方向になるように置き、前記表面とその反対面とを接触させるとともに、サンプル端部を該装置の加重検出用Uゲージに固定する。その後フィルムを静置し、その上に、サンプル接触面が6.5cm×6.5cmのテフロンシートであり荷重が200gの錘を置きサンプル同士を密着させた後、上側のフィルムを以下の条件で引っ張った際の静摩擦係数を測定する。10回の測定の平均値をもって静摩擦係数(μs)とする。その際のμsによって以下の指標で評価する。
A:μsが1.2以下
B:μsが1.2より大きく1.5以下
C:μsが1.5より大きい
易滑性はA、Bが良好であり、中でもAが優れている。
B:μsが1.2より大きく1.5以下
C:μsが1.5より大きい
易滑性はA、Bが良好であり、中でもAが優れている。
C.巻取り性
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを、製膜速度が100m/分以上の条件にて製膜を行い、連続した5000mのロール巻取りを10回採取する。得られた10本のロールの巻き姿からフィルム巻取り性を下記の通り評価した。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを、製膜速度が100m/分以上の条件にて製膜を行い、連続した5000mのロール巻取りを10回採取する。得られた10本のロールの巻き姿からフィルム巻取り性を下記の通り評価した。
A:10本のロールの内、シワの発生したロールが2本以下。
B:10本のロールの内、シワの発生したロールが3本以上4本以下。
C:10本のロールの内、シワの発生したロールが5本以上6本以下。
D:10本のロールの内、シワの発生したロールが7本以上。
巻取り性としてはA~Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
B:10本のロールの内、シワの発生したロールが3本以上4本以下。
C:10本のロールの内、シワの発生したロールが5本以上6本以下。
D:10本のロールの内、シワの発生したロールが7本以上。
巻取り性としてはA~Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
D.レジスト性評価
(i)レジスト配線パターン作成
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを用いて、以下a.からc.の方法によりプロキシミティ露光法を用いたフォトレジスト評価を行った。
a.片面鏡面研磨した6インチSiウエハー上に、東京応化(株)製のネガレジスト“PMERN-HC600”を塗布し、大型スピナーで回転させることによって厚み7μmのレジスト層を作製する。次いで、窒素循環の通風オーブンを用いて70℃の温度条件で約20分間の前熱処理を行う。
b.本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのB面をレジスト部材と接触するように重ね、ゴム製のローラーを用いて、レジスト層上にポリエステルフィルムをラミネートした。ラミネート状態を後述の(ii)に記載の通り確認し、気泡や汚れの生じていないラミネートサンプルに関してその上に、クロム金属でパターニングされた配線パターンを配置し、そのパターン上から投影レンズを具備したi線(波長365nmにピークをもつ紫外線)レーザー光を平行光として用いたプロキシミティ露光を行う。
c.レジスト層からポリエステルフィルムを剥離した後、現像液N-A5が入った容器にレジスト層を入れ約1分間の現像を行う。その後、現像液から取り出し、水で約1分間の洗浄を行う。現像後に作成されたレジスト配線パターンのL/S(μm)(Line and Space)=5/5μmの30本の状態を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて約800~3000倍率で観察する。
(ii)微細配線レジスト性
前項(i)にて観察した30本のレジストパターンに関して、配線が1.5μm以上のサイズで失われた(配線欠点)本数を確認し、フィルムのレジスト欠点抑制を下記の通り評価した。
A:欠けのある本数が5本以下。
B:欠けのある本数が5本を超えて10本以下。
C:欠けのある本数が10本を超えて15本以下。
D:欠けのある本数が15本を超える。
微細配線レジスト性としてはA~Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
E.耐久性
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに関して、80℃80%RH雰囲気下で12時間静置して加速劣化試験を行った。前記D項と同様の方法で加速劣化試験を行ったフィルムのレジスト性評価を行い、加速劣化試験後の微細配線レジスト性を評価した。
(i)レジスト配線パターン作成
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを用いて、以下a.からc.の方法によりプロキシミティ露光法を用いたフォトレジスト評価を行った。
a.片面鏡面研磨した6インチSiウエハー上に、東京応化(株)製のネガレジスト“PMERN-HC600”を塗布し、大型スピナーで回転させることによって厚み7μmのレジスト層を作製する。次いで、窒素循環の通風オーブンを用いて70℃の温度条件で約20分間の前熱処理を行う。
b.本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのB面をレジスト部材と接触するように重ね、ゴム製のローラーを用いて、レジスト層上にポリエステルフィルムをラミネートした。ラミネート状態を後述の(ii)に記載の通り確認し、気泡や汚れの生じていないラミネートサンプルに関してその上に、クロム金属でパターニングされた配線パターンを配置し、そのパターン上から投影レンズを具備したi線(波長365nmにピークをもつ紫外線)レーザー光を平行光として用いたプロキシミティ露光を行う。
c.レジスト層からポリエステルフィルムを剥離した後、現像液N-A5が入った容器にレジスト層を入れ約1分間の現像を行う。その後、現像液から取り出し、水で約1分間の洗浄を行う。現像後に作成されたレジスト配線パターンのL/S(μm)(Line and Space)=5/5μmの30本の状態を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて約800~3000倍率で観察する。
(ii)微細配線レジスト性
前項(i)にて観察した30本のレジストパターンに関して、配線が1.5μm以上のサイズで失われた(配線欠点)本数を確認し、フィルムのレジスト欠点抑制を下記の通り評価した。
A:欠けのある本数が5本以下。
B:欠けのある本数が5本を超えて10本以下。
C:欠けのある本数が10本を超えて15本以下。
D:欠けのある本数が15本を超える。
微細配線レジスト性としてはA~Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
E.耐久性
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに関して、80℃80%RH雰囲気下で12時間静置して加速劣化試験を行った。前記D項と同様の方法で加速劣化試験を行ったフィルムのレジスト性評価を行い、加速劣化試験後の微細配線レジスト性を評価した。
F.含有粒子評価
(i)平均粒子径
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに関して、ミクロトームを用いて表面に対して垂直方向に切削した小片を作成し、その断面を電界放射走査型電子顕微鏡JSM-6700F(日本電子(株)製)を用いてP1層またはP2層を10000倍に拡大観察して撮影した。その断面写真よりP1層またはP2層中に存在する粒子の粒度分布を画像解析ソフトImage-Pro Plus(日本ローパー(株))を用いて求めた。断面写真は異なる任意の測定視野から選び出し、断面写真中から任意に選び出した400個以上の粒子の円相当径を測定し体積基準平均粒子径を得た。下記粒子の構成元素分析により2種類以上の粒子が含有される場合には、各粒子に関して200個以上の粒子の円相当径を測定し体積基準円相当径の平均値より平均粒子径を求めた。
(i)平均粒子径
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに関して、ミクロトームを用いて表面に対して垂直方向に切削した小片を作成し、その断面を電界放射走査型電子顕微鏡JSM-6700F(日本電子(株)製)を用いてP1層またはP2層を10000倍に拡大観察して撮影した。その断面写真よりP1層またはP2層中に存在する粒子の粒度分布を画像解析ソフトImage-Pro Plus(日本ローパー(株))を用いて求めた。断面写真は異なる任意の測定視野から選び出し、断面写真中から任意に選び出した400個以上の粒子の円相当径を測定し体積基準平均粒子径を得た。下記粒子の構成元素分析により2種類以上の粒子が含有される場合には、各粒子に関して200個以上の粒子の円相当径を測定し体積基準円相当径の平均値より平均粒子径を求めた。
(ii)粒度分布解析
前記(i)にて記載の方法にて得られた粒子径に関して体積基準粒度分布解析を行った。ここで、体積基準粒度分布において横軸を担う粒子径は、0nmを初点とした10nm間隔毎の階級にて表す(前記(i)にて記載の方法で0nmを超えて10nm以下の粒子径を有する粒子は10nmの階級に含め、前記(i)にて記載の方法10nmを超えて20nm以下の粒子径を有する粒子は20nmの階級に含めて存在比率をプロットする)。得られた粒子の粒度分布チャートから、極大を示すピークトップの粒子径を読みとった。
前記(i)にて記載の方法にて得られた粒子径に関して体積基準粒度分布解析を行った。ここで、体積基準粒度分布において横軸を担う粒子径は、0nmを初点とした10nm間隔毎の階級にて表す(前記(i)にて記載の方法で0nmを超えて10nm以下の粒子径を有する粒子は10nmの階級に含め、前記(i)にて記載の方法10nmを超えて20nm以下の粒子径を有する粒子は20nmの階級に含めて存在比率をプロットする)。得られた粒子の粒度分布チャートから、極大を示すピークトップの粒子径を読みとった。
(iii)粒子含有量
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのP1層またはP2層部分を1N-KOHメタノール溶液200mlに投入して加熱還流し、ポリマーを溶解した。溶解が終了した該溶液に200mlの水を加え、ついで該液体を遠心分離器にかけて粒子を沈降させ、上澄み液を取り除いた。粒子にはさらに水を加えて洗浄、遠心分離を2回繰り返した。このようにして得られた粒子を乾燥させ、その重量を量ることで各層に含有される粒子の含有量(重量%)を算出した。添加粒子に有機粒子が含まれる場合、ポリマーは溶解するが有機粒子は溶解させない溶媒を選択し、過熱還流すること無くポリマーを溶解し、粒子を遠心分離して粒子の含有量(重量%)を算出した。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのP1層またはP2層部分を1N-KOHメタノール溶液200mlに投入して加熱還流し、ポリマーを溶解した。溶解が終了した該溶液に200mlの水を加え、ついで該液体を遠心分離器にかけて粒子を沈降させ、上澄み液を取り除いた。粒子にはさらに水を加えて洗浄、遠心分離を2回繰り返した。このようにして得られた粒子を乾燥させ、その重量を量ることで各層に含有される粒子の含有量(重量%)を算出した。添加粒子に有機粒子が含まれる場合、ポリマーは溶解するが有機粒子は溶解させない溶媒を選択し、過熱還流すること無くポリマーを溶解し、粒子を遠心分離して粒子の含有量(重量%)を算出した。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(PET-1の製造)ジメチルテレフタレート(DMT)に、DMT・1モルに対し1.9モルのエチレングリコールおよび酢酸マグネシウム・4水和物をDMT100重量部に対し0.05重量部、リン酸を0.015重量部加え加熱エステル交換を行った。引き続き三酸化アンチモンを0.025重量部加え、加熱昇温し真空下で重縮合を行い、実質的に粒子を含有しないポリエステルペレットを得た。
(PET-1の製造)ジメチルテレフタレート(DMT)に、DMT・1モルに対し1.9モルのエチレングリコールおよび酢酸マグネシウム・4水和物をDMT100重量部に対し0.05重量部、リン酸を0.015重量部加え加熱エステル交換を行った。引き続き三酸化アンチモンを0.025重量部加え、加熱昇温し真空下で重縮合を行い、実質的に粒子を含有しないポリエステルペレットを得た。
[MB-Aの製造]前項PET-1の重合に際し、PETに対する含有量が2.0重量%となるように、エチレングリコールに分散させた平均1次粒子径が20nmのδアルミナ粒子(アルミナ-1)を添加し、PETベースマスタ―ペレットMB-Aを得た。得られた溶融重合MB-Aのガラス転移温度は81℃、融点は255℃、固有粘度は0.63であった。
[MB-Bの製造]前項PET-1の重合に際し、PETに対する含有量が2.0重量%となるように、エチレングリコールに分散させた平均1次粒子径が200nmのシリカ粒子(シリカ-1)を添加し、PETベースマスタ―ペレットMB-Bを得た。得られた溶融重合MB-Bのガラス転移温度は81℃、融点は255℃、固有粘度は0.62であった。
[MB-Cの製造]前項PET-1の重合に際し、PETに対する含有量が2.0重量%となるように、エチレングリコールに分散させた平均1次粒子径が450nmの架橋ポリスチレン粒子(ポリスチレン-1)を添加し、PETベースマスタ―ペレットMB-Cを得た。得られた溶融重合MB-Cのガラス転移温度は81℃、融点は255℃、固有粘度は0.63であった。
(実施例1)
PET-1、マスターペレットMB-B(シリカ-1含有)、マスターペレットMB-C(ポリスチレン-1含有)をそれぞれ180℃で8時間減圧乾燥した後、P1層はPET-1のみ、P2層は粒子濃度が表1に記載の量になるように配合して押出機に供給し、溶融押出してフィルターで濾過した後、2層用合流ブロックで合流積層し、P1層/P2層からなる2層とした。ダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて38℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを相対する電極とアースロール間に導き、装置中に窒素ガスを導入し、E値が200W・min/m2となる条件で大気圧グロー放電処理を行った。詳細な条件は表1に示す。
処理後の未延伸フィルムを逐次二軸延伸機によって長手方向に3段階で1段目は1.3倍(延伸温度94℃)、2段目は1.1倍(延伸温度94℃)、3段目は2.5倍(延伸温度81℃)の合計で3.6倍延伸し、幅方向にそれぞれ4.4倍(温度100℃)、トータルで15.8倍延伸しその後、定長下240℃で熱処理した後、幅方向に弛緩処理を施し、厚み16μm、P1層/P2層の積層厚みが15μm/1μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性等を表2、3に示す。巻取り性、微細配線レジスト性、易滑性、耐久性に優れたフィルムであることがわかった。
PET-1、マスターペレットMB-B(シリカ-1含有)、マスターペレットMB-C(ポリスチレン-1含有)をそれぞれ180℃で8時間減圧乾燥した後、P1層はPET-1のみ、P2層は粒子濃度が表1に記載の量になるように配合して押出機に供給し、溶融押出してフィルターで濾過した後、2層用合流ブロックで合流積層し、P1層/P2層からなる2層とした。ダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて38℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを相対する電極とアースロール間に導き、装置中に窒素ガスを導入し、E値が200W・min/m2となる条件で大気圧グロー放電処理を行った。詳細な条件は表1に示す。
処理後の未延伸フィルムを逐次二軸延伸機によって長手方向に3段階で1段目は1.3倍(延伸温度94℃)、2段目は1.1倍(延伸温度94℃)、3段目は2.5倍(延伸温度81℃)の合計で3.6倍延伸し、幅方向にそれぞれ4.4倍(温度100℃)、トータルで15.8倍延伸しその後、定長下240℃で熱処理した後、幅方向に弛緩処理を施し、厚み16μm、P1層/P2層の積層厚みが15μm/1μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性等を表2、3に示す。巻取り性、微細配線レジスト性、易滑性、耐久性に優れたフィルムであることがわかった。
(実施例2)
大気圧グロー放電処理のE値を100W・min/m2とした以外は実施例1と同様の方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。詳細な条件は表1に示す。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性等を表2、3に示す。突起個数A(個/mm2)と高さ10nm以上50nm以下の突起個数(個/mm2)の低下により実施例1と比べると巻取り性と易滑性はやや低下したが、実用の範囲内であった。
大気圧グロー放電処理のE値を100W・min/m2とした以外は実施例1と同様の方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。詳細な条件は表1に示す。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性等を表2、3に示す。突起個数A(個/mm2)と高さ10nm以上50nm以下の突起個数(個/mm2)の低下により実施例1と比べると巻取り性と易滑性はやや低下したが、実用の範囲内であった。
(実施例3)
大気圧グロー放電処理のE値を500W・min/m2とした以外は実施例1と同様の方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。詳細な条件は表1に示す。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性等を表2、3に示す。突起個数A(個/mm2)、基準面から高さ3nmにおける断面積が10μm2より大きい突起個数(個/mm2)と高さ50nmより大きい突起個数(個/mm2)の増加により実施例1と比べると微細配線レジスト性はやや低下したが実用の範囲内であった。
大気圧グロー放電処理のE値を500W・min/m2とした以外は実施例1と同様の方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。詳細な条件は表1に示す。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性等を表2、3に示す。突起個数A(個/mm2)、基準面から高さ3nmにおける断面積が10μm2より大きい突起個数(個/mm2)と高さ50nmより大きい突起個数(個/mm2)の増加により実施例1と比べると微細配線レジスト性はやや低下したが実用の範囲内であった。
(実施例4)
フィルム構成を3層構成(P1層/P3層/P2層)に変更し、P3層にPET-1を、P1層にマスターペレットMB-Aを粒子濃度が表1に記載の量になるように配合した以外は実施例3と同様の方法で厚み16μm、P1層/P3層/P2層の積層厚みが1μm/14μm/1μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
詳細な条件を表1に示す。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性等を表2、3に示す。実施例3よりも更に突起個数A(個/mm2)、基準面から高さ3nmにおける断面積が10μm2より大きい突起個数(個/mm2)と高さ50nmより大きい突起も増加したことで、微細配線レジスト性が僅かに低下したが、実用の範囲内であった。
フィルム構成を3層構成(P1層/P3層/P2層)に変更し、P3層にPET-1を、P1層にマスターペレットMB-Aを粒子濃度が表1に記載の量になるように配合した以外は実施例3と同様の方法で厚み16μm、P1層/P3層/P2層の積層厚みが1μm/14μm/1μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
詳細な条件を表1に示す。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性等を表2、3に示す。実施例3よりも更に突起個数A(個/mm2)、基準面から高さ3nmにおける断面積が10μm2より大きい突起個数(個/mm2)と高さ50nmより大きい突起も増加したことで、微細配線レジスト性が僅かに低下したが、実用の範囲内であった。
(実施例5)
長手方向の延伸方式を一段延伸(延伸温度86℃)として3.6倍に延伸した以外は実施例1と同様の方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。詳細な条件は表1に示す。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性等を表2、3に示す。巻き取り性、微細配線レジスト性と易滑性に優れたフィルムであることがわかった。実施例1と比べると、クルトシスSkuの値が大きくなり、加速劣化試験後の微細配線レジスト性が低下したため、実施例1と比べると耐久性に劣るフィルムであることが分かった。
長手方向の延伸方式を一段延伸(延伸温度86℃)として3.6倍に延伸した以外は実施例1と同様の方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。詳細な条件は表1に示す。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性等を表2、3に示す。巻き取り性、微細配線レジスト性と易滑性に優れたフィルムであることがわかった。実施例1と比べると、クルトシスSkuの値が大きくなり、加速劣化試験後の微細配線レジスト性が低下したため、実施例1と比べると耐久性に劣るフィルムであることが分かった。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で未延伸フィルムを得た後、大気圧グロー放電処理を行わずに逐次二軸延伸機へと導入したこと以外は実施例1と同様の方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。詳細な条件は表1に示す。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性等を表2、3に示す。突起個数A(個/mm2)と高さ10nm以上50nm以下の突起個数(個/mm2)の低下により、実施例1と比べると巻取り性と易滑性が大幅に劣るフィルムであることがわかった。
実施例1と同様の方法で未延伸フィルムを得た後、大気圧グロー放電処理を行わずに逐次二軸延伸機へと導入したこと以外は実施例1と同様の方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。詳細な条件は表1に示す。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性等を表2、3に示す。突起個数A(個/mm2)と高さ10nm以上50nm以下の突起個数(個/mm2)の低下により、実施例1と比べると巻取り性と易滑性が大幅に劣るフィルムであることがわかった。
(比較例2)
P1層のアルミナ-1の粒子含有量が0.30重量%であり大気圧グロー放電を行わずに逐次二軸延伸機へと導入したこと以外は実施例4と同様の方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。詳細な条件は表1に示す。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性等を表2、3に示す。実施例1と比べると、突起個数A(個/mm2)、基準面から高さ3nmにおける断面積が10μm2より大きい突起個数(個/mm2)と高さ50nmより大きい突起個数(個/mm2)が増加したことで、微細配線レジスト性が大幅に劣るフィルムであることがわかった。
P1層のアルミナ-1の粒子含有量が0.30重量%であり大気圧グロー放電を行わずに逐次二軸延伸機へと導入したこと以外は実施例4と同様の方法で二軸配向ポリエステルフィルムを得た。詳細な条件は表1に示す。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性等を表2、3に示す。実施例1と比べると、突起個数A(個/mm2)、基準面から高さ3nmにおける断面積が10μm2より大きい突起個数(個/mm2)と高さ50nmより大きい突起個数(個/mm2)が増加したことで、微細配線レジスト性が大幅に劣るフィルムであることがわかった。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、良好な巻き取り性や易滑性により工程でのスリキズ等の欠点や、加工工程での欠点が抑制できるため、片面に感光樹脂組成物を体積して使用されるドライフィルムレジスト支持体用ポリエステルフィルムとして好適に用いることができる。
1.突起形成処理を施した層
2.走査型白色干渉顕微鏡測定における基準面(高さ0nm)
3.高さ1nm線
4.高さ3nm線
5.高さ10nm線
6.高さ50nm線
2.走査型白色干渉顕微鏡測定における基準面(高さ0nm)
3.高さ1nm線
4.高さ3nm線
5.高さ10nm線
6.高さ50nm線
Claims (8)
- 少なくとも片側の表面(A面)が、基準面から高さ3nmにおける断面積が2μm2以上10μm2以下の突起を50個/mm2以上5000個/mm2以下有する二軸配向ポリエステルフィルム。
- 前記A面のクルトシスSkuが50~300である請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 前記A面が、基準面から高さ3nmにおける断面積が10μm2より大きい突起が1000個/mm2以下である請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 前記A面が、高さ10nm以上50nm以下の突起を500個/mm2以上有する請求項1~3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 前記A面が、高さ50nmより大きい突起が30個/mm2以下である請求項1~4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 前記A面の算術平均粗さSaが0.40nm以上1.30nm以下である請求項1~5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 前記A面の反対側のフィルム表面を有する層が粒子を含有しており、当該層に含有する粒子の粒度分布を測定し、横軸に粒子径、縦軸に粒子の存在比率をプロットしたとき、粒子径100~500nmの範囲に少なくとも1つ以上の極大値を持つ請求項1~6のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム
- ドライフィルムレジスト支持体用フィルムとして用いられる請求項1~7のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020158185A JP2022052031A (ja) | 2020-09-23 | 2020-09-23 | 二軸配向ポリエステルフィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020158185A JP2022052031A (ja) | 2020-09-23 | 2020-09-23 | 二軸配向ポリエステルフィルム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022052031A true JP2022052031A (ja) | 2022-04-04 |
Family
ID=80949039
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JP2020158185A Pending JP2022052031A (ja) | 2020-09-23 | 2020-09-23 | 二軸配向ポリエステルフィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022052031A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7416969B2 (ja) | 2020-09-28 | 2024-01-17 | 富士フイルム株式会社 | 転写フィルム、積層体の製造方法、回路配線の製造方法 |
-
2020
- 2020-09-23 JP JP2020158185A patent/JP2022052031A/ja active Pending
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