JP2006091182A - 定着装置、ベルト管状体および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 エンドレスベルト62が圧力パッド64により定着ロール61に圧接されて、定着ロール61との間に用紙Pが通過するニップ部Nを形成するように構成され、エンドレスベルト62は、内周面の表面粗さが、エンドレスベルト62の移動方向に向けて測定した表面粗さ曲線にて、最大山高さRp、最大谷深さRv、最大高さRyとして、0.5≦Rp/Rv≦1.5、かつ1.0≦Ry≦15.0(μm)を満たすように形成されている。
【選択図】 図2
Description
しかし、荷重を大きくする方法や、弾性体層の厚さを厚くする方法では、ロールの撓みに起因するニップ幅の形状がロール軸に沿って不均一になることから、定着むらや紙しわが生じ易い等といった画像品質上の問題がある。また、ロール径を大きくする方法では、装置の大型化を招くとともに、ロールを室温から定着可能温度に上昇させるまでの時間(ウォームアップタイム)が長くなるという問題がある。
また、その他方で、表面粗さ値を小さくすれば、騒音レベルを許容範囲に抑えることは可能となるが、摺動抵抗の低減効果は小さなものとなる。
このように、エンドレスベルトと、圧力パッドまたは低摩擦シートとの摺動部において、摺動抵抗の低減と騒音レベルの軽減とを両立させることは大きな課題となっていた。
また、回動部材を加熱する加熱部材、またはベルト部材を加熱する加熱部材をさらに備えた構成とすることもできる。
[実施の形態1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1K、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
定着ロール61の内部には、発熱源として、例えば定格600Wのハロゲンヒータ66が配設されている。一方、定着ロール61の表面には温度センサ69が接触して配置されている。画像形成装置の制御部40は、この温度センサ69による温度計測値に基づいてハロゲンヒータ66の点灯を制御し、定着ロール61の表面温度が所定の設定温度(例えば、175℃)を維持するように調整している。
ここで、図3はエンドレスベルト62が支持される構成を説明する構成図であり、用紙Pの搬送方向下流側から見た定着装置60の一方の端部領域を示している。
図3に示したように、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65の両端部にエッジガイド部材80が配設されている。エッジガイド部材80は、ニップ部Nとその近傍に対応する部分に切り欠きが形成された円筒状、すなわち断面がC形状のベルト走行ガイド部801、このベルト走行ガイド部801の外側に設けられ、エンドレスベルト62の外径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802、さらにフランジ部802の外側に設けられ、エッジガイド部材80を定着装置60本体に位置決めして固定するための保持部803で構成されている。
また、フランジ部802は、ホルダ65の両端部において対向するように配置された両フランジ部802の内側面が、エンドレスベルト62の幅と略一致する間隔を持つように配置されている。そして、エンドレスベルト62が回動する際には、エンドレスベルト62の端部がフランジ部802の内側面に当接することによって、エンドレスベルト62の幅方向への移動(ベルトウォーク)が制限されている。このように、エンドレスベルト62は、エッジガイド部材80によって片寄りが規制されるように支持されている。
ベルトガイド部材63は、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65に、長手方向に沿って取り付けられている。また、ベルトガイド部材63には、エンドレスベルト62の回転方向に向けて複数のリブが形成され、エンドレスベルト62内周面との接触面積を極力少なくするように構成されている。さらに、ベルトガイド部材63は、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように摩擦係数が低い材質であって、かつ、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率が低い材質で形成されている。具体的にはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やポリフェニレンサルファイド(PPS)等の耐熱性樹脂が用いられる。
低摩擦シート68は、ニップ部Nの上流側端部が低摩擦シート固定部材68aによってホルダ65に固定されている。そして、エンドレスベルト62の回動方向に沿って、圧力パッド64とエンドレスベルト62内周面との間に挟持された状態で、ニップ部Nの全域に亘って配設されている。なお、低摩擦シート68のニップ部N下流側は、低摩擦シート68に歪みが生じないように、固定されず自由端(フリー)の状態に設定されている。そして、低摩擦シート68は、ニップ部Nにおいて圧力パッド64と定着ロール61との間に押圧力が印加されている状態の下で、エンドレスベルト62内周面と圧力パッド64との摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減している。
耐熱性弾性体層612は、耐熱性の高い弾性体で構成され、特に、ゴム硬度が15〜45°(JIS−A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体を用いるのが好ましい。具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。本実施の形態の定着装置60では、ゴム硬度が35°(JIS−A)のシリコーンHTVゴムを600μmの厚さでコア611に被覆している。
本実施の形態の定着装置60では、周長94mm、厚さ75μm、幅320mmの熱硬化性ポリイミドからなるベース層に、厚さ30μmのPFAからなる離型層を積層した構成のエンドレスベルト62を用いている。
剥離ニップ部材64bは、PPS、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂、または鉄、アルミニウム、SUS等の金属で形成されている。剥離ニップ部材64bの形状としては、ニップ部Nにおける外面形状が一定の曲率半径を有する凸状曲面に形成されている。
そして、本実施の形態の定着装置60では、エンドレスベルト62は、圧力パッド64により定着ロール61に約40°の巻き付き角度でラップされ、約10mm幅のニップ部Nを形成している。
本実施の形態の定着装置60では、エンドレスベルト62の内周面には、微細凹凸が形成されている。このようにエンドレスベルト62の内周面に微細凹凸を形成することにより、エンドレスベルト62の内周面と低摩擦シート68との接触面積を低減することができる。また、エンドレスベルト62内周面における潤滑剤の保持能力を向上させることができる。その結果、エンドレスベルト62と低摩擦シート68とは、潤滑剤を安定的に保持しながら、小さな接触面積で摺動するので、エンドレスベルト62と圧力パッド64との摺動抵抗を低い状態に保つことが可能となる。
一方、ニップ部Nに用紙Pが搬送されていない状態では、従動側のエンドレスベルト62も定着ロール61から摩擦力を受けることによって回動しているが、ニップ部Nに用紙Pが搬送され、用紙Pがニップ部Nに挟持されている状態では、エンドレスベルト62は用紙Pを介して定着ロール61から搬送力を受けている。したがって、用紙P側から捉えるとすると、用紙Pがニップ部Nを通過する際には、用紙Pには、定着ロール61からの搬送力が働くと同時に、エンドレスベルト62側から搬送方向とは逆方向の力(逆搬送力)が作用することとなる。
特に、ニップ部Nにおいては、定着ロール61の外径が中央部から両端部にかけて大きく形成された所謂フレア形状で構成されたり、剥離ニップ部材64bと定着ロール61との間の押圧力が中央部から両端部にかけて大きくなるように設定されることによって、常に用紙Pに対し中央部から両端部に向かって幅方向の力が作用するように構成されている。そして、この幅方向に向かう力が、用紙Pを両幅方向に引っ張ることで、用紙Pに紙しわが生じるのを抑制している。ところが、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗が増加して、用紙Pが定着ロール61の搬送に追随できなくなってスリップすると、このような用紙Pの幅方向に作用する力のバランスが崩れることとなり、用紙Pに紙しわや画像ずれを生じさせる結果を招いてしまう。
エンドレスベルト62の移動に伴う潤滑剤塗布部材67との接触により、潤滑剤塗布部材67からエンドレスベルト62内周面の全面に亘って塗布された潤滑剤は、エンドレスベルト62内周面に形成された微細凹凸のうち、主として凹部に保持される。潤滑剤は表面張力により互いに集まって一つの集合としてまとまろうとするので、凹部においては、潤滑剤がそれぞれ微小な集合となって安定的に保持されることとなる。
また、エンドレスベルト62内周面と潤滑剤塗布部材67との接触に際して、潤滑剤塗布部材67と微細凹凸の凸部との接触によって潤滑剤が均されるので、余分な潤滑剤は潤滑剤塗布部材67に回収することができる。そのため、凹部における潤滑剤の保持量は略一定量に制御され、エンドレスベルト62内周面の全面に亘って潤滑剤を均一に保持することが可能となる。
本実施の形態の定着装置60では、ニップ部Nにおいて、圧力パッド64がエンドレスベルト62の内側から定着ロール61を押圧するように構成されているために、エンドレスベルト62の内周面に形成された微細凹凸と低摩擦シート68の摺擦面との間に摺擦振動が発生して、これが摺擦音となる。このような摺擦音は、エンドレスベルト62がニップ部Nを抜け出し、ニップ部Nでの押圧力から解放される際に発生することが観察されていることから、エンドレスベルト62の移動方向に向けた内周面の表面粗さ値が振動の大きさに影響を与えることが判明している。そして、この表面粗さ値が所定値を超えると摺擦音が許容値以上となって、所謂「エコマーク基準」を満たさない状態となる場合がある。
したがって、微細凹凸のエンドレスベルト62の移動方向に向けて計測される表面粗さ値は、上記したエンドレスベルト62と低摩擦シート68との摺動抵抗を低い状態に保つと同時に、エンドレスベルト62からの摺擦音を許容値以下とするように、所定の範囲に設定する必要がある。
ここで、最大山高さRpと最大谷深さRv、および最大高さRyの測定においては、表面粗さ形状測定機サーフコム100A(東京精密社製)を用い、測定条件は、JIS−1994規格において、測定種別:粗さ測定、測定長さ:4.0mm、カットオフ波長:0.80mm、測定速度:0.3mm/s、カットオフ種別:ガウシアン、傾斜補正:最小二乗曲線補正とした。
また、図4に表面粗さ曲線を示したが、最大山高さRpとは、評価長さLの範囲において、平均線から最も高い山頂までの高さをいい、最大谷深さRvとは、評価長さLの範囲において、平均線から最も深い谷底までの深さをいう。また、最大高さRyは、最大山高さRpと最大谷深さRvとを足した値(Ry=Ry+Rv)をいう。
(実施例1)
ポリイミド前駆体溶液としては、ポリイミド前駆体のN−メチルピロリドン溶液(商品名:Uワニス/宇部興産(株)製、固形分濃度:18%、粘度:約5Pa・s)を用い、これを内径80mm、高さ600mmの円筒容器からなる塗布槽に満たした。
また、円筒状芯体としては、外径30mm、長さ500mmのアルミニウム製円筒金型であって、その表面をブラスト加工することにより、円筒状芯体表面の表面粗さを、最大山高さRp=2.4μm、最大谷深さRv=2.5μm、最大高さRy=4.9μmに形成したものを用いた。なお、ブラスト処理としては、サンドブラストやガラスビーズブラスト等によって、定形、不定形の微細凹凸を形成することができる。
そして、この表面に脱型補助剤であるシリコーン系離型剤KS700(信越化学(株)製)を塗布し、300℃にて1時間の焼き付け処理を実施して被塗布金型とした。
その後、被塗布金型上に、上述した塗布槽においてポリイミド前駆体溶液をコートし、さらに100℃にて1時間乾燥した後に、フッ素樹脂分散液710CL(三井デュポンフロロケミカル(株)製)をコートした。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=2.3μm、最大谷深さRv=2.2μm、最大高さRy=4.5μmであった。したがって、Rp/Rv=1.05であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62とした定着装置60を富士ゼロックス(株)製DocuCenterColor400CPに組み込み、20万枚までのランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかった。また、摺擦音レベルも許容値以下であった。
なお、本発明者の官能試験では、ユーザが不快に感じることがない摺擦音レベルとして、68.0dB以下であれば充分であることが見出されているので、摺擦音レベルが許容値以下とは、68.0dB以下のレベルであることをいう。
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=5.5μm、最大谷深さRv=6.5μm、最大高さRy=12.0μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=5.0μm、最大谷深さRv=6.0μm、最大高さRy=11.0μmであった。したがって、Rp/Rv=0.83であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかった。また、摺擦音レベルも許容値以下であった。
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=2.5μm、最大谷深さRv=4.5μm、最大高さRy=7.0μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=2.4μm、最大谷深さRv=4.4μm、最大高さRy=6.8μmであった。したがって、Rp/Rv=0.55であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかった。また、摺擦音レベルも許容値以下であった。
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=5.0μm、最大谷深さRv=3.3μm、最大高さRy=8.3μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=4.8μm、最大谷深さRv=3.2μm、最大高さRy=8.0μmであった。したがって、Rp/Rv=1.50であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかった。また、摺擦音レベルも許容値以下であった。
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=9.5μm、最大谷深さRv=5.5μm、最大高さRy=15.0μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=8.1μm、最大谷深さRv=7.4μm、最大高さRy=15.5μmであった。したがって、Rp/Rv=1.09であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかった。一方、摺擦音レベルは許容値を辛うじて満たすレベルであった。
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=0.5μm、最大谷深さRv=0.5μm、最大高さRy=1.0μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=0.48μm、最大谷深さRv=0.45μm、最大高さRy=0.93μmであった。したがって、Rp/Rv=1.07であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、20万枚のランニング後において、紙しわや画像ずれが軽微ではあるが認められた。一方、摺擦音レベルは許容値以下であった。
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=0.1μm、最大谷深さRv=0.21μm、最大高さRy=0.31μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=0.08μm、最大谷深さRv=0.2μm、最大高さRy=0.28μmであった。したがって、Rp/Rv=0.40であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、摺擦音レベルは許容値以下であったが、2万枚のランニング後において、紙しわおよび画像ずれが発生した。
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=9.5μm、最大谷深さRv=5.5μm、最大高さRy=15.0μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=9.1μm、最大谷深さRv=5.4μm、最大高さRy=14.5μmであった。したがって、Rp/Rv=1.68であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかったが、摺擦音レベルは、ランニング初期から68.0dBを超え、問題となるレベルであった。
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=0.22μm、最大谷深さRv=0.21μm、最大高さRy=0.43μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=0.2μm、最大谷深さRv=0.2μm、最大高さRy=0.4μmであった。したがって、Rp/Rv=1.00であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、摺擦音レベルは許容値以下であったが、5万枚のランニング後において、紙しわおよび画像ずれが発生した。
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=9.5μm、最大谷深さRv=9.0μm、最大高さRy=18.5μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=9.0μm、最大谷深さRv=8.6μm、最大高さRy=17.6μmであった。したがって、Rp/Rv=1.05であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかったが、摺擦音レベルは、ランニング初期から68.0dBを超え、問題となるレベルであった。
かかる本実施の形態のエンドレスベルト62での効果は、最大山高さRpと最大谷深さRvとの比(Rp/Rv)が0.5≦Rp/Rv≦1.5、および最大高さRy(μm)が1.0≦Ry≦15.0を満たさない比較例との対比によって明確である。
まず一般に、最大高さRyを大きくすれば、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗を小さいものとすることができるのに対し、摺擦音は大きくなる傾向にある。その逆に、最大高さRyを小さくすれば、摺擦音を少なくすることができるが、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗は大きくなる傾向にある。かかる点に関しては、経験的にも観察され、また、接触面積および潤滑材の保持能力の観点から当然に推測することができる。
このように、最大山高さRpと最大谷深さRvとの比(Rp/Rv)が、0.5≦Rp/Rv≦1.5を満たし、かつ、最大高さRy(μm)が1.0≦Ry≦15.0を満たす範囲である場合に(実施例1〜6参照)、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗を実用上充分に低減することができ、それと同時に、摺擦音を許容値に抑えることが可能となるのである。
実施の形態1では、加熱手段として発熱源を有する定着ロール61を用い、加圧手段として圧力パッド64が押圧されたエンドレスベルト62を用いた定着装置60が搭載された画像形成装置について説明した。実施の形態2では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱手段として発熱源が押圧された定着ベルトを用い、加圧手段として加圧ロールを用いた定着装置について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
セラミックヒータ82は、加圧ロール91側の面がほぼフラットに形成されている。そして、定着ベルト92を介して加圧ロール91に押圧される状態で配置され、ニップ部Nを形成している。したがって、セラミックヒータ82は圧力部材としても機能している。ニップ部Nを通過した用紙Pは、ニップ部Nの出口領域(剥離ニップ部)において定着ベルト92の曲率の変化によって定着ベルト92から剥離される。
さらに、定着ベルト92内周面とセラミックヒータ82との間には、定着ベルト92の内周面とセラミックヒータ82との摺動抵抗を小さくするため、摺擦部材の一例としての低摩擦シート68が配設されている。この低摩擦シート68は、セラミックヒータ82と別体に構成しても、セラミックヒータ82と一体的に構成しても、いずれでもよい。
また、剥離の補助手段として、定着ベルト92のニップ部Nの下流側に、剥離補助部材70を配設することも可能である。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト92の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ベルト92と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
Claims (10)
- 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
回動部材と、
前記回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、
前記ベルト部材の内側に配置され、当該ベルト部材を前記回動部材に圧接させて当該回動部材と当該ベルト部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、
前記ベルト部材は、内周面の表面粗さが、当該ベルト部材の移動方向に向けて測定した表面粗さ曲線にて、最大山高さRp、最大谷深さRv、最大高さRyとして、0.5≦Rp/Rv≦1.5、かつ1.0≦Ry≦15.0(μm)を満たすことを特徴とする定着装置。 - 前記ベルト部材と前記圧力部材との間に配設された摺擦部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記ベルト部材は、耐熱性樹脂からなる基材と、当該基材の少なくとも前記回動部材側の面に形成されたフッ素樹脂からなる表面層とから構成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記ベルト部材に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記回動部材を加熱する加熱部材、または前記ベルト部材を加熱する加熱部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置に用いられるベルト管状体であって、
耐熱性樹脂からなる基材と、
前記基材の少なくとも外周面に形成されたフッ素樹脂からなる表面層とを有し、
内周面の表面粗さが、周方向に向けて測定した表面粗さ曲線にて、最大山高さRp、最大谷深さRv、最大高さRyとして、0.5≦Rp/Rv≦1.5、かつ1.0≦Ry≦15.0(μm)を満たすことを特徴とするベルト管状体。 - 前記基材は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂のうちの、1または複数からなることを特徴とする請求項6記載のベルト管状体。
- 前記表面層は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体のうちの、1または複数からなることを特徴とする請求項6記載のベルト管状体。
- 前記基材は、側面の表面粗さが、円周方向に測定した表面粗さ曲線にて、最大山高さRp、最大谷深さRv、最大高さRyとして、0.5≦Rp/Rv≦1.5、かつ1.0≦Ry≦15.0(μm)を満たす円筒状金型に、耐熱性樹脂溶解液を塗布することにより形成されたことを特徴とする請求項6記載のベルト管状体。
- トナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを含み、
前記定着手段は、
回動部材と、
前記回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、
前記ベルト部材の内側に配置され、当該ベルト部材を前記回動部材に圧接させて当該回動部材と当該ベルト部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、
前記ベルト部材は、内周面の表面粗さが、当該ベルト部材の移動方向に向けて測定した表面粗さ曲線にて、最大山高さRp、最大谷深さRv、最大高さRyとして、0.5≦Rp/Rv≦1.5、かつ1.0≦Ry≦15.0(μm)を満たすことを特徴とする画像形成装置。
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JP (1) | JP2006091182A (ja) |
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