JP2020149760A - ポリエステルフィルム、塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、およびそれらを用いた磁気記録媒体 - Google Patents
ポリエステルフィルム、塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、およびそれらを用いた磁気記録媒体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2020149760A JP2020149760A JP2020038444A JP2020038444A JP2020149760A JP 2020149760 A JP2020149760 A JP 2020149760A JP 2020038444 A JP2020038444 A JP 2020038444A JP 2020038444 A JP2020038444 A JP 2020038444A JP 2020149760 A JP2020149760 A JP 2020149760A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- recording medium
- magnetic recording
- polyester film
- less
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
- Magnetic Record Carriers (AREA)
Abstract
【課題】走行性と磁気特性に優れ、さらに詳しくは、シワの発生の抑制に優れ、電磁変換特性、ミッシングバルス(MP)の抑制、ドロップアウト(DO)の抑制に優れたポリエステルフィルム、塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルムおよびそれらを用いた磁気記録媒体を提供すること。【解決手段】磁性層を設ける面(A面)を構成する最外層(A層)と、A面とは反対側にバックコート層を設ける面(B面)を構成する最外層(B層)を有するフィルムであって、B面の表面粗さSRaが4nm以上8nm以下、0.35μmを超える突起個数が0.01個/0.05mm2以上、0.4個/0.05mm2以下であるポリエステルフィルムとする。【選択図】なし
Description
本発明は、塗布型磁気記録媒体として好適に使用できるポリエステルフィルム、磁気記録媒体等に関する。
二軸配向ポリエステルフィルムはその優れた熱特性、寸法安定性、機械特性および表面形態の制御のし易さから各種用途に使用されており、特に磁気記録媒体などの支持体としての有用性がよく知られている。
特に、近年、データストレージやデジタルビデオテープ用等の磁気記録媒体においては、高密度化や高容量化が進んでいる。例えば、LTO(Linear Tape Open)等のリニア記録方式の磁気記録媒体では、1巻で2.0TBを超える高容量を有するものが開発されており、その磁性層を二軸配向ポリエステルフィルムに塗布をする用途に用いられている。
それら磁気記録媒体は、高容量化のために、支持体の薄膜化や寸法安定性が求められ、二軸配向ポリエステルフィルムのベースフィルム薄膜化や延伸倍率アップによる高強度化、テープ幅方向の温度膨張係数や湿度膨張係数の最適化、添加粒子の小径化等、これまで数多くの検討がなされてきた(特許文献1〜5)。
磁気記録媒体の更なる高容量化を達成するために、支持体や磁性層の薄膜化や高密度記録化が要求されている。高密度記録化は、微粒子磁性体を高度に分散させて、磁性層表面の平滑性を高めることや記録波長を短くし、記録トラックを小さくすることが有効である。磁性層の薄膜化や高密度記録化と合わせて、記録媒体磁性面の欠陥を最小限に抑制することが不可欠とされている。記録媒体磁性面の欠陥は、支持体の構成が影響を及ぼしている。
磁気記録媒体の構成としては、磁気記録媒体とした際に走行性を高めるべく、二軸配向ポリエステルフィルムの一方の面にバックコート層、そのバックコート層とは反対面に、支持体層の表面に下地層、その下地層の上に、磁性層を設ける構成が一般的である。磁性層面は、データの読み取りヘッドと相対する面であり、磁性層の面が凹凸形状のように粗れている場合、ヘッドと磁性層面にスペーシングロスが生じ電磁変換特性が低下したり、また、バックコート層の面が凹凸形状のように粗いと、磁気記録媒体として巻き取った際に磁性層の表面にその形状が転写することにより磁性面が陥没し発生する、ミッシングパルス(MP)欠陥の増加が生じる。ミッシングパルス(MP)は、読み取ったデータの信号振れ幅が平均振れ幅を低下する現象であり、支持体に磁性層やバックコート層を設け、巻き取った状態で、磁性層の硬化熱処理の際に発生しやすい。
また、加工時の走行性を付与するべく、支持体層には粒子が添加されることが一般的に行われているが、粒子の選択によっては支持体の製造工程や加工工程において粒子の脱落が発生し、磁気記録媒体とした際には、その粒子の脱落が磁性層に影響を与え、データの出力が低下するドロップアウト(DO)欠陥が発生する場合もある。磁気記録媒体は、こうした、電磁変換特性の向上、ミッシングパルス(MP)やドロップアウト(DO)の抑制といった磁気特性が求められており、高容量の記録媒体用の支持体は、磁性面側の平滑化のみでは不十分で、走行性を担保しつつ、走行面側のバックコート層側の平滑化も必要となる。また、支持体の製造工程や加工工程において走行性を担保するため、支持体となる基材中に粒子などを添加することが一般的であるが、バックコート層側や磁性層側を平滑化させると、支持体中の粒子添加を抑制しなければならず、結果、走行性が悪化するため、支持体の製造工程や、支持体を所定の幅に裁断しつつ、規定長まで巻き取るスリット工程で、支持体にシワが発生したり帯電欠陥が発生しやすくなり、製膜安定性や安定供給ができなくなる問題が発生する。
これら問題点に鑑み、様々な検討がなされている。例えば、特許文献1のように、支持体のバックコート層側が平滑である支持体や、特許文献2のように、バックコート層側が粗く磁性層側が平滑である支持体、特許文献3のように、バックコート層側と磁性層側のいずれもが粗い支持体、特許文献4や特許文献5のように、磁性層側とバックコート層がいずれも平滑な支持体が検討されているが、支持体の製膜時・加工時の走行性や磁気特性を両立できるものではなかった。
特に、今日では高容量化に伴い磁気記録媒体そのものの厚みも薄くなり、磁気記録媒体のテープ長さも長尺化している。これに対応して支持体もその長尺化に合わせ長尺化しており、支持体の製造時や加工時においては、短尺であれば磁性特性や走行性に影響は与えにくいが、長尺化するほど、支持体のシワの発生や、上述した磁性層を設け巻き取った後の磁性層の硬化熱処理の際にロールが巻き締りによるミッシングパルス(MP)の発生が磁性層面の欠陥となり、その問題が大きくなってしまうという問題を抱えている。
本発明の目的は、上記従来技術の課題に鑑み、走行性、磁気特性を両立し、詳しくは、シワの発生が少なく、電磁変換特性向上、ミッシングパルス(MP)抑制、ドロップアウト(DO)抑制に優れたポリエステルフィルム、磁気記録媒体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記目的を達成する本発明は以下の第1の発明および第2の発明により得られる。
<第1の発明>
(1)磁性層を設ける面(A面)を構成する最外層(A層)と、A面とは反対側にバックコート層を設ける面(B面)を構成する最外層(B層)を有するフィルムであって、B面の表面粗さSRaが4nm以上8nm以下、突起高さが0.35μmを超える突起個数が0.01個/0.05mm2以上、0.4個/0.05mm2以下であるポリエステルフィルム。
(2)前記A面の表面粗さSRaが1nm以上5nm以下であり、突起高さが0.1μm以上の突起個数が0.01個/0.05mm2以上、0.8個/0.05mm2以下である(1)に記載のポリエステルフィルム。
(3)前記B層は、少なくとも粒子I、粒子IIおよび粒子IIIを含有する層であり、粒子Iの一次平均粒子径(Bd1)が0.005μm以上0.10μm未満、粒子IIの一次平均粒子径(Bd2)は、0.1μm以上0.6μm未満、粒子IIIの一次平均粒子径(Bd3)が、0.6μm以上1.2μm以下であり、B層に対して、粒子Iは、0.1質量%以上5.0質量%以下、粒子IIは、0.005質量%以上0.5質量%以下、粒子IIIは、0.00001質量%以上0.01質量%含有してなる(1)または(2)に記載のポリエステルフィルム。
(4)前記B層の厚み(Bw)と前記粒子IIIの一次平均粒子径(Bd3)が下記の関係式を満たす(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
0.4<Bd3/Bw<1.8
(5)塗布型磁気記録媒体用に用いる(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルムに、前記A面に磁性層を、前記B面にバックコート層を設けてなる磁気記録媒体。
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載のポリエステルフィルムの長さが7,000m以上であり、該フィルムをコアに巻き取ってなるポリエステルフィルムロール。
(8)(6)に記載の磁気記録媒体の長さが7,000m以上であり、該磁気記媒体をコアに巻き取ってなる磁気記録媒体ロール。
<第2の発明>
(9)磁性層を設ける面(A面)を構成する最外層(A層)と、A面とは反対側にバックコート層を設ける面(B面)を構成する最外層(B層)を有するフィルムであって、B面の表面粗さSRaが4nm以上8nm以下、B面のバックコート層の厚みより大きい突起高さの突起個数が0.01個/0.05mm2以上、0.4個/0.05mm2以下である塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
(10)前記A面の表面粗さSRaが1nm以上5nm以下であり、突起高さが0.1μm以上の突起個数が0.01個/0.05mm2以上、0.8個/0.05mm2以下である(9)に記載の塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
(11)前記B層は、少なくとも粒子I、粒子IIおよび粒子IIIを含有する層であり、粒子Iの一次平均粒子径(Bd1)が0.005μm以上0.10μm未満、粒子IIの一次平均粒子径(Bd2)は、0.1μm以上0.6μm未満、粒子IIIの一次平均粒子径(Bd3)が、0.6μm以上1.2μm以下であり、B層に対して、粒子Iは、0.1質量%以上5.0質量%以下、粒子IIは、0.005質量%以上0.5質量%以下、粒子IIIは、0.00001質量%以上0.01質量%含有してなる(9)または(10)に記載の塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
(12)前記B層の厚み(Bw)と前記粒子IIIの一次平均粒子径(Bd3)が下記の関係式を満たす(9)〜(11)のいずれかに記載の塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
0.4<Bd3/Bw<1.8
(13)(9)〜(12)のいずれかに記載の塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルムに、前記A面に磁性層を、前記B面にバックコート層を設けてなる塗布型磁気記録媒体。
(14)前記バックコート層の厚みが0.3〜0.4μmである(13)に記載の塗布型磁気記録媒体。
(15)(9)〜(12)のいずれかに記載の塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの長さが7,000m以上であり、該フィルムをコアに巻き取ってなる塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルムロール。
(16)(13)または(14)のいずれかに記載の塗布型磁気記録媒体の長さが7,000m以上であり、該塗布型磁気記媒体をコアに巻き取ってなる塗布型磁気記録媒体ロール。
<第1の発明>
(1)磁性層を設ける面(A面)を構成する最外層(A層)と、A面とは反対側にバックコート層を設ける面(B面)を構成する最外層(B層)を有するフィルムであって、B面の表面粗さSRaが4nm以上8nm以下、突起高さが0.35μmを超える突起個数が0.01個/0.05mm2以上、0.4個/0.05mm2以下であるポリエステルフィルム。
(2)前記A面の表面粗さSRaが1nm以上5nm以下であり、突起高さが0.1μm以上の突起個数が0.01個/0.05mm2以上、0.8個/0.05mm2以下である(1)に記載のポリエステルフィルム。
(3)前記B層は、少なくとも粒子I、粒子IIおよび粒子IIIを含有する層であり、粒子Iの一次平均粒子径(Bd1)が0.005μm以上0.10μm未満、粒子IIの一次平均粒子径(Bd2)は、0.1μm以上0.6μm未満、粒子IIIの一次平均粒子径(Bd3)が、0.6μm以上1.2μm以下であり、B層に対して、粒子Iは、0.1質量%以上5.0質量%以下、粒子IIは、0.005質量%以上0.5質量%以下、粒子IIIは、0.00001質量%以上0.01質量%含有してなる(1)または(2)に記載のポリエステルフィルム。
(4)前記B層の厚み(Bw)と前記粒子IIIの一次平均粒子径(Bd3)が下記の関係式を満たす(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
0.4<Bd3/Bw<1.8
(5)塗布型磁気記録媒体用に用いる(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルムに、前記A面に磁性層を、前記B面にバックコート層を設けてなる磁気記録媒体。
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載のポリエステルフィルムの長さが7,000m以上であり、該フィルムをコアに巻き取ってなるポリエステルフィルムロール。
(8)(6)に記載の磁気記録媒体の長さが7,000m以上であり、該磁気記媒体をコアに巻き取ってなる磁気記録媒体ロール。
<第2の発明>
(9)磁性層を設ける面(A面)を構成する最外層(A層)と、A面とは反対側にバックコート層を設ける面(B面)を構成する最外層(B層)を有するフィルムであって、B面の表面粗さSRaが4nm以上8nm以下、B面のバックコート層の厚みより大きい突起高さの突起個数が0.01個/0.05mm2以上、0.4個/0.05mm2以下である塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
(10)前記A面の表面粗さSRaが1nm以上5nm以下であり、突起高さが0.1μm以上の突起個数が0.01個/0.05mm2以上、0.8個/0.05mm2以下である(9)に記載の塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
(11)前記B層は、少なくとも粒子I、粒子IIおよび粒子IIIを含有する層であり、粒子Iの一次平均粒子径(Bd1)が0.005μm以上0.10μm未満、粒子IIの一次平均粒子径(Bd2)は、0.1μm以上0.6μm未満、粒子IIIの一次平均粒子径(Bd3)が、0.6μm以上1.2μm以下であり、B層に対して、粒子Iは、0.1質量%以上5.0質量%以下、粒子IIは、0.005質量%以上0.5質量%以下、粒子IIIは、0.00001質量%以上0.01質量%含有してなる(9)または(10)に記載の塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
(12)前記B層の厚み(Bw)と前記粒子IIIの一次平均粒子径(Bd3)が下記の関係式を満たす(9)〜(11)のいずれかに記載の塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
0.4<Bd3/Bw<1.8
(13)(9)〜(12)のいずれかに記載の塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルムに、前記A面に磁性層を、前記B面にバックコート層を設けてなる塗布型磁気記録媒体。
(14)前記バックコート層の厚みが0.3〜0.4μmである(13)に記載の塗布型磁気記録媒体。
(15)(9)〜(12)のいずれかに記載の塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの長さが7,000m以上であり、該フィルムをコアに巻き取ってなる塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルムロール。
(16)(13)または(14)のいずれかに記載の塗布型磁気記録媒体の長さが7,000m以上であり、該塗布型磁気記媒体をコアに巻き取ってなる塗布型磁気記録媒体ロール。
本発明により、走行性、磁気特性を両立し、詳しくは、シワの発生が少なく、電磁変換特性に優れ、ミッシングパルス(MP)抑制、ドロップアウト(DO)抑制も可能なポリエステルフィルム、磁気記録媒体を提供することができる。
以下、本発明のポリエステルフィルムの形態について説明する。
まず、本発明のポリエステルフィルムとは、磁気記録媒体の支持体として用いられるフィルムであり、特に磁気特性を付与する製造過程において、ポリエステルフィルムを支持体とし、該支持体上に塗布された塗材(例えば磁気記録用の磁性粉を含有した分散体など)を乾燥させることにより塗膜を形成させる塗布型磁気記録媒体の支持体として好適に用いられる。
本発明に用いることができるポリエステルとしては、分子配向により高強度フィルムとなるポリエステルであれば特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを構成成分とすることが好ましい。
本発明では、外観、耐熱性、寸法安定性、経済性の点から、特にポリエステルの主成分がポリエチレンテレフタレートであることが好ましく、ポリエステル全体の50質量%以上、さらには60質量%以上がポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。より具体的にはポリエステルを構成するグリコール単位の60モル%以上がエチレングリコール由来の構造単位であり、ジカルボン酸単位の60モル%以上がテレフタル酸由来の構造単位であることが好ましい。なお、ここで、ジカルボン酸単位(構造単位)あるいはジオール単位(構造単位)とは、重縮合によって除去される部分が除かれた2価の有機基を意味し、要すれば、以下の一般式で表される。
ジカルボン酸単位(構造単位): −CO−R−CO−
ジオール単位(構造単位): −O−R’―O−
(ここで、R、R’は二価の有機基)
なお、トリメリット酸単位やグリセリン単位など3価以上のカルボン酸あるいはアルコール並びにそれらの誘導体が含まれる場合は、3価以上のカルボン酸あるいはアルコール単位(構造単位)についても、同様に、重縮合によって除去される部分が除かれた3価以上の有機基を意味する。
ジオール単位(構造単位): −O−R’―O−
(ここで、R、R’は二価の有機基)
なお、トリメリット酸単位やグリセリン単位など3価以上のカルボン酸あるいはアルコール並びにそれらの誘導体が含まれる場合は、3価以上のカルボン酸あるいはアルコール単位(構造単位)についても、同様に、重縮合によって除去される部分が除かれた3価以上の有機基を意味する。
本発明に用いるポリエステルを与える、グリコールあるいはその誘導体としては、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、それらの誘導体が挙げられる。中でも、耐熱性、取り扱い性の点で、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが好ましく用いられる。
また、本発明に用いるポリエステルを与えるジカルボン酸あるいはその誘導体としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、並びに、それらの誘導体を挙げることができる。ジカルボン酸の誘導体としてはたとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどのエステル化物を挙げることができる。中でも、耐熱性、取り扱い性の点で、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、および、それらのエステル化物が好ましく用いられる。
また本発明では、寸法安定性の低下を防ぐために、または配向度を調整するために、ポリエステルとは異なる熱可塑性樹脂(以下、耐熱性熱可塑性樹脂ということがある)を含有することもできる。耐熱性熱可塑性樹脂としては、ポリイミド系樹脂(ポリエーテルイミドを含む)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレートが挙げられる。これらの中でも、ポリエステルとの親和性及び溶融成形性の観点から、ポリイミド系樹脂、特にポリエーテルイミドが好ましく例示される。
本発明のポリエステルフィルムは、磁性層を設ける面(A面)を構成する最外層(A層)と、A面とは反対側にバックコート層を設ける面(B面)を構成する最外層(B層)を有するフィルムである。A面とB面の構成は、同一であってもよく、別の面構成であってもよい。それぞれの面を形成するフィルムの層構成は、A面を形成する層と、B面を形成する層の2層構成である他、それらの層は同一の構成で形成される層であっても異なる層であってもよく、それぞれの面を構成する層を最表層とし中間層を有する2層以上の層構成であってもよい。これは、磁気記録媒体の支持体として用いたときに、A面を磁性層を設ける面、B面をバックコート層を設ける面とした場合に、いずれにも走行性を付与することが容易になるからである。
なお、本発明のポリエステルフィルムにおいて、2層以上の層構成を有するとは、少なくとも本発明の構成要件とするA面およびB面の2層の層が存在することを意味し、中間層を1層以上とする3層や4層など、あるいはそれ以上の多層積層構成であっても構わない。これらの層は、塗布層により構成されていてもよいが、共押出により形成された層であることが好ましい。
また、この2層構成の一方の表面や両表面に、本発明の面形状に影響を及ぼさない場合やその影響が軽微である場合は、塗布層を設けることもできる。
本発明のポリエステルフィルムは、塗布型磁気記録媒体用に用いられ、磁性層を設ける面(A面)を構成する最外層(A層)と、A面とは反対側にバックコート層を設ける面(B面)を構成する最外層(B層)を有するフィルムとすることができる。
次に、第一の発明について説明する。
本発明のポリエステルフィルムは、B面の表面粗さSRaが4nm以上8nm以下、0.35μmを超える突起個数が0.01個/0.05mm2以上、0.4個/0.05mm2以下であることが重要である。
磁気記録媒体の製造工程は、本発明のポリエステルフィルムのA面に、下地層、その上に磁性層、反対面のB面には、バックコート層をそれぞれ塗布した後、乾燥させロールにまきとられる。バックコート層が設けられるポリエステルフィルムのB面の表面粗さSRa(バードスキャンによる測定値、以下同様)が4nm以上8nm以下であると、フィルムの製造工程、磁気記録媒体の製造工程時の走行性がよくシワの発生が抑制され、磁気記録媒体とした際の電磁変換特性も向上する。B面の表面粗さSRaが4nm未満であると、磁気記録媒体とした際の磁性特性は向上するが、フィルムの製造工程、磁気記録媒体の製造工程時の走行性が低下しシワが発生しやすい。また、B面の表面粗さSRaが8nmを超えると、フィルムの製造工程、磁気記録媒体の製造工程時の走行性は向上しシワは発生しにくいが、磁気記録媒体とした際にB面側の粗さが磁性層側に転写し、ミッシングパルス(MP)を引き起こす欠陥を与えてしまう場合がある。磁気記録媒体の製造工程には、磁性層、バックコート層を設けた後、特に、磁性層を硬化させるために、ロールに巻き取られた状態で処理が行われる。その際、巻き取られたフィルムが巻き締まり、ロールの径方向に応力が発生する。ロール径方向の応力によって、特にロールの巻き取り軸となるコアの巻芯側では磁性層(A面側)とバックコート層(B面側)が強く圧縮される。そのため、バックコート層(B面)側の表面に凹凸形状があると、磁性層表面にその凹凸が転写し、転写した凹凸が磁気記録媒体としたときに、読み取りヘッドと磁性層の間隙を不安定にさせ、ミッシングパルス(MP)が発生し、磁気記録媒体の性能低下をもたらす。
また、後述するが、粒子によりB面の表面粗さSRaを調整する場合は、B面側の粒子がB面を構成する層に対して粗く、フィルムの製造工程時、磁気記録媒体の製造工程時に粒子が脱落しやすくなる。フィルムの製造工程でフィルムを巻き取るため、B面側から脱落した粒子はA面側に転写し、磁性層をA面側に設ける際、その粒子が磁性層の塗布性を阻害し磁気記録媒体とした際のドロップアウト(DO)を発生させる原因となる。そのため、本発明のポリエステルフィルムは、B面の表面の凹凸形状を管理することが重要であり、B面の表面粗さSRaが8nmを超えると、後述するB面の突起個数も制御しにくくなる。
本発明のポリエステルフィルムを構成するB面は、突起高さが0.35μmを超える突起個数が0.01個/0.05mm2以上、0.4個/0.05mm2以下であることが重要である。上述したとおり、B面の表面粗さSRaも突起個数同様に、走行性、磁気特性を担保するものであるが、本発明は、ただ単にSRaを制御するだけでは、走行性、磁気特性を向上せしめるには不十分であり、該突起個数を管理するに至ったものである。本発明のポリエステルフィルムの特徴は、走行性を維持できる粗さを有しながら、磁気記録媒体の製造工程時に、磁気特性に代表される電磁変換特性およびミッシングパルスを抑制するために、B面の表面粗さと突起個数を制御することにある。第1の発明において、突起高さが0.35μmを超える突起個数を制御するのは、塗布型磁気記録媒体には、バックコート層の厚みが0.35μmを基準とされているものが多く、バックコート層の厚みよりも大きい突起個数を管理するものである。また、突起の高さの上限は、0.5μm以下であることが好ましく、0.5μmを超える突起はないことが好ましい。
突起高さが0.35μmを超える突起個数が0.01個/0.05mm2未満であると、磁気記録媒体の製造工程時の走行性が低下しシワが発生し磁気特性も低下しやすい。また、0.4個/0.05mm2を超えると、磁気記録媒体の製造工程時に走行性が向上し、シワの発生は抑制されるが、特にミッシングパルス(MP)が悪化する傾向にある。ミッシングパルス(MP)について、バックコート層の凹凸は支持体として用いるフィルムの表面形状の影響を大きく受けるため、B面の突起個数を管理することが有効である。
また、第1の発明の構成とすることで、磁気記録媒体の製造工程時以外にも、フィルムの製造工程時の、巻き取り工程でフィルムを巻き取る際のシワの発生を抑制することができる。
特に、バックコート層の表面粗さSRaは、本発明のポリエステルフィルムのB面の表面粗さSRaより±2nm以内の範囲の差であることが好ましく、さらに好ましくは、±1nm以下の差であることが好ましい。バックコート層の表面粗さSRaが、本発明のポリエステルフィルムのB面の表面粗さSRaより±2nmの差を超えると、本発明のポリエステルフィルムの突起個数を管理する効果が低減し、ミッシングパルス(MP)の抑制効果が低減する。また、磁性層の表面粗さSRaは、本発明のポリエステルフィルムのA面の表面粗さSRaより±3nm以内の範囲の差であることが好ましく、さらに好ましくは、±2nm以下の範囲の差であることが好ましい。磁性層の表面粗さSRaが、本発明のポリエステルフィルムのA面の表面粗さSRaより±3nmの差を超えると、本発明のポリエステルフィルムの突起個数を管理する効果が低減しやすくなり、走行性が低減する。
次に、本発明の第2の発明について説明する。
第2の発明は、B面の表面粗さSRaが4nm以上8nm以下、B面のバックコート層の厚みより大きい突起高さの突起個数が0.01個/0.05mm2以上、0.4個/0.05mm2以下である塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルムである。
第1の発明と同様に、磁気記録媒体の製造工程は、本発明のポリエステルフィルムのA面に、下地層、その上に磁性層、反対面のB面には、バックコート層をそれぞれ塗布した後、乾燥させロールにまきとられる。ポリエステルフィルムのB面の表面粗さSRaが4nm以上8nm以下であると、フィルムの製造工程、磁気記録媒体の製造工程時の走行性がよく、シワの発生が抑制され、磁気記録媒体とした際の磁気特性も向上する。B面の表面粗さSRaが4nm未満であると、磁気記録媒体とした際の磁性特性は向上するが、フィルムの製造工程、磁気記録媒体の製造工程時の走行性が低下しシワが発生しやすい。また、B面の表面粗さSRaが8nmを超えると、フィルムの製造工程、磁気記録媒体の製造工程時の走行性は向上しシワは発生しにくいが、磁気記録媒体とした際にB面側の粗さが磁性層側に転写し、ミッシングパルス(MP)を引き起こす欠陥を与えてしまう場合がある。磁気記録媒体の製造工程には、磁性層、バックコート層を設けた後、特に、磁性層を硬化させる時にロールの径方向に応力が発生する。ロール径方向の応力によって、特にロールの巻き取り軸となるコアの巻芯側では磁性層(A面側)とバックコート層(B面側)が強く圧縮される。そのため、バックコート層(B面)側の表面に凹凸形状があると、磁性層表面にその凹凸が転写し、転写した凹凸が磁気記録媒体としたときに、読み取りヘッドと磁性層の間隙を不安定にさせ、ミッシングパルス(MP)が発生し、磁気記録媒体の性能低下をもたらす。
また、後述するが、粒子によりB面の表面粗さSRaを調整する場合は、B面側の粒子がB面を構成する層に対して粗く、フィルムの製造工程時、磁気記録媒体の製造工程時に粒子が脱落しやすくなる。フィルムの製造工程でフィルムを巻き取るため、B面側から脱落した粒子はA面側に転写し、磁性層をA面側に設ける際、その粒子が磁性層の塗布性を阻害し磁気記録媒体とした際のドロップアウト(DO)を発生させる原因となる。そのため、本発明のポリエステルフィルムは、B面の表面の凹凸形状を管理することが重要であり、B面の表面粗さSRaが8nmを超えると、後述する、B面の突起個数も制御しにくくなる。
本発明のポリエステルフィルムを構成するB面は、B面のバックコート層の厚みより大きい突起高さの突起個数が0.01個/0.05mm2以上、0.4個/0.05mm2以下であることが重要である。
上述したとおり、B面の表面粗さSRaも突起個数同様に、走行性、磁気特性を担保するものであるが、本発明は、ただ単にSRaを制御するだけでは、走行性、磁気特性を良化させることはできず、該突起個数を管理するに至ったものである。本発明のポリエステルフィルムは、走行性を維持できる粗さを有しながら、磁気記録媒体の製造工程時に、磁気特性に代表される電磁変換特性およびミッシングパルスを抑制するためには、B面の表面粗さと突起個数を制御することが重要となる。第2の発明において、B面のバックコート層の厚みより大きい突起高さの突起個数を制御する。また、突起の高さの上限は、0.5μm以下であることが好ましく、0.5μmを超える突起はないことが好ましい。
B面のバックコート層の厚みより大きい突起高さの突起個数が0.01個/0.05mm2未満であると、磁気記録媒体の製造工程時の走行性が低下しシワが発生し磁気特性も低下する。また、0.4個/0.05mm2を超えると、磁気記録媒体の製造工程時に走行性が向上し、シワの発生は抑制されるが、特にミッシングパルス(MP)が悪化する傾向にある。ミッシングパルス(MP)について、バックコート層の凹凸は支持体として用いるフィルムの表面形状の影響を大きく受けるため、B面の突起個数を管理することが有効である。B面の突起個数を本発明の範囲とするには、B面を構成する層に粒子を添加しなければ、B面のバックコート層の厚みより大きい突起高さの突起個数は形成されにくくなるが、フィルム表面粗さSRaが4nm未満となったり、B面のバックコート層の厚みより大きい突起高さの突起個数が0.01個/0.05mm2以上を満たすことが難しくなる。
第2の発明の構成とすることで、フィルムの製造工程時、磁気記録媒体の製造工程時以外にも、フィルムを巻き取った後のフィルムロールの硬度低下によるシワの発生を抑制することができる。
さらに、第2の発明のポリエステルフィルムは、バックコート層の厚みが0.3μm以上0.4μm以下の磁気記録媒体に好適に用いることができる。
特に、バックコート層の表面粗さSRaは、本発明のポリエステルフィルムの表面粗さSRaより±2nm以内の範囲の差であることが好ましく、さらに好ましくは、±1nm以下の差であることが好ましい。バックコート層の表面粗さSRaが、本発明のポリエステルフィルムの表面粗さSRaより±2nmの差を超えると、本発明のポリエステルフィルムの突起個数を管理する効果が低減し、ミッシングパルス(MP)の抑制が低減する。また、磁性層の表面粗さSRaは、本発明のポリエステルフィルムの表面粗さSRaより±3nm以内の範囲の差であることが好ましく、さらに好ましくは、±2nm以下の範囲の差であることが好ましい。磁性層の表面粗さSRaが、本発明のポリエステルフィルムの表面粗さSRaより±3nmの差を超えると、本発明のポリエステルフィルムの突起個数を管理する効果が低減しやすくなり、走行性が低減する。
以下、第1の発明及び第2の発明のポリエステルフィルムについて共通する事項を説明する。
本発明のポリエステルフィルムのA面は、表面粗さSRaが1nm以上5nm以下であることが好ましく、A面は突起高さが0.1μm以上の突起個数(個数密度)が0.01個/0.05mm2以上、0.8個/0.05mm2以下であることが好ましい。該範囲を満たすことで、走行性、磁気特性が両立されやすい。
ポリエステルフィルムのA面のSRaが1nm未満であると、フィルムの製造工程時、磁気記録媒体の製造工程時に走行性が悪くなり、シワが発生しやすくなる。また、A面は、磁性層を設ける面として使用されるため、電磁変換特性は本来向上する方向であるが、シワが発生するため、却って電磁変換特性が低下する傾向にある。ポリエステルフィルムのA面のSRaが5nmを超えると、フィルムの製造工程時、磁気記録媒体の製造工程時の走行性は向上するが、表面が粗くなるため、電磁変換特性が低下し、磁気特性が低下する傾向にある。ポリエステルフィルムのA面のSRaは、好ましくは1.2nm以上3.5nm以下である。
また、本発明のポリエステルフィルムのA面の突起高さが0.1μm以上の突起個数が0.01個/0.05mm2未満であると、電磁変換特性は向上するが、走行性が低下するためシワが発生し磁気特性が低下する傾向にある。また、A面の突起高さが0.1μm以上の突起個数が0.8個/0.05mm2を超えると、走行性は向上するが、磁気変換特性やドロップアウト(DO)が発生しやすくなり磁気特性も低下する傾向にある。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルフィルムの総厚みは、3.0μm以上8.0μm以下が好ましく、A面を構成する層(A層)の厚みは、2.5μm以上6.5μm以下であることが好ましく、B面を構成する層(B層)の厚みは、0.5μm以上1.5μm以下であることが好ましい。該範囲とすることで、磁気記録媒体、例えば、磁気記録テープ1巻あたりのテープ長さを十分に確保できるので、磁気テープの高容量化を実現しやすくなる。
また、第1の発明のB面において、突起高さが0.35μmを超える突起個数、第2の発明のB面において、バックコート層の厚みより大きい突起高さの突起個数を本発明の範囲に制御するために、B面を構成する層の厚み(Bw)とB面を構成する層(B層)に添加する粒子III(詳細は後述)の一次平均粒子径(Bd3)は次式の関係を満たしていることが好ましい。
0.4<Bd3/Bw<1.8
第1の発明のB面の突起高さが0.35μmを超える突起個数、第2の発明のB面のバックコート層の厚みより大きい突起高さの突起個数とするためには、後述するフィルムの製膜工程において、高温で多段に延伸する方法が有効である。フィルムの製造工程における延伸温度が低温で延伸速度が高いとフィルム強度は高くなるが、表面側の粒子が隆起しやすくなり高い突起が形成される傾向がある。
第1の発明のB面の突起高さが0.35μmを超える突起個数、第2の発明のB面のバックコート層の厚みより大きい突起高さの突起個数とするためには、後述するフィルムの製膜工程において、高温で多段に延伸する方法が有効である。フィルムの製造工程における延伸温度が低温で延伸速度が高いとフィルム強度は高くなるが、表面側の粒子が隆起しやすくなり高い突起が形成される傾向がある。
本発明のポリエステルフィルムのB面を上述した第1の発明、第2の発明の構成とするための手法として、B面を構成する層に粒子を添加し、その粒子の粒子径や含有量、B層厚みを調整することで達成しやすくなる。本発明のポリエステルフィルムのB面を構成する層(B層)は、少なくとも粒子I、粒子IIおよび粒子IIIを含有する層であり、粒子Iの一次平均粒子径(Bd1)が0.005μm以上0.10μm未満、粒子IIの一次平均粒子径(Bd2)は、0.1μm以上0.6μm未満、粒子IIIの一次平均粒子径(Bd3)が、0.6μm以上1.2μm以下であることが好ましい。
粒子Iとしては、一次平均粒子径が0.005μm以上0.10μm未満、好ましくは0.01μm以上0.05μm以下の粒子が好ましい。粒子IIとしては、一次平均粒子径が、0.1μm以上0.6μm未満、好ましくは、0.2μm以上0.5μm以下の粒子で好ましい。粒子IIIとしては、一次平均粒子径が、0.6μm以上1.2μm以下、好ましくは、0.6μm以上1.0μm以下である粒子が好ましい。
粒子I乃至粒子IIIの粒子種は、特に限定されるものではなく、無機粒子、有機粒子、もしくはそれらの混合でもよく、公知のものを用いることができる。例えば、粒子Iは、α型アルミナ、γ型アルミナ、δ型アルミナ、θ型アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタン粒子等から選ばれる不活性無機粒子、粒子IIおよび粒子IIIは、例えばポリスチレン粒子、ジビニルベンゼン粒子などの有機粒子を用いることができる。
また、これら粒子は、B層に対して、粒子Iは、0.1質量%以上5.0質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上4.0質量%以下、粒子IIは、0.005質量%以上0.5質量%以下、より好ましくは、0.01質量%以上0.03質量%以下、粒子IIIは、0.00001質量%以上0.01質量%以下、より好ましくは0.0001質量%以上0.005質量%の範囲で、それぞれ含有することが好ましい。
B面を構成する最外層(B層)に、粒子Iを添加することで粒子IIおよび粒子IIIによる表面析出を抑制し、B面の突起個数を制御しやすくなり、ミッシングパルス(MP)の発生を抑制することが可能となる。粒子Iの含有量がB面を構成する最外層(B層)に対して0.1質量%より少ない場合は、本発明のB面の突起個数が高くなる傾向にある。粒子Iの含有量が0.1質量%未満であると、走行性も低下する傾向にあるためシワが発生しやすくなる。粒子Iは、粒子II、粒子IIIの一次平均粒子径に比べて小径粒子であり、粒子IIおよび粒子IIIが点在する間に介在し、本発明のポリエステルフィルムのB面を制御しやすくさせる。粒子Iのみの場合では、本発明のB面の表面粗さ、突起個数を制御しにくく、本発明においては、粒子Iおよび粒子II、粒子IIIを併用することが有用である。一方、粒子IがB面を構成する層(B層)に対して、5質量%より多い場合は、B面の表面が粗大突起が生じて表面粗さSRaが高くなったり、粒子Iと粒子IIおよび粒子IIIを併用すると、粒子IIや粒子IIIがB面表層に押し上げられ、表面粗さが高く、さらには、B面の突起個数も高くなるため、磁気記録媒体とした際のミッシングパルス(MP)の発生を抑制しにくくなる。また、粒子Iの含有量が5質量%を超えると、フィルムの製造工程時において、粒子Iや他の併用する粒子IIや粒子IIIも脱落しやすくなり、フィルムを巻き取った後にA面側に粒子が付着することで、A面に磁性層を設ける際に粒子により塗布ハジキを発生させ、磁気記録媒体とした際のドロップアウト(DO)の発生がしやすくなってしまう。
粒子IIについて、B面を構成する層(B層)に対して、粒子IIの含有量が0.005質量%未満であると、B面の表面粗さSRaが4nm未満となりやすくなる。また、0.5質量%を超えると、B面の突起個数が0.4個/0.05mm2以下とすることが難しくなる。
粒子IIIについて、B面を構成する層(B層)に対して、粒子IIIの含有量が0.00001質量%未満であると、突起個数が0.01個/0.05mm2以上とすることが難しくなる。0.005質量%を超えると、0.4個/0.05mm2以下とすることが難しくなる。
本発明のB面の表面粗さSRaおよびB面の突起個数は、B面を構成する層(B層)に対して、粒子I乃至粒子IIIを併用することでB面の構成としやすくなる。
本発明のポリエステルフィルムのA面の表面粗さSRaを1nm以上5nm以下とし、高さが0.1μm以上の突起個数を0.01個/0.05mm2以上、0.8個/0.05mm2以下とするため、A面を構成する最外層(A層)に不活性粒子を添加することが好ましい。上述したB面を構成する最外層(B層)に添加される粒子Iの他、粒子IVとして、一次平均粒子径を0.01μm以上0.6μm以下、さらには、0.02μm以上0.4μm以下とした粒子を併用することで達成しやすくなる。
粒子IVの粒子種は、粒子IIまたはIIIと同様の有機粒子を用いることができる。粒子Iの含有量は、A面を構成する層(A層)に対して、0.01質量%以上1.0質量%以下であるのが好ましく、0.05質量%以上0.9質量%以下であるのがより好ましい。粒子IVの含有量は、A面を構成する層(A層)に対して、0.005質量%以上0.5質量%以下であるのが好ましく、0.01質量%以上0.3質量%以下であるのがより好ましい。粒子Iを添加することで、粒子IVの分散を良好なものとせしめることができ、また、フィルム製造時のキズの発生を抑制させることができ、他粒子の脱落も抑制しやすくなる。また、粒子IVを添加することで、フィルムの製造工程時、磁気記録媒体の製造工程時における走行性を向上させることができる。一般に、添加する粒子の平均粒子径を小さくもしくは添加量を少なくすればするほど、表面粗さSRaは小さくなり、添加する粒子の一次平均粒子径を大きく、もしくは添加量を多くするほど表面粗さSRaが大きくなる傾向にある。そのため、磁気記録用媒体用の支持体において磁性層側の面となるA面を構成する最外層(A層)に、一次平均粒子径が0.6μm以下の粒子を含有せしめることで、磁性層の表面を平滑化させ、電磁変換特性の低下を抑制することができるので、電磁特性が向上しやすい。
本発明のフィルムに添加される粒子Iは、粒子径状及び粒子分布の均一なものが好ましく、その体積形状係数fが、0.3〜π/6であることが好ましく、0.4〜π/6であることがより好ましい。体積形状係数fは、次式で表される。
f=V/Dm3
ここで、Vは粒子体積(μm3)であり、Dmは粒子の投影面における最大径(μm)である。
ここで、Vは粒子体積(μm3)であり、Dmは粒子の投影面における最大径(μm)である。
なお、体積形状係数fは、粒子が球のときに最大のπ/6(=0.52)となる。不活性粒子は、必要に応じて、粗大粒子や介在物を除去するために濾過等を行われることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムの長手方向のヤング率は、4GPa以上12GPa以下であることが好ましい。長手方向のヤング率が4GPa以上であると、磁気記録媒体とした際の、例えば磁気テープドライブ内での長手方向への張力によってフィルムが長手方向に伸び、この伸び変形によりフィルムが幅方向に収縮することによる記録トラックずれを抑制できるので好ましい。また、長手方向のヤング率が12GPa以下であれば、磁気記録媒体とした際の、テープドライブ内でのテープの擦れによるエッジダメージを抑制できるので好ましい。フィルムの長手方向のヤング率は、4.2GPa以上、10GPa以下であることが好ましく、さらには4.4GPa以上8GPa以下であることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムの長手方向とは垂直な方向(幅方向)のヤング率は、4GPa以上12GPa以下であることが好ましい。幅方向のヤング率が4GPa以上であると、エッジダメージを抑制でき、12GPa以下であれば、十分な長手方向のヤング率が得られ、フィルムの破断など発生しにくくなる。幅方向のヤング率は、5GPa以上11GPa以下、さらに好ましくは、6GPa以上10GPa以下である。
なお、本発明において長手方向とは、ポリエステルフィルムの製造工程時のフィルムの走行方向を指す。
本発明のフィルムは、例えば次のように製造される。以下、ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた例を代表例として説明するが、本発明は特にこれらに限定されるものではない。
ポリエステルに粒子I乃至粒子IVを含有させる方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに粒子を所定の割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールスラリーをポリエステル重合完結前の任意段階で添加することが挙げられる。粒子の分散性を向上するために、原料チップ内の粒子マスター濃度を低下させることが有効である。
以上のようにして準備した、粒子を含有したポリエステルペレット、及び粒子等を実質的に含有しないポリエステルペレットを所定の割合で混合し、乾燥した後、公知の溶融積層用押出機に供給し、ポリマーをフィルターにより濾過する。
また、磁性層が非常に薄く積層塗布される塗布型の高密度磁気記録媒体用途においては、ごく小さな異物も磁気記録欠陥であるDO(ドロップアウト)の原因となることと、フィルターろ過中の粒子の再凝集を防止するために、フィルターには例えば大きさが1.5μm以上の異物を95%以上捕集することのできる高精度の繊維焼結ステンレスフィルターを用いることが有効である。続いてスリット状のスリットダイからシート状にポリマーを押し出し、キャスティングロール上でこのポリマーを冷却固化させて未延伸フィルムとする。すなわち、複数の押出機、複数のマニホールド又は合流ブロック(例えば矩形合流部を有する合流ブロック)を用いて必要な層数を積層させ、口金からシートを押し出して、キャスティングロールで冷却させて未延伸フィルムを得る。この場合、背圧の安定化及び厚さ変動の抑制の観点からは、ポリマー流路にスタティックミキサーやギアポンプを設置することが有効である。
続いて、上記未延伸フィルムを長手方向と幅方向の二軸に延伸した後、熱処理する。延伸工程は、特に限定されないが、各方向において2段階以上に分けて延伸することが好ましい。すなわち、再縦、再横延伸を行うことが高密度記録の磁気テープとして最適な高強度のフィルムが得られやすいため好ましい。
延伸方法は、同時二軸延伸であっても、逐次二軸延伸であってもよい。同時二軸延伸においてはロールによる延伸を伴わないため、フィルム表面の局所的な加熱が発生せず、表面性が制御しやすく、延伸方法としてより好ましい。同時二軸延伸においては、未延伸フィルムを、まず長手方向及び幅方向に、延伸温度を例えば80〜160℃、好ましくは85〜130℃、さらに好ましくは90〜110℃として同時に延伸する。延伸温度を80℃以上とすることによりフィルムの破断を抑制できるので好ましく、延伸温度を160℃以下とすることにより磁気記録媒体として用いたときに十分な強度が得られるので好ましい。また、延伸ムラを防止する観点から、長手方向及び幅方向の合計延伸倍率は、例えば8〜30倍、好ましくは9〜28倍、さらに好ましくは10〜26倍とすることが好ましい。延伸倍率を8倍以上とすることにより、高密度磁気記録媒体用として十分な強度が得られるので好ましい。また、延伸倍率を30倍以下とすることにより、製造過程でフィルムが破れてしまうのを抑制できるので好ましい。高密度磁気記録媒体に必要な強度を得るとの観点からは、必要に応じて、好ましくは温度140〜210℃で、より好ましくは160〜200℃で、再度長手方向及び/又は幅方向に、好ましくは1.05〜1.8倍、より好ましくは1.2〜1.6倍で延伸を行うことが好ましい。延伸倍率が1.05倍以上であることにより十分な強度が得られるので好ましく、延伸倍率が1.8倍以下であることにより製造過程でフィルムが破れてしまうのを抑制できるので好ましい。その後、例えば180〜235℃で、好ましくは190〜220℃で、例えば0.5〜20秒間、好ましくは1〜15秒間熱固定を行う。熱固定温度が180℃以上であることにより、フィルムの結晶化が進んで構造を安定にできるので好ましい。また、熱固定温度を235℃以下とすることにより、ポリエステル非晶鎖部分の緩和が進むことに伴うヤング率の低下を抑制できるので、磁気記録媒体用途として十分な強度を得るとの観点から好ましい。その後長手方向及び/又は幅方向に0.5〜7.0%の弛緩処理を施し冷却し得られたポリエステルフィルムを巻き取りコアに巻き取ってフィルムロールとすることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの長さが7,000m以上と長尺化したフィルムをフィルムロールとした場合においても、シワの発生、磁気特性に優れる。フィルムの長さが長尺化すれば、巻き取り軸のコアからロール外周に向かって巻き取り時の徐々に噛みこまれたエアによって、フィルム表層の硬度が低下し、シワが発生しやすくなる傾向があるが、本発明においては、ポリエステルフィルムの構成を本発明の構成とすることにより、エア抜けが良くなり、フィルムロールとした際のシワの発生を抑制することができる。ポリエステルフィルムの長さは特段に限定されるものではないが、40,000mが限界である。さらに、ポリエステルフィルムの幅は、特段に限定されるものではないが、500mm以上5,000mm以下が製膜装置の関係から一般的である。
また、フィルムが長尺化するほど、磁性層やバックコート層を設けた後の熱硬化処理時に、巻き取り軸のコア方向に向かってフィルムロールの巻き締りが強くなり、特にコア方向の磁性層はバックコート層を設ける面(B面)の表面凹凸によって転写される傾向が高くなるが、本発明においては、フィルムの構成を本発明の第1の発明、第2の発明の構成とすることにより、バックコート層、(下地層)、磁性層を設けた後の磁気記録媒体とした後の、熱硬化処理によってもバックコート層を設ける面(B面)による転写を抑制することができるため、磁気特性も低下しにくい。
本発明のポリエステルフィルムは、塗布型磁気記録媒体用に用いると好適であり、磁気記録媒体の長さを7,000m以上として磁気記録媒体をコアに巻き取ってなる磁気記録媒体ロールとしても、フィルムロール同様に、シワの発生の他、バックコート層の転写による磁気特性の低下を抑制することができる。磁気記録媒体の長さは特段に限定されるものではないが、40,000m以下である。さらに、磁気記録媒体の製造工程時における磁気記録媒体ロールの幅は、特段に限定されるものではないが、500mm以上1,500mm以下が製膜装置の関係から一般的である。通常、磁気記録媒体製品はさらに、該ロールを適宜製品幅にカットされ出荷される。
本発明のポリエステルフィルムは、特に磁気記録媒体としての特性、並びに塗布型磁気記録媒体への加工性が良好であり、該用途の支持体として好適に使用することができる。
本発明のポリエステルフィルム好ましい磁気記録媒体用途としては、民生用、業務用を問わず、デジタルビデオカセット、データストレージ、DLT、LTO、デジタルAIT、AITターボ等のデジタルデータ記録方式の磁気テープ用の支持体に好適に用いられ、特に、磁気層を記録層としてメタル磁性体等の磁性金属薄膜を塗布せしめた、データストレージ用のベース基材として最も好ましく用いられる。
[物性の測定方法及び効果の評価方法]
本発明における特性値の測定方法及び効果の評価方法は次の通りである。
本発明における特性値の測定方法及び効果の評価方法は次の通りである。
(1)フィルム全体(総厚み)、各層の厚み、磁性層、バックコート層、下地層の厚み(μm)
測定対象が、磁気記録媒体である場合は、磁気記録媒体を任意の場所から5mm角に切り出し、試料とする。ミクロトームを用いて該試料のおおよそ中心部分を切断し、該切断面を透過型電子顕微鏡(TEM)撮影用の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(日立製作所(株)製「H−7100FA」)にて、倍率4万倍で撮影した。この撮影画像から磁気記録媒体の磁性層の厚み、下地層の厚み、バックコート層の厚み、フィルムの総厚み、フィルムの各層の厚みを計測した。計測は、等間隔で10点実施し平均した。
測定対象が、磁気記録媒体である場合は、磁気記録媒体を任意の場所から5mm角に切り出し、試料とする。ミクロトームを用いて該試料のおおよそ中心部分を切断し、該切断面を透過型電子顕微鏡(TEM)撮影用の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(日立製作所(株)製「H−7100FA」)にて、倍率4万倍で撮影した。この撮影画像から磁気記録媒体の磁性層の厚み、下地層の厚み、バックコート層の厚み、フィルムの総厚み、フィルムの各層の厚みを計測した。計測は、等間隔で10点実施し平均した。
各層の測定においては、フィルムの表層の任意点(a1)とそれに対応するフィルムの他方の表層の任意点(b1)が最も短くなる距離となるようフィルムの厚み方向に直線を引く。これを任意点10点(フィルムの表層(a1)と同じ表層の任意点(a2からa10)と、対向する任意点10点(フィルムの他方の表層(b1)と同じ表層の任意点(b2からb10)を同様にして、a2とb2、a3とb3、となるようにa10とb10まで直線をフィルムの厚み方向に引く。その直線の距離を10本の直線について求め、平均をフィルムの総厚みとした。
また、10本の直線において、それら直線とそれぞれのフィルムの層界面までの距離として、a1とb1の交点をc1、a2とb2の交点をc2というように、a10とb10の交点をc10とするまでc1からc10まで交点を得、c1からa1までの距離、c1からb1までの距離というように、c10からa10までの距離とc10からb10までの距離を10点について求める。その10点の平均を、フィルムの各層の厚みとした。
磁気記録媒体である場合は、フィルムの測定同様に、フィルムの測定で求められた交点c1とc2の交点から、c1とc2を結ぶ直線と垂直となるように磁気記録媒体の表層まで直線を引き、直線上のフィルム表層の交点からバックコート層交点までの距離、直線上の他方のフィルム表層の交点から下地層表層の交点、直線上の下地層表層の交点から磁性層表層の交点までの距離を合計9点測定した。それぞれの9点の平均を、それぞれバックコート層の厚み、下地層の厚み、磁性層の厚みとした。
A層とB層の各層の厚みは、二次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて評価した。B層側表面からエッチングしながら、粒子又は耐熱性熱可塑性樹脂に起因する元素濃度のデプスプロファイルを測定し、B層の厚みを評価した。SIMSでの測定が難しい(例えば、シリコーン樹脂以外のポリマー粒子)場合は、表面をエッチング処理しながらフーリエ変換顕微赤外分光法(顕微FT−IR法)、あるいはX線光電分光法(XPS法)等を使用する。上記のTEM観察で得られたフィルム得られたフィルムの総厚みと、B層の厚みの差をA層厚みとした。
<測定条件>
測定装置:透過型電子顕微鏡(TEM) 日立製H−7100FA型
測定条件:加速電圧 100kV
測定倍率:4万倍
試料調整:超薄膜切片法
観察面 :TD−ZD断面(TD:幅方向、ZD:厚み方向)
(2)粒子の一次平均粒子径(μm)、
ポリエステルフィルムのA層およびB層を超薄膜切片法にて各層の試料を作成し透過型電子顕微鏡(日立製作所(株)製「H−7100FA」)にて、倍率40万倍で、観察箇所を変えて10視野の撮影をした。得られた粒子の画像写真を、2値化処理し粒子だけを検出させ数値処理を行い、得られた各粒子の面積データ(μm2)を等価円相当径に換算し、得られたデータをX軸を粒子径、Y軸を指数の個数としてプロットして、0.005μm以上0.10μm未満のピークの中心値を粒子Iの一次平均粒子径とした。撮影した写真上に不定形の凝集粒子が確認できた場合、これは粒子の平均粒子径には含めないこととする。
<測定条件>
測定装置:透過型電子顕微鏡(TEM) 日立製H−7100FA型
測定条件:加速電圧 100kV
測定倍率:4万倍
試料調整:超薄膜切片法
観察面 :TD−ZD断面(TD:幅方向、ZD:厚み方向)
(2)粒子の一次平均粒子径(μm)、
ポリエステルフィルムのA層およびB層を超薄膜切片法にて各層の試料を作成し透過型電子顕微鏡(日立製作所(株)製「H−7100FA」)にて、倍率40万倍で、観察箇所を変えて10視野の撮影をした。得られた粒子の画像写真を、2値化処理し粒子だけを検出させ数値処理を行い、得られた各粒子の面積データ(μm2)を等価円相当径に換算し、得られたデータをX軸を粒子径、Y軸を指数の個数としてプロットして、0.005μm以上0.10μm未満のピークの中心値を粒子Iの一次平均粒子径とした。撮影した写真上に不定形の凝集粒子が確認できた場合、これは粒子の平均粒子径には含めないこととする。
尚、2種類以上の粒子が存在する場合は、上記のグラフ中の所定粒子径範囲内に2個以上のピークを有する分布となる。その場合は、粒子個数が最大値となる粒子径を粒子Iの一次平均粒子径とした。
次にポリエステルフィルムのA層の表面およびB層の表面を、プラズマ低温灰化処理法(たとえばヤマト科学製PR-503型)でポリエステル樹脂を除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリエステル樹脂は灰化されるが粒子はダメージを受けない条件を選択する。粒子を露出した試料をSEM((株)日立ハイテクノロジーズ製S−3400N形走査電子顕微鏡)を用いて2万倍で観察箇所を変えて粒子個数が20視野の撮影をした。同じ試料を用いて、1,000倍で観察箇所を変えて100視野の撮影をした。得られたSEMの画像写真を、上記と同様に2値化処理し、粒子だけを検出させ数値処理を行い、得られた各粒子の面積データ(μm2)を等価円相当径に換算し、得られたデータをX軸を粒子径、Y軸を指数の個数としてプロットして、2万倍の画像で0.1μm以上0.6μm未満のピークの中心値を粒子IIの一次平均粒子径として、1,000倍の画像で0.6μm以上1.2μm以下の中心値を粒子IIIの一次平均粒子径とした。
尚、2種類以上の粒子が存在する場合は、上記のグラフ中の所定粒子径範囲内に2個以上のピークを有する分布となる。その場合は(それぞれ当該粒子径範囲内で)、2万倍の画像で粒子個数が最大値となる粒子径を粒子IIの一次平均粒子径とし、1,000倍の画像で粒子個数が最大値となる粒子径を粒子IIIの一次平均粒子径とした。撮影した写真上に不定形の凝集粒子が確認できた場合、これは粒子の平均粒子径には含めないこととする。
(4)フィルムの表面の表面粗さSRa(nm)と突起個数(個/0.05mm2)
フィルムを7cm角の正方形にカットし、得られた試料の一方の面を対象に、3次元粗さ計バードスキャン((株)菱化システム製 VertScan2.0)を用い、表面粗さSRa(nm)と突起個数(個/0.05mm2)を求める。対物レンズ50倍、内部レンズ0.5倍、Waveモード、測定面積0.0497mm2で、測定試料のB面内の任意領域における表面粗さaと突起個数aを測定した(単位:nm)、バードスキャンの測定のベアリング解析(高さヒストグラムデータ)。ベアリング解析から突起高さが0.01μm毎に算出された突起個数を確認し、0.35μmを超える突起個数aをカウントした。測定面積を0.0497mm2から0.05mm2に換算するため、(突起個数a)×0.05/0.0497として、0.05mm2あたりの突起個数bを求めた。同一の試料を用い、同一面で任意領域として合計90回となるよう繰り返し、表面粗さaの平均値と、突起個数bの平均値をもとめ、これを、B面の表面粗さSRaおよび0.35μmを超える突起個数とした。反対面のA面も同様にして表面粗さSRaおよび0.10μmを超える突起個数を求めた。
フィルムを7cm角の正方形にカットし、得られた試料の一方の面を対象に、3次元粗さ計バードスキャン((株)菱化システム製 VertScan2.0)を用い、表面粗さSRa(nm)と突起個数(個/0.05mm2)を求める。対物レンズ50倍、内部レンズ0.5倍、Waveモード、測定面積0.0497mm2で、測定試料のB面内の任意領域における表面粗さaと突起個数aを測定した(単位:nm)、バードスキャンの測定のベアリング解析(高さヒストグラムデータ)。ベアリング解析から突起高さが0.01μm毎に算出された突起個数を確認し、0.35μmを超える突起個数aをカウントした。測定面積を0.0497mm2から0.05mm2に換算するため、(突起個数a)×0.05/0.0497として、0.05mm2あたりの突起個数bを求めた。同一の試料を用い、同一面で任意領域として合計90回となるよう繰り返し、表面粗さaの平均値と、突起個数bの平均値をもとめ、これを、B面の表面粗さSRaおよび0.35μmを超える突起個数とした。反対面のA面も同様にして表面粗さSRaおよび0.10μmを超える突起個数を求めた。
フィルムの表面にバックコート層や磁性層および下地層の少なくとも1層が積層されている場合は、幅1cm、長さ10cmに切り出したフィルムを試料とし、各層の除去を行う。除去工程としては、ビーカーに入れたメチルエチルケトン(MEK)に試料を2時間以上浸漬させる。次に、メチルエチルケトンで浸漬させた状態で、試料を目視で観察した際に透明になったと認識できる程度まで試料の表面を綿棒で軽くこする。試料の表面を、3次元粗さ計バードスキャン((株)菱化システム製VertScan2.0)のモニターでバックコート層や磁性層および下地層がないことを確認したのち、フィルムの観測同様に、フィルムの表面の突起個数、表面粗さSRaを観測する。各層が試料表面からはがれていない場合には、再度、各層の除去工程を行う。
<測定条件>
対物レンズ:50倍
内部レンズ:0.5倍
測定モード:Phaseモード
スキャンレンジ:+10、−20
波長フィルター:530
フィルター:ガウシアン カットオフ値50μm
補間:完全
近似面:多項式近似4次
(5)磁気記録媒体の表面の表面粗さSRaとフィルムの表面の表面粗さSRaの差(nm)
磁気記録媒体をテープカートリッジよりテープ(幅12.65mm)を巻出し、長さ7cmにカットし得られた試料の両面について、3次元粗さ計バードスキャン((株)菱化システム製 VertScan2.0)を用い、表面粗さSRa(nm)を求める。その試料の合計として90回となるよう同試料内で任意の箇所を測定し、それぞれの両面の値を平均して表面粗さSRa(nm)とした。(4)で得られたフィルムの両面のそれぞれの表面粗さSRa(nm)から同一面における磁気記録媒体の両面のそれぞれの表面粗さSRa(nm)の差分を引いて磁気記録媒体の表面の表面粗さSRaとフィルムの表面の表面粗さSRaの差(nm)とした。
<測定条件>
対物レンズ:50倍
内部レンズ:0.5倍
測定モード:Phaseモード
スキャンレンジ:+10、−20
波長フィルター:530
フィルター:ガウシアン カットオフ値50μm
補間:完全
近似面:多項式近似4次
(5)磁気記録媒体の表面の表面粗さSRaとフィルムの表面の表面粗さSRaの差(nm)
磁気記録媒体をテープカートリッジよりテープ(幅12.65mm)を巻出し、長さ7cmにカットし得られた試料の両面について、3次元粗さ計バードスキャン((株)菱化システム製 VertScan2.0)を用い、表面粗さSRa(nm)を求める。その試料の合計として90回となるよう同試料内で任意の箇所を測定し、それぞれの両面の値を平均して表面粗さSRa(nm)とした。(4)で得られたフィルムの両面のそれぞれの表面粗さSRa(nm)から同一面における磁気記録媒体の両面のそれぞれの表面粗さSRa(nm)の差分を引いて磁気記録媒体の表面の表面粗さSRaとフィルムの表面の表面粗さSRaの差(nm)とした。
(6)粒子の元素分析
フィルムの表層のポリエステルをプラズマ灰化処理法で除去し粒子を露出させる。処理条件は、ポリエステルは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像をイメージアナライザーで処理する。上記(2)で求めた粒度分布に従い、SEMの倍率を30,000倍にして、観察箇所を変えて20視野観察し、観察した全粒子についてエネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いて元素分析を実施し、粒子と元素の関係を明確にする。
フィルムの表層のポリエステルをプラズマ灰化処理法で除去し粒子を露出させる。処理条件は、ポリエステルは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像をイメージアナライザーで処理する。上記(2)で求めた粒度分布に従い、SEMの倍率を30,000倍にして、観察箇所を変えて20視野観察し、観察した全粒子についてエネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いて元素分析を実施し、粒子と元素の関係を明確にする。
(7)フィルム中の粒子の含有量(質量%)
ポリエステルフィルムのA層の表面およびB層の表面を、プラズマリアクター(ヤマト科学社製)にて出力100Wで8分間処理し1μm相当をプラズマ灰化処理しポリエステル樹脂を除去し粒子を露出させる。これをSEM((株)日立ハイテクノロジーズ製S−3400N形走査電子顕微鏡)を用いて20,000倍で観察し、(2)と同様に観察箇所を変えて50視野の撮影し、2値化処理し、粒子だけを検出させ数値処理を行い、各ピークの粒子の一次平均粒子径を求めると共に粒子個数を求めた。一次平均粒子径より各粒子平均体積を求め、(6)で得た粒子元素より比重をかけ各粒子の粒子平均質量とした。各粒子平均質量と粒子個数より、単位体積あたりの粒子質量とした。
ポリエステルフィルムのA層の表面およびB層の表面を、プラズマリアクター(ヤマト科学社製)にて出力100Wで8分間処理し1μm相当をプラズマ灰化処理しポリエステル樹脂を除去し粒子を露出させる。これをSEM((株)日立ハイテクノロジーズ製S−3400N形走査電子顕微鏡)を用いて20,000倍で観察し、(2)と同様に観察箇所を変えて50視野の撮影し、2値化処理し、粒子だけを検出させ数値処理を行い、各ピークの粒子の一次平均粒子径を求めると共に粒子個数を求めた。一次平均粒子径より各粒子平均体積を求め、(6)で得た粒子元素より比重をかけ各粒子の粒子平均質量とした。各粒子平均質量と粒子個数より、単位体積あたりの粒子質量とした。
次に上記の試料とプラズマ灰化処理を行なっていない試料を切断し、SEM((株)日立ハイテクノロジーズ製S−3400N形走査電子顕微鏡)を用いて20,000倍で観察し(1)と同様にA層およびB層の厚みを確認しプラズマ灰化処理厚みを確認する。
求めたプラズマ灰化処理厚みと2万倍視野面積より、A層およびB層の体積を求めポリマー比重をかけ各層のフィルム質量とした。求められた各粒子の粒子質量と各層のフィルム質量より各粒子の含有量(質量%)とした。
(8)磁気テープの作製
実施例、比較例で得た二軸配向ポリエステルフィルムを1m幅にスリットした後、張力200Nで搬送させ、支持体としてフィルムの磁性層を設ける面(A面)に下記組成の磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより塗布し(上層が磁性塗料で乾燥後の塗布厚み0.1μm、下層が非磁性塗料で塗布厚み1.0μm)、磁気配向させ、乾燥温度100℃で乾燥させた。次いで反対側の面(B面)に下記組成のバックコートを塗布し(乾燥後の塗布厚み0.5μm)、乾燥温度100℃で乾燥させた後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧2.0×105N/mでカレンダー処理した後、巻き取った。上記テープ原反を1/2インチ(12.65mm)幅にスリットし、パンケーキを作成し、次いで、このパンケーキから長さ850m分をカートリッジに組み込んで、テープカートリッジとした。
(磁性塗料の組成)
・強磁性金属粉末 : 100質量部
〔Fe:Co:Ni:Al:Y:Ca=70:24:1:2:2:1(質量比)〕
〔長軸長:0.09μm、軸比:6、保磁力:153kA/m(1,922Oe)、飽和磁化:146Am2/kg(146emu/g)、BET比表面積:53m2/g、X線粒子径:15nm〕
・変成塩化ビニル共重合体(結合剤) : 10質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・変成ポリウレタン(結合剤) : 10質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・ポリイソシアネート(硬化剤) : 5質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL(商品名))
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) : 1.5質量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1質量部
・カーボンブラック(帯電防止剤) : 1質量部
(平均一次粒子径:0.018μm)
・アルミナ(研磨剤) : 10質量部
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
(非磁性塗料の組成)
・変成ポリウレタン : 10質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体 : 10質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
・ポリイソシアネート : 5質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL(商品名))
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) : 1.5質量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1質量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック : 95質量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.018μm)
・カーボンブラック : 10質量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.3μm)
・アルミナ : 0.1質量部
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・変成ポリウレタン : 20質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体 : 30質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・シクロヘキサノン : 200質量部
・メチルエチルケトン : 300質量部
・トルエン : 100質量部
(9)電磁変換特性
上記(6)で得られたテープカートリッジを用いて、C/Nの測定にはリールtoリールテスタを用い、市販のMRヘッドを搭載して下記の条件で実施した。
実施例、比較例で得た二軸配向ポリエステルフィルムを1m幅にスリットした後、張力200Nで搬送させ、支持体としてフィルムの磁性層を設ける面(A面)に下記組成の磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより塗布し(上層が磁性塗料で乾燥後の塗布厚み0.1μm、下層が非磁性塗料で塗布厚み1.0μm)、磁気配向させ、乾燥温度100℃で乾燥させた。次いで反対側の面(B面)に下記組成のバックコートを塗布し(乾燥後の塗布厚み0.5μm)、乾燥温度100℃で乾燥させた後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧2.0×105N/mでカレンダー処理した後、巻き取った。上記テープ原反を1/2インチ(12.65mm)幅にスリットし、パンケーキを作成し、次いで、このパンケーキから長さ850m分をカートリッジに組み込んで、テープカートリッジとした。
(磁性塗料の組成)
・強磁性金属粉末 : 100質量部
〔Fe:Co:Ni:Al:Y:Ca=70:24:1:2:2:1(質量比)〕
〔長軸長:0.09μm、軸比:6、保磁力:153kA/m(1,922Oe)、飽和磁化:146Am2/kg(146emu/g)、BET比表面積:53m2/g、X線粒子径:15nm〕
・変成塩化ビニル共重合体(結合剤) : 10質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・変成ポリウレタン(結合剤) : 10質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・ポリイソシアネート(硬化剤) : 5質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL(商品名))
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) : 1.5質量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1質量部
・カーボンブラック(帯電防止剤) : 1質量部
(平均一次粒子径:0.018μm)
・アルミナ(研磨剤) : 10質量部
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
(非磁性塗料の組成)
・変成ポリウレタン : 10質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体 : 10質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
・ポリイソシアネート : 5質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL(商品名))
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) : 1.5質量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1質量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック : 95質量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.018μm)
・カーボンブラック : 10質量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.3μm)
・アルミナ : 0.1質量部
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・変成ポリウレタン : 20質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体 : 30質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・シクロヘキサノン : 200質量部
・メチルエチルケトン : 300質量部
・トルエン : 100質量部
(9)電磁変換特性
上記(6)で得られたテープカートリッジを用いて、C/Nの測定にはリールtoリールテスタを用い、市販のMRヘッドを搭載して下記の条件で実施した。
相対速度:2m/sec
記録トラック幅:18μm
再生トラック幅:10μm
シールド間距離:0.27μm
記録用信号発生器:HP社製 8118A
再生信号処理:スペクトラムアナライザ
このC/Nを市販のLTO5テープ(富士フィルム社製)と比較して、下記の基準で評価した。
記録トラック幅:18μm
再生トラック幅:10μm
シールド間距離:0.27μm
記録用信号発生器:HP社製 8118A
再生信号処理:スペクトラムアナライザ
このC/Nを市販のLTO5テープ(富士フィルム社製)と比較して、下記の基準で評価した。
○:0dB以上(望ましい)
△:−2dB以上0dB未満(実質的に使用可能)
×:−2dB未満(使用不可)
(10)スリット巻取り特性
4,500mm幅のミルロールを1本用意し、それぞれ、1,000mm幅、巻取り長10,000mの原反を幅方向4等分にスリットした際(合計4本)に、下記の基準で判定した。
△:−2dB以上0dB未満(実質的に使用可能)
×:−2dB未満(使用不可)
(10)スリット巻取り特性
4,500mm幅のミルロールを1本用意し、それぞれ、1,000mm幅、巻取り長10,000mの原反を幅方向4等分にスリットした際(合計4本)に、下記の基準で判定した。
○:4本中すべてにシワの発生が確認されないものを巻き姿、優良とした。
△:4本中3本にシワの発生が確認されないものを巻き姿、良好とした。
×:4本中2本しかシワの発生が確認されないものを巻き姿、不良とした。
(11)ミッシングパルス(MP)欠陥(個/mm2)
上記(6)で得られたテープカートリッジを用いて、リファレンスドライブ(IBM社製LTOG5ドライブ)にセットし、磁気テープを走行させて記録再生を行った。走行中の再生信号を外部AD(Analog/Digital)変換装置に取り込み、70%以上低下した信号をミッシングパルスとして、磁気テープの単位面積当たりのミッシングパルス発生個数(単位:個/mm2)として求めた。
○:2.5個/mm2未満(望ましい)
△:2.5個/mm2以上〜4.0個/mm2未満(実質的に使用可能)
×:4.0個/mm2以上(使用不可)
(12)ドロップアウト(DO)欠陥(個/m)
上記(6)で得られたテープカートリッジを用いて、ヘッドを固定した1/2インチ(0.0127メートル)リールテスターを用いて行った。記録ヘッドを用いて信号を記録し、GMR(Giant−Magnetoresistive)ヘッドで再生した。平均の出力に対して50%以上の出力落ちで長さが0.4μm以上の信号抜けの個数を検出し、テープ長1m当たりの個数をドロップアウトとした。
○:ドロップアウト 5個/m未満
△:ドロップアウト 5個/m以上、10個/m未満
×:ドロップアウト 10個/m以上
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル194質量部とエチレングリコール124質量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム四水和物0.3質量部および三酸化アンチモン0.05質量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルの5質量%エチレングリコール溶液を0.5質量部(リン酸トリメチルとして0.025質量部)とリン酸二水素ナトリウム2水和物の5質量%エチレングリコール溶液を0.3質量部(リン酸二水素ナトリウム2水和物として0.015質量部)添加した。
上記(6)で得られたテープカートリッジを用いて、リファレンスドライブ(IBM社製LTOG5ドライブ)にセットし、磁気テープを走行させて記録再生を行った。走行中の再生信号を外部AD(Analog/Digital)変換装置に取り込み、70%以上低下した信号をミッシングパルスとして、磁気テープの単位面積当たりのミッシングパルス発生個数(単位:個/mm2)として求めた。
○:2.5個/mm2未満(望ましい)
△:2.5個/mm2以上〜4.0個/mm2未満(実質的に使用可能)
×:4.0個/mm2以上(使用不可)
(12)ドロップアウト(DO)欠陥(個/m)
上記(6)で得られたテープカートリッジを用いて、ヘッドを固定した1/2インチ(0.0127メートル)リールテスターを用いて行った。記録ヘッドを用いて信号を記録し、GMR(Giant−Magnetoresistive)ヘッドで再生した。平均の出力に対して50%以上の出力落ちで長さが0.4μm以上の信号抜けの個数を検出し、テープ長1m当たりの個数をドロップアウトとした。
○:ドロップアウト 5個/m未満
△:ドロップアウト 5個/m以上、10個/m未満
×:ドロップアウト 10個/m以上
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル194質量部とエチレングリコール124質量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム四水和物0.3質量部および三酸化アンチモン0.05質量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルの5質量%エチレングリコール溶液を0.5質量部(リン酸トリメチルとして0.025質量部)とリン酸二水素ナトリウム2水和物の5質量%エチレングリコール溶液を0.3質量部(リン酸二水素ナトリウム2水和物として0.015質量部)添加した。
トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下する。そこで余剰のエチレングリコールを留出させながら反応内容物の温度が230℃に復帰するまで撹拌を継続した。このようにしてエステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃に達した後、反応内容物を重合装置へ移行した。
移行後、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。最終温度、最終圧力に到達した後、2時間(重合を始めて3時間)反応させたところ、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートのペレットを得た(原料−1)。
一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子を含有するポリエチレンテレフタレートのペレットと、実質上粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレット(原料−1)とを、δアルミナ粒子の含有量が0.5質量%、核となるシードポリマー粒子をポリスチレン、架橋性モノマー/共重合性モノマーの比率をジビニルベンゼン90質量部/エチルビニルベンゼン10質量部とする、一次平均粒子径0.14μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子(DVBS)を含有するポリエチレンテレフタレートをジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子(DVBS)が0.03質量%、さらに耐熱性熱可塑性樹脂として、SABICイノベーティブプラスチック社製“ウルテム”1010を2質量%となるように混合して熱可塑性樹脂Aを調製した。
また、核となるシードポリマー粒子をポリスチレン、架橋性モノマー/共重合性モノマーの比率をジビニルベンゼン90質量部/エチルビニルベンゼン10質量部とする、一次平均粒子径0.3μm、体積形状係数f=0.52のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子(DVBS)を含有するポリエチレンテレフタレート、また核となるシードポリマー粒子をポリスチレン、架橋性モノマー/共重合性モノマーの比率をジビニルベンゼン88質量部/エチルビニルベンゼン12質量部とする、一次平均粒子径0.8μm、体積形状係数f=0.52のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子を含有するポリエチレンテレフタレート、一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子を含有するポリエチレンテレフタレートのペレット、および実質上粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレット(原料−1)を、0.3μmのDVBS粒子含有量が0.15質量%、0.8μmのDVBS粒子含有量が0.0005質量%、13nmδアルミナ粒子の含有量が0.5質量%となるよう、さらに耐熱性熱可塑性樹脂として、SABICイノベーティブプラスチック社製“ウルテム”1010を2質量%になるように混合して熱可塑性樹脂Bを得た。
熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bをそれぞれ160℃で8時間減圧乾燥した後、別々の押出機に供給し、275℃で溶融押出して高精度濾過した後、矩形の2層用合流ブロックで積層厚み比(A層|B層)=6|1とし、B層側がキャストドラム面側になるように合流積層し、2層積層とした。その後、295℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化し、未延伸積層フィルムを得た。
この未延伸積層フィルムをロール式延伸機にて115℃で長手方向に3.0倍延伸した(MD延伸1)。この延伸は2組ずつのロールの周速差を利用して行った。
得られた一軸延伸積層フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の90℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に95℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に4.2倍延伸した(TD延伸1)。
得られた二軸延伸積層フィルムをロール式延伸機にて145℃で長手方向に1.4倍延伸した(MD延伸2)。この延伸は2組ずつのロールの周速差を利用して行った。
さらに続いて192℃の温度の加熱ゾーンで幅方向に1.2倍延伸した(TD延伸2)。引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで205℃の温度で10秒間の熱処理を施し、さらに150℃の温度で2.5%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、25℃に均一に冷却後、フィルムエッジを除去し、コア上に1m幅で巻長さ10,000m巻き取って、全体厚さ4.9μm、B層厚み0.8μmの二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。
この二軸延伸積層ポリエステルフィルムの製造条件について、各粒子の添加量および各積層厚み関係を表1に示す。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示す通り、表面粗さSRaは層A側が2.7nm、層B側が6.5nmであった。また磁気テープとして使用した際に、スリット巻取り特性、電磁変換特性、ミッシングパルス、ドロップアウトに優れた特性を有していた。
[実施例2]
A層中の一次平均粒子径0.14μmのDVBS粒子を抜いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れており、磁気テープとして使用した際のスリット巻取り特性、電磁変換特性、ミッシングパルス、ドロップアウトに優れた特性を有していた。
A層中の一次平均粒子径0.14μmのDVBS粒子を抜いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れており、磁気テープとして使用した際のスリット巻取り特性、電磁変換特性、ミッシングパルス、ドロップアウトに優れた特性を有していた。
[実施例3〜4]
B層中の一次平均粒子径0.3μmおよび一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子の添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れた特性を有していた。
B層中の一次平均粒子径0.3μmおよび一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子の添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れた特性を有していた。
[実施例5〜6]
A層中の一次平均粒子径0.14μmのDVBS粒子および一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子の添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れており、磁気テープとして使用した際のミッシングパルスに特に優れていた。
A層中の一次平均粒子径0.14μmのDVBS粒子および一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子の添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れており、磁気テープとして使用した際のミッシングパルスに特に優れていた。
[実施例7〜8]
A層およびB層の積層厚みを変更したこと以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れた特性を有していた。
A層およびB層の積層厚みを変更したこと以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表1に示すように各特性に優れた特性を有していた。
[実施例9〜10]
B層中の一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子の添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表2に示すように各特性に優れていた。
B層中の一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子の添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表2に示すように各特性に優れていた。
[実施例11〜12]
B層中の一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子および一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子の添加量とA層およびB層の積層厚みを変更したこと以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表2に示すように各特性に優れていた。
B層中の一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子および一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子の添加量とA層およびB層の積層厚みを変更したこと以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表2に示すように各特性に優れていた。
[実施例13〜16]
A層中の粒子の添加量およびB層中の粒子の添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表2に示すように各特性に優れていた。
A層中の粒子の添加量およびB層中の粒子の添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表2に示すように各特性に優れていた。
[比較例1〜2]
A層中の一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子および一次平均粒子径0.14μmのDVBS粒子を抜き、一次平均粒子径0.06μmのシリカ粒子を0.2質量%添加させ、B層中の一次平均粒子径0.3μmおよび一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子の添加量を表3のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜2の二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表3に示すように、磁気テープとして使用した際のミッシングパルスに劣っていた。
A層中の一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子および一次平均粒子径0.14μmのDVBS粒子を抜き、一次平均粒子径0.06μmのシリカ粒子を0.2質量%添加させ、B層中の一次平均粒子径0.3μmおよび一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子の添加量を表3のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜2の二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表3に示すように、磁気テープとして使用した際のミッシングパルスに劣っていた。
[比較例3]
B層中の一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子を抜き、一次平均粒子径0.45μmのDVBS粒子と一次平均粒子径0.06μmのシリカ粒子を表2のとおりに添加した以外は、比較例1と同様にして、比較例3の二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表3に示すように、スリット工程でシワが発生し著しくスリット巻取り特性が低下した。
B層中の一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子を抜き、一次平均粒子径0.45μmのDVBS粒子と一次平均粒子径0.06μmのシリカ粒子を表2のとおりに添加した以外は、比較例1と同様にして、比較例3の二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表3に示すように、スリット工程でシワが発生し著しくスリット巻取り特性が低下した。
[比較例4]
A層中の一次平均粒子径0.06μmのシリカ粒子の変わりに一次平均粒子径0.14μmのDVBS粒子を添加し、B層中に一次平均粒子径0.45μmのDVBS粒子と一次平均粒子径0.2μmのシリカ粒子を表3のとおりに添加し、A層およびB層の積層厚みを表2のとおりに変更した以外は、比較例1と同様にして、比較例4の二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表3に示すように、ミッシングパルスが特に劣っていた。
A層中の一次平均粒子径0.06μmのシリカ粒子の変わりに一次平均粒子径0.14μmのDVBS粒子を添加し、B層中に一次平均粒子径0.45μmのDVBS粒子と一次平均粒子径0.2μmのシリカ粒子を表3のとおりに添加し、A層およびB層の積層厚みを表2のとおりに変更した以外は、比較例1と同様にして、比較例4の二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表3に示すように、ミッシングパルスが特に劣っていた。
[比較例5]
A層中の一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子の添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例5の二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、B面側で粒子の脱落が発生し特にドロップアウト個数が増加した。
A層中の一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子の添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例5の二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、B面側で粒子の脱落が発生し特にドロップアウト個数が増加した。
[比較例6]
B層中の一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子と一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子を抜き、一次平均粒子径0.06μmのシリカ粒子を表2のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例6の二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表3に示すように、スリット工程でシワが発生し著しくスリット巻取り特性が低下した。
B層中の一次平均粒子径13nmのδアルミナ粒子と一次平均粒子径0.8μmのDVBS粒子を抜き、一次平均粒子径0.06μmのシリカ粒子を表2のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例6の二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表3に示すように、スリット工程でシワが発生し著しくスリット巻取り特性が低下した。
[比較例7]
A層中およびB層中の粒子の添加量を表3のとおり変更した以外は、実施例2と同様にして、比較例7の二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表3に示すように、スリット工程でシワが発生し著しくスリット巻取り特性が低下した。
A層中およびB層中の粒子の添加量を表3のとおり変更した以外は、実施例2と同様にして、比較例7の二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表3に示すように、スリット工程でシワが発生し著しくスリット巻取り特性が低下した。
[比較例8]
A層中およびB層中の粒子の添加量を表3のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例8の二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表3に示すように、電磁変換特性が低下し、ドロップアウト、およびミッシングパルスが劣っていた。
A層中およびB層中の粒子の添加量を表3のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例8の二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムを評価したところ、表3に示すように、電磁変換特性が低下し、ドロップアウト、およびミッシングパルスが劣っていた。
Claims (16)
- 磁性層を設ける面(A面)を構成する最外層(A層)と、A面とは反対側にバックコート層を設ける面(B面)を構成する最外層(B層)を有するフィルムであって、B面の表面粗さSRaが4nm以上8nm以下、0.35μmを超える突起個数が0.01個/0.05mm2以上、0.4個/0.05mm2以下であるポリエステルフィルム。
- 前記A面の表面粗さSRaが1nm以上5nm以下であり、A面は高さが0.1μm以上の突起個数が0.01個/0.05mm2以上、0.8個/0.05mm2以下である請求項1に記載のポリエステルフィルム。
- 前記B層は、少なくとも粒子I、粒子IIおよび粒子IIIを含有する層であり、粒子Iの一次平均粒子径(Bd1)が0.005μm以上0.10μm未満、粒子IIの一次平均粒子径(Bd2)は、0.1μm以上0.6μm未満、粒子IIIの一次平均粒子径(Bd3)が、0.6μm以上1.2μm以下であり、B層に対して、粒子Iは、0.1質量%以上5.0質量%以下、粒子IIは、0.005質量%以上0.5質量%以下、粒子IIIは、0.00001質量%以上0.01質量%含有してなる請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
- 前記B層の厚み(Bw)と前記粒子IIIの一次平均粒子径(Bd3)が下記の関係式を満たす請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
0.4<Bd3/Bw<1.8 - 塗布型磁気記録媒体用に用いる請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルムに、前記A面に磁性層を、前記B面にバックコート層を設けてなる磁気記録媒体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルムの長さが7,000m以上であり、該フィルムをコアに巻き取ってなるポリエステルフィルムロール。
- 請求項6に記載の磁気記録媒体の長さが7,000m以上であり、該磁気記媒体をコアに巻き取ってなる磁気記録媒体ロール。
- 磁性層を設ける面(A面)を構成する最外層(A層)と、A面とは反対側にバックコート層を設ける面(B面)を構成する最外層(B層)を有するフィルムであって、B面の表面粗さSRaが4nm以上8nm以下、B面のバックコート層の厚みより大きい突起個数が0.01個/0.05mm2以上、0.4個/0.05mm2以下である塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
- 前記A面の表面粗さSRaが1nm以上5nm以下であり、A面は高さが0.1μm以上の突起個数が0.01個/0.05mm2以上、0.8個/0.05mm2以下である請求項9に記載の塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
- 前記B層は、少なくとも粒子I、粒子IIおよび粒子IIIを含有する層であり、粒子Iの一次平均粒子径(Bd1)が0.005μm以上0.10μm未満、粒子IIの一次平均粒子径(Bd2)は、0.1μm以上0.6μm未満、粒子IIIの一次平均粒子径(Bd3)が、0.6μm以上1.2μm以下であり、B層に対して、粒子Iは、0.1質量%以上5.0質量%以下、粒子IIは、0.005質量%以上0.5質量%以下、粒子IIIは、0.00001質量%以上0.01質量%含有してなる請求項9または10に記載の塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
- 前記B層の厚み(Bw)と前記粒子IIIの一次平均粒子径(Bd3)が下記の関係式を満たす請求項9〜11のいずれかに記載の塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
0.4<Bd3/Bw<1.8 - 請求項9〜12のいずれかに記載の塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルムに、前記A面に磁性層を、前記B面にバックコート層を設けてなる塗布型磁気記録媒体。
- 前記バックコート層の厚みが0.3μm以上0.4μm以下である請求項13に記載の塗布型磁気記録媒体。
- 請求項9〜12のいずれかに記載の塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの長さが7,000m以上であり、該フィルムをコアに巻き取ってなる塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルムロール。
- 請求項13または14のいずれかに記載の塗布型磁気記録媒体の長さが7,000m以上であり、該塗布型磁気記媒体をコアに巻き取ってなる塗布型磁気記録媒体ロール。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019043436 | 2019-03-11 | ||
JP2019043436 | 2019-03-11 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020149760A true JP2020149760A (ja) | 2020-09-17 |
Family
ID=72429762
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020038444A Pending JP2020149760A (ja) | 2019-03-11 | 2020-03-06 | ポリエステルフィルム、塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、およびそれらを用いた磁気記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020149760A (ja) |
-
2020
- 2020-03-06 JP JP2020038444A patent/JP2020149760A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2004030809A (ja) | 磁気記録媒体用支持体及び磁気記録媒体 | |
JP6623891B2 (ja) | 二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびデータストレージ | |
JP6072623B2 (ja) | 二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いた塗布型磁気記録テープ | |
JP2019072979A (ja) | 塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 | |
JP2020149760A (ja) | ポリエステルフィルム、塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、およびそれらを用いた磁気記録媒体 | |
JP6049337B2 (ja) | 二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを用いた塗布型磁気記録テープ | |
JP6087529B2 (ja) | 二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いた塗布型磁気記録テープ | |
JP6759642B2 (ja) | 二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 | |
JP7006386B2 (ja) | 二軸配向ポリエステルフィルムおよび塗布型磁気記録テープ | |
JP5981185B2 (ja) | 積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いた塗布型磁気記録テープ | |
JP2020164807A (ja) | 二軸配向ポリエステルフィルム | |
JP6879419B2 (ja) | 二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 | |
JP2021111431A (ja) | 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、磁気記録媒体用ポリエステルフィルムロール、磁気記録媒体および磁気記録媒体ロール | |
JP2001121602A (ja) | 二軸配向ポリエステルフィルムとその製造方法 | |
JP2019114312A (ja) | 塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 | |
JP4232378B2 (ja) | 二軸配向ポリエステルフィルムとその製造方法 | |
JP2022132082A (ja) | 磁気記録媒体用ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 | |
JP2023071608A (ja) | 磁気記録媒体用ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 | |
JP3215304B2 (ja) | 積層フイルム | |
JP2014004788A (ja) | 積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いた塗布型磁気記録テープ | |
JPH03207727A (ja) | 二軸配向熱可塑性樹脂フィルムおよびフィルムロール | |
JP2004299057A (ja) | 二軸配向ポリエステルフィルム | |
JP7456203B2 (ja) | 二軸配向ポリエステルフィルム | |
JP2019133725A (ja) | 塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 | |
JP2018166017A (ja) | 塗布型磁気記録媒体用ポリエステルフィルム |