JP7172304B2 - 熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、どちらか一方の表面の弾性率の分布幅を一定の範囲内に制御し、微細な突起を有する熱可塑性樹脂フィルムに関するものである。
熱可塑性樹脂はその加工性の良さから、様々な工業分野に利用されている。また、これら熱可塑性樹脂をフィルム状に加工した製品は工業用途、光学製品用途、包装用途など今日の生活において重要な役割を果たしている。特に、電子情報機器の作成においては、小型化、高集積化が進むことで、基材であるフィルムには平滑性が求められている。一方で、これらのフィルム製品を取り扱うにあたり、その易滑性は特に重要であり、易滑性が低いと生産工程や加工工程時にシワや傷が発生することが問題となる場合がある。そのため、フィルムに対する表面の平滑性と易滑性の要求はますます高くなっている。しかしながら、平滑性を高めると、易滑性は低下する傾向にあるため、平滑性と易滑性がともに優れるフィルムを得ることは困難であった。
近年、プリント配線基板、半導体パッケージ、フレキシブル基板などの製造に、ポリエステルフィルムを基材として用いるドライフィルムレジスト(DFR)が多く用いられる。一般的に、DFRは、感光層(フォトレジスト層)が、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂フィルムからなる基材フィルムとポリオレフィンフィルムなどからなる保護フィルム(カバーフィルム)との間に挟まれたサンドイッチ構造をしている。このDFRを用いて導体回路を作成するには、一般的に次のような操作が行われる。
すなわち、DFRから保護フィルムを剥離し、露出したレジスト層の表面と、基板上の例えば銅箔などの導電性基材層の表面とが密着するように、基板・導電性基材層とラミネートする。次に導体回路パターンを焼き付けたレチクルを、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂フィルムからなる基材上に置き、その上から感光性樹脂を主体としたレジスト層に光線を照射して、露光させる。その後、レチクル及びポリエステルなどの熱可塑性樹脂フィルムを剥離した後、溶剤によってレジスト層中の未反応分を溶解、除去する。次いで、酸などでエッチングを行い、導電性基材層中の露出した部分を溶解、除去する。この結果、レジスト層中の光反応部分とこの光反応部分に対応する導電性基材層部分がそのまま残ることになる。その後、残ったレジスト層を除去すれば、基板上の導体回路が形成されたことになる。このような方法により導体回路が形成されるので、基材としてのポリエステルなどの熱可塑性樹脂フィルムには、レジスト層からの剥離時に、レジスト層を傷つけることなく円滑に剥離されることが求められる。
また、昨今のスマートフォンの普及に伴い、積層セラミックコンデンサーは小型化・高容量化が進んでいる。そのため、積層セラミックコンデンサーの製造に用いる離型フィルムは、平滑性が高く、フィルム表面及び内部にキズや欠点の無いポリエステルなどの熱可塑性樹脂フィルムの需要が急速に増えている。基材として使用されるポリエステルなどの熱可塑性樹脂フィルムの表面特性として、その平滑面の品質が加工後のグリーンシート製品の品質にも影響を与えやすくなる傾向にある。また、粗面の品質も加工後のグリーンシート製品の品質に影響を与えやすくなる傾向にある。例えば従来のポリエステルなどの熱可塑性樹脂フィルムでは問題にならなかったが、粗面側の突起がグリーンシートを巻き上げた際にグリーンシートに転写し、キズやへこみを生じたりすることがある。さらに積層セラミックコンデンサーの微細化はますます進んでおり、グリーンシート製品を薄膜かつ多層に積層する際に高い積層精度が要求されている。しかしながら、従来の技術で得られる離型フィルムでは、積層精度を一定程度高めることは可能だが、剥離特性のバラつきを抑制できないという課題を有している。
上記の要求にこたえるためには、例えば添加剤により表面を荒らすことで平滑性を保ちながら易滑性を向上させる技術が開示されている。(特許文献1)また、ポリオレフィンを含有させ熱安定性と表面粗度を向上させることで剥離特性を安定化させる技術が報告されている。(特許文献2)
特開2017-30362号広報 特開2004-216613号広報
しかしながら、添加剤を用いて表面を荒らした場合、凹凸が変形することで十分な易滑性を発現できない場合がある。また、ポリオレフィンを含有させた場合、平滑性が損なわれるため、高い精度が要求されるドライフィルムレジスト基材フィルムや積層セラミックコンデンサーの離型フィルムには好ましくない。さらに上述のように、巻き取り時の転写などによる欠点の原因となることも考えられる。本発明は上記事情に鑑み、平滑でありながら、易滑性が向上し、良好な剥離性を有することで、製膜・加工工程での欠点を抑制できる熱可塑性樹脂フィルムを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成を取る。
[I]以下(1)、(2)を同時に満たす面を少なくともどちらか一方に備える熱可塑性樹脂フィルム。
(1)Atomic Force Microscope(AFM)で測定される高さが1nm以上10nm未満である突起の突起個数が200個/μm以上2000個/μm以下であること。
(2)Atomic Force Microscope(AFM)で測定される、弾性率の分布幅((最大値-最小値)/平均値)が0.5以上1.7以下であること。
[II](1)、(2)を満たす面が、さらに以下(3)を満たす[I]に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
(3)ナノインデンテーションで測定される、16点測定時の平均弾性率が2.5GPa以上6.0GPa以下であること。
[III](1)、(2)を満たす面が、さらに以下(4)を満たす[I]または[II]に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
(4)ナノインデンテーションで測定される、16点測定時の弾性率が全て2.5GPa以上6.0GPa以下であること。
[IV]AFM(Atomic Force Microscope)で測定されるスライスレベルの最も大きい値が2nm以上10nm未満である[I]~[III]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
[V]100℃での長手方向の熱収縮応力が0.16MPa以上1.20MPa以下である[I]~[IV]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
[VI]離型フィルムとして用いられる、[I]~[V]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
[VII]ドライフィルムレジストの工程フィルムとして用いられる、[VI]に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
[VIII]積層セラミックコンデンサーの工程フィルムとして用いられる、[VI]に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、良好な易滑性を有しながらも、良好な剥離性を示し、製膜・加工工程での欠点を抑制できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は熱可塑性樹脂フィルムに関する。本発明でいう熱可塑性樹脂とは、加熱すると塑性を示す樹脂であり、代表的な樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンα、β―ジカルボキシレート、P-ヘキサヒドロ・キシリレンテレフタレートからのポリマー、1,4シクロヘキサンジメタノールからのポリマー、ポリ―P-エチレンオキシベンゾエート、ポリアリレート、ポリカーボネートなど及びそれらの共重合体で代表されるように主鎖にエステル結合を有するポリエステル類、更にナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン11、などで代表されるように主鎖にアミド結合を有するポリアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレンで代表されるように主としてハイドロカーボンのみからなるポリオレフィン類、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリオキシメチレンなどで代表されるポリエーテル類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレンなどで代表されるハロゲン化ポリマー類及びポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルホンおよびそれらの共重合体や変性体、ポリイミド(PI)などである。
本発明においては、透明性、製膜性の観点からポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミドを主成分とする熱可塑性樹脂であることが好ましく、その中でもポリエステルがさらに好ましい。ここでいう主成分とはフィルムの全成分100質量%において、50質量%を超えて100質量%以下含有している成分を示す。
また、本発明でいうポリエステルはジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を重縮合してなるものである。なお、本明細書内において、構成成分とはポリエステルを加水分解することで得ることが可能な最小単位のことを示す。
かかるポリエステルを構成するジカルボン酸構成成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、4,4‘-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9‘-ビス(4-カルボキシフェニル)フルオレン酸等芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。
また、かかるポリエステルを構成するジオール構成成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジ
メタノール、スピログリコール、イソソルビドなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、1,3-ベンゼンジメタノール,1,4-ベンセンジメタノール、9,9‘-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、芳香族ジオール類等のジオール、上述のジオールが複数個連なったものなどが例としてあげられる。
本発明に用いられるポリエステルには、ラウリルアルコールやイソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトールおよび2,4-ジオキシ安息香酸等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分とジオール成分以外に、p-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息香酸および2,6-ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸、およびp-アミノフェノールやp-アミノ安息香酸などを、本発明での突起個数・弾性率の分布幅に影響のない程度の少量であればさらに共重合させることができる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートが好ましく用いられる。また、ポリエステルはこれらの共重合体、変性体でもよい。結晶性の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)が主成分であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、二軸配向していることが好ましい。二軸配向していることにより、フィルムの機械強度を向上させることができる。ここで言う二軸配向とは、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。二軸配向している熱可塑性樹脂フィルムは、一般に未延伸状態の熱可塑性樹脂シートをシート長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)に延伸し、その後熱処理を施し結晶配向を完了させることにより、得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、少なくとも片面が、後述の方法によってAtomic Force Microscope(AFM)で測定される、高さが1nm以上10nm未満である突起の突起個数が200個/μm以上2000個/μm以下である必要がある。少なくとも一方のフィルム表面の突起個数を上記の値とすることで、突起により工程ロールやフィルムなどとの接触面積が低下し良好な易滑性が発現する。突起個数が200個/μm未満のときには易滑性が低下し、製膜時や加工時にスリキズ等のフィルム表面欠点や工程汚れが問題になる場合がある。また、突起個数が2000個/μmを超えるときには易滑性が過剰となり、例えばロール巻き取り時に巻きズレが酷くなるなどの問題が発生する場合がある。突起個数としては200個/μm以上1000個/μm以下がより好ましく、300個/μm以上800個/μm以下がさらに好ましい。以降、前述のAtomic Force Microscope(AFM)で測定される、突起高さが1nm以上10nm未満である突起の突起個数が200個/μm以上2000個/μm以下の突起を有する面をA面と称する場合がある。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムA面の突起個数を上記の範囲とするための方法は特に限定されないが、例えば、UV照射やアーク放電によるコロナ処理、グロー放電によるプラズマ処理などの表面処理により表面をエッチングし、突起を形成させる手法があげられる。詳しい表面処理の条件については後述する。これ以降、高さが1nm以上10nm未満である突起を微細な突起と呼ぶことがある。
また、本発明の熱可塑性樹脂フィルムは上述のA面の、Atomic Force Microscope(AFM)で測定される、弾性率の分布幅((最大値-最小値)/平均値)が0.5以上1.7以下である必要がある。Atomic Force Microscope(AFM)で測定される弾性率の分布幅は、ドライフィルムレジスト用途や積層セラミックコンデンサー離形用途での剥離工程における剥離性(剥離ムラや剥離ムラにより生じる欠点の抑制)を図る指標となる。弾性率の分布幅が0.5未満の時には、前記の微細な突起を有するフィルム表面の弾性率が極めて一定に揃っていることを表し、前記フィルム表面の弾性率が極めて一定に揃っている結果、剥離のきっかけとなる点が得られにくくなるため、剥離性(特に剥離ムラや剥離ムラにより生じる欠点の抑制)に劣る。一方、弾性率の分布幅が1.7を超えるときには、前記の微細な突起を有するフィルム表面に極端な高弾性部分と低弾性部分がフィルム表面に存在することになるため、剥離性には優れるものの、例えば巻き取り時などに極端な高弾性部分が、接触したフィルムの低弾性部分を傷つけてしまう場合があるため、耐キズ性に劣る。弾性率の分布幅の範囲としては0.8以上1.7以下がより好ましく、1.0以上1.5以下がさらに好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムA面の弾性率の分布幅を上記の範囲とするための方法は特に限定されないが、例えば、(1)主成分として含む熱可塑性樹脂よりも高弾性成分を一種類以上共重合・混合する方法、(2)延伸時に特定の熱処理を行うことによりフィルム表面を結晶化させることで弾性率を制御する方法、(3)UV照射やアーク放電によるコロナ処理、グロー放電によるプラズマ処理などの表面処理によりフィルム表面を結晶化させることで弾性率を制御する方法、およびこれらの方法を二種類以上組み合わせることなどが挙げられる。弾性率の分布幅の制御が容易である観点から、(3)の方法と、(1)または(2)の方法を組み合わせることが好ましい。
(表面処理)
以下、(3)のUV照射やアーク放電によるコロナ処理、グロー放電によるプラズマ処理などの表面処理によりフィルム表面を結晶化させることで弾性率を制御する方法について説明する。
フィルム表面を結晶化させることで弾性率を制御する方法としては、UV照射やアーク放電によるコロナ処理、グロー放電によるプラズマ処理などの表面処理を行うことが挙げられる。
プラズマ処理については、処理の均一性やフィルムへのダメージが少ないことから大気圧グロー放電によるプラズマ処理が更に好ましい。ここでいう大気圧とは700Torr~780Torrの範囲である。大気圧グロー放電処理は、相対する電極とアースロール間に処理対象のフィルムを導き、装置中にプラズマ励起性気体を導入し、電極間に高周波電圧を印加することにより、該気体をプラズマ励起させ電極間においてグロー放電を行うものである。これによりフィルム表面の非結晶部が選択的にエッチングされ、表面の結晶化が進行する。
プラズマ励起性気体とは前記のような条件においてプラズマ励起されうる気体をいう。プラズマ励起性気体としては、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガス、窒素、二酸化炭素、酸素、またはテトラフルオロメタンのようなフロン類およびそれらの混合物などが挙げられる。また、プラズマ励起性気体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の混合比で組み合わせてもよい。プラズマ処理における高周波電圧の周波数は1kHz~100kHzの範囲が好ましい。
また、以下方法で求められる放電処理強度(E値)は、10~2000W・min/mの範囲で処理することが突起形成の観点から好ましく、より好ましくは100~500W・min/mである。放電処理強度(E値)が低すぎると、エッチングが進行せず突起個数が低下することで易滑性が低下する場合や結晶化が十分に進行せず後述する平均弾性率が十分に上昇しないことにより耐キズ性が低下する場合、弾性率の分布幅が狭くなることで剥離性が悪化する場合があり、放電処理強度(E値)が高すぎると熱可塑性樹脂フィルム表面が劣化することで平均弾性率が低くなり耐キズ性が低下する場合がある。
<放電処理強度(E値)の求め方>
E=Vp×Ip/(S×Wt)
E:E値(W・min/m
Vp:印加電圧(V)
Ip:印加電流(A)
S:処理速度(m/min)
Wt:処理幅(m)
表面処理を施す場合、表面処理時のフィルムの表面温度を150℃以下にすることが好ましい。更に好ましくは100℃以下、最も好ましくは50℃以下である。表面温度が150℃よりも大きいとフィルムの結晶化が進行し、延伸不良となり弾性率の分布幅が広くなり耐キズ性が悪化する場合がある。
一方、フィルムの表面温度が低すぎると、エッチングが進行せず突起個数が低下することで易滑性が低下する場合や結晶化が十分に進行せず後述する平均弾性率が十分に上昇しないことにより耐キズ性が低下する場合、弾性率の分布幅が狭くなることで剥離性が悪化する場合があるため、表面温度は10℃以上、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは25℃以上にすることが好ましい。また、表面処理温度は処理面と反対側の面を冷却ロール等を用いて冷却することで調整することができる。
(延伸時の熱処理)
以下、(2)延伸時に特定の熱処理を行うことによりフィルム表面を結晶化させることで弾性率を制御する方法について説明する。
延伸時に行う熱処理については、長手方向の延伸および/または幅方向の延伸の段階で、従来の条件よりも高い温度に加熱した延伸ロールを用いてフィルムを加熱・熱処理する方法、フィルムに熱風を吹き付けることでフィルムを加熱・熱処理する方法、延伸時のフィルムに赤外線を照射することで加熱・熱処理する方法が挙げられる。製膜性、温度ムラ抑制の観点から、赤外線の照射による熱処理が特に好ましい。また、熱可塑性樹脂フィルムが非晶部の多い状態で、かつフィルムの温度が高い状態で、赤外線を照射することで効果的に結晶化を促進できるため、未延伸フィルムを一軸方向に延伸する際に赤外線照射することが好ましい。赤外線照射条件としては赤外線ヒーターとフィルムとの距離が5mm以上50mm以下であって、この距離での照射強度が50W以上5000W未満とすることが好ましい。赤外線ヒーターとフィルムとの距離が5mm未満であると、フィルムがヒーターに接触し傷つく可能性がある。また50mmを超えると、赤外線照射の効果が十分に得られず、弾性率の分布幅が狭くなり剥離性が低下する場合や平均弾性率が低くなり耐キズ性が低下する場合がある。同様に、処理強度が50W未満であると、赤外線照射の効果が十分に得られず、弾性率の分布幅が狭くなり剥離性が低下する場合や平均弾性率が低くなり耐キズ性が低下する場合がある。処理強度が5000W以上であると、フィルムが弛む、平滑性が損なわれるなどの問題が発生する場合がある。処理強度は好ましくは200W以上1000W未満、さらに好ましくは300W以上700W以下である。この熱処理によって、前述のプラズマ処理などによる表面の結晶化が更に促進され、突起数の増加、平均弾性率の増加、延伸時の応力緩和によって熱収応力低減の効果が得られる。処理強度が低い場合は、熱収応力高いことによる製膜性の低下、弾性率の分布幅が十分に広くないことによる剥離性の低下につながる場合がある。
(高弾性成分を共重合・混合)
以下、(1)主成分として含む熱可塑性樹脂よりも高弾性成分を一種類以上共重合・混合する方法について説明する。本発明の熱可塑性樹脂フィルムにおいて、主成分として含む熱可塑性樹脂よりも高弾性成分を共存させる手法としては、共重合、混合どちらであってもよいが、混合の方が高弾性成分を共存させる上で簡便に実施できるため好ましい。主成分と混合させる高弾性成分としては、主成分と良好な親和性を示すことが重要であり、主成分がポリエステルである場合、ポリイミドや、ポリスルホンが、ポリエステルと良好な親和性を示し、分散径が小さくなり微細な突起が形成される好ましい。ポリイミドとしては、例えばテトラカルボン酸および/またはその酸無水物と、脂肪族一級モノアミンおよび/または芳香族一級モノアミン、さらに/または脂肪族一級ジアミンおよび/または芳香族一級ジアミンよりなる群から選ばれる一種もしくは二種以上の化合物を脱水縮合することにより得られた化合物を挙げることができる。テトラカルボン酸および/またはその酸無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸等および/またはその酸無水物等が用いられる。脂肪族一級モノアミンとしては、例えば、炭素数2~22の飽和または不飽和の直鎖、分岐または脂環系のモノアミンが用いられ、具体的には、エチルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン及びこれらの構造異性体等が用いられる。芳香族一級モノアミンとしては、例えば、非置換あるいは炭素数1~22のアルキル置換の一級アニリンが用いられ、具体的には、アニリン、トルイジン、エチルアニリン、プロピルアニリン、ブチルアニリン、ペンチルアニリン、ヘキシルアニリン、ヘプチルアニリン、オクチルアニリン、ノニルアニリン、デシルアニリン、ウンデシルアニリン、ドデシルアニリン、トリデシルアニリン、テトラデシルアニリン等が用いられる。脂肪族一級ジアミンとしては、例えば、炭素数1~12のメチレン基で結合された一級ジアミンや脂環基を有するジアミンが用いられ、具体的には、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンおよびこれらの構造異性体などが用いられる。芳香族一級ジアミンとしては、例えば、ベンジジン、ジメチルベンジジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジトリルメタン、ジアミノジフェニルエタン、ジアミノジフェニルプロパン、ジアミノジフェニルブタン等およびこれらの例示した芳香族一級ジアミンの炭化水素基を構造単位に有する芳香族一級ジアミン等が用いられる。上記のポリイミドは、ポリエステルと良好な親和性を有するポリイミドであればよいが、ポリエステルとの溶融成形性や取り扱い性などの点から、ポリエーテルイミドが特に好ましい。また、高いガラス転移温度の成分を共存させることにより、熱収応力低下の効果も得られる。ここでいうポリエーテルイミドとは、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有するものであり、下記化学式1で示されるポリマーが好適に用いられる。
Figure 0007172304000001
ただし、上記式中、R1は、6~30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族残基であり、R2は、6~30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2~20個の炭素原子を有するアルキレン基、2~20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、および2~8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。
ポリスルホンとしては、例えばポリエーテルスルホンがあげられるが、アルキル基や芳香環などほかの官能基を繰り返し単位内に含んでいてもよく、他の構造単位が共重合されていてもよい。
これらの高弾性成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。混合する割合としては、フィルムの全成分を100質量%として、0質量%より大きく、50質量%未満が好ましい。特に2質量%以上、30質量%未満であると混合成分の効果を得ながら、良好な製膜性を保つために好ましい。30質量%以上混合した場合は、分散した混合成分同士の再凝集が発生することで分散径が大きくなり、粗大な突起が形成し微細な突起の突起個数の低下につながる場合がある。
本発明において、主成分となる熱可塑性樹脂に高弾性成分を添加する時期は、主成分の重合前、例えば、エステル化反応前に添加してもよいし、重合後に添加してもよい。また、主成分となる熱可塑性樹脂と高弾性成分を混合してペレタイズする手法を用いることもできる。ペレタイズを行う場合、一旦、高弾性成分を高濃度含有するマスターペレットを作成してから、さらに主成分となる熱可塑性樹脂で希釈して、所定の濃度に調整する方法を用いると、ポリマー同士の分散性が向上し、より好ましい分散状態を示すことがある。マスターペレットにおける高弾性成分の濃度としては、好ましくは35~65重量%であり、より好ましくは40~60重量%である。
また、さらに好ましい分散状態に調整する他の方法としては、例えば、タンデム押出機を用いて混合する方法、2種類以上のポリエステルを用いて混合成分を微分散させる方法、粉砕器で混合成分を粉末状に粉砕した後に混合する方法、両者を溶媒に溶解し共沈させることにより混合する方法、一方を溶媒に溶かして溶液状とした後に他方に混合する方法、相溶化剤を0.01~10重量%用いる方法なども挙げられるが、この限りではない。
上記のように高弾性成分を加えることで弾性率の分布幅が広がり剥離性の向上につながる。また高弾性成分を添加した場合に上記(3)の表面処理や(2)の延伸時の熱処理を行うと、主成分となる熱可塑性樹脂の結晶化が選択的に進行することで、フィルム表面のうち主成分の露出した部分の弾性率が増加し、弾性率の分布幅が狭くなることで、巻き取り時の突起の転写などの欠点が低減する場合がある。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、ナノインデンテーションで上記A面を測定したとき、16点測定時の平均弾性率が2.5GPa以上6.0GPa以下であることが好ましく、3.0GPa以上6.0GPa以下であることがさらに好ましく、3.5GPa以上6.0GPa以下であることが特に好ましく、4.0GPa以上6.0GPa以下であることが最も好ましい。ナノインデンテーションにおける16点測定時の平均弾性率は、フィルムの広い範囲(900μm)全体の平均の弾性率を表し、耐キズ性、つまり搬送時のロールとの接触による傷つきやすさや巻き取り時のフィルムとの接触による傷つきやすさを図る指標となる。平均弾性率が2.5GPa未満になると、突起が弾性変形することで易滑性が低下する場合や、耐キズ性が低下する場合がある。また弾性率が6.0GPaを超えると、ロール等との接触で突起に力が加わった時に弾性変形しにくいため応力伝播しにくく、微小部分に応力集中することによる突起の破壊や、巻き取り・積層時の突起の転写に繋がりフィルムに欠点を発生させる場合がある。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、ナノインデンテーションで上記A面を測定したとき、16点測定時の弾性率が全て2.5GPa以上6.0GPa以下であることがさらに好ましい。1カ所でも弾性率が2.5GPa未満となると、その部分が傷つき、欠点となる場合がある。また1カ所でも弾性率が6.0GPaを超えると、その部分の突起が転写することで欠点を発生させてしまう場合がある。
また、本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、Atomic Force Microscope(AFM)で測定される、スライスレベルの最も大きい値が2nm以上10nm未満であることが好ましい。Atomic Force Microscope(AFM)で測定される、スライスレベルの最も大きい値とは、フィルム表面の最も高い突起の高さ(最大突起高さ(Rtop))を表しており、該フィルム表面の平滑性を表す指標である。最大突起高さが2nmを下回ると、易滑性が十分に得られず、製膜時や加工時にスリキズ等のフィルム表面の欠点や工程汚れが問題になる場合がある。また、最大突起高さが10nm以上の時には、平滑性が損なわれ、巻き取り時に転写が発生するなど、高品位なフィルム表面の形成に好ましくない。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、100℃での長手方向の熱収縮応力が0.16MPa以上1.20MPa以下であることが好ましい。100℃での長手方向の熱収縮応力は、本発明の熱可塑性樹脂フィルムが製膜工程やDFRや積層セラミックコンデンサーフィルムの工程で熱負荷を受けたとき、長手方向に発生する張力を表す指標である。100℃での熱収縮応力が0.16MPa未満のときには、DFRや積層セラミックコンデンサーフィルムの工程フィルムに用いられる際の搬送時のたるみが問題となる場合がある。また1.20MPaを超えるときには、搬送ロールのトルクオーバーや延伸時のフィルム破れなどが問題となる場合がある。熱収縮応力を上記範囲とするためには、例えば従来の条件よりも高い温度に加熱した延伸ロールを用いてフィルムを加熱・熱処理する方法や、赤外線ヒーターなどを用いて延伸時に十分な熱をかけることで残留応力を取り除く方法や、高いガラス転移温度を有する成分を混合することで高温時の分子の運動性を下げる方法が挙げられる。
かくして得られる本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、易滑性と剥離性、耐キズ性に優れているため、製膜時・加工時のスリキズや転写等の欠点を抑制することができる。その特性を活かして、離型用フィルム(特に、ドライフィルムレジスト基材用フィルム、積層セラミックコンデンサーを製造する工程におけるグリーンシート成形の基材用フィルムや偏光板離型用フィルム)、光学部材用フィルム、磁気記録媒体用ベースフィルムとして好適に用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、押出機を用いた溶融押出により口金から吐出し、溶融ポリマーを冷却固化させてシート状に成形するフィルムの製造方法において、少なくとも1台は熱可塑性樹脂を溶融押出により口金から吐出し、溶融ポリマーを冷却固化させてシート状に成形するものである。さらに詳しくは、該シート状成型物を長手方向に2~10倍、幅方向に2~10倍の倍率で延伸し、しかる後に150℃~250℃の温度で熱処理することが好ましい。より好ましい条件は、長手方向に2~9倍、幅方向に2~9倍の倍率で延伸し、しかる後に170~240℃の温度で熱処理することであり、さらに好ましい条件は、長手方向に3~8倍、幅方向に3~8倍の倍率で延伸し、しかる後に180~240℃の温度で熱処理することである。本発明の熱可塑性樹脂フィルムの延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行う逐次二軸延伸法や、同時二軸テンター等を用いて長手方向と幅方向を同時に延伸する同時二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法を組み合わせた方法などが包含される。
以下に本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法の例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。ここでは、上記のA面を有する層の主成分として、ポリエチレンテレフタレートを用い、混合成分として、ポリエーテルイミド”ウルテム(General Electric(GE)社製)”を用いて、長手方向延伸前に表面処理と赤外線照射を行った積層フィルムの例を示すが、用いる主成分や混合成分、また積層構成によって製造条件は異なる。また、単層フィルムの際には、製造条件の詳細は異なる。
まず、常法に従い、テレフタル酸とエチレングリコールをエステル化することにより、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応することにより、ビス-β-ヒドロキシエチルテレフタレート(BHT)を得る。次にこのBHTを重合槽に移しながら、真空下で280℃に加熱して重合反応を進める。ここで、固有粘度が0.5程度のポリエステルを得る。得られたポリエステルをペレット状で減圧下において固相重合する。固相重合する場合は、あらかじめ180℃以下の温度で予備結晶化させた後、190~250℃で1mmHg程度の減圧下、10~50時間固相重合させる。また、フィルムを構成するポリエステルに粒子を含有させる場合には、方法としては、エチレングリコールに粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールをテレフタル酸と重合させる方法が好ましい。粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、粒子の水スラリーを直接所定のポリエステルペレットと混合し、ベント式二軸混練押出機を用いて、ポリエステルに練り込む方法も有効である。粒子の含有量、個数を調節する方法としては、上記方法で高濃度の粒子のマスターを作っておき、それを製膜時に粒子を実質的に含有しないポリエステルで希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効である。
次に、該ポリエチレンテレフタレートのペレットとポリエーテルイミドのペレットを、所定の割合で混合して、270~300℃に加熱されたベント式の二軸混練押出機に供給して、溶融押出する。このときの剪断速度は50~300sec‐1が好ましく、より好ましくはしくは100~200sec‐1、滞留時間は0.5~10分が好ましく、より好ましくは1~5分の条件である。さらに、上記条件にて相溶しない場合は、得られたチップを再び二軸押出機に投入し相溶するまで押出を繰り返してもよい。
得られたポリエーテルイミド含有のポリエステルのペレットを、180℃で3時間以上真空乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは真空下で280~320℃に加熱された押出機に供給し、従来から行われている方法により製膜する。また、ポリマー中の異物や変質ポリマー、未溶融物などを除去するために、各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。特に、積層する場合、もっとも外層に積層されるポリマーは両面とも、1.2μmカット以下の繊維焼結ステンレス金属フィルターによりポリマーを濾過すること好ましく例示される。より好ましくは、0.8μm以下のフィルターである。また、必要に応じて、2つ以上のフィルター部分を通過させ、2段階以上で濾過するとより効果的に未溶融物を除去できるため好ましい。最も好ましくは、サンドフィルター、1.2μmカットの繊維焼結ステンレス金属フィルターおよび0.8μmカットの繊維焼結ステンレス金属フィルターを順に用いて、3段階に濾過する方法が挙げられる。上記のフィルターによるろ過処理を行うことで、主成分となる熱可塑性樹脂に高弾性成分を加えて溶融押出した際に、弾性率の分布幅を好適な範囲に制御することが容易となる。
なお、ここでいう1.2μmカットのフィルターとは、濾過精度1.2μmのことをいい、濾過精度とはJIS-B8356の方法によりフィルターメディアを透過した最大グラスビーズ粒径を意味する。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。2台以上の押出機、マニホールドまたは合流ブロックを用いて、溶融状態のポリエステルやポリエステルとポリイミドの混合物を積層したシートをスリット状の口金から押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを作る。
次いでここ得られた未延伸フィルムに紫外光照射やアーク放電によるコロナ処理、グロー放電によるプラズマ処理などの表面処理を施す。これらの表面処理は未延伸フィルムを得た直後でも、微延伸を施した後でも長手方向および/または幅方向に延伸した後でもよいが、本発明では未延伸フィルムに表面処理することが好ましい。表面処理を施す面はキャスティングロールに接していた面(ドラム面)でもキャスティングドラムに接していない面(非ドラム面)のいずれでもよい。
次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向させる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法を用いることができる。ここでは、最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法を用いる。
表面処理後のフィルムを延伸する前に、ロール加熱または熱風吹き付け、赤外線照射などで加熱する。いずれの手法を用いてもよいが、ロール加熱と赤外線照射の併用が特に好ましい。ロールの加熱温度については、積層の構成成分により異なるが、例えば、3層構造で中間層がポリエチレンテレフタレートからなり、フィルム全体の厚みの80%以上であり、一方、最外層がポリエチレンテレフタレートとポリエーテルイミドの混合ポリマーからなる場合を例示して説明する。未延伸フィルムを80~150℃の加熱ロール群で加熱し、さらに赤外線ヒーターによって結晶化を促進させる。赤外線ヒーターの照射は、前記表面処理した面および/または表面処理していない面いずれの面から行ってもよいが、少なくとも表面処理した面側からは照射する方が好ましい。その後、長手方向に2~10倍に1段もしくは2段以上の多段で延伸し、20~50℃の冷却ロール群で冷却する。続いて、幅方向の延伸方法としては、例えば、テンターを用いる方法が一般的である。幅方向の延伸倍率は2~10倍、温度は80~150℃の範囲で行うのが好ましい。さらに必要に応じて、再度長手方向に延伸および/または再度幅方向に延伸を行う。その場合の延伸条件としては、長手方向の延伸は、温度80~180℃、延伸倍率1.1~2.0倍、幅方向の延伸方法としてはテンターを用いる方法が好ましく、温度80~180℃、延伸倍率1.1~2.0倍で行うのが好ましい。トータルの延伸倍率は、長手方向に1~10倍、幅方向に1~10倍、面倍としては3倍~50倍であることが好ましい。より好ましくは、長手方向に2~9倍、幅方向に2~9倍であり、さらに好ましくは、長手方向に3~8倍、幅方向に3~8倍である。続いて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱処理する。この場合の熱処理温度は、150℃~250℃、好ましくは、170~230℃、さらに好ましくは180~220℃の範囲で行う。
[特性の評価方法]
A.AFM(Atomic Force Microscope)による評価
(i)高さ1nm以上10nm未満である突起の突起個数D(個/μm
以下の測定方法によって得られるフィルム表面の画像を、付属の解析ソフト(NanoScope Analysis Version 1.40)を用い解析する。得られるフィルム表面のHeight Sensor画像を下記するFlatten処理のみを施した後、Particle Analysis解析モードを下記の通り設定することで、フィルム表面の基準面が自動的に決定される。該基準面から、突起高さの閾値(Threshold Height)を1nm、2nm・・・と1nmごとに定め、各閾値で得られる突起個数をカウントする。突起高さの閾値(Threshold Height)が1nm(R1nm)での1μm当たりの突起個数の平均値(Density行、Mean列の値)をN1nm(個/μm)、10nm(R10nm)での1μm当たりの突起個数の平均値(Density行、Mean列の値)をN10nm(個/μm)とした時、次の式で求められる値をその測定画像の高さ1nm以上10nm未満である突起の突起個数D(個/μm)とする。
D(個/μm)=N1nm(個/μm)-N10nm(個/μm
前記解析を各サンプルにおける20か所の測定画像全てにおいて行い、その平均値をサンプルの高さ1nm以上10nm未満の突起の個数D(個/μm)とする。
(ii)最大突起高さRtop(nm)
前記(i)項と同様にして、付属の解析ソフトにて算出される、各閾値で得られる突起個数をカウントし、カウントされる突起個数が初めて0になる閾値から1nm低い閾値をその測定画像のRtop(nm)とする。前記解析を各サンプルにおける20か所の測定画像全てにおいて行い、その平均値をサンプルの最大突起高さRtop(nm)とする。
(iii)弾性率の分布幅EqW
以下の測定モード(PeakForceQNM(Quantitative Nano-mechanical Mapping))によって得られるフィルム表面の画像を、表計算ソフト(Microsoft Excel 2016)を用い解析する。得られるフィルム表面のDMTModulus画像(display)を測定用ソフト(Nanoscope 8.15)で開き、ascii形式で保存する。asciiデータから各測定点のうち最も大きい値をEqM(MPa)、最も小さい値をEqm(MPa)、すべての測定点の平均値をEqA(MPa)とした時、次の式で求められる値をその測定画像の弾性率の分布幅EqWとする。
EqW=(EqM(MPa)-Eqm(MPa))/EqA(MPa)
前記解析を各サンプルにおける20か所の測定画像全てにおいて行い、その平均値をサンプルの弾性率の分布幅EqWとする。
[AFM測定方法]
・装置:Bruker社製 原子間力顕微鏡(AFM)
Dimention Icon with ScanAsyst
・カンチレバー:窒化ケイ素製プローブ ScanAsyst Air
・走査モード:ScanAsyst
・走査速度:0.977Hz
・走査方向:後述する方法にて作製した測定サンプルの幅方向に走査を行う
・測定視野:1μm四方
・サンプルライン:512
・Peak Force SetPoint:0.0195V~0.0205V
・Feedback Gain:10~20
・LP Deflection BW:40 kHz
・サンプル調整:23℃、65%RH、24時間静置
・AFM測定環境:23℃、65%RH
・測定サンプル作成方法:AFM試料ディスク(直径15mm)の片面に両面テープを貼りつけ、AFM試料ディスクと、約15mm×13mm(長手方向×幅方向)に切り出した本発明の熱可塑性樹脂フィルムの前記表面(測定面)とは逆側の面とを貼り合せ、測定サンプルとした。
・サンプル測定回数:各サンプル同士が少なくとも5μm以上離れるように場所を変え、20回測定を行う。
・測定値:測定した20か所の画像に関して前述の解析を行い、各数値を測定しその平均値をサンプルの持つ各数値として扱う。
[Flatten処理]
・Flatten Order:3rd
・Flatten Z Threshholding Direction:No theresholding
・Find Threshold for:the whole image
・Flatten Z Threshold %:0.00 %
・Mark Excluded Data:Yes
[Particle Analysisモード設定]
(Detectタブ)
・Threshold Height:各値に応じて入力
・Feature Direction:Above
・X Axis:Absolute
・Number Histogram Bins:512
・Histogram Filter Cutoff:0.00 nm
・Min Peak to Peak:1.00 nm
・Left Peak Cutoff:0.00000%
・Right Peak Cutoff:0.00000%
(Modifyタブ)
・Beughbirhood Size:3
・Number Pixels Off:1
・一切のDilate/Erode操作を行わない。
(Selectタブ)
・Image Cursor Mode:Particle Select
・Bound Particles:Yes
・Non-Representative Particles:No
・Height Reference:Relative To Max Peak
・Number Histogram Bins:50
・前記数値を求めるに際し、解析画像中の特定のピーク、エリアを選択しない。
・Diameter、Height、Area全てのヒストグラムで特定の場所を選択しない。
[PeakForceQNMモード測定方法]
・装置:Bruker社製 原子間力顕微鏡(AFM)
Dimention Icon with ScanAsyst
・カンチレバー:Model:TAP525A
Part:MPP-13120-10
・走査モード:PeakForceQNM
・走査速度:0.977Hz
・走査方向:後述する方法にて作製した測定サンプルの幅方向に走査を行う
・測定視野:5μm四方
・サンプルライン:512
・Peak Force SetPoint:300nN
・Feedback Gain:30
・Sample Poisson‘s Ratio:0.3
・LP Deflection BW:40 kHz
・サンプル調整:23℃、65%RH、24時間静置
・AFM測定環境:23℃、65%RH
・カンチレバー校正方法:PeakForceQNMモードのマニュアルに従い、カンチレバーの反り感度、バネ定数、先端曲率の構成を行った後、下記の条件にて測定を実施した。なお、バネ定数および先端曲率は個々のカンチレバーによってバラつきを有するが、測定に影響しない範囲として、バネ定数150N/m以上250N/m以下、先端曲率半径80nm以下の条件を満たすカンチレバーを採用し、測定に使用した。
・測定サンプル作成方法:AFM試料ディスク(直径15mm)の片面に両面テープを貼りつけ、AFM試料ディスクと、約15mm×13mm(長手方向×幅方向)に切り出した本発明の熱可塑性樹脂フィルムの前記表面(測定面)とは逆側の面とを貼り合せ、測定サンプルとした。
・サンプル測定回数:各サンプル同士が少なくとも5μm以上離れるように場所を変え、20回測定を行う。
・測定値:測定した20か所の画像に関して前述の解析を行い、その平均値をサンプルの持つ数値として扱う。
B.平均弾性率EA(GPa)・最高弾性率EM(GPa)・最低弾性率Em(GPa)
下記測定条件で打点間隔10μm、縦4点×横4点のマトリックス測定を行い、押し込み深さ=10nmの弾性率を各測定点で求める。その後、各測定点の平均値を平均弾性率EA(GPa)、最高値を最高弾性率EM(GPa)、最低値を最低弾性率Em(GPa)とする。
測定装置:MTSシステムズ社製 超微小硬度計 Nano Indenter DC

測定方法:ナノインデンテーション法(連続剛性測定法)
使用圧子:ダイヤモンド製三角錐圧子
測定雰囲気:室温・大気中
C.長手方向(MD)熱収応力A(MPa)
まず各サンプルの厚みL(μm)を、厚み計(Mitsutoyo社製)を用いて測定する。続いて熱機械測定装置TMA/SS6000(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、幅4mm、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルに対し、定長下で室温から160℃まで昇温速度10℃/分で昇温させ、各温度(℃)におけるチャックにかかる応力値P(mN)を得る。そして、100℃における各サンプルの長手方向の単位面積当たりの収縮応力A(MPa)を下記式より求め、MD熱収応力A(MPa)とする。
A(MPa)=P(mN)/(4(mm)*L(μm))
なお、測定はn=5で実施し、その平均値として算出する。
D.易滑性
長手方向に10cm、幅方向に7.5cmのサイズにカットしたフィルムのA面と、後述する比較例3に記載のフィルムのA面との静止摩擦係数(μs)を求める。測定は滑り係数測定装置(テクノニーズ社製)を用いて、以下の条件で行う。
測定速度:210mm/min
測定距離:12mm
荷重:200g
重り接触面材質:テフロンシート
5回測定した平均値を求める。
その際のμsによって以下の指標で評価する。
A:μsが1.0以下
B:μsが1.0より大きく1.5以下
C:μsが1.5より大きい
易滑性はA、Bが良好であり、中でもAが優れている。
E:剥離性
下記工程にて内部電極パターンを形成し、グリーンシートを打ち抜きおよび積層を行った後、剥離を行った際の特性評価を実施する。
a.離型層の塗布
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの片面(表面処理を行っている場合は表面処理を行った面、表面処理を行っていない場合はいずれかの面)に、架橋プライマー層(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名BY24-846)を固形分1質量%に調整した塗布液を塗布/乾燥し、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、100℃で20秒乾燥硬化させる。その後1時間以内に付加反応型シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名LTC750A)100重量部、白金触媒(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名SRX212)2重量部を固形分5質量%に調整した塗布液を、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコートで塗布し、120℃で30秒乾燥硬化した後に巻き取り、離型フィルムを得る。
b.内部電極のパターンの形成
Ni粒子44.6重量部と、テルピネオール52重量部と、エチルセルロース3重量部と、ベンゾトリアゾール0.4重量部とを、混練し、スラリー化して内部電極層用塗料を得る。内部電極層用塗料を、グリーンシートの上に、スクリーン印刷法によって所定パターンで塗布し、内部電極パターンを有するセラミックグリーンシートを得た。乾燥温度は90℃、乾燥時間は5分である。
c.グリーンシートの打ち抜き
上記の、離型フィルムの上に成形され、内部電極パターンを付与した、セラミックグリーンシートを繰り出し、離型フィルム上にてグリーンシートを100枚分切断し打ち抜く。切断には回転式の丸刃カッターを使用する。この際、グリーンシートを切断するための、回転式丸刃カッターの切り込み深さは、グリーンシート厚みプラス2μm~3μmに設定する。
d.グリーンシート積層特性および剥離特性評価
上記の、離型フィルム上で打ち抜かれた後のグリーンシートを積層する。積層は、離型フィルム上にグリーンシートを保持したまま搬送後、グリーンシートを積層体に熱圧着した後に、離型フィルムを剥がす。この作業を100枚分繰り返し、セラミック積層体を得る。この際の積層状態を目視で確認して、グリーンシート積層特性を以下の基準にて評価する。
A:シート積層後の剥離時に、グリーンシート剥離不良が発生せず、また、エア噛み込みや異物噛み込みがなく良好に積層されている。
B:シート積層時に熱圧着がやや不均一であり、エア噛み込みはなく、許容範囲の剥離状態であるが、ごくたまに剥離状態が安定しないことがある。
C:シート積層時に、剥離不良が発生し、シートが破れる。
易滑性はA、Bが良好であり、中でもAが優れている。
F.耐キズ性
本発明の熱可塑性樹脂フィルム10m(例えば、1m幅で10m長)の片面(表面処理を行っている場合は表面処理を行った面、表面処理を行っていない場合はいずれかの面)について、スポットライトを光源とし、反射光および透過光を用いて、光の散乱に基づく起点に注目しフィルム表面を肉眼で観察し、欠点箇所にペンでマークをつける。マークした欠点箇所について、実体顕微鏡でキズの最大径を測定し、最大径3mm以上のキズについて、ミロー型二光束干渉顕微鏡装置付き実体顕微鏡(Nikon製SMZ-10)を用いてキズの深さを測定し、深さ0.5μm以上で最大径3mm以上のキズ欠点個数を測定した。キズの深さは得られるλ/2ピッチで得られる干渉縞の乱れを測微接眼レンズで読み取り、下記により求めた。深さはフィルム表面から厚み方向への最大深さであり、キズ欠点の周りに盛り上がりを生じている場合は、盛り上がりの頂部からキズの底部までの最大深さを求める。
深さ=λ/2×(T/S)
λ:546nm
S:接眼レンズによるλ/2の読み取り値
T:干渉縞の乱れ量
上記の方法で求められるキズ欠点個数から、以下の基準で欠点頻度を判定した。
A:キズ欠点が1個/m未満
B:キズ欠点が1個/m以上2個/m未満
C:キズ欠点が2個/m以上3個/m未満
D:キズ欠点が3個/m以上
易滑性はA~Cが良好であり、中でもAが優れている。
G.製膜性
実施例・比較例の条件にて製膜を実施した際のフィルムの破れ回数を1時間あたりに破れる回数に換算して数え、以下の基準で評価した。
A:1時間あたりに破れる回数が0.5回未満
B:1時間あたりに破れる回数が0.5回以上1回未満
C:1時間あたりに破れる回数が1回以上1.5回未満
D:1時間あたりに破れる回数が1.5回以上
易滑性はA~Cが良好であり、中でもAが優れている。
H.磁気記録媒体特性評価(磁気記録エラーレート)
1m幅にスリットした本発明の熱可塑性樹脂フィルムを、張力200Nで搬送させ、支持体の一方の表面(表面処理を行っている場合は表面処理を行った面、表面処理を行っていない場合はいずれかの面)に以下の記載に従って磁性塗料および非磁性塗料を塗布し12.65mm幅にスリットし、パンケーキを作成する。(以下、「部」とあるのは「質量部」を意味する。)
磁性層形成用塗布液
バリウムフェライト磁性粉末 100部
(板径:20.5nm、板厚:7.6nm、
板状比:2.7、Hc:191kA/m(≒24000e)
飽和磁化:44Am/kg、BET比表面積:60m/g)
ポリウレタン樹脂 12部
質量平均分子量 10,000
スルホン酸官能基 0.5meq/g
α-アルミナ HIT60(住友化学社製) 8部
カーボンブラック #55(旭カーボン社製)
粒子サイズ0.015μm 0.5部
ステアリン酸 0.5部
ブチルステアレート 2部
メチルエチルケトン 180部
シクロヘキサノン 100部
非磁性層形成用塗布液
非磁性粉体 α酸化鉄 85部
平均長軸長:0.09μm、BET比表面積:50m/g
pH:7
DBP吸油量:27~38ml/100g
表面処理層Al:8質量%
カーボンブラック 15部
“コンダクテックス”(登録商標)SC-U(コロンビアカーボン社製)
ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 22部
フェニルホスホン酸 3部
シクロヘキサノン 140部
メチルエチルケトン 190部
ブチルステアレート 1部
ステアリン酸 2部
上記の塗布液のそれぞれについて、各成分をニーダで混錬した。1.0mmφのジルコニアビーズを分散部の容積に対し65体積%充填する量を入れた横型サンドミルに、塗布液をポンプで通液し、2,000rpmで120分間(実質的に分散部に滞留した時間)、分散させた。得られた分散液にポリイソシアネートを非磁性層の塗料には5.0部、磁性層の塗料には2.5部を加え、さらにメチルエチルケトン3部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用および磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調整した。
得られた非磁性層形成用塗布液を、本発明の熱可塑性樹脂フィルム上に乾燥後の厚さが0.8μmになるように塗布乾燥させた後、磁性層形成用塗布液を乾燥後の厚さが0.07μmになるように塗布を行い、磁性層がまだ湿潤状態にあるうちに6,000G(600mT)の磁力を持つコバルト磁石と6,000G(600mT)の磁力を持つソレノイドにより配向させ乾燥させた。その後、カレンダ後の厚みが0.5μmとなるようにバックコート層(カーボンブラック 平均粒子径サイズ:17nm 100部、炭酸カルシウム 平均粒子サイズ:40nm 80部、αアルミナ 平均粒子サイズ:200nm 5部をポリウレタン樹脂、ポリイソシアネートに分散)を塗布した。次いでカレンダで温度90℃、線圧300kg/cm(294kN/m)にてカレンダ処理を行った後、65℃で、72時間キュアリングした。さらに、スリット品の送り出し、巻き取り装置を持った装置に不織布とカミソリブレードが磁性面に押しあたるように取り付け、テープクリーニング装置で磁性層の表面のクリーニングを行い、磁気テープ原反を得た。
得られたテープ原反を12.65mm(1/2インチ)幅にスリットし、それをLTO用のケースに組み込み、磁気記録テープの長さが960mのデータストレージカートリッジを作成した。このデータストレージを、IBM社製LTO6ドライブを用いて23℃50%RHの環境で記録し(記録波長0.55μm)、次に、カートリッジを50℃、80%RH環境下に7日間保存した。カートリッジを一日常温保存した後、全長の再生を行い、再生時の信号のエラーレートを測定した。エラーレートはドライブから出力されるエラー情報(エラービット数)から次式にて算出する。次の基準でエラーレートを評価する。
エラーレート=(エラービット数)/(書き込みビット数)
A:エラーレートが1.0×10-6未満
B:エラーレートが1.0×10-6以上、1.0×10-5未満
C:エラーレートが1.0×10-5以上
易滑性はA、Bが良好であり、中でもAが優れている。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。なお、実施例2~6は比較例5~9と読み替える。
(実施例1)
ジメチルテレフタレート(DMT)に、DMT・1モルに対し1.9モルのエチレングリコールおよび酢酸マグネシウム・4水和物をDMT100重量部に対し0.05重量部、リン酸を0.015重量部加え加熱エステル交換を行った。引き続き三酸化アンチモンを0.025重量部加え、加熱昇温し真空化で重縮合を行い、実質的に粒子を含有しないポリエステルペレット(A1)を得た。
このポリエステルを160℃で8時間減圧乾燥した後、押出機に供給し、溶融押出してフィルターで濾過した後、キャスティングドラム上にスリット状の口金から押出し、静電印可キャスト法を用いて密着させ冷却固化して未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを相対する電極とアースロール間に導き、装置中に窒素ガスを導入し、E値が200W・min/mとなる条件でキャスティングドラムに接していない面(非ドラム面)に大気圧グロー放電処理を行った。また、その際処理面のフィルム表面温度が50℃となるようにアースロールを冷却した。
大気圧グロー放電処理後の未延伸フィルムに逐次二軸延伸を実施した。まず105℃でテフロン(登録商標)ロールにて搬送した後に、グロー放電処理面側から出力を500Wとした赤外線ヒーターで加熱しながら、長手方向に95℃で3.6倍延伸して一軸延伸フィルムを得た。
この一軸延伸フィルムをテンター内で幅方向に100℃で4.5倍延伸し、続いて220℃で熱固定し、その際幅方向に3.2%弛緩し搬送工程にて冷却させた後、エッジを切断後に巻き取り、厚さ16μmの熱可塑性樹脂フィルムを得た。この熱可塑性樹脂フィルムの特性等を表1、表2に示す(なお、表中、AFM、ナノインデンテーション測定結果の値は、表面処理を行っている場合は表面処理を行った面、表面処理を行っていない場合はいずれかの面の値を示す)。耐キズ性がやや低いが実用上問題はなく、易滑性、剥離性、製膜性に優れ、エラーレートの少ないフィルムであることが分かった。
(実施例2)
大気圧グロー放電処理のE値を80W・min/mとする以外は、実施例1と同じ製膜条件にて熱可塑性樹脂フィルムを得た。大気圧グロー放電処理の処理強度を低下させたことにより平均弾性率低下し、耐キズ性が実施例1対比で低下したが実用の範囲内であった。また易滑性、剥離性、製膜性に優れ、エラーレートの少ないフィルムであることが分かった。
(実施例3)
赤外線ヒーターの出力を250Wとする以外は、実施例1と同じ製膜条件にて熱可塑性樹脂フィルムを得た。延伸時の熱処理強度を低下させたことにより結晶化が十分に進行せず、弾性率の分布幅が狭くなり、剥離性が実施例1対比で低下したが実用上問題はなかった。また、延伸時の応力緩和が十分でないことにより、熱収縮応力が増加し、製膜性が実施例1対比で低下したが実用上問題はなかった。耐キズ性は実施例1と同様にやや低いが実用上問題はなく、易滑性に優れ、エラーレートの少ないフィルムであることが分かった。
(実施例4)
大気圧グロー放電処理のE値を500W・min/mとし、赤外線照射を行わないこと以外は、実施例1と同じ製膜条件にて熱可塑性樹脂フィルムを得た。赤外線照射を行わないことで弾性率の分布幅が低下し、剥離性が実施例1対比で低下したが実用の範囲内であった。また延伸時の熱不足により、製膜性がやや劣るが実用上問題の無いフィルムであった。易滑性、耐キズ性に優れ、エラーレートの少ないフィルムであることが分かった。
(実施例5)
大気圧グロー放電処理のE値を1000W・min/mとし、赤外線照射を行わないこと以外は、実施例1と同じ製膜条件にて熱可塑性樹脂フィルムを得た。赤外線照射を行わないことで弾性率の分布幅が低下し、剥離性が実施例1対比で低下したが実用の範囲内であった。また延伸時の熱不足により、製膜性がやや劣るが実用上問題の無いフィルムであった。易滑性、耐キズ性に優れ、エラーレートの少ないフィルムであることが分かった。
(実施例6)
大気圧グロー放電処理のE値を2000W・min/mとし、赤外線照射を行わないこと以外は、実施例1と同じ製膜条件にて熱可塑性樹脂フィルムを得た。赤外線照射を行わないことで弾性率の分布幅が低下し、剥離性が実施例1対比で低下したが実用の範囲内であった。また延伸時の熱不足により、製膜性がやや劣るが実用上問題の無いフィルムであった。易滑性、耐キズ性に優れ、エラーレートの少ないフィルムであることが分かった。
(実施例7)
常法により得られたポリエステルペレット(A1)(50重量%)とGeneral Electric(GE)社製の”ウルテム”1010(50重量%)を、290℃に加熱された同方向回転タイプのベント式二軸混練押出機に供給して、”ウルテム”を50重量%含有したブレンドチップ(A2)を作成した。
次いで、ポリエステルペレット(A1)を80重量部、ブレンドチップ(A2)を20重量部用いる以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂フィルムを得た。高弾性成分の添加により、実施例1対比で平均弾性率が増加することで耐キズ性が改善するとともに、ポリエーテルイミドが高いガラス転移温度を有することから熱収応力が低下し製膜性が改善した。易滑性、剥離性、耐キズ性、製膜性に優れ、エラーレートの少ないフィルムであることが分かった。
(実施例8)
赤外線照射を行わないこと以外は実施例7と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。耐キズ性は実施例1と同様にやや低いが実用上問題はなく、易滑性、剥離性、製膜性に優れ、エラーレートの少ないフィルムであることが分かった。
(実施例9)
ポリエステルペレット(A1)を20重量部、ブレンドチップ(A2)を80重量部用いる以外は実施例8と同様にして熱可塑性樹脂フィルムを得た。粗大な突起の形成により、微細な突起の突起個数低下し、易滑性がやや低下したが実用の範囲内であった。また粗大な突起が形成されたことにより、エラーレートがやや悪化したが、実用上問題はなかった。剥離性、耐キズ性、製膜性については実施例1と同様に良好なフィルムであることが分かった。
(比較例1)
ポリエステルペレット(A1)を、160℃で8時間減圧乾燥した後、押出機に供給し、溶融押出してフィルターで濾過した後、キャスティングドラム上にスリット状の口金から押出し、静電印可キャスト法を用いて密着させ冷却固化して、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを逐次二軸延伸機により長手方向に3.6倍(温度95℃)、および幅方向にそれぞれ4.5倍(温度100℃)延伸した後、定長下220℃で熱処理した。その後、幅方向に3.2%弛緩し搬送工程にて冷却させた後、エッジを切断後に巻き取り、厚さ16μmの熱可塑性樹脂フィルムのを得た。突起形成が不十分であり、弾性率の分布幅も十分に広くないため、易滑性、剥離性に劣るフィルムであることが分かった。また、延伸時の応力緩和不足により製膜性にも劣るフィルムであった。耐キズ性はやや劣るものの実用の範囲内であった。
(比較例2)
ポリエステルペレット(A1)を80重量部、ブレンドチップ(A2)を20重量部用いる以外は比較例1と同様にして熱可塑性樹脂フィルムを得た。突起形成が十分でないため易滑性に劣るフィルムであることが分かった。
(比較例3)
比較例1と同様の方法で乾燥したポリエステルペレット(A1)と粒子のマスターペレット(A3)をそれぞれ後述する粒子添加量となるように別々の押出機に供給し、溶融押出してフィルターで濾過した後、3層用合流ブロックで合流積層し、A層/B層/A層からなる3層とした。その後キャスティングドラム上にスリット状の口金から押出し、静電印可キャスト法を用いて密着させ冷却固化して、両表層(A層)に平均粒径0.70μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合体粒子を0.08重量%と平均二次粒径0.08μmの凝集アルミナ粒子を0.15重量%含有し、内層(B層)に粒子を含有しない未延伸フィルムを得た。その未延伸フィルムを比較例1と同様の方法で二軸延伸し、総厚み16μm、A層/B層/A層の厚みが0.6μm/14.8μm/0.6μmの熱可塑性樹脂フィルムを得た。粒子による大突起により接触面積大きく減少し易滑性には優れているが、粒子の脱落が発生するため耐キズ性に劣るフィルムであることが分かった。また、粗大な突起が形成されることで、エラーレートの大きいフィルムであった。
(比較例4)
ポリエステルペレット(A1)を、160℃で8時間減圧乾燥した後、押出機に供給し、溶融押出してフィルターで濾過した後、キャスティングドラム上にスリット状の口金から押出し、静電印可キャスト法を用いて密着させ冷却固化して、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムの非ドラム面に、25℃、1気圧の雰囲気下で、0.7J/cmのエネルギー密度になるように照射距離を調節し、1.5秒間紫外光を照射した。ここで、紫外光の光源としては、日本電池社製のメタルハライド型の紫外線ランプ(Aタイプ MAN500L、120W/cm、270~300nmの相対強度38%(最大発光強度:365nm))を使用し、250nm未満の波長はカットした。
次いでこの未延伸フィルムを比較例1と同様の方法で二軸延伸し、厚さ16μmの熱可塑性樹脂フィルムを得た。突起形成がやや不十分であり、易滑性にやや劣るが実用の範囲内であった。強い紫外光を照射したことによる表面の劣化により、弾性率が低い部分が発生し、弾性率の分布幅が広く、平均弾性率が低いフィルムとなった。そのため耐キズ性に劣るフィルムであることが分かった。
Figure 0007172304000002
Figure 0007172304000003
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、良好な易滑性と剥離性、耐キズ性により工程でのスリキズ等の欠点を抑制するとともに、離型フィルム等の用途に用いた場合には剥離工程での欠点をも抑制することができる。そのため、本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、ドライフィルムレジスト基材用フィルムや光学デバイス基材用フィルム、積層セラミックコンデンサー用離型フィルム、磁気記録媒体用フィルムとして好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 以下(1)~(3)を同時に満たす面を少なくともどちらか一方に備える熱可塑性樹脂フィルム。
    (1)AFM(Atomic Force Microscope)で測定される高さが1nm以上10nm未満である突起の突起個数が200個/μm以上2000個/μm以下であること。
    (2)AFM(Atomic Force Microscope)で測定される弾性率の分布幅((最大値-最小値)/平均値)が0.8以上1.7以下であること。
    (3)ナノインデンテーションで測定される、16点測定時の平均弾性率が3.0GPa以上6.0GPa以下であること。
  2. 前記(1)、(2)を満たす面が、さらに以下(4)を満たす請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルム。(4)ナノインデンテーションで測定される、16点測定時の弾性率が全て2.5GPa以上6.0GPa以下であること。
  3. AFM(Atomic Force Microscope)で測定されるスライスレベルの最も大きい値が2nm以上10nm未満である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  4. 100℃での長手方向の熱収縮応力が0.16MPa以上1.20MPa以下である請求項1から3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  5. 離型フィルムとして用いられる、請求項1から4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  6. ドライフィルムレジストの工程フィルムとして用いられる、請求項5に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  7. 積層セラミックコンデンサーの工程フィルムとして用いられる、請求項5に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
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