JP2006091182A - 定着装置、ベルト管状体および画像形成装置 - Google Patents

定着装置、ベルト管状体および画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 定着装置におけるベルト部材の回動に際して、摺動抵抗と騒音レベルとを同時に低減する。
【解決手段】 エンドレスベルト62が圧力パッド64により定着ロール61に圧接されて、定着ロール61との間に用紙Pが通過するニップ部Nを形成するように構成され、エンドレスベルト62は、内周面の表面粗さが、エンドレスベルト62の移動方向に向けて測定した表面粗さ曲線にて、最大山高さRp、最大谷深さRv、最大高さRyとして、0.5≦Rp/Rv≦1.5、かつ1.0≦Ry≦15.0(μm)を満たすように形成されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、定着装置等に関し、より詳しくは例えば電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられる定着装置等に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、例えばドラム状に形成された感光体(感光体ドラム)を一様に帯電し、この感光体ドラムを画像情報に基づいて制御された光で露光して感光体ドラム上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像をトナーによって可視像(トナー像)とし、このトナー像を感光体ドラム上から記録紙に転写した後、定着装置によってこのトナー像を記録紙に定着している。
かかる画像形成装置に用いられる定着装置は、円筒状の芯金の内部に加熱源を備え、その芯金に耐熱性弾性体層と、その外周面に離型層とが積層して形成された定着ロールと、この定着ロールに対して圧接配置され、芯金に耐熱性弾性体層と、その外周面に耐熱性樹脂被膜あるいは耐熱性ゴム被膜による離型層とが積層して形成された加圧ロールとで構成されている。そして、定着ロールと加圧ロールとの間に、未定着トナー像を担持した記録紙を通過させて、未定着トナー像に対して加熱と加圧とを行うことによって、記録紙にトナー像を定着している。このような定着装置は、ロールニップ方式と呼ばれて、一般に広く利用されている。
近年、画像形成装置における高生産性やカラー化の進展に伴い、定着装置においても高速化への対応が要求されている。その際、ロールニップ方式の定着装置では、トナーと記録紙に充分な熱量が供給できるように、ニップ幅を定着速度に比例して広く設定することが必要となる。ニップ幅を広くする方法として、定着ロールと加圧ロールとの間の荷重を大きくする方法や、弾性体層の厚さを厚くする方法、さらにはロール径を大きくする方法が考えられる。
しかし、荷重を大きくする方法や、弾性体層の厚さを厚くする方法では、ロールの撓みに起因するニップ幅の形状がロール軸に沿って不均一になることから、定着むらや紙しわが生じ易い等といった画像品質上の問題がある。また、ロール径を大きくする方法では、装置の大型化を招くとともに、ロールを室温から定着可能温度に上昇させるまでの時間(ウォームアップタイム)が長くなるという問題がある。
そこで、これらの問題を解消して、画像形成装置の高速化に対応した定着装置を実現するべく、本出願人は、表面が弾性変形する回転可能な定着ロールと、この定着ロールに接触したまま走行可能なエンドレスベルトと、このエンドレスベルトの内側に非回転状態で配置された圧力パッドとを具備し、圧力パッドによって、定着ロールとの接触面が形成されるようにエンドレスベルトを定着ロールに圧接させ、エンドレスベルトと定着ロールとの間にシートを通過させることができるようにベルトニップを設けるとともに、定着ロールの表面のうち、シートの出口側を局部的に弾性変形させるように構成した定着装置に関する技術を提案している(例えば、特許文献1参照)。
かかる特許文献1に記載した定着装置(「ベルトニップ方式」という。)では、従来のロールニップ方式の定着装置における加圧ロールに代え、圧力パッドを用いてエンドレスベルトを定着ロールに圧接させている。このような構成を採用することにより、定着ロールとエンドレスベルトとによって形成されるベルトニップの幅が従来の定着ロールと加圧ロールとのロールニップの幅よりも容易に大きくすることができるとともに、ニップ部において均一で高いニップ圧を付与することができるので、高速化への対応が可能となり、しかも装置の小型化を図ることも容易である。
さらには、定着ロールに圧接させるエンドレスベルトの熱容量は小さく、加えて圧力パッドが非回転状態で配置されていることから、定着ロールから伝わる熱が外部に発散され難い構成を実現している。そのため、定着ロールの回転が開始されても、定着ロールからエンドレスベルト側に奪われる熱量は少なく、トナーの溶融に際しての熱効率を高めることができるとともに、ベルトニップでの温度低下量も小さいことから、トナーの定着性の向上を図ることができるという利点も有している。
特許第3298354号公報(第4-7頁)
ところで、圧力パッドを用いてベルト部材であるエンドレスベルトをロールに圧接させる方式の定着装置においては、圧力パッドによりエンドレスベルトをロールに圧接させるに際し、圧力パッドとエンドレスベルトとの間の滑り性(摺動抵抗の低減)を確保する必要がある。そのため、両者の間に潤滑剤を塗布したり、さらには圧力パッド上に低摩擦シートを配置し、この低摩擦シートとエンドレスベルトとの摺擦面に潤滑剤を塗布して摺動させている。その際に、エンドレスベルトが圧力パッドまたは低摩擦シートと摺擦する内周面においては、表面を粗面に形成することによって、圧力パッドまたは低摩擦シートとの接触面積を小さくし、さらには潤滑剤の保持能力を向上させている。
しかしながら、エンドレスベルト内周面の粗さは、表面粗さ値を大きくする程、圧力パッドまたは低摩擦シートとの接触面積が小さくなり、さらには潤滑剤の保持能力を高めることができるので、摺動抵抗の低減効果を高めることができるが、その反面、エンドレスベルトと圧力パッドまたは低摩擦シートとの接触による摺擦音が大きくなり、エコマーク基準を超えた騒音が発生する場合がある。
また、その他方で、表面粗さ値を小さくすれば、騒音レベルを許容範囲に抑えることは可能となるが、摺動抵抗の低減効果は小さなものとなる。
このように、エンドレスベルトと、圧力パッドまたは低摩擦シートとの摺動部において、摺動抵抗の低減と騒音レベルの軽減とを両立させることは大きな課題となっていた。
そこで本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、定着装置におけるベルト部材の回動に際して、摺動抵抗と騒音レベルとを同時に低減することにある。
かかる目的のもと、本発明の定着装置は、記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、回動部材と、回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、ベルト部材の内側に配置され、ベルト部材を回動部材に圧接させて回動部材とベルト部材との間に記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、ベルト部材は、内周面の表面粗さが、ベルト部材の移動方向に向けて測定した表面粗さ曲線にて、最大山高さRp、最大谷深さRv、最大高さRyとして、0.5≦Rp/Rv≦1.5、かつ1.0≦Ry≦15.0(μm)を満たすことを特徴としている。
ここで、ベルト部材と圧力部材との間に配設された摺擦部材をさらに備えた構成とすることができる。また、ベルト部材は、耐熱性樹脂からなる基材と、基材の少なくとも回動部材側の面に形成されたフッ素樹脂からなる表面層とから構成されたことを特徴とすることもできる。さらに、ベルト部材に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部材をさらに備えた構成とすることもできる。
また、回動部材を加熱する加熱部材、またはベルト部材を加熱する加熱部材をさらに備えた構成とすることもできる。
また、本発明をベルト管状体として捉え、本発明のベルト管状体は、記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置に用いられるベルト管状体であって、耐熱性樹脂からなる基材と、基材の少なくとも外周面に形成されたフッ素樹脂からなる表面層とを有し、内周面の表面粗さが、周方向に向けて測定した表面粗さ曲線にて、最大山高さRp、最大谷深さRv、最大高さRyとして、0.5≦Rp/Rv≦1.5、かつ1.0≦Ry≦15.0(μm)を満たすことを特徴としている。
ここで、基材は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂のうちの、1または複数からなることを特徴とすることができる。また、表面層は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体のうちの、1または複数からなることを特徴とすることができる。さらに、基材は、側面の表面粗さが、円周方向に測定した表面粗さ曲線にて、最大山高さRp、最大谷深さRv、最大高さRyとして、0.5≦Rp/Rv≦1.5、かつ1.0≦Ry≦15.0(μm)を満たす円筒状金型に、耐熱性樹脂溶解液を塗布することにより形成されたことを特徴とすることもできる。
さらに、本発明を画像形成装置として捉え、本発明の画像形成装置は、トナー像を形成するトナー像形成手段と、トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、記録材上に転写されたトナー像を記録材に定着する定着手段とを含み、定着手段は、回動部材と、回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、ベルト部材の内側に配置され、ベルト部材を回動部材に圧接させて回動部材とベルト部材との間に記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、ベルト部材は、内周面の表面粗さが、ベルト部材の移動方向に向けて測定した表面粗さ曲線にて、最大山高さRp、最大谷深さRv、最大高さRyとして、0.5≦Rp/Rv≦1.5、かつ1.0≦Ry≦15.0(μm)を満たすことを特徴としている。
本発明の効果として、ベルト部材の回動に際しての摺動抵抗と騒音レベルとを同時に低減することにより、長期に亘り紙しわや画像ずれ等の発生を抑えて高品質な画像を形成することができるとともに、騒音レベルを許容範囲に抑えることが可能となった。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1K、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
本実施の形態において、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム11の周囲に、これらの感光体ドラム11を帯電する帯電器12、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17、などの電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は106〜1014Ωcmとなるように形成されており、その厚さは例えば0.1mm程度に構成されている。中間転写ベルト15は、各種ロールによって図1に示すB方向に所定の速度で循環駆動(回動)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回動させる駆動ロール31、各感光体ドラム11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能するテンションロール33、二次転写部20に設けられるバックアップロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニングバックアップロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が10〜10Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に圧接配置され、さらに一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール22と、バックアップロール25とによって構成される。バックアップロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRとのブレンドゴムのチューブ、内部がEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10〜1010Ω/□となるように形成され、硬度は例えば70°(アスカーC)に設定されている。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極をなし、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が当接配置されている。
一方、二次転写ロール22は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が10〜10Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙P上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
さらに、本実施の形態の画像形成装置では、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙トレイ50、この用紙トレイ50に集積された用紙Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール51、ピックアップロール51により繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Pを二次転写部20へと送り込む搬送シュート53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Pを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Pを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。図1に示すような画像形成装置では、図示しない画像読取装置(IIT)や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置(IPS)により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。IPSでは、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体ドラム11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが当接する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、用紙搬送系では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせてピックアップロール51が回転し、用紙トレイ50から所定サイズの用紙Pが供給される。ピックアップロール51により供給された用紙Pは、搬送ロール52により搬送され、搬送シュート53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Pは一旦停止され、トナー像が担持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Pの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22がバックアップロール25に押圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Pは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22とバックアップロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に担持された未定着トナー像は、二次転写ロール22とバックアップロール25とによって押圧される二次転写部20において、用紙P上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Pは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Pを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱および圧力で定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙載置部に搬送される。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
次に、本実施の形態の画像形成装置に用いられる定着装置60について説明する。図2は本実施の形態の定着装置60の構成を示す側断面図である。定着装置60は、回動部材の一例としての定着ロール61、ベルト部材の一例としてのエンドレスベルト62、およびエンドレスベルト62を介して定着ロール61から押圧される圧力部材の一例としての圧力パッド64により主要部が構成されている。
定着ロール61は、金属製のコア(円筒状芯金)611の周囲に耐熱性弾性体層612、および離型層613を積層して構成された円筒状ロールであり、回転自在に支持されて所定の表面速度で回転する。
定着ロール61の内部には、発熱源として、例えば定格600Wのハロゲンヒータ66が配設されている。一方、定着ロール61の表面には温度センサ69が接触して配置されている。画像形成装置の制御部40は、この温度センサ69による温度計測値に基づいてハロゲンヒータ66の点灯を制御し、定着ロール61の表面温度が所定の設定温度(例えば、175℃)を維持するように調整している。
エンドレスベルト62は、継ぎ目がない無端状のベルトであり、エンドレスベルト62の内部に配置された圧力パッド64とベルトガイド部材63、さらにはエンドレスベルト62の両端部に配置されたエッジガイド部材80(後段の図3参照)によって回動自在に支持されている。そして、ニップ部Nにおいて定着ロール61に対して圧接されるように配置され、定着ロール61に従動して回動する。
ここで、図3はエンドレスベルト62が支持される構成を説明する構成図であり、用紙Pの搬送方向下流側から見た定着装置60の一方の端部領域を示している。
図3に示したように、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65の両端部にエッジガイド部材80が配設されている。エッジガイド部材80は、ニップ部Nとその近傍に対応する部分に切り欠きが形成された円筒状、すなわち断面がC形状のベルト走行ガイド部801、このベルト走行ガイド部801の外側に設けられ、エンドレスベルト62の外径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802、さらにフランジ部802の外側に設けられ、エッジガイド部材80を定着装置60本体に位置決めして固定するための保持部803で構成されている。
そして、エンドレスベルト62の両端部では、ニップ部Nとその近傍を除いて、両端部の内周面がベルト走行ガイド部801の外周面に支持され、エンドレスベルト62はベルト走行ガイド部801の外周面に沿って回動する。したがって、ベルト走行ガイド部801は、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように摩擦係数の小さな材質で形成され、さらには、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成されている。
また、フランジ部802は、ホルダ65の両端部において対向するように配置された両フランジ部802の内側面が、エンドレスベルト62の幅と略一致する間隔を持つように配置されている。そして、エンドレスベルト62が回動する際には、エンドレスベルト62の端部がフランジ部802の内側面に当接することによって、エンドレスベルト62の幅方向への移動(ベルトウォーク)が制限されている。このように、エンドレスベルト62は、エッジガイド部材80によって片寄りが規制されるように支持されている。
また、エンドレスベルト62の両端部を除く長手方向の領域では、エンドレスベルト62は圧力パッド64とベルトガイド部材63とに支持されている(図2も参照)。そして、エンドレスベルト62の両端部を除く領域では、エンドレスベルト62の内周面が圧力パッド64とベルトガイド部材63とに摺擦しながら回動する。
ベルトガイド部材63は、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65に、長手方向に沿って取り付けられている。また、ベルトガイド部材63には、エンドレスベルト62の回転方向に向けて複数のリブが形成され、エンドレスベルト62内周面との接触面積を極力少なくするように構成されている。さらに、ベルトガイド部材63は、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように摩擦係数が低い材質であって、かつ、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率が低い材質で形成されている。具体的にはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やポリフェニレンサルファイド(PPS)等の耐熱性樹脂が用いられる。
次に、圧力パッド64は、エンドレスベルト62の内側において金属製のホルダ65に支持されている。そして、エンドレスベルト62を介して定着ロール61に押圧される状態で配置され、定着ロール61との間でニップ部Nを形成している。圧力パッド64は、ニップ部Nの入口側(上流側)に、幅の広いニップ部Nを確保するためのプレニップ部材64aを配置している。また、ニップ部Nの出口側(下流側)には、定着ロール61表面を局所的に押圧することで、トナー像表面を平滑化して画像光沢を付与するとともに、定着ロール61表面に歪み(凹み)を与えて用紙Pにダウンカールを形成し、用紙Pを定着ロール61表面から剥離するための剥離ニップ部材64bを配置している。
さらに、圧力パッド64には、エンドレスベルト62の内周面と圧力パッド64との摺動抵抗を小さくするために、エンドレスベルト62と接する面に摺擦部材の一例としての低摩擦シート68が設けられている。
低摩擦シート68は、ニップ部Nの上流側端部が低摩擦シート固定部材68aによってホルダ65に固定されている。そして、エンドレスベルト62の回動方向に沿って、圧力パッド64とエンドレスベルト62内周面との間に挟持された状態で、ニップ部Nの全域に亘って配設されている。なお、低摩擦シート68のニップ部N下流側は、低摩擦シート68に歪みが生じないように、固定されず自由端(フリー)の状態に設定されている。そして、低摩擦シート68は、ニップ部Nにおいて圧力パッド64と定着ロール61との間に押圧力が印加されている状態の下で、エンドレスベルト62内周面と圧力パッド64との摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減している。
このような構成において、定着ロール61は、図示しない駆動モータに連結されて矢印C方向に回転し、この回転に従動してエンドレスベルト62も定着ロール61と同じ方向に回動する。図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって導かれて、ニップ部Nに搬送される。そして、用紙Pがニップ部Nを通過する際に、用紙P上のトナー像はニップ部Nに作用する圧力と、定着ロール61から供給される熱とによって定着される。本実施の形態の定着装置60では、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹形状のプレニップ部材64aによりニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
なお、ニップ部Nの下流側近傍には、剥離ニップ部材64bによって定着ロール61から剥離された用紙Pを完全に定着ロール61から分離し、画像形成装置の排出部へ向かう排紙通路に誘導するための剥離補助部材70が配設されている。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ロール61と近接する状態でバッフルホルダ72によって保持されている。
次に、定着装置60を構成する各部材について詳細に述べる。まず定着ロール61では、コア(基材)611は、鉄、アルミニウム、SUS等の熱伝導率の高い金属で形成された、例えば外径30mm、肉厚1.8mm、長さ360mmの円筒体で構成されている。
耐熱性弾性体層612は、耐熱性の高い弾性体で構成され、特に、ゴム硬度が15〜45°(JIS−A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体を用いるのが好ましい。具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。本実施の形態の定着装置60では、ゴム硬度が35°(JIS−A)のシリコーンHTVゴムを600μmの厚さでコア611に被覆している。
離型層613には、例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂等の耐熱性樹脂が用いられるが、トナーに対する離型性や耐摩耗性の観点から、フッ素樹脂が適している。フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等が使用できる。離型層613の厚さは、5〜30μmが好ましい。本実施の形態の定着装置60では、厚さ30μmのPFAを被覆し、表面を鏡面状態に近く仕上げている。
エンドレスベルト62は、出力画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じないように、原形が円筒形状に形成された継ぎ目がない無端ベルトであり、ベース層と、このベース層の定着ロール61側の面(外周面)または両面に被覆された離型層(表面層)とから構成されている。ベース層は、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂等のポリマーが耐熱性、機械特性等の観点から好適に用いられる。その厚さは、30〜200μm、好ましくは50〜125μm、より好ましくは75〜100μm程度に設定される。
ベース層の表面に被覆される離型層(表面層)としては、フッ素樹脂が用いられる。ここで、フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。特に耐熱性、機械特性等の観点から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が好適に用いられる。その厚さは5〜100μm、好ましくは10〜30μm程度に設定される。
本実施の形態の定着装置60では、周長94mm、厚さ75μm、幅320mmの熱硬化性ポリイミドからなるベース層に、厚さ30μmのPFAからなる離型層を積層した構成のエンドレスベルト62を用いている。
エンドレスベルト62の内部に配置された圧力パッド64は、上述したように、プレニップ部材64aと剥離ニップ部材64bとで構成され、バネや弾性体によって定着ロール61を、例えば35kgfの荷重で押圧するようにホルダ65に支持されている。プレニップ部材64aには、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性体や板バネ等を用いることができ、定着ロール61側の面は、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹状曲面で形成されている。本実施の形態の定着装置60では、幅10mm、厚さ5mm、長さ320mmのシリコーンゴムを用いている。
剥離ニップ部材64bは、PPS、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂、または鉄、アルミニウム、SUS等の金属で形成されている。剥離ニップ部材64bの形状としては、ニップ部Nにおける外面形状が一定の曲率半径を有する凸状曲面に形成されている。
そして、本実施の形態の定着装置60では、エンドレスベルト62は、圧力パッド64により定着ロール61に約40°の巻き付き角度でラップされ、約10mm幅のニップ部Nを形成している。
さらに、ホルダ65には、定着装置60の長手方向に亘って潤滑剤塗布部材67が配設されている。潤滑剤塗布部材67は、エンドレスベルト62内周面に対して接触するように配置され、潤滑剤を適量供給する。これにより、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との摺動部に潤滑剤を供給し、低摩擦シート68を介したエンドレスベルト62と圧力パッド64との摺動抵抗をさらに低減して、エンドレスベルト62の円滑な回動を図っている。また、エンドレスベルト62の内周面や低摩擦シート68表面の摩耗を抑制する効果も有している。
なお、潤滑剤としては、定着温度環境下での長期使用に対する耐久性を有し、かつ、エンドレスベルト62内周面との濡れ性を維持できるものが適している。例えば、シリコーンオイルやフッ素オイル等の液体状のオイルや、固形物質と液体とを混合させた合成潤滑油グリース等、さらにはこれらを組み合わせたものを用いることができる。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、有機金属塩添加ジメチルシリコーンオイル、ヒンダードアミン添加ジメチルシリコーンオイル、有機金属塩およびヒンダードアミン添加ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、有機金属塩添加アミノ変性シリコーンオイル、ヒンダードアミン添加アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、シラノール変性シリコーンオイル、スルホン酸変性シリコーンオイル等を用いることもできる。また、フッ素オイルとしては、パーフルオロポリエーテルオイル、変性パーフルオロポリエーテルオイルを用いることもできる。本実施の形態の定着装置60では、アミノ変性シリコーンオイルを用いている。
続いて、エンドレスベルト62の内周面の表面形状について説明する。
本実施の形態の定着装置60では、エンドレスベルト62の内周面には、微細凹凸が形成されている。このようにエンドレスベルト62の内周面に微細凹凸を形成することにより、エンドレスベルト62の内周面と低摩擦シート68との接触面積を低減することができる。また、エンドレスベルト62内周面における潤滑剤の保持能力を向上させることができる。その結果、エンドレスベルト62と低摩擦シート68とは、潤滑剤を安定的に保持しながら、小さな接触面積で摺動するので、エンドレスベルト62と圧力パッド64との摺動抵抗を低い状態に保つことが可能となる。
上述したように、トナー像が静電転写された用紙Pが定着装置60のニップ部Nを通過することによってトナー像が用紙Pに定着されるが、用紙Pがニップ部Nを通過する際の搬送力は、駆動側の定着ロール61から受けている。すなわち、用紙Pは、定着ロール61の回転に伴い、定着ロール61から摩擦力を受けることによって搬送されている。
一方、ニップ部Nに用紙Pが搬送されていない状態では、従動側のエンドレスベルト62も定着ロール61から摩擦力を受けることによって回動しているが、ニップ部Nに用紙Pが搬送され、用紙Pがニップ部Nに挟持されている状態では、エンドレスベルト62は用紙Pを介して定着ロール61から搬送力を受けている。したがって、用紙P側から捉えるとすると、用紙Pがニップ部Nを通過する際には、用紙Pには、定着ロール61からの搬送力が働くと同時に、エンドレスベルト62側から搬送方向とは逆方向の力(逆搬送力)が作用することとなる。
したがって、仮にエンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗が増加した場合には、エンドレスベルト62の回動が円滑でなくなるために、用紙Pはエンドレスベルト62から逆搬送力を受けることとなる。その場合には、用紙Pの搬送が定着ロール61の回動に追随できなくなって、用紙Pと定着ロール61との間でスリップが発生する。
特に、ニップ部Nにおいては、定着ロール61の外径が中央部から両端部にかけて大きく形成された所謂フレア形状で構成されたり、剥離ニップ部材64bと定着ロール61との間の押圧力が中央部から両端部にかけて大きくなるように設定されることによって、常に用紙Pに対し中央部から両端部に向かって幅方向の力が作用するように構成されている。そして、この幅方向に向かう力が、用紙Pを両幅方向に引っ張ることで、用紙Pに紙しわが生じるのを抑制している。ところが、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗が増加して、用紙Pが定着ロール61の搬送に追随できなくなってスリップすると、このような用紙Pの幅方向に作用する力のバランスが崩れることとなり、用紙Pに紙しわや画像ずれを生じさせる結果を招いてしまう。
そこで、本実施の形態の定着装置60では、エンドレスベルト62の内周面に微細凹凸を形成し、エンドレスベルト62と圧力パッド64との摺動抵抗を低い状態に保っている。その結果、用紙Pを定着ロール61と等速に安定して搬送することが可能となり、画像ずれや用紙Pへの紙しわの発生が抑えられる。
ここで、エンドレスベルト62の内周面に形成される微細凹凸の作用について、さらに詳細に述べる。まず、上述したように、潤滑剤塗布部材67は、エンドレスベルト62内周面に接触するように配置され、アミノ変性シリコーンオイル等の潤滑剤をエンドレスベルト62内周面に対し常時供給している。
エンドレスベルト62の移動に伴う潤滑剤塗布部材67との接触により、潤滑剤塗布部材67からエンドレスベルト62内周面の全面に亘って塗布された潤滑剤は、エンドレスベルト62内周面に形成された微細凹凸のうち、主として凹部に保持される。潤滑剤は表面張力により互いに集まって一つの集合としてまとまろうとするので、凹部においては、潤滑剤がそれぞれ微小な集合となって安定的に保持されることとなる。
また、エンドレスベルト62内周面と潤滑剤塗布部材67との接触に際して、潤滑剤塗布部材67と微細凹凸の凸部との接触によって潤滑剤が均されるので、余分な潤滑剤は潤滑剤塗布部材67に回収することができる。そのため、凹部における潤滑剤の保持量は略一定量に制御され、エンドレスベルト62内周面の全面に亘って潤滑剤を均一に保持することが可能となる。
また、このようにエンドレスベルト62の内周面が微細な凹凸形状に形成されると、ニップ部Nにおいては、エンドレスベルト62の内周面のうち微細凹凸の凸部において低摩擦シート68の摺擦面と接触することとなる。そのため、エンドレスベルト62の内周面と低摩擦シート68との接触面積は小さなものとなる。さらには、ニップ部Nでは、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間には押圧力が作用していることから、微細凹凸の凹部に保持された潤滑剤はこの押圧力によって一部が押し出され、微細凹凸の凸部に潤滑剤を供給する。したがって、エンドレスベルト62内周面と低摩擦シート68の摺擦面との接触では、微細凹凸の凸部が潤滑剤を介して低摩擦シート68と接触する状態が形成される。そのため、ニップ部Nでは、微細凹凸の凸部のみの接触であるため接触面積が低減され、さらにその各接触点においては潤滑剤の被膜が介在するので、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗を極めて小さいものとすることができる。
次に、エンドレスベルト62内周面に形成する微細凹凸の粗さ値について、エンドレスベルト62内周面が低摩擦シート68と摺動する際における摺擦音の発生の観点から述べる。
本実施の形態の定着装置60では、ニップ部Nにおいて、圧力パッド64がエンドレスベルト62の内側から定着ロール61を押圧するように構成されているために、エンドレスベルト62の内周面に形成された微細凹凸と低摩擦シート68の摺擦面との間に摺擦振動が発生して、これが摺擦音となる。このような摺擦音は、エンドレスベルト62がニップ部Nを抜け出し、ニップ部Nでの押圧力から解放される際に発生することが観察されていることから、エンドレスベルト62の移動方向に向けた内周面の表面粗さ値が振動の大きさに影響を与えることが判明している。そして、この表面粗さ値が所定値を超えると摺擦音が許容値以上となって、所謂「エコマーク基準」を満たさない状態となる場合がある。
したがって、微細凹凸のエンドレスベルト62の移動方向に向けて計測される表面粗さ値は、上記したエンドレスベルト62と低摩擦シート68との摺動抵抗を低い状態に保つと同時に、エンドレスベルト62からの摺擦音を許容値以下とするように、所定の範囲に設定する必要がある。
そこで、本発明者は、実験を重ねた結果、エンドレスベルト62の内周面が、エンドレスベルト62の移動方向に向けて表面粗さを計測した際の表面粗さ曲線において、最大山高さRpと最大谷深さRvとの比(Rp/Rv)が0.5〜1.5の範囲であり、かつ、最大高さRyが1.0〜15.0μmの範囲である場合に、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との摺動抵抗を充分に低い状態に保つことができると同時に、エンドレスベルト62からの摺擦音を許容値以下に低減することができることを見出した。
ここで、最大山高さRpと最大谷深さRv、および最大高さRyの測定においては、表面粗さ形状測定機サーフコム100A(東京精密社製)を用い、測定条件は、JIS−1994規格において、測定種別:粗さ測定、測定長さ:4.0mm、カットオフ波長:0.80mm、測定速度:0.3mm/s、カットオフ種別:ガウシアン、傾斜補正:最小二乗曲線補正とした。
また、図4に表面粗さ曲線を示したが、最大山高さRpとは、評価長さLの範囲において、平均線から最も高い山頂までの高さをいい、最大谷深さRvとは、評価長さLの範囲において、平均線から最も深い谷底までの深さをいう。また、最大高さRyは、最大山高さRpと最大谷深さRvとを足した値(Ry=Ry+Rv)をいう。
以下、実施例およびこれに対する比較例に基づき、本実施の形態のエンドレスベルト62の内周面に形成される微細凹凸の粗さ値について、そのエンドレスベルト62と低摩擦シート68との摺動抵抗および摺擦音に与える効果と対比させながら具体的に説明する。なお、本実施の形態のエンドレスベルト62は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリイミド前駆体溶液としては、ポリイミド前駆体のN−メチルピロリドン溶液(商品名:Uワニス/宇部興産(株)製、固形分濃度:18%、粘度:約5Pa・s)を用い、これを内径80mm、高さ600mmの円筒容器からなる塗布槽に満たした。
また、円筒状芯体としては、外径30mm、長さ500mmのアルミニウム製円筒金型であって、その表面をブラスト加工することにより、円筒状芯体表面の表面粗さを、最大山高さRp=2.4μm、最大谷深さRv=2.5μm、最大高さRy=4.9μmに形成したものを用いた。なお、ブラスト処理としては、サンドブラストやガラスビーズブラスト等によって、定形、不定形の微細凹凸を形成することができる。
そして、この表面に脱型補助剤であるシリコーン系離型剤KS700(信越化学(株)製)を塗布し、300℃にて1時間の焼き付け処理を実施して被塗布金型とした。
その後、被塗布金型上に、上述した塗布槽においてポリイミド前駆体溶液をコートし、さらに100℃にて1時間乾燥した後に、フッ素樹脂分散液710CL(三井デュポンフロロケミカル(株)製)をコートした。
被塗布金型上にコートされたポリイミド前駆体溶液およびフッ素樹脂分散液は、焼成炉内において60℃にて10分間乾燥された後、380℃まで徐々に加熱され、焼成が行なわれた。そして、常温まで冷却されて、ベルト管状体が形成された。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=2.3μm、最大谷深さRv=2.2μm、最大高さRy=4.5μmであった。したがって、Rp/Rv=1.05であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62とした定着装置60を富士ゼロックス(株)製DocuCenterColor400CPに組み込み、20万枚までのランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかった。また、摺擦音レベルも許容値以下であった。
なお、本発明者の官能試験では、ユーザが不快に感じることがない摺擦音レベルとして、68.0dB以下であれば充分であることが見出されているので、摺擦音レベルが許容値以下とは、68.0dB以下のレベルであることをいう。
(実施例2)
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=5.5μm、最大谷深さRv=6.5μm、最大高さRy=12.0μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=5.0μm、最大谷深さRv=6.0μm、最大高さRy=11.0μmであった。したがって、Rp/Rv=0.83であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかった。また、摺擦音レベルも許容値以下であった。
(実施例3)
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=2.5μm、最大谷深さRv=4.5μm、最大高さRy=7.0μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=2.4μm、最大谷深さRv=4.4μm、最大高さRy=6.8μmであった。したがって、Rp/Rv=0.55であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかった。また、摺擦音レベルも許容値以下であった。
(実施例4)
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=5.0μm、最大谷深さRv=3.3μm、最大高さRy=8.3μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=4.8μm、最大谷深さRv=3.2μm、最大高さRy=8.0μmであった。したがって、Rp/Rv=1.50であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかった。また、摺擦音レベルも許容値以下であった。
(実施例5)
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=9.5μm、最大谷深さRv=5.5μm、最大高さRy=15.0μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=8.1μm、最大谷深さRv=7.4μm、最大高さRy=15.5μmであった。したがって、Rp/Rv=1.09であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかった。一方、摺擦音レベルは許容値を辛うじて満たすレベルであった。
(実施例6)
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=0.5μm、最大谷深さRv=0.5μm、最大高さRy=1.0μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=0.48μm、最大谷深さRv=0.45μm、最大高さRy=0.93μmであった。したがって、Rp/Rv=1.07であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、20万枚のランニング後において、紙しわや画像ずれが軽微ではあるが認められた。一方、摺擦音レベルは許容値以下であった。
(比較例1)
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=0.1μm、最大谷深さRv=0.21μm、最大高さRy=0.31μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=0.08μm、最大谷深さRv=0.2μm、最大高さRy=0.28μmであった。したがって、Rp/Rv=0.40であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、摺擦音レベルは許容値以下であったが、2万枚のランニング後において、紙しわおよび画像ずれが発生した。
(比較例2)
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=9.5μm、最大谷深さRv=5.5μm、最大高さRy=15.0μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=9.1μm、最大谷深さRv=5.4μm、最大高さRy=14.5μmであった。したがって、Rp/Rv=1.68であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかったが、摺擦音レベルは、ランニング初期から68.0dBを超え、問題となるレベルであった。
(比較例3)
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=0.22μm、最大谷深さRv=0.21μm、最大高さRy=0.43μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=0.2μm、最大谷深さRv=0.2μm、最大高さRy=0.4μmであった。したがって、Rp/Rv=1.00であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、摺擦音レベルは許容値以下であったが、5万枚のランニング後において、紙しわおよび画像ずれが発生した。
(比較例4)
円筒状芯体として、その表面をブラスト加工することにより、表面粗さを、最大山高さRp=9.5μm、最大谷深さRv=9.0μm、最大高さRy=18.5μmに形成したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてベルト管状体を得た。
このようにして得られたベルト管状体の内周面の表面粗さは、最大山高さRp=9.0μm、最大谷深さRv=8.6μm、最大高さRy=17.6μmであった。したがって、Rp/Rv=1.05であった。
そして、かかるベルト管状体をエンドレスベルト62として、実施例1と同様のランニング試験を実施した。その結果、ランニング初期および20万枚のランニング後のいずれにおいても、紙しわや画像ずれ等の画像不良はいずれも発生することはなかったが、摺擦音レベルは、ランニング初期から68.0dBを超え、問題となるレベルであった。
以上の実施例および比較例の結果をまとめたものが図5である。図5に示したように、本実施の形態のエンドレスベルト62では、エンドレスベルト62の内周面が、エンドレスベルト62の移動方向に向けて表面粗さを計測した際の表面粗さ曲線において、最大山高さRpと最大谷深さRvとの比(Rp/Rv)が、0.5≦Rp/Rv≦1.5を満たし、かつ、最大高さRy(μm)が1.0≦Ry≦15.0を満たす範囲である場合に、20万枚のランニング試験においても、紙しわや画像ずれ等の画像不良の発生を抑え、かつ摺擦音を許容値以下に低減することができる。
かかる本実施の形態のエンドレスベルト62での効果は、最大山高さRpと最大谷深さRvとの比(Rp/Rv)が0.5≦Rp/Rv≦1.5、および最大高さRy(μm)が1.0≦Ry≦15.0を満たさない比較例との対比によって明確である。
このように、エンドレスベルト62の移動方向に向けて表面粗さを計測した際の表面粗さ曲線において、最大山高さRpと最大谷深さRvとの比(Rp/Rv)が、0.5≦Rp/Rv≦1.5を満たし、かつ、最大高さRy(μm)が1.0≦Ry≦15.0を満たす範囲である場合に、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との摺動抵抗を実用上充分に低い状態に維持し、かつ摺擦音を許容値以下に低減することが可能となるのは、以下の理由に基づくものであると推測される。
まず一般に、最大高さRyを大きくすれば、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗を小さいものとすることができるのに対し、摺擦音は大きくなる傾向にある。その逆に、最大高さRyを小さくすれば、摺擦音を少なくすることができるが、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗は大きくなる傾向にある。かかる点に関しては、経験的にも観察され、また、接触面積および潤滑材の保持能力の観点から当然に推測することができる。
ところが、上記の実施例および比較例の結果は、最大高さRyを所定の範囲内で大きくした場合であっても、最大山高さRpと最大谷深さRvとが、両者ともに大きさが所定の範囲内で同程度であれば、摺擦音は許容値の範囲内に小さく抑えることができることを示していると考えられる。例えば、実施例5と比較例2とを対比すると、両者ともに最大高さRyは15μm程度であるが、Rp/Rv=1.09である実施例5では摺擦音は許容値を満たすのに対し、Rp/Rv=1.68である比較例2では、摺擦音レベルは、ランニング初期から許容値を超えるものとなる。これは、エンドレスベルト62の内周面において、最大山高さRpと最大谷深さRvとがバランスのとれた表面粗さ曲線を形成すれば、最大高さRyが所定の範囲内で大きくても、摺擦音を低減する効果が生じているものと推測できる。そして、摺擦音を許容値に抑えるための最大山高さRpと最大谷深さRvとのバランスの範囲が、0.5≦Rp/Rv≦1.5であることが、上記の実施例および比較例から導かれるのである。
一方、最大山高さRpと最大谷深さRvとの比(Rp/Rv)が0.5≦Rp/Rv≦1.5を満たす場合でも、最大高さRyが所定値よりも小さければ、上述したようにエンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗は大きくなる(比較例3参照)。また、最大高さRyが所定値よりも大きければ、上述したように摺擦音を許容値の範囲内に抑えることができない(比較例4参照)。したがって、最大高さRyは1.0≦Ry≦15.0を満たす必要がある。
このように、最大山高さRpと最大谷深さRvとの比(Rp/Rv)が、0.5≦Rp/Rv≦1.5を満たし、かつ、最大高さRy(μm)が1.0≦Ry≦15.0を満たす範囲である場合に(実施例1〜6参照)、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗を実用上充分に低減することができ、それと同時に、摺擦音を許容値に抑えることが可能となるのである。
以上説明したように、本実施の形態の定着装置60では、エンドレスベルト62の内周面に、エンドレスベルト62の移動方向に向けて計測される表面粗さ値に関して、最大山高さRpと最大谷深さRvとの比(Rp/Rv)が、0.5≦Rp/Rv≦1.5を満たし、かつ、最大高さRy(μm)が1.0≦Ry≦15.0を満たす範囲の微細凹凸を形成している。これにより、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との摺動抵抗を充分に低い状態に保つことができると同時に、エンドレスベルト62からの摺擦音を許容値以下に低減することができる。そのため、エンドレスベルト62は円滑に回動でき、エンドレスベルト62と用紙Pとは長期に亘って等速で回動することが可能となり、その結果、用紙Pは定着ロール61と等速に安定して搬送することができ、紙しわの発生や画像ずれを抑制することができる。それと同時に、摺擦音を許容値に抑えることも可能となる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、加熱手段として発熱源を有する定着ロール61を用い、加圧手段として圧力パッド64が押圧されたエンドレスベルト62を用いた定着装置60が搭載された画像形成装置について説明した。実施の形態2では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱手段として発熱源が押圧された定着ベルトを用い、加圧手段として加圧ロールを用いた定着装置について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図6は、本実施の形態における定着装置90の構成を示す側断面図である。図6に示すように、本実施の形態の定着装置90では、ベルト部材の一例としての定着ベルト92が用紙Pのトナー像担持面側に配置されている。定着ベルト92の内側に発熱源の一例としての抵抗発熱体であるセラミックヒータ82が配設され、セラミックヒータ82からニップ部Nに熱を供給するように構成している。
セラミックヒータ82は、加圧ロール91側の面がほぼフラットに形成されている。そして、定着ベルト92を介して加圧ロール91に押圧される状態で配置され、ニップ部Nを形成している。したがって、セラミックヒータ82は圧力部材としても機能している。ニップ部Nを通過した用紙Pは、ニップ部Nの出口領域(剥離ニップ部)において定着ベルト92の曲率の変化によって定着ベルト92から剥離される。
さらに、定着ベルト92内周面とセラミックヒータ82との間には、定着ベルト92の内周面とセラミックヒータ82との摺動抵抗を小さくするため、摺擦部材の一例としての低摩擦シート68が配設されている。この低摩擦シート68は、セラミックヒータ82と別体に構成しても、セラミックヒータ82と一体的に構成しても、いずれでもよい。
一方、加圧ロール91は定着ベルト92に対向するように配置され、図示しない駆動モータにより矢印D方向に回転し、この回転により定着ベルト92が従動回転するように構成されている。加圧ロール91は、コア (円柱状芯金)911と、コア911の外周面に被覆した耐熱性弾性体層912と、さらに耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による離型層913とが積層されて構成されている。また、本実施の形態の定着装置90では、定着ベルト92は、原形が円筒形状に形成された無端ベルトであり、ベース層と、このベース層の加圧ロール91側の面または両面に被覆された離型層とから構成されている。
また、剥離の補助手段として、定着ベルト92のニップ部Nの下流側に、剥離補助部材70を配設することも可能である。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト92の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ベルト92と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
そして、図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって定着装置90のニップ部Nに導かれる。用紙Pがニップ部Nを通過する際には、用紙P上のトナー像は、ニップ部Nに作用する圧力と、定着ベルト92側のセラミックヒータ82から供給される熱とによって定着される。本実施の形態の定着装置90でも、加圧ロール91とセラミックヒータ82との間でニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
ここで、本実施の形態の定着装置90においては、定着ベルト92の内周面に、定着ベルト92の移動方向に向けて計測される表面粗さ値に関して、最大山高さRpと最大谷深さRvとの比(Rp/Rv)が、0.5≦Rp/Rv≦1.5を満たし、かつ、最大高さRy(μm)が1.0≦Ry≦15.0を満たす範囲の微細凹凸を形成している。これにより、実施の形態1と同様に、定着ベルト92と低摩擦シート68との摺動抵抗を充分に低い状態に保つことができると同時に、定着ベルト92からの摺擦音を許容値以下に低減することができる。そのため、定着ベルト92は円滑に回動でき、定着ベルト92と用紙Pとは長期に亘って等速で回動することが可能となり、その結果、用紙Pは定着ロール61と等速に安定して搬送することができ、紙しわの発生や画像ずれを抑制することができる。それと同時に、摺擦音を許容値に抑えることも可能となる。
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未定着トナー像を定着する定着装置への適用がある。また、インクジェト方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未乾燥インク像を乾燥する定着装置への適用がある。
本発明の画像形成装置を示した概略構成図である。 実施の形態1に係る定着装置の構成を示す側断面図である。 エンドレスベルトが支持される構成を説明する構成図である。 表面粗さ曲線を示した図である。 エンドレスベルトに関する評価結果を示した図である。 実施の形態2に係る定着装置の構成を示す側断面図である。
符号の説明
1Y,1M,1C,1K…画像形成ユニット、11…感光体ドラム、12…帯電器、13…レーザ露光器、14…現像器、15…中間転写ベルト、16…一次転写ロール、17…ドラムクリーナ、20…二次転写部、60,90…定着装置、61…定着ロール、62…エンドレスベルト、63…ベルトガイド部材、64…圧力パッド、64a…プレニップ部材、64b…剥離ニップ部材、65…ホルダ、66…ハロゲンヒータ、67…潤滑剤塗布部材、68…低摩擦シート、681…基材、682…フッ素樹脂層、69…温度センサ、70…剥離補助部材、82…セラミックヒータ、91…加圧ロール、92…定着ベルト

Claims (10)

  1. 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
    回動部材と、
    前記回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、
    前記ベルト部材の内側に配置され、当該ベルト部材を前記回動部材に圧接させて当該回動部材と当該ベルト部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、
    前記ベルト部材は、内周面の表面粗さが、当該ベルト部材の移動方向に向けて測定した表面粗さ曲線にて、最大山高さRp、最大谷深さRv、最大高さRyとして、0.5≦Rp/Rv≦1.5、かつ1.0≦Ry≦15.0(μm)を満たすことを特徴とする定着装置。
  2. 前記ベルト部材と前記圧力部材との間に配設された摺擦部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  3. 前記ベルト部材は、耐熱性樹脂からなる基材と、当該基材の少なくとも前記回動部材側の面に形成されたフッ素樹脂からなる表面層とから構成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  4. 前記ベルト部材に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  5. 前記回動部材を加熱する加熱部材、または前記ベルト部材を加熱する加熱部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  6. 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置に用いられるベルト管状体であって、
    耐熱性樹脂からなる基材と、
    前記基材の少なくとも外周面に形成されたフッ素樹脂からなる表面層とを有し、
    内周面の表面粗さが、周方向に向けて測定した表面粗さ曲線にて、最大山高さRp、最大谷深さRv、最大高さRyとして、0.5≦Rp/Rv≦1.5、かつ1.0≦Ry≦15.0(μm)を満たすことを特徴とするベルト管状体。
  7. 前記基材は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂のうちの、1または複数からなることを特徴とする請求項6記載のベルト管状体。
  8. 前記表面層は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体のうちの、1または複数からなることを特徴とする請求項6記載のベルト管状体。
  9. 前記基材は、側面の表面粗さが、円周方向に測定した表面粗さ曲線にて、最大山高さRp、最大谷深さRv、最大高さRyとして、0.5≦Rp/Rv≦1.5、かつ1.0≦Ry≦15.0(μm)を満たす円筒状金型に、耐熱性樹脂溶解液を塗布することにより形成されたことを特徴とする請求項6記載のベルト管状体。
  10. トナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
    前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを含み、
    前記定着手段は、
    回動部材と、
    前記回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、
    前記ベルト部材の内側に配置され、当該ベルト部材を前記回動部材に圧接させて当該回動部材と当該ベルト部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、
    前記ベルト部材は、内周面の表面粗さが、当該ベルト部材の移動方向に向けて測定した表面粗さ曲線にて、最大山高さRp、最大谷深さRv、最大高さRyとして、0.5≦Rp/Rv≦1.5、かつ1.0≦Ry≦15.0(μm)を満たすことを特徴とする画像形成装置。
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