JP2021115862A - フィルムの再利用方法および再生フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルムの再利用方法および再生フィルムを提供する。【解決手段】使用済みフィルムの不純物量を測定するステップと、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルのいずれかを行うステップを含むフィルムの再利用方法。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルムの再利用方法および再生フィルムに関する。
フィルムは様々な工業分野に利用されている。近年、IoT(Internet of Things)の進化により、コンピュータやスマートフォンに搭載されるCPUなどの電子デバイスが急激に増加し、それに伴い、電子デバイスを駆動するために重要な積層セラミックコンデンサー(MLCC)の数も爆発的に増加している。MLCCの一般的な製造方法は、基材であるフィルム上に離型層を設けた離型フィルム上に、セラミックグリーンシートと電極を積層して乾燥して固めた後、該積層体を離型フィルムから剥離し複数層を積層し、焼成するというものである。この工程において、離型フィルムは、工程中で不要物として廃棄されることとなる。
すなわち、近年のMLCC数量の爆発的増加で不要物として廃棄される離型フィルムが増えることによる環境への負荷が課題となりつつある。MLCCの製造工程で用いられる離型フィルムに含まれる離型層の成分は、離型性の観点から、一般的にはフィルムを構成する成分とは異なる組成であるため、離型層がついた離型フィルムをそのまま再利用したり、あるいは、離型層がついた離型フィルムを再溶融し、フィルムを含む成形体として再利用する方法(以下、マテリアルリサイクルと記載する場合がある)を実施する場合、離型層の成分が異物として存在するため、再利用ができないことがある。
また、「withコロナ」の社会変革の中で、リモートワークなどの増加により、タブレット、ノートPCやディスプレイなどの需要が増加する中で、液晶モニタの部材である偏光フィルムの需要も伸びている。偏光フィルムは、一般的にはポリビニルアルコール樹脂とトリアセチルセルロース樹脂からなる積層体が用いられる。かかる積層体は、液晶モニタの製造工程における該積層体へのダメージを低減するため、該積層体に保護フィルムを貼り合わせられることが一般的に行われている。
この保護フィルムの製造方法は、保護フィルムの片面に、偏光フィルムと貼り合わせるための粘着剤を形成する工程として、工程用離型フィルムを使用する工程を有することが一般的である。すなわち、工程用離型フィルムの離型面に粘着剤を付与した後に保護フィルムの片面に貼り合わせ、工程用離型フィルムを剥離することで粘着剤を保護フィルムの片面に転写する、という工程である。粘着剤形成の工程で用いられる工程用離型フィルムは、MLCCの製造工程で用いられる離型用フィルムと同様、離型層がついた離型フィルムをそのまま再利用したり、あるいはマテリアルリサイクルを実施する場合、離型層の成分が異物として存在するため、再利用ができないことがある。
特許文献1では、ワックスをフィルム中に練り込み、離型層を設けずに離型用フィルムとして用いる技術が開示されている。また、特許文献2では、離型層を有する離型用フィルムを金属ブラシを用いて洗浄し、離型層を除去したフィルムを再利用する方法が開示されている。特許文献3では、離型層とポリエステルフィルムの中間に水溶性樹脂の層を設け、水洗することで離型層を除去した後、再利用する方法が開示されている。
国際公開第2013/15260号 特開2012−171276号公報 特許公報第4284936号公報
しかしながら、いずれの文献にも、不純物量を測定するステップを含む再利用方法について記載されておらず、使用済みフィルムに含まれる不純物量によっては、フィルムを再利用した場合に異物が多く再利用できない懸念がある。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成をとる。すなわち、
[I]使用済みフィルムの不純物量を測定するステップと、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルのいずれかを行うステップを含むフィルムの再利用方法。
[II]前記使用済みフィルムが、離型用の基材フィルムとして使用されたフィルムである[I]に記載のフィルムの再利用方法。
[III]前記使用済みフィルムが、フィルムの少なくとも片側に離型層を設け、その後当該離型層を有するフィルムの離型層に被離型層を設け、その後当該被離型層と離型層を有するフィルムから被離型層を離型し、その後被離型層を離型した離型層を有するフィルムから被離型層の残渣および離型層を除去したフィルムである[I]または[II]に記載のフィルムの再利用方法。
[IV]前記被離型層の残渣および離型層の除去が、光、水、溶媒のいずれか1つ以上を用いて行われる[I]〜[III]のいずれかに記載のフィルムの再利用方法。
[V]前記使用済みフィルムの不純物量を測定するステップが、前記使用済みフィルムに有する前記被離型層の残渣および前記離型層の残渣を測定するステップを含む[III]または[IV]に記載のフィルムの再利用方法。
[VI]前記使用済みフィルムの不純物量を測定するステップの後、その不純物量によりマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルのいずれを行うか判断するステップを含む請求項[I]〜[V]のいずれかに記載のフィルムの再利用方法。
[VII]前記使用済みフィルムの不純物量が、前記使用済みフィルム全体の重量を100重量%とした際に0.001重量%以上0.2重量%以下であって、マテリアルリサイクルを行うステップを含む[I]〜[VI]のいずれかに記載のフィルムの再利用方法。
[VIII]使用済みフィルムをマテリアルリサイクルした原料を用いて得られる再生フィルムであって、前記使用済みフィルムの不純物量が、使用済みフィルム全体の重量を100重量%とした際に0.001重量%以上0.2重量%以下である再生フィルム。
[IX]使用済みフィルムをマテリアルリサイクルした原料を用いて得られる再生フィルムであって、再生フィルム中に含まれるチタン酸バリウム量が再生フィルム全体の重量を100重量%とした際に0.001重量%以上0.2重量%以下である再生フィルム。
[X]前記使用済みフィルムが離型用の基材フィルムとして使用されたフィルムである[VIII]または[IX]に記載の再生フィルム。
[XI]前記原料が、使用済みフィルムを25sec−1以上250sec−1以下のせん断速度にて溶融する工程を有するマテリアルリサイクルにより得られたものである[VIII]〜[X]に記載の再生フィルム。
[XII]離型用途に用いられる[VIII]〜[XI]のいずれかに記載の再生フィルム。
本発明によれば、使用済みのフィルムを再利用することで、環境負荷を低減することができる。
以下に具体例を挙げつつ、本発明について詳細に説明する。
本発明は、使用済みフィルムの不純物量を測定するステップと、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルのいずれかを行うステップを含むフィルムの再利用方法である。
本発明でいうフィルムは、使用用途の多様性や解重合性の観点から、ポリエステルフィルムであることが好ましい。ポリエステルとは、ジカルボン酸構成成分とジオール構成成分を有してなるものである。なお、本明細書内において、構成成分とはポリエステルを加水分解することで得ることが可能な最小単位のことを示す。かかるポリエステルを構成するジカルボン酸構成成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。
また、かかるポリエステルを構成するジオール構成成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環式ジオール類、上述のジオールが複数個連なったものなどが挙げられる。中でも、機械特性、透明性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、およびPETのジカルボン酸成分の一部にイソフタル酸やナフタレンジカルボン酸を共重合したもの、PETのジオール成分の一部にシクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、ジエチレングリコールを共重合したポリエステルが好適に用いられる。
本発明において、使用済みのフィルムとは、製品として特定の用途に用いられたフィルムを指す。製品として特定の用途に用いられた結果、その製品の性能を失い、本来廃棄されるフィルムを再利用することで、環境負荷を低減することが可能となる。使用済みフィルムとしては、例えば、離型用の基材フィルムが挙げられ、離型用の基材フィルムとしては、使用後の粘着テープの基材、粘着テープの剥離紙や、製品製造工程用フィルムが挙げられる。これらの中で、製品製造工程用フィルム、特にMLCC製造工程用や偏光フィルム製造工程用の離型フィルムは、近年その使用量が増加しているため、リサイクルすることで廃棄量が削減でき、環境負荷を低減することに繋がるため好ましい。MLCC製造工程用の離型フィルムをリサイクルする場合、該離型フィルムを構成する部材の中で、最も量が多い基材フィルムをリサイクルすると環境負荷の低減に大きく貢献できるため好ましい。
使用済みのフィルムのリサイクルは、一般的には、上述のマテリアルリサイクル(使用済みのフィルムをそのまま再利用したり、あるいは、使用済みフィルムを再溶融した後、成形体として再利用する方法)に加え、使用済みのフィルムを燃やして熱エネルギーとして利用する方法(以下、サーマルリサイクルと記載する場合がある)や、使用済みのフィルムを解重合することでポリマーの構成単位を精製し、再び重合することでポリマーとして再利用する方法(以下、ケミカルリサイクルと記載する場合がある)が挙げられる。ケミカルリサイクルの方法としては、例えば、特開2009−167266号公報に記載される方法が挙げられる。本発明の再利用方法においては、いずれの方法でも再利用しても良いが、サーマルリサイクルでは燃焼による二酸化炭素が発生し、環境影響が発生する懸念があり、ケミカルリサイクルでは再利用するまでの工程が多くなり、再利用率が低下する懸念がある。環境負荷低減の観点からは、使用済みフィルムはマテリアルリサイクルすることが好ましいが、一方で、不純物が多く存在する使用済みフィルムをマテリアルリサイクルすると、異物の発生などの問題が発生する。ケミカルリサイクルは、マテリアルリサイクルに比べて、使用済みフィルムに不純物が多く含まれている場合であっても用いることができ、サーマルリサイクルは使用済みフィルムにさらに多くの不純物が含まれていても用いることができる。使用済みのフィルムをリサイクルするに際して、悪影響となり得る可能性のある不純物量を測定し、その不純物量によっていずれのリサイクルを行うかを選択し、マテリアルリサイクルに供することが可能な不純物量の使用済みフィルムについては、マテリアルリサイクルに供することで、環境負荷を大きく低減することが可能となる。
本発明のフィルムの再利用方法において、使用済みフィルムの不純物量を測定するステップを含むことが必要である。使用済みフィルムの不純物量を測定することによって、例えば不純物量に応じて、適切なリサイクル方法を選定し、再利用効率良くリサイクルすることが可能となる。このステップは、使用済みフィルムを得た直後でも良いし、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルのいずれかを行うステップの直前でも良いし、その両方でも構わない。
また、本発明フィルムの再利用方法においては、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルのいずれかを行うステップを含む必要がある。いずれかのリサイクルを行うことで、本来は廃棄されるはずであった使用済みのフィルムを再利用できるため、環境負荷を低減することができる。
本発明において使用済みのフィルムは、どのように使用されたフィルムであるか特に限られるものでは無いが、離型用の基材フィルムとして用いられたフィルムであると、本来廃棄されるフィルムであるため、環境負荷の低減に繋がるため好ましい。離型用の基材フィルムは、基材となるフィルムの少なくとも片側に離型層を設け、その後当該離型層を有するフィルムの離型層に被離型層を設け、その後当該被離型層と離型層を有するフィルムから被離型層を離型する工程を含んで使用されるものであり、被離型層が離型する工程を経た後の離型層が設けられた基材フィルムは廃棄されることが多い。
使用済みフィルムがMLCC製造工程用や偏光フィルム製造工程用の離型フィルムである場合、前記離型層には、一般的には、アルキッド樹脂系離型剤、ポリオレフィン系離型剤、長鎖アルキル基含有樹脂系離型剤、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、有機系とシリコーン系の混合もしくは共重合樹脂系離型剤が用いられる。この際、基材フィルムがポリエステルを主成分とする場合、前記離型剤成分はいずれもポリエステルとは大きく異なる分子構造を有するので、離型剤成分が一定量以上残存する基材フィルムをマテリアルリサイクルすると、異物となって再生フィルムの特性に悪影響を及ぼす。また、使用済みフィルムがMLCC製造工程用の離型フィルムである場合、前記被離型物には、一般的には、グリーンシートの主成分であるチタン酸バリウムや、電極の主成分であるチタン、銀、白金、銅などの金属が用いられるが、基材フィルムがポリエステルを主成分とする場合、前記被離型剤成分はいずれもポリエステルとは大きく異なる分子構造を有するので、被離型剤成分が一定量以上残存する基材フィルムをマテリアルリサイクルすると、異物となって再生フィルムの特性に悪影響を及ぼす。一方で、詳しくは後述するが、使用済みフィルムを原料としてリサイクルされた再生フィルムを離型用途に用いる場合、かかる離型剤成分や被離型物成分を再生フィルム中に一定量含有させると離型性が向上する効果が得られる。そのため、使用済みフィルムを原料としてリサイクルする際には、再生フィルムに異物を形成させない程度に被離型剤成分を含有させることが好ましい態様として挙げられる。
本発明の使用済みフィルムが、離型用の基材フィルムである場合、上述の通り、被離型層の残渣および離型層が基材フィルムに対する不純物となるため、使用済みのフィルムは、被離型層の残渣および離型層を除去したフィルムであることが好ましい。
被離型層の残渣および離型層を除去する方法は、特に限定されるものではない。例えば、光、水あるいは水溶液、溶媒のいずれか1つ以上を用いて除去する方法、物理的な力によって削り取る方法などが挙げられる。特開2001−310970号公報に記載されているように、異質の層が積層されたフィルムを断裁し、アルカリ性の溶液中で洗浄する方法によると、アルカリ性の溶液が廃液として発生する。そのため、環境負荷低減の観点からは、被離型層の残渣および離型層の除去は、光や水を用いて実施されることが好ましい。
被離型層及び離型層の除去を光照射により行う場合は、照射した光のエネルギーを吸収し昇華あるいは蒸発して消失する層(吸収層)を、基材フィルムと離型層の間に予め設けておくことが好ましい。吸収層としては、フタロシアニンバナジウムなどの昇華性のある色素や、アルミニウムやカーボンブラックなどの光線を吸収する性質を持つ材料、ニトロセルロースなどの自己分解性を持つ材料を組み合わせて用いることができる。照射する光としては、高エネルギー付与の観点から、特定波長に発振ピークを持つレーザー光が好適に用いられる。吸収層に合わせて発振ピークを選定するのも好ましい実施形態である。
被離型層及び離型層の除去を水による洗浄にて行う場合は、水に可溶な成分を含む層を、基材フィルムと離型層の間に予め設けておくや、水に可溶な成分を離型層に含める方法が好ましく用いられる。水に可溶な成分としては、デンプンやポリビニルアルコールが挙げられる。本発明の使用済みのフィルムは、工程用のフィルムとして用いられるため、水に可溶な成分としては耐熱性や耐溶剤性を有するポリビニルアルコールが好適に用いられる。水に可溶な成分としてポリビニルアルコールを用いる場合、水への溶解性を向上させる目的で、結晶性の低いポリビニルアルコールを用いることも効果的である。結晶性の低いポリビニルアルコールとしては、けん化度を50以上80以下としたものや、重合度が500以下のもの、エタンジオール基などの嵩高い側鎖基を導入したもの、またそれらを組み合わせたものが挙げられる。
上述の方法にて被離型層および離型層の除去を行った使用済みフィルム(以下、洗浄後の使用済みフィルムと称することがある)は、該フィルムに含有される不純物量を測定するステップへと供されることが好ましい。使用済みフィルムが工程用離型フィルムである場合、被離型物と離型層の残渣が不純物として測定される。さらに、上述のリサイクル方法の特徴から、使用済みのフィルムに含まれる不純物の量によってマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルのいずれを行うか判断するステップを含むことが好ましい。該ステップを含むことで、環境負荷低減やリサイクルを効率よく実施できるため好ましい。特に、前記使用済みフィルムの不純物量が、前記使用済みフィルム全体の重量を100重量%とした際に0.001重量%以上0.2重量%以下の場合は、マテリアルリサイクルを行うステップを含む再利用方法で再利用すると、リサイクル効率や負荷低減の観点から好ましい。
前記使用済みフィルム全体の重量を100重量%とした際に不純物量が0.2重量%を超えると、マテリアルリサイクルにより得られる再生フィルムは異物が多く発生し、所望の特性を得るのが困難になる場合がある。マテリアルリサイクルが、使用済みフィルムをそのまま再生フィルムとして用いる方法である場合、フィルム表面においても異物が多く発生しているため、例えば離型フィルムの基材として用いると、離型性を充足することができないことがある。また、マテリアルリサイクルが、使用済みフィルムを原料として再度溶融させて用いるものである場合、該原料が劣化したり、該原料と混ぜる他の原料も劣化することがあり、フィルムに成形できないことがある。
一方、前記使用済みフィルム全体の重量を100重量%とした際に不純物量が0.001重量%未満になるほど不純物量を低下させようとすると、不純物を除去する工程による基材フィルムへのダメージが大きくなるため、再生フィルムの機械的強度が低下する場合や、再溶融に堪えない場合がある。
また、前記使用済みのフィルムがMLCCの製造工程で用いられた離型用フィルムである場合、不純物として含有される組成物として、被離型物の成分であるチタン酸バリウムや離型剤の成分であるシリコーンなどが存在する。かかる離型剤成分や被離型物成分が多く含む使用済みフィルムを原料としてマテリアルリサイクルして再生フィルムを得ると異物が多く発生することが問題になるが、離型剤成分や被離型物成分を極微量含有させた使用済みフィルムを原料としてマテリアルリサイクルすると、得られる再生フィルムの離型性が向上する。そのため、使用済みフィルムに含有されるチタン酸バリウム量は0.001重量%以上0.2重量%以下であることが好ましい。
また、本発明の好ましい態様として、使用済みフィルムを原料としてマテリアルリサイクルされた再生フィルムであって、前記使用済みフィルムが使用済みフィルム全体の重量を100重量%とした際に不純物量が0.001重量%以上0.2重量%以下である再生フィルムが挙げられる。特に、離型用の基材フィルムとして用いられた使用済みフィルムを原料としてマテリアルリサイクルされた再生フィルムである場合、かかる再生フィルムを離型用途(例えば離型用の基材フィルム)として用いると、機械的特性を維持したまま、離型性を良好にできるため、好ましい。
特にMLCCの製造工程で用いられた離型用の基材フィルムとして用いられた使用済みフィルムが再生フィルムの原料である場合、不純物として含有される組成物として、被離型成分であるチタン酸バリウムと、離型成分であるシリコーンが存在する。チタン酸バリウムは無機物であるため、フィルム中に微量に存在する場合は、フィルム中に分散し、滑剤としての役割を果たすことができる。また、シリコーンは、離型層として膜状で存在するため、フィルム中に微量に存在する場合、フィルム表面に存在するシリコーンは表面凹凸の起点となり、離型性が向上する。特に、再生フィルムの原料として、離型用の基材フィルムとして用いられた使用済みフィルムを、25sec−1以上250sec−1以下のせん断速度にて溶融する工程を有するマテリアルリサイクルしたものであると、チタン酸バリウムやシリコーンを均一かつ微細な形状として分散されるため、再生フィルムの離型特性を向上させる点から好ましい。より好ましいせん断速度は、40sec−1以上180sec−1以下である。
再生フィルムに含有される不純物としては、チタン酸バリウムとシリコーンであることが好ましいが、両方を含んでいても、どちらか片方だけ含んでいてもどちらでも構わない。
特に、チタン酸バリウムは無機物であるためフィルム中に分散して滑剤としての役割を果たしやすいため含有していることが好ましく、その含有量は、好ましくは0.001重量%以上0.2重量%以下である。
[特性の評価方法]
A.フィルムの不純物量(重量%)
フィルムを1cm角以下の大きさに断裁し、ベント孔付き押出機に供給し、200torr以下の減圧下で290℃にて溶融して押出し、チップ形状に成形する。該チップを所定の量A(g)秤量し、再び290℃で溶融したのち、目開き400メッシュの濾過フィルターで濾過する。所定の量を流し終わった後、フィルターをOCP(オルトクロロフェノール)で洗浄しポリマーを溶解し、OCPに不溶な成分のみを取り出し、100℃にて1時間乾燥させた後、重量B(g)を秤量し、BをAで除し、100分率とすることでフィルムの不純物量を求める。
B.リサイクル収率(%)
使用済みフィルムを、50℃30%RHに調湿した倉庫に1週間保管した後に重量を測定し、W1とする。使用済みフィルムを、被離型物および離型層を除去する工程に供する場合、その工程を経た後のフィルム(洗浄後の使用済みフィルム)をW1とする。
その後、使用済みフィルムを用い、リサイクルによって得られる組成物の重さを測定する。使用済みフィルム、もしくは洗浄後の使用済みフィルムをそのまま再利用するマテリアルリサイクルの場合は、該フィルムを50℃30%RHに調湿した倉庫に1週間保管した後の重量を測定し、W2とする。使用後のフィルム、もしくは洗浄後の使用済みフィルムを再度溶融してフィルムに成形するマテリアルリサイクルの場合は、成形後のフィルムを、50℃30%RHに調湿した倉庫に1週間保管した後の重量を測定し、W3とする。得られるW2またはW3をW1で除して100分率とし、リサイクル収率とする。
ケミカルリサイクルの場合、得られるポリエステルの構成成分(モノマー組成物)の重量を測定し、該重量から換算されるポリエステルの重量を求めW4とし、W4をW1で除して100分率とし、リサイクル収率とする。
サーマルリサイクルの場合、リサイクル後に使用できる組成物が得られないため、リサイクル収率は0%とする。
C.離型フィルムの剥離力(N/m)
離型用フィルムの離型層側に、ポリエステル粘着テープ(日東電工(株)製No.31B、幅19mm)を張り付けて、共和界面化学(株)製VPA−H200を用いて180°剥離の強度を測定する。得られた値をN/mに換算し、評価は以下の通りとする。
A:剥離力が0.55mN/m以下
B:剥離力が0.55mN/mを超えて0.70mN以下
C:剥離力が0.70mN/mを超える
D.チタン酸バリウムの含有量
サンプルを量り取り、硝酸、フッ化水素酸および過塩素酸で加圧分解したのち加熱濃縮し、希硝酸で加温溶解して定容とする。この溶を、ICP発光分光分析装置(日立ハイテクサイエンス製PS3520VDDII)にてバリウム元素量、チタン元素量を測定し、試料中の含有量を求め、チタン酸バリウム量に換算する。
サンプルがフィルムロール形状である場合、フィルム幅方向の全長を長辺とする長方形に切り出し、サンプルとする。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
[塗剤Aの製造]付加反応型シリコーン樹脂離型剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名LTC750A)100重量部、白金触媒(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名SRX212)2重量部を、トルエンを溶媒として固形分5重量%となるように調整し、塗剤Aを得た。
[塗剤Bの製造]クラレ(株)製のポリビニルアルコール“クラレポバール(登録商標)”5−74(けん化度74、重合度500)を、2重量%となるように水に溶解し、塗剤Bを得た。
[塗剤Cの製造]ニトロセルロースを含有する塗剤として和信ペイント(株)性の“クリヤーラッカー(登録商標)” 55重量部、光線吸収材料として山田化学工業(株)製のFDN−010(フタロシアニンバナジウム、昇華温度340℃)5重量部、エポキシ樹脂として三菱ケミカル(株)製エピコート828 20重量部、硬化剤としてメラミン樹脂(三井化学(株)製“ユーバン(登録商標)”2061)19重量部と触媒(共栄化学(株)製ライトエステルPM)1重量部を混合し、塗剤Cを得た。
[誘電体ペーストAの製造]チタン酸バリウム(富士チタン工業(株)製商品名HPBT−1)100重量部、ポリビニルブチラール(積水化学(株)製商品名BL−1)10重量部、フタル酸ジブチル5重量部とトルエン−エタノール(重量比30:30)60重量部に、数平均粒径2mmのガラスビーズを加え、ジェットミルにて20時間混合・分散させた後、濾過してペースト状の誘電体ペーストを作製した。
[塗剤Dの製造]三菱ケミカル(株)製のポリビニルアルコール“ゴーセノール(登録商標)”OKS8089(けん化度88、重合度500、側鎖基にエタンジオール基を導入)を、2重量%となるように水に溶解し、塗剤Dを得た。
[塗剤Eの製造]ブチルアクリレート97部、アクリル酸3部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2部および酢酸エチル233部投入した後、窒素ガスを流し、攪拌しながら約1時間窒素置換を行った。その後、60℃にフラスコを加熱し、7時間反応させて、重量平均分子量(Mw)110万のアクリル系ポリマーを得た。このアクリル系ポリマー溶液(固形分を100重量部とする)に、イソシアネート系架橋剤としてトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業社製):0.8重量部、およびシランカップリング剤(商品名「KBM−403」、信越化学社製):0.1部を加えて粘着剤組成物(塗剤E)を調製した。
[PET−Aの製造]テレフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、常法により重合を行い、溶融重合PETを得た。得られた溶融重合PETのガラス転移温度は81℃、融点は255℃、固有粘度は0.62、末端カルボキシル基量は20eq./tであった。
[PET−1の製造]PET−Aを、160℃で2時間真空乾燥した後押出機に投入し、280℃で溶融させ、ダイを通して表面温度25℃のキャスティングドラム上に押し出し、未延伸シートを作製した。続いて該シートを加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度で長手方向(MD方向)に3.8倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の110℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に4.0倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで230℃の温度で10秒間の熱固定を施した。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、巻き取って、厚さ30μmのフィルム(PET−1)を得た。
[PET−2の製造]PET−Aを、160℃で2時間真空乾燥した後押出機に投入し、280℃で溶融させ、ダイを通して表面温度25℃のキャスティングドラム上に押し出し、未延伸シートを作製した。続いて該シートを加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度で長手方向(MD方向)に3.8倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムに、延伸・乾燥後の厚みが0.1μmとなるように、塗剤Bをマイヤーバーにより塗布した後、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の110℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に4.0倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで230℃の温度で10秒間の熱固定を施した。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、巻き取って、厚さ30μmのフィルム(PET−2)を得た。
[PET−3の製造]PET−1の片面に、塗剤Cを用い、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、100℃で20秒乾燥硬化させ、フィルムを得た。
[PET−4の製造]PET−Aを、160℃で2時間真空乾燥した後押出機に投入し、280℃で溶融させ、ダイを通して表面温度25℃のキャスティングドラム上に押し出し、未延伸シートを作製した。続いて該シートを加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度で長手方向(MD方向)に3.8倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムに、延伸・乾燥後の厚みが0.1μmとなるように、塗剤Dをマイヤーバーにより塗布した後、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の110℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に4.0倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで230℃の温度で10秒間の熱固定を施した。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、巻き取って、厚さ30μmのフィルム(PET−2)を得た。
(実施例1)
基材フィルムとしてPET−1を用い、PET−1の片面に、塗剤Aを乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコート法にて塗布し、離型用フィルムロールを得た。得られた離型用フィルムに、被離型物として、誘電体ペーストAをダイコート法によって乾燥後の厚みが1.0μmとなるように塗布した。その後、得られた積層体から、誘電体を離型するとともに、被離型物を剥離した使用済みのフィルムロールを得た。
得られた使用済みロールを断裁し、1.0kg計量して不純物量を測定した。不純物量が0.3重量%であったため、リサイクル方法としてサーマルリサイクルを選択し、リサイクルを行った。リサイクル収率は0%であった。
(実施例2)
実施例1と同様にして得られた使用済みフィルムのリサイクル方法としてケミカルリサイクルを選択し、特開2009−167266号公報に記載される方法にてケミカルリサイクルを行い、テレフタル酸を得た。得られたテレフタル酸の収率は、PETに換算した量から62%であった。
(実施例3)
実施例1と同様にして得られた使用済みフィルムのリサイクル方法としてマテリアルリサイクルを選択し、特開2001−310970号公報に記載される方法にて使用済みフィルムを裁断した後に水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、洗浄後の使用済みフィルムを得た後、洗浄後の使用済みフィルムの不純物量を測定した。さらに洗浄後の使用済みフィルムを、200torr以下の減圧下で160℃2時間乾燥し、溶融押出機に投入し280℃にて溶融押出した。押出時のせん断速度は45sec−1であった。
得られた溶融物をダイを通して表面温度25℃のキャスティングドラム上に押し出し、未延伸シートを作製した。続いて該シートを加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度で長手方向(MD方向)に3.8倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の110℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に4.0倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで230℃の温度で10秒間の熱固定を施した。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、巻き取って、厚さ30μmのフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの重量から、リサイクル率を評価した。さらに、得られたフィルムロールに塗剤Aを用い、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコート法にて塗布し、離型用フィルムロールを得た。得られた離型用フィルムの物性を表に示す。離型性にやや劣るフィルムであった。
(実施例4)
実施例1と同様にして得られた使用済みフィルムロールを、巻出しと巻き取り装置のある乾燥炉付きの水洗装置に導入し、30N/mの張力下で、100℃の水に2分間浸漬しながら洗浄したのち、120℃にて2分間乾燥させ、洗浄後の使用済みフィルムロールを得た。この洗浄後の使用済みフィルムロールの不純物量を測定し、不純物量が0.3重量%であったため、リサイクル方法としてサーマルリサイクルを選択し、リサイクルを行った。リサイクル収率は0%であった。
(実施例5)
基材フィルムとしてPET−2を用いた以外は、実施例1と同様にして使用済みフィルムロールを得たのちに不純物量を測定し、不純物量が0.3重量%であったため、リサイクル方法としてサーマルリサイクルを選択し、リサイクルを行った。リサイクル収率は0%であった。
(実施例6)
基材フィルムとしてPET−2を用いた以外は、実施例4と同様にして、洗浄後の使用済みフィルムロールを得た。この洗浄後の使用済みフィルムロールから1.0kg計量し、断裁した後不純物量を測定した。不純物量が0.01重量%であった。得られた洗浄後のフィルムロールの重量からリサイクル率を算出するとともに、該フィルムを基材として塗剤Aを用い、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコート法にて塗布し、離型用フィルムロールを得た。得られた離型用フィルムの物性を表に示す。離型性に優れたフィルムであった。
(実施例7)
実施例6と同様にして得た洗浄後の使用済みフィルムロールから、1.0kg計量し、断裁した後不純物量を測定した。不純物量が0.01重量%であったため、洗浄後の使用済みのフィルムロールを全て断裁し、200torr以下の減圧下で160℃2時間乾燥し、溶融押出機に投入し280℃にて溶融押出した。押出時のせん断速度は45sec−1であった。
得られた溶融物をダイを通して表面温度25℃のキャスティングドラム上に押し出し、未延伸シートを作製した。続いて該シートを加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度で長手方向(MD方向)に3.8倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の110℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に4.0倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで230℃の温度で10秒間の熱固定を施した。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、巻き取って、厚さ30μmのフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの重量から、リサイクル率を評価した。さらに、得られたフィルムロールに塗剤Aを用い、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコート法にて塗布し、離型用フィルムロールを得た。得られた離型用フィルムの物性を表に示す。離型性に優れたフィルムであった。
(実施例8)
基材としてPET−3を用いた以外は、実施例1と同様にして使用済みのフィルムロールを得た。該フィルムロールを、巻出しと巻き取り装置の間にて、離型層と被離型物の残渣を有する面から、キーエンス(株)製レーザーマーカMDX1500を用いて、波長1064nm、強度20Wの連続波レーザー光をフィルム全幅に渡って照射した。この光照射した使用済みフィルムロールを、巻出しと巻き取り装置のある乾燥炉付きの水洗装置に導入し、30N/mの張力下で、100℃の水に2分間浸漬しながら洗浄したのち、120℃にて2分間乾燥させ、洗浄後の使用済みフィルムロールを得た。洗浄後の使用済みフィルムの不純物量を測定し、不純物量が0.08重量%であったため、洗浄後の使用済みのフィルムロールを全て断裁し、200torr以下の減圧下で160℃2時間乾燥し、溶融押出機に投入し280℃にて溶融押出した。押出時のせん断速度は45sec−1であった。
得られた溶融物をダイを通して表面温度25℃のキャスティングドラム上に押し出し、未延伸シートを作製した。続いて該シートを加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度で長手方向(MD方向)に3.8倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の110℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に4.0倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで230℃の温度で10秒間の熱固定を施した。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、巻き取って、厚さ30μmのフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの重量から、リサイクル率を評価した。さらに、得られたフィルムロールに塗剤Aを用い、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコート法にて塗布し、離型用フィルムロールを得た。得られた離型用フィルムの物性を表に示す。離型性に優れたフィルムであった。
(実施例9)
基材フィルムとしてPET−4を用い、PET−4の片面に、塗剤Aを乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコート法にて塗布し、離型用フィルムロールを得た。得られた離型用フィルムに、塗剤Eをダイコート法によって乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布した。その後、得られた積層体を偏光フィルムの保護用PETフィルムに貼り合わせた後、塗剤Eが保護用のPETフィルムの片面に転写するように離型用フィルムのみを剥離して、使用済みのフィルムロールを得た。
得られた使用済みフィルムロールを、巻出しと巻き取り装置のある乾燥炉付きの水洗装置に導入し、30N/mの張力下で、100℃の水に2分間浸漬しながら洗浄したのち、120℃にて2分間乾燥させ、洗浄後の使用済みフィルムロールを得た。この洗浄後の使用済みフィルムロールから1.0kg計量し、断裁した後不純物量を測定した。不純物量が0.02重量%であったため、洗浄後の使用済みのフィルムロールを全て断裁し、200torr以下の減圧下で160℃2時間乾燥し、溶融押出機に投入し280℃にて溶融押出した。押出時のせん断速度は45sec−1であった。
得られた溶融物をダイを通して表面温度25℃のキャスティングドラム上に押し出し、未延伸シートを作製した。続いて該シートを加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度で長手方向(MD方向)に3.8倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の110℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に4.0倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで230℃の温度で10秒間の熱固定を施した。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、巻き取って、厚さ30μmのフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの重量から、リサイクル率を評価した。さらに、得られたフィルムロールに塗剤Aを用い、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコート法にて塗布し、離型用フィルムロールを得た。得られた離型用フィルムの物性を表に示す。離型性に優れたフィルムであった。
(実施例10)
実施例8と同様にして得られた洗浄後の使用済みフィルムロール(不純物量0.08重量%)を裁断し、200torr以下の減圧下で160℃2時間乾燥し、溶融押出機に投入し280℃にて溶融押出した。押出時のせん断速度は10sec−1であった。
得られた溶融物をダイを通して表面温度25℃のキャスティングドラム上に押し出し、未延伸シートを作製した。続いて該シートを加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度で長手方向(MD方向)に3.8倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の110℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に4.0倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで230℃の温度で10秒間の熱固定を施した。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、巻き取って、厚さ30μmのフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの重量から、リサイクル率を評価した。さらに、得られたフィルムロールに塗剤Aを用い、乾燥後の塗布厚みが0.1μmとなるようにグラビアコート法にて塗布し、離型用フィルムロールを得た。得られた離型用フィルムの物性を表に示す。溶融押出時のせん断速度が小さく、離型性にやや劣るフィルムであった。
(比較例1)
実施例1と同様にして得た使用済みフィルムロールの不純物量を測定せず、リサイクル方法としてマテリアルリサイクルを選択し、使用済みフィルムロールを全て断裁し、200torr以下の減圧下で160℃2時間乾燥し、溶融押出機に投入し280℃にて溶融押出したところ、押出時にポリマーが配管に詰まり、押し出すことができなかった。不純物量を測定しなかったため、適切なリサイクル方法を選択できず、リサイクルすることができなかった。
Figure 2021115862

Claims (12)

  1. 使用済みフィルムの不純物量を測定するステップと、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルのいずれかを行うステップを含むフィルムの再利用方法。
  2. 前記使用済みフィルムが、離型用の基材フィルムとして使用されたフィルムである請求項1に記載のフィルムの再利用方法。
  3. 前記使用済みフィルムが、フィルムの少なくとも片側に離型層を設け、その後当該離型層を有するフィルムの離型層に被離型層を設け、その後当該被離型層と離型層を有するフィルムから被離型層を離型し、その後被離型層を離型した離型層を有するフィルムから被離型層の残渣および離型層を除去したフィルムである請求項1または2に記載のフィルムの再利用方法。
  4. 前記被離型層の残渣および離型層の除去が、光、水、溶媒のいずれか1つ以上を用いて行われる請求項3に記載のフィルムの再利用方法。
  5. 前記使用済みフィルムの不純物量を測定するステップが、前記使用済みフィルムに有する前記被離型層の残渣および前記離型層の残渣を測定するステップを含む請求項3または4に記載のフィルムの再利用方法。
  6. 前記使用済みフィルムの不純物量を測定するステップの後、その不純物量によりマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルのいずれを行うか判断するステップを含む請求項1〜5のいずれかに記載のフィルムの再利用方法。
  7. 前記使用済みフィルムの不純物量が、前記使用済みフィルム全体の重量を100重量%とした際に0.001重量%以上0.2重量%以下であって、マテリアルリサイクルを行うステップを含む請求項1〜6のいずれかに記載のフィルムの再利用方法。
  8. 使用済みフィルムをマテリアルリサイクルした原料を用いて得られる再生フィルムであって、前記使用済みフィルムの不純物量が、使用済みフィルム全体の重量を100重量%とした際に0.001重量%以上0.2重量%以下である再生フィルム。
  9. 使用済みフィルムをマテリアルリサイクルした原料を用いて得られる再生フィルムであって、再生フィルム中に含まれるチタン酸バリウム量が再生フィルム全体の重量を100重量%とした際に0.001重量%以上0.2重量%以下である再生フィルム。
  10. 前記使用済みフィルムが離型用の基材フィルムとして使用されたフィルムである請求項8または9に記載の再生フィルム。
  11. 前記原料が、使用済みフィルムを25sec−1以上250sec−1以下のせん断速度にて溶融する工程を有するマテリアルリサイクルにより得られたものである請求項8〜10のいずれかに記載の再生フィルム。
  12. 離型用途に用いられる請求項8〜11のいずれかに記載の再生フィルム。
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