JP2019019254A - 防曇塗料組成物及び防曇塗膜ならびに防曇物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水垂れ跡などの外観変化を引き起こすことなく、プラスチック基材を含む多様な基材表面上に安定した防曇塗膜を形成し、かつ長期にわたり防曇効果を発揮する防曇塗料組成物を提供すること。【解決手段】 長尺状コロイダルシリカと、シラン誘導体とを含む、防曇塗料組成物を提供する。【選択図】 なし

Description

本発明は、防曇塗料組成物及びこれを用いて作成した防曇塗膜ならびに防曇物品に関する。
自動車の前照灯などの照明装置は、光源と光源の前方に配置されたガラスやプラスチックなどで形成された透明部材とから主に構成されている。そして光源が発する光が透明部材を介して照明装置の外部および周辺部に照射される。このような照明装置では、透明部材の内側(光源側)に曇りが発生することがあり、照射光の強度が低下して安全性の問題を生じることがある。また曇りの生じた透明部材を介して照射された光は光量が少なく、美観の点でも問題となりうる。
特許文献1には、共重合体(A)と多官能性ブロックイソシアネート化合物(B)と界面活性剤(C)とからなる防曇剤組成物が開示されている。特許文献1の防曇剤組成物は、従来からよく知られた防曇の仕組みを利用したものであり、防曇剤組成物を適用した防曇塗膜中に存在する界面活性剤(C)が、基材上の防曇塗膜に付着した水の表面張力を低下させ、瞬時に平滑な水膜を形成して、光の乱反射を防ぐことにより曇りを防止するというものである。一方特許文献2には、水性媒体とネックレス状コロイダルシリカとシラン誘導体と界面活性剤とを含む防曇剤が開示されている。特許文献2では、水性媒体中に分散させたときのpHが8〜11(すなわちアルカリ性)のネックレス状コロイダルシリカを使用している。特許文献2の防曇剤は、塗膜を形成した基材の表面をコロイダルシリカが被覆することで防曇効果を発揮するものである。特許文献3には、メタノール及び/又はエタノールと、イソ(ノルマル)プロピルアルコールまたはグリコールエーテルと、オルガノシリカゾルと、テトラヒドロフランと、ホウ酸とを含有する有機基材用防曇防汚剤が開示されている。
特開2016−169287号公報 特開2005−126647号公報 特許第5804996号公報
特許文献1に開示されている界面活性剤を主成分として含む防曇剤組成物による防曇塗膜上に水膜が形成されると、その界面活性剤が水に溶け出して、局所的に界面活性剤と水とが一緒に流れてしまうことがあった。この様な箇所が乾燥すると、防曇物品上に水垂れ跡が残ることがあった。また、特許文献2のようにプラスチック基材との密着性を重視してシラン誘導体を用いている防曇剤による塗膜は、シラン誘導体の影響により長期の防曇性が損なわれる場合があった。特許文献3に用いられているオルガノシリカゾルを含む防曇剤は、形成した塗膜の親水性が低く、防曇性が発現しにくい場合があった。
本発明は、水垂れ跡などの外観変化を引き起こすことなく、プラスチック基材を含む多様な基材表面上に安定した防曇塗膜を形成し、かつ長期にわたり防曇効果を発揮する防曇塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明の実施形態における防曇塗料組成物は、長尺状コロイダルシリカと、シラン誘導体とを含むことを特徴とする。
本発明の他の実施形態は、長尺状コロイダルシリカと、シラン誘導体との反応物を含む、防曇塗膜である。
本発明のさらに他の実施形態は、基材と、防曇塗膜とを含む、防曇物品である。
本発明の防曇塗料組成物を用いて形成した防曇塗膜は、瞬時に平滑な水膜を形成して光の乱反射を防ぎ防曇性能に優れる。本発明の防曇塗膜は、乾燥後の水垂れ跡などの外観変化を生じにくい。本発明の防曇塗料組成物を利用した防曇物品(たとえば照明装置)は、外観変化を生じにくく、安定した光量を長期にわたり維持することができる。
本発明の実施形態を以下に説明する。本発明の一の実施形態は、長尺状コロイダルシリカと、シラン誘導体とを含む防曇塗料組成物である。
本実施形態において、防曇塗料組成物とは、ガラスやプラスチックなどの基材上に塗膜を形成して、水蒸気が原因の水滴による曇りを発生しにくくすることができる組成物のことである。基材で隔てられた両空間に温度差がある場合、高温側の湿気が基材表面上に結露して、水滴を形成する。この水滴が光の乱反射を起こして曇りが発生する。基材上における水滴の形成を防止する仕組みとして、基材表面に付着した水分を瞬時に水膜にするメカニズムと、基材表面に付着した水分を瞬時に吸収するメカニズムがあることが知られている。本実施形態の防曇塗料組成物は、基材表面に付着した水分を瞬時に水膜にして、水滴の形成を防止することにより基材の曇りを防ぐ防曇塗膜を形成する。
本実施形態の防曇塗料組成物は、長尺状コロイダルシリカを含む。コロイダルシリカとは、二酸化ケイ素(シリカ、SiO)またはその水和物のコロイド溶液である。シリカを分散させる分散媒の性質により水系のコロイダルシリカと、有機溶媒系のオルガノシリカゾルとがあるが、実施形態で特に好適に用いられるシリカはコロイダルシリカである。コロイダルシリカを形成する球状のシリカの一次粒子径は通常10〜300nm程度であり、これが凝集等してさらに大きな二次粒子を形成している場合がある。本実施形態で好適に用いられるコロイダルシリカは、長尺状コロイダルシリカである。長尺状コロイダルシリカとは、シリカの一次粒子同士が共有結合して、長い紐状を形成した長尺状シリカを水に分散させた、長尺状シリカのコロイド溶液のことである。このような長尺状コロイダルシリカとして鎖状コロイダルシリカやパールネックレス状コロイダルシリカが知られている。長尺状コロイダルシリカは、基材の表面上に広がって吸着し、被膜を形成することができるため、防曇塗膜組成物の成分として好ましく使用することができる。なお、水を分散媒としたコロイダルシリカには、酸性、中性およびアルカリ性のものが存在する。本実施形態で好適に用いられるコロイダルシリカとして、水に分散してpH1〜3の強酸性を示す酸性長尺状コロイダルシリカ、pH4〜9の弱酸性〜中性〜弱アルカリ性を示す長尺状コロイダルシリカ、pH10〜14を示すアルカリ性長尺状コロイダルシリカが挙げられ、これらを混合して用いることもできる。なお、複数のコロイダルシリカを混合して用いる場合は、混合したコロイダルシリカのpHが中性〜弱アルカリ性(pH7〜10程度)となるように混合することが好ましい。
実施形態の防曇塗料組成物は、さらにシラン誘導体を含む。シラン誘導体とは、一般式:
Figure 2019019254
(式中、R、RおよびRは、互いに同一または異なって炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは、ポリエチレングリコール鎖を含む置換基である。)で表される化合物である。
式(1)のシラン誘導体は、先に説明した長尺状シリカと反応することができるアルコキシ基(すなわち−OR、−ORおよび−ORの基)と、水との親和性が高いポリエチレングリコール鎖を含む親水基(X)を有している。実施形態においてシラン誘導体が親水基Xを有していることで、防曇塗料組成物が形成する防曇塗膜に親水性を付与することが可能となる。Xとして、たとえば、n個のエチレングリコールが結合したPEG−nとメチル基とがエーテル結合したメトキシPEG−n基(ここで、nは5〜20の範囲の数である。)、同様にエトキシPEG−n基、プロポキシPEG−n基およびそれらの誘導体を挙げることができる。実施形態に用いるシラン誘導体として、メトキシPEG−10プロピルトリメトキシシラン、エトキシPEG−10プロピルトリメトキシシラン等のポリエチレングリコール変性アルコキシシランが挙げられる。シラン誘導体は長尺状シリカと反応して結合し、シリカ塗膜の強度を高めることができる。
シラン誘導体は、長尺状コロイダルシリカの固形分100重量部に対して、固形分で0.1重量部以上含まれていることが好ましい。長尺状コロイダルシリカは、先に説明したとおり水を分散媒としているため、水に分散している実質的な固形分の重量に対してシラン誘導体の配合量を決定する。シラン誘導体の配合量が長尺状コロイダルシリカの固形分100重量部に対して、固形分で0.1重量部未満であると、防曇塗料組成物を基材に塗布したときの濡れ性が悪くなる場合があり、さらに形成した塗膜の強度が低下して塗膜の耐久性が劣ることがある。シラン誘導体はシリカと反応して、良好なシリカの被膜を形成するために用いられるため、シリカの一部と反応するだけのシラン誘導体を配合すればよい。
実施形態の防曇塗料組成物はさらに界面活性剤を含んでいてよい。実施形態の防曇塗料組成物において、界面活性剤は基材表面上へのコロイダルシリカの広がりを補助し、塗工作業を容易にするために用いられる。界面活性剤として、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用することができ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。アニオン性界面活性剤として、たとえば、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等の高級アルコール硫酸エステル類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルホスフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンサルフェート塩、パーフルオロアルキル基を含有するスルホン酸塩型、パーフルオロアルキル基を含有するカルボン酸塩型、パーフルオロアルケニル基を含有するスルホン酸塩型、パーフルオロアルケニル基を含有するカルボン酸塩型等のアニオン性フッ素系界面活性剤類が挙げられる。カチオン性界面活性剤として、たとえば、エタノールアミン類、ラウリルアミンアセテート、トリエタノールアミンモノ蟻酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩等のアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基を含有する4級アンモニウム塩型等のカチオン性フッ素系界面活性剤類が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤として、たとえば、ポリオキシエチレンラウリルアルコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ポリオキシエチレンノニルフェノール等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレングリコールモノステアレート等のポリオキシエチレンアシルエステル類、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル類、シュガーエステル類、セルロースエーテル、ポリエーテル変性シリコーンオイル等のシリコーン類、パーフルオロアルキル基を含有するエチレンオキシド付加物型、パーフルオロアルキル基を含有するアミンオキサイド型、パーフルオロアルキル基を含有するオリゴマー型、パーフルオロアルケニル基を含有するエチレンオキシド付加物型、パーフルオロアルケニル基を含有するアミンオキサイド型、パーフルオロアルケニル基を含有するオリゴマー型等のノニオン性フッ素系界面活性剤類が挙げられる。両性界面活性剤として、ウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩、ジメチルアルキルラウリルベタイン、ジメチルアルキルステアリルベタイン等の脂肪酸型両性界面活性剤、ジメチルアルキルスルホベタインのようなスルホン酸型両性界面活性剤、アルキルグリシン、パーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基を含有するベタイン型の両性フッ素系界面活性剤類等を挙げることができる。本実施形態の界面活性剤として、上記のいずれの界面活性剤も好ましく用いることができる。界面活性剤は、防曇塗料組成物100重量部に対して0.01〜0.10重量部程度含まれていることが好ましい。
さらに実施形態の防曇塗料組成物は、有機溶剤を含有していてよい。実施形態の防曇塗料組成物の主成分である水を分散媒としたコロイダルシリカとシラン誘導体の混合物のみでも基材表面上に塗布して防曇塗膜を形成することはできるが、さらに有機溶剤を含有していれば、水の乾燥が促進されるため、より早く防曇塗膜を形成することが可能となる。実施形態で用いることができる有機溶剤は、水と相溶性を有するか、水とある範囲で混和する有機溶剤である。このような有機溶剤としてたとえば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール等)、エーテル類(ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、ケトン類(アセトン、エチルメチルケトン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド等)や、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、ニトロメタン、トリエチルアミンを挙げることができる。有機溶剤は、防曇塗料組成物100重量部に対して10〜20重量部程度含まれていることが好ましい。
本実施形態の好適な防曇塗料組成物は、まず長尺状コロイダルシリカと、シラン誘導体を用意し、次いで必要に応じて界面活性剤および有機溶剤と混合して製造することができる。長尺状コロイダルシリカは、分散媒である水に特定の固形分割合で分散しているため、この固形分100重量部に対してシラン誘導体の重量が0.1重量部となるように計算して混合することができる。実施形態の防曇塗料組成物は、これらの成分のほか、塗料組成物に通常含まれている添加剤(たとえば染料、顔料、可塑剤、分散剤、防腐剤、つや消し剤、帯電防止剤、難燃剤)を適宜配合することができる。
長尺状コロイダルシリカ、シラン誘導体、および場合により界面活性剤、有機溶剤を適切に配合した実施形態の防曇塗料組成物は、基材表面に塗布することができる。基材として、ガラス、プラスチック、金属などを挙げることができるが、実施形態の防曇塗料組成物は、特に透明プラスチック上に好適に塗布することができる。防曇塗料組成物の基材表面への塗布は、ドクターブレード法、バーコート法、ディッピング法、エアスプレー法、ローラーブラシ法、ローラーコーター法等の従来のコーティング方法により適宜行うことができる。塗布した防曇塗料組成物を加熱して、防曇塗膜を形成することができる。防曇塗料組成物の加熱は、シリカとシラン誘導体が反応し、かつ、水(および含まれている場合は有機溶剤)が蒸発するのに充分な温度まで加熱すればよい。使用する有機溶剤の種類にもよるが、通常は80〜150℃、好ましくは100〜150℃程度に加熱することで、反応をスムーズに進行させ、かつ、水及び有機溶剤を蒸発させることができる。防曇塗料組成物塗布物の加熱は、バーナーやオーブンなどの加熱装置による加熱のほか、ドライヤーなどの温風による加熱方法により行うことができる。
実施形態の防曇塗料組成物を基材に塗布し、加熱することにより硬化し防曇塗膜を形成して、防曇物品を得ることができる。本実施形態の防曇塗料組成物を利用した防曇物品として、たとえば、照明装置、前照灯、窓、レンズ、レンズカバー、モニター、モニターカバー等が挙げられる。実施形態の防曇物品は、優れた防曇性能を有し、かつ防曇物品が予想外の高温条件下に曝された場合であっても、水垂れ跡の形成などの外観変化を引き起こさない。
(1)防曇塗料組成物の作製
酸性長尺状コロイダルシリカ(ST−OUP[固形分15%]、日産化学工業(株))、pH調整用長尺状コロイダルシリカ(ST−UP[固形分20%]、日産化学工業(株))、シラン誘導体(メトキシPEG−10プロピルトリメトキシシラン、エボニックジャパン(株))、界面活性剤(フタージェント100、フッ素系のアニオン系界面活性剤、(株)ネオス)、および有機溶剤プロピレングリコールモノメチルエーテル[以下PGM]、日本乳化剤(株))を混合して、防曇塗料組成物を作製した。各防曇塗料組成物の成分構成は、表1に示した。また、ポリエチレングリコール鎖を含まないシラン誘導体として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株))と、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株))とを用意し、比較例の塗料組成物として用いた。
Figure 2019019254
Figure 2019019254
なお、表中の略号の意味は、以下の通りである:
ST−OUP:日産化学工業(株)商品名、コロイダルシリカ
ST−UP:日産化学工業(株)商品名、コロイダルシリカ
IPA−ST−UP:日産化学工業(株)商品名、分散媒としてイソプロピルアルコールを用いた鎖状オルガノシリカゾル(固形分15%)
PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル
(2)防曇塗膜の作製
ポリカーボネート樹脂板基材上に、各防曇塗料組成物を塗布した。塗布は、バーコート法で行い、防曇塗料組成物が形成した後の防曇塗膜の厚さが1μmとなるように調整した。防曇塗料組成物が塗布された基材を100℃のオーブンに入れ60分間加熱して水と有機溶剤とを蒸発させ、防曇塗膜を形成した。こうして各防曇塗膜試験片を得た。
(3)防曇塗膜の塗工性評価
防曇塗膜試験片の表面を目視で観察した。均質な防曇塗膜が得られものについて「良好」、防曇塗膜の表面にハジキ等が見られるものについて「不良」と記載した。
(4)防曇塗膜の防曇性評価
40℃の温水浴の水面から高さ1cmの位置に防曇塗膜試験片を塗膜が下向きになるように配置して、塗膜に温水浴からの蒸気をあてた。2分間経過後に塗膜上に曇りが形成されているかを目視により観察した。塗膜の表面に曇りが生じていないものについて「曇りなし」、塗膜の表面に曇りが生じているものについて「曇りあり」と記載した。
(5)塗膜の熱安定性評価
各防曇塗膜試験片を乾燥した130℃のオーブンに入れて240時間放置し、その後さらに室温で12時間静置した。その後、上記と同様の方法で防曇性を評価した。塗膜の表面に曇りが生じていないものについて「曇りなし」、塗膜の表面に曇りが生じているものについて「曇りあり」と記載した。
(6)塗膜の密着性の評価
JIS K 5600−5−6(塗料一般試験方法、塗膜の機械的性質に関する試験法、付着性[クロスカット法])に準拠して、防曇塗膜試験片の塗膜の剥離の有無を目視により観察した。塗膜の剥離が認められなかったものを「剥離なし」、塗膜の剥離が認められたものを「剥離なし」と記載した。
実施例1と比較例2と比較例2にかかる防曇塗料組成物は、含有しているシラン誘導体の種類のみが異なる。親水性のポリエチレングリコール鎖を有するシラン誘導体であるメトキシPEG−10プロピルトリメトキシシランを用いた実施例1にかかる防曇塗料組成物は塗工性が良好であり、作製した塗膜の基材への密着性が良好で、塗膜形成直後のみならず加熱試験後にも防曇性を維持していた。
実施例1〜3と比較例3にかかる防曇塗料組成物は、シラン誘導体の配合量が異なる。実施例2の結果より、シラン誘導体は、長尺状コロイダルシリカの固形分100重量部に対して、固形分で約0.1重量部以上含まれていれば、良好な防曇塗膜を形成できることがわかる。シラン誘導体を含まない比較例3にかかる防曇塗料組成物による塗膜は、防曇性には問題がないものの、基材との密着性に難があった。
実施例1と比較例4にかかる防曇塗料組成物は界面活性剤の配合量が異なる。界面活性剤を配合していない比較例4にかかる防曇塗料組成物は塗工性が悪く、塗膜を形成することができなかった。
実施例1と実施例4と実施例5にかかる防曇塗料組成物は、コロイダルシリカの配合比率が異なる。いずれの防曇塗料組成物も、塗工性が良好で、形成した塗膜と基材の密着性が高く、防曇性にも優れる。
コロイダルシリカとしてオルガノシリカゾルを配合した比較例5にかかる防曇塗料組成物による塗膜は、防曇性を呈さなかった。

Claims (7)

  1. 長尺状コロイダルシリカと、シラン誘導体とを含む、防曇塗料組成物。
  2. 該シラン誘導体が、その分子内にポリエチレングリコール鎖を含むことを特徴とする、請求項1に記載の防曇塗料組成物。
  3. 該シラン誘導体が、該長尺状コロイダルシリカの固形分100重量部に対して、固形分で0.1重量部以上含まれていることを特徴とする、請求項1または2に記載の防曇塗料組成物。
  4. さらに界面活性剤を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の防曇塗料組成物。
  5. さらに有機溶剤を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の防曇塗料組成物。
  6. 長尺状コロイダルシリカと、シラン誘導体との反応物を含む、防曇塗膜。
  7. 基材と、請求項6に記載の防曇塗膜とを含む、防曇物品。
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