JPH11100234A - 防曇物品及びその製造方法 - Google Patents

防曇物品及びその製造方法

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JPH11100234A
JPH11100234A JP33607597A JP33607597A JPH11100234A JP H11100234 A JPH11100234 A JP H11100234A JP 33607597 A JP33607597 A JP 33607597A JP 33607597 A JP33607597 A JP 33607597A JP H11100234 A JPH11100234 A JP H11100234A
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surfactant
film
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JP33607597A
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English (en)
Inventor
Kazuhiro Doshita
和宏 堂下
Kazutaka Kamiya
和孝 神谷
Toyoyuki Teranishi
豊幸 寺西
Takashi Sunada
貴 砂田
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性、耐摩耗性、防曇性能や防曇持続性の
優れた防曇物品を提供する。 【解決手段】 4〜300nmの粒径を有する金属酸化
物微粒子を含有し、金属酸化物をマトリックスとする膜
が基材上に被覆されており、前記膜表面には算術平均粗
さ(Ra)が1.5〜80nmであり、かつ凹凸の平均
間隔(Sm)が4〜300nmである凹凸が形成されて
いる防曇物品である。必要に応じて、前記膜中に界面活
性剤やリン系化合物を含有している防曇物品である。さ
らに必要に応じて、前記凹凸上にポリアルキレンオキシ
ド基、アルキル基、アルケニル基、およびアリール基か
らなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を、分子
内に含むオルガノシランまたはその加水分解物を被覆し
た防曇物品である。さらに必要に応じて、その上にまた
は前記凹凸上に界面活性剤層を設けた防曇物品である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス,セラミッ
クス,プラスチック或いは金属等の基材表面に、防曇性
膜または親水性膜を形成した防曇物品及びその製造方法
に関する。特に、建築用,車両用,光学部品用,産業
用,農業用,日用品用,住宅用および医療用として用い
られる、窓ガラス,鏡,レンズ,空調機用熱交換器フィ
ン,生体材料,フィルムシートおよびショーケース等の
物品に適し、耐久性や耐摩耗性や防曇または親水持続性
に優れている防曇物品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラスその他の物品表面が曇る現象は、
表面に微小な水滴が付着(結露)し、この微小水滴が光
を乱反射するために起こる。この曇りは、眼鏡やゴーグ
ルや光学レンズ等の光学部品ではその性能の著しい低下
を引き起こし問題であり、建築用窓ガラスや鏡では意匠
上や設計上の問題となり、自動車をはじめとする車両用
窓ガラスとしては、視野の低下を招くので安全上大きな
問題となっている。
【0003】かかる問題を解決する方法として、界面活
性剤の塗布(例えば、特公昭52−47926号)、親
水性・吸水性樹脂を主体とするコーティング(例えば、
特開平6−220428号)、親水性分子固定(例え
ば、特開平4−328701号)、表面粗面化(例え
ば、特開昭61−91042号)などが挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、界面活
性剤の塗布法では、防曇効果の持続性が低く一時的効果
しか得られず、またギラツキや白化による明視性の低下
などの問題がある。親水性・吸水性樹脂を主体とするコ
ーティング法では、耐摩耗性が低い、耐久性が低いなど
の問題がある。親水性分子固定法では、必ずしも防曇性
能が充分でないことや、汚れ易く防曇効果の持続性が低
いことなどの問題がある。表面粗面化の方法では、主に
フッ酸によるエッチングを利用して作製されるが、呼気
や湯気などに対しては防曇効果が低いなどの問題があ
る。
【0005】本発明は上記の従来技術に鑑み、耐久性や
耐摩耗性や防曇または親水持続性に優れた防曇物品とそ
の製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、4〜300n
mの粒径を有する金属酸化物微粒子を含有し、金属酸化
物をマトリックスとする膜が基材上に被覆されており、
前記膜表面には算術平均粗さ(Ra)が1.5〜80n
mであり、かつ凹凸の平均間隔(Sm)が4〜300n
mである凹凸が形成されている防曇物品である。
【0007】本発明において、基材への表面凹凸を有す
る上記膜の被覆は、金属酸化物微粒子と、加水分解・縮
重合可能な有機金属化合物、クロロシリル基含有化合物
およびそれらの加水分解物からなる群より選ばれた少な
くとも1種とを含む液を基材上に塗布することにより形
成することができる。
【0008】上記金属酸化物微粒子としては、酸化珪素
(シリカ),酸化アルミニウム(アルミナ),酸化ジル
コニウム(ジルコニア),酸化チタン(チタニア),酸
化セリウム(セリア)からなる群より選ばれる単成分の
金属酸化物コロイドまたは金属酸化物微粒子や、これら
の混合物、およびこれらの二種以上の成分からなる複合
金属酸化物微粒子が使用される。これらは、溶媒分散ゾ
ル(コロイド溶液)の形で好ましく用いられる。
【0009】金属酸化物ゾルとしては、例えば日産化学
工業株式会社製シリカゾルである「スノーテックス−O
L」,「スノーテックス−O」,「スノーテックス−O
UP」,「スノーテックス−UP」や、同社製アルミナ
ゾル「アルミナゾル520」,同社製ジルコニアゾル
「NZS−30A」,石原産業株式会社製チタニアゾル
「CS−N」,「STS−01」,「STS−02」,
多木化学株式会社製セリアゾル「ニードラールU−1
5」,チタニアゾル「M−6」などの市販水分散ゾルの
他、日産化学工業株式会社製「IPA−ST」,「XB
A−ST」のような市販有機溶剤分散シリカゾル、石原
産業株式会社製「ST−K01」,「ST−K03」の
ような、バインダーを含んだ市販水アルコール混合溶剤
分散チタニアゾルなどが挙げられる。
【0010】上記金属酸化物微粒子の大きさは、粒径4
〜300nmが好ましい。粒径が4nm未満では算術平
均粗さ(Ra)が1.5nm未満となり易く、しかも凹
凸の平均間隔(Sm)が4nm未満になり易い。したが
って、防曇性能向上や防曇持続性向上に効果的な凹凸形
状を形成できず、好ましくない。また粒径が300nm
を越えると、算術平均粗さ(Ra)が80nmより大き
くなり、しかも凹凸の平均間隔(Sm)が300nmを
越えるので、凹凸が大きすぎる。したがって、透明性が
失われたり、製造工程で微粒子が沈降しやすくなるので
好ましくない。
【0011】上記金属酸化物微粒子としては、鎖状微粒
子が好ましい。鎖状形状の微粒子を用いることにより、
表面凹凸の形状が三次元立体的に入り組んだ凹凸形状と
なるので、防曇性能や防曇持続性の高い表面凹凸形状を
形成することができる。鎖状コロイドの例として、日産
化学工業株式会社製シリカゾルである「スノーテックス
−OUP」,「スノーテックス−UP」が挙げられ、こ
れらは10〜20nmの直径と40〜300nmの長さ
を有する。
【0012】上記金属酸化物微粒子の分散溶媒は、実質
的に金属酸化物微粒子が安定に分散していれば、特に限
定されないが、水,メタノール,エタノール,プロパノ
ール等の単体または混合体が好ましく、水がさらに好ま
しい。これら水及び低級アルコールは、上記有機金属化
合物を含む溶液と簡単に混じり合い、また成膜時の乾燥
や成膜後の熱処理によって、簡単に除去できるのでよ
い。このうち水は、製造環境上最も好ましい。
【0013】上記金属酸化物微粒子を、上記有機金属化
合物やクロロシリル基含有化合物を含む溶液に添加する
際、分散助剤を添加してもよい。分散助剤は特に限定さ
れず、一般に分散助剤として用いられる、例えば、リン
酸ナトリウム,ヘキサメタリン酸ナトリウム,ピロリン
酸カリウム,塩化アルミニウム,塩化鉄等の電解質や、
各種界面活性剤、各種有機高分子、シランカップリング
剤、チタンカップリング剤等が用いられる。その添加量
は、上記金属酸化物微粒子に対して、通常0.01〜5
重量%である。
【0014】上記金属酸化物微粒子とともに、凹凸膜形
成用塗布液中に含ませる加水分解・縮重合可能な有機金
属化合物は、加水分解、脱水縮合を行うものであれば基
本的にはどんな化合物でもよいが、金属アルコキシドや
金属キレートが好ましい。
【0015】金属アルコキシドとして具体的には、珪
素,アルミニウム,ジルコニウム,チタン等のメトキシ
ド,エトキシド,プロポキシド,ブトキシドなどが、単
体あるいは混合体として好ましく用いられる。金属キレ
ートとしては、珪素,アルミニウム,ジルコニウム,チ
タン等のアセチルアセトネート錯体が、好ましく用いら
れる。
【0016】珪素のアルコキシドとして、高分子量タイ
プのアルキルシリケート、例えばコルコート株式会社製
「エチルシリケート40」や、三菱化学株式会社製「M
S56」なども用いることができる。また珪素のアルコ
キシドの加水分解物として、市販のアルコキシシラン加
水分解液、例えばコルコート株式会社製「HAS−1
0」,株式会社日板研究所製「セラミカG−91」,
「セラミカG−92−6」,日本曹達株式会社製「アト
ロンNSI−500」などを用いることができる。
【0017】上記金属酸化物微粒子とともに、凹凸膜形
成用塗布液中に含ませるクロロシリル基含有化合物と
は、クロロシリル基(−SiCln3-n、ここでnは
1,2,または3であり、Xは水素、またはそれぞれ炭
素数が1〜10のアルキル基、アルコキシ基、またはア
シロキシ基である)を分子内に、少なくとも1個有する
化合物である。その中でも、少なくとも2個の塩素を有
する化合物が好ましく、シランSin2n+2( ここでn
は1〜5の整数)の中の少なくとも2個の水素を塩素で
置換し、他の水素を必要に応じて、上記アルキル基,ア
ルコキシ基,またはアシロキシ基で置換したクロロシラ
ン、およびその縮重合物が好ましい。
【0018】例えば、テトラクロロシラン(四塩化珪
素、SiCl4),トリクロロシラン(SiHCl3),
トリクロロモノメチルシラン(SiCH3Cl3),ジク
ロロシラン(SiH2Cl2),およびCl−(SiCl
2O)n−SiCl3(nは1〜10の整数)等を挙げる
ことができる。上記クロロシリル基含有化合物の加水分
解物も使用することができ、これらの中から、単独でま
たは複数を組み合わせて使用することができる。最も好
ましいクロロシリル基含有化合物は、テトラクロロシラ
ンである。クロロシリル基は反応性が非常に高いので、
自己縮合または基材表面と縮合反応をすることによっ
て、緻密な被膜を形成することができる。
【0019】上記有機金属化合物またはクロロシリル基
含有化合物またはそれらの加水分解物を含む溶液の溶媒
は、実質的に上記有機金属化合物またはクロロシリル基
含有化合物またはそれらの加水分解物を溶解すれば、基
本的に何でもよい。具体的には、メタノール,エタノー
ル,プロパノール,ブタノール等のアルコール類が最も
好ましく、上記有機金属化合物、クロロシリル基含有化
合物、それらの加水分解物の合計を1〜30重量%の濃
度で含有させることができる。
【0020】上記有機金属化合物の加水分解には、水が
必要である。これは、酸性,中性の何れでもよいが、加
水分解を促進するためには、触媒作用を有する塩酸,硝
酸,硫酸,酢酸,クエン酸,スルホン酸等で、酸性にし
た水が好ましく用いられる。
【0021】上記有機金属化合物の加水分解に必要な水
の添加量は、有機金属化合物に対してモル比で0.1〜
100がよい。水添加量がモル比で0.1より少ない
と、有機金属化合物の加水分解の促進が充分でなく、ま
たモル比で100より多いと、液の安定性が低下する傾
向になり、好ましくない。
【0022】酸の添加量は特に限定されないが、有機金
属化合物に対してモル比で0.001〜20がよい。添
加酸量が、モル比で0.001より少ないと、有機金属
化合物の加水分解の促進が充分でなく好ましくなく、ま
たモル比で20より多いと、液の酸性が強くなりすぎ、
取り扱い上好ましくない。加水分解のみの観点からは、
添加酸量の上限は、有機金属化合物に対してモル比で2
である。これ以上酸量が増えても、加水分解の進行の程
度はあまり変わらない。しかし、これより多い酸添加に
より、膜の強度が著しく増大し、低温(室温〜250
℃)での乾燥でも充分実用に耐えうる膜が得られる場合
がある。
【0023】このような膜強度の増大が認められるコー
ティング液の好ましい組成は、有機金属化合物またはそ
の加水分解物から換算される金属酸化物の濃度が、0.
001重量%以上、3重量%以下であり、酸濃度が0.
001モル/L以上、1モル/L以下であり、水分含有
率が0.001重量%以上、10重量%以下である。さ
らに好ましい組成は、前記金属酸化物の濃度が、0.0
1重量%以上、0.6重量%以下であり、前記酸濃度が
0.01モル/L以上、0.3モル/L以下であり、前
記水分含有率が0.001重量%以上、3重量%以下で
ある。
【0024】このとき使用する酸は、硝酸または塩酸が
好ましく、そして、水分含有量の0.3倍以上の濃度を
有する酸を用いることが好ましい。すなわち、水溶液の
形の酸を使用するときは、23.1%以上の濃度を有す
る高濃度の酸であることが好ましい。また酸をエタノー
ル溶液の形で使用するときには、エタノール溶液が例え
ば0.5重量%の水分を含有しているとすれば、エタノ
ール溶液中の酸の濃度が0.15重量%以上であるもの
が好ましい。
【0025】上記クロロシリル基含有化合物を用いる場
合には、必ずしも水や酸の添加は必要ではない。付加的
に全く水や酸を添加しなくても、溶媒中に含まれていた
水分や雰囲気中の水分などにより加水分解が進行する。
また、この加水分解に伴って液中に塩酸が遊離し、さら
に加水分解が進行する。しかし、付加的に水や酸を加え
ても何ら差し支えない。
【0026】上記金属酸化物微粒子の膜中の含有量は、
あまり少なすぎると、金属酸化物微粒子を添加した効
果、すなわち得られる防曇性能や防曇持続性が充分でな
く好ましくない。逆に、金属酸化物微粒子の含有量があ
まり多すぎると、有機金属化合物やクロロシリル基含有
化合物由来の金属酸化物マトリックス相が、不連続にな
り凹凸膜が脆くなって、膜の強度が低下する傾向が強く
なる。それとともに、得られる防曇性能や防曇持続性
は、飽和して実質上向上しない。
【0027】したがって、金属酸化物微粒子の膜中の含
有量は、金属酸化物換算で5重量%以上、80重量%以
下であることが好ましく、より好ましくは10重量%以
上、70重量%以下であり、更に好ましくは20重量%
以上、60重量%以下である。
【0028】上記金属酸化物微粒子と、上記有機金属化
合物やクロロシリル基含有化合物またはそれらの加水分
解物を溶媒とともに混合し、必要に応じて水、酸触媒、
および分散助剤を添加して、基材上に凹凸を形成するた
めのコーティング液を調製することができる。このと
き、有機金属化合物とクロロシリル基含有化合物は、単
独で用いても混合して用いてもどちらでもよい。このコ
ーティング液の好ましい原料配合比は、次の表1の通り
である。
【0029】
【表1】 ================================== 有機金属化合物またはクロロシリル基含有化合物 またはそれらのその加水分解物 100重量部 金属酸化物微粒子 10〜200重量部 水 0〜150重量部 酸触媒 0〜35重量部 分散助剤 0.001〜10重量部 溶媒 500〜30000重量部 ===================================
【0030】上記有機金属化合物またはクロロシリル基
含有化合物を溶媒に溶かし、触媒と水を加え、10℃と
溶液の沸点の間の所定の温度で5分間から2日間加水分
解する。そこへ金属酸化物微粒子と必要に応じ分散助剤
を加えて、必要に応じさらに10℃と溶液の沸点の間の
所定の温度で5分間から2日間反応させ、凹凸形成用コ
ーティング液を得る。
【0031】なお、クロロシリル基含有化合物を用いる
場合には、触媒および水は特別に添加する必要はない。
また金属酸化物微粒子は、上記加水分解工程の前に加え
てもよい。また、有機金属化合物の加水分解工程を省略
するために、上記市販の有機金属化合物加水分解物溶液
を用いてもよい。得られたコーティング液は、その後コ
ーティング方法に応じて適当な溶媒で希釈しても構わな
い。
【0032】上記凹凸形成用コーティング液を基材上に
塗布・乾燥し、必要に応じて熱処理して、基材上に金属
酸化物凹凸を形成することができる。
【0033】本発明における基材としては、ガラス,セ
ラミックス,プラスチック或いは金属等が挙げられる。
上記基材の表面に親水性基が少ない、例えばプラスチッ
ク基材等を用いる場合には、その表面を予めプラズマ処
理またはコロナ放電処理して親水性化したり、あるい
は、基材表面を酸素を含む雰囲気中で200〜300n
m付近の波長の紫外線を照射して、親水性化処理を行っ
た後に、上記塗布を行うことが好ましい。
【0034】また、基材の汚れ付着状態によっては、上
記凹凸形成用コーティング液をはじくなどして均一に塗
布できない場合があるが、これは基材表面の洗浄や表面
改質を行うことで改善できる。洗浄や表面改質の方法と
しては、アルコール,アセトン,ヘキサンなどの有機溶
媒による脱脂洗浄、アルカリや酸による洗浄、研磨剤に
より表面を研磨する方法、超音波洗浄などの洗浄法や、
紫外線照射処理、紫外線オゾン処理、プラズマ処理、コ
ロナ放電処理、熱処理などの表面改質法が挙げられる。
【0035】上記塗布の方法は、公知の技術を用いれば
よく、特に限定されないが、スピンコーター,ロールコ
ーター,スプレーコーター,カーテンコーター等の装置
を用いる方法や、浸漬引き上げ法(ディップコーティン
グ法)、流し塗り法(フローコーティング法)などの方
法や、スクリーン印刷,グラビア印刷,曲面印刷などの
各種印刷法が用いられる。
【0036】塗布後の基材は、室温から150℃の間の
温度で1分間から2時間乾燥後、必要に応じて150℃
と基材耐熱温度の間の温度で、5秒から5時間熱処理す
ることが好ましい。基材耐熱温度とは、実質上基材の特
性が保持できる上限の温度のことであり、ガラス基材な
らば、例えば軟化点や失透温度(通常600〜700
℃)など、プラスチック基材ならば、例えばガラス転移
点や結晶化温度や分解点などが挙げられる。
【0037】上記乾燥や熱処理により、基材表面に強固
な金属酸化物凹凸膜を形成することができる。この凹凸
膜は、金属酸化物微粒子と金属酸化物(有機金属化合物
またはクロロシリル基含有化合物から由来する)のマト
リックスからなる。金属酸化物微粒子が金属酸化物マト
リックスにより基材に固着され、金属酸化物微粒子の表
面形状が、この膜の凹凸を形成することになる。
【0038】この凹凸膜の厚みは、2〜300nmであ
ることが好ましく、さらに好ましくは4〜100nmで
ある。厚みが2nmより薄いと凹凸の効果が低く、すな
わち防曇性能が低くなるので好ましくない。厚みが30
0nmより厚いと、干渉色が顕著に認められ好ましくな
い。また、厚みが4nmより薄いと防曇持続性が低下す
る傾向があり、100nmより厚いと耐摩耗性が低下す
る傾向にあり、どちらも好ましくない。より好ましい凹
凸膜の厚みは、20〜100nmである。なお凹凸膜の
厚みは、膜の内側表面と外側の凹凸平均線との差で定義
する。
【0039】このようにして基材表面に金属酸化物凹凸
膜を形成した物品は、水に対する濡れ性が向上してお
り、水滴の接触角が小さく防曇性能を有している。ま
た、多少の表面汚れによっても容易には接触角が上昇せ
ず、防曇持続性を有している。
【0040】また、金属酸化物微粒子やマトリックスと
して、酸化チタンが用いられる場合には、紫外線等の光
が防曇物品の表面に照射されると、光触媒作用により表
面汚れが分解され、防曇性能がよくなる場合がある。こ
のような物品は、太陽光や蛍光灯などの光の下で半永久
的に防曇性能を持続することができる。
【0041】本発明の凹凸膜は、上記コーティング液中
の金属酸化物微粒子の粒径や粒子形状、有機金属化合物
またはクロロシリル基含有化合物またはそれらの加水分
解物と金属酸化物微粒子の混合比、固形分濃度などを調
節することにより、算術平均粗さ(Ra)が1.5〜8
0nmであり、かつ凹凸の平均間隔(Sm)が4〜30
0nmとするのが好ましい。
【0042】Ra値が1.5nmより小さくても80n
mより大きくても、防曇性能や防曇持続性が低く好まし
くない。またSm値が、4nmより小さくても、300
nmより大きくても、やはり防曇性能や防曇持続性が低
く、好ましくない。特にSm値が、300nmより大き
いと、透明性が損なわれるので好ましくない。
【0043】本発明の凹凸膜は、さらに好ましくは、算
術平均粗さ(Ra)が5〜30nmであり、かつ凹凸の
平均間隔(Sm)が5〜150nmである。この範囲で
防曇性能、特に防曇持続性がさらに良好である。
【0044】ここで、Ra値,Sm値は、JIS B
0601(1994)記載の方法により定義され、原子
間力顕微鏡(例えば、セイコー電子株式会社製SPI3
700)や電子顕微鏡(例えば、株式会社日立製作所製
H−600)を用いて観察、測定した断面曲線から計算
することができる。
【0045】上記金属酸化物微粒子を含有し金属酸化物
をマトリックスとする凹凸膜中に、さらに界面活性剤を
含有させることにより、防曇性能や防曇持続性が更に改
良された防曇物品を得ることができる。
【0046】凹凸膜中に界面活性剤を含有させる方法と
しては、上記凹凸形成用コーティング液中に界面活性剤
を添加する方法が簡単で好ましい。膜中に含有された界
面活性剤は、ゆっくりと表面に移動し、結露した水滴の
表面張力を低下させ、水滴を濡れ拡がらせるため、防曇
性能を更に増大させる効果を有する。また汚れ成分を包
み込むので、表面が汚れて防曇性能が低下するのを防ぐ
働きも有する。
【0047】上記凹凸膜中に含有された界面活性剤は、
金属酸化物微粒子により形成される間隙や、金属酸化物
マトリックスの細孔内に保持され、ゆっくりと表面に移
動して防曇性能や親水性の向上に寄与できる。したがっ
て、界面活性剤を含まない凹凸膜よりも、防曇性能また
は親水性の持続性を向上させることができる。
【0048】また、使用を続けて界面活性剤が次第に流
出して、膜内部から表面に移動できる界面活性剤がなく
なっても、凹凸形状による高い防曇性能は持続されるの
で、急激な防曇性能の低下を招くことはない。
【0049】凹凸膜中に含有させる界面活性剤として
は、陰イオン性のものが好ましく用いられる。陽イオン
性または両性の界面活性剤は、金属酸化物よりなる凹凸
膜に陽イオン部の親水性部を向けて吸着する傾向がある
ので、空気側には界面活性剤の疎水性部が向くことにな
る。その結果、物品表面の親水性が低くなって、防曇性
能が低下する傾向があるので、好ましくない。非イオン
系の界面活性剤は、分子量の大きなものが多く、膜中に
固定される傾向が強い。やはり、物品表面の親水性が低
くなって、防曇性能が低下するので好ましくない。
【0050】また、分子内にアミン性窒素またはアミド
結合を含む界面活性剤は、イオン性に関わらず、金属酸
化物よりなる凹凸膜に、窒素原子を介して吸着する傾向
が強い。やはり、物品表面の親水性が低くなって、防曇
性能が低下するので好ましくない。よって、アミン性窒
素またはアミド結合を分子内に含まない界面活性剤が、
好ましく用いられる。
【0051】陰イオン性界面活性剤としては、スルホコ
ハク酸ジアルキルナトリウムのようなスルホコハク酸エ
ステル塩,アルキルエーテル硫酸塩,アルキルエーテル
リン酸塩,アルキルエーテルカルボン酸塩,ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウムのような硫酸エステル塩等
が例示される。これらのうち、スルホコハク酸ジアルキ
ルナトリウム、例えば、スルホコハク酸ジブチルナトリ
ウム,スルホコハク酸ジヘキシルナトリウム,スルホコ
ハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム等が、防曇性
能や防曇持続性が良好であり、好ましく用いられる。こ
れら界面活性剤は、一種のみまたは二種以上を混合して
用いることができる。
【0052】上記膜中の界面活性剤の含有量は、金属酸
化物微粒子を含有し金属酸化物をマトリックスとする凹
凸膜全成分に対して、0.1〜15重量%が好ましい。
添加量が0.1重量%より少ないと、防曇性能や親水性
の向上が不充分となるので、添加の意味がなく好ましく
ない。一方、添加量が15重量%より多いと、膜が白化
し外観不良になる傾向が強く、また膜強度も低下するの
でやはり好ましくない。
【0053】上記界面活性剤を含有させた凹凸膜は、成
膜後、界面活性剤の分解温度以下の温度で、乾燥や熱処
理が施されることが好ましい。
【0054】本発明の凹凸膜または界面活性剤を含有す
る凹凸膜中に、具体的にはリン系化合物を含有させるこ
とにより、防曇性能や防曇持続性が更に改良された防曇
物品を得ることができる。凹凸膜中にリン系化合物を含
有させる方法としては、上記凹凸形成用コーティング液
中に、リン系化合物を添加する方法が簡単で好ましい。
【0055】上記リン系化合物としては、リン酸エステ
ル,リン酸,酸化リン,亜リン酸エステル,亜リン酸等
が挙げられ、これら化合物の一種または二種以上が用い
られる。上記リン系化合物の含有量は、金属酸化物微粒
子を含有し金属酸化物をマトリックスとする凹凸膜全成
分に対して、0.1〜15重量%が好ましい。添加量が
0.1重量%より少ないと、防曇性能や親水性の向上が
不充分なので、添加の意味がなく好ましくない。一方、
添加量が15重量%より多いと、膜が白化し外観不良に
なる傾向が強く、また膜強度も低下するのでやはり好ま
しくない。
【0056】上記の金属酸化物微粒子を含有し、金属酸
化物をマトリックスとする凹凸膜(上記界面活性剤また
はリン系化合物を含有させていても含有させていなくて
もよい)の上に、さらに、ポリアルキレンオキシド基,
アルキル基,アルケニル基、およびアリール基からなる
群より選ばれる少なくとも一種の官能基を分子内に含む
オルガノシランまたはその加水分解物を接触させ、これ
を化学的または物理的に表面凹凸上に固定または付着さ
せることで、さらに防曇持続性が改良された防曇物品を
得ることができる。
【0057】上記ポリアルキレンオキシド基としては、
ポリエチレンオキシド基,ポリプロピレンオキシド基な
どが主に使用される。上記アルキル基としては、メチル
基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘ
キシル基,オクチル基,ノニル基,デシル基などの炭素
原子数が1〜10の鎖状アルキル基、およびシクロペン
チル基,シクロヘキシル基などの炭素原子数が3〜10
の環状アルキル基が主に使用される。上記アルケニル基
としては、ビニル基,アリル基,ブテニル基,プロペニ
ル基,ヘキセニル基,オクテニル基,シクロヘキセニル
基などの炭素原子数が1〜10の基が主に使用される。
上記アリール基としては、フェニル基,トリル基,キシ
リル基などが主に使用される。
【0058】これら官能基は無極性または低極性である
ので、汚れ付着性が低く水滴に対する接触角の上昇が抑
えられ、すなわち防曇持続性が良好となり好ましい。特
に、ポリアルキレンオキシド基を含むオルガノシランを
用いて作製した上記防曇物品は、防曇性能が良好であ
り、防曇持続性も特に優れており、特に好ましい。
【0059】また上記官能基は非反応性または低反応性
であるので、汚れ成分と化学的結合を生じることもな
く、また汚れが表面に固定されることもない。さらに、
表面に付着した汚れが拭き取りなどにより簡単に除去で
きるので、たとえ汚れによって防曇性能が消失しても、
簡単に防曇性能を復活させることができる。
【0060】上記オルガノシランは、分子内にアルコキ
シル基やクロロ基を有するアルコキシシランやクロロシ
ランであることが好ましい。これら基は容易に加水分解
を受けて、オルガノシランが金属酸化物凹凸表面に強固
に化学結合できる状態になるので、より防曇持続性の高
い製品になる。前記オルガノシランの中で、ポリアルキ
レンオキシド基、例えばポリエチレンオキシド基を含有
するアルコキシシラン、特に[アルコキシ(ポリエチレ
ンオキシ)アルキル]トリアルコキシシラン、例えば
[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメト
キシシランが、最も好適である。
【0061】上記オルガノシランまたはその加水分解物
が、化学的または物理的に凹凸表面に固定または付着し
た防曇物品は、10度以下の接触角(0.4mgの水滴
に対する)を有することが好ましい。この接触角が10
度より大きくなると、防曇性能や防曇持続性が低下する
ので、好ましくない。
【0062】上記オルガノシランまたはその加水分解物
を、上記凹凸表面に化学的にまたは物理的に固定または
付着させる方法としては、前記オルガノシランまたはそ
の加水分解物が前記凹凸表面に接触する方法なら何でも
よい。例えば、前記オルガノシランまたはその加水分解
物を含む液体を凹凸表面に塗布する方法(塗布法)、前
記オルガノシランまたはその加水分解物を含む液体に凹
凸膜形成物品を浸漬する方法(液相化学吸着法)、前記
オルガノシランまたはその加水分解物の蒸気中に凹凸膜
形成物品を置き吸着させる方法(気相化学吸着法)など
が挙げられる。
【0063】上記方法のうち塗布法が、最も簡単でコス
トも低く特に好ましい。上記塗布の方法は、公知の技術
を用いればよく、特に限定されないが、スピンコータ
ー,ロールコーター,スプレーコーター,カーテンコー
ター等の装置を用いる方法や、浸漬引き上げ法(ディッ
プコーティング法)、流し塗り法(フローコーティング
法)などの方法や、塗布液を含ませた布や紙を凹凸表面
に接触させ適当な力をかけて擦る方法(ラビング法)
や、スクリーン印刷,グラビア印刷,曲面印刷などの各
種印刷法が用いられる。
【0064】基材表面に被覆された、金属酸化物微粒子
を含有し金属酸化物をマトリックスとする凹凸膜によっ
ては、オルガノシラン塗布液をはじくなどして均一に塗
布できない場合があるが、これは凹凸膜表面の洗浄や表
面改質を行うことで改善できる。洗浄や表面改質の方法
としては、アルコール,アセトン,ヘキサンなどの有機
溶媒による脱脂洗浄、アルカリや酸による洗浄、超音波
洗浄などの洗浄法や、紫外線照射処理、紫外線オゾン処
理、プラズマ処理、コロナ放電処理、熱処理などの表面
改質法が挙げられる。
【0065】上記オルガノシランを溶かす溶媒は、特に
限定されないが、安全性やコストや作業性の観点から
水,アルコール類,ケトン類が単独または混合して、好
ましく用いられる。アルコール類としては、メタノー
ル,エタノール,プロパノール,ブタノールなどが挙げ
られ、ケトン類としては、アセトン,メチルエチルケト
ン,ジエチルケトンなどが挙げられる。
【0066】上記オルガノシランは、必要に応じて加水
分解させて用いる。オルガノシラン溶液に水と必要に応
じて酸触媒を加え、一定温度下で一定時間加水分解を行
い、必要に応じて希釈して塗布に用いる。
【0067】加水分解の条件は特に限定されないが、2
0〜60℃の温度で3分間〜50時間行うのが好まし
い。温度が20℃より低かったり、時間が3分間より短
い場合には、加水分解の促進が充分でない。また、温度
が60℃より高かったり、時間が50時間より長くて
も、もはや加水分解促進の効果が向上せず、さらに塗布
液寿命が短くなるので、好ましくない。
【0068】上記酸触媒としては、塩酸,硫酸,硝酸な
どの鉱酸の他、酢酸,ギ酸,クエン酸,p−トルエンス
ルホン酸などの有機酸が用いられる。酸の添加量は特に
限定されないが、オルガノシランに対してモル比で0.
0001〜2がよい。添加酸量が、モル比で0.000
1より少ないと、オルガノシランの加水分解の促進が充
分でない。またモル比で2より多くても、もはや加水分
解促進の効果が向上せず、酸が過剰となるので好ましく
ない。
【0069】加水分解のため添加する水の量は特に限定
されないが、オルガノシランに対してモル比で0.1以
上が好ましい。添加水量が、モル比で0.1より少ない
と、オルガノシランの加水分解の促進が充分でなく好ま
しくない。
【0070】一方、例えばクロロシランのような加水分
解速度が大きいオルガノシランでは、金属酸化物凹凸表
面に吸着した水分のみで充分な加水分解が進行し、脱水
縮合反応により表面に固定できる場合がある。この場合
には、溶存水分を充分に減じた非水系溶媒を用いて塗布
液を調合した方が、得られる防曇物品の耐候性や防曇性
能や防曇持続性の優れたものが得られるので好ましい。
非水系溶媒としては、n−ヘキサン,シクロヘキサン,
キシレン,トルエンなどが例示できる。
【0071】塗布に用いるオルガノシラン溶液の濃度は
特に限定されないが、0.001〜5重量%が好ましく
用いられる。濃度が0.001重量%より低いと、得ら
れる防曇物品に充分な防曇持続性の向上が認め難くな
る。また、5重量%より高くても、防曇性能がそれ以上
よくならないので、経済的でなく好ましくない。
【0072】オルガノシラン溶液塗布後の凹凸基材は、
20〜180℃の温度で、3分間〜3時間乾燥または熱
処理するのが好ましい。この処理により、オルガノシラ
ンの金属酸化物凹凸表面への結合が強くなり、防曇物品
の耐久性と防曇持続性を向上することができる。温度が
20℃より低かったり、時間が3分間より短い場合に
は、上記効果が充分でなく好ましくない。温度が180
℃より高いと、オルガノシランが分解する場合があるの
で好ましくない。また、時間が3時間より長くても、も
はや上記効果が向上しないので、生産性の観点から好ま
しくない。
【0073】上記凹凸表面上にオルガノシランが単分子
層を形成すれば、防曇持続性を向上することができる。
またオルガノシランの厚みが10nmを越えても、その
効果はそれ以上高くならない。したがって、熱処理後の
オルガノシラン層の好ましい厚みは、0.3〜10nm
である。
【0074】オルガノシラン層の厚みが比較的に大きい
場合であっても、オルガノシラン層の場所による厚み変
動が、あまり大きくないことが必要である。つまり、オ
ルガノシラン層の外側表面には、上記凹凸表面と同様の
凹凸、すなわち算術平均粗さ(Ra)が1.5〜80n
mであり、かつ凹凸の平均間隔(Sm)が4〜300n
mである凹凸が形成されていることが必要である。
【0075】上記の金属酸化物微粒子を含有し金属酸化
物をマトリックスとする凹凸膜(上記界面活性剤または
リン系化合物を含有していても含有していなくてもよ
い)の上に、またはこの凹凸膜表面に被覆した上記官能
基を含むオルガノシラン(またはその加水分解物)の層
の上に、さらに界面活性剤の層を被覆することにより、
防曇性能や防曇持続性が更に改良された防曇物品を得る
ことができる。
【0076】上記界面活性剤の層は、結露した水滴の表
面張力を低下させるので、水滴を濡れ拡がらせ、防曇性
能を更に増大させる効果を有する。また汚れ成分を包み
込むので、表面が汚れて防曇性能が低下するのを防ぐ働
きも有する。
【0077】界面活性剤の層は、その下地である表面凹
凸膜(金属酸化物微粒子を含有し金属酸化物をマトリッ
クスとする凹凸膜)の物理的形状のため除去されにく
い。したがって、表面が平滑で凹凸を有しない通常の基
板表面に塗布された場合よりも、界面活性剤による防曇
効果が長続きする効果を有する。
【0078】また、上記凹凸膜表面に上記官能基を含む
オルガノシラン等の層を設けた物品では、上記物理的形
状に加えて、層表面の上記官能基と界面活性剤との分子
間相互作用力のため、やはり界面活性剤が除去されにく
くなるので、さらに界面活性剤による防曇効果が長続き
する。
【0079】塗布された界面活性剤の層の厚みが、後述
する範囲内で比較的に小さい場合には、界面活性剤の層
の表面(外側)は、その下地表面の凹凸に影響されて、
1.5〜80nmの算術平均粗さ(Ra)および4〜3
0nmの凹凸の平均間隔(Sm)の凹凸が形成されるの
で、その凹凸形状により高い防曇性能を示す。
【0080】界面活性剤の層の厚みが、後述する範囲内
で比較的に大きい場合には、界面活性剤の層の表面(外
側)は、1.5nm以上の算術平均粗さ(Ra)および
4nm以上の凹凸の平均間隔(Sm)の凹凸は形成され
ず、界面活性剤の層表面は平滑になる。その場合、凹凸
形状による効果は望めないものの、界面活性剤自体によ
る防曇効果は得られる。そして使用を続けて、界面活性
剤が次第に流出し、界面活性剤の層の厚みが減少してい
くと、その表面には凹凸が現れるので、凹凸形状による
高い防曇性能が発揮、持続される。
【0081】上記表面に塗布する界面活性剤としては、
非イオン性または陰イオン性のものが好ましく用いられ
る。陽イオン性または両性の界面活性剤は、金属酸化物
よりなる凹凸表面側に陽イオン部の親水性部を向けて吸
着する傾向があるので、空気側には界面活性剤の疎水性
部が向くことになる。その結果、物品表面の親水性が低
くなって、防曇性能が低下する傾向があるので、好まし
くない。
【0082】また、分子内にアミン性窒素またはアミド
結合を含む界面活性剤は、イオン性に関わらず、金属酸
化物よりなる凹凸表面に、窒素原子を介して吸着する傾
向が強く、やはり防曇性能が低下するので好ましくな
い。よって、アミン性窒素またはアミド結合を分子内に
含まない界面活性剤が、好ましく用いられる。
【0083】しかし、表面に上記官能基を含むオルガノ
シランの層を設けた物品では、上記界面活性剤の吸着傾
向は低くなるので、陽イオン性または両性の界面活性
剤、および、分子内にアミン性窒素またはアミド結合を
含む界面活性剤も、好ましく用いられる。
【0084】陰イオン性界面活性剤としては、スルホコ
ハク酸ジアルキルナトリウムのようなスルホコハク酸エ
ステル塩,アルキルエーテル硫酸塩,アルキルエーテル
リン酸塩,アルキルエーテルカルボン酸塩,ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウムのような硫酸エステル塩等
が例示される。これらのうち、スルホコハク酸ジアルキ
ルナトリウム、例えば、スルホコハク酸ジブチルナトリ
ウム,スルホコハク酸ジヘキシルナトリウム,スルホコ
ハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム等が、防曇性
能や防曇持続性が良好であり、好ましく用いられる。
【0085】非イオン性界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル,ポリオキシエチレ
ンステアリルエーテルのようなポリオキシエチレンアル
キルエーテル,ポリオキシエチレンモノステアレートの
ようなポリオキシエチレンアシルエステル,ポリオキシ
エチレンソルビタンモノステアレートのようなポリオキ
シエチレンソルビタンアシルエステル,ソルビタンラウ
レートのようなソルビタンエステル等が例示される。
【0086】非イオン性界面活性剤は、親水性親油性平
衡(HLB)値が5〜18であるものが好ましい。HL
B値が5より小さいと親水性が低く、充分な防曇性能が
得られ難くなる。一方、HLB値が18より大きいと、
水に対する溶解性が大きくなりすぎ、結露によって容易
に表面から除去されるようになる。したがって、防曇効
果の持続性が低くなる傾向があり、好ましくない。上記
表面に塗布する界面活性剤は、一種のみまたは二種以上
を混合して用いることができる。
【0087】上記界面活性剤の塗布後の厚みは、特に限
定されないが、概ね0.2〜100nmである。界面活
性剤層の厚みが0.2nm(単分子層)より薄いと、表
面が露出している部分が生じるので、界面活性剤による
防曇性能や防曇持続性の向上が顕著でなく、好ましくな
い。また厚みが100nmより厚くなると、界面活性剤
層による干渉色が観察されるようになり、ムラやギラツ
キが認められるようになるので好ましくない。より好ま
しい厚みは、10〜100nmである。
【0088】界面活性剤の塗布方法は、公知の方法を用
いればよく特に限定されないが、スピンコーター,ロー
ルコーター,スプレーコーター,カーテンコーター等の
装置を用いる方法や、浸漬引き上げ法(ディップコーテ
ィング法)、流し塗り法(フローコーティング法)など
の方法や、界面活性剤溶液を含ませた布や紙を表面に接
触させ適当な力をかけて擦る方法(ラビング法)や、ス
クリーン印刷,グラビア印刷,曲面印刷などの各種印刷
法が用いられる。
【0089】塗布のために上記界面活性剤を溶かす溶媒
は、特に限定されないが、安全性やコストや作業性の観
点から、水,アルコール類が単独または混合して、好ま
しく用いられる。アルコール類としては、メタノール,
エタノール,プロパノール,ブタノールなどが挙げられ
る。
【0090】塗布に用いる界面活性剤溶液の濃度は、特
に限定されないが、0.001〜5重量%が好ましく用
いられる。濃度が0.001重量%より低いと、得られ
る防曇物品における界面活性剤層の厚みが小さ過ぎるの
で、防曇性能や防曇持続性の向上が認め難くなる。ま
た、濃度が5重量%より高くても、防曇性能がそれ以上
よくならないので、経済的でなく好ましくない。
【0091】界面活性剤の塗布は、低下した防曇性能の
回復を目的として、使用中または使用後の上記防曇物品
について行なうこともできる。
【0092】
【発明の実施の形態】以下に実施例を示す。
【0093】[実施例1] 表面凹凸の形成 テトラエトキシシランの加水分解縮重合液(商品名:H
AS−10、コルコート株式会社製)11.8重量部
と、直径が10〜20nmで長さが40〜300nmの
鎖状シリカコロイド(商品名:スノーテックスOUP、
日産化学工業株式会社製、固形分15重量%)13.3
重量部と、2−プロパノール 74.9重量部を室温で
混合し、これを2−プロパノールで3重量倍に希釈し
て、室温で2時間攪拌して、凹凸形成用コーティング液
を得た。
【0094】酸化セリウム系研磨剤で表面研磨・洗浄
し、さらに純水中で超音波洗浄を行い乾燥したソーダラ
イム珪酸塩ガラス板(65×150×3mm)を、前記
凹凸形成用コーティング液に浸漬し、20cm/分の速
度で引き上げることにより、液をガラス板の両表面上に
塗布した。このガラス板を100℃で30分間乾燥さ
せ、さらに250℃で30分間乾燥させた後、500℃
オーブン内で1時間熱処理し、厚み100nmのシリカ
凹凸膜が両表面に形成されたガラス板を得た。
【0095】表面粗度、接触角測定 上記シリカ凹凸膜が形成されたガラス板について、算術
平均粗さ(Ra)および凹凸の平均間隔(Sm)を、原
子間力顕微鏡(セイコー電子株式会社製「SPI370
0」)を利用して求めた。
【0096】また、0.4mgの水滴に対する接触角を
接触角計(協和界面科学株式会社製「CA−DT」)を
用いて測定した。これらの測定結果を表4に示す。な
お、他の実施例および比較例で、最表面に界面活性剤を
被覆したものについての、RaおよびSmは界面活性剤
を被覆する前および後の値を示している。
【0097】防曇性能評価 上記シリカ凹凸膜が形成されたガラス板を、温度5℃、
相対湿度10%の恒温恒湿槽内に置き10分間静置した
後、温度25℃、相対湿度70%の恒温恒湿槽内に移
し、30秒経過したときから2分経過するまでの間の曇
りの程度と、2分経過後の透視像の歪みの程度の両方で
観察して、ガラス板の表面の微小水滴付着状態を調べ
た。それを、表2に示す4段階評価基準にしたがって、
「曇り評価」および「歪み評価」の測定をした。
【0098】
【表2】
【0099】その測定結果を表4に示すが、上記シリカ
凹凸膜が形成されたガラス板は、優れた初期防曇性能を
持つことがわかった。
【0100】繰り返し防曇性能評価 JIS S 4030−1995「眼鏡用くもり止め剤
試験方法」に記載の冷却装置(透明プラスチック製)に
上記サンプル板を設置し、サンプル裏面を冷却水に接触
させサンプル温度を20℃に保った。サンプルをこの状
態で冷却したまま、温度45℃、相対湿度80%RHの
恒温恒湿槽内に置き、3分間保った。その後、サンプル
を冷却装置に着けたまま、これを温度20℃、相対湿度
10%RHの恒温恒湿槽内に置き、3分間乾燥させた。
この高湿度雰囲気暴露と低湿度雰囲気暴露の操作を1サ
イクルとし、30サイクルの繰り返し操作を行った。
【0101】この繰り返し操作の後、プラスチック板上
に印刷した透視歪み判定用テストチャートを上記冷却装
置の裏面に貼り付け、板と冷却装置裏面の隙間に水をし
み込ませ、サンプル側から透視歪み判定用テストチャー
トが観察できるようにした。透視歪み判定用テストチャ
ートは、JIS S 4030−1995の付図1記載
のテストチャートを模したものであり、3本の白線の線
幅と間隔は、0.5mm、1.0mm、1.5mm、
2.0mm、2.5mmの5通りの群とした。
【0102】サンプルを取り付けている冷却装置の冷却
水温度を5℃に下げ、これを温度25℃、相対湿度80
%RHの恒温恒湿槽内に置き、曇りと透視歪みの発生状
態を、上記透視歪み判定用テストチャートを用いて調べ
た。それを、表3に示した6段階評価基準にしたがっ
て、繰り返し防曇性能の「曇り評価」および「歪み評
価」の測定をした。
【0103】
【表3】 =================================== 曇り評価 曇り状態 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 5 ほぼ全面が曇らない 4 80%以上の面積が曇らない 3 60%以上の面積が曇らない 2 60%以上の面積が曇る 1 80%以上の面積が曇る 0 ほぼ全面が曇る =================================== 歪み評価 透視歪み状態 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 5 全く歪まない 4 0.5mm間隔の白線を分離して認め難い 3 1.0mm以下の間隔の白線を分離して認め難い 2 1.5mm以下の間隔の白線を分離して認め難い 1 2.0mm以下の間隔の白線を分離して認め難い 0 2.5mm以下の間隔の白線を分離して認め難い ===================================
【0104】その測定結果を表4に示すが、上記シリカ
凹凸膜が形成されたガラス板は、ある程度の防曇持続性
を持つことがわかった。
【0105】タバコ煙試験 上記シリカ凹凸膜が形成されたガラス板を、24cm角
の立方体型の箱の底に置き、市販のタバコ1本分の煙を
箱内に導入し30分間保持した後取り出した。タバコの
煙に曝した後の、前記方法で測定した0.4mg水滴に
対する接触角と、前記方法で行った防曇性能評価結果を
表6に示す。この結果から、上記シリカ凹凸膜が形成さ
れたガラス板は、タバコの煙に対して、ある程度の防曇
持続性を持つことが確認された。
【0106】油脂拭き取り試験 上記シリカ凹凸膜が形成されたガラス板面上に市販オリ
ーブ油を数滴垂らし、綿布を用いて表面に塗布し、室温
で30分間放置した。これを、純水を含ませた綿布で数
回拭き、乾燥後、前記方法で接触角測定と防曇性能評価
を行った。その結果を表6に示す。この結果から、上記
シリカ凹凸膜が形成されたガラス板は、表面に若干の油
脂が残り、少し防曇性能が低下するもののそれほど悪く
なく、ある程度の防曇持続性を持つことが確認された。
【0107】耐水・室内放置試験後防曇性能評価 上記シリカ凹凸膜が形成されたガラス板を垂直に立て、
純水500mLを約3分間かけて板面全体にスプレー
し、表面に水を流した。ガラス板を乾燥後、室内に30
日間放置した後、接触角の測定および上記防曇性能評価
方法にて、表2に示す4段階評価を行った。
【0108】その結果を表8に示す。この結果から、上
記シリカ凹凸膜が形成されたガラス板は、少し防曇性能
が低下するもののそれほど悪くなく、耐水・室内放置試
験後も、ある程度の防曇性能を持つことが確認された。
【0109】[実施例2] オルガノシラン塗布凹凸表面作製 1000mLの市販エタノール(99.5%)に、0.
1規定酢酸を1mL添加し攪拌した。このエタノールを
主体とする液796gに[メトキシ(ポリエチレンオキ
シ)プロピル]トリメトキシシラン(チッソ株式会社製
「SIM6492.7」、含有率90%、分子量460
〜590、エチレンオキサイド単位6〜9、)を4g添
加し30℃で1時間攪拌して、オルガノシラン塗布液を
調製した。
【0110】実施例1で作製したシリカ凹凸膜が形成さ
れたガラス板を、純水中で超音波洗浄し乾燥した後、上
記オルガノシラン塗布液に浸漬し、毎分5cmの速度で
引き上げることにより、液をシリカ凹凸膜付ガラス板の
両表面上に塗布した。このガラス板を120℃で30分
間乾燥・熱処理し、室温まで冷やした後純水で軽く洗浄
して、ポリエチレンオキシド基を分子内に含む、厚みが
約8nmのオルガノシラン層が形成されたシリカ凹凸膜
付ガラス板を得た。
【0111】[実施例3] 表面凹凸の形成 市販のテトラエトキシシラン31重量部を2−プロパノ
ール380重量部に加え、さらに1規定の塩酸1.6重
量部、および水6.5重量部を加え、50℃で5時間、
さらに30℃で1日間攪拌して加水分解させた。この加
水分解液に粒子粒径50nmのシリカコロイド(商品
名:スノーテックスOL、日産化学工業株式会社製、固
形分20重量%)30重量部を加え、さらに30℃で5
時間攪拌した。得られた液約450重量部から180重
量部を分取し、それにエタノール120重量部を加えて
固形分を2%に調整し凹凸形成用コーティング液を得
た。
【0112】実施例1と同様に研磨・洗浄、超音波洗
浄、乾燥したソーダライム珪酸塩ガラス板(300×3
00×5mm)上に、上記凹凸形成用コーティング液
を、ロールコーターを用いてコーティングした。コーテ
ィングはガラス板の両面に施した。このガラス板を15
0℃で30分間乾燥させ、吊り強化炉(電気炉)中で板
温が600℃になるまで加熱し、直ちに取り出しエアブ
ローにより急冷し、厚み80nmのシリカ凹凸膜が形成
されたガラス板を得た。
【0113】[実施例4] オルガノシラン塗布凹凸表面作製 1000mLの市販2−プロパノールに、0.1規定酢
酸を1mL添加し攪拌した。この液792gにn−プロ
ピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製LS
−3120)を0.1g添加し30℃で1時間攪拌し
て、オルガノシラン塗布液を調製した。
【0114】実施例3で作製したシリカ凹凸膜が形成さ
れたガラス板を、純水中で超音波洗浄し乾燥した後、実
施例2記載の方法と同じ方法で、n−プロピル基を分子
内に含む、厚みが約0.5nmのオルガノシラン層が形
成されたシリカ凹凸膜付ガラス板を得た。
【0115】[実施例5] 表面凹凸の形成 市販のテトラエトキシシラン25重量部を2−プロパノ
ール380重量部に加え、さらに1規定の硝酸1.6重
量部、および水6.5重量部を加え、50℃で3時間、
さらに30℃で1日間攪拌して加水分解させた。この加
水分解液に粒子粒径30〜60nmのチタニアコロイド
(商品名:チタニアゾルCS−N、石原産業株式会社
製、固形分30重量%)23重量部を加え、分散助剤と
してトリメチルメトキシシラン1重量部を加えさらに3
0℃で5時間攪拌した。得られた約437重量部の液か
ら100重量部を分取し、これにエタノール544重量
部を加えて固形分を0.5%に調整し、凹凸形成用コー
ティング液を得た。
【0116】実施例1と同様に研磨・洗浄、超音波洗
浄、乾燥したソーダライム珪酸塩ガラス板(60×15
0×3mm)を、20℃、30%RHの環境下で垂直に
吊るし、上端から上記凹凸形成用コーティング液を流し
コーティングした(フローコーティング法)。コーティ
ングはガラス板の両面に施した。このガラス板を150
℃で30分間乾燥させ、500℃オーブン内で3時間熱
処理し、厚み100nmのシリカ−チタニア凹凸膜が形
成されたガラス板を得た。
【0117】[実施例6] オルガノシラン塗布凹凸表面作製 フェニルトリクロロシラン(東芝シリコーン株式会社製
TSL8063)1重量部を、n−ヘキサン1000重
量部に溶かして、オルガノシラン塗布液を得た。
【0118】実施例5で作製したシリカ−チタニア凹凸
膜が形成されたガラス板を、酸素雰囲気中で紫外線を照
射して表面を清浄にした後、上記オルガノシラン塗布液
に浸漬し、40℃で5時間保持した後、ガラス板を取り
出し、n−ヘキサンで洗浄して、表面にフェニル基を分
子内に含むオルガノシラン単分子層(厚み約5nm)が
形成されたシリカ−チタニア凹凸膜付ガラス板を得た。
【0119】[実施例7] 表面凹凸の形成 ジルコニウムブトキシド5重量部をアセト酢酸エチル1
重量部に加え、30℃で2時間攪拌した(A液)。別
に、テトラエトキシシラン15重量部、2−プロパノー
ル170重量部、1規定の硝酸0.8重量部、および水
3.5重量部を加え、30℃で2時間攪拌した(B
液)。A液とB液を混合し、さらに直径が10〜20n
mで長さが40〜300nmの鎖状シリカコロイド(商
品名:スノーテックスOUP、日産化学工業株式会社
製、固形分15重量%)を15重量部添加し、50℃で
3時間、さらに30℃で1日間攪拌して加水分解させ
た。得られた液約210重量部から40重量部を分取
し、これにエタノール480重量部を加えて固形分を
0.3%に調整し、凹凸形成用コーティング液を得た。
【0120】実施例1と同様に研磨・洗浄、超音波洗
浄、乾燥したソーダライム珪酸塩ガラス板(60×15
0×3mm)上に、実施例5記載の方法で上記凹凸形成
用コーティング液をコーティングした。このガラス板を
120℃で1時間乾燥させ、500℃オーブン内で2時
間熱処理し、厚み50nmのシリカ−ジルコニア凹凸膜
が形成されたガラス板を得た。
【0121】[実施例8] オルガノシラン塗布凹凸表面作製 実施例7で作製したシリカ−ジルコニア凹凸膜が形成さ
れたガラス板を、酸素雰囲気中で紫外線を照射して表面
を清浄にした後、真空チャンバー内に置き、真空ポンプ
で約5Torrまで減圧し、系を閉じて80℃に加熱し
た。次に、0.005mLのエチルトリクロロシラン
(チッソ株式会社製SIE4901.0)を、注射器を
用いてチャンバー内に導入し、気化させた。そのまま1
時間反応させた後に、真空引きしてコールドトラップで
チャンバー内の余分なオルガノシランを除去した。以上
の操作により、エチル基を分子内に含むオルガノシラン
単分子層(厚み約0.3nm)が形成されたシリカ−ジ
ルコニア凹凸膜付ガラス板を得た。
【0122】[実施例9]実施例1で作製したシリカ凹
凸膜が形成されたガラス板を、純水中で超音波洗浄し乾
燥した後、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
(日本油脂株式会社製「ノニオンNS−220」、非イ
オン性、HLB値16.0)の0.2%水溶液に浸漬
し、30cm/分の速度で引き上げることにより、液を
シリカ凹凸膜付ガラス板上に塗布し、室温で充分乾燥さ
せた。乾燥後、綿布を用いて表面を擦り余分な界面活性
剤を除去し、約30nmの厚みの界面活性剤層を形成し
た。
【0123】[実施例10]実施例2で作製したオルガ
ノシラン塗布のシリカ凹凸膜付ガラス板に、スルホコハ
ク酸ジ-2-エチルヘキシルナトリウム(日本油脂株式会
社製「ラピゾールB−30」、陰イオン性)の0.05
%水溶液をフローコーティング法により塗布し、室温で
充分乾燥させた。乾燥後、綿布を用いて表面を擦り余分
な界面活性剤を除去し、約10nmの厚みの界面活性剤
層を形成した。
【0124】[実施例11]実施例4で作製したオルガ
ノシラン塗布のシリカ凹凸膜付ガラス板を、ポリオキシ
エチレンステアリルエーテル(日本油脂株式会社製「ノ
ニオンS−207」、非イオン性、HLB値10.7)
の2%エタノール溶液に浸漬し、5cm/分の速度で引
き上げることにより、液をシリカ凹凸膜付ガラス板上に
塗布し、室温で充分乾燥させ、約80nmの厚みの界面
活性剤層を形成した。
【0125】[実施例12]実施例7で作製したシリカ
−ジルコニア凹凸膜付ガラス板を、純水中で超音波洗浄
し乾燥した後、ポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テル(日本油脂株式会社製「ノニオンNS−202」、
非イオン性、HLB値5.7)の0.2%水溶液に浸漬
し、30cm/分の速度で引き上げることにより、液を
シリカ凹凸膜付ガラス板上に塗布し、室温で充分乾燥さ
せた。乾燥後、綿布を用いて表面を擦り余分な界面活性
剤を除去し、約30nmの厚みの界面活性剤層を形成し
た。
【0126】[実施例13]実施例8で作製したオルガ
ノシラン塗布シリカ−ジルコニア凹凸膜付ガラス板上
に、ソルビタンモノラウレート(日本油脂株式会社製
「ノニオンLP−20R」、非イオン性、HLB値8.
6)の1%懸濁液を数滴垂らし、綿布を用いて表面に塗
布・乾燥し、約50nmの厚みの界面活性剤層を形成し
た。
【0127】[実施例14]実施例1で作製したシリカ
凹凸膜付ガラス板上に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム(日本油脂株式会社製「ニューレックスパウダ
ーF」、陰イオン性)の2%水溶液を数滴垂らし、綿布
を用いて表面に塗布・乾燥し、約70nmの厚みの界面
活性剤層を形成した。
【0128】上述した実施例2〜14で得られた防曇物
品について、実施例1記載の方法で、表面粗度測定,接
触角測定,初期および繰り返し防曇性能評価,タバコ煙
試験,油脂拭き取り試験,および耐水・室内放置試験後
防曇性能評価を行った。
【0129】これらの測定結果は、表4,表6および表
8に示すように、いずれも優れた防曇性能を示した。そ
して実施例3,5および7については、ある程度の防曇
持続性を示した。最表面に前記オルガノシランの層また
は界面活性剤の層が被覆されている実施例2,4,6,
8〜14は、良好な防曇持続性を示した。そして、最表
面に前記オルガノシランが被覆されている実施例2,
4,6および8は、汚れが吸着し難かった。
【0130】なお表中、表面粗度のRaおよびSmの欄
の括弧内の数値は、界面活性剤層の表面についての測定
値であり、横線(−)は、測定しなかったことを表して
いる(以下、比較例でも同じ)。
【0131】[比較例1]基材として、酸化セリウム系
研磨剤で表面研磨・洗浄し、さらに純水中で超音波洗浄
を行い乾燥後、酸素雰囲気中で紫外線照射を施して表面
を改質したソーダライム珪酸塩ガラス板(60×150
×3mm)を用い、実施例1記載の方法で0.4mgの
水滴に対する接触角測定,防曇性能評価,タバコ煙暴露
試験,油脂拭き取り試験,および耐水・室内放置試験後
防曇性能評価を行った。それら結果を表5,表7および
表9に示す。これら結果から、無処理の表面平滑ガラス
は、よく洗浄した初期状態では、ある程度の防曇性能は
認められるものの、汚れ吸着や付着によって、容易に防
曇性能は消失することが確認された。
【0132】[比較例2]基材として、酸化セリウム系
研磨剤で表面研磨・洗浄し、さらに純水中で超音波洗浄
を行い乾燥後、酸素雰囲気中で紫外線照射を施したソー
ダライム珪酸塩ガラス板(60×150×3mm、凹凸
膜なし)を用いた他は、実施例2と同じ条件で、ポリエ
チレンオキシド基を分子内に含むオルガノシラン層が形
成された平滑ガラス板を得た。
【0133】さらに、実施例1記載の方法で0.4mg
の水滴に対する接触角測定,初期および繰り返し防曇性
能評価,タバコ煙暴露試験,油脂拭き取り試験,および
耐水・室内放置試験後防曇性能評価を行った。それら結
果を表5,表7および表9に示す。これら結果から、ポ
リエチレンオキシド基を分子内に含むオルガノシラン層
が形成された表面平滑ガラスでは、若干の防曇性能は認
められるものの、満足のいくレベルではないことがわか
った。
【0134】[比較例3]酸化セリウム系研磨剤で表面
研磨・洗浄し、さらに純水中で超音波洗浄を行い乾燥
後、酸素雰囲気中で紫外線照射を施したソーダライム珪
酸塩ガラス板(60×150×3mm)を、0.28モ
ル/Lのフッ化水素酸水溶液に25℃で120秒間浸漬
後、多量の水で水洗し、100℃で乾燥して、表面をエ
ッチングしたガラス板を作製した。
【0135】この表面エッチングガラス板について、実
施例1記載の方法で、表面粗度測定,接触角測定,初期
および繰り返し防曇性能評価,タバコ煙試験,油脂拭き
取り試験,および耐水・室内放置試験後防曇性能評価を
行った。それら結果を表5,表7および表9に示す。こ
れら結果から、この表面エッチングガラス板は、よく洗
浄した初期状態では、ある程度の防曇性能は認められる
ものの、汚れ吸着や付着によって、容易に防曇性能は消
失することが確認された。
【0136】[比較例4]比較例1記載のガラス基材上
に、実施例9記載の界面活性剤を実施例9記載の方法で
塗布し、約30nmの厚みの界面活性剤層を形成した。
【0137】この界面活性剤塗布ガラス基板について、
実施例1記載の方法で、表面粗度測定,接触角測定,初
期および繰り返し防曇性能評価,タバコ煙試験,油脂拭
き取り試験,および耐水・室内放置試験後防曇性能評価
を行った。これらの測定結果を表5,表7および表9に
示す。これら結果から、この界面活性剤塗布ガラス板
は、初期状態では優れた防曇性能能を示すが、汚れに対
する防曇持続性はあまりよくなく、防曇持続性も低いこ
とがわかった。
【0138】[実施例15] 表面凹凸の形成 直径が10〜20nmで長さが40〜300nmの鎖状
シリカコロイド(商品名:スノーテックスOUP、日産
化学工業株式会社製、固形分15重量%)2.3重量部
と、2−プロパノール196.9重量部を室温で5分間
混合し、これに市販の四塩化珪素0.9重量部を添加
し、室温で1時間攪拌して、凹凸形成用コーティング液
を得た。
【0139】実施例1と同様に研磨・洗浄、超音波洗
浄、乾燥したソーダライム珪酸塩ガラス板(65×15
0×3mm)上に、実施例5記載の方法で上記凹凸形成
用コーティング液をコーティングした。その後、室温状
態で乾燥させたのみで特に熱処理を行わず、厚み60n
mのシリカ凹凸膜が形成されたガラス板を得た。
【0140】[実施例16] 陰イオン性界面活性剤添加シリカ凹凸膜の形成 直径が10〜20nmで長さが40〜300nmの鎖状
シリカコロイド(商品名:スノーテックスOUP、日産
化学工業株式会社製、固形分15重量%)2.3重量部
と、2−プロパノール195.2重量部を室温で5分間
混合し、これに市販の四塩化珪素0.9重量部と、ジオ
クチルスルホコハク酸ナトリウムを主成分とする陰イオ
ン性界面活性剤(商品名:ラピゾールA−30、日本油
脂株式会社製、固形分30重量%)の10%エタノール
溶液1.7重量部を添加し、室温で1時間攪拌して、凹
凸形成用コーティング液を得た。
【0141】空気中常温常圧下、荷電密度200W/m
2 の条件で、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚
み100μm)表面(両面)をコロナ放電処理した後、
このフィルム上に、実施例5記載の方法で、上記凹凸形
成用コーティング液をコーティングした。その後、室温
状態で乾燥させたのみで特に熱処理を行わず、厚み60
nmの陰イオン性界面活性剤添加シリカ凹凸膜が形成さ
れたポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
【0142】[実施例17] リン系化合物添加シリカ凹凸膜の形成 直径が10〜20nmで長さが40〜300nmの鎖状
シリカコロイド(商品名:スノーテックスOUP、日産
化学工業株式会社製、固形分15重量%)4.6重量部
と、2−プロパノール177.2重量部を室温で5分間
混合し、これに市販の四塩化珪素1.8重量部と、リン
酸トリエチルの1%エタノール溶液16.4重量部を添
加し、室温で3時間攪拌して、凹凸形成用コーティング
液を得た。
【0143】実施例1と同様に研磨・洗浄、超音波洗
浄、乾燥したソーダライム珪酸塩ガラス板(65×15
0×3mm)上に、実施例5記載の方法で、上記凹凸形
成用コーティング液をコーティングした。その後、12
0℃で5分間乾燥させ、厚み120nmのリン系化合物
添加シリカ凹凸膜が形成されたガラス板を得た。
【0144】[実施例18] 陰イオン性界面活性剤とリン系化合物添加シリカ凹凸膜
の形成 直径が10〜20nmで長さが40〜300nmの鎖状
シリカコロイド(商品名:スノーテックスOUP、日産
化学工業株式会社製、固形分15重量%)3.1重量部
と、2−プロパノール184.3重量部を室温で5分間
混合し、これに市販のテトラエトキシシラン1.5重量
部と濃塩酸(35%)1.3重量部を添加しさらに室温
で5分間混合した。さらにこれに、ジオクチルスルホコ
ハク酸ナトリウムを主成分とする陰イオン性界面活性剤
(商品名:ラピゾールA−30、日本油脂株式会社製、
固形分30重量%)の1%エタノール溶液7.5重量部
とリン酸トリエチルの1%エタノール溶液2.7重量部
を添加し、室温で2時間攪拌して、凹凸形成用コーティ
ング液を得た。
【0145】実施例1と同様に研磨・洗浄、超音波洗
浄、乾燥したソーダライム珪酸塩ガラス板(65×15
0×3mm)上に、実施例5記載の方法で、上記凹凸形
成用コーティング液をコーティングした。その後、12
0℃で5分間乾燥させ、厚み120nmの陰イオン性界
面活性剤とリン系化合物添加シリカ凹凸膜が形成された
ガラス板を得た。
【0146】[実施例19] リン系化合物添加シリカ凹凸膜の形成 直径が10〜20nmで長さが40〜300nmの鎖状
シリカコロイド(商品名:スノーテックスOUP、日産
化学工業株式会社製、固形分15重量%)2.6重量部
と、2−プロパノール194.1重量部を室温で5分間
混合し、これに市販のテトラエトキシシラン1.3重量
部と1規定塩酸1.2重量部を添加しさらに室温で5分
間混合した。さらにこれに、亜リン酸トリエチルの1%
エタノール溶液0.8重量部を添加し、室温で4時間攪
拌して、凹凸形成用コーティング液を得た。
【0147】実施例1と同様に研磨・洗浄、超音波洗
浄、乾燥したソーダライム珪酸塩ガラス板(65×15
0×3mm)上に、実施例5記載の方法で、上記凹凸形
成用コーティング液をコーティングした。その後、12
0℃で30分間乾燥させ、さらに500℃で2時間熱処
理して、厚み100nmのリン系化合物添加シリカ凹凸
膜が形成されたガラス板を得た。
【0148】[実施例20] 表面凹凸の形成 直径が10〜20nmで長さが40〜300nmの鎖状
シリカコロイド(商品名:スノーテックスOUP、日産
化学工業株式会社製、固形分15重量%)1.2重量
部、直径が10〜20nmの球状シリカコロイド(商品
名:スノーテックスO、日産化学工業株式会社製、固形
分20重量%)0.8重量部、エタノール198.6重
量部、2−プロパノール198.6重量部を室温で5分
間混合し、これに市販の四塩化珪素0.9重量部を添加
し、室温で1時間攪拌して、凹凸形成用コーティング液
を得た。
【0149】空気中常温常圧下、荷電密度200W/m
2 の条件で、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚
み100μm)の表面(両面)をコロナ放電処理した
後、このフィルム上に、実施例5記載の方法で、上記凹
凸形成用コーティング液をコーティングした。その後、
室温状態で乾燥させたのみで特に熱処理を行わず、厚み
30nmのシリカ凹凸膜が形成されたポリエチレンテレ
フタレートフィルムを得た。
【0150】[実施例21] チタニア−シリカ凹凸膜の形成 直径が10〜20nmで長さが40〜300nmの鎖状
シリカコロイド(商品名:スノーテックスOUP、日産
化学工業株式会社製、固形分15重量%)2.3重量
部、エタノール194.1重量部、アセチルアセトン
1.1重量部、市販のチタンイソプロポキシド1.3重
量部、6規定塩酸0.3重量部を室温で3時間攪拌し
て、凹凸形成用コーティング液を得た。
【0151】実施例1と同様に研磨・洗浄、超音波洗
浄、乾燥したソーダライム珪酸塩ガラス板(65×15
0×3mm)上に、実施例5記載の方法で、上記凹凸形
成用コーティング液をコーティングした。その後、12
0℃で30分間乾燥させ、さらに400℃で2時間熱処
理して、厚み60nmのチタニア−シリカ凹凸膜が形成
されたガラス板を得た。
【0152】このチタニア−シリカ凹凸膜付ガラス板に
ついて、実施例1記載の方法で、表面粗度測定,接触角
測定,初期および繰り返し防曇性能評価,タバコ煙試
験,油脂拭き取り試験,および耐水・室内放置試験後防
曇性能評価を行った。これらの測定結果を表5,表7お
よび表9に示す。これら結果から、このチタニア−シリ
カ凹凸膜付ガラス板は優れた防曇性能を持ち、ある程度
の防曇持続性を持つことがわかった。
【0153】上記タバコ煙試験後のガラス板に、表面に
おける紫外線強度が2mW/cm2になるように、紫外
線ランプの光を8時間照射した。その結果、0.4mg
水滴に対する接触角は1度、曇り評価は「◎」、透視歪
み評価は「◎」となり、良好な防曇性能が回復してお
り、いわゆる自己クリーニング性を有することが確認で
きた。
【0154】[実施例22] チタニア−シリカ凹凸膜の形成 直径が約10nmの酸化チタン微粒子分散液(商品名:
ST−K01、石原産業株式会社製、固形分10重量
%、酸化チタン含有率8重量%)2.7重量部、エタノ
ール195.3重量部、直径が10〜20nmで長さが
40〜300nmの鎖状シリカコロイド(商品名:スノ
ーテックスOUP、日産化学工業株式会社製、固形分1
5重量%)1.4重量部、市販の四塩化珪素0.6重量
部を室温で1時間攪拌して、凹凸形成用コーティング液
を得た。
【0155】実施例1と同様に研磨・洗浄、超音波洗
浄、乾燥したソーダライム珪酸塩ガラス板(65×15
0×3mm)上に、実施例5記載の方法で、上記凹凸形
成用コーティング液をコーティングした。その後、室温
状態で乾燥させたのみで特に熱処理を行わず、厚み60
nmのチタニア−シリカ凹凸膜が形成されたガラス板を
得た。
【0156】このチタニア−シリカ凹凸膜付ガラス板に
ついて、実施例1記載の方法で、表面粗度測定,接触角
測定,初期および繰り返し防曇性能評価,タバコ煙試
験,油脂拭き取り試験,および耐水・室内放置試験後防
曇性能評価を行った。これらの測定結果を表5,表7お
よび表9に示す。これら結果から、このチタニア−シリ
カ凹凸膜付ガラス板は優れた防曇性能を持ち、ある程度
の防曇持続性を持つことがわかった。
【0157】上記タバコ煙試験後のガラス板に、表面に
おける紫外線強度が2mW/cm2になるように紫外線
ランプの光を8時間照射した。その結果、0.4mg水
滴に対する接触角は1度、曇り評価は「◎」、透視歪み
評価は「◎」となり、良好な防曇性能が回復しており、
いわゆる自己クリーニング性を有することが確認でき
た。
【0158】[実施例23]実施例16で作製した陰イ
オン性界面活性剤添加シリカ凹凸膜が形成されたポリエ
チレンテレフタレートフィルムに、ポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテル(日本油脂株式会社製「ノニオ
ンNS−220」、非イオン性、HLB値16.0)の
0.1%エタノール溶液をフローコーティング法により
塗布し、室温で充分乾燥させ、約80nmの厚みの界面
活性剤層を形成した。
【0159】[実施例24]実施例17で作製したリン
系化合物添加シリカ凹凸膜が形成されたガラス板に、実
施例2で作製したオルガノシラン塗布液を、実施例2記
載の方法で塗布し、さらに実施例2記載の方法で熱処
理、後処理を行い、ポリエチレンオキシド基を分子内に
含む、厚みが約8nmのオルガノシラン層が形成された
リン系化合物添加シリカ凹凸膜付ガラス板を得た。
【0160】[実施例25]実施例18で作製した陰イ
オン性界面活性剤とリン系化合物が添加されたシリカ凹
凸膜が形成されたガラス板に、実施例14記載の方法で
約70nm厚みの陰イオン性界面活性剤層を形成した。
【0161】[実施例26] シリカ凹凸膜の形成 直径が10〜20nmで長さが40〜300nmの鎖状
シリカコロイド(商品名:スノーテックスOUP、日産
化学工業株式会社製、固形分15重量%)2.3重量
部、2−プロパノール194.6重量部、市販のテトラ
エトキシシラン1.1重量部、35%塩酸4.2重量部
を室温で30分間攪拌して、凹凸形成用コーティング液
を得た。この液の、テトラエトキシシラン寄与の酸化珪
素換算固形分濃度は0.15重量%、酸濃度は約0.1
6モル/L、水分含有率は約2.33重量%である。
【0162】実施例1と同様に研磨・洗浄、超音波洗
浄、乾燥したソーダライム珪酸塩ガラス板(65×15
0×3mm)上に、実施例5記載の方法で、上記凹凸形
成用コーティング液をコーティングした。その後、特に
熱処理を施さず、室温で約2分置いておくことにより乾
燥し、厚み60nmのシリカ凹凸膜が形成されたガラス
板を得た。
【0163】乾布を上記凹凸膜表面に押しつけ、これを
激しく擦り付けて、凹凸膜表面の傷の発生状態を観察し
たところ、傷の発生はほとんど認められなかった。
【0164】なお、比較のため、上記シリカ凹凸膜の形
成において、35%塩酸4.2重量部の代わりに、1%
塩酸0.8重量部を用いた他は、実施例26と同じ条
件、同じ方法で、凹凸形成用コーティング液を作製し
た。この液の、テトラエトキシシラン寄与の酸化珪素換
算固形分濃度は0.15重量%、酸濃度は約0.000
9モル/L、水分含有率は約1.36重量%である。
【0165】実施例26と同じ方法、同じ条件でソーダ
ライム珪酸塩ガラス板(65×150×3mm)上に、
上記凹凸形成用コーティング液をコーティングし、厚み
70nmのシリカ凹凸膜が形成されたガラス板を得た。
【0166】実施例26と同じ方法、同じ条件で乾布を
凹凸膜表面に押しつけ、これを激しく擦り付けて、凹凸
膜表面の傷の発生状態を観察したところ、傷の発生が認
められた。
【0167】上述した実施例15〜20,23〜26で
得られた防曇物品について、実施例1記載の方法で、表
面粗度測定,接触角測定,初期および繰り返し防曇性能
評価,タバコ煙試験,油脂拭き取り試験,および耐水・
室内放置試験後防曇性能評価を行った。
【0168】これらの測定結果は、表5,表7および表
9に示すように、いずれも優れた防曇性能を示した。そ
して実施例15,19,20および26では、ある程度
の防曇持続性を示した。実施例17および24では、良
好な防曇持続性を示し、かつ汚れが吸着し難かった。ま
た、実施例16,18,23,および25では、優れた
防曇持続性を示し、かつ汚れが吸着し難かった。
【0169】
【表4】 ================================== 表面粗度 初 期 繰り返し防曇性能 (nm) −−−−−−−−−− −−−−−−−− サンプル −−−−−− 接触角 曇り 歪み 曇り 歪み Ra Sm (度) 評価 評価 評価 評価 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1 7 20 3 ◎ ◎ 3 4 実施例2 8 22 3 ◎ ◎ 4 4 実施例3 15 80 3 ◎ ◎ 3 3 実施例4 15 80 5 ◎ ◎ 4 3 実施例5 25 98 4 ◎ ◎ 3 4 実施例6 24 98 6 ◎ ◎ 4 4 実施例7 8 19 2 ◎ ◎ 3 4 実施例8 8 19 3 ◎ ◎ 4 3 実施例9 7(2.3) 20(38) 1 ◎ ◎ 5 5 実施例10 8(5.8) 22(28) 1 ◎ ◎ 5 5 実施例11 15(0.3) 80(-) 1 ◎ ◎ 5 5 実施例12 8(2.0) 19(23) 2 ◎ ◎ 5 4 実施例13 8(1.5) 19(21) 2 ◎ ◎ 5 5 実施例14 7(0.8) 20(-) 1 ◎ ◎ 5 5 ==================================
【0170】
【表5】 ================================== 表面粗度 初 期 繰り返し防曇性能 (nm) −−−−−−−−−− −−−−−−−− サンプル −−−−−− 接触角 曇り 歪み 曇り 歪み Ra Sm (度) 評価 評価 評価 評価 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例15 7 22 2 ◎ ◎ 3 4 実施例16 6 21 1 ◎ ◎ 5 5 実施例17 7 21 2 ◎ ◎ 5 5 実施例18 6 20 1 ◎ ◎ 5 5 実施例19 5 22 2 ◎ ◎ 5 5 実施例20 4 19 2 ◎ ◎ 5 4 実施例21 6 21 3 ◎ ◎ 5 5 実施例22 8 23 2 ◎ ◎ 5 5 実施例23 1.6 測定せず 1 ◎ ◎ 5 5 実施例24 7 21 2 ◎ ◎ 4 4 実施例25 1.5 測定せず 1 ◎ ◎ 5 5 実施例26 4 19 2 ◎ ◎ 5 4 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比較例1 0.1以下 測定せず 8 ○ ○ 1 0 比較例2 同上 同上 38 △ △ 0 測定せず 比較例3 2 20000 7 ○ ○ 1 1 比較例4 0.1以下 測定せず 2 ◎ ◎ 2 1 (0.1以下)(測定せず) ==================================
【0171】
【表6】 ============================= タバコ煙試験後 油脂拭き取り試験後 −−−−−−−−− −−−−−−−−−− サンプル 接触角 曇り 歪み 接触角 曇り 歪み (度) 評価 評価 (度) 評価 評価 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1 10 ◎ ○ 18 ○ △ 実施例2 5 ◎ ◎ 8 ◎ ◎ 実施例3 12 ○ ○ 20 ○ △ 実施例4 6 ◎ ◎ 9 ◎ ◎ 実施例5 9 ○ ○ 16 ○ △ 実施例6 6 ◎ ◎ 10 ◎ ○ 実施例7 10 ◎ ○ 19 ○ △ 実施例8 7 ◎ ◎ 8 ◎ ◎ 実施例9 2 ◎ ◎ 5 ◎ ○ 実施例10 2 ◎ ◎ 3 ◎ ◎ 実施例11 1 ◎ ◎ 3 ◎ ◎ 実施例12 2 ◎ ○ 4 ◎ ○ 実施例13 2 ◎ ○ 4 ◎ ◎ 実施例14 2 ◎ ◎ 4 ◎ ○ =============================
【0172】
【表7】 ============================= タバコ煙試験後 油脂拭き取り試験後 −−−−−−−−− −−−−−−−−−− サンプル 接触角 曇り 歪み 接触角 曇り 歪み (度) 評価 評価 (度) 評価 評価 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例15 11 ◎ ○ 17 ○ △ 実施例16 3 ◎ ◎ 2 ◎ ◎ 実施例17 5 ◎ ◎ 4 ○ ◎ 実施例18 3 ◎ ◎ 3 ◎ ◎ 実施例19 8 ○ ○ 11 ○ ○ 実施例20 13 ○ ○ 10 ○ △ 実施例21 17 △ ○ 19 ○ △ 実施例22 15 ○ △ 18 ○ △ 実施例23 2 ◎ ◎ 5 ◎ ◎ 実施例24 5 ◎ ◎ 7 ◎ ○ 実施例25 1 ◎ ◎ 3 ◎ ◎ 実施例26 12 ○ ○ 10 ○ △ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比較例1 27 × △ 40 × × 比較例2 39 △ △ 40 △ △ 比較例3 23 × △ 42 × × 比較例4 5 ○ △ 20 △ △ =============================
【0173】
【表8】
【0174】
【表9】
【0175】
【発明の効果】本発明によれば、防曇性能や防曇持続性
の優れた防曇ガラスが得られる。また、この防曇ガラス
は、主に無機材料から構成される膜で被覆されているた
め、耐久性や耐摩耗性にも優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 砂田 貴 大阪市中央区道修町3丁目5番11号 日本 板硝子株式会社内

Claims (50)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4〜300nmの粒径を有する金属酸化
    物微粒子を含有し、金属酸化物をマトリックスとする膜
    が基材上に被覆されており、前記膜表面には算術平均粗
    さ(Ra)が1.5〜80nmであり、かつ凹凸の平均
    間隔(Sm)が4〜300nmである凹凸が形成されて
    いる防曇物品。
  2. 【請求項2】 前記金属酸化物微粒子は、前記膜中に5
    重量%以上、80重量%以下含有される請求項1記載の
    防曇物品。
  3. 【請求項3】 前記金属酸化物微粒子は、酸化珪素,酸
    化アルミニウム,酸化ジルコニウム,酸化チタンおよび
    酸化セリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の
    酸化物の微粒子であり、前記膜のマトリックスは、酸化
    珪素,酸化アルミニウム,酸化ジルコニウム,酸化チタ
    ンおよび酸化セリウムからなる群より選ばれる少なくと
    も一種の金属酸化物である請求項1または2記載の防曇
    物品。
  4. 【請求項4】 前記金属酸化物微粒子は、少なくとも鎖
    状シリカ微粒子を含む請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の防曇物品。
  5. 【請求項5】 前記鎖状シリカ微粒子が、10〜20n
    mの直径と40〜300nmの長さを有する請求項4記
    載の防曇物品。
  6. 【請求項6】 前記膜が、2〜300nmの厚みを有す
    る請求項1〜5のいずれか1項に記載の防曇物品。
  7. 【請求項7】 前記膜の上に、ポリアルキレンオキシド
    基,アルキル基,アルケニル基およびアリール基からな
    る群より選ばれる少なくとも一種の官能基を分子内に含
    むオルガノシランまたはその加水分解物の層が被覆され
    ており、前記オルガノシランまたはその加水分解物の層
    の表面には、算術平均粗さ(Ra)が1.5〜80nm
    であり、かつ凹凸の平均間隔(Sm)が4〜300nm
    である凹凸が形成されている請求項1〜6のいずれか1
    項に記載の防曇物品。
  8. 【請求項8】 前記オルガノシランまたはその加水分解
    物の層は、0.3〜10nmの厚みを有する請求項7記
    載の防曇物品。
  9. 【請求項9】 前記オルガノシランが、アルコキシシラ
    ンまたはクロロシランである請求項7または8記載の防
    曇物品。
  10. 【請求項10】 前記官能基が、ポリアルキレンオキシ
    ド基である請求項7〜9のいずれか1項に記載の防曇物
    品。
  11. 【請求項11】 前記オルガノシランが、[メトキシ
    (ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン
    である請求項9記載の防曇物品。
  12. 【請求項12】 前記膜の上に、または前記オルガノシ
    ランまたはその加水分解物の層の上に、界面活性剤の層
    が被覆されている請求項1〜11のいずれか1項に記載
    の防曇物品。
  13. 【請求項13】 前記被覆された界面活性剤の層は、
    0.2〜100nmの厚みを有する請求項12記載の防
    曇物品。
  14. 【請求項14】 前記被覆された界面活性剤が、非イオ
    ン性界面活性剤または陰イオン性界面活性剤である請求
    項12または13記載の防曇物品。
  15. 【請求項15】 前記被覆された陰イオン性界面活性剤
    が、スルホコハク酸ジアルキルナトリウムである請求項
    14記載の防曇物品。
  16. 【請求項16】 前記被覆された非イオン性界面活性剤
    が、5〜18の親水性親油性平衡(HLB)値を有する
    請求項14記載の防曇物品。
  17. 【請求項17】 前記被覆された界面活性剤が、分子内
    にアミン性窒素およびアミド結合のいずれも含まないも
    のである請求項12,13,14または16記載の防曇
    物品。
  18. 【請求項18】 前記膜中に、界面活性剤が含有されて
    いる請求項1〜17のいずれか1項に記載の防曇物品。
  19. 【請求項19】 前記膜中に含有された界面活性剤が、
    陰イオン性界面活性剤である請求項18記載の防曇物
    品。
  20. 【請求項20】 前記膜中に含有された陰イオン性界面
    活性剤が、スルホコハク酸ジアルキルナトリウムである
    請求項19記載の防曇物品。
  21. 【請求項21】 前記界面活性剤の膜中含有率が、0.
    1〜15重量%である請求項18〜20のいずれか1項
    に記載の防曇物品。
  22. 【請求項22】 前記膜中に、リン酸エステル,リン
    酸,酸化リン,亜リン酸エステルおよび亜リン酸からな
    る群より選ばれる少なくとも一種のリン系化合物が含有
    されている請求項1〜21のいずれか1項に記載の防曇
    物品。
  23. 【請求項23】 前記リン系化合物の膜中含有率が、
    0.1〜15重量%である請求項22記載の防曇物品。
  24. 【請求項24】 0.4mgの水滴に対する初期接触角
    が、10度以下である請求項1〜23のいずれか1項に
    記載の防曇物品。
  25. 【請求項25】 4〜300nmの粒径を有する金属酸
    化物微粒子と、加水分解・縮重合可能な有機金属化合
    物、クロロシリル基含有化合物およびそれらの加水分解
    物からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む液を、
    基材表面に塗布・乾燥し、必要に応じて加熱して、基材
    表面に金属酸化物の凹凸膜を形成することを特徴とする
    防曇物品の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記液は、前記金属酸化物微粒子と、
    加水分解・縮重合可能な有機金属化合物またはその加水
    分解物、及び酸を含み、前記有機金属化合物またはその
    加水分解物が、金属酸化物換算で、0.001〜3重量
    %、酸が0.001〜1.0モル/L、水分が0.00
    1〜10重量%含有される請求項25記載の防曇物品の
    製造方法。
  27. 【請求項27】 前記有機金属化合物またはその加水分
    解物が、金属酸化物換算で、0.01〜0.6重量%、
    前記酸が0.01〜0.3モル/L、水分が0.001
    〜3重量%含有される請求項26記載の防曇物品の製造
    方法。
  28. 【請求項28】 前記酸が、硝酸または塩酸である請求
    項26または27記載の防曇物品の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記金属酸化物微粒子は、少なくとも
    鎖状シリカコロイドを含む請求項25〜28のいずれか
    1項に記載の防曇物品の製造方法。
  30. 【請求項30】 前記液は、金属酸化物換算で、前記金
    属酸化物微粒子を、これと前記有機金属化合物、クロロ
    シリル基含有化合物およびそれらの加水分解物の合計に
    対して5重量%以上、80重量%以下含有する請求項2
    5〜29のいずれか1項に記載の防曇物品の製造方法。
  31. 【請求項31】 前記金属酸化物微粒子が、酸化珪素,
    酸化アルミニウム,酸化ジルコニウム,酸化チタンおよ
    び酸化セリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種
    の金属酸化物からなる請求項25〜30のいずれか1項
    に記載の防曇物品の製造方法。
  32. 【請求項32】 前記有機金属化合物が、有機珪素化合
    物,有機アルミニウム化合物,有機ジルコニウム化合物
    および有機チタン化合物からなる群より選ばれる少なく
    とも一種の有機金属化合物である請求項25〜31のい
    ずれか1項に記載の防曇物品の製造方法。
  33. 【請求項33】 前記有機珪素化合物が、テトラエトキ
    シシランである請求項32記載の防曇物品の製造方法。
  34. 【請求項34】 前記クロロシリル基含有化合物は、テ
    トラクロロシランである請求項25,29〜31のいず
    れか1項に記載の防曇物品の製造方法。
  35. 【請求項35】 前記液中に界面活性剤が含有されてい
    る請求項25〜34のいずれか1項に記載の防曇物品の
    製造方法。
  36. 【請求項36】 前記液中に含まれる界面活性剤が、陰
    イオン性界面活性剤である請求項35記載の防曇物品の
    製造方法。
  37. 【請求項37】 前記陰イオン性界面活性剤が、スルホ
    コハク酸ジアルキルナトリウムである請求項36記載の
    防曇物品の製造方法。
  38. 【請求項38】 前記液中に含まれる界面活性剤の量
    は、液中の固形分量に対して0.1〜18重量%である
    請求項35〜37のいずれか1項に記載の防曇物品の製
    造方法。
  39. 【請求項39】 前記液中に、リン酸エステル,リン
    酸,酸化リン,亜リン酸エステルおよび亜リン酸からな
    る群より選ばれる少なくとも一種のリン系化合物が含有
    されている請求項25〜38のいずれか1項に記載の防
    曇物品の製造方法。
  40. 【請求項40】 前記リン系化合物の量は、液中の固形
    分量に対して0.1〜18重量%である請求項39記載
    の防曇物品の製造方法。
  41. 【請求項41】 前記液の溶媒が、アルコール系溶媒で
    ある請求項25〜40のいずれか1項に記載の防曇物品
    の製造方法。
  42. 【請求項42】 前記金属酸化物の凹凸膜が形成された
    基材に、ポリアルキレンオキシド基,アルキル基,アル
    ケニル基,およびアリール基からなる群より選ばれる少
    なくとも一種の官能基を分子内に含むオルガノシランま
    たはその加水分解物を接触させ、前記凹凸膜表面にこれ
    ら分子を結合または付着させる請求項25〜41のいず
    れか1項に記載の防曇物品の製造方法。
  43. 【請求項43】 前記オルガノシランまたはその加水分
    解物を含む液体を、前記金属酸化物凹凸表面に塗布し乾
    燥させ、金属酸化物凹凸表面にこれら分子を化学的また
    は物理的に固定または付着させる請求項42記載の防曇
    物品の製造方法。
  44. 【請求項44】 前記オルガノシランが、アルコキシシ
    ランまたはクロロシランである請求項42または43記
    載の防曇物品の製造方法。
  45. 【請求項45】 前記官能基が、ポリアルキレンオキシ
    ド基である請求項42〜44のいずれか1項に記載の防
    曇物品の製造方法。
  46. 【請求項46】 前記防曇物品の上にさらに界面活性剤
    を塗布する請求項25〜45のいずれか1項に記載の防
    曇物品の製造方法。
  47. 【請求項47】 前記界面活性剤が、非イオン性界面活
    性剤または陰イオン性界面活性剤である請求項46記載
    の防曇物品の製造方法。
  48. 【請求項48】 前記陰イオン性界面活性剤が、スルホ
    コハク酸ジアルキルナトリウムである請求項47記載の
    防曇物品の製造方法。
  49. 【請求項49】 前記非イオン性界面活性剤が、5〜1
    8の親水性親油性平衡(HLB)値を有する請求項47
    記載の防曇物品の製造方法。
  50. 【請求項50】 前記界面活性剤が、分子内にアミン性
    窒素およびアミド結合のいずれも含まないものである請
    求項46,47または49記載の防曇物品の製造方法。
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