JP5991214B2 - 管状体、管状体ユニット、中間転写体、及び画像形成装置 - Google Patents

管状体、管状体ユニット、中間転写体、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、管状体、管状体ユニット、中間転写体、及び画像形成装置に関する。
例えば、特許文献1には、「ポリフェニレンスルフィド樹脂にポリアミド樹脂を添加して、均一な導電性と強靭性とが共に優れた電子写真用転写ベルト」が提案されている。
また、特許文献2には、「ポリアクリレート樹脂単独のベルト状転写部材に対して、引っ張り強度や靭性の向上を図った、ポリアクリレート樹脂成分とポリアルキレンテレフタレート樹脂成分、ポリカーボネート樹脂成分、及びポリアミド樹脂成分から成る群より選択される少なくとも1種とを含有する樹脂を溶融させた後、チューブ上に押し出すことにより得られるベルト状転写部材」が提案されている。
また、特許文献3には、「均一な半導電性領域の体積抵抗を示し、耐クリープ性、加工性、対折り曲げ性当を満たすものとして、(A)結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂45〜90質量部、(B)ポリカーボネート樹脂5〜45質量部、および(C)非晶性ポリエステル樹脂5〜30質量部とを、(A)+(B)+(C)の合計量が100質量部となるように含有し、更に(D)導電性カーボンブラック10〜30質量部を含有する樹脂成形物を溶融成形した半導電性シート」が提案されている。
特開2009−020154号公報 特開2000−275976号公報 特開2004−281277号公報
本発明の課題は、屈曲耐性に優れた管状体を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
ポリエーテルサルフォン樹脂と、ポリエーテルイミド樹脂と、導電剤と、を含む樹脂層の単層体で構成、又は当該樹脂層を少なくとも有する2層以上の積層体で構成され
前記ポリエーテルサルフォン樹脂の配合量が、全樹脂100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下であり、
前記ポリエーテルイミド樹脂の配合量が、全樹脂100質量部に対して、50質量部以上95質量部以下である管状体である。
請求項に係る発明は、
前記導電剤が、カーボンブラックであり、
前記カーボンブラックの配合量が、全樹脂100質量部に対して、10質量部以上30質量部以下である請求項1に記載の管状体である。
請求項に係る発明は、
請求項1又は2に記載の管状体と、該管状体を張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置に対して脱着される管状体ユニットである。
請求項に係る発明は、
請求項1又は2に記載の管状体からなる中間転写体である。
請求項に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写体であって、請求項に記載の中間転写体と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備えた画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、管状体を構成する樹脂がポリエーテルサルフォン樹脂以外の非晶性の熱可塑性樹脂のみを用いた場合に比べ、屈曲耐性に優れた管状体が提供できる。
また、請求項に係る発明によれば、管状体を構成するポリエーテルサルフォン樹脂の配合量及びポリエーテルイミド樹脂の配合量が上記範囲外の場合に比べ、屈曲耐性に優れた管状体が提供できる
求項に係る発明によれば、管状体に含まれる導電剤がカーボンブラックでなく、又はカーボンブラックの配合量が上記範囲外の場合に比べ、屈曲耐性に優れた管状体が提供できる。
請求項に係る発明によれば、ポリエーテルサルフォン樹脂を含まない非晶性の熱可塑性樹脂を含有しない管状体を適用した場合に比べ、屈曲耐性に優れた管状体を持つ管状体ユニットが提供できる。
請求項4、5に係る発明によれば、ポリエーテルサルフォン樹脂を含まない非晶性の熱可塑性樹脂を含有しない管状体を適用した場合に比べ、屈曲耐性に優れた中間転写体、及びそれを備える画像形成装置が提供できる。
本実施形態に係る管状体を示す概略斜視図である。 本実施形態に係る管状体ユニットを示す概略斜視図である。 本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
以下、実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
(管状体)
図1は、実施形態に係る管状体を示す概略斜視図である。
本実施形態に係る管状体(以下、無端ベルトと称する)10は、図1に示すように、例えば、無端状に形成され、例えば、ポリエーテルサルフォン樹脂と、ポリエーテルサルフォン樹脂以外の非晶性の熱可塑性樹脂と、導電剤と、を含む樹脂層(以下、「特定樹脂層」と称する)の単層体で構成されている。
一般的に、非晶性の熱可塑性樹脂は寸法安定性や導電剤の分散安定性という観点で優れているが、屈曲耐性に劣る傾向にあることが知られている。また、例えば、非晶性の熱可塑性樹脂のみからなる樹脂を電子写真用の転写ベルトに適用する場合、導電剤を添加するが、この導電剤の添加により、屈曲耐性が低下することがある。
本実施形態に係る無端ベルト10では、ポリエーテルサルフォン樹脂と、ポリエーテルサルフォン樹脂以外の非晶性の熱可塑性樹脂と、導電剤と、を含む特定樹脂層の単層体を適用することで、屈曲耐性に優れたものとなる。つまり、特定の非晶性の熱可塑性樹脂であるポリエーテルサルフォン樹脂と、ポリエーテルサルフォン樹脂以外の非晶性の熱可塑性樹脂と、を併用することにより、従来に比べ、屈曲耐性に優れる無端ベルト10が提供される。
また、本実施形態の無端ベルト10は、寸法安定性を確保し易い。非晶性の熱可塑性樹脂を含有することにより結晶化による収縮が起き難く、目的とする寸法に合わせやすいと考えられるためである。さらに、非晶性の熱可塑性樹脂が加熱・加湿条件下で変形しにくいため、繰り返し使用における寸法安定性に優れると考えられる。
さらに、本実施形態に係る無端ベルト10は、特定樹脂層中の導電剤の分散状態が変化しにくい。これは、非晶性の熱可塑性樹脂を用いているために、無端ベルト10の作製時に溶融し固化する過程で、当該樹脂の結晶化に伴う分子鎖の折りたたみが発生しにくく導電剤の凝集が起きにくいためと考えられるためである。
以下、本実施形態に係る無端ベルト10の構成材料や特性について説明する。
本実施形態に係る無端ベルト10は、ポリエーテルサルフォン樹脂と、ポリエーテルサルフォン樹脂以外の非晶性の熱可塑性樹脂と、導電剤と、必要に応じて、その他添加剤と、を含んで構成される。
ポリエーテルサルフォン樹脂について説明する。
ポリエーテルサルフォン樹脂は、例えば、スルホン基を有するジハロゲノジフェニル化合物と、2価のフェノール化合物との重合反応、ジヒドロキシジフェニルスルホンと、スルホン基を有するジハロゲノジフェニル化合物との重合反応等により得られるもの等が挙げられる。つまり、ポリエーテルサルフォン樹脂は、例えば、スルホン基を有するジハロゲノフェニル化合物と2価のフェノール化合物とから誘導される繰り返し単位構造を少なくとも有するポリエーテルサルフォン樹脂等が挙げられる。
スルホン基を有するジハロゲノジフェニル化合物としては、例えば、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4−クロロ−4’−フルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジブロモジフェニルスルホン、1,4−ビス(4 −クロロベンゼンスルホニル)ベンゼン、ビス(4’−クロロゲンゼンスルホニル)エーテル、1,3−ビス(4’−クロロベンゼンスルホニル)ベンゼン等が挙げられる。これらのうち、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4−クロロ−4’−フルオロジフェニルスルホンまたは4,4’−ジブロモジフェニルスルホンがよい。
2価のフェノール化合物としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2’−ビス(ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−ビス(ヒドロキシフェニル)エタン、2,2’−ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン、等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン;ジヒドロキシジフェニルスルホン;ジヒドロキシフェニルエーテル;その他、カテコール、4,4’−ビフェノール、レゾルシン、ハイドロキノン等が挙げられる。これらのうち、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンがよい。
ポリエーテルスルフォン樹脂の配合量は、全樹脂100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下がよく、10質量部以45質量部以下が望ましい。ここで、全樹脂とは、ポリエーテルスルフォン樹脂とポリエーテルスルフォン樹脂以外の非晶性の熱可塑性樹脂からなる樹脂を意味する。
ポリエーテルスルフォン樹脂以外の非晶性の熱可塑性樹脂について説明する。
非晶性とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有しないことを指し、具体的には、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃を超えることを意味する。よって、非晶性の熱可塑性樹脂とは、半値幅が10℃を超える熱可塑性樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない熱可塑性樹脂は、非晶性の熱可塑性樹脂を意味する。
ポリエーテルスルフォン樹脂以外の非晶性の熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエーテルイミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、コスト、加工性、表面硬度の観点から、ポリエーテルイミド樹脂がよい。
ポリエーテルイミド樹脂は、例えば、脂肪族、脂環族又は芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有する溶融成形性を有する樹脂である。具体例としては、例えば、芳香族ビス(エーテルジカルボン)酸と有機ジアミンとを有機溶媒中で加熱温度下に反応させて得られるものが挙げられ、例えば、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、及び4,4’−ジアミノジフェニルメタンを混合し、フェノール・トルエン混合溶媒に加えて加熱還流させ、反応を通じて生成された水を共沸蒸留によって連続的に除去し、反応生成混合物をメタノール中に注入し、繊維状重合体として得られる重合体が挙げられる。
ポリエーテルイミド樹脂の市販品としては、例えば、SABICイノベーティブプラスチックス社のウルテム(ULTEM)1000シリーズ、5000シリーズ、エクステム(EXTEM)VH1003等がある。
ポリエーテルスルフォン樹脂以外の非晶性の熱可塑性樹脂の配合量は、全樹脂100質量部に対して、55質量部以上95質量部以下がよく、60質量部以上90質量部以下が望ましい。
ポリエーテルスルフォン樹脂以外の非晶性の熱可塑性樹脂の配合量が、上記範囲内であると、無端ベルト10の屈曲耐性がより向上しやすくなる。また、ポリエーテルスルフォン樹脂以外の非晶性の熱可塑性樹脂の配合量をポリエーテルスルフォン樹脂の配合量と同等以上とすると、ポリエーテルスルフォン樹脂外の非晶性の熱可塑性樹脂、特に、ポリエーテルイミド樹脂が吸湿時の寸法安定性に優れることから、無端ベルト10の寸法安定性を確保しやすくなる。
導電剤について説明する。
導電剤としては、例えば、カーボンブラック;アルミニウム、ニッケル等の金属;酸化イットリウム、酸化スズ等の金属酸化物;チタン酸カリウム、塩化カリウム等のイオン導電性物質;ポリアニリン、ポリピロール、ポリサルフォン、ポリアセチレン等の導電性高分子等が挙げられる。これらのうち、導電性、経済性の観点から、カーボンブラックがよい。カーボンブラックは、導電性に優れるため、配合量が少なくて済むからである。
カーボンブラックについて説明する。
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチエンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、表面が酸化されたカーボンブラック(以下、「表面処理カーボンブラック」と称する)等が挙げられる。
カーボンブラックの配合量は、例えば、全樹脂100質量部に対して、10質量部以上30質量部以下であることがよく、10質量部以上20質量部以下であることが望ましい。
カーボンブラックの含有量は、上記範囲であれば、無端ベルト10は目的とする導電性を得やすくなる。
その他添加剤について説明する。
その他添加剤としては、例えば、特定樹脂層の熱劣化を防止するための酸化防止剤や、流動性を向上させるための界面活性剤、脂肪族ポリアミド樹脂を用いる場合、耐熱老化防止剤等、特に、画像形成装置の無端ベルト10に配合される周知の添加剤が挙げられる。
次に、本実施形態に係る無端ベルト10の特性について説明する。
本実施形態に係る無端ベルト10(特定樹脂層)は、常温常湿(温度22℃、湿度55RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率が、7logΩ/□以上13logΩ/□以下であることがよく、特に、無端ベルト10を中間転写ベルトとして適用する場合、8logΩ/□以上12logΩ/□以下であることがよく、無端ベルト10を記録媒体搬送転写ベルトとして適用する場合、9logΩ/□以上13logΩ/□以下であることがよい。
なお、本表面抵抗率は、常温常湿(温度22℃、湿度55RH%)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの測定値である。
ここで、表面抵抗率は、JIS−K−6911(1995年)に準じて、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極の外径Φ16mm、リング状電極部の内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、測定対象物を絶縁板の上に置き、目的とする環境下で、目的とする電圧を印加し、印加後5sec後の外径から内径に流れる電流値をアドバンテスト製、微小電流計 R8340Aを用いることにより測定し、その電流値より得た表面抵抗値から表面抵抗率を求める。
以下、本実施形態に係る無端ベルト10の製造方法について説明する。
まず、例えば、非晶性の熱可塑性樹脂と結晶性の熱可塑性樹脂と導電剤と必要に応じて他の添加剤とを、それぞれ目的とする配合量で混練、混合し、ペレットを得る
次に、得られたペレットを用い、押出機を用いて円筒状に押し出し、冷却固化(結晶化を制御)させ、円筒状の成形体を得る。
そして、得られた円筒状の成形体を、目的とする幅に切断して、無端ベルト10を得る。
以上説明した本実施形態に係る無端ベルト10は、特定樹脂層の単層体で構成された形態を説明したが、当該特定樹脂層を有していれば、2層以上の積層体で構成されていてもよい。
具体的には、例えば、本実施形態に係る無端ベルト10は、基材層とその外周面に表面層(表面離型層)との積層体で構成され、当該基材層及び表面層の少なくとも一方として特定樹脂層を適用した構成であってもよい。但し、特定樹脂層を表面層として適用する場合、離型材料(例えば、フッ素化合物(フッ素樹脂、又はその粒子等)等)を配合することがよい。
無論、基材層及び表面層の間に中間層(例えば、弾性層)を設けてもよいし、基材層自体が2層以上の積層体で構成させたものであってもよい。
本実施形態に係る無端ベルト10は、例えば、画像形成装置用のベルト(例えば、中間転写ベルト、記録媒体搬送転写ベルト)に適用され得る。
(管状体ユニット)
図2は、本実施形態に係る管状体ユニットを示す概略斜視図である。
本実施形態に係る管状体ユニット130(以下、無端ベルトユニットと称する)は、図2に示すように、上記本実施形態に係る無端ベルト10を備えており、例えば、無端ベルト10は対向して配置された駆動ロール131及び従動ロール132により張力がかかった状態で掛け渡されている(以下、「張架」という場合がある。)。
ここで、本実施形態に係る無端ベルトユニット130は、無端ベルト10を中間転写体として適用させる場合、無端ベルト10を張架するロールとして、感光体(像保持体)表面のトナー像を無端ベルト10上に1次転写させるためのロールと、無端ベルト10上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に2次転写させるためのロールが配置される。
なお、無端ベルト10を張架するロールの数は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。このような構成の無端ベルトユニット130は、装置に組み込まれて使用され、駆動ロール131,従動ロール132の回転に伴って無端ベルト10も張架した状態で回転する。
(画像形成装置)
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体表面を帯電する帯電手段と、像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段と、を有し、転写手段が、上記本実施形態に係る無端ベルトを備えるものである。
具体的には、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、転写手段が中間転写体と像保持体に形成されたトナー像を中間転写体に一次転写する一次転写手段と中間転写体に転写されたトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段とを備え、当該中間転写体として上記本実施形態に係る無端ベルトを備える構成が挙げられる。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、転写手段が記録媒体を搬送するための搬送転写体(搬送転写ベルト)と像保持体に形成されたトナー像を用紙転写体により搬送された記録媒体に転写するための転写手段とを備え、当該記録媒体転写体として上記本実施形態に係る無端ベルトを備える構成が挙げられる。
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置、像保持体上に保持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像保持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置が挙げられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置を、図面を参照しつつ説明する。
図3は、実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図3に示すように、例えば、いわゆるタンデム方式であり、電子写真感光体からなる4つの像保持体101a乃至101dの周囲に、その回転方向に沿って順次、帯電装置102a乃至102d、露光装置114a乃至114d、現像装置103a乃至103d、一次転写装置(一次転写ロール)105a乃至105d、像保持体クリーニング装置104a乃至104dが配置されている。尚、転写後の像保持体101a乃至101dの表面に残留している残留電位を除去するために除電器を備えていてもよい。
中間転写ベルト107が、支持ロール106a乃至106d、駆動ロール111および対向ロール108により張力を付与しつつ支持され、管状体ユニット107bを形成している。これらの支持ロール106a乃至106d、駆動ロール111および対向ロール108により、中間転写ベルト107は、各像保持体101a乃至101dの表面に接触しながら各像保持体101a乃至101dと一次転写ロール105a乃至105dとを矢印Aの方向に移動し得る。一次転写ロール105a乃至105dが中間転写ベルト107を介して像保持体101a乃至101dに接触する部位が一次転写部となり、像保持体101a乃至101dと一次転写ロール105a乃至105dとの接触部には一次転写電圧が印加される。
二次転写装置として、中間転写ベルト107および二次転写ベルト116を介して対向ロール108と二次転写ロール109が対向配置されている。紙等の記録媒体115が中間転写ベルト107の表面に接触しながら中間転写ベルト107と二次転写ロール109とで挟まれる領域を矢印Bの方向に移動し、その後、定着装置110を通過する。二次転写ロール109が中間転写ベルト107および二次転写ベルト116を介して対向ロール108に接触する部位が二次転写部となり、二次転写ロール109と対向ロール108との接触部には二次転写電圧が印加される。更に、転写後の中間転写ベルト107と接触するように、中間転写ベルトクリーニング装置112および113が配置されている。
この構成の多色画像形成装置100では、像保持体101aが矢印Cの方向に回転するとともに、その表面が帯電装置102aによって帯電された後、レーザー光等の露光装置114aにより第1色目の静電潜像が形成される。形成された静電潜像はその色に対応するトナーを収容した現像装置103aにより、トナーで現像(顕像化)されてトナー像が形成される。なお、現像装置103a乃至103dには、各色の静電潜像に対応するトナー(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)がそれぞれ収容されている。
像保持体101a上に形成されたトナー像は、一次転写部を通過する際に、一次転写ロール105aによって中間転写ベルト107上に静電的に転写(一次転写)される。以降、第1色目のトナー像を保持した中間転写ベルト107上に、一次転写ロール105b乃至105dによって、第2色目、第3色目、第4色目のトナー像が順次重ね合わせられるよう一次転写され、最終的に多色の多重トナー像が得られる。
中間転写ベルト107上に形成された多重トナー像は、二次転写部を通過する際に、記録媒体115に静電的に一括転写される。トナー像が転写された記録媒体115は、定着装置110に搬送され、加熱及び加圧、又は加熱若しくは加圧により定着処理された後、機外に排出される。
一次転写後の像保持体101a乃至101dは、像保持体クリーニング装置104a乃至104dにより残留トナーが除去される。一方、二次転写後の中間転写ベルト107は、中間転写ベルトクリーニング装置112および113により残留トナーが除去され、次の画像形成プロセスに備える。
−像保持体−
像保持体101a乃至101dとしては、公知の電子写真感光体が広く適用される。電子写真感光体としては、感光層が無機材料で構成される無機感光体や、感光層が有機材料で構成される有機感光体などが用いられる。有機感光体においては、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型有機感光体や、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を果たす単層型有機感光体が好適に用いられる。また、無機感光体においては、感光層がアモルファスシリコンにより構成されているものが、好適に用いられる。
また、像保持体の形状には特に限定はなく、例えば、円筒ドラム状、シート状またはプレート状等、公知の形状が採用される。
−帯電装置−
帯電装置102a乃至102dとしては、特に制限はなく、例えば、導電性(ここで、帯電装置における「導電性」とは例えば体積抵抗率が10Ω・cm未満を意味する。)または半導電性(ここで、帯電装置における「半導電性」とは例えば体積抵抗率が10乃至1013Ωcmを意味する。)のローラ、ブラシ、フィルム、またはゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器など、公知の帯電器が広く適用される。これらの中でも接触型帯電器が望ましい。
帯電装置102a乃至102dは、像保持体101a乃至101dに対し、通常、直流電流を印加するが、交流電流を更に重畳させて印加してもよい。
−露光装置−
露光装置114a乃至114dとしては、特に制限はなく、例えば、像保持体101a乃至101dの表面に、半導体レーザー光、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)光、または液晶シャッタ光等の光源、或いはこれらの光源からポリゴンミラーを介して定められた像様に露光し得る光学系機器など、公知の露光装置が広く適用される。
−現像装置−
現像装置103a乃至103dとしては、目的に応じて選択され。例えば、一成分系現像剤または二成分系現像剤をブラシ、またはローラ等を用い接触或いは非接触させて現像する公知の現像器などが挙げられる。
−一次転写ロール−
一次転写ロール105a乃至105dは単層或いは多層のいずれでもよい。例えば、単層構造の場合は、発泡または無発泡のシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。
−像保持体クリーニング装置−
像保持体クリーニング装置104a乃至104dは、一次転写工程後の像保持体101a乃至101dの表面に付着する残存トナーを除去するためのものであり、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
−二次転写ロール−
二次転写ロール109の層構造は、特に限定されるものではないが、例えば、三層構造の場合、コア層と中間層とその表面を被覆するコーティング層により構成される。コア層は導電性粒子を分散したシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等の発泡体で、中間層はこれらの無発泡体で構成される。コーティング層の材料としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、またはパーフルオロアルコキシ樹脂などが挙げられる。二次転写ロール109の体積抵抗率は10Ωcm以下であることが望ましい。また、中間層を除いた2層構造としてもよい。
−対向ロール−
対向ロール108は、二次転写ロール109の対向電極を形成する。対向ロール108の層構造は、単層或いは多層のいずれでもよい。例えば単層構造の場合は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。二層構造の場合は、上記のゴム材料で構成される弾性層の外周面を高抵抗層で被覆したロールから構成される。
対向ロール108と二次転写ロール109のシャフトとには、通常1kV以上6kV以下の電圧が印加される。対向ロール108のシャフトへの電圧印加に代えて、対向ロール108に接触させた電気良導性の電極部材と二次転写ロール109とに電圧を印加してもよい。上記電極部材としては、金属ロール、導電性ゴムロール、導電性ブラシ、金属プレート、または導電性樹脂プレート等が挙げられる。
−定着装置−
定着装置110としては、例えば、熱ローラ定着器、加圧ローラ定着器、またはフラッシュ定着器など公知の定着器が広く適用される。
−中間転写ベルトクリーニング装置−
中間転写ベルトクリーニング装置112および113としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限
定されるものではない。なお、実施例5は参考例と読み替えるものとする。
[実施例1]
−混合樹脂ペレットの作製−
ポリエーテルスルフォン樹脂以外の非晶性の熱可塑性樹脂としてポリエーテルイミド樹脂(ULTEM(登録商標)10101V(サビック社製))90質量部と、ポリエーテルスルフォン樹脂(Veradel(登録商標)A201(ソルベイ社製))10質量部と、を混合ミキサーを用いてブレンドした。
ブレンドされた混合樹脂を二軸押出溶融混練機(二軸溶融混練押出機L/D60(パーカーコーポレーション社製))で溶融し、溶融された混合樹脂中に、導電剤としてカーボンブラック(Monark880(キャボット社製))18質量部を当該混錬機のサイドからサイドフィーダーを用いて供給し、溶融混練し、混練された溶融物を水槽中に入れて冷却固化、目的とするサイズにカットし、カーボンブラックの配合された混合樹脂ペレットを得た。
−無端ベルトの作製−
得られた混合樹脂ペレットを一軸溶融押出機(L/D24、溶融押出装置(三葉製作所社製))に投入(加熱温度350℃)し、340℃に設定した金型ダイとニップルの間隙から溶融押出しながら、溶融樹脂の内周面に円筒状のインナーサイジングダイの外面を接触させて冷却し、その後目的とする幅に切断し、平均膜厚110μmの無端ベルト1を得た。
[実施例2〜9、比較例1〜4]
表1の原料を用いた以外は、実施例1に同様にして無端ベルト2〜9を作製した。
[評価]
(屈曲耐性)
JIS−P8115(MIT試験機、試料幅15mm、引張り荷重1kgにおける破断までの耐久回数)に準拠して、屈曲耐性の試験として繰り返し屈曲耐久回数を測定した。
各例で得られた無端ベルトについて、周方向に幅15mm、長さ200mmの短冊状サンプルに切り取り、両端を固定し1kgfの引張張力をかけて、曲率形状R3の端子を支点として左右90°方向に繰返し屈曲(折り曲げ)させた。このときにサンプルが破断するまでの回数を繰り返し屈曲耐久回数として評価した。なお、当該試験は常温常湿(温度22℃、湿度45RH%)環境下にて、行った。
(寸法安定性(湿度の影響))
各例で得られた無端ベルトを中間転写ベルトとして、画像形成装置「富士ゼロックス社製C2250」に搭載し、本機を低温低湿(温度40℃、湿度95RH%)の環境下で100時間放置後の画質評価を実施し、変形等による画質への影響を確認した。
ここで、画質評価は以下の基準で評価した。
A:画像濃度低下なし
B:わずかに画像濃度が低下
C:画像濃度低下あり(許容できないレベル)
(実機耐久試験)
各例で得られた無端ベルトを中間転写ベルトとして、画像形成装置「富士ゼロックス社製C2250」に搭載し、低温低湿(10℃/10RH%)環境下(転写時における中間転写ベルト表面での用紙剥離にともなう放電が起きやすい環境下)で、連続、50,000枚の画像出力した後、ハーフトーン(マゼンダ30%)画像について画質評価を行った。また、この連続、50,000枚の画像出力前後の無端ベルト(中間転写ベルト)の表面抵抗率(常温常湿(22℃/55RH%)、印加電圧100V)を測定した。
ここで、画質評価は以下の基準で評価した。
A:画像濃度低下なし
B:わずかに画像濃度が低下
C:画像濃度低下あり(許容できないレベル)
また、ランニング後の無端ベルトの状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
1:外観上変化なし
2:端部に亀裂発生
なお、表2では、実機耐久試験の評価結果をアルファベットと数字の組み合わせで表記する。例えば、画像濃度低下なしで、外観上変化なしであった場合、A1と表記する。
(表面抵抗率の面内バラつき)
無端ベルトの表面抵抗率の面内バラつき(logΩ/□)は、各例で得られた無端ベルトを周方向に8分割及び幅方向に3分割し、無端ベルト面内の24点について、温度22℃、湿度55RH%の環境下で、Advantest微小電流計(URプローブ/100V/荷重2kg/10秒)で表面抵抗率を測定し、得られた表面抵抗率の対数値をとり、それらの値のうち最大値と最小値の差として算出した。
得られた評価結果を表2に示す。
上記結果から、本実施例では、電気抵抗安定性及び屈曲耐性に優れていることが分かる。また、本実施例では、寸法安定性及び実機耐久性においても優れた傾向が見られた。
なお、表1中の略称の詳細は、以下の通りである。
・ULTEM1010V:ポリーテルイミド樹脂ULTEM1010V(サビック社製)
・VeradelA201:ポリエーテルサルフォン樹脂VeradelA201(ソルベイ社製)
・Monark880 :カーボンブラックMonark880(キャボット社製))
・ULTEM1000V:ポリーテルイミド樹脂ULTEM1000V(サビック社製)
・Lexan151:ポリカーボネート(サビック社製)
・ノバトゥール5010:ポリブチレンテレフタレート(三菱化成社製)
・デンカブラック:アセチレンブラック(電気化学工業社製)
10 管状体(無端ベルト)
101a乃至101d 像保持体
102a乃至102d 帯電装置
103a乃至103d 現像装置
104a乃至104d 像保持体クリーニング装置
105a乃至105d 一次転写ロール
106a乃至106d 支持ロール
107 中間転写ベルト
107b 管状体ユニット(ベルトユニット)
108 対向ロール
109 二次転写ロール
110 定着装置
111 駆動ロール
112 中間転写ベルトクリーニングブレード
113 中間転写ベルトクリーニングブラシ
114a乃至114d 像露光装置
115 記録媒体
116 二次転写ベルト

Claims (5)

  1. ポリエーテルサルフォン樹脂と、ポリエーテルイミド樹脂と、導電剤と、を含む樹脂層の単層体で構成、又は当該樹脂層を少なくとも有する2層以上の積層体で構成され
    前記ポリエーテルサルフォン樹脂の配合量が、全樹脂100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下であり、
    前記ポリエーテルイミド樹脂の配合量が、全樹脂100質量部に対して、50質量部以上95質量部以下である管状体。
  2. 前記導電剤が、カーボンブラックであり、
    前記カーボンブラックの配合量が、全樹脂100質量部に対して、10質量部以上30質量部以下である請求項1に記載の管状体。
  3. 請求項1又は2に記載の管状体と、該管状体を張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置に対して脱着される管状体ユニット。
  4. 請求項1又は2に記載の管状体からなる中間転写体。
  5. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写体であって、請求項に記載の中間転写体と、
    前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
    前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
    前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
    を備えた画像形成装置。
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