JP2023071608A - 磁気記録媒体用ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体用ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 Download PDF

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暉 北田
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Abstract

【課題】フィルム製膜時の破れや、電磁変換特性に優れ、エラーレートの抑制に優れた磁気記録媒体用ポリエステルフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体等を提供すること。【解決手段】少なくとも2層以上の層を有する、少なくとも一方の表面に磁性層を塗布する用途に用いられる積層ポリエステルフィルムであって、磁性層を塗布する側の最表層に位置する層をA層、他方の最表層に位置する層をB層としたとき、フィルムの幅方向のフィルム断面を観察したとき、B層100μm2あたりに含まれる一次平均粒子径600nm以上の粒子のうち、当該粒子の中心を通るフィルム長手方向の断面に対して片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合が1~50%、またはフィルムの長手方向のフィルム断面を観察したとき、B層100μm2あたりに含まれる一次平均粒子径600nm以上の粒子のうち、当該粒子の中心を通るフィルム幅方向の断面に対して片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合が1~50%である。【選択図】なし

Description

本発明は、塗布型磁気記録媒体用として好適に使用できる磁気記録媒体用ポリエステルフィルムに関する。
二軸配向ポリエステルフィルムはその優れた熱特性、寸法安定性、機械特性および表面形態の制御のし易さから各種用途に使用されており、特に磁気記録媒体などの支持体としての有用性がよく知られている。
特に、近年、強磁性六方晶フェライト粉末を用いてなる磁気記録媒体用支持体においては、高密度化や高容量化が進んでいる。例えば、LTO(Linear Tape Open)等のリニア記録方式の磁気記録媒体では、1巻で10TBを超える高容量を有するものが開発されており、磁性層を二軸配向ポリエステルフィルムに塗布をすることで製造される。
それら磁気記録媒体は、高容量化のために支持体の薄膜化や寸法安定性が求められ、磁気記録媒体の更なる高容量化を達成するために、支持体や磁性層の薄膜化や高密度記録化が要求されている。高密度記録化は、磁性層の薄膜化や高密度記録化と合わせて、記録媒体磁性面の欠陥を最小限に抑制することが不可欠とされている。記録媒体磁性面の欠陥は、支持体の構成が大きく影響を及ぼしている。
磁気記録媒体の構成としては、磁気記録媒体とした際に走行性を高めるべく、二軸配向ポリエステルフィルムの一方の面にバックコート層、そのバックコート層とは反対面に、支持体層の表面に下地層、その下地層の上に、磁性層を設ける構成が一般的である。磁性層面は、データの読み取りヘッドと相対する面であり、磁性層の面が凹凸形状のように粗れている場合、ヘッドと磁性層面にスペーシングロスが生じ電磁変換特性が低下する。また、バックコート層の面が凹凸形状のように粗いと、磁気記録媒体として巻き取った際に磁性層の表面にその形状が転写することにより磁性面に陥没が発生することによって、電磁変換特性が低下すると共にエラーレートが増加する。
そのため、ポリエステルフィルムには粗大な突起や欠点がない平坦な表面を有することが求められる。一方、磁性層をポリエステルフィルムに塗布して形成する塗布型磁気記録テープでは、ベースフィルムの巻取性や走行性という生産性が不安定であると、均一な磁性層を効率的に製造することができず、ポリエステルフィルムに滑剤としての粒子を含有させて、表面に突起などを形成することが求められる。この2つの要求は相反するものであり、これらの要求を満たすために、表面欠点を低減するために触媒種を特定のものにすること、フィルム中に含有させる粒子として粗大粒子の少ないものを用いること、およびそのような処理を行った表面欠点の少ないフィルムが提案されているが、いずれも支持体の製膜時・加工時の走行性や磁気特性を両立できるものではなかった。(特許文献1~3)。
特に、今日では高容量化に伴い磁気記録媒体そのものの厚みも薄くなり、薄膜化するほど、フィルム製膜時の破れや、上述した磁性層を設け巻き取った後の磁性層の硬化熱処理の際にロール巻き締りによるエラーレート欠陥が増加する問題が大きな課題となっている。
特開2013-206483号公報 特開2016-192247号公報 特開2020-68045号公報
本発明の目的は、上記バックコート面側の層の空隙率を制御してフィルムにクッション性を付与するとともに、磁性面側の層のフィルム厚みを規定してフィルム強度を担保することで、巻取後の磁性面への磁気特性の低下(磁性面の陥没)を抑制し、フィルム生産性や、磁気特性を両立し、詳しくは、フィルム製膜時の破れが少なく、電磁変換特性に優れ、エラーレートの抑制に優れた磁気記録媒体用ポリエステルフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体等を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記目的を達成する本発明は以下の発明により得られる。
少なくとも2層以上の層を有する、少なくとも一方の表面に磁性層を塗布する用途に用いられる積層ポリエステルフィルムであって、磁性層を塗布する側の最表層に位置する層をA層、他方の最表層に位置する層をB層としたとき、フィルム面に垂直なフィルムの幅方向のフィルム断面を観察したとき、B層100μmあたりに含まれる一次平均粒子径600nm以上の粒子のうち、1~50%の粒子数の粒子の周囲に存在するボイドが、当該粒子の中心を通るフィルム長手方向の断面に対して片方にのみに存在する、またはフィルム面に垂直なフィルムの長手向のフィルム断面を観察したとき、B層100μmあたりに含まれる一次平均粒子径600nm以上の粒子のうち、1~50%の粒子数の粒子の周囲に存在するボイドが、当該粒子の中心を通るフィルム幅方向の断面に対して片方にのみに存在する磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
本発明により、フィルム製膜時の破れや、巻取時のシワ発生が少なく、電磁変換特性に優れ、エラーレートの抑制に優れた磁気記録媒体用ポリエステルフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体等を提供することができる。
以下、本発明の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム(以下、単に本発明のポリエステルフィルムということがある)の形態について説明する。
まず、本発明の磁気記録媒体用ポリエステルフィルムとは、磁気記録媒体の支持体として用いられるポリエステルフィルムであり、特に磁気特性を付与する製造過程において、ポリエステルフィルムを支持体とし、該支持体上に塗布された塗材(例えば磁気記録用の磁性粉を含有した分散体など)を乾燥させることにより塗膜を形成させる塗布型磁気記録媒体の支持体として好適に用いられる。
本発明に用いることができるポリエステルとしては、分子配向により高強度フィルムとなるポリエステルであれば特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレン-2,6-ナフタレートを構成成分とすることが好ましい。
本発明では、外観、耐熱性、寸法安定性、経済性の点から、特にポリエステルの主成分がポリエチレンテレフタレートであることが好ましく、ポリエステル全体の50質量%以上、さらには60質量%以上がポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。より具体的にはポリエステルを構成するグリコール単位の60モル%以上がエチレングリコール由来の構造単位であり、ジカルボン酸単位の60モル%以上がテレフタル酸由来の構造単位であることが好ましい。なお、ここで、ジカルボン酸単位(構造単位)あるいはジオール単位(構造単位)とは、重縮合によって除去される部分が除かれた2価の有機基を意味し、要すれば、以下の一般式で表される。
ジカルボン酸単位(構造単位): -CO-R-CO-
ジオール単位(構造単位): -O-R’-O-
(ここで、R、R’は二価の有機基)
なお、トリメリット酸単位やグリセリン単位など3価以上のカルボン酸あるいはアルコール並びにそれらの誘導体が含まれる場合は、3価以上のカルボン酸あるいはアルコール単位(構造単位)についても、同様に、重縮合によって除去される部分が除かれた3価以上の有機基を意味する。
本発明に用いるポリエステルを与えるグリコールあるいはその誘導体としては、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、それらの誘導体が挙げられる。中でも、耐熱性、取り扱い性の点で、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが好ましく用いられる。
また、本発明に用いるポリエステルを与えるジカルボン酸あるいはその誘導体としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、並びに、それらの誘導体を挙げることができる。ジカルボン酸の誘導体としてはたとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2-ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどのエステル化物を挙げることができる。中でも、耐熱性、取り扱い性の点で、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、および、それらのエステル化物が好ましく用いられる。
また本発明では、寸法安定性の低下を防ぐために、または配向度を調整するために、ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂(以下、耐熱性熱可塑性樹脂ということがある)を含有することもできる。耐熱性熱可塑性樹脂としては、ポリイミド系樹脂(ポリエーテルイミドを含む)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレートが挙げられる。これらの中でも、ポリエステルとの親和性及び溶融成形性の観点から、ポリイミド系樹脂、特にポリエーテルイミドが好ましく例示される。
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも一方の表面に磁性層を塗布する用途に用いられる積層ポリエステルフィルムであって、磁性層を塗布する側の最表層に位置する層をA層、他方の最表層に位置する層をB層として有するフィルムである。それぞれの面を構成する層を最表層とし中間層を有する2層以上の層構成であってもよい。これは、磁気記録媒体の支持体として用いたときに、磁性層を設ける面をA面、バックコート層を設ける面をB面とした場合に、いずれにも走行性を付与することが容易になるからである。
なお、本発明のポリエステルフィルムにおいて、2層以上の層構成を有するとは、少なくとも上記のA面およびB面を形成する2層の層が存在することを意味し、中間層を1層以上とする3層や4層など、あるいはそれ以上の多層積層構成であっても構わない。これらの層は、塗布層により構成されていてもよいが、共押出により形成された層であることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、塗布型磁気記録媒体用の支持体として用いられ、磁性層を設ける面(A面)を構成する最外層(A層)と、A面とは反対側にバックコート層を設ける面(B面)を構成する最外層(B層)を有するフィルムとすることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルム面に垂直なフィルムの幅方向のフィルム断面を観察したとき、B層100μmあたりに含まれる一次平均粒子径600nm以上の粒子のうち、当該粒子の中心を通るフィルム長手方向の断面に対して片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合が1~50%、またはフィルム面に垂直なフィルムの長手方向のフィルム断面を観察したとき、B層100μmあたりに含まれる一次平均粒子径600nm以上の粒子のうち、当該粒子の中心を通るフィルム幅方向の断面に対して片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合が1~50%である事が重要である。片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合が1~50%の場合、フィルムの製造工程、磁気記録媒体の製造工程時の製膜性が良くフィルム破れ発生、巻取時のシワ発生が抑制され、磁気記録媒体とした際の電磁変換特性も向上する。更に好ましくは5~40%である。片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合が1%未満の場合、電磁変換特性は向上するものの、フィルムの製造工程、磁気記録媒体の製造工程時のフィルム破れが発生しやすい。片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合が50%を越える場合、フィルムの製造工程、磁気記録媒体の製造工程時のフィルム破れは抑制されるものの、表面の凹凸によるスペーシングロスにより電磁変換特性が低下しやすい。
なお、本発明において長手方向とは、ポリエステルフィルムの製造工程時のフィルムの走行方向を指す。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルフィルムの総厚みは、2.0μm以上5.0μm以下であることが重要である。更に好ましくは、2.5μm以上4.5μm以下である。該範囲とすることで、磁気記録媒体、例えば、磁気記録テープ1巻あたりのテープ長さを十分に確保できるので、磁気テープの高容量化を実現しやすくなる。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルフィルムのA層の厚みは、1.0μm以上4.5μm以下が好ましく、B層の厚みは、0.1μm以上4.0μm以下が好ましい。これらの厚みを前記範囲以上とすることで、剛性や寸法安定性が良好となり、テープの腰が十分となり磁気記録媒体としたときに電磁変換特性が低下することを抑制できる。また、B層表面突起による平滑面(A面)側への突き上げを抑制できる。また前記範囲以下とすることでテープ1巻あたりのテープ長さを十分に確保しやすくなるため、磁気テープの小型化、高容量化を実現しやすくなる。
本発明のポリエステルフィルムのB面を構成する層(B層)は、少なくとも粒子I、粒子IIおよび粒子IIIを含有する層であることが好ましい。なお、粒子Iの一次平均粒子径(Bd1)は0.005μm以上0.1μm未満、粒子IIの一次平均粒子径(Bd2)は0.1μm以上0.6μm未満、粒子IIIの一次平均粒子径(Bd3)は0.6μm以上1.2μm以下であることが好ましい。
粒子Iとしては、一次平均粒子径が0.005μm以上0.1μm未満、好ましくは0.01μm以上0.05μm以下の粒子が好ましい。粒子IIとしては、一次平均粒子径が、0.1μm以上0.6μm未満、好ましくは、0.2μm以上0.5μm以下の粒子であることが好ましい。粒子IIIとしては、一次平均粒子径が、0.6μm以上1.2μm以下、好ましくは、0.6μm以上1.0μm以下である粒子が好ましい。
粒子I乃至粒子IIIの粒子種は、特に限定されるものではなく、無機粒子、有機粒子、もしくはそれらの混合でもよく、公知のものを用いることができる。例えば、粒子Iは、α型アルミナ、γ型アルミナ、δ型アルミナ、θ型アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタン粒子等から選ばれる不活性無機粒子、粒子IIおよび粒子IIIは、例えばポリスチレン粒子、ジビニルベンゼン粒子などの有機粒子を用いることができる。
また、これら粒子は、B層に対して、粒子Iは、0.01質量%以上2.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上1.0質量%以下、粒子IIは、0.005質量%以上0.5質量%以下、より好ましくは、0.01質量%以上0.4質量%以下、粒子IIIは、0.00001質量%以上0.005質量%以下、より好ましくは0.00005質量%以上0.003質量%以下の範囲で、それぞれ含有することが好ましい。
特に、B面を構成する最外層(B層)に、粒子IIIを添加することで空隙を生じさせ、クッション性を付与しやすくなり、電磁変換特性の向上や、エラーレートの発生を抑制することが可能となる。粒子Iや粒子IIのみ、あるいは粒子Iや粒子IIの併用のみの場合では、本発明のB面の空隙率を制御しにくいことがあり、本発明においては、粒子Iおよび粒子II、粒子IIIを併用することが好ましい。
粒子IIIについて、B面を構成する層(B層)に対して、粒子IIIの含有量が0.00001質量%未満であると、B層の片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合を0.01%以上とすることが難しくなる場合があり、0.005質量%を超えると、B層の片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合を50%以下とすることが難しくなる場合がある。
平均粒子径が0.1μm以下の粒子Iの含有量は、A面を構成する層(A層)に対して、0.01質量%以上1.2質量%以下であるのが好ましく、0.05質量%以上1.0質量%以下であるのがより好ましい。粒子Iを添加することで、フィルム製造時のキズの発生を抑制させることができ、フィルムの製造工程時、磁気記録媒体の製造工程時における走行性を向上させることができる。
一般に、添加する粒子の一次平均粒子径を小さく、もしくは添加量を少なくすればするほど、空隙率は小さくなり、添加する粒子の一次平均粒子径を大きく、もしくは添加量を多くするほど表面粗さSRaが大きくなる傾向にある。そのため、磁気記録用媒体用の支持体において磁性層側の面となるA面を構成する最外層(A層)に、粗大粒子が存在すると、空隙率が大きくなるのみでなく、電磁変換特性が低下するため好ましくない。粗大粒子の存在を少なくするには、粒子を含有したポリエステルペレット、及び粒子等を実質的に含有しないポリエステルペレットを、後述する溶融積層用押出機に供給し、ポリマーをフィルターにより濾過する際に、大きさが1.5μm以上の異物を95%以上捕集することのできる高精度の繊維焼結ステンレスフィルターを用いることが有効である。
本発明のポリエステルフィルムに含有する粒子は、粒子形状及び粒子分布の均一なものが好ましく、その体積形状係数fが、0.3~π/6であることが好ましく、0.4~π/6であることがより好ましい。体積形状係数fは、次式で表される。
f=V/Dm
ここで、Vは粒子体積(μm)であり、Dmは粒子の投影面における最大径(μm)である。
なお、体積形状係数fは、粒子が球のときに最大のπ/6(=0.52)となる。不活性粒子は、必要に応じて、粗大粒子や介在物を除去するために濾過等を行われることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムのB面を上述した発明の構成とするための手法として、また、B層のボイドを制御するための方法は特に限られるものではないが、例えば、B層に含有せしめる粒子の粒子径と含有量に加え、後述するフィルムの製膜工程において、高温で多段に延伸する方法が有効な方法として挙げられる。フィルムの製造工程における製膜速度および延伸条件によってボイドを制御することができる。延伸温度を低温に、また延伸速度を高速にするとフィルム強度は高く、B層の片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合は低くなる傾向になる。また長手方向(MD)を多段延伸する場合、1段目延伸の割合を下げ、2段目以降の延伸倍率の割合を上げると、B層の片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合は高くなる傾向になる。
具体的には、縦方向(MD)の1段目延伸倍率は2.00倍~4.00倍が好ましく、より好ましくは3.00倍~3.50倍の範囲が好ましい。2段目延伸倍率は1.05倍~1.80倍が好ましく、より好ましくは1.10倍~1.60倍の範囲が好ましい。
また幅方向(TD)を多段延伸する場合、1段目延伸の割合を下げ、2段目以降の延伸倍率の割合を上げると、B層の片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合は高くなる傾向になる。
具体的には、横方向(TD)の1段目延伸倍率は1.05倍~6.00倍が好ましく、より好ましくは1.50倍~5.00倍の範囲が好ましい。2段目延伸倍率は1.05倍~1.80倍が好ましく、より好ましくは1.10倍~1.60倍の範囲が好ましい。

本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは面配向係数(fn)が0.165~0.180であることが好ましく、たとえば塗布型磁気記録テープ用ベースフィルムとして用いられた場合、優れた寸法安定性を発揮する。0.165以上とすることで寸法安定性を良好にでき、0.180以下とすることで生産性を良好にすることができる。好ましくは、0.166~0.178、より好ましくは0.167~0.176である。
本発明のポリエステルフィルムは、A層側の表面粗さSRaが1.0nm以上4.0nm以下であり、B層側の表面粗さSRaが3.0nm以上6.0nm以下であることが好ましい。
A層側の表面粗さSRa(菱化システム製Vertscanによる測定値。以下同様。測定法の詳細は後述。)が1.0nm以上4.0nm以下であると、フィルムの製造工程、磁気記録媒体の製造工程時の走行性がよくシワの発生が抑制され、磁気記録媒体とした際の電磁変換特性も向上する。更に好ましくは1.5nm以上3.5nm以下である。A層側の表面粗さSRaを低くすると、電磁変換特性は向上するものの、フィルムの製造工程、磁気記録媒体の製造工程時の走行性が低下しシワおよび貼り付きによる帯電欠陥が発生しやすい傾向がある。また、A層側の表面粗さSRaを高くすると、フィルムの製造工程、磁気記録媒体の製造工程時の走行性は向上するものの、表面の凹凸によるスペーシングロスにより電磁変換特性が低下しやすい傾向がある。
また、B層側の表面粗さSRaが3.0nm以上6.0nm以下であると、フィルムの製造工程、磁気記録媒体の製造工程時の走行性がよくシワの発生が抑制され、磁気記録媒体とした際のエラーレートも向上する。B層側の表面粗さSRaを低くすると、エラーレートは向上するが、フィルムの製造工程、磁気記録媒体の製造工程時の走行性が低下しシワが発生しやすい傾向がある。また、B層側の表面粗さSRaを高くすると、フィルムの製造工程、磁気記録媒体の製造工程時の走行性は向上しシワは発生しにくいが、磁気記録媒体とした際にB面側の粗さが磁性層側に転写し、エラーレートが増加し電磁変換特性が低下しやすい傾向がある。
なお、この転写現象が発生するメカニズムについては、本発明者らは、以下の通りと推定している。
通常、磁気記録媒体の製造工程では、磁性層、バックコート層を設けた後、特に、磁性層を硬化させるために、ロールに巻き取られた状態で処理が行われる。その際、巻き取られたフィルムが巻き締まり、ロールの径方向に応力が発生する。ロール径方向の応力によって、特にロールの巻き取り軸となるコアの巻芯側では磁性層(A層側)とバックコート層(B層側)が強く圧縮される。そのため、バックコート層(B層側)の表面に凹凸形状があると、磁性層表面にその凹凸が転写し、転写した凹凸が磁気記録媒体としたときに、エラーレートが発生し、磁気記録媒体の性能低下をもたらす。
また、後述するが、粒子によりB層側の表面粗さSRaを調整する場合は、B層側の粒子がB層に対して大きく、フィルムの製造工程、磁気記録媒体の製造工程で粒子が脱落しやすくなる。フィルムの製造工程でフィルムを巻き取るため、B層側から脱落した粒子はA層側に転写し、磁性層をA層側に設ける際、その粒子が磁性層の塗布性を阻害し磁気記録媒体とした際のドロップアウト(DO)を発生させる原因となる。そのため、本発明のポリエステルフィルムは、B層のボイドを管理することが重要である。
本発明のポリエステルフィルムは、長手方向(MD)のヤング率が3.5GPa以上10GPa以下であることが好ましい。長手方向のヤング率が3.5GPa以上であると、磁気記録媒体とした際の、例えば磁気テープドライブ内での長手方向への張力によってフィルムが長手方向に伸び、この伸び変形によりフィルムが幅方向に収縮することによる記録トラックずれを抑制できるので好ましい。また、長手方向のヤング率が10GPa以下であれば、磁気記録媒体とした際の、テープドライブ内でのテープの擦れによるエッジダメージを抑制できるので好ましい。フィルムの長手方向のヤング率は、3.6GPa以上8GPa以下であることが好ましく、さらには3.7GPa以上6.0GPa以下であることが好ましい。
本発明のフィルムは、例えば次のように製造される。以下、ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた例を代表例として説明するが、本発明は特にこれらに限定されるものではない。
ポリエステルに粒子I乃至粒子IIIを含有させる方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに粒子を所定の割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールスラリーをポリエステル重合完結前の任意段階で添加することが挙げられる。粒子の分散性を向上するために、原料チップ内の粒子マスター濃度を低下させることが有効である。
以上のようにして準備した、粒子を含有したポリエステルペレット、及び粒子等を実質的に含有しないポリエステルペレットを所定の割合で混合し、乾燥した後、公知の溶融積層用押出機に供給し、ポリマーをフィルターにより濾過する。
また、磁性層が非常に薄く積層塗布される塗布型の高密度磁気記録媒体用途においては、ごく小さな異物も磁気記録欠陥であるDO(ドロップアウト)の原因となることと、フィルターろ過中の粒子の再凝集を防止するために、フィルターには例えば大きさが1.5μm以上の異物を95%以上捕集することのできる高精度の繊維焼結ステンレスフィルターを用いることが有効である。
続いてスリット状のスリットダイからシート状にポリマーを押し出し、キャスティングロール上でこのポリマーを冷却固化させて未延伸フィルムとする。すなわち、複数の押出機、複数のマニホールド又は合流ブロック(例えば矩形合流部を有する合流ブロック)を用いて必要な層数を積層させ、口金からシートを押し出して、キャスティングロールで冷却させて未延伸フィルムを得る。この場合、背圧の安定化及び厚さ変動の抑制の観点からは、ポリマー流路にスタティックミキサーやギアポンプを設置することが有効である。
続いて、上記未延伸フィルムを長手方向と幅方向の二軸に延伸した後、熱処理する。延伸工程は、特に限定されないが、各方向において2段階以上に分けて延伸することが好ましい。すなわち、再縦、再横延伸を行うことが高密度記録の磁気テープとして最適な高強度のフィルムが得られやすいことと突起形成を制御しやすいため好ましい。
再縦延伸を行なう場合は、1段目縦延伸倍率を低減させ、2段目以降の再縦延伸倍率を増加させることで、高強度、且つ突起高さを制御しやすくなる。
延伸方法は、同時二軸延伸であっても、逐次二軸延伸であってもよい。同時二軸延伸においてはロールによる延伸を伴わないため、フィルム表面の局所的な加熱が発生せず、表面性が制御しやすく、延伸方法としてより好ましい。同時二軸延伸においては、未延伸フィルムを、まず長手方向及び幅方向に、延伸温度を例えば80~160℃、好ましくは85~130℃、さらに好ましくは90~120℃として同時に延伸する。延伸温度を80℃以上とすることによりフィルムの破断を抑制できるので好ましく、延伸温度を160℃以下とすることにより磁気記録媒体として用いたときに十分な強度が得られるので好ましい。また、延伸ムラを防止する観点から、長手方向及び幅方向の合計延伸倍率は、例えば8~30倍、好ましくは9~28倍、さらに好ましくは10~26倍とすることが好ましい。延伸倍率を8倍以上とすることにより、高密度磁気記録媒体用として十分な強度が得られるので好ましい。また、延伸倍率を30倍以下とすることにより、製造過程でフィルムが破れてしまうのを抑制できるので好ましい。高密度磁気記録媒体に必要な強度を得るとの観点からは、必要に応じて、好ましくは温度140~210℃で、より好ましくは160~200℃で、再度長手方向及び/又は幅方向に、好ましくは1.05~1.8倍、より好ましくは1.2~1.6倍で延伸を行うことが好ましい。延伸倍率が1.05倍以上であることにより十分な強度が得られるので好ましく、延伸倍率が1.8倍以下であることにより製造過程でフィルムが破れてしまうのを抑制できるので好ましい。その後、例えば180~235℃で、好ましくは190~220℃で、例えば0.5~20秒間、好ましくは1~15秒間熱固定を行う。熱固定温度が180℃以上であることにより、フィルムの結晶化が進んで構造を安定にできるので好ましい。また、熱固定温度を235℃以下とすることにより、ポリエステル非晶鎖部分の緩和が進むことに伴うヤング率の低下を抑制できるので、磁気記録媒体用途として十分な強度を得るとの観点から好ましい。その後長手方向及び/又は幅方向に0.5~7.0%の弛緩処理を施し冷却し得られたポリエステルフィルムを巻き取りコアに巻き取ってフィルムロールとすることができる。
上記した本発明のポリエステルフィルムは、A面に磁性層を設け、B面にバックコート層を設けて磁気記録媒体とすることが好ましい。また、本発明のポリエステルフィルムを長さ10,000m以上、コアに巻き取って磁気記録媒体用ポリエステルフィルムロールとしても好ましく、さらに、磁性層とバックコート層とを設けた磁気記録媒体の状態で長さ10,000m以上、コアに巻き取って磁気記録媒体ロールとすることも好ましい。
ポリエステルフィルムの幅は、特段に限定されるものではないが、500mm以上5,000mm以下が製膜装置の関係から一般的である。
また、フィルムが長尺化するほど、磁性層やバックコート層を設けた後の熱硬化処理時に、巻き取り軸のコア方向に向かってフィルムロールの巻き締りが強くなり、特にコア方向の磁性層はバックコート層を設ける面(B面)の表面凹凸によって転写される傾向が高くなるが、本発明においては、フィルムの構成を本発明の構成とすることにより、バックコート層、(下地層)、磁性層を設けた後の磁気記録媒体とした後の、熱硬化処理によってもバックコート層を設ける面(B面)による転写を抑制することができるため、磁気特性も低下しにくい。
本発明のポリエステルフィルムは、特に磁気記録媒体としての特性、並びに塗布型磁気記録媒体への加工性が良好であり、該用途の支持体として好適に使用することができる。
本発明のポリエステルフィルム好ましい磁気記録媒体用途としては、民生用、業務用を問わず、デジタルビデオカセット、データストレージ、DLT、LTO、デジタルAIT、AITターボ等のデジタルデータ記録方式の磁気テープ用の支持体に好適に用いられ、特に、磁気層を記録層としてメタル磁性体等の磁性金属薄膜を塗布せしめた、データストレージ用のベース基材として最も好ましく用いられる。これらの中でも、特にLTOなどのデジタルデータ記録方式の塗布型磁気記録媒体が好ましい。
[物性の測定方法及び効果の評価方法]
本発明における特性値の測定方法及び効果の評価方法は次の通りである。
(1)フィルム全体(総厚み)、各層の厚み
測定対象が磁気記録媒体である場合は、磁気記録媒体を任意の場所から5mm角に切り出し、試料とする。ミクロトームを用いて該試料のおおよそ中心部分を切断し、該切断面を透過型電子顕微鏡(TEM)撮影用の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(日立製作所(株)製「H-7100FA」)にて、倍率4万倍で撮影した。この撮影画像から磁気記録媒体の磁性層の厚み、下地層の厚み、バックコート層の厚み、フィルムの総厚み、フィルムの各層の厚みを計測した。計測は、等間隔で10点実施し平均した。
各層の測定においては、フィルムの表層の任意点(a1)とそれに対応するフィルムの他方の表層の任意点(b1)が最も短くなる距離となるようフィルムの厚み方向に直線を引く。これを任意点10点(フィルムの表層(a1)と同じ表層の任意点(a2からa10)と、対向する任意点10点(フィルムの他方の表層(b1)と同じ表層の任意点(b2からb10)を同様にして、a2とb2、a3とb3、となるようにa10とb10まで直線をフィルムの厚み方向に引く。その直線の距離を10本の直線について求め、平均をフィルムの総厚みとした。
A層とB層の各層の厚みは、二次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて評価した。B層側表面からエッチングしながら、粒子又は耐熱性熱可塑性樹脂に起因する元素濃度のデプスプロファイルを測定し、B層の厚みを評価した。SIMSでの測定が難しい(例えば、シリコーン樹脂以外のポリマー粒子)場合は、表面をエッチング処理しながらフーリエ変換顕微赤外分光法(顕微FT-IR法)、あるいはX線光電分光法(XPS法)等を使用する。上記のTEM観察で得られたフィルム得られたフィルムの総厚みと、B層の厚みの差をA層厚みとした。
<測定条件>
測定装置:透過型電子顕微鏡(TEM) 日立製H-7100FA型
測定条件:加速電圧 100kV
測定倍率:4万倍
試料調整:超薄膜切片法
観察面 :TD-ZD断面(TD:幅方向、ZD:厚み方向)
(2)粒子の一次平均粒子径(μm)
ポリエステルフィルムのA層およびB層を超薄膜切片法にて各層の試料を作成し透過型電子顕微鏡(日立製作所(株)製「H-7100FA」)にて、倍率40万倍で、観察箇所を変えて10視野を撮影した。得られた粒子の画像写真を、2値化処理し粒子だけを検出させ数値処理を行い、得られた各粒子の面積データ(μm)を等価円相当径に換算し、得られたデータを、X軸に粒子径、粒子径Y軸を指数の個数としてプロットして、0.005μm以上0.1μm未満のピークの中心値を粒子Iの一次平均粒子径とした。撮影した写真上に不定形の凝集粒子が確認できた場合、これは粒子の平均粒子径には含めない。
尚、2種類以上の粒子が存在する場合は、上記のグラフ中の所定粒子径範囲内に2個以上のピークを有する分布となる。その場合は、粒子個数が最大値となる粒子径を粒子Iの一次平均粒子径とした。
次にポリエステルフィルムのA層の表面およびB層の表面を、プラズマ低温灰化処理法(たとえばヤマト科学製PR-503型)でポリエステル樹脂を除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリエステル樹脂は灰化されるが粒子はダメージを受けない条件を選択する。
粒子を露出した試料をSEM((株)日立ハイテクノロジーズ製S-3400N形走査電子顕微鏡)を用いて2万倍で観察箇所を変えて粒子個数が20視野の撮影をした。同じ試料を用いて、1,000倍で観察箇所を変えて100視野の撮影をした。得られたSEMの画像写真を、上記と同様に2値化処理し、粒子だけを検出させ数値処理を行い、得られた各粒子の面積データ(μm)を等価円相当径に換算し、得られたデータをX軸に粒子径、Y軸を指数の個数としてプロットして、2万倍の画像で0.1μm以上0.6μm未満のピークの中心値を粒子IIの一次平均粒子径として、1,000倍の画像で0.6μm以上1.2μm以下の中心値を粒子IIIの一次平均粒子径とした。
尚、2種類以上の粒子が存在する場合は、上記のグラフ中の所定粒子径範囲内に2個以上のピークを有する分布となる。その場合は(それぞれ当該粒子径範囲内で)、2万倍の画像で粒子個数が最大値となる粒子径を粒子IIの一次平均粒子径とし、1,000倍の画像で粒子個数が最大値となる粒子径を粒子IIIの一次平均粒子径とした。撮影した写真上に不定形の凝集粒子が確認できた場合、これは粒子の平均粒子径には含めないこととする。
(3)ボイドの確認
前記(2)と同様の方法にて、ポリエステルフィルムをミクロトームにより切削、透過型電子顕微鏡(日立製作所(株)製「H-7100FA」)にて断面観察を行う。断面観察は、磁気テープの場合はテープの長手方向と、それに対して垂直なテープ幅方向とし、フィルムの長手方向、幅方向が不明なサンプルの場合は、主配向軸方向を長手方向、主配向軸方向と直交する方向を長手方向とし、計10箇所について行う。ポリエスエルフィルムA層、B層全体が観察できる最大倍率にて撮影し、粒子とポリエステルとの界面で剥離し形成されている空隙をボイドとする。
(3-1)フィルム面に垂直なフィルムの幅方向のフィルム断面におけるボイド確認
前記の方法によりフィルムの幅方向のフィルムの断面観察を行い、B層100μmあたりに含まれる一次平均粒子径600nm以上の粒子数(a個)と、それらの粒子のうち当該粒子の中心を通るフィルム長手方向の断面に対して片方にのみにボイドが存在する粒子数(b個)をカウントし、観察を行う10箇所の平均値を本発明の片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合をb個/a個として求めた。
(3-2)フィルム面に垂直なフィルムの長手方向のフィルム断面におけるボイド確認
前記の方法によりフィルムの長手向のフィルムの断面観察を行い、B層100μmあたりに含まれる一次平均粒子径600nm以上の粒子数(c個)と、それらの粒子のうち当該粒子の中心を通るフィルム幅方向の断面に対して片方にのみにボイドが存在する粒子数(d個)をカウントし、観察を行う10箇所の平均値を本発明の片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合をd個/c個として求めた。
(4)フィルムの表面の表面粗さSRa(nm)と突起個数(個/0.05mm
フィルムを7cm角の正方形にカットし、得られた試料の一方の面を対象に、3次元粗さ計Vertscan((株)菱化システム製 VertScan2.0)を用い、表面粗さSRa(nm)と突起個数(個/0.05mm)を求める。対物レンズ50倍、内部レンズ0.5倍、Waveモード、測定面積0.0497mmで、測定試料のB面内の任意領域における表面粗さaと突起個数aを測定した(単位:nm)(Vertscanの測定のベアリング解析(高さヒストグラムデータ))。ベアリング解析から突起高さが0.01μm毎に算出された突起個数を確認し、0.35μmを超える突起個数aをカウントした。測定面積を0.0497mmから0.05mmに換算するため、(突起個数a)×0.05/0.0497として、0.05mmあたりの突起個数bを求めた。同一の試料を用い、同一面で任意領域として合計120回となるよう繰り返し、表面粗さaの平均値と、突起個数bの平均値をもとめ、これを、B面の表面粗さSRaおよび0.35μmを超える突起個数とした。反対面のA面も同様にして表面粗さSRaおよび0.10μmを超える突起個数を求めた。
フィルムの表面にバックコート層や磁性層および下地層の少なくとも1層が積層されている場合は、幅1cm、長さ10cmに切り出したフィルムを試料とし、各層の除去を行う。除去工程としては、ビーカーに入れたメチルエチルケトン(MEK)に試料を2時間以上浸漬させる。次に、メチルエチルケトンで浸漬させた状態で、試料を目視で観察した際に透明になったと認識できる程度まで試料の表面を綿棒で軽くこする。試料の表面を、3次元粗さ計バードスキャン((株)菱化システム製VertScan2.0)のモニターでバックコート層や磁性層および下地層がないことを確認したのち、フィルムの観測同様に、フィルムの表面の突起個数、表面粗さSRaを観測する。各層が試料表面からはがれていない場合には、再度、各層の除去工程を行う。
<測定条件>
対物レンズ:50倍
内部レンズ:0.5倍
測定モード:Phaseモード
スキャンレンジ:+10、-20
波長フィルター:530
フィルター:ガウシアン カットオフ値50μm
補間:完全
近似面:多項式近似4次
(5)粒子の元素分析
フィルムの表層のポリエステルをプラズマ灰化処理法で除去し粒子を露出させる。処理条件は、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像をイメージアナライザーで処理する。上記(2)で求めた粒度分布に従い、SEMの倍率を30,000倍にして、観察箇所を変えて20視野観察し、観察した全粒子についてエネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いて元素分析を実施し、粒子と元素の関係を明確にする。
(6)フィルム中の粒子の含有量(質量%)
ポリエステルフィルムのA層の表面およびB層の表面を、プラズマリアクター(ヤマト科学社製)にて出力100Wで8分間処理し1μm相当をプラズマ灰化処理しポリエステル樹脂を除去し粒子を露出させる。これをSEM((株)日立ハイテクノロジーズ製S-3400N形走査電子顕微鏡)を用いて20,000倍で観察し、(2)と同様に観察箇所を変えて50視野の撮影し、2値化処理し、粒子だけを検出させ数値処理を行い、各ピークの粒子の一次平均粒子径を求めると共に粒子個数を求めた。一次平均粒子径より各粒子平均体積を求め、(6)で得た粒子元素より比重をかけ各粒子の粒子平均質量とした。各粒子平均質量と粒子個数より、単位体積あたりの粒子質量とした。
次に上記の試料とプラズマ灰化処理を行なっていない試料を切断し、SEM((株)日立ハイテクノロジーズ製S-3400N形走査電子顕微鏡)を用いて20,000倍で観察し(1)と同様にA層およびB層の厚みを確認しプラズマ灰化処理厚みを確認する。
求めたプラズマ灰化処理厚みと2万倍視野面積より、A層およびB層の体積を求めポリマー比重をかけ各層のフィルム質量とした。求められた各粒子の粒子質量と各層のフィルム質量より各粒子の含有量(質量%)とした。
(7)面配向係数fn
ナトリウムD線(波長589nm)を光源とし、マウント液としてヨウ化メチレンを用い、25℃にてアッベ屈折計を用いてフィルムMD、TDおよび厚み方向の屈折率(各々、nMD、nTD、nZD)を求めた。求めた屈折率から下記の式により、面配向係数(fn)および複屈折率(Δn)を算出した。なお、測定は製膜時のTダイから吐出後、冷却ドラムに密着した表面側で行い、任意の3ヶ所での測定値の平均で評価した。
(8)磁気テープの作製
実施例、比較例で得た二軸配向ポリエステルフィルムを1m幅にスリットした後、張力200Nで搬送させ、支持体としてフィルムの磁性層を設ける面(A面)に下記組成の磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより塗布し(上層が磁性塗料で乾燥後の塗布厚み0.1~0.3μm、下層が非磁性塗料で塗布厚み1.0μm)、磁気配向させ、乾燥温度100℃で乾燥させた。次いで反対側の面(B面)に下記組成のバックコートを塗布し(乾燥後の塗布厚み0.5μm)、乾燥温度100℃で乾燥させた後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度70~120℃、線圧0.5~5kN/cmでカレンダ処理した後、巻き取った。その後、60~80℃にて24~72時間エージング処理し、1/2インチ(12.65mm)幅にスリットし、パンケーキを作成し、次いで、このパンケーキから特定の長さ分をカートリッジに組み込んで、カセットテープ型磁気記録媒体とする。
磁気記録媒体は、例えば、データ記録用途、具体的にはコンピュータデータのバックアップ用途(例えばリニアテープ式の記録媒体(LTO7、LTO8、次世代LTOテープ(LTO9))や映像などのデジタル画像の記録用途などに好適に用いることができる。
(以下、「部」とあるのは「質量部」を意味する。)
磁性層形成用塗布液
バリウムフェライト磁性粉末 100部
(板径:20.5nm、板厚:7.6nm、
板状比:2.7、Hc:191kA/m(≒2400Oe)
飽和磁化:44Am/kg、BET比表面積:60m/g)
ポリウレタン樹脂 12部
質量平均分子量 10,000
スルホン酸官能基 0.5meq/g
α-アルミナ HIT60(住友化学社製) 8部
カーボンブラック #55(旭カーボン社製)
粒子サイズ0.015μm 0.5部
ステアリン酸 0.5部
ブチルステアレート 2部
メチルエチルケトン 180部
シクロヘキサノン 100部
非磁性層形成用塗布液
非磁性粉体 α酸化鉄 85部
平均長軸長0.09μm、BET法による比表面積42m/g
平均針状比 7
DBP吸油量 27~38ml/100g
表面処理層Al 8質量%
カーボンブラック 15部
“コンダクテックス”(登録商標)SC-U(コロンビアンカーボン社製)
ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 22部
フェニルホスホン酸 3部
シクロヘキサノン 140部
メチルエチルケトン 170部
ブチルステアレート 1部
ステアリン酸 2部
上記の塗布液のそれぞれについて、各成分をニ-ダで混練した。0.5mmφのジルコニアビーズを分散部の容積に対し65%充填する量を入れた横型サンドミルに、塗布液をポンプで通液し、2,000rpmで120分間(実質的に分散部に滞留した時間)、ディゾルバーで撹拌した。得られた分散液にポリイソシアネ-トを非磁性層の塗料には5.0部、磁性層の塗料には2.5部を加え、さらにメチルエチルケトン3部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用および磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
得られた非磁性層形成用塗布液を、PETフィルム上に乾燥後の厚さが0.8μmになるように塗布乾燥させた後、磁性層形成用塗布液を乾燥後の磁性層の厚さが0.07μmになるように塗布を行い、磁性層がまだ湿潤状態にあるうちに6,000G(600mT)の磁力を持つコバルト磁石と6,000G(600mT)の磁力を持つソレノイドにより配向させ乾燥させた。その後、カレンダ後の厚みが0.35μmとなるようにバックコート層(カーボンブラック 平均粒子サイズ:17nm 100部、炭酸カルシウム平均粒子サイズ:40nm 80部、αアルミナ 平均粒子サイズ:200nm 5部をポリウレタン樹脂、ポリイソシアネートに分散)を塗布した。次いでカレンダで温度90℃、線圧300kg/cm(294kN/m)にてカレンダ処理を行った後、65℃で、72時間キュアリングした。さらに、スリット品の送り出し、巻き取り装置を持った装置に不織布とカミソリブレードが磁性面に押し当たるように取り付け、テープクリーニング装置で磁性層の表面のクリーニングを行い、磁気テープを得た。
(9) 電磁変換特性(SNR(Signal-to-Noise-Ratio))
雰囲気温度23℃±1℃、相対湿度50%の環境下にて、上記で作製した磁気テープについて、記録ヘッド(MIG,ギャップ0.15μm、1.8T)と再生用GMRヘッドをドラムテスターに取り付けて上記により得られた磁気テープの出力を測定した。ヘッド/テープの相対速度は15m/secとし、トラック密度16KTPI、線記録密度400Kbpiの信号を記録した後、出力とノイズの比を電磁変換特性とした。実施例11の結果を0dBとして、下記のとおり判定した。2.0dB以上が望ましいが、0dD以上2dB以上でも実用的には使用可能である。0dB未満については使用不可と判定した。
○:2dB以上(望ましい)
△:0dB以上2dB未満(実質的に使用可能)
×:0dB未満(使用不可)。
(10)製膜性(破れ)
実施例・比較例で製造した溶融押出したシート状に成型したフィルムを長手方向、幅方向に延伸してコアに巻き取り、24時間のうちに起こった製膜破れの回数をカウントし、回数に応じて、下記の三段階で評価した。
○:延伸破れの回数 0回
△:延伸破れの回数 1~3回
×:延伸破れの回数 4回以上。
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル194質量部とエチレングリコール124質量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム四水和物0.3質量部および三酸化アンチモン0.05質量部を加え、140~230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルの5質量%エチレングリコール溶液を0.5質量部(リン酸トリメチルとして0.025質量部)とリン酸二水素ナトリウム2水和物の5質量%エチレングリコール溶液を0.3質量部(リン酸二水素ナトリウム2水和物として0.015質量部)添加した。
トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下する。そこで余剰のエチレングリコールを留出させながら反応内容物の温度が230℃に復帰するまで撹拌を継続した。このようにしてエステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃に達した後、反応内容物を重合装置へ移行した。
移行後、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。最終温度、最終圧力に到達した後、2時間(重合を始めて3時間)反応させたところ、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートのペレットを得た(原料-1)。
一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子を含有するポリエチレンテレフタレートのペレットと、実質上粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレット(原料-1)とを、δアルミナ粒子の含有量が0.6質量%、耐熱性熱可塑性樹脂として、SABICイノベーティブプラスチック社製“ウルテム”1010を2質量%となるように混合して熱可塑性樹脂Aを調製した。
また、核となるシードポリマー粒子をポリスチレン、架橋性モノマー/共重合性モノマーの比率をジビニルベンゼン90質量部/エチルビニルベンゼン10質量部とする、一次平均粒子径0.3μm、体積形状係数f=0.52のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子(DVBS)を含有するポリエチレンテレフタレート、また核となるシードポリマー粒子をポリスチレン、架橋性モノマー/共重合性モノマーの比率をジビニルベンゼン88質量部/エチルビニルベンゼン12質量部とする、一次平均粒子径0.8μm、体積形状係数f=0.52のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を含有するポリエチレンテレフタレート、一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子を含有するポリエチレンテレフタレートのペレット、および実質上粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレット(原料-1)とを、0.3μmのDVBS粒子含有量が0.10質量%、0.8μmのDVBS粒子含有量が0.00010質量%、13nmδアルミナ粒子の含有量が0.6質量%となるよう、さらに耐熱性熱可塑性樹脂として、SABICイノベーティブプラスチック社製“ウルテム”1010を2質量%になるように混合して熱可塑性樹脂Bを得た。
熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bをそれぞれ160℃で8時間減圧乾燥した後、別々の押出機に供給し、275℃で溶融押出して高精度濾過した後、矩形の2層用合流ブロックで積層厚み比(A層|B層)=5|1とし、B層側がキャストドラム面側になるように合流積層し、2層積層とした。その後、295℃に保ったスリットダイを介し押し出し、冷却ロール上に静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化し、未延伸積層フィルムを得た。
この未延伸積層フィルムをロール式延伸機にて120℃で長手方向に3.10倍延伸した(MD延伸1)。この延伸は2組ずつのロールの周速差を利用して行った。
得られた一軸延伸積層フィルムの両端をクリップで把持しながら110℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に4.40倍延伸した(TD延伸1)。
得られた二軸延伸積層フィルムをロール式延伸機にて145℃で長手方向に1.20倍延伸した(MD延伸2)。この延伸は2組ずつのロールの周速差を利用して行った。
さらに続いて192℃の温度の加熱ゾーンでに幅方向に1.24倍延伸した(TD延伸2)。引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで200℃の温度で10秒間の熱処理を施し、さらに150℃の温度で2.5%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、25℃に均一に冷却後、フィルムエッジを除去し、コア上に1m幅で巻長さ14,000m巻き取って、全体厚み(総厚み)4.0μm、B層厚み0.7μmの二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。
この二軸延伸積層ポリエステルフィルムの製造条件について、各粒子の添加量および各積層厚み関係を表1に示す。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示す通り、フィルム面に垂直なフィルムの幅方向のフィルム断面にてB層100μmあたりに含まれる一次平均粒子径600nm以上の粒子のうち、当該粒子の中心を通るフィルム長手方向の断面に対して片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合は33.3%、フィルム面に垂直なフィルムの長手方向のフィルム断面にてB層100μmあたりに含まれる一次平均粒子径600nm以上の粒子のうち、当該粒子の中心を通るフィルム幅方向の断面に対して片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合は6.7%であった。また磁気テープ用として使用した際に、製膜安定性、電磁変換特性に優れた特性を有していた。
[実施例2]
A層厚み、全体厚み、B層中の一次平均粒子径0.3μmのDVBS粒子、一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子と一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子の添加量、長手方向と幅方向の延伸倍率を変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れており、また磁気テープ用として使用した際に、製膜安定性、電磁変換特性に優れた特性を有していた。
[実施例3]
B層中の一次平均粒子径0.3μmのDVBS粒子、一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子の添加量、長手方向と幅方向の延伸倍率、幅方向の延伸温度を変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れており、また磁気テープ用として使用した際に、製膜安定性、電磁変換特性に優れた特性を有していた。
[実施例4]
B層中の一次平均粒子径0.3μmのDVBS粒子、一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子の添加量、長手方向の延伸温度を変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れており、また磁気テープ用として使用した際に、製膜安定性、電磁変換特性に優れた特性を有していた。
[実施例5]
A層厚み、B層厚み、B層中の一次平均粒子径0.3μmのDVBS粒子、一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子と一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子の添加量、長手方向と幅方向の延伸倍率、幅方向の延伸温度を変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れており、また磁気テープ用として使用した際に、製膜安定性、電磁変換特性に優れた特性を有していた。
[実施例6]
A層厚み、B層厚み、B層中の一次平均粒子径0.3μmのDVBS粒子と一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子の添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れており、また磁気テープ用として使用した際に、製膜安定性、電磁変換特性に優れた特性を有していた。
[実施例7]
A層厚み、B層厚み、全体厚み、B層中の一次平均粒子径0.3μmのDVBS粒子の添加量、長手方向と幅方向の延伸倍率、幅方向の延伸温度を変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れており、また磁気テープ用として使用した際に、製膜安定性、電磁変換特性に優れた特性を有していた。
[実施例8]
A層厚み、全体厚み、B層中の一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子の添加量、長手方向の延伸倍率、幅方向の延伸温度を変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れており、また磁気テープ用として使用した際に、製膜安定性、電磁変換特性に優れた特性を有していた。
[実施例9]
A層厚み、B層厚み、全体厚み、B層中の一次平均粒子径0.3μmのDVBS粒子の添加量、長手方向と幅方向の延伸倍率を変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れており、また磁気テープ用として使用した際に、製膜安定性、電磁変換特性に優れた特性を有していた。
[実施例10]
A層厚み、B層厚み、全体厚み、B層中の一次平均粒子径0.3μmのDVBS粒子の添加量、長手方向と幅方向の延伸倍率を変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れており、また磁気テープ用として使用した際に、製膜安定性、電磁変換特性に優れた特性を有していた。
[実施例11]
A層厚み、全体厚み、B層中の一次平均粒子径13nmのアルミナ粒子の添加量、B層中の一次平均粒子径0.3μmのDVBS粒子の添加量、B層中の一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子の添加量、長手方向と幅方向の延伸倍率を変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れており、また磁気テープ用として使用した際に、製膜安定性、電磁変換特性に優れた特性を有していた。
[実施例12]
A層厚み、全体厚み、B層中の一次平均粒子径13nmのアルミナ粒子の添加量、B層中の一次平均粒子径0.3μmのDVBS粒子の添加量、B層中の一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子の添加量、長手方向と幅方向の延伸倍率を変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れており、また磁気テープ用として使用した際に、製膜安定性、電磁変換特性に優れた特性を有していた。
[比較例1]
B層中の一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子と一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子の添加量、長手方向と幅方向の延伸倍率、長手方向と幅方向の延伸温度を変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように、磁気テープ用として使用した際に、製膜安定性が劣っていた。
[比較例2]
A層厚み、B層厚み、全体厚み、B層中の一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子の添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように、磁気テープ用として使用した際に、製膜安定性、電磁変換特性が劣っていた。
[比較例3]
B層厚み、B層中の一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子の添加量、長手方向と幅方向の延伸倍率、幅方向の延伸温度を変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように、磁気テープ用として使用した際に、電磁変換特性が劣っていた。
Figure 2023071608000001

Claims (3)

  1. 少なくとも2層以上の層を有する、少なくとも一方の表面に磁性層を塗布する用途に用いられる積層ポリエステルフィルムであって、磁性層を塗布する側の最表層に位置する層をA層、他方の最表層に位置する層をB層としたとき、フィルム面に垂直なフィルムの幅方向のフィルム断面を観察したとき、B層100μmあたりに含まれる一次平均粒子径600nm以上の粒子のうち、当該粒子の中心を通るフィルム長手方向の断面に対して片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合が1~50%、またはフィルム面に垂直なフィルムの長手方向のフィルム断面を観察したとき、B層100μmあたりに含まれる一次平均粒子径600nm以上の粒子のうち、当該粒子の中心を通るフィルム幅方向の断面に対して片方にのみにボイドが存在する粒子数の割合が1~50%である事を特徴する磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
  2. 前記フィルムの面配向係数fnが0.165以上0.180以下である請求項1に記載の磁気記録媒体用フィルム。
  3. 前記フィルムのA層厚さtA(μm)が1.0μm以上4.5μm以下であり、かつB層厚さtB(μm)が0.1μm以上4.0μm以下である請求項1~2のいずれかに記載の磁気記録媒体用フィルム。
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