JPH11171594A - 撥水性ガラス物品およびその製造方法 - Google Patents

撥水性ガラス物品およびその製造方法

Info

Publication number
JPH11171594A
JPH11171594A JP34472197A JP34472197A JPH11171594A JP H11171594 A JPH11171594 A JP H11171594A JP 34472197 A JP34472197 A JP 34472197A JP 34472197 A JP34472197 A JP 34472197A JP H11171594 A JPH11171594 A JP H11171594A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
repellent
roughness
glass
glass plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34472197A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Sunada
貴 砂田
Koichi Suzuki
弘一 鈴木
Hiroaki Yamamoto
博章 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Sheet Glass Co Ltd filed Critical Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority to JP34472197A priority Critical patent/JPH11171594A/ja
Publication of JPH11171594A publication Critical patent/JPH11171594A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水滴転落性能が良く、且つ耐久性の良い撥水
性ガラスを提供する。 【解決手段】 凹凸表面を有するガラス基板の表面に撥
水層を設ける撥水性ガラス物品において、基板表面は1
0〜400nmの凹凸粗さ(Ra1)および10〜400
nmの凹凸ピッチ(Sm)を有しており、前記撥水層は
20〜500nmの範囲内であって、かつ上記基板表面
の凹凸粗さ(Ra1)の少なくとも2.0倍の平均厚みを
有し、そして前記撥水層の外側表面において5nm以下
の凹凸粗さ(Ra2)を有する撥水性ガラス物品である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撥水性ガラス物
品、特に建築、自動車、車両、航空機あるいは船舶など
の風防ガラス板、窓ガラス板などに、耐久性と水滴転落
性に優れた撥水性被覆を施した撥水性ガラス物品および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス物品表面に撥水性を付与すること
により、1)汚染成分を含有した水滴がガラス表面に付
着・残存し難くなるため、ガラスの汚染防止や焼け防止
効果がある、2)この撥水性ガラスを自動車のフロント
ガラスやサイドガラスなどに使用した場合、雨天走行時
でもガラス表面に付着した雨水が風圧によって吹き飛ば
され、ドライバーの視野が確保され走行安全性が向上す
る、などの種々の効果が期待できる。また、このような
撥水性ガラスの製造方法としては、ガラス表面にポリジ
メチルシロキサン系を中心とする有機シリコン化合物や
含フッ素シリコン化合物からなる撥水剤をガラス表面に
湿式塗布する方法、プラズマや蒸着により乾式塗布する
方法などが一般的に用いられている。しかしながら、上
記撥水剤をガラスに湿式または乾式で塗布する方法で
は、撥水剤とガラスとの接着力が弱いため、撥水性能を
長期間にわたって維持することが難く耐久性が不十分で
あった。
【0003】このような問題点を解決するために、ガラ
ス基材の表面層中の酸化珪素以外の成分を除去し、酸化
珪素が豊富になった多孔質層の表面に撥水処理を施して
耐久性を向上させることが提案されている(特開平5−
97478号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
5−97478号においては耐久性については向上して
いるものの、水滴転落性能(傾斜したガラス表面におけ
る水滴の転がり易さ)が不十分であった。この水滴転落
性能は自動車用のフロントガラスやサイドガラスなどに
使用した場合特に重要である。前述した雨天走行時にお
けるガラス表面に付着した雨水が風圧で吹き飛ばされや
すいかどうかは、水滴転落性能に大きく影響を受けるか
らである。
【0005】本発明は、水滴転落性能が良く、且つ耐久
性の良い撥水性ガラスを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、凹凸
表面を有するガラス基板の表面に撥水層を設ける撥水性
ガラス物品において、基板表面は10〜400nmの凹
凸粗さ(Ra1)および10〜400nmの凹凸ピッチ
(Sm)を有しており、前記撥水層は20〜500nm
の範囲内であって、かつ上記基板表面の凹凸粗さ(Ra
1)の少なくとも2.0倍の平均厚みを有し、そして前
記撥水層の外側表面において5nm以下の凹凸粗さ(R
a2)を有する撥水性ガラス物品である。
【0007】本発明において、凹凸表面を有するガラス
基板は、例えば、金属酸化物微粒子を含有するアンダー
コーティング液を平滑表面をもつガラス基板の表面に塗
布して凹凸層を形成する。アンダーコーティング液の成
分として金属アルコキシドの加水分解物または金属キレ
ートの加水分解物が使用される。金属アルコキシドある
いは金属キレートの金属種としてはSi、Zr、Ti,
Alが挙げられ、アルコキシドとしてはメトキシド、エ
トキシド、イソプロポキシド、ブトキシドなどが挙げら
れ、キレートとしてはアセチルアセトネート錯体が挙げ
られる。金属アルコキシドおよび金属キレートの例とし
て、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、ジルコニウムテトライソプロ
ポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、チタニウム
テトライソブトキシド、チタニウムテトラブトキシド、
ジルコニウムジアセチルアセトネート、チタニウムジア
セチルアセトネートなどが挙げられる。なおこれらの化
合物を加水分解して、コーティング液を調製するが、そ
の調製の代わりに、市販のガラスコーティング液(例え
ば、コルコート社製HAS−10、日板研究所製セラミ
カG−02−6のようなアルコキシシランの加水分解液
など)を使用しても構わない。
【0008】金属アルコキシドあるいは金属キレート
は、これに加水分解を生じさせるための水、加水分解の
ための触媒、およびアルコール類に代表される溶媒を加
えて撹拌し、所定時間経過させることにより、加水分解
物が形成される。金属アルコキシドあるいは金属キレー
トの加水分解の触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸などの
鉱酸の他、酢酸、クエン酸、スルホン酸などの有機酸が
用いられる。金属アルコキシドあるいは金属キレートの
加水分解物のための両親媒性溶媒としては、アルコール
類、ケトン類などの水溶性の有機溶媒が用いられる。ア
ルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノールなどが挙げられる。ケトン類として
は、アセトン、メチルエチルケトンなどが例示できる。
【0009】アンダーコート用コーティング液の成分と
して使用される金属酸化物微粒子としては、コロイダル
シリカ微粒子、シリケートガラス微粒子、チタニア微粒
子、ジルコニア微粒子、セリア微粒子、アルミナ微粒子
のような1成分の金属酸化物微粒子や、これらの混合
物、およびこれら2種以上の成分からなる複合金属酸化
物微粒子(例えば、チタニア−シリカ、チタニア−セリ
ア或いはシリカ−ジルコニアなど)を挙げることがで
き、これらは溶媒分散ゾルの形で好ましく用いられる。
金属酸化物ゾルとしては、例えば、日産化学社製スノー
テックスOL、同O、同OUPなどの水分散シリカゾル
の他、日産化学社製MIBK−ST、XBA−STの様
な有機溶剤分散シリカゾル、触媒化成社製Catalo
id SI−80P(シリカゾル)などが挙げられる。
また表面が疎水処理化されたシリカゾル、例えば日本触
媒社製CX−SZなどを用いることも可能である。な
お、チタニア、セリア等の微粒子を使用して形成された
撥水膜は紫外線吸収などの撥水以外の副次的機能が期待
できる。これらの中でコロイダルシリカは表面にOH基
を多く有するので特に好適である。金属酸化物微粒子の
大きさは、直径5nm〜400nmが好ましく、更に望
ましくは直径20〜100nmである。直径が5nm未
満では上記基板表面の凹凸粗さ(Ra1)が10nm未
満となり、しかも基板表面の凹凸ピッチ(Sm)が10
nm未満となって、その上に被覆された撥水膜の耐久性
が低下する。また金属酸化物微粒子の直径が400nm
を越えると、基板表面の凹凸粗さ(Ra1)は400n
mを越え、しかも基板表面の凹凸ピッチ(Sm)が40
0nmを超えるので、基板の透明性が損なわれ外観上好
ましくない。
【0010】上記のようにガラス基板に所定の粗さの凹
凸表面を形成させることにより、その上に被覆された撥
水膜の耐久性、特に堅牢度が向上する。凹凸皮膜用アン
ダーコーティング液の組成物に含有される金属酸化物微
粒子の濃度は、あまり低すぎると乾燥時に金属酸化物微
粒子がまばらに配置されるため凹凸が少なくなり、また
逆に濃度があまり高すぎると、乾燥時に金属酸化物微粒
子が膜内で幾重にも積み重なって膜全体の硬度が低下し
て好ましくないので、1〜20重量%が好ましく、さら
に好ましくは2〜8重量%である。これら金属酸化物微
粒子を金属アルコキシド或いは金属キレートの加水分解
溶液に添加し、コーティング液を調製する。
【0011】本発明で用いるアンダーコート用コーティ
ング液において、金属酸化物微粒子と、金属アルコキシ
ドまたは金属キレートとの割合は、金属原子のモル比で
表して、金属アルコキシドまたは金属キレート100に
対し、金属酸化物微粒子が10〜200であることが好
ましく、さらには20〜150がより好適である。この
範囲では乾燥後に金属酸化物微粒子の上部の凹凸が維持
され、かつ金属酸化物微粒子が金属アルコキシドまたは
金属キレートから形成される金属酸化物を主成分とする
膜に強固に固定される。もし金属酸化物微粒子がこの範
囲より小さい場合には、金属酸化物微粒子が膜の中に沈
み込んでしまって、膜表面には所望の凹凸が形成され難
くなり、逆にこの範囲よりも大きい場合には、金属酸化
物微粒子が膜に強固に固定され難くなる。
【0012】凹凸アンダーコート用コーティング液原料
の好ましい使用量は、金属アルコキシドまたは金属キレ
ートを基準にして次の通りである。 金属アルコキシドまたは金属キレート 100重量部 金属酸化物微粒子 10〜200重量部 水 4〜100重量部 触媒 10ー5〜10重量部 溶媒 500〜5000重量部
【0013】上記金属アルコキシドあるいは金属キレー
トを水溶性有機溶媒に溶かし、触媒と水を加え、室温か
ら溶液の沸点の間の所定の反応温度で2時間〜2日間加
水分解し、そこへ金属酸化物ゾルのような金属酸化物微
粒子を加えて、必要に応じて更に室温〜溶液の沸点の間
の所定の反応温度で2時間〜2日間反応させることによ
り、凹凸アンダーコート用コーティング液を得る。その
後、コーティング方法に応じて適当な溶剤で希釈しても
構わない。前記水溶性有機溶媒としては、アルコール
類、ケトン類などが用いられる。アルコール類として
は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ルなどが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メ
チルエチルケトンなどが例示できる。
【0014】ガラス基材の組成によっては撥水被膜用組
成物をはじくなどして基材表面に均一に塗布できない場
合、基材表面の洗浄または表面改質を行うことで改善さ
れる。洗浄方法としてはアルコール、アセトン等の溶剤
による脱脂洗浄、アルカリや酸溶液による洗浄、研磨剤
により表面を研磨する方法、表面改質としてはプラズマ
処理、UVオゾン処理などが挙げられる。
【0015】アンダーコート層のコーティング法として
は、スピンコータ、ロールコータ、スプレーコータ、カ
ーテンコータ等の装置を用いるコーティング法の他、浸
漬引き上げ法、流し塗り法、あるいはスクリーン印刷、
グラビア印刷、曲面印刷などの印刷方法を用いてもよ
い。
【0016】上記アンダーコーティング液を被覆された
ガラス基板は、室温から200℃の温度で乾燥後、40
0℃からガラスの軟化点の温度で数秒〜数時間焼成す
る。これにより塗布された金属アルコキシドの加水分解
物または金属キレートの加水分解物は金属酸化物を形成
し、金属酸化物微粒子は、金属酸化物被膜中に微粒子が
整然と埋め込まれ、或いは堆積する。そして、金属酸化
物膜から突出した微粒子部分が凹凸を形成する。
【0017】また、本発明におけるガラス表面に凹凸を
形成する他の方法として、例えば、ソーダ石灰珪酸塩ガ
ラス基材の表面層中の酸化珪素以外の成分を除去し酸化
珪素が豊富になった多孔質の変質層を作製する方法があ
る。この多孔質ガラス層は、1〜4mol/L濃度の珪
フッ化水素酸の水溶液に珪酸塩ガラス基材を25〜50
℃で1〜4時間浸漬することにより基材の表面層中の酸
化珪素以外の成分例えばナトリウム、カリウムなどの成
分が水溶液中に溶出して表面層から除去される結果、も
との珪酸塩ガラスよりも酸化珪素が豊富な多孔質の層に
変性する。前記珪フッ化水素酸の水溶液は、1〜4mo
l/L濃度の珪フッ化水素酸水溶液に溶解させ、さらに
ホウ酸を1×10-4〜100×10-4mol/Lの濃度
になるように添加することにより得られる。
【0018】このようにして得られた多孔質層の孔の深
さ(および直径)は数〜数十nm程度であり、10〜4
00nmの凹凸粗さ(Ra1)および10〜400nmの
凹凸ピッチ(Sm)で表される凹凸が得られる。また、
多孔質層の厚みは、基材と珪フッ化水素酸の水溶液との
接触時間を長くすれば大となるが、10〜400nmが
適当である。この厚みが10nm未満ではガラス基板と
撥水剤との接着増進の効果が小さくなり、また、400
nmを越えるとガラスの透明性が低下して好ましくな
い。
【0019】本発明における基板表面の凹凸粗さ(Ra
1)、凹凸ピッチ(Sm)および撥水層の外側表面にお
ける凹凸粗さ(Ra2)は、JIS B 0601(199
4)による凹凸算術平均粗さおよび凹凸平均間隔で定義
する。すなわち基板表面の凹凸粗さ(Ra1)10〜40
0nmとは、カットオフ値80μm、評価長さ0.4m
mにおいて10nm以上であり、カットオフ値0.8m
m、評価長さ4mmにおいて40μm以下の凹凸算術平
均粗さを有することであり、基板表面の凹凸ピッチ(S
m)10〜400nmとは、基準長さ80μm、評価長
さ400μmにおいて10nm以上であり、基準長さ8
00μm、評価長さ4mmにおいて400nm以下で表
される凹凸平均間隔(Sm)を有することである。撥水
層の外側表面における凹凸粗さ(Ra2)は、カットオフ
値80μm、評価長さ0.4mmにおいて測定した凹凸
算術平均粗さで表す。これらの基板表面の凹凸粗さ、凹
凸平均間隔および撥水層表面の凹凸粗さ、厚さは日立製
作所製電子顕微鏡(H−600)を用いて観察、測定し
た断面曲線から粗さ曲線を求めて計算する。
【0020】凹凸表面を有するガラス基板は、上述の金
属酸化物微粒子含有アンダーコーティング液を塗布する
方法、および珪酸塩ガラス基材の表面層中に酸化珪素が
豊富になった多孔質の変質層を形成する方法以外にも、
他の方法、例えばガラス基板表面を機械的に研削する
(例えば#3000番のサンドペーパーで擦る)などの
方法によって作成することができる。
【0021】本発明において、上記のようにして形成し
た凹凸表面を有するガラス基板表面に、次いで、所定厚
みおよび平滑表面をもつ撥水層を設ける。この撥水層の
厚みはあまり小さすぎると、撥水層が基板凹凸を埋める
ことができず、撥水層表面の凹凸を小さくすることがで
きなくなる結果、水滴転落性が悪くなる。逆に撥水層の
厚みが大きすぎると、撥水層の耐久性が低下するので、
凹凸層の上に成膜する撥水層の厚みは、20〜500n
mの範囲内であってかつ上記基板表面の凹凸粗さの少な
くとも2.0倍の値を有する。撥水層は基板表面の凹凸
を埋めしかもその最表面は下記のように表面粗さが5n
m以下の平滑性を有する。撥水層の厚みは場所によって
変化し、撥水層は基板表面の凹部を厚く覆い基板表面の
凸部を薄く覆うので撥水層の厚みは各場所の厚みの平均
値で表す。
【0022】そして撥水層の外側表面の凹凸(凹凸算術
平均粗さ)は、0〜5nmの平滑性を有する。凹凸が5
nmを越えると水滴転落性が悪くなる。
【0023】本発明における撥水層は好ましくは有機シ
リコン化合物および/又は有機フッ素化合物からなる撥
水剤を塗布したものである。有機フッ素化合物からなる
撥水剤の一例としては、下式(1)または(2)で示さ
れるフルオロアルキルシリル化合物を挙げることができ
る。
【化1】 CF3−(CF2n−R−SiXp3ーp (1) (ここで、nは3から12の整数、Rはメチレン基、エ
チレン基、または珪素原子および酸素原子を含む基、X
はアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、もしくは
これらの誘導体から選ばれる置換基、または水素、pは
0、1または2、Yは炭素原子数が1〜3のアルコキシ
基)
【0024】
【化2】 CF3−(CF2n−R−SiXpCl3ーp (2) (ここで、nは3から12の整数、Rはメチレン基、エ
チレン基、または珪素原子および酸素原子を含む基、X
はアルキル基、シクロアルキル基、アリル基またはこれ
らの誘導体から選ばれる置換基、または水素、pは、
0、1または2)
【0025】また、有機シリコン化合物からなる撥水剤
の一例として下式(3)で示されるポリシロキサン化合
物を挙げることができる。
【化3】 A−(Si(CH32−O)n−Si(CH32−B (3) (ここで、AおよびBはそれぞれ独立に水酸基、メチル
基、またはメトキシ基、nは5から10の整数)
【0026】撥水剤としてジメチルアルキルシロキサン
を用いた場合、撥水膜の臨界傾斜角(すなわち水平に置
いた撥水膜被覆ガラス板表面に置かれた一定量の水滴が
転がり始めるガラス板の傾き角度)を小さくして水滴が
転落しやすくなるようにすることができる。
【0027】撥水剤は必要に応じて加水分解してから、
撥水層のコーティングに供する。撥水剤の内、上記式
(1)に示されるものは、水溶性有機溶媒に溶かし、酸
触媒と水を加え、一定温度の下で一定時間加水分解し、
必要に応じて希釈しコーティングに供する。加水分解せ
ずに使用すると、撥水剤はガラス表面との反応性が低
く、耐摩耗性が低い。
【0028】撥水剤を加水分解する場合の加水分解触媒
としては、塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸の他、酢酸、ク
エン酸、スルホン酸などの有機酸が用いられる。
【0029】撥水剤のための上記水溶性有機溶媒として
は、アルコール類、ケトン類などが用いられる。アルコ
ール類としては、メタノール、プロパノール、ブタノー
ルなどが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メ
チルエチルケトンなどが例示できる。
【0030】撥水剤の内、上記式(2)に示されるもの
は、溶存水分を十分に減じた非水溶性有機溶媒、例えば
キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘキサフル
オロメタキシレンなどに溶かし、コーティングに供す
る。加水分解用の触媒、水などを添加しなくても、大気
中に含まれる水分量で加水分解されるので、ガラス表面
との反応性が十分高い。
【0031】上記式(3)のポリシロキサン化合物は、
式(1)の撥水剤と同様に加水分解処理して表面処理に
供する。上記式(3)のポリシロキサン化合物は式
(1)および式(2)のいずれかまたは両方の撥水剤と
混合または共加水分解して用いてもよい。
【0032】上記の凹凸層形成後のガラス基材は洗浄し
た後、撥水剤で処理する。この処理は、拭き上げ法、ス
プレー法、流し塗り法、スピンコート法、浸漬引き上げ
法などによる塗布および、液相吸着法などによる表面吸
着である。
【0033】本発明における撥水層を形成するには、重
ね塗り、特に塗布および乾燥を少なくとも3回、より好
ましくは少なくとも5回、繰り返す方法が好適に使用さ
れる。重ね塗りにより、所定厚みを有しかつ表面の凹凸
が小さな撥水膜を形成することができる。
【0034】本発明で得られた撥水ガラスの構造を模式
的に図1に示す。ガラス基材1の表面に、10〜400
nmの凹凸算術平均粗さおよび10〜400nmの凹凸
平均間隔(Sm)を有する凹凸層2が形成され、その上
に20〜500nmの厚みを有し、かつ凹凸層を埋める
ように、すなわち、上記基板表面の凹凸算術平均粗さの
少なくとも2.0倍の平均厚みを有する撥水層3が被覆
され、撥水層3の外側表面は5nm以下の凹凸粗さ(R
a2)で表される平滑性を有する。
【0035】この撥水層の表面にはパーフルオロアルキ
ル基、ジメチルポリシロキサン成分、またはトリメチル
シリル成分が化学結合あるいは化学吸着している。パー
フルオロアルキル基としては、ヘプタデカフルオロデシ
ル基、またはナノデカフルオロドデシル基、トリデカフ
ルオロヘキシル基或いはこれらのうちいずれか2種類以
上が混在している。ジメチルポリシロキサン成分或いは
トリメチルシリル成分をフルオロカーボン成分と共存さ
せることにより、撥水膜の臨界傾斜角を更に小さくする
ことができる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を示す。 実施例1 基板表面凹凸の形成 ソーダライム珪酸塩ガラス板(150×60×3.5m
m)を、1.0%濃度のHF水溶液に30分間浸漬して
両表面の汚れを落とした後水洗いした。次に35℃で
2.0mol/Lの濃度の珪フッ化水素酸にシリカ粉末
を飽和に達するまで、すなわち20g/L溶解させ、ホ
ウ酸を5×10-3mol/L添加して調製したシリカ過
飽和珪フッ化水素酸水溶液に上記ガラス板を120分間
浸漬してガラス板の表面に多孔質シリカ層を設けた。こ
の多孔質シリカ層は主としてガラス板の元の表面層中の
酸化珪素以外の成分が除去されて残留した酸化珪素成分
およびシリカ過飽和珪フッ化水素酸水溶液中から析出し
たシリカ成分からなる。この時に得られた多孔質層の膜
厚は30nmであり、多孔質層表面の凹凸粗さ(Ra1)
は15nm、凹凸ピッチ(Sm)は30nmであった。
【0037】撥水層コーティング液の調製 ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン3重量部
および両末端シラノール変成ジメチルポリシロキサン
3重量部をイソプロパノール90重量部に溶かし、0.
1規定の塩酸2重量部を加え、室温で8時間撹拌して加
水分解して、撥水層コーティング液を調製した。
【0038】ガラス板への撥水膜の形成 上記撥水層コーティング液を、上記の洗浄済みの凹凸を
形成したガラス板の表面上に5cc滴下し、刷毛を用い
てガラス板全面にのばしながら室温で約1分乾燥させ
た。この塗布の操作を10回繰り返すことにより、凹凸
の高さよりも厚く塗布して、表面を撥水化したガラス板
を得た。塗布操作1回あたり形成される各撥水層厚みは
約50nmであり、撥水層の厚み(平均厚さ)は、前記
基板表面凹凸厚みと同じ測定法で測定して、約500n
mであった。またその撥水層外側表面の凹凸粗さ(Ra
2)は3nmであった。
【0039】上記撥水層を被覆した撥水性ガラス板試料
について、その表面の水の接触角、臨界傾斜角、耐摩耗
性を測定した結果を表1に示す。なお、接触角は協和界
面科学製接触角計(CA−T)を用いて直径約2mmの
水滴で測定した。また臨界傾斜角は、直径5mmの水滴
を載せた上記撥水性ガラス板試料を水平から徐々に傾斜
させていき、水滴が転がり始めるときのガラス板の傾斜
角度を測定した。この角度(臨界傾斜角)が小さいほど
水滴転落性が優れていることを示す。耐摩耗性は、磨耗
試験機(新東科学製「HEIDON−18」)を用い
て、上記撥水性ガラス板試料の表面にネル布を300g
/cm2の荷重で押しつけ、7200mm/分の速度で
5000回往復摩擦した後、試料表面について水の接触
角を測定した。この角度が小さいほど、耐磨耗性すなわ
ち耐久性が優れていることを示す。表1からわかるよう
に、優れた耐久性・水滴転落性を示した。
【0040】実施例2 ガラス板表面凹凸の形成 実施例1と同様の方法で、ソーダライム珪酸塩ガラス板
表面に凹凸を形成した。
【0041】撥水層コーティング液の調製 ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン1重量部を
ヘキサフルオロメタキシレン10量部に溶かして撥水層
コーティング液として使用した。
【0042】ガラス板への撥水膜の形成 上記撥水層コーティング液を洗浄済みの凹凸を形成した
ガラス板に5cc滴下し、刷毛を用いてガラス板全面に
のばしながら室温で約1分乾燥させた。この塗布の操作
を5回繰り返すことにより、表面を撥水化したガラス板
を得た。実施例1と同じ方法で測定して、撥水層の厚み
(平均厚さ)は約400nmであり、その外側表面の凹
凸粗さは、5nmであった。
【0043】本ガラス板の水の接触角、臨界傾斜角、耐
摩耗性を表1に示す。表1からわかるように、優れた耐
久性・水滴転落性を示した。
【0044】実施例3 ガラス板表面凹凸の形成 実施例1と同様の方法で、ソーダライム珪酸塩ガラス板
表面に凹凸を形成した。 ガラス板へ板の撥水膜の形成 上記の凹凸を形成したガラス板を洗浄し乾燥させた後、
シリコーン系撥水剤スーパーレインX(unelco社
製)を洗浄済みの凹凸を形成したガラス板表面に5cc
滴下し、刷毛を用いてガラス板全面にのばしながら乾燥
させた。この塗布の操作を10回繰り返すことにより、
凹凸の高さよりも厚く塗布して、表面を撥水化したガラ
ス板を得た。実施例1と同じ方法で測定して、撥水層の
厚み(平均厚さ)は約400nmであり、その外側表面
の凹凸粗さは3nmであった。
【0045】本ガラス板の水の接触角、臨界傾斜角、耐
摩耗性を表1に示す。表1からわかるように、優れた耐
久性・水滴転落性を示した。
【0046】実施例4 ガラス板表面凹凸の形成 テトラエトキシシラン19重量部をイソプロパノール1
73重量部に加え、更に1規定の塩酸1重量部、および
水4重量部を加え、50℃で3時間撹拌後、室温で1日
間撹拌して加水分解させた。この加水分解液に粒子直径
40〜100nmの鎖状コロイダルシリカ(「スノーテ
ックスOUP」、日産化学社製)40重量部を加え、さ
らに室温で5時間撹拌した。得られた液237重量部か
ら180重量部を分取して、それにイソプロパノールを
加えて固形分を3%に調整して凹凸アンダーコート液を
得た。ソーダライム珪酸塩ガラス板(150×60×
3.5mm)を洗浄し乾燥させた後、上記凹凸アンダー
コート液を用いて浸漬引き上げ法によりコーティングし
た。50℃乾燥機中で1日乾燥した後、電気炉で100
℃・30分→250℃・30分→500℃・1時間の焼
成を行った。実施例1と同じ方法で測定して、得られた
凹凸膜の膜厚は100nmであり、その表面の凹凸粗さ
(Ra1)は50nm、凹凸ピッチ(Sm)は100nm
であった。
【0047】撥水層コーティング液の調製 実施例1と同様の方法で撥水層コーティング液を調製し
た。 ガラス板への撥水膜の形成 上記撥水層コーティング液を洗浄済みの凹凸を形成した
ガラス板に5cc滴下し、刷毛を用いてガラス板全面に
のばしながら乾燥させた。この塗布の操作を10回繰り
返すことにより、凹凸の高さよりも厚く塗布して、表面
を撥水化したガラス板を得た。実施例1と同じ方法で測
定して、撥水層の平均厚さは約400nmであり、その
外側表面の凹凸粗さは3nmであった。本ガラス板の水
の接触角、臨界傾斜角、耐摩耗性を表1に示す。表1か
らわかるように、優れた耐久性・水滴転落性を示した。
【0048】実施例5 ガラス板表面凹凸の形成 テトラエトキシシラン19重量部をイソプロパノール1
73重量部に加え、更に1規定の塩酸1重量部、および
水4重量部を加え、50℃で3時間撹拌後、室温で1日
間撹拌して加水分解させた。この加水分解液に粒子直径
50nmのコロイダルシリカ(「スノーテックスO
L」、日産化学社製)30重量部を加え、さらに室温で
5時間撹拌した。得られた液227重量部から180重
量部を分取して、それにイソプロパノールを加えて固形
分を3%に調整して凹凸アンダーコート液を得た。ソー
ダライム珪酸塩ガラス板(150×60×3.5mm)
を洗浄し乾燥させた後、上記凹凸アンダーコート液を用
いて浸漬引き上げ法によりコーティングした。50℃乾
燥機中で1日乾燥した後、電気炉で100℃・30分→
250℃・30分→500℃・1時間の焼成を行った。
実施例1と同じ方法で測定して、得られた凹凸膜の膜厚
は100nmであり、その表面の凹凸粗さ(Ra1)は8
0nm、凹凸ピッチ(Sm)は200nmであった。
【0049】ガラス板への撥水膜の形成 凹凸を形成したガラス板を洗浄し乾燥させた後、シリコ
ーン系撥水剤スーパーレインX(unelco社製)を
洗浄済みの凹凸を形成したガラス板表面に5cc滴下
し、刷毛を用いてガラス板全面にのばしながら乾燥させ
た。この塗布の操作を10回繰り返すことにより、凹凸
の高さよりも厚く塗布して、表面を撥水化したガラス板
を得た。実施例1と同じ方法で測定して、撥水層の平均
厚さは約400nmであり、その外側表面の凹凸粗さは
3nmであった。本ガラス板の水の接触角、臨界傾斜
角、耐摩耗性を表1に示す。表1からわかるように、優
れた耐久性・水滴転落性を示した。
【0050】比較例1 実施例1と同様の方法で凹凸を形成したガラス板を作製
した。実施例1で用いた撥水層コーティング液をシクロ
ヘキサンで100倍に希釈した液にこの板を室温で1時
間浸漬してガラス板表面にヘプタデカフルオロデシルト
リメトキシシランと両末端シラノール変成ジメチルポリ
シロキサンの共加水分解物を化学吸着させ引き上げた
後、100℃−20分の加熱を行い、表面を薄膜撥水化
したガラス板を得た。実施例1と同じ方法で測定して、
撥水層の平均厚さは約8nmであってガラス基板の表面
凹凸の粗さ(15nm)よりも小さく、その外側表面の
凹凸粗さは12nmであった。
【0051】本ガラス板の接触角、臨界傾斜角、耐摩耗
性を表1に示す。表1からわかるように、各実施例と比
較すると、耐久性は実施例と同程度に優れるものの、水
滴転落性が劣っている。
【0052】比較例2 実施例4と同様の方法で凹凸を形成したガラス板を作製
した。実施例2で用いた撥水層コーティング液をヘキサ
フルオロメタキシレンで100倍に希釈した液に、この
ガラス板を室温で1日間浸漬してその表面にヘプタデカ
フルオロデシルトリクロロシランを化学吸着させ引き上
げた後、100℃−20分の加熱を行い、表面を薄膜撥
水化したガラス板を得た。実施例1と同じ方法で測定し
て、撥水層の平均厚さは約5nmであってガラス板凹凸
の高さよりも小さく、その外側表面の凹凸粗さは40n
mであった。本ガラス板の水の接触角、臨界傾斜角、耐
摩耗性を表1に示す。表1からわかるように、各実施例
と比較すると、耐久性は実施例と同程度に優れるもの
の、水滴転落性が劣っている。
【0053】比較例3 表面の平滑なソーダライムガラス板の表面にシリコーン
系撥水剤スーパーレインX(unelco社製)を5c
c滴下し、刷毛を用いてガラス板全面にのばしながら乾
燥させた。この塗布の操作を10回繰り返すことによ
り、厚さ約400nmの撥水層を成膜した。実施例1と
同じ方法で測定して、なお処理前および撥水層成膜後の
ガラス板表面の凹凸粗さはそれぞれ1nm以下および3
nmであった。
【0054】本ガラス板の水の接触角、臨界傾斜角、耐
摩耗性を表1に示す。表1からわかるように、各実施例
と比較すると、水滴転落性は実施例と同程度に優れるも
のの、耐久性が劣っている。
【0055】比較例4 表面の平滑なソーダライム珪酸塩ガラス板(20cmx
20cmで厚み3mm)を1.0%濃度の弗酸(HF)
水溶液に30分間浸漬して両表面の汚れを落とした後水
洗した。この時のガラスのエッチング量は6μmであっ
た。次に35℃で2.0モル/Lの濃度の珪弗化水素酸
にシリカ粉末を飽和に達するまで、すなわち20g/L
溶解させ、さらにほう酸を5x10-3モル/L添加して
調製したシリカ過飽和水溶液に上記ガラス板を120分
間浸漬してガラス表面に多孔質シリカ層を設けた。この
時に得られた多孔質層の厚みは1000〜1500オン
グストロームであった。また、孔径は約50〜400オ
ングストロームのものが多く存在していた。
【0056】上記で作製した多孔質シリカ層が形成され
たガラス板表面を、ポリジメチルシロキサン系撥水剤、
スーパーレインX(unelko社製)を小量染み込ま
せたベンコットンペーパー(商品名)でふき、塗布し
た。2〜3分経過後、表面に残留している撥水剤をきれ
いなペーパーで拭き取った。この撥水剤が付着した基材
表面を、さらに同じ撥水剤を染み込ませたペーパーでふ
き、10分経過後、表面に残留している撥水剤をきれい
なペーパーで拭き取り、撥水性ガラス物品を作製した。
【0057】得られた撥水膜の厚みは10nmと薄く、
表面凹凸粗さは30nmであり、臨界傾斜角は20度と
高くなり、水滴転落性が劣っている。
【0058】
【表1】 ================================== カ゛ラス板表面 撥水膜 接触角 臨界 耐摩耗 凹凸 凹凸 表面 厚み 傾斜角 試験後 粗さ ヒ゜ッチ 凹凸粗さ (nm) (度) (度) の接触角 (nm) (nm) (nm) (度) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例 1 15 30 3 500 99 9 93 2 15 30 5 400 101 10 94 3 15 30 3 400 100 5 93 4 50 100 3 400 100 9 95 5 80 200 3 400 101 5 92 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比較例 1 15 30 12 8 111 25 104 2 50 100 40 5 117 30 110 3 1以下 − 3 400 102 6 75 4 15 30 15 10 105 20 92 ==================================
【0059】実施例1〜5と比較例1〜4を比較する
と、実施例では臨界傾斜角は10度以下であって水滴転
落性が優れ、しかも耐磨耗性試験後の接触角は92度以
上であって耐磨耗性も優れている。それに対して、比較
例1、2、4の臨界傾斜角は25度以上であって水滴転
落性は劣っており、比較例3では臨界傾斜角は10度以
下であって水滴転落性が優れているものの、耐磨耗性試
験後の接触角は75度であり耐磨耗性が劣っている。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、ガラス表面に凹凸を形
成し、その上に撥水膜を凹凸高さよりも厚く成膜するこ
とにより、耐久性と水滴転落性に優れた撥水材料を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によって製造した撥水性ガラスを模式的
に示す断面図。
【符号の説明】
1:ガラス基材 2:凹凸層 3:撥水層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凹凸表面を有するガラス基板の表面に撥
    水層を設ける撥水性ガラス物品において、基板表面は1
    0〜400nmの凹凸粗さ(Ra1)および10〜400
    nmの凹凸ピッチ(Sm)を有しており、前記撥水層は
    20〜500nmの範囲内であって、かつ上記基板表面
    の凹凸粗さ(Ra1)の少なくとも2.0倍の平均厚みを
    有し、そして前記撥水層の外側表面において5nm以下
    の凹凸粗さ(Ra2)を有する撥水性ガラス物品。
  2. 【請求項2】 前記撥水層は有機シリコン化合物および
    /又は有機フッ素化合物からなる撥水剤を塗布したもの
    である請求項1記載の撥水性ガラス物品。
  3. 【請求項3】 前記ガラス基板は、凹凸を形成するため
    の微粒子を含む膜または表面凹凸を有する多孔質膜で被
    覆されたものである請求項1記載の撥水性ガラス物品。
  4. 【請求項4】 有機シリコン化合物および/又は有機フ
    ッ素化合物ならびに溶媒を含む撥水剤を、凹凸表面を有
    するガラス基板の表面に塗布した後乾燥させ、その後に
    この塗布、乾燥を少なくとも2回繰り返すことを特徴と
    する請求項1記載の撥水性ガラス物品を製造する方法。
  5. 【請求項5】 前記凹凸表面を有するガラス基板は、金
    属酸化物微粒子を含有するアンダーコーティング液をガ
    ラス基板表面に塗布した後に加熱し、または珪フッ化水
    素酸の水溶液にガラス基板を所定時間浸漬し、またはガ
    ラス基板表面を機械的に研削することにより得られるも
    のである請求項4記載の撥水性ガラス物品を製造する方
    法。
JP34472197A 1997-12-15 1997-12-15 撥水性ガラス物品およびその製造方法 Pending JPH11171594A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34472197A JPH11171594A (ja) 1997-12-15 1997-12-15 撥水性ガラス物品およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34472197A JPH11171594A (ja) 1997-12-15 1997-12-15 撥水性ガラス物品およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11171594A true JPH11171594A (ja) 1999-06-29

Family

ID=18371472

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34472197A Pending JPH11171594A (ja) 1997-12-15 1997-12-15 撥水性ガラス物品およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11171594A (ja)

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004002727A (ja) * 2002-03-28 2004-01-08 Matsushita Electric Ind Co Ltd 撥水膜の製造方法
WO2005028579A1 (ja) * 2003-09-17 2005-03-31 Keio University 表面処理剤及び材料及び表面処理方法
JPWO2005030664A1 (ja) * 2003-09-25 2007-11-15 日本板硝子株式会社 機能性ガラス物品およびその製造方法
US7452605B2 (en) 2001-03-30 2008-11-18 Central Glass Company, Limited Article superior in slipping waterdrops down surface thereof
JP2009220103A (ja) * 2008-02-20 2009-10-01 Nsk Ltd 撥水撥油膜の形成方法、撥水撥油性部材、撥水撥油性部材を備えた装置、シール装置、転がり軸受
JP2010162528A (ja) * 2008-12-15 2010-07-29 Nsk Ltd 撥水撥油膜の形成方法
JP2011075002A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Nsk Ltd 円すいころ軸受
WO2011090035A1 (ja) * 2010-01-19 2011-07-28 旭硝子株式会社 撥水性基体およびその製造方法
JP2013220608A (ja) * 2012-04-17 2013-10-28 Nippon Soda Co Ltd 撥水膜
WO2017029890A1 (ja) * 2015-08-19 2017-02-23 旭硝子株式会社 積層体
JP2017125092A (ja) * 2016-01-12 2017-07-20 住友化学株式会社 含フッ素皮膜及び撥水撥油コーティング組成物
JP2017524745A (ja) * 2013-12-05 2017-08-31 サムスン エスディアイ カンパニー, リミテッドSamsung Sdi Co., Ltd. 樹脂膜及び樹脂膜の製造方法
CN107683267A (zh) * 2015-09-11 2018-02-09 日本电气硝子株式会社 显示器用罩部件及其制造方法
DE112014000613B4 (de) 2013-01-30 2019-05-29 AGC Inc. Transparenter Grundkörper mit Belag-hemmender Beschichtung
JP2020158692A (ja) * 2019-03-27 2020-10-01 日本山村硝子株式会社 フッ素含有縮合型オルガノポリシロキサンプレポリマーおよびその硬化体

Cited By (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7452605B2 (en) 2001-03-30 2008-11-18 Central Glass Company, Limited Article superior in slipping waterdrops down surface thereof
JP2004002727A (ja) * 2002-03-28 2004-01-08 Matsushita Electric Ind Co Ltd 撥水膜の製造方法
JP4635217B2 (ja) * 2003-09-17 2011-02-23 学校法人慶應義塾 表面処理剤及び材料及び表面処理方法
WO2005028579A1 (ja) * 2003-09-17 2005-03-31 Keio University 表面処理剤及び材料及び表面処理方法
JP2005113110A (ja) * 2003-09-17 2005-04-28 Keio Gijuku 表面処理剤及び材料及び表面処理方法
JPWO2005030664A1 (ja) * 2003-09-25 2007-11-15 日本板硝子株式会社 機能性ガラス物品およびその製造方法
JP2009220103A (ja) * 2008-02-20 2009-10-01 Nsk Ltd 撥水撥油膜の形成方法、撥水撥油性部材、撥水撥油性部材を備えた装置、シール装置、転がり軸受
JP2010162528A (ja) * 2008-12-15 2010-07-29 Nsk Ltd 撥水撥油膜の形成方法
JP2011075002A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Nsk Ltd 円すいころ軸受
WO2011090035A1 (ja) * 2010-01-19 2011-07-28 旭硝子株式会社 撥水性基体およびその製造方法
CN102741048A (zh) * 2010-01-19 2012-10-17 旭硝子株式会社 拒水性基体及其制造方法
JPWO2011090035A1 (ja) * 2010-01-19 2013-05-23 旭硝子株式会社 撥水性基体およびその製造方法
JP5716679B2 (ja) * 2010-01-19 2015-05-13 旭硝子株式会社 撥水性基体およびその製造方法
JP2013220608A (ja) * 2012-04-17 2013-10-28 Nippon Soda Co Ltd 撥水膜
DE112014000613B4 (de) 2013-01-30 2019-05-29 AGC Inc. Transparenter Grundkörper mit Belag-hemmender Beschichtung
JP2017524745A (ja) * 2013-12-05 2017-08-31 サムスン エスディアイ カンパニー, リミテッドSamsung Sdi Co., Ltd. 樹脂膜及び樹脂膜の製造方法
WO2017029890A1 (ja) * 2015-08-19 2017-02-23 旭硝子株式会社 積層体
JPWO2017029890A1 (ja) * 2015-08-19 2018-05-31 旭硝子株式会社 積層体
CN107683267A (zh) * 2015-09-11 2018-02-09 日本电气硝子株式会社 显示器用罩部件及其制造方法
JP2017125092A (ja) * 2016-01-12 2017-07-20 住友化学株式会社 含フッ素皮膜及び撥水撥油コーティング組成物
WO2017122616A1 (ja) * 2016-01-12 2017-07-20 住友化学株式会社 含フッ素皮膜及び撥水撥油コーティング組成物
CN108463491A (zh) * 2016-01-12 2018-08-28 住友化学株式会社 含氟被膜及疏水疏油涂覆组合物
CN108463491B (zh) * 2016-01-12 2021-06-25 住友化学株式会社 含氟被膜及疏水疏油涂覆组合物
US11136473B2 (en) 2016-01-12 2021-10-05 Sumitomo Chemical Company, Limited Fluorine-containing coating film and water- and oil-repellent coating composition
JP2020158692A (ja) * 2019-03-27 2020-10-01 日本山村硝子株式会社 フッ素含有縮合型オルガノポリシロキサンプレポリマーおよびその硬化体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3700358B2 (ja) 防曇防汚ガラス物品
JP3588364B2 (ja) 表面処理された基材および基材の表面処理方法
JP4198598B2 (ja) 超撥水性基体
JPH11171594A (ja) 撥水性ガラス物品およびその製造方法
EP1792963A1 (en) Treatment for forming waterdrop slidable films and process for forming waterdrop slidable films
JPH09100141A (ja) 撥水性ガラスの製造方法
JPH11171592A (ja) 撥水性物品及びその製造方法
JPH10194784A (ja) 撥水性ガラス
JP3427755B2 (ja) シリカ系膜被覆物品を製造する方法
JP3599998B2 (ja) 撥水液および撥水性被膜の製造方法
JP4826226B2 (ja) 滑水性被膜を得るための処理剤及び滑水性被膜の作製法
JP4876424B2 (ja) 滑水性物品の製法
JP4522357B2 (ja) 滑水性ガラス物品の製法
JP2001205187A (ja) シリカ系膜被覆物品の製造方法、およびシリカ系膜被覆物品
JPH09202651A (ja) 親水性被膜及びその形成法
JPH0913018A (ja) 撥水被膜用組成物および撥水ガラス
JP3992949B2 (ja) ピット状もしくは凹凸状の表面形状を有する下地膜用ゾルゲル膜を形成するための塗布液、及び下地膜用ゾルゲル膜を得る方法
JPH1059745A (ja) 撥水性ガラス及びその製法
JP3672688B2 (ja) 撥水性ガラスの製法
JP3628881B2 (ja) 撥水液及び撥水性基板の製法
JP2000219875A (ja) 撥水膜被覆物品を製造する方法、撥水膜被覆物品および撥水膜被覆用液組成物
JP3744736B2 (ja) 高滑水性基材およびその製造方法
JP4152769B2 (ja) 高耐久な滑水性被膜の製造方法
JP4175880B2 (ja) 凸状又は凹状若しくは凹凸状の表面形状を有するゾルゲル膜及び塗布液並びに製法
JP4093987B2 (ja) 表面処理された基材の製造方法