JP4244837B2 - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4244837B2
JP4244837B2 JP2004087109A JP2004087109A JP4244837B2 JP 4244837 B2 JP4244837 B2 JP 4244837B2 JP 2004087109 A JP2004087109 A JP 2004087109A JP 2004087109 A JP2004087109 A JP 2004087109A JP 4244837 B2 JP4244837 B2 JP 4244837B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
belt
endless belt
fixing
image forming
roll
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004087109A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005274888A (ja
Inventor
孝浩 岡安
洋介 堤
健司 中戸川
仁 岡崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd, Fujifilm Business Innovation Corp filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2004087109A priority Critical patent/JP4244837B2/ja
Publication of JP2005274888A publication Critical patent/JP2005274888A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4244837B2 publication Critical patent/JP4244837B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

本発明は、定着装置等に関し、より詳しくは例えば電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられる定着装置等に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、例えばドラム状に形成された感光体(感光体ドラム)を一様に帯電し、この感光体ドラムを画像情報に基づいて制御された光で露光して感光体ドラム上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像をトナーによって可視像(トナー像)とし、さらにこのトナー像を記録紙に転写し、これを定着装置によって定着して画像形成している。
かかる画像形成装置に用いられる定着装置においては、図9に示したように、円筒状の芯金111の内部に発熱源113を備え、その芯金111の外周面に離型層112が形成された定着ロール110と、この定着ロール110に対して圧接配置され、芯金121の外周面に耐熱性弾性体層122、および耐熱性樹脂被膜あるいは耐熱性ゴム被膜による離型層123が形成された加圧ロール120とで構成されている。そして、定着ロール110と加圧ロール120との間に、未定着トナー像を担持した記録紙を通過させて、未定着トナー像に対して加熱と加圧とを行うことによって、記録紙にトナー像を定着している。このような定着装置は、加熱ロール方式と呼ばれて、一般に広く利用されている。
ところで、加熱ロール方式の定着装置において高速化を図ろうとする場合には、トナーと記録紙に充分な熱量を供給するために、ニップ幅を定着速度に比例して広くすることが必要となる。ニップ幅を広くする方法として、定着ロールと加圧ロールとの間の荷重を大きくする方法や、弾性体の厚さを厚くする方法、さらにはロール径を大きくする方法がある。
しかし、荷重を大きくする方法や、弾性体の厚さを厚くする方法では、ロールの撓みに起因するニップ幅の形状がロール軸に沿って不均一になることから、定着むらや紙しわが発生する等といった画像品質上の問題が生じる。また、ロール径を大きくする方法では、装置の大型化を招くとともに、ロールを室温から定着可能温度に上昇させるまでの時間(ウォームアップタイム)が長くなるという問題がある。
そこで、これらの問題を解消して、画像形成装置の高速化に対応した定着装置を実現するべく、本出願人は、表面が弾性変形する回転可能な定着ロールと、この定着ロールに接触したまま走行可能なエンドレスベルトと、このエンドレスベルトの内側に非回転状態で配置された圧力パッドとを具備し、圧力パッドによって、定着ロールとの接触面が形成されるようにエンドレスベルトを定着ロールに圧接させ、エンドレスベルトと定着ロールとの間にシートを通過させることができるようにベルトニップを設けるとともに、定着ロールの表面のうち、シートの出口側を局部的に弾性変形させるように構成した定着装置に関する技術を提案している(例えば、特許文献1参照)。
かかる特許文献1に記載した定着装置(「ベルトニップ方式」という。)では、従来の加熱ロール方式の定着装置における加圧ロールに代え、圧力パッドを用いてエンドレスベルトを定着ロールに圧接させている。このような構成を採用することにより、定着ロールとエンドレスベルトとによって形成されるベルトニップの幅が従来の定着ロールと加圧ロールとのロールニップの幅よりも容易に大きくすることができるので、高速化対応が可能となり、しかも装置の小型化を図ることも容易である。
特に、定着ロールに圧接させるエンドレスベルトの熱容量が小さく、さらに圧力パッドが非回転状態で配置されているために定着ロールから伝達される熱も発散され難い。そのため、定着ロールの回転が開始されても、定着ロールからエンドレスベルト側に奪われる熱量は少なく、熱をトナーの溶融に利用する効率を高めるとともに、ベルトニップでの温度低下量も小さいことから、トナーの定着性の向上を図ることができるという利点を有している。
特許第3298354号公報(第4-7頁)
ところで、圧力部材によってエンドレスベルトを定着ロールに圧接させるベルトニップ方式の定着装置においては、圧力部材によりエンドレスベルトを定着ロールに圧接させるに際して、圧力部材とエンドレスベルトとの間の滑り性を確保するために、両者の間に潤滑剤を塗布したり、さらには圧力部材上に低摩擦部材を配置し、この低摩擦部材とエンドレスベルトとの摺擦面に潤滑剤を塗布することで、圧力部材とエンドレスベルトとの摺動抵抗の低減を図っている。
しかしながら、圧力部材とエンドレスベルトとの間の摺動部に潤滑剤を供給するに際しては、摺動部の上流側でエンドレスベルトの内周面に潤滑剤を塗布し、エンドレスベルトの回動に伴って摺動部まで搬送する方法をとる場合が多いが、その際にエンドレスベルトの内周面に潤滑剤を安定的に保持させることが難しいため、摺動部に対して充分な潤滑剤を長期に亘って安定して供給することが困難であった。
また、圧力部材とエンドレスベルトとの間は加圧されているために、エンドレスベルトと、低摩擦部材を介した圧力部材との摺動部では、エンドレスベルトが移動するのに伴って、塗布された潤滑剤を摺動部から押し出す力が作用し、この摺動部において潤滑剤を安定して保持することが難しいという問題もあった。
そのために、圧力部材とエンドレスベルトとの接触抵抗(摺動抵抗)の増加が生じて、エンドレスベルトの動きが定着ロールの回転に対応し難くなる結果、記録紙の搬送が良好でなくなり、紙しわや画像ずれ等の画像不良を生じさせる可能性があった。
そこで本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、定着装置におけるエンドレスベルトの内周面での潤滑剤の保持能力を高め、エンドレスベルトの摺動性を向上させることにある。
かかる目的のもと、本発明の定着装置は、記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、回動可能な回動部材と、回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、ベルト部材の内側に配置され、ベルト部材を回動部材に圧接させて回動部材とベルト部材との間に記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、ベルト部材は、内周面が多数の細孔からなる多孔質構造にて形成されたことを特徴としている。
ここで、ベルト部材は、エンドレスベルトの少なくとも内周面側内部に繊維状フィラーまたは繊維織布が充填されて形成された構成とすることができる。また、ベルト部材は、エンドレスベルトの内周面に、繊維状フィラーまたは繊維織布を含む樹脂膜が被覆された構成とすることもできる。その場合に、繊維状フィラーまたは繊維織布の繊維径が1000デニール以下であることを特徴とすることもできる。さらに、繊維状フィラーまたは繊維織布がフッ素樹脂で形成されたことを特徴とすることもできる。
また、ベルト部材は、外表面に離型層をさらに備えた構成とすることができる。さらには、回動部材を加熱する加熱部材、またはベルト部材を加熱する加熱部材をさらに備えたことを特徴とすることもできる。
また、本発明をベルトとして捉え、本発明のベルトは、円筒状のベース層と、ベース層の内周面に形成された多数の細孔を有する多孔質層とを備えたことを特徴としている。
ここで、多孔質層は、ベース層の少なくとも内周面側内部に耐熱性の繊維状フィラーまたは繊維織布が充填されて形成された構成とすることができる。また、多孔質層は、繊維状フィラーまたは繊維織布を含む樹脂膜で形成された構成とすることもできる。
さらには、ベース層は、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾールのいずれかにより形成されたことを特徴とすることができる。
さらに、本発明を画像形成装置として捉え、本発明の画像形成装置は、トナー像を形成するトナー像形成手段と、トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、記録材上に転写されたトナー像を記録材に定着する定着手段とを含み、定着手段は、回動可能な回動部材と、回動部材に接触しながら移動可能であって、内周面が多数の細孔からなる多孔質構造にて形成されたベルト部材と、ベルト部材の内側に配置され、ベルト部材を回動部材に圧接させて回動部材とベルト部材との間に記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材と、ベルト部材の内周面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部材とを備えたこと特徴としている。
本発明の効果として、定着装置におけるエンドレスベルトの摺動性を向上させることより記録紙の搬送性能が安定し、長期に亘り紙しわや画像ずれ等の発生を抑えて高品質な画像を形成することが可能となった。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1K、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
本実施の形態において、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム11の周囲に、これらの感光体ドラム11を帯電する帯電器12、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17、などの電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は106〜1014Ωcmとなるように形成されており、その厚みは例えば0.1mm程度に構成されている。中間転写ベルト15は、各種ロールによって図1に示すB方向に所定の速度で循環駆動(回動)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回動させる駆動ロール31、各感光体ドラム11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能するテンションロール33、二次転写部20に設けられるバックアップロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニングバックアップロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5〜108.5Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に圧接配置され、さらに一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール22と、バックアップロール25とによって構成される。バックアップロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRとのブレンドゴムのチューブ、内部がEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10〜1010Ω/□となるように形成され、硬度は例えば70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極をなし、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が当接配置されている。
一方、二次転写ロール22は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5〜108.5Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙P上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
さらに、本実施の形態の画像形成装置では、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙トレイ50、この用紙トレイ50に集積された用紙Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール51、ピックアップロール51により繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Pを二次転写部20へと送り込む搬送シュート53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Pを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Pを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。図1に示すような画像形成装置では、図示しない画像読取装置(IIT)や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置(IPS)により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。IPSでは、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体ドラム11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C、1Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが当接する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、用紙搬送系では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせてピックアップロール51が回転し、用紙トレイ50から所定サイズの用紙Pが供給される。ピックアップロール51により供給された用紙Pは、搬送ロール52により搬送され、搬送シュート53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Pは一旦停止され、トナー像が担持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Pの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22がバックアップロール25に押圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Pは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22とバックアップロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に担持された未定着トナー像は、二次転写ロール22とバックアップロール25とによって押圧される二次転写部20において、用紙P上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Pは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Pを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱および圧力で定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙載置部に搬送される。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
次に、本実施の形態の画像形成装置に用いられる定着装置60について説明する。図2は本実施の形態の定着装置60の構成を示す側断面図である。定着装置60は、回動部材の一例としての定着ロール61、ベルト部材の一例としてのエンドレスベルト62、およびエンドレスベルト62を介して定着ロール61から押圧される圧力部材の一例としての圧力パッド64により主要部が構成されている。
定着ロール61は、金属製のコア(円筒状芯金)611の周囲に耐熱性弾性体層612、および離型層613を積層して構成された円筒状ロールであり、回転自在に支持されている。
定着ロール61の内部には、発熱源としてのハロゲンヒータ66が配設されている。一方、定着ロール61の表面には温度センサ69が接触して配置されている。画像形成装置の制御部40は、この温度センサ69による温度計測値に基づいてハロゲンヒータ66の点灯を制御し、定着ロール61の表面温度が所定の設定温度(例えば、150℃)を維持するように調整している。
エンドレスベルト62は、エンドレスベルト62の内部に配置された圧力パッド64とベルトガイド部材63、さらにはエンドレスベルト62の両端部に配置されたエッジガイド80(後段の図3参照)によって回動自在に支持されている。そして、ニップ部Nにおいて定着ロール61に対して圧接されるように配置されている。
ここで、図3はエンドレスベルト62が支持される構成を説明する断面構成図であり、用紙Pの搬送方向下流側から見た定着装置60の一方の端部領域を示している。
図3に示すように、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65の両端部にエッジガイド80が固設されている。エッジガイド80は、ニップ部Nとその近傍に対応する部分に切り欠きが形成された円筒状、すなわち断面がC形状のベルト走行ガイド部801、このベルト走行ガイド部801の外側に設けられ、エンドレスベルト62の内径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802、さらにフランジ部802の外側に設けられ、エッジガイド80を定着装置60本体に位置決めして固定するための保持部803で構成されている。
そして、エンドレスベルト62は、ニップ部Nとその近傍を除いて、両側部の内周面がベルト走行ガイド部801の外周面に支持され、ベルト走行ガイド部801の外周面に沿って回動する。したがって、ベルト走行ガイド部801は、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように摩擦係数の小さな材質で形成され、さらには、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成されている。
また、フランジ部802は、ホルダ65の両端部において対向するように配置された両フランジ部802の内側面が、エンドレスベルト62の幅と略一致する間隔を持つように配置されている。そして、エンドレスベルト62が回動する際には、エンドレスベルト62の端部がフランジ部802の内側面に当接することによって、エンドレスベルト62の幅方向への移動(ベルトウォーク)が制限されている。このように、エンドレスベルト62は、エッジガイド80によって片寄りが規制されるように支持されている。
また、エンドレスベルト62の両端部を除く長手方向の領域では、エンドレスベルト62は圧力パッド64とベルトガイド部材63とに支持されている(図2も参照)。そして、エンドレスベルト62の両端部を除く領域では、エンドレスベルト62の内周面が圧力パッド64とベルトガイド部材63とに摺擦しながら回動する。
ベルトガイド部材63は、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65に取り付けられ、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように、摩擦係数の小さな材質で形成されている。また、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成するのが好ましい。
次に、圧力パッド64は、エンドレスベルト62の内側において、エンドレスベルト62を介して定着ロール61に押圧される状態で配置され、定着ロール61との間でニップ部Nを形成している。圧力パッド64は、幅の広いニップ部Nを確保するためのプレニップ部材64aをニップ部Nの入口側に配置し、定着ロール61に歪み(凹み)を与えるための剥離ニップ部材64bをニップ部Nの出口側に配置している。さらに、エンドレスベルト62の内周面と圧力パッド64との摺動抵抗を小さくするために、プレニップ部材64aおよび剥離ニップ部材64bのエンドレスベルト62と接する面に低摩擦シート68が設けられている。かかる圧力パッド64と低摩擦シート68とは、金属製のホルダ65に支持されている。
そして定着ロール61は、図示しない駆動モータに連結されて矢印C方向に回転し、この回転に従動してエンドレスベルト62も定着ロール61と同じ方向に回動する。図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって導かれて、ニップ部Nに搬送される。そして、用紙Pがニップ部Nを通過する際に、用紙P上のトナー像はニップ部Nに作用する圧力と、定着ロール61から供給される熱とによって定着される。本実施の形態の定着装置60では、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹形状のプレニップ部材64aによりニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
加えて、本実施の形態の定着装置60では、定着ロール61の外周面に対し突出させて剥離ニップ部材64bを配置することにより、ニップ部Nの出口領域(剥離ニップ部)において定着ロール61表面に配置された耐熱性弾性体層612および離型層613に歪み(凹み)が局所的に大きく形成されるように構成している。このように剥離ニップ部材64bを配置すれば、定着後の用紙Pは、剥離ニップ部を通過する際に、局所的に大きく形成された凹みを通過することになるので、この凹みによって用紙Pにはダウンカールが形成され、定着ロール61に巻き付くことのない用紙Pの剥離を効果的に行うことができる。
特に、定着ロール61の凹みを局所的に大きくすることによって、小さい凹み量で高い剥離性能を得ることが可能となる。そのため、定着ロール61の離型層613として、薄膜の耐熱性樹脂を用いた場合においても、用紙Pにおける紙しわの発生を抑制することができる。また、耐熱性弾性体層612と離型層613との間の剥がれ等も発生し難く、剥離性能の維持と併せて長期に亘る部品性能の信頼性を向上させることができる。
さらには、定着ロール61の凹みを局所的に大きくすることによって定着ロール61の凹み量を小さく形成できるので、定着ロール61の耐熱性弾性体層612を薄肉化することができる。そのため、定着ロール61の熱容量を小さく構成できるので、ウォームアップタイムを短くするとともに、消費電力の低減を図ることもできる。また、熱伝導率の低い耐熱性弾性体層612を薄肉化できるため、定着ロール61の内面と外面との間の熱抵抗が小さくなって熱応答性の向上を図れるため、画像形成装置の高速化にも適している。
また、ニップ部Nの下流側近傍には、剥離ニップ部材64bによって定着ロール61から剥離された用紙Pを完全に定着ロール61から分離し、画像形成装置の排出部へ向かう排紙通路に誘導するための剥離補助部材70が配設されている。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ロール61と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
次に、定着装置60を構成する各部材について詳細に述べる。まず定着ロール61では、コア(基材)611は、鉄、アルミニウム、SUS等の熱伝導率の高い金属で形成された外径25mm、長さ350mmの円筒体で構成されている。
耐熱性弾性体層612は、耐熱性の高い弾性体で構成され、特に、硬度が15〜45°(JIS−A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体を用いるのが好ましい。具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。
離型層613には、例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂等の耐熱性樹脂が用いられるが、トナーに対する離型性や耐摩耗性の観点から、フッ素樹脂が適している。フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等が使用できる。離型層613の厚みは、好ましくは5〜30μm、より好ましくは10〜20μmに構成している。
エンドレスベルト62の内部に配置された圧力パッド64は、上述したように、プレニップ部材64a、剥離ニップ部材64bで構成され、バネや弾性体によって定着ロール61を付勢するようにホルダ65に支持されている。プレニップ部材64aには、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性体や板バネ等を用いることができ、定着ロール61側の面は、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹形状で形成されている。
剥離ニップ部材64bは、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂、または鉄、アルミニウム、SUS等の金属で形成されている。剥離ニップ部材64bの形状としては、ニップ部Nにおける外面形状が一定の曲率半径を有する凸曲面状に形成されている。
低摩擦シート68は、エンドレスベルト62内周面と圧力パッド64との摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減するために圧力パッド64のエンドレスベルト62内周面側に設けられ、摩擦係数が小さく、耐摩耗性・耐熱性に優れた材質が適している。具体的には、シンタード成型したPTFE樹脂シート、テフロン(登録商標)を含浸させたガラス繊維シート、またガラス繊維にフッ素樹脂からなるスカイブフィルムシートを加熱融着サンドした積層シート、FEPフィルム、ポリイミドフィルム等を用いることができる。
なお、低摩擦シート68は、表面に孔部がなく浸潤性のない材質で形成されることが望ましい。低摩擦シート68を表面に孔部がなく浸潤性のない材質で形成することで、潤滑剤が低摩擦シート68に滲みこむことを抑制できるので、摺動部において潤滑剤が失われず、潤滑剤の安定的な維持を可能とする。また、潤滑剤がプレニップ部材64aに浸み込んで膨潤し、ニップ圧が低下することを防ぐこともできる。
ここで、低摩擦シート68は、圧力パッド64のエンドレスベルト62内周面側に配置される構成であれば、低摩擦シート68を圧力パッド64と別体に構成しても、圧力パッド64と一体的に構成しても、いずれでもよい。
また、ホルダ65に配設されたベルトガイド部材63は、上述したように、エンドレスベルト62の内周面と摺擦するため、摩擦係数が低く、かつ、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率が低い材質が適しており、PFAやPPS等の耐熱性樹脂が用いられる。
さらに、ホルダ65には、定着装置60の長手方向に亘って潤滑剤供給部材67が配設されている。潤滑剤供給部材67は、エンドレスベルト62内周面に対して接触するように配置され、潤滑剤を適量供給する。これにより、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との摺動部に潤滑剤を供給し、低摩擦シート68を介したエンドレスベルト62と圧力パッド64との摺動抵抗をさらに低減して、エンドレスベルト62の円滑な回動を図っている。また、エンドレスベルト62の内周面や低摩擦シート68表面の摩耗を防止する効果も有している。なお、潤滑剤供給部材67を設けず、予めエンドレスベルト62内周面に潤滑剤を塗布しておくこともできる。
ここで、潤滑剤としては、定着温度環境下での長期使用に対する耐久性を有し、かつ、エンドレスベルト62内周面との濡れ性を維持できるものが適している。例えば、シリコーンオイルやフッ素オイル等の液体状のオイルや、固形物質と液体とを混合させたグリース等、さらにはこれらを組み合わせたものを用いることができる。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、シラノール変性シリコーンオイル、スルホン酸変性シリコーンオイル等が挙げられるが、摺動抵抗を低減させる効果や取り扱い性の観点から、アミノ変性シリコーンオイルが好適である。
続いて、本実施の形態のエンドレスベルト62について説明する。図4は、エンドレスベルト62の構造を示す断面図である。
エンドレスベルト62は、出力画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じないように、原形が直径30mmの円筒形状に形成された継ぎ目のない無端ベルトであり、図4に示すように、ベース層621と、このベース層621の定着ロール61側の面(外表面)に被覆された離型層622と、ベース層621の内周面に形成された多孔質層623とから構成されている。
ベース層621は、熱硬化性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール等の耐熱性樹脂により形成されるが、耐熱性、耐摩耗性、耐薬品性等に優れた熱硬化性ポリイミドが好適である。また、ベース層621の厚みは、30〜200μm、好ましくは50〜100μm程度である。また、上記した耐熱性樹脂同士を配合することにより、より強度の高いエンドレスベルト62を形成することも可能である。その場合には、ベース層621の厚さを薄く構成できるので、エンドレスベルト62のさらなる低熱容量化が可能となる。
ベース層621の外表面側に被覆される離型層622としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が用いられる。特に、離型効果が高いポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好適である。
また、離型層622には、耐摩耗性や静電オフセットの向上のためにフィラーを添加してもよい。かかるフィラーとしては、無機物からなるものが好ましく、特に具体的には、硫酸バリウム、合成マイカ、グラファイト、カーボンブラック等のうち、少なくとも1種類以上が分散されていることが好ましい。
離型層622は、フッ素樹脂のディスパージョン塗料をベース層621に塗布・焼成するか、またはチューブ状のフッ素樹脂フィルムをベース層621に外嵌させる方法により、厚み5〜100μm、好ましくは10〜30μm程度で形成される。離型層622は、エンドレスベルト62の表面にトナーが固着することを防ぐのが目的であり、トナーが付着し易い定着ロール61側の面に配置している。
なお、エンドレスベルト62においては、ベース層621と離型層622との間に弾性層を設けた構成とすることもできる。その際には、弾性層はシリコーンゴム等の弾性体で形成するのが好ましい。弾性層を設けることによって、粉体であるトナーが積層して形成されたトナー像に対して、ニップ部Nにおいてトナー像を押し潰さずに包み込むようになり、トナー像の全体にムラなく熱を供給することができるので、細線や細かなドット状のトナー像を高精細に定着することが可能となる。特に、カラー画像に対しては、4色のトナーを充分に溶解した上で混合できるので、良好な発色性が得られる。したがって、弾性層としては、例えば硬度10°〜30°(JIS−A)程度のシリコーンゴムであれば、100〜600μm程度の厚みとした構成が適している。
次に、ベース層621の内周面側に形成される多孔質層623は、多数の細孔が形成された多孔質構造にて構成されている。具体的には、多孔質層623は多数の繊維が絡み合うように構成され、繊維と繊維との間が細孔を形成している。なお、多孔質層623は、層として明確な境界が形成されている場合や、例えば徐々に繊維の密度が変化するような境界が不明確に形成されている場合を含む概念である。
図5および図6は、多孔質層623の表面を拡大した図であり、図5は、繊維状フィラーによって形成された多孔質層623の表面状態を示し、図6は、樹脂織布によって形成された多孔質層623の表面状態を示している。図5および図6に示したように、多孔質層623においては繊維の網目によって細孔が形成されている。
このような多孔質層623の形成方法としては、ベース層621の少なくとも内周面側内部に繊維状フィラーを充填(内添)して形成する方法や、ベース層621の少なくとも内周面側内部に樹脂織布を埋め込む方法、さらにはポリイミド樹脂に繊維状フィラーを充填(内添)したフィルムをベース層621の内周面側に貼り合せる方法、また、ベース層621の内周面側に樹脂織布を貼り合せる方法等を用いることができる。樹脂織布等を貼り合せる方法では、樹脂織布等を貼り合せる際に、例えば樹脂織布上からベース層621を構成する耐熱樹脂ワニスを塗布して樹脂織布に耐熱樹脂ワニスを滲み込ませ、その後焼成することでベース層621と樹脂織布とを一体化させることができる。それによって、強固な接着力により樹脂織布がベース層621に固着され、多孔質層623とベース層621との間での剥離が生じないようにすることができる。
なお、いずれの形成方法においても、繊維状フィラーや樹脂織布がベース層621の内周面表面上に露出して形成されており、繊維の網目によって細孔が構成された多孔質構造の多孔質層623を形成している。また、ベース層621の全体に繊維状フィラーや樹脂織布を充填して、ベース層621の内周面表面上に繊維状フィラーや樹脂織布が露出するように形成してもよい。
繊維状フィラーや樹脂織布に使用する材質としては、炭素繊維、フッ素樹脂繊維、ガラス繊維、炭化ケイ素繊維、金属等の有機物・無機物が使用できるが、圧力パッド64およびその表面に配置された低摩擦シート68との摺動性を考慮すると、例えばゴアテックス(登録商標)のようなフッ素樹脂繊維が好適である。また、繊維状フィラー、樹脂織布に使用する繊維体として、それ自体が多孔質な繊維を使用することで、確実に安定した細孔構造を形成することが可能となり、多孔質構造形状を得ることができる。例えばフッ素樹脂繊維であれば、樹脂を延伸することで、容易にフィブリル化した多孔質繊維フィラーを得ることが可能であり、多孔質繊維フィラーで空孔が形成されることによって、細孔状態を安定化させた多孔質膜が得られる。なお、フッ素樹脂繊維の製造方法としては、例えば特開平7−102413号や特開平10−46427号等の特許公開公報に開示された方法等の従来公知の方法により製造することができる。
また、繊維状フィラーや樹脂織布の繊維径は、1000デニール以下が好ましい。繊維径が1000デニールを超えると、定着画像に繊維の凹凸がトレースされて、画像不良を生じさせる場合があるからである。加えて、繊維状フィラーや樹脂織布を充填して形成した多孔質層623の強度が低下して脆くなり、ニップ部Nにおいて摺動する際に座屈等の変形が発生する場合があるからである。
さらに、繊維状フィラーや樹脂織布を充填して形成する際のこれら繊維の充填量は、ベース層621の厚さや、上述した多孔質層623の形成方法によっても異なるが、エンドレスベルト62の強度を充分に維持できる充填量とすることが必要である。
このように、ベース層621の内周面側に多孔質層623を形成することにより、エンドレスベルト62の内周面においては、多孔質層623の細孔に潤滑剤を保持させることが可能となり、潤滑剤の保持能力を向上させることができる。
すなわち、潤滑剤供給部材67がエンドレスベルト62内周面に接触するように配置されて、アミン変性シリコーンオイル等の潤滑剤をエンドレスベルト62内周面に対し常時供給している。その際に、エンドレスベルト62の移動に伴う潤滑剤供給部材67との接触により、潤滑剤供給部材67からエンドレスベルト62内周面の全面に亘って潤滑剤が塗布される。塗布された潤滑剤は多孔質層623の細孔に保持されるが、潤滑剤は表面張力により互いに集まって一つの集合としてまとまろうとするので、細孔内で安定的に保持されることとなる。
さらには、エンドレスベルト62内周面と潤滑剤供給部材67との接触に際して、潤滑剤供給部材67と多孔質層623との接触によって潤滑剤が均されるので、余分な潤滑剤を潤滑剤供給部材67に回収することができる。そのため、多孔質層623における潤滑剤の保持量は略一定量に制御することも可能となる。
ところで、上述したように、トナー像が静電転写された用紙Pが定着装置60のニップ部Nを通過することにより、トナー像が用紙Pに定着されるが、用紙Pがニップ部Nを通過する際の搬送力は、駆動側の定着ロール61から受けている。すなわち、用紙Pは、定着ロール61の回転に伴い、定着ロール61から摩擦力を受けることによって搬送されている。
また、ニップ部Nに用紙Pが搬送されていない状態では、従動側のエンドレスベルト62も定着ロール61の回転に伴って定着ロール61から摩擦力を受けることによって回動している。しかし、ニップ部Nに用紙Pが搬送され、用紙Pがニップ部Nに挟持されている状態では、エンドレスベルト62は用紙Pを介して定着ロール61から搬送力を受けている。したがって、用紙P側から捉えると、用紙Pがニップ部Nを通過する際には、用紙Pには定着ロール61からの搬送力を受けるとともに、エンドレスベルト62側から搬送方向とは逆方向の力(逆搬送力)が作用することとなる。
一方、エンドレスベルト62は、ニップ部Nにおいて圧力パッド64が押圧されているために、圧力パッド64からは回動方向とは逆の方向の力が摺動抵抗として作用している。そのため、上述したように、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間には低摩擦シート68を介在させるとともに、潤滑剤供給部材67からエンドレスベルト62の内周面に潤滑剤を塗布して、エンドレスベルト62と圧力パッド64との摺動抵抗を極力低減するように構成している。
したがって、通常状態では、エンドレスベルト62が圧力パッド64から受ける摺動抵抗は極めて小さく、円滑に回動可能であることから、エンドレスベルト62は用紙Pと等速で回動することが可能である。この場合には、用紙Pが受ける逆搬送力は、エンドレスベルト62を介した圧力パッド64からの摺動抵抗であるから、無視できる程度に小さい。そのため、用紙Pは定着ロール61と等速に安定して搬送される。
ところが、エンドレスベルト62の内周面に塗布される潤滑剤量が不安定であると、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との間の摺動部に潤滑剤が適量供給できない状態が生じる。特に、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間には押圧力が作用しているために、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との摺動部では、塗布された潤滑剤を摺動部から押し出す力が作用している。そのため、エンドレスベルト62が回動を重ねるのに伴って、この摺動部からは徐々に潤滑剤量が減少していく傾向があるので、エンドレスベルト62の内周面の潤滑剤量が不安定であると、摺動部において潤滑剤が不充分な状態が発生する。摺動部での潤滑剤量が不充分では、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗が高くなる。
エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗が増加すると、用紙Pがニップ部Nを搬送される際に、用紙Pがエンドレスベルト62を介して圧力パッド64から受ける逆搬送力が無視できなくなる。さらには、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗が過大になると用紙Pに作用する逆搬送力が大きくなり、用紙Pの搬送が定着ロール61の回動に追随できなくなって、用紙Pと定着ロール61との間でスリップが発生する。そのため、用紙Pの円滑な搬送が妨げられ、画像ずれや用紙Pにおける紙しわの原因となる。
特に、ニップ部Nにおいては、定着ロール61の外径を中央部から両端部にかけて大きく形成した、所謂フレアー形状に構成したり、剥離ニップ部材64bと定着ロール61との間の押圧力が中央部から両端部にかけて大きくなるように設定することによって、常に用紙Pには中央部から両端部に向かって幅方向に力が作用するようにして、用紙Pに紙しわが生じるのを防止している。ところが、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗が増加すると、用紙Pが定着ロール61の搬送に追随できなくなり、このような用紙Pの幅方向に作用する力のバランスが崩れてしまう。そのため、用紙Pに紙しわを生じさせたり、さらには画像ずれを生じさせることとなる。
これに対し、本実施の形態の定着装置60では、エンドレスベルト62の内周面に多数の細孔が形成された多孔質層623を形成して、エンドレスベルト62の内周面における潤滑剤の保持能力を向上させている。それによって、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との摺動部において、適量の潤滑剤量を安定して維持することが可能となるので、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗の増加を抑制することができる。その結果、用紙Pを定着ロール61と等速に安定して搬送することが可能となり、画像ずれや用紙Pへの紙しわの発生を抑えることができる。
また、エンドレスベルト62の内周面は多孔質層623の繊維が凸部となった凹凸面となるので、エンドレスベルト62内周面と低摩擦シート68の摺擦面との接触では、この繊維(凸部)と低摩擦シート68の摺擦面とが潤滑剤を介して接触する状態を形成することができる。これにより、ニップ部Nでは、多孔質層623の凸部のみの接触であるため互いの接触面積を減らすことができ、さらにその各接触点においては潤滑剤が介在するので、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗は極めて小さいものとすることができる。
さらには、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間には押圧力が作用しているが、潤滑剤は多孔質層623の細孔に保持されており、多孔質層623の繊維(凸部)によってこの押圧力が直接潤滑剤に作用することがないので、潤滑剤がエンドレスベルト62内周面と低摩擦シート68の摺擦面との摺動部から押し出されることを抑制することもできる。そのため、この摺動部において潤滑剤が失われず、潤滑剤の安定的な維持も可能である。
以下、実施例およびこれに対する比較例に基づき、本実施の形態のエンドレスベルト62を具体的に説明する。なお、本実施の形態のエンドレスベルト62は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
円筒状金属金型として、長さ500mmのアルミニウム製円筒を用い、この円筒状金属金型の表面にシリコーン系離型剤(信越化学(株)製:KS700)を塗布し、焼付け処理を行い、室温まで冷却させて、円筒状金属金型表面の離型処理を行った。次に、円筒状金属金型表面に、繊維径1000デニールの多孔質PTFE樹脂繊維を30%配合したポリイミド前駆体溶液(宇部興産(株)製:UワニスS)をディップコートによって塗布し、焼成して、膜厚10μmの多孔質フッ素樹脂繊維含有ポリイミド樹脂ベルト(多孔質層)を形成した。多孔質フッ素樹脂繊維含有ポリイミド樹脂ベルト上に、充填剤を含有しないポリイミド前駆体溶液(宇部興産(株)製:UワニスS)をフローコート塗布装置によって塗布し、焼成して、厚さ60μmのベース層を形成した。さらにその外層に厚さ30μmのPFAチューブを、プライマーを介して接着して積層させ、エンドレスベルトを作成した。
また、低摩擦シートとしては、粗面化させたFEPフィルムを用いた。さらに、潤滑剤として、エンドレスベルトの内周面(多孔質層)に粘度300csのアミノ変性シリコーンオイルを塗布した。
このポリイミド製エンドレスベルトと低摩擦シートとを、定着装置に搭載し、未定着トナー像を担持した富士ゼロックス(株)製JD紙(商品名)を通紙する試験を行ったところ、20万枚の通紙においても、エンドレスベルトの搬送性能は良好で、用紙Pの紙しわや画像ずれの発生は認められなかった。
(実施例2)
実施例1と同様にして円筒状金属金型表面の離型処理を行った後、円筒状金属金型表面に、繊維径1000デニールの多孔質PTFE樹脂繊維を30%配合したポリイミド前駆体溶液(宇部興産(株)製:UワニスS)をディップコートによって塗布し、焼成して、膜厚80μmの多孔質フッ素樹脂繊維含有ポリイミド樹脂ベルト(ベース層+多孔質層)を形成した。多孔質フッ素樹脂繊維含有ポリイミド樹脂ベルト上に、厚さ30μmのPFAチューブを、プライマーを介して接着して積層させ、エンドレスベルトを作成した。
また、低摩擦シートとしては、粗面化させたFEPフィルムを用いた。さらに、潤滑剤として、エンドレスベルトの内周面(多孔質層)に粘度300csのアミノ変性シリコーンオイルを塗布した。
この場合も、実施例1と同様の通紙試験において、20万枚の通紙においても、エンドレスベルトの搬送性能は良好で、用紙Pの紙しわや画像ずれの発生は認められなかった。
(比較例1)
実施例1と同様にして円筒状金属金型表面の離型処理を行った後、円筒状金属金型表面に、ポリイミド前駆体溶液(宇部興産(株)製:UワニスS)をフローコート塗布装置によって塗布し、焼成して、膜厚80μmのポリイミド樹脂ベルトを形成した。このポリイミド樹脂ベルト上に、厚さ30μmのPFAチューブを、プライマーを介して接着して積層させ、エンドレスベルトを形成した。
また、低摩擦シートとしては、粗面化させたFEPフィルムを用いた。さらに、潤滑剤として、エンドレスベルトの内周面(多孔質層)に粘度300csのアミノ変性シリコーンオイルを塗布した。
このポリイミド製エンドレスベルトと低摩擦シートとを、定着装置に搭載し、未定着トナー像を担持した富士ゼロックス(株)製JD紙(商品名)を通紙する試験を行ったところ、7000枚の通紙を行った時点において、エンドレスベルトの摺動性が悪化し、定着ロールを駆動するモータの駆動トルクが上昇して、定着画像に画像ずれや紙しわが発生した。
(比較例2)
実施例1と同様にして円筒状金属金型表面の離型処理を行った後、円筒状金属金型表面に、繊維径1500デニールの多孔質PTFE樹脂繊維を30%配合したポリイミド前駆体溶液(宇部興産(株)製:UワニスS)をディップコートによって塗布し、焼成して、膜厚80μmの多孔質フッ素樹脂繊維含有ポリイミド樹脂ベルト(ベース層+多孔質層)を形成した。多孔質フッ素樹脂繊維含有ポリイミド樹脂ベルト上に、厚さ30μmのPFAチューブを、プライマーを介して接着して積層させ、エンドレスベルトを作成した。
また、低摩擦シートとしては、粗面化させたFEPフィルムを用いた。さらに、潤滑剤として、エンドレスベルトの内周面(多孔質層)に粘度300csのアミノ変性シリコーンオイルを塗布した。
このポリイミド製エンドレスベルトと低摩擦シートとを、定着装置に搭載し、未定着トナー像を担持した富士ゼロックス(株)製JD紙(商品名)を通紙する試験を行ったところ、1万枚の通紙を行った時点において、エンドレスベルトの摺動性が悪化し、定着ロールを駆動するモータの駆動トルクが上昇して、定着画像に画像ずれや紙しわが発生し始めた。また、試験開始直後から定着画像に繊維跡が発生した。さらに通紙試験を継続したところ、2万枚の通紙を行った時点で、エンドレスベルトの端部に割れが生じて破損した。
(比較例3)
実施例1と同様にして円筒状金属金型表面の離型処理を行った後、円筒状金属金型表面に、エッチングにより親油性を向上した粒径4μmのPTFE粒子を8重量部配合したポリイミド前駆体溶液(宇部興産(株)製:UワニスS)をフローコート塗布装置によって塗布し、焼成して、膜厚80μmのPTFE粒子充填ポリイミド樹脂ベルト(ベース層)を形成した。
また、低摩擦シートとしては、粗面化させたFEPフィルムを用いた。さらに、潤滑剤として、エンドレスベルトの内周面(多孔質層)に粘度300csのアミノ変性シリコーンオイルを塗布した。
このPTFE粒子充填エンドレスベルトと低摩擦シートとを、定着装置に搭載し、未定着トナー像を担持した富士ゼロックス(株)製JD紙(商品名)を通紙する試験を行ったところ、5000枚の通紙を行った時点において、エンドレスベルトの摺動性が悪化し、定着ロールを駆動するモータの駆動トルクが上昇して、定着画像に画像ずれや紙しわが発生し始めた。
これは、エッチングによりPTFE粒子表面を親油性処理してはいるが充分でなく、結果的にエンドレスベルト内周面に供給する潤滑剤としてのアミノ変性シリコーンオイルをはじいてしまうために、エンドレスベルト内周面と低摩擦シートとの摺擦面にアミノ変性シリコーンオイルが介在しない状態となってしまったため、摺動抵抗が上昇したものと推測できる。
これらの実施例および比較例の結果をまとめたものが図7である。図7に示したように、本実施の形態のエンドレスベルト62を用いた定着装置60では、20万枚の通紙においても、エンドレスベルト62の内周面における潤滑剤の保持能力が高く構成されているので、エンドレスベルト62は円滑に回動することが可能となり、紙しわや画像ずれ等の画像不良の発生を抑えることもできる。
かかる本実施の形態のエンドレスベルト62での効果は、比較例との対比によって明確である。
以上説明したように、エンドレスベルト62の内周面に多孔質層623を形成することにより、エンドレスベルト62の内周面の全面に亘って潤滑剤の保持能力を向上させることができるので、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗の変動を抑え、摺動抵抗を常に低いレベルに保つことができる。そのため、エンドレスベルト62は円滑に回動でき、エンドレスベルト62と用紙Pとは長期に亘って等速で回動することが可能となる。その結果、用紙Pは定着ロール61と等速に安定して搬送することができ、紙しわの発生や画像ずれを抑制することができる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、加熱手段として発熱源を有する定着ロール61を用い、加圧手段として圧力パッド64が押圧されたエンドレスベルト62を用いた定着装置60が搭載された画像形成装置について説明した。実施の形態2では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱手段として発熱源が押圧された定着ベルトを用い、加圧手段として加圧ロールを用いた定着装置について説明する。なお、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図8は、本実施の形態における定着装置90の構成を示す側断面図である。図8に示すように、本実施の形態の定着装置90は、ベルト部材の一例としての定着ベルト92、回動部材の一例としての加圧ロール91により主要部が構成されている。そして、定着ベルト92が用紙Pのトナー像担持面側に配置されるとともに、定着ベルト92の内側には発熱源の一例としての抵抗発熱体であるセラミックヒータ82が配設され、セラミックヒータ82からニップ部Nに熱を供給するように構成している。
セラミックヒータ82は、加圧ロール91側の面がほぼフラットに形成されている。そして、定着ベルト92を介して加圧ロール91に押圧される状態で配置され、ニップ部Nを形成している。したがって、セラミックヒータ82は圧力部材としても機能している。ニップ部Nを通過した用紙Pは、ニップ部Nの出口領域(剥離ニップ部)において定着ベルト92の曲率の変化によって定着ベルト92から剥離される。
さらに、定着ベルト92内周面とセラミックヒータ82との間には、定着ベルト92の内周面とセラミックヒータ82との摺動抵抗を小さくするため、低摩擦シート68が配設されている。この低摩擦シート68は、セラミックヒータ82と別体に構成しても、セラミックヒータ82と一体的に構成しても、いずれでもよい。
一方、加圧ロール91は定着ベルト92に対向するように配置され、図示しない駆動モータにより矢印D方向に回転し、この回転に従動して定着ベルト92が回動するように構成されている。加圧ロール91は、コア (円柱状芯金)911と、コア911の外周面に被覆した耐熱性弾性体層912と、さらに耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による離型層913とが積層されて構成されている。
さらに、本実施の形態の定着装置90では、定着ベルト92は、原形が円筒形状に形成された無端ベルトであり、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性樹脂で形成されたベース層921と、このベース層921の加圧ロール91側の面に被覆されたフッ素樹脂等からなる離型層922と、ベース層921の内周面に多数の細孔が形成された多孔質層923とから構成されている。
なお、定着ベルト92においては、ベース層921と離型層922との間に弾性層を設けた構成とすることもできる。その際には、弾性層はシリコーンゴム等の弾性体で形成するのが好ましい。弾性層を設けることによって、粉体であるトナーが積層して形成されたトナー像に対して、ニップ部Nにおいてトナー像を押し潰さずに包み込むようになり、トナー像の全体にムラなく熱を供給することができるので、細線や細かなドット状のトナー像を高精細に定着することが可能となる。特に、カラー画像に対しては、4色のトナーを充分に溶解した上で混合できるので、良好な発色性が得られる。したがって、弾性層としては、例えば硬度10°〜30°(JIS−A)程度のシリコーンゴムであれば、100〜600μm程度の厚みとした構成が適している。
一方、剥離の補助手段として、定着ベルト92のニップ部Nの下流側に、剥離補助部材70を配設することもできる。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト92の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ベルト92と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
加えて、ホルダ65の両端部にはエッジガイド(不図示)が配設されている。エッジガイドは、ホルダ65の両端部において対向するように配置された両エッジガイドの内側面が、定着ベルト92の幅と略一致する間隔を持つように配置されている。そして、定着ベルト92が回動する際には、定着ベルト92の端部が両エッジガイドの内側面に当接することによって、定着ベルト92の幅方向への移動(ベルトウォーク)が規制されている。このように、定着ベルト92は、エッジガイドによって片寄りが規制されるように設定されている。
そして、図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって定着装置90のニップ部Nに導かれる。用紙Pがニップ部Nを通過する際には、用紙P上のトナー像は、ニップ部Nに作用する圧力と、定着ベルト92側のセラミックヒータ82から供給される熱とによって定着される。本実施の形態の定着装置90でも、加圧ロール91とセラミックヒータ82との間でニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
ここで、本実施の形態の定着装置90においては、定着ベルト92の内周面に多数の細孔が形成された多孔質層923を形成して、エンドレスベルト62の内周面における潤滑剤の保持能力を向上させている。このように、定着ベルト92の内周面を多孔質層923で形成することにより、定着ベルト92の内周面における潤滑剤の保持能力を向上させることができる。そのため、定着ベルト92と低摩擦シート68との摺動部において、潤滑剤を安定して維持することが可能となるので、定着ベルト92とセラミックヒータ82との間の摺動抵抗の変動を抑え、摺動抵抗を常に低いレベルに保つことができる。その結果、定着ベルト92は円滑に回動でき、定着ベルト92と用紙Pとは等速で回動することが可能であるので、用紙Pは加圧ロール91と等速に安定して搬送することができ、紙しわの発生や画像ずれを抑制することができる。
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未定着トナー像を定着する定着装置への適用がある。また、インクジェト方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未乾燥インク像を乾燥する定着装置への適用がある。
本発明の画像形成装置を示した概略構成図である。 実施の形態1に係る定着装置の構成を示す側断面図である。 エンドレスベルトが支持される構成を説明する断面構成図である。 エンドレスベルトの構造を示す断面図である。 繊維状フィラーによって形成された多孔質層の表面状態を示した拡大図である。 樹脂織布によって形成された多孔質層の表面状態を示した拡大図である。 種々のエンドレスベルトを用いた場合の摺動性能の評価結果を示した図である。 実施の形態2に係る定着装置の構成を示す側断面図である。 従来の定着装置の構成を示す側断面図である。
符号の説明
1Y,1M,1C,1K…画像形成ユニット、11…感光体ドラム、12…帯電器、13…レーザ露光器、14…現像器、15…中間転写ベルト、16…一次転写ロール、17…ドラムクリーナ、20…二次転写部、60,90…定着装置、61…定着ロール、62…エンドレスベルト、621,921…ベース層、622,922…離型層、623,923…多孔質層、63…ベルト走行ガイド、64…圧力パッド、64a…プレニップ部材、64b…剥離ニップ部材、65…ホルダ、66…ハロゲンヒータ、67…潤滑剤供給部材、68…低摩擦シート、69…温度センサ、70…剥離補助部材、82…セラミックヒータ、91…加圧ロール、92…定着ベルト

Claims (9)

  1. トナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
    前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを含み、
    前記定着手段は、
    回動可能な回動部材と、
    前記回動部材に接触しながら移動可能であって、内周面が多数の細孔からなる多孔質構造にて形成されたベルト部材と、
    前記ベルト部材の内側に配置され、当該ベルト部材を前記回動部材に圧接させて当該回動部材と当該ベルト部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材と、
    前記ベルト部材の内周面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部材と
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記定着手段の前記ベルト部材は、内周面が多数の細孔からなる多孔質構造にて形成されたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記定着手段の前記ベルト部材は、エンドレスベルトの少なくとも内周面側内部に繊維状フィラーまたは繊維織布が充填されて形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記定着手段の前記ベルト部材は、エンドレスベルトの内周面に、繊維状フィラーまたは繊維織布を含む樹脂膜が被覆されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記定着手段の前記ベルト部材は、前記繊維状フィラーまたは前記繊維織布の繊維径が1000デニール以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
  6. 前記定着手段の前記ベルト部材は、前記繊維状フィラーまたは前記繊維織布がフッ素樹脂で形成されたことを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
  7. 前記定着手段の前記ベルト部材は、外表面に離型層をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記定着手段の前記回動部材を加熱する加熱部材、または前記ベルト部材を加熱する加熱部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記定着手段の前記ベルト部材は、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾールのいずれかにより形成された円筒状のベース層を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
JP2004087109A 2004-03-24 2004-03-24 画像形成装置 Expired - Fee Related JP4244837B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004087109A JP4244837B2 (ja) 2004-03-24 2004-03-24 画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004087109A JP4244837B2 (ja) 2004-03-24 2004-03-24 画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005274888A JP2005274888A (ja) 2005-10-06
JP4244837B2 true JP4244837B2 (ja) 2009-03-25

Family

ID=35174643

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004087109A Expired - Fee Related JP4244837B2 (ja) 2004-03-24 2004-03-24 画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4244837B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5191634B2 (ja) * 2006-04-21 2013-05-08 ユニチカ株式会社 定着ベルト及びその製造方法
JP5754658B2 (ja) * 2008-06-16 2015-07-29 株式会社リコー 定着装置及び画像形成装置
JP2012088463A (ja) * 2010-10-19 2012-05-10 Fuji Xerox Co Ltd 摺動ベルト、無端ベルト、定着装置及び画像形成装置
JP6303394B2 (ja) * 2013-10-23 2018-04-04 富士ゼロックス株式会社 樹脂管状体、定着装置、及び画像形成装置
JP6446916B2 (ja) * 2014-08-28 2019-01-09 富士ゼロックス株式会社 定着部材、定着装置、画像形成装置
JP2017083520A (ja) 2015-10-23 2017-05-18 株式会社リコー 定着装置及び画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005274888A (ja) 2005-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4586392B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP4595447B2 (ja) 定着装置、および画像形成装置
JP4534682B2 (ja) 定着装置、および画像形成装置
JP2005173441A (ja) 定着装置および画像形成装置
JP5671909B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP4534679B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP4539252B2 (ja) 定着装置、および画像形成装置
JP4244837B2 (ja) 画像形成装置
JP4449545B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2005084484A (ja) 定着装置および画像形成装置
JP4548548B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2010078863A (ja) 無端ベルト、定着装置及び画像形成装置
JP2005077872A (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2008040321A (ja) 弾性部材、定着装置及び画像形成装置
JP2007333991A (ja) 画像形成装置、定着装置、及び装置
JP4428030B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP4424010B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2005300661A (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2006091182A (ja) 定着装置、ベルト管状体および画像形成装置
JP4729853B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2006126536A (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2005300732A (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2005321462A (ja) 定着装置、低摩擦シートおよび画像形成装置
JP2006126467A (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2006065218A (ja) 定着装置、低摩擦シートおよび画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080513

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080826

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081024

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081216

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081229

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120116

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120116

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130116

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130116

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140116

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees