JP4256662B2 - 皮膜被覆物品、およびその製造方法 - Google Patents

皮膜被覆物品、およびその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小凹凸を有した珪素酸化物を主成分とする皮膜が被覆された皮膜被覆物品、その製造方法、およびそれに用いる塗布溶液に関する。特に本発明は、ゾル−ゲル法により形成される珪素酸化物を主成分とする皮膜に有用である。
【0002】
【従来の技術】
ガラス板やその他の基材の表面に、撥水性や親水性を持たせるためには、その表面に凹凸を形成させるとよい。
【0003】
一般に固体表面の濡れ性は、表面の粗度によって影響を受ける。すなわち、固体表面が親水的な場合には粗表面の親水性は向上し、逆に疎水的な場合には粗表面の撥水性は向上する。この現象は、表面がフラクタル構造をもつ場合に顕著に現れ、その結果、フラクタル表面はその材質によって、超撥水あるいは超親水と呼ばれる表面となりうる、とされる。
【0004】
なお、水の接触角度が150度を超えるような撥水性の状態は、一般に超撥水と呼ばれている。また、水の接触角度の測定が困難なほどの親水性の状態は、超親水性と呼ばれている。
【0005】
例えば、(1)特開平6−25449号には、プラスチックフィルムの表面にプラズマ処理によって微小な突起を形成し、その後にフッ素化合物を化学吸着させる方法が開示されている。
【0006】
(2)特開平11−286784号には、金属アルコキシドの重縮合物、金属酸化微粒子、および、フルオロアルキル基を有するシラン化合物を含む処理液をガラス表面に塗布し乾燥させることで、その表面に微細な凹凸構造を形成させる方法が開示されている。
【0007】
(3)特開2000−144116には、トリアルコキシシランの重縮合物を含む塗布液を基板上に塗布し熱処理することにより、表面に凹凸を形成させる撥水膜が開示されている。
【0008】
(4)特開2001−17907には、アルミニウム化合物を含む溶液を基体に塗布して皮膜を形成し、温水に浸漬することにより、表面に微細な凹凸を形成させる方法が開示されている。
【0009】
(5)特開2001−207123には、金属アルコキシドと、溶媒中でこれらと分相し、かつ室温から700℃までの温度で分解、燃焼、昇華する特性を有する物質が溶剤に添加された溶液を基材に塗布して、熱処理することにより、平均孔径100nm〜2μmの微小多孔層を形成させる方法が開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開平6−25449号公報
【特許文献2】
特開平11−286784号公報
【特許文献3】
特開2000−144116公報
【特許文献4】
特開2001−17907公報
【特許文献5】
特開2001−207123公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した(1),(2)および(5)に開示された方法では、膜の膜厚および/または凹凸が大きい。このため、透過光が散乱しヘイズ(haze)値が上がるので、皮膜の透明性が低くなってしまう。
【0012】
また(3)および(5)に開示された技術では、塗布液を基材に塗布した後、高温で熱処理する必要があるため、基材は耐熱性の高い材料に限られる。また熱処理が必要となってしまう。
【0013】
(1)に開示された方法では、プラズマ処理で凹凸を形成させるため、このための処理装置が必要となってしまう。
【0014】
(4)に開示された方法では、温水浸漬で凹凸を形成させるため、温水の供給装置が必要となってしまう。
【0015】
さらに、(2),(3),(4)および(5)に開示された技術では、ディップコート等でウエットな塗膜を形成した後に乾燥させるので、ガラス端部や膜面にムラが発生しやすく、皮膜の外観品質が悪くなってしまう。
【0016】
またさらに、(1),(2),(3),(4)および(5)に開示された技術では、皮膜表面の凹凸形状が不規則なフラクタル構造となっているため、皮膜の耐摩耗性が悪くなってしまう。
【0017】
例えば疎水性を示す基材において、表面に凹凸を形成しその表面の粗さを大きくすればするほど、水の接触角は大きくなる。この接触角が150度を超えると、水滴がその表面に留まることが困難になるほどの超撥水性を示すようになる。このような超撥水性を発現させるためには、表面凹凸と水滴の間に空気を多く保持できる形状が必要である、といわれている。
【0018】
しかし表面に、例えば数百nm以上の大きな凹凸が存在すると、光が散乱を起こし、透明性基材の場合、ヘイズが発生し透明性が損なわれる問題がある。
【0019】
また従来の超撥水性表面では、表面の突起が複雑なフラクタル形状で形成されている。その突起の一つ一つが脆く、弱い力でも壊れてしまう。このため、摩擦などにより、撥水性がすぐに失われてしまう問題もあった。
【0020】
そこで本発明は、超撥水性や超親水性の礎となる微小凹凸として、従来にない凹凸形状が形成された珪素酸化物を主成分とする皮膜が被覆された皮膜被覆物品、その製造方法、およびそれに用いる塗布溶液を提供する。
さらに本質的に焼成工程を必要とせず、優れた生産性を持つ珪素酸化物を主成分とする皮膜の製造方法を提供する。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明は、請求項1に記載の発明として、
表面に微小凹凸を有した珪素酸化物を主成分とする皮膜が被覆された物品であって、
前記微小凹凸は、直径D p がD p =5〜200nmである微小突起および直径をDc、高さをHとして、2Dc≦Hの関係式が成立する柱状突起(D c は10〜200nmであり、少なくともHが50nm)により構成されていることを特徴とする皮膜被覆物品である。
【0022】
請求項2に記載の発明として、
前記柱状突起は、前記微小突起が前記皮膜の厚さ方向に局所的に成長して形成されている、および/または、前記微小突起を構成する微粒子が局所的に複数個積層して形成されている請求項1に記載の皮膜被覆物品である。
【0026】
請求項に記載の発明として、
前記皮膜の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で少なくとも10nmであり、かつ皮膜のヘイズ率は1%以下である請求項1または2記載の皮膜被覆物品である。
【0027】
請求項に記載の発明として、
前記皮膜の表面に1mgの水滴を滴下して測定した水の接触角が5度以下である請求項1〜のいずれかに記載の皮膜被覆物品である。
【0028】
請求項に記載の発明として、
前記基材は、ガラス板、樹脂板または樹脂フィルムのいずれかである請求項1〜のいずれかに記載の皮膜被覆物品である。
【0029】
請求項6に記載の発明として、
基材表面に珪素酸化物を主成分とする皮膜を形成する皮膜被覆物品の製造方法であって、
前記基材表面に珪素含有原料を含む溶液を塗布する工程と、
少なくとも1秒間、前記表面を前記溶液で濡らした状態を維持することにより、前記珪素含有原料から供給される珪素を含む直径DpがDp=5〜200nmである微小突起を前記表面に形成するとともに、
前記微小突起が前記表面に形成される皮膜の厚さ方向に局所的に成長する、および/または、前記微小突起を構成する微粒子が局所的に複数個積層することにより、直径をDc、高さをHとして、2Dc≦Hの関係式が成立する柱状突起(Dcは10〜200nmであり、少なくともHが50nm)を形成する工程を含み、
前記溶液は、含水率が0.03質量%以下であるシリコーン油を主成分とする溶媒に、クロロシリル基含有化合物を溶解してなり、前記溶液における前記クロロシリル基含有化合物の濃度が0.01〜3質量%であり、
温度が10〜40℃、相対湿度(RH)が15〜60%の環境条件において、前記溶液を塗布する工程と、前記柱状突起を形成する工程を行う、ことを特徴とする皮膜被覆物品の製造方法である。
【0032】
請求項に記載の発明として、
前記局所的に成長してなる柱状突起は、前記溶液中に溶解している珪素含有原料が前記基材表面に直接析出することにより形成する請求項6に記載の皮膜被覆物品の製造方法である。
【0033】
請求項に記載の発明として、
前記積層してなる柱状突起は、前記溶液中に溶解している珪素含有原料が前記溶液中に微粒子として析出し、前記微粒子が基材表面に堆積することにより形成する請求項6に記載の皮膜被覆物品の製造方法である。
【0036】
請求項に記載の発明として、
前記クロロシリル基含有化合物は、テトラクロロシランである請求項に記載の皮膜被覆物品の製造方法である。
【0037】
請求項10に記載の発明として、
前記シリコーン油を主成分とする溶媒は、ジメチルシリコーンオイルである請求項に記載の皮膜被覆物品の製造方法である。
【0039】
請求項11に記載の発明として、
前記基材を、ガラス板、樹脂板または樹脂フィルムのいずれかとする請求項6〜10のいずれかに記載の皮膜被覆物品の製造方法である。
【0040】
請求項12に記載の発明として、
前記基材は、車両に装着された車両用透明板である請求項6〜11のいずれかに記載の皮膜被覆物品の製造方法である。
【0044】
本発明の皮膜被覆物品における皮膜は、微細な凹凸を有し、この凹凸は、基本的に、微小突起(粒子状突起)と、この粒子状突起よりも基板の表面から測定した高さの高い柱状突起とから構成されている。
【0045】
本発明では、珪素酸化物、例えばシリカ、を主成分とする皮膜の表面において、まず微小な粒子状突起を形成させている。さらに、この粒子状突起を構成する微粒子が重なり合うように複数個積層して形成することによって、またはこの粒子状突起を皮膜の厚さ方向に局所的に成長させて形成することによって、柱状突起を形成している。このような突起を形成することで、表面粗さを大きくするとともに、柱状突起と微小突起の間、および柱状突起同士の間に空気を保持できる構造としている。
【0046】
柱状突起は、例えば一体的な突起、すなわち微粒子が皮膜の厚さ方向に局所的に成長して形成された突起である。この場合、柱状突起の直径をDc、高さをHとすると、2Dc≦H、好ましくは3Dc≦Hが成立する。ここで、DcおよびHは、SEMで測定した値を用いればよい。Dcは10nm〜200nmが好適である。好ましいHの範囲は、Dcの値によるが、通常は、50nm以上である。なお、これらの数値は、後述するように、走査型電子顕微鏡での皮膜の表面形状を観察測定した結果、およびその皮膜の親水性や撥水性に基づいて決定したものである。
【0047】
この柱状突起は、微粒子が重なり合って構成されていてもよい。微粒子の積層の数および形態は、特に限定されないが、2以上の微粒子が皮膜の厚さ方向に積層して形成された突起が周囲から突出している、さらに詳細には、基本的には1つの微粒子の高さに相当する微小突起に周囲を囲まれた、3以上の微粒子による皮膜の厚さ方向への連結体が柱状突起を構成していることが好ましい。
本発明の皮膜には、柱状突起として、一体的な突起物と微粒子が積層して形成された突起物とが混在していても構わない。
【0048】
なお本明細書において、「局所的に成長」なる用語は、微小突起の平均高さの2倍以上、好ましくは3倍以上にまでに成長した意味に用いる。また、「局所的に」なる用語を、皮膜表面の所定面積を占めるという意味で用いる。この所定面積のより好ましい比率は、後述するように、相反する2つの特性の両立(所定値以上の表面粗さと所定値以下のヘイズ率との両立)により、代替的に表現できる。さらに、「主成分」なる用語を50質量%以上を占める成分を意味する用語として用いる。
【0049】
また本発明では、この皮膜表面に力が加わった場合に、柱状突起が破壊されたとしても、微小突起は損傷を受けにくい構造となっている。このため、本発明による皮膜は、従来の超撥水物品に比して、超撥水性は失われても通常の撥水性は維持される点で、耐久性(耐摩耗性)が優れている。
【0050】
本発明における柱状突起には、上述したように2種類の形態があり、皮膜表面から局所的に成長し一体的に形成された形状になるものと、微小突起が積層されて形成された形状をとるものである。これらの違いは成膜条件によるものであり、例えば、クロロシリル基含有化合物の濃度が高い場合は、微小突起を形成する粒子が重なり合った形状になり易い。しかし、どちらの形状でも、超撥水性や超親水性、耐久性に差はないため、特に限定されるものではない。
【0051】
本発明において、粒子状微小突起は、その直径DpがDp=5〜200nmであり、柱状突起はその直径をDc、高さをHとしたとき、2Dc≦Hで、Dc=10〜200nmであり、少なくともHが50nmであることが好ましい。さらに好ましくは、微小突起の直径Dpを平均で20〜100nmとし、柱状突起の直径Dcを平均で20〜100nmとするとよい。このような構成により、ヘイズ率を低く保つことができる。このため、超撥水性や超親水性の礎となる微小な凹凸構造と、皮膜の透明性を両立することが容易となる。なお、突起の直径がこれを越えると、珪素酸化物を主成分とする皮膜の透明性が損なわれてしまうことがある。
【0052】
一方、柱状突起の高さHが50nm未満になると、超撥水性や超親水性を発現させる微小な凹凸構造ではなくなってしまう。
【0053】
また、本発明における柱状突起は自然に成長させているため、必ずしも基板表面に対して垂直方向にのみ形成されるものでなく、垂直方向の途中から曲がったり、最初から斜めに成長したりするものも存在するが、これらの形状でも支障はない。これらの形状において、垂直方向の高さをH、最表面に価する部分の平均直径をDとしたとき、上述した範囲にあれば撥水性や耐久性に差はないため、特に限定されるものではない。
【0054】
また、従来技術では、一度平滑な表面を形成した後に、プラズマや温水処理、高温焼成等で表面に凹凸を形成させる方法がよく用いられていたが、これらの方法では、設備のコストが高くかかるだけでなく、凹凸を形成する基材にも制限があった。例えば、自動車に取り付けられた状態のガラス板に、これらの方法を適用することは実質不可能である。
【0055】
一方、本発明によれば、基材表面にコーティング溶液を塗布し、その溶液を乾燥させればよいので、基材やその状態を選ぶことがない。
【0056】
さらに本発明による珪素酸化物を主成分とする皮膜の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で少なくとも10nmであり、かつ皮膜のヘイズ率は1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。このように、本発明による珪素酸化物を主成分とする皮膜は、透明性にも優れている。
【0057】
表面粗さが大きいほど、撥水性能や親水性能を向上させることができる。一方、従来の技術で形成された凹凸表面は、表面粗さが大きくなるにつれ、皮膜のヘイズ率も大きくなり、撥水性能や親水性能と透明性を両立することが困難であった。
【0058】
なお、皮膜の表面粗さの上限は、ヘイズ率が1.0%以下であることを満足する範囲であれば、特に限定されない。
【0059】
しかし本発明による珪素酸化物を主成分とする皮膜は、その表面の柱状突起の効果で表面粗さを大きくしており、かつその間に空気を保持できる微小な凹凸構造を有している。なお珪素酸化物を主成分とする皮膜は、基本的に親水性であるので、本発明による珪素酸化物を主成分とする皮膜は、微小な凹凸構造と相まって超親水性を示すことになる。さらに、この珪素酸化物を主成分とする皮膜は、超撥水性や防汚性を示す機能膜の下地膜とすることができる。
【0060】
この皮膜は、珪素酸化物を主成分とし、さらに他の成分、例えばチタン酸化物、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物を含んでいてもよい。
【0061】
以下、珪素酸化物を主成分とする皮膜の製造方法について、クロロシリル基含有化合物を、シリコーン油を主成分とする溶媒に溶解した溶液を基材表面に塗布した場合を例に説明する(図3参照)。
【0062】
まず、この溶液において、クロロシリル基含有化合物をシリコーン油を主成分とする溶媒に添加すると、クロロシリル基含有化合物はクロロ基が保持された状態で溶媒に溶解している。
【0063】
この塗布溶液2を基材1の表面に塗布すると、その塗布中に、基材表面の親水基(−OH基)にクロロシリル基含有化合物が結合する。さらに、クロロシリル基含有化合物は、空気中の水分および基材表面の吸着水で、加水分解から縮重合反応が進みながら基材表面に結合される。このとき、基材表面にまばらに粒子状の核3が形成される(図3(a))。
【0064】
そのまま、基材表面を塗布溶液で濡らしておくと、クロロシリル基含有化合物は、空気中の水分で加水分解から縮重合反応が進み、珪素酸化物のオリゴマー4が生成される。オリゴマーが溶媒に溶解し難い大きさまで成長すると、溶媒から析出し始め、析出したオリゴマー4がガラス表面に堆積し突起が成長する(図3(b))。
【0065】
また、この基材表面に形成された核3の表面にシラノール(Si−OH基)が形成されると、クロロシリル基含有化合物5が結合する。また析出前のオリゴマー6も、凹凸表面のSi−Cl基やSi−OH基に結合され、基板側からも突起が成長する(図3(c))。
【0066】
図3(b),図3(c)で示した析出工程を経て、基板1の表面に、粒子状突起8とともに柱状突起7が形成される(図3(d))。
【0067】
上述した突起の成長は、基材表面の突出した箇所で生じやすいため、塗布直後に形成された核に集中し、その核が柱状突起に成長すると考えられる。
【0068】
また、基材表面から成長し一体的に形成された形状、あるいは粒子が重なり合って形成された形状の違いは、上述した析出したオリゴマーの堆積量と、溶解した珪素酸化物原料が直接基材表面に析出する量の比率、塗布直後に形成される核の密度等の影響によるものと考えられる。
【0069】
本発明における珪素酸化物を主成分とする皮膜の形成には、上述の通り、シリカオリゴマーの形成および珪素酸化物原料と基材との反応、溶媒に対するシリカオリゴマーの溶解度等が強く影響していると考えられる。
【0070】
本発明における珪素酸化物原料は、上述の通り、珪素酸化物含有オリゴマーを形成するものであって、基材との反応性が高く、溶媒に溶解する材料であれば特に限定されないが、そのなかでもクロロシリル基含有化合物は、そのクロロ基が、水や基材表面の親水基(−OH基)と非常に強い反応を示すため好ましく用いられる。
【0071】
本発明における溶媒は、上述の珪素酸化物原料(溶質)の反応性を抑制せず、かつ形成されるシリカオリゴマーが溶解し難いものが好ましい。例えば、水系溶媒では、クロロシリル基含有化合物が水と反応し、反応性の低いOH基が形成されるため好ましくない。反応性の高いクロロ基をそのまま保持できる溶媒としては、非水系溶媒が挙げられ、その中でもシリコーン油を主成分とする溶媒が好ましく用いられる。
【0072】
例えば、シリコーン油を主成分とする溶媒ではない非水系溶媒として、イソパラフィン系炭化水素に、クロロシリル基含有化合物を溶解し、基材表面に塗布してみた。すると、得られた皮膜は多少の凹凸が形成されるものの、本発明のような柱状突起までは形成されなかった。このため、この皮膜は超親水性を示さなかった。これは、非水系溶媒のなかでも吸水性の違いが影響していると考えられる。
【0073】
つぎに、珪素酸化物原料の反応性の影響を検討してみた。クロロシリル基含有化合物をシリコーン油を主成分とする溶媒に溶解した塗布溶液を基材表面に塗布する工程を、例えば温度=20℃、相対湿度(RH)=10%の低湿環境で実施した。
【0074】
その結果、微小突起は形成されたものの、柱状突起は形成されなかった。これは、クロロシリル基含有化合物は空気中の水分で反応が進むため、その水分量が少ない低湿環境では反応が進み難く、結果として柱状突起まで成長しなかったと考えられる。
【0075】
逆に、例えば温度=30℃、相対湿度(RH)=70%の高湿環境でこの塗布溶液を基材表面に塗布すると、反応が早く進みすぎ、皮膜が白化してしまうような大きな突起が形成された。
【0076】
また、予めシリコーン油を主成分とする溶媒に水を吸収させた後、クロロシリル基含有化合物を溶解させた溶液を基材表面に塗布した。その結果、得られた皮膜は微小突起は形成されたものの、柱状突起は形成されていなかった。
【0077】
このときの溶媒の含水率を測定したところ0.035質量%であり、本発明におけるシリコーン油を主成分とする溶媒中の含水率は、0.03質量%以下であることが好ましいことが分かった。これは、溶媒中の水分でクロロシリル基含有化合物が加水分解、縮重合反応し、溶液中でオリゴマー化が進んだことが影響していると考えられる。
【0078】
つまり、シリコーン油を主成分とする溶媒の含水率が少ない状態でクロロシリル基含有化合物を溶解させ、この溶液を基材表面に塗布すると、塗布中および基材表面に溶液が濡れている間に、この溶液が空気中の水分を適度に吸収することで、オリゴマー化が適度に進み、粒子状微小突起と柱状突起がともに形成される、と考えられる。
【0079】
基材表面に粒子状微小突起と柱状突起を形成させるためには、通常、溶液を基材表面に塗布した後、少なくとも基材表面が溶液で1秒間濡れている必要があり、10秒以上、とりわけ1分間以上濡れていることが、さらに好ましい。
【0080】
濡れている時間が短いと、クロロシリル基含有化合物が基板表面に十分に吸着されないため、超撥水性や超親水性の礎となる微小な凹凸構造を有する皮膜は得られない。
【0081】
また、基材表面に自然吸着積層させるクロロシリル基含有化合物を補給する目的で、一度溶液を基材表面に塗布し濡らした上に、同じ溶液を重ねて塗布することがさらに好ましい。溶液を2回以上に分けて供給する場合は、基板が溶液で濡れている時間が合計で所定時間以上、例えば1秒以上、となるように、最初の溶液が完全に乾燥する前に次の溶液を供給するとよい。
【0082】
このクロロシリル基含有化合物の濃度は、塗布方法によっても異なるが、0.01〜10質量%が好ましく、0.1%〜3質量%がさらに好ましい。
【0083】
クロロシリル基含有化合物の濃度が高くなりすぎると、皮膜が厚くなり、白い粉状となるため、好ましくない。一方、クロロシリル基含有化合物の濃度が低くなりすぎると、十分な厚みの皮膜とすることができない。このため、超撥水性や超親水性の礎となる微小な凹凸構造を形成することができないので、好ましくない。
【0084】
本発明における塗布方法としては、塗布溶液が基材表面に一様に濡れることが必要であり、さらに塗布した後は、基材表面に機械的な接触がなく、塗布溶液が基材表面に濡れたままの状態で保持されることが好ましい。
【0085】
具体的方法としては、例えばフローコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、バーコーティング法、浸漬吸着法などが挙げられる。効率よく塗布するためには、このうちフローコーティング法やスプレーコーティング法が好ましい。
【0086】
本発明に用いられるクロロシリル基含有化合物とは、クロロシリル基(-SiCln3-n、ここでnは1,2,または3であり、Xは水素、またはそれぞれ炭素数が1〜10のアルキル基、アルコキシ基、またはアシロキシ基である)を分子内に少なくとも1個有する化合物である。
【0087】
そのなかでも、少なくとも2個の塩素を有する化合物が好ましく、シランSin2n+2( ここでnは1〜5の整数)の中の少なくとも2個の水素を塩素で置換し、他の水素を必要に応じて上記アルキル基、アルコキシ基、またはアシロキシ基で置換したクロロシラン、およびその部分加水分解物およびその縮重合物が好ましい。
【0088】
例えば、テトラクロロシラン SiCl4、トリクロロシラン SiHCl3、トリクロロモノメチルシラン SiCH3Cl3、ジクロロシラン SiH2Cl2、 および Cl-(SiCl2O)n-SiCl3(nは1〜10の整数)等を挙げることができる。これらのなかから、単独でまたは複数を組み合わせて使用することができるが、最も好ましいクロロシリル基含有化合物はテトラクロロシランである。
【0089】
本発明におけるシリコーン油を主成分とする溶媒とは、鎖状または/および環状のジメチルシリコーンオイルからなることが好ましい。例えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等を挙げることができる。またこれらの中から、単独でまたは複数を組み合わせて使用することができる。
【0090】
また本発明における塗布工程の環境は、温度が10〜40℃で、相対湿度(RH)が15〜60%であることが好ましく、温度が15〜25℃で、相対湿度(RH)が20〜40%がさらに好ましい。温度と湿度が低すぎると、上述の通り柱状突起が形成されない。このように、少なくとも温度および湿度は、皮膜の凹凸の状態に大きく影響するので、制御の対象とするべきである。
【0091】
一方、湿度が高すぎると、突起のサイズが大きくなるため、形成された珪素酸化物を主成分とする皮膜の透明性が損なわれてしまう。また温度が高すぎると、基材表面に塗布した溶液が早く乾燥するため、基材表面を溶液で濡らした状態を継続させることが困難になる。
【0092】
本発明に用いられる基材としては、特に限定されないが、該基材の表面に親水性基を有するものが好ましく用いられる。具体的には、ガラス、セラミックス、プラスチックあるいは金属等を挙げることができる。
【0093】
もし、これらの基材の表面に親水性基が少ない場合には、その表面を予め酸素を含むプラズマまたはコロナ雰囲気で処理して親水性化してもよい。あるいは、基材表面を酸素を含む雰囲気中で、200〜300nm付近の波長の紫外線を照射して、親水性化処理を行った後に、本発明による溶液を塗布してもよい。
【0094】
また本発明における珪素酸化物を主成分とする皮膜は、その低屈折率と表面凹凸の効果で、低反射性も有するという特徴がある。
【0095】
【発明の実施の形態】
以下に用いる「シリカ」とは、完全なSiO2の状態で存在するものではなく、珪素酸化物の意味である。
【0096】
(実施例1)
テトラクロロシラン(SiCl4:信越シリコーン製)0.5gを、デカメチルシクロペンタシロキサン(KF−995:信越シリコーン製)99.5gに撹拌しながら添加し、凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を得た。ガラス基板としては、フロート法によるソーダライムガラス板を用いた。
【0097】
この凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を、洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、1分間この溶液でガラス基板表面を濡らしたまま静置させた。さらに、その上にもう一度同じ溶液をフローコート法にて塗布し、1分間この溶液でガラス基板表面を濡らしたまま静置させた。その後、エタノールでガラス基板表面の被覆用溶液を、完全に洗い流して自然乾燥させ、凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板を得た。
【0098】
こうして得られた凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板の表面形状を、走査型電子顕微鏡(SEM,「S−4700型」、日立製作所製)を用いて、加速電圧:5kV、エミッション電流:10μA、傾斜角度:10度、観察倍率:10万倍の条件にて観察した(図1参照)。図1の結果より明らかなように、シリカ膜表面に微小突起と柱状突起が形成されていることが確認できた。
【0099】
図1より、柱状突起は、微粒子が皮膜の膜厚方向に局所的に成長、具体的には微粒子による微小突起の平均的な高さの2倍以上、さらには3倍以上にまで成長した形状を有する。柱状突起は、基板からの高さHが、その平均直径Dcの3倍以上あるものも見受けられる。H,Dcおよび微小突起の直径Dpは、上記の好ましい範囲内に入っていた。Dp,Dcの平均値は、ともに20nm〜100nmの範囲内にあった。
【0100】
また、凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板の表面粗さは、原子間力顕微鏡(AFM,「SPI3700」、セイコー電子(株)製)を用いて、サイクリックコンタクトモードで、算術平均粗さRaを測定した。このRaの値が大きいほど、皮膜表面の凹凸が大きいことを表している。
【0101】
さらに、凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板の親水性能を水の接触角で評価した。接触角計(「CA−DT」、協和界面科学(株)製)を用い、1mgの質量の水滴をガラス板表面に滴下して、静的接触角を測定した。なおこの接触角の値が小さいほど、親水性が優れていることを表している。
【0102】
また、凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板の透明性をヘイズ率で評価した。ヘイズ率は、直読ヘイズコンピュータ(「HGM−2DM」、スガ試験機(株)製)を用いて測定した。なおこのヘイズ率が小さいほど、皮膜の透明性が高いことを表している。
【0103】
上述のように、本発明による珪素酸化物を主成分とする皮膜の形成方法では、自然乾燥のみでよく、特に焼成工程を必要としない。
【0104】
(実施例2)
実施例1と同様に調整した凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を、洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、1分間この溶液でガラス基板表面を濡らしたまま静置させた。その後、エタノールでガラス基板表面の被覆用溶液を、完全に洗い流して自然乾燥させ、凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板を得た。
【0105】
(実施例3)
実施例1と同様に調整した凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を、洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、10秒間この溶液でガラス基板表面を濡らしたまま静置させた。その後、エタノールでガラス基板表面の被覆用溶液を、完全に洗い流して自然乾燥させ、凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板を得た。
【0106】
(実施例4)
実施例1と同様に調整した凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を、洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、0.5秒間この溶液でガラス基板表面を濡らしたまま静置させ、その上にもう一度同じ溶液をフローコート法にて塗布し、0.5秒間この溶液でガラス基板表面を濡らしたまま静置させた。その後、エタノールでガラス基板表面の被覆用溶液を、完全に洗い流して自然乾燥させ、凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板を得た。
【0107】
(実施例5)
テトラクロロシラン(SiCl4:信越シリコーン製)0.2gを、デカメチルシクロペンタシロキサン(KF−995:信越シリコーン製)99.8gに撹拌しながら添加し、凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を得た。
【0108】
この凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、1分間この溶液でガラス基板表面を濡らしたまま静置させた。さらに、その上にもう一度同じ溶液をフローコート法にて塗布し、1分間この溶液でガラス基板表面を濡らしたまま静置させた。その後、エタノールでガラス基板表面の被覆用溶液を、完全に洗い流して自然乾燥させ、凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板を得た。
【0109】
(実施例6)
テトラクロロシラン(SiCl4:信越シリコーン製)1.0gを、デカメチルシクロペンタシロキサン(KF−995:信越シリコーン製)99.0gに撹拌しながら添加し、凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を得た。
【0110】
この凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、1分間この溶液でガラス基板表面を濡らしたまま静置させた。その後、エタノールでガラス基板表面の被覆用溶液を、完全に洗い流して自然乾燥させ、凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板を得た。
【0111】
(実施例7)
実施例1のデカメチルシクロペンタシロキサンを、オクタメチルトリシロキサン(KF−96L−1CS:信越シリコーン製)に変更した以外は、実施例1と同様にして凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板を得た。
【0112】
(実施例8)
実施例1と同様に調整した凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を、洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度30%、室温下でスプレーコート法にて塗布し、1分間この溶液でガラス基板表面を濡らしたまま静置させた。その後、エタノールでガラス基板表面の被覆用溶液を、完全に洗い流して自然乾燥させ、凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板を得た。
【0113】
(実施例9)
テトラクロロシラン(SiCl4:信越シリコーン製)2.0gを、デカメチルシクロペンタシロキサン(KF−995:信越シリコーン製)98.0gに撹拌しながら添加し、凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を得た。
【0114】
この凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を、洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、5分間この溶液でガラス基板表面を濡らしたまま静置させ、その上にもう一度同じ溶液をフローコート法にて塗布し、5分間この溶液でガラス基板表面を濡らしたまま静置させた。その後、エタノールでガラス基板表面の被覆用溶液を、完全に洗い流して自然乾燥させ、凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板を得た。
【0115】
こうして得られた凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板の表面形状を、実施例1と同様の条件で走査型電子顕微鏡にて観察した(図2参照)。図2の結果より明らかなように、実施例9において柱状突起は、粒子が重なり合って形成されている様子が分かる。柱状突起には、微粒子が局所的に3段以上に重なり合い、周囲の微粒子から微粒子が2段以上の突起として突出したものも含まれる。
【0116】
ここでも、柱状突起には、基板からの高さHが、その平均直径Dcの3倍以上あるものも見受けられる。H,Dcおよび微小突起の直径Dpは、上記の好ましい範囲内に入っていた。Dp,Dcの平均値は、ともに20nm〜100nmの範囲内にあった。
【0117】
(実施例10)
実施例1と同様に調整した凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を、洗浄したガラス基板の表面上に塗布する時の環境を相対湿度20%に変えた以外は、実施例1と同様にして凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板を得た。
【0118】
(実施例11)
実施例1と同様に調整した凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を、洗浄したガラス基板の表面上に塗布する時の環境を相対湿度50%に変えた以外は、実施例1と同様にして凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板を得た。
【0119】
【表1】
Figure 0004256662
【0120】
実施例1〜11で得られた凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板は、走査型電子顕微鏡を用いてその表面形状を観察したところ、全ての皮膜で微微小突起と柱状突起が形成されていることが確認でき、その表面粗さ(Ra)はいずれも13nm以上であった。この結果、皮膜の表面粗さの大きいことが確かめられた。
【0121】
さらに、実施例1〜11で得られた凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板において、水の濡れ性を観察した。その結果、全ての皮膜で水滴がよく濡れて広がっていることを確認した。また、凹凸を有するシリカ膜の親水性を水の接触角で評価した。接触角としては、正確に測定ができないほどで、約5度以下であった。
【0122】
また、実施例1〜11で得られた凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板の透明性を直読ヘイズコンピュータで測定したところ、全ての皮膜のヘイズ率が1.0%以下であり、透明性が高いことが確認された。さらに、皮膜面のムラやガラスエッジ部に液溜まり等の外観上の欠点もなく、非常にきれいな皮膜であることが確認された。また、透過色調、反射色調ともにニュートラルであり、外観上の問題もなかった。
【0123】
また本発明における珪素酸化物を主成分とする皮膜被覆ガラス板は、珪素酸化物を主成分とする皮膜を形成していないガラス基板に比して、膜面反射率で約1.6%反射率が低減していた。これは、屈折率1.52であるソーダライムガラス基板に比して低屈折率である珪素酸化物を主成分とする皮膜と、皮膜表面凹凸の効果によるものと考えられる。
【0124】
(応用例:撥水処理)
本発明の応用例として、本発明による凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板にさらに撥水処理を施した。
【0125】
この応用例において適用されうる撥水液としては、基材表面に結合する撥水材料を含むものであれば特に限定されない。なお一般的に、撥水材料を溶媒に溶解した溶液として使用する形態が好ましい。また、先に基材表面に形成させるクロロシリル基含有化合物と相性のよい加水分解可能なシリル基を有する化合物が好ましく、その中でも撥水性能の高いフルオロアルキル基を含有したシラン化合物がさらに好ましい。
【0126】
前記フルオロアルキル基含有シラン化合物は、フルオロアルキル基を含有し、かつアルコキシ基、アシロキシ基、または塩素基を含有するシラン化合物であり、例えば、CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)5(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)7(CH2)2SiCl3、CF3(CF2)5(CH2)2SiCl3、等が挙げられる。
【0127】
これらの中から、単独でまたは複数を組み合わせて使用することができるが、特に反応性と撥水性の高い、CF3(CF2)7(CH2)2SiCl3が最も好ましい。
【0128】
撥水材料を溶解する溶媒は、撥水材料が溶解すれば特に限定はないが、先に基材表面に形成させるクロロシリル基含有化合物が、シリコーン系を含む溶媒に溶解して塗布されている。このため、その後に塗布する撥水剤も、同系統である非水系溶媒が好ましい。
【0129】
この非水系溶媒としては、パラフィン系炭化水素やフロン系、シリコーン油を主成分とする溶媒等が挙げられるが、これらの中でも先に基材表面に形成させるクロロシリル基含有化合物を溶解させる溶媒と同じシリコーン油を主成分とする溶媒が好ましい。
【0130】
前記撥水液を塗布する方法は、先に形成した凹凸を有するシリカ膜の表面形状を壊さない方法が必要であり、具体的には、先に形成させるクロロシリル基含有化合物と同じ吸着させる方法が好ましい。
【0131】
撥水液を吸着させるためには、撥水液を塗布した後、少なくとも0.1秒間撥水液が基材表面を濡らしている必要がある。
【0132】
撥水液は、先に凹凸を有するシリカ膜を形成させたクロロシリル基含有化合物と異なり、撥水材料が一層だけ結合すればよいので、撥水液を濡らす時間は、クロロシリル基含有化合物が基材表面に自然吸着積層させる時間より、短くてよい。
【0133】
しかし0.1秒未満であると、撥水材料が十分に吸着されないため、十分な撥水性が発現できなくなる。
【0134】
このような吸着を可能にする方法としては、フローコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、バーコーティング法、浸漬吸着法などが挙げられる。効率よく塗布するためには、このうちフローコーティング法やスプレーコーティング法が好ましい。
【0135】
(応用例1〜11)
まず、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン(CF3(CF2)7(CH2)2SiCl3)2gを、デカメチルシクロペンタシロキサン98gに撹拌しながら添加し、撥水処理剤を得た。
【0136】
この撥水処理剤を、上述した実施例1〜11の凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板の表面上に、相対湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、1分間撥水処理剤でガラス基板表面を濡らしたまま静置させ、その後、エタノールで表面の撥水処理剤を完全に洗い流し、自然乾燥させ、それぞれ応用例1〜11である撥水処理ガラス板を得た。
【0137】
得られた撥水処理ガラス板について、まずその撥水性能を水の接触角で評価した。接触角計(「CA−DT」、協和界面科学(株)製)を用い、2mgの質量の水滴をガラス板表面に滴下して、静的接触角を測定した。なおこの接触角の値が大きいほど、静的な撥水性が優れていることを表している。
【0138】
次に、得られた撥水処理ガラス板について、その膜の透明性をヘイズ率で評価した。ヘイズ率は、直読ヘイズコンピュータ(「HGM−2DM」、スガ試験機(株)製)を用いて測定した。なおこのヘイズ率が小さいほど、皮膜の透明性が高いことを表している。
【0139】
さらに、得られた撥水処理ガラス板について、その膜の耐摩耗性を評価した。耐摩耗性試験は、往復摩耗試験機(新東科学(株)製)に乾布を取り付けて、荷重125g/cm2の条件で、撥水処理ガラスを100回往復摺動させ、その後に、撥水処理ガラスの水の接触角を、試験前の測定と同じ条件で測定した。
【0140】
【表2】
Figure 0004256662
【0141】
応用例1〜11で得られた撥水処理ガラス板は、150度以上の初期接触角を示し、超撥水性を有することが確認できた。
【0142】
なお耐摩耗性試験後の接触角は、それぞれ100度以上であり、超撥水性は示さないものの、十分通常の撥水性は示し、優れた耐擦傷性を有することが確かめられた。
【0143】
さらにヘイズ率は、実施例1〜11で得られた凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板と殆ど変化なく、全ての皮膜のヘイズ率が1.0%以下であり、透明性が高いことが確認された。
【0144】
(比較例1)
実施例1と同様に調整した凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を、洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、0.5秒間この溶液でガラス基板表面を濡らしたまま静置させた。その後、エタノールでガラス基板表面の凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を完全に洗い流し、自然乾燥させ、凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板を得た。この凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板の表面上に、応用例1〜11と同様に撥水処理を行い、撥水処理ガラス板を得た。
【0145】
得られた撥水処理ガラス板を応用例1〜11と同様に評価した結果、初期接触角が120度であり、応用例に比して撥水性能に劣ることが確認された。
【0146】
(比較例2)
テトラクロロシラン(SiCl4:信越シリコーン製)4.0gを、デカメチルシクロペンタシロキサン(KF−995:信越シリコーン製)96.0gに撹拌しながら添加し、凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を得た。
【0147】
この凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を、洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、5分間この溶液でガラス基板表面を濡らしたまま静置させた。その後、エタノールでガラス基板表面の被覆用溶液を、完全に洗い流して自然乾燥させ、凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板を得た。この凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板の表面上に、応用例1〜11と同様に撥水処理を行い、撥水処理ガラス板を得た。
【0148】
得られた撥水処理ガラス板を応用例1〜11と同様に評価した結果、初期接触角が123度であり、応用例に比して撥水性能に劣ることが確認された。また、皮膜は部分的に白い粉状のものが観察され、ヘイズ率も3.8%であり、透明性も劣っていた。
【0149】
(比較例3)
実施例1において、デカメチルシクロペンタシロキサンを、イソパラフィン系炭化水素(アイソゾール300:日本石油化学(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様にして凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板を得た。この凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板の表面上に、応用例1〜11と同様に撥水処理を行い、撥水処理ガラス板を得た。
【0150】
得られた撥水処理ガラス板を応用例1〜11と同様に評価した結果、初期接触角が91度であり、応用例に比して撥水性能に劣ることが確認された。
【0151】
(比較例4)
実施例1と同様に調整した凹凸を形成させるシリカ膜の被覆用溶液を、洗浄したガラス基板の表面上に塗布する時の環境を相対湿度10%に変えた以外は、実施例1と同様にして凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板を得た。この凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板の表面上に、応用例1〜11と同様に撥水処理を行い、撥水処理ガラス板を得た。
【0152】
得られた撥水処理ガラス板を応用例1〜11と同様に評価した結果、初期接触角が114度であり、応用例に比して撥水性能に劣ることが確認された。
【0153】
(応用例:防汚処理)
(応用例12)
撥水処理の応用例で用いたヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランの代わりに、[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン(チッソ(株)製、含有率90%、分子量460〜590、エチレンオキシド単位数6〜9)を用いた以外は応用例1と同様にして、防汚機能付き親水性膜を得た。
【0154】
得られた防汚機能付き親水性膜において、水の濡れ性を観察した。その結果、水滴がよく濡れて広がっていることを確認した。また、親水性を水の接触角で評価した。接触角としては、正確に測定ができないほどで、約5度以下であった。これは、防汚膜自体の接触角も低く、先に形成させた凹凸を有するシリカ膜の凹凸の効果と相まって、優れた親水性を示すもとのと推定できた。
【0155】
次に、この防汚機能付き親水性膜の防汚性能を評価した。この防汚機能付き親水性膜に市販のオリーブ油を数滴垂らし、室温で30分間放置した後、エタノールで洗い流したところ、オリーブ油が完全に除去され、防汚機能のあることが確認された。
【0156】
(比較例5)
実施例1の凹凸を有するシリカ膜被覆ガラス板に応用例12と同様に防汚性能を評価した。その結果、オリーブ油が一部残っており、応用例12に比して防汚性能に劣ることが確認できた。
【0157】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明による珪素酸化物を主成分とする皮膜は、その表面に微小な粒子状突起を形成させ、さらにその一部を柱状に成長させた微小凹凸を有することを特徴としている。このため、優れた親水性や撥水性の礎となる皮膜である。
【0158】
またこの珪素酸化物を主成分とする皮膜では、微小凹凸を形成する微小突起と柱状突起の直径を200nm以下、平均50nm程度としている。このため、親水性や撥水性の礎となる十分な凹凸を有しながら、しかも皮膜の透明性が高いという効果を奏する。
【0159】
さらにこの珪素酸化物を主成分とする皮膜では、皮膜の表面に微小な粒子状突起を形成させ、さらにその一部を柱状に成長させている。このため、撥水処理された本発明による珪素酸化物を主成分とする皮膜は、例え表面が摩耗されることにより超撥水状態ではなくなったとしても、通常の撥水性は十分に有しているので、耐摩耗性に優れるという効果を奏する。
【0160】
またこの珪素酸化物を主成分とする皮膜では、自然に微小な粒子状突起が形成され、さらにその一部が柱状に成長するため、その外観品質がよいという効果を奏する。
【0161】
また本発明による方法は、クロロシリル基含有化合物をシリコーン油を主成分とする溶媒に溶解した溶液を基材表面に塗布するだけであるので、本質的に焼成工程を必要とせず、優れた生産性で珪素酸化物を主成分とする皮膜被覆物品を製造することができる。
【0162】
さらに本発明における皮膜は、屈折率と表面凹凸の効果により、低反射性も示すという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた珪素酸化物を主成分とする皮膜のSEMによる観察写真である。
【図2】実施例9で得られた珪素酸化物を主成分とする皮膜のSEMによる観察写真である。
【図3】微小凹凸形成のメカニズムを説明する模式図である。
【符号の説明】
1:(ガラス)基体
2:塗布された溶液
3:核
4:オリゴマー
5:クロロシリル基含有化合物
6:(析出前の)オリゴマー
7:柱状突起
8:粒子状突起

Claims (12)

  1. 表面に微小凹凸を有した珪素酸化物を主成分とする皮膜が被覆された物品であって、
    前記微小凹凸は、直径DpがDp=5〜200nmである微小突起および直径をDc、高さをHとして、2Dc≦Hの関係式が成立する柱状突起(Dcは10〜200nmであり、少なくともHが50nm)により構成されていることを特徴とする皮膜被覆物品。
  2. 前記柱状突起は、前記微小突起が前記皮膜の厚さ方向に局所的に成長して形成されている、および/または、前記微小突起を構成する微粒子が局所的に複数個積層して形成されている請求項1に記載の皮膜被覆物品。
  3. 前記皮膜の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で少なくとも10nmであり、かつ皮膜のヘイズ率は1%以下である請求項1または2記載の皮膜被覆物品。
  4. 前記皮膜の表面に1mgの水滴を滴下して測定した水の接触角が5度以下である請求項1〜3のいずれかに記載の皮膜被覆物品。
  5. 前記基材は、ガラス板、樹脂板または樹脂フィルムのいずれかである請求項1〜4のいずれかに記載の皮膜被覆物品。
  6. 基材表面に珪素酸化物を主成分とする皮膜を形成する皮膜被覆物品の製造方法であって、
    前記基材表面に珪素含有原料を含む溶液を塗布する工程と、
    少なくとも1秒間、前記表面を前記溶液で濡らした状態を維持することにより、前記珪素含有原料から供給される珪素を含む直径DpがDp=5〜200nmである微小突起を前記表面に形成するとともに、前記微小突起が前記表面に形成される皮膜の厚さ方向に局所的に成長する、および/または、前記微小突起を構成する微粒子が局所的に複数個積層することにより、直径をDc、高さをHとして、2Dc≦Hの関係式が成立する柱状突起(Dcは10〜200nmであり、少なくともHが50nm)を形成する工程を含み、
    前記溶液は、含水率が0.03質量%以下であるシリコーン油を主成分とする溶媒に、クロロシリル基含有化合物を溶解してなり、前記溶液における前記クロロシリル基含有化合物の濃度が0.01〜3質量%であり、
    温度が10〜40℃、相対湿度(RH)が15〜60%の環境条件において、前記溶液を塗布する工程と、前記柱状突起を形成する工程を行う、
    ことを特徴とする皮膜被覆物品の製造方法。
  7. 前記局所的に成長してなる柱状突起は、前記溶液中に溶解している珪素含有原料が前記基材表面に直接析出することにより形成する請求項6に記載の皮膜被覆物品の製造方法。
  8. 前記積層してなる柱状突起は、前記溶液中に溶解している珪素含有原料が前記溶液中に微粒子として析出し、前記微粒子が基材表面に堆積することにより形成する請求項6に記載の皮膜被覆物品の製造方法。
  9. 前記クロロシリル基含有化合物は、テトラクロロシランである請求項に記載の皮膜被覆物品の製造方法。
  10. 前記シリコーン油を主成分とする溶媒は、ジメチルシリコーンオイルである請求項に記載の皮膜被覆物品の製造方法。
  11. 前記基材を、ガラス板、樹脂板または樹脂フィルムのいずれかとする請求項6〜10のいずれかに記載の皮膜被覆物品の製造方法。
  12. 前記基材は、車両に装着された車両用透明板である請求項6〜11のいずれかに記載の皮膜被覆物品の製造方法。
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