JP6519201B2 - 円筒状部材、円筒状部材ユニット、および画像形成装置 - Google Patents
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Description
<1>に係る発明は、
熱可塑性樹脂と、シリコーンオイルと、シリカと、を含有する画像形成装置用の円筒状部材。
前記シリカを、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上3質量部以下含有する<1>に記載の円筒状部材。
前記シリコーンオイルの数平均分子量が10万以上である<1>または<2>に記載の円筒状部材。
前記シリコーンオイルとしてジメチルシリコーンオイルを含有する<1>〜<3>の何れか1項に記載の円筒状部材。
前記シリコーンオイルを、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し0.5質量部以上5質量部以下含有する<1>〜<4>の何れか1項に記載の円筒状部材。
<1>〜<5>の何れか1項に記載の円筒状部材と、前記円筒状部材を張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置に脱着される円筒状部材ユニット。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
<6>に記載の円筒状部材ユニットを有し、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を前記円筒状部材を介して記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
本実施形態に係る画像形成装置用の円筒状部材は、熱可塑性樹脂と、シリコーンオイルと、シリカと、を含有する。
この効果が奏される理由は必ずしも明確ではないが、以下のように推察される。シリコーンオイルは後述の式(A)で示される骨格構造を有する直鎖状のポリマーである。円筒状部材中にこのシリコーンオイルと共にシリカ(SiO2)を組合わせて含有させることで、シリコーンオイルの一部とシリカとが吸着するものと考えられる。より具体的には、直鎖状のシリコーンオイルにおける一部の「Si−O」が、シリカ(SiO2)の表面に捕捉されて吸着され、この吸着された部分が擬似的な架橋点の役割を担って架橋構造が形成されるものと考えられる。シリコーンオイルは下記式(A)に示すように「O」を含んでいて柔軟性を有しており、この柔軟性を備えたシリコーンオイルが更にシリカによって擬似的な架橋構造を形成することで、相乗的に優れた耐折れ性を発揮するものと考えられる。
尚、以下においては、熱可塑性樹脂とシリコーンオイルとシリカとを含有する本実施形態の構成を備える層、単層からなる円筒状部材を例にしてその構成を説明する。
シリコーンオイルとしては、シロキサン結合が繰り返されてなる下記式(A)で示されるポリシロキサン骨格を持つものであれば、特に限定されることなく用いられる。
(式(A)中、Rは水素原子または一価の有機基(好ましくは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基)を表す。尚、複数のRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。nは1以上の整数を表す。)
nが2以上である場合における複数の[−Si(R)2−O−]の基(つまり[ ]nで囲われる部分)はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
前記(1)の場合、複数のRは全て同じ基(R’)を表し、つまり[−Si(R’)2−O−]が繰り返される単独重合の構造を有する。例えばジメチルシリコーンオイルが挙げられ、これは[−Si(Me)2−O−]の構成単位が繰り返される単独重合の構造を有する。
前記(2)の場合について、例えば異なる2種の基(R’およびR”)を有する場合であれば、[−Si(R’)2−O−]と[−Si(R’)(R”)−O−]と[−Si(R”)2−O−]との3つの構成単位のうち2つ以上が、それぞれ連続的に繰り返される共重合(ブロック共重合)、または任意に繰り返される共重合(ランダム共重合)の構造を有する。例えばメチルフェニルシリコーンオイルが挙げられ、これは[−Si(Me)2−O−]と[−Si(Me)(Ph)−O−]と[−Si(Ph)2−O−]との3つの構成単位のうち少なくとも2つが、それぞれ連続的に繰り返される共重合(ブロック共重合)、または任意に繰り返される共重合(ランダム共重合)の構造を有する。
・ジメチルシリコーンオイル(式(A)におけるRが全てメチル基であり[−Si(Me)2−O−]の構成単位が繰り返される単独重合の構造)
・メチルフェニルシリコーンオイル(式(A)におけるRがメチル基およびフェニル基であり[−Si(Me)2−O−]、[−Si(Me)(Ph)−O−]、[−Si(Ph)2−O−]の3つの構成単位のうち少なくとも2つが繰り返されるブロック共重合またはランダム共重合の構造)
・メチルハイドロジェンシリコーンオイル(式(A)におけるRがメチル基および水素原子であり[−Si(Me)2−O−]、[−Si(Me)(H)−O−]、[−Si(H)2−O−]の3つの構成単位のうち少なくとも2つが繰り返されるブロック共重合またはランダム共重合の構造)
・クロロフェニルシリコーンオイル(式(A)におけるRが塩素原子およびフェニル基であり[−Si(Cl)2−O−]、[−Si(Cl)(Ph)−O−]、[−Si(Ph)2−O−]の3つの構成単位のうち少なくとも2つが繰り返されるブロック共重合またはランダム共重合の構造)
ジメチルシリコーンオイルを用いることで耐折れ性により優れた円筒状部材とし得る。これは、ジメチルシリコーンオイルはシロキサン結合における側鎖にメチル基を有しており、例えばメチルフェニルシリコーンオイルのようにメチル基よりも嵩高いフェニル基等の基を側鎖に備える場合に比べて、式(A)の「O」部分での屈曲への影響を抑止し得るためと推察される。
上記上限値以下であることで、シリコーンオイルの表面への析出つまりブリードアウトが抑制され、摩擦係数の低下が抑制される。一方、上記下限値以上であることで、シリコーンオイルによる柔軟性がより良好に発揮され耐折れ性により優れる。
シリカとしては、湿式シリカ(例えば沈殿シリカ、ゲルシリカ、水性コロイダルシリカ、アルコール性シリカ等)、乾式シリカ(例えばフュームドシリカ等)が挙げられ、どの様なものも使用し得る。これらの中でも、分散性の点から一次粒子径が小さく凝集性が低いものが良く、乾式シリカが好ましく、更にフュームドシリカがより好ましい。
シリカは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
シリカの体積平均粒子径は、円筒状部材の切断面におけるシリカの一次粒子100個を走査型電子顕微鏡(SEM:S-4100型日立株式会社製)により観察し、一次粒子の画像解析によって粒子ごとの最長径、最短径を測定し、この中間値から球相当径を測定する。得られた球相当径の累積頻度における50%径(D50v)をシリカの体積平均粒子径とする。
上記上限値以下であることで、押出成形の際における表面性状が良好に保たれ成形性に優れる。一方、上記下限値以上であることで、シリカによる前述の架橋構造の形成がより良好に行われるものと推察され、耐折れ性により優れる。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではなく円筒状部材に用いられる一般的な熱可塑性樹脂を用い得る。例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルホン(PPSU)、ポリサルホン(PSF)、半芳香族ポリアミド樹脂10T(PA10T)、半芳香族ポリアミド11T(PA11T)、ポリエチレン(高密度、中密度、低密度、直鎖状低密度)、ポリプロピレンエチレンブロックまたはランダム共重合体、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、変成ポリフェニレンエーテル、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、上記のものを1種のみ用いても2種以上併用してもよい。
尚、円筒状部材における熱可塑性樹脂としてPPS、PEIおよびPEEKを用いることは、機械強度の観点および樹脂のガラス転移温度の観点で好ましい。
ポリフェニレンスルフィドとしては、例えば、ジクロロベンゼンと硫化ナトリウムとを単量体として重合させる方法、すなわちポリフェニレンスルフィドの一般的な合成方法であるフィリップス・ぺトローリアム法で得られる下記式(1)で表される繰り返し構造単位を含む重合体が挙げられる。
また、ポリフェニレンスルフィドとして架橋構造を有する樹脂を用いてもよく、具体的には、同一の分子鎖内または異なる分子鎖間、並びに同一の分子鎖内および異なる分子鎖間に、例えば、単結合、エーテル結合を介して架橋されているポリフェニレンスルフィドの架橋構造が挙げられる。例えば、エーテル結合で架橋したポリフェニレンスルフィドの架橋構造(下記式(2)の構造)や、単結合で架橋したポリフェニレンスルフィドの架橋構造(下記式(3)の構造)を有する物が挙げられる。
ポリエーテルイミドは、例えば、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有する樹脂であり、溶融成形性に優れる。
具体例としては、芳香族ビス(エーテルジカルボン)酸と有機ジアミンとを有機溶媒中で加熱温度下に反応させて得られるものが挙げられ、例えば2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、および4,4’−ジアミノジフェニルメタンを混合し、フェノール−トルエン混合溶媒に加えて加熱還流させ、反応を通じて生成された水を共沸蒸留によって連続的に除去し、反応生成混合物をメタノール中に注入し、繊維状重合体として得られる重合体が挙げられる。
ポリエーテルエーテルケトンは、ベンゼン環がエーテル結合とケトン結合によってつながった樹脂である。例えば、ヒドロキノンと、フッ素を置換体として両端に結合させたベンゾフェノンを求核置換反応で結合させることで得られる。また、ベンゾフェノンと、両端に求電子剤(塩素等)を結合させたケトン基を持つベンゼン環を、塩化アルミニウムなどを触媒として、フリーデル−クラフツ反応で結合させることでも得られる。
導電剤は、添加することで円筒状部材に導電性を付与し得る物質を指す。
導電剤の具体例としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、カーボン繊維等の炭素系化合物、;アルミニウム、ニッケル等の金属;酸化イットリウム、酸化スズ等の金属酸化物;チタン酸カリウム、塩化カリウム等のイオン導電性物質;ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性高分子化合物;有機金属化合物;有機金属塩;等が挙げられる。導電剤は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックは、特に限定されないが、例えば、ケッチェンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、表面が酸化されたカーボンブラック(表面酸化処理カーボンブラック)、表面が黒鉛化された黒鉛化処理カーボンブラック等が挙げられる。円筒状部材の外観性に優れるとの観点から、揮発分率が少なく且つ抵抗安定性にも優れる小粒子径のファーネスカーボンブラックを用いることがより好ましい。
カーボンブラックとしては、これらの中から1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、上記観点からは、カーボンブラックの平均一次粒径は小さい程よいが、一次粒径が小さすぎると嵩密度が小さくなり取り扱いが困難になることや表面積が大きくなるために分散物がチキソ性を示すようになることから、10nm以上(望ましくは12nm以上)であることがよい。
まず、得られた円筒状部材から、ミクロトームにより切断して、100nmの厚さの測定サンプルを採取し、本測定サンプルをTEM(透過型電子顕微鏡)により観察する。そして、カーボンブラックの一次粒子50個の径を測定して、その平均値を平均一次粒径とする。
カーボンブラックの配合量が上記下限値以上であることで、経時において円筒状部材における抵抗率の維持性が良好である。一方、上記上限値以下であることで、円筒状部材が脆くなることによる破断や端部の裂けが発生しにくい。
その他添加剤としては、例えば、円筒状部材の熱劣化を防止するための酸化防止剤や、流動性を向上させるための界面活性剤、耐熱老化防止剤等、特に画像形成装置の無端ベルトに配合される周知の添加剤が挙げられる。
次に、本実施形態に係る円筒状部材の物性について説明する。
本実施形態に係る円筒状部材は、常温常湿(温度22℃、湿度55RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率が7logΩ/□以上13Ω/□以下であることがよく、特に、円筒状部材を中間転写ベルトとして適用する場合には8logΩ/□以上12logΩ/□以下であることがよく、円筒状部材を記録媒体搬送転写ベルトとして適用する場合には9logΩ/□以上13logΩ/□以下であることがよい。
なお、上記表面抵抗率は、常温常湿(温度22℃、湿度55RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの測定値である。
本実施形態に係る円筒状部材は、低温低湿(温度10℃、湿度10RH%)環境下で電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率と、高温高湿(温度30℃、湿度85RH%)環境下で電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率と、の差が1.0logΩ/□以下であることがよい。
本実施形態に係る円筒状部材は、熱可塑性樹脂、シリコーンオイル、およびシリカと、その他必要に応じて導電剤等の他の成分と、を混練する混練工程と、上記混練工程にて得られた混練物を押出成形により円筒状に成形する成形工程と、を有する製造方法によって製造される。
具体的には、まず、熱可塑性樹脂と、シリコーンオイルと、シリカと、必要に応じてその他の成分と、をそれぞれ目的とする配合量で混練混合して混練物を得、その後例えば押出成形機を用いて円筒状に押し出し、冷却固化させることで円筒状の成形体が得られる。そして、得られた円筒状の成形体を目的とする幅に切断して円筒状部材を得る。
図4は、本実施形態に係る円筒状部材を製造する円筒状部材製造装置300の一例の構成を概略的に示す断面図である。
一軸押出機330は、図示しないヒータを有し樹脂材料Pを加熱する加熱筒12と、加熱筒12に設けられ樹脂材料Pが投入される投入口11と、加熱筒12の内部に設けられ樹脂材料Pが溶融した溶融体Fを口金320へ搬送する搬送部材としてのスクリュー13と、を備えている。
口金320では、溶融状態の溶融体Fが、加熱筒12の先端部から流路22へ流入して流路22を通過し、一軸押出機330のスクリュー13の回転による推進力(搬送力)によって、出口孔23から円筒状に押し出されるようになっている。
そして冷却部材30は、例えば冷媒等によって溶融体Fの温度よりも低い温度に調整され、溶融体Fの内周面側から溶融体Fを冷却して硬化させる。
引き出し機50では、内側ロール52と外側ロール54とで円筒状部材Tを挟み込み、内側ロール52および外側ロール54が回転することで、溶融体Fの押出方向に円筒状部材Tが引き出されるようになっている。
まず、熱可塑性樹脂等の本実施形態に係る円筒状部材を構成する各成分をあらかじめ混錬混合した混合物である樹脂材料P(ペレット)を得る(混錬工程)。
次に、一軸押出機330の投入口11から加熱筒12内部へ樹脂材料Pを投入し、当該樹脂材料Pを、加熱筒12の複数のヒータ(図示せず)により、樹脂材料Pの融解温度以上の温度(通常、150〜450℃)に加熱して溶融状態にし、溶融体Fを得る(加熱工程)。
次に、溶融状態の溶融体Fを、加熱筒12の内部のスクリュー13の推進力により、加熱筒12から口金320の流路22を通過させて、口金320の出口孔23から円筒状に押し出す(押出工程)。
次に、得られた円筒状の部材Tを引き出し機50により連続的に引き出す(引き出し工程)。具体的には、内側ロール52と外側ロール54とで円筒状の部材Tを挟み込みつつ、内側ロール52および外側ロール54を回転させることで円筒状の部材Tに張力をかけ、円筒状の部材Tの形状を円筒状に保ったまま連続的に引き出す。
なお、円筒状部材製造装置300では、溶融体Fの内周面側から溶融体Fを冷却して硬化させる冷却部材30を備えているが、これに限られず、溶融体Fの外周面側から溶融体Fを冷却して硬化させる冷却部材を備えた形態であってもよい。
図1は、本実施形態に係る円筒状部材ユニットを示す概略斜視図である。
本実施形態に係る円筒状部材ユニット130は、図1に示すように、上記本実施形態に係る円筒状部材10を備えており、例えば、円筒状部材10は対向して配置された駆動ロール131および従動ロール132により張力がかかった状態で掛け渡されている。
ここで、本実施形態に係る円筒状部材ユニット130は、円筒状部材10を中間転写体として適用させる場合、円筒状部材10を支持するロールとして、感光体(像保持体)表面のトナー像を円筒状部材10上に一次転写させるためのロールと、円筒状部材10上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に二次転写させるためのロールが配置されていてもよい。
なお、円筒状部材10を支持するロールの数は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。上記構成の円筒状部材ユニット130は、装置に組み込まれて使用され、駆動ロール131、従動ロール132の回転に伴って円筒状部材10も支持した状態で回転する。
本実施形態に係る画像形成装置としては、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、トナーを含む現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、本実施形態に係る前述の円筒状部材ユニットを有し、像保持体の表面に形成されたトナー画像を円筒状部材を介して記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備えるものが挙げられる。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、例えば、いわゆるタンデム方式であり、電子写真感光体からなる4つの像保持体101a〜101dの周囲に、その回転方向に沿って順次、帯電装置102a〜102d、露光装置114a〜114d、現像装置103a〜103d、一次転写装置(一次転写ロール)105a〜105d、像保持体クリーニング装置104a〜104dが配置されている。尚、転写後の像保持体101a〜101dの表面に残留している残留電位を除去するために除電器を備えていてもよい。
像保持体101a〜101dとしては、公知の電子写真感光体が広く適用される。電子写真感光体としては、感光層が無機材料で構成される無機感光体や、感光層が有機材料で構成される有機感光体などが用いられる。有機感光体においては、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型有機感光体や、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を果たす単層型有機感光体が好適に用いられる。また、無機感光体においては、感光層がアモルファスシリコンにより構成されているものが、好適に用いられる。
帯電装置102a〜102dとしては、特に制限はなく、例えば、導電性(ここで、帯電装置における「導電性」とは例えば体積抵抗率が107Ω・cm未満を意味する。)または半導電性(ここで、帯電装置における「半導電性」とは例えば体積抵抗率が107乃至1013Ωcmを意味する。)のローラ、ブラシ、フィルム、またはゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器など、公知の帯電器が広く適用される。これらの中でも接触型帯電器が望ましい。
露光装置114a〜114dとしては、特に制限はなく、例えば、像保持体101a〜101dの表面に、半導体レーザ光、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)光、または液晶シャッタ光等の光源、またはこれらの光源からポリゴンミラーを介して定められた像様に露光し得る光学系機器など、公知の露光装置が広く適用される。
現像装置103a〜103dとしては、目的に応じて選択され。例えば、一成分系現像剤または二成分系現像剤をブラシ、またはローラ等を用い接触または非接触で現像する公知の現像器などが挙げられる。
一次転写ロール105a〜105dは単層または多層のいずれでもよい。例えば、単層構造の場合は、発泡または無発泡のシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。
像保持体クリーニング装置104a〜104dは、一次転写工程後の像保持体101a〜101dの表面に付着する残存トナーを除去するためのものであり、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
二次転写ロール109の層構造は、特に限定されるものではないが、例えば、三層構造の場合、コア層と中間層とその表面を被覆する塗布層により構成される。コア層は導電性粒子を分散したシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等の発泡体で、中間層はこれらの無発泡体で構成される。塗布層の材料としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、またはパーフルオロアルコキシ樹脂などが挙げられる。二次転写ロール109の体積抵抗率は107Ωcm以下であることが望ましい。また、中間層を除いた2層構造としてもよい。
対向ロール108は、二次転写ロール109の対向電極を形成する。対向ロール108の層構造は、単層または多層のいずれでもよい。例えば単層構造の場合は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。二層構造の場合は、上記のゴム材料で構成される弾性層の外周面を高抵抗層で被覆したロールから構成される。
定着装置110としては、例えば、熱ローラ定着器、加圧ローラ定着器、またはフラッシュ定着器など公知の定着器が広く適用される。
中間転写ベルトクリーニング装置112および113としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。図3に示す画像形成装置は、上記本実施形態に係る円筒状部材を記録媒体搬送体(用紙搬送ベルト)に適用した画像形成装置である。
以上により用紙上に所望の画像が形成される。
・樹脂ペレットの作製
表1および表2に記載の組成および量に従い、樹脂(PPS樹脂、PEI樹脂)のペレットもしくは粉末と、導電剤と、粒子と、シリコーンオイルと、をヘンシェルミキサー(日本コークス製 FM10C)を用いてブレンドした。ブレンドされた混合樹脂を二軸押出溶融混練機(L/D60、パーカーコーポレーション社製)で溶融混練したものをφ5の孔より紐状に押出し、水槽中に入れて冷却固化した後カットし、樹脂ペレットを得た。
得られた樹脂ペレットを温度360℃に設定した一軸溶融押出機(L/D24、溶融押出装置、三葉製作所社製)に投入し、溶融しながら環状ダイとニップルの間隙から円筒状に押出しだした。押出された円筒状に押し出された樹脂部材を引きとりながら、円筒形状と径を固定化するためにサイジングダイ(冷却用金型)へ内周面を接触させ、且つ冷却を速やかに行うためサイジングダイ外側に設けたエアリングよりサイジングダイと同じ温度の温風を供給して冷却した。その後目的とする幅に切断し、φ160×232×100μmの円筒状部材を得た。
尚、本実施例では、円筒状部材内周面にサイジングダイを接触させているが、外周面に接触させてもかまわない。
得られた円筒状部材に関し下記の方法にて評価を実施した。
・耐屈曲性
耐屈曲性の評価は、JIS−P8115(2001年)に示しされた耐屈曲性評価機のうち、屈曲部分のRおよびテンションを変えることでフィルム(円筒状部材)に与える曲げ応力を変化させ、曲げ応力が60MPaの場合の折れ回数で比較評価した。
尚、曲げ応力60MPaの場合、25K回以上が望ましく、更には100K回以上がより望ましい。
−評価基準−
A:100K回以上
B:25K回以上
C:25K回未満
また、横軸を折れ回数、縦軸を応力としたS−N線図を、参考として実施例1、10、および比較例3、6について作成した。図5に示す。
富士ゼロックス社製のDocuPrint CP200Wの転写ユニット部分のみを回転させられる治具を作製し、得られた円筒状部材を転写ユニットに取り付け、破断するまでの回転数を測定した。
−評価基準−
A:200Kcycle以上
B:100Kcycle以上
C:100Kcycle未満
東京精密製サーフコム1400Dに先端R2μm、圧力0.7mNの触針をつけたもので、カットオフ0.8mm、測定長2.5mm、移動速度0.6mm/sにて測定した時のRa値を読み取った。
表面粗さが大きいとクリーニング性が悪化する傾向にあり、Ra値で0.1μm未満が望ましく、0.04μm未満がより望ましい。
−評価基準−
A:0.04μm未満
B:0.1μm未満
C:0.1μm以上
得られた円筒状部材を富士ゼロックス社製のDocuPrint CP200Wに組み込み、22℃55%RHの環境下において低濃度画像(マゼンタ5%)でA4縦用紙を連続1000枚プリントした後、前半部分にハーフトーン画像(マゼンタ40%)を有する画像をA4縦用紙で3枚プリントアウトし、後半部分を目視により観察して、下記評価基準に基づきクリーニング性の判定を行った。
−評価基準−
A:A4用紙の後半部分に、画像トナー汚れなし
B:A4用紙の後半部分に、画像微小なトナー汚れあり
C:A4用紙の後半部分に、画像ひどいトナー汚れあり
−樹脂−
・PPS樹脂:ポリフェニレンスルフィド、トレリナ(登録商標)T1881、東レ(株)製
・PEI樹脂:ポリエーテルイミド、Ultem1000、SABICイノベーティブプラスチックス社製
−導電剤−
・導電剤:Monarch(登録商標)880、キャボット社製
−粒子−
・シリカ:フュームドシリカ、粒子径20nm、製品名:90G、日本アエロジル社製
・有機修飾モンモリロナイト:エスベンE、(株)ホージュン製
−シリコーンオイル−
・ジメチルシリコーン 分子量8000:、製品名:KF−96−100cs、信越化学工業社製
・ジメチルシリコーン 分子量20000:、製品名:KF−96−1000cs、信越化学工業社製
・ジメチルシリコーン 分子量200000:、製品名:KF−96H−100万cs、信越化学工業社製
・メチルフェニルシリコーン 分子量20000:、製品名:SH−710、東レ・ダウコーニング社製
23 出口孔
30 冷却部材
50 引き出し機
100 画像形成装置
101a乃至101d 像保持体
102a乃至102d 帯電装置(帯電手段)
103a乃至103d、204Y、204M、204C、204BK 現像装置(現像手段)
104a乃至104d 像保持体クリーニング装置
105a乃至105d 一次転写ロール
106a乃至106e 支持ロール
107 中間転写ベルト
107b、130、220 円筒状部材ユニット
108 対向ロール
109 二次転写ロール
110、209 定着装置(定着手段)
111 駆動ロール
112、113 中間転写ベルトクリーニング装置
114a乃至114d 露光装置(潜像形成手段)
115 記録媒体
116 二次転写ベルト
131 駆動ロール
132 従動ロール
201Y、201M、201C、201BK 感光体ドラム(像保持体)
202Y、202M、202C、202BK 帯電器(帯電手段)
203Y、203M、203C、203BK 露光器(潜像形成手段)
205Y、205M、205C、205BK 感光体ドラム清掃部材
206 用紙搬送ベルト
207Y、207M、207C、207BK 転写ロール(転写手段)
214 ベルト用清掃部材
216 用紙(記録媒体)
300 円筒状部材製造装置
310 押出装置
320 口金
330 一軸押出機
Claims (8)
- 熱可塑性樹脂と、数平均分子量が10万以上であるシリコーンオイルと、シリカと、を含有する画像形成装置用の円筒状部材。
- 前記シリカを、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上3質量部以下含有する請求項1に記載の円筒状部材。
- 前記シリコーンオイルを、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し0.5質量部以上5質量部以下含有する請求項1又は請求項2に記載の円筒状部材。
- 熱可塑性樹脂と、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し0.5質量部以上5質量部以下含有されるシリコーンオイルと、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1質量部以上3質量部以下含有されるシリカと、樹脂成分の合計100質量部に対して8質量部以上30質量部以下含有されるカーボンブラックと、を含有する画像形成装置用の円筒状部材。
- 前記シリコーンオイルの数平均分子量が10万以上である請求項4に記載の円筒状部材。
- 前記シリコーンオイルとしてジメチルシリコーンオイルを含有する請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の円筒状部材。
- 請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の円筒状部材と、前記円筒状部材を張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置に脱着される円筒状部材ユニット。
- 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
請求項7に記載の円筒状部材ユニットを有し、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を前記円筒状部材を介して記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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