JP6331868B2 - 押出成形管状体、管状体ユニット、中間転写体、記録媒体搬送体、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
請求項1に係る発明は、
結晶性熱可塑性樹脂と、導電剤と、前記結晶性熱可塑性樹脂よりも熱伝導率が小さい粒子と、を含有する押出成形管状体である。
前記粒子の熱伝導率は、0.1W/(m・K)以下である、請求項1に記載の押出成形管状体である。
前記粒子の個数平均粒径は、1μm以下である、請求項1又は請求項2に記載の押出成形管状体である。
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の押出成形管状体と、前記押出成形管状体を張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備える管状体ユニットである。
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の押出成形管状体からなる中間転写体である。
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の押出成形管状体からなる記録媒体搬送体である。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される、請求項5に記載の中間転写体と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
を備える画像形成装置である。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
記録媒体を搬送する請求項6に記載の記録媒体搬送体と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を、前記記録媒体搬送体上の前記記録媒体に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置である。
本実施形態に係る押出成形管状体は、結晶性熱可塑性樹脂と、導電剤と、前記結晶性熱可塑性樹脂よりも熱伝導率が小さい粒子(以下「低熱伝導性粒子」と称する場合がある)と、を含有する。
ここで、「押出成形管状体」とは、押出成形によって管状に成形されたものを意味する。また押出成形は、管状体を構成する樹脂等が溶融したもの(溶融樹脂)を、押出機等によって管状(円筒状)に押し出し、その後冷却することで固化させる成形方法である。
管状に押し出された溶融樹脂を冷却する方法は、特に限定されず、例えば、押し出された溶融樹脂の内周面又は外周面を冷却部材(例えば金属製のサイジングダイ等)に接触させることで冷却部材の形状(径)に成形された管状体を得る方法が挙げられる。また、押出成形管状体は、冷却部材を用いず、溶融樹脂の内周面側に気体を導入することで、溶融樹脂を冷却しながら気体の圧力で成形(例えばインフレーション成形等)して得られた管状体であってもよい。
なお、管状体が押出成形によって管状に成形されたものであるか否かは、例えば管状体の表面状態を調べることによって確認される。具体的には、例えば、管状に押し出された溶融樹脂の内周面のみに冷却部材を接触させた場合、溶融樹脂の外周面は金属に接触せずに冷却及び固化されて管状体が得られる。また、上記インフレーション成形においては、管状に押し出された溶融樹脂の外周面及び内周面のいずれも金属等の固体に接触せずに溶融樹脂が冷却及び固化し、管状体が得られる。すなわち、例えば、管状体の外周面及び内周面の少なくとも一方が、金型等の固体に接触せずに冷却及び固化された表面状態である場合は、押出成形管状体であると言える。
以下、押出成形管状体を単に「管状体」と称する場合がある。
このとき、押出機から押し出された溶融樹脂は、冷却装置に到達する前においても、溶融樹脂の熱が徐々に放出され、温度が下がる場合がある。そして、溶融樹脂が結晶性熱可塑性樹脂を含む場合は、冷却装置に到達する前に温度が下がって結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度に達すると、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化が進行する。すると、溶融樹脂中に含まれる導電剤が、結晶性熱可塑性樹脂が結晶化した領域から排除されて偏在しやすくなるため、得られた管状体の抵抗値がバラツキやすくなる。
なお、本実施形態の押出成形管状体は、結晶性熱可塑性樹脂を含むため、熱可塑性樹脂として非晶性の樹脂を用いた場合に比べて、高い強度、耐摩耗性が得られる。
また、本実施形態に係る管状体は、結晶性熱可塑性樹脂と導電剤と低熱伝導性粒子とを含有する層を有していればよく、該層とその他の層とを積層した積層体であってもよい。具体的には、例えば、上述の樹脂組成物により形成された層からなる単層の管状体であってもよく、上述の樹脂組成物により形成された層の表面に離型層を有する積層型の管状体であってもよい。
結晶性熱可塑性樹脂とは、結晶性の熱可塑性樹脂であり、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する熱可塑性樹脂をいう。具体的には、例えば、結晶性とは、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを意味し、非晶性とは、吸熱ピークがなくガラス転移温度である階段状の吸熱量変化が認められ得ることを意味する。
ポリフェニレンスルフィド樹脂としては、例えば、ジクロロベンゼンと硫化ナトリウムとを単量体として重合させる方法、すなわちポリフェニレンスルフィド樹脂の一般的な合成方法であるフィリップス・ぺトローリアム法で得られる下記式(1)で表される繰り返し構造単位を含む重合体が挙げられる。
また、ポリフェニレンスルフィド樹脂として架橋構造を有する樹脂を用いてもよく、具体的には、同一の分子鎖内または異なる分子鎖間、並びに同一の分子鎖内および異なる分子鎖間に、例えば、単結合、エーテル結合を介して架橋されているポリフェニレンスルフィド樹脂の架橋構造が挙げられる。例えば、エーテル結合で架橋したポリフェニレンスルフィド樹脂の架橋構造(下記式(2)の構造)や、単結合で架橋したポリフェニレンスルフィド樹脂の架橋構造(下記式(3)の構造)を有するものが挙げられる。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂は、ベンゼン環がエーテル結合とケトン結合によってつながった樹脂である。例えば、ヒドロキノンと、フッ素を置換体として両端に結合させたベンゾフェノンを求核置換反応で結合させることで得られる。また、ベンゾフェノンと、両端に求電子剤(塩素等)を結合させたケトン基を持つベンゼン環を、塩化アルミニウムなどを触媒として、フリーデル・クラフツ反応で結合させることでも得られる。
導電剤は、添加することで管状体に導電性を付与し得る物質を指す。
導電剤の具体例としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、カーボン繊維等の炭素系化合物、;アルミニウム、ニッケル等の金属;酸化イットリウム、酸化スズ等の金属酸化物;チタン酸カリウム、塩化カリウム等のイオン導電性物質;ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性高分子化合物;有機金属化合物;有機金属塩;等が挙げられる。導電剤は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックは、特に限定されないが、例えば、ケッチェンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、表面が酸化されたカーボンブラック(表面酸化処理カーボンブラック)、表面が黒鉛化された黒鉛化処理カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、これらの中から1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、上記観点からは、カーボンブラックの平均一次粒径は小さい程よいが、一次粒径が小さすぎると嵩密度が小さくなり取り扱いが困難になることや表面積が大きくなるために分散物がチキソ性を示すようになることから、10nm以上(望ましくは12nm以上)であることがよい。
まず、得られた管状体から、ミクロトームにより切断して、100nmの厚さの測定サンプルを採取し、本測定サンプルをTEM(透過型電子顕微鏡)により観察する。そして、カーボンブラックの一次粒子50個の径を測定して、その平均値を平均一次粒径とする。
熱重量分析器(島津製作所製DTG−60)を用い、窒素雰囲気下で120℃15分加熱し水分を揮発させた後、20℃/分の速度で500℃まで昇温する。その時の120℃15分後の質量(120℃質量と表記)と360℃まで昇温したときの質量(360℃質量と表記)を調べ、式:(120℃質量−360℃質量)/120℃質量×100により計算して、カーボンブラックの揮発分率を求める。
カーボンブラックの配合量が上記下限値未満である場合に比べて、上記範囲内である方が、経時において管状体における抵抗率の維持性が良好である。一方、上記上限値を超える場合に比べて、上記範囲内である方が、管状体が脆くなることによる破断や端部の裂けが発生しにくい。
低熱伝導性粒子は、併用する結晶性熱可塑性樹脂よりも熱伝導率が小さいものであればよく、結晶性熱可塑性樹脂の熱伝導率の0.5倍以下の熱伝導率を有する粒子が好ましく、0.2倍以下の熱伝導率を有する粒子がさらに好ましい。
また、低熱伝導性粒子の熱伝導率としては、管状体の抵抗値のバラツキを抑制する観点から、0.1W/(m・K)以下が挙げられ、0.05W/(m・K)以下が好ましく、0.02W/(m・K)以下がより好ましい。
無機粒子の空隙率は、無機粒子全体の体積に対する空隙の体積の割合であり、例えば、空隙率を求める無機粒子の密度と、無機粒子を構成する無機材料そのものの密度と、の比から求められる。
なお、低熱伝導性粒子の平均一次粒径は、前記カーボンブラックの平均一次粒径と同様の方法で求められる。
なお、管状体の表面粗さが小さいほど、管状体のクリーニング性も良好となる。
その他添加剤としては、例えば、管状体の熱劣化を防止するための酸化防止剤や、流動性を向上させるための界面活性剤、耐熱老化防止剤、押出成形時の噛み込み防止のための滑剤等、特に画像形成装置の無端ベルトに配合される周知の添加剤が挙げられる。
次に、本実施形態に係る管状体の物性について説明する。
本実施形態に係る管状体は、常温常湿(温度22℃、湿度55RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率(管状体の平均表面抵抗率)が7logΩ/□以上13Ω/□以下であることがよく、特に、管状体を中間転写ベルトとして適用する場合には8logΩ/□以上12logΩ/□以下であることがよく、管状体を記録媒体搬送転写ベルトとして適用する場合には9.5logΩ/□以上11.5logΩ/□以下であることがよい。
また、管状体の平均表面抵抗率は、例えば、管状体の外周面のうち、軸方向に4点、周方向に8点の総計32点において、常温常湿(温度22℃、湿度55RH%)環境下で、電圧100Vを印加して上記測定を行い、平均して求める。
さらに、管状体の表面抵抗率のバラツキは、例えば、上記管状体の平均表面抵抗率と同様の測定を行い、上記32点の表面抵抗率の最大値と最小値との差として求める。
本実施形態に係る管状体は、結晶性熱可塑性樹脂と導電剤と低熱伝導性粒子と必要に応じてその他の成分とを混練する工程と、上記混練工程にて得られた混練物を押出成形により管状に成形する工程と、を有する製造方法によって製造される。
具体的には、まず、結晶性熱可塑性樹脂と、導電剤と、低熱伝導性粒子と、必要に応じてその他の成分と、をそれぞれ目的とする配合量で混練混合して混練物を得、その後例えば押出成形機を用いて円筒状に押し出し、冷却固化させることで円筒状の成形体が得られる。そして、得られた円筒状の成形体を目的とする幅に切断して管状体を得る。
図4は、本実施形態に係る管状体を製造する管状体製造装置300の構成を概略的に示す断面図である。
一軸押出機330は、図示しないヒータを有し樹脂材料Pを加熱する加熱筒12と、加熱筒12に設けられ樹脂材料Pが投入される投入口11と、加熱筒12の内部に設けられ樹脂材料Pが溶融した溶融体Fを口金320へ搬送する搬送部材としてのスクリュー13と、を備えている。
口金320では、溶融状態の溶融体Fが、加熱筒12の先端部から流路22へ流入して流路22を通過し、一軸押出機330のスクリュー13の回転による推進力(搬送力)によって、出口孔23から管状に押し出されるようになっている。
そして冷却部材30は、例えば冷媒等によって溶融体Fの温度よりも低い温度に調整され、溶融体Fの内周面側から溶融体Fを冷却して硬化させる。
引き出し機50では、内側ロール52と外側ロール54とで管状体Tを挟み込み、内側ロール52及び外側ロール54が回転することで、溶融体Fの押出方向に管状体Tが引き出されるようになっている。
まず、結晶性熱可塑性樹脂と導電剤と低熱伝導性粒子とをあらかじめ混錬混合した混合物である樹脂材料P(ペレット)を得る(混錬工程)。
次に、一軸押出機330の投入口11から加熱筒12内部へ樹脂材料Pを投入し、当該樹脂材料Pを、加熱筒12の複数のヒータ(図示せず)により、樹脂材料Pの融解温度以上の温度(通常、150〜450℃)に加熱して溶融状態にし、溶融体Fを得る(加熱工程)。
次に、溶融状態の溶融体Fを、加熱筒12の内部のスクリュー13の推進力により、加熱筒12から口金320の流路22を通過させて、口金320の出口孔23から管状に押し出す(押出工程)。
次に、得られた管状体Tを引き出し機50により連続的に引き出す(引き出し工程)。具体的には、内側ロール52と外側ロール54とで管状体Tを挟み込みつつ、内側ロール52及び外側ロール54を回転させることで管状体Tに張力をかけ、管状体Tの形状を管状に保ったまま連続的に引き出す。
本実施形態では、前記の通り溶融体Fが低熱伝導性粒子を含むため、口金320の出口孔23から管状に押し出された溶融体Fが冷却部材30に到達する前に、溶融体Fの内部の熱が外部に放出されにくい。そのため、溶融体Fに含まれる結晶性熱可塑性樹脂の結晶化が起こりにくく、非晶状態のまま冷却部材30によって冷却固化されやすい。そのため、導電剤が均一に近い状態で分散され、表面抵抗率のバラツキが小さい管状体が得られると考えられる。
なお、管状体製造装置300では、溶融体Fの内周面側から溶融体Fを冷却して硬化させる冷却部材30を備えているが、これに限られず、溶融体Fの外周面側から溶融体Fを冷却して硬化させる冷却部材を備えた形態であってもよい。
図1は、本実施形態に係る管状体ユニットを示す概略斜視図である。
本実施形態に係る管状体ユニット130は、図1に示すように、上記本実施形態に係る管状体10を備えており、例えば、管状体10は対向して配置された駆動ロール131および従動ロール132により張力がかかった状態で掛け渡されている。
ここで、本実施形態に係る管状体ユニット130は、管状体10を中間転写体として適用させる場合、管状体10を支持するロールとして、感光体(像保持体)表面のトナー像を管状体10上に1次転写させるためのロールと、管状体10上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に2次転写させるためのロールが配置されていてもよい。
なお、管状体10を支持するロールの数は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。上記構成の管状体ユニット130は、装置に組み込まれて使用され、駆動ロール131、従動ロール132の回転に伴って管状体10も支持した状態で回転する。
本実施形態に係る画像形成装置としては、像保持体と、像保持体表面を帯電する帯電手段と、像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を有し、転写手段が、上記本実施形態に係る管状体を備えるものが挙げられる。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、例えば、いわゆるタンデム方式であり、電子写真感光体からなる4つの像保持体101a〜101dの周囲に、その回転方向に沿って順次、帯電装置102a〜102d、露光装置114a〜114d、現像装置103a〜103d、一次転写装置(一次転写ロール)105a〜105d、像保持体クリーニング装置104a〜104dが配置されている。尚、転写後の像保持体101a〜101dの表面に残留している残留電位を除去するために除電器を備えていてもよい。
像保持体101a〜101dとしては、公知の電子写真感光体が広く適用される。電子写真感光体としては、感光層が無機材料で構成される無機感光体や、感光層が有機材料で構成される有機感光体などが用いられる。有機感光体においては、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型有機感光体や、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を果たす単層型有機感光体が好適に用いられる。また、無機感光体においては、感光層がアモルファスシリコンにより構成されているものが、好適に用いられる。
帯電装置102a〜102dとしては、特に制限はなく、例えば、導電性(ここで、帯電装置における「導電性」とは例えば体積抵抗率が107Ω・cm未満を意味する。)または半導電性(ここで、帯電装置における「半導電性」とは例えば体積抵抗率が107乃至1013Ωcmを意味する。)のローラ、ブラシ、フィルム、またはゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器など、公知の帯電器が広く適用される。これらの中でも接触型帯電器が望ましい。
露光装置114a〜114dとしては、特に制限はなく、例えば、像保持体101a〜101dの表面に、半導体レーザ光、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)光、または液晶シャッタ光等の光源、又はこれらの光源からポリゴンミラーを介して定められた像様に露光し得る光学系機器など、公知の露光装置が広く適用される。
現像装置103a〜103dとしては、目的に応じて選択され。例えば、一成分系現像剤または二成分系現像剤をブラシ、またはローラ等を用い接触又は非接触で現像する公知の現像器などが挙げられる。
一次転写ロール105a〜105dは単層又は多層のいずれでもよい。例えば、単層構造の場合は、発泡または無発泡のシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。
像保持体クリーニング装置104a〜104dは、一次転写工程後の像保持体101a〜101dの表面に付着する残存トナーを除去するためのものであり、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
二次転写ロール109の層構造は、特に限定されるものではないが、例えば、三層構造の場合、コア層と中間層とその表面を被覆する塗布層により構成される。コア層は導電性粒子を分散したシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等の発泡体で、中間層はこれらの無発泡体で構成される。塗布層の材料としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、またはパーフルオロアルコキシ樹脂などが挙げられる。二次転写ロール109の体積抵抗率は107Ωcm以下であることが望ましい。また、中間層を除いた2層構造としてもよい。
対向ロール108は、二次転写ロール109の対向電極を形成する。対向ロール108の層構造は、単層又は多層のいずれでもよい。例えば単層構造の場合は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。二層構造の場合は、上記のゴム材料で構成される弾性層の外周面を高抵抗層で被覆したロールから構成される。
定着装置110としては、例えば、熱ローラ定着器、加圧ローラ定着器、またはフラッシュ定着器など公知の定着器が広く適用される。
中間転写ベルトクリーニング装置112および113としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。図3に示す画像形成装置は、上記本実施形態に係る管状体を記録媒体搬送体(用紙搬送ベルト)に適用した画像形成装置である。
以上により用紙上に所望の画像が形成される。
・溶融混練
結晶性熱可塑性樹脂としてPPS樹脂(ポリフェニレンスルフィド樹脂、トレリナT1881−3、東レ社製、熱伝導率:0.24W/(m・K))のペレット100部と、導電剤としてカーボンブラック(Monarch 880、キャボットスペシャリティケミカルズ社製、平均一次粒径15nm)14部と、添加剤として低熱伝導性粒子であるセラミックバルーン(e−sphere、太平洋セメント株式会社製、平均一次粒径:45μm、密度:0.45g/cm3、熱伝導率:0.1W/(m・K)、空隙率:80%)5質量部(混合物全体に対して12体積%)と、をヘンシェルミキサー(日本コークス製、FM10C)を用いて混合した。
得られた混合物を二軸押出溶融混練機(L/D60、パーカーコーポレーション社製)で溶融混錬したものを、φ5の孔より紐状に押出し、水槽内に通して冷却し、冷却固化した後に切断することで、低熱伝導性粒子含有樹脂のペレットを得た。
得られたペレットを、一軸溶融押出機(L/D24、溶融押出装置、三葉製作所社製)の材料供給口に投入し、引き取り機によって引き取りながら、環状ダイとニップルの間隙から円筒状に溶融押出させた。なお、環状ダイの温度を表1に示す押出温度に設定した。
円筒状に溶融押出された溶融樹脂を、管状体の形状及び径を固定化するために、85℃に設定したサイジングダイ(冷却用金型)へ内周面を接触させて冷却後、目的とする幅に切断し、φ160×幅232mm×厚さ100μmの管状体を得た。また、溶融樹脂の冷却を速やかに行うため、サイジングダイ外側に設けたエアリング(気体供給装置)より、サイジングダイと同じ温度の温風を供給した。
用いた結晶性熱可塑性樹脂の種類、導電剤の添加量、添加剤の種類及び添加量、並びに押出温度を表1に示すようにした以外は、PEEK樹脂パウダーの添加量を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして管状体を得た。
また、表1における「シラスバルーン」は、添加剤として低熱伝導性粒子であるシラスバルーン(シラファイン、ザンワーズ社製、平均一次粒径:2μm、密度:0.35g/cm3、熱伝導率:0.05W/(m・K)、空隙率:86%)を用いたことを意味する。
また、表1における「中空ナノシリカ」は、添加剤として低熱伝導性粒子である中空ナノシリカ(SiliNax、日鉄鉱業社製、平均一次粒径:0.1μm、密度:0.05g/cm3、熱伝導率:0.02W/(m・K)、空隙率:98%)を用いたことを意味する。
また、表1における「超微粒子シリカ」は、添加剤として低熱伝導性粒子の代わりに熱伝導率の高い無機粒子(高熱伝導性粒子)であるシリカ粒子(品名:デンカ溶融シリカ、電気化学工業社製、平均一次粒径:0.7μm、密度:2.2g/cm3、熱伝導率:1.3W/(m・K)、空隙率:0%)を用いたことを意味する。
(抵抗のバラツキの評価)
内円筒φ16、外円筒φ30×φ40の二重円筒式プローブを用い、下面を絶縁体にした測定装置によって、内円筒に100Vをかけたときに外円筒に流れる電流量(電圧印加後10秒値)を温度22℃湿度55RH%の環境下で測定し、表面抵抗率を求めた。
得られた管状体の外周面のうち周方向に6点、軸方向に3点の計18点について、上記方法により表面抵抗率を測定し、その最大表面抵抗率(logΩ/□)と最小表面抵抗率(logΩ/□)との差を、抵抗のバラツキとして評価した。また、上記18点の表面抵抗率を平均した値を平均表面抵抗率とした。結果を表1に示す。
なお、上記抵抗のバラツキは、画像濃度均一性を得る観点で0.6以下が望ましく、0.3以下がさらに望ましい。
得られた管状体の外周面の表面粗さRaを測定した。具体的には、測定装置として東京精密製サーフコム1400Dに先端R2μm、圧力0.7mNの触針をつけたものを用い、カットオフ0.8mm、測定長2.5mm、移動速度0.6mm/sの条件で測定した時のRa値を読み取った。結果を表1に示す。
なお、上記表面粗さRaは、クリーニング性の観点から0.2μm以下が望ましく、0.05μm以下がさらに望ましい。
得られた管状体を、中間転写体として富士ゼロックス社製のDocuPrint CP200Wに組み込み、22℃55%RHの環境下において低濃度画像(マゼンタ5%)を連続して1000枚のA4縦用紙に形成した後、前半部分のみにハーフトーン画像(マゼンタ40%)を有する画像をA4縦用紙3枚に形成し、後半部分の非画像部を目視により下記評価基準でクリーニング性の判定を行った。結果を表1に示す。
−評価基準−
A:画像 トナー汚れなし
B:画像 微小なトナー汚れあり
C:画像 ひどいトナー汚れあり
23 出口孔
30 冷却部材
50 引き出し機
100 画像形成装置
101a〜101d 像保持体
102a〜102d 帯電装置(帯電手段)
103a〜103d、204Y、204M、204C、204BK 現像装置(現像手段)
104a〜104d 像保持体クリーニング装置
105a〜105d 一次転写ロール
106a〜106e 支持ロール
107 中間転写ベルト
107b、130、220 管状体ユニット
108 対向ロール
109 二次転写ロール
110、209 定着装置(定着手段)
111 駆動ロール
112、113 中間転写ベルトクリーニング装置
114a〜114d 露光装置(潜像形成手段)
115 記録媒体
116 二次転写ベルト
131 駆動ロール
132 従動ロール
201Y、201M、201C、201BK 感光体ドラム(像保持体)
202Y、202M、202C、202BK 帯電器(帯電手段)
203Y、203M、203C、203BK 露光器(潜像形成手段)
205Y、205M、205C、205BK 感光体ドラム清掃部材
206 用紙搬送ベルト
207Y、207M、207C、207BK 転写ロール(転写手段)
214 ベルト用清掃部材
216 用紙(記録媒体)
300 管状体製造装置
310 押出装置
320 口金
330 一軸押出機
Claims (8)
- 結晶性熱可塑性樹脂と、導電剤と、前記結晶性熱可塑性樹脂よりも熱伝導率が小さい粒子と、を含有する押出成形管状体。
- 前記粒子の熱伝導率は、0.1W/(m・K)以下である、請求項1に記載の押出成形管状体。
- 前記粒子の個数平均粒径は、1μm以下である、請求項1又は請求項2に記載の押出成形管状体。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の押出成形管状体と、前記押出成形管状体を張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備える管状体ユニット。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の押出成形管状体からなる中間転写体。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の押出成形管状体からなる記録媒体搬送体。
- 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される、請求項5に記載の中間転写体と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
を備える画像形成装置。 - 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
記録媒体を搬送する請求項6に記載の記録媒体搬送体と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を、前記記録媒体搬送体上の前記記録媒体に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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