JP2013068724A - 摺動シート、定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】押圧部材の押圧パッドとフィルム管状体との間との摩擦を低減させ、長期に亘って円滑にフィルム管状体を駆動させる摺動シートを提供する。
【解決手段】摺動シート68は、押圧パッド64により押圧される面と反対面に凹凸を有し、凹凸を有する基材68aの表面に、1μm以上、8μm以下の厚みを有する潤滑性被覆層68bが形成され、押圧パッド64と定着ベルト561との間に配置される。
【選択図】図2
【解決手段】摺動シート68は、押圧パッド64により押圧される面と反対面に凹凸を有し、凹凸を有する基材68aの表面に、1μm以上、8μm以下の厚みを有する潤滑性被覆層68bが形成され、押圧パッド64と定着ベルト561との間に配置される。
【選択図】図2
Description
本発明は、摺動シート、定着装置および画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置では、用紙等の記録部材上に担持された未定着トナー像を記録部材上に定着させ、永久画像にするための工程を定着工程と呼んでいる。前記定着工程として、従来、圧力定着、オーブン定着、および、溶剤定着等の方式が用いられているが、熱が有効に伝えられ、トナー像をより強固に定着させられ、かつ比較的安全である観点から、熱圧力定着法がもっとも一般的に用いられている。この熱圧力定着法は、未定着トナー像が担持された記録部材を、加熱された2本のロールあるいはベルトにより構成されたニップ内を通過させ、ニップ通過時にロールあるいはベルトによって加熱され溶融状態となった未定着トナー像を、ニップ圧力により記録部材に押圧されることで、記録部材にトナー像が定着させる方法である。
近年、導入が進んでいる電磁誘導加熱定着方式では、従来の加熱された2本のロールあるいはベルトに相当する加熱定着用部材と加圧部材のほかに、コイル及び高周波電源を必要とする。コイルは加熱定着用部材の内部あるいは外部の加熱定着用部材に近接した位置に設置され、高周波電源と電気的に接続される。加熱定着用部材としては、金属発熱層が設けられていれば、ロール形状でもベルト形状でも、どちらでも誘導加熱は可能である。いずれの場合でも加熱定着部材に近接した位置に配置したコイルに高周波電流を流すことで、加熱定着部材の金属発熱層に誘導起電力を生じさせ、渦電流が流れることで、加熱定着部材を加熱されている。
また、ベルト方式の誘導加熱定着部材では、回転可能な回転部材からなる加圧部材と樹脂フィルム管状体(例えば、ベルト)とでニップを形成するために、樹脂フィルム管状体の内側に押圧部材が配置されている。この押圧部材には、通常、加圧部材と同等の圧力で加圧部材と樹脂フィルム管状体(例えば、ベルト)との間にニップを形成し、かつニップ幅を確保するために、弾性体からなる押圧パッドが設けられている。しかしながら、この押圧パッドと樹脂フィルム管状体内周面との摺動性が悪いことから、押圧パッドが著しく劣化する場合がある。そこで、このバッドの劣化を防ぎ、押圧パッドと樹脂フィルム管状体との摺動性を向上させるために、例えば、押圧パッドと樹脂フィルム管状体との間に潤滑剤として変性シリコーンオイルを介在させたり(例えば、特許文献1)、また、押圧部材の押圧パッドの摺接面に親油化処理したフッ素樹脂からなる低摩擦シートを介在させたり(例えば、特許文献2)、さらに、押圧パッドと樹脂フィルム管状体との間にポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とする、厚みが20μmから300μmの範囲の非多孔質状シートを介在させることが提案されている(例えば、特許文献3)。
また、特許文献4には、表面に凹凸を有する基材上に、厚さが10μmから50μmの範囲であるフッ素樹脂を含み非多孔質状シートを配置させて成るシート状摺動部材を、押圧パッドと樹脂フィルム管状体との間に介在させることが提案されている。
本発明の目的は、従来に比べ、押圧部材の押圧パッドとフィルム管状体との間との摩擦を低減させる摺動シート、定着装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下に示す本発明に至った。
(1)凹凸を有する基材表面に、1μm以上、8μm以下の厚みを有する潤滑性被覆層が形成されている摺動シートである。
(2)前記潤滑性被覆層は、バインダ成分を有し、前記バインダ成分が、ポリイミドまたはポリアミドイミドである上記(1)に記載の摺動シートである。
(3)前記潤滑性被覆層は、凹凸を有する基材表面に、少なくともバインダ成分と潤滑性フィラーと溶剤とを含む溶液をスプレー塗布することで形成される上記(1)または(2)に記載の摺動シートである。
(4)回転可能な回転部材と、前記回転部材に圧接配置され、前記回転部材との間に形成されるニップ部に未定着トナー像を担持した記録媒体を狭持することで前記未定着トナー像を前記記録媒体に定着させる、回転可能なフィルム管状体と、前記フィルム管状体と押圧部材との間に介在する、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の摺動シートと、を有する定着装置である。
(5)潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を静電荷像現像用現像剤を用いて現像する現像手段と、現像されたトナー画像を中間転写体を介してまたは介さずに被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を定着する定着手段と、を含む画像形成装置であり、前記定着手段が、上記(4)に記載の定着装置からなる画像形成装置である。
本願請求項1に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、押圧部材の押圧パッドとフィルム管状体との間との摩擦が低減される。
本願請求項2に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、定着装置に摺動シートを設置した場合における摺動シートの経時後のトルクの上昇が抑制される。
本願請求項3に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、凹凸を有する基材表面にその凹凸に追従し基板表面に亘って厚みのばらつきが抑制された潤滑性被覆層が形成された摺動シートが得られる。
本願請求項4に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、押圧部材の押圧パッドとフィルム管状体との間との摩擦が低減された定着装置が得られる。
本願請求項5に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、押圧部材の押圧パッドとフィルム管状体との間との摩擦が低減された定着装置を有する画像形成装置が得られる。
本発明の実施の形態における摺動シート、定着装置および画像形成装置について、以下に説明する。
[定着装置]
まず、本実施の形態における定着装置について、図1を用いて以下に説明する。なお、本実施の形態における定着装置として、電磁誘導加熱方式を採用する定着装置を例に挙げて説明する。
まず、本実施の形態における定着装置について、図1を用いて以下に説明する。なお、本実施の形態における定着装置として、電磁誘導加熱方式を採用する定着装置を例に挙げて説明する。
図1に示すように、本実施の形態の定着装置60は、回転可能な回転部材である加圧ロール62と、回転部材である加圧ロール62に圧接配置され、加圧ロール62との間に形成される加圧部N(以下「ニップ部N」ともいう)に未定着トナー像を担持した記録媒体Pを狭持することで未定着トナー像を記録媒体Pに定着させる、回転可能なフィルム管状体である定着ベルト61と、フィルム管状体である定着ベルト61と押圧部材である押圧パッド64との間に介在する摺動シート68とを有する。なお、摺動シート68については後述する。
さらに、図1を用いて、定着装置60の構成を説明する。定着装置60は、フィルム管状体である定着ベルト61、交流電流により生じる磁界によって定着ベルト61を発熱させる加熱部材の一例としての磁場発生ユニット85、定着ベルト61に対向するように配置する、加圧部材の一例としての加圧ロール62、定着ベルト61を介して、回転部材である加圧ロール62から押圧される押圧パッド64を有する。
フィルム管状体である定着ベルト61は、押圧パッド64とベルトガイド部材63、定着ベルト61の両端部に配置するエッジガイド部材(図示せず)によって回動自在に支持される。そして、加圧部(ニップ部)Nにおいて加圧ロール62に圧接され、加圧ロール62に従動して矢印E方向に回動する。
上述したフィルム管状体としては、樹脂製でも金属製でも良い。また、フィルム管状体を定着ベルトとして使用する場合、単層の樹脂製フィルムまたは単層の金属製フィルムが使用されるが、樹脂の層と金属の層をそれぞれ複層にしてもよく、金属製フィルムを基材とし、その上に樹脂製の弾性層や離型層を設けるなど、樹脂層と金属層とを組み合わせても良い。特に、本実施の形態における摺動シートと接触するフィルム管状体の最下層が金属層である場合、樹脂層である場合に比べて磨耗が生じにくいため、フィルム管状体の最下層は金属層であることが好ましい。
ベルトガイド部材63は、定着ベルト61の内部に配置するホルダ65に取り付ける。そして、ベルトガイド部材63は、定着ベルト61の回動方向に向けた複数のリブ(図示せず)で形成し、定着ベルト61内周面との接触面積を小さくする。さらに、ベルトガイド部材63は、摩擦係数が低く、かつ熱伝導率が低い PFA(パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂で形成する。これにより、ベルトガイド部材63と定着ベルト61内周面との摺動抵抗を低減し、熱の発散を低くするように構成する。
押圧パッド64は、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧されて加圧部Nを形成する。押圧パッド64は、バネや弾性体によって加圧ロール62を、 例えば35kgfの荷重で押圧するようにホルダ65により支持する。押圧パッド64は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体からなる。押圧パッド64 は、加圧ロール62側に凹部と凸部が形成されている。これにより、定着ベルト61が、押圧パッド64の加圧ロール62側の面から離れる際に急激な曲率の変化を生じ、定着後の記録媒体Pが定着ベルト61から剥離しやすくしている。
加圧部Nの下流側近傍に配設する剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト61の回転方向と対向する方向(カウンタ方向)に向け、バッフルホルダ72により保持する。また、押圧パッド64と定着ベルト61との間に摺動シート68を配設し、定着ベルト61内周面と押圧パッド64との摺動抵抗を低減する。本実施の形態では、摺動シート68は押圧パッド64と別体に構成し、両端をホルダ65に固定する。
ホルダ65に、定着装置60の長手方向に亘って潤滑剤塗布部材67を配設する。潤滑剤塗布部材67は、定着ベルト61内周面に接触し、定着ベルト61と摺動シート68との摺動部に潤滑剤を供給する。なお、潤滑剤としては、例えば、シリコーンオイル、フッ素オイル等の液体状オイル;固形物質と液体とを混合させたグリース等、さらにこれらを組み合わせたものが挙げられる。
加圧ロール62は、例えば、直径16mmの中実の鉄製のコア(円柱状芯金)621と、コア621の外周面を被覆する、例えば厚さ12mmのシリコーンスポンジ等のゴム層622と、例えば、厚さ30μmのPFA等の耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による表面層623とを有する。なお、加圧ロール62の製造方法としては、例えば、PFAチューブ(表面層623になる)の内周面に、接着用プライマーを塗布したフッ素樹脂チューブと中実シャフト(コア621になる)とを成形金型内にセットし、フッ素樹脂チューブと中実シャフトとの間に液状発泡シリコーンゴムを注入後、加熱処理(150℃、2時間)によりシリコーンゴムを加硫、発泡させてゴム層622を形成する方法が挙げられる。
加圧ロール62は、定着ベルト61に対向するように配置し、矢印D方向に、例えば140mm/secのプロセススピードで回転し、定着ベルト61を従動させる。また、加圧ロール62と押圧パッド64とにより定着ベルト61を挟持した状態で保持して加圧部Nを形成し、この加圧部Nに未定着トナー像を保持した記録媒体Pを通過させ、熱及び圧力を加えて未定着トナー像を記録媒体Pに定着する。
磁場発生ユニット85は、断面が定着ベルト61の形状に沿った曲線形状を有し、定着ベルト61の外周表面と0.5mmから2mm程度の間隙で設置する。磁場発生ユニット85は、磁界を発生させる励磁コイル851と、励磁コイル851を保持するコイル支持部材852と、励磁コイル851に電流を供給する励磁回路853とを有する。
励磁コイル851は、例えば、相互に絶縁された直径φ0.5mmの銅線材を16本から20本程度束ねたリッツ線を、長円形状や楕円形状、長方形状等の閉環状に巻いて形成したものを用いる。励磁コイル851に励磁回路853によって予め定められた周波数の交流電流を印加することにより、励磁コイル851の周囲 に交流磁界Hが発生する。交流磁界Hが、定着ベルト61の金属層を横切る際に、電磁誘導作用によってその交流磁界Hの変化を妨げる磁界を発生するように渦電流Iが生じる。励磁コイル851に印加する交流電流の周波数は、例えば、10kHzから50kHzに設定する。渦電流Iが定着ベルト61の金属層を流れることによって、金属層の抵抗値Rに比例した電力W(W=I2R)によるジュール熱が発生し、定着ベルト61を加熱する。
コイル支持部材852は、耐熱性を有する非磁性材料で構成する。このような非磁性材料としては、例えば、耐熱ガラス、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、PPS等の耐熱性樹脂、またはこれらにガラス繊維を混合した耐熱性樹脂が挙げられる。
なお、本実施の形態では、定着ベルト61を加熱する加熱部材の一例として磁場発生ユニット85を備える電磁誘導加熱方式の定着装置60について説明したが、加熱部材としては、輻射ランプ発熱体、抵抗発熱体を採用することもできる。
輻射ランプ発熱体としては、例えば、ハロゲンランプ等が挙げられる。抵抗発熱体としては、例えば、鉄−クロム−アルミ系、ニッケル−クロム系、白金、モリブデン、タンタル、タングステン、炭化珪素、モリブデン−シリサイド、カーボン等が挙げられる。
定着装置60では、加圧ロール62の矢印D方向への回転に伴い、定着ベルト61が従動回転し、励磁コイル851により発生した磁界に曝される。この際、定着ベルト61中の金属層には渦電流が発生し、定着ベルト61の外周面が定着可能な温度まで加熱される。このようにして加熱された定着ベルト61は、加圧 ロール62との加圧部Nまで移動する。搬送手段により、未定着トナー像がその表面に設けられた記録媒体Pが定着入口ガイド56を介して定着装置60に搬入される。記録媒体Pが定着ベルト61と加圧ロール62との加圧部Nを通過した際に、未定着トナー像は定着ベルト61により加熱され記録媒体Pの表面に定着される。その後、画像が表面に形成された記録媒体Pは、搬送手段により搬送され、定着装置60から排出される。また、加圧部Nにおいて定着処理を終え、外周面の表面温度が低下した定着ベルト61は、励磁コイル851方向へと回転し、次の定着処理に備えて再度加熱される。
[摺動シート]
図2に示すように、本実施の形態における摺動シート68は、凹凸を有する基材68aの表面に、1μm以上、8μm以下の厚みを有する潤滑性被覆層68bが形成されている。
図2に示すように、本実施の形態における摺動シート68は、凹凸を有する基材68aの表面に、1μm以上、8μm以下の厚みを有する潤滑性被覆層68bが形成されている。
摺動シート68の潤滑性被覆層68bは、バインダ成分を有し、バインダ成分は、耐熱性樹脂のポリイミドまたはポリアミドイミドである。また、図3に示すように、潤滑性被覆層68bは、凹凸を有する基材68aの表面に、少なくともバインダ成分と潤滑性フィラーと溶剤とを含む溶液を、スプレーガン90を用いてスプレー塗布し、その後、加熱硬化させることで形成される。スプレー塗布で形成された潤滑性被覆層68bは、基材68aに固着しているため、基材68aの凹凸に追従するような凹凸が形成され、得られた摺動シート68の摺動面のろ波中心線うねりWC−aが8.0μm以上である。この摺動面のろ波中心線うねりWC−aが8.0μm未満であると摺動面における潤滑剤保持効果が弱くなり摩擦抵抗が大きくなってしまうことがある。ここで、ろ波中心線うねりWC−aはろ波中心線うねり曲線から中心線の方向に、測定長さLの部分を抜取り、この抜取り部分の中心線とろ波中心線うねり曲線との偏差の絶対値を算術平均した値をいう。WC−aは表面ろ波うねり測定方法のJIS B 0601−1982に規定された光波干渉式表面粗さ測定器により測定されており、いずれの場合も表面粗さの規格に準拠して行っている。なお、本実施の形態では、具体的には、シート表面を触診式の表面粗さ測定器(サーフコム;東京精密社製)を用いて測定し、そのときの測定条件は、測定長さ10mm、カットオフ波長0.25mm、測定速度0.3mm/s、最小二乗直 線算出による傾斜補正、25℃/50%である。
また、凹凸を有する基材68aにスプレー塗布で形成された潤滑性被覆層68bは、従来のフッ素樹脂を主成分として凹凸状の表面を有する基材68a上に配置する低摩擦シートの厚み(例えば、10μmから50μm)に比べ、その厚みが1μm以上、8μm以下と薄いにもかかわらず、フッ素樹脂を主成分とする低摩擦シートに比べ耐熱性が高く、且つ耐摩耗性が高い。
前記フィラーとして、層状構造を持った潤滑性フィラー、例えば、二硫化モリブデン、六方晶窒化硼素、マイカ、グラファイト、二硫化タングステン、タルクなどが挙げられるが、好ましくは、二硫化モリブデン、六方晶窒化硼素、グラファイトである。また、フィラーは、1種単独で用いてもよいが、複数の機能を付与する観点から、2種以上併用することがよい。
フィラーの添加量は、上述した耐熱樹脂100質量部に対し、30質量部から80質量部の範囲が好ましく、より好ましくは、40質量部から75質量部、さらに好ましくは50質量部から70.0質量部である。この添加量が30重量部未満であると潤滑性被覆層68bの特性である潤滑特性の低下することがあり、80重量部を超えると潤滑性フィラーを固定する力が弱くなり、潤滑性被覆層の潤滑特性が低下することがある。
スプレー塗布に用いる溶媒は、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどが挙げられ、これらを単独又は混合物として用いるのが好ましい。
一方、凹凸を有する基材68aとしては、例えば、ガラス繊維、ステンレス鋼(JISにおいて主に「SUS」と略号される)メッシュ、カーボンクロスが用いられ、ガラス繊維およびカーボンクロスを用いる場合、表面凹凸間隔が等間隔で有ることと、縦糸と横糸の繊維の太さを任意に設定することで、表面凹凸の制御がし易い点から、織布で構成することが好適である。基材68aの中心線平均粗さRaは、スプレー塗布で形成される潤滑性被覆層68bの厚みや塗布の仕方に応じて、摺動シート68のろ波中心線うねりWC−aは、8.0μm以上に成るように、適宜選択される。なお、本実施の形態における基材68aは、耐熱性、低熱伝導度であることが望ましい観点から、基材68aとしてガラスクロスに用いる。
また、本実施の形態における摺動シート68の厚みは、150μm以上、300μm以下である。摺動シート68の厚みが150μm未満であると摺動シートの耐久性が低下してしまうことがあり、一方、300μmを超えると押圧パッド64からの押圧が定着ベルト61の内面に伝わり難くなり、加圧部Nの加圧度が変化し、画像ディフェクトを発生させてしまうことがある。
さらに、本実施の形態における摺動シート68は、その凹凸面上に、後述する潤滑剤が内部に含浸する孔を有しないものであり、その指標としてオイル含浸量で示すと0.01mg/mm3から0.2mg/mm3(好ましくは0.01mg/mm3から0.15mg/mm3)のものを示す。なお、このオイル含浸量は、摺動シート68の凹凸面上にオイルを塗布し、その表面に紙を巻きつけたロールを5kg/cm2の力で押し当てながら1分間回転させた後の重量と乾燥重量との差分にて算出された値である。
上記潤滑剤として具体的に適用可能なものを列挙すると、上述したグリース、ジメチルシリコーンオイル、有機金属塩添加ジメチルシリコーンオイル、ヒンダードアミン添加 ジメチルシリコーンオイル、有機金属塩及びヒンダードアミン添加ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、有機金属塩添加アミノ変性シ リコーンオイル、ヒンダードアミン添加アミノ変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
[画像形成装置]
図4には、本実施の形態の摺動シートならびに定着装置が適用される画像形成装置の概略構成が示されている。ここでは、一般にタンデム型と呼ぶ中間転写方式の画像形成装置を例に挙げて説明する。
図4には、本実施の形態の摺動シートならびに定着装置が適用される画像形成装置の概略構成が示されている。ここでは、一般にタンデム型と呼ぶ中間転写方式の画像形成装置を例に挙げて説明する。
図4に示す画像形成装置100は、潜像形成手段ならびに現像手段からなる像形成部の一例として、電子写真方式により各色成分のトナー像を形成する複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kを備える。次に、画像形成装置100は、転写手段の一例として、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成する各色成分トナー像を中間転写ベルト(像保 持体)15に順次転写(一次転写)する一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写した重畳トナー画像を記録媒体P(記録材)である用紙に一括転写(二次転写)する二次転写部20とを備える。さらに、画像形成装置100は、定着手段の一例として、二次転写された画像を記録媒体P上に定着する、上述した定着装置60を備える。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を備える。
図4に示すように、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム11と、感光体ドラム11を帯電する帯電器12と、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13と、各色成分トナーを収容し感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14とを有する。また、感光体ドラム11上に形成する各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16と、感光体ドラム11上の 残留トナーを除去するドラムクリーナ17と、を有する。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に略直線状に配置されている。
中間転写ベルト15は、各種ロールにより、図4に示す矢印B方向に循環駆動する。各種ロールとして、中間転写ベルト15を駆動する駆動ロール31と、中間転写ベルト15を支持する支持ロール32と、中間転写ベルト15に一定の張力を与え蛇行を防止するテンションロール33と、二次転写部20に設けるバックアップロール25と、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けるクリーニングバックアップロール34とを有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟み感光体ドラム11に対向する一次転写ロール16を有する。二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置する二次転写ロール(転写部材)22と、二次転写ロール22の対向電極として中間転写ベルト15の裏面側に配置されたバックアップロール25と、バックアップロール25に二次転写バイアスを印加する給電ロール26とを有する。
二次転写部20の下流側に、中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去する中間転写ベルトクリーナ35を設ける。イエローの画像形成ユニット1Yの上流側に、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42を配設する。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43を配設する。
記録媒体搬送系には、記録媒体収容部50と、記録媒体収容部50中の記録媒体Pを取り出して搬送するピックアップロール51と、記録媒体Pを搬送する搬送ロール52と、記録媒体Pを二次転写部20へと送る搬送シュート53と、二次転写ロール22により二次転写された記録媒体Pを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55と、記録媒体Pを定着装置60に導く定着入口ガイド56とを有する。
画像形成装置100の基本的な作像プロセスについて説明する。図4に示すような画像形成装置100では、画像読取装置(図示せず)等から出力される画像データに画像処理を施した後、画像データをY、M、C、Kの4色の色材階調データに変換し、レーザ露光器13に出力する。レーザ露光器13は、入力される色材階調データに応じ、例えば、半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの矢印A方向に回転する各感光体ドラム11に照射する。各感光体ドラム11の表面を帯電器12によって帯電した後、レーザ露光器13によって表面を走査露光し、静電潜像を形成する。形成した静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像する。
つぎに、感光体ドラム11上に形成するトナー像を、一次転写部10において中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写を行う。中間転写ベルト15は矢印B方向に移動してトナー像を二次転写部20に搬送する。記録媒体搬送系は、トナー像を二次転写部20に搬送するタイミングに合わせて、記録媒体収容部50から記録媒体Pを供給する。二次転写部20では、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像を、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれた記録媒体P上に静電転写する。その後、トナー像を静電転写した記録媒体Pを搬送ベルト55により定着装置60まで搬送し、定着装置60は、記録媒体P上の未定着トナー像を熱及び圧力で処理し記録媒体P上に定着する。定着画像を形成した記録媒体Pは、画像形成装置の排出部に設けた排紙載置部に搬送する。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に制限されるものではない。なお、実施例中「部」は「質量部」を表す。また、以下の製造例、実施例、比較例において記載した評価は、以下の方法により実施した。
[実施例1]:
ポリイミド樹脂としてポリイミド前駆体であるポリアミド酸のN , N−ジメチルアセトアミド溶液(商品名:U イミド、(株)ユニチカ製)を用いた。ポリイミド樹脂100質量部に対して、二硫化モリブデン(「マイクロサイズパウダー」、ダウコーニング社製)を60質量部分散して、N,N−ジメチルアセトアミド溶液を主成分とする混合溶液を塗布溶液として作製した。この塗布溶液を、スプレーガンを用いて、ガラスクロス(前田ガラス社製)に対して、スプレー塗布し、その後、250℃、30分間焼成処理して加熱硬化させ、摺動シートAを得た。
ポリイミド樹脂としてポリイミド前駆体であるポリアミド酸のN , N−ジメチルアセトアミド溶液(商品名:U イミド、(株)ユニチカ製)を用いた。ポリイミド樹脂100質量部に対して、二硫化モリブデン(「マイクロサイズパウダー」、ダウコーニング社製)を60質量部分散して、N,N−ジメチルアセトアミド溶液を主成分とする混合溶液を塗布溶液として作製した。この塗布溶液を、スプレーガンを用いて、ガラスクロス(前田ガラス社製)に対して、スプレー塗布し、その後、250℃、30分間焼成処理して加熱硬化させ、摺動シートAを得た。
得られた摺動シートAの摺動面の中心線平均粗さRa、潤滑性被覆層の厚みを表1に示す。また、表1に示す動摩擦係数ならびにトルクの経時変化は、以下の条件により測定した。
<動摩擦係数>
動摩擦係数は、ピンオンディスクの摺動試験機にて各試験片を圧力2.5kg/cm2、速度255mm/s、摺動時間2分間として潤滑オイル(KF−968、信越シリコーン社製)介在下で評価した。
動摩擦係数は、ピンオンディスクの摺動試験機にて各試験片を圧力2.5kg/cm2、速度255mm/s、摺動時間2分間として潤滑オイル(KF−968、信越シリコーン社製)介在下で評価した。
<摩耗量>
ピンオンディスクの摺動試験機にて圧力2.5kg/cm2、速度255mm/s、摺動時間30分間に設定し、各試験片に乾式摩耗を行い、摺動シートの潤滑被覆層の膜厚減少量を摩耗量として評価した。
ピンオンディスクの摺動試験機にて圧力2.5kg/cm2、速度255mm/s、摺動時間30分間に設定し、各試験片に乾式摩耗を行い、摺動シートの潤滑被覆層の膜厚減少量を摩耗量として評価した。
<トルク経時変化>
SUS304からなる金属が基材の定着ベルト(内径Φ30mm、長さ400mm)で構成される定着装置に摺動シートを設置し、押圧パッドの加圧を2.5kg/cm2とし、定着ベルトの定着速度を255mm/sとし、潤滑オイル(KF−968、信越シリコーン社製)0.5mlをベルト内面に塗布して定着ベルトを回転させ、トルクの経時変化を評価した。
SUS304からなる金属が基材の定着ベルト(内径Φ30mm、長さ400mm)で構成される定着装置に摺動シートを設置し、押圧パッドの加圧を2.5kg/cm2とし、定着ベルトの定着速度を255mm/sとし、潤滑オイル(KF−968、信越シリコーン社製)0.5mlをベルト内面に塗布して定着ベルトを回転させ、トルクの経時変化を評価した。
[実施例2]
実施例1の二硫化モリブデンの代わりに、六方晶窒化硼素(「デカンボロンナイトライド SGPS」、電気化学工業社製)を用いた以外は、実施例1に準拠して、摺動シートBを得た。評価結果を表1に示す。
実施例1の二硫化モリブデンの代わりに、六方晶窒化硼素(「デカンボロンナイトライド SGPS」、電気化学工業社製)を用いた以外は、実施例1に準拠して、摺動シートBを得た。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1の二硫化モリブデンの代わりに、グラファイト(「人造黒鉛微粉末 UF−G5」、昭和電工社製)を用いた以外は、実施例1に準拠して、摺動シートCを得た。評価結果を表1に示す。
実施例1の二硫化モリブデンの代わりに、グラファイト(「人造黒鉛微粉末 UF−G5」、昭和電工社製)を用いた以外は、実施例1に準拠して、摺動シートCを得た。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1のポリイミド樹脂の代わりに、ポリアミドイミド樹脂(「Neoheat AI−00C」、東特塗料社製)を用いた以外は、実施例1に準拠して、摺動シートDを得た。評価結果を表1に示す。
実施例1のポリイミド樹脂の代わりに、ポリアミドイミド樹脂(「Neoheat AI−00C」、東特塗料社製)を用いた以外は、実施例1に準拠して、摺動シートDを得た。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1における二硫化モリブデンの添加量を40質量部に代えた以外は、実施例1に準拠して、摺動シートEを得た。評価結果を表1に示す。
実施例1における二硫化モリブデンの添加量を40質量部に代えた以外は、実施例1に準拠して、摺動シートEを得た。評価結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1における二硫化モリブデンの添加量を75質量部に代えた以外は、実施例1に準拠して、摺動シートFを得た。評価結果を表1に示す。
実施例1における二硫化モリブデンの添加量を75質量部に代えた以外は、実施例1に準拠して、摺動シートFを得た。評価結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例1のポリイミド樹脂の代わりに、PTFE樹脂(「テフロン(R)7−J」、三井デュポンフロロケミカル社製PTFE樹脂:テフロン(R)モールディングパウダー:融点330℃)を用いた以外は、実施例1に準拠して、摺動シートGを得た。評価結果を表1に示す。
実施例1のポリイミド樹脂の代わりに、PTFE樹脂(「テフロン(R)7−J」、三井デュポンフロロケミカル社製PTFE樹脂:テフロン(R)モールディングパウダー:融点330℃)を用いた以外は、実施例1に準拠して、摺動シートGを得た。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1に記載の塗布溶液の塗布量を減少させた以外は、実施例1に準拠して、摺動シートHを得た。評価結果を表1に示す。
実施例1に記載の塗布溶液の塗布量を減少させた以外は、実施例1に準拠して、摺動シートHを得た。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1に記載の塗布溶液の塗布量を増加させた以外は、実施例1に準拠して、摺動シートIを得た。評価結果を表1に示す。
実施例1に記載の塗布溶液の塗布量を増加させた以外は、実施例1に準拠して、摺動シートIを得た。評価結果を表1に示す。
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用がある。
1Y,1M,1C,1K 画像形成ユニット、10 一次転写部、11 感光体ドラム、12 帯電器、13 レーザ露光器、14 現像器、15 中間転写ベルト、16 一次転写ロール、17 ドラムクリーナ、20 二次転写部、22 二次転写ロール、25 バックアップロール、26 給電ロール、31 駆動ロール、32 支持ロール、33 テンションロール、34 クリーニングバックアップロール、35 中間転写ベルトクリーナ、40 制御部、43 画像濃度センサ、50 記録媒体収容部、51 ピックアップロール、52 搬送ロール、53 搬送シュート、55 搬送ベルト、56 定着入口ガイド、60 定着装置、61 定着ベルト、62 加圧ロール、63 ベルトガイド部材、64 押圧パッド、65 ホルダ、67 潤滑剤塗布部材、68 摺動シート、68a 基材、68b 潤滑性被覆層、70 剥離補助部材、71 剥離バッフル、72 バッフルホルダ、85 磁場発生ユニット、85 発生ユニット、85 磁場発生ユニット、90 スプレーガン、100 画像形成装置、561 定着ベルト、621 コア、622 ゴム層、623 表面層、851 励磁コイル、852 コイル支持部材、853 励磁回路。
Claims (5)
- 凹凸を有する基材表面に、1μm以上、8μm以下の厚みを有する潤滑性被覆層が形成されていることを特徴とする摺動シート。
- 前記潤滑性被覆層は、バインダ成分を有し、
前記バインダ成分が、ポリイミドまたはポリアミドイミドであることを特徴とする請求項1に記載の摺動シート。 - 前記潤滑性被覆層は、凹凸を有する基材表面に、少なくともバインダ成分と潤滑性フィラーと溶剤とを含む溶液をスプレー塗布することで形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の摺動シート。
- 回転可能な回転部材と、
前記回転部材に圧接配置され、前記回転部材との間に形成されるニップ部に未定着トナー像を担持した記録媒体を狭持することで前記未定着トナー像を前記記録媒体に定着させる、回転可能なフィルム管状体と、
前記フィルム管状体と押圧部材との間に介在する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の摺動シートと、
を有することを特徴とする定着装置。 - 潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を静電荷像現像用現像剤を用いて現像する現像手段と、現像されたトナー画像を中間転写体を介してまたは介さずに被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上のトナー画像を定着する定着手段と、を含む画像形成装置であり、
前記定着手段が、請求項4に記載の定着装置からなることを特徴とする画像形成装置。
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JP2011206100A JP2013068724A (ja) | 2011-09-21 | 2011-09-21 | 摺動シート、定着装置および画像形成装置 |
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