JP2022052717A - 二軸配向積層ポリエステルフィルム、離型フィルム、および二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】平滑性に優れつつ、超薄膜のセラミックシート製造用フィルムとして用いた際にセラミックシートとフィルム背面とのブロッキング性を抑制できる二軸配向積層ポリエステルフィルム、離型フィルム、および二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法を提供すること。【解決手段】2層以上の積層ポリエステルフィルムであって、少なくとも1方の表層(表層A)は実質的に粒子を含有せず、もう1方の表層(表層B)は体積平均粒子径が1.0μm以下の粒子を含有し、表層Aのフィルム表面が、原子間力顕微鏡(AFM)のフォースボリューム法により測定される突起高さが5nm以上50nm以下の突起個数が100個/50μm□(2500μm2)以上5000個/50μm□(2500μm2)以下でありかつ、突起高さが50nmを超え150nm以下の突起個数が1個/50μm□(2500μm2)以上100個/50μm□(2500μm2)以下である二軸配向積層ポリエステルフィルム。【選択図】なし
Description
本発明は、二軸配向積層ポリエステルフィルム、離型フィルム、および二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法に関する。
ポリエステルフィルムは寸法安定性、剛性、コスト性のバランスに優れた基材である。近年では特に、超薄膜のセラミックシート製造用の離型フィルムにおける、支持体としての需要が多い。この際、該離型フィルムの離型層表面にセラミックシートを成形し巻き取った後に、離型フィルムの背面が、セラミックシート表面に転写して、凹みを与えるという問題、いわゆる背面転写の問題があった。そのため、優れた平滑性を有する離型層背面を実現させる為の手法が種々開発されてきた。特許文献1のように、背面を形成する層へ添加する粒子の種類を規定し転写を抑制する技術や、特許文献2に示すように表面に粒子を含有しない構成のフィルムが開示されている。
特許文献1や2の技術は、優れた平滑性を有する離型層背面を実現させる上で有用であったが、最近では、巻き取った後における、セラミックシートと離型層背面とのブロッキングを抑制して、剥離帯電やセラミックシートの破断を軽減することのできる、さらに有用なフィルムの開発が望まれてきている。
本発明は、平滑性に優れつつ、超薄膜のセラミックシート製造用フィルムとして用いた際にセラミックシートとフィルム背面とのブロッキング性を抑制できる二軸配向積層ポリエステルフィルム、離型フィルム、および二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、フィルム表面に特定の突起高さを有する突起の密度を制御することで、発明が解決しようとする課題を満たす二軸配向積層ポリエステルフィルムを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明の好ましい一態様は、以下の通りである。
(1)2層以上の積層ポリエステルフィルムであって、少なくとも1方の表層(表層A)は実質的に粒子を含有せず、もう1方の表層(表層B)は体積平均粒子径が1.0μm以下の粒子を含有し、表層Aのフィルム表面が、原子間力顕微鏡(AFM)のフォースボリューム法により測定される突起高さが5nm以上50nm以下の突起個数が100個/50μm□(2500μm2)以上5000個/50μm□(2500μm2)以下でありかつ、突起高さが50nmを超え150nm以下の突起個数が1個/50μm□(2500μm2)以上100個/50μm□(2500μm2)以下である二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(2)前記表層Aのフィルム表面が、中心線粗さSRaが1nm以上10nm以下、かつ最大山高さSRpが100nm以下である、(1)に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(3)前記表層Bに含有する粒子の含有量が、表層B全体に対して0.20~0.80質量%である(1)または(2)に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(4)前記二軸配向積層ポリエステルフィルムは硫黄元素およびリン元素を含有し、前記二軸配向積層ポリエステルフィルムのいずれかの層において、当該層の全質量に対して硫黄元素の含有量が2~20質量ppm、リン元素の含有量が2~20質量ppm、カルシウム元素、マグネシウム元素、マンガン元素の含有量の合計が5質量ppm以下である、(1)~(3)のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(5)ポリエステル樹脂を溶融押出してシート状に押し出す工程、シート状に押し出した未延伸フィルムの表面に微細結晶化構造を付与する工程、フィルム長手方向へ延伸する工程、フィルム幅方向へ延伸する工程をその順に有する、(1)~(4)のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法。
(6)前記微細結晶化構造を付与する工程が、エッチング処理、印刷処理、レーザー処理、エンボス処理、プラズマ処理、コロナ処理、ガンマ線処理から選択される少なくとも1つの処理である(5)に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法。
(7)(1)~(4)のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムの前記表層Aおよび/または前記表層B上に離型層を有する離型フィルム。
(1)2層以上の積層ポリエステルフィルムであって、少なくとも1方の表層(表層A)は実質的に粒子を含有せず、もう1方の表層(表層B)は体積平均粒子径が1.0μm以下の粒子を含有し、表層Aのフィルム表面が、原子間力顕微鏡(AFM)のフォースボリューム法により測定される突起高さが5nm以上50nm以下の突起個数が100個/50μm□(2500μm2)以上5000個/50μm□(2500μm2)以下でありかつ、突起高さが50nmを超え150nm以下の突起個数が1個/50μm□(2500μm2)以上100個/50μm□(2500μm2)以下である二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(2)前記表層Aのフィルム表面が、中心線粗さSRaが1nm以上10nm以下、かつ最大山高さSRpが100nm以下である、(1)に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(3)前記表層Bに含有する粒子の含有量が、表層B全体に対して0.20~0.80質量%である(1)または(2)に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(4)前記二軸配向積層ポリエステルフィルムは硫黄元素およびリン元素を含有し、前記二軸配向積層ポリエステルフィルムのいずれかの層において、当該層の全質量に対して硫黄元素の含有量が2~20質量ppm、リン元素の含有量が2~20質量ppm、カルシウム元素、マグネシウム元素、マンガン元素の含有量の合計が5質量ppm以下である、(1)~(3)のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(5)ポリエステル樹脂を溶融押出してシート状に押し出す工程、シート状に押し出した未延伸フィルムの表面に微細結晶化構造を付与する工程、フィルム長手方向へ延伸する工程、フィルム幅方向へ延伸する工程をその順に有する、(1)~(4)のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法。
(6)前記微細結晶化構造を付与する工程が、エッチング処理、印刷処理、レーザー処理、エンボス処理、プラズマ処理、コロナ処理、ガンマ線処理から選択される少なくとも1つの処理である(5)に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法。
(7)(1)~(4)のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムの前記表層Aおよび/または前記表層B上に離型層を有する離型フィルム。
本発明によれば、平滑性に優れつつ、超薄膜のセラミックシート製造用フィルムとして用いた際にセラミックシートとフィルム背面とのブロッキング性を抑制できる二軸配向積層ポリエステルフィルム、離型フィルム、および二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法を提供することができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムでいう二軸配向とは、未延伸(未配向)フィルムを、常法により、二次元方向に延伸された状態を指し、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものを意味する。延伸は、逐次二軸延伸または同時二軸延伸のいずれの方法も採ることができる。逐次二軸延伸は、長手方向(縦)および幅方向(横)に延伸する工程を、縦-横の1回ずつ実施することもできるし、縦-横-縦-横など、2回ずつ実施することもできる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムにおけるポリエステルとは、二塩基酸とグリコールを構成成分とするポリエステルであり、芳香族二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸、ジブロモテレフタル酸などを用いることができる。脂環族二塩基酸としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などを用いることができる。グリコールとしては、脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールなどを用いることができ、芳香族ジオールとして、ナフタレンジオール、2,2ビス(4-ヒドロキシジフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ハイドロキノンなどを用いることができ、脂環族ジオールとしては、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどを用いることができる。
上記ポリエステルは公知の方法で製造することができ、固有粘度は下限0.5、上限0.8のものを用いることが好ましい。さらに好ましくは下限0.55、上限0.70である。なお、固有粘度の測定は、オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いる。
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)-1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー質量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定する。単位は[dl/g]で示す。
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)-1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー質量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定する。単位は[dl/g]で示す。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの好ましい一態様は、2層以上の積層構成である。2層積層構成である場合は、ポリエステルA層およびポリエステルB層からなり、3層積層構成である場合は、ポリエステルA層およびポリエステルB層およびポリエステルC層(3種3層)あるいは、ポリエステルA層およびポリエステルB層およびポリエステルA層(2種3層)の3層からなる積層フィルムとなる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの好ましい一態様は、少なくとも1方の表層(表層A)は実質的に粒子を含有せず、もう1方の表層(表層B)は体積平均粒子径が1.0μm以下の粒子を含有し、表層Aのフィルム表面が、原子間力顕微鏡(AFM)のフォースボリューム法により測定される突起高さが5nm以上50nm以下の突起個数が100個/50μm□(2500μm2)以上5000個/50μm□(2500μm2)以下でありかつ、突起高さが50nmを超え150nm以下の突起個数が1個/50μm□(2500μm2)以上100個/50μm□(2500μm2)以下である。本特性の評価方法についての詳細は実施例にて後述する。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムにおいて、離型フィルムの平滑性向上および、セラミックシートと離型層背面とのブロッキング性を良好に保ちながら、離型フィルムの背面が、セラミックシート表面に転写して、凹みを与えるという問題、いわゆる背面転写の問題を同時に実現することが必要である。特に、離型フィルムの背面転写の問題について、離型フィルム背面部分に該当する面を限りなく平滑化することが求められた。そのため、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの好ましい一態様は、フィルム背面部分には実質的に粒子を含まないこと、である。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムにおいて、実質的に粒子を含有しておらず、とは、粒子の体積平均粒子径を測定する際に、SEM(走査型電子顕微鏡)およびTEM(透過型電子顕微鏡)で観察した際に5,000倍で10視野確認しても、粒子の存在が認められなかった場合に、粒子を実質的に含有しないと判断する。本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムにおいては、表面性状が均一であり、欠陥を限りなく抑制することが望ましい。ここでいう欠陥には、ポリエステルフィルムに配向を付与する過程や、搬送する過程にて、ローラーとの接触状態が悪い際に発生するキズがある。また、フィルム内部に意図せず混入した異物、意図的に添加した粒子が凝集したもの、意図せず混入した添加粒子がきっかけとなり、粗大突起、あるいは大突起他の内部異物が欠陥となる。近年のポリエステルフィルムにおいては、「欠陥ゼロ」を究極の到達点として求められることも多くあり、この際、内部異物の抑制が特に重要となる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの表面を形成する突起について、高さと個数をバランス良く配置することが必要である。この際、離型層を形成するための面と、離型層の背面にあたる層との表面性状の相性を最適化することにより、発明の目的を達成することを発明者らは見いだした。すなわち、実質的に粒子を含有しない表層Aを、離型層の背面にあたる層とすることにより、セラミックシートを作製した際にセラミックシートと離型層背面とのブロッキング性を良好に保つことができる。またこの際、B層は体積平均粒径が1.0μm以下の粒子を含有することにより、セラミックシートを作製した際にセラミックシート表面になだらかな凹凸を形成することができ、A層表面の接触性が改善され、ブロッキング性を良好に保つことができる。このため、もう1方の表層(表層B)が粒子を含有する場合は体積平均粒子径(d)が1.0μm以下の粒子であることが必要となる。この際、粒子の体積平均粒径(d)が1.0μmを超えると、欠陥が使用上深刻な影響を及ぼすこととなり、また、該フィルムをリサイクルした回収原料を用いてフィルムを製造する際にも粒子が表面特性に影響を及ぼすため好ましくない。粒子に関し、前記表層Bに含有する粒子の含有量が、表層B全体に対して0.20~0.80質量%であることが望ましい。薄膜のグリーンシートを形成するにあたり、表層Bに含有する粒子の含有量が、表層B全体に対して0.20質量%以上であることにより、グリーンシートの剥離点が定まりやすく、グリーンシート製造時の生産性が向上する。表層Bに含有する粒子の含有量が、表層B全体に対して0.80質量%以下であることにより、表層Bの表面状態がグリーンシート表面の凹凸に影響を及ぼすことを軽減できる。
また、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムにおいて、実質的に粒子を含有しない表層Aのフィルム表面が、原子間力顕微鏡(AFM)のフォースボリューム法により測定される突起高さが5nm以上50nm以下の突起個数が100個/50μm□(2500μm2)以上5000個/50μm□(2500μm2)以下でありかつ、突起高さが50nmを超え150nm以下の突起個数が1個/50μm□(2500μm2)以上100個/50μm□(2500μm2)以下であり、もう一方の表層Bが体積平均粒径1.0μm未満の粒子を含有する二軸配向積層ポリエステルフィルムとし、かかる表層Aを離型層の背面にあたる層とし、表層Bを離型層を形成するための面とすることが好ましい態様として挙げられる。
突起高さが5nm以上50nm以下の突起個数が100個/50μm□(2500μm2)未満の場合、離型層とのブロッキングが発生しやすくなり、突起高さ分布の5nm以上50nm以下高さの突起個数が5000個/50μm□(2500μm2)を超えた場合、先述の背面転写が発生しやすくなる。突起高さが5nm以上50nm以下の突起個数は100個/50μm□(2500μm2)以上3000個/50μm□(2500μm2)以下であることがより好ましく、100個/50μm□(2500μm2)以上1500個/50μm□(2500μm2)以下であることがさらに好ましい。
また本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの好ましい一態様は、突起高さが50nmを超え150nm以下の突起個数が1個/50μm□(2500μm2)以上100個/50μm□(2500μm2)以下である。該突起高さ領域にある突起は、離型層あるいはセラミックシートを形成した後の巻き取り性能やブロッキング防止において、その数をコントロールすることが要求される。突起高さが50nmを超え150nm以下の突起個数が1個/50μm□(2500μm2)未満の場合には、離型層あるいはセラミックシートを形成した後の巻き取り性能が著しく悪化するため好ましくない。一方で、50nmを超え150nm以下高さの突起個数が100個/50μm□(2500μm2)を超えると、超薄膜のセラミックシート製造時において背面転写痕を形成する原因となり、さらにはセラミックシートに穴あき(ピンホール)を生じさせるため好ましくない。突起高さが50nmを超え150nm以下の突起個数は、1個/50μm□(2500μm2)以上75個/50μm□(2500μm2)以下であることがより好ましい。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、表面の平滑化を求められている。前記表層Aのフィルム表面が、中心線粗さSRaが1nm以上10nm以下、最大山高さSRpが100nm以下であることが好ましい。表面の平滑化を求められる用途分野としては、MLCC(積層セラミックコンデンサ)離型用途以外にも要求が高まっており、偏光板や有機ELなど、離型剤や粘着剤を塗布した後に貼り付けて部材を保護する用途や、粘着剤を転写する基材として使用される離型用途(ノンキャリアシート)、電気回路基材における層間絶縁樹脂を成形し転写する基材として使用される用途、回路基板を形成するために使用するレジスト剤を積層し露光、転写する基剤として使用される、いわゆるDFR(ドライフィルムレジスト)用途などが挙げられる。これら用途は、基剤の上に成形する部材の厚みが年々薄くなる分野や、単位面積あたりの実装密度がより密になる分野が挙げられる。また、ディスプレイ表示装置のような高い視認性を求められる基材も、ファイン化が求められる用途分野として挙げられる。この際、より好ましい中心線粗さSRaおよび最大山高さSRpの範囲は、SRaで1nm以上5nm以下、SRpで70nm以下、さらに好ましい中心線粗さSRaおよび最大山高さSRpの範囲は、SRaで1nm以上3nm以下、SRpで30nm以下である。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂を溶融押出してシート状に押し出す工程、シート状に押し出した未延伸フィルムの表面に微細結晶化構造を付与する工程、フィルム長手方向へ延伸する工程、フィルム幅方向へ延伸する工程をその順に有する製造方法により、より好ましい実施形態となる。ポリエステル樹脂を溶融押出してシート状に押し出す工程とは、本発明の実施形態を示す際に詳細を記すが、当該工程にて得られたシートは未配向状態にあり、この未配向状態のシートに微細結晶化構造を付与することにより、より均一な処理を実施することができる。なお、微細結晶化構造を未配向状態のシートに付与した後、フィルム長手方向へ延伸する工程、フィルム幅方向へ延伸する工程を、その順に延伸を実施することにより、微細な凹凸構造を形成する事ができる。特に、実質的に粒子を含有しないポリエステル樹脂を一方の表層(表層A)、体積平均粒子径が1.0μm以下の粒子を含有するポリエステル樹脂をもう一方の表層(表層B)となるように溶融押出してシート状に押し出す工程、シート状に押し出した未延伸フィルムの表面に微細結晶化構造を付与する工程、フィルム長手方向へ延伸する工程、フィルム幅方向へ延伸する工程をその順に有することで、微細な結晶化構造を付与することができる。
本発明における、微細結晶化構造を付与する工程とは、未延伸(未配向)フィルムに、規則性を有する形で、化学的、機械的、電気的、光学的な処理を施し、フィルム表面を結晶化する工程である。具体的な処理の方法については、化学的処理は未延伸フィルムの表面を局所的に浸食させるエッチング処理、あるいは未延伸フィルムの表面に突起を印刷する処理を挙げることが出来る。機械的処理は、未延伸フィルムの表面に微細な凹みをつけることや、極めて微小な傷を規則的に付与することが挙げられる。電気的処理とは、グロー放電やアーク放電により未延伸フィルム上にランダムな痕を付与する処理であり、プラズマ処理、コロナ処理等が挙げられる。これらは、未延伸フィルム表面に結晶核を形成する事により、延伸工程にて突起が形成される。また、光学的な処理としてはレーザー処理が挙げられ、規則性のある痕をフィルム表面に付与することができる。さらには、ガンマ線等の放射線を照射することにより、表面を改質することでも達成出来る。ガンマ線は高分子材料に照射すると、反応活性種を形成し、高分子鎖の切断が起こったり、高分子鎖同士の橋架け結合が起こったり、活性種と反応性の高い別の化合物と結合することにより、元の高分子鎖に新しく枝をつけることができる。これらが延伸により凹凸形状を形成する種(Sheed)となる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの厚みは、1μm以上であることが好ましく、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは25μm以上である。また、350μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは40μm以下である。厚みが1μmより薄くなると、前記の、未延伸フィルムの表面に、微細結晶化構造を規則的に付与する工程後、延伸工程にて破れが発生しやすくなる場合がある。厚みが350μmを超えることは、廃棄時の環境負荷が大きくなる場合がある。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムにて粒子を用いる場合は、球状シリカ、凝集シリカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、酸化チタン等の無機粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン-アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、メラミン樹脂粒子等の有機粒子を用いることができる。一方で粒子は、リサイクル時の内部異物になり易い。溶融、フィルタリングした際のフィルター詰まりや、再凝集した際には異物になりうるため、粒子径とともに、その種類も選定することが望ましい。粒子は、粒度分布が均一な粒子が好ましく、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン-アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル粒子より選ばれる有機粒子が特に好ましくまた、無機粒子においては、球状シリカ、酸化アルミニウムが特に好ましい。
粒子を添加する際、粒子の形状・粒子径分布については先述の通り均一なものが好ましく、とくに粒子形状は球形に近いものが好ましい。体積形状係数は好ましくはf=0.3~π/6であり、より好ましくはf=0.4~π/6である。体積形状係数fは、次式で表される。
f=V/Dm3
ここでVは粒子体積(μm3)、Dmは粒子の投影面における最大径(μm)である。
ここでVは粒子体積(μm3)、Dmは粒子の投影面における最大径(μm)である。
なお、体積形状係数fは粒子が球のとき、最大のπ/6(=0.52)をとる。また、必要に応じて濾過などを行うことにより、凝集粒子や粗大粒子などを除去することが好ましい。中でも、乳化重合法で等で合成された、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子が好適に使用できるが、とくに架橋ポリスチレン粒子、架橋シリコーン、さらに球状シリカなどは体積形状係数が真球に近く、粒径分布が極めて均一であり、均一にフィルム表面突起を形成する観点で好ましい。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは硫黄元素およびリン元素を含有し、前記二軸配向積層ポリエステルフィルムのいずれかの層において、当該層の全質量に対して硫黄元素の含有量が2~20質量ppm、リン元素の含有量が2~20質量ppm、カルシウム元素、マグネシウム元素、マンガン元素の含有量の合計が5質量ppm以下であることが好ましい。当該元素の適切な含有量とすることにより、粗大異物の発生を抑止しながらも、後述するキャスティング工程、すなわちピニング装置を用い、静電気力を用いてキャストに密着させる工程において、良好な密着性、いわゆる静電印加性を担保することができる。硫黄元素、リン元素の含有量がそれぞれ2質量ppm以上であることにより、静電印加性が良好となる。一方で、硫黄元素の含有量が20質量ppm以下かつ、リン元素の含有量が20質量ppm以下であること、さらにカルシウム元素、マグネシウム元素、マンガン元素の含有量の合計が5質量ppm以下であることにより、粗大異物の生成を抑制でき好ましい。
次に本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法について説明するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
ポリエステルに不活性粒子を含有せしめる方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散せしめ、このエチレングリコールスラリーをポリエステル重合完結前の任意段階で添加する。ここで、粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性が良好であり、粗大突起の発生を抑制でき好ましい。また粒子の水スラリーを直接、所定のポリエステルペレットと混合し、ベント方式の2軸混練押出機に供給しポリエステルに練り込む方法も本発明の製造に有効である。
このようにして、準備した、粒子含有マスターペレットと粒子などを実質的に含有しないペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給する。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造における押出機は、1軸、または2軸の押出機を用いることができる。また、ペレットの乾燥工程を省くために、押出機に真空引きラインを設けた、ベント式押出機を用いることもできる。また、例えば押出量が1000kg/Hr以上などと多くなる層には、ペレットを溶融する機能と、溶融したペレットを一定温度に保つ機能をそれぞれの押出機で分担する、いわゆるタンデム押出機を用いることができる。タンデム押出機は、高吐出時におけるポリマー温度を安定化させ、その結果ポリマーの粘度ばらつきを少なくすることができるため、厚みむらを低減させるプロセスとして好ましい。
押出機で溶融して押出したポリマーは、フィルターにより濾過する。ごく小さな異物もフィルム中に入ると粗大突起欠陥となるため、フィルターには例えば5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度の捕集効率のものを用いることが有効である。一方で、フィルターの捕集効率が高すぎると圧力上昇の度合いが高くなってしまうことがありうるため、例えば3μm未満の異物を95%以上捕集するような更なる高精度の捕集効率のフィルターは、捕捉した異物によるフィルター圧力上昇を促進させ、また、フィルター内部で異物が凝縮されたあと排出されることもあるため好ましくない実施形態である。続いてスリット状のスリットダイからシート状に押し出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。たとえば3層積層の場合は、3台の押出機、3層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば矩形合流部を有する合流ブロック)を用いて3層に積層し、口金からシートを押し出す。この際の口金は、口金の間隙をヒーターにより自動調整できることが望ましい。口金から押し出したシートは、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。キャスティングロールに着地した未延伸フィルムは、ピニング装置を用い、静電気力を用いてキャストに密着させる。
キャスティングロールに密着し冷却したフィルムは、引き離しロールを用いて、キャスティングロールからフィルムを剥離させる。この際の引き離しロールには、フィルム冷却のための通水を行ってもよいし、引き離しロールを駆動させてもよい。
引き離しロールを経た未延伸フィルムは、微細結晶化構造を規則的に付与する工程を経る。具体的には例えば、未延伸フィルムに、エッチング処理、印刷処理、レーザー処理、エンボス処理、放射線処理等を施し、フィルム表面に微細結晶化構造を規則的に付与する。この際、フィルム表面に微細な凹凸の付与を伴ってもよいし、結晶化のみで凹凸が付与されなくてもよい。エッチング処理は、フィルム上に極微量の薬品を水玉状に点滴した際の、点のパターン(ドットパターン状)に設けることでフィルム表面を浸食させ、該浸食部を核として延伸時に突起を形成する。ここで言うドットパターン状とは、点が規則性をもって並ぶ状態を指す。薬品は、濃硫酸、濃硝酸、水酸化ナトリウム溶液、濃アンモニア水、エタノール、アセトン、アルカリ溶液を用いることが出来る。印刷処理は、フィルム表面に突起を印刷する事で印刷部に微細結晶化物を付与する処理である。印刷に用いる部材はポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。これらの各樹脂は、単一の種類で用いてもよいし、2種類以上混合させて用いてもよい。レーザー処理は、未延伸フィルム上にレーザー光線をパターン照射し、突起を形成する方法である。エンボス処理は、フィルム表面に痕や微小な傷を付与する処理で有り、例えば規則的な凹凸パターンを有する金属ロールを、未延伸フィルムに押し当てて痕や微小な傷を付ける方法が挙げられる。熱的処理は、未延伸フィルム表面に規則的な熱を付与し微細結晶化構造を形成させる。先述の金属ロールを加熱して未延伸フィルムと接触させるような、エンボス処理と組み合わせてもよい。
延伸方法は同時二軸延伸であっても逐次二軸延伸であってもよい。同時二軸延伸においては、縦横の延伸を同時に実施する際、風速むらやフィルムに沿って流れる気流(随伴気流)が幅方向の延伸時に加え、長手方向にも外乱として影響するため、表面性状を規則的に作ることが難しいため、逐次二軸延伸が好ましく適用される形態である。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムを逐次延伸を用いて製造する際において、最初の長手方向の延伸は、予熱温度は80℃以上110℃以下が好ましい。また、延伸温度は90℃以上130℃以下、好ましくは100℃以上120℃以下である。延伸温度が90℃よりも低くなるとフィルムが破断しやすく、延伸温度が130℃よりも高くなるとフィルム表面が熱ダメージを受けやすくなることや、均一な延伸がされず、結晶化した核を起点とした突起の形成が行われなくなるため好ましくない。延伸の区間においては、延伸ムラ、及びキズを防止する観点から、2段階以上に分けて延伸を実施することが好ましく、トータル倍率は長さ方向に2.8倍以上5.0倍以下、好ましくは3.3倍以上4.0倍以下であり、幅方向に3.5倍以上5倍以下、好ましくは4.0倍以上4.5倍以下である。また、長手方向の延伸過程は、フィルムとロールの接触し、ロールの周速とフィルムの速度差により、フィルムが滑った際に傷が発生しやすく、また、長手方向の厚みむらの要因ともなるため、ロール周速がロール毎に個別に設定できる駆動方式が好ましい。
次いで、未延伸フィルムをガラス転移点未満の温度に保った状態で延伸ゾーンまで搬送するが、延伸時に一挙に加熱する際、予熱ゾーンの搬送ロールは、ハードクロムやタングステンカーバイドで表面処理を行った、表面粗さRaが0.2μm以上0.6μm以下の金属ロールを使用するのが、熱しわや長手方向の厚みむらの原因となる粘着を抑制するうえで好ましい。次に、かかる長手方向に延伸された一軸延伸フィルムを、横延伸機にて90℃以上120℃未満に加熱した後、3倍以上6倍未満で幅方向に延伸し、二軸延伸(二軸配向)フィルムとする。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、さらに、再延伸を各方向に対して1回以上行なってもよいし、同時2軸にて再延伸してもよい。更には、延伸倍率をかけずに再縦延伸工程を通過させてもよい。再縦延伸後には更に横延伸を実施し、延伸の後にフィルムの熱処理を行なうが、この熱処理はオーブン中、加熱されたロール上等、従来公知の任意の方法や位置で行なうことができる。熱処理温度は通常150℃以上245℃未満の任意の温度とすることができ、熱処理時間は、通常1秒間以上60秒間以下行なうことが好ましい。熱処理温度は、ポリエステルフィルムの構造を固定するとともに、表面の粗度調整にも有効である。結晶化の度合いに応じ、ポリエステル表面の構造が、粗面化することで微小突起が形成されるためである。熱処理温度は235℃以上245℃以下であると、好ましい表面突起を形成することができる。さらには、240℃以上243℃以下であると、さらに好ましい表面突起を形成することができる。熱処理は、フィルムをその長手方向および/または幅方向に弛緩させつつ行なってもよい。また、熱処理後は熱処理温度より0℃以上150℃以下の低い温度で幅方向に0%以上10%以下で弛緩させるとよい。
熱処理後のフィルムは、例えば中間冷却ゾーンや徐冷ゾーンを設け、寸法変化率や平面性を調整することができる。また特に、特定の熱収縮性を付与するために、熱処理時あるいはその後の中間冷却ゾーンや徐冷ゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に弛緩してもよい。この際には、オーブン内部における幅方向の温度差は、5℃以内にコントロールすることが、幅方向における粗さのばらつきを抑制する上で好ましい実施形態である。
二軸延伸後のフィルムは、搬送工程にて冷却させた後、エッジを切断後巻取り、中間製品を得る。この搬送工程にて、幅方向のフィルム厚みを測定し、該データをフィードバックして用いてダイ厚みなどの調整によってフィルム厚みの調整を行い、また、欠点検出器による異物検知を行うことができる。
中間製品はスリット工程により適切な幅・長さにスリットしてコアに巻き取り、二軸配向積層ポリエステルフィルムのロールが得られる。
上述の方法により得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムは、フィルムへ添加する滑剤や触媒が凝集することによるフィルムの表面欠陥を抑止することや、回収原料の素性によらず自由度の高い表面設計を行うこと、使用後のフィルムを再度回収させた際の異物混入を減らすことができる。
本発明の離型フィルムの好ましい一態様は、前記二軸配向積層ポリエステルフィルムの前記表層Aおよび/または前記表層B上に離型層を有する離型フィルムである。前記二軸配向積層ポリエステルフィルムの表層Aは大きな凸凹が少ない一方で小さい凸凹を多数有し、表層Bは小さい粒径の粒子を含むことから、被離型物を形成後に巻き取っても、非離型物表面への形状転写を抑制でき、さらにブロッキングも防止できる。なかでも本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの前記表層B上に離型層を有する離型フィルムは、巻き取り後の耐ブロッキング特性に特に優れるため、好適に用いることができる。
また、本発明の離型フィルムは上記特性を有することからセラミックシート製造用に特に好適に用いることができる。
以下、実施例で本発明を詳細に説明する。
本発明に関する測定方法、評価方法は次の通りである。
(1)突起個数
原子間力顕微鏡(AFM)を用いて下記の測定条件で、得られた画像について、突起高さのしきい値を5nmごと(5nm、10nm、15nm・・・)として150nmまで設け、突起高さ5nm以上、10nm以上、15nm以上のように、150nmまでの突起個数をカウントした。突起高さが5nm以上50nm未満の突起個数は、突起高さが5nm以上の突起個数から突起高さが50nm以上の突起個数を差し引いた値とした。また、突起高さが50nm以上150nm未満の突起個数は、突起高さが50nm以上の突起個数から突起高さが150nm以上の突起個数を差し引いた値とした。場所を変えて20回測定し、その平均値を50μmx50μm(50μm□(2500μm2))に換算して、それぞれの突起個数とした。
装置:NanoScope III AFM
(Digital Instruments社製)
カンチレバー:シリコン単結晶
走査モード:タッピングモード
走査速度:0.8Hz
測定視野:5μm四方
サンプルライン:256
サンプル調整:23℃、65%RH、24時間静置
AFM測定環境:23℃、65%RH、24時間。
原子間力顕微鏡(AFM)を用いて下記の測定条件で、得られた画像について、突起高さのしきい値を5nmごと(5nm、10nm、15nm・・・)として150nmまで設け、突起高さ5nm以上、10nm以上、15nm以上のように、150nmまでの突起個数をカウントした。突起高さが5nm以上50nm未満の突起個数は、突起高さが5nm以上の突起個数から突起高さが50nm以上の突起個数を差し引いた値とした。また、突起高さが50nm以上150nm未満の突起個数は、突起高さが50nm以上の突起個数から突起高さが150nm以上の突起個数を差し引いた値とした。場所を変えて20回測定し、その平均値を50μmx50μm(50μm□(2500μm2))に換算して、それぞれの突起個数とした。
装置:NanoScope III AFM
(Digital Instruments社製)
カンチレバー:シリコン単結晶
走査モード:タッピングモード
走査速度:0.8Hz
測定視野:5μm四方
サンプルライン:256
サンプル調整:23℃、65%RH、24時間静置
AFM測定環境:23℃、65%RH、24時間。
(2)粒子の体積平均粒子径
フィルムからサンプリングしたポリマーをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その粒子を走査型電子顕微鏡(SEM;株式会社日立製作所製 S-4000型)で観察し、粒子画像をイメージアナライザ(株式会社ニレコ製 “LUZEX”(登録商標)_AP)に取り込み、等価円相当径を測定し、粒子の体積平均粒子径を求める。SEMの倍率は粒径により、5,000~20,000倍から適宜選択する。任意に観察箇所をかえて、少なくとも5,000個の粒子の粒径の等価円相当径を測定し、その平均値から体積平均粒子径を求める。粒子がプラズマ低温灰化処理法で大幅にダメージを受ける場合には、フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM;株式会社日立製作所製H-600型)を用いて、粒径により、3,000~20,000倍で観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて少なくとも100個以上の粒子の等価円相当径を測定し、その平均値から体積平均粒子径を求める。なお、粒子の体積平均粒子径を測定する際に、SEMおよびTEMで観察した際に5,000倍で10視野確認しても、粒子の存在が認められなかった場合には、粒子を実質的に含有しないと判断した。
フィルムからサンプリングしたポリマーをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その粒子を走査型電子顕微鏡(SEM;株式会社日立製作所製 S-4000型)で観察し、粒子画像をイメージアナライザ(株式会社ニレコ製 “LUZEX”(登録商標)_AP)に取り込み、等価円相当径を測定し、粒子の体積平均粒子径を求める。SEMの倍率は粒径により、5,000~20,000倍から適宜選択する。任意に観察箇所をかえて、少なくとも5,000個の粒子の粒径の等価円相当径を測定し、その平均値から体積平均粒子径を求める。粒子がプラズマ低温灰化処理法で大幅にダメージを受ける場合には、フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM;株式会社日立製作所製H-600型)を用いて、粒径により、3,000~20,000倍で観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて少なくとも100個以上の粒子の等価円相当径を測定し、その平均値から体積平均粒子径を求める。なお、粒子の体積平均粒子径を測定する際に、SEMおよびTEMで観察した際に5,000倍で10視野確認しても、粒子の存在が認められなかった場合には、粒子を実質的に含有しないと判断した。
(3)フィルム表面の中心線粗さ、最大山高さ(SRa、SRp値)
三次元微細表面形状測定器(小坂製作所製ET-4000A)を用いて測定し、得られた表面のプロファイル曲線より、JIS・B0601(2001年)に準じ、算術平均粗さSRa値、最大山高さSRp値を求める。測定条件は下記のとおり。
X方向測定長さ:0.5mm、X方向送り速度:0.1mm/秒。
Y方向送りピッチ:5μm、Y方向ライン数:40本。
カットオフ:0.25mm。
触針圧:0.02mN。
高さ(Z方向)拡大倍率:5万倍。
三次元微細表面形状測定器(小坂製作所製ET-4000A)を用いて測定し、得られた表面のプロファイル曲線より、JIS・B0601(2001年)に準じ、算術平均粗さSRa値、最大山高さSRp値を求める。測定条件は下記のとおり。
X方向測定長さ:0.5mm、X方向送り速度:0.1mm/秒。
Y方向送りピッチ:5μm、Y方向ライン数:40本。
カットオフ:0.25mm。
触針圧:0.02mN。
高さ(Z方向)拡大倍率:5万倍。
[実施例1]
(1)ポリエステルペレットの作成
(ポリエステルAの作成)
テレフタル酸86.5質量部とエチレングリコール37.1質量部を255℃で、水を留出しながらエステル化反応を行う。エステル化反応終了後、トリメチルリン酸0.02質量部、酢酸マグネシウム0.06質量部、酢酸リチウム0.01質量部、三酸化アンチモン0.0085質量部を添加し、引き続いて、減圧下、290℃まで加熱、昇温して重縮合反応を行い、固有粘度0.63dl/gのポリエステルペレットAを得た。
(1)ポリエステルペレットの作成
(ポリエステルAの作成)
テレフタル酸86.5質量部とエチレングリコール37.1質量部を255℃で、水を留出しながらエステル化反応を行う。エステル化反応終了後、トリメチルリン酸0.02質量部、酢酸マグネシウム0.06質量部、酢酸リチウム0.01質量部、三酸化アンチモン0.0085質量部を添加し、引き続いて、減圧下、290℃まで加熱、昇温して重縮合反応を行い、固有粘度0.63dl/gのポリエステルペレットAを得た。
(ポリエステルBの作成)
シード法によるジビニルベンゼン80質量%、エチルビニルベンゼン15質量%、スチレン5質量%からなるジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子(架橋度80%)の水スラリーを、上記の実質的に粒子を含有しないホモポリエステルペレットに、ベント式二軸混練機を用いて含有させ、体積平均粒子径0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し1質量%含有するマスターペレットを得た(ポリエステルB)。
シード法によるジビニルベンゼン80質量%、エチルビニルベンゼン15質量%、スチレン5質量%からなるジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子(架橋度80%)の水スラリーを、上記の実質的に粒子を含有しないホモポリエステルペレットに、ベント式二軸混練機を用いて含有させ、体積平均粒子径0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し1質量%含有するマスターペレットを得た(ポリエステルB)。
(ポリエステルCの作成)
平均粒径0.06μmのシリカ粒子の水スラリーを、上記の実質的に粒子を含有しないポリエステルAにベント式二軸混練機を用いて含有させ、0.06μmのシリカ粒子をポリエステルに対し1質量%含有するマスターペレットを得た。
平均粒径0.06μmのシリカ粒子の水スラリーを、上記の実質的に粒子を含有しないポリエステルAにベント式二軸混練機を用いて含有させ、0.06μmのシリカ粒子をポリエステルに対し1質量%含有するマスターペレットを得た。
(ポリエステルDの作成)
凝集アルミナとしてδ型―アルミナを10質量部含むエチレングリコールスラリーとし、サンドグラインダーを用い、粉砕、分散処理を行い、さらに捕集効率95%の3μmフィルターを用いて濾過し、これをポリエステルAと同様に調整したエステル交換反応物に添加し、引き続き三酸化アンチモンを加え、重縮合反応を行い、凝集アルミナを1.5質量%含有するマスターペレットを得た(ポリエステルD)。
凝集アルミナとしてδ型―アルミナを10質量部含むエチレングリコールスラリーとし、サンドグラインダーを用い、粉砕、分散処理を行い、さらに捕集効率95%の3μmフィルターを用いて濾過し、これをポリエステルAと同様に調整したエステル交換反応物に添加し、引き続き三酸化アンチモンを加え、重縮合反応を行い、凝集アルミナを1.5質量%含有するマスターペレットを得た(ポリエステルD)。
(ポリエステルEの作成)
ポリエステルAを製造するにあたりエステル交換後、炭酸ガス法にて作成した(体積平均粒径体積平均粒子径1.1μm、モース硬度3)の炭酸カルシウム10質量部とエチレングリコール90質量部を湿式粉砕し、炭酸カルシウム/エチレングリコール分散スラリーを得た。この炭酸カルシウムの体積平均粒子径は1.1μmであった。他方、ジメチルテレフタレート100質量部、エチレングリコール64質量部に触媒として酢酸マンガン0.04質量部、三酸化アンチモン0.03質量部を加えエステル交換反応を行い、その後反応生成物に、リン化合物としてトリメチルホスフェート0.04質量部を加え、さらにその後、先に調整したスラリー1質量部を加えて重縮合反応を行い、ポリエステルに対し1質量%の炭酸カルシウムを含有するマスターペレット(ポリエステルE)を得た。
ポリエステルAを製造するにあたりエステル交換後、炭酸ガス法にて作成した(体積平均粒径体積平均粒子径1.1μm、モース硬度3)の炭酸カルシウム10質量部とエチレングリコール90質量部を湿式粉砕し、炭酸カルシウム/エチレングリコール分散スラリーを得た。この炭酸カルシウムの体積平均粒子径は1.1μmであった。他方、ジメチルテレフタレート100質量部、エチレングリコール64質量部に触媒として酢酸マンガン0.04質量部、三酸化アンチモン0.03質量部を加えエステル交換反応を行い、その後反応生成物に、リン化合物としてトリメチルホスフェート0.04質量部を加え、さらにその後、先に調整したスラリー1質量部を加えて重縮合反応を行い、ポリエステルに対し1質量%の炭酸カルシウムを含有するマスターペレット(ポリエステルE)を得た。
(2)ポリエステルペレットの調合
A層、B層それぞれの層の押出機に供給するポリエステルペレットは、以下の比率にて調合した。なお以下に記載する比率は、おのおのの層を構成するポリエステルペレットに対する質量比(単位:質量%)である。
A層、B層それぞれの層の押出機に供給するポリエステルペレットは、以下の比率にて調合した。なお以下に記載する比率は、おのおのの層を構成するポリエステルペレットに対する質量比(単位:質量%)である。
A層
ポリエステルA: 100.0
B層
ポリエステルA:70.0
ポリエステルB:20.0
ポリエステルC:10.0。
ポリエステルA: 100.0
B層
ポリエステルA:70.0
ポリエステルB:20.0
ポリエステルC:10.0。
(3)二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造
先述の、各層について調合した原料を、ブレンダー内で攪拌した後、A層の原料は、攪拌後の原料を、A層のベント付き二軸押出機に供給し、B層の原料は160℃で8時間減圧乾燥し、B層用の一軸押出機に供給した。275℃で溶融押出し、3μm以上の異物を95%以上捕集する高精度なフィルターにて濾過した後、矩形の2層用合流ブロックで合流積層し、A層、B層からなる2層積層とした。その後、285℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得る。
先述の、各層について調合した原料を、ブレンダー内で攪拌した後、A層の原料は、攪拌後の原料を、A層のベント付き二軸押出機に供給し、B層の原料は160℃で8時間減圧乾燥し、B層用の一軸押出機に供給した。275℃で溶融押出し、3μm以上の異物を95%以上捕集する高精度なフィルターにて濾過した後、矩形の2層用合流ブロックで合流積層し、A層、B層からなる2層積層とした。その後、285℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得る。
この未延伸積層フィルムに逐次延伸(長手方向、幅方向)を実施する。まず長手方向の延伸を実施し、次に幅方向の延伸を実施した。長手方向の延伸は、予熱を105℃でテフロン(登録商標)ロールにて搬送した後に、ロールの周速差にて120℃で4.0倍延伸して一軸延伸フィルムとした。
この一軸延伸フィルムをステンター内で横方向に115℃で4倍延伸し、続いて240℃で熱固定し、その際幅方向に5%弛緩し搬送工程にて冷却させた後、エッジを切断後に巻き取り、厚さ25μmの二軸延伸フィルムの中間製品を得た。この中間製品をスリッターにてスリットし、厚さ25μmの二軸延伸フィルムのロールを得た。ロールの巻き姿は、巻きズレ、マヨイ、表面の変形無く良好であった。
この二軸延伸フィルムのロールよりフィルムサンプルを採取し、突起高さ分布を測定した。その結果、表1に示すとおり良好な表面であった。
(4)離型層の塗布
次にこの二軸延伸フィルムロールのB層に、メラミン樹脂[三井サイテック社製 商品名「“サイメル”(登録商標)303」、ヘキサメトキシメチルメラミン、質量平均分子量390、固形分100質量%]:100質量部と、酸性触媒としてのp-トルエンスルホン酸:5質量部と、イソプロピルアルコールとイソブチルアルコールとの混合溶媒(質量比率4/1)と、を混合して固形分15質量%の平滑化層形成用組成物を得た。次いで、得られた平滑化層形成用組成物をバーコーターで塗布して、塗布層を得た。次に、この塗布層を120℃で1分間加熱することにより塗布層を硬化させることで、平滑化層(厚み:0.55μm)を形成した。次に、メラミン樹脂[三井サイテック社製 商品名「“サイメル”(登録商標)303」、ヘキサメトキシメチルメラミン、質量平均分子量390、固形分100質量%] :95質量部と、シリコーン化合物としてのシラノール末端ポリジメチルシロキサン[信越化学工業(株)製、KF-9701、固形分100質量%] :5質量部と、酸性触媒としてのp-トルエンスルホン酸:5質量部と、イソプロピルアルコールとイソブチルアルコールとの混合溶媒(質量比率4/1)と、を混合して固形分15質量%の剥離剤層形成用組成物を得た。次いで、得られた剥離剤層形成用組成物をバーコーターで平滑化層の上に塗布して、塗布層を得た。次に、この塗布層を120℃で1分間加熱することにより塗布層を硬化させることで、剥離剤層(厚み:0.50μm)を形成した。すなわち平滑化層および剥離材層の2層からなる厚み1.05μmの離型層を形成した。
次にこの二軸延伸フィルムロールのB層に、メラミン樹脂[三井サイテック社製 商品名「“サイメル”(登録商標)303」、ヘキサメトキシメチルメラミン、質量平均分子量390、固形分100質量%]:100質量部と、酸性触媒としてのp-トルエンスルホン酸:5質量部と、イソプロピルアルコールとイソブチルアルコールとの混合溶媒(質量比率4/1)と、を混合して固形分15質量%の平滑化層形成用組成物を得た。次いで、得られた平滑化層形成用組成物をバーコーターで塗布して、塗布層を得た。次に、この塗布層を120℃で1分間加熱することにより塗布層を硬化させることで、平滑化層(厚み:0.55μm)を形成した。次に、メラミン樹脂[三井サイテック社製 商品名「“サイメル”(登録商標)303」、ヘキサメトキシメチルメラミン、質量平均分子量390、固形分100質量%] :95質量部と、シリコーン化合物としてのシラノール末端ポリジメチルシロキサン[信越化学工業(株)製、KF-9701、固形分100質量%] :5質量部と、酸性触媒としてのp-トルエンスルホン酸:5質量部と、イソプロピルアルコールとイソブチルアルコールとの混合溶媒(質量比率4/1)と、を混合して固形分15質量%の剥離剤層形成用組成物を得た。次いで、得られた剥離剤層形成用組成物をバーコーターで平滑化層の上に塗布して、塗布層を得た。次に、この塗布層を120℃で1分間加熱することにより塗布層を硬化させることで、剥離剤層(厚み:0.50μm)を形成した。すなわち平滑化層および剥離材層の2層からなる厚み1.05μmの離型層を形成した。
(5)グリーンシートの成型(セラミックススラリーの塗布)
チタン酸バリウム(富士チタン工業(株)製商品名HPBT-1)100質量部、ポリビニルブチラール(積水化学(株)製商品名BL-1)10質量部、フタル酸ジブチル5質量部とトルエン-エタノール(質量比30:30)60質量部に、数平均粒径2mmのガラスビーズを加え、ジェットミルにて20時間混合・分散させた後、濾過してペースト状のセラミックスラリーを調整した。得られたセラミックスラリーを、離型フィルムの上に乾燥後の厚みが1.0μmとなるように、ダイコーターにて塗布し乾燥させ、巻き取り、グリーンシートを得た。
チタン酸バリウム(富士チタン工業(株)製商品名HPBT-1)100質量部、ポリビニルブチラール(積水化学(株)製商品名BL-1)10質量部、フタル酸ジブチル5質量部とトルエン-エタノール(質量比30:30)60質量部に、数平均粒径2mmのガラスビーズを加え、ジェットミルにて20時間混合・分散させた後、濾過してペースト状のセラミックスラリーを調整した。得られたセラミックスラリーを、離型フィルムの上に乾燥後の厚みが1.0μmとなるように、ダイコーターにて塗布し乾燥させ、巻き取り、グリーンシートを得た。
(6)グリーンシートの塗布状態評価;ピンホール、凹みの有無
上記で巻き取られたグリーンシートを、手で繰り出し、離型フィルムから剥がさない状態にて目視で観察し、ピンホールの有無や、シート表面および端部の塗布状態を確認する。なお観察する面積は幅300mm、長さ500mmである。
上記で巻き取られたグリーンシートを、手で繰り出し、離型フィルムから剥がさない状態にて目視で観察し、ピンホールの有無や、シート表面および端部の塗布状態を確認する。なお観察する面積は幅300mm、長さ500mmである。
離型フィルムの上に成型されたグリーンシートについて、背面から1000ルクスのバックライトユニットで照らしながら、塗布抜けによるピンホールあるいは、離型フィルム背面の表面転写による凹み状態を観察する。
A:ピンホールも凹みも無い。
B:ピンホールは無く、凹みが3個以内認められる
C:ピンホールが有り、また凹みが4個以上認められる。
A:ピンホールも凹みも無い。
B:ピンホールは無く、凹みが3個以内認められる
C:ピンホールが有り、また凹みが4個以上認められる。
なお、ピンホール、凹みの有無についてはAとBまでが良好であり、その中で最もAが優れている。
実施例1においては、ピンホールも凹みもないため、判定をAとした。
(7)グリーンシートのブロッキング特性評価
上記で巻き取られたグリーンシートを、巻き取り機で繰り出した際、巻き出し側でのグリーンシート積層面での剥離状況を観察すると共に、帯電量を測定した。この状態に応じて4段階の評価を設けた。すなわち、
A:帯電量の絶対値が1kV以下であり、巻き出し状態が良好なこと
B:帯電量の絶対値が5kV以下であり、巻き出し状態が良好なこと
C:帯電量の絶対値が5kV以下であり、巻き出し状態で微小なバタツキがあること
D:帯電量の絶対値が5kVを超え、巻き出し状態でバタツキがあること
E:帯電量の絶対値が5kVを超え、グリーンシートの破れがあること
グリーンシートのブロッキング特性評価は、A~Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
上記で巻き取られたグリーンシートを、巻き取り機で繰り出した際、巻き出し側でのグリーンシート積層面での剥離状況を観察すると共に、帯電量を測定した。この状態に応じて4段階の評価を設けた。すなわち、
A:帯電量の絶対値が1kV以下であり、巻き出し状態が良好なこと
B:帯電量の絶対値が5kV以下であり、巻き出し状態が良好なこと
C:帯電量の絶対値が5kV以下であり、巻き出し状態で微小なバタツキがあること
D:帯電量の絶対値が5kVを超え、巻き出し状態でバタツキがあること
E:帯電量の絶対値が5kVを超え、グリーンシートの破れがあること
グリーンシートのブロッキング特性評価は、A~Cが良好であり、その中で最もAが優れている。
実施例1においては、帯電量の絶対値が1kV以下、巻き出しにバタツキもなく、判定をAとした。
[実施例2~5]
粒子の種類や粒子径を表に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同じ実施形態にてフィルムを得た。
粒子の種類や粒子径を表に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同じ実施形態にてフィルムを得た。
[実施例6]
厚み、組成を表に記載のとおりとし、表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得た後、未延伸積層フィルムを相対する電極とアースロール間に導き、装置中に窒素ガスを導入し、E値が160W・min/m2となる条件で大気圧グロー放電処理を行った以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。
厚み、組成を表に記載のとおりとし、表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得た後、未延伸積層フィルムを相対する電極とアースロール間に導き、装置中に窒素ガスを導入し、E値が160W・min/m2となる条件で大気圧グロー放電処理を行った以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。
[実施例7~9]
実施例1と同じ実施形態にて厚み比、A層、B層の組成を変更した後、未延伸積層フィルムを得た後、ガンマ線照射施設を用い100kV、30kGy(実施例7)、100kV、100kGy(実施例8)および100kV、20kGy(実施例9)の吸収線量にて放射線処理を実施した。ピンホールや凹みは無く、巻き出し状態は良好であった。
実施例1と同じ実施形態にて厚み比、A層、B層の組成を変更した後、未延伸積層フィルムを得た後、ガンマ線照射施設を用い100kV、30kGy(実施例7)、100kV、100kGy(実施例8)および100kV、20kGy(実施例9)の吸収線量にて放射線処理を実施した。ピンホールや凹みは無く、巻き出し状態は良好であった。
[比較例1]
B層の組成、熱固定温度を240℃とした以外は、実施例1と同じ実施形態にてフィルムを得た。
B層の組成、熱固定温度を240℃とした以外は、実施例1と同じ実施形態にてフィルムを得た。
[比較例2]
A層およびB層には表1のとおりに粒子を含有させた以外は、実施例1と同じ実施形態にてフィルムを得た。
A層およびB層には表1のとおりに粒子を含有させた以外は、実施例1と同じ実施形態にてフィルムを得た。
[比較例3]
A層、B層への粒子含有量を表1のとおりに変更した以外は、実施例6と同じ実施形態にてフィルムを得た。
A層、B層への粒子含有量を表1のとおりに変更した以外は、実施例6と同じ実施形態にてフィルムを得た。
[比較例4]
実施例4と同じ実施形態にて、熱固定温度を210℃調整した。
実施例4と同じ実施形態にて、熱固定温度を210℃調整した。
[比較例5]
実施例1と同じ実施形態にて、A層、B層への粒子添加量を表1のとおりに変更した。
実施例1と同じ実施形態にて、A層、B層への粒子添加量を表1のとおりに変更した。
本発明によれば、シート成型用支持体として使用時に、巻き取り後の支持体背面形状が、シート表面へ転写することや、ブロッキングを発生させることを限りなく抑止した二軸配向ポリエステルフィルムを提供することができ、とくに超薄膜のセラミックシート製造用の離型フィルムにおける、支持体として好適に用いることが出来る。
Claims (7)
- 2層以上の積層ポリエステルフィルムであって、少なくとも1方の表層(表層A)は実質的に粒子を含有せず、もう1方の表層(表層B)は体積平均粒子径が1.0μm以下の粒子を含有し、表層Aのフィルム表面が、原子間力顕微鏡(AFM)のフォースボリューム法により測定される突起高さが5nm以上50nm以下の突起個数が100個/50μm□(2500μm2)以上5000個/50μm□(2500μm2)以下でありかつ、突起高さが50nmを超え150nm以下の突起個数が1個/50μm□(2500μm2)以上100個/50μm□(2500μm2)以下である二軸配向積層ポリエステルフィルム。
- 前記表層Aのフィルム表面が、中心線粗さSRaが1nm以上10nm以下、かつ最大山高さSRpが100nm以下である、請求項1に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
- 前記表層Bに含有する粒子の含有量が、表層B全体に対して0.20~0.80質量%である請求項1または2に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
- 前記二軸配向積層ポリエステルフィルムは硫黄元素およびリン元素を含有し、前記二軸配向積層ポリエステルフィルムのいずれかの層において、当該層の全質量に対して硫黄元素の含有量が2~20質量ppm、リン元素の含有量が2~20質量ppm、カルシウム元素、マグネシウム元素、マンガン元素の含有量の合計が5質量ppm以下である、請求項1~3のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
- ポリエステル樹脂を溶融押出してシート状に押し出す工程、シート状に押し出した未延伸フィルムの表面に微細結晶化構造を付与する工程、フィルム長手方向へ延伸する工程、フィルム幅方向へ延伸する工程をその順に有する、請求項1~4のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法。
- 前記微細結晶化構造を付与する工程が、エッチング処理、印刷処理、レーザー処理、エンボス処理、プラズマ処理、コロナ処理、ガンマ線処理から選択される少なくとも1つの処理である請求項5に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法。
- 請求項1~4のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムの前記表層Aおよび/または前記表層B上に離型層を有する離型フィルム。
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JP2021118447A Pending JP2022052717A (ja) | 2020-09-23 | 2021-07-19 | 二軸配向積層ポリエステルフィルム、離型フィルム、および二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法 |
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2021
- 2021-07-19 JP JP2021118447A patent/JP2022052717A/ja active Pending
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