JP2017146503A - 管状体、転写ベルト、転写ユニット、及び、画像形成装置 - Google Patents

管状体、転写ベルト、転写ユニット、及び、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】表面抵抗維持性及びクリーニング維持性が両立される管状体を提供する。【解決手段】シロキサン変性ポリエーテルイミド、シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、及び導電剤を含み、表層部における前記シロキサン変性ポリエーテルイミド及び前記シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドの合計含有量に対する前記シロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量が40質量%以上である管状体10。【選択図】図1

Description

本発明は、管状体、転写ベルト、転写ユニット、及び、画像形成装置に関する。
例えば、特許文献1には、シロキサン結合を含むポリエーテルイミドと、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性フッ素樹脂及び液晶ポリマーから選択される少なくとも1種と、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体と、導電性付与剤と、を含有することを特徴とするシームレスベルトが開示されている。
特許文献2には、シロキサン変性ポリイミド樹脂又はシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂を含む無端管状ベルトであって、該無端管状ベルトの表面側がポリイミドの性質を有し、その裏面側がシリコーンの性質を有し、かつ、その表面側から裏面側にかけての厚さ方向に物性が連続的に変化する傾斜材料であることを特徴とする無端管状ベルトが開示されている。
例えば、特許文献3には、非晶性シリコーン変性熱可塑性樹脂と、ポリフェニレンスルフィド樹脂と、導電剤と、を含む樹脂層の単層体で構成、又は前記樹脂層を少なくとも有する2層以上の積層体で構成された管状体が開示されている。
特開2014−130215号公報 特開2007−072197号公報 特開2014−153568号公報
本発明は、シロキサン変性ポリエーテルイミド及びシロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドのいずれか一方のみと導電剤とを含む管状体、又は、シロキサン変性ポリエーテルイミド、シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、及び導電剤を含み、表層部における前記シロキサン変性ポリエーテルイミド及び前記シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドの合計含有量に対する前記シロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量が40質量%未満である管状体に比べ、表面抵抗維持性及びクリーニング維持性が両立される管状体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、以下の手段が提供される。
請求項1に係る発明は、シロキサン変性ポリエーテルイミド、シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、及び導電剤を含み、表層部における前記シロキサン変性ポリエーテルイミド及び前記シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドの合計含有量に対する前記シロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量が40質量%以上である管状体である。
請求項2に係る発明は、ケイ素含有粒子をさらに含む請求項1に記載の管状体である。
請求項3に係る発明は、前記導電剤の平均一次粒子径が30nm以下である請求項1又は請求項2に記載の管状体である。
請求項4に係る発明は、前記表層部における前記シロキサン変性ポリエーテルイミド及び前記シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドの合計含有量に対する前記シロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量が80質量%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の管状体である。
請求項5に係る発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の管状体を含む転写ベルトである。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の転写ベルトと、前記転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置に対して脱着される転写ユニットである。
請求項7に係る発明は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、請求項5に記載の転写ベルトを有し、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体に転写させる転写手段と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を備えた画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、シロキサン変性ポリエーテルイミド及びシロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドのいずれか一方のみと導電剤とを含む管状体、又は、シロキサン変性ポリエーテルイミド、シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、及び導電剤を含み、表層部における前記シロキサン変性ポリエーテルイミド及び前記シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドの合計含有量に対する前記シロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量が40質量%未満である管状体に比べ、表面抵抗維持性及びクリーニング維持性が両立される管状体が提供される。
請求項2に係る発明によれば、ケイ素含有粒子を含まない場合に比べ、クリーニング維持性が向上する管状体が提供される。
請求項3に係る発明によれば、導電剤の平均一次粒子径が30nmを超える場合に比べ、表面抵抗維持性が向上する管状体が提供される。
請求項4に係る発明によれば、表層部における前記シロキサン変性ポリエーテルイミド及び前記シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドの合計含有量に対する前記シロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量が80質量%を超える場合に比べ、クリーニング維持性が向上する管状体が提供される。
請求項5又は請求項6に係る発明によれば、転写ベルトとしてシロキサン変性ポリエーテルイミド及びシロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドのいずれか一方のみと導電剤とを含む管状体、又は、シロキサン変性ポリエーテルイミド、シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、及び導電剤を含み、表層部における前記シロキサン変性ポリエーテルイミド及び前記シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドの合計含有量に対する前記シロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量が40質量%未満である管状体を用いた場合に比べ、表面抵抗維持性及びクリーニング維持性が両立される転写ベルト又は転写ユニットが提供される。
請求項7に係る発明によれば、転写ベルトとしてシロキサン変性ポリエーテルイミド及びシロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドのいずれか一方のみと導電剤とを含む管状体、又は、シロキサン変性ポリエーテルイミド、シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、及び導電剤を含み、表層部における前記シロキサン変性ポリエーテルイミド及び前記シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドの合計含有量に対する前記シロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量が40質量%未満である管状体を用いた場合に比べ、画像形成を繰り返したときに、抵抗変動に起因する画像濃度の変化及び筋状の画像欠陥の発生が抑制される画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る管状体の一例を示す概略斜視図である。 本実施形態に係る転写ユニットの一例を示す概略斜視図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一例である実施形態について説明する。なお、以下の説明において、符号は省略する場合がある。
[管状体]
本実施形態に係る管状体は、シロキサン変性ポリエーテルイミド、シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、及び導電剤を含み、表層部における前記シロキサン変性ポリエーテルイミド及び前記シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドの合計含有量に対する前記シロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量が40質量%以上である。以下、シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドを単に「ポリエーテルイミド」、シロキサン変性ポリエーテルイミドとシロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドとを合わせて「全ポリエーテルイミド成分」と称する場合がある。
本実施形態に係る管状ベルト10は、表面抵抗維持性及びクリーニング維持性が両立される。その理由は定かではないが、以下の理由によるものと考えられる。
熱可塑性樹脂と導電剤を含む転写ベルトを備えた画像形成装置において画像形成を繰り返すと、電気的な負荷(放電による負荷)によって転写ベルトの電気抵抗の変動(抵抗低下)が生じ易い。転写ベルトの抵抗低下は、画像濃度の変化の原因となる。
また、転写ベルトにトナーが残留したり、放電生成物等の異物が付着すると、記録媒体へのトナー画像の転写不良(例えば、筋状の画像欠陥)が生じるため、ブレード、ブラシ等で残留トナーや異物を除去するクリーニングを行う必要がある。
例えば、熱可塑性樹脂としてポリエーテルイミドを用いた転写ベルトでは抵抗が低下し易く、特に粒径が大きい導電剤を用いると抵抗低下がさらに顕著になり易い。このような転写ベルトの抵抗低下の原因としては、放電によって転写ベルトに含まれるポリエーテルイミドの一部が炭化して導電性が上昇すること、樹脂(ポリエーテルイミド)と導電剤との親和性が低いためにベルト内での導電剤の分散性が低く、放電による負荷の局所集中が生じることなどが考えられる。
また、熱可塑性樹脂としてシロキサン変性ポリエーテルイミドを用いた転写ベルトでは、抵抗変動を抑制できるものの、ベルトの弾性率が低いため、走行中に変形してクリーニングが不十分となり易い。
一方、本実施形態に係る管状体は、熱可塑性樹脂としてシロキサン変性ポリエーテルイミドとシロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドとを含み、表層部に存在する全ポリエーテルイミド成分の40質量%以上がシロキサン変性ポリエーテルイミドであるため、放電の際に炭化が起こりにくい(シロキサン変性ポリエーテルイミドはシロキサン構造を有するため炭化が起きにくい)。また、シロキサン変性ポリエーテルイミドは、ポリエーテルイミドに比べ、カーボンブラック等の導電剤との親和性が高いため、導電剤の高い分散が可能となり、放電による負荷の局所集中が抑制される。そのため、導電剤の粒径が比較的大きくても、本実施形態に係る管状体を転写ベルトとして用いれば抵抗低下が抑制され、抵抗が維持され易い。
また、本実施形態に係る管状体に含まれるポリエーテルイミドは、シロキサン変性ポリエーテルイミドに比べて弾性率が高く、走行中に変形し難いため、クリーニング性も維持することができる。
図1は、本実施形態に係る管状体の一例を示す概略斜視図である。図1に示す管状体10は、シロキサン変性ポリエーテルイミド、シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、及び導電剤を含み、表層部における前記シロキサン変性ポリエーテルイミド及び前記シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドの合計含有量に対する前記シロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量が40質量%以上である単層構成を有する。以下、本実施形態に係る管状体10の構成材料等について説明し、管状体を「管状ベルト」と称する場合がある。
(シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド)
シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドは、シロキサン結合を含まないポリエーテルイミドであり、例えば、脂肪族、脂環族又は芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有する溶融成形性を有する樹脂である。
ポリエーテルイミドは、例えば、エーテル結合を含むジカルボン酸二無水物と、ジアミンとの重合反応により得られたものが挙げられる。つまり、ポリエーテルイミドは、例えば、エーテル結合を含むジカルボン酸二無水物とジアミンとから誘導される繰り返し単位構造を少なくとも有するポリエーテルイミドが挙げられる。
エーテル結合を含むジカルボン酸無二水物としては、例えば、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4′−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4,4′−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4′−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、4,4′−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4′−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル−2,2−プロパン二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4′−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4′−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4′−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物及び4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4′−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物等が挙げられる。これらのジカルボン酸二無水物は、1種単独で使用してもよいし、それらのうち選択される2種以上を併用してもよい。
ジアミンとしては、例えば、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、複素環を含む芳香族ジアミン等が挙げられる。
ジアミンとしては、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物であれば特に限定されない。
前記ジアミンは、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等が挙げられる。これらのジアミンは、1種単独で使用してもよいし、それらのうち選択される2種以上を併用してもよい。
なお、管状体に含まれるシロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドは、シロキサン変性ポリエーテルイミド以外の変性ポリエーテルイミド(例えば、シアノ変性ポリエーテルイミド、含フッ素ポリエーテルイミド)でもよいが、未変性ポリエーテルイミドが好ましい。
ポリエーテルイミドとしては市販品を用いてもよく、例えば、SABICイノベーティブプラスチックス社のウルテム(ULTEM)1000、1010、1100等のULTEMシリーズ等が挙げられる。
本実施形態に係る管状ベルト10全体におけるポリエーテルイミドの含有量は、表面抵抗維持性及びクリーニング維持性の両立の観点から、管状ベルトに含まれる全樹脂100質量部に対して、20質量部以上70質量部以下がよく、25質量部以上65質量部以下が望ましく、30質量部以上60質量部以下がより望ましい。
なお、ここで「全樹脂」とは、管状ベルトが樹脂成分としてポリエーテルイミド及びシロキサン変性ポリエーテルイミドのみを含む場合は全ポリエーテルイミド成分を意味し、その他の樹脂を含む場合は、ポリエーテルイミド、シロキサン変性ポリエーテルイミド及びその他の樹脂を含む樹脂成分を意味する。
(シロキサン変性ポリエーテルイミド)
シロキサン変性ポリエーテルイミドは、ポリエーテルイミドをシリコーン樹脂により変性して得られ、シロキサン結合を有するポリエーテルイミドである。
シロキサン変性ポリエーテルイミドの具体例として、前述したポリエーテルイミドをシリコーン樹脂により変性して得られるシロキサン変性ポリエーテルイミドが挙げられ、例えば、芳香族ビス(エーテル無水物)とアミン末端オルガノシロキサン及び有機ジアミンとの反応物が挙げられる。
シロキサン変性ポリエーテルイミド(ポリエーテルイミド樹脂とシリコーン樹脂との共重合体)の市販品としては、例えば、SABICイノベーティブプラスチックス社のシルテム(SILTEM)STM1500、1600、1700等がある。
本実施形態に係る管状ベルトは、少なくとも表層部におけるシロキサン変性ポリエーテルイミド及びシロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドの合計含有量に対し、シロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量が40質量%以上である。管状ベルトの表層部における全ポリエーテルイミド成分に対するシロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量が40質量%以上であることで、表面抵抗維持性及びクリーニング維持性が両立される。なお、管状ベルトの表層部における全ポリエーテルイミド成分に対するシロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量が高くなるほど抵抗低下が抑制される傾向になるが、弾性率が低下してクリーニング性が低下する傾向になる。表面抵抗維持性及びクリーニング維持性を両立させる観点から、管状ベルトの表層部における全ポリエーテルイミド成分に対するシロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量は、40質量%以上75質量%以下が好ましく、40質量%以上70質量%以下がより好ましい。
なお、本実施形態における管状ベルトの表層部は、例えば、管状ベルトの表面(外周面)からの厚み1μm以上10μm以下の範囲内であればよい。
管状ベルトの表層部における全ポリエーテルイミド成分に対するシロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量は、FTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)によって後述する実施例の方法によって算出することができる。
また、管状ベルト10全体におけるシロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量は、表面抵抗維持性及びクリーニング維持性の両立の観点から、管状ベルトに含まれる全樹脂100質量部に対して、25質量部以上75質量部以下がよく、30質量部以上70質量部以下が望ましい。
(導電剤)
導電剤としては、例えば、カーボンブラック;アルミニウム、ニッケル等の金属;酸化イットリウム、酸化スズ等の金属酸化物;チタン酸カリウム、塩化カリウム等のイオン導電性物質;ポリアニリン、ポリピロール、ポリサルフォン、ポリアセチレン等の導電性高分子等が挙げられる。これらのうち、導電性、経済性の観点から、カーボンブラックがよい。カーボンブラックは、導電性に優れ、少ない含有量でも高い導電性を付与することができる。
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチエンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、表面が酸化されたカーボンブラック(以下、「表面処理カーボンブラック」と称する)等が挙げられる。このうち、経時での電気抵抗安定性の観点から、表面処理カーボンブラックがよい。
表面処理カーボンブラックは、その表面に、例えば、カルボキシル基、キノン基、ラクトン基、ヒドロキシル基等を付与して得られる。前記表面処理の方法としては、例えば、高温雰囲気下で空気と接触して反応させる空気酸化法、常温(例えば、22℃)下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、高温雰囲気下での空気酸化後、低温でオゾンにより酸化する方法等を挙げられる。
導電剤の平均一次粒子径は、管状体10の表面抵抗の低下を抑制する観点から、50nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、25nm以下が特に好ましい。
また、導電剤の平均一次粒子径を30nm以下とすることにより、均一分散時の導電剤による導電点が微細な状態となり、管状ベルト10の表面の放電劣化による抵抗低下が抑制され易くなる。導電剤の平均一次粒子径の下限値としては、カーボンブラックの凝集力の観点から、例えば10nm以上、好ましくは15nm以上である。
本実施形態に係る管状ベルト10に含まれる導電剤の平均一次粒子径は、次の方法により測定される。
まず、得られた管状ベルト10から、ミクロトームにより、100nmの厚さの測定サンプルを採取し、本測定サンプルをTEM(透過型電子顕微鏡)により観察する。そして、導電剤(導電性粒子)50個の各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として、その平均値を平均一次粒子径とする。
管状ベルト10における導電剤の含有量は、例えば、全樹脂100質量部に対して、10質量部以上30質量部以下であることがよく、12質量部以上28質量部以下であることが望ましく、15質量部以上25質量部以下であることがより望ましい。
管状ベルト10における導電剤の含有量が上記範囲内であると、管状ベルト10中の導電剤による導電点が高密度になり、管状ベルト10の表面の受ける放電エネルギーを分散させ易くなることから、劣化が抑制される。
また、導電剤の含有量が上記範囲であれば、管状ベルト10は目的とする導電性を得やすくなり、管状ベルト10中で上記高密度な導電点を形成しやすくなる。なお、導電剤の配合により管状ベルト10の脆さが懸念されるが、本実施形態に係る管状ベルト10は、伸縮性を有するシロキサン変性ポリエーテルイミドを含有するため、導電性の含有量を従来よりも多くしても脆くなり難い。
導電剤は、経時での電気抵抗安定性の観点から、pH5以下がよく、pH4.5以下が望ましく、pH4.0以下がより望ましい。
(ケイ素含有粒子)
本実施形態に係る管状ベルト10は、ケイ素含有粒子を含んでもよい。ケイ素含有粒子とは、ケイ素を含む粒子であり、具体的には、シリコーンパウダー、シリコーンオイル含有シリカ等が挙げられる。
本実施形態に係る管状ベルト10がケイ素含有粒子を含むことでクリーニング性が向上し易い。ケイ素含有粒子とシロキサン変性ポリエーテルイミドはいずれもSiを含むため、ケイ素含有粒子は、ポリエーテルイミドよりもシロキサン変性ポリエーテルイミドに対する親和性が高い。そのため、本実施形態に係る管状ベルト10がケイ素含有粒子を含むと、ケイ素含有粒子はシロキサン変性ポリエーテルイミドが存在する領域に偏在し易い。ケイ素含有粒子がシロキサン変性ポリエーテルイミドが存在する領域に偏在することで、シロキサン変性ポリエーテルイミド部分の硬度が上昇し、クリーニング性が向上すると考えられる。
本実施形態に係る管状ベルト10に含み得るケイ素含有粒子の平均粒径は、望ましくは50nm以上15μm以下、より望ましくは100nm以上10μm以下である。
ケイ素含有粒子として市販品を用いてもよく、例えば、信越化学工業社製のシリコーンパウダー、東レ・ダウコーニング社製のシリコーンゴムパウダー等が挙げられる。
管状ベルト10におけるケイ素含有粒子の含有量は、例えば、全樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下であることがよく、1質量部以上10質量部以下であることが望ましく、1質量部以上5質量部以下であることがより望ましい。
管状ベルト10におけるケイ素含有粒子の平均粒径及び含有量がそれぞれ上記範囲内であると、ベルトとしての強度を保持し、かつ、硬度上昇によるクリーニング性を向上させることができる。
(その他の成分)
本実施形態に係る管状ベルト10は、上述した成分以外の成分(その他の成分)を含むことができる。
例えば、管状ベルトの熱劣化を防止するための酸化防止剤、流動性を向上させるための界面活性剤、耐熱老化防止剤等、特に、画像形成装置の管状ベルトに配合される公知の添加剤が挙げられる。
また、本実施形態に係る管状ベルト10は、表面抵抗維持性及びクリーニング維持性の両立を損なわない範囲でポリエーテルイミド及びシロキサン変性ポリエーテルイミド以外の熱可塑性樹脂(その他の樹脂)を含んでもよいが、表面抵抗維持性及びクリーニング維持性を両立し、相溶性の低下による強度の低下を抑制する観点から、全樹脂に対するその他の樹脂の割合は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましく、0質量%、すなわち、ポリエーテルイミド及びシロキサン変性ポリエーテルイミドの合計で100質量%であることが好ましい。
次に、本実施形態に係る管状ベルト10の特性について説明する。
本実施形態に係る管状ベルト10は、常温常湿(温度22℃、湿度55%RH)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率が、7logΩ/□以上13Ω/□以下であることがよく、特に、管状ベルト10を中間転写ベルトとして適用する場合、8logΩ/□以上12logΩ/□以下であることがよく、管状ベルトを記録媒体搬送転写ベルトとして適用する場合、9logΩ/□以上13logΩ/□以下であることがよい。
なお、本表面抵抗率は、常温常湿(温度22℃、湿度55%RH)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの測定値である。
本実施形態に係る管状ベルト10は、常温常湿(温度22℃、湿度55%RH)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率と、常温常湿(温度22℃、湿度55%RH)環境下で、電圧1000Vを印加して測定したときの表面抵抗率と、の差が、1.0logΩ/□以下であることがよい。
本実施形態に係る管状ベルト10は、低温低湿(温度10℃、湿度10%RH)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率と、高温高湿(温度30℃、湿度85%RH)環境下で、電圧100Vを印加して測定したときの表面抵抗率と、の差が、1.0logΩ/□以下であることがよい。
ここで、表面抵抗率は、JIS−K−6911(1995年)に準じて、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極の外径Φ16mm、リング状電極部の内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、測定対象物を絶縁板の上に置き、目的とする環境下で、目的とする電圧を印加し、印加後5秒後の外径から内径に流れる電流値をアドバンテスト製、微小電流計 R8340Aを用いることにより測定し、その電流値より得た表面抵抗値から表面抵抗率を求める。
本実施形態に係る管状ベルトの厚みは特に限定されず、用途に応じて選択すればよい。例えば、本実施形態に係る管状ベルトを画像形成装置における中間転写ベルトとして用いる場合は、60μm以上150μm以下が好ましい。
[管状体の製造方法]
本実施形態に係る管状体を製造する方法は特に限定されないが、例えば、ポリエーテルイミドとシロキサン変性ポリエーテルイミドをそれぞれ別々に含む樹脂ペレットを作製し、目標とする表面抵抗率、硬度などに応じた比率で各樹脂ペレットを混合して管状に溶融押出することが好ましい。
例えば、ポリエーテルイミド及び導電剤、さらに必要に応じてその他の成分を、それぞれ予め定めた量で、配合及び混練した樹脂ペレットAと、シロキサン変性ポリエーテルイミド、ポリエーテルイミド及び導電剤、さらに必要に応じてその他の成分を、それぞれ予め定めた量で、配合及び混練した樹脂ペレットBを用意する。各樹脂ペレットの作製には、樹脂中に導電剤を高い均一性で分散させる観点から、二軸溶融押出機を用いることが好ましい。
次に、得られた各樹脂ペレットA,Bを溶融押出機に投入して溶融混練した後、ダイから管状に押し出し、溶融樹脂管状体の内周面に円筒状中子の外周面を接触させて冷却させる。このように各樹脂ペレットA,Bを溶融押出機によって溶融してダイから管状に押し出すと、ポリエーテルイミドはシロキサン変性ポリエーテルイミドよりも粘度が高く、シロキサン変性ポリエーテルイミドが表層部に偏在し易い。
得られた管状体を目標とする長さに切断して管状ベルトを得ることができる。
また、例えば、ケイ素含有粒子を含む管状ベルトを作製する場合、シロキサン変性ポリエーテルイミドを含む樹脂ペレットのみにケイ素含有粒子を配合しておくことで、前述したようにケイ素含有粒子がシロキサン変性ポリエーテルイミドの存在領域に偏在し易くなり、クリーニング性を向上させ易い。また、各樹脂ペレットA,Bを溶融押出機に投入して管状体を作製する場合は、ケイ素含有粒子がシロキサン変性ポリエーテルイミドの存在領域に偏在させる観点から、二軸溶融押出機よりも一般的に混練能力が低い一軸溶融押出機を用いることが好ましい。
上記のようにそれぞれ別々の樹脂を含む2種類の樹脂ペレットを配合して管状に溶融押出しを行えば、配合比率に応じて、ポリエーテルイミドとシロキサン変性ポリエーテルイミドの一方が海部であり、他方が島部である海島構造の表層部を有し、シロキサン変性ポリエーテルイミドが存在する領域にケイ素含有粒子が偏在した管状体を製造することができる。
本実施形態に係る管状体の一例として、単層体で構成された管状ベルト10を説明したが、本実施形態に係る管状体は2層以上の積層体で構成されていてもよい。具体的には、例えば、基材層とその外周面に積層された表面層との積層体であり、表面層がシロキサン変性ポリエーテルイミド、シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、及び導電剤を含み、表層部における全ポリエーテルイミド成分の合計含有量に対するシロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量が40質量%以上である管状ベルトであってもよい。
[転写ユニット]
本実施形態に係る管状ベルト10は、例えば、画像形成装置用の転写ベルト(例えば、中間転写ベルト、記録媒体搬送転写ベルト)に好適に適用され得る。
本実施形態に係る転写ユニットは、前述した本実施形態に係る転写ベルトと、前記転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置に対して脱着される。
図2は、本実施形態に係る転写ユニットを示す概略斜視図である。本実施形態に係る転写ユニット130は、図2に示すように、転写ベルトとして上記本実施形態に係る管状ベルト10を備えており、例えば、管状ベルト10は対向して配置された駆動ロール131及び従動ロール132により張力がかかった状態で掛け渡されている(以下、「張架」という場合がある。)。
ここで、本実施形態に係る転写ユニット130は、管状ベルト10を中間転写体(中間転写ベルト)として適用させる場合、管状ベルト10を張架するロールとして、感光体(像保持体)表面のトナー像を管状ベルト10上に1次転写させるためのロールと、管状ベルト10上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に2次転写させるためのロールが配置される。
なお、管状ベルト10を張架するロールの数は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。このような構成の転写ユニット130は、装置に組み込まれて使用され、駆動ロール131,従動ロール132の回転に伴って管状ベルト10も張架した状態で回転する。
[画像形成装置]
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前述した本実施形態に係る転写ベルトを有し、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体に転写させる転写手段と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を備える。
具体的には、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、転写手段が中間転写体と像保持体に形成されたトナー像を中間転写体に一次転写する一次転写手段と中間転写体に転写されたトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段とを備え、中間転写体(中間転写ベルト)として上記本実施形態に係る管状ベルトを備える構成が挙げられる。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、転写手段が記録媒体を搬送するための搬送転写体(搬送転写ベルト)と像保持体に形成されたトナー像を用紙転写体により搬送された記録媒体に転写するための転写手段とを備え、記録媒体転写体(記録媒体搬送転写ベルト)として上記本実施形態に係る管状ベルトを備える構成が挙げられる。
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置、像保持体上に保持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像保持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置が挙げられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置を、図面を参照しつつ説明する。
図3は、実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図3に示すように、例えば、いわゆるタンデム方式であり、電子写真感光体からなる4つの像保持体101a〜101dの周囲に、その回転方向に沿って順次、帯電装置102a〜102d、露光装置114a〜114d(潜像形成手段の一例)、現像装置103a〜103d、一次転写装置(一次転写ロール)105a〜105d、像保持体クリーニング装置104a〜104dが配置されている。尚、転写後の像保持体101a〜101dの表面に残留している残留電位を除去するために除電器を備えていてもよい。
中間転写ベルト107が、支持ロール106a〜106d、駆動ロール111および対向ロール108により張力を付与しつつ支持され、転写ユニット107bを形成している。これらの支持ロール106a〜106d、駆動ロール111および対向ロール108により、中間転写ベルト107は、各像保持体101a〜101dの表面に接触しながら各像保持体101a〜101dと一次転写ロール105a〜105dとを矢印Aの方向に移動し得る。一次転写ロール105a〜105dが中間転写ベルト107を介して像保持体101a〜101dに接触する部位が一次転写部となり、像保持体101a〜101dと一次転写ロール105a〜105dとの接触部には一次転写電圧が印加される。
二次転写装置として、中間転写ベルト107および二次転写ベルト116を介して対向ロール108と二次転写ロール109が対向配置されている。紙等の記録媒体115が中間転写ベルト107の表面に接触しながら中間転写ベルト107と二次転写ロール109とで挟まれる領域を矢印Bの方向に移動し、その後、定着装置110を通過する。二次転写ロール109が中間転写ベルト107および二次転写ベルト116を介して対向ロール108に接触する部位が二次転写部となり、二次転写ロール109と対向ロール108との接触部には二次転写電圧が印加される。更に、転写後の中間転写ベルト107と接触するように、中間転写ベルトクリーニング装置112および113が配置されている。
この構成の多色画像形成装置100では、像保持体101aが矢印Cの方向に回転するとともに、その表面が帯電装置102aによって帯電された後、レーザー光等の露光装置114aにより第1色目の静電潜像が形成される。形成された静電潜像はその色に対応するトナーを収容した現像装置103aにより、トナーで現像(顕像化)されてトナー像が形成される。なお、現像装置103a〜103dには、各色の静電潜像に対応するトナー(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)がそれぞれ収容されている。
像保持体101a上に形成されたトナー像は、一次転写部を通過する際に、一次転写ロール105aによって中間転写ベルト107上に静電的に転写(一次転写)される。以降、第1色目のトナー像を保持した中間転写ベルト107上に、一次転写ロール105b〜105dによって、第2色目、第3色目、第4色目のトナー像が順次重ね合わせられるよう一次転写され、最終的に多色の多重トナー像が得られる。
中間転写ベルト107上に形成された多重トナー像は、二次転写部を通過する際に、記録媒体115に静電的に一括転写される。トナー像が転写された記録媒体115は、定着装置110に搬送され、加熱及び加圧、又は加熱若しくは加圧により定着処理された後、機外に排出される。
一次転写後の像保持体101a〜101dは、像保持体クリーニング装置104a〜104dにより残留トナーが除去される。一方、二次転写後の中間転写ベルト107は、中間転写ベルトクリーニング装置112および113により残留トナーが除去され、次の画像形成プロセスに備える。
−像保持体−
像保持体101a〜101dとしては、公知の電子写真感光体が広く適用される。電子写真感光体としては、感光層が無機材料で構成される無機感光体や、感光層が有機材料で構成される有機感光体などが用いられる。有機感光体においては、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型有機感光体や、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を果たす単層型有機感光体が好適に用いられる。また、無機感光体においては、感光層がアモルファスシリコンにより構成されているものが、好適に用いられる。
また、像保持体の形状には特に限定はなく、例えば、円筒ドラム状、シート状またはプレート状等、公知の形状が採用される。
−帯電装置−
帯電装置102a〜102dとしては、特に制限はなく、例えば、導電性(ここで、帯電装置における「導電性」とは例えば体積抵抗率が10Ω・cm未満を意味する。)または半導電性(ここで、帯電装置における「半導電性」とは例えば体積抵抗率が10乃至1013Ωcmを意味する。)のローラ、ブラシ、フィルム、またはゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器など、公知の帯電器が広く適用される。これらの中でも接触型帯電器が望ましい。
帯電装置102a〜102dは、像保持体101a〜101dに対し、通常、直流電流を印加するが、交流電流を更に重畳させて印加してもよい。
−露光装置−
露光装置114a〜114dとしては、特に制限はなく、例えば、像保持体101a〜101dの表面に、半導体レーザー光、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)光、または液晶シャッタ光等の光源、或いはこれらの光源からポリゴンミラーを介して定められた像様に露光し得る光学系機器など、公知の露光装置が広く適用される。
−現像装置−
現像装置103a〜103dとしては、目的に応じて選択され。例えば、一成分系現像剤または二成分系現像剤をブラシ、またはローラ等を用い接触或いは非接触させて現像する公知の現像器などが挙げられる。
−一次転写ロール−
一次転写ロール105a〜105dは単層或いは多層のいずれでもよい。例えば、単層構造の場合は、発泡または無発泡のシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。
−像保持体クリーニング装置−
像保持体クリーニング装置104a〜104dは、一次転写工程後の像保持体101a〜101dの表面に付着する残存トナーを除去するためのものであり、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
−二次転写ロール−
二次転写ロール109の層構造は、特に限定されるものではないが、例えば、三層構造の場合、コア層と中間層とその表面を被覆するコーティング層により構成される。コア層は導電性粒子を分散したシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等の発泡体で、中間層はこれらの無発泡体で構成される。コーティング層の材料としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、またはパーフルオロアルコキシ樹脂などが挙げられる。二次転写ロール109の体積抵抗率は10Ωcm以下であることが望ましい。また、中間層を除いた2層構造としてもよい。
−対向ロール−
対向ロール108は、二次転写ロール109の対向電極を形成する。対向ロール108の層構造は、単層或いは多層のいずれでもよい。例えば単層構造の場合は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。二層構造の場合は、上記のゴム材料で構成される弾性層の外周面を高抵抗層で被覆したロールから構成される。
対向ロール108と二次転写ロール109のシャフトとには、通常1kV以上6kV以下の電圧が印加される。対向ロール108のシャフトへの電圧印加に代えて、対向ロール108に接触させた電気良導性の電極部材と二次転写ロール109とに電圧を印加してもよい。上記電極部材としては、金属ロール、導電性ゴムロール、導電性ブラシ、金属プレート、または導電性樹脂プレート等が挙げられる。
−定着装置−
定着装置110としては、例えば、熱ローラ定着器、加圧ローラ定着器、またはフラッシュ定着器など公知の定着器が広く適用される。
−中間転写ベルトクリーニング装置−
中間転写ベルトクリーニング装置112および113としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
以上、本実施形態に係る管状体、並びに、本実施形態に係る管状体を転写ベルトとして用いた転写ユニット及び画像形成装置について説明したが、本実施形態に係る管状体の用途は転写ベルトに限定されない。例えば、円筒状の弾性層の外周面を本実施形態に係る管状体で被覆した導電ロールとして使用することもできる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
(樹脂ペレットAの作製)
熱可塑性樹脂としてポリエーテルイミド(Ultem1010、Sabic社製)100質量部に対し、導電剤としてデンカブラック粒状品(電気化学工業社製、平均一次粒子径:35nm)を15質量部配合し、二軸押出溶融混練機(二軸溶融混練押出機L/D60(パーカーコーポレーション社製))を用いて溶融混練した。混練された溶融物を水槽中に入れて冷却固化した後、切断して、ポリエーテルイミドにカーボンブラックが配合された混合樹脂ペレットAを得た。
(樹脂ペレットBの作製)
熱可塑性樹脂としてシロキサン変性ポリエーテルイミド(Siltem1500、Sabic社製)100質量部に対し、導電剤としてデンカブラックを17質量部配合し、二軸押出溶融混練機(二軸溶融混練押出機L/D60(パーカーコーポレーション社製))を用いて溶融混練した。混練された溶融物を水槽中に入れて冷却固化した後、切断して、シロキサン変性ポリエーテルイミドにカーボンブラックが配合された混合樹脂ペレットBを得た。
(管状ベルトの作製)
溶融混練により得られた樹脂ペレットA、Bを1:1の質量比率で混合し、一軸溶融押出機(L/D24、溶融押出装置、三葉製作所社製)に投入し、樹脂加熱温度320℃/スクリュ回転数200rpmにて溶融混練した。そして、300℃に設定した金型ダイとニップルの間隙から管状に溶融押出しながら、溶融樹脂管状体の内周面に円筒状中子の外周面を接触させて冷却し、その後、管状体を切断して厚みが100μmの管状ベルト1を得た。
<評価>
[シロキサン変性ポリエーテルイミドの表面存在量]
製造した管状ベルト1の表層部に存在するシロキサン変性ポリエーテルイミドの量をFTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)によって測定した。具体的には、管状ベルトの表面をヤスリで研磨して表面から1μm以上5μm以下の深さまでの範囲内の領域からサンプルの粉末を採取した。得られたサンプルについて、FT/IR−6100(日本分光株式会社社製)を用いて赤外吸収スペクトルを測定し、管状ベルトの表層部におけるポリエーテルイミド骨格由来のピークに対するシロキサン変性ポリエーテルイミドのシロキサン骨格由来のピークの比率から表層部に存在するシロキサン変性ポリエーテルイミドのポリエーテルイミドに対する比率(質量基準)を見積もった。
[表面抵抗維持性]
得られた管状ベルト1を中間転写体として富士ゼロックス社製 DocuPrint CP200Wに組み込み、10℃、15%RHの低温低湿環境下において、ハーフトーン(マゼンタ濃度30%)の画像をA5縦用紙に連続して3000枚出力した。このときの2次転写電圧は5.6kVとした。
この画像出力前後における管状ベルトの表面抵抗率(logΩ/□)をAdvantest微小電流計(URプローブ/100V/荷重2kg/5秒)で測定し、出力前の表面抵抗率の常用対数値と出力後の表面抵抗率の常用対数値との差を求めた。この差を表面抵抗の維持性として評価した。
表面抵抗の維持性としての表面抵抗率の変化は、0.6未満が求められ、望ましくは0.3未満である。評価基準は以下の通りである。
A:表面抵抗率の常用対数値の差が0.3未満
B:表面抵抗率の常用対数値の差が0.3以上0.6未満
C:表面抵抗率の常用対数値の差が0.6以上
[クリーニング維持性]
得られた管状ベルトを中間転写体として富士ゼロックス社製 DocuPrint CP200Wに組み込み、10℃、15%RHの低温低湿環境下において、富士ゼロックス社製C2紙A4紙を使用し、文字とパッチのある総合パターンを10000枚出力した。このときの2次転写電圧は5.6kVとした。クリーニング性は、出力した紙にクリーニング不良による筋が発生するか否かを判定した。判定基準を以下に示す。
A:筋が発生しなかった(発生枚数が0枚)。
B:筋が発生し、発生枚数が5枚未満であった。
C:筋が発生し、発生枚数が5枚以上50枚以下であった。
<実施例2>
実施例1において溶融押出時に樹脂ペレットA、Bの混合比率(質量基準)を1:2とした以外は実施例1と同様の手順で管状ベルト2を得た。
<実施例3>
実施例1においてカーボンブラックとしてPrintex alpha(オリオンエンジニアードカーボン社製、平均一次粒径:20nm)を用いた以外は実施例1と同様の手順で管状ベルト3を得た。
<実施例4>
実施例1において樹脂ペレットBの製造時にシロキサン変性ポリエーテルイミド100質量部に対してシリコーンパウダーX52−854(信越化学工業社製)を5質量部配合した以外は実施例1と同様の手順で管状ベルト4を得た。
<実施例5>
実施例1において溶融押出時に樹脂ペレットA、Bの混合比率(質量基準)を1:4とした以外は実施例1と同様の手順で管状ベルト5を得た。
<比較例1>
実施例1で作製した樹脂ペレットAのみで管状体を作製した以外は実施例1と同様の手順で管状ベルトC1を得た。
<比較例2>
実施例1で作製した樹脂ペレットBのみで管状体を作製した以外は実施例1と同様の手順で管状ベルトC2を得た。
<比較例3>
実施例1において溶融押出時に樹脂ペレットA、Bの混合比率(質量基準)を3:1とした以外は実施例1と同様の手順で管状ベルトC3を得た。
各例で製造した管状ベルトの主な構成と評価結果を表1に示す。なお、表中「PEI」は、「ポリエーテルイミド」の略称である。
比較例2の管状ベルトを中間転写ベルトとして用いて画像形成を行った場合は、ベルトの弾性率が低く、走行中にベルトが変形して安定的なクリーニング性が取れなかった。
上記結果から、実施例では、表面抵抗維持性及びクリーニング維持性に優れていることが分かる。
10 管状体(管状ベルト)
100 画像形成装置
101a、101b、101c、101d 像保持体
102a、102b、102c、102d 帯電装置
103a、103b、103c、103d 現像装置
104a、104b、104c、104d 像保持体クリーニング装置
105a、105b、105c、105d 一次転写ロール
106a、106b、106c、106d 支持ロール
107 中間転写ベルト
107b 転写ユニット(ベルトユニット)
108 対向ロール
109 二次転写ロール
110 定着装置
111 駆動ロール
112 中間転写ベルトクリーニングブレード
113 中間転写ベルトクリーニングブラシ
114a、114b、114c、114d 露光装置
115 記録媒体
116 二次転写ベルト
130 転写ユニット
131 駆動ロール
132 従動ロール

Claims (7)

  1. シロキサン変性ポリエーテルイミド、シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミド、及び導電剤を含み、表層部における前記シロキサン変性ポリエーテルイミド及び前記シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドの合計含有量に対する前記シロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量が40質量%以上である管状体。
  2. ケイ素含有粒子をさらに含む請求項1に記載の管状体。
  3. 前記導電剤の平均一次粒子径が30nm以下である請求項1又は請求項2に記載の管状体。
  4. 前記表層部における前記シロキサン変性ポリエーテルイミド及び前記シロキサン変性ポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドの合計含有量に対する前記シロキサン変性ポリエーテルイミドの含有量が80質量%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の管状体。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の管状体を含む転写ベルト。
  6. 請求項5に記載の転写ベルトと、
    前記転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、
    を備え、画像形成装置に対して脱着される転写ユニット。
  7. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    請求項5に記載の転写ベルトを有し、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体に転写させる転写手段と、
    前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
    を備えた画像形成装置。
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