JP2023127054A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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【課題】低温低湿度、低温高湿度、高温低湿度、高温高湿度の全ての温湿度領域で優れた寸法安定性を有し、かつ優れた表面平滑性と支持体の薄膜化に対応できる巻き取り性を両立した二軸配向ポリエステルフィルムを安定に提供すること。【解決手段】二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも一方の最外層表面(B面)において、高さ30nm以上の突起個数が20万個/mm2を超え50万個/mm2以下、高さ100nm以上の突起個数が0.4万個以上、1.0万個/mm2以下であり、該層の表面平均粗さSaBがもう片方の最外層表面(A面)の表面平均粗さSaAよりも大きい、フィルム厚みが3.0~4.2μmの二軸配向ポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムに関するものであり、データストレージなどの塗布型磁気記録媒体のベースフィルムに好適に用いることができる二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。
二軸配向ポリエステルフィルムはその優れた熱特性、寸法安定性、機械特性および表面形態の制御のし易さから各種用途に使用されており、特に磁気記録媒体などの支持体としての有用性がよく知られている。次世代の磁気記録媒体には常に高密度記録化が要求される。
高密度記録を達成する方法としては、一般に、トラック数の増加、記録波長の短波長化、テープ長増大の3つの方法がある。
トラック数を多くすると1トラックの幅が狭くなるため、僅かな寸法変化がデータ欠落の原因となることがあり、テープ幅方向の寸法安定性の制御が重要となる。このような寸法変化は、熱収縮等の不可逆的変化と温度、湿度による膨張、収縮等の可逆的変化に分けられる。不可逆的変化はないことが好ましいが、加工工程でアニール等の処理により取り除くことができる。これに対して、可逆的変化は容易に取り除くことができないために、保存時に温度、湿度が変化するとフィルムの膨張や収縮が起こり、記録データが本来あるべき位置からずれることにより、読み取れなくなることがある。
また、記録波長を短波長化した上で、十分な電磁変換特性を実現するためには表面平滑性が求められ、さらに、磁性層の薄膜化や微粒子磁性体を使用し磁性層表面の平滑性をさらに向上させることが有効である。
磁気記録媒体の1巻当たりのテープ長を増大し、高密度記録化を図るには、磁性層や非磁性層、バックコート層、さらには支持体自体の薄膜化が必要となる。支持体を薄膜化するためには、平滑面のみならず走行面の粗面化が制約される。製造過程で磁気記録媒体としてロール状態で保存する場合、走行面に形成されている突起が磁性面に転写し、平滑な磁性層表面に窪みを形成させたり、支持体の薄膜化に伴い支持体に含有している大きな粒子が平滑面に突き上げられたりして磁性層表面になだらかな凸状のウネリを発生させ磁性層表面の平滑性が低下することによってエラー信号(ミッシングパルス)が発生するといった問題に加えて、次世代用データテープ(例えばLTO10)に用いる場合は、高平滑高容量化に対応したヘッドが採用され、ヘッドのトラック密度の狭小化により感度が向上するため、これまでは問題ではなかったレベルの突起がエラー欠点を引き起こすことが発覚した。これに伴い磁性層並びにバックコート層のさらなる平滑性への要求は厳しさを増しており、依然としてエラー欠点の低減に至っていない。また、支持体の薄膜化に伴って、フィルムの腰が低下することから、巻き取りが悪化することが指摘されており、表面の平滑化と巻き取り性を両立する支持体への要求が高まっているのが実情である。
上記課題を解決するために、巻き取り性や寸法安定性さらにはエラー欠点の優れたポリエステルフィルム(例えば特許文献1)が検討されている。また、微細な粒子を含有させて、フィルム表面の粗さや突起高さと個数を制御し磁性層表面への転写を抑制したポリエステルフィルム(例えば特許文献2)も検討されている。
特開2020-163844号公報 特開2013-200927号公報
しかしながら、磁性層薄膜化や強磁性六方晶フェライト、イプシロン酸化鉄粉末などの微粒子磁性体を使用し、次世代データテープ(例えばLTO10)として有用な磁性層表面の平滑性を担保できるための支持体の表面を得られておらず、支持体の薄膜化に対応できる巻き取り性においても不十分である。さらに、温度膨張については全く考慮されておらず、常温常湿度、低温低湿度、低温高湿度、高温低湿度、高温高湿度などの全ての温湿度領域で優れた寸法変化を有するフィルムには至っていない。
本発明の目的は、低温低湿度、低温高湿度、高温低湿度、高温高湿度の全ての温湿度領域で優れた寸法安定性を有し、かつ優れた表面平滑性と支持体の薄膜化に対応できる巻き取り性を両立した二軸配向ポリエステルフィルムを安定に提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、次の各構成を特徴とするものである。
(1) 二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも一方の最外層表面(B面)において、高さ30nm以上の突起個数が20万個/mmを超え、50万個/mm以下、高さ100nm以上の突起個数が0.4万個以上、1.0万個/mm以下であり、該層の表面平均粗さSaBがもう片方の最外層表面(A面)の表面平均粗さSaAよりも大きい、フィルム厚みが3.0μm以上、4.2μm以下の二軸配向ポリエステルフィルム。
(2) (1)に記載の特徴を有する最外層表面(B面)において、高さ50nm以上の突起個数が3.0万個/mm以上、6.0万個/mm以下である、(1)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(3) (1)に記載の特徴を有する最外層表面(B面)において、高さ60nm以上の突起個数が0.2万個/mm以上、3.0万個/mm以下である、(1)および(2)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(4) A面とB面を重ね合わせたときの静摩擦係数μsが0.2以上、1.5以下である、(1)~(3)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(5) 最外層(B層)に、数平均粒子径0.03μm以上、0.1μm未満の粒子Sと数平均粒子径0.1μm以上、0.3μm未満の粒子Lを配合比(L/S)=0.01~0.35の割合で含有する、(1)~(4)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(6) 積層厚みが0.5μm未満である、(1)~(5)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(7) 幅方向の湿度膨張係数が4.5~6.5ppm/%RHである、(1)~(6)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(8) 幅方向の温度膨張係数が-3.0~4.0ppm/℃である、(1)~(7)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(9) 塗布型デジタル記録方式の磁気記録媒体用ベースフィルムに用いられる、(1)~(8)のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、低温低湿度、低温高湿度、高温低湿度、高温高湿度の全ての温湿度領域での寸法安定性、かつ優れた表面平滑性とフィルム厚みの薄膜化に対応できる巻き取り性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムであって、磁気記録媒体、特に非磁性層の薄膜化に対応した次世代データテープ(例えばLTO10以降のテープ)とした際に平滑な磁性表面を有すると共に温度や湿度の環境変化や保存による寸法変化が小さく、ミッシングパルスなどのエラー欠点の発生が抑制された高密度磁気記録媒体となる二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。
フィルム寸法測定装置の概略図である
本発明において用いるポリエステルとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分やジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーで構成されたものを用いることができる。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’-ビス(4’-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を好ましく用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4-ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外に、p-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息香酸、2,6-ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp-アミノフェノール、p-アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
ポリマーの共重合割合はNMR法(核磁気共鳴法)や顕微FT-IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)を用いて調べることができる。
ポリエステルは、二軸延伸を施せること、および、寸法安定性などの本発明の効果を発現するために、ガラス転移温度が150℃未満のものを好適に使用できる。本発明において用いるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(ポリエチレン-2,6-ナフタレート)が好ましく、また、これらの共重合体や変性体でもよく、他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイでもよい。ここでいうポリマーアロイとは高分子多成分系のことであり、共重合によるブロックコポリマーであってもよいし、混合などによるポリマーブレンドでもよい。本発明で用いるポリエステルとしては特に、結晶子サイズや結晶配向度を高めるプロセスが適用しやすいことから主成分がポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。ここで、主成分とはフィルム組成中80質量%以上であることをいう。
本発明で用いるポリエチレンテレフタレートをポリマーアロイとする場合、他の熱可塑性樹脂は、ポリエステルと相溶するポリマーが好ましく、ポリエーテルイミド樹脂などがより好ましい。ポリエーテルイミド樹脂としては、例えば以下で示すものを用いることができる。
Figure 2023127054000001
(ただし、上記式中Rは、6~30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族残基、Rは6~30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2~20個の炭素原子を有するアルキレン基、2~20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、および2~8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。)
上記R、Rとしては、例えば、下記式群に示される芳香族残基を挙げることができる。
Figure 2023127054000002
(nは2以上の整数、好ましくは20~50の整数である。)
本発明では、ポリエステルとの親和性、コスト、溶融成形性等の観点から、2,2-ビス[4-(2,3-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm-フェニレンジアミン、またはp-フェニレンジアミンとの縮合物である、下記式で示される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
Figure 2023127054000003
または
Figure 2023127054000004
このポリエーテルイミドは、“ウルテム”の商品名で、SABICイノベーティブプラスチック社より入手可能であり、「Ultem(登録商標)1000」、「Ultem(登録商標)1010」、「Ultem(登録商標)1040」、「Ultem(登録商標)5000」、「Ultem(登録商標)6000」および「Ultem(登録商標)XH6050」シリーズや「Extem(登録商標) XH」および「Extem(登録商標) UH」の登録商標名等で知られているものである。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも一方の最外層表面(以降、かかる表面をB面、かかるB面を有する層をB層という場合がある)において、高さ30nm以上の突起個数が20万個/mmを超え50万個/mm以下、好ましくは25万個~45万個/mmである。高さ30nm以上の突起個数が50万個/mmを超えると磁気記録媒体としたときにエラー欠点となる場合がある。高さ30nm以上の突起個数が、下限値の20万個/mm以下では、フィルムの薄膜化に対応できる静摩擦係数μsや巻き取り性が得られない場合がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも一方の最外層表面(B面)において、高さ100nm以上の突起個数は0.4万個/mm以上、1.0万個/mm以下であり、好ましくは0.4万個/mm以上、0.8万個/mm以下である。高さ100nm以上の突起個数が1.0万個/mmを超えるとLTO10以降の次世代データテープとして巻き取った際にバックコート層表面の凹凸が磁性層表面へ転写するため転写痕を発生させ、ミッシングパルスやエラー欠点が低下する場合がある。
なお、上記した本発明の高さ30nm以上の突起個数、あるいは100nm以上の突起個数は、後述する測定方法において原子間力顕微鏡測定により求められる基準面からの高さ閾値50nm、あるいは100nmにおける突起個数である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも一方の最外層表面(B面)において、高さ50nm以上の突起個数は3.0万個/mm以上、6.0万個/mm以下であることが好ましく、より好ましくは3.0万個/mm以上、5.5万個/mm以下、さらに好ましくは3.3万個/mm以上、5.0万個/mm以下である。高さ50nm以上の突起個数が6万個/mmを超えるとLTO10以降の次世代データテープとした場合にエラー欠点が増加する場合がある。また、下限値以下であるとフィルムの薄膜化に対応した巻き取り性が不十分となる場合がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも一方の最外層表面(B面)において、高さ60nm以上の突起個数は0.2万個/mm以上、3.0万個/mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5万個/mm以上、2.5万個/mm以下、さらに好ましくは0.8万個/mm以上、2.0万個/mm以下である。高さ60nm以上の突起個数が3万個/mmを超えるとLTO10以降の次世代データテープとした場合にエラー欠点が低下する場合がある。また、下限値未満であるとフィルムの薄膜化に対応した巻き取り性が不十分となる場合がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも一方の最外層表面(B面)の表面粗さはもう片方の最外層表面(以降、かかる表面をA面、かかるA面を有する層をA層という場合がある)の表面粗さよりも大きく、最外層表面(B面)の表面粗さ(SRaB)は2.0~8.0nmであることが好ましく、2.5~7.0nmであることがより好ましい。表面粗さが下限値未満であると巻き取り性が悪化する場合がある。また、上限値を超えると本発明の高さ50nm以上や100nm以上の突起個数を本発明の範囲内に制御できない場合がある。
また、上述した最外層表面(A面)の表面粗さ(SaRA)は、0.5~3.0nmであることが好ましく、より好ましくは0.5~2.5nmである。最外層表面(A面)は、平滑性を担う表面として機能し、磁気記録媒体とする際は、該A面側に磁性層を設けることが本発明の課題を解消するためには好ましい。最外層表面(A面)の表面粗さが上記の範囲外であると非磁性層の薄膜化に対応した磁気記録媒体とした際にミッシングパルスやエラー欠点を満足することが困難となることがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも一方の最外層表面(B面)と再外層表面(A面)を重ね合わせたときの静摩擦係数μsは0.2~1.5であることが好ましく、より好ましくは0.2~1.2以下である。静摩擦係数μsがこの範囲内であるとフィルムの薄膜化に対応した巻き取り性が安定するため好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの幅方向の湿度膨張係数は4.5~6.5ppm/%RHであることが好ましく、より好ましくは5.0~6.3ppm/%RHである。湿度膨張係数が6.5ppm/%RHより大きいと磁気データを記録・再生する環境において、湿度変化に対してフィルムが幅方向に膨張するため再生不良を起こしやすくなる場合がある。また、湿度膨張係数が4.5ppm/%RHより小さい場合は、フィルムの温度膨張係数を本発明の範囲内に制御することが困難となることがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの幅方向の温度膨張係数は-3.0~4.0ppm/℃であることが好ましく、より好ましくは-1.0~3.0ppm/℃である。温度膨張係数が-3.0ppm/℃を下回ると磁気データを記録・再生する環境の温度変化に対してフィルムの幅方向への収縮が大きくなる。一方、磁気ヘッドは温度変化に対して膨張(通常7.0ppm/℃)するため、相互の寸法変化が大きくなりすぎる再生不良を起こしやすくなる。温度膨張係数が4.0ppm/℃を超えると、湿度膨張係数を本発明の範囲内に制御できなくなり、磁気データを記録・再生する環境の温湿度変化に対してフィルムが幅方向に膨張するため再生不良を起こしやすくなる場合がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの幅方向の熱収縮率(100℃ 30分)は1.0%以下であることが好ましい。幅方向の熱収縮率が1.0%を超えると、磁気記録媒体の加工工程においてフィルムが幅方向に収縮し、磁気記録媒体表面にシワが発生したり、磁性層表面の平滑性が低下することがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、幅方向のヤング率が7.0~12.0GPaであることが好ましく、7.0~11.0GPaであることが幅方向の湿度膨張係数の制御の観点からより好ましい。幅方向のヤング率が上記範囲内であると、磁気記録媒体用に用いた場合に磁気記録媒体の記録再生時の環境変化による寸法安定性が良好となる傾向にある。幅方向のヤング率は後述するTD延伸1、2の温度や倍率によって制御することができる。特にトータルのTD倍率が影響し、トータルのTD倍率が高いほどTDヤング率が高くなる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、長手方向のヤング率が3.5~8.0GPaであることが好ましい。長手方向のヤング率が上記範囲内であると、磁気記録媒体用に用いた場合に磁気記録媒体の保管時の張力による保存安定性がより良好となる。長手方向のヤング率のさらに好ましい範囲は3.8~7.0GPa、さらにより好ましい範囲は4.0~6.0GPaである。長手方向のヤング率はMD延伸倍率で制御することができる。MD倍率が高いほどMDヤング率が高くなる。
本発明のB面の高さ30nm以上の各種高さの突起個数の制御方法としては、B層における含有粒子の平均粒子径、添加量、幅方向の延伸条件、熱固定温度さらにB層の積層厚みで制御が可能である。特にB層に含有する粒子の数平均粒子径は0.1μm以上、0.3μm未満、好ましくは0.1μm以上、0.2μm未満の粒子Lを0.01~0.15重量%で添加することが好ましい。さらに、数平均粒子径が0.03~0.1μm未満の粒子Sを0.4~1重量%添加することが好ましい。粒径の異なる2種類の粒子L,Sを併用することが特に好ましい。このとき、粒径比(粒子L/粒子S)を2~6、好ましくは2.3~5に範囲となるように粒子Lと粒子Sの組み合わせることがエラー欠点抑制とフィルム薄膜時に対応した巻取り性確保の両立のために特に好ましい。さらに、粒子の配合比(粒子L/粒子S)は0.01~0.35となるように調節することがフィルムの薄膜化に対応した表面性と巻き取り性を両立する本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得るうえで特に好ましい。粒子Lの平均粒子径や添加量が上限値を超えると高さ100nm以上の突起個数が増加し磁気記録媒体としたときにエラー欠点が悪化する場合がある。粒子Bの添加量が下限値を下回ると高さ30nm以上の突起個数が本願の範囲内に制御できない場合があり、フィルムの薄膜化に対応した巻き取りが安定にできない場合がある。B層の積層厚みは、0.5μm未満、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.20~0.28μmである。上限を超えると高さ100nm以上の突起個数を本発明の範囲内に制御できない場合がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの厚みは3.0μm以上、4.2μm以下の範囲である。厚みの好ましい範囲は3.0~4.0μmである。厚みが3.0μmより小さくなると、剛性や寸法安定性が悪化しテープの腰が不十分となり磁気記録媒体としたときに電磁変換特性が悪化する傾向がある。また、B層内の含有粒子による平滑面(A面)側への突き上げを抑制しにくくなる。また、4.2μmより大きいと、テープ1巻あたりのテープ長さが短くなるため、LTO10以降の磁気テープの小型化と高容量化に対応し難い。厚みの調整方法としては、二軸配向ポリエステルフィルムの製膜の際のポリマーの溶融押出時におけるスクリューの吐出量を調整し、口金から未延伸フィルムの厚みを制御することによって二軸延伸後のフィルム厚みを調節することが可能となる。
幅方向の延伸条件は、幅方向の再延伸時の延伸温度を2段階以上に分けて高温延伸することが高さ30nm以上の各種高さの突起個数を本発明の範囲内に制御するためには有効である。さらに、熱固定温度を190~235℃の範囲内で2段階以上に分けて段階高温熱固定を実施することも重要である。突起高さや表面粗さは、熱固定温度が高温になるほど高く大きくなる傾向があるが、段階高温熱固定を採用することによって、高温熱固定による突起高さと表面粗さの増加を抑制することが可能となる。さらに、熱固定温度を高く設定すると、配向緩和を起こしやすくなるため、本発明の幅方向の湿度膨張係数を制御できなくなる場合があるが、段階高温熱固定を採用することによって、特に幅方向の配向緩和が緩やかとなり本発明の温湿度膨張係数を好ましい範囲内に制御することが可能となる。フィルムの厚みが薄いために高温熱固定において破れが発生する場合があるため、破れ抑止の観点で再延伸完了後、1段目の熱固定時に0.1~0.3%の範囲で幅方向に弛緩処理(リラックス)を実施する事が好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを磁気記録媒体用ベースフィルムとして用いる場合は、上記した最外層表面(B面)側にバックコート層(以下BC層という)を設けることが高密度磁気記録媒体を得る上で好ましい。磁性層に高密度記録のための微細化された磁性粒子である強磁性六方晶フェライト粉末やイプシロン酸化鉄を用いてなる磁気記録媒体はベースフィルムのみならず磁性層および非磁性下層やBC層自体の厚みも薄膜化の傾向にある。特に、BC層や非磁性下層の厚みが0.5μm以下に薄膜化するとBC層表面が支持体に起因する突起の影響を受け易くなり、BC層表面の平滑性が低下しやすくなり、さらに、磁気記録媒体として巻取りをした場合にクッション層の役割である非磁性下層の機能も発現しにくくなることがある。B層表面の特定の高さの突起個数を本発明の範囲に規定することによって、より薄膜化したBC層や非磁性下層であってもその表面の平滑性を損なうことなくミッシングパルスをはじめとする微小なエラー欠点の発生頻度の少ない優れた電磁変換特性を発揮できる。
上記したような本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、たとえば次のように製造されるが、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、かかる記載方法により得られるフィルムに限定されるものではない。
まず、ポリエステルのペレットを、押出機を用いて溶融し、口金から吐出した後、冷却固化してシート状に成形する。このとき、繊維焼結ステンレス金属フィルターによりポリマーを濾過することが、ポリマー中の未溶融物を除去するために好ましい。
本発明の特徴を阻害しない範囲内であれば、各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、などが添加されてもよい。
続いて、上記シートを長手方向と幅方向に二軸延伸した後、再度幅方向に延伸し熱処理する。表面の突起個数を本発明の好ましい範囲に制御したり、また、幅方向の寸法安定性を本発明の好ましい範囲に制御したりするために、延伸工程は縦横方向の多段延伸および幅方向に再延伸すること、さらに多段階の熱固定処理を施すことが好ましい。幅方向の再延伸により高寸法安定性の磁気テープとして最適な高強度のフィルムが得られ易いために好ましい。しかしながら、幅方向に再延伸すると、粒子周りのボイドが大きくなったり、突起高さが高くなったりする傾向にあるため本発明の高さ30nm以上の各種高さの突起個数が制御され難くなる場合がある。本発明の好ましい表面特性を得るためには、後述する幅方向の延伸温度と延伸倍率、さらに多段階の熱固定温度を採用すると本発明の特徴面のみならず寸法安定性も向上も図れるため好ましい。
延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に2段階で延伸を行うなどの逐次二軸延伸法や同時二軸延伸した後にさらに幅方向に延伸する延伸方法が好ましい。
以下、本発明のフィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(PET)をポリエステルとして用いた例を代表例として説明する。なお本発明はPETフィルムに限定されるものではなく、他のポリマーを用いたものものでもよい。例えば、ガラス転移温度や融点の高いポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレートなどを用いてポリエステルフィルムを構成する場合は、以下に示す温度よりも高温で押出や延伸を行えばよい。
まず、PETのペレットを製造する。PETは、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のPETまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセスである。
フィルムを構成するPETに粒子を含有させるには、エチレングリコールに粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールを重合時に添加する方法が好ましい。粒子を添加する際には、例えば、粒子の合成時に得られる水スラリーやアルコールスラリーの粒子を一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。ここで高さ100nm以上の突起個数を本発明の範囲内に制御するためには、粒子のスラリー濃度を20質量%以下にすることが重要である。添加する粒子が無機粒子の場合は、特定濃度に調整した粒子含有スラリーに平均粒径0.5~0.05mmのガラスビーズを加え1,000~5,000rpmで1~5時間攪拌することも非常に効果的である。
次に、粒子の水スラリーを直接PETペレットと混合し、ベント式二軸混練押出機を用いて、粒子含有量が0.3~1.0質量%となるようにPETに練り込み粒子マスターペレットを作成することが特に重要である。粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で作成した特定濃度の粒子マスターペレットを製膜時に粒子を実質的に含有しないPETで希釈して粒子の含有量を調節する方法が好ましい。また、高温熱固定によるフィルム破れの低減にも繋がるため特に重要である。さらに、2種類以上の粒子マスターペレットを用いる場合に、予め所定の所望の含有量になるように配合した後、再度、溶融混練した2段混練粒子マスターを用いて粒子の分散性を向上させると段階高温延伸を行う際のフィルム破れが低減するため好ましく例示される。
次に、得られたPETのペレットを、180℃で3時間以上減圧乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、270~320℃に加熱された押出機に供給し、スリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを得る。この際、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなる高精度フィルターを用いることが好ましい。また、定量供給性を向上させ、所望の積層厚みを得るためにギアポンプを設けることは上記した特徴面を形成する上で極めて好ましい。フィルムを積層するには、2台以上の押出機およびマニホールドまたは合流ブロックを用いて、複数の異なるポリマーを溶融積層するとよい。
次に、このようにして得られた未延伸フィルムを、数本のロールを配置した縦延伸機を用いてロールの周速差を利用して縦方向に延伸し(MD延伸)、続いてステンターにより横延伸を行い(TD延伸1)、再度幅方向に延伸(TD延伸2)する方法について説明する。
なお、本発明において、MDとは二軸配向ポリエステルフィルムの長手方向(縦方向)を示し、TDとは二軸配向ポリエステルフィルムの幅方向(横方向)を示す。
まず、未延伸フィルムをMD方向に延伸する。延伸温度は、用いるポリマーの種類によって異なるが、未延伸フィルムのガラス転移温度(Tg)を目安として決めることができる。Tg+3~Tg+30℃の範囲であることが好ましく、より好ましくはTg+5℃~Tg+20℃である。上記範囲より延伸温度が低い場合には、フィルム破れが多発して生産性が低下し、二軸延伸後に再度幅方向に延伸する際に安定して延伸することが困難となることがある。MD延伸倍率は合計の延伸倍率が3.1~6.0倍、好ましくは3.2~5.5倍の範囲内で2段階以上に分けて、好ましくは3段階に分けて多段延伸する。好ましく例示されるMD多段延伸としては、最初のMD延伸1を1.05~1.5倍、2段目のMD延伸2を1.3~2.5倍、3段目のMD延伸3を1.02~1.8倍の範囲内で行うことが幅方向に再延伸した際の突起高さの増加を抑制し易くなり好ましい。
次に、ステンターを用いて、TD延伸を行う。TD延伸1の延伸温度はTg+10~Tg+20℃、延伸倍率は3.1~6倍、好ましくは3.3~4.8倍である。
次に、再度TD方向に延伸(TD延伸2あるいはTD延伸3)を行う。TD延伸2の延伸温度は170~185℃、好ましくは175~180℃である。TD延伸2の延伸倍率は好ましくは1.05~1.2倍である。TD延伸3の延伸温度は185~200、好ましくは185~195℃である。延伸倍率は1.2~1.6倍、好ましくは1.3~1.5倍である。TD延伸2、3の延伸倍率や延伸温度が本発明の範囲外であると温湿度膨張係数を本発明の範囲内に制御できなくなる場合がある。面積倍率は12~30倍、好ましくは14~25倍である。面積倍率が本発明の範囲外であると温湿度膨張係数の両立が困難となる場合がある。面積倍率が30倍を超えると温湿度膨張係数を本発明の範囲内に制御できなくなる場合がある。TD延伸2を実施する際は、延伸温度を高温に変更しながら段階的に実施することで本発明の高さ30nm以上の各種高さの突起個数を特定の範囲内に制御するためには有効である。本願は温湿度膨張係数を特定の範囲内とするためにTD方向に再延伸を行うが、このTD延伸2,およびTD延伸3の再延伸によって表面突起の高さはさらに高くなり、特に粒子Lに起因する突起高さが高くなる傾向にあるため、TD延伸2、およびTD延伸3を実施する際は、延伸温度を高温に変更しながら段階的に実施することが高さ30nm以上の各種高さの突起個数を本発明の範囲内に制御する上でも重要である。
この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱固定処理する。熱固定処理条件として、熱固定温度は、190~235℃が好ましい。特に好ましくは200~230℃である。熱固定温度は2段階以上に分けて段階高温熱固定を施すことが本発明の温湿度膨張係数の両立と高さ30nm以上の各種高さの突起個数を本発明の範囲内に制御し易くなる他、表面粗さやフィルム破れの観点においても好ましい。段階高温熱固定の条件は、1段目熱固定温度(HS1)は(TD延伸2あるいは3の延伸温度+3℃)~(TD延伸2あるいは3の延伸温度+20℃)が好ましく例示される。2段目熱固定温度(HS2)は、(HS1+5℃)~(HS1+15℃)の範囲が好ましい。3段目熱固定温度(HS3)は、(HS2)~(HS2+10℃)の範囲が好ましく、さらに好ましくは、(HS2+2℃)~(HS2+10℃)である。処理時間は0.5~10秒の範囲、弛緩率は0.8~2.0%で行うのが好ましい。次に130~150℃に調整された冷却ゾーンに導き徐冷した後、フィルムエッジ部を裁断してロールに巻き取り、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。また、TD延伸2の延伸温度と1段目熱固定温度に差があり、熱固定温度が上述の範囲よりも高いとフィルムが緩和しやすく上記した湿度膨張係数を得ることが困難となり寸法安定性が低下しやすい。熱固定温度が低すぎると結晶性が低くなりやすく、磁気記録媒体の製造工程においてベースフィルムのへ平面性が低下し電磁変換特性が悪化する傾向がある。さらに、熱固定処理後に特定の温度領域で徐冷せず、室温まで急冷すると本発明の特徴面を得られなくなる場合がある。
熱固定温度が上述の範囲よりも高いとフィルムが緩和しやすくなり、本発明の湿度膨張係数を得ることが困難となり寸法安定性が低下しやすい。さらに、表面平滑性が低下し本発明の表面粗さを得ることが困難となる場合がある。一方で熱固定温度が低すぎると幅方向の寸法安定性を本発明の範囲内に制御できない場合や結晶性が低くなりやすく、磁気記録媒体の製造工程においてベースフィルムの平面性が低下しミッシングパルスやエラー欠点の発生頻度が増加する傾向がある。
次に、磁気記録媒体は例えば次のように製造される。
上記のようにして得られた磁気記録媒体用支持体(二軸配向ポリエステルフィルム)を、たとえば0.1~3m幅にスリットし、速度20~300m/min、張力50~300N/mで搬送しながら、一方の面に非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより厚み0.3~0.5μm未満にて塗布し乾燥後、さらに磁性塗料を厚み0.1~0.3μmで塗布する。その後、磁性塗料および非磁性塗料が塗布された支持体を磁気配向させ、温度80~130℃で乾燥させる。次いで、反対側の面にバックコートを厚み0.3~0.8μmで塗布し、カレンダー処理した後、巻き取る。なお、カレンダー処理は、小型テストカレンダー装置(金属ロール、7段)を用い、温度70~120℃、線圧0.5~5kN/cmで行う。その後、60~80℃にて24~72時間エージング処理し、12.65mm幅にスリットし、パンケーキを作製する。次いで、このパンケーキから特定の長さ分をカセットに組み込んで、カセットテープ型磁気記録媒体とする。
ここで、磁性塗料などの組成は例えば以下のような組成が挙げられる。
以下、単に「部」と記載されている場合は、「質量部」を意味する。
[磁性層形成塗液]
バリウムフェライト磁性粉末 100部
〔板径:20.5nm、板厚:7.6nm、板状比:2.7、Hc:191kA/m(≒2400Oe)飽和磁化:44Am/kg、BET比表面積:60m/g〕
ポリウレタン樹脂 12部
質量平均分子量 10,000
スルホン酸官能基 0.5meq/g
α-アルミナ HIT60(住友化学社製) 8部
カーボンブラック #55(旭カーボン社製)粒子サイズ0.015μm 0.5部
ステアリン酸 0.5部
ブチルステアレート 2部
メチルエチルケトン 180部
シクロヘキサノン 100部
[非磁性層形成用塗布液]
非磁性粉体 α酸化鉄 100部
平均長軸長 0.09μm、BET法による比表面積 42m/g
平均針状比 7
DBP吸油量 27~38ml/100g
表面処理層 Al 8質量%
カーボンブラック 25部
コンダクテックスSC-U(コロンビアンカーボン社製)
塩化ビニル共重合体 MR104(日本ゼオン社製) 13部
ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 5部
フェニルホスホン酸 3.5部
ブチルステアレート 1.0部
磁気記録媒体は、例えば、データ記録用途、具体的にはコンピュータデータのバックアップ用途(例えばリニアテープ式の記録媒体(LTOテープ(LTO10以降の記録容量20テラバイト以上))や映像などのデジタル画像の記録用途などに好適に用いることができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムが好適に用いられる塗布型デジタル記録方式の磁気記録媒体としては、例えば、磁性層がバリウムフェライト等の強磁性粉末をポリウレタン樹脂等のバインダーに均一に分散させて磁性塗液を作成し、その塗液を塗布して磁性層が形成された塗布型磁気記録媒体を例示することができる。
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
(1)高さ30nm以上および高さ50nm以上、高さ60nm以上、高さ100nm以上の突起個数(個/mm
原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、場所を変えて20視野測定を行った。サンプルセットは、カンチレバーの走査方向に対して垂直方向(Y軸方向)がサンプルフィルムの長手方向(長手方向とは、フィルムの製造工程においてフィルムが走行する方向)となるようにサンプルをセットして、以下のAFM測定条件にて測定する。得られた画像について、付属の解析ソフト(NanoScope Analysis Version 1.40)を用い解析する。得られるフィルム表面のHeight Sensor画像を下記するFlatten処理のみを施した後、Particle Analysis解析モードを下記の通り設定する。各測定視野における基準面とは下記のFlatten処理条件において決定される高さが0nmの面である。該基準面から、突起高さの閾値(Threshold Height)を30nmに定めて得られる突起個数(Mean列-Total Count行の値)求める。20視野の夫々の突起個数を合算し、20視野の総面積における総突起個数を求める。この総突起個数を1mm当たりに換算した数値を、高さ30nm以上の突起個数とする。引き続き、突起高さの閾値を目的の高さ(50nm、60nm、100nm)に設定し同様に、各種高さ以上の突起個数を求める。
[AFM測定条件]
・装置:Bruker社製 原子間力顕微鏡(AFM)
Dimention Icon with ScanAsyst
・カンチレバー :窒化ケイ素製プローブ ScanAsyst Air
・走査モード :ScanAsyst
・走査速度 :0.8Hz
・走査方向 :後述する方法にて作製した測定サンプルの幅方向に走査を行う
・測定視野 :50μm四方
・サンプルライン :512
・LP Deflection BW :40 kHz
・サンプル調整 :23℃、65%RH、24時間静置
・AFM測定環境 :23℃、65%RH
・サンプル測定回数 :各サンプル同士が少なくとも50μm以上離れるように場所を変え、20回測定を行う。
[Flatten処理条件]
・Flatten Order :3rd
・Flatten Z Threshholding Direction
:No theresholding
・Find Threshold for :the whole image
・Flatten Z Threshold % :0.00 %
・Mark Excluded Data :Yes
[Particle Analysisモード設定条件]
(Detectタブ)
・Threshold Height :30nm
・Feature Direction :Above
・X Axis :Absolute
・Number Histogram Bins :512
・Histogram Filter Cutoff :0.00 nm
・Min Peak to Peak :1.00 nm
・Left Peak Cutoff :0.00000%
・Right Peak Cutoff :0.00000%
(Modifyタブ)
・Beughbirhood Size :3
・Number Pixels Off :1
・一切のDilate/Erode操作を行わない。
(Selectタブ)
・Image Cursor Mode:Particle Select
・Bound Particles :Yes
・Non-Representative Particles :Yes
・Height Reference :Relative To Threshold
・Number Histogram Bins :50
・前記数値を求めるに際し、解析画像中の特定のピーク、エリアを選択しない。
・Diameter、Height、Area全てのヒストグラムで特定の場所を選択しない。
(2)表面粗さ(SRaA,SRaB)
前記(1)の測定においてFlatten処理のみを施した後、Roughness Analysis解析モードを選択し、以下の設定条件にてRaを求めた。A面、およびB面それぞれ20視野測定し、その平均値をA面の表面粗さSRaA,B面の表面粗さSRaBとした
[Roughness Analysisモード設定条件]
(Stop Band Inputs)
・Use Threshold : OFF
・Feature Direction :Above
・Number Histogram Bins :512
・X Axis :Absolute
・Boundary Particles :Yes
・Non-Representative Particles :No
・Particles Filter Sigma :1.00
(Peak Inputs)
・Peak :On
・Perk threshold reference :Zero
・Perk threshold value type :Rms
・Perk threshold value :100%
・Zero Crossing :Off
(3)A面とB面を重ね合わせたときの静摩擦係数(μs)
23℃65%RH環境下で24時間以上調湿したフィルムをA面側が下側となるように置き、フィルムの一端(検出器と反対方向側)と基板を固定する。その上にA面側が下になるよう別のフィルムを重ね合わせて置き上側のフィルムの一端を検出器のUゲージに固定する。次に、重ね合わせたフィルム上に200gの重り(接触面積6.5×6.5cm)を置き、5秒後に基板を速度2mm/secで10mm移動したときの静摩擦係数(μs)を以下の式より求めた。なお、測定は23℃65%RH環境下でフィルムを変えて10回測定しその平均値をA面とB面を重ね合わせたときの静摩擦係数μsとした。
・ サンプルサイズ:MD:100cm TD:7.5cm
・ 移動方向 :MD方向
・ μs=(スタート時の張力)/(荷重100g)。
(4)幅方向の湿度膨張係数(ppm/%RH)
フィルムの幅方向に対して、下記条件にて測定を行い、3回の測定結果の平均値を本発明における湿度膨張係数とした。
測定装置 :大倉インダストリ(株)製 テープ伸び量試験機 1TTM1
恒温恒湿槽 :(株)カトー製 TP計装 Version 1.04
試料サイズ :幅 10mm × 長さ 200mm(サンプル長)
荷重 :10g
測定回数 :3回
温度 :30℃
湿度条件 :<1> 40%RHで6時間保持
<2> 80%RHで6時間保持(昇湿レート:0.7%RH/min)
<3> 40%RHに降湿(降湿レート:1.4%RH/min)後、6時間保持
<4> 80%RHに昇湿(昇湿レート:0.7%RH/min)
測定(L40):湿度条件<3>の湿度40%RH 6時間保持後のサンプル長を計測(L40
測定(L80):湿度条件<4>の湿度40%RHから80%RHまで昇湿(昇湿レート:0.7%RH/min)させた時のサンプル長を計測(L80)。
ΔL(mm):寸法変化量ΔL(L80-L40
次式から湿度膨張係数(ppm/%RH)を算出した。
湿度膨張係数(ppm/%RH)=10×{(ΔL/(測定前のサンプル長×湿度差)}
測定前のサンプル長=200(mm)
湿度差=40(%)(40から80%RH)
湿度条件:20%RH下で1時間保持から80%RHで1時間保持したあと支持体幅方向の寸法変化量ΔL(mm)を測定する。次式から湿度膨張係数(ppm/%RH)を算出した。
湿度膨張係数(ppm/%RH)=10×{(ΔL/200)/(80-40)}。
(5)幅方向の温度膨張係数(ppm/℃)
試料サイズ :フィルム長手方向4mm×フィルム幅方向12.6mm
測定装置 :(株)リガク製 微小定荷重熱膨張計
測定モード :等速昇温測定
測定温度範囲:10℃~50℃
昇温速度 :2℃/分
測定雰囲気 :窒素中
Reference :石英ガラス
負荷荷重 :0.5g(圧縮荷重)
測定方向 :幅方向(TD)
計算式 :温度膨張係数={(ΔL/LT1-(ΔL/LT2}/ΔT(T1-T2)
*ΔLは膨張長さ、L0は初期試料長、ΔTは温度差。
(6)積層厚み(μm)
2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、B層側の表面から深さ5,000nmの範囲のフィルム中の粒子のうち最も高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元素の濃度比(M/C)を粒子濃度とし、表面から深さ5,000nmまで厚さ方向の分析を行う。表層では表面という界面のために粒子濃度は低く表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明のフィルムの場合は一旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。この濃度分布曲線をもとに表層粒子濃度が極大値の1/2となる深さ(この深さは極大値となる深さよりも深い)を求め、これをB層の積層厚みとした。条件は次の通りである。
(i) 測定装置
2次イオン質量分析装置(SIMS)
PHI社製 Model6300
(ii) 測定条件
1次イオン種 :Cs
1次イオンエネルギー:3keV
帯電補償 :E-GUN
二次イオン極性 :Positive
なお、表層から深さ5,000nmの範囲において粒子濃度の極大値が存在しない場合は、反対面のA層側表面から同様に測定し、A層の厚みを求めて、全厚みからB層厚みを引いた値をA層の厚みとする。さらにまた、表層から深さ5,000nmの範囲に最も多く含有する粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面からエッチングしながらXPS(X線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様のデプスプロファイルを測定し厚みを求めてもよいし、透過型電子顕微鏡(日立製H-600型)を用いて、加速電圧100kVで、フィルム断面を、超薄切片法(RuO染色)で観察し、その界面をとらえ、その厚さを求めることもできる(上記記載順の優先順位により測定を行い、最初に測定できた測定値を当該層の厚みとする)。倍率は、測定したい厚さのレンジによって選択すればよく、特に限定されないが、1万~10万倍が適当である。
(7)フィルム厚み(μm)
電子マイクロメーターにてランダムに15点測定し、その平均値をフィルム厚みとした。
測定装置:電子マイクロメーター K351C K-402B STAND アンリツ(株)製
(8)粒子の数平均粒子径および凝集粒子の平均1次粒子径
フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1万倍で観察する。このとき、写真上で1cm以下の粒子が確認できた場合はTEM観察倍率を5万倍に変えて観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて100視野測定し、写真に撮影された分散した粒子全てについて等価円相当径をもとめ、横軸に等価円相当径を、縦軸に粒子の個数として粒子の個数分布をプロットし、そのピーク値の等価円相当径を粒子の平均粒径とした。ここで、1万倍で観察した写真上に凝集粒子が確認できた場合は上記プロットに含めない。フィルム中に粒子径の異なる2種類以上の粒子が存在する場合、上記等価円相当径の個数分布は2個以上のピークを有する分布となる。この場合は、それぞれのピーク値をそれぞれの粒子の平均粒径とする。
凝集粒子の平均1次粒子径は、上記の装置を用いて20万倍で観察する。凝集粒子100個について、凝集粒子を構成する個々の1次粒子の等価円相当径をもとめ、上記と同様の方法でプロットし、ピーク値の等価円相当径を凝集粒子の平均1次粒子径とする。
測定装置:透過型電子顕微鏡(TEM) 日立製H-7100FA型
測定条件:加速電圧 100kV
測定倍率:1万倍、5万倍
試料調整:超薄膜切片法
観察面 :TD-ZD断面(TD:幅方向、ZD:厚み方向) (9)粒子の含有量
フィルム原料であるポリエステルへの粒子配合量から計算し、表に記載した。
なお、以下の手法に従いフィルムを分析することにより算出することもできる。
(9)-1 粒子の元素分析
フィルムからポリエステルをプラズマ灰化処理法で除去し粒子を露出させる。処理条件はポリマは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像をイメージアナライザーで処理する。上記(8)で求めた粒度分布に従い、SEMの倍率を30,000倍にして、観察箇所を変えて20視野観察し、観察した全粒子についてエネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いて元素分析を実施し、粒子と元素の関係を明確にする。
(9)-2 粒子の含有量
各積層部の表面を片刃で削り取り、削れ粉100gにo-クロロフェノールを加え、攪拌しながら100℃で1時間を要してポリマを溶解する。次いで日立製作所製分離用超遠心機40P型にローターRP30を装備し、セル1個当りに上記溶解液30ccを注入した後徐々に30,000rpmにする。30,000rpm到達60分後に粒子の分離を終了する。次いで上澄液を除去し分離粒子を採取する。採取した該粒子に常温のo-クロロフェノールを加え、均一けん濁した後、超遠心分離操作を行う。分離粒子を示差走査熱量測定装置(DSC)を用いてポリマに相当する融解ピークが検出されなくなるまでくり返す。このようにして得た分離粒子を120℃で16時間真空乾燥した後、質量を測定した値を粒子の総含有量とし、これに対する比率(質量%)をもって粒子の含有量とする。
(10)ミッシングパルス発生頻度
1m幅にスリットしたフィルムを、張力200Nで搬送させ、支持体の一方の表面に下記に従って磁性塗料および非磁性塗料を塗布し12.65mm幅にスリットし、パンケーキを作成する。次いで、このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込んで、磁気テープとした。
(以下、「部」とあるのは「質量部」を意味する。)
磁性層形成用塗布液
バリウムフェライト磁性粉末 100部
(板径:20.5nm、板厚:7.6nm、
板状比:2.7、Hc:191kA/m(≒2400Oe)
飽和磁化:44Am/kg、BET比表面積:60m/g)
ポリウレタン樹脂 12部
質量平均分子量 10,000
スルホン酸官能基 0.5meq/g
α-アルミナ HIT60(住友化学社製) 8部
カーボンブラック #55(旭カーボン社製)
粒子サイズ0.015μm 0.5部
ステアリン酸 0.5部
ブチルステアレート 2部
メチルエチルケトン 180部
シクロヘキサノン 100部
非磁性層形成用塗布液
非磁性粉体 α酸化鉄 85部
平均長軸長 : 0.09μm、BET法による比表面積 50m/g
平均針状比 : 7
DBP吸油量: 27~38ml/100g
表面処理層 : Al 8質量%
カーボンブラック 15部
“コンダクテックス”(登録商標)SC-U(コロンビアンカーボン社製)
ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 22部
フェニルホスホン酸 3部
シクロヘキサノン 140部
メチルエチルケトン 170部
ブチルステアレート 1部
ステアリン酸 2部
上記の塗布液のそれぞれについて、各成分をニ-ダで混練した。0.5mmφのジルコニアビーズを分散部の容積に対し65%充填する量を入れた横型サンドミルに、塗布液をポンプで通液し、2,000rpmで120分間(実質的に分散部に滞留した時間)、分散させた。得られた分散液にポリイソシアネ-トを非磁性層の塗料には5.0部、磁性層の塗料には2.5部を加え、さらにメチルエチルケトン3部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用および磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
得られた非磁性層形成用塗布液を、PETフィルム上に乾燥後の厚さが0.4μmになるように塗布乾燥させた後、磁性層形成用塗布液を乾燥後の磁性層の厚さが0.07μmになるように塗布を行い、磁性層がまだ湿潤状態にあるうちに6,000G(600mT)の磁力を持つコバルト磁石と6,000G(600mT)の磁力を持つソレノイドにより配向させ乾燥させた。その後、カレンダ後の厚みが0.3μmとなるようにバックコート層(カーボンブラック 平均粒子サイズ:17nm 100部、炭酸カルシウム平均粒子サイズ:40nm 80部、αアルミナ 平均粒子サイズ:200nm 5部をポリウレタン樹脂、ポリイソシアネートに分散)を塗布した。次いでカレンダで温度90℃、線圧300kg/cm(294kN/m)にてカレンダ処理を行った後、65℃で、72時間キュアリングした。さらに、スリット品の送り出し、巻き取り装置を持った装置に不織布とカミソリブレードが磁性面に押し当たるように取り付け、テープクリーニング装置で磁性層の表面のクリーニングを行い、磁気テープを得た。
上記により得られた磁気テープカートリッジ(磁気テープ全長900m)をIBM社製LTO8ドライブにセットし、磁気テープを張力0.55N、走行速度8m/秒で1,500往復走行させた。
上記走行後の磁気テープカートリッジをリファレンスドライブ(IBM社製LTO8ドライブ)にセットし、磁気テープを走行させて記録再生を行った。走行中の再生信号を外部AD(Analog/Digital)変換装置に取り込み、再生信号振幅が平均(全トラックでの測定値の平均)に対して60%以上低下した信号をミッシングパルスとして、その発生頻度を磁気テープ全長で除して、磁気テープの単位長さ当たりのミッシングパルス発生頻度(単位:回/m)として求めた。ミッシングパルス発生頻度が5回/m以下のテープを信頼性の高い磁気テープとし、ミッシングパルス発生頻度が5回/mを超えて発生するテープを不良とし、以下の基準で判断した。
AA:ミッシングパルス発生頻度が2回/m以下
A:ミッシングパルス発生頻度が2回超え~3回/m以下
B:ミッシングパルス発生頻度が3回超え~5回/m以下
C:ミッシングパルス発生頻度が5回/m超え。
(11)エラー欠点
上記(10)に記載の評価方法において、再生信号振幅が平均(全トラックでの測定値の平均)に対して30%以上低下した信号をエラー欠点として、その発生頻度を磁気テープ全長で除して、磁気テープの単位長さ当たりのエラー欠点発生頻度(単位:回/m)として求め、以下の基準で判断した。
AA:エラー欠点発生頻度が4回/m以下
A:エラー欠点発生頻度が4回超え~6回/m以下
B:エラー欠点発生頻度が6回超え~10回/m以下
C:エラー欠点発生頻度が10回/m超え。
(12)磁気テープの環境変化安定性
上記(10)にて作成した磁気テープを恒温恒湿槽内に設置したフィルム寸法測定装置(図1)にセットし、荷重を50gとし、下記の温湿度条件でテープの幅を測定した。
・温湿度条件<1> : 10℃ 10%RH
<2> : 10℃ 80%RH
<3> : 29℃ 80%RH
<4> : 45℃ 24%RH
<5> : 45℃ 10%RH
寸法測定は、<1>、<2>、<3>、<4>、<5>の順に行い、それぞれの温湿度に達してから2時間放置した後にテープの幅を測定した(それぞれのテープ幅をL<1>、L<2>、L<3>、L<4>、L<5>とする)。
各条件間のテープ幅変化を求め、さらに磁気ヘッドの温度膨張(7ppm/℃)を考慮した補正(7ppm/℃×各条件間の温度差を差し引く)を行い、下記式の通り条件間のテープ幅変化を求めた。
変化量(1) ΔL<3>-L<1> = |L<3>-L<1>-(7×19)|
変化量(2) ΔL<5>-L<2> = |L<5>-L<2>-(7×35)|
上記、変化量(1)(2)のうち大きい変化量について、以下の基準で判断し、寸法変化量が450ppm以上のものを環境変化安定性が不良とした
A:350ppm未満
B:350ppm以上450ppm未満
C:450ppm以上。
(13)巻き取り性
幅1mにスリットされたフィルムを速度60m/分にて巻き取りのシャトルテストを10回実施し、シワや端部歪みの発生回数を以下に示す方法により評価した。なお、Cを巻き取り性不良と判断した。
AA:シワや端部が歪になる頻度が1/10回以下。
A:シワや端部が歪になる頻度が2/10回~3/10回以下。
B:シワや端部が歪になる頻度が4/10回~5/10回以下。
C:シワや端部が歪になる頻度が6/10回以上。
次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。なお、ここでポリエチレンテレフタレートをPET、ポリエーテルイミドをPEIと表記する。
(1)PETペレットの作製:テレフタル酸ジメチル194質量部とエチレングリコール124質量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム四水和物0.3質量部および三酸化アンチモン0.05質量部を加え、140~230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルの5質量%エチレングリコール溶液を0.5質量部(リン酸トリメチルとして0.025質量部)とリン酸二水素ナトリウム2水和物の5質量%エチレングリコール溶液を0.3質量部(リン酸二水素ナトリウム2水和物として0.015質量部)添加した。
トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下する。そこで余剰のエチレングリコールを留出させながら反応内容物の温度が230℃に復帰するまで撹拌を継続した。このようにしてエステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃に達した後、反応内容物を重合装置へ移行した。
移行後、反応系を230℃から275℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。最終温度、最終圧力に到達した後、2時間(重合を始めて3時間)反応させたところ、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートのPETペレットを得た(原料-1)。
(2-a、2-b)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述のPETペレット(原料-1)を90質量部と平均粒径0.30μmの架橋ポリスチレン粒子の5質量%水スラリーを10質量部(架橋ポリスチレン粒子として0.5質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、架橋ポリスチレン粒子を0.5質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料-2a)を得た。同様にして平均粒径0.13μmの架橋ポリスチレン粒子を0.5質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料-2b)を得た。
(2-c)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述のPETペレット(原料-1)を94質量部と平均粒径0.060μmのコロイダルシリカ粒子の20質量%水スラリーに平均粒径0.05mmのガラスビーズを加え1,000rpmで2時間攪拌した後ろ過しガラスビーズを除去した水スラリーを5質量部(コロイダルシリカ粒子として1.0質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、コロイダルシリカ粒子を1.0質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料-2c)を得た。
(2-d)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述のPETペレット(原料-1)を90質量部と平均粒径0.20μmのコロイダルシリカ粒子の5質量%水スラリーに平均粒径0.05mmのガラスビーズを加え3,000rpmで2時間攪拌した後ろ過しガラスビーズを除去した水スラリーを10質量部(コロイダルシリカ粒子として0.5質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、コロイダルシリカ粒子を0.5質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料-2d)を得た。
(2-e)粒子含有PETペレットの作製:280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述のPETペレット(原料-1)を90質量部と1次平均粒径0.02μmのアルミナ粒子の10質量%水スラリーに平均粒径0.5mmのジルコニアビーズを加え3,000rpmで2時間攪拌した後ろ過しジルコニアビーズを除去した水スラリーを10質量部(アルミナ粒子として1質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、アルミナ粒子を1質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料-2e)を得た。
(3)2成分組成物(PET/PEI)ペレットの作製:温度280℃に加熱されたニーディングパドル混練部を3箇所設けた同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に、上記方法で得られたPETペレット(原料-1)とSABICイノベーティブプラスチック社製のPEI“Ultem”(登録商標)1010のペレットを供給して、剪断速度100sec-1、滞留時間1分にて溶融押出し、PEIを50質量%含有した2成分組成物ペレットを得た。なお、作製した2成分組成物ペレットのガラス転移温度は150℃であった(原料-3)。
(実施例1)
押出機E1、E2の2台を用い、280℃に加熱された押出機E1には、A層原料として、PETペレット(原料-1)を79質量部、2成分組成物ペレット(原料-3)4質量部、平均粒径0.06μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料-2b)17質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。同じく280℃に加熱された押出機E2には、B層原料として、PETペレット(原料-1)30.3質量部、2成分組成物ペレット(原料-3)4質量部、平均粒径0.06μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料-2b) 41.7質量部平均粒径0.20μmのコロイダルシリカ粒子含有ペレット(原料-2c)24質量部を配合し、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で積層厚み比(A層|B層)=12|1とし、B層側がキャストドラム面側になるように合流させ、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムを表2に示す条件にてMD方向の延伸を温度90℃で3段階に分けて1段目倍率1.15倍、2段目倍率2.4倍、3段目倍率1.16倍として延伸し、続いてテンターに導きTD方向に3段階に分けて温度92℃で1段目倍率3.5倍にて延伸、次いで温度180℃で2段目倍率1.06倍にて延伸、さらに温度190℃で3段目倍率1.35倍にて延伸した。続いて、熱固定(HS1)205℃にて弛緩率0.2%で弛緩しながら3秒、さらに熱固定(HS2)を215℃にて3秒、熱固定(HS3)を220℃にて弛緩率1.2%で弛緩しながら3秒実施し、150℃にて徐冷を施した。その後、フィルムエッジを除去し、コア上に巻き取って厚さ4.0μm(A層厚み/B層厚み3.7/0.3μm)の二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの製膜安定性は良好であり、物性評価したところ、表4に示すように、磁気テープとして使用した際に優れた特性を有していた。
以下、表に各実施例、比較例の原料組成、製膜条件、二軸配向ポリエステルフィルムの物性、磁気テープの特性等を示す。
(実施例2~5、比較例1~4)
表1に示すB層積層厚みおよび粒子添加量となるように積層厚み比(A層|B層)やB層原料に用いる粒子含有ペレットの配合割合を変え表2に示す条件にて延伸、熱固定を実施した。
Figure 2023127054000005
Figure 2023127054000006
Figure 2023127054000007
Figure 2023127054000008
1:レーザー発信器
2:受光部
3:荷重検出器
4:荷重
5~8:フリーロール
9:磁気テープ
10:レーザー光


Claims (9)

  1. 二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも一方の最外層表面(B面)において、高さ30nm以上の突起個数が20万個/mmを超え、50万個/mm以下、高さ100nm以上の突起個数が0.4万個以上、1.0万個/mm以下であり、該層の表面平均粗さSaBがもう片方の最外層表面(A面)の表面平均粗さSaAよりも大きい、フィルム厚みが3.0μm以上、4.2μm以下の二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 請求項1に記載の特徴を有する最外層表面(B面)において、高さ50nm以上の突起個数が3.0万個/mm以上、6.0万個/mm以下である、請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 請求項1に記載の特徴を有する最外層表面(B面)において、高さ60nm以上の突起個数が0.2万個/mm以上、3.0万個/mm以下である、請求項1および2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. A面とB面を重ね合わせたときの静摩擦係数μsが0.2~1.5である、請求項1~3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 最外層(B層)に、数平均粒子径0.03μm以上、0.1μm未満の粒子Sと数平均粒子径0.1μm以上、0.3μm未満の粒子Lを配合比(L/S)=0.01~0.35以下の割合で含有する、請求項1~4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 最外層(B層)の積層厚みが0.5μm未満である、請求項1~5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  7. 幅方向の湿度膨張係数が4.5~6.5ppm/%RHである、請求項1~6のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  8. 幅方向の温度膨張係数が-3.0~4.0ppm/℃である、請求項1~7のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  9. 塗布型デジタル記録方式の磁気記録媒体用ベースフィルムに用いられる、請求項1~8のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
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