JP2017193173A - 二軸配向積層ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 - Google Patents

二軸配向積層ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】走行性や巻き取り性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムであって、磁気記録媒体とした際に平滑な磁性層を有すると共に温度や湿度の環境変化や保存による寸法変化が小さい、エラーレートの少ない高密度磁気記録媒体となる二軸配向ポリエステルフィルムを安定に提供すること。また、離型・工程用あるいは光学部材用として加工が施される面の平滑性や透明性に優れるポリエステルフィルムを提供すること。【解決手段】表層を構成する少なくともA層とB層の2層を含み、A層表面における波長9.65μmにおけるパワースペクトル密度(PSD)が1,000〜50,000nm3の範囲にあり、B層表面において、三次元粗さ計による基準面から高さ60nm以上の突起密度(M60)が300個/mm2以下、該表面の摩擦係数(μk)が0.5以下である二軸配向積層ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、走行性やスリット性、寸法安定性および表面性に優れた二軸配向積層ポリエステルフィルムに関するものであり、高精細な表面性が必要な光学用や各種離型フィルム、次世代熱転写リボン用フィルム、データストレージなどの塗布型磁気記録媒体のベースフィルムに好適に用いることができる二軸配向積層ポリエステルフィルムに関するものである。
二軸配向ポリエステルフィルムはその優れた熱特性、寸法安定性、機械特性および表面形態の制御のし易さから各種用途に使用されており、特に磁気記録媒体などの支持体としての有用性がよく知られている。磁気記録媒体には常に高密度記録化が要求され、更なる高密度記録を達成するためには、磁性層の薄膜化や微粒子磁性体を使用し磁性層表面の平滑性をさらに向上させることは有効である。
近年の強磁性六方晶フェライト粉末を用いてなる磁気記録媒体用支持体においては、磁性層や非磁性層、バックコート層、さらには支持体自体の薄膜化に伴い平滑面のみならず走行面の粗面化が制約されている。製造過程で磁気記録媒体としてロール状態で保存する場合、走行面に形成されている突起が磁性面に転写し、平滑な磁性層表面に窪みを形成させ磁性層表面の平滑性が悪化し電磁変換特性が低下するといった問題がある。磁性層表面の平滑性を高めるために支持体の走行面側に含有する粒子の小径化や低濃度化を図るだけでは、粒子の厚み方向の位置規制が不十分なために、依然として粗大突起が改善できない。また、走行面の平滑性を向上させると、走行性や巻き取り、スリット性、さらには表面の耐久性が不十分となる。
したがって、走行性や巻き取り性、さらには表面の平滑性の両立といった特性の改善に対する要求は高密度記録化のためには常に発生する課題といえる。
上記課題を解決するために、例えば、特許文献1〜3では、微細な粒子により、フィルム表面の粗さや突起高さと個数を制御し優れた電磁変換特性とドロップアウト性能を有したポリエステルフィルムが提案されている。しかしながら、バックコート層側のベースフィルム表面に形成された特定の高さや大きさの突起を規定しても磁性層やバックコート層が薄く高精細な表面を有する強磁性六方晶フェライト粉末を用いてなる磁気記録媒体用支持体に用いる場合には、依然として粗大突起の低減には至らず、転写による磁性面の平滑性の低下を解消できず、さらに添加粒子の小径化、少量添加による走行性や巻き取り性に問題が残っているのが実情である。また、微細な粒子とコーティング層によりフィルム両表面のうねり制御により電磁変換特性と走行性の両立を試みたポリエステルフィルム(例えば特許文献4)も提案されているが、磁性層の平滑性と走行性や巻き取り性の両立には至っておらず、また、コーティング層の耐久性が乏しく、磁気記録媒体の製造工程でフィルム表面の傷つき性やコーティング層の削れ粉による工程内ロールの汚染の問題がある。
また近年、プリント配線基板、半導体パッケージ、フレキシブル基板などの製造に、ポリエステルフィルムを基材として用いるドライフィルムレジスト(DFR)が多く用いられる。一般的に、DFRは、感光層(フォトレジスト層)が、ポリエステルフィルムからなる基材フィルムとポリオレフィンフィルムなどからなる保護フィルム(カバーフィルム)との間に挟まれたサンドイッチ構造をしている。このDFRを用いて導体回路を作製するには、一般的に次のような操作が行われる。
すなわち、DFRから保護フィルムを剥離し、露出したレジスト層の表面と、基板上の例えば銅箔などの導電性基材層の表面とが密着するように、基板・導電性基材層とラミネートする。次に、導体回路パターンを焼き付けたレチクルを、ポリエステルフィルムからなる基材上に置き、その上から、感光性樹脂を主体としたレジスト層に光線を照射して、露光させる。その後、レクチルおよびポリエステルフィルムを剥離した後、溶剤によってレジスト層中の未反応分を溶解、除去する。次いで、酸などでエッチングを行い、導電性基材層中の露出した部分を溶解、除去する。この結果、レジスト層中の光反応部分とこの光反応部分に対応する導電性基材層部分がそのまま残ることになる。その後、残ったレジスト層を除去すれば、基板上の導体回路が形成されることになる。このような方法により導体回路が形成されるので、支持体としてポリエステルフィルムには、光線を邪魔なく透過できる高い光線透過性が要求される。
とくに、近年、OA機器、IT機器など小型化、軽量化などに伴い、透過性に優れ、ヘイズが低く、高解像化を達成できるドライフィルムレジスト支持体用ポリエステルフィルが要求されている。
また、昨今のスマートフォンの普及に伴い、積層セラミックコンデンサーは小型・高容量化が進んでいる。そのため、積層セラミックコンデンサーの製造に用いる離型フィルムは、平滑性が高く、フィルム表面および内部に欠陥のないポリエステルフィルムの需要が急速に増えている。基材として使用されるポリエステルフィルムの表面特性として、その平滑面の品質が加工後のグリーンシート製品の品質にも影響を与えやすくなる傾向にある。また、粗面の品質も加工後のグリーンシート製品の品質に影響を与えやすくなる傾向にある。例えば、従来のポリエステルフィルムでは問題にならなかったが、グリーンシート加工がなされる平滑面のうねりが積層セラミックコンデンサーの品質に関係したり、また、粗面側の突起がグリーンシート製品を巻き上げた際にグリーンシートに転写し、きずやへこみを生じたりすることがある。
また、液晶ディスプレイ等に使用される部材には偏光板、位相差偏光板または位相差板があり、偏光板は通常、偏光フィルム、表面保護フィルム、粘着剤層および離型フィルムより構成される。偏光フィルムは、沃素や二色性染料などの偏光素子をポリビニルアルコール系フィルムの如き親水性フィルムなどに吸着配向せしめた偏光軸と吸着軸とを有する偏光子を、上下よりセルロース系フィルムで被覆するか、あるいはアクリル系樹脂をコーティングすることによる構造を有する。表面保護フィルムは、ポリエステルフィルム等の透湿性が少なく、伸び等の変形が少ない透明なプラスチックフィルムが使用されている。表面保護フィルムと偏光フィルムは接着剤で被着されており、該接着剤は表面保護フィルムとは強固に接着するが、偏光フィルムとは経日でも容易に剥離し得るものが使用されている。粘着剤層は偏光フィルムを液晶セルに粘着するための感圧型粘着剤等よりなり、離型フィルムはポリエステルフィルム等で構成されている。このような偏光板の製造に際しては、予め原料である偏光フィルムの光の透過率や偏光度あるいはヘイズ等の光学特性を検査し使用してはいるものの、偏光板への製造工程での偏光フィルムへの機械的応力、異物混入あるいは付着等により欠陥が生じる可能性がある。このため最終製品での異物混入や欠陥検査では、クロスニコル法(2枚の偏光板を互いに偏光面を直交させ、その間にフィルムの長手方向、幅方向をそれぞれ直交する偏光板の偏光面に合わせて挟まれた状態での透過光を観察する方法)による人間の目視検査を行なっている。実際の偏光板の目視検査においては、正常な検光子の上に、その偏光面に対して偏光面が直交するように、検査対象の偏光板を、クロスニコル法における偏光子とフィルムとの代わりに重ねて置くと、原理的に、偏光板中の異物混入や欠陥という欠点箇所が輝点として現れるので、目視により欠点が検査できるというものである。しかしながら、現在、偏光板の離型フィルムとして用いられているニ軸配向ポリエステルフィルムは、クロスニコル法による偏光板検査時に、光漏れが生じやすく、正確な目視検査が困難となり、偏光板の異物混入や欠点である輝点を見落とす問題が生じている。
特許文献5および6では、DFR基材である表面の平均粗さを平滑化したフィルムが開示されている。特許文献7では、積層セラミックコンデンサー用製造工程フィルムとして3層構成で特定の粒子を用いるフィルムについて開示されている。
しかしながら、上記の特許文献5〜7に記載の技術では、DFR基材として用いる場合には露光欠点抑制のために平滑化および透明性が十分ではない。また、積層セラミックコンデンサー用製造工程フィルムとして用いる場合には、グリーンシートがますます薄膜化するため、フィルム上に塗付などの加工がなされる面の波長10μmレベルの長波長の空間周波数密度で表される表面うねり指数がより重要になっており、また、粗面側の高い突起による加工面への転写抑制の観点で、粗面側の平滑性が十分ではない。
特開2012−153100号公報 特開2012−153099号公報 特開2001−341265号公報 特開2013−200927号公報 特開2016−87854号公報 特開2015−208939号公報 国際公開第2014/061410号パンフレット
本発明者らは上記目的を解決するために鋭意検討を重ねた結果、走行面の磁性面への転写を抑制するために走行面の粗さや表面突起の高さと個数を制御し、粒子の小径化や低濃度化によって走行面の平滑性を極めても必ずしも磁性層表面の欠陥を低減できず、また、走行性を高いレベルで両立するには限界があると判断し、さらに検討を重ねた結果、走行面の特定の突起数の制御と該表面と反対側の表面性の制御によって電磁変換特性と巻き取り性の両立が可能となることを見出し本発明に到達した。
本発明の目的は、上記の問題を解決した、走行性やスリット性、寸法安定性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムであって、磁気記録媒体とした際に平滑な磁性層を有すると共に温度や湿度の環境変化や保存による寸法変化が小さく、ドロップアウトが少ない電磁変換特性に優れた高密度磁気記録媒体となる二軸配向積層ポリエステルフィルムを安定に提供することにある。また離型・工程用あるいは光学部材用として加工が施される面の長波長の表面うねりが小さく、かつ、その反対面の突起高さを制御することで、平滑性や透明性に優れるポリエステルフィルムを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、次の各構成を特徴とするものである。
(1)表層を構成する少なくともA層とB層の2層を含み、A層表面における波長9.65μmにおけるパワースペクトル密度(PSD)が1,000〜50,000nmの範囲にあり、B層表面において、三次元粗さ計による基準面から高さ60nm以上の突起密度(M60)が300個/mm以下、該表面の摩擦係数(μk)が0.5以下である二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(2)三次元粗さ計によるB層表面の突起密度が以下の関係を満足する、上記(1)に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
0≦(M60/M10)×100<10
(但し、M10(個/mm):基準面から高さ10nm以上の突起密度、
M60(個/mm):基準面から高さ60nm以上の突起密度)
(3)B層の積層厚み(t(μm))と該層に含有される粒子の最大粒子径(D(μm))との比(t/D)が以下の関係にある、上記(1)または(2)に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
10<(t/D)<18
(4)A層の厚みが1〜3μmである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(5)全厚みが3.5〜4.5μmである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(6)幅方向の湿度膨張係数が0〜8ppm/%RHである、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(7)A層とB層を重ね合わせたときの空気漏れ指数が3,300秒以下である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(8)3層以上の積層構造からなる、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(9)塗布型デジタル記録方式の磁気記録媒体用ベースフィルムに用いられる、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(10)上記(9)に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムを用いた磁気記録媒体。
(11)離型用または工程用フィルムとして用いられる、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(12)ドライフィルムレジスト基材用フィルムとして用いられる、上記(11)に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(13)積層セラミックコンデンサーを製造する工程においてグリーンシート成形の支持体として用いられる、上記(11)に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(14)偏光板離型用フィルムとして用いられる、上記(11)に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(15)光学部材用フィルムとして用いられる、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、走行性やスリット性、寸法安定性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムであって、磁気記録媒体とした際に平滑な磁性層を有すると共に温度や湿度の環境変化や保存による寸法変化が小さい、ドロップアウトが少なく電磁変換特性に優れた高密度磁気記録媒体となる二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができるほか、光学用や各種離型フィルムとして好適に用いることができる。
本発明において用いるポリエステルとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分やジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーで構成されたものを用いることができる。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を好ましく用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
ポリマーの共重合割合はNMR法(核磁気共鳴法)や顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)を用いて調べることができる。
ポリエステルは、二軸延伸を施せること、および、寸法安定性などの本発明の効果を発現するために、ガラス転移温度が150℃未満のものを好適に使用できる。本発明において用いるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレート)が好ましく、また、これらの共重合体や変性体でもよく、他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイでもよい。ここでいうポリマーアロイとは高分子多成分系のことであり、共重合によるブロックコポリマーであってもよいし、混合などによるポリマーブレンドでもよい。本発明で用いるポリエステルとしては特に、結晶子サイズや結晶配向度を高めるプロセスが適用しやすいことから主成分がポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。ここで、主成分とはフィルム組成中80質量%以上を占める成分のことをいう。
本発明で用いるポリエチレンテレフタレートをポリマーアロイとする場合、他の熱可塑性樹脂は、ポリエステルと相溶するポリマーが好ましく、ポリエーテルイミド樹脂などがより好ましい。ポリエーテルイミド樹脂としては、例えば以下で示すものを用いることができる。
Figure 2017193173
(ただし、上記式中Rは、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族残基、Rは6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、および2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。)
上記R、Rとしては、例えば、下記式群に示される芳香族残基を挙げることができる。
Figure 2017193173
本発明では、ポリエステルとの親和性、コスト、溶融成形性等の観点から、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物である、下記式で示される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
Figure 2017193173
または
Figure 2017193173
(nは2以上の整数、好ましくは20〜50の整数である。)
このポリエーテルイミドは、“ウルテム”の商品名で、SABICイノベーティブプラスチック社より入手可能であり、「Ultem(登録商標)1000」、「Ultem(登録商標)1010」、「Ultem(登録商標)1040」、「Ultem(登録商標)5000」、「Ultem(登録商標)6000」および「Ultem(登録商標)XH6050」シリーズや「Extem(登録商標) XH」および「Extem(登録商標) UH」の登録商標名等で知られているものである。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、表層を構成する少なくともA層とB層の2層を含んでおり、A層とB層の間に他の層(X)が存在しても構わない。なお、A層、B層、他の層(X)はいずれも、いわゆる共押出により構成される層である。好ましい態様としては、A層|B層の2層構成である。
また、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムを離型・工程用として用いる場合の態様としては、A層とB層の間に他の層(X)が存在する3層構成が好ましく、特に、中間層(X層)は光透過性を向上させる点から実質的に粒子を含有しない層とすることが特に好ましい。また、少なくともいずれか片面あるいは両面にコーティング層を設けても構わないが、その場合においても、A層やB層が「表層を構成する」ものとする。
また、A層表面において、波長9.65μmにおけるパワースペクトル密度が1,000〜50,000nmの範囲にある。パワースペクトル密度は、好ましくは2,000〜40,000nmであり、さらに好ましくは3,000〜35,000nmの範囲である。パワースペクトル密度(Power Spectral Density 以下PSDと言う)とは、表面粗さのプロファイルデータをフーリエ変換処理し周波数分析を行い、各波長での強度を算出するものである。本願では原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、測定視野125μm×125μmでPSD計測を行い、波長9.65μmにあたる強度を求めた。本願においては、上記、PSDを満足する表面がA層であることが磁性層表面の欠陥抑止の上で好ましく、PSDが本願の範囲内であると走行性と電磁変換特性が高いレベルで両立でき好ましい。また、離型・工程用として使用した場合に加工層表面の欠陥抑止の点でも好ましい。
本発明のA層表面のPSDの制御方法としては、A、B各層に含有する粒子の粒子径および含有量、さらにはA層の積層厚みによって制御することができる。A層に含有せしめる粒子の粒径は0.01〜0.15μmであることが好ましく、含有量は0.02〜1質量%、かつ、A層の厚みがB層に含まれる粒子の最大粒子径の3倍以上、好ましくは5〜15倍にすることが好ましい。特に、粒径が0.01〜0.05μmの粒子を含有させる場合の含有量は0.1〜1質量%、好ましくは、0.1〜0.7質量%、さらに好ましくは0.2〜0.5質量%であり、粒径が0.05μmを超える粒子を含有させる場合は、0.02〜0.3質量%であり、好ましくは0.05〜0.2質量%である。B層に含有せしめる粒子の粒径および含有量は後述の通りである。
また、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムのA層に好ましく含有される粒子としては、単一分散する球形の粒子や一次径が10〜30nmの凝集粒子が好ましく例示できる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムのB層表面は、三次元粗さ計による基準面から高さ60nm以上の突起密度(M60)が300個/mm以下である。M60の値は好ましくは、100〜300個/mmである。突起密度(M60)とは、高さ60nm以上の突起密度であり、三次元粗さ計によって計測される値である。この値は、基準面から高さ60nmにスライスレベルを設け、そのスライスレベルにおける突起密度を計測することにより得られる。M60が300個/mmを超えるとB層表面にバックコート層を設けた時に粗大突起を形成する割合が高くなり、ロール状の磁気記録媒体とした時に該表面の粗大突起が磁性面に転写する場合があり電磁変換特性が低下しやすい。また、離型・工程用として使用した場合にピンホールなどの欠陥の発生やDFR用での露光不良が発生することがある。
M60の制御方法としては、B層に含有する粒子の粒径と含有量、ならびに後述の製造方法によって制御が可能である。含有せしめる粒子の粒径は0.10μm以上0.40μm未満であることが好ましく、含有量は0.05〜0.5質量%であることが好ましい。特に、粒径0.3μm以上の粒子の含有量は0.15質量%以下、好ましくは0.10質量%以下であり、粒径が0.3μm未満の粒子の含有量は0.1〜0.5質量%であることが好ましい。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムのB層に好ましく含有される粒子としては特に限定されないが、無機粒子、有機粒子、いずれも用いることができる。2種類以上の粒子を併用することが本発明の特徴面を得るためには好ましい。具体的な種類としては、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ珪酸塩、カオリン、タルク、モンモリロナイト、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、シリコーン、イミド等を構成成分とする有機粒子、コアシェル型有機粒子などが例示できるが、本発明の突起密度とPSDを制御するには、単一分散する球形の粒子である有機粒子やコロイダルシリカが特に好ましい。
上記の粒子を含有するB層表面の中心線表面粗さRaは3〜15nmであることが好ましく、10点平均粗さRzは好ましくは60〜200nm、より好ましくは70〜180nmであり、さらに好ましくは80〜160nmである。より好ましくはRaが5〜12nm、Rzが70〜150nmである。表面粗さRaおよびRzが上記の下限値未満であると走行性や巻き取り性が不良となりやすく、RaおよびRzが上記の上限値を超えると該表面にバックコート層を設け磁気記録媒体とした場合に転写痕による電磁変換特性が低下しやすい。また、離型・工程用として使用した場合に加工層に転写してピンホールなどの欠陥の発生やDFR用では露光不良が発生することがある。
B層表面の摩擦係数(μk)は0.5以下である。好ましくは0.47以下であり、さらに好ましくは0.45以下である。摩擦係数が0.5を超えると走行性が低下する。摩擦係数の下限は、小さければ小さいほど好ましいが、本発明の突起密度M60を満足するには、摩擦係数の下限は0.35であることが好ましい。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムのB層表面の突起密度は、高さ60nmのスライスレベルにおける突起密度(M60(個/mm))と高さ10nmのスライスレベルにおける突起密度(M10(個/mm))の関係が0≦(M60/M10)×100<10である。好ましくは(M60/M10)×100の値は0.1〜5であり、さらに好ましくは0.2〜3である。下限値は小さければ小さい方が転写の抑制につながり好ましい。上限値が10を超えると高さ60nm以上の突起割合が高くなり、転写が発生しやすくなり電磁変換特性が低下する。また、離型・工程用として使用した場合に加工層に転写してピンホールなどの欠陥の発生やDFR用では露光不良が発生することがある。
上記した密度比(M60/M10)×100の値の制御方法としては、B層中に少なくとも2種類以上の粒子径の異なる粒子(LおよびM、S)を併用することが好ましく、粒子(L)と粒子(M)、(S)の含有量で制御が可能である。なお、粒子(L)は粒子径が0.3〜0.4μmであり、粒子(M)の粒子径は0.15以上0.3μm未満である。この時、粒子(L)は粒子(M)よりも粒子径が大きい粒子である。粒子(L)の含有量は0.15質量%以下であり、粒子(M)の含有量は0.1〜0.5質量%が好ましい。さらに、また、粒子(M)よりも小さく、粒子径が0.05以上0.15μm未満の粒子(S)を添加する場合は、含有量を0.15〜0.3質量%の範囲とすることによって、本発明の突起密度(M60)を増加させずに突起密度(M10)が効率よく増加するため摩擦係数(μk)の低減ができるため好ましい。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムのB層の積層厚み(t(μm))と該層に添加される粒子の最大粒径(D(μm))の比(t/D)は10を超えて18未満が好ましい。(t/D)が10以下であると突起が急峻となり磁気記録媒体としたときに磁性面への転写が起こる場合があり、電磁変換特性が低下する傾向にある。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムのA層の厚みは1〜3μmであることが好ましい。A層の厚みが1μmを下回ると、B層に含有されている粒子の突き上げによりA層表面の平滑性が低下し、PSDが大きくなりすぎ電磁変換特性が低下することがある。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの厚みは3.5〜4.5μmの範囲が好ましい。厚みが3.5μmより小さくなると、剛性や寸法安定性が低下しテープの腰が不十分となり磁気記録媒体としたときに電磁変換特性が低下する傾向がある。また、B層表面突起による平滑面(A面)側への突き上げを抑制しにくくなる。また、4.5μmより大きいとテープ1巻あたりのテープ長さが短くなるため、磁気テープの小型化、高容量に対応し難い。厚みの調整方法としては、二軸配向ポリエステルフィルムの製膜の際のポリマーの溶融押出時におけるスクリューの吐出量を調整し、口金から未延伸フィルムの厚みを制御することによって二軸延伸後のフィルム厚みを調節することが可能となる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを離型用や工程用、さらに光学部材用として用いる場合の二軸配向ポリエステルフィルムの厚みは、加工性や取扱い性の点で10μm以上250μm以下であることが好ましいことがある。フィルムの厚みが250μmを超える場合、フィルムを構成するポリエステル自体でも光が吸収されるため、DFR基材として使用する場合に露光性が低下したり、光学部材として使用した場合に透明性が低下したりすることがある。ポリエステルフィルムの厚みを上記範囲とすると、透明性や露光性、ハンドリング性、搬送性が良好となり、DFR基材用や積層セラミックコンデンサー製造工程用、偏光板離型用などの離型・工程用フィルム、さらフレキシブルディスプレイの透明電極基板などの光学部材用フィルムとして好適に用いることができる。上記用途の場合、フィルム厚みは、より好ましくは15μm以上100μm以下、さらに好ましくは15μm以上50μm以下である。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムのB面表面は、三次元表面粗さ計により測定した基準面から高さ100nm以上の突起密度(M100(個/mm))が5以下であることが好ましい。突起密度(M100)が5を超えると、磁気記録媒体としたとき、磁性面への転写が発生し、磁性層表面の欠陥を招くため電磁変換特性が低下しやすい。また、離型・工程用として使用した場合に加工層に転写してピンホールなどの欠陥の発生やDFR用では露光不良が発生することがある。
本発明のB層表面の三次元表面粗さ計による、基準面から高さ10nm以上の突起密度(M10)は0.5万〜3万個/mmであることが好ましい。より好ましくは、0.6万〜2.5万個/mmである。突起密度(M10)が0.5万個/mm未満であると走行性や巻き取り性が低下しやすい。また、上限の3万個/mmを超えると突起密度(M60)も増加し、本願の範囲を満足できない場合がある。さらに、突起間隔が小さくなることで突起が密集し粗大突起を形成しやすくなるため、磁気記録媒体としたとき、磁性面への転写が発生し、磁性層表面の欠陥を招くため電磁変換特性が低下しやすい。た、離型・工程用として使用した場合に加工層に転写してピンホールなどの欠陥の発生やDFR用では露光不良が発生することがある。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、幅方向の湿度膨張係数が0〜8ppm/%RHであることが好ましい。湿度膨張係数が8ppm/%RH以下であると、磁気記録媒体用に用いた場合、湿度変化による変形が大きくならず、寸法安定性が低下しにくくなる。より好ましい上限は6.5ppm/%RHであり、さらに好ましくは6ppm/%RHである。湿度膨張係数は分子鎖の緊張度合いが影響する物性であり、後述するようにTD延伸1とTD延伸2の倍率比によって制御することができ、また、TD延伸トータルの倍率やMD延伸倍率との比によっても制御が可能である。TD延伸1とTD延伸2の倍率比が(TD1/TD2)が大きいほど湿度膨張係数は小さくなる。また、TD延伸トータルの倍率が高いほど湿度膨張係数は小さくなる。
なお、本発明において、MDとは二軸配向積層ポリエステルフィルムの長手方向(縦方向、縦延伸方向と平行な方向)を示し、TDとは二軸配向積層ポリエステルフィルムの幅方向(横方向、フィルム面上において縦方向と直角な方向)を示す。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、フィルムのA層とB層とを重ね合わせたときの空気漏れ指数が3,300秒以下であることが好ましく、より好ましくは3,000秒以下、さらに好ましくは2,700秒以下である。空気漏れ指数が上記範囲内であると、フィルムの巻き取り性が良好となるので好ましい。
空気漏れ指数を制御するためには、B層には、平均粒径の異なる少なくとも2種類以上の粒子を含有させることが得に有効である。具体的には、平均粒径0.2〜0.4μmの大粒子と0.05〜0.1μmの小粒子を併用することが特に好ましい。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、幅方向のヤング率が7GPa以上であることが好ましく、7〜10GPaであることが幅方向の湿度膨張係数の制御の観点からより好ましい。幅方向のヤング率が上記範囲内であると、磁気記録媒体用に用いた場合に磁気記録媒体の記録再生時の環境変化による寸法安定性が良好となる傾向にある。幅方向のヤング率は後述するTD延伸1、2の温度や倍率によって制御することができる。特にトータルのTD倍率が影響し、トータルのTD倍率が高いほどTDヤング率が高くなる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、長手方向のヤング率が3.5〜8GPaであることが好ましい。長手方向のヤング率が上記範囲内であると、磁気記録媒体用に用いた場合に磁気記録媒体の保管時の張力による保存安定性がより良好となる。長手方向のヤング率のさらに好ましい範囲は3.8〜7.5GPa、さらにより好ましい範囲は4〜7GPaである。長手方向のヤング率はMD延伸倍率で制御することができる。MD倍率が高いほどMDヤング率が高くなる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、少なくとも2層からなる二軸配向積層ポリエステルフィルムであり、好ましい態様として2層構造、または、3層以上の積層構造が例示される。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムを磁気記録媒体用ベースフィルムとして用いる場合は、上記のB面側にバックコート層(以下BC層という)を設けることが高密度磁気記録媒体を得る上で好ましく、特に、磁性層に強磁性六方晶フェライト粉末を用いてなる磁気記録媒体は、磁性層および非磁性層やBC層自体の厚みも薄いために、BC層の表面に支持体(B層)の表面突起の影響が出にくくなり平滑なBC面が得られる。これにより、磁性面に転写痕を形成することなく超平坦な磁性表面を得ることが可能となるため優れた電磁変換特性を発揮できる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムを積層セラミックコンデンサー用製造工程フィルム(グリーンシート成形の支持体)や偏光板離型用フィルムとして用いる場合には、A層/X層/B層の少なくとも3層積層構成とすることが好ましく、A面(A層)側に離型性を付与するためのコーティング層を設けることが好ましい。B面(B層)側の表面突起は高さや突起密度が制御されているため離型・工程用フィルムとして巻き上げた際に加工層に転写してピンホールなどの欠陥の発生が少ない離型・工程フィルムとなる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムをドライフィルムレジスト(DFR)基材やフレキシブルディスプレイの透明電極基板などの光学部材用フィルムとして用いる場合には、A層/X層/B層の少なくとも3層積層構成とすることが好ましく、特に、X層は実質的に粒子を含有しない層とすることが特に好ましい。DFR基材の場合は、A面(A層)側にレジスト層を設けることが好ましい。レジスト層に近い側のフィルム表面の光散乱が防止され、優れた透明性や露光不良の少ないDFR基材となる。また、フレキシブルディスプレイの透明電極基板などの光学部材用フィルムの場合は、粒子が含有される両表面層(A層、B層)の平滑性が優れ、かつX層は実質的に無粒子層であるため優れた透明性が得られる。
上記したような本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、たとえば次のように製造される。
まず、ポリエステルのペレットを、押出機を用いて溶融し、口金から吐出した後、冷却固化してシート状に成形する。このとき、繊維焼結ステンレス金属フィルターによりポリマーを濾過することが、ポリマー中の未溶融物を除去するために好ましい。
本発明の特徴面を阻害しない範囲内であれば、各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、などが添加されてもよい。
続いて、上記シートを長手方向と幅方向の二軸に延伸した後、熱処理する。上記の突起密度比(M60/M10)、幅方向の寸法安定性を向上させるために延伸工程は、縦方向の多段延伸および幅方向において2段階以上に分けることが好ましい。すなわち、縦多段延伸によって突起密度(M10)が制御され、かつ、再横延伸により高寸法安定性の磁気テープとして最適な高強度のフィルムが得られ易いために好ましい。
延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に2段階で延伸を行うなどの逐次二軸延伸法や同時二軸延伸した後にさらに幅方向に延伸する延伸方法が好ましい。
以下、本発明のフィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(PET)をポリエステルとして用いた例を代表例として説明する。なお本願はPETフィルムに限定されるものではなく、他のポリマーを用いたものものでもよい。例えば、ガラス転移温度や融点の高いポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどを用いてポリエステルフィルムを構成する場合は、以下に示す温度よりも高温で押出や延伸を行えばよい。
まず、PETのペレットを製造する。PETは、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のPETまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセスである。
フィルムを構成するPETに粒子を含有させるには、エチレングリコールに粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールを重合時に添加する方法が好ましい。粒子を添加する際には、例えば、粒子の合成時に得られる水ゾルやアルコールゾル状態の粒子を一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、粒子の水スラリーを直接PETペレットと混合し、ベント式二軸混練押出機を用いて、PETに練り込む方法も有効である。粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に粒子を実質的に含有しないPETで希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効である。この際、粒子を含有しないPETの固有粘度を粒子含有ペレットの固有粘度よりも高く調整しておくことは上記した突起密度(M60)や突起密度比(M60/M10)×100の値を制御する上で有効である。
次に、得られたPETのペレットを、180℃で3時間以上減圧乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、270〜320℃に加熱された押出機に供給し、スリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを得る。この際、キャスト時のドラフト比(口金のスリット幅/未延伸フィルムの厚み)は、10倍以上好ましくは12倍以上の高い値で、B面側がキャスト面に接地するように行うことが本発明において得に有効である。高ドラフトキャストを行うと粒子が表層部へ集中しやすくなり、各A、B層に含有した粒子の位置規制が可能となり、突起密度(M60やM100)を効率よく制御できるため、走行性と電磁変換特性の両立が可能となる。
また、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。
また、定量供給性を向上させ、所望のt/Dを得るためにギアポンプを設けることは上記した特徴面を形成する上で極めて好ましい。フィルムを積層するには、2台以上の押出機およびマニホールドまたは合流ブロックを用いて、複数の異なるポリマーを溶融積層するとよい。
次に、このようにして得られた未延伸フィルムを、数本のロールの配置された縦延伸機を用いて、ロールの周速差を利用して縦方向に延伸し(MD延伸)、続いてステンターにより横延伸を二段階行う(TD延伸1、TD延伸2)二軸延伸方法について説明する。
まず、未延伸フィルムをMD延伸する。MD延伸の延伸温度は、用いるポリマーの種類によって異なるが、未延伸フィルムのガラス転移温度(Tg)を目安として決めることができる。Tg−10〜Tg+15℃の範囲であることが好ましく、より好ましくはTg℃〜Tg+10℃である。上記範囲より延伸温度が低い場合には、フィルム破れが多発して生産性が低下し、MD延伸後の二段階TD延伸で安定して延伸することが困難となることがある。MD延伸倍率は3.3〜6倍、好ましくは3.3〜5.5倍である。MD延伸は2段階以上の多段で実施することが本発明の突起径を制御するために有効である。その場合、1段目のMD延伸倍率がトータルMD延伸倍率の75%以上、好ましくは80%以上に設定することが好ましい。
次に、ステンターを用いて、TD延伸を行う。上記の突起密度(M60、M10)を有するフィルムを効率よく形成させるためには、温度の異なるゾーンで二段階にTD方向に延伸することが好ましい。まず、一段目の延伸(TD延伸1)の延伸倍率は、好ましくは3.2〜6.0倍であり、より好ましくは3.3〜5.8倍である。また、TD延伸1の延伸温度は好ましくは(MD延伸後のフィルムの冷結晶化温度(以下Tcc.BFという)−5℃)〜(Tcc.BF+5℃)の範囲であり、さらに好ましくは(Tcc.BF−3℃)〜(Tcc.BF+5℃)の範囲で行う。
次にステンター内で二段目の延伸(TD延伸2)を行う。TD延伸2の延伸倍率は好ましくは1.2〜2倍であり、より好ましくは1.3〜1.8倍、さらに好ましくは1.3〜1.6倍である。TD延伸倍率比(TD延伸1)/(TD延伸2)を2〜3の範囲に設定することは上記の突起径や密度比を上記範囲内に設定する有効な手段である。TD延伸2の延伸温度は好ましくは(TD延伸1温度+50)〜(TD延伸1温度+100)℃の範囲であり、さらに好ましくは(TD延伸1温度+60)〜(TD延伸1温度+90)℃の範囲で行う。前工程の延伸温度よりも十分高めることにより、TD延伸2で発生するボイドが抑制されるため突起が高くなりすぎず、上記の突起密度(M60)を特定の範囲内に制御することが可能となるため好ましい。
続いて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱固定処理する。本発明の突起密度(M60)を制御するための熱固定処理条件として、熱固定温度は、180〜220℃が好ましい。熱処理は2段階以上に分けて行い、まず、1段目熱処理(HS−1)は(TD延伸2温度+5)〜(TD延伸2温度+15)℃で行う。その後、2段目熱処理(HS−2)を((HS−1)+10)〜((HS−1)+15)℃の範囲、3段目熱処理(HS−3)を((HS−2)+10)〜((HS−2)+20)℃で行う。熱固定温度(HS−3)の上限は、より好ましくは215℃、さらに好ましくは210℃である。熱固定温度(HS−3)の下限は、より好ましくは185℃、さらに好ましくは190℃である。熱固定処理時間は5〜30秒の範囲、弛緩率は0.3〜2%で行うのが好ましい。熱固定処理後は把持しているクリップを開放することでフィルムにかかる張力を低減させながら室温へ急冷する。その後、フィルムエッジを除去しロールに巻き取り、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。
なお、TD延伸2の延伸温度と熱固定温度に差があり、熱固定温度が上述の範囲よりも高いとボーイング現象による収縮とMD方向の巻張力で微延伸され、表面突起高さが高くなり本願の突起密度(M60)が大きくなる場合がある。また、フィルムが緩和しやすくなり、上記した湿度膨張係数を得ることが困難となり寸法安定性が低下しやすい。一方、熱固定温度が低すぎると結晶性が低くなりやすく、磁気記録媒体の製造工程においてベースフィルムのへ平面性が低下し電磁変換特性が悪化する傾向がある。
次に、磁気記録媒体は例えば次のように製造される。
上記のようにして得られた磁気記録媒体用支持体(二軸配向積層ポリエステルフィルム)を、たとえば0.1〜3m幅にスリットし、速度20〜300m/min、張力50〜300N/mで搬送しながら、一方の面に非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより厚み0.5〜1.5μm塗布し乾燥後、さらに磁性塗料を厚み0.1〜0.3μmで塗布する。その後、磁性塗料および非磁性塗料が塗布された支持体を磁気配向させ、温度80〜130℃で乾燥させる。次いで、反対側の面にバックコートを厚み0.3〜0.8μmで塗布し、カレンダー処理した後、巻き取る。なお、カレンダー処理は、小型テストカレンダー装置(金属ロール、7段)を用い、温度70〜120℃、線圧0.5〜5kN/cmで行う。その後、60〜80℃にて24〜72時間エージング処理し、12.65mm幅にスリットし、パンケーキを作製する。次いで、このパンケーキから特定の長さ分をカセットに組み込んで、カセットテープ型磁気記録媒体とする。
ここで、磁性塗料などの組成は例えば以下のような組成が挙げられる。
以下、単に「部」と記載されている場合は、「質量部」を意味する。
[磁性層形成塗液]
バリウムフェライト磁性粉末 100部
〔板径:20.5nm、板厚:7.6nm、板状比:2.7、Hc:191kA/m(≒2400Oe)飽和磁化:44Am/kg、BET比表面積:60m/g〕
ポリウレタン樹脂 12部
質量平均分子量 10,000
スルホン酸官能基 0.5meq/g
α−アルミナ HIT60(住友化学社製) 8部
カーボンブラック #55(旭カーボン社製)粒子サイズ0.015μm 0.5部
ステアリン酸 0.5部
ブチルステアレート 2部
メチルエチルケトン 180部
シクロヘキサノン 100部
[非磁性層形成用塗布液]
非磁性粉体 α酸化鉄 100部
平均長軸長0.09μm、BET法による比表面積 50m/g
pH 7
DBP吸油量 27〜38ml/100g
表面処理層Al 8質量%
カーボンブラック 25部
コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製)
塩化ビニル共重合体 MR104(日本ゼオン社製) 13部
ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 5部
フェニルホスホン酸 3.5部
ブチルステアレート 1部
磁気記録媒体は、例えば、データ記録用途、具体的にはコンピュータデータのバックアップ用途(例えばリニアテープ式の記録媒体(LTO5、LTO6、次世代LTOテープ(LTO7、LTO8))や映像などのデジタル画像の記録用途などに好適に用いることができる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムが好適に用いられる塗布型デジタル記録方式の磁気記録媒体としては、例えば、磁性層がバリウムフェライト等の強磁性粉末をポリウレタン樹脂等のバインダーに均一に分散させて磁性塗液を作成し、その塗液を塗布して磁性層が形成された塗布型磁気記録媒体を例示することができる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、光学フィルム、及びそれを用いた偏光板、液晶表示装置用の光学補償フィルム等の光学用フィルムとして用いることができる。近年の薄型軽量ノートパソコンや薄型の電子モバイルの開発に伴い、液晶表示装置用光学補償フィルムの薄膜化への要求が非常に厳しくなっており、特に透明性と走行性に優れた薄膜の光学フィルムとして好適に用いることができる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムはまた離型用フィルムとしても使用できる。離型用フィルムは、ポリエステルフィルムを基材として、離型性のある樹脂層、例えばシリコ−ン樹脂やエポキシ樹脂などを塗布し形成される。特に、グリーンシート製造用、液晶偏光板用離型用、液晶保護フィルム用離型用、フォトレジスト用、多層基板用などの各種離型用途として使用されている。ポリエステルフィルム中には、加工適性、例えば滑り性、巻き特性などを良くするために粒子を適量配合しフィルム表面に微細な突起を形成することが一般的であるが、近年の各種用途の精密化などに伴い、使用される離型フィルムについても表面欠点の無い平滑な表面性と走行性が要求されている。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは高精細な表面平滑性と走行性を有するため各種用途の離型用フィルムとして好適に用いることができる。
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
(1)突起密度(M60、M10)
小坂研究所製のsurf−corder ET−4000Aを用いて下記条件にて3次元表面粗さを測定し、その後、内蔵されている解析ソフトにて粒子解析(複数レベル)を実施した。測定条件は下記のとおりであり、スライスレベルを10nmの等間隔に設定し、各スライスレベルの突起密度を場所を変えて20回測定し平均値をもって値とした。サンプルセットは、視野測定のX方向が二軸配向ポリエステルフィルムの幅方向になるように試料台にセットした。
(但し、M100:基準面から高さ100nmのスライスレベルにおける突起密度(個/mm
M60:基準面から高さ60nmのスライスレベルにおける突起密度(個/mm)、
M10:基準面から10nmのスライスレベルにおける突起密度(個/mm
装置:小坂研究所製“surf−corder ET−4000A”
解析ソフト:i−Face model TDA31 ver.2.2.0.4JSGIS
触針先端半径:0.2μm
測定視野 :X方向:380μm ピッチ:1μm
Y方向:280μm ピッチ:5μm
針圧 :50μN
測定速度 :0.1mm/s
カットオフ値:低域−0.8mm、高域−なし
レベリング :全域
フィルター :ガウシアンフィルタ(2D)
倍率 :10万倍
粒子解析(複数レベル)条件
出力内容設定:山粒子
ヒステリシス幅:5nm
スライスレベル等間隔:10nm
(2)B面(B層表面)の表面性および中心線表面粗さRa、10点平均粗さRz
上記(1)に記載の装置を用いて、上記に記載の測定条件でB面側の3次元粗さを場所を変えて10回測定しその平均値をそれぞれ中心線表面粗さRa、10点平均粗さRzとした。
なお、表面性は下記基準にて判断し、Cを平滑性不良とした。
AA:Rzが100nm以下、
A :Rzが100nmを超え150nm以下、
B :Rzが150nmを超え200nm未満、
C :Rzが200nm以上
(3)パワースペクトル密度(PSD)
原子力顕微鏡(AFM)を用いて、場所を変えて10視野測定を行った。サンプルセットは、カンチレバーの走査方向に対して垂直方向(Y軸方向)がサンプルフィルムの長手方向(長手方向とは、フィルムの製造工程においてフィルムが走行する方向)となるようにサンプルをピエゾにセットして測定する。得られた画像について、Off−Line機能のPower Spectral Densityにて波長9.65μmにおけるY軸方向(フィルムの長手方向)の1D PSDを求め、平均値をPSDとした。
測定装置 :NanoScope (R)IIIa version5.31R1
(Digital Instruments社製)
カンチレバー :シリコン単結晶
走査モード :タッピングモード
走査範囲 :125μm□
走査速度 :0.5Hz
Samples line :256
Flatten Auto :オーダー3
(4)A面(A層表面)の中心線表面粗さRa、10点平均粗さRz
上記(3)に記載の装置を用いて、A面の表面粗さを場所を変えて10視野測定した。サンプルセットは、カンチレバーの走査方向に対して垂直方向(Y軸方向)がサンプルフィルムの長手方向(長手方向とは、フィルムの製造工程においてフィルムが走行する方向)となるようにサンプルをピエゾにセットして測定する。得られた画像について、Off-Line機能のRoughness Analysisにて算出し、平均値をRa、Rzとした。条件は上記(3)と同条件で実施した。
(5)幅方向の湿度膨張係数、寸法安定性
フィルムの幅方向に対して、下記条件にて測定を行い、3回の測定結果の平均値を本発明における湿度膨張係数とした。
測定装置:島津製作所製熱機械分析装置TMA−50(湿度発生器:アルバック理工製湿度雰囲気調節装置HC−1)
試料サイズ:フィルム長手方向10mm×フィルム幅方向12.6mm
荷重:0.5g
測定回数:3回
測定温度:30℃
測定湿度:40%RHで6時間保持し寸法を測定し時間40分で80%RHまで昇湿し、80%RHで6時間保持したあと支持体幅方向の寸法変化量ΔL(mm)を測定する。次式から湿度膨張係数(ppm/%RH)を算出した。
湿度膨張係数(ppm/%RH)=10×{(ΔL/12.6)/(80−40)}
なお、寸法安定性は以下の判断基準とし、Cを寸法安定性不良と判断した。
AA:湿度膨張係数が5.5ppm/%以下
A :湿度膨張係数が5.5ppm/%を超え6.0ppm/%以下
B:湿度膨張係数が6.0ppm/%を超え6.5ppm/%未満
C:湿度膨張係数が6.5ppm/%以上
(6)全フィルム厚み
以下の条件にて断面観察を場所を変えて10視野行い、得られたフィルム厚み[μm]の平均値を算出し全フィルム厚み[μm]とした。
測定装置:透過型電子顕微鏡(TEM) 日立製H−7100FA型
測定条件:加速電圧 100kV
測定倍率:1万倍
試料調整:超薄膜切片法(RuO染色)
観察面 :TD−ZD断面(TD:幅方向、ZD:厚み方向)
測定回数:<全厚み>1視野につき3点、10視野を測定する。
(7)A層の厚み
2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、A層側の表面から深さ4,000nmの範囲のフィルム中の粒子のうち最も高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元素の濃度比(M/C)を粒子濃度とし、表面から深さ4,000nmまで厚さ方向の分析を行う。表層では表面という界面のために粒子濃度は低く表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明のフィルムの場合は一旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。この濃度分布曲線をもとに表層粒子濃度が極大値の1/2となる深さ(この深さは極大値となる深さよりも深い)を求め、これをA層の厚さとした。条件は次の通りである。
(1) 測定装置
2次イオン質量分析装置(SIMS)
西独、ATOMIKA社製 A-DIDA3000
(2) 測定条件
1次イオン種 :O
1次イオン加速電圧:12kV
1次イオン電流 :200nA
ラスター領域 :400μm□
分析領域 :ゲート30%
測定真空度 :5.0×10−9Torr
E−GUN :0.5kV−3.0A
なお、表層から深さ4,000nmの範囲において粒子濃度の極大値が存在しない場合は、反対面のB層側表面から同様に測定し、B層の厚みを求めて、全厚みからB層厚みを引いた値をA層の厚みとする。さらにまた、表層から深さ4,000nmの範囲に最も多く含有する粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面からエッチングしながらXPS(X線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様のデプスプロファイルを測定し厚みを求めてもよいし、透過型電子顕微鏡(日立製H−600型)を用いて、加速電圧100kVで、フィルム断面を、超薄切片法(RuO染色)で観察し、その界面をとらえ、その厚さを求めることもできる(上記記載順の優先順位により測定を行い、最初に測定できた測定値を当該層の厚みとする)。倍率は、測定したい厚さのレンジによって選択すればよく、特に限定されないが、1万〜10万倍が適当である。
(8)屈折率
JIS−K7142(2008年)に従って、下記測定器を用いて測定した。
装置:アッベ屈折計 4T(株式会社アタゴ社製)
光源:ナトリウムD線
測定温度:25℃
測定湿度:65%RH
マウント液:ヨウ化メチレン
(但し、屈折率1.74以上の場合は硫黄ヨウ化メチレンを用いた。)
平均屈折率n_bar=((nMD+nTD+nZD)/3)
複屈折Δn=(nMD−nTD)
nMD;フィルム長手方向の屈折率
nTD;フィルム幅方向の屈折率
nZD;フィルム厚み方向の屈折率
(9)ヤング率
ASTM−D882(1997年)に準拠してフィルムのヤング率を測定した。なお、インストロンタイプの引張試験機を用い、条件は下記のとおりとした。5回の測定結果の平均値を本発明におけるヤング率とした。
測定装置:インストロン社製超精密材料試験機MODEL5848
試料サイズ:
フィルム幅方向のヤング率測定の場合
フィルム長手方向2mm×フィルム幅方向12.6mm
(つかみ間隔はフィルム幅方向に8mm)
フィルム長手方向のヤング率測定の場合
フィルム幅方向2mm×フィルム長手方向12.6mm
(つかみ間隔はフィルム長手方向に8mm)
引張り速度:1mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH
測定回数:5回。
(10)全光線透過率、ヘイズ、透明性
JIS−K 7361−1(1997年)およびJIS−K 7136(2000年)に準拠し、下記測定装置を用いて測定した。支持体中央部について長手方向に5箇所透過率を測定し測定結果の平均値を本発明における全光線透過率およびヘイズとする。
測定装置:濁度計(NDH−5000) 日本電色工業株式会社製
光源 :白色LED(5V3W)
測定環境:温度23℃湿度65%RH
測定回数:5回。
なお、透明性については、下記の判断基準で判断し、Cを透明性不良とした。
A:ヘイズが1%以下
B:ヘイズが1%を超え2%未満
C:ヘイズが2%以上。
(11)フィルム中の粒子の粒子径(d)、B層の最大粒子径(D)
フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1万倍で観察する。この時、写真上で1cm以下の粒子が確認できた場合はTEM観察倍率を5万倍に変えて観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて100視野測定し、写真に撮影された分散した粒子全てについて等価球相当径をもとめ、横軸に等価球相当径を、縦軸に粒子の個数として粒子の個数分布をプロットし、そのピーク値の等価球相当径を粒子の粒子径(d)とした。ここで、1万倍で観察した写真上に凝集粒子が確認できた場合は上記プロットに含めない。フィルム中に粒子径の異なる2種類以上の粒子が存在する場合、上記等価球相当径の個数分布は2個以上のピークを有する分布となる。この場合は、それぞれのピーク値をそれぞれの粒子の粒子径とする。B層の最大粒子径は、上記(6)で求めたB層厚みの領域において、1万倍で観察した100視野の写真において最大の粒子径を持つ粒子の粒子径をB層の最大粒子径(D)とする。
(12)粒子の含有量
フィルム原料であるポリエステルへの粒子配合量から計算し、表に記載した。
なお、以下の手法に従いフィルムを分析することにより算出することもできる。
(12)−1 粒子の元素分析
フィルムからポリエステルをプラズマ灰化処理法で除去し粒子を露出させる。処理条件はポリマは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像をイメージアナライザーで処理する。上記(10)で求めた粒度分布に従い、SEMの倍率を30,000倍にして、観察箇所を変えて20視野観察し、観察した全粒子についてエネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いて元素分析を実施し、粒子と元素の関係を明確にする。
(12)−2 粒子の含有量
各積層部の表面を片刃で削り取り、削れ粉100gにo−クロロフェノールを加え、攪拌しながら100℃で1時間を要してポリマを溶解する。次いで日立製作所製分離用超遠心機40P型にローターRP30を装備し、セル1個当りに上記溶解液30ccを注入した後徐々に30,000rpmにする。30,000rpm到達60分後に粒子の分離を終了する。次いで上澄液を除去し分離粒子を採取する。採取した該粒子に常温のo−クロロフェノールを加え、均一けん濁した後、超遠心分離操作を行う。この操作は後述の分離粒子を示差走査熱量測定装置(DSC)を用いてポリマに相当する融解ピークが検出されなくなるまでくり返す。このようにして得た分離粒子を120℃で16時間真空乾燥した後、質量を測定した値を粒子の総含有量とし、これに対する比率(質量%)をもって粒子の含有量とする。
(13)走行性 摩擦係数(μk)
フイルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたものをテープ走行性試験機SFT−700型((株)横浜システム研究所製)を使用し、20℃、60%RH雰囲気で10cm走行させ、フィルム(B層表面)とガイドとの摩擦係数(μk)を下記の式より求めた。
μk=2/π×ln(T2 /T1 )
ここで、T1 は入側張力、T2 は出側張力である。ガイド径は6mmφであり、ガイド材質はSUS27(表面粗度0.2S)、巻き付け角は90°、走行速度は3.3cm/秒である。なお、走行性は下記基準にて判断し、Cを走行性不良とした。
A:μk<0.45
B:0.45≦μk≦0.50
C:μk>0.50
(14)空気漏れ指数
(株)東洋精機製、デジベック平滑度試験機を用いて、25℃、65%RHにて測定した。まず、A層とB層とを重ね合わせたフィルム(5×5cm、下側のフィルムは中央部分を約1cm角切り抜く)を試料台上に静かに乗せ、1kg/cmの荷重を加えて減圧到達度をSTEP1:383mmHg、STEP2:382mmHg、STEP3:381mmHgに設定する。減圧度がSTEP1に到達すると真空ポンプは自動的に停止する。フィルム間を空気が通過して系内に流入するため、減圧度は低下し、SETP1の減圧度を切ると自動的に時間計が作動しSTEP3の減圧度を切ると時間計は停止する。この値を読み取りフィルムを換えて30回測定しその平均を空気漏れ指数とした。但し、時間計が1,000秒以下で停止した場合はごみ付着の可能性が大きいためデータには入れなかった。
(15)フィルム巻き取り性
幅300mmのフィルムを、巻き取り速度200m/minで、張力一定条件で巻き取り、長さ6,000mのロールとした。このロールを温度60℃、湿度80%の条件で72時間保管後の外観を目視により観察し、以下の基準で判断し、Cを巻き取り性不良とした。
A:しわ、または端面ずれが全く認められない
B:しわが2カ所未満、または端面ずれが1mm未満のもの
C:しわが2箇所以上、または1mm以上のは紙面ずれが認められるもの。
(16)電磁変換特性
1m幅にスリットしたフィルムを、張力200Nで搬送させ、支持体の一方の表面に以下の記載に従って磁性塗料および非磁性塗料を塗布し12.65mm幅にスリットし、パンケーキを作成する。次いで、このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込んで、磁気テープとした。
(以下、「部」とあるのは「質量部」を意味する。)
磁性層形成用塗布液
バリウムフェライト磁性粉末 100部
(板径:20.5nm、板厚:7.6nm、
板状比:2.7、Hc:191kA/m(≒2400Oe)
飽和磁化:44Am/kg、BET比表面積:60m/g)
ポリウレタン樹脂 12部
質量平均分子量 10,000
スルホン酸官能基 0.5meq/g
α−アルミナ HIT60(住友化学社製) 8部
カーボンブラック #55(旭カーボン社製)
粒子サイズ0.015μm 0.5部
ステアリン酸 0.5部
ブチルステアレート 2部
メチルエチルケトン 180部
シクロヘキサノン 100部
非磁性層形成用塗布液
非磁性粉体 α酸化鉄 85部
平均長軸長0.09μm、BET法による比表面積 50m/g
pH 7
DBP吸油量 27〜38ml/100g
表面処理層Al 8質量%
カーボンブラック 15部
“コンダクテックス”(登録商標)SC−U(コロンビアンカーボン社製)
ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 22部
フェニルホスホン酸 3部
シクロヘキサノン 140部
メチルエチルケトン 170部
ブチルステアレート 1部
ステアリン酸 2部
メチルエチルケトン 205部
シクロヘキサノン 135部
上記の塗布液のそれぞれについて、各成分をニーダで混練した。1.0mmφのジルコニアビーズを分散部の容積に対し65体積%充填する量を入れた横型サンドミルに、塗布液をポンプで通液し、2,000rpmで120分間(実質的に分散部に滞留した時間)、分散させた。得られた分散液にポリイソシアネートを非磁性層の塗料には5.0部、磁性層の塗料には2.5部を加え、さらにメチルエチルケトン3部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用および磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
得られた非磁性層形成用塗布液を、PETフィルム上に乾燥後の厚さが0.8μmになるように塗布乾燥させた後、磁性層形成用塗布液を乾燥後の磁性層の厚さが0.07μmになるように塗布を行い、磁性層がまだ湿潤状態にあるうちに6,000G(600mT)の磁力を持つコバルト磁石と6,000G(600mT)の磁力を持つソレノイドにより配向させ乾燥させた。その後、カレンダー後の厚みが0.5μmとなるようにバックコート層(カーボンブラック 平均粒子サイズ:17nm 100部、炭酸カルシウム平均粒子サイズ:40nm 80部、αアルミナ 平均粒子サイズ:200nm 5部をポリウレタン樹脂、ポリイソシアネートに分散)を塗布した。次いでカレンダで温度90℃、線圧300kg/cm(294kN/m)にてカレンダ処理を行った後、65℃で、72時間キュアリングした。さらに、スリット品の送り出し、巻き取り装置を持った装置に不織布とカミソリブレードが磁性面に押し当たるように取り付け、テープクリーニング装置で磁性層の表面のクリーニングを行い、磁気テープを得た。
記録ヘッド(MIG,ギャップ0.15μm、1.8T)と再生用GMRヘッドをドラムテスターに取り付けて上記により得られた磁気テープの出力を測定した。ヘッド/テープの相対速度は15m/secとし、トラック密度16KTPI、線記録密度400Kbpiの信号を記録した後、出力とノイズの比を電磁変換特性とした。実施例6の結果を0dBとして2.0dB以上はA、2.0未満〜0dBはB、0dB未満はCと判定した。Aが望ましいが、Bでも実用的には使用可能である。
(17)ドロップアウト
上記(16)と同様の記録をした磁気テープを50℃、65%RH雰囲気中に1週間保存した後、再生した。0.5μm以上の大きさで50%以上出力低下したものをドロップアウトとして回数(個数)を測定し、磁気テープ200m長1巻について下記基準で判断した。ドロップアウトが450個未満のものが高容量のデータバックアップ用テープとして望ましい。
AA:ドロップアウト 100個未満
A:ドロップアウト 100個以上250個未満
B:ドロップアウト 250個以上450個未満
C:ドロップアウト 450個以上
(18)レジスト特性評価
以下a.からc.の方法により評価を行う。
a.片面鏡面研磨した6インチSiウエハー上に、東京応化(株)製のネガレジスト“PMERN−HC600”を塗布し、大型スピナーで回転させることによって厚み7μmのレジスト層を作製する。次いで、窒素循環の通風オーブンを用いて70℃の温度条件で約20分間の前熱処理を行う。
b.ポリエステルフィルムのB面をレジスト層と接触するように重ね、ゴム製のローラーを用いて、レジスト層上にポリエステルフィルムをラミネートし、その上に、クロム金属でパターニングされたレチクルを配置し、そのレクチル上からI線(波長365nmにピークをもつ紫外線)ステッパーを用いて露光を行う。
c.レジスト層からポリエステルフィルムを剥離した後、現像液N−A5が入った容器にレジスト層を入れ約1分間の現像を行う。その後、現像液から取り出し、水で約1
分間の洗浄を行う。現像後に作成されたレジストパターンのL/S(μm)(Line and Space)=10/10μmの30本の状態を走査型電子顕微鏡SEMを用いて約800〜3000倍率で観察し、パターンに欠けのある本数で以下のように評価する。
A;欠けのある本数が0から8本
B;欠けのある本数が9から15本
C;欠けのある本数が16本以上
Aがレジスト性が最も良好で、Cが最も劣る。
なお、上記の測定において、測定するフィルムの長手方向や幅方向が分からない場合は、フィルムにおいて最大の屈折率を有する方向を長手方向、長手方向に直行する方向を幅方向とみなす。また、フィルムにおける最大の屈折率の方向は、フィルムの全ての方向の屈折率を屈折率計で測定して求めてもよく、位相差測定装置(複屈折測定装置)などにより遅相軸方向を決定することで求めてもよい。
(19)グリーンシート特性評価
以下a.からb.の方法により評価を行う。
a.離型層の塗布
二軸配向ポリエステルフィルムのB面に、架橋プライマー層(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名BY24−846)を固形分1質量%に調整した塗布液を塗布/乾燥し、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、100℃で20秒乾燥硬化した。その後1時間以内に付加反応型シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名LTC750A)100質量部、白金触媒(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名SRX212)2質量部を固形分5質量%に調整した塗布液を、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコートで塗布し、120℃で30秒乾燥硬化した後に巻き取り、離型フィルムを得た。
b.グリーンシートの塗布状態の評価(セラミックススラリーの塗布性)
チタン酸バリウム(富士チタン工業(株)製商品名HPBT−1)100質量部、ポリビニルブチラール(積水化学(株)製商品名BL−1)10質量部、フタル酸ジブチル5質量部とトルエン−エタノール(質量比30:30)60質量部に、数平均粒径2mmのガラスビーズを加え、ジェットミルにて20時間混合・分散させた後、濾過してペースト状のセラミックスラリーを調整した。得られたセラミックスラリーを、離型フィルムの上に乾燥後の厚みが2μmとなるように、ダイコーターにて塗布し乾燥させ、巻き取り、グリーンシートを得た。 上記で巻き取られたグリーンシートを、繰り出し、離型フィルムから剥がさない状態にて目視で観察し、ピンホールの有無や、シート表面および端部の塗布状態を確認する。なお観察する面積は幅300mm、長さ500mmである。離型フィルムの上に成型されたグリーンシートについて、背面から1000ルクスのバックライトユニットで照らしながら、塗布抜けによるピンホールあるいは、離型フィルム背面の表面転写による凹み状態を観察する。
A:ピンホールも凹みも無い。
B:ピンホールは無く、凹みが3個以内認められる。
C:ピンホールが有り、また凹みが4個以上認められる。
(20)偏光板の目視検査
サンプルは、フィルム幅方向における任意の位置からA4のカットサンプルの長手方向とフィルム長手方向を一致させて切り出した。クロスニコル法として、光源部にフジカラーライトボックス100V8W((株)進光社製)を用いて、その上に正常な検光子と偏光子の吸収軸面が直交するように配置し、その間にポリエステルフィルムを挟んだ状態でB面が偏光子と接するように設置して、偏光子側から目視検査を行なった。このとき、観察面側の寸法幅28cm×縦34cmの偏光子の吸収軸とA4カットサンプルのフィルムの長手方向を一致させた。目視検査は、まず、ポリエステルフィルムを挟んでない状態での輝点として表れる偏光子の異物や欠陥の位置と数を50個、確認した。次に、ポリエステルフィルムを挟んだ状態で、異物や欠点の数が幾つ認識できなくなるかどうかで評価した。また、干渉色も同時に観察した。評価基準は以下に従った。
A:確認できなくなる輝点数が5個未満。
B:確認できなくなる輝点数が5個以上15個未満。
C:確認できなくなる輝点数が15個以上。
次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。なお、ここでポリエチレンテレフタレートをPET、ポリエチレンナフタレートをPEN、ポリエーテルイミドをPEIと表記する。
(1−a)PETペレットの作製:テレフタル酸ジメチル194質量部とエチレングリコール124質量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム四水和物0.3質量部および三酸化アンチモン0.05質量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルの5質量%エチレングリコール溶液を0.5質量部(リン酸トリメチルとして0.025質量部)とリン酸二水素ナトリウム2水和物の5質量%エチレングリコール溶液を0.3質量部(リン酸二水素ナトリウム2水和物として0.015質量部)添加した。
トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下する。そこで余剰のエチレングリコールを留出させながら反応内容物の温度が230℃に復帰するまで撹拌を継続した。このようにしてエステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃に達した後、反応内容物を重合装置へ移行した。
移行後、反応系を230℃から275℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。最終温度、最終圧力に到達した後、2時間(重合を始めて3時間)反応させたところ、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.55のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.55のポリエチレンテレフタレートのPETペレットを得た(原料−1)。
回転型真空重合装置を用いて、上記のPETペレット(原料−1)を0.1kPaの減圧下230℃の温度で長時間加熱処理し、固相重合を行った(原料−1k)。加熱処理時間が長いほど固有粘度は高くなる。処理時間が1時間で固有粘度が0.60、5時間で固有粘度が0.70である。
(1−b)PENペレットの作成:2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル128質量部とエチレングリコール60質量部の混合物に、酢酸マンガン・4水和物塩0.025質量部と酢酸ナトリウム・3水塩0.005質量部を添加し、150℃の温度から240℃の温度に徐々に昇温しながらエステル交換反応を行った。途中、反応温度が170℃に達した時点で三酸化アンチモン0.024質量部を添加した。また、反応温度が220℃に達した時点で3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩0.042質量部(2mmol%に相当)を添加した。その後、引き続いてエステル交換反応を行い、トリメチルリン酸0.023質量部を添加した。次いで、反応生成物を重合装置に移し、290℃の温度まで昇温し、30Paの高減圧下にて重縮合反応を行い、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.6のポリエチレン−2,6−ナフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.6のPENペレット(原料−1b)を得た。
(2−a)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述の固相重合PETペレット(原料−1k:処理時間2時間)90質量部と平均粒径0.30μmの架橋ポリスチレン粒子の10質量%水スラリーを10質量部(架橋ポリスチレン粒子として1質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、架橋ポリスチレン粒子を1質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2a)を得た。
(2−b)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述の固相重合PETペレット(原料−1k:処理時間2時間)を90質量部と平均粒径0.2μmの架橋ポリスチレン粒子の10質量%水スラリーを10質量部(架橋ポリスチレン粒子として1質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、架橋ポリスチレン粒子を1質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2b)を得た。
(2−c)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述の固相重合PETペレット(原料−1k:処理時間2時間)を90質量部と平均粒径0.10μmのコロイダルシリカ粒子の10質量%水スラリーを10質量部(コロイダルシリカ粒子として1質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、コロイダルシリカ粒子を1質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2c)を得た。
(2−d)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述の固相重合PETペレット(原料−1k:処理時間2時間)を90質量部と平均粒径0.060μmのコロイダルシリカ粒子の10質量%水スラリーを10質量部(コロイダルシリカ粒子として1質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、コロイダルシリカ粒子を1質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2d)を得た。
(2−e)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述の固相重合PETペレット(原料−1k:処理時間2時間)を90質量部と平均粒径0.030μmのコロイダルシリカ粒子の10質量%水スラリーを10質量部(コロイダルシリカ粒子として1質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、コロイダルシリカ粒子を1質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2e)を得た。
(2−f)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述の固相重合PETペレット(原料−1k:処理時間2時間)を90質量部と平均粒径0.18μmのコロイダルシリカ粒子の10質量%水スラリーを10質量部(コロイダルシリカ粒子として1質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、コロイダルシリカ粒子を1質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2f)を得た。
(2−g)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述の固相重合PETペレット(原料−1k:処理時間2時間)を90質量部と平均一次粒径0.02μmのアルミナ粒子の10質量%水スラリーを10質量部(アルミナ粒子として1質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、アルミナ粒子を1質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2g)を得た。
(2−h)粒子含有PENペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述のPENペレット(原料−1b)を90質量部と平均粒径0.30μmの架橋ポリスチレン粒子の10質量%水スラリーを10質量部(架橋ポリスチレン粒子として1質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、架橋ポリスチレン粒子を1質量%含有する固有粘度0.6の粒子含有ペレット(原料−2h)を得た。
(2−i)粒子含有PENペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述のPENペレット(原料−1b)を90質量部と平均粒径0.060μmのコロイダルシリカ粒子の10質量%水スラリーを10質量部(コロイダルシリカ粒子として1質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、コロイダルシリカ粒子を1質量%含有する固有粘度0.6の粒子含有ペレット(原料−2i)を得た。
(2−j)粒子含有PENペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述のPENペレット(原料−1b)を90質量部と平均粒径0.10μmのコロイダルシリカ粒子の10質量%水スラリーを10質量部(コロイダルシリカ粒子として1質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、コロイダルシリカ粒子を1質量%含有する固有粘度0.6の粒子含有ペレット(原料−2j)を得た。
(3)2成分組成物(PET/PEI)ペレットの作製:温度280℃に加熱されたニーディングパドル混練部を3箇所設けた同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に、上記方法で得られた固相重合PETペレット(原料−1k:処理時間2時間)とSABICイノベーティブプラスチック社製のPEI“Ultem”(登録商標)1010のペレットを供給して、剪断速度100sec−1、滞留時間1分にて溶融押出し、PEIを50質量%含有した2成分組成物ペレットを得た。なお、作製した2成分組成物ペレットのガラス転移温度は150℃であった(原料−3)。
(実施例1)
押出機E1、E2の2台を用い、280℃に加熱された押出機E1には、A層原料として、固相重合を4時間実施したPETペレット(原料−1k)を50質量部、平均粒径0.03μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料−2e)30質量部、平均一次径20nmのアルミナ粒子含有ペレット(原料−2g)20質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。同じく280℃に加熱された押出機E2には、B層原料として、A層で用いたPETペレット(原料−1k)を65質量部、平均粒径0.1μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料−2c)30質量部、平均粒径0.30μmの架橋ポリスチレン粒子含有ペレット(原料−2a)5質量部を配合し、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で積層厚み比(A層|B層)=1|2.75とし、B層側がキャストドラム面側になるように合流させ、ドラフト比(口金のリップ間隙/未延伸フィルム厚み)=20となるように表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムをロール式延伸機にて88℃で3段階で長手方向に3.5倍延伸した。この延伸は2組ずつのロールの周速差を利用し1段目に2.8倍、2段目1.2倍、3段目1.05倍で行った。
得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に90℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に3.5倍延伸し(TD延伸1)、さらに続いて170℃の温度の加熱ゾーンでに幅方向に1.4倍延伸した(TD延伸2)。引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで180℃、195℃、210℃に徐々に温度を上げながら合計20秒間の熱処理を施した後、さらに150℃の温度で0.5%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、25℃に均一に冷却後、フィルムエッジを除去し、コア上に巻き取って厚さ4.5μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの製膜安定性は良好であり、物性評価したところ、表に示すように、磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
以下、表に各実施例、比較例の原料組成、製膜条件、二軸配向ポリエステルフィルムの物性、磁気テープの特性等を示す。
(実施例2)
表に示すように各種粒子原料を所定の濃度になるよう配合量を変更した以外は全て実施例1と同様にして厚さ4.5μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
(実施例3)
表に示すように各種粒子原料を所定の濃度になるよう配合量を変更した以外は全て実施例1と同様にして厚さ4.5μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
(実施例4)
押出機E1、E2の2台を用い、280℃に加熱された押出機E1には、A層原料として、固相重合を4時間実施したPETペレット(原料−1k)を54質量部、2成分組成物ペレット(原料−3)6質量部、平均粒径0.03μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料−2d)30質量部、平均一次径20nmのアルミナ粒子含有ペレット(原料−2g)10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。同じく280℃に加熱された押出機E2には、B層原料として、A層で用いたPETペレット(原料−1k)を59質量部、2成分組成物ペレット(原料−3)6質量部、平均粒径0.2μmの架橋ポリスチレン粒子含有ペレット(原料−2b)20質量部、平均粒径0.30μmの架橋ポリスチレン粒子含有ペレット(原料−2a)15質量部を配合し、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で積層厚み比(A層|B層)=1|2とし、B層側がキャストドラム面側になるように合流させ、ドラフト比(口金のリップ間隙/未延伸フィルム厚み)=30となるように表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムをロール式延伸機にて90℃で3段階で長手方向に3.3倍延伸した。この延伸は2組ずつのロールの周速差を利用し1段目に2.5倍、2段目1.26倍、3段目1.05倍で行った。
得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に90℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に3.5倍延伸し(TD延伸1)、さらに続いて170℃の温度の加熱ゾーンでに幅方向に1.4倍延伸した(TD延伸2)。引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで180℃、195℃、210℃に徐々に温度を上げながら合計20秒間の熱処理を施した後、さらに150℃の温度で0.5%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、25℃に均一に冷却後、フィルムエッジを除去し、コア上に巻き取って厚さ4.5μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの製膜安定性は良好であり、物性評価したところ、表に示すように、磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例5)
表に示すように各種粒子原料を所定の濃度になるよう配合量を変更した以外は全て実施例4と同様にして厚さ4.5μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
(実施例6)
表に示すように各種粒子原料を所定の濃度になるよう配合量を変更した以外は全て実施例4と同様にして厚さ4.2μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
(実施例7)
A層原料として、PENペレット(原料−1b)70質量部、平均粒径0.03μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料−2i)30質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。同じく280℃に加熱された押出機E2には、B層原料として、A層で用いたPENペレット(原料−1b)を65質量部、平均粒径0.1μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料−2j)30質量部、平均粒径0.30μmの架橋ポリスチレン粒子含有ペレット(原料−2h)5質量部、を配合し、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で積層厚み比(A層|B層)=1.25|1とし、B層側がキャストドラム面側になるように合流させ、ドラフト比(口金のリップ間隙/未延伸フィルム厚み)=30となるように表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムをロール式延伸機にて125℃で3段階で長手方向に4.5倍延伸した。この延伸は2組ずつのロールの周速差を利用し1段目に3.6倍、2段目1.2倍、3段目1.05倍で行った。
得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の135℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に120℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に4倍延伸し(TD延伸1)、さらに続いて170℃の温度の加熱ゾーンでに幅方向に1.6倍延伸した(TD延伸2)。引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで180℃、195℃、210℃に徐々に温度を上げながら合計20秒間の熱処理を施した後、さらに150℃の温度で0.5%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、25℃に均一に冷却後、フィルムエッジを除去し、コア上に巻き取って厚さ4.5μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
(実施例8)
押出機E1、E2およびE3の3台を用い、280℃に加熱された押出機E1には、A層原料として、固相重合を4時間実施したPETペレット(原料−1k)を70質量部、平均粒径0.03μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料−2d)30質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。同じく280℃に加熱された押出機E2には、B層原料として、A層で用いたPETペレット(原料−1k)を65質量部、平均粒径0.1μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料−2c)30質量部、平均粒径0.30μmの架橋ポリスチレン粒子含有ペレット(原料−2a)5質量部を配合し、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。さらに、同じく280℃に加熱された押出機E3には、X層としてPETペレット(原料1−k)を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを3層積層するべくTダイ中で積層厚み比(A層|X層|B層)=0.1|1.1|3.3とし、B層側がキャストドラム面側になるように合流させ、ドラフト比(口金のリップ間隙/未延伸フィルム厚み)=20となるように表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムをロール式延伸機にて88℃で3段階にて長手方向に3.5倍延伸した。この延伸は2組ずつのロールの周速差を利用し1段目に2.8倍、2段目1.2倍、3段目1.05倍で行った。
得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に90℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に3.5倍延伸し(TD延伸1)、さらに続いて170℃の温度の加熱ゾーンでに幅方向に1.4倍延伸した(TD延伸2)。引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで180℃、195℃、210℃に徐々に温度を上げながら合計20秒間の熱処理を施した後、さらに150℃の温度で0.5%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、25℃に均一に冷却後、フィルムエッジを除去し、コア上に巻き取って厚さ4.5μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの製膜安定性は良好であり、物性評価したところ、表に示すように、磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
(実施例9)
押出機E1、E2およびE3の3台を用い、280℃に加熱された押出機E1には、A層原料として、固相重合を4時間実施したPETペレット(原料−1k)を70質量部、平均粒径0.03μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料−2d)30質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。同じく280℃に加熱された押出機E2には、B層原料として、A層で用いたPETペレット(原料−1k)を65質量部、平均粒径0.1μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料−2c)30質量部、平均粒径0.30μmの架橋ポリスチレン粒子含有ペレット(原料−2a)5質量部を配合し、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。さらに、同じく280℃に加熱された押出機E3には、X層としてPETペレット(原料1−k)を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを3層積層するべくTダイ中で積層厚み比(A層|X層|B層)=1.2|11.5|3.3とし、B層側がキャストドラム面側になるように合流させ、ドラフト比(口金のリップ間隙/未延伸フィルム厚み)=20となるように表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムをロール式延伸機にて88℃で3段階にて長手方向に3.5倍延伸した。この延伸は2組ずつのロールの周速差を利用し1段目に2.8倍、2段目1.2倍、3段目1.05倍で行った。
得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に100℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に3.3倍延伸し(TD延伸1)、さらに続いて170℃の温度の加熱ゾーンでに幅方向に1.2倍延伸した(TD延伸2)。引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで温度180℃で1.05倍延伸した(TD延伸3)後に、温度190℃、210℃に徐々に温度を上げながら合計20秒間の熱処理を施した後、さらに150℃の温度で0.5%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、25℃に均一に冷却後、フィルムエッジを除去し、コア上に巻き取って厚さ16μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの製膜安定性は良好であり、物性評価したところ、表に示すとおりであり、レジスト特性評価はAランク、グリーンシート特性評価はAランク、偏光板目視検査はAランクである優れた特性を有していた。
(比較例1)
表に示すように各種粒子原料を所定の濃度になるよう配合量を変更した以外は全て実施例4と同様にして厚さ4.5μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
(比較例2)
表に示すようにA層/B層の積層厚みおよび各種粒子原料を所定の濃度になるよう配合量を変更した。さらに、ドラフト比(口金のリップ間隙/未延伸フィルム厚み)=10、熱処理は210℃で1段階で処理した以外は全て実施例4と同様にして厚さ4.5μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
(比較例3、4、5)
表に示すようにA層/B層の積層厚みおよび各種粒子原料を所定の濃度になるよう配合量を変更した。さらに、熱処理は210℃で1段階で処理した以外は全て実施例4と同様にして厚さ4.5μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
(比較例6)
表に示すように各種粒子原料を所定の濃度になるよう配合量を変更した以外は全て実施例1と同様にして厚さ4.5μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
(比較例7)
表に示すように各種粒子原料を所定の濃度になるよう配合量を変更した以外は全て実施例1と同様にして厚さ4.5μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
Figure 2017193173
Figure 2017193173
Figure 2017193173

Claims (15)

  1. 表層を構成する少なくともA層とB層の2層を含み、A層表面における波長9.65μmにおけるパワースペクトル密度(PSD)が1,000〜50,000nmの範囲にあり、B層表面において、三次元粗さ計による基準面から高さ60nm以上の突起密度(M60)が300個/mm以下、該表面の摩擦係数(μk)が0.5以下である二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  2. 三次元粗さ計によるB層表面の突起密度が以下の関係を満足する、請求項1に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
    0≦(M60/M10)×100<10
    (但し、M10(個/mm):基準面から高さ10nm以上の突起密度、
    M60(個/mm):基準面から高さ60nm以上の突起密度)
  3. B層の積層厚み(t(μm))と該層に含有される粒子の最大粒子径(D(μm))との比(t/D)が以下の関係にある、請求項1または2に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
    10<(t/D)<18
  4. A層の厚みが1〜3μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  5. 全厚みが3.5〜4.5μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  6. 幅方向の湿度膨張係数が0〜8ppm/%RHである、請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  7. A層とB層を重ね合わせたときの空気漏れ指数が3,300秒以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  8. 3層以上の積層構造からなる、請求項1〜7のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  9. 塗布型デジタル記録方式の磁気記録媒体用ベースフィルムに用いられる、請求項1〜8のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  10. 請求項9に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムを用いた磁気記録媒体。
  11. 離型用または工程用フィルムとして用いられる、請求項1〜8のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  12. ドライフィルムレジスト基材用フィルムとして用いられる、請求項11に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  13. 積層セラミックコンデンサーを製造する工程においてグリーンシート成形の支持体として用いられる、請求項11に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  14. 偏光板離型用フィルムとして用いられる、請求項11に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  15. 光学部材用フィルムとして用いられる、請求項1〜8のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
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