JP2004291410A - 熱硬化性樹脂成型体の製造方法およびその方法によって作製された熱硬化性樹脂成型体 - Google Patents
熱硬化性樹脂成型体の製造方法およびその方法によって作製された熱硬化性樹脂成型体 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】熱硬化性樹脂成型体に関し、膜厚の均一性に優れ、かつ細孔等のない平面性、光沢性に優れた製造方法およびその製造方法によって作製された熱硬化性樹脂成型体を提供することを目的とする。
【解決手段】支持体の上に、SiOxもしくはSiNx、TixOy、AlxOyまたはそれらのうち少なくとも1つを含む複合膜とする金属酸化物を形成し、前記金属酸化物を水の接触角が50°以下に親和化処理した後、樹脂前駆体を塗布することを特徴とする。また、上記の金属酸化物を、UV照射処理、もしくはプラズマ処理のいずれかでの親和化処理したことが好適である。さらに、上記の金属酸化物が、無機元素のアルコキシドであって、Si、Ti、Alから選ばれる少なくとも1つの元素のアルコキシド化合物であることが好適である。
【選択図】 図1
【解決手段】支持体の上に、SiOxもしくはSiNx、TixOy、AlxOyまたはそれらのうち少なくとも1つを含む複合膜とする金属酸化物を形成し、前記金属酸化物を水の接触角が50°以下に親和化処理した後、樹脂前駆体を塗布することを特徴とする。また、上記の金属酸化物を、UV照射処理、もしくはプラズマ処理のいずれかでの親和化処理したことが好適である。さらに、上記の金属酸化物が、無機元素のアルコキシドであって、Si、Ti、Alから選ばれる少なくとも1つの元素のアルコキシド化合物であることが好適である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明に属する技術分野】
本発明は、熱硬化性樹脂成型体の製造方法およびその方法によって作製された熱硬化性樹脂成型体に関するもので、特に、複写機等の電子写真記録装置において使用される定着ベルトあるいは中間転写ベルト等に有用である。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ、ビデオプリンター等においては、通常、感光体ドラム等の像担持体にトナー等の記録剤を介して現像した像を直接、印刷シート状に定着させる直接方式が使用されている。かかる装置においては、トナー画像を加熱定着させる定着ベルトが使用されている。
【0003】
一方、上記感光体ドラム等の紙づまりによる早期損傷を回避するために、感光体ドラム上のトナー像を一旦中間転写ベルトに転写し、この転写像を記録シート上に定着させる間接方式、つまり、トナー画像の転写と複写紙への定着、またはトナー像の形成から定着までを同一プロセスで行う中間転写方式が開発されつつある。この中間転写方式の一つとして、静電誘導現象を利用してトナー像を転写する方式とがあり、中間転写ベルトが使用されている。
【0004】
こうしたベルトにあっては、トナー像の静電的吸着によりフリーとなる当該ベルトの電荷(トナー像の帯電荷と同極性)を逃すために、同ベルトがカーボンブラック等の添加により導電性とされ、通常両者ともに、同じ成形法によるフィルム状のシームレスベルトが使用されている。
【0005】
また、従来から知られたフィルムの製法としてキャスティング法があり、厚みの均一性に平面性、光沢性に優れたフィルムが得られ、特に耐熱性フィルムであるポリイミドフィルムのような融点の高い素材には適した製造方法である。具体的には、円筒状およびシート状の支持体の上に水の接触角50°以上の金属酸化物を形成し、その上にポリアミック酸溶液をキャスティングして導電性熱硬化性樹脂を作成する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−58423号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法では、以下のような問題点が生じることがある。
従来技術において、支持体の上に水の接触角50°以上の金属酸化物を形成され、その上にポリアミック酸溶液をキャスティングする方法では、金属酸化物の種類や表面状態によっては、ポリキャスティング方向および流延方向に隙間を生じる可能性があり、ポリアミック酸間での密着性がよくない部分が生じる可能性がある。従って、こうした状態でポリアミック酸を硬化乾燥して導電性熱硬化性樹脂を形成すると、キャスティング方向および流延方向に隙間の生じた部分で膜厚の不均一や穴などが生じる可能性がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、かかる課題を解消し、膜厚の均一性に優れ、かつ細孔等のない平面性、光沢性に優れた熱硬化性樹脂成型体の製造方法およびその製造方法によって作製された熱硬化性樹脂成型体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す熱硬化性樹脂成型体の製造方法およびその製造方法によって作製された熱硬化性樹脂成型体により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
本発明は、支持体の上に、SiOxもしくはSiNx、TixOy、AlxOyまたはそれらのうち少なくとも1つを含む複合膜とする金属酸化物を形成し、前記金属酸化物を水の接触角が50°以下に親和化処理した後、樹脂前駆体を塗布することを特徴とする。こうした製造方法を採用することによって、金属酸化物表面では、キャスティング性が向上して切れることがなく、またその密着性も大きく向上する。従って、膜厚の均一性に優れ、かつ細孔等のない平面性、光沢性に優れた熱硬化性樹脂成型体の製造方法の提供が可能となる。
【0011】
また、上記の金属酸化物を、UV照射処理、もしくはプラズマ処理のいずれかでの親和化処理したことが好適である。こうした処理によって、支持体である金属体表面およびポリアミック酸にダメージを与えることなく、優れた親和性処理を行うことができる。
【0012】
さらに、上記の金属酸化物が、無機元素のアルコキシドであって、Si、Ti、Alから選ばれる少なくとも1つの元素のアルコキシド化合物であることが好適である。こうした素材を使用して処理することで、ポリアミック酸の膜厚の均一性を保持しつつ、イミド転化終了後に管状体をスムーズに脱離できることができる。
【0013】
また、上記のいずれかの製造方法によって作製された熱硬化性樹脂成型体にあっては、膜厚の均一性に優れ、かつ細孔等のない平面性、光沢性に優れた熱硬化性樹脂成型体の提供が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、主としてポリイミド製のベルトを中心に説明する。むろん、本発明はこれに限られるものではなく、他の樹脂製フィルムにも適用可能であることはいうまでもない。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するために、(1)支持体の上に水の接触角50℃以下の金属酸化物を形成し、(2)さらにその上にポリアミック酸を形成することによって、優れた特性の導電性熱硬化性樹脂を作製することを特徴とする。
【0016】
つまり、支持体の上に、SiOxもしくはSiNx、TixOy、AlxOyまたはそれらのうち少なくとも1つを含む複合膜とする金属酸化物を形成し、前記金属酸化物を水の接触角が50°以下に親和化処理した後、樹脂前駆体を塗布することを特徴とする。導電性熱硬化性樹脂の表面に金属酸化物層を設けることは、熱硬化処理終了後の管状体の脱離を容易に行うために有効な手段であり、また、導電性熱硬化性樹脂の前駆体と金属酸化物との親和性を高めるためには、金属酸化物の処理として水の接触角が50°以下であることが好適であることの知見を得たものである。この構成にすると、金属酸化物層にキャスティングされた導電性熱硬化性樹脂の前駆体は、その表面では、キャスティング性が向上して切れることがなく、またその密着性も大きく向上する。
【0017】
支持体は、平坦かつ均一な表面を有し、腐食しにくく継ぎ目に欠点がないことが必要で、表面を十分に研磨して使用される。材料としては、ニッケル、クロム、銅或いはステンレススチールなどが用いられる。
【0018】
金属酸化物としては、特に限定するものではないが、SiOx、SiNx、TixOy或いはAlxOyが挙げられ、具体的にはSiO2 、TiO2 、Al2 O3 等が好適である。これらは単独で用いてもよいし、二種以上併せて用いてもよい。また、フィルムの脱離性の点から、特にSiO2 を用いることが好ましい。
【0019】
親和化処理としては、後述のUV照射処理、もしくはプラズマ処理を含め、金属酸化物層の表面をイオン化したり、或いは機械的に細かな凹凸を存在させるような処理などがある。
【0020】
また、水の接触角については、50°を超えると上記のようなポリキャスティング方向および流延方向に隙間を生じ、フィルム素材の前駆体との間での密着性がよくない部分が生じる可能性があるとの発明者の知見に基づくものであり、特にポリアミック酸との密着性の向上には50°以下が非常に好適である。ここで、水の接触角とは、後述の測定法によって測定された値を基準としている。
【0021】
また、本発明の導電性熱硬化性樹脂においては、上記の親和化処理が、UV照射処理、もしくはプラズマ処理のいずれかであることが好適である。上記のように支持体の上の金属酸化物を処理することにより、金属体表面およびポリアミック酸にダメージを受けることなく、金属酸化物表面の親和化処理を行うことができる。具体的には、上記のUV照射処理として、例えば、172nmのXeエキシマUV光を利用する装置(例えば、エム・ディ・エキシマ社製MEUT−1−750)を使って表面処理を行うことができる。なお、照射ガスとしては、Xe以外にも、NeF、Ar2 、Kr2 、F2 、ArBr、ArC1、Krl 、ArF,KrBr.KrC1、KrF、XeI、CI2 、XeBr、Br2 、XeCI、I2 、XeF、HgI、HgBr 、HgCI およびそれらのうち少なくとも1つを含むことが好適である。また、上記のプラズマ処理については、プラズマ化されたエアにより、表面でのイオン活性化を図ることができる(例えば、PLASMA−FINISH GmbH社製V55−GKM)。
【0022】
上記のいずれかの製造方法によって作製された熱硬化性樹脂成型体は、膜厚の均一性に優れ、かつ細孔等のない平面性、光沢性に優れた熱硬化性樹脂成型体であり、特にポリイミド製のフィルムにあっては、定着ベルトや中間転写ベルトとして優れた特性を発揮する。
【0023】
また、上記のポリアミック酸は、カルボン酸二無水物とジアミンを溶媒中で重合反応させて得ることができる。機械的強度等の面からカルボン酸二無水物として、芳香族カルボン酸二無水物が好ましく、芳香族テトラカルボン酸二無水物であるとより好ましい。このような芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’ ,4,4’ −ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’ ,4,4’ −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’ ,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸三無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。一方ジアミンの例としては、4,4’ −ジアミノジフェニルエーテル、4,4’ −ジアミノジフェニルメタン、3,3’ −ジアミノジフェニルメタン、3,3’ −ジクロロベンジジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ベンジジン、3,3’ −ジメチルベンジジン等が挙げられる。
【0024】
上記のカルボン酸二無水物とジアミンを重合反応させる際の溶媒としては適宜なものを用いうるが、溶解性等の点から極性溶媒が好ましく用いられる。このような極性溶媒としては、N,N−ジアルキルアミド類が有用であり、例えば低分子量のN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられ、これらは蒸発、置換または拡散によりポリアミック酸及びポリアミック酸成形品から容易に除去することができる。これ以外の有機極性溶媒として、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、併せて用いてもよい。さらに、上記有機極性溶媒にクレゾール、フェノール等のフェノール類、ベンゾニトリル、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等を単独又は併せて混合することもできる。なお、ポリアミック酸は加水分解して低分子量化するため、ポリアミック酸の重合は実質上無水条件下で行うことが好ましい。上記のカルボン酸二無水物(a)とジアミン(b)とを有機極性溶媒中で反応させることでポリアミック酸が得られる。その際のモノマー濃度(溶媒中における(a)+(b)の濃度)は、種々の条件に応じて設定されるが、5〜30重量%が好ましい。また、反応温度は80℃以下に設定することが好ましく、特に好ましくは5〜50℃である。
【0025】
このようにして、カルボン酸二無水物とジアミンとを有機極性溶媒中で反応させることでポリアミック酸が生成し、その反応の進行に伴い溶液粘度が上昇する。本発明において、膜厚の均一性、製造コスト、または省エネルギーなどの点からある程度低い粘度のポリアミック酸溶液を用いる必要があり、この点を考慮した上で、適当な粘度のポリアミック酸溶液を用いる必要がある。具体的には、ポリアミック酸溶液のB型粘度計における粘度(25℃)は0.1〜10000ポアズが好ましく、1〜8000ポアズがより好ましい。
【0026】
上記のポリアミック酸溶液を水の接触角50°以下の表面に改質させた金属酸化物にキャスティングし、その上にポリアミック酸が形成させ、溶媒の除去を行うために大気中において50〜250℃の加熱し、その後、金属体より離型を行って導電性熱硬化性樹脂を得る。
【0027】
以上は、本発明の実施の態様の一部について述べたが、場合によってはベルト材に限らず、導電性や高い機械的強度といった優れた特性を活かせる導電性熱硬化性樹脂を使用した各種部材についても適用されるものであり、また、導電性熱硬化性樹脂の種類についても、ポリイミド樹脂に限定されるものでないことはいうまでもなく、さらに広い用途にも利用することができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の構造と効果を具体的に示す実施例について説明する。なお、実施例等における試験・評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0029】
<評価試験方法>
(1)水の接触角
自動接触角計(協和界面科学社製、CA−Z)にて測定した。
(2)膜厚差
リニアゲージ(ミツトヨ社製、ID−C112)にて膜厚を測定し、そのばらつきの最大値と最小値との差を膜厚差とした。
【0030】
<実施例1>
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に、3,3’ ,4,4’ −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンの路等モルを(固形分濃度20%)溶解し、窒素雰囲気中において室温で覚きしながら反応させて、1500ポイズのポリアミド酸溶液を得た。円筒状の支持体の内面に金属酸化物をキャスティングし、400℃の窒素雰囲気中で30分加熱し、その支持体の内面に室温で172nmの単色光を有するXeエキシマUV光の照度を20、10、5、2、0mW/cm2 として照射し、上記のポリアミック酸溶液を金型の内面に厚さ400μm程度でキャスティング間隔を0.5mmとしてキャスティングを行い、金型の外側より60℃の熱風を60分間あてた後、150℃で50分間加熱し、その後、250℃で20分間加熱し、金型から離型を行い、さらに400℃の窒素雰囲気中で20分間加熱し、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応を行うことにより、シームレス状のベルトA、B、C、D、Eを作成した。
上記の導電性熱硬化性樹脂のキャスティングした断面図を図面1に示す。支持体3上に金属酸化物層2がキャスティングされた後、親和化処理された表面に導電性熱硬化性樹脂(ポリアミック酸)1がキャスティングされている状態を示しており、金属酸化物層2に対しポリアミック酸1の接触角が50°以下であることが好ましい。
【0031】
上記のシームレス状のベルトA、B、C、D、Eにおいて、キャスティング間隔を設けた部分での膜厚差の最大値を、下表1に示す。
【表1】
【0032】
<実施例2>
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に、3,3’ ,4,4’ −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンの略等モルを(固形分濃度20%)溶解し、窒素雰囲気中において室温で攪拌しながら反応させて、1500ポイズのポリアミド酸溶液を得た。円筒状の支持体の内面に金属酸化物をコーティングし、400℃の窒素雰囲気中で30分加熱し、その支持体の内面に室温で172nmの単色光を有するXeエキシマUV光の照度を20mW/cm2 として照射し金属体との距離を1.5、10.0、100.0mm、上記のポリアミック酸溶液を金型の内面に厚さ400μm程度でキャスティング間隔を0.5mmとしてキャスティングを行い、金型の外側より60℃の熱風を60分間あてた後、150℃で50分間加熱し、その後、250℃で20分間加熱し、金型から離型を行い、さらに400℃の窒素雰囲気中で20分間加熱し、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応を行うことにより、シームレス状のベルトA、B、Cを作成した。
【0033】
上記シームレス状のベルトA、B、Cにおいて、キャスティング間隔を設けた部分での膜厚の最大値を下表2に示す。
【表2】
【0034】
<試験結果>
表1の結果が示すように、実施例1のA、B、Dおよび実施例2のA、Bについては、いずれも膜厚差は所定範囲内にあった。これらを複写機等の中間転写ベルトとして使用したところ、転写ムラや色ズレはみられなかった。
一方、実施例1のEおよび実施例2のCについては、膜厚差のバラツキが大きな値となり、複写機等の中間転写ベルトとして使用したところ、転写ムラや色ズレがみられ問題があった。
【0035】
【発明の効果】
本発明のように、支持体の上に、SiOxもしくはSiNx、TixOy、AlxOyまたはそれらのうち少なくとも1つを含む複合膜とする金属酸化物を形成し、前記金属酸化物を水の接触角が50°以下に親和化処理した後、樹脂前駆体を塗布する方法を採用することによって、金属酸化物表面では、キャスティング性が向上して切れることがなく、またその密着性も大きく向上する。従って、膜厚の均一性に優れ、かつ細孔等のない平面性、光沢性に優れた熱硬化性樹脂成型体の製造方法の提供が可能となる。
【0036】
また、上記の金属酸化物を、UV照射処理、もしくはプラズマ処理のいずれかでの親和化処理することによって、支持体である金属体表面およびポリアミック酸にダメージを与えることなく、優れた親和性処理を行うことができる。
【0037】
さらに、上記の金属酸化物が、無機元素のアルコキシドであって、Si、Ti、Alから選ばれる少なくとも1つの元素のアルコキシド化合物を使用して処理することで、ポリアミック酸の膜厚の均一性を保持しつつ、イミド転化終了後に管状体をスムーズに脱離できることができる。
【0038】
また、上記のいずれかの製造方法によって作製された熱硬化性樹脂成型体にあっては、膜厚の均一性に優れ、かつ細孔等のない平面性、光沢性に優れた熱硬化性樹脂成型体の提供が可能となる。従って、こうした熱硬化性樹脂成型体を、複写機等の定着ベルトあるいは中間転写ベルト等に使用すると、像ムラあるいは転写ムラや色ズレのない鮮明な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属酸化物にキャスティングした導電性熱硬化性樹脂の断面図
【符号の説明】
1 導電性熱硬化性樹脂
2 金属酸化物層
3 支持体
【発明に属する技術分野】
本発明は、熱硬化性樹脂成型体の製造方法およびその方法によって作製された熱硬化性樹脂成型体に関するもので、特に、複写機等の電子写真記録装置において使用される定着ベルトあるいは中間転写ベルト等に有用である。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ、ビデオプリンター等においては、通常、感光体ドラム等の像担持体にトナー等の記録剤を介して現像した像を直接、印刷シート状に定着させる直接方式が使用されている。かかる装置においては、トナー画像を加熱定着させる定着ベルトが使用されている。
【0003】
一方、上記感光体ドラム等の紙づまりによる早期損傷を回避するために、感光体ドラム上のトナー像を一旦中間転写ベルトに転写し、この転写像を記録シート上に定着させる間接方式、つまり、トナー画像の転写と複写紙への定着、またはトナー像の形成から定着までを同一プロセスで行う中間転写方式が開発されつつある。この中間転写方式の一つとして、静電誘導現象を利用してトナー像を転写する方式とがあり、中間転写ベルトが使用されている。
【0004】
こうしたベルトにあっては、トナー像の静電的吸着によりフリーとなる当該ベルトの電荷(トナー像の帯電荷と同極性)を逃すために、同ベルトがカーボンブラック等の添加により導電性とされ、通常両者ともに、同じ成形法によるフィルム状のシームレスベルトが使用されている。
【0005】
また、従来から知られたフィルムの製法としてキャスティング法があり、厚みの均一性に平面性、光沢性に優れたフィルムが得られ、特に耐熱性フィルムであるポリイミドフィルムのような融点の高い素材には適した製造方法である。具体的には、円筒状およびシート状の支持体の上に水の接触角50°以上の金属酸化物を形成し、その上にポリアミック酸溶液をキャスティングして導電性熱硬化性樹脂を作成する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−58423号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法では、以下のような問題点が生じることがある。
従来技術において、支持体の上に水の接触角50°以上の金属酸化物を形成され、その上にポリアミック酸溶液をキャスティングする方法では、金属酸化物の種類や表面状態によっては、ポリキャスティング方向および流延方向に隙間を生じる可能性があり、ポリアミック酸間での密着性がよくない部分が生じる可能性がある。従って、こうした状態でポリアミック酸を硬化乾燥して導電性熱硬化性樹脂を形成すると、キャスティング方向および流延方向に隙間の生じた部分で膜厚の不均一や穴などが生じる可能性がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、かかる課題を解消し、膜厚の均一性に優れ、かつ細孔等のない平面性、光沢性に優れた熱硬化性樹脂成型体の製造方法およびその製造方法によって作製された熱硬化性樹脂成型体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す熱硬化性樹脂成型体の製造方法およびその製造方法によって作製された熱硬化性樹脂成型体により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
本発明は、支持体の上に、SiOxもしくはSiNx、TixOy、AlxOyまたはそれらのうち少なくとも1つを含む複合膜とする金属酸化物を形成し、前記金属酸化物を水の接触角が50°以下に親和化処理した後、樹脂前駆体を塗布することを特徴とする。こうした製造方法を採用することによって、金属酸化物表面では、キャスティング性が向上して切れることがなく、またその密着性も大きく向上する。従って、膜厚の均一性に優れ、かつ細孔等のない平面性、光沢性に優れた熱硬化性樹脂成型体の製造方法の提供が可能となる。
【0011】
また、上記の金属酸化物を、UV照射処理、もしくはプラズマ処理のいずれかでの親和化処理したことが好適である。こうした処理によって、支持体である金属体表面およびポリアミック酸にダメージを与えることなく、優れた親和性処理を行うことができる。
【0012】
さらに、上記の金属酸化物が、無機元素のアルコキシドであって、Si、Ti、Alから選ばれる少なくとも1つの元素のアルコキシド化合物であることが好適である。こうした素材を使用して処理することで、ポリアミック酸の膜厚の均一性を保持しつつ、イミド転化終了後に管状体をスムーズに脱離できることができる。
【0013】
また、上記のいずれかの製造方法によって作製された熱硬化性樹脂成型体にあっては、膜厚の均一性に優れ、かつ細孔等のない平面性、光沢性に優れた熱硬化性樹脂成型体の提供が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、主としてポリイミド製のベルトを中心に説明する。むろん、本発明はこれに限られるものではなく、他の樹脂製フィルムにも適用可能であることはいうまでもない。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するために、(1)支持体の上に水の接触角50℃以下の金属酸化物を形成し、(2)さらにその上にポリアミック酸を形成することによって、優れた特性の導電性熱硬化性樹脂を作製することを特徴とする。
【0016】
つまり、支持体の上に、SiOxもしくはSiNx、TixOy、AlxOyまたはそれらのうち少なくとも1つを含む複合膜とする金属酸化物を形成し、前記金属酸化物を水の接触角が50°以下に親和化処理した後、樹脂前駆体を塗布することを特徴とする。導電性熱硬化性樹脂の表面に金属酸化物層を設けることは、熱硬化処理終了後の管状体の脱離を容易に行うために有効な手段であり、また、導電性熱硬化性樹脂の前駆体と金属酸化物との親和性を高めるためには、金属酸化物の処理として水の接触角が50°以下であることが好適であることの知見を得たものである。この構成にすると、金属酸化物層にキャスティングされた導電性熱硬化性樹脂の前駆体は、その表面では、キャスティング性が向上して切れることがなく、またその密着性も大きく向上する。
【0017】
支持体は、平坦かつ均一な表面を有し、腐食しにくく継ぎ目に欠点がないことが必要で、表面を十分に研磨して使用される。材料としては、ニッケル、クロム、銅或いはステンレススチールなどが用いられる。
【0018】
金属酸化物としては、特に限定するものではないが、SiOx、SiNx、TixOy或いはAlxOyが挙げられ、具体的にはSiO2 、TiO2 、Al2 O3 等が好適である。これらは単独で用いてもよいし、二種以上併せて用いてもよい。また、フィルムの脱離性の点から、特にSiO2 を用いることが好ましい。
【0019】
親和化処理としては、後述のUV照射処理、もしくはプラズマ処理を含め、金属酸化物層の表面をイオン化したり、或いは機械的に細かな凹凸を存在させるような処理などがある。
【0020】
また、水の接触角については、50°を超えると上記のようなポリキャスティング方向および流延方向に隙間を生じ、フィルム素材の前駆体との間での密着性がよくない部分が生じる可能性があるとの発明者の知見に基づくものであり、特にポリアミック酸との密着性の向上には50°以下が非常に好適である。ここで、水の接触角とは、後述の測定法によって測定された値を基準としている。
【0021】
また、本発明の導電性熱硬化性樹脂においては、上記の親和化処理が、UV照射処理、もしくはプラズマ処理のいずれかであることが好適である。上記のように支持体の上の金属酸化物を処理することにより、金属体表面およびポリアミック酸にダメージを受けることなく、金属酸化物表面の親和化処理を行うことができる。具体的には、上記のUV照射処理として、例えば、172nmのXeエキシマUV光を利用する装置(例えば、エム・ディ・エキシマ社製MEUT−1−750)を使って表面処理を行うことができる。なお、照射ガスとしては、Xe以外にも、NeF、Ar2 、Kr2 、F2 、ArBr、ArC1、Krl 、ArF,KrBr.KrC1、KrF、XeI、CI2 、XeBr、Br2 、XeCI、I2 、XeF、HgI、HgBr 、HgCI およびそれらのうち少なくとも1つを含むことが好適である。また、上記のプラズマ処理については、プラズマ化されたエアにより、表面でのイオン活性化を図ることができる(例えば、PLASMA−FINISH GmbH社製V55−GKM)。
【0022】
上記のいずれかの製造方法によって作製された熱硬化性樹脂成型体は、膜厚の均一性に優れ、かつ細孔等のない平面性、光沢性に優れた熱硬化性樹脂成型体であり、特にポリイミド製のフィルムにあっては、定着ベルトや中間転写ベルトとして優れた特性を発揮する。
【0023】
また、上記のポリアミック酸は、カルボン酸二無水物とジアミンを溶媒中で重合反応させて得ることができる。機械的強度等の面からカルボン酸二無水物として、芳香族カルボン酸二無水物が好ましく、芳香族テトラカルボン酸二無水物であるとより好ましい。このような芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’ ,4,4’ −ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’ ,4,4’ −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’ ,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸三無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。一方ジアミンの例としては、4,4’ −ジアミノジフェニルエーテル、4,4’ −ジアミノジフェニルメタン、3,3’ −ジアミノジフェニルメタン、3,3’ −ジクロロベンジジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ベンジジン、3,3’ −ジメチルベンジジン等が挙げられる。
【0024】
上記のカルボン酸二無水物とジアミンを重合反応させる際の溶媒としては適宜なものを用いうるが、溶解性等の点から極性溶媒が好ましく用いられる。このような極性溶媒としては、N,N−ジアルキルアミド類が有用であり、例えば低分子量のN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられ、これらは蒸発、置換または拡散によりポリアミック酸及びポリアミック酸成形品から容易に除去することができる。これ以外の有機極性溶媒として、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、併せて用いてもよい。さらに、上記有機極性溶媒にクレゾール、フェノール等のフェノール類、ベンゾニトリル、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等を単独又は併せて混合することもできる。なお、ポリアミック酸は加水分解して低分子量化するため、ポリアミック酸の重合は実質上無水条件下で行うことが好ましい。上記のカルボン酸二無水物(a)とジアミン(b)とを有機極性溶媒中で反応させることでポリアミック酸が得られる。その際のモノマー濃度(溶媒中における(a)+(b)の濃度)は、種々の条件に応じて設定されるが、5〜30重量%が好ましい。また、反応温度は80℃以下に設定することが好ましく、特に好ましくは5〜50℃である。
【0025】
このようにして、カルボン酸二無水物とジアミンとを有機極性溶媒中で反応させることでポリアミック酸が生成し、その反応の進行に伴い溶液粘度が上昇する。本発明において、膜厚の均一性、製造コスト、または省エネルギーなどの点からある程度低い粘度のポリアミック酸溶液を用いる必要があり、この点を考慮した上で、適当な粘度のポリアミック酸溶液を用いる必要がある。具体的には、ポリアミック酸溶液のB型粘度計における粘度(25℃)は0.1〜10000ポアズが好ましく、1〜8000ポアズがより好ましい。
【0026】
上記のポリアミック酸溶液を水の接触角50°以下の表面に改質させた金属酸化物にキャスティングし、その上にポリアミック酸が形成させ、溶媒の除去を行うために大気中において50〜250℃の加熱し、その後、金属体より離型を行って導電性熱硬化性樹脂を得る。
【0027】
以上は、本発明の実施の態様の一部について述べたが、場合によってはベルト材に限らず、導電性や高い機械的強度といった優れた特性を活かせる導電性熱硬化性樹脂を使用した各種部材についても適用されるものであり、また、導電性熱硬化性樹脂の種類についても、ポリイミド樹脂に限定されるものでないことはいうまでもなく、さらに広い用途にも利用することができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の構造と効果を具体的に示す実施例について説明する。なお、実施例等における試験・評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0029】
<評価試験方法>
(1)水の接触角
自動接触角計(協和界面科学社製、CA−Z)にて測定した。
(2)膜厚差
リニアゲージ(ミツトヨ社製、ID−C112)にて膜厚を測定し、そのばらつきの最大値と最小値との差を膜厚差とした。
【0030】
<実施例1>
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に、3,3’ ,4,4’ −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンの路等モルを(固形分濃度20%)溶解し、窒素雰囲気中において室温で覚きしながら反応させて、1500ポイズのポリアミド酸溶液を得た。円筒状の支持体の内面に金属酸化物をキャスティングし、400℃の窒素雰囲気中で30分加熱し、その支持体の内面に室温で172nmの単色光を有するXeエキシマUV光の照度を20、10、5、2、0mW/cm2 として照射し、上記のポリアミック酸溶液を金型の内面に厚さ400μm程度でキャスティング間隔を0.5mmとしてキャスティングを行い、金型の外側より60℃の熱風を60分間あてた後、150℃で50分間加熱し、その後、250℃で20分間加熱し、金型から離型を行い、さらに400℃の窒素雰囲気中で20分間加熱し、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応を行うことにより、シームレス状のベルトA、B、C、D、Eを作成した。
上記の導電性熱硬化性樹脂のキャスティングした断面図を図面1に示す。支持体3上に金属酸化物層2がキャスティングされた後、親和化処理された表面に導電性熱硬化性樹脂(ポリアミック酸)1がキャスティングされている状態を示しており、金属酸化物層2に対しポリアミック酸1の接触角が50°以下であることが好ましい。
【0031】
上記のシームレス状のベルトA、B、C、D、Eにおいて、キャスティング間隔を設けた部分での膜厚差の最大値を、下表1に示す。
【表1】
【0032】
<実施例2>
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に、3,3’ ,4,4’ −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンの略等モルを(固形分濃度20%)溶解し、窒素雰囲気中において室温で攪拌しながら反応させて、1500ポイズのポリアミド酸溶液を得た。円筒状の支持体の内面に金属酸化物をコーティングし、400℃の窒素雰囲気中で30分加熱し、その支持体の内面に室温で172nmの単色光を有するXeエキシマUV光の照度を20mW/cm2 として照射し金属体との距離を1.5、10.0、100.0mm、上記のポリアミック酸溶液を金型の内面に厚さ400μm程度でキャスティング間隔を0.5mmとしてキャスティングを行い、金型の外側より60℃の熱風を60分間あてた後、150℃で50分間加熱し、その後、250℃で20分間加熱し、金型から離型を行い、さらに400℃の窒素雰囲気中で20分間加熱し、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応を行うことにより、シームレス状のベルトA、B、Cを作成した。
【0033】
上記シームレス状のベルトA、B、Cにおいて、キャスティング間隔を設けた部分での膜厚の最大値を下表2に示す。
【表2】
【0034】
<試験結果>
表1の結果が示すように、実施例1のA、B、Dおよび実施例2のA、Bについては、いずれも膜厚差は所定範囲内にあった。これらを複写機等の中間転写ベルトとして使用したところ、転写ムラや色ズレはみられなかった。
一方、実施例1のEおよび実施例2のCについては、膜厚差のバラツキが大きな値となり、複写機等の中間転写ベルトとして使用したところ、転写ムラや色ズレがみられ問題があった。
【0035】
【発明の効果】
本発明のように、支持体の上に、SiOxもしくはSiNx、TixOy、AlxOyまたはそれらのうち少なくとも1つを含む複合膜とする金属酸化物を形成し、前記金属酸化物を水の接触角が50°以下に親和化処理した後、樹脂前駆体を塗布する方法を採用することによって、金属酸化物表面では、キャスティング性が向上して切れることがなく、またその密着性も大きく向上する。従って、膜厚の均一性に優れ、かつ細孔等のない平面性、光沢性に優れた熱硬化性樹脂成型体の製造方法の提供が可能となる。
【0036】
また、上記の金属酸化物を、UV照射処理、もしくはプラズマ処理のいずれかでの親和化処理することによって、支持体である金属体表面およびポリアミック酸にダメージを与えることなく、優れた親和性処理を行うことができる。
【0037】
さらに、上記の金属酸化物が、無機元素のアルコキシドであって、Si、Ti、Alから選ばれる少なくとも1つの元素のアルコキシド化合物を使用して処理することで、ポリアミック酸の膜厚の均一性を保持しつつ、イミド転化終了後に管状体をスムーズに脱離できることができる。
【0038】
また、上記のいずれかの製造方法によって作製された熱硬化性樹脂成型体にあっては、膜厚の均一性に優れ、かつ細孔等のない平面性、光沢性に優れた熱硬化性樹脂成型体の提供が可能となる。従って、こうした熱硬化性樹脂成型体を、複写機等の定着ベルトあるいは中間転写ベルト等に使用すると、像ムラあるいは転写ムラや色ズレのない鮮明な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属酸化物にキャスティングした導電性熱硬化性樹脂の断面図
【符号の説明】
1 導電性熱硬化性樹脂
2 金属酸化物層
3 支持体
Claims (4)
- 支持体の上に、SiOxもしくはSiNx、TixOy、AlxOyまたはそれらのうち少なくとも1つを含む複合膜とする金属酸化物を形成し、前記金属酸化物を水の接触角が50°以下に親和化処理した後、樹脂前駆体を塗布することを特徴とする熱硬化性樹脂成型体の製造方法。
- 前記金属酸化物が、UV照射処理、もしくはプラズマ処理のいずれかでの親和化処理したことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂成型体の製造方法。
- 前記金属酸化物が、無機元素のアルコキシドであって、Si、Ti、Alから選ばれる少なくとも1つの元素のアルコキシド化合物であることが特徴とする請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂成型体の製造方法。
- 前記請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によって作製された熱硬化性樹脂成型体。
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