JP6056542B2 - 管状体、管状体ユニット、中間転写体、及び画像形成装置 - Google Patents

管状体、管状体ユニット、中間転写体、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、管状体、管状体ユニット、中間転写体、及び画像形成装置に関する。
従来、中間転写体を介してトナー像を静電的に転写することにより画像を得る画像形成装置が知られている(特許文献1)。
中間転写体方式を採用した画像形成装置に用いられる中間転写体としては、ポリカーボネート樹脂(特許文献2)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(特許文献3、4)、ポリアルキレンフタレート樹脂(特許文献5)等の熱可塑性樹脂層からなる無端ベルト、ポリイミド樹脂又は全芳香族ポリアミド樹脂(特許文献6)等の樹脂層からなる無端ベルトが提案されている。
また、中間転写体としては、熱可塑性樹脂として、ポリエーテルイミド樹脂(特許文献7)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(特許文献8)を押出成形して作製した無端ベルトが提案されている。
また、中間転写体としては、一次粒径20nm以下のカーボンブラックを含んだ無端ベルトが提案されている(特許文献9)。
また、中間転写体としては、ポリイミド基材と、その上のポリエーテルイミド/ポリシロキサンと、を備える無端ベルトが提案されている(特許文献10)。
また、熱可塑性樹脂(A)と、前記熱可塑性樹脂(A)と同種類の熱可塑性樹脂ブロック単位(i)と、ポリシロキサンブロック単位(ii)とを含むブロック共重合体である熱可塑性樹脂(B)と、導電性カーボンブラック(C)、とを含む導電性熱可塑性樹脂フィルムが提案されている(特許文献11)。
特開昭62−206567号公報 特開平06−095521号公報 特開平5−200904号公報 特開平6−228335号公報 特開平6−149081号公報 特許2560727号公報 特開2000−137388号公報 特開2004−94095号公報 特開2010−250251号公報 特開2010−237672号公報 特開2011−26584号公報
本発明の課題は、耐折れ性及び表面抵抗維持性に優れた管状体を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
熱可塑性樹脂を含む海部と、熱可塑性樹脂とシリコーン樹脂との共重合体及び360℃までの揮発分率が0.4%以下のカーボンブラックを含む島部と、で構成された海島構造を持つ樹脂層を有する管状体。
請求項に係る発明は、
前記島部に含まれる共重合体が、ポリエーテルイミド樹脂とシリコーン樹脂との共重合体である請求項1に記載の管状体。
請求項に係る発明は、
前記熱可塑性樹脂とシリコーン樹脂との共重合体における前記シリコーン樹脂の共重合比が10質量%以上30質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の管状体。
請求項に係る発明は、
前記カーボンブラックの平均一次粒径が、25nm以下である請求項1〜のいずれかに1項に記載の管状体。
請求項に係る発明は、
前記海部に含まれる熱可塑性樹脂が、ポリエーテルイミド樹脂、及びポリフェニレンスルフィド樹脂から選択される少なくとも1種である請求項1〜のいずれか1項に記載の管状体。
請求項6に係る発明は、
熱可塑性樹脂を含む海部と、熱可塑性樹脂とシリコーン樹脂との共重合体及び平均一次粒径が25nm以下のカーボンブラックを含む島部と、で構成された海島構造を持つ樹脂層を有する管状体。
請求項7に係る発明は、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の管状体と、該管状体を張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置に対して脱着される管状体ユニット。
請求項8に係る発明は、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の管状体からなる中間転写体。
請求項9に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写体であって、請求項8に記載の中間転写体と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備えた画像形成装置。
請求項1に係る発明によれば、熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂及びシリコーン樹脂の共重合体とが相溶した系にカーボンブラックを含む樹脂層を有する場合に比べ、耐折れ性及び表面抵抗維持性に優れた管状体が提供される。
請求項に係る発明によれば、カーボンブラックの揮発分率0.4%を超えた場合に比べ、外観に優れた管状体が提供される。
請求項に係る発明によれば、島部に、ポリエーテルイミド樹脂とシリコーン樹脂との共重合体を含まない場合に比べ、表面抵抗維持性及び外観に優れた管状体が提供される。
請求項に係る発明によれば、ポリエーテルイミド樹脂とシリコーン樹脂との共重合体におけるシリコーン樹脂の共重合比が30質量%を超えた場合に比べ、表面硬度が高い管状体が提供される。
請求項に係る発明によれば、カーボンブラックの平均一次粒径が25nmを超えた場合に比べ、表面抵抗維持性に優れた管状体が提供される。
請求項に係る発明によれば、海部に、ポリカーボネート樹脂、ポポリエーテルイミドとシリコーン樹脂の共重合体を含む場合に比べ、機械的強度に優れた管状体が提供される。
請求項7に係る発明によれば、熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂及びシリコーン樹脂の共重合体とが相溶した系にカーボンブラックを含む樹脂層を有する管状体を適用した場合に比べ、耐折れ性及び表面抵抗維持性に優れた管状体を備える管状体ユニットが提供できる。
請求項8、9に係る発明によれば、耐折れ性及び表面抵抗維持性に優れた管状体を適用した場合に比べ、折れに起因する故障又は抵抗低下に起因する画像欠陥が抑制される中間転写体、及びそれを備える画像形成装置が提供できる。
本実施形態に係る管状体を示す概略斜視図である。 本実施形態に係る管状体を構成する樹脂層の一部を示す部分拡大図である。 本実施形態に係る管状体ユニットを示す概略斜視図である。 本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
以下、本発明の一例である実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
(管状体)
図1は、本実施形態に係る管状体を示す概略斜視図である。図2は、本実施形態に係る管状体を構成する樹脂層の一部を示す部分拡大図である。
本実施形態に係る管状体10(以下、無端ベルトと称する)は、図1に示すように、例えば、無端状に形成され、例えば、樹脂層の単層体で構成されている。
そして、樹脂層は、図2に示すように、熱可塑性樹脂を含む海部と、熱可塑性樹脂とシリコーン樹脂との共重合体(以下「シリコーン共重合体」と称する)及びカーボンブラックを含む島部と、で構成された海島構造を持つ樹脂層としている。なお、図2中、10Aは海部、10Bは島部、10Cはカーボンブラックを示している。
ここで、従来、熱可塑性樹脂中にカーボンブラックを分散した樹脂層で構成した無端ベルトが知られている。しかしながら、この構成の無端ベルトは、放電による樹脂の炭化に起因して抵抗が低下する場合がある。
一方、無端ベルトの表面エネルギーを低下する目的や、カーボンブラックの凝集を抑制する目的で、シリコーン共重合体を熱可塑性樹脂と相溶して樹脂層を構成することも知られている。しかしながら、この構成の無端ベルトは、シリコーン構造が樹脂中に入るため柔らかくなり、機械的強度が不足する場合がある。
これに対して、本実施形態に係る無端ベルト10では、上記海島構造を持つ樹脂層で構成することにより、耐折れ性及び表面抵抗維持性に優れた無端ベルトとなる。また、機械的強度に優れた無端ベルトとなる。
この理由は定かではないが、以下に示す理由によるものと考えられる。
また、シリコーン共重合体は、熱可塑性樹脂に比べ、放電による炭化が生じ難い耐放電負荷が高いと考えられる。これに加え、シリコーン共重合体は、熱可塑性樹脂に比べ、カーボンブラックの分散性が高いと考えられる。つまり、カーボンブラックの凝集が発生し難いと考えられる。一方、熱可塑性樹脂は、シリコーン共重合体に比べ、機械的強度が高い傾向があると考えられる。また、樹脂にカーボンブラックを添加すると機械的強度は向上するものの耐折れ性が低下してくる。
このため、この機械的強度の高い熱可塑性樹脂を海部として構成する一方で、耐放電負荷が高く且つカーボンブラックの分散性が高いシリコーン共重合体を海部として構成し、この島部にカーボンブラックを含ませた海島構造で樹脂層を構成すると、機械的強度を保持するとともに、耐折れ性の付与と表面抵抗維持性も確保されると考えられる。
以上から、本実施形態に係る無端ベルト10は、耐折れ性及び表面抵抗維持性に優れると考えられる。また、機械的強度にも優れると考えられる。
なお、カーボンブラックの平均一次粒径を小さくすると(例えば粒径を24nm以下とすると)、表面抵抗維持性が高められる。一方で、カーボンブラックの平均一次粒径を小さくすると、表面積が増大し、例えば、押出成形時の熱付与により、カーボンブラックの表面に付着している気体や官能基(例えば酸性基)の分解によりガスが発生し、空隙(ボイド)による無端ベルト10(樹脂層)の外観の悪化が生じ易くなる。本実施形態に係る無端ベルト10は、カーボンブラックの平均一次粒径が大きくても(例えば粒径を24nm超え35nm以下としても)、上述のように表面抵抗維持性が確保され易くなる点でも、有利である。
以下、本実施形態に係る無端ベルト10の構成材料や特性について説明する。以下、符号は省略して説明する。
本実施形態に係る無端ベルト(それを構成する樹脂)は、熱可塑性樹脂を含んで構成される海部とシリコーン共重合体を含んで構成される島部とからなる海島構造を有している。そして、島部の内部にカーボンブラックを含んでいる。また、必要に応じて、その他添加剤を含んでいてもよい。
海島構造とは、2つの樹脂(熱可塑性樹脂及びシリコーン共重合体)が互いに非相溶状態で混在した構造で、一方の熱可塑性樹脂からなる連続相を海部とし、当該連続相となる海部に懸濁状態で存在する他方のシリコーン共重合体からなる不連続相を島部とする構造を意味する。
海島構造において、島部の直径は、カーボンブラックの平均一次粒径よりも大きいことがよく、具体的には例えば0.05μm以上10μm以下が望ましく、より望ましくは0.1μm以上2μm以下である。
なお、島部の直径は、樹脂層をクライオミクトーム法により試料(切片)を調製し、この試料を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察して、10箇所の島部の最大径を測定し、この平均値とする。
熱可塑性樹脂について説明する。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂(例えばポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等)、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、またはポリエーテルイミド樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエーテルイミド樹脂、及びポリフェニレンスルフィド樹脂がよい。熱可塑性樹脂として、これら樹脂を適用すると、無端ベルトの機械的強度が高まり、伸びや収縮といった変形が抑制され易くなる。その結果、無端ベルトを中間転写体として適用した場合、色ずれの発生が抑制され易くなる。
なお、熱可塑性樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
ポリエーテルイミド樹脂は、例えば、脂肪族、脂環族又は芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有する溶融成形性を有する樹脂である。具体例としては、例えば、芳香族ビス(エーテルジカルボン)酸と有機ジアミンとを有機溶媒中で加熱温度下に反応させて得られるものが挙げられ、例えば、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、及び4,4’−ジアミノジフェニルメタンを混合し、フェノール・トルエン混合溶媒に加えて加熱還流させ、反応を通じて生成された水を共沸蒸留によって連続的に除去し、反応生成混合物をメタノール中に注入し、繊維状重合体として得られる重合体が挙げられる。
ポリエーテルイミド樹脂の市販品としては、例えば、SABICイノベーティブプラスチックス社のウルテム(ULTEM)1000シリーズ、5000シリーズ、エクステム(EXTEM)VH1003等がある。
ポリフェニレンスルフィド樹脂は、例えば、ベンゼン環と硫黄原子が交互に結合した直鎖状構造を持つ樹脂である。一般的には、ポリフェニレンスルフィド樹脂は、例えば、アミド系の極性溶媒(主としてNMP)中で、p−ジクロロベンゼンと硫化ナトリウム(硫化ソーダ)を200℃以上290℃以下の高温高圧下で重縮合させる手法で得られる樹脂である。
ポリフェニレンスルフィド樹脂の市販品としては、例えば、トレリナT1881(東レ社製)、フォートロン0220C9(ポリプラスティック社製)等がある。
海部の熱可塑性樹脂の含有量は、全樹脂成分に対して50質量%以上95質量%以下がよく、望ましくは60質量%以上90質量%以下、より望ましくは65質量%以上85質量%以下である。
シリコーン共重合体について説明する。
シリコーン共重合体は、熱可塑性樹脂とシリコーン樹脂との共重合体である。シリコーン共重合体は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体のいずれもよい。シリコーン共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
シリコーン共重合体おける熱可塑性樹脂としては、海部を構成する熱可塑性樹脂と同様の樹脂種が挙げられ、特に、成形性の観点から、当該海部に適用する熱可塑性樹脂と同じ樹脂を適用することがよい。
一方、シリコーン樹脂としては、例えば、ジメチルシリコーン樹脂、ジメチルエチルシリコーン樹脂、ジエチルシリコーン樹脂、ジフェニルシリコーン樹脂、ジメチルフェニルシリコーン樹脂、ジエチルフェニルシリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中も、シリコーン樹脂としては、表面抵抗維持性、外観悪化の抑制の観点から、ジメチルシリコーン樹脂がよい。
ここで、表面抵抗維持性及び外観悪化の抑制の観点から、シリコーン共重合体としては、ポリエーテルイミド樹脂とシリコーン樹脂との共重合体がよい。
ポリエーテルイミド樹脂とシリコーン樹脂との共重合体としては、例えば、芳香族ビス(エーテル無水物)とアミン末端オルガノシロキサン及び有機ジアミンとの反応物が挙げられる。
ポリエーテルイミド樹脂とシリコーン樹脂との共重合体の市販品としては、例えば、SABICイノベーティブプラスチックス社のシルテム(SILTEM)STM1500、1600、1700がある。
シリコーン共重合体のシリコーン樹脂の共重合比は、10質量%以上50質量%以下がよく、望ましくは10質量%以上30質量%以下である。特に、シリコーン樹脂の共重合比を10質量%以上30質量%以下とすると、無端ベルトの表面硬度が高まり易くなる。その結果、無端ベルトを中間転写体に適用すると、クリーニング性が向上し易くなる。なお、シリコーン樹脂の共重合比は、共重体全体に対する質量比である。
島部のシリコーン共重合体の含有量は、全樹脂成分に対して5質量%以上50質量%以下がよく、望ましくは10質量%以上40質量%以下、より望ましくは15質量%以上35質量%以下である。
カーボンブラックについて説明する。
カーボンブラックとしては、例えば、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等が挙げられる。
カーボンブラックの平均一次粒径は、例えば、35nm以下がよく、望ましくは24nm以下、望ましくは16nm以下である。特に、カーボンブラックの平均一次粒径を25nm以下とすると、カーボンブラックによる導電点を微細かつ均一となり、ポリアミド樹脂層(無端ベルト10)表面での放電劣化による抵抗低下が抑制され易くなる。
なお、上記観点からは、カーボンブラックの平均一次粒径は小さい程よいが、一次粒径が小さすぐると嵩密度が小さくなり取り扱いが困難になることや表面積が大きくなるために分散物がチキソ性を示すようになることから、10nm以上(望ましくは12nm以上)であることがよい。
カーボンブラックの平均一次粒径は、次の方法により測定される。
まず、得られた無端ベルト(樹脂層)から、ミクロトームにより切断して、100nmの厚さの測定サンプルを採取し、本測定サンプルをTEM(透過型電子顕微鏡)により観察する。そして、カーボンブラックの一次粒子50個の径を測定して、その平均値を平均一次粒径とする。
カーボンブラックの揮発分率(360℃までの揮発分率)は、例えば、0.45%以下がよく、望ましくは0.4%以下、より望ましくは0.3%以下である。特に、カーボンブラックの揮発分率を0.4%以下とすると、空隙(ボイド)による無端ベルト(樹脂層)の外観の悪化が生じ難くなる。
カーボンブラックの揮発分率とは、カーボンブラック表面に抱えた空気およびカーボンブラック表面のカルボキシル基や水酸基が分解した量を示している。そして、カーボンブラックの揮発分率(360℃までの揮発分率)は、次の方法により測定される。
熱重量分析器(島津製作所製DTG−60)を用い、窒素雰囲気下で120℃15分加熱し水分を揮発させた後、20℃/分の速度で500℃まで昇温する。その時の120℃15分後の質量(120℃質量と表記)と360℃まで昇温したときの質量(360℃質量と表記)を調べ、式:(120℃重量−360℃重量)/120℃重量×100により計算して、カーボンブラックの揮発分率を求める。
カーボンブラックのpHは、例えば、5以上であることがよく、望ましくは7.0以上11.0以下、より望ましくは8以上10以下である。
カーボンブラックのpHとは、JISK6221−1982に準じて、カーボンブラックを水で煮沸し、冷却後上澄みを除去して得た泥状物に対して測定したpH(水素イオン濃度の対数値)をいう。これは、カーボンブラック表面の酸素含有官能基(カルボン酸、水酸、ラクトン、キノイドなどの各官能基)の量と関連があり、pHが低いほど酸性表面官能基が多いと考えられている(カーボンブラック協会編集・発行、「カーボンブラック便覧」、1995年、参照)。
カーボンブラックの含有量は、例えば、全樹脂成分に対して15質量%以上30質量%であることがよく、望ましくは20質量%以上25質量%以下である。
その他添加剤について説明する。
その他添加剤としては、例えば、ポリアミド樹脂層の熱劣化を防止するための酸化防止剤や、流動性を向上させるための滑剤等、特に、画像形成装置の無端ベルトに配合される周知の添加剤が挙げられる。
次に、本実施形態に係る無端ベルトの特性について説明する。
本実施形態に係る無端ベルト10(樹脂層)は、常温常湿(温度22℃、湿度55RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率が、7logΩ/□以上13logΩ/□以下であることがよく、特に、無端ベルト10を中間転写ベルトとして適用する場合、8logΩ/□以上12logΩ/□以下であることがよく、無端ベルトを記録媒体搬送転写ベルトとして適用する場合、9logΩ/□以上13logΩ/□以下であることがよい。
なお、本表面抵抗率は、常温常湿(温度22℃、湿度55RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの測定値である。
本実施形態に係る無端ベルト10(樹脂層)は、常温常湿(温度22℃、湿度55RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率と、常温常湿(温度22℃、湿度55RH%)環境下で、電圧1000Vを印加して測定したときの表面抵抗率と、の差が、1.0logΩ/□以下であることがよい。
本実施形態に係る無端ベルト10(樹脂層)は、低温低湿(温度10℃、湿度10RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率と、高温高湿(温度30℃、湿度85RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率と、の差が、1.0logΩ/□以下であることがよい。
ここで、表面抵抗率は、JIS−K−6911(1995年)に準じて、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極の外径Φ16mm、リング状電極部の内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、測定対象物を絶縁板の上に置き、目的とする環境下で、目的とする電圧を印加し、印加後5sec後の外径から内径に流れる電流値をアドバンテスト製、微小電流計R8340Aを用いることにより測定し、その電流値より得た表面抵抗値から表面抵抗率を求める。
以下、本実施形態に係る無端ベルトの製造方法について説明する。
まず、例えば、シリコーン共重合体とカーボンブラックと必要に応じて他の添加剤とを、それぞれ目的とする配合量で混練、混合し、カーボンブラック含有樹脂ペレットを得る。そして、このカーボンブラック含有樹脂ペレットと熱可塑性樹脂と必要に応じて他の添加剤とを、それぞれ目的とする配合量で混練、混合し、樹脂ペレットを得る。
次に、得られた樹脂組成物のペレットを用い、押出機を用いて円筒状に押し出し、冷却固化させ、円筒状の成形体を得る。また、シリコーン共重合体とカーボンブラックと必要に応じて他の添加剤とを、それぞれ目的とする配合量で混練、混合し、カーボンブラック含有樹脂ペレットを得た後、樹脂ペレットとそれぞれ目的とする配合量で混合し、押出機を用いて円筒状に押し出し、冷却固化させ、円筒状の成形体を得てもよい。
円筒状の成形体を得るには、例えば、樹脂組成物のペレットを、円筒状に溶融押出して、かつ延伸させながら引き取り、その円筒状に押出された樹脂組成物の内周面及び外周面を冷却することにより行う。このとき、押出機内の樹脂組成物流路を不活性ガスで置換することがよい。
押出成形を利用することにより、キャスト工法に比較して、工程が単純で安価で成形が実現される。
そして、得られた円筒状の成形体を、目的とする幅に切断して、無端ベルトを得る。
以上説明した本実施形態に係る無端ベルトは、樹脂層の単層体で構成された形態を説明したが、当該樹脂層を有していれば、2層以上の積層体で構成されていてもよい。
具体的には、例えば、本実施形態に係る無端ベルトは、基材層とその外周面に表面層(表面離型層)との積層体で構成され、当該基材層及び表面層の少なくとも一方として樹脂層を適用した構成であってもよい。但し、樹脂層を表面層として適用する場合、離型材料(例えば、フッ素化合物(フッ素樹脂、又はその粒子等)等)を配合してもよい。
無論、基材層及び表面層の間に中間層を設けてもよいし、基材層自体が2層以上の積層体で構成させたものであってもよい。
本実施形態に係る無端ベルト10は、例えば、画像形成装置用のベルト(例えば、中間転写ベルト、記録媒体搬送転写ベルト)に適用され得る。
(管状体ユニット)
図3は、本実施形態に係る管状体ユニットを示す概略斜視図である。
本実施形態に係る管状体ユニット130(以下、無端ベルトユニットと称する)は、図3に示すように、上記本実施形態に係る無端ベルト10を備えており、例えば、無端ベルト10は対向して配置された駆動ロール131及び従動ロール132により張力がかかった状態で掛け渡されている(以下、「張架」という場合がある。)。
ここで、本実施形態に係る無端ベルトユニット130は、無端ベルト10を中間転写体として適用させる場合、無端ベルト10を張架するロールとして、感光体(像保持体)表面のトナー像を無端ベルト10上に1次転写させるためのロールと、無端ベルト10上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に2次転写させるためのロールが配置される。
なお、無端ベルト10を張架するロールの数は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。このような構成の無端ベルトユニット130は、装置に組み込まれて使用され、駆動ロール131,従動ロール132の回転に伴って無端ベルト10も張架した状態で回転する。
(画像形成装置)
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体表面を帯電する帯電手段と、像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段と、を有し、転写手段が、上記本実施形態に係る無端ベルトを備えるものである。
具体的には、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、転写手段が中間転写体と像保持体に形成されたトナー像を中間転写体に一次転写する一次転写手段と中間転写体に転写されたトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段とを備え、当該中間転写体として上記本実施形態に係る無端ベルトを備える構成が挙げられる。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、転写手段が記録媒体を搬送するための搬送転写体(搬送転写ベルト)と像保持体に形成されたトナー像を用紙転写体により搬送された記録媒体に転写するための転写手段とを備え、当該記録媒体転写体として上記本実施形態に係る無端ベルトを備える構成が挙げられる。
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置、像保持体上に保持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像保持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置が挙げられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置を、図面を参照しつつ説明する。
図4は、実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、例えば、いわゆるタンデム方式であり、電子写真感光体からなる4つの像保持体101a乃至101dの周囲に、その回転方向に沿って順次、帯電装置102a乃至102d、露光装置114a乃至114d、現像装置103a乃至103d、一次転写装置(一次転写ロール)105a乃至105d、像保持体クリーニング装置104a乃至104dが配置されている。尚、転写後の像保持体101a乃至101dの表面に残留している残留電位を除去するために除電器を備えていてもよい。
中間転写ベルト107が、支持ロール106a乃至106d、駆動ロール111および対向ロール108により張力を付与しつつ支持され、管状体ユニット107bを形成している。これらの支持ロール106a乃至106d、駆動ロール111および対向ロール108により、中間転写ベルト107は、各像保持体101a乃至101dの表面に接触しながら各像保持体101a乃至101dと一次転写ロール105a乃至105dとを矢印Aの方向に移動し得る。一次転写ロール105a乃至105dが中間転写ベルト107を介して像保持体101a乃至101dに接触する部位が一次転写部となり、像保持体101a乃至101dと一次転写ロール105a乃至105dとの接触部には一次転写電圧が印加される。
二次転写装置として、中間転写ベルト107および二次転写ベルト116を介して対向ロール108と二次転写ロール109が対向配置されている。紙等の記録媒体115が中間転写ベルト107の表面に接触しながら中間転写ベルト107と二次転写ロール109とで挟まれる領域を矢印Bの方向に移動し、その後、定着装置110を通過する。二次転写ロール109が中間転写ベルト107および二次転写ベルト116を介して対向ロール108に接触する部位が二次転写部となり、二次転写ロール109と対向ロール108との接触部には二次転写電圧が印加される。更に、転写後の中間転写ベルト107と接触するように、中間転写ベルトクリーニング装置112および113が配置されている。
この構成の多色画像形成装置100では、像保持体101aが矢印Cの方向に回転するとともに、その表面が帯電装置102aによって帯電された後、レーザー光等の露光装置114aにより第1色目の静電潜像が形成される。形成された静電潜像はその色に対応するトナーを収容した現像装置103aにより、トナーで現像(顕像化)されてトナー像が形成される。なお、現像装置103a乃至103dには、各色の静電潜像に対応するトナー(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)がそれぞれ収容されている。
像保持体101a上に形成されたトナー像は、一次転写部を通過する際に、一次転写ロール105aによって中間転写ベルト107上に静電的に転写(一次転写)される。以降、第1色目のトナー像を保持した中間転写ベルト107上に、一次転写ロール105b乃至105dによって、第2色目、第3色目、第4色目のトナー像が順次重ね合わせられるよう一次転写され、最終的に多色の多重トナー像が得られる。
中間転写ベルト107上に形成された多重トナー像は、二次転写部を通過する際に、記録媒体115に静電的に一括転写される。トナー像が転写された記録媒体115は、定着装置110に搬送され、加熱および/または加圧により定着処理された後、機外に排出される。
一次転写後の像保持体101a乃至101dは、像保持体クリーニング装置104a乃至104dにより残留トナーが除去される。一方、二次転写後の中間転写ベルト107は、中間転写ベルトクリーニング装置112および113により残留トナーが除去され、次の画像形成プロセスに備える。
−像保持体−
像保持体101a乃至101dとしては、公知の電子写真感光体が広く適用される。電子写真感光体としては、感光層が無機材料で構成される無機感光体や、感光層が有機材料で構成される有機感光体などが用いられる。有機感光体においては、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型有機感光体や、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を果たす単層型有機感光体が好適に用いられる。また、無機感光体においては、感光層がアモルファスシリコンにより構成されているものが、好適に用いられる。
また、像保持体の形状には特に限定はなく、例えば、円筒ドラム状、シート状またはプレート状等、公知の形状が採用される。
−帯電装置−
帯電装置102a乃至102dとしては、特に制限はなく、例えば、導電性(ここで、帯電装置における「導電性」とは例えば体積抵抗率が10Ω・cm未満を意味する。)または半導電性(ここで、帯電装置における「半導電性」とは例えば体積抵抗率が10乃至1013Ωcmを意味する。)のローラ、ブラシ、フィルム、またはゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器など、公知の帯電器が広く適用される。これらの中でも接触型帯電器が望ましい。
帯電装置102a乃至102dは、像保持体101a乃至101dに対し、通常、直流電流を印加するが、交流電流を更に重畳させて印加してもよい。
−露光装置−
露光装置114a乃至114dとしては、特に制限はなく、例えば、像保持体101a乃至101dの表面に、半導体レーザー光、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)光、または液晶シャッタ光等の光源、或いはこれらの光源からポリゴンミラーを介して定められた像様に露光し得る光学系機器など、公知の露光装置が広く適用される。
−現像装置−
現像装置103a乃至103dとしては、目的に応じて選択され。例えば、一成分系現像剤または二成分系現像剤をブラシ、またはローラ等を用い接触或いは非接触させて現像する公知の現像器などが挙げられる。
−一次転写ロール−
一次転写ロール105a乃至105dは単層或いは多層のいずれでもよい。例えば、単層構造の場合は、発泡または無発泡のシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。
−像保持体クリーニング装置−
像保持体クリーニング装置104a乃至104dは、一次転写工程後の像保持体101a乃至101dの表面に付着する残存トナーを除去するためのものであり、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
−二次転写ロール−
二次転写ロール109の層構造は、特に限定されるものではないが、例えば、三層構造の場合、コア層と中間層とその表面を被覆するコーティング層により構成される。コア層は導電性粒子を分散したシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等の発泡体で、中間層はこれらの無発泡体で構成される。コーティング層の材料としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、またはパーフルオロアルコキシ樹脂などが挙げられる。二次転写ロール109の体積抵抗率は10Ωcm以下であることが望ましい。また、中間層を除いた2層構造としてもよい。
−対向ロール−
対向ロール108は、二次転写ロール109の対向電極を形成する。対向ロール108の層構造は、単層或いは多層のいずれでもよい。例えば単層構造の場合は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。二層構造の場合は、上記のゴム材料で構成される弾性層の外周面を高抵抗層で被覆したロールから構成される。
対向ロール108と二次転写ロール109のシャフトとには、通常1kV以上6kV以下の電圧が印加される。対向ロール108のシャフトへの電圧印加に代えて、対向ロール108に接触させた電気良導性の電極部材と二次転写ロール109とに電圧を印加してもよい。上記電極部材としては、金属ロール、導電性ゴムロール、導電性ブラシ、金属プレート、または導電性樹脂プレート等が挙げられる。
−定着装置−
定着装置110としては、例えば、熱ローラ定着器、加圧ローラ定着器、またはフラッシュ定着器など公知の定着器が広く適用される。
−中間転写ベルトクリーニング装置−
中間転写ベルトクリーニング装置112および113としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、「部」又は「%」は、特に断りがない限り、「質量部」又は「質量%」を示す。
[実施例1〜11、比較例1〜16]
表1に記載の組成で、樹脂とカーボンブラック(CBと表記)とをヘンシェルミキサー(日本コークス製FM10C)を用いて混合した。混合した組成物を表1に記載の練り温度で二軸押出溶融混練機(L/D60(パーカーコーポレーション社製))で溶融混練したものをφ5の孔より紐状に押出し、水槽中に入れて冷却固化後、冷却固化された紐状物をペレタイザーに挿入し、長さ約5mm程度のカットサイズでカットして、CB含有樹脂ペレットを得た。
次に、表2〜表4に記載の組成で、CB含有樹脂ペレットと樹脂とをヘンシェルミキサー(日本コークス製FM10C)を用いて混合した。混合した組成物を表2〜表4に記載の押出温度に設定した一軸溶融押出機(L/D24、溶融押出装置(三葉製作所社製))に投入し、溶融しながら環状ダイとニップルの間隙から円筒状に押出した。押出された円筒状の溶融樹脂の内周面を冷却用金型(温度30℃)に接触させて冷却後、カット機により目的とする幅に切断して、外径φ160×232×約100μmの無端ベルトを得た。
[評価]
各例で得られた無端ベルトについて、下記評価を行った。結果を表5〜表7に示す。
(海島構造確認)
各例で得られた無端ベルトから小片状の試料を切り出し、電顕用樹脂に包埋・固化後ミクロトームにより、試料断面ブロックを調製した。この断面にPtを蒸着したものをFE−SEM(日本電子製 JSM−6700F、加速電圧:5kV/10kV)にて観察を行った。これにより、海島構造の有無を確認した。海島構造の場合、島部にカーボンブラックの存在が確認された。なお、一部の比較例(比較例1〜8、15〜16)で得られた無端ベルトは、樹脂が相溶状態で混合されており、海島構造は確認できなかった。
(耐折れ性(MIT))
各例で得られた無端ベルトから15mm×150mmの短冊状サンプルを切り出し、荷重は1KgfでMIT試験機装置(上島製作所製)を使用して破断が生じるまでの回数を測定した。
(外観)
各例で得られた無端ベルトの外観を目視にて観察した。
評価基準は以下の通りである。
A:欠陥なし
B:小さい突起/凹みあり
C:大きい突起/凹みあり
D:ひどい突起/凹みあり
(表面抵抗率/その維持性)
各例で得られた無端ベルトについて、記述の方法により表面抵抗率を測定し、その維持性を評価した。
具体的には、各例で得られた無端ベルトを中間転写体として富士ゼロックス社製のDocuPrint CP200Wに組み込み、10℃15%RHの低温低湿環境下において、ハーフトーン(マゼンタ濃度30%)の画像をA5縦用紙に連続して3000枚出力した。このときの2次転写電圧は5.6kVとした。この評価前後における無端ベルトの表面抵抗率を測定し、評価前の表面抵抗率の常用対数値と評価後の表面抵抗率の常用対数値の差を求めた。この差を表面抵抗維持性として評価した。表面抵抗維持性としての表面抵抗率の変化は、0.6以下が求められ、望ましくは0.3以下である。
評価基準は以下の通りである。
A:表面抵抗率の常用対数値の差が0.3未満
B:表面抵抗率の常用対数値の差が0.6未満
C:表面抵抗率の常用対数値の差が1.1未満
D:表面抵抗率の常用対数値の差が1.1以上
(クリーニング性)
各例で得られた無端ベルトを中間転写体として富士ゼロックス社製のDocuPrint CP200Wに組み込み、22℃55%RHの環境下において、低濃度画像(マゼンタ濃度5%)をA4縦用紙に連続1000枚出力後、用紙搬送方向の前半部分にのみハーフトーン画像(マゼンタ濃度40%)を形成したA4縦用紙を3枚出力し、3枚目の用紙の後半部分の非画像部のトナー汚れについて目視により観察した。
また、トナー汚れの無いものについては、無端ベルトの表面を観察し、トナーの付着度合いも観察し、トナーフィルミング(トナーが潰されて無端ベルト表面に膜状に蓄積する現象)の有無も確認した。
評価基準は以下の通りである。
A:画像:トナー汚れなし/無端ベルト表面:トナーフィルミングなし
B:画像:トナー汚れなし/無端ベルト表面:トナーフィルミングあり
C:画像:トナー汚れあり
D:画像:ひどいトナー汚れあり
(色ずれ)
各例で得られた無端ベルトを中間転写体として富士ゼロックス社製のDocuPrint CP200Wに組み込み、22℃55%RHの環境下において、緑色の帯状画像が間隔を持って配列された模様(キャタピラ模様)をA4縦用紙に出力し、色ずれの発生を目視にて評価した。
評価基準は以下の通りである。
A:帯状画像の色ずれなし
B:帯状画像の0.2mm未満の色ずれ
C:帯状画像の0.5mm未満の色ずれ
D:帯状画像の0.5mm以上の色ずれ
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、折れ性、及び表面抵抗率維持性の評価について共に良好な結果が得られたことがわかる。
−樹脂−
・SILTEM1700: ポリエーテルイミド樹脂−シリコーン樹脂共重合体「(SABICイノベーティブプラスチックス社製)」、シリコーン樹脂共重合比10質量%
・SILTEM1600: ポリエーテルイミド樹脂−シリコーン樹脂共重合体「(SABICイノベーティブプラスチックス社製)」、シリコーン樹脂共重合比30質量%
・SILTEM1500: ポリエーテルイミド樹脂−シリコーン樹脂共重合体「(SABICイノベーティブプラスチックス社製)」、(シリコーン樹脂共重合比50質量%
・トレリナT1881: ポリフェニレンスルフィド樹脂「トレリナT1881(東レ(株)社製)」
・Ultem 1000V: ポリエーテルイミド樹脂「Ultem 1000V(SABICイノベーティブプラスチックス社製)」
・Lexan131:ポリカーボネート樹脂(SABICイノベーティブプラスチックス社製)
−カーボンブラック−
・デンカブラック粒状品: カーボンブラック「デンカブラック粒状品(電気化学工業社製)」、一次平均粒径35nm、揮発分率0.00%
・#4000B: カーボンブラック「#4000B(三菱化学社製)」、一次平均粒径24nm、360℃までの揮発分率0.17%
・Monark880: カーボンブラック「Monark880(キャボット社製)」、一次平均粒径16nm、360℃までの揮発分率0.43%
10 管状体(無端ベルト)
101a乃至101d 像保持体
102a乃至102d 帯電装置
103a乃至103d 現像装置
104a乃至104d 像保持体クリーニング装置
105a乃至105d 一次転写ロール
106a乃至106d 支持ロール
107 中間転写ベルト
107b 管状体ユニット(無端ベルトユニット)
108 対向ロール
109 二次転写ロール
110 定着装置
111 駆動ロール
112 中間転写ベルトクリーニングブレード
113 中間転写ベルトクリーニングブラシ
114a乃至114d 像露光装置
115 記録媒体
116 二次転写ベルト

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂を含む海部と、熱可塑性樹脂とシリコーン樹脂との共重合体及び360℃までの揮発分率が0.4%以下のカーボンブラックを含む島部と、で構成された海島構造を持つ樹脂層を有する管状体。
  2. 前記島部に含まれる共重合体が、ポリエーテルイミド樹脂とシリコーン樹脂との共重合体である請求項1に記載の管状体。
  3. 前記熱可塑性樹脂とシリコーン樹脂との共重合体における前記シリコーン樹脂の共重合比が10質量%以上30質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の管状体。
  4. 前記カーボンブラックの平均一次粒径が、25nm以下である請求項1〜のいずれかに1項に記載の管状体。
  5. 前記海部に含まれる熱可塑性樹脂が、ポリエーテルイミド樹脂、及びポリフェニレンスルフィド樹脂から選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の管状体。
  6. 熱可塑性樹脂を含む海部と、熱可塑性樹脂とシリコーン樹脂との共重合体及び平均一次粒径が25nm以下のカーボンブラックを含む島部と、で構成された海島構造を持つ樹脂層を有する管状体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の管状体と、該管状体を張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置に対して脱着される管状体ユニット。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の管状体からなる中間転写体。
  9. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写体であって、請求項8に記載の中間転写体と、
    前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
    前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
    前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
    を備えた画像形成装置。
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