JP2014170048A - 中間転写ベルトおよびその製造方法、ならびに画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、該中間転写ベルト上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを備えた画像形成装置に装備される中間転写ベルトであって、前記中間転写ベルトは、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂であって、残留溶媒として、該ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂は、5ppm以上5000ppm以下のγーブチロラクトンのみを含有するものとする。
【選択図】図1
Description
前記中間転写ベルトは、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂であって、
前記ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂は、残留溶媒として、5ppm以上5000ppm以下のγーブチロラクトンのみを含有することを特徴とするものである。
本発明の実施形態である中間転写ベルトについてについて以下に説明する。図1に、本発明の中間転写ベルトの斜視図を示す。
本実施形態の中間転写ベルトは、電子写真装置に用いられる継ぎ目のないシームレス(無端)ベルトである。本発明の中間転写ベルトが装備される電子写真装置は、該像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、該中間転写ベルト上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを備えたフルカラーの電子写真装置である。像担持体(例えば、感光体ドラム)上に順次形成される複数のカラートナー現像画像(潜像)を、該中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行い、その一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する。このような電子写真装置においては、いくつかの部材にシームレスベルトが用いられるが、継ぎ目のない中間転写ベルトは高い電気的特性を満たすための重要な部材の一つである。また、昨今の電子写真装置の高速化の面から、継ぎ目がない無端のシームレス構成であることが望ましい。
なお、前記平均厚さとは、中間転写ベルト内を任意に10点測定した際の平均値である。厚さの測定には、指針式の膜厚計や渦電流式の膜厚計などの一般汎用品が使用できるが、例えば、アンリツ社のエレクトリックマイクロメーターを使用することができる。
次に、本発明の中間転写ベルトの材料として用いられるポリイミド樹脂(以下、「ポリイミド」と略称することがある。)について説明する。
芳香族系のポリイミドに限定されるものではないが、芳香族系のポリイミドが好ましい例として挙げることができる。
芳香族系のポリイミドは、例えば、芳香族多価カルボン酸無水物又はその誘導体と芳香族ジアミンとの反応によって、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を経由して得られる。
芳香族系のポリイミドは、その剛直な主鎖構造により溶媒等に対して不溶であり、また不融の性質を有する。そのため、先ず、芳香族多価カルボン酸無水物と芳香族ジアミンとの反応により、有機溶媒に可溶なポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を合成し、このポリアミック酸の段階で様々な方法で成形加工が行われ、その後ポリアミック酸を加熱もしくは化学的な方法で脱水反応させて環化(イミド化)しポリイミドとされる。芳香族系のポリイミドを得る反応を例にその概略を下記式(1)に示す。
<ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)の製造方法>
ここで、ポリアミック酸を得る際の重合反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系、又はヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。
これら溶媒のなかで、前記ポリアミック酸を溶解するにはγ−ブチロラクトン単独が好ましい。混合溶媒ではポリアミック酸のイミド転化時に揮発しやすくなり、結果としてγ−ブチロラクトンを残す量の制御が困難となるため好ましくない。
γ−ブチロラクトン以外の溶媒では、ポリイミド前駆体の加熱イミド転化後に残った残留溶媒が環境変動時にベルト抵抗を変化させ、画像濃度変化を起こしやすい。これら問題を解決するには残留溶媒を無くす必要があるが、そのためには350℃〜450℃程度の高温でさらに長時間加熱する必要がある。しかし、これではベルトが脆くなることにより破断しやすくなるという別の問題があった。
γ−ブチロラクトンを単独で使用し、かつベルト内に5ppm以上5000ppm以下の範囲で残すことにより、このようなトレードオフの問題は起こらなくなる。5ppm未満では塗膜の破断が起こりやすくなり、5000ppmを超えると環境変動時に画像濃度変化が起こりやすい。
前記芳香族多価カルボン酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記芳香族ジアミン化合物としては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−エタン、1,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、4,4’−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ベンゾフェノン、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ジフェニルスルホン、ビス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル〕スルホン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
合成又は入手したポリアミック酸溶液に、必要に応じて充填剤(例えば、電気抵抗調整材、あるいは分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加剤)を混合・分散して塗工液が調製される。塗工液を後述のように支持体(成形用の型)に塗布した後、加熱等の処理することにより、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸からポリイミドへの転化(イミド化)が行われる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電気抵抗を調整する充填材(又は、添加材)、電気抵抗調整材、分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などが挙げられる。
電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などがある。
金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、分散性を良くするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。このなかでも分散しやすく、強度低下しにくいカーボンブラックを使用するのが好ましい。
イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられる。
導電性高分子材料としてはポリアニリンなどが挙げられ、必要に応じてこれらを併用して用いてもよい。
なお、本発明における電気抵抗調整材は、上記例示化合物に限定されるものではない。また、本発明のシームレスベルトの製造方法における少なくとも樹脂成分を含む塗工液には必要に応じて、さらに分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加材を含有してもよい。
上述した中間転写ベルト中に均一にカーボンブラックを分散させるには、予めγ−ブチロラクトン中に均一に分散したものをポリイミド前駆体と充分に混合して使用するのが好ましい。
本発明に使用する分散機は一般に使用される分散機であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、サンドミルなどが挙げられる。
本発明の中間転写ベルトの製造方法の一例を具体的に説明する。
本実施形態の中間転写ベルトの製造方法は、円筒形の金型の外面に、ポリイミド前駆体および有機溶媒として少なくともγ−ブチロラクトンを含有する塗工溶液を塗工して前記ポリイミド前駆体を含有する塗工膜を形成する工程と、該塗工膜を、前記円筒形の金型の内側から加熱することにより前記ポリイミド前駆体をポリイミド樹脂に転化し、かつ、該ポリイミド樹脂中に有機溶媒として前記γ−ブチロラクトンのみを5ppm以上5000ppm以下残留させる工程と、前記ポリイミド樹脂を前記円筒形の金型から脱型する工程と、を含むものである。
金型の加熱の方法としては、円筒形の金型の外面から加熱する方法と、内側から加熱する方法に大別されるが、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、本発明の中間転写ベルトを得るためには、円筒形の金型の外面にポリイミド前駆体を含有する塗工液を塗工し、金型の内側から加熱することが効果的である。
また、前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、円筒状の金属金型などが挙げられ、金型の外面もしくは内面にポリイミド前駆体溶液を塗布する。この中でも、ベルト内のγ−ブチロラクトンの含有量5ppm以上5000ppm以下に制御しやすい金型の外面に塗工する方法が好ましい。
γ−ブチロラクトンの測定方法としては、中間転写ベルトの任意の場所から切り出したものを、熱抽出ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)法にて分析することが出来る。GC−MS装置としては市販のものを使用することが出来るが、例えば島津製作所(株)製GCMS−QP2010にて測定することが出来る。
次に、本発明の第2の実施形態の中間転写ベルトについて説明する。本実施形態の中間転写ベルトはポリアミドイミド樹脂である。上記第1の実施形態とは中間転写ベルトにおいて材料が異なるものである。
本発明の中間転写ベルトは、上記第1の実施形態に記載した写真画像装置に装備される中間転写ベルトであって、該中間転写ベルトは、ポリアミドイミド樹脂であって、該ポリアミドイミド樹脂は、残留溶媒として5ppm以上5000ppm以下のγ−ブチロラクトンのみを含有するものである。γ−ブチロラクトンの含有量が5ppm未満の場合は、ベルトの割れや切れが起こりやすいため耐久性が低くなり破断評価試験において早期に破断するため好ましくない。また、γ−ブチロラクトンの含有量が5000ppm以上の場合は、温湿度変化の際の画像安定性が悪くなるため好ましくない。
なお、前記平均厚さとは、中間転写ベルト内を任意に10点測定した際の平均値である。厚さの測定には、指針式の膜厚計や渦電流式の膜厚計などの一般汎用品が使用できるが、例えば、アンリツ社のエレクトリックマイクロメーターを使用することができる。
<ポリアミドイミド樹脂>
ポリアミドイミド樹脂は、分子骨格中に剛直なイミド基と柔軟性を付与するアミド基を有する樹脂であり、本発明に用いられるポリアミドイミド樹脂としては一般的に知られている構造のものを使用することができる。
酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体ハライド化合物としては、例えば、下記式(2)および式(3)に示す化合物を使用することができる。
芳香族ジアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、オキシジアニリン、メチレンジアミン、ヘキサフルオロイソプロピリデンジアミン、ジアミノ−m−キシリレン、ジアミノ−p−キシリレン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、2,2’−ビス−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス−(4−アミノフェニル)へキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、イソプロピリデンジアニリン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、1,3−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス−(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’−ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]へキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
アミドイミド化の方法としては、加熱処理により脱水閉環させる方法、および脱水閉環触媒を用いて化学的に閉環させる方法が挙げられる。加熱処理により脱水閉環させる場合、例えば、反応温度は150〜400℃、好ましくは180〜350℃であり、加熱処理時間は30秒間〜10時間、好ましくは5分間〜5時間である。また、脱水閉環触媒を用いる場合、反応温度は0〜180℃、好ましくは10〜80℃であり、反応時間は数十分間〜数日間、好ましくは2時間〜12時間である。脱水閉環触媒の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸等の酸無水物等が挙げられる。
イソシアネート法の場合に用いる酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体としては、例えば、式(4)または式(5)で示す化合物を使用することができる。
次に、本発明のポリアミドイミドの合成に用いられる一方の芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−〔2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート、ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ビフェニル−3,3’−ジイソシアネート、ビフェニル−3,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート等が挙げられる。
これらの芳香族ポリイソシアネートは単独で使用することもできるし、組み合わせて使用することもできる。必要に応じてこの一部としてヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族、脂環式イソシアネートおよび3官能以上のポリイソシアネートを使用することもできる。
それ以外の溶媒では、ポリアミドイミド前駆体の加熱イミド転化後に残った残留溶媒が環境変動時にベルト抵抗を変化させ、画像濃度変化を起こしやすい。これら問題を解決するには残留溶媒を無くす必要があるが、そのためには350℃〜450℃程度の高温でさらに長時間加熱する必要があり、今度はベルトが脆くなることにより破断しやすくなるという別の問題が起こる。γ−ブチロラクトンを使用し、かつベルト内に5〜5000ppmの範囲で残すことにより、このようなトレードオフの問題は起こらなくなる。5ppm未満では塗膜の破断が起こりやすくなり、5000ppmを超えると環境変動時に画像濃度変化が起こりやすい。
上述した中間転写ベルト中に均一にカーボンブラックを分散させるには、予めγ−ブチロラクトン中に均一に分散したものをポリアミドイミド前駆体と充分に混合して使用するのが好ましい。
本発明に使用する分散機は一般に使用される分散機であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、サンドミルなどが挙げられる。
なお、前記平均厚さは、中間転写ベルト内を任意に10点測定した際の平均値である。総厚さは、指針式の膜厚計や渦電流式の膜厚計などの一般汎用品が使用できるが、例えば、アンリツ社のエレクトリックマイクロメーターにより測定することができる。
本発明の中間転写ベルトの製造方法の一例を具体的に説明する。
本実施形態の中間転写ベルトの製造方法は、、ポリアミドイミド前駆体および有機溶媒として少なくともγ−ブチロラクトンを含有する塗工溶液を塗工してポリアミドイミド前駆体を含有する塗工膜を形成する工程と、該塗工膜を、前記円筒形の金型の内側から加熱することにより前記ポリアミドイミド前駆体をポリアミドイミド樹脂に転化し、かつ、該ポリアミドイミド樹脂中に有機溶媒として前記γ−ブチロラクトンのみを5ppm以上5000ppm以下残留させる工程と、前記ポリアミドイミド樹脂を前記円筒形の金型から脱型する工程と、を含むものである。
金型の加熱の方法としては、金型の外面から加熱する方法と、内側(裏側)から加熱する方法に大別されるが、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、本発明の中間転写ベルトを得るためには、円筒形の金型の外面にポリアミドイミド前駆体を含有する塗工溶液を塗工し、円筒形の金型の内側から加熱することが効果的である。
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、円筒状の金属金型などが挙げられ、金型の外面もしくは内面にポリアミドイミド前駆体溶液を塗布する。この中でも、ベルト内のγ−ブチロラクトンの含有量5ppm以上5000ppm以下に制御しやすい金型の外面に塗工する方法が好ましい。
γ−ブチロラクトンの測定方法としては、中間転写ベルトの任意の場所から切り出したものを、熱抽出ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)法にて分析することが出来る。GC−MS装置としては市販のものを使用することが出来るが、例えば島津製作所(株)製GCMS−QP2010にて測定することが出来る。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態として、本発明の中間転写ベルトが装備された画像形成装置について説明する。図2に本発明のフルカラーの電子写真画像形成装置の一実施形態を示す要部模式図を示す。本実施形態の画像形成装置は、像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、該中間転写ベルト上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを備えてなるものである。そして、中間転写ベルトは上記第1あるいは第2の実施形態の中間転写ベルトが装備されている。本画像形成装置は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための1つの感光体ドラムを備えたデジタルカラープリンタの一構成例である。
上記実施形態のシームレスベルトは、像担持体上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行い、その一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する、いわゆる中間転写方式の電子写真装置の中間転写ベルトとして好適に用いられ、高画質画像形成な電子写真画像形成装置を構成することができる。本発明における画像形成装置に装備されるベルト構成部に用いられるシームレスベルトについて、要部模式図を参照しながら以下に詳しく説明する。なお、模式図は一例であって本発明はこれに限定されるものではない。図2は、本発明の中間転写ベルトをベルト部材として装備する画像形成装置を説明するための要部模式図である。
次に、第4の実施形態である画像形成装置について説明する。上記第3の実施形態では、感光体ドラム1を一つだけ備えた複写機について説明したが、本発明の中間転写ベルトは、例えば、複数の感光体ドラムをシームレスベルトからなる一つの中間転写ベルトに沿って並設した画像形成装置にも適用できる。図3に複数の感光体ドラムをシームレスベルトからなる一つの中間転写ベルトに沿って並設した画像形成装置の要部模式図を示す。
本画像形成装置は、像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、該中間転写ベルト上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを備えてなるものである。そして、中間転写ベルトは上記第1または第2の実施形態の中間転写ベルトが装備されている。本画像形成装置は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム21BK、21Y、21M、21Cを備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例である。
まず、中間転写ベルトの材料としてポリイミド樹脂を用いた場合の実施例について説明する。この中間転写ベルトは継ぎ目のないシームレスベルトである。
「ベルト用塗工液1Aの調製」
マナック社製4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸(PEPA)とダイセル化学工業社製3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)と和歌山精化工業社製3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−DDE)をモル比0.5:0.5:1.0でγ−ブチロラクトン中で窒素雰囲気下、130℃で重合して固形分15%、粘度10Pa・s(25℃)のポリイミド前駆体溶液1Aを調製した。続いて、γ−ブチロラクトン中に分散させたカーボンブラック(Regal400R;キャボット社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の18重量%になるように調合し、よく攪拌混合してベルト用塗工液Aを調製した。
次に、外径375mm、長さ340mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金属製円筒を型として用い、この円筒型を50rpm(回/分)で回転させながら、塗工液1Aを円筒外面に均一に流延するようにディスペンサーにて塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転数を100rpmに上げたまま、乾燥機に金型を入れた後、金型内部中央にハロゲンヒーターを設置して110℃まで徐々に昇温して60分加熱した。その後、さらに昇温して200℃で20分加熱し、続いて320℃まで段階的に昇温して60分加熱処理(焼成)してイミド転化を行い、徐冷した後に脱型を行い、シームレスベルトAを得た。
上記のように作製したシームレスベルト1Aの厚さは53μm、γ−ブチロラクトンの含有量は26ppmであった。
実施例1−1においてディスペンサーの塗布量を変化させてシームレスベルト1Aの厚さを変える以外は同様にしてシームレスベルト1Bを得た。このときシームレスベルト1Bの厚さは109μm、γ−ブチロラクトンの量は188ppmであった。
実施例1−1においてディスペンサーの塗布量を変化させてシームレスベルト1Aの厚さを変える以外は同様にしてシームレスベルト1Cを得た。このときシームレスベルト1Cの厚さは38μm、γ−ブチロラクトンの量は6ppmであった。
実施例1−1においてディスペンサーの塗布量を変化させてシームレスベルト1Aの厚さを変える以外は同様にしてシームレスベルト1Dを得た。このときシームレスベルト1Dの厚さは136μm、γ−ブチロラクトンの量は345ppmであった。
実施例1−2のシームレスベルト1Bの作成において、320℃での加熱処理60分を300℃での加熱処理30分に変えた以外は実施例1と同様にして、シーレスベルト1Eを得た。このときシームレスベルト1Eの厚さは114μm、γ−ブチロラクトンの量は4375ppmであった。
「ベルト用塗工液1Fの調製」
三菱ガス化学社製の無水ピロメリット酸(PMDA)とダイセル化学工業社製3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)と和歌山精化工業社製4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−DDE)と日本化薬社製m−フェニレンジアミン(m−PDA)をモル比0.5:0.5:0.9:0.1でγ−ブチロラクトン中で窒素雰囲気下、135℃で重合して固形分14%、粘度17Pa・s(25℃)のポリイミド前駆体溶液1Fを調製した。続いて、γ−ブチロラクトン中に分散させたカーボンブラック(Regal400R;キャボット社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の19.2重量%になるように調合し、よく攪拌混合してベルト用塗工液1Fを調製した。その後は実施例1−1と同様にして、シームレスベルト1Fを得た。
このときシームレスベルト1Fの厚さは64μm、γ−ブチロラクトンの量は15ppmであった。
「ベルト用塗工液1Gの調製」
マナック社製4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸(PEPA)と宇部興産社製の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と和歌山精化工業社製1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)をモル比0.5:0.5:1.0でγ−ブチロラクトン中で窒素雰囲気下、130℃で重合して固形分15%、粘度15Pa・s(25℃)のポリイミド前駆体溶液1Gを調製した。続いて、γ−ブチロラクトン中に分散させたカーボンブラック(MA100;三菱化学社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の15.4重量%になるように調合し、よく攪拌混合してベルト用塗工液1Gを調製した。その後は実施例1−1と同様にして、シームレスベルト1Gを得た。このときシームレスベルト1Gの厚さは66μm、γ−ブチロラクトンの量は87ppmであった。
実施例1−1のベルト塗工液1Aを使い、以下の手順でシームレスベルト1Hを作製した。
「シームレスベルト1Hの作製」
内径375mm、長さ340mmの内面を鏡面仕上げし、離型剤処理を施した金属製円筒を支持体(型)として用い、この円筒型を50rpm(回/分)で回転させながら、上記ベルト塗工液1Aを円筒内面に均一に流延するように流して塗布した。
所定の全量を流し終えて塗膜が万遍なく広がった時点で回転数を100rpmに上げ、金型の外面から熱風が発生する循環乾燥機に投入して、110℃まで徐々に昇温して60分加熱した。その後さらに昇温して200℃で20分加熱し、回転を停止、徐冷して取り出し、これを金型の外面から加熱する高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に投入し、段階的に320℃まで昇温して60分加熱(焼成)した。その後は加熱を停止し、常温まで徐冷してから型を取り出し、形成された塗膜を円筒内面から離型し、シームレスベルト1Hを得た。このときシームレスベルト1Hの厚さは61μm、γ−ブチロラクトンの量は1066ppmであった。
本実施例1−8は、シームレスベルトの製造方法として、円筒の支持体の外面にベルト塗工液を塗布した後、該円筒支持体の外面から加熱を行っているのに対し、上記実施例1−1乃至実施例1−7は、円筒支持体の内側から加熱を行っている点で異なる。
「ベルト塗工液1Iの作製」
宇部興産社製の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と和歌山精化工業社製4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−DDE)をγ−ブチロラクトンとN―メチル―2―ピロリドンの重量比40:60の混合溶媒で窒素雰囲気下、15℃で重合して固形分20%、粘度14Pa・s(25℃)のポリイミド前駆体溶液1Iを調製した。続いてγ−ブチロラクトンとN―メチル―2―ピロリドンの重量比40:60の混合溶媒中に分散させたカーボンブラック(SPECIAL BLACK4;エボニックデグサ社製)をカーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の16.7重量%になるように調合し、よく攪拌混合してベルト用塗工液1Iを調製した。
その後は実施例1−1と同様にして、シームレスベルト1Iを得た。このときシームレスベルト1Iの厚さは58μmであり、γ−ブチロラクトンの量は3ppmであり、N―メチル―2―ピロリドンの量は166ppmであった。
実施例1−1のシームレスベルト1Aの作成において、320℃での加熱処理60分を340℃での加熱処理30分に変えた以外は実施例1−1と同様にして、シーレスベルト1Jを得た。このときシームレスベルト1Jの厚さは50μm、γ−ブチロラクトンの量は3ppmであった。
実施例1−1においてディスペンサーの塗布量を変化させてシームレスベルト1Aの厚さを変え、320℃での加熱処理60分を300℃での加熱処理10分に変えた以外は実施例1−1と同様にして、シーレスベルト1Kを得た。このときシームレスベルト1Kの厚さは157μm、γ−ブチロラクトンの量は5778ppmであった。
比較例1−1において溶剤のN―メチル―2―ピロリドンをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に変更した以外は比較例1と同様にして、シームレスベルト1Lを得た。このときシームレスベルト1Lの厚さは53μmであり、γ−ブチロラクトンの量は2ppmであり、N,N−ジメチルホルムアミドの量は187ppmであった。
比較例1−1において溶剤のN―メチル―2―ピロリドンをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)に変更した以外は比較例1−1と同様にして、シームレスベルト1Mを得た。このときシームレスベルト1Mの厚さは55μmであり、γ−ブチロラクトンの量は3ppmであり、N,N−ジメチルアセトアミドの量は222ppmであった。
上記各実施例および比較例の中間転写ベルト1A〜1Lを図3の画像形成装置に搭載した。そしてそのまま25℃50%RH(MM環境)下で24時間静置した後、シアン、マゼンタの2色ブルーベタの通紙を行った。その後、通紙環境を10℃15%RH(LL環境)に変更して24時間静置した後、シアン、マゼンタの2色ブルーベタの1000枚通紙を行い、25℃50%RH環境下での画像濃度と10℃15%RH環境下での画像濃度を1枚ずつ目視による比較判定をする画像安定性試験を行った。◎は、濃度低下サンプルが1枚も無い場合を示す。○は、濃度低下サンプルが1〜5枚有った場合を示す。△は、濃度低下サンプルが5〜10枚有った場合を示す。11枚以上濃度低下が確認された場合は×とした。
また、ベルトの耐久性を見るために、上記試験とは別に10℃15%RH、25℃50%RHのそれぞれの環境で40万枚の連続通紙耐久試験を行った。なお、試験の途中でベルトが破断したものはそこで評価を中止した。
次に、中間転写ベルトの材料としてポリアミドイミド樹脂を用いた場合の実施例について説明する。なお、ベルト内のγ−ブチロラクトン(以下GBLと略することがある)もしくは他溶剤の量は、上記実施例1と同様の方法により測定及び算出した。
「ベルト用塗工液2Aの調製」
無水トリメリット酸と4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートをモル比1.0:1.0でγ−ブチロラクトン中で窒素雰囲気下、室温から150℃まで昇温し、5時間反応させて固形分15%、粘度19Pa・s(25℃)のポリアミドイミド前駆体溶液2Aを調製した。続いて、γ−ブチロラクトン中に分散させたカーボンブラック(MA100;三菱化学社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の22重量%になるように調合し、よく攪拌混合してベルト用塗工液2Aを調製した。
次に、外径375mm、長さ340mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金属製円筒を型として用い、この円筒型を50rpm(回/分)で回転させながら、塗工液Aを円筒外面に均一に流延するようにディスペンサーにて塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転数を100rpmに上げたまま、乾燥機に金型を入れた後、金型内部中央にハロゲンヒーターを設置して110℃まで徐々に昇温して60分加熱した。その後、さらに昇温して200℃で20分加熱し、続いて260℃まで段階的に昇温して60分加熱処理(焼成)してアミドイミド転化を行い、徐冷した後に脱型を行い、シームレスベルト2Aを得た。このときシームレスベルト2Aの厚さは53μm、γ−ブチロラクトンの量は88ppmであった。
実施例2−1においてディスペンサーの塗布量を変化させてシームレスベルト2Aの厚さを変える以外は同様にしてシームレスベルト2Bを得た。このときシームレスベルト2Bの厚さは113μm、γ−ブチロラクトンの量は390ppmであった。
実施例2−1においてディスペンサーの塗布量を変化させてシームレスベルト2Aの厚さを変える以外は同様にしてシームレスベルト2Cを得た。このときシームレスベルト2Cの厚さは35μm、γ−ブチロラクトンの量は9ppmであった。
実施例2−1においてディスペンサーの塗布量を変化させてシームレスベルト2Aの厚さを変える以外は同様にしてシームレスベルト2Dを得た。このときシームレスベルト2Dの厚さは133μm、γ−ブチロラクトンの量は667ppmであった。
実施例2のシームレスベルト2Bの作成において、260℃での加熱処理60分を240℃での加熱処理30分に変えた以外は実施例2−1と同様にして、シーレスベルト2Eを得た。このときシームレスベルト2Eの厚さは117μmであり、γ−ブチロラクトンの量は4873ppmであった。
実施例1のベルト塗工液2Aを使い、以下の手順でシームレスベルト2Fを作製した。
「シームレスベルト2Fの作製」
内径375mm、長さ340mmの内面を鏡面仕上げし、離型剤処理を施した金属製円筒を支持体(型)として用い、この円筒型を50rpm(回/分)で回転させながら、上記ベルト塗工液Aを円筒内面に均一に流延するように流して塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜が万遍なく広がった時点で回転数を100rpmに上げ、金型の外面から熱風が発生する循環乾燥機に投入して、110℃まで徐々に昇温して60分加熱した。
その後、さらに昇温して200℃で20分加熱し、回転を停止、徐冷して取り出し、これを金型の外面から加熱する高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に投入し、段階的に260℃まで昇温して60分加熱(焼成)した。
その後は加熱を停止し、常温まで徐冷してから型を取り出し、形成された塗膜を円筒内面から離型し、シームレスベルト2Fを得た。このときシームレスベルト2Fの厚さは61μmであり、γ−ブチロラクトンの量は1517ppmであった。
本実施例2−6は、シームレスベルトの製造方法として、円筒の支持体の外面にベルト塗工液を塗布した後、該円筒支持体の外面から加熱を行っているのに対し、上記実施例2−1乃至実施例2−5は、円筒支持体の内側から加熱を行っている点で異なる。
実施例2−1において、重合時の溶媒をγ−ブチロラクトン100%から、γ−ブチロラクトンとN―メチル―2―ピロリドンの重量比50:50の混合溶媒に変更した以外は実施例2−1と同様にして、シームレスベルト2Gを得た。このときシームレスベルト2Gの厚さは61μmであり、γ−ブチロラクトンの量は4ppmであり、N―メチル―2―ピロリドンの量は1867ppmであった。
比較例2−1において、γ−ブチロラクトンとN―メチル―2―ピロリドンの重量比50:50の混合溶媒をγ−ブチロラクトンとN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の重量比50:50に変更した以外は実施例2−1と同様にして、シームレスベルト2Hを得た。このときシームレスベルト2Hの厚さは59μmであり、γ−ブチロラクトンの量は2ppmであり、N,N−ジメチルホルムアミドの量は130ppmであった。
比較例2−1において、γ−ブチロラクトンとN―メチル―2―ピロリドンの重量比50:50の混合溶媒をγ−ブチロラクトンとN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)の重量比50:50に変更した以外は実施例2−1と同様にして、シームレスベルト2Iを得た。このときシームレスベルト2Iの厚さは60μm、γ−ブチロラクトンの量は3ppm、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)の量は662ppmであった。
実施例2−5において、ディスペンサーの塗布量を変化させてシームレスベルト2Aの厚さを変える以外は同様にしてシームレスベルト2Jを得た。このときシームレスベルト2Jの厚さは153μmであり、γ−ブチロラクトンの量は5824ppmであった。
実施例2−1において、260℃での加熱処理60分を300℃での加熱処理60分に変えた以外は実施例2−1と同様にして、シーレスベルト2Kを得た。このときシームレスベルト2Kの厚さは50μmであり、γ−ブチロラクトンの量は3ppmであった。
実施例2−1において、溶媒をγ−ブチロラクトン100%からN―メチル―2―ピロリドン100%に変更した以外は実施例2−1と同様にしてポリアミドイミド前駆体溶液2Lを調製した。続いて、N―メチル―2―ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(MA77;三菱化学社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の23重量%になるように調合し、よく攪拌混合してベルト用塗工液2Lを調製した。その後は実施例1と同様にしてシームレスベルト2Lを得た。このときシームレスベルト2Lの厚さは66μmであり、N―メチル―2―ピロリドンの量は3792ppmであった。
上記各実施例、比較例の中間転写ベルト2A〜2Lを、上記第3の実施形態の画像形成装置に搭載した。そしてそのまま25℃50%RH(MM環境)下で24時間静置した後、シアン、マゼンタの2色ブルーベタの通紙を行った。その後、通紙環境を10℃15%RH(LL環境)に変更して24時間静置した後、シアン、マゼンタの2色ブルーベタの1000枚通紙を行い、25℃50%RH環境下での画像濃度と10℃15%RH環境下での画像濃度を1枚ずつ目視による比較判定をする画像安定性試験を行った。◎は濃度低下サンプルが1枚も無かった場合である。○は濃度低下サンプルが1〜5枚有った場合である。△は濃度低下サンプルが5〜10枚有った場合である。11枚以上濃度低下が確認された場合は×とした。
また、ベルトの耐久性を見るために、上記試験とは別に10℃15%RH、及び25℃50%RHのそれぞれの環境で10万枚の連続通紙耐久試験を行った。なお、試験の途中でベルトが破断したものはそこで評価を中止した。
11 ポリイミド樹脂からなる層
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
16 レジストローラ
20C 現像装置(シアン)
20Y 現像装置(イエロー)
20M 現像装置(マゼンダ)
20BK 現像装置(ブラック)
21C 像担持体(シアン)
21Y 像担持体(イエロー)
21M 像担持体(マゼンダ)
21BK 像担持体(ブラック)
22 中間転写ベルト
25 ベルトクリーニング部材
27 潤滑剤塗布装置
30 画像形成装置
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
P 転写紙
70 除電ローラ
80 アースローラ
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
204 電位センサー
205 画像濃度センサー
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231Y Y現像機
231K Bk現像機
231C C現像機
231M M現像機
270 定着装置
271、272 定着ローラ
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
502 トナーシール部材
503 帯電チャージャ
504 ベルトクリーニングブレード
505 潤滑剤塗布ブラシ
506 潤滑剤
507 1次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションローラ
510 2次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバッグ電流検知ローラ
513 トナー画像
514 光学センサ
600 2次転写ユニット
601 転写紙ガイド板
605 2次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
801 1次転写電源
802 2次転写電源
Claims (7)
- 像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、該中間転写ベルト上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段とを備えた画像形成装置に装備される中間転写ベルトであって、
前記中間転写ベルトは、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂であって、
前記ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂は、残留溶媒として、5ppm以上5000ppm以下のγーブチロラクトンのみを含有することを特徴とする中間転写ベルト。 - 前記中間転写ベルトの平均厚さは、40μm以上120μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ベルト。
- 前記中間転写ベルトは、カーボンブラックを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の中間転写ベルト。
- 円筒形の金型の外面に、ポリイミド前駆体および有機溶媒として少なくともγ−ブチロラクトンを含有する塗工溶液を塗工して前記ポリイミド前駆体を含有する塗工膜を形成する工程と、
該塗工膜を、前記円筒形の金型の内側から加熱することにより前記ポリイミド前駆体をポリイミド樹脂に転化し、かつ、該ポリイミド樹脂中に有機溶媒として前記γ−ブチロラクトンのみを5ppm以上5000ppm以下残留させる工程と、
前記ポリイミド樹脂を前記円筒形の金型から脱型する工程と、
を含むことを特徴とする中間転写ベルトの製造方法。 - 円筒形の金型の外面に、ポリアミドイミド前駆体および有機溶媒として少なくともγ−ブチロラクトンを含有する塗工溶液を塗工してポリアミドイミド前駆体を含有する塗工膜を形成する工程と、
該塗工膜を、前記円筒形の金型の内側から加熱することにより前記ポリアミドイミド前駆体をポリアミドイミド樹脂に転化し、かつ、該ポリアミドイミド樹脂中に有機溶媒として前記γ−ブチロラクトンのみを5ppm以上5000ppm以下残留させる工程と、
前記ポリアミドイミド樹脂を前記円筒形の金型から脱型する工程と、
を含むことを特徴とする中間転写ベルトの製造方法。 - 像担持体と、
該像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像する現像手段と、
該現像手段により現像されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、
該中間転写ベルト上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写手段と、を備えてなり、
前記中間転写ベルトが請求項1から3のいずれか1項記載の中間転写ベルトであることを特徴とする画像形成装置。 - 前記画像形成装置がフルカラー画像形成装置であって、各色の現像手段を有する複数の像担持体を直列に配置してなることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
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