JP7206857B2 - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、フィルム表面の水に対する接触角を制御し、同時にフィルム表面に微細な突起を有するポリエステルフィルムに関するものである。
ポリエステルはその加工性の良さから、様々な工業分野に利用されている。また、これらポリエステルをフィルム状に加工した製品は工業用途、光学製品用途、包装用途など今日の生活において重要な役割を果たしている。近年、電子情報機器において、小型化、高集積化が進み、それに伴って、電子情報機器の作製に用いられるフィルムには加工性の向上が求められている。特に、電子情報機器の作製には、フィルム表面に他の素材を積層させ、フィルムごと加工する手法が多く採られるため、フィルムの積層性や加工性向上のためには、フィルムの接着性を高めたり、平滑性を高めることが一般的な手段である。一方で、フィルムの接着性を高めるために接着剤や粘着剤を使用すると、加工工程を汚染したり、また、フィルムの平滑性を高めると、フィルムの易滑性は低下する傾向があるため、加工工程において搬送性が低下し、逆に加工性が低下するという課題があり、フィルムの加工性を向上させることは困難であった。
上記の要求に応えるためには、フィルム表面に易滑性と平滑性、さらにフィルム表面に他の層を積層したときの積層のずれを小さくしたり加工時に欠点を生じにくくする特性(以降、かかる特性を他の層の積層性と呼ぶ場合がある)を向上させる必要があり、例えば特許文献1、2には、フィルムに粒子を含有させることなく易滑性を向上させる技術が開示されている。また、特許文献3には、フィルムに粒子を含有させ、さらに特定の化合物を使用することで水の接触角を制御する技術が開示されている。
特開2016-175356号公報 特開2016-221853号公報 特開平9-131839号公報
しかしながら、フィルムに粒子を含有させないと平滑性には優れるものの易滑性が低下する結果、加工性の向上効果は得られない。また他の層の積層性を満足できるものではない。一方、フィルムに粒子を含有させた場合は、易滑性は満足するが、平滑性に劣る場合があったり、粒子の凝集や粒子の脱落によって加工性が満足されないという問題がある。本発明は上記事情に鑑み、平滑性、易滑性を有し、さらに他の層に対する積層性も向上させたポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を取る。すなわち、
[I]少なくとも片面(A面)が以下(1)、(2)を同時に満たすポリエステルフィルム。
(1)水に対する接触角度が30°以下であること。
(2)AFM(Atomic Force Microscope)で以下の測定条件で測定される突起高さが1nm以上の突起個数が200個/μm以上であること。
[AFM測定条件]
装置;Digital Insturuments社製 NanoScope3型 SPMコントロールステーション
SPMユニット;原子間力顕微鏡(AFM)
カンチレバー:シリコン単結晶
走査モード:タッピングモード
走査速度:0.8Hz
測定視野:1μm四方
サンプルライン:256
Flatten Auto:オーダー3
サンプル調整:23℃、65%RH、24時間静置
AFM測定環境:23℃、65%RH
上記測定条件によって得られるフィルム表面の画像を、Digital Insturuments社製 NanoScope3型 SPMコントロールステーションに付属の解析ソフトを用い、解析する。得られるフィルム表面の画像から、フィルム表面の基準面が自動的に決定される。該基準面から、突起高さの閾値を1nm、2nm・・・と1nmごとに定め、閾値1nmで得られる突起個数をカウントし、1nm以上の突起個数とする。
場所を変えて20回測定し、平均値でもって1nm以上の突起個数とする。
[II]前記(1)、(2)を同時に満たす面(A面)の表面比抵抗が1×1012(Ω/□)以下である[I]に記載のポリエステルフィルム。
[III]前記(1)、(2)を同時に満たす面(A面)のAFM(Atomic Force Microscope)で測定されるスライスレベルの最も大きい値(Rtop)が20nm以下である[I]または[II]に記載のポリエステルフィルム。
[IV]前記(1)、(2)を同時に満たす面(A面)に、他の層を設ける基材として用いられる[I]から[III]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[V]前記の他の層が、極性基を有する樹脂を含む[IV]に記載のポリエステルフィルム。
[VI][I]から[V]のいずれかに記載のポリエステルフィルムを、前記(1)、(2)を同時に満たす面(A面)が外側に配されるよう巻き取ってなるポリエステルフィルムロール。
本発明のポリエステルフィルムは、優れた平滑性、易滑性を有し、さらに優れた積層性を有する。
AFM(Atomic Force Microscope)で測定されるRtopをあらわす概念図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で言うポリエステルとは、ジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を重縮合してなるものである。なお、本明細書内において、構成成分とはポリエステルを加水分解することで得ることが可能な最小単位のことを示す。
かかるポリエステルを構成するジカルボン酸構成成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。
また、かかるポリエステルを構成するジオール構成成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環式ジオール類、上述のジオールが複数個連なったものなどが挙げられる。中でも、機械特性、透明性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、およびPETのジカルボン酸成分の一部にイソフタル酸やナフタレンジカルボン酸を共重合したもの、PETのジオール成分の一部にシクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、ジエチレングリコールを共重合したポリエステルが好適に用いられる。
本発明のポリエステルフィルムは、二軸配向していることが好ましい。二軸配向していることにより、フィルムの機械強度が向上し易滑性を向上させることができる。ここでいう二軸配向とは、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。二軸配向熱可塑性樹脂フィルムは、一般に未延伸状態の熱可塑性樹脂シートをシート長手方向および幅方向に延伸し、その後熱処理を施し結晶配向を完了させることにより、得ることができる。詳しくは後述する。
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも片面が、水に対する接触角(本発明において、水の接触角度という場合がある)が30°以下である必要がある。水に対する接触角は、特に下限は設けられないが、一般的に0°以上である。より好ましくは0°以上25°以下、さらに好ましくは0°以上20°以下である。
水に対する接触角は、後述する方法で測定されるものである。水に対する接触角の値が小さい方がフィルム表面に水が広がりやすいことを表し、水を初めとした極性基を持つ物質との親和性が高いことを表す。本発明のポリエステルフィルムの少なくとも片面の水に対する接触角が30°以下である場合は、当該水に対する接触角を有するフィルム表面に、極性基を有する樹脂を含む層を他の層として設ける際、他の層との積層性が良好となる。極性基を有する樹脂を含む層としては、例えばアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを主成分とする化合物からなる着色剤(インク層)や接着剤(接着層)、フォトリソグラフィーに用いられる感光性層(以下レジスト層ということもある)が挙げられ、当該インク層、接着層や感光性層との接着性や、当該層をエタノールやメタノールなどの極性溶媒を用いて塗布する場合に、塗布性が向上する。本発明のポリエステルフィルムの片面の水に対する接触角が30°を超える場合、極性基を持つ他の層との接着性や塗布性が十分でなく、該層に欠点を生じる場合がある。
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも片側の表面が、後述の方法によってAFM(Atomic Force Microscope)で測定される1nm以上の突起高さの個数が200個/μm以上である必要がある。より好ましくは200個/μm以上500個/μm以下、さらに好ましくは220個/μm以上400個/μm以下である。1nm以上の突起高さの個数が200個/μmに満たない場合、滑り性が悪化する場合がある。また、本発明のフィルムの、少なくとも片面における1nm以上の突起高さの個数が200個/μm以上である場合、本発明のポリエステルフィルムの当該突起高さ個数を有するフィルム表面に他の層を設ける基材として用いたときに、積層性が良好となるだけでなく、剥離性を良好にできる。特に、本発明のポリエステルフィルムをドライフィルムレジストの基材フィルムとして用いた場合、当該突起高さ個数を有するフィルム表面に感光性層を設け、他の基材に転写し、露光した後に剥離する場合に、フィルム表面に微細な突起が多数あることで蓮の葉のような効果が得られ、本発明のポリエステルフィルムを剥離しやすくなる。1nm以上の突起高さの個数が500個/μmを超える場合、他の層を積層しにくくなる場合がある。
フィルム表面の突起個数を上記の範囲とするための方法は特に限定されないが、例えば、ナノインプリントのようにモールドを用いて表面に形状を転写させる方法、UV照射やアーク放電によるコロナ処理、グロー放電によるプラズマ処理などの表面処理が挙げられる。インラインでの製膜適応性や微細な突起の形成個数の観点からは、UV照射、アーク放電によるコロナ処理、大気圧グロー放電によるプラズマ処理が好ましく、処理の均一性やフィルムへのダメージが少ないことから大気圧グロー放電によるプラズマ処理が更に好ましい。ここでいう大気圧とは700Torr~780Torrの範囲である。
大気圧グロー放電処理は、相対する電極とアースロール間に処理対象のフィルムを導き、装置中にプラズマ励起性気体を導入し、電極間に高周波電圧を印加することにより、該気体をプラズマ励起させ電極間においてグロー放電を行うものである。これによりフィルム表面が微細にアッシングされ突起が形成する。
プラズマ励起性気体とは前記のような条件においてプラズマ励起されうる気体をいう。プラズマ励起性気体としては、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガス、窒素、二酸化炭素、酸素、またはテトラフルオロメタンのようなフロン類およびそれらの混合物などが挙げられる。また、プラズマ励起性気体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の混合比で組み合わせてもよい。特に、窒素は安定してプラズマ励起されるためにプラズマ励起性気体として好ましく用いられる。また、酸素、アルゴン、二酸化炭素はプラズマ励起された場合の活性が強いため、窒素と混合して用いることが好ましい。プラズマ処理における高周波電圧の周波数は1kHz~100kHzの範囲が好ましい。また、以下方法で求められる放電処理強度(E値)は、10~2000W・min/mの範囲で処理することが突起形成の観点から好ましく、より好ましくは40~500W・min/mである。放電処理強度(E値)が低すぎると、突起が十分に形成されない場合があり、放電処理強度(E値)が高すぎると、ポリエステルフィルムにダメージを与えてしまう、または、アッシングが進行し、好ましい突起が形成されない場合がある。
<放電処理強度(E値)の求め方>
E=Vp×Ip/(S×Wt)
E:E値(W・min/m
Vp:印加電圧(V)
Ip:印加電流(A)
S:処理速度(m/min)
Wt:処理幅(m)
本発明のポリエステルフィルムの少なくとも片面の水の接触角を上述の範囲とするための方法は特に限られるものではないが、該面を構成する層に表面改質剤を添加し、かつ、上述のプラズマ処理を施すことが挙げられる。ここでいう表面改質剤は、親水性を向上させるためイオン性の化合物であり、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸イオンとアルカリ金属イオンからなる塩や、またはイミダゾリウム塩類・ピリジニウム塩類などのアンモニウム系やホスホニウム系化合物からなるカチオンと、臭化物イオンやトリフラート等のハロゲン系、テトラフェニルボレートなのホウ素系、ヘキサフルオロホスフェートなどのリン系化合物からなるアニオンの組み合わせで得られるイオン液体を好適に用いることができる。
特に、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸イオンとのアルカリ金属イオンからなる塩を用いる場合、アルキル基はポリエステルとの親和性が低いため、フィルム状とした場合に表面に析出する傾向にあり、上述のプラズマ処理を実施する場合、優先的にアルキル基部分がプラズマ励起性気体によって活性化し、フィルム表面のエステル基やカルボキシル基末端と反応することによって、効率よくポリエステルフィルム表面の水の接触角を低減させることができる。
本発明のポリエステルフィルムに上記の表面処理を施す場合、表面処理時のフィルムの表面温度を150℃以下にすることが好ましい。更に好ましくは100℃以下、最も好ましくは50℃以下である。表面温度が150℃よりも大きいとフィルムの結晶化が進行し、表面に粗大突起が形成したり、アッシングが進行しない場合がある。一方、フィルムの表面温度が低すぎると、アッシングが起こりにくく、好ましい突起が形成されにくい場合があるため、表面温度は10℃以上、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは25℃以上にすることが好ましい。また、表面処理温度は処理面と反対側の面を冷却ロール等で冷却することで調整することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、前記(1)、(2)を同時に満たす面(A面)の表面比抵抗が1×1012(Ω/□)以下であることが好ましい。特に好ましくは0.01×1012(Ω/□)以上1×1012(Ω/□)以下である。表面比抵抗が1×1012(Ω/□)を超える場合、フィルムに静電気が生じやすく、本発明のフィルムの表面に他の層を積層する工程中で異物が付着しやすく、欠点となることがある。0.01×1012(Ω/□)を下回る場合、フィルムが導通する場合があるため好ましくない。
前記(1)、(2)を満たす面(A面)は親水性であるため、フィルム表面に大気中の水分子が引き寄せられることでフィルム表面の導電性が向上し、表面比抵抗を効率的に上述の範囲とすることができる。
また、本発明のポリエステルフィルムをロール状に巻き取る際、前記(1)、(2)を同時に満たす面(A面)が外側に配されていることが好ましい。前記(1)、(2)を同時に満たす面(A面)が外側に配されることで、ロールの表面に異物が付着することを防止できるため、異物起因でのシワや巻きズレを防止できるため好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、前記(1)、(2)を同時に満たす面のAFM(Atomic Force Microscope)で測定されるスライスレベルの最も大きい値(Rtop(nm))が20nm以下であることが好ましい。本発明におけるRtop(nm)は、フィルム表面に存在する突起の高さを反映している。Rtop(nm)が20nmを超える場合、フィルムをロール状に巻き取った際にフィルムの他の面に欠陥を生じたり、フィルムの表面に他の層を積層する際に突起によって他の層に欠陥を与えたりする結果、加工性が低下する場合がある。また、Rtopが小さい場合、フィルムに突起が存在しないことになり、フィルムの易滑性が悪化する場合がある。Rtop(nm)は、好ましくは3nm以上20nm未満であり、より好ましくは5nm以上15nm以下である。
本発明のポリエステルフィルムの、少なくとも片面が上述の(1)、(2)を満たす範囲とするためには、大気圧グロー放電処理を用いる場合、後述する製膜方法におけるキャストドラムの温度を制御すること、フィルムを構成する熱可塑性樹脂の結晶性を制御することなどが挙げられる。
一般的に、大気圧グロー放電処理によって熱可塑性樹脂フィルム、とくにPETやPENのように非晶部と結晶部を持つフィルムの表面をアッシングする場合、柔らかい非晶部からアッシングされていく。結晶部と非晶部を細分化させることで、大気圧グロー放電処理することでより微細な突起を形成することができ、また、結晶部を増やしておくことで柔らかい非晶部が深く削れることで突起高さを高くすることが可能となる。例えば、熱可塑性樹脂の結晶性について、後述する製膜方法におけるキャストドラムの温度を上げて微細な結晶を作ったり、熱可塑性樹脂中に結晶化促進剤などを含有せしめることで結晶性を高めることが好ましい。また、大気圧グロー放電処理の強度や、大気圧グロー放電処理の際に用いるプラズマ励起性気体の活性を上げることも、表面改質剤とフィルム表面の反応性を向上できるため、水の接触角を低減させるのに有効な手段である。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの、固有粘度(IV)は、0.55(dl/g)以上、より好ましくは0.60(dl/g)以上である。IVは、分子鎖の長さを反映した数字であり、分子鎖が長い方が、同一分子鎖の中で結晶部と非晶部を明確に形成しやすいため、大気圧グロー放電処理することでより微細な突起を形成することが容易となるため好ましい。
本発明のポリエステルフィルムの(1)、(2)を満たす面は、後述する測定条件における金属との摩擦係数μkが、0.30以上0.55以下であることが好ましい。より好ましくは0.30以上0.50以下である。0.55を超える場合、易滑性が十分でなく、本発明のフィルムを加工することができない。0.30を下回る場合、本発明のフィルムを巻き取る際に巻きズレが生じる場合がある。
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の特性を損なわない範囲で、有機粒子または無機粒子、あるいはその両方を含有しても構わないが、本発明の特性を最大限得るためには、実質的に粒子を含有しないことが好ましい。実質的に粒子を含有しないとは、ポリエステルフィルムに対する粒子の含有量が500ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下、最も好ましくは10ppm以下である。本発明のフィルムに粒子を添加した場合には、フィルム表層に粒子が存在するため、Rtop(nm)が大きくなる場合や、上述の大気圧グロー放電によってフィルムを処理した場合に突起が形成されにくく、1nm以上の突起個数が好ましい範囲とならない場合がある。本発明のフィルムに粒子を添加する場合は、粒子の粒径は150nm以下とすると、大気圧グロー放電によってフィルムを処理した場合に突起が形成されにくくなる影響を小さくすることができるため好ましい。より好ましくは100nm以下である。
本発明のポリエステルフィルムは、A面を有するA層単層からなるフィルムであってもよく、A面を有するA層とその他の層を積層した積層フィルムであってもよい。本発明のポリエステルフィルムに粒子を添加する場合は、積層フィルムとし、A面を有するA層以外の層に添加することが好ましい。その際、A面を有するA層の厚みは0.5μm以上あると、上述の大気圧グロー放電によってフィルムを処理した場合、その他の層に含有する粒子による影響を抑制できるため好ましい。より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは2μm以上である。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、特に限られるものでは無いが1μm以上500μm以下であることが好ましい。本発明のポリエステルフィルムを、他の層を設ける基材として用いる場合、ポリエステルフィルムの厚みは好ましくは10μm以上50μm以下であり、さらに好ましくは10μm以上40μm以下、特に好ましくは15μm以上25μm以下である。10μmを下回る場合は、本発明のポリエステルフィルムを用いて加工を行う場合、フィルムが破れたり、ハンドリング性が悪くなる場合がある。50μmを超える場合は、透明性が低下し、フォトリソグラフィーなどの工程に用いることができない場合がある。
次に、本発明のポリエステルフィルムの製造方法について、二軸配向ポリエステルフィルムを例に挙げて説明するが、本発明は、かかる例によって得られる物のみに限定して解釈されるものではない。
本発明に用いられるポリエステルを得る方法としては、常法による重合方法が採用できる。例えば、テレフタル酸等のジカルボン酸成分またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール等のジオール成分またはそのエステル形成性誘導体とを公知の方法でエステル交換反応あるいはエステル化反応させた後、溶融重合反応を行うことによって得ることができる。また、必要に応じ、溶融重合反応で得られたポリエステルを、ポリエステルの融点温度以下にて、固相重合反応を行っても良い。
本発明のポリエステルフィルムは、従来公知の製造方法で得ることが出来るが、延伸、熱処理工程を以下の条件で製造することにより、少なくとも片面を上述の通り好ましい物性を持つ表面とすることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、必要に応じて乾燥した原料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)を使用することができる。その他の方法として、原料を溶媒に溶解させ、その溶液を口金からキャストドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して膜状とし、次いでかかる膜層から溶媒を乾燥除去させてシート状に加工する方法(溶液キャスト法)等も使用することができる。
2層以上の積層ポリエステルフィルムを溶融キャスト法により製造する場合、積層ポリエステルフィルムを構成する層毎に押出機を用い、各層の原料を溶融せしめ、これらを押出装置と口金の間に設けられた合流装置にて溶融状態で積層したのち口金に導き、口金からキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法が好適に用いられる。該積層シートは、表面温度20℃以上60℃以下に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸シートを作製する。キャストドラムの温度は、より好ましくは25℃以上60℃以下、さらに好ましくは40℃以上55℃以下である。20℃以下ではプラズマを照射し、二軸延伸した後のフィルム表面の突起形成が十分でない場合がある。60℃を超えると、キャストドラムにフィルムが貼り付き、未延伸シートを得ることが困難になる場合がある。
次いで、ここで得られた未延伸フィルムにナノインプリントのようにモールドを用いて表面に形状を転写させる方法、紫外光照射やアーク放電によるコロナ処理、グロー放電によるプラズマ処理などの表面処理を施す。これらの表面処理は未延伸フィルムを得た直後でも、微延伸を施した後でも、縦および/又は横方向に延伸した後でも良いが、本発明では未延伸フィルムに表面処理することが好ましい。また、表面処理を施す面はキャストドラムに接していた面(ドラム面)でもキャストドラムに接していない面(非ドラム面)のいずれでも良い。その際、表面処理を施すフィルム面の表面温度が高くなりすぎないよう制御する。
その後、必要に応じて延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向せしめる。二軸延伸するため、フィルムを加熱する工程を経るため、本発明のポリエステルフィルムが表面改質剤を含む場合、ポリエステル表面のエステル基やカルボキシル基末端との反応が促進され、水の接触角を好ましい範囲とすることが可能となる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法又は同時二軸延伸法を用いることができる。最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法が、延伸破れなく本発明フィルムを得るのに有効である。
[特性の評価方法]
A.AFM(Atomic Force Microscope)による評価
(i)突起高さが1nm以上の突起個数(個/μm)、Rtop(nm)
以下の測定条件によって得られるフィルム表面の画像を、付属の解析ソフトを用い、解析する。得られるフィルム表面の画像から、フィルム表面の基準面が自動的に決定される。該基準面から、突起高さの閾値を1nm、2nm・・・と1nmごとに定め、各閾値で得られる突起個数をカウントし、1nmでカウントされる個数を突起高さ1nm以上の突起個数(個/μm)とし、カウントされる突起個数が初めて0になる閾値から1nm低い閾値をRtop(nm)とする。
[AFM測定条件]
装置;Digital Insturuments社製 NanoScope3型 SPMコントロールステーション
SPMユニット;原子間力顕微鏡(AFM)
カンチレバー:シリコン単結晶
走査モード:タッピングモード
走査速度:0.8Hz
測定視野:1μm四方
サンプルライン:256
Flatten Auto:オーダー3
サンプル調整:23℃、65%RH、24時間静置
AFM測定環境:23℃、65%RH
場所を変えて20回測定し、その平均値を求める。
B.金属摩擦係数(μk)
フィルム幅を12.65mmのテープ状にスリットしたものをテープ走行試験機SFT-700型((株)横浜システム研究所製)を使用し、23℃65%RH雰囲気下にて、フィルムに荷重100gをかけた状態で走行させ、走行後の摩擦係数(μk)を下記の式より求めた。なお、測定するフィルム表面がガイドに接するようにセットし、5回の測定の平均値から求めた。
μk=2/πln(T/T
:張力荷重(100gf)
:走行中の張力
ガイド径:6mmΦ
ガイド材質:SUS27(表面粗度0.2S)
巻き付け角:90°
走行距離:10cm
走行速度:3.3cm/秒。
C.厚み(μm)
フィルム厚みは、ダイヤルゲージを用い、JIS K7130(1992年)A-2法に準じて、フィルムを10枚重ねた状態で任意の5ヶ所について厚さを測定した。その平均値を10で除してフィルム厚みとした。
フィルムが積層フィルムである場合、下記の方法にて、各層の厚みを求めた。フィルム断面を、フィルム幅方向に平行な方向にミクロトームで切り出す。該断面を走査型電子顕微鏡で5000倍の倍率で観察し、積層各層の厚み比率を求める。求めた積層比率と上記したフィルム厚みから、各層の厚みを算出する。
D.フィルムの固有粘度IV(dl/g)
オルトクロロフェノール100mlに本発明のフィルムを溶解させ(溶液濃度C=1.2g/dl)、その溶液の25℃での粘度を、オストワルド粘度計を用いて測定する。また、同様に溶媒の粘度を測定する。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記(a)式により、[η](dl/g)を算出し、得られた値でもって固有粘度(IV)とする。
(a)ηsp/C=[η]+K[η]・C
(ここで、ηsp=(溶液粘度(dl/g)/溶媒粘度(dl/g))―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)。
E.水の接触角(°)
サンプルを室温23℃湿度65%の雰囲気中において、24時間放置後、その雰囲気下で接触角計CA-D型(協和界面科学(株)社製)を用い、JIS K6768に基づき、水に対する接触角を測定する。
F.レジスト層塗工性
本発明のポリエステルフィルムのA面上に、暗室内にてグラビアコート法にて感光性樹脂層を、塗布厚みが5μmとなるように塗布する。感光性樹脂層として、熱可塑性樹脂としてのメタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレートからなる共重合ポリマーと、感光性材料としてのトリメチロールプロパントリアクリレートおよびポリエチレングリコール(数平均分子量600)ジメタクリレートと、光重合開始剤としてのベンゾフェノンおよびジメチルアミノベンゾフェノンと、安定剤としてのハイドロキノンと、着色剤としてのメチルバイオレットとからなる混合物を、エタノールに溶解したものを用いる。塗布後のフィルムを、300mm×500mmの範囲にて、塗布抜け、あるいは表面転写による塗布欠点を観察し、以下のように評価する。Aが最も良好であり、Dが最も劣る。
A:塗布欠点個数が9個/m以下
B:塗布欠点個数が10~19個/m
C:塗布欠点個数が20~29個/m
D:塗布欠点個数が30個/m以上。
G.レジスト層剥離性
F.項で得られた本発明のポリエステルフィルムと感光性樹脂層からなる積層体を、感光性樹脂層が片面鏡面研磨した6インチSiウエハーに接触するように重ね、ゴム製のローラーを用いてラミネートする。積層体は、あらかじめ幅15mm長さ50mmに切り出し、ラミネートに供する。続いて感光性層からポリエステルフィルムを引っ張り試験器で剥離した際、感光性層の表面状態を観察する。
A;キズの個数が1個以上5個未満
B;キズの個数が5個以上10個未満
C;キズの個数が10個以上
Aが最も良好であり、Cが最も劣る。
H.インク層塗工性
「パナシアCVL-SP805スミ」(DIC株式会社製、スミインキ、塩化ビニル・酢酸ビニル系墨インキ)100質量部と、「CVLハードナーNo.10」(DIC株式会社製の架橋剤)4質量部と、「ダイレジューサーV No.20」(DIC株式会社製の希釈溶剤)35質量部を混合することによって黒色インキを調製する。本発明のポリエステルフィルムのA面に、乾燥後の厚さが2μmになるようダイレクトグラビアコーターを用いて塗工した後、90℃で30秒乾燥させ黒インキ層を形成する。該積層体を100mm×100mmに切り出し、1000cd/mとなるように光を当てた際の輝点の個数を暗室にて観察する。
A:輝点の数が10個未満。
B:輝点の数が10個以上20個未満。
C:輝点の数が20個以上30個未満。
D:輝点の数が30個以上。
I.ロール形状巻き特性
フィルムを1000mm幅で長さ500mを巻き取り速度30m/分で巻いた時の巻き上がりロール状態を観察して判定する。判定方法は、横シワの発生状況を測定する。横シワはロール1周分をロールから引きとり、フィルムに発生した横シワの発生比率を求める。横シワ発生の比率(%)は、[(フィルム幅方向につながっている横皺の、フィルム長さ方向の長さ合計、つまり横皺の発生している幅の合計)/(ロール1周分の長さ)]×100、により求める。なお、横シワが観察しにくい場合は、トナーを吹き付ける等の方法で容易に測定できる。なお評価は5本以上巻いた時の1本当たりの平均値で次のように判定する。
A:横シワ発生比率5%未満
B:横シワ発生比率5%以上10%未満
C:横シワ発生比率10%以上
J.表面比抵抗(Ω/□)
フィルムを温度23℃、相対湿度65%で24時間静置して調湿した後、同条件下でデジタル超高抵抗/微小電流計(アドバンテスト製R8340A)を用い、印加電圧100Vにて表面比抵抗を測定する。5回測定し、その平均値で表面比抵抗(Ω/□)とする。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
[PET-1の製造]テレフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、常法により重合を行い、実質的に粒子を含有しない溶融重合PETを得た。得られた溶融重合PETのガラス転移温度は81℃、融点は255℃、固有粘度は0.62であった。
[PET-2の製造]PET-1を用い、常法により固相重合を行い、固相重合PETを得た。得られた固相重合PETのガラス転移温度は81℃、融点は255℃、固有粘度は0.81であった。
[PET-3の製造]PET-1の重合に際し、PETに対する含有量が0.2重量%となるように、エチレングリコールに分散させた200nmコロイダルシリカを添加し、PET-3を得た。得られた溶融重合PETのガラス転移温度は81℃、融点は255℃、固有粘度は0.62であった。
[PET-4の製造]PET-1の重合に際し、PETに対する含有量が10重量%となるように表面改質剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加し、PET-4を得た。得られた溶融重合PETのガラス転移温度は81℃、融点は255℃、固有粘度は0.60であった。
[PET-5の製造]PET-1の重合に際し、PETに対する含有量が0.07重量%となるように、エチレングリコールに分散させた50nmコロイダルシリカを添加し、PET-5を得た。得られた溶融重合PETのガラス転移温度は81℃、融点は255℃、固有粘度は0.62であった。
[MB-Aの製造]PET-2 90重量%と、表面改質剤として3M社製イオン液体FC4400(カチオン:トリブチルメチルアンモニウム、アニオン:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)10重量%を、ベント孔付き押出機に投入し、ベント孔を1kPa以下になるように減圧しながら混練し、MB-Aを得た。
[MB-Bの製造]PET-2 90重量%と、表面改質剤としてBASF社製イオン液体BasionicsLQ01(カチオン:1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、アニオン:エチルスルフェイト)10重量%を、ベント孔付き押出機に投入し、ベント孔を1kPa以下になるように減圧しながら混練し、MB-Bを得た。
(実施例1)
PET-2、PET-4をそれぞれ160℃で2時間減圧乾燥した後、押出機に表の記載の量となるようにブレンドして供給し、溶融押出してフィルターで濾過した後、ダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて、40℃に保ったキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを相対する電極とアースロール間に導き、装置中に窒素ガスを導入し、E値が150W・min/mとなる条件で大気圧グロー放電処理を行った。また、その際処理面のフィルム表面温度が30℃となるようにアースロールを冷却した。
処理後の未延伸フィルムを逐次二軸延伸機により長手方向に3.5倍、および幅方向にそれぞれ4.5倍、トータルで15.75倍延伸しその後、定長下240℃で熱処理した。その後、幅方向に弛緩処理を施し、厚み20μmの二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの特性等を表に示す。加工性、易滑性ともに問題のないフィルムであった。
(実施例2-9)
A層を構成する樹脂、E値、プラズマ処理雰囲気を表の通り変えた以外は、実施例1と同様にして厚み20μmの二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの特性等を表に示す。
実施例2、5では表面改質剤の添加量が増えたため、水の接触角はより好ましい値となり、表面を覆う改質剤の量が増えたため、プラズマ励起性気体による表面形成が進行しにくく、1nm以上の高さを有する突起の個数が実施例1に比べやや低減する結果となったが、加工性は実用に耐えるレベルであった。
実施例3、4ではプラズマ処理の条件を変え、より反応性を向上させた結果、A面の表面特性を良好なものとすることができ、加工性が特に良好なフィルムであった。実施例3では処理の強度を強くし、実施例4では酸素を窒素に対して0.5体積%添加した。
実施例6、7では表面改質剤の種類を変更したが、A面の表面特性は良好であり、実用に耐えるレベルであった。
実施例8では、A層を構成する樹脂(PET)のIVを変更したが、A面の表面特性は良好であり、加工性が特に良好なフィルムであった。
実施例9では、粒子を少量含有しているためA面のRtop(nm)がやや大きくなるフィルムであったが、実用に耐えるレベルであった。
(実施例10)
A面を構成する樹脂として、PET-2、PET-4をそれぞれ160℃で2時間減圧乾燥した後、押出機に表の記載の量となるようにブレンドして押出機Aに供給し、別の押出機Bには、PET-3 100重量%を160℃で2時間減圧乾燥して供給した。それぞれの押出機にて溶融してフィルターで濾過した後、合流装置にてA面の反対側に押出機Bの樹脂が配されるようにして、ダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて、40℃に保ったキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸フィルムを得た。積層比率は、A面(A層)/B面(B層)が9/1になるように調整した。この未延伸フィルムを相対する電極とアースロール間に導き、装置中に窒素ガスを導入し、E値が150W・min/mとなる条件でA面にのみ大気圧グロー放電処理を行った。また、その際処理面のフィルム表面温度が30℃となるようにアースロールを冷却した。
処理後の未延伸フィルムを逐次二軸延伸機により長手方向に3.5倍、および幅方向にそれぞれ4.5倍、トータルで15.75倍延伸しその後、定長下240℃で熱処理した。その後、幅方向に弛緩処理を施し、厚み20μmの二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの特性等を表に示す。加工性、易滑性ともに問題のないフィルムであった。
(比較例1)
押出機に供給するA層を構成する樹脂を表に記載の通りとし、実施例1と同様の方法で未延伸フィルムを得た後、大気圧グロー放電処理を行わずに逐次二軸延伸機へと導入したこと以外は実施例1と同様の方法で二軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムの特性等を表に示す。大気圧グロー放電処理を実施していないため、A面の表面特性に劣り、特に1nm以上の突起高さを有する突起の個数が小さく、レジスト層剥離性に劣るフィルムであった。
(比較例2)
比較例1と同じA層を構成する樹脂を用い、キャスト温度40℃で得た未延伸フィルムにE値が150W・min/mとなる条件で大気圧グロー放電処理を行った以外は、比較例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表に示す。表面改質剤の添加量が多く、プラズマ励起性気体による表面改質が十分でなく、1nm以上の突起高さを有する突起の個数が小さく、レジスト層剥離性に劣るフィルムであった。
(比較例3)
原料の組成を表の通りに変えた以外は、比較例1と同様にしてフィルムを得た。A面の表面特性に劣り、特に1nm以上の突起高さを有する突起の個数が小さく、レジスト層剥離性に劣るフィルムであった。
(比較例4)
原料の組成を表の通りに変えた以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。表面改質剤を添加していないためA面の表面特性に劣り、特に水の接触角が大きく、レジストと構成に劣るフィルムであった。
(比較例5)
A層を構成する樹脂を表に記載の通りにし、比較例1と同様にしてえた二軸延伸フィルムに、表に記載の通りの条件で大気圧グロー放電を行い、フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表に示す。フィルムの表面改質効果が十分でなく、A面の表面特性が劣り、実使用に耐えないフィルムであった。
(比較例6)
比較例4で得たフィルムに、さらにE値150(W/min・m)、窒素雰囲気下で大気圧グロー放電処理を行い、フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表に示す。表面改質剤を添加していないため、フィルムの表面改質効果が十分でなく、特に水の接触角が大きくレジスト層塗工性に劣るフィルムであった。
(比較例7)
大気圧グロー放電する際のE値を表に記載の通りとした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。プラズマ処理のE値が大きすぎるため表層に表面改質剤が存在せず、また1nm以上の突起高さを有する突起個数の数も少ないため表面特性に劣り、実使用に他いえないフィルムであった。
Figure 0007206857000001
Figure 0007206857000002
Figure 0007206857000003
Figure 0007206857000004
Figure 0007206857000005
Figure 0007206857000006
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは良好な平滑性、易滑性を有し、さらに他の層の積層性も向上させることができるため、片面に感光樹脂組成物を体積して使用されるドライフィルムレジスト支持体用ポリエステルフィルムや光学デバイス基材用フィルム、印刷用フィルム、磁気記録媒体用フィルムとして好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 少なくとも片面(A面)が以下(1)、(2)を同時に満たすポリエステルフィルム。
    (1)水に対する接触角度が30°以下であること。
    (2)AFM(Atomic Force Microscope)で以下の測定条件で測定される突起高さが1nm以上の突起個数が200個/μm以上であること。
    [AFM測定条件]
    装置;Digital Insturuments社製 NanoScope3型 SPMコントロールステーション
    SPMユニット;原子間力顕微鏡(AFM)
    カンチレバー:シリコン単結晶
    走査モード:タッピングモード
    走査速度:0.8Hz
    測定視野:1μm四方
    サンプルライン:256
    Flatten Auto:オーダー3
    サンプル調整:23℃、65%RH、24時間静置
    AFM測定環境:23℃、65%RH
    上記測定条件によって得られるフィルム表面の画像を、Digital Insturuments社製 NanoScope3型 SPMコントロールステーションに付属の解析ソフトを用い、解析する。得られるフィルム表面の画像から、フィルム表面の基準面が自動的に決定される。該基準面から、突起高さの閾値を1nm、2nm・・・と1nmごとに定め、閾値1nmで得られる突起個数をカウントし、1nm以上の突起個数とする。
    場所を変えて20回測定し、平均値でもって1nm以上の突起個数とする。
  2. 前記(1)、(2)を同時に満たす面(A面)の表面比抵抗が1×1012(Ω/□)以下である請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 前記(1)、(2)を同時に満たす面(A面)のAFM(Atomic Force Microscope)で測定されるスライスレベルの最も大きい値(Rtop)が20nm以下である請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 前記(1)、(2)を同時に満たす面(A面)に、他の層を設ける基材として用いられる請求項1から3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. 前記の他の層が、極性基を有する樹脂を含む請求項4に記載のポリエステルフィルム。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のポリエステルフィルムを、前記(1)、(2)を同時に満たす面(A面)が外側に配されるよう巻き取ってなるポリエステルフィルムロール。
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