JP2020201297A - 定着ベルト、定着装置、及び、画像形成装置 - Google Patents

定着ベルト、定着装置、及び、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】定着ベルトの表面の平滑性が高く、定着部での画像ムラを長期にわたって抑制することができる、定着ベルト、定着装置、及び、画像形成装置、を提供する。【解決手段】定着ベルトは、定着ベルトであり、ポリイミドを含むポリイミド層を有し、前記ポリイミド層は、沸点が230℃以上、かつ、溶解度パラメータが24.5(J/cm3)1/2以上30.7(J/cm3)1/2以下、かつ、非プロトン性の溶媒を含有し、前記ポリイミド層において、前記溶媒の含有量が0.1ppm以上1000ppm以下であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、定着ベルト、定着装置、及び、画像形成装置に関する。
従来から、定着ベルト等の無端状の定着部材と加圧ローラ等の押圧部材との間にニップ部を形成し、ニップ部を通る記録材に熱と圧力を加えて、記録材上に未定着のトナー画像を定着させる接触加熱方式の定着装置を備えた、複写機やプリンタ等の画像形成装置が知られている。
例えば、特許文献1には、回転可能な無端状の定着部材(定着ベルト)、定着部材の内周側に配置されるニップ形成部材、及び記録材(用紙)を定着部材側へ向けて押圧する押圧部材(加圧ローラ)を有する定着装置を備えた画像形成装置が記載されている。そして、ニップ形成部材と定着部材との間(低摩擦シート)に潤滑剤を塗布している。このような定着装置を用いることにより、摺動トルクを低減することができるとされている。
画像形成装置の画像品質を保つために、定着ベルトには平滑性が必要である。また、定着ベルトにうねりが発生して平滑性が不足した場合、定着後の画像品質が低下する場合がある。特に近年、高画質へのニーズが高まっており、定着ベルトにも平滑性が高いことが求められている。
また、近年、高画質と同時に画像形成装置の高速化へのニーズが高まっている。装置の高速化に伴い、定着ベルトの耐久性を向上させるために、基材であるポリイミド層の膜厚として100μm〜130μm等の厚膜の定着ベルトを用いる場合がある。そして、厚膜の定着ベルトを用いる場合、平滑性が不足することによる画像品質への影響が顕著に出る傾向にある。
従って、本発明は、定着ベルトの表面の平滑性が高く、定着部での画像ムラを長期にわたって抑制することができる、定着ベルト、定着装置、及び、画像形成装置、を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために本発明の定着ベルトは、ポリイミドを含むポリイミド層を有し、ポリイミド層は、沸点が230℃以上、かつ、溶解度パラメータが24.5(J/cm1/2以上30.7(J/cm1/2以下、かつ、非プロトン性の溶媒を含有し、ポリイミド層において、溶媒の含有量が0.1ppm以上1000ppm以下であることを特徴とする。
本発明の定着ベルトは、ポリイミドを含むポリイミド層を有している。また、ポリイミド層は、沸点が230℃以上、かつ、溶解度パラメータが24.5(J/cm1/2以上30.7(J/cm1/2以下、かつ、非プロトン性の溶媒を含有し、ポリイミド層において、溶媒の含有量が0.1ppm以上1000ppm以下である。これにより、定着ベルトの表面の平滑性が高く、定着部での画像ムラを長期にわたって抑制することができる。
本発明の一実施形態にかかる定着ベルトを備える定着装置の一例(第1実施形態)を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる定着ベルトを備える定着装置の一例(第2実施形態)を模式的に示す断面図である。 図2における加熱ローラ121を拡大して示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる定着ベルトを備える定着装置の一例(第3実施形態)を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の一例を示す断面図である。
[定着ベルト]
本発明の一実施形態にかかる「定着ベルト」について、図1、図2、図3、図4を参照して説明する。本実施形態にかかる定着ベルト101は、電子写真方式を利用した画像形成装置や定着装置に適用することができ、例えば、後述する定着装置100(図1)100A(図2)、100B(図3)、画像形成装置500(図4)に用いることができる。
本実施形態の定着ベルト101は、ポリイミドを含むポリイミド層からなる単層のものである。また、ポリイミド層は、沸点が230℃以上、かつ、溶解度パラメータ(SP値)が24.5(J/cm1/2以上30.7(J/cm1/2以下、かつ、非プロトン性の溶媒を含有する、また、ポリイミド層において、溶媒の含有量は0.1ppm以上1000ppm以下である。なお、本明細書における沸点とは、1気圧(101325Pa)での沸点を示すものとする。
ポリイミド層に含まれる溶媒は、溶解度パラメータが24.5(J/cm1/2以上30.7(J/cm1/2以下、かつ、非プロトン性という性質を有する。また、一般的に、ポリイミドの溶解度パラメータは20(J/cm1/2〜35(J/cm1/2程度である。このため、当該溶媒とポリイミドとの親和性が高く、溶媒がポリイミド分子間の緩衝材的な役割を果たすことにより、定着ベルトのうねりや、定着ベルト101を製造するときの表面の膜厚ムラや気泡の発生を抑制し、定着ベルト表面の平滑性を向上させる。また、ポリイミド層に含まれる溶媒は、画像形成装置における画像定着時の温度(通常、150℃〜200℃)以上の「沸点が230℃以上」という性質を有する。このため、画像形成装置における画像定着時もポリイミド層に含まれる溶媒が揮発することなくポリイミド層に留まり続けて、ポリイミド分子間の緩衝材的役割を果たし、長期にわたって安定した定着性能を維持することができる。また、溶媒の沸点としては、製造工程において溶媒を蒸発させることを考慮して、300℃以下程度のものを好適に用いることができる。また、ポリイミド層内の溶媒の含有量が0.1ppm以上1000ppm以下であることにより、定着ベルト101の機械的強度への影響を少なくすることができる。
また、ポリイミド層に含まれる溶媒は、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、エチレンカーボネート、ホルミルモルホリン、ジエチルスルホン、エチルメチルスルホン、メチルプロピルスルホン、エチルイソプロピルスルホン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、スルホランからなる群から選択されるいずれか1種または2種以上の組み合わせであることが好ましい。これらの溶媒を用いることで、ポリイミド層に含まれる溶媒を、沸点が230℃以上、かつ、溶解度パラメータが24.5(J/cm1/2以上30.7(J/cm1/2以下、かつ、非プロトン性とすることができる。
また、定着ベルト101は、導電性粒子を含んでいてもよい。導電性粒子としては、特に限定されるものではなく、例えば、金属酸化物、カーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などを用いることができる。定着ベルト101が導電性粒子を含むことにより、定着ベルト101に帯電性が付与され、定着ベルト101の帯電が抑制されて、記録材(用紙)と定着ベルト101とが静電吸着することを抑制して、安定して記録材を排出することができる。
金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、金属酸化物としては、分散性を良くするために、上記の金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。また、カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。また、イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられる。また、導電性高分子材料としてはポリアニリンなどが挙げられる。また、導電性粒子は1種のみを用いてもよいし、必要に応じて、複数種の導電性粒子を併用してもよい。
また、定着ベルト101は、所望の性状に応じて、例えば、分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの他の添加剤を含んでいてもよい。
また、定着ベルト101のポリイミド層の平均厚さは、60μm以上140μm以下であることが好ましい。定着ベルト101のポリイミド層の平均厚さが60μm以上140μm以下であることにより、定着ベルトとしての強度を確保し、かつ、十分な伝熱性を備えることができる。また、例えば、後述する定着ベルト101Aのように、ポリイミド層と、弾性層と、離型層と、を有する3層構造の定着ベルトの場合、定着ベルト全体の厚さは400μm〜500μm程度とすることができる。なお、定着ベルト101のポリイミド層の平均厚さとは、定着ベルト101内の任意の10点を測定した値の平均値である。厚さの測定には、指針式の膜厚計や渦電流式の膜厚計などの一般汎用品が使用でき、例えば、アンリツ社のエレクトリックマイクロメーターを使用することができる。
また、定着ベルト101は、例えば、記録材の搬送方向に従って回転可能であり、無端状とすることができる。
ポリイミド層を構成するポリイミドは特に限定されず、芳香族系のポリイミドを好適に用いることができる。芳香族系のポリイミドは、例えば、芳香族多価カルボン酸無水物又はその誘導体と芳香族ジアミンとの反応によって、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を経由して得られる。芳香族系のポリイミドは、その剛直な主鎖構造により溶媒等に対して不溶であり、また不融の性質を有する。そのため、まず、芳香族多価カルボン酸無水物と芳香族ジアミンとの反応により、有機溶媒に可溶なポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を合成する。このポリアミック酸の段階で様々な方法で成形加工が行われ、成形加工したポリアミック酸を加熱もしくは化学的な方法で脱水反応させて環化(イミド化)し、ポリイミドとされる。は、加熱によるイミド化は、ポリアミック酸を、例えば、200℃〜350℃に加熱処理することによってポリイミドに転化する方法であり、ポリイミド(ポリイミド樹脂)を得る簡便かつ実用的な方法である。本実施形態の定着ベルト101を構成するポリイミドの前駆体となるポリアミック酸は、定着ベルト101のポリイミド層に含まれる上記の溶媒を重合反応における溶媒として用いて、既知の方法で製造することができる。
以下、本実施形態の定着ベルト101を製造する方法の一例について説明する。
まず、円筒形の定着ベルトの金型(支持体)の外面に、ポリイミド前駆体、および、前述した溶媒を含有する塗工溶液を塗工して、ポリイミド前駆体を含有する塗工膜を形成する。次に、形成された塗工膜を、円筒形の金型を加熱することにより、ポリイミド前駆体をポリイミド樹脂に転化し、さらに、溶媒を蒸発させる。このとき、ポリイミド中の溶媒が0.1ppm以上1000ppm以下となるようにする。最後に、ポリイミド樹脂を円筒形の金型から脱型する。脱型したポリイミド樹脂が定着ベルト101となり、以上により、定着ベルト101が得られる。
次に、定着ベルト101を製造する上記の工程の一例を詳述する。
定着ベルト101の円筒形の金型として金属製の金型を用いることができる。この金型をゆっくりと回転させながら、ポリイミド前駆体を含有する塗工液を、ノズル、ディスペンサーなどの液供給装置を用いて、円筒形の金属金型の外面全体に均一になるように塗布して、流延(塗工膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げて、所定速度に達したら一定速度に維持して、所望の時間、回転を継続する。そして、金型を回転させつつ徐々に昇温させて、80℃〜150℃の温度で塗膜の中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。
自己支持性のある膜が形成されたところで、段階的にさらに昇温し、最終的に200℃〜350℃程度で高温加熱処理(焼成)する。これにより、ポリイミド前駆体のイミド化(転化)を行う。このとき、ポリイミド中の溶媒が0.1ppm以上1000ppm以下の範囲になるように制御するため、金属金型の内側から加熱することがより望ましい。このような加熱手段を適用することができれば、どのような加熱器を使用してもよい。具体的には、加熱器として、例えば、ハロゲンヒータ、IHヒータなどが挙げられる。
塗工液を外面塗工し、かつ、金型の内側から加熱するという方法を用いることにより、より効率良く溶媒を上記の範囲に制御することが可能である。金型の加熱の方法としては、円筒形の金型の外面から加熱する方法と、内側から加熱する方法に大別されるが、目的に応じて適宜選択することができる。本発明の定着ベルトを得るためには、円筒形の金型の外面にポリイミド前駆体を含有する塗工液を塗工し、金型の内側から加熱することが効果的である。
定着ベルトの製造方法としては、以上の方法に限られず、目的に応じて他の方法を適宜選択することができる。上記のように、ポリイミド前駆体溶液(ポリアミック酸溶液)に、必要に応じて、導電性粒子や分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの他の添加剤を分散した塗工液を用いてもよい。
また、支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、円筒状の金属金型などが挙げられ、金型の外面もしくは内面にポリイミド前駆体溶液を塗布する。この中でも、定着ベルト内の溶媒が0.1ppm以上1000ppm以下の範囲に制御しやすいことから、金型の外面に塗工する方法が好ましい。
製造した定着ベルトに含まれる溶媒は、定着ベルトの任意の場所から切り出した試料を、熱抽出ガスクロマトグラフ質量分析法(熱抽出GC/MS法)を用いて分析することができる。GC−MS装置としては市販のものを使用することができ、例えば島津製作所(株)製のGCMS−QP2010を用いて測定することができる。
本実施形態の定着ベルトは、ポリイミドを含むポリイミド層を有している。また、ポリイミド層は、沸点が230℃以上、かつ、溶解度パラメータが24.5(J/cm1/2以上30.7(J/cm1/2以下、かつ、非プロトン性の溶媒を含有し、ポリイミド層において、前記溶媒の含有量が0.1ppm以上1000ppm以下である。これにより、定着ベルトの表面の平滑性が高く、初期のみならず、定着部での画像ムラを長期にわたって抑制することができ、高い画像品質を提供することができる。
本実施形態においては、定着ベルト101がポリイミド層の単層からなるものであったが、本発明の定着ベルトの層構成はこれに限定されるものではなく、定着ベルトが複数層により構成されていてもよい。また、定着ベルトが複数層から構成されている場合、複数層のポリイミド層が用いられていてもよいし、ポリイミド層を基材として、ポリイミド以外の材料を含む層が用いられていてもよい。ポリイミド以外の材料を含む層としては、シリコーンゴム等の弾性材料を含む弾性層や、トナーが付着しないように離型性を有するPFA(四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等により形成された離型層が挙げられる。
例えば、後述する第2実施形態の定着装置100Aは、3層構造の定着ベルト101Aを有している。具体的には、定着ベルト101Aは、ポリイミド層と、ポリイミド層の外側に形成されたシリコーンゴム層などの弾性層と、シリコーンゴム層の外側に形成されたPFA層と、を有する。また、例えば、後述する第3実施形態の定着装置100Bは、2層構造の定着ベルト101Bを有している。具体的には、定着ベルト101Bは、ポリイミド層と、ポリイミド層の外側に形成されたシリコーンゴム層などの弾性層とを有する。
[定着装置]
(第1実施形態)
次に、本発明の第1実施形態にかかる「定着装置」について、図1を参照して説明する。本実施形態の定着装置100は、電子写真方式を利用した画像形成装置に用いることができる摺動式定着装置であり、前述した定着ベルト101を備える。また、定着装置100は、例えば、後述する画像形成装置500(図5)に用いることができる。なお、定着ベルト101の構成は、[定着ベルト]の項目に記載の定着ベルトであれば上記のものに限定されず、他の構成の定着ベルトを用いてもよい。
本実施形態にかかる定着装置100は、定着ベルト101と、定着ベルト101の内周側に配置されるニップ形成部材106と、定着ベルト101に向けて記録材を押圧する押圧部材である加圧ローラ103と、を備える。また、定着装置100は、ニップ形成部材106と定着ベルト101との間に潤滑剤が塗布されるものである。
定着装置100は、図1に示すように、定着部材としての定着ベルト101と、これに対向配置されて回転可能な加圧部材としての加圧ローラ103とを有している。また、定着ベルト101を非ニップ部で加熱する加熱手段としての複数の定着熱源である第一ハロゲンヒータ102Aと第二ハロゲンヒータ102Bの2本のハロゲンヒータ102により、定着ベルト101が内周側から輻射熱で直接加熱される構成となっている。また、定着ベルト101は、図1の矢印C方向に回転可能な無端状である。また、図1において、矢印Bは記録材(用紙)の搬送方向、矢印Cは定着ベルト101の回転方向、矢印Dは加圧ローラの回転方向を示している。
また、図1に示す定着装置100の定着ベルト101の内側には、定着ベルト101を介して加圧ローラ103との間でニップ部を形成するニップ形成部材106があり、定着ベルト101内面と、熱移動補助部材110を介して間接的に摺動するようになっている。そして、記録材である用紙上のトナー像はニップ部Nにおいて、加熱・加圧により定着されることとなる。
ここで、図1に示す例では、熱移動補助部材110の定着ベルト101に対向する部分の形状が平坦状であるが、凹形状やその他の形状であっても良い。凹形状のニップ部の場合、記録材先端の排出方向が加圧ローラ寄りになり、分離性が向上するのでジャムの発生が抑制される。また、熱移動補助部材110は、ニップ形成部材106の定着ベルト101に対向する対向部分として機能する。
定着ベルト101の内側には、加圧ローラ103に対向して配置されたニップ形成部材106と、ニップ形成部材106の両端部に一体に設けられた、定着ベルト101をニップ部で加熱する端部熱源としての2つの端部ヒータ(左端部ヒータ111a、右端部ヒータ111b)を有している。また、ニップ形成部材106と左端部ヒータ111a、右端部ヒータ111bの定着ベルト101の内面に対向する面を覆う熱移動補助部材110と、ニップ形成部材106を加圧ローラ103からの加圧力に対抗して保持するステー107も有している。また、2つの端部ヒータである、長手方向の各端部に設けられた左端部ヒータ111aと右端部ヒータ111bはそれぞれ単独に備えられ、連続した形状にはなっていない。
ニップ形成部材106、熱移動補助部材110、及びステー107は、いずれも定着ベルト101の幅方向(以下、「長手方向」という)に延びる長さを有している。熱移動補助部材110は、左端部ヒータ111a、右端部ヒータ111bの熱が局所的に留まることを防止し、積極的に長手方向に熱を移動させて長手方向の温度不均一性を低減するために設けられている。このため、熱移動補助部材110は短時間で熱移動が可能な材料であることが望ましく、熱伝導率の高い銅やアルミニウム、銀といった部材であることが望ましい。コスト、入手性、熱伝導率特性、加工性を総合的に考慮すると、銅を用いることが最も望ましい。本実施形態の定着装置100では、熱移動補助部材110の定着ベルト101の内面に対向する面は、定着ベルト101に直接接触する面であり、ニップ形成面となる。
ステー107はニップ部N側と反対側が起立した起立部を有した形状となっており、起立部を隔て、定着熱源としての第一ハロゲンヒータ102Aと第二ハロゲンヒータ102Bが配置されている。そして、定着ベルト101は、これら2つの第一ハロゲンヒータ102Aと第二ハロゲンヒータ102Bにより内面側から輻射熱で直接加熱される。また、第一ハロゲンヒータ102Aと第二ハロゲンヒータ102Bを、定着ベルト101の内周側に配置することで、定着ベルト101を備えた定着装置100をコンパクトに構成することが容易になる。
定着ベルト101の内部にはニップ形成部材106とニップ部Nを支持するための支持部材としての、上述したステー107を設け、加圧ローラ103により圧力を受けるニップ形成部材106の撓みを防止し、軸方向で均一なニップ幅を得られるようにしている。ステー107は、両端部で保持部材としてのフランジに保持固定され位置決めされている。また、2本のハロゲンヒータ102とステー107の間に反射部材109を備え、各ハロゲンヒータ102からの輻射熱などによりステー107が加熱されてしまうことによる無駄なエネルギー消費を抑制している。ここで、反射部材109を備える代わりに、ステー107表面に断熱もしくは鏡面処理を行っても同様の効果を得ることが可能となる。
加圧ローラ103は、芯金105の外周部に弾性ゴム層104があり、離型性を得るために表面に離型層(PFA層またはPTFE層)が設けられている。この加圧ローラ103は、画像形成装置に設けられたモータ等の駆動源からギヤを介して駆動力が伝達され回転する。また、加圧ローラ103は、スプリングなどにより定着ベルト101側に押し付けられており、弾性ゴム層104が押し潰されて変形することにより、所定のニップ幅を有している。
また、加圧ローラ103は中空のローラであっても良く、加圧ローラ103にハロゲンヒータ等の加熱源を有していても良い。弾性ゴム層104はソリッドゴムでも良いが、加圧ローラ103内部にヒータが無い場合は、スポンジゴムを用いても良い。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト101の熱が奪われにくくなるので、より望ましい。
図1に示す例では、加圧ローラ103が駆動源により回転し、ニップ部Nで定着ベルト101に駆動力が伝達されることにより、定着ベルト101が連れ回り回転する。定着ベルト101はニップ部Nで挟み込まれて回転し、ニップ部N以外では両端部でフランジにガイドされ、走行する。上述したような構成により、安価で、ウォームアップが速い定着装置100を実現することが可能となる。
本実施形態の定着装置100は、定着ベルト101を備える。これにより、定着ベルト101の表面の平滑性が高く、初期のみならず、定着装置100(定着部)での画像ムラを長期にわたって抑制することができ、高い画像品質を提供することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態にかかる「定着装置」について、図2、図3を参照して説明する。本実施形態の定着装置100Aは、電子写真方式を利用した画像形成装置に用いることができる定着装置であり、前述した定着ベルト101Aを備える。また、定着装置100Aは、例えば、後述する画像形成装置500(図5)に用いることができる。
本実施形態にかかる定着装置100Aは、定着ベルト101Aと、定着ベルト101Aの内周側に配置されるニップ形成部材である定着ローラ106Aと、定着ベルト101Aに向けて記録材を押圧する押圧部材である加圧ローラ103Aと、加熱ローラ121と、赤外線ヒータ122と、加熱調整部材123と、テンションローラ124と、入口ガイド125と、分離板126と、分離爪127と、上側出口ガイド128と、下側出口ガイド129と、温度センサ130と、を備える。なお、図2において、矢印Eは、記録材(用紙)の搬送方向を示している。
加熱ローラ121は、定着ローラ106Aを加熱するためのローラである。加熱ローラ121は、例えばアルミニウム製や鉄製の円筒形状の中空ローラで、定着ローラ106Aと軸同士が互いに平行になるように間隔を空けて対向配置されている。加熱ローラ121内部には、複数の赤外線ヒータ122と、加熱調整部材123と、が配置されている。即ち、加熱ローラ121は、内部に加熱手段と加熱調整部材123を収容する筒状の回転体である加熱部材として機能する。
図3に加熱ローラ121の拡大図を示す。図3に示したように、加熱ローラ121の内部には、赤外線ヒータ122として赤外線ヒータ122a、122b、122c、122d、122eの5本が配置されている。また、加熱ローラ121の内部には、加熱調整部材123が配置されている。
赤外線ヒータ122は、周知の加熱手段であり、円筒状かつ加熱ローラ121の長手方向に延在するように形成されている。赤外線ヒータ122は、両端部または一方の端部に配線等が接続され電力が供給される。本実施形態における一例としては、赤外線ヒータ122の定格電力は1000W、直径は8mm(φ8)である。また、本例の場合、通紙中は最大5本同時点灯となり、総定格電力は、1000W×5=5000Wとなる。
5本の赤外線ヒータ122a、122b、122c、122d、122eは、加熱ローラ121の内周(所定の円周)に沿って、隣接するヒータ間の間隔が断面で見て等間隔となるように配置されている。本実施形態における一例としては、ヒータ間の間隔は3.75mmとなっている。なお、本実施形態では赤外線ヒータ122の数は5本で説明するがこれに限定されず、2本以上であって、加熱ローラ121内に配置できる数であればよい。
なお、本実施形態では、加熱手段として赤外線ヒータ122で説明するが、ハロゲンヒータ等他の加熱手段であってもよい。また、加熱手段は、円筒状に限らず、断面が矩形状(つまり板状等)であってもよい。要するに、加熱ローラ121の長手方向に沿って延在している形状であればよい。
加熱調整部材123は、ガラスで構成され、円筒状かつ加熱ローラ121の長手方向に延在するように形成されている。つまり、加熱調整部材123は中空の管となっている。管の内部は、例えば空気や窒素等の気体が封入されている。本実施形態における一例としては、加熱調整部材123の直径は6mm(φ6)である。また、加熱調整部材123は、加熱ローラ121内部の中心部に配置されている。即ち、加熱調整部材123と赤外線ヒータ122a、122b、122c、122d、122eとは、それぞれ等距離かつ最短距離に配置されている。但し、加熱調整部材123は成形の都合上、突起が形成されることがあるので、各ヒータに対する中心からは、ややオフセットして配置されているが、前記した条件(等距離かつ最短距離)に極力合致するように配置されている。
この加熱調整部材123は、自身は発熱せずに(非加熱部材)、周囲に配置された赤外線ヒータ122から発生する熱を吸収する。そして、加熱調整部材123が吸収した熱は、両端部からの熱伝導により冷却(排熱)される。したがって、例えば、赤外線ヒータ122aは、隣接する赤外線ヒータ122b、122eから直接加熱されることはあるものの、加熱調整部材123を挟んで対向する赤外線ヒータ122c、122dからの直接加熱は減少させることができる。そのため、仕様温度(耐熱温度)を超えてしまう可能性を小さくすることができる。つまり、複数の赤外線ヒータ122間に加熱調整部材123を配置して、加熱調整部材123が赤外線ヒータ122の熱を吸収して一の赤外線ヒータ122から他の赤外線ヒータ122へ過度の加熱を防止するように調整する機能を有している。
なお、複数の赤外線ヒータ122と加熱調整部材123とは、必ずしも一直線上に並ぶ必要はなく、図3のように、一の赤外線ヒータ122からの熱を加熱調整部材123の少なくとも一部が遮ることができる配置でよい。
また、加熱ローラ121内の温度は、赤外線ヒータ122の出力や本数によって異なるものの、例えば900℃程度まで上昇する場合がある。したがって、そのような場合は、900℃で溶けたりせず熱膨張も少ない石英ガラスで加熱調整部材123を形成することが好ましい。但し、加熱調整部材123は、加熱ローラ121内の温度に応じて当該温度で溶けたりせず熱膨張も少ない他のガラス材料や、他の耐熱材料で形成してもよい。他のガラス材料としては、例えばネオセラム(登録商標)やパイレックス(登録商標)等が挙げられる。また、ガラスに限らず熱伝導率が小さく加熱調整部材123の急激な温度上昇を抑えることができる材料であれば、セラミック等の他の耐熱材料で形成してもよい。
本実施形態のように密集した5本の赤外線ヒータ122a、122b、122c、122d、122eにそれぞれの輻射熱が加わると、赤外線ヒータ122を構成する石英ガラス管の耐熱温度を超えてしまい黒化してしまう。なお、赤外線ヒータ122a、122b、122c、122d、122eは、φ8のガラス管ヒータ×5本、各ヒータのガラス管の表面間隔が3〜4mm程度である。また、石英ガラス管の耐熱温度は900℃(使用温度上限850℃)である。また、ハロゲンヒータの場合はハロゲンサイクル外での使用となる。つまり、上記例の場合5000W(付近)以上でヒータが黒化してしまうので、加熱調整部材123が必要となる。なお、本実施形態の加熱調整部材123(直径6mm(φ6))の場合、5本の各赤外線ヒータのガラス管表面との間隔は約4〜5mm(4mm以上5mm以下)となる。
また、図3では、加熱調整部材123の直径は赤外線ヒータ122の直径よりも小さくなっているが、それに限らず、同じであってもよいし、加熱調整部材123の直径の方が大きくなっていてもよい。また、加熱調整部材123の断面形状は、円状に限らず多角形状であってもよい。例えば、本実施形態では、赤外線ヒータ122を5本配置しているので、五角形状とし、各辺(あるいは頂点)と赤外線ヒータ122が対向するように配置してもよい。
本実施例では、図3に示したように、赤外線ヒータ122c、122dと加熱調整部材123とは結束部材によって一体化され、一体化部材131となっている。
赤外線ヒータ122c、122dは、実際に加熱機能を奏する部分である加熱部と、加熱部の両端に連なる封止部と、を有している。また、加熱調整部材123は、加熱ローラ121に対応して加熱調整機能を奏する部分である調整部と、調整部の両端に連なる封止部と、を有している。
結束部材は、赤外線ヒータ122c、122dと加熱調整部材123とを上述した間隔を空けて配置できるように、それぞれの封止部が挿入、固定される孔が設けられている。そして、結束部材は、赤外線ヒータ122c、122dと加熱調整部材123とを、長手方向両端部において一体化させている。なお、結束部材は、直接加熱されないものの高温になる近傍に配置されるので、その温度に耐える部材で形成されている。
なお、赤外線ヒータ122a、122bと加熱調整部材123とを一体化する等、他の赤外線ヒータ122と加熱調整部材123とを一体化してもよい。要するに1以上の赤外線ヒータ122と加熱調整部材123とが一体化していればよい。また、結束部材の形状も図3に示した形状に限らず、赤外線ヒータ122と加熱調整部材123との配置関係を維持できるものであれば他の形状でもよい。また、長手方向両端部において一体化するに限らず、一方の端部のみを一体化してもよい。
定着ローラ106Aは、例えばアルミニウムや鉄等で形成された芯金の周囲にシリコーンゴム等の弾性層が設けられた円筒形状のローラである。なお、弾性層には、ウォームアップ時間短縮のため、定着ベルト101Aの熱を吸収しにくいように、発泡シリコーンゴムを用いてもよい。また、定着ローラ106Aは、筒状の回転体でありモータやギヤ等からなる駆動機構により回転駆動される。
テンションローラ124は、定着ベルト101Aに適切なテンションを付与するための円筒形状のローラである。このテンションは、例えば定着ベルト101Aの内周面と加熱ローラ121および定着ローラ106Aの外周面とに滑りが発生しない摩擦関係となるように設定されている。
定着ベルト101Aは、加熱ローラ121および定着ローラ106Aの間に掛け渡された無端状のベルト部材である。定着ベルト101Aは、断面構造としては、前述したように、ポリイミド層と、ポリイミド層の外側に形成されたシリコーンゴム層などの弾性層と、シリコーンゴム層の外側に形成されたPFA層と、を有する3層構造となっている。定着ベルト101Aは、加熱ローラ121および定着ローラ106Aに一定のテンションで掛け渡されている(張架されている)。定着ベルト101Aは、上述したように、テンションローラ124によって、定着ベルト101Aの内周面と加熱ローラ121および定着ローラ106Aの外周面とに滑りが発生しない摩擦関係となるように設定されている。よって、定着ローラ106Aが回転駆動されると、定着ベルト101Aが回転走行し加熱ローラ121が従動ローラとして回転される。なお、定着ベルト101Aの構成は、[定着ベルト]の項目に記載の定着ベルトであれば上記のものに限定されず、他の構成の定着ベルトを用いてもよい。
加圧ローラ103Aは、定着ローラ106Aに加圧するローラである。加圧ローラ103Aは、例えばアルミニウムや鉄などの金属製の芯金の周囲にシリコーンゴムなどの弾性層が設けられた円筒形状のローラである。加圧ローラ103Aは回転自在に配置され、定着ローラ106Aに定着ベルト101Aを介して自身の外周面が押し付けられることで、定着ローラ106Aを加圧している。この定着ローラ106Aと加圧ローラ103Aとが定着ベルト101Aを介して圧接される箇所をニップ部Nと言う。加圧ローラ103Aは押圧部材、定着ローラ106Aはニップ形成部材及び定着部材として機能する。
入口ガイド125は、未定着トナー像が形成された記録材としての用紙をニップ部Nに案内するための板状の部材である。
分離板126は、定着ベルト101Aへの用紙の巻き付きを防止(用紙を定着ベルト101Aから分離)するために設けられている。分離爪127は、加圧ローラ103Aへの用紙の巻き付きを防止(用紙を加圧ローラ103Aから分離)するために設けられている。
上側出口ガイド128は、ニップ部Nでトナー像が定着された用紙を排紙トレイ等に案内するための板状の部材である。下側出口ガイド129は、ニップ部Nでトナー像が定着された用紙を排紙トレイ等に案内するための板状の部材である。上側出口ガイド128と下側出口ガイド129とは、それらの間に用紙を通すことで排紙トレイ等に案内する。
温度センサ130は、定着ベルト101Aの外表面近傍に設けられている。温度センサ130は、定着ベルト101Aの表面温度を検知する。検知された温度は赤外線ヒータ122の制御に利用される。
上述した構成の定着装置100Aでは、温度センサ130により定着ベルト101Aの表面温度を検知し、その検知された温度に基づいて定着ベルトの表面温度が所定の設定温度になるように赤外線ヒータ122が制御される。この制御は例えばON/OFF制御を用いて、全ての赤外線ヒータ122を同時に点灯または消灯させることで行う。
そして、赤外線ヒータ122により加熱された加熱ローラ121により定着ベルト101Aが加熱される。加熱された定着ベルト101Aは、定着ローラ106Aの回転駆動によって回転走行する。
未定着トナー像が形成された用紙は定着装置100Aに搬入されて、入口ガイド125からニップ部Nを通過し、ニップ部Nで未定着トナー像が溶融定着され、上側出口ガイド128と下側出口ガイド129から排紙トレイ等に送り出される。
本実施形態の定着装置100Aは、定着ベルト101Aを備える。これにより、定着ベルト101Aの表面の平滑性が高く、初期のみならず、定着装置100A(定着部)での画像ムラを長期にわたって抑制することができ、高い画像品質を提供することができる。
また、加熱調整部材123と複数の赤外線ヒータ122c、122dとが一体化部材131として一体化されている。このようにすることにより、一体化部材131の組み立ては、定着装置100Aの組み立てとは別途行うことができるので、加熱調整部材123と赤外線ヒータ122c、122dとの接触を抑えることができる。また、定着装置100Aの組立時には、一体化部材131は既に組み立てられた状態で組み付けることができるので、加熱調整部材123と赤外線ヒータ122c、122dとの接触を抑え、組立時における組み付け性が向上する。
また、加熱調整部材123と複数の赤外線ヒータ122c、122dとは結束部材によって両端部で一体化されているので、加熱機能や加熱調整機能に影響を与えることなく一体化することができる。
また、定着装置100Aの加熱ローラ121内に内周方向に沿って配置された赤外線ヒータ122の中心部にガラスにより形成された加熱調整部材123を配置している。このようにすることにより、加熱調整部材123によって、赤外線ヒータ122から発せられた熱を吸収することができ、対向する位置に配置されている他の赤外線ヒータ122からの直接の影響を小さくして、仕様温度を超えてしまう可能性を少なくすることができる。したがって、赤外線ヒータ122の熱による劣化を抑えることができる。よって寿命が短縮することを抑えることができる。
また、加熱調整部材123が、複数の赤外線ヒータ122a、122b、122c、122d、122eから等距離に配置されているので、各赤外線ヒータ122a、122b、122c、122d、122eから発する熱による加熱ローラ121内部の温度を均一にすることができる。
また、加熱調整部材123に熱伝導率の低い材料としてガラスを用いるにより、加熱調整部材の急激な温度上昇を抑えることができる。
また、加熱調整部材123に熱膨張率の非常に小さな石英ガラスを用いることにより、加熱調整部材123の熱膨張を抑えることができ、加熱ローラ121の直径が小さい等、隙間が小さい場所にも配置することができる。
また、定着ローラ106Aおよび定着ベルト101Aを加圧する回転体である加圧ローラ103Aを有し、定着ローラ106Aと加圧ローラ103Aとが定着ベルト101Aを介して圧接される箇所にニップ部Nを形成している。このようにすることにより、ベルト定着方式の定着装置を構成することができ、短いウォームアップタイムで未定着トナー像の溶融定着をすることができる。
なお、一体化部材131は、結束部材で一体化していたが、赤外線ヒータ等の加熱手段の管部分と加熱調整部材123とは同じ部材(ガラス等)である場合は一体成型としてもよい。その場合は、例えば図3に示した結束部材のような形状に限らず、柱状部等により加熱手段と加熱調整部材123とを間隔を空けて接続して一体化するような形状であってもよい。
なお、加熱調整部材123は、中空の管として説明したが、中実の棒状のものであってもよく、同様の加熱調整効果を奏することができる。
また、図3では、加熱調整部材123は1つであったが、複数であってもよい。例えば、複数本の加熱調整部材123が加熱ローラ121の中心部に配置されていてもよい。加熱ローラ121の断面中心に対して均等間隔となるように、且つ各加熱調整部材123同士も等間隔となるように隣接配置してもよい。これらの場合、結束部材も加熱調整部材123に合わせて孔の大きさや位置等を変更する。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態にかかる「定着装置」について、図4を参照して説明する。本実施形態の定着装置100Bは、電子写真方式を利用した画像形成装置に用いることができる定着装置であり、前述した定着ベルト101を備える。また、定着装置100Bは、例えば、後述する画像形成装置500(図5)に用いることができる。
ここで、本発明の特徴部である定着装置100Bについて説明する。
本実施形態にかかる定着装置100Bは、定着ベルト101Bと、定着ベルト101Bの内周側に配置されるニップ形成部材としての加圧パッド106Bと、定着ベルト101Bに向けて記録材を押圧する押圧部材である加圧ローラ103Bと、駆動ローラ141と、加熱ローラ142と、を備える。なお、図4において、矢印Hは、記録材(用紙)の搬送方向を示している。外周面にゴム等の高摩擦抵抗部材を有する駆動ローラ141は定着装置100Bの側板に回転自在に支持されており、モータによって用紙が搬送される方向と同方向(図4における矢印J方向)に定着ベルト101Bが走行するように駆動される。
アルミニウムまたは鉄製の中空ローラからなる加熱ローラ142は定着装置100Bの前記側板に回転自在に支持されており、定着ベルト101Bの走行に伴い従動回転する。加熱ローラ142の内部には、ハロゲンヒータ等のヒータからなる熱源142aが配設されている。定着ベルト101Bは、熱源142aの発熱により温度検出センサによって検出される温度が目的の温度に達するまで加熱された後、所定の温度に制御される。駆動ローラ141及び加熱ローラ142の下方には加圧ローラ103Bが配設されている。定着装置100Bの前記側板に回転自在に支持された加圧ローラ103Bは、定着ベルト101Bの走行に伴い従動回転すると共に付勢手段の付勢力によって用紙を加圧する。
定着ベルト101Bを介して加圧ローラ103Bと対向する位置には加圧パッド106Bが配設されている。定着ベルト101Bを介して加圧ローラ103Bに圧接してニップ部を形成する加圧パッド106Bは、SUS304製であり摺動面の表面粗さがRa0.2となるように形成されている。摺動面の表面処理としては、フッ素樹脂コート、フッ素を20%含有したニッケル複合メッキ、摺動シート取付等でも実証確認を行っている。
駆動ローラ141、加熱ローラ142、加圧パッド106Bに所定の張力で掛け渡される定着ベルト101Bは、前述したように、ポリイミド層と、ポリイミド層の外側に形成されたシリコーンゴム層などの弾性層とを有する、2層構造である。なお、定着ベルト101Bの構成は、[定着ベルト]の項目に記載の定着ベルトであれば上記のものに限定されず、他の構成の定着ベルトを用いてもよい。
また、定着ベルト101Bの内側であって、ニップ部を形成する加圧ローラ103Bと加圧パッド106Bとの圧接部のベルト走行方向上流側及び下流側の部位には、潤滑油143が配設されている。上記の部位とは、すなわち、定着ベルト101Bの内面が加圧パッド106Bと接触する部位であるニップ部Nの入口側Fとニップ部の出口側Gである。潤滑油143は、加圧パッド106Bの摺動面に対する定着ベルト101Bの摺動性を高めるための潤滑剤である。潤滑油143としてはシリコーンオイルやフッ化シリコーンオイル等の耐熱性オイルが適用可能であり、中でも境界潤滑性に優れるフッ素オイルが好適である。また、オイル循環経路の任意の箇所に、摩耗粉を回収可能なフィルタを配設してもよい。なお、定着ベルト101Bの用紙幅方向両端部には、定着ベルト101Bの内側から潤滑油143が漏出することを防止する壁部が設けられている。
また、加圧パッド106Bの下部にはニップ部とほぼ平行となるように穿設された複数の貫通穴106B1が設けられている。貫通穴106B1は、本実施形態において用紙の幅方向に20箇所形成されている。また加圧パッド106Bは、加圧ローラ103Bとの接触部であるニップ部の入口F1よりも出口G1が鉛直方向上方に位置するように、すなわち右側に傾斜した態様で配置されている。上述の構成より、定着ベルト101Bの内面と加圧パッド106Bの摺動面との間に供給された潤滑油143は、入口側Fから出口側Gへと移動した後に各貫通穴106B1を通って入口側Fに再び戻り、再度供給が可能となる。上述の構成中、各貫通穴106B1が環流手段及び潤滑剤環流経路として機能する。
本実施形態の定着装置100Bは、定着ベルト101Bを備える。これにより、定着ベルト101Bの表面の平滑性が高く、初期のみならず、定着装置100B(定着部)での画像ムラを長期にわたって抑制することができ、高い画像品質を提供することができる。
[画像形成装置]
次に、本発明の一実施形態にかかる「画像形成装置」について、図5を参照して説明する。本実施形態の画像形成装置500は、電子写真方式を用いたものであり、前述した定着ベルト101、定着装置100を備える。なお、本発明の画像形成装置は、定着ベルト101を備える定着装置を備えていればよく、定着装置100に替えて、例えば、定着装置として前述した定着装置100Aや定着装置100Bを備えていてもよい。
図5は、本発明の一実施形態にかかる画像形成装置500全体の一例を示す概略構成図である。本実施形態では、画像形成装置500としてタンデム型カラープリンタ用の作像ユニットを備えるものを示すが、本発明の画像形成装置はロータリー型カラープリンタでもよいし、モノクロプリンタでもよい。また、画像形成装置はプリンタに限定されるものではなく、電子写真方式を利用したプリンタ、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の各種画像形成装置とすることができる。
画像形成装置500は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体としての感光体ドラム20Y,20C,20M,20Bkを並設したタンデム構造が採用されている。画像形成装置500では、各感光体ドラム20Y,20C,20M,20Bkに形成されたトナー像からなる可視像が、各感光体ドラム20Y,20C,20M,20Bkに対峙しながら矢印A1方向に移動可能な無端ベルトからなる中間転写体である転写ベルト11に対して一次転写される。この一次転写行程の実行によってそれぞれの色の画像が重畳転写され、その後、シート状の記録材である用紙Pに対して二次転写行程を実行することで一括転写される。
各感光体ドラム20Y,20C,20M,20Bkの周囲には、各感光体ドラム20Y,20C,20M,20Bkの回転に従い画像形成処理するための装置が配置されている。ブラックの画像形成を行う感光体ドラム20Bkを代表として説明すると、感光体ドラム20Bkの回転方向に沿って画像形成処理を行う帯電装置30Bk、現像装置40Bk、一次転写ローラ12Bk、及びクリーニング装置50Bkが配置されている。帯電装置30Bkによる一様帯電後に行われる、書き込み光Lbを用いた光書き込みには、光書き込み装置8が用いられる。
転写ベルト11に対する重畳転写では、転写ベルト11が図中、A1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y,20C,20M,20Bkに形成されたトナー像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写される。このために、一次転写は、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y,20C,20M,20Bkに対向して配設された一次転写ローラ12Y,12C,12M,12Bkによる電圧印加によって、図中、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
各感光体ドラム20Y,20C,20M,20Bkは、図中、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。また、各感光体ドラム20Y,20C,20M,20Bkは、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の画像をそれぞれ形成するための画像ステーションに備えられている。
画像形成装置500は、色毎の画像形成処理を行う4つの画像ステーションと、各感光体ドラム20Y,20C,20M,20Bkの上方に対向して配設され、転写ベルト11及び一次転写ローラ12Y,12C,12M,12Bkを備えた転写ベルトユニット10を備えている。また、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11に従動し、連れ回りする二次転写ローラ5と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11をクリーニングするベルトクリーニング装置13も備えている。そして、上記4つの画像ステーションの下方に対向して配設された光書き込み装置8も備えている。
光書き込み装置8は、静電潜像を書き込む光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、折り返しミラーおよび偏光手段としての回転多面鏡などを装備している。この光書き込み装置8は、各感光体ドラム20Y,20C,20M,20Bkに対して色毎に対応した書き込み光Lbを出射して感光体ドラム20Y,20C,20M,20Bkに静電潜像を形成するよう構成されている。書き込み光Lbは、図5では、便宜上、ブラック画像の画像ステーションのみを対象として符号が付けてあるが、その他の画像ステーションも同様である。
この画像形成装置500には、転写ベルト11と二次転写ローラ5との間に向けて搬送される用紙Pを積載した給紙カセットとしての用紙給送装置61が設けられている。また、用紙給送装置61から搬送されてきた用紙Pを、画像ステーションによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、転写ベルト11と二次転写ローラ5との間の二次転写部に向けて繰り出すレジストローラ対4が設けられている。また、用紙Pの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知するセンサも設けられている。
また、画像形成装置500には、トナー像が転写された用紙P上にトナー像を定着させるための定着ユニットとしての接触加熱方式の定着装置100と、定着済みの用紙Pを画像形成装置500の本体外部に排出する排出ローラ7が備えられている。前述した実施形態に記載のように、定着装置100は定着ベルト101を備えている。また、画像形成装置500の本体上部には、排出ローラ7により画像形成装置500の本体外部に排出された用紙Pを積載する排紙トレイ17が備えられている。また、排紙トレイ17の下側の装置本体内には、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル9Y,9C,9M,9Bkが備えられている。
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11、一次転写ローラ12Y,12C,12M,12Bkの他に、転写ベルト11が掛け回されている駆動ローラ72及び従動ローラ73を有している。
従動ローラ73は、転写ベルト11に対する張力付勢手段としての機能も備えており、従動ローラ73には、バネなどを用いた付勢手段が設けられている。このような転写ベルトユニット10と、一次転写ローラ12Y,12C,12M,12Bkと、二次転写ローラ5と、ベルトクリーニング装置13とで転写装置71が構成されている。
用紙給送装置61は、画像形成装置500の本体下部に配設されており、最上位の用紙Pの上面に当接する給送ローラ3を有している。給送ローラ3が図中反時計回りに回転駆動されることにより、最上位の用紙Pをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
転写装置71に装備されているベルトクリーニング装置13は、転写ベルト11に対向、当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有している。そして、ベルトクリーニング装置13は、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。また、ベルトクリーニング装置13は、転写ベルト11から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための排出手段を有している。
本実施形態の画像形成装置500は、定着ベルト101を備える定着装置100を備える。これにより、定着ベルト101の表面の平滑性が高く、初期のみならず、定着部(定着装置)での画像ムラを長期にわたって抑制することができ、高い画像品質を提供することができる。
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
<定着ベルトの製造>
[実施例1]
まず、定着ベルトを製造した。
(定着ベルト用塗工液の調製)
材料として、マナック社製4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸(PEPA)と、ダイセル化学工業社製3,3’,4,4’‐ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)と、和歌山精化工業社製3,4’‐ジアミノジフェニルエーテル(3,4’‐DDE)をモル比0.5:0.5:1.0で混合し、溶媒としてプロピレンカーボネートを用いた。なお、プロピレンカーボネートの溶解度パラメータ(SP値)は、27.2(J/cm1/2である。以上の材料用いて、窒素雰囲気下、130℃で重合させて、固形分15%、粘度10Pa・s(25℃)のポリイミド前駆体溶液を調製した。続いて、上記溶媒(プロピレンカーボネート)中に分散させたカーボンブラック(Regal400R、キャボット社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の18重量%になるように調合し、よく撹拌混合してベルト用塗工液を調製した。
(定着ベルトの作製)
外径147mm、長さ(幅)340mmで、外面をブラスト処理により粗面化した、金属製円筒を定着ベルトの型として用いた。この円筒金型を50rpmで回転させながら、塗工液を円筒金型の外面に均一に流延するように、ディスペンサーを用いて塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転数を100rpmに上げたまま、乾燥機に金型を入れた後、金型内部中央にハロゲンヒーターを設置して110℃まで徐々に昇温して60分加熱した。その後、さらに昇温して200℃で20分加熱し、続いて320℃まで段階的に昇温して60分加熱処理(焼成)してイミド転化を行い、徐冷した後に脱型を行った。以上により、無端状の定着ベルトを得た。
[実施例2〜実施例6、比較例1〜比較例3]
実施例2〜実施例6、比較例1〜比較例3として、実施例1で溶媒として用いたプロピレンカーボネートを種々変更して、また、200℃での加熱時間を後述のように変更することによりポリイミド層における溶媒含有量を種々変更したこと以外は、実施例1と同様の手順で定着ベルトを作製して、定着ベルトの評価を行った。200℃での加熱時間は、実施例1では20分としたところ、実施例2では5分、実施例3では20分、実施例4では20分、実施例5では5分、実施例6では20分、比較例1では400分、比較例2では5分、比較例3では5分とした。比較例1においては、定着ベルト用塗工液の溶媒としてN‐メチル‐2‐ピロリドンを用いて、200℃での加熱時間を400分とすることにより、ポリイミド層におけるN‐メチル‐2‐ピロリドンの含有量を0ppmとした。また、実施例、比較例で使用した溶媒の物性(沸点、溶解度パラメータ(SP値、(J/cm1/2)、非プロトン性か否か)を表1に示した。
Figure 2020201297
<定着ベルトの評価>
次に、実施例及び比較例で作製した定着ベルトの平均厚さ(すなわち、本実施例、比較例においてはポリイミド層の平均厚さ)と、溶媒の含有量を測定した。また、定着ベルト表面の平滑性を評価した。また、定着ベルトを画像形成装置に用いて、画像品質の評価を行った。
定着ベルトの平均厚さは、以下の方法で算出した。まず、定着ベルトの幅方向における中心線上において、円周方向に45mm間隔で10点の厚さを測定した。厚さの測定には、アンリツ社のエレクトリックマイクロメーターを使用した。次に、10点の測定値の平均値を算出して、定着ベルトの平均厚さとした。
溶媒の含有量は、熱抽出GC/MS法にて測定した。GC−MS装置は、島津製作所製 GCMS−QP2010、データ解析ソフトは島津製作所製 GCMSsolution、熱抽出装置はフロンティア・ラボ製Py2020Dを使用した。熱抽出GC/MS法の詳細な条件は以下の通りである。
(1)熱抽出条件 :抽出温度×時間;370℃×15分、クライオトラップ;−190℃(NLiq)、試料量;0.4mg〜1.0mg
(2)カラム :Ultra ALLOY−5 L=30m ID=0.25mm Film=0.25μm
(3)カラム昇温 :60℃から300℃まで、30℃/minで昇温
(4)カラム流量 :1.0ml/min
(5)イオン化法 :EI法 (70ev)
(6)注入モード :Split(1:50)
(7)測定モード :選択イオン検出(Selected Ion Monitoring;SIM法)
また、定着ベルトの製造に用いた、プロピレンカーボネート等の溶媒をアセトン溶媒で希釈し、同条件(370℃×15分抽出)にて測定し、検量線を作成した。
また、平滑性は、定着ベルトの表面の算術平均うねり(Wa)により評価した。算術平均うねり(Wa)は、表面粗さ測定器SURFCOM 1400G(東京精密(株))を用いて測定した。算術平均うねり(Wa)が0.020以下の場合、定着ベルト表面の平滑性が高いと評価した。
また、画像品質は以下のように評価した。作製した定着ベルトを、電子写真方式の画像形成装置((株)リコー製、imagio Color 5100)の定着ベルトとして使用して、出力画像を目視により評価した。評価は、初期、および、10000k枚(10000×10枚)通紙した後に行った。通紙は、記録材としてA4サイズPPC普通紙「マイペーパー」(リコー製)に面積250mm×150mmのベタ画像を出力して行った。評価基準は、出力画像上に濃度ムラ、白抜けが視認されない場合を「○」、出力画像上に濃度ムラ・白抜けが少しでも視認される場合を「×」とした。
以上の平均厚さ、溶媒の含有量、定着ベルト表面の算術平均うねり(Wa)、画像ムラの評価結果について、表2に示した。
Figure 2020201297
<評価結果>
実施例1〜実施例6の定着ベルトにおいて、溶媒の含有量はいずれも0.1ppm以上1000ppm以下であり、平均厚さは60μm以上140μm以下であった。また、定着ベルトの算術平均うねり(Wa)は、実施例1〜実施例6においては、0.006〜0.012で、いずれも0.020以下となり、定着ベルト表面の平滑性が高いことが示された。一方、比較例1〜比較例3の定着ベルトの算術平均うねり(Wa)は、0.540〜1.380で、いずれも0.020より大きく、定着ベルト表面の平滑性が高くないことが示された。また、画像品質の評価において、実施例1〜実施例6の定着ベルトを用いた場合には、初期、および、10000k枚通紙後のいずれも、出力画像上に濃度ムラ、白抜けが視認されず、初期のみならず、長期に亘って高い画像品質が保たれることが示された。一方、比較例1〜比較例3においては、初期、および、10000k枚通紙後のいずれも、出力画像上に濃度ムラ・白抜けが視認された。
以上の評価結果から、本発明の例示的態様である実施例1〜実施例6の定着ベルトを用いることにより、定着部での画像ムラを長期にわたって抑制することができることが示された。
500 画像形成装置
100、100A、100B 定着装置
101、101A、101B 定着ベルト
103、103A、103B 加圧ローラ(押圧部材)
106 ニップ形成部材
106A 定着ローラ(ニップ形成部材)
106B 加圧パッド(ニップ形成部材)
特開2014−178370号公報

Claims (11)

  1. ポリイミドを含むポリイミド層を有し、
    前記ポリイミド層は、沸点が230℃以上、かつ、溶解度パラメータが24.5(J/cm1/2以上30.7(J/cm1/2以下、かつ、非プロトン性の溶媒を含有し、
    前記ポリイミド層において、前記溶媒の含有量が0.1ppm以上1000ppm以下であることを特徴とする定着ベルト。
  2. 前記溶媒が、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、エチレンカーボネート、ホルミルモルホリン、ジエチルスルホン、エチルメチルスルホン、メチルプロピルスルホン、エチルイソプロピルスルホン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、スルホランからなる群から選択されるいずれか1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の定着ベルト。
  3. 前記ポリイミド層の平均厚さが60μm以上140μm以下である請求項1または請求項2に記載の定着ベルト。
  4. 前記ポリイミド層が、さらに、導電性粒子を含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の定着ベルト。
  5. 前記導電性粒子が、金属酸化物、カーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料からなる群から選択されるいずれか1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項4に記載の定着ベルト。
  6. 前記金属酸化物が、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素からなる群から選択されるいずれか1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項5に記載の定着ベルト。
  7. 前記カーボンブラックが、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラックからなる群から選択されるいずれか1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項5に記載の定着ベルト。
  8. 前記イオン導電剤が、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウムからなる群から選択されるいずれか1種または2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項5に記載の定着ベルト。
  9. 前記導電性高分子材料が、ポリアニリンであることを特徴とする請求項5に記載の定着ベルト。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の定着ベルトと、前記定着ベルトの内周側に配置されるニップ形成部材と、前記定着ベルトに向けて記録材を押圧する押圧部材と、を備
    る、定着装置。
  11. 請求項10に記載の定着装置を備える画像形成装置。
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