JP2017026820A - 無端ベルト、転写ユニット、及び画像形成装置 - Google Patents

無端ベルト、転写ユニット、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】機械特性、耐屈曲性、及び抵抗維持性に優れる無端ベルトを提供する。
【解決手段】シリコーン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、シリコーン変性ポリエーテルイミド、液晶ポリマー及びカーボンブラックを含有する樹脂層を有する無端ベルト10。
【選択図】図3

Description

本発明は、無端ベルト、転写ユニット、及び画像形成装置に関する。
特許文献1には、ポリエーテルイミド及びポリカーボネートからなる群から選ばれる熱可塑性樹脂(A)と、前記熱可塑性樹脂(A)と同種類の熱可塑性樹脂ブロック単位(i)と、ポリシロキサンブロック単位(ii)とを含むブロック共重合体である熱可塑性樹脂(B)と、導電性カーボンブラック(C)、とを含み、前記熱可塑性樹脂(B)を、前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して0.1〜30質量部、前記導電性カーボンブラック(C)を、前記熱可塑性樹脂(A)と(B)の合計量100質量部に対して5〜30質量部、の量で含有し、形成される導電性熱可塑性樹脂フィルム又はシートの質量を基準として、前記熱可塑性樹脂(A)と、前記熱可塑性樹脂(B)と、前記導電性カーボンブラック(C)との合計量が75〜100質量%であることを特徴とする導電性熱可塑性樹脂フィルム又はシートが開示されている。
特許文献2には、シロキサン結合を含むポリエーテルイミドと、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性フッ素樹脂及び液晶ポリマーから選択される少なくとも1種と、 エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体と、導電性付与剤と、を含有することを特徴とするシームレスベルトが開示されている。
特許文献3には、ポリイミド基材と、その上のポリエーテルイミド/ポリシロキサンと、を備える中間転写部材が開示されている。
特許文献4には、熱可塑性樹脂(A)と、 前記熱可塑性樹脂(A)と同種類の熱可塑性樹脂ブロック単位(i)と、ポリシロキサンブロック単位(ii)とを含むブロック共重合体である熱可塑性樹脂(B)と、 導電性カーボンブラック(C)、とを含み、 前記熱可塑性樹脂(B)を、前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して0.1〜100質量部、 前記導電性カーボンブラック(C)を、前記熱可塑性樹脂(A)と(B)の合計量100質量部に対して5〜30質量部、の量で含有し、 形成される導電性熱可塑性樹脂フィルム又はシートの質量を基準として、前記熱可塑性樹脂(A)と、前記熱可塑性樹脂(B)と、前記導電性カーボンブラック(C)との合計量が75〜100質量%であることを特徴とする導電性熱可塑性樹脂フィルム又はシートが開示されている。
特許文献5には、シロキサン結合を含むポリエーテルイミドと、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性フッ素樹脂及び液晶ポリマーから選択される少なくとも1種と、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体と、導電性付与剤と、を含有することを特徴とするシームレスベルトが開示されている。
特許第5553441号公報 特開2014−130215号公報 特開2010−237672号公報 特開2011−26584号公報 特開2014−130215号公報
本発明は、樹脂層が、樹脂成分として、シリコーン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、シリコーン変性ポリエーテルイミド、及び液晶ポリマーのうち、2成分のみを含む場合に比べ、機械特性、耐屈曲性、及び抵抗維持性に優れる無端ベルトを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
請求項1に係る発明は、シリコーン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、シリコーン変性ポリエーテルイミド、液晶ポリマー及びカーボンブラックを含有する樹脂層を有する無端ベルト。
請求項2に係る発明は、前記樹脂層に含まれる前記シリコーン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、前記シリコーン変性ポリエーテルイミド、及び前記液晶ポリマーの合計量に対し、前記シリコーン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドの含有比率が50質量%以上90質量%以下であり、かつ、前記液晶ポリマーの含有比率が3質量%以上20質量%以下である請求項1に記載の無端ベルト。
請求項3に係る発明は、前記カーボンブラックの平均一次粒子径25nm以下である請求項1又は請求項2に記載の無端ベルト。
請求項4に係る発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の無端ベルトである転写ベルトと、
前記転写ベルトを支持する複数のロールと、
を備える転写ユニット。
請求項5に係る発明は、像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の無端ベルトである中間転写ベルトと、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写ベルトの外周面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写ベルトの外周面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
を備える画像形成装置。
請求項1に係る発明によれば、樹脂層が、樹脂成分として、シリコーン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、シリコーン変性ポリエーテルイミド、及び液晶ポリマーのうち、2成分のみを含む無端ベルトに比べ、機械特性、耐屈曲性、及び抵抗維持性に優れる無端ベルトが提供される。
請求項2に係る発明によれば、前記樹脂層に含まれる前記シリコーン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドの上記含有比率が50質量%未満若しくは90質量%超、又は、前記液晶ポリマーの上記含有比率が3質量%未満若しくは20質量%超である場合に比べ、機械特性、耐屈曲性、抵抗維持性及び耐摩耗性に優れる無端ベルトが提供される。
請求項3に係る発明によれば、前記カーボンブラックの平均一次粒子径が25μmを超える場合に比べ、抵抗維持性に優れる無端ベルトが提供される。
請求項4、5に係る発明によれば、樹脂層が、樹脂成分として、ポリエーテルイミド、シリコーン変性ポリエーテルイミド、及び液晶ポリマーのうち、2成分のみを含む無端ベルトを転写ベルトとして備える場合に比べ、繰り返し画像を形成したときに、画像境界部のにじみ、画像部の白ぬけ等の画像欠陥の発生が抑制される転写ユニット、画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る無端ベルトを押出成形により製造する際に、円筒状に押出された円筒体における液晶ポリマーの配向状態を示す模式図である。 本実施形態に係る無端ベルトを押出成形により製造する際に、円筒状に押出された円筒体の径を拡大した場合の液晶ポリマーの配向状態を示す模式図である。 本実施形態に係る転写ユニットの一例を示す概略斜視図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[無端ベルト]
本実施形態に係る無端ベルトは、シリコーン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、シリコーン変性ポリエーテルイミド、液晶ポリマー及びカーボンブラックを含有する樹脂層を有する。
本実施形態に係る無端ベルトは、樹脂成分として、シリコーン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド(以下、単に「ポリエーテルイミド」と記す場合は、シリコーン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドを意味する。)、シリコーン変性ポリエーテルイミド、液晶ポリマーを含み、導電剤として、カーボンブラックを含有する樹脂層を有する。本実施形態に係る無端ベルトは、上記樹脂層のみを有する単層型の無端ベルトでもよいし、上記樹脂層に他の層を1層以上積層した積層型の無端ベルトでもよい。
本実施形態に係る無端ベルトは、樹脂成分として、シリコーン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、シリコーン変性ポリエーテルイミド、液晶ポリマーを含み、導電剤として、カーボンブラックを含有する樹脂層を有することで、機械特性、耐屈曲性、及び抵抗維持性に優れる。その理由は定かでないが以下のように推測される。
樹脂層がポリエーテルイミド及び液晶ポリマーを含むことでヤング率(引張弾性率)が向上し、機械特性の向上に寄与すると考えられる。
また、樹脂層がシリコーン変性ポリエーテルイミドを含むことで柔軟性が向上し、耐屈曲性の向上に寄与すると考えられる。
また、樹脂層がポリエーテルイミド及びシリコーン変性ポリエーテルイミドを含むことで液晶ポリマー及びカーボンブラックの偏在が抑制され、表面抵抗率の変動の抑制、すなわち、抵抗維持性の向上に寄与すると考えられる。
以下、本実施形態に係る無端ベルトの代表例として、単層型の無端ベルトについて主に説明するが、本実施形態に係る無端ベルトは単層型の無端ベルトに限定されるものではない。
まず、本実施形態に係る無端ベルト(樹脂層)に含まれる各成分について説明する。
(ポリエーテルイミド)
シリコーン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドは、シロキサン結合を含まないポリエーテルイミドであり、例えば、脂肪族、脂環族又は芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有する溶融成形性を有する樹脂である。
ポリエーテルイミドは、例えば、エーテル結合を含むジカルボン酸二無水物と、ジアミンとの重合反応により得られたものが挙げられる。つまり、例えば、エーテル結合を含むジカルボン酸二無水物とジアミンとから誘導される繰り返し単位構造を少なくとも有するポリエーテルイミドが挙げられる。
エーテル結合を含むジカルボン酸無二水物としては、例えば、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4′−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4,4′−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4′−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、4,4′−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4′−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル−2,2−プロパン二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4′−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4′−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4′−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物及び4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4′−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物等が挙げられる。これらのジカルボン酸二無水物は、1種単独で使用してもよいし、それらのうち選択される2種以上を併用してもよい。
ジアミンとしては、例えば、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、複素環を含む芳香族ジアミン等が挙げられる。
ジアミンとしては、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物であれば特に限定されない。
前記ジアミンとして、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等が挙げられる。
これらのジアミンは、1種単独で使用してもよいし、それらのうち選択される2種以上を併用してもよい。
本実施形態で用いられるポリエーテルイミドの具体例としては、例えば、芳香族ビス(エーテルジカルボン)酸と有機ジアミンとを有機溶媒中で加熱温度下に反応させて得られるものが挙げられ、例えば、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、及び4,4’−ジアミノジフェニルメタンを混合し、フェノール・トルエン混合溶媒に加えて加熱還流させ、反応を通じて生成された水を共沸蒸留によって連続的に除去し、反応生成混合物をメタノール中に注入し、繊維状重合体として得られる重合体が挙げられる。
ポリエーテルイミドの市販品としては、例えば、SABICイノベーティブプラスチックス社のウルテム(ULTEM)1000シリーズ、5000シリーズ、エクステム(EXTEM)VH1003等がある。
樹脂層における前記ポリエーテルイミドの含有量は、樹脂層に含まれる前記ポリエーテルイミド、前記シリコーン変性ポリエーテルイミド、及び前記液晶ポリマーの合計量に対し、前記ポリエーテルイミドの含有比率が50質量%以上90質量%以下であることが好ましい。樹脂層における前記ポリエーテルイミドの含有比率が50質量%以上であることで高い耐摩耗性が得られ、90質量%以下であることで高い耐屈曲性が得られる。
かかる観点から、樹脂層における前記ポリエーテルイミドの含有比率は、50質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上90質量%以下であることが特に好ましい。
(シリコーン変性ポリエーテルイミド)
シリコーン変性ポリエーテルイミドは、ポリエーテルイミドをシリコーン樹脂により変性して得られ、シロキサン結合を有するポリエーテルイミドである。
シリコーン変性ポリエーテルイミドの具体例として、前述したポリエーテルイミドをシリコーン樹脂により変性して得られるシリコーン変性ポリエーテルイミドが挙げられ、例えば、芳香族ビス(エーテル無水物)とアミン末端オルガノシロキサン及び有機ジアミンとの反応物が挙げられる。
シリコーン変性ポリエーテルイミド(ポリエーテルイミド樹脂とシリコーン樹脂との共重合体)の市販品としては、例えば、SABICイノベーティブプラスチックス社のシルテム(SILTEM)STM1500、1600、1700等がある。
前記樹脂層に含まれる前記シリコーン変性ポリエーテルイミドの含有量は、前記ポリエーテルイミド、前記シリコーン変性ポリエーテルイミド、及び前記液晶ポリマーの合計量に対し、5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。樹脂層におけるシリコーン変性ポリエーテルイミドの上記含有比率が5質量%以上であることで高い耐屈曲性が得られ、50質量%以下であることで高い耐摩耗性が得られる。
かかる観点から、樹脂層におけるシリコーン変性ポリエーテルイミドの上記含有比率は、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上40質量%以下であることが特に好ましい。
(液晶ポリマー)
液晶ポリマー(LCP)としては、サーモトロピック型に属する液晶ポリマー(サーモトロピック液晶ポリマー)を用いることができる。
サーモトロピック液晶ポリマーは、溶融状態で分子の直鎖が規則正しく並んだ液晶様性質を示す熱可塑性樹脂であり、パラヒドロキシ安息香酸などを基本構造としつつ、各種の成分と直鎖状にエステル結合させた芳香族ポリエステル系樹脂であり、別称として液晶ポリエステルとも称される。サーモトロピック液晶ポリマーには、完全芳香族ポリエステル、芳香族−脂肪族ポリエステル、芳香族ポリアゾメチン、芳香族ポリエステル−カーボネート等がある。
液晶ポリマーとしては、合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、A−6000(上野製薬社)、べクトラA950(ポリプラスチックス社)などが挙げられる。
樹脂層に含まれる液晶ポリマーの含有量は、前記ポリエーテルイミド、前記シリコーン変性ポリエーテルイミド、及び前記液晶ポリマーの合計量に対し、3質量%以上20質量%以下であることが好ましい。樹脂層における液晶ポリマーの含有比率が3質量%以上であることで高いヤング率(機械特性)が得られ、20質量%以下であることで、高い耐摩耗性が得られる。
かかる観点から、樹脂層における液晶ポリマーの上記含有率は、3質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上15質量%以下であることが特に好ましい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、表面が酸化されたカーボンブラック(以下、「表面処理カーボンブラック」と称する)等が挙げられる。このうち、経時での電気抵抗安定性の観点から、表面処理カーボンブラックがよい。
表面処理カーボンブラックは、その表面に、例えば、カルボキシル基、キノン基、ラクトン基、ヒドロキシル基等を付与して得られる。前記表面処理の方法としては、例えば、高温雰囲気下で空気と接触して反応させる空気酸化法、常温(例えば、22℃)下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、高温雰囲気下での空気酸化後低温でオゾンを参加する方法等を挙げられる。
カーボンブラックの粒径が小さいほど電気の導通路の数が多く確保され易く、電気的な劣化(抵抗変化)が抑制される。かかる観点から、樹脂層に含まれるカーボンブラックの平均一次粒子径は、50nm以下がよく、25nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましい。
なお、カーボンブラックの平均一次粒子径の下限値としては、カーボンブラックの分散性の観点から、10nm以上であることが好ましい。
樹脂層に含まれるカーボンブラックの平均一次粒子径は、次の方法により測定される。
まず、樹脂層(無端ベルト)をミクロトームにより切断して、100nmの厚さの測定サンプルを採取し、測定サンプルをTEM(透過型電子顕微鏡)により観察する。そして、カーボンブラックの粒子50個の各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として、その平均値を平均一次粒子径とする。
無端ベルト(樹脂層)におけるカーボンブラックの含有量は、無端ベルトの用途にもよるが、例えば、全樹脂100質量部に対して、10質量部以上30質量部以下であることがよく、12質量部以上28質量部以下であることが望ましく、15質量部以上25質量部以下であることがより望ましい。
カーボンブラックの含有量が上記範囲内であると、樹脂層中のカーボンブラックによる導電点が高密度になり、樹脂層の表面の受ける放電エネルギーを分散させ易くなることから、劣化が抑制される。
カーボンブラックは、経時での電気抵抗安定性の観点から、pH5以下がよく、pH4.5以下が望ましく、pH4.0がより望ましい。
(その他の成分)
本実施形態に係る無端ベルト(樹脂層)は、ポリエーテルイミド、シリコーン変性ポリエーテルイミド、液晶ポリマー及びカーボンブラック以外の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、例えば、酸化防止剤、界面活性剤、耐熱老化防止剤等、特に、画像形成装置の無端ベルトに配合される周知の添加剤が挙げられる。
次に、本実施形態に係る無端ベルトの特性、用途等について説明する。本実施形態に係る無端ベルトを例えば画像形成装置用の無端ベルト、特に中間転写ベルトとして適用する場合、下記の特性が挙げられる。なお、本実施形態に係る無端ベルトの以下の特性は、後述する実施例における測定方法による値である。
(表面抵抗率)
本実施形態に係る無端ベルトは、常温常湿(温度22℃、湿度55RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率が、7LogΩ/□以上13LogΩ/□以下であることがよく、8LogΩ/□以上12LogΩ/□以下であることがより望ましい。
また、本実施形態に係る無端ベルトは、常温常湿(温度22℃、湿度55RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率と、常温常湿(温度22℃、湿度55RH%)環境下で、電圧500Vを印加して測定したときの表面抵抗率と、の差が、1.0LogΩ/□以下であることがよく、望ましくは0.5LogΩ/□以下である。
(表面粗さ)
本実施形態に係る無端ベルトは、画質欠陥の発生を抑制する観点から、外周面の表面粗さRzが、1.5μmであることがよく、望ましくは1.2μm以下である。
(引張弾性率)
本実施形態に係る無端ベルトは、クリーニング不良による画質欠陥の発生を抑制する観点から、引張弾性率が2000以上であることがよく、望ましくは2200MPa以上である。
(耐屈曲性)
本実施形態に係る無端ベルトは、破断の発生を抑制する観点から、JIS P8115(2001年)に準拠してMIT耐折疲労試験機 MIT−DA(東洋精密製作所社製)を用いて測定した耐屈曲性が、ベルト周方向とベルト幅方向(押出方向)でそれぞれ300回以上であることが望ましく、500回以上であることがより好ましい。
(厚み)
本実施形態に係る無端ベルトの厚みは特に限定されず、用途に応じて選択すればよく、例えば、本実施形態に係る無端ベルトを画像形成装置における中間転写ベルトとして用いる場合は、60μm以上150μm以下が好ましい。
(用途)
本実施形態に係る無端ベルトは、機械特性、耐屈曲性、及び抵抗維持性に優れており、これらの特性が要求される無端ベルトとして好適である。本実施形態に係る無端ベルトは、例えば、画像形成装置内の中間転写ベルト、記録媒体搬送ベルト、定着ベルト等の画像形成装置用の無端ベルトとして好適に用いられる。
(無端ベルトの製造方法)
本実施形態に係る無端ベルトの製造方法は特に限定されないが、押出成形によって好適に製造することができる。具体的には、ポリエーテルイミド、シリコーン変性ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、及びカーボンブラックを含む混合物を得る溶融混練工程と、前記混合物を円筒状に押出成形する押出成形工程と、を含む製造方法が挙げられる。押出成形工程では、押出した後の円筒体の径を拡大して無端ベルトとすることが好ましい。
例えば、ポリエーテルイミド、シリコーン変性ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、及びカーボンブラック、さらに必要に応じてその他の成分を、それぞれ予め定めた量で、配合、混練、混合し、ペレットを得る。
次に、得られたペレットを溶融押出機に投入して円筒状に押し出し、マンドレル等によって目標とする径に拡径し、冷却固化して円筒状の成形体(円筒体)を得る。ここで、押出直後の円筒体の径に対し、40℃以下まで冷却した(または固化した)円筒体の径を1.2倍以上3.0倍以下とすることがより好ましい。
そして、得られた円筒体を、目的とする幅に切断して本実施形態に係る無端ベルトを得ることができる。
押出成形工程において押出直後の円筒体の径を拡大させることで特にベルトの周方向の耐屈曲性を向上させることができる。その理由は定かでないが、以下のように推測される。
図1は、本実施形態に係る無端ベルトを押出成形により製造する際に、円筒状に押出された円筒体における液晶ポリマーの配向状態を示す模式図であり、図2は、円筒状に押出された円筒体の径を拡大した場合の液晶ポリマーの配向状態を示す模式図である。
液晶ポリマー等を含む混合物を円筒状に押出成形した場合、例えば図1に模式的に示すように液晶ポリマー12は円筒体10Aの押出方向(幅方向W)に配向し易い。そのため、円筒状に押出したままの形状では、押出方向(幅方向W)の耐屈曲性に比べ、周方向Sの耐屈曲性が小さくなる傾向がある。一方、押出直後の円筒体10Aをマンドレル等によって径を拡大させることで、図2に模式的に示すように液晶ポリマー12の配向が乱れ、ベルト10Bの周方向Sに傾くことで周方向Sの耐屈曲性が向上すると考えられる。
以上説明した本実施形態に係る無端ベルトの一例として、単層体で構成された形態を説明したが、当該樹脂層を最表面層として有していれば、2層以上の積層体で構成されていてもよい。
具体的には、例えば、本実施形態に係る無端ベルトは、基材層とその外周面に表面層(表面離型層)との積層体で構成され、当該基材層及び表面層の少なくとも一方として前記樹脂層を適用した構成であってもよい。但し、前記樹脂層を表面層として適用する場合、離型材料(例えば、フッ素化合物(フッ素樹脂、又はその粒子等)等)を配合することがよい。
無論、基材層及び表面層の間に中間層(例えば、弾性層)を設けてもよいし、基材層自体が2層以上の積層体で構成させたものであってもよい。
[転写ユニット]
本実施形態に係る転写ユニットは、上述の実施形態に係る無端ベルトと、前記無端ベルトを張力がかかった状態で支持する複数のロールと、を備える。
図3は、本実施形態に係る転写ユニットの一例を示す概略斜視図である。本実施形態に係る転写ユニット130は、図3に示すように、上記本実施形態に係る無端ベルト10を備えており、例えば、無端ベルト10は対向して配置された駆動ロール131および従動ロール132により張力がかかった状態で支持されている。
ここで、本実施形態に係る転写ユニット130は、無端ベルト10を中間転写体として適用させる場合、無端ベルト10を支持するロールとして、感光体(像保持体)表面のトナー像を無端ベルト10上に一次転写させるためのロールと、無端ベルト10上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に2次転写させるためのロールが配置されていてもよい。
なお、無端ベルト10を支持するロールの数は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。上記構成の転写ユニット130は、装置に組み込まれて使用され、駆動ロール131、従動ロール132の回転に伴って無端ベルト10も支持した状態で回転する。
[画像形成装置]
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体の表面の潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、上記実施形態に係る無端ベルトである中間転写ベルトと、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写ベルトの外周面に一次転写する一次転写手段と、前記中間転写ベルトの外周面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、を備える。
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、像保持体上に保持されたトナー像を中間転写ベルトに順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色の現像器を備えた複数の像保持体を中間転写ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置が挙げられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置を、図面を参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図4に示す画像形成装置は、上記本実施形態に係る無端ベルトを中間転写ベルトとして適用した画像形成装置である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、例えば、いわゆるタンデム方式であり、電子写真感光体からなる4つの像保持体101a〜101dの周囲に、その回転方向に沿って順次、帯電装置102a〜102d、露光装置114a〜114d、現像装置103a〜103d、一次転写装置(一次転写ロール)105a〜105d、像保持体クリーニング装置104a〜104dが配置されている。尚、転写後の像保持体101a〜101dの表面に残留している残留電位を除去するために除電器を備えていてもよい。
中間転写ベルト107が、支持ロール106a〜106d、駆動ロール111および対向ロール108により張力を付与しつつ支持され、転写ユニット107bを形成している。これらの支持ロール106a〜106d、駆動ロール111および対向ロール108により、中間転写ベルト107は、各像保持体101a〜101dの表面に接触しながら各像保持体101a〜101dと一次転写ロール105a〜105dとを矢印Aの方向に移動し得る。一次転写ロール105a〜105dが中間転写ベルト107を介して像保持体101a〜101dに接触する部位が一次転写部となり、像保持体101a〜101dと一次転写ロール105a〜105dとの接触部には一次転写電圧が印加される。
二次転写装置として、中間転写ベルト107および二次転写ベルト116を介して対向ロール108と二次転写ロール109が対向配置されている。二次転写ベルト116は、二次転写ロール109と支持ロール106eとによって支持されている。紙等の記録媒体115が中間転写ベルト107の表面に接触しながら中間転写ベルト107と二次転写ロール109とで挟まれる領域を矢印Bの方向に移動し、その後、定着装置110を通過する。二次転写ロール109が中間転写ベルト107および二次転写ベルト116を介して対向ロール108に接触する部位が二次転写部となり、二次転写ロール109と対向ロール108との接触部には二次転写電圧が印加される。更に、転写後の中間転写ベルト107と接触するように、中間転写ベルトクリーニング装置112および113が配置されている。
−像保持体−
像保持体101a〜101dとしては、公知の電子写真感光体が広く適用される。電子写真感光体としては、感光層が無機材料で構成される無機感光体や、感光層が有機材料で構成される有機感光体などが用いられる。有機感光体においては、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型有機感光体や、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を果たす単層型有機感光体が好適に用いられる。また、無機感光体においては、感光層がアモルファスシリコンにより構成されているものが、好適に用いられる。
また、像保持体の形状には特に限定はなく、例えば、円筒ドラム状、シート状またはプレート状等、公知の形状が採用される。
−帯電装置−
帯電装置102a〜102dとしては、特に制限はなく、例えば、導電性(ここで、帯電装置における「導電性」とは例えば体積抵抗率が10Ω・cm未満を意味する。)または半導電性(ここで、帯電装置における「半導電性」とは例えば体積抵抗率が10乃至1013Ωcmを意味する。)のローラ、ブラシ、フィルム、またはゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器など、公知の帯電器が広く適用される。これらの中でも接触型帯電器が望ましい。
帯電装置102a〜102dは、像保持体101a〜101dに対し、通常、直流電流を印加するが、交流電流を更に重畳させて印加してもよい。
−露光装置−
露光装置114a〜114dとしては、特に制限はなく、例えば、像保持体101a〜101dの表面に、半導体レーザ光、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)光、または液晶シャッタ光等の光源、又はこれらの光源からポリゴンミラーを介して定められた像様に露光し得る光学系機器など、公知の露光装置が広く適用される。
−現像装置−
現像装置103a〜103dとしては、目的に応じて選択され。例えば、一成分系現像剤または二成分系現像剤をブラシ、またはローラ等を用い接触又は非接触で現像する公知の現像器などが挙げられる。
−一次転写ロール−
一次転写ロール105a〜105dは単層又は多層のいずれでもよい。例えば、単層構造の場合は、発泡または無発泡のシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。
−像保持体クリーニング装置−
像保持体クリーニング装置104a〜104dは、一次転写工程後の像保持体101a〜101dの表面に付着する残存トナーを除去するためのものであり、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
−二次転写ロール−
二次転写ロール109の層構造は、特に限定されるものではないが、例えば、三層構造の場合、コア層と中間層とその表面を被覆する塗布層により構成される。コア層は導電性粒子を分散したシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等の発泡体で、中間層はこれらの無発泡体で構成される。塗布層の材料としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、またはパーフルオロアルコキシ樹脂などが挙げられる。二次転写ロール109の体積抵抗率は10Ωcm以下であることが望ましい。また、中間層を除いた2層構造としてもよい。
−対向ロール−
対向ロール108は、二次転写ロール109の対向電極を形成する。対向ロール108の層構造は、単層又は多層のいずれでもよい。例えば単層構造の場合は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。二層構造の場合は、上記のゴム材料で構成される弾性層の外周面を高抵抗層で被覆したロールから構成される。
対向ロール108と二次転写ロール109の芯体とには、通常1kV以上6kV以下の電圧が印加される。対向ロール108の芯体への電圧印加に代えて、対向ロール108に接触させた電気良導性の電極部材と二次転写ロール109とに電圧を印加してもよい。上記電極部材としては、金属ロール、導電性ゴムロール、導電性ブラシ、金属プレート、または導電性樹脂プレート等が挙げられる。
−定着装置−
定着装置110としては、例えば、熱ローラ定着器、加圧ローラ定着器、またはフラッシュ定着器など公知の定着器が広く適用される。
−中間転写ベルトクリーニング装置−
中間転写ベルトクリーニング装置112および113としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
この構成の多色画像形成装置100では、像保持体101aが矢印Cの方向に回転するとともに、その表面が帯電装置102aによって帯電された後、レーザ光等の露光装置114aにより第1色目の静電潜像が形成される。形成された静電潜像はその色に対応するトナーを収容した現像装置103aにより、トナーを含む現像剤で現像(顕像化)されてトナー像が形成される。なお、現像装置103a〜103dには、各色の静電潜像に対応するトナー(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)がそれぞれ収容されている。
像保持体101a上に形成されたトナー像は、一次転写部を通過する際に、一次転写ロール105aによって中間転写ベルト107上に静電的に転写(一次転写)される。以降、第1色目のトナー像を保持した中間転写ベルト107上に、一次転写ロール105b〜105dによって、第2色目、第3色目、第4色目のトナー像が順次重ね合わせられるよう一次転写され、最終的に多色の多重トナー像が得られる。
中間転写ベルト107上に形成された多重トナー像は、二次転写部を通過する際に、記録媒体115に静電的に一括転写される。トナー像が転写された記録媒体115は、定着装置110に搬送され、加熱および加圧、または加熱若しくは加圧により定着処理された後、機外に排出される。
一次転写後の像保持体101a〜101dは、像保持体クリーニング装置104a〜104dにより残留トナーが除去される。一方、二次転写後の中間転写ベルト107は、中間転写ベルトクリーニング装置112および113により残留トナーが除去され、次の画像形成プロセスに備える。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、以下において「部」は特に断りのない限り質量基準である。
[実施例1]
<無端ベルトの作製>
ポリエーテルイミド(ウルテム−1000、SABICイノベーティブプラスチックジャパン社製)80部、シリコーン変性ポリエーテルイミド(シルテム−1500、SABICイノベーティブプラスチックジャパン社製)10部、液晶ポリマー(A−6000、上野製薬社製)10部、カーボンブラック(Printex α、平均一次粒子径20nm、オリオンエンジニアードカーボン社製)15部を、2軸押出混練機を用いて350℃±10℃で溶融混練し、ペレット化した。
得られたペレットをφ174mmの管状ダイスを備えた押出成形機のホッパーに投入し、成形温度345℃±10℃にてダイス下方に押し出し、その後φ277mmのマンドレルに径を拡張しながら引っ張って成形し、この押し出し成形物を輪切りにして内径φ278mm、幅350mmの無端ベルト(シームレスベルト)に加工した。ベルトの厚みは92μmであった。
[実施例2乃至16、比較例1乃至3]
<無端ベルトの作製>
実施例1において、表1乃至表4に示す材料組成比、カーボンブラック種、カーボンブラックの部数に変更し、また、ダイス径の変更により無端ベルト径/ダイス径の比率を変更し、無端ベルトの厚みが80μm以上110μm以下の範囲となるように押出成形したこと以外は実施例1と同様にして実施例2乃至16及び比較例1乃至3の無端ベルトを作製した。
なお、カーボンブラックの部数については100V測定のベルトの表面抵抗率が10.5±0.5LogΩ/□の範囲となるように添加量を調整した。
[評価]
実施例及び比較例で作製した各無端ベルトについて、引張弾性率、耐屈曲性、表面粗さ、表面抵抗率を評価し、さらに無端ベルトを中間転写ベルトとして装着した画像形成装置により画像を形成し、画質評価を行った。
<引張弾性率>
引張弾性率は、JIS K7127(1999年)に準拠して精密荷重測定器 MODEL−1605N(アイコーエンジニアリング社製)を用いて評価した。2000MPa以上を目標とした。
<耐屈曲性>
耐屈曲性は、JIS P8115(2001年)に準拠してMIT耐折疲労試験機 MIT−DA(東洋精密製作所社製)を用いて、ベルト周方向とベルト幅方向(押出方向)でそれぞれ評価した。300回以上を目標とした。
<表面粗さ>
表面粗さRzは、JIS B0601(2013年)に準拠して表面粗さ測定機 サーフコム575A−3DF(東京精密社製)を用いて評価した。1.5μm以下を目標とした。
なお、表面粗さは、後述の画質評価における初期(1枚出力時)と10万枚出力後(10万枚時)で評価して比較した。初期の表面粗さRzに対し、10万枚出力後の表面粗さRzの増加量が小さいほど耐摩耗性に優れると言える。
<表面抵抗率>
表面抵抗率は、JIS−K−6911(1995年)に準じて、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧100V及び500V、3秒印加後の電流値を求め算出した。
なお、表面抵抗率は、後述の画質評価における初期(1枚出力時)と10万枚出力後(10万枚時)で評価して比較した。
初期の電圧100Vと500Vの表面抵抗率の差は0.5 LogΩ/□以下、初期(1枚出力時)と10万枚出力後(10万枚時)の電圧100Vの表面抵抗率差は0.5 LogΩ/□以下を目標とした。
<画質評価>
なお、表面粗さ及び表面抵抗率は、各例で作製した無端ベルトを画像形成装置DocuCentre−IV 5570(富士ゼロックス社製)の中間転写ベルトとして装着し、ハーフトーン画像(マゼンタ色、画像濃度5%)を10万枚形成し、初期(1枚出力時)と10万枚出力後(10万枚時)で評価して比較した。
画質評価は1枚時と10万枚時の画像を以下の基準で評価した。画質はそれぞれG1又はG2を目標とした。
G1:画像境界部のにじみ、画像部の白ぬけ等の画像欠陥が見られない
G2:画像境界部のにじみ、画像部の白ぬけ等の画像欠陥がわずかに見られる
G3:画像境界部のにじみ、画像部の白ぬけ等の画像欠陥が見られる
以上の評価結果を表1乃至表4に示す。
Figure 2017026820
Figure 2017026820
Figure 2017026820
Figure 2017026820
以上の結果、実施例1乃至実施例16の無端ベルトでは、全ての評価において目標以上であった。
一方、ポリエーテルイミドを混合しない比較例1や、シロキサン変性ポリエーテルイミドを混合しない比較例2の場合、表面抵抗率の100Vと500Vの差が大きい、初期と10万枚との差が大きいなどの理由でベルト電気特性(抵抗維持性)が劣っていた。これは液晶ポリマーおよびカーボンブラックが膜中で偏って存在しているものと推定され、ポリエーテルイミド、シリコーン変性ポリエーテルイミド、液晶ポリマー及びカーボンブラックの各材料を含む場合のみ目標以上の電気特性が発現するものと考えられる。
また、液晶ポリマーを含まない比較例3では、ヤング率が低く、10万枚時では画質の低下が見られた。これは、ベルトのヤング率が低いために外周面のクリーニング不良が生じ易かったためと考えられる。
10 無端ベルト
100 画像形成装置
101a〜101d 像保持体
102a〜102d 帯電装置(帯電手段)
103a〜103d 現像装置(現像手段)
104a〜104d 像保持体クリーニング装置
105a〜105d 一次転写ロール
106a〜106d 支持ロール
107 中間転写ベルト
107b、130 転写ユニット
108 対向ロール
109 二次転写ロール
110 定着装置(定着手段)
111 駆動ロール
112、113 中間転写ベルトクリーニング装置
114a〜114d 露光装置(潜像形成手段)
115 記録媒体
116 二次転写ベルト
131 駆動ロール
132 従動ロール

Claims (5)

  1. シリコーン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、シリコーン変性ポリエーテルイミド、液晶ポリマー及びカーボンブラックを含有する樹脂層を有する無端ベルト。
  2. 前記樹脂層に含まれる前記シリコーン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、前記シリコーン変性ポリエーテルイミド、及び前記液晶ポリマーの合計量に対し、前記シリコーン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドの含有比率が50質量%以上90質量%以下であり、かつ、前記液晶ポリマーの含有比率が3質量%以上20質量%以下である請求項1に記載の無端ベルト。
  3. 前記カーボンブラックの平均一次粒子径25nm以下である請求項1又は請求項2に記載の無端ベルト。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の無端ベルトと、
    前記無端ベルトを張力がかかった状態で支持する複数のロールと、
    を備える転写ユニット。
  5. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記像保持体の表面の潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
    請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の無端ベルトである中間転写ベルトと、
    前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写ベルトの外周面に一次転写する一次転写手段と、
    前記中間転写ベルトの外周面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
    を備える画像形成装置。
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