JP2006091214A - 定着装置、ベルト管状体および画像形成装置 - Google Patents

定着装置、ベルト管状体および画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 紙しわの発生や、画像ずれ、画像汚れ等といった画像不良の発生を抑えて高品質な定着画像を形成する。
【解決手段】 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置において、ベルト部材を圧力部材によって回動部材に圧接させて記録材が通過するニップ部を形成するように構成し、ベルト部材の厚さが、幅方向において中央よりも両端部で厚く形成されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、定着装置等に関し、より詳しくは例えば電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられる定着装置等に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、例えばドラム状に形成された感光体(感光体ドラム)を一様に帯電し、この感光体ドラムを画像情報に基づいて制御された光で露光して感光体ドラム上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像をトナーによって可視像(トナー像)とし、このトナー像を感光体ドラム上から記録紙に転写した後、定着装置によってこのトナー像を記録紙に定着している。
かかる画像形成装置に用いられる定着装置は、円筒状の芯金の内部に加熱源を備え、その芯金に耐熱性弾性体層と、その外周面に離型層とが積層して形成された定着ロールと、この定着ロールに対して圧接配置され、芯金に耐熱性弾性体層と、その外周面に耐熱性樹脂被膜あるいは耐熱性ゴム被膜による離型層とが積層して形成された加圧ロールとで構成されている。そして、定着ロールと加圧ロールとの間に、未定着トナー像を担持した記録紙を通過させて、未定着トナー像に対して加熱と加圧とを行うことによって、記録紙にトナー像を定着している。このような定着装置は、ロールニップ方式と呼ばれて、一般に広く利用されている。
近年、画像形成装置における高生産性やカラー化の進展に伴い、定着装置においても高速化への対応が要求されている。その際、ロールニップ方式の定着装置では、トナーと記録紙に充分な熱量が供給できるように、ニップ幅を定着速度に比例して広く設定することが必要となる。ニップ幅を広くする方法として、定着ロールと加圧ロールとの間の荷重を大きくする方法や、弾性体層の厚さを厚くする方法、さらにはロール径を大きくする方法が考えられる。
しかし、荷重を大きくする方法や、弾性体層の厚さを厚くする方法では、ロールの撓みに起因するニップ幅の形状がロール軸に沿って不均一になることから、定着むらや紙しわが生じ易い等といった画像品質上の問題がある。また、ロール径を大きくする方法では、装置の大型化を招くとともに、ロールを室温から定着可能温度に上昇させるまでの時間(ウォームアップタイム)が長くなるという問題がある。
そこで、これらの問題を解消して、画像形成装置の高速化に対応した定着装置を実現するべく、本出願人は、表面が弾性変形する回転可能な定着ロールと、この定着ロールに接触したまま走行可能なエンドレスベルトと、このエンドレスベルトの内側に非回転状態で配置された圧力パッドとを具備し、圧力パッドによって、定着ロールとの接触面が形成されるようにエンドレスベルトを定着ロールに圧接させ、エンドレスベルトと定着ロールとの間にシートを通過させることができるようにベルトニップを設けるとともに、定着ロールの表面のうち、シートの出口側を局部的に弾性変形させるように構成した定着装置に関する技術を提案している(例えば、特許文献1参照)。
かかる特許文献1に記載した定着装置(「ベルトニップ方式」という。)では、従来のロールニップ方式の定着装置における加圧ロールに代え、圧力パッドを用いてエンドレスベルトを定着ロールに圧接させている。このような構成を採用することにより、定着ロールとエンドレスベルトとによって形成されるベルトニップの幅が従来の定着ロールと加圧ロールとのロールニップの幅よりも容易に大きくすることができるとともに、ニップ部において均一で高いニップ圧を付与することができるので、高速化への対応が可能となり、しかも装置の小型化を図ることも容易である。
さらには、定着ロールに圧接させるエンドレスベルトの熱容量は小さく、加えて圧力パッドが非回転状態で配置されていることから、定着ロールから伝わる熱が外部に発散され難い構成を実現している。そのため、定着ロールの回転が開始されても、定着ロールからエンドレスベルト側に奪われる熱量は少なく、トナーの溶融に際しての熱効率を高めることができるとともに、ベルトニップでの温度低下量も小さいことから、トナーの定着性の向上を図ることができるという利点も有している。
特許第3298354号公報(第4-7頁)
ところで、上記したベルトニップ方式の定着装置においては、定着ロールが中央部から両端部にかけて外径を大きくした所謂フレア形状で形成されているか、または、エンドレスベルトを定着ロールに圧接させる圧力パッドの押圧力が、軸方向において中央部よりも両端部側で大きくなるように設定されている。このように構成することで、ニップ部を通過する記録紙の速度は中央部よりも両端部にかけて速くなるので、ニップ部に挟持される用紙に対して、中央部から両端部に向かう幅方向の引張力を作用させることができる。この幅方向の引張力によって、用紙における紙しわの発生、さらには画像ずれの発生を抑制している。このような紙しわの抑制は、特に定着装置の高速化や両面印刷機構の普及に伴い、重要なファクターとなっている。
しかしながら、フレア形状の定着ロールは、両端部側の外径が中央部よりも大きいことから、成型時に金型から抜き出す際に、両端部領域の表面に引き抜き方向の傷(引き抜き傷)が生じ易い。特に、ウォームアップタイムの短縮化や熱効率を高める等のために、定着ロールの耐熱性弾性体層の薄層化を図る場合には、両端部領域表面の引き抜き傷は回避し難い。このような定着ロール表面の傷は、画像汚れの発生を招き、画像品質の低下を引き起こす場合があった。
一方、圧力パッドに関しても、圧力パッドの押圧力分布を、紙しわ等の発生を抑制するように最適な状態に設定することは容易ではない。そのため、定着装置の製造時に圧力パッドの設定に際して複雑な調整が必要となって、生産効率の低下、製造コストの上昇を招く原因となっていた。
そこで本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、紙しわの発生や、画像ずれ、画像汚れ等といった画像不良の発生を抑えて高品質な定着画像を形成することにある。
さらに他の目的は、定着装置の生産効率を向上し、製造コストの低減化を図ることにある。
かかる目的のもと、本発明の定着装置は、記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、回動部材と、回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、ベルト部材の内側に配置され、ベルト部材を回動部材に圧接させて回動部材とベルト部材との間に記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、ベルト部材は、厚さが、幅方向において中央よりも両端部で厚く形成されたことを特徴としている。
ここで、ベルト部材は、幅方向中央での厚さをt、両端部での厚さをtとして、1.2t≦t≦2.0tを満たすように形成されたことを特徴とすることができる。また、ベルト部材は、耐熱性樹脂からなる基材と、基材の少なくとも回動部材側の面に形成されたフッ素樹脂からなる表面層とから構成することができる。さらに、ベルト部材は、回動部材側の面の動摩擦係数が0.06以下であることを特徴とすることもできる。また、ベルト部材は、弾性率が3000〜11000MPaに形成されたことを特徴とすることもできる。
また、回動部材は、外径が軸方向において略一定に形成された定着ロールであることを特徴とすることもできる。さらに、圧力部材は、長手方向に亘って均一の押圧力で回動部材に圧接する構成とすることもできる。
加えて、回動部材を加熱する加熱部材、またはベルト部材を加熱する加熱部材をさらに備えた構成とすることもできる。
さらに、本発明をベルト管状体として捉え、本発明のベルト管状体は、記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置に用いられるベルト管状体であって、耐熱性樹脂からなる基材と、基材の少なくとも外周面に形成されたフッ素樹脂からなる表面層とを有し、厚さが、幅方向において中央よりも両端部で厚く形成されたことを特徴としている。
ここで、ベルト管状体の厚さは、幅方向中央での厚さをt、両端部での厚さをtとして、1.2t≦t≦2.0tを満たすことを特徴とすることができる。また、基材は、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂のうちの、1または複数からなることを特徴とすることもできる。
さらに、本発明を画像形成装置として捉え、本発明の画像形成装置は、トナー像を形成するトナー像形成手段と、トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、記録材上に転写されたトナー像を記録材に定着する定着手段とを含み、定着手段は、回動部材と、回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、ベルト部材の内側に配置され、ベルト部材を回動部材に圧接させて回動部材とベルト部材との間に記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、ベルト部材は、厚さが、幅方向中央での厚さをt、両端部での厚さをtとして、1.2t≦t≦2.0tを満たすように形成されたことを特徴としている。
本発明の効果として、定着装置を備えた画像形成装置において、紙しわや画像不良の発生を抑えて高品質な定着画像を形成することが可能となった。また、定着装置の生産効率を向上し、製造コストの低減化を図ることが可能となった。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1K、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
本実施の形態において、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム11の周囲に、これらの感光体ドラム11を帯電する帯電器12、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17、などの電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は106〜1014Ωcmとなるように形成されており、その厚さは例えば0.1mm程度に構成されている。中間転写ベルト15は、各種ロールによって図1に示すB方向に所定の速度で循環駆動(回動)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回動させる駆動ロール31、各感光体ドラム11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能するテンションロール33、二次転写部20に設けられるバックアップロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニングバックアップロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が10〜10Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に圧接配置され、さらに一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール22と、バックアップロール25とによって構成される。バックアップロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRとのブレンドゴムのチューブ、内部がEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10〜1010Ω/□となるように形成され、硬度は例えば70°(アスカーC)に設定されている。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極をなし、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が当接配置されている。
一方、二次転写ロール22は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が10〜10Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙P上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
さらに、本実施の形態の画像形成装置では、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙トレイ50、この用紙トレイ50に集積された用紙Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール51、ピックアップロール51により繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Pを二次転写部20へと送り込む搬送シュート53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Pを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Pを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。図1に示すような画像形成装置では、図示しない画像読取装置(IIT)や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置(IPS)により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。IPSでは、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体ドラム11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが当接する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、用紙搬送系では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせてピックアップロール51が回転し、用紙トレイ50から所定サイズの用紙Pが供給される。ピックアップロール51により供給された用紙Pは、搬送ロール52により搬送され、搬送シュート53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Pは一旦停止され、トナー像が担持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Pの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22がバックアップロール25に押圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Pは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22とバックアップロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に担持された未定着トナー像は、二次転写ロール22とバックアップロール25とによって押圧される二次転写部20において、用紙P上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Pは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Pを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱および圧力で定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙載置部に搬送される。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
次に、本実施の形態の画像形成装置に用いられる定着装置60について説明する。図2は本実施の形態の定着装置60の構成を示す側断面図である。定着装置60は、回動部材の一例としての定着ロール61、ベルト部材の一例としてのエンドレスベルト62、およびエンドレスベルト62を介して定着ロール61から押圧される圧力部材の一例としての圧力パッド64により主要部が構成されている。
定着ロール61は、金属製のコア(円筒状芯金)611の周囲に耐熱性弾性体層612、および離型層613を積層して構成された円筒状ロールであり、回転自在に支持されて所定の表面速度(例えば、194mm/sec)で回転する。本実施の形態の定着ロール61は、外径が軸方向で一様な所謂ストレートロールで形成されている。
定着ロール61の内部には、発熱源として、例えば定格600Wのハロゲンヒータ66が配設されている。一方、定着ロール61の表面には温度センサ69が接触して配置されている。画像形成装置の制御部40は、この温度センサ69による温度計測値に基づいてハロゲンヒータ66の点灯を制御し、定着ロール61の表面温度が所定の設定温度(例えば、175℃)を維持するように調整している。
エンドレスベルト62は、継ぎ目がない無端状のベルトであり、エンドレスベルト62の内部に配置された圧力パッド64とベルトガイド部材63、さらにはエンドレスベルト62の両端部に配置されたエッジガイド部材80(後段の図3参照)によって回動自在に支持されている。そして、ニップ部Nにおいて定着ロール61に対して圧接されるように配置され、定着ロール61に従動して回動(例えば、194mm/sec)する。
ここで、図3はエンドレスベルト62が支持される構成を説明する構成図であり、用紙Pの搬送方向下流側から見た定着装置60の一方の端部領域を示している。
図3に示したように、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65の両端部にエッジガイド部材80が配設されている。エッジガイド部材80は、ニップ部Nとその近傍に対応する部分に切り欠きが形成された円筒状、すなわち断面がC形状のベルト走行ガイド部801、このベルト走行ガイド部801の外側に設けられ、エンドレスベルト62の外径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802、さらにフランジ部802の外側に設けられ、エッジガイド部材80を定着装置60本体に位置決めして固定するための保持部803で構成されている。
そして、エンドレスベルト62の両端部では、ニップ部Nとその近傍を除いて、両端部の内周面がベルト走行ガイド部801の外周面に支持され、エンドレスベルト62はベルト走行ガイド部801の外周面に沿って回動する。したがって、ベルト走行ガイド部801は、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように摩擦係数の小さな材質で形成され、さらには、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成されている。
また、フランジ部802は、ホルダ65の両端部において対向するように配置された両フランジ部802の内側面が、エンドレスベルト62の幅と略一致する間隔を持つように配置されている。そして、エンドレスベルト62が回動する際には、エンドレスベルト62の端部がフランジ部802の内側面に当接することによって、エンドレスベルト62の幅方向への移動(ベルトウォーク)が制限されている。このように、エンドレスベルト62は、エッジガイド部材80によって片寄りが規制されるように支持されている。
また、エンドレスベルト62の両端部を除く長手方向の領域では、エンドレスベルト62は圧力パッド64とベルトガイド部材63とに支持されている(図2も参照)。そして、エンドレスベルト62の両端部を除く領域では、エンドレスベルト62の内周面が圧力パッド64とベルトガイド部材63とに摺擦しながら回動する。
ベルトガイド部材63は、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65に、長手方向に沿って取り付けられている。また、ベルトガイド部材63には、エンドレスベルト62の回転方向に向けて複数のリブが形成され、エンドレスベルト62内周面との接触面積を極力少なくするように構成されている。さらに、ベルトガイド部材63は、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように摩擦係数が低い材質であって、かつ、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率が低い材質で形成されている。具体的にはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やポリフェニレンサルファイド(PPS)等の耐熱性樹脂が用いられる。
次に、圧力パッド64は、エンドレスベルト62の内側において金属製のホルダ65に支持されている。そして、エンドレスベルト62を介して定着ロール61に押圧される状態で配置され、定着ロール61との間でニップ部Nを形成している。圧力パッド64は、ニップ部Nの入口側(上流側)に、幅の広いニップ部Nを確保するためのプレニップ部材64aを配置している。また、ニップ部Nの出口側(下流側)には、定着ロール61表面を局所的に押圧することで、トナー像表面を平滑化して画像光沢を付与するとともに、定着ロール61表面に歪み(凹み)を与えて用紙Pにダウンカールを形成するための剥離ニップ部材64bを配置している。
さらに、圧力パッド64には、エンドレスベルト62の内周面と圧力パッド64との摺動抵抗を小さくするために、エンドレスベルト62と接する面に摺擦部材の一例としての低摩擦シート68が設けられている。
低摩擦シート68は、ニップ部Nの上流側端部が低摩擦シート固定部材68aによってホルダ65に固定されている。そして、エンドレスベルト62の回動方向に沿って、圧力パッド64とエンドレスベルト62内周面との間に挟持された状態で、ニップ部Nの全域に亘って配設されている。なお、低摩擦シート68のニップ部N下流側は、低摩擦シート68に歪みが生じないように、固定されず自由端(フリー)の状態に設定されている。そして、低摩擦シート68は、ニップ部Nにおいて圧力パッド64と定着ロール61との間に押圧力が印加されている状態の下で、エンドレスベルト62内周面と圧力パッド64との摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減している。
このような構成において、定着ロール61は、図示しない駆動モータに連結されて矢印C方向に回転し、この回転に従動してエンドレスベルト62も定着ロール61と同じ方向に回動する。図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって導かれて、ニップ部Nに搬送される。そして、用紙Pがニップ部Nを通過する際に、用紙P上のトナー像はニップ部Nに作用する圧力と、定着ロール61から供給される熱とによって定着される。本実施の形態の定着装置60では、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹形状のプレニップ部材64aによりニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
なお、ニップ部Nの下流側近傍には、剥離ニップ部材64bによって定着ロール61から剥離された用紙Pを完全に定着ロール61から分離し、画像形成装置の排出部へ向かう排紙通路に誘導するための剥離補助部材70が配設されている。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ロール61と近接する状態でバッフルホルダ72によって保持されている。
次に、定着装置60を構成する各部材について詳細に述べる。まず定着ロール61では、コア611は、鉄、アルミニウム(例えば、A−5052材)、SUS等の熱伝導率の高い金属で形成された、例えば外径φ30mm、肉厚1.8mm、長さ360mmの円筒体で構成されている。
耐熱性弾性体層612は、耐熱性の高い弾性体で構成され、特に、ゴム硬度が15〜45°(JIS−A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体を用いるのが好ましい。具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。本実施の形態の定着装置60では、ゴム硬度が35°(JIS−A)のシリコーンHTVゴムを600μmの厚さでコア611に被覆している。
離型層613には、例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂等の耐熱性樹脂が用いられるが、トナーに対する離型性や耐摩耗性の観点から、フッ素樹脂が適している。フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等が使用できる。離型層613の厚さは、5〜30μmが好ましい。本実施の形態の定着装置60では、厚さ30μmのPFAを被覆している。
エンドレスベルト62は、出力画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じないように、原形が円筒形状に形成された継ぎ目がない無端ベルトであり、ベース層と、このベース層の定着ロール61側の面(外周面)または両面に被覆された離型層(表面層)とから構成されている。ベース層は、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂等から選ばれた1または複数の混合体が耐熱性、機械特性等の観点から好適に用いられる。
ベース層の表面に被覆される離型層(表面層)としては、フッ素樹脂が用いられる。ここで、フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。特に耐熱性、機械特性等の観点から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が好適に用いられる。その厚さは5〜100μm、好ましくは10〜30μm程度に設定される。
エンドレスベルト62の内部に配置された圧力パッド64は、上述したように、プレニップ部材64aと剥離ニップ部材64bとで構成され、バネや弾性体によって定着ロール61を、例えば35kgfの荷重で押圧するようにホルダ65に支持されている。プレニップ部材64aには、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性体や板バネ等を用いることができ、定着ロール61側の面は、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹状曲面で形成されている。本実施の形態の定着装置60では、幅10mm、厚さ5mm、長さ320mmのシリコーンゴムを用いている。
剥離ニップ部材64bは、PPS、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂、または鉄、アルミニウム、SUS等の金属で形成されている。剥離ニップ部材64bの形状としては、ニップ部Nにおける外面形状が一定の曲率半径を有する凸状曲面に形成されている。
そして、本実施の形態の定着装置60では、エンドレスベルト62は、圧力パッド64により定着ロール61に約40°の巻き付き角度でラップされ、約8mm幅のニップ部Nを形成している。
さらに、ホルダ65には、定着装置60の長手方向に亘って潤滑剤塗布部材67が配設されている。潤滑剤塗布部材67は、エンドレスベルト62内周面に対して接触するように配置され、潤滑剤を適量供給する。これにより、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との摺動部に潤滑剤を供給し、低摩擦シート68を介したエンドレスベルト62と圧力パッド64との摺動抵抗をさらに低減して、エンドレスベルト62の円滑な回動を図っている。また、エンドレスベルト62の内周面や低摩擦シート68表面の摩耗を抑制する効果も有している。
なお、潤滑剤としては、定着温度環境下での長期使用に対する耐久性を有し、かつ、エンドレスベルト62内周面との濡れ性を維持できるものが適している。例えば、シリコーンオイルやフッ素オイル等の液体状のオイルや、固形物質と液体とを混合させた合成潤滑油グリース等、さらにはこれらを組み合わせたものを用いることができる。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、有機金属塩添加ジメチルシリコーンオイル、ヒンダードアミン添加ジメチルシリコーンオイル、有機金属塩およびヒンダードアミン添加ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、有機金属塩添加アミノ変性シリコーンオイル、ヒンダードアミン添加アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、シラノール変性シリコーンオイル、スルホン酸変性シリコーンオイル等を用いることもできる。また、フッ素オイルとしては、パーフルオロポリエーテルオイル、変性パーフルオロポリエーテルオイルを用いることもできる。本実施の形態の定着装置60では、粘度400csのメチルフェニルシリコーンオイル(KF54:信越化学(株)製)を用いている。
続いて、エンドレスベルト62の幅方向における厚さについて説明する。
図4は、エンドレスベルト62の幅方向における厚さを説明する断面図である。なお、図4では、理解の容易のため、厚さを誇張して表現している。図4に示すように、本実施の形態のエンドレスベルト62では、エンドレスベルト62の厚さが、幅方向において中央部よりも両端部で厚く形成されている。具体的には、幅方向における中心位置を対称軸として、両端部にかけて徐々に厚さが厚くなるように形成され、幅方向の中心での厚さをtとした場合に、両端部の厚さtは、1.2t≦t≦2.0tの範囲となるように形成されている。
このように形成することによって、定着ロール61において外径が軸方向で一様な所謂ストレートロールで構成しても、また、圧力パッド64による定着ロール61に対する押圧力を長手方向に亘って均一に設定しても、ニップ部Nにおいては、定着ロール61へのエンドレスベルト62からの押圧力が、中央部よりも両端部で大きく設定することができる。そのため、ニップ部Nでの用紙Pの速度は両端部ほど速くなり、ニップ部Nに挟持された用紙Pには、中央部から両端部方向へ向かう幅方向の引張力が働くこととなる。その結果、用紙Pにおける紙しわの発生や、画像ずれ等の画像不良の発生を抑制することが可能となる。
ところで、エンドレスベルト62の厚さを厚くする方向は、図4(a)に示すように、外側に向けて厚くしてもよく、また、図4(b)に示すように、内側に向けて厚くしてもよい。すなわち、いずれの方向に厚さを厚くしても、定着ロール61へのエンドレスベルト62からの押圧力は、中央部よりも両端部で大きく設定することができる。
なお、エンドレスベルト62の外径または内径は、軸方向に亘って略同一に形成することが、エンドレスベルト62の回動を安定させるために好ましい。
ここで、エンドレスベルト62が定着ロール61を押圧する場合の、ニップ部Nにおける定着ロール61の表層の状態を説明する。図5は、ニップ部Nにおいてエンドレスベルト62が定着ロール61を押圧する状態を説明する断面構成図である。図5に示したように、定着ロール61は圧力パッド64によって押圧されることで、定着ロール61の耐熱性弾性体層612はエンドレスベルト62により圧接される(なお、図5では、定着ロール61の離型層613を省略している。)。エンドレスベルト62の厚さは、両端部にかけて徐々に厚く形成されているので、定着ロール61の耐熱性弾性体層612では、軸方向の両端部に向かうほど撓み量が大きくなる。そのため、定着ロール61の耐熱性弾性体層612は、中央部から両端部にかけて凹状(エンドレスベルト62側を下に見た場合)に湾曲した状態となる。
ニップ部Nにおいては、用紙Pは定着ロール61の表面形状に倣って移動するため、用紙Pは定着ロール61からエンドレスベルト62に向けて凹状に湾曲した形状で移動することとなる。そのため、用紙Pは両端部ほど相対的に移動速度が大きくなる。したがって、エンドレスベルト62の厚さを、幅方向における中心位置を対称軸として、両端部にかけて徐々に厚さが厚くなるように形成することで、ニップ部Nを通過する際の用紙Pに対し、両端部ほど相対的に移動速度を速くすることが可能となる。そのため、ニップ部Nに挟持された用紙Pには、中央部から両端部に向かって幅方向に充分な引張力を作用させることができるので、用紙Pにおける紙しわの発生を抑制することが可能となる。それに加えて、用紙P上に画像ずれが生じることも抑制できる。
また、本実施の形態のエンドレスベルト62を用いることで、ニップ部Nを通過する際の用紙Pにおいて、中央部が相対的に遅く、両端部に向かうほど相対的に速いという速度分布が生じるが、その際に、用紙Pでの速度変化は、幅方向に連続的である必要がある。すなわち、用紙Pの幅方向において、用紙Pの一部に伸びが生じたり、移動速度差が大きくなって、速度が不連続の部分が生じるとなると、その部分で用紙Pが歪み、紙しわの発生原因となる。そこで、用紙Pの速度が幅方向に向けて連続的に変化するように、用紙Pとエンドレスベルト62外周面との間では、微視的な滑り(スリップ)が生じることが必要となる。このように、用紙Pがエンドレスベルト62外周面に対して微視的にスリップを生じれば、用紙Pの一部に伸びが生じたり、移動速度差が大きくなっても、速度が幅方向に向けて連続的に変化するように、用紙Pにおいて自律的な調整が行なわれる。
そのため、用紙Pがエンドレスベルト62に対してスリップを生じるように、エンドレスベルト62外周面の動摩擦係数は、所定値以下に設定することが必要である。本発明者の知見によれば、エンドレスベルト62外周面に形成した離型層(表面層)の動摩擦係数を0.06以下に設定することにより、用紙Pとエンドレスベルト62外周面との間にスリップが生じ、エンドレスベルト62の厚さに基づく用紙Pでの速度分布を連続的なものとして、紙しわの発生を抑制する効果を高めることができる。
次に、エンドレスベルト62の弾性率に関して述べる。エンドレスベルト62の弾性率が所定値よりも低い場合には、定着ロール61の耐熱性弾性体層612を、紙しわの発生が抑制される程度に凹状に湾曲した形状とするように押圧することができない。一方、弾性率が所定値よりも高い場合には、エンドレスベルト62の定着ロール61に対する当接圧が高くなりすぎるために、用紙Pの一部が伸び易くなり、上述した用紙Pとエンドレスベルト62外周面との間の微視的なスリップだけでは、用紙Pの速度の不連続性を回復できない程度となる場合がある。
そこで、本実施の形態のエンドレスベルト62では、弾性率を2500〜11000MPaに設定している。このように、弾性率を設定することで、定着ロール61の耐熱性弾性体層612を、紙しわの発生が抑制される程度に凹状に湾曲した形状とすることが可能となる。また、上述した用紙Pとエンドレスベルト62外周面との間の微視的なスリップによって、用紙Pの速度が幅方向に向けて連続的に変化するように、用紙Pにおいて自律的な調整が行なわれる程度に用紙Pの伸びを抑えることが可能となる。
以下、実施例およびこれに対する比較例に基づき、本実施の形態のエンドレスベルト62の幅方向における厚さ構成について、紙しわに与える効果と対比させながら具体的に説明する。なお、本実施の形態のエンドレスベルト62は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリイミド前駆体溶液としては、ポリイミド前駆体のN−メチルピロリドン溶液(商品名:Uワニス/宇部興産(株)製、固形分濃度:18%、粘度:約5Pa・s)を用い、これを内径80mm、高さ600mmの円筒容器からなる塗布槽に満たした。
また、円筒状芯体としては、外径が中央部でφ29.4mm、両端部でφ29.3mmであって、中央部から両端部に向かって連続的に外径が減少するように形成された、長さ500mmのアルミニウム製円筒金型を用いた。また、円筒状芯体の表面をショットブラスト加工することにより、円筒状芯体表面に、微細凹凸形状を形成した。
そして、この表面に脱型補助剤であるシリコーン系離型剤KS700(信越化学(株)製)を塗布し、300℃にて1時間の焼き付け処理を実施して被塗布金型とした。
その後、被塗布金型上に、上述した塗布槽においてポリイミド前駆体溶液をディッピングコートした。その際に、ポリイミド前駆体溶液の揮発分を考慮しながら、所定の厚さとなるように、被塗布金型表面とのクリアランスを設定したリング状の表面規制治具を用いて、余分なポリイミド前駆体溶液を掻き落とした。
そして、100℃にて1時間乾燥した後に、フッ素樹脂分散液710CL(三井デュポンフロロケミカル(株)製)をコートした。
被塗布金型上にコートされたポリイミド前駆体溶液およびフッ素樹脂分散液は、焼成炉内において60℃にて10分間乾燥された後、380℃まで徐々に加熱され、20分間の焼成が行なわれた。そして、常温まで冷却されて、ベルト管状体が形成された。
このように形成されたベルト管状体は、外径が軸方向均一にφ30.0mm、内径は中央部でφ29.7mm、両端部でφ29.6mmである。したがって、厚さは、中央部で150μm、両端部で200μmであり、t=1.3tであった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62とした定着装置60を富士ゼロックス(株)製カラープリンタC2220に組み込み、20万枚までのランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかった。
(実施例2)
円筒状芯体として、外径が中央部でφ29.4mm、両端部でφ29.2mmであって、中央部から両端部に向かって連続的に外径が減少するように形成された、長さ500mmのアルミニウム製円筒金型を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によってベルト管状体を形成した。
このように形成されたベルト管状体は、外径が軸方向均一にφ30.0mm、内径は中央部でφ29.7mm、両端部でφ29.5mmである。したがって、厚さは、中央部で150μm、両端部で250μmであり、t=1.7tであった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかった。
(実施例3)
円筒状芯体として、外径が中央部でφ29.4mm、両端部でφ29.1mmであって、中央部から両端部に向かって連続的に外径が減少するように形成された、長さ500mmのアルミニウム製円筒金型を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によってベルト管状体を形成した。
このように形成されたベルト管状体は、外径が軸方向均一にφ30.0mm、内径は中央部でφ29.7mm、両端部でφ29.4mmである。したがって、厚さは、中央部で150μm、両端部で300μmであり、t=2.0tであった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかった。
(実施例4)
円筒状芯体として、外径が中央部でφ29.4mm、両端部でφ29.34mmであって、中央部から両端部に向かって連続的に外径が減少するように形成された、長さ500mmのアルミニウム製円筒金型を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によってベルト管状体を形成した。
このように形成されたベルト管状体は、外径が軸方向均一にφ30.0mm、内径は中央部でφ29.7mm、両端部でφ29.64mmである。したがって、厚さは、中央部で150μm、両端部で180μmであり、t=1.2tであった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかった。
(比較例1)
円筒状芯体として、外径が中央部でφ29.4mm、両端部でφ29.36mmであって、中央部から両端部に向かって連続的に外径が減少するように形成された、長さ500mmのアルミニウム製円筒金型を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によってベルト管状体を形成した。
このように形成されたベルト管状体は、外径が軸方向均一にφ30.0mm、内径は中央部でφ29.7mm、両端部でφ29.66mmである。したがって、厚さは、中央部で150μm、両端部で170μmであり、t=1.13tであった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング15万枚程度から、紙しわや画像ずれ等の画像不良が発生した。
(比較例2)
円筒状芯体として、外径が中央部でφ29.4mm、両端部でφ29.4mmであって、中央部から両端部に向かって連続的に外径が減少するように形成された、長さ500mmのアルミニウム製円筒金型を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によってベルト管状体を形成した。
このように形成されたベルト管状体は、外径が軸方向均一にφ30.0mm、内径は中央部でφ29.7mm、両端部でφ29.7mmである。したがって、厚さは、中央部で150μm、両端部で150μmであり、t=1.0tであった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期から、紙しわや画像ずれ等の画像不良が発生した。
(比較例3)
円筒状芯体として、外径が中央部でφ29.4mm、両端部でφ29.0mmであって、中央部から両端部に向かって連続的に外径が減少するように形成された、長さ500mmのアルミニウム製円筒金型を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によってベルト管状体を形成した。
このように形成されたベルト管状体は、外径が軸方向均一にφ30.0mm、内径は中央部でφ29.7mm、両端部でφ29.3mmである。したがって、厚さは、中央部で150μm、両端部で350μmであり、t=2.3tであった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期から、紙しわや画像ずれ等の画像不良が発生した。
以上の実施例および比較例の結果をまとめたものが図6である。図6に示したように、本実施の形態のエンドレスベルト62では、エンドレスベルト62の厚さが、幅方向の中心での厚さをtとした場合に、両端部の厚さtは、1.2t≦t≦2.0tとなる範囲で形成された場合に、20万枚のランニング試験においても、紙しわや画像ずれ等の画像不良の発生を抑えることができる。かかる本実施の形態のエンドレスベルト62における際だった効果は、厚さが1.2t≦t≦2.0tを満たさない比較例との対比によって明確である。
このように、エンドレスベルト62の厚さが、1.2t≦t≦2.0tの範囲で中央部から両端部にかけて厚く形成することで、紙しわや画像ずれ等が良好であるのは、以下の理由に基づくものと推測できる。すなわち、エンドレスベルト62の厚さがt<1.2tの範囲では、ニップ部Nを通過する際の用紙Pに対して、両端部の移動速度を中央部に対して充分に速くすることができないために、ニップ部Nに挟持された用紙Pに、中央部から両端部に向かう充分な幅方向の引張力を作用させることができないためであると考えられる。また、エンドレスベルト62の厚さがt>2.0tの範囲では、定着ロール61の耐熱性弾性体層612に形成される、中央部から両端部にかけての凹状湾曲が大きくなり過ぎ、用紙Pに想定しない引張力がかかってしまうためであると考えられる。
以上説明したように、本実施の形態の定着装置60では、エンドレスベルト62の厚さが、幅方向において中央部よりも両端部で厚く形成されて、幅方向の中心での厚さをtとした場合に、両端部の厚さtは、1.2t≦t≦2.0tの範囲となるように形成されている。このように形成することによって、定着ロール61として外径が軸方向で一様なストレートロールで構成しても、また、圧力パッド64による定着ロール61に対する押圧力を長手方向に亘って均一に設定しても、ニップ部Nでの用紙Pの速度は両端部ほど速くなり、ニップ部Nに挟持された用紙Pには、中央部から両端部方向へ向かう幅方向の引張力が働くこととなる。その結果、用紙Pにおける紙しわの発生や、画像ずれ等の画像不良の発生を抑制することが可能となる。
また、定着ロール61は、外径が軸方向で一様なストレートロールで構成できるので、製造時においても成型時に金型から抜き出す際に、両端部領域の表面に抜き方向の傷(引き抜き傷)が生じることはなく、定着ロール61の表面を加工処理することなく鏡面に近く構成することができる。特に、ウォームアップタイムの短縮化や熱効率を高める等のために、定着ロールの耐熱性弾性体層612の薄層化を図る場合においても、引き抜き傷を生じることなく、定着ロール61を形成することができる。そのため、定着ロール61の表面の傷に基づく画像汚れの発生を招くことがなく、画像品質を高く維持することが可能となる。
さらには、圧力パッド64の押圧力は、軸方向において一定に設定すればよいので、圧力パッド64の設定に際して複雑な調整を必要とせず、生産効率の向上、製造コストの低下を図ることもできる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、加熱手段として発熱源を有する定着ロール61を用い、加圧手段として圧力パッド64が押圧されたエンドレスベルト62を用いた定着装置60が搭載された画像形成装置について説明した。実施の形態2では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱手段として発熱源が押圧された定着ベルトを用い、加圧手段として加圧ロールを用いた定着装置について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図7は、本実施の形態における定着装置90の構成を示す側断面図である。図7に示すように、本実施の形態の定着装置90では、ベルト部材の一例としての定着ベルト92が用紙Pのトナー像担持面側に配置されている。定着ベルト92の内側に発熱源の一例としての抵抗発熱体であるセラミックヒータ82が配設され、セラミックヒータ82からニップ部Nに熱を供給するように構成している。
セラミックヒータ82は、加圧ロール91側の面がほぼフラットに形成されている。そして、定着ベルト92を介して加圧ロール91に押圧される状態で配置され、ニップ部Nを形成している。したがって、セラミックヒータ82は圧力部材としても機能している。ニップ部Nを通過した用紙Pは、ニップ部Nの出口領域(剥離ニップ部)において定着ベルト92の曲率の変化によって定着ベルト92から剥離される。
さらに、定着ベルト92内周面とセラミックヒータ82との間には、定着ベルト92の内周面とセラミックヒータ82との摺動抵抗を小さくするため、摺擦部材の一例としての低摩擦シート68が配設されている。この低摩擦シート68は、セラミックヒータ82と別体に構成しても、セラミックヒータ82と一体的に構成しても、いずれでもよい。
一方、加圧ロール91は定着ベルト92に対向するように配置され、図示しない駆動モータにより矢印D方向に回転し、この回転により定着ベルト92が従動回転するように構成されている。加圧ロール91は、コア (円柱状芯金)911と、コア911の外周面に被覆した耐熱性弾性体層912と、さらに耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による離型層913とが積層されて構成されている。また、本実施の形態の定着装置90では、定着ベルト92は、原形が円筒形状に形成された無端ベルトであり、ベース層と、このベース層の加圧ロール91側の面または両面に被覆された離型層とから構成されている。
また、剥離の補助手段として、定着ベルト92のニップ部Nの下流側に、剥離補助部材70を配設することも可能である。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト92の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ベルト92と近接する状態でバッフルホルダ72によって保持されている。
そして、図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって定着装置90のニップ部Nに導かれる。用紙Pがニップ部Nを通過する際には、用紙P上のトナー像は、ニップ部Nに作用する圧力と、定着ベルト92側のセラミックヒータ82から供給される熱とによって定着される。本実施の形態の定着装置90でも、加圧ロール91とセラミックヒータ82との間でニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
ここで、本実施の形態の定着装置90では、定着ベルト92の厚さが、幅方向において中央部よりも両端部で厚く形成されて、幅方向の中心での厚さをtとした場合に、両端部の厚さtは、1.2t≦t≦2.0tの範囲となるように形成されている。このように形成することによって、実施の形態1と同様に、加圧ロール91として外径が軸方向で一様なストレートロールで構成しても、また、セラミックヒータ82による加圧ロール91への押圧力を長手方向に亘って均一に設定しても、ニップ部Nでの用紙Pの速度は両端部ほど速くなり、ニップ部Nに挟持された用紙Pには、中央部から両端部方向へ向かう幅方向の引張力が働くこととなる。その結果、用紙Pにおける紙しわの発生や、画像ずれ等の画像不良の発生を抑制することが可能となる。
また、セラミックヒータ82の押圧力は、軸方向において一定に設定すればよいので、セラミックヒータ82の設定に際して複雑な調整を必要とせず、生産性の向上、製造コストの低下を図ることもできる。
[実施の形態3]
実施の形態1では、加熱手段として発熱源を有する定着ロール61を用い、加圧手段として圧力パッド64が押圧されたエンドレスベルト62を用いた定着装置60が搭載された画像形成装置について説明した。実施の形態3では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱手段として発熱源を有する定着ロールを用い、加圧手段として3本のロールにより張架された加圧ベルトを用いた定着装置について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図8は本実施の形態の定着装置100の構成を示す側断面図である。この定着装置100は、回動部材の一例としての定着ロール61、ベルト部材の一例としての加圧ベルト620、加圧ベルト620を介して定着ロール61から押圧される圧力部材の一例としての圧力パッド64により主要部が構成されている。
加圧ベルト620は、インレットロール631、圧力ロール632および張架ロール633の3本のロールにより張架されている。そして、加圧ベルト620は、定着ロール61が矢印E方向へ回転するのに伴い、定着ロール61と同様の方向(矢印F)に回動する。その移動速度は、定着ロール61の表面速度と同じである。
加圧ベルト620は、定着ロール61の外周面に当接してニップ部Nを形成しているが、このニップ部Nには、加圧ベルト620の内側に圧力パッド64が加圧ベルト620を介して定着ロール61に向けて付勢された状態で配置されている。したがって、ニップ部Nにおいては、高いニップ圧が均一に付与されている。
また、加圧ベルト620は、ベース層とその表面(定着ロール61側の面、または両面)に被覆された離型層とから構成されている。そして、ベース層としては、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂等から選ばれた1または複数の混合体が耐熱性、機械特性等の観点から好適に用いられる。ベース層の厚さは、例えば50〜300μm程度に形成される。ベース層の表面に形成される離型層としては、フッ素樹脂、例えばPFA等が5〜20μmの厚さでコーティングされたものが好ましい。さらには、必要であればベース層と離型層との間に厚さ100〜200μmの弾性層を積層させた構成を採ることもできる。弾性層の材料としては、シリコーンゴム等を使用することができる。
さらに、加圧ベルト620を張架する3個のロールは、ステンレス製のインレットロール631、スチールコアに弾性体層としてシリコーンゴムが被覆された圧力ロール632、およびステンレス製の張架ロール633であり、10kgの張力で加圧ベルト620を張架している。また、インレットロール631の内部には、加熱源としてハロゲンヒータ635が配設されている。そして、図示しない温度センサおよび制御部40(図1参照)によりその表面温度は120℃に制御され、加圧ベルト620に予熱を与えている。
また、圧力ロール632には、両端部にフランジ632aが配設され、圧力ロール632の両端部において対向するように配置された両フランジ632aの内側面が、加圧ベルト620の幅と略一致する間隔を持つように設定されている。そして、加圧ベルト620が回動する際には、加圧ベルト620の端部がフランジ632aの内側面に当接することによって、加圧ベルト620の幅方向への移動(ベルトウォーク)が規制されている。このように、加圧ベルト620は、圧力ロール632の両端部に配置された両フランジ632aによって片寄りが規制されるように設定されている。
なお、圧力ロール632のほか、インレットロール631および張架ロール633の両方、またはいずれか一方においても、ベルトウォークを規制するため、両端部にフランジを配設してもよい。
次に、押圧部材としての圧力パッド64は、幅の広いニップ部Nを確保するための弾性体部材と、弾性体部材が加圧ベルト620の内周面と接触する面に設けられた低摩擦層とで構成され、金属等からなるホルダ65に保持されている。低摩擦層を表面に有する弾性体部材は、定着ロール61側がほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹形状に形成され、定着ロール61に対して押圧されて配置され、ニップ部Nの入口側領域を形成している。弾性体部材としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性の高い弾性体や、板バネ等を用いることができる。弾性体部材上に形成された低摩擦層は、加圧ベルト620内周面と圧力パッド64との摺動抵抗を小さくするために設けられ、摩擦係数が小さく、耐摩耗性のある材質であることが望ましい。具体的には、テフロン(登録商標)を含浸させたガラス繊維シート、フッ素樹脂シート、フッ素樹脂塗膜等を用いることができる。
なお、圧力パッド64としては、本実施の形態のようにパッド状に成型されたものの他に、例えば、ロール状に成型されたもの(圧力ロール)を用いることもでき、加圧ベルト620を介して定着ロール61表面に付勢させて従動回転させてもよい。ただし、本実施の形態のようにパッド状に成型された圧力パッド64の方が、当接するニップ部N全域に亘って、広く均一にニップ圧を付与することができる。
このような構成により、本実施の形態の定着装置100においては、図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって導かれて、ニップ部Nに搬送され、トナー像を担持した用紙Pは、このニップ部Nを通過する際に加熱および加圧されてトナー像が用紙Pに定着される。本実施の形態の定着装置100でも、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹形状の圧力パッド64によりニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
また、圧力パッド64に対して用紙P搬送方向の下流側に配置された圧力ロール632は、加圧手段としての圧縮コイルスプリング(不図示)によって、加圧ベルト620を介して定着ロール61の中心軸に向けて付勢されており、定着ロール61の当接部に局所的な高圧を生じさせている。それによって、定着ロール61の表面の耐熱性弾性体層612は弾性変形して歪みが生じ、ニップ部Nの出口では、この定着ロール61の歪みにより、用紙Pが定着ロール61側から剥離される。ここで、この定着ロール61に対する局所的な高圧を低荷重で効率良く与えるために、圧力ロール632は定着ロール61より小径で、その表面は硬質に形成されていることが望ましい。
なお、剥離の補助手段として、定着ロール61のニップ部Nの下流側に、剥離補助部材70を配設することもできる。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ロール61と近接する状態でバッフルホルダ72によって保持されている。
ここで、本実施の形態の定着装置100では、加圧ベルト620の厚さが、幅方向において中央部よりも両端部で厚く形成されて、幅方向の中心での厚さをtとした場合に、両端部の厚さtは、1.2t≦t≦2.0tの範囲となるように形成されている。このように形成することによって、実施の形態1と同様に、定着ロール61として外径が軸方向で一様なストレートロールで構成しても、また、圧力パッド64による定着ロール61に対する押圧力を長手方向に亘って均一に設定しても、ニップ部Nでの用紙Pの速度は両端部ほど速くなり、ニップ部Nに挟持された用紙Pには、中央部から両端部方向へ向かう幅方向の引張力が働くこととなる。その結果、用紙Pにおける紙しわの発生や、画像ずれ等の画像不良の発生を抑制することが可能となる。
また、定着ロール61は、外径が軸方向で一様なストレートロールで構成できるので、製造時においても成型時に型から抜き出す際に、両端部領域の表面に抜き方向の傷(引き抜き傷)が生じることはなく、定着ロール61の表面を加工処理することなく鏡面に近く構成することができる。特に、ウォームアップタイムの短縮化や熱効率を高める等のために、定着ロールの耐熱性弾性体層612の薄層化を図る場合においても、引き抜き傷を生じることなく、定着ロール61を形成することができる。そのため、定着ロール61の表面の傷に基づく画像汚れの発生を招くことがなく、画像品質を高く維持することが可能となる。
さらには、圧力パッド64やロール状の押圧部材である圧力ロールの押圧力は、軸方向において一定に設定すればよいので、圧力パッド64や圧力ロールの設定に際して複雑な調整が必要とせず、生産性の向上、製造コストの低下を図ることもできる。
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未定着トナー像を定着する定着装置への適用がある。また、インクジェト方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未乾燥インク像を乾燥する定着装置への適用がある。
本発明の画像形成装置を示した概略構成図である。 実施の形態1に係る定着装置の構成を示す側断面図である。 エンドレスベルトが支持される構成を説明する図である。 エンドレスベルトの幅方向における厚さを説明する断面図である。 ニップ部においてエンドレスベルトが定着ロールを押圧する状態を説明する断面構成図である。 エンドレスベルトに関する評価結果を示した図である。 実施の形態2に係る定着装置の構成を示す側断面図である。 実施の形態3に係る定着装置の構成を示す側断面図である。
符号の説明
1Y,1M,1C,1K…画像形成ユニット、11…感光体ドラム、12…帯電器、13…レーザ露光器、14…現像器、15…中間転写ベルト、16…一次転写ロール、17…ドラムクリーナ、20…二次転写部、60,90,100…定着装置、61…定着ロール、62…エンドレスベルト、63…ベルトガイド部材、64…圧力パッド、64a…プレニップ部材、64b…剥離ニップ部材、65…ホルダ、66…ハロゲンヒータ、67…潤滑剤塗布部材、68…低摩擦シート、69…温度センサ、70…剥離補助部材、82…セラミックヒータ、91…加圧ロール、92…定着ベルト、620…加圧ベルト、631…インレットロール、632…圧力ロール、632a…フランジ、633…張架ロール

Claims (12)

  1. 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
    回動部材と、
    前記回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、
    前記ベルト部材の内側に配置され、当該ベルト部材を前記回動部材に圧接させて当該回動部材と当該ベルト部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、
    前記ベルト部材は、厚さが、幅方向において中央よりも両端部で厚く形成されたことを特徴とする定着装置。
  2. 前記ベルト部材は、幅方向中央での前記厚さをt、両端部での当該厚さをtとして、1.2t≦t≦2.0tを満たすように形成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  3. 前記ベルト部材は、耐熱性樹脂からなる基材と、当該基材の少なくとも前記回動部材側の面に形成されたフッ素樹脂からなる表面層とから構成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  4. 前記ベルト部材は、前記回動部材側の面の動摩擦係数が0.06以下であることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  5. 前記ベルト部材は、弾性率が3000〜11000MPaに形成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  6. 前記回動部材は、外径が軸方向において略一定に形成された定着ロールであることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  7. 前記圧力部材は、長手方向に亘って均一の押圧力で前記回動部材に圧接することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  8. 前記回動部材を加熱する加熱部材、または前記ベルト部材を加熱する加熱部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  9. 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置に用いられるベルト管状体であって、
    耐熱性樹脂からなる基材と、
    前記基材の少なくとも外周面に形成されたフッ素樹脂からなる表面層とを有し、
    厚さが、幅方向において中央よりも両端部で厚く形成されたことを特徴とするベルト管状体。
  10. 前記厚さは、幅方向中央での当該厚さをt、両端部での当該厚さをtとして、1.2t≦t≦2.0tを満たすことを特徴とする請求項9記載のベルト管状体。
  11. 前記基材は、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂のうちの、1または複数からなることを特徴とする請求項9記載のベルト管状体。
  12. トナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
    前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを含み、
    前記定着手段は、
    回動部材と、
    前記回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、
    前記ベルト部材の内側に配置され、当該ベルト部材を前記回動部材に圧接させて当該回動部材と当該ベルト部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、
    前記ベルト部材は、厚さが、幅方向中央での当該厚さをt、両端部での当該厚さをtとして、1.2t≦t≦2.0tを満たすように形成されたことを特徴とする画像形成装置。
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